【ラ・ピュセル奪還戦】⑮アルテュール・リッシュモン

 このシナリオは【火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 最終人類史の戦場は、奪還戦が開始するまで攻撃する事は出来ない為、火刑戦旗ラ・ピュセルのフランス全域に散らばるジェネラル級キマイラウィッチに対して、戦闘を仕掛けます。
 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。
 また、火刑戦旗ラ・ピュセルの周囲は全て最終人類史の領域である為、今回の奪還戦では他ディヴィジョンからの横やりが入る事はありません。

 このシナリオの攻撃対象は【⑮アルテュール・ド・リッシュモン】の軍勢です。
 アルテュール・ド・リッシュモンは、史実でもジャンヌに忠実だったフランス軍の将軍で、最高指揮官を務めていた事もあり、火刑戦旗ラ・ピュセルでも最上位の力を持っています。
 その力を見込んだジャンヌにより、東西の要衝の防衛を任されているようです。
 アルテュール・ド・リッシュモンは、断片の王ジャンヌ・ダルクが座す『ミュロル城』に至る要衝を任されています。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「⑮アルテュール・ド・リッシュモン」の敵残存率を低下させます。

【ラ・ピュセル奪還戦】獅子奮迅の大元帥(作者 坂本ピエロギ
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『聞け、ラ・ピュセルの勇士たちよ! ディアボロスは、我が同胞たちを無残に殺し続けて来た!』
 断片の王『ジャンヌ・ダルク』のミュロル城を守る要衝にて、一体の魔女が、配下の軍勢を前に熱弁を振るっていた。
 有能な指揮官を体現したかのような彼は、名を『アルテュール・ド・リッシュモン』――最終人類史における大元帥の名を奪ったジェネラル級の魔女である。
『ディアボロスが殺したのは、我らの同胞のみにあらず。ラ・ピュセルを取り巻く数多くのディヴィジョンを、奴等は滅ぼし続けて来たのだ!』
 堂々たる立ち居振る舞いと、士気を鼓舞する熱弁。
 アルテュールの熱意を前に、配下の兵士たちは否応なく復讐者への復讐の念を昂らせていく。
『これは我等だけの復讐戦にあらず。滅ぼされた者たちの遺志を継ぎ、今こそ鬨の声をあげよ! 正義の復讐の為に!』
 その熱弁に応えるように、割れんばかりの大歓声が木霊した。
 熱狂と憎悪が渦を巻き、戦場を席巻していく。大元帥を騙る魔女の下、大軍勢は来たる戦に向けて牙を研ぎ始める――。

●新宿駅グランドターミナル
「皆、奪還戦ファーストアタックお疲れ様。今の勢いで、魔女の勢力を削って行こう!」
 集まった復讐者たちに一礼し、リュカ・アルページュ(人間のサウンドソルジャー・g01327)は作戦の説明を開始した。
 ラ・ピュセルと最終人類史で行われる歴史の奪還戦、その前哨戦となる作戦は現在も順調に進んでいる。侵攻と防衛の両立を求められる厳しい戦いだが、それでもリュカの復讐者に対する信頼は微塵も揺るがない。
「今回、皆に向かって欲しいのは『アルテュール・ド・リッシュモン』の戦場だ。ジャンヌの巨城であるミュロル城への道を守る、強力な防衛戦力だよ」
 指揮官アルテュールは今回の戦いを『正義の復讐』と語り、徹底抗戦の構えを見せている。
 配下の兵たちも士気は高く、復讐者への復讐に戦意を燃やしている状況だ。ジャンヌとの決戦に臨む上で大きな障害となる戦場だけに、前哨戦で戦力を削っておく意義は大きいと言えるだろう。

「戦場には、『ジェヴォーダンの獣』で構成された軍勢が展開しているよ。皆にお願いしたいのは、この敵勢力を出来る限り撃破して、敵勢力に打撃を与えることだ」
 リッシュモンが率いる軍勢は未だ多く、一度の作戦で全滅させることは不可能だ。
 襲撃を行い、撃破を重ね、頃合いを見て戦場より撤退する――以上が作戦の流れとなる。
 一度の勝利で得られる成果は決して多くない。だが、一つ一つを積み重ねれば確実に強敵を弱体化させられる。激戦が予想される今回の奪還戦において、その意義は非常に大きい。
「戦場に長く留まり続ければ、敵の増援が現れてしまうよ。ファーストアタックでは引き際も肝心だから、くれぐれも無茶はしないでね!」
 かくしてリュカは説明を終えると、時空間移動列車のドアを開放する。
 行先は火刑戦旗ラ・ピュセル、ミュロル城東方面。
 断片の王ジャンヌを守る大元帥の軍勢を蹴散らし、復讐者と人類の勝利をいざなう為に。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。

効果2

【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

坂本ピエロギ
 坂本ピエロギです。
 こちらは火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦「⑮アルテュール・ド・リッシュモン」のファーストアタックとなります。
 『ミュロル城』に至る要衝を防衛する『ジェヴォーダンの獣』の部隊を襲撃し、可能な限りの敵を撃破して下さい。

🌍目的地🌍
 ミュロル城東方面(火刑戦旗ラ・ピュセル)

✏概要✏
 本作戦の目標は、防衛部隊『ジェヴォーダンの獣』の撃破です。
 敵部隊を襲撃し、ある程度の数を蹴散らした後、戦場を離脱することで作戦成功となります。
 本シナリオが成功で完結すると、「⑮アルテュール・ド・リッシュモン」の敵残存率を5%低下させることが出来ます。

 執筆は4/16の8:30より開始。
 16日時点で必要な参加人数に満たない場合は、人数が揃った時点で執筆を開始します。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

ラ・ピュセルに踏み入れる瞬間から
……呪詛、怨嗟、この身に浴び続けてきたよ
余りにも因果なディヴィジョンと、戦い続けて来た

二年近く、復讐と虐殺の狭間で戦い続けた
孤独な戦いもあった、ようやく掴んだ好機もあった
人々の声援もあった
俺も変わっただろうか

迷彩コートを纏い、可能なら物陰から敵陣を双眼鏡で偵察
分断や交戦しやすい数と位置の敵集団を見定めて
仲間と機を合わせて襲撃

両手の銃でPD攻撃
仲間と狙いをあわせ、倒せそうな敵>より消耗した敵の順に撃破
また仲間の死角を狙う敵は優先
包囲されぬように、なるべく一方向に相手取って自陣を維持
味方の死角を補うよう立ち回る
戦況は常に観察し把握

敵の攻撃には、突進に対し腕のシールドを構え砲撃を防ぎつつ
喰いちぎりもガードし盾で振り払い反撃

音を上げなかった理由なんて一つあればいい
人々の手に、平穏と幸福を掴む権利を取り戻せ。
俺は理不尽に抗い、人々を守護するために此処に『在る』
復讐の因果、断ち切ってみせる

戦果十分、敵将出現、または深手の者が出る前に合図して全員で撤退を


ゼキ・レヴニ
正義の復讐、なァ
それが窮地の雑兵を“無敵”の兵士に仕上げる魔法の言葉ってワケかい
おれにとっちゃ聞き飽きた常套句だがよ
正義の名の下に死ねるのが奴らの本望なら、叶えてやるとすっかい

だが…もし戦場に正義ってモンがあるとしたら――きっとあいつはそうだった
ただひたすらに目の前の命を救い続けた厳しき衛生兵の記憶を金属塊『躯』に流し込み、杖の形態に変形
腕の機械部からエネルギーをチャージ、敵軍を引きつけてから杖の先端から強力な電磁波を一気に放出
どこが捥げても構わねえんなら、内側から破壊してやるまでだ

敵の連携攻撃は厄介だ、孤立して囲まれんように立ち位置は気を付けつつ
反撃は杖や機械の手脚で受け、可能な限り負傷を抑える
腕も脚も捥げ飽きちゃいるがよ、この首だけはくれてやらねえぜ

味方と狙いは合わせ、弱った敵を優先して狙ってくぜ
同時にパラドクスの効果で治癒を促進、【ドレイン】で体力を維持しながら戦い
なるべく多くの敵を斃したい

充分に敵を撃破したら不利になる前に撤退するぜ
またなァ、正義のヒーローども!


ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎

心情
同胞達を無惨に殺し続けてきた、か
本当巫山戯てるぜ
なら貴様らは、人々の人生を狂わせ殺めてきた貴様らはどうなんだ、ってんだ

此れ以上、傷付けさせない為にも東京の人達を害させない為にも……全力で打ち倒す!

相棒の無双馬に騎乗し敵に囲まれないように戦場を◯ダッシュ、駆け回りながら戦闘
自身に近付く敵≫負傷した敵≫味方に攻撃を仕掛けてる敵≫他の優先順位で◯双翼魔弾で攻撃
又、攻撃後は敵が健在なら倒れる迄再度攻撃
敵の攻撃は極力避け当たりそうなら◯結界術による障壁で凌ぐ


お前達に此れ以上、誰かを苦しめさせはしない!
お前達のせいで泣く誰かの涙を見たくない!
お前達の様な小賢しい理由なんてない
其れが俺の戦う理由だ!

正義の復讐?
自分が先に虐げておきながら、自分達から自分達を害する様に仕向けておきながら、やられたら被害者面正義ヅラするなんて巫山戯てるにも程がある
そんな奴等に東京の人達を、此のディヴィジョンの人達を此れ以上苦しめさせて溜まるかよ!

我が魔弾を以て魔獣を撃たん
喰らって貰うぜ!


瀬鍔・頼門
調整中
正義の復讐、か。ラ・ピュセルの魔女と我ら復讐者の復讐、事此処に及べば今こそ雌雄を決せん
まずはかの大元帥の文字通り走狗達を間引くとしよう。坂東武者の犬追物、しかと見せん…!

連携協力を積極的に。
特に仕掛ける機は仲間の合図に合わせるなどして足並みを揃える
無双馬を駆り、ジェヴォーダンの獣へ太刀による【春日ノ御太刀】で斬り駆ける。

敵の反撃には雷光奔る太刀でその爪牙を振り切り、砲身を焼き切り、人馬一体となって無双馬にも駆け撥ねさせたい
やむを得ず受ける攻撃には籠手や肩の大袖鎧を盾代わりに受け流すことに努める

切り込めるなら敵隊列の横を衝くように駆け、囲まれないうちに味方側へ退く。
連携が出来そうなら味方が切り込んだところへさらに波状攻撃になるよう突撃。敵勢を崩すことを狙う。


ユオ・ルスカ
連携、アドリブ共に歓迎

【心情】
復讐を掲げた我らが、その対象になろうとは。
いえ、復讐とは元よりその様なものでしたな。
しかし、なればこそ譲れますまい。
牙研ぐならば折り、鬨の声上がらば潰しましょう。
護るべきを護る為ならば、我は喜んで穢れた狼となりましょう。

【行動】
仲間あらば仕掛ける機を合わせます。
「さあ来たれ!同胞の仇は此処に在り!」
声を張り上げると共に『依るに能わず』、
強靭な狼の膂力に魔力を巡らせ大楯<審楯>を構え突撃、
体当たりからの薙ぎ払い、そして大槌<審槌>を振り下ろし叩き潰して参りましょう。
ジェヴォーダンの獣共は死を恐れぬようですが、我も一歩と退く気は無し。
肉が喰い千切られようと、身を穿たれようと、大槌と大楯を以て獲物を打ち潰します。
とは言え、頭に血が上らぬようには留意せねばなりますまい。
仲間との立ち位置を意識し、そして退却に備え深入りは避けるように立ち回ります。

退くに潮時と判断すれば手近な敵を殴り飛ばした後、周囲に声掛けを。
話に聞く通りの戦意でしたな。少しでも削げたなら良いのですが。


 断片の王ジャンヌの居城、ミュロル城――その地へと至る道は、大軍勢によって封鎖されていた。
 敵は『アルテュール・ド・リッシュモン』に率いられた、ミュロル城の防衛戦力。復讐者への復讐を正義に掲げ、ドス黒い憎悪を燃やす魔女たちだ。
 この戦いに慈悲は無く、かける情けも存在しない。
 身も心も怪物と成り果てた魔女の群れに打撃を与えるべく、復讐者たちは戦いに臨もうとしていた。

「復讐を掲げた我らが、その対象になろうとは。いえ、復讐とは元よりその様なものでしたな」
 戦場に展開する軍勢を見つめ、ユオ・ルスカ(Lopussa kiitos seisoo・g10632)は呟いた。
 視線の彼方で群れを成すのは、『ジェヴォーダンの獣』たち。四脚獣の胴体を持つ魔女の群れは、首から上に生えた人間の顔面を憎悪に歪め、戦いの時を待っている。
 奪われ、殺された怒りを原動力に、彼らは復讐者への恨みを果たす気なのだろう。復讐という行為が持つ性質を考えれば、それは当然の帰結だとユオは思う。
「しかし、なればこそ譲れますまい」
 呟くユオの声には、不動の決意が宿っていた。
 今回の戦争で、魔女は最終人類史の一般市民をも標的にしている。ユオにとって、それは決して容認できぬ一線だ。
 無辜なる民より託された願いを胸に、その命を守る楯となる――そんな不動の決意と共に、彼女は戦いに臨む。
「牙研ぐならば折り、鬨の声上がらば潰しましょう。護るべきを護る為ならば、我は喜んで穢れた狼となりましょう」
 いかなる軍勢が相手であろうと、恐れは無い。
 仲間たちの楯として戦い抜く為、ユオは戦の準備を整えていった。

「……正義。正義の復讐、なァ」
 ユオを先頭とする一団の中程で、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)は皮肉な笑みを浮かべていた。
 戦争で用いる言葉として、実際これほど便利な言葉もないと彼は考えている。窮地の雑兵を“無敵”の兵に仕立てる手段は魔女も人間と大差ないらしい。
「おれにとっちゃ聞き飽きた常套句だがよ。……ま、正義の名の下に死ねるのが奴らの本望なら、叶えてやるとすっかい」
 乾いた声で呟いて、ゼキは金属塊『躯』に記憶を流し込んでいく。
 脳裏に思い描くのは、彼にとっての正義の体現者だった。激しい戦火の中で、目の前の命をひたすらに救い続けた、それは厳しき一人の衛生兵だ。
(「そう。もし戦場に正義ってモンがあるとしたら――きっとあいつはそうだった」)
 未だ色あせない記憶と共に、ゼキは躯を杖の形態に変形させる。
 元より魔女たちが理解し合える存在でないことは、十分承知。敵が敵の正義を掲げるなら、ゼキもまた自分にとっての正義を胸に戦うのみだった。
「よし、こっちはOKだ。正義のヒーローどもに一泡吹かせてやるか」
「ああ。東京の人たちを害させない為にも……全力で打ち倒す!」
 ゼキの横で、無双馬に騎乗したルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)が頷いた。
 戦場の敵群を見つめる彼の眼には、炎のような怒りが灯っている。復讐者の中でも歳の若い彼は、その胸に抱く想いも純粋で、そして鮮烈だ。
「同胞たちを無惨に殺し続けてきた、か。……本当、巫山戯てるぜ」
 騎士道を奉ずるルイツァーリにとって、民を虐げるクロノヴェーダは尤も唾棄すべき存在のひとつだ。
 ラ・ピュセルの人々の人生を狂わせ、殺めるのに飽き足らず、今回の戦争では新宿島の人々まで狙おうとしている。容赦余地など、ある筈も無かった。
「此れ以上、人々を傷付けることは許さない。必ず決着をつけてやる」
 ルイツァーリの無双馬が、昂揚の嘶きを上げる。
 これより始まる戦いに奮い立つ、主たる少年の心に応えるように。

 そうして一人また一人と、復讐者たちは準備を完了していく。
 そんな中、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は戦場の様子を見澄まして、襲撃前の最終確認を終えようとしていた。
「……攻撃目標の周囲に、他の敵集団は見えない。戦闘は、問題なく行えそうだな」
 リッシュモン配下の軍勢に相応しく、ジェヴォーダンの獣には相応の統率が伺える。
 恐らくは、指揮官であるリッシュモンの手腕によるものだろう。油断できる相手では無いと気を引き締めながら、エトヴァはこの日に至るまでの足跡をふと振り返った。
「呪詛、怨嗟……ラ・ピュセルに踏み入れる瞬間から、この身に浴び続けてきたよ」
 火刑戦旗の攻略から約二年、行く先々に広がるのは復讐と虐殺の景色ばかりだった。
 孤独な戦いもあった。ようやく掴んだ好機もあった。――そして、人々の声援も。
 その歩みの果てに辿り着いた今を想い、エトヴァは無言で拳を握る。復讐の連鎖が終わり、憎悪の生まれぬ平穏な未来を、取りこぼすまいと誓うように。
「最後の決戦まで、走り続けてみせるよ。……行こうか、皆」
「一切承知。ラ・ピュセルの魔女と我ら復讐者の復讐、事此処に至れば是非には及びません」
 無双馬『綾目草』の馬上で、瀬鍔・頼門(あかとき闢く忌刀舎人・g07120)が首肯を返す。
 魔女たちの正義の果てに待つのは、死と憎悪の連鎖のみ。互いに譲れぬ一線がある以上、もはや力で雌雄を決する他に道は無いのだ。
 怨みより願いを、怒りより祈りを。復讐者としての信念を胸に、頼門は綾目草に突撃の指示を下した。
「坂東武者の犬追物、しかと見せん……!」
 綾目草の嘶きが響く。それを合図に、五人の復讐者たちは駆け出した。
 断片の王ジャンヌ・ダルクの城を護る、アルテュール・ド・リッシュモンの軍勢に向かって。

「さあ来たれ! 同胞の仇は此処に在り!」
 始まりを告げたのは、ユオの張り上げる言葉だった。
 狼の咆哮にも似た彼女の声が響くと同時、敵の意識が一斉に降り注ぐ。
 憎悪を帯びて突き刺さる無数の視線。それをユオは、魔力を注いだ大楯『審楯』で真正面から受け止めながら、更に突撃の速度を上げた。
 彼女の役割は、敵陣への切込みだ。狼の膂力を楯に込め、仲間たちに背を預け、『依るに能わず』を発動。魔女たちの隊列めがけ、渾身の体当たりを叩き込む。
「卿が斃れるまで――打つ!」
 大地を揺さぶる衝撃が、開戦の号砲さながら戦場に木霊した。
 ユオは最前列に陣取る魔女を楯の一撃で粉砕すると、続け様に大槌『審槌』で周囲の敵に牙を剥く。
 洗練とは程遠い野蛮で力強い猛攻が、敵の出端を派手に挫いた。単騎の突撃を敢行したユオの姿は、否が応でも注意を引きつけ――そうして生じた魔女たちの隙を、後続の四人は見逃さない。
『ディアボロスめ! 足が捥げようとも、我らは――』
「そうかい。なら、内側から破壊してやるまでだ」
 杖状の躯を構えたゼキが、魔女に向かって告げる。
 敵の食いつきは想像以上だ。強きに過ぎる復讐心に背を押され、先を争うように復讐者の下へ殺到してくる。そこを狙い、ゼキは『命脈の捌』を発動した。
「――死んだら殺すなんて、奴によく脅されたモンだ」
 ビリ、と音を立て、微細な衝撃が空気を叩く。杖の戦端より放射される、パラドクスの電磁波だ。
 腕の機械部よりチャージした膨大なエネルギーは、魔女の肉体を内側から破壊していく。臓腑が煮え立つ苦悶に顔を歪め、魔女たちは一体、また一体と血反吐を吐きながら絶命していった。

『復讐を! 復讐を!』『正義は我ら、キマイラウィッチにあり!』
 復讐者の攻勢が勢いを増す中、敵側にも反撃に移る者が出始めた。
 砲弾を放ち、爪と牙を振るい、互いの連携を武器とする攻撃は、復讐者にとっても脅威そのものだ。アルテュールに従う兵の実力は、見掛け倒しでは無いということだろう。
「腕も脚も捥げ飽きちゃいるがよ、この首だけはくれてやらねえぜ……!」
 爪牙で受ける負傷をドレインで癒しながら、ゼキは機械の手足を盾代わりに戦場を駆け続けた。
 敵の連携は想像以上に堅い。こうした戦場では、孤立する仲間を出さないことが何より重要となる。集中攻撃を阻むよう、巧みに戦場を立ち回るゼキ。間を置かず、その狙いを察知したらしい敵が数体、牙を剥いて突進して来た。
『その喉笛、食い千切ってやる!』
「……此方の台詞だ。間引かせて貰うぞ、走狗ども」
 刹那である。魔女たちの側面へ、一騎の武者が太刀を構えて突っ込んだ。
 綾目草を駆る頼門だった。騎馬の機動力を活かし、頼門はそのまま敵の横腹めがけて加速。雷電を纏う太刀を以て、必殺の一撃を叩き込む。神鹿の如き機動で敵を蹂躙する、『春日ノ御太刀』の一撃である。
「斬り駆ける!」
 仲間には礼儀を、敵には太刀を以て応じる武者――それが頼門という復讐者だ。
 人馬一体で繰り出した雷電の斬撃は、捉えた魔女たちを撫で斬りに、一体残らず骸へと変えていく。そのまま苛烈な攻撃で敵陣の一角を切り崩すと、彼は今こそ好機と仲間たちへ合図を送った。
「グロリアスを発動しました! このまま、敵を蹴散らしましょう!」
「有難く使わせて貰うぜ。皆、ドレインもどんどん役立ててくれ!」
 肉体に癒しを齎す効果が、戦場を覆っていく。
 頼門の心強い援護を追い風に、復讐者たちの栄光ある戦いは、戦場をじわりと席巻していく。

「よし、理想的な展開だ」
 戦う仲間を後方からの銃撃でサポートしながら、エトヴァはそう呟いた。
 敵の抵抗は未だ強固だが、復讐者たちの猛攻で足並みを乱しつつある。このまま着実に数を削れば、決着の好機は遠からず訪れるだろう。
 逸らず、焦らず、冷静に。手負いの敵を狙ってエトヴァが駆使する二挺の銃は、一発たりとも狙いを外すことなく、標的の魔女たちへ死を齎していく。
『ぐあぁ!』『ギャッ!』
「覚悟しろ、魔女ども! これ以上、巫山戯た真似を許すかよ!」
 そこへ息を合わせ、戦場を駆けるのは無双馬に跨るルイツァーリだった。
 手負いの敵の始末をエトヴァに託し、彼が務めるのはユオの援護だ。挑発と共に突撃を敢行したユオは多数の魔女から標的にされており、今この瞬間も攻撃を受け続けている。
 であるならば、ここは魔女どもを撹乱するのみ。ユオを狙う個体を優先的に排除すべく、ルイツァーリは人馬一体で戦場を駆け巡り、魔力の弾丸で標的を蹴散らし続ける。
「お前らなんかに東京の人たちを、此のディヴィジョンの人たちを! 此れ以上苦しめさせて溜まるか!」
「力無き者を虐げるのが魔女の正義だと言うのなら。俺は何度でも、立ちはだかろう」
 ルイツァーリとエトヴァ、二人の攻撃は敵の連携を巧妙に阻み、魔女の屍を次々と戦場に積み上げた。
 ゆっくりと、しかし着実に、優勢へと傾き始める戦いの流れ。その空気を五感で感じ取り、最前列に立つユオは己が肉体を今一度叱咤する。
「皆様の援護……頼もしいですな。ここは我も、一層発奮せねば成りますまい!」
 受けた傷は、ゼキと頼門が齎した効果で癒し。尚も襲い来る連続砲撃は、分厚い楯で阻み。
 熱い血潮と共に全身を駆け巡る凶暴な衝動を鎮めながら、ユオは尚も不動の楯として立ち続ける。仲間の為、新宿島の人々の為、ここを退く訳には絶対に行かない。
「死を恐れぬ獣であろうと、一歩と退く気は無し! この大楯と大槌を以て、打ち潰します!」
 瞳に宿す信心の光は、未だ微塵も色あせず。
 渾身の膂力を込めて振るう審楯と審槌が、迫り来る魔女を軽々と吹き飛ばした。

 復讐者の攻勢は尚も続き、ジェヴォーダンの獣たちを撃破していった。
 以心伝心、当意即妙――五人の連携を表すなら、そんな言葉が相応しいだろう。
 最前列で敵の攻撃を凌ぎ続けるユオ。それを狙う敵を、援護射撃で仕留めるエトヴァとルイツァーリ。綾目草に跨る頼門は人馬一体、足並みを乱した敵を雷光の迸る太刀で仕留め、深手を負った敵はゼキが電磁波で余すことなく始末する。
「……さぁて。そろそろ、敵の本陣にも騒ぎが伝わる頃合いか?」
 杖型の躯を休み無く振るいながら、ゼキは戦場の彼方に目を向けた。
 現時点での戦況は復讐者の優勢だが、アルテュールが率いる魔女の軍勢は未だ健在。敵増援の到着前に、ジェヴォーダンの獣たちを殲滅したいところだ。
「敵さんも残り僅かだ。一気に決めて退却するか」
「そうしよう。全員無事に帰るまでが作戦だ」
「よし! なら、このまま全力で撃破してやる!」
 戦場に一層注意を張り巡らせ、ゼキが合図を送る。追撃の機が生じたことを報せるサインだった。
 それに応えるようにエトヴァが、ルイツァーリが、次々とジェヴォーダンの獣たちを狙い定める。残留効果で増幅した怒りの力を、発動するパラドクスに余さず込めて。

「音を上げなかった理由なんて一つあればいい。人々の手に、平穏と幸福を掴む権利を取り戻せ」
 眩い光を宿した二挺の銃を手に、エトヴァが魔女へと疾駆する。
 美しき舞いの如き動きで敵を翻弄し、銃弾の雨を浴びせる『シューティングダンス』のパラドクスだ。その前方より砲撃と共に突撃して来る魔女を狙い、エトヴァは告げた。憎悪に満ちた魔女とは対照的な、澄んだ湖面を思わせる声色だった。
「……俺は理不尽に抗い、人々を守護するために此処に『在る』。――復讐の因果、断ち切ってみせる」
 同時、戦場をパラドクスの弾丸が埋め尽くす。
 対する魔女たちは死をも恐れぬ勢いで牙を剥くが、悪足掻きだ。砲弾も、爪も、牙も、エトヴァを止めることは叶わない。尚も降り注ぐ銃弾を前に、敵は為す術なく撃破されていった。
『なぜ……! なぜ我らが、こんな……!』
 もはや数体を数える程にまで減った魔女の一体が、血の滲むような声で叫ぶ。
 一矢報いることも叶わず討たれるなど、到底受け入れ難いのだろう。だが、それは当然の帰結だとルイツァーリは思う。
「お前たちに此れ以上、誰かを苦しめさせはしない! お前たちのせいで泣く、誰かの涙を見たくない!」
 畢竟、魔女の復讐は自分たちの為だけのものだ。だからこそ力無き民を平気で踏み躙り、犠牲に出来る。
 そんな彼らに、俺は違うとルイツァーリは告げた。
 お前たちのような小賢しい理由など必要ない。人々を守る為、自分以外の誰かの為、命を懸ける。それが復讐者たる自分の戦う理由なのだと。
「我が魔弾を以て魔獣を撃たん。喰らって貰うぜ!」
 悪魔の翼を広げたルイツァーリが、『双翼魔弾』のパラドクスを放つ。
 怒りを秘めた二発の魔弾は狙いを寸分も過たず、最後に残った魔女たちの眉間を兜もろとも打ち砕き、
『ぐ……っ――!!』
 その一撃をとどめに斃れた魔女たちは、最後の息を吐き切ると、復讐心に満ちた生を終えるのだった。

「戦果は十分だ。皆、撤退しよう」
 エトヴァの言葉を鶴の一声に、復讐者たちは退却を開始した。
 ジェヴォーダンの獣を全滅させた今、無用な長居はリスクとなる。幸い重傷者はゼロで、行動に支障は無い。
 無双馬に跨ったルイツァーリと頼門が先導を務める中、ユオは殿を全力で駆ける。仲間の援護と残留効果の支援もあって、戦いの傷が想定よりも浅く済んだのは嬉しい誤算だった。
「話に聞く通りの戦意でしたな。今回の戦果が、本番の勝利に繋がることを願うばかりです」
「ああ。絶対に、負けられん」
 同じく殿を務めるゼキが、離れ行く戦場を振り返る。
 増援部隊は未だ遠く、この分なら振り切ることは容易だ。魔女たちへの最後の置き土産に、ゼキは大声で叫ぶ。
「またなァ、正義のヒーローども!」
 魔女勢力と雌雄を決する奪還戦、その幕開けは間近に迫っている。
 黒い正義を掲げる魔女との決戦で、勝利するのは自分たち復讐者だ――その決意を胸に、5人は帰還を果たすのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2025年04月16日