リプレイ
バトラ・ヘロス
アドリブ、連携歓迎であります。
人の心を持たない亜人の分際で復讐を語るなど小賢しいのです。
これは単なる戦争であります。勝った者の勝ちというだけの力比べでしかありません。
復讐に酔っているなら好都合です。本戦前に掻き乱しておきましょう。
仲間と連携し、タイミングを合わせて敵群へと攻撃を仕掛けます。
無双馬に騎乗して、長槍サリッサと魔力盾スクトゥムを構えて騎馬突撃。
【襲槍陣】を使用します。
槍と盾の複製を無数に具現化し、前方に並べ立ててファランクス陣形を形成。騎馬突撃と連動させて、敵群へと突入します。
真正面から盾を叩き付けるシールドバッシュで体勢を崩し、盾の隙間から繰り出す槍衾で刺し貫いてゆきます。
反撃の跳躍攻撃に対しては、盾群を頭上に差し構えるテストゥド陣形へと即座に切り替えて対空防御。斜角に構えた盾で盾撃を受け流し、ダメージを軽減します。
突撃の勢いを殺さず敵陣を駆け抜け、封鎖や包囲を避けます。仲間と連携し再度突撃。
適度に敵戦力を削ったら迅速に撤収です。殲滅は本番にとっておくであります。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
史実、童話には毒の含まれたものも多かったが
夢を与えるはずの童話の魔女の軍勢がかくも邪悪とはな
異国で子供達の夢を壊す前に仕留めよう
まずは戦力を削り取る
待ち受ける相手だが、可能な限りの有利は取りたい
迷彩コートを纏い、周囲の地形や物陰に潜み双眼鏡で偵察
城壁近くの騎兵隊の配置を把握し、分断しやすい位置・数の敵群を見定めて狙う
PD通信で連携し、可能なら仲間と機を合わせ攻撃
煙幕弾を炸裂させ、敵部隊の視野を撹乱しつつ両手の銃でPD攻撃
仲間と狙いを合わせ
倒せそうな敵>より消耗した敵を目安に倒す
包囲されぬよう、なるべく一方向に相手取り
仲間の死角を補って援護
隙は逃がさず狙い撃つ
敵の攻撃には、跳躍にあわせタワーシールドを構え、盾同士を打ち合わせて防ぎ、勢いを受け流す
負傷は強化コートで軽減を
この国で出会った人達は、理不尽な暴力に抗い、生き抜いてきた
幼子だって懸命に生きている
人に、未来を、希望を!
歪んだ復讐の輪廻を断ち切ろう
戦況を観察し把握
戦果十分か、深手の負傷者が出る前に、通信で合図し全員で撤退
エイレーネ・エピケフィシア
以前ドンレミに漂着した亜人の大群には対処したものの、散発的な漂着すべての阻止は不可能だったと見えます
彼らはどこにいようと都市と人々を脅かさずにはいられない存在です
蹂躙戦記イスカンダルで戦い抜いた者の務めとして、かの地より落ち延びた亜人どもの命脈を絶ちましょう
城壁の付近に並ぶ敵に近づく前から迎撃を受けないように、可能であれば茂みや地形の起伏を盾として接近
不可能であればせめて《神護の輝盾》を構えながら近づき、攻撃への備えとしましょう
身を護るために前に出した盾はそのまま攻撃の手段ともなります
『恐怖すべき邪眼の解放』を発動し、盾に描かれたゴルゴーンの眼より石化の邪視を放射
敵の鎧と盾を避けるように素早くゴルゴーンの瞳を動かし、なるべく肉体から直に生命力を奪います
敵がこちらの盾をかわして槍を突きこもうとしてきたなら、《神護の長槍》を敵の槍に絡み付かせて押しやり、直撃を避けましょう
十分な戦果を上げたら、【泥濘の地】を周囲に展開して追撃の足を鈍らせながら撤退します
皆様ご無事ですね。新宿島に戻りましょう!
●激闘の幕開け
「復讐を! ディアボロスどもに復讐を!!」
城壁を背に、魔女化したキュナネの騎兵隊が鬨声を響かせていた。
整然たる隊伍といい、団結の掛け声といい、見るからに精兵の様相だ。士気高く、復讐に突き動かされているとなれば、魔女化していなかった時よりも一層手強さを増していると見ていい。
「横隊を組んでいるのが主力部隊か。左右に遊撃もいるようだ」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が落ち着いた声で味方に敵情を伝達する。
「正面の騎兵隊が喰い止めているところを、左右から挟撃するつもりかもしれないな」
軽量な迷彩コートに身を包んだエトヴァは、樹の影に身を隠すようにして、偵察用双眼鏡を覗いていた。
「流石に敵が占拠している土地。身を隠せるような場所は殆どありませんね」
通信機を手に、エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は離れた場所から声を送った。
周囲に遮蔽物らしきものは、今身を隠している場所以外に殆どない。
正攻法を採れば、開けた地を駆けていかねばならぬ。
だが、それは単騎であった場合のこと。
力を合わせれば、先手を取って戦いを有利に進めることは可能だ。
それにしても――エイレーネは思う。よくもここまでの兵員を集めたものだと。
「以前ドンレミに漂着した亜人の大群には対処したものの、散発的な漂着すべての阻止は不可能だったと見えます」
静かに闘志を高めながら、エイレーネは思い出す。漂着亜人の回収を担っていたジェネラル級キマイラウィッチ――海鳥提督シャルル・ド・ラ・セルダとの一連の戦いを。
状況を鑑みれば、キマイラウィッチに亜人の兵団を補充することは最早、困難だろう。ここで戦力を削げば、敵軍に少なくない打撃を与えられるはず。
その時、新たな通信が入った。
「人の心を持たない亜人の分際で復讐を語るなど小賢しいのです」
颯爽と戦場に馳せ来たったのは、無双馬『青縞』に騎乗したファランクスランサー、バトラ・ヘロス(沼蛙・g09382)。
「これは単なる戦争であります。勝った者の勝ちというだけの力比べでしかありません」
キュナネの騎兵隊はまだ鬨声をあげている。
「復讐に酔っているなら好都合です。本戦前に掻き乱しておきましょう」
「ああ、タイミングを合わせて仕掛けよう。それで機を掴むことは出来る筈」
エトヴァの声が、パラドクス通信を介して、二人に届く。三人全員に言えることだが、ディアボロスの中でも有数の実戦経験を持つエトヴァは、クロノヴェーダとの戦い方を熟知していた。逆説連鎖戦では、敵情の把握と先制攻撃が戦況を大きく左右するものだ。
散開していたディアボロスが、一斉に動き出す――。
●猛攻
「援護する。存分に仕掛けてくれ」
通信機越しのエトヴァの声に、バトラは頷いた。
「行きましょう、青縞(ブレリゲ)!」
ブレリゲが嘶きを発して疾駆する。猛然たる襲歩で戦場を征く愛馬の上で、長槍サリッサと魔力盾スクトゥムを構えるバトラ。腿の力で体を安定させれば、青縞が如何に疾く駆けようとも、姿勢は乱れない。
傷んだぼさぼさの髪が戦場の風を受けて靡く。
「――今だ」
エトヴァは発煙弾を撃ち放った。独特な破裂音とともに、敵陣に着弾。七色の煙が画家の手で描かれたように戦場を彩って騎兵隊の視界を塞ぐ。
騎兵隊は多勢であるのに対して、此方は寡兵である。
だが、兵数の多寡が、戦いを左右するとは限らない。
「かの地より落ち延びた亜人どもの命脈を絶ちましょう。蹂躙戦記イスカンダルで戦い抜いた者の務めとして!」
煙幕に視界が塞がれる直前に、エイレーネは攻撃を開始していた。
「怪物よ、その最期に逃れ難き恐怖を知りなさい!」
突き出すは金色に輝く神威の聖盾。刻まれたゴルゴーンの図像に魔力が注ぎ込まれた刹那、女怪の眼が強烈な邪視を放った。光。可視化できる程の視線がレーザーめいて飛び、横隊を組んでいたキュナネの騎兵隊を瞬時に薙ぎ払う!
これぞ戦技――恐怖すべき邪眼の解放(オプサルモス・バスカノス)!
恐るべき視線に晒された騎兵隊は目を見開き、息を詰めてビクリとその動きを止めた。
だが即座に息の根を止めるまでには至らない。
「おのれ……!」
「ディアボロスめ、報仇の雷霆を喰らうがいい……!」
騎兵隊が震える手で槍を突き上げると、その先端が雷の魔力を帯びた。
閃光を爆ぜさせながら突き出せば、蛇の如き紫電がエイレーネに襲いかかる。
「亜人が復讐を口にするとは。あなたたちがどれほどの悲劇を生んできたのか、想像することさえないのでしょう」
エイレーネは神護の輝盾を構えて防ぎ、騎兵隊の突進を迎え撃った。
地に突き立てた神護の長槍に雷が集中。電撃が大地に吸い込まれていく。
紫電に痺れたところを狙う雷鳴疾走は、確かに二段構えの強力なパラドクスである。
だが、それは何の妨害もなければの話。
「邪悪なる騎兵隊――あなたたちの好きにはさせません!」
突っ込んでくるキュナネの騎兵隊の勢いは、明確に弱まっていた。当然だ。その体は既にゴルゴーンの邪視に蝕まれているのだから。
「復讐を! この槍で報復を遂げてやる!」
騎兵隊が槍を突き出すも、エイレーネは掴み直した神護の長槍を構えて応じた。弾き、逸らす。卓越した体術、そして槍術で刺突をいなし、受傷を最小限に抑える。
猛攻を凌いで距離を取ったエイレーネは、その瞬間――煙幕の中を突っ込んでいくバトラを見やった。
「ファランクス、インクルシオ!」
少女の烈声が戦場に響き渡る。
長槍サリッサ、そして魔力盾スクトゥムが無数に複製され空中に展開。攻防一体にして圧倒的な機動力を誇る襲槍陣(ファランクス)は、一騎を一軍に変貌させる!
横陣の一角に突撃を敢行したバトラは、真正面に盾を構えて騎兵隊に激突させた。
煙幕を突き抜ける、孤にして軍。
一糸乱れぬ軍勢の突進を思わせるシールドバッシュが、キュナネの騎兵隊を強かに弾き飛ばす。のみならず、盾の隙間から突き出される長槍で、魔女と化した亜人の首を、腹を、そして黒き馬の下半身を刺し貫く。
敵陣に穴が空き、その突破力を以って、バトラは横陣を見事に貫いた!
「勇敢だな。俺も負けてはいられない」
エトヴァが連携を取り、バトラが包囲されぬよう攻撃を仕掛けた。煙幕との合わせ技はここからが本番だ。
――絢爛と、咲き誇れ。
意思を込めて構えるは魔法銃Schwarzer Schwan、そしてフリントロック式のOnda――愛銃が同時に、しかし互いに異なる銃声を響かせた。通常弾を放つ魔法銃の威力は高く、もう片方のOndaは特製の連装弾を複数の銃身から放つ。
狙いも精確な弾丸が騎兵隊に飛来、飛来、飛来――そして着弾。急所を射抜き、致命的なダメージを与える。
「うろたえるな! 射線から敵の位置を把握せよ!」
無事な騎兵隊は、盾を構えて銃弾を防ぎながら、エトヴァめがけて跳躍。シールドチャージを仕掛けた。煙から飛び出した騎兵隊がエトヴァを狙い、襲いかかる。その威力、さながら流星の如し。
が、
「どうやら煙幕は効果的だったようだな」
初手から狙いを定めることが出来たエトヴァと、七色の煙幕に視界を塞がれた騎兵隊とでは、その命中精度に差が出るのは当然である。
騎兵隊が得意とする蹂躙の一撃は強烈な威力ゆえ、空中での落下地点の修正は困難。
したがって、エトヴァが対処する余裕は十分にあった。
ガ、ゴンッッ――! 紋章で魔力強化された白きタワーシールドが、騎兵隊の盾を逸らして勢いを殺す。弾かれてたたらを踏んだエトヴァだったが、そこへ味方の援護が来た。
「傷つけさせはしません」
エイレーネが神護の輝盾を構えて割って入ったのだ。
防ぎ、攻め立て――襲ってきた騎兵隊を共同して屠っていく。
●激戦の帰するところ
「怯むな! 我らの復讐心を見せてやれ!」
「力を以って押し潰すのだ!」
キュナネの騎兵隊が、駆けるバトラを屠るべく後ろ足で跳んだ。
太陽を隠すような高度の跳躍、からの急降下。
速度を活かした一撃は、さながら敵対者を押し潰す隕石群だ。
「盾、構え!」
バトラの号令一下、無数の盾が彼女の意志に呼応してテストゥド陣形を形成した。
盾を頭上に掲げ並べる襲槍陣の防御形態だ。
馬首を返して迎え撃ったバトラに、盾を突き出したキュナネの騎兵隊が降ってくる。
ガッ、ガガガガガガガガッッ、ガゴオンッ――!! 超常の攻防が大音響を奏で、余りの衝撃の強さにバトラが歯を噛みしめる。
エトヴァとエイレーネの援護射撃の中、バトラは盾を操って斜めに。その斜角を利用して敵のシールドチャージの威力を減衰させていた。
まるで戦車の傾斜装甲である。
「殺せ!」
「踏み殺せ!」
「血祭りにあげよ!」
「史実、童話には毒の含まれたものも多かったが……夢を与えるはずの童話の魔女の軍勢がかくも邪悪とはな」
騎兵隊の叫びに、エトヴァが形の良い眉を歪めた。
復讐に取り憑かれた亜人は、残虐の度を増している。
蹂躙を是としていた者たちが魔女化するとは、そういうことだ。
「彼らはどこにいようと都市と人々を脅かさずにはいられない存在です」
エイレーネもまた槍と盾を構えて再攻撃の態勢を整える。
破壊と殺戮。蹂躙の限りを尽くす者どもの性質は強まることはあっても弱まりはしないだろう。
だからこそ――、
「惨撃は喰い止めます。必ず」
「異国で子供達の夢を壊す前に、仕留めよう」
エイレーネとエトヴァの言葉が連なる。
エトヴァはこれまでの戦いを回顧しながら二丁を構え、引き金に指をかける。
「この国で出会った人達は、理不尽な暴力に抗い、生き抜いてきた。幼子だって懸命に生きている」
射撃、射撃、射撃――銃声が立て続けに鳴り響き、ジャイロ回転する弾丸が狙い過たず騎兵隊を貫く。
「人に、未来を、希望を! 歪んだ復讐の輪廻を断ち切ろう」
陣形を乱した騎兵隊の中でも、特に手負った者を着実に仕留め――高らかなエトヴァの声に呼応するように、バトラが声を張った。
「取って返しますよ、青縞!」
ブレリゲが鋭く嘶く。
キュナネの騎兵隊の陣形へ後方から突撃し、散々にかき乱して。
「覚悟なさい、邪悪なる者どもよ!」
エイレーネが神威の聖盾に力を注ぎ込む。
瞬間、ゴルゴーンの図像が猛烈な邪視を放った。
如何に散開しようと、その視線から逃れることは出来ぬ。
体力を削られていた騎兵隊は邪視を浴びてビクリと震えると、足先から侵食されて遂に石と化す。
魔女化した亜人たちは、城壁の前を飾り立てる半身半人の石像となったのだ。
●鮮やかな撤収
敵陣を貫き、バトラがブレリゲと共に戻ってきた。
もちろん、無傷ではない。血と埃にまみれている。
だが、被った損害はキュナネの騎兵隊の方が遥かに大きかった。
「素晴らしい戦い振りでした。さあ、新宿島に戻りましょう!」
エイレーネが泥濘の地で敵の進軍速度を遅らせ、バトラの負傷を確認する。問題ない。自分の足で帰還ができるレベルだ。
「殲滅は本番にとっておくであります」
「充分な戦果だ。あとは後続に任せて、撤収しよう」
左右から集結しつつある敵の遊撃隊に、来援したディアボロスたちがぶつかろうとしている。
彼らの武運も祈りつつ、エトヴァは二人と共に新宿島へと帰還するのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
エレオノーラ・アーベントロート
新宿島に攻めて来ようとする輩はだいたい大天使かアークデーモンですし、そちらもきっちり潰してあげたいのですわよね。
とはいえ、そちらは当日のお愉しみ。今日はキマイラウィッチと遊んでおきましょうか。
電磁レールガン「フェアレーター」を手に戦闘。
「第二十三の魔弾【赫燿】」を投射し、赤く輝く破壊の光でキュナネの騎兵隊を消し飛ばしましょう。
あら、せっかくの城壁があるのに使いませんの?
うふふ、そういうのは嫌いではありませんわよ。全員消し飛ばしますけれど、それで後悔はなさらないで下さいませ!
私の攻撃は遠距離攻撃ですし、前で戦う方の側面に回り込んだり、隙を伺う敵を集中的に狙っていきましょう。
機動力のある見た目ですから、それを活かさせないように。
敵の疾走と魔術の雷鳴による攻撃はフェアレーターを盾に受け止めましょう。
周辺の敵を粗方倒したら戻りましょう。
復讐心に駆られる敵は多くいますけれど、ここのは籠っていてわかりませんわねぇ。
指揮官の面を拝むのも当日の愉しみといたしましょうか。
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎だよ
亜人も自動人形も天使も悪魔も魔女化して、こういうのは節操がないって言わないのかな?
まあ、あっちにとっては正当な復讐なんだろうけど……
まあ今更言っても仕方ないか。
今回の相手のは機動力が高いタイプっぽいね。なら、こっちも同じ四つ足で戦おうかな?
『蹂躙者』で突っ込んで敵陣を荒らそう。引っ掻き回して、ひと塊で戦えないようにしよう。
敵の攻撃も、ちゃんと跳躍の勢いを盾の一撃に乗せられないように掻き回したりタイミングを外しておけばへなちょこな一撃に成り下がるだろうし。そこをしっかり防げば怖くはないよね。
それなりの戦果を挙げたらさっさと引っ込もう。本番はまだ先だし。
追って来るのはいるだろうけど、本隊から離れた小勢なら戦果に加えちゃえばいい。
そしたらひとまずは凱旋だ。
●ディアボロスは颯爽と
「亜人も自動人形も天使も悪魔も魔女化して、こういうのは節操がないって言わないのかな?」
敵の軍勢を前に、宝石にも似た双眸がきらりと輝きを帯びる。
シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)は視線の先に居並ぶ騎兵隊に、小首を傾げた。
「形振り構わずといったところですわね。魔女とはそうしたものです」
共に戦場に降り立ったエレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)が敵軍を一望しながら、ガチャリと武器を――重いレールガンを構える。
「まあ、あっちにとっては正当な復讐だろうからね……」
戦いは幾多の犠牲を生じさせる。累々と重なる屍の数だけ、魔女の復讐心は燃え上がるだろう。
だから、とシエルシーシャは諦観の混じった吐息を零した。
「今更言っても仕方ないか」
●水妖と赫燿たる魔弾
「新宿島に攻めて来ようとする輩はだいたい大天使かアークデーモンですし、そちらもきっちり潰してあげたいのですわよね」
エレオノーラは奪還戦当日の戦力配置図を思い描いていた。
「とはいえ、そちらは当日のお愉しみ。今日はキマイラウィッチと遊んでおきましょうか」
今、この場では、少しでも敵戦力を削り取っておくべきだ。
「敵はまだ混乱してるようだけど、まともにぶつかったら翻弄されることもある、かな?」
騎兵隊が態勢を立て直す前に、シエルシーシャは力を解き放った。
「まあ先手を打って掻き乱せばいいか」
掌に乗せた宝玉は、名を、縛る招き手ナックラヴィーと云う。
恐るべき力を秘めし呪具は、パラドクスの解放とともに爆発的な呪詛を放出した。呪具を核として反物質化した呪いがタールのように練り合わされ、混ざり合い、シエルシーシャの躰を包み込む。
おぞましい音がした。呪いが蠢動する音だ。時空を歪ませながら、パラドクスが巨大な人馬を形作る。
奇怪で歪な四腕の人馬を。
――ナックラヴィー! 呪え、鎧え、踏み躙れ!
響き渡るシエルシーシャの声。
燃え上がるような黒き凶馬が嘶き、前足を高く掲げた。
顕現するは、恐るべき水妖――災厄を齎すナックラヴィー。
奔馬疾走。
圧倒的な疾駆を見せると、水妖は半身半馬の騎兵隊に突っ込んだ。
まるで四ツ足の凶獣が獲物の群れに分け入るように……暴れて、暴れて、暴れまわる。
未だ混乱状態にあった騎兵隊が即座に対応できるかと言えば、否だ。
蹂躙されるのは、魔女化した亜人どもの方だった。吹き飛んだ騎兵が転がり、起きようとしたところを踏み潰される。蹂躙――そう、その言葉は今やシエルシーシャのためにこそある。
「ディアボロスめ! 怯むな、冷静に対処せよ!」
「復讐を果たすは今!」
高らかに跳躍して、キュナネの騎兵隊はナックラヴィーに襲いかかる。煌めく盾を突き出した隕石群のような猛攻が、巨体を苛むうとする。
「させませんわ! 纏めて吹き飛ばして差し上げます!」
その時既に、エレオノーラは電磁レールガンを構えて敵軍に照準を定めていた。フェアレーターの名を持つその兵装は、拠点防衛用の兵器を転用・改造したものである。常人では持ち上げられぬ程の重量がある超兵器を、エレオノーラは鬼人の膂力で事も無げに保持し、照準を固定している。
「さあ、行きますわよ!」
パラドクスの力が注ぎ込まれると同時に、電磁的な音を響かせてレールガンからプラズマが迸った。装填されているのは赫燿――それは魔弾ではあるが実体弾ではない。フェアレーターのエネルギーそのものを赤々と輝かせ、敵陣めがけて放つのだ!
「どちらが蹂躙される側か、思い知りなさいな!」
引き金を引いた刹那、極限にまで力を高められた赫燿がスパークと電磁音を生じさせて射出された。
超常の魔弾は、瞠目すべき弾速を誇る。
キュナネの騎兵隊が身構える間もなく赫燿が着弾。
破滅をもたらす赫灼たる光芒が爆ぜた瞬間、大地もろともその絶大な破壊力によって吹き飛ばした!
「敵は寡兵のはず!」
「小癪な射手から討ち果たせッ!」
騎兵隊が槍を閃かせて駆ける。その狙いはエレオノーラだ。魔術に寄る雷鳴が轟かせ、亜人にして魔女が紫電を纏って突進する。その姿は、神話の怪物めいて凄まじい。
だがエレオノーラの顔に浮かぶのは愉しげにさえ見える笑みだった。
「せっかくの城壁があるのに使いませんの? うふふ、そういうのは嫌いではありませんわよ」
エレオノーラはフェアレーターを――まだレール間に赤きプラズマ光が残る兵器を抱えて、後方へと跳躍。
頑丈なレールガンは危急の際には盾にもなる。ガッ、ガギリッッ――! フェアレーターで槍の切っ先を逸らしながらエレオノーラはダメージを抑える。
――蹴散らせ、ナックラヴィー!!
そこへ再びナックラヴィーと一体となったシエルシーシャが猛然と割って入り、騎兵隊の突進を食い止め、部隊間の連携を断つ!
「感謝いたしますわ!」
騎兵隊の突進力は侮れない。接近を許せば、遠距離攻撃を担当するエレオノーラにとっては如何にも分が悪い。
しかし味方と連携すれば不利は覆せる。
そして互いの力を最大限に活かすことも出来るのだ。
「さあ――」
エレオノーラの赤き瞳が高揚する戦意にきらと輝いた。
フェアレーターの銃口が足止めを食っている騎兵隊を狙う。
瞬くは赫灼たる光。
電磁音は葬送の響き。
騎兵隊が全力で離脱しようとするも、時すでに遅し。
「――全員消し飛ばしますけれど、それで後悔はなさらないで下さいませ!」
トリガー。
赤き光が放たれ、着弾と同時に荒れ狂った。実体弾とは異なり、エネルギーそのものを魔弾として放つ、第二十三の魔弾【赫燿】――その威力に耐えられる騎兵隊はそこにはいない。
亜人にして魔女たちの鍛え抜かれた体が四散し、木の葉のように舞い上がる!
「つ、強い……!」
「落ち着け、一人に攻撃を集中させよ!」
キュナネの騎兵隊はエレオノーラの猛攻から逃れるように散開し、破れかぶれとなってナックラヴィーに突撃した。
跳躍、からの急降下攻撃はさながら星落ちるかの如く。叩きつける盾の威力は盤石をも容易く粉砕する。
だが騎兵隊は混乱状態にあり、多くが傷を負っていた。そのために踏み込みにも力が入らず、跳躍も急降下も万全ではない。シールドバッシュはナックラヴィーに降り注ぐも、直撃には至らず、そして。
――呪え、爆ぜろ、全てを毀せ!
災厄の到来を告げるシエルシーシャの声が響き渡った。
嘶く凶馬。
そして――。
「これは……!? 避けろッ……!!」
騎兵隊の一体が言うも、もう何もかもが遅い。
刹那、ナックラヴィーを構成する呪詛が爆発。
飛び散る呪いが、騎兵隊を木っ端微塵にした。
●凱旋
「復讐心に駆られる敵は多くいますけれど」
フェアレーターを敵軍に向けて牽制しながら、エレオノーラが城壁を見やる。
「ここのジェネラル級は籠っていてわかりませんわねぇ」
城壁前の騎兵隊は、大混乱に陥っていた。
損害は甚大であり、部隊の再編には時がかかるだろう。
「さっさと引っ込もう。本番はまだ先だし」
ふわりと地に降り立ったシエルシーシャが涼しい顔で言った。
「そうですわね。指揮官の面を拝むのも当日の愉しみといたしましょうか」
ひとまずは凱旋だ。
僅かな追跡者を返り討ちにしてしまうと、もう追ってくる敵はいなくなった。
二人のディアボロスは上々の戦果を収めて、新宿島へと帰還する。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!