盤面上の差し手(作者 西灰三)
#火刑戦旗ラ・ピュセル
#ブルゴーニュ北部掃討作戦
#多方面同時攻略作戦
#ブルゴーニュ地方
⊕
●
「ドンレミ村で海鳥提督シャルル・ド・ラ・ゼルダを撃破したことでブルゴーニュ北部のキマイラウィッチは大きく混乱しているらしい」
激しい戦いの続く火刑戦旗ラ・ピュセルでのブルゴーニュ北方の状況をアスアド・ガーメディー(人間のオークスレイヤー・g08920)が短く説明する。
「ドンレミ村は地理的にはディヴィジョン境界に近い、特に価値のない辺境集落だが断片の王『ジャンヌ・ダルク』の生誕の地故に何か特別な場所なのかもしれない。この敵の混乱の機を逃さずに、キマイラウィッチの部隊を可能な限り掃討し敵戦力の撃破をしてくれ」
そのような事ができるのはどのように敵が混乱しているのかが分かれば理解できる。
「ブルゴーニュ北部のウィッチキマイラ……魔女化したクロノヴェーダ達はなぜかドンレミ村を放置して撤退する事に迷いがあるからだ。戦略的に見れば一時撤退するのが正しいにも関わらずだ。それ故複数の意見が交錯し方針が定まらない混乱を起こしている」
敵の方針の足並みが揃っていない以上、ディアボロスにとっては千載一遇のチャンスと見ていい。
「その場に留まろうとする者、ドンレミ村に向かおうとする者、撤退の準備を始める者、部隊の中でまとまってすらいない。この機会を逃す訳にはいかない、尤も俺達との戦闘となれば復讐心によって高い戦闘力を発揮し始めるので油断は禁物だが」
そしてこの時先案内人が送る先にいるのは魔女化したヴァンパイアノーブル達の部隊のようだ。
「混乱するトループス級と迷いで指示を決められないアヴァタール級がいる。その迷いの理由も分からないようだが、彼奴らには迷っている間に滅んでもらうのがいいだろう」
この期に及んで残しておく意味もない。
「元々ドンレミ村周辺地域は完全に孤立しているためディアボロスにとって維持する意義はあまりなかった。しかし周囲の掃討作戦を行うことで勢力圏を広げるならば話は別になる」
キマイラウィッチとしては自領地が減る事は避けたいはずだ、しかしそれをできない状況がある。
「敵が本腰を入れて奪還できないのは、俺達が現在ラ・ピュセルの各方面で大攻勢をかけているからだ。故に敵も戦力配分を上手く行えないでいる。そうでなければこのような大胆な作戦は打てなかっただろう。全てが上手くいけばラ・ピュセルに於けるディアボロスの勢力圏を一気に広げ、敵に圧力をかけられるだろう」
だがこれは諸刃の剣でもある。
「……この手の多方向からの進行は一度足を止める事があれば、そのまま敵の反撃を受けて各個撃破される可能性が高い。イスカンダルもヤ・ウマトもそのような側面があった。俺達は奴らの轍を踏んではならない、そうさせない為には今後の攻略旅団の作戦が重要となるだろう。それではよろしく頼む」
●
「早くここを脱出しましょうよ、こんな所にいても仕方ないでしょう」
「いいえ、ドンレミ村に行きましょう。本隊に合流するよりはそちらの方がいいわ」
「まだ迷っているの? 私としてはここに留まるのはやぶさかではないけれど、指揮官としてのあなたがそのような調子では困るわ」
トループス級の踊り子達が口々に上司であるアレクサンドル・アレヒンに言葉を投げかける。彼女たちの言葉を耳にしながらも椅子に座ったままのアレヒンは渋面を浮かべたまま押し黙っている。
(「……判断材料が少なすぎる。我々に迷いを押し付けている時点でイニシアチブは握られていると見ていいだろうが」)
確かに撤退が最善の手であると彼も理解はしている、しかし部下の意思や撤退に合わせての襲撃も十分に考えられる。その迷いの中にいる事自体が自分たちが王手の一歩手前である事を不幸な事に彼は察してしまった。
「……近い内に襲撃があるのは確実だ。いつでも戦えるように」
確実な指示はそれだけ、長考できる程の時間も残されてはいないかもしれない。彼がブルゴーニュで喉を潤すワインは、酷く苦い味がした。
リプレイ
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
ドンレミ村に何があるのでしょうね
復讐以外に興味が無いように見える魔女にしては、不思議な行動のような…
この一帯を掃討できたら、村の調査もしてみたいものです
その為にも、まずはお仕事といきましょう
部隊長は冷静な様子ですから配下が混乱している間に奇襲をかけるのが良さそうです
敵を発見次第、攻撃開始です
宙に展開した鍵盤で「隼」を演奏
空から舞踏手達を強襲せよと指揮します
囲まれないように、一撃入れたら即移動し
可能なら仲間と声を掛け合い、体力の低い者から各個撃破で数を減らします
ヴァンパイアノーブルも魔女化の餌食ですか…
アルタン・ウルクのように直接食らっていないというだけで、キマイラウィッチの復讐による魔女化も大概ですね…
反撃には守護の青薔薇を展開、蹴り攻撃を受け流し、急所たる指は守ります
復讐に滾るなら、思う存分向かってくるがいい
方針に迷った末、通りすがりのディアボロスに統率も無いまま戦闘を挑むなど愚の骨頂
冷静さを取り戻す前に全て倒してしまいましょう
残るは貴方のみ
さあ、始めましょう
●
(「ドンレミ村に何があるのでしょうね」)
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は思う。思えばここを支配していたシャルル・ド・ラゼンダも自身がいる理由については不明瞭な所があった。そしてこの場で右往左往しているトループス級達にも似たような部分がある。
(「復讐以外に興味が無いように見える魔女にしては、不思議な行動のような………この一帯を掃討できたら、村の調査もしてみたいものです」)
それが行えるのはこの地に残るクロノヴェーダ達を掃討してからというのは彼自身が一番理解している所だ。
「その為にも、まずはお仕事といきましょう」
歩を進めていた彼の視界に未だ喧々諤々と言い争っている魔女化したヴァンパイアノーブル達の姿が入り、様子を窺うためにそっと物陰に隠れるソレイユ。
(「ヴァンパイアノーブルも魔女化の餌食ですか……アルタン・ウルクのように直接食らっていないというだけで、キマイラウィッチの復讐による魔女化も大概ですね……」)
聞くところによれば魔女化した妖怪……平安鬼妖地獄変から流れ着いた個体もいるらしい。大分時間が経っているとは言え随分と遠いところから来たものだ。ともかくそれ程言える程度に敵種族の幅が広い。
(「……おっと、考えごとをしていないで始めてしまいましょう」)
鍵盤を展開しそれらを小刻みに弾き盛り上がるような曲が生じる。
「飛翔せよ、翼の主よ」
アップテンポで爽やかなその即興曲に呼ばれた隼が天高く飛び上がり、曲の最高潮の所から真っすぐに敵陣に飛び込み敵を切り刻む。
「て、敵襲!?」
「ほら、言ったでしょう! 守るべきだって!」
彼の姿に気づいた踊り子たちが反撃の為に近づいてくるが、文字通り足並みが揃っていないようで連携が取れていない。踊り子にも関わらずソレイユの演奏に合わせようとするアドリブもできていない。
「そんな有様では舞台に立つことすら覚束ないですよ。もっとももうその機会は与えませんが」
彼女達の乱れに合わせるような運指を行い敵を撃破するソレイユ。そして最後の敵を討った瞬間に現れたアヴァタール級を見て彼は言う。
「残るは貴方のみ。さあ、始めましょう」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
陳・桂菓
(トレインチケット)
●
「残党狩りか」
既に襲撃を受けて混乱している敵の魔女化ヴァンパイアノーブル達。そもそも陳・桂菓(如蚩尤・g02534)が話を聞く限り、ディアボロスによる襲撃を受ける前から方針の違いで纏まっていなかったらしい。
「張り合いには欠けるが、これも戦場ではありうることか、だが油断もできまい。行くぞ!」
得物を持ち混乱する敵陣の中に突撃する桂菓。それはまるで燃え盛る鳳凰のごとくであり、不意を突かれた敵が次々と吹き飛ぶ。
「こちらからも!?」
「ここで倒れる訳には行かないのに!」
突撃してきた彼女を食い止めんと掴みかかるヴァンパイアノーブル達。もし彼女たちが十全ならば、そのまま血を貪られそれなりの痛手を受けていただろう。しかし。
「その程度でこの私を止められると思うな!」
裂帛の叫びとともに武器を振るい彼女たちを弾き飛ばし、そのまま追撃して止めを刺していく桂菓。彼女が当初感じていたように、そこにあまり手ごたえはない。しかしそれでも勝敗が決するのが戦いの常だ。
「このまま全て蹴散らさせてもらうぞ!」
その言葉の通りこの場にいたトループス級は程なくして全滅する。残すはこれを束ねていた指揮官のみだ。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【乗物改造】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
ラ・ピュッセルでもこんな辺境、かつ微妙な状況の場所への配属となったのは少し同情はします
とはいえ、大地奪還の手を緩める事はできませんから
己の不運と割り切って倒されてください
理不尽を突きつけているのは分かっておりますが、人生とは理不尽なものです
宙に展開した鍵盤で「福音」を演奏
聖なる光を剣と束ね、邪悪なる敵を刺し貫けと指揮します
仲間と攻撃タイミングを合わせ、挟撃になるように立ち向かいます
撤退を警戒し、常に隙が無いように仲間と間髪入れず攻め続けましょう
万一を許してキャスリングなどされては困りますから
魔女の復讐に喰われてしまうとは、ヴァンパイアノーブルも墜ちたものですね
鮮血より復讐の方が貴方の口には合いましたか?
背を向けてもいいですが、ディアボロスと相対してたのに復讐を果たす事無く逃げたとなれば、貴方の魔女としての立場がどうなるか…
楽しみですね
反撃には守護の青薔薇を展開し、指だけは護ります
多少の傷は必要経費です
この演奏と血は、冥府への餞
今は亡き主君が待っていますよ
●
「……やはり来てしまったか」
アレクサンドル・アレヒンが部下達の混乱を収めようと現れた所にはソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)、つまりディアボロスがいる。つまりトループス級が全て突破されたという事だとアレヒンは即座に悟った。
「話が早くて助かります。……ラピュセルでもこんな辺境、かつ微妙な状況への配属となったのは同情はします。それだけ棋譜を読み込む暇があったという事でしょうか」
「そうでもない。精々が葡萄酒の瓶を数本開けた程度だ。それ以外は概ね共に流れ着いた部下の面倒を見ていただけだ。世間話はこれくらいでいいか?」
「ええ、大地奪還の手を緩める事はできませんから。己の不運と割り切って倒されてください」
「運の話をここでされるのはぞっとしないな」
「理不尽を突きつけているのは分かっておりますが、人生とは理不尽なものです。盤面程に単純な作りなら目もあったのでしょうが」
「ピアノの鍵盤とて単純なものだろう。要は指を操る者の問題だ」
アレヒンは空中に赤い血のチェスピースを浮かべ、それに対してソレイユは空中に鍵盤を浮かべる。
「それでは始めよう」
「イニシアチブはこちらが握っていますよ」
ソレイユが軽やかに鍵盤を弾けば、音色に合わせて光の剣が生じアレヒンに向けて飛ぶ。対するアレヒンは即座にポーンを動かし、その剣が自分に届く前に防がせる。
「それにしても魔女の復讐に喰われてしまうとは、ヴァンパイアノーブルも墜ちたものですね。鮮血より復讐の方が貴方の口には合いましたか?」
「盤外戦術かね。あまり褒められた行為ではないが」
「背を向けてもいいですが、ディアボロスと相対してたのに復讐を果たす事無く逃げたとなれば、貴方の魔女としての立場がどうなるか……楽しみですね」
「仮にもグランドマスターの私をその程度で揺らがせられるとは思わない方がいい」
ナイトが跳び、ソレイユの指を狙う。そこを弁えていた光の剣がナイトを串刺しにして砕けた鮮血がソレイユの上から降り注ぎ、守護の青薔薇で守られた場所以外に傷をつけていく。
「失敬。万一を許してキャスリングなどをされては困ると考えたので」
「戦いの席に着いた以上それはできないのが我々のルールでね。貴様達の戦った中で途中で席を立つ可能性のあった者などそれほど多くないだろう」
「それもそうですね」
ソレイユがワンテンポ早めて打つ鍵盤の数を増やし、それが剣の本数にも現れてピースの防御を抜けてアレヒンの肩口に刺さる。
「この演奏と血は、冥府への餞。今は亡き主君が待っていますよ」
「ならばせめて勝利を記した棋譜程度は持ち帰りたいものだ。それに付き合ってもらおう」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
クロエ・アルニティコス
クロノヴェーダにおいて階級は絶対。
ジェネラル級がいればアヴァタール級同士の争いなど発生しません。意見が違おうと従うしかないのですから。
つまり、ここには先に撃破した海鳥提督を除きジェネラル級はいない……これもオルレアンなど各地で攻撃を仕掛けている成果ですね。
この機を逃す理由はありません。
お前にはここで死んでもらいます。
【ピュートーン・ヒアシンス】を使用し、ピュートーンを象った植物の怪物を作り出します。
ピュートーンの蛇体による巻付きで敵を締め上げましょう。
ピュートーンに道を開かせ、チェスの駒による包囲の突破を図ります。それも読まれていたとしても、一番突破しやすいのがここであることには変わりありません。迷わず突破を。
判断を迷う場面であっても、迷って状況が好転することはありません。私は迷いません。お前はどうか知りませんが。
チェスの包囲を抜けたら再びピュートーンによる締め上げ、そして食らいつきで攻撃を行います。
海鳥提督が撃破された段階ですでに詰んでいたと、そういうことです。
●
(「クロノヴェーダにおいて階級は絶対」)
迫りくるチェスの駒達を巨大な蛇状の植物で蹴散らしながらクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)はこのドンレミ村の現状の推定を行う。
(「ジェネラル級がいればアヴァタール級やトループス級同士の意見の争いなど発生しません。意見が違おうと従うしかないのですから」)
これはジェネラル級にはそのような役割を与えられている故である。単純に強いというだけではなく個々の地域や作戦の指揮権を持っているのがジェネラル級という存在だ。だがそれより下の階級で意見の乱れがあるとするのなら。
(「つまり、ここには先に撃破した海鳥提督を除きジェネラル級はいない……これもオルレアンなど各地で攻撃を仕掛けている成果ですね」)
ディアボロスの総数は概ねクロノヴェーダのそれと比べると多くはない、それでもこれまで勝利を収めてきたのは時先案内人による情報収集力とパラドクストレインによる機動力、それを組み合わせた戦力の集中を行ってきたからだ。対する火刑戦旗ラ・ピュセルも狭い領域ゆえのジェネラル級の限界もあるのだろう。
「お前達がここまで集まりこの僻地を抑えようとするのは、やはり地域一帯を抑えるためか。それとも何があるのかを知っているのか」
「答える必要はありません。そしてこの機を逃す必要もありません。お前にはここで死んでもらいます」
クロエの操る大蛇が敵の操る駒を弾き飛ばし、そのままアレヒンに体当たりを仕掛けて吹き飛ばす。
「くっ……!」
「判断を迷う場面であっても、迷って状況が好転することはありません。私は迷いません。お前はどうか知りませんが」
倒れたアレヒンに大蛇が巻き付き締め上げる、ミシミシと音を立てていくアレヒンだが何とか駒を操り飲まれる前に脱出する。
「やはり……」
「分かっていましたか。つまり海鳥提督が撃破された段階ですでに詰んでいたと、そういうことです」
アレヒンはクロエから向けられる事実上の死刑宣告を受けながらもアレヒンは立ち上がる。
「形勢が悪いのは理解している、しかしチェックメイトはまだかけられてないのでね」
「ではこのまま何も言えぬままに、終わるだけです。戦場は盤上ではありません」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【エイティーン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
救援機動力で合流し、参戦する
ブルゴーニュ北部の掃討まであと少し……油断せず、詰めきろう
合流先の味方に一礼
『聖地』は、魔女を惑わせ続けるな
備えは悪くなかったようだが……状況とは皮肉なものだな
アレクサンドル・アルヒン。ロマノフ王朝の亡霊よ、一局お相手願う
味方と連携できる場合は、包囲に近づける位置取りを
絵筆で漆黒の馬を駆る黄金の騎士を宙に描き出し、PD攻撃
敵の動きは常に観察しつつ把握し
動きを制限するよう、槍で打ち合い、突撃を仕掛け、ダメージを重ね
花咲き乱れる盤面に、俺の騎士が貴殿の騎士を破り、チェックをかけるだろう
好機を繋いだ先は、指し手へのチェックだ
ダメージアップを添え、戦場の勢いを増そう
敵の攻撃には、チェス駒の包囲に備え魔力障壁で全身を守るように防御
近づくものはSegenの魔力盾で打ち払うように護る
貴方も異国の地に漂着し、苦労したのだろう
この辺りで休まれるといい
混乱を狙う形になったが、戦果は悪くないのだろうな
この地の人々に、安寧を取り戻そう
●
(「ブルゴーニュ北部の掃討まであと少し……」)
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は追い詰めつつある敵を前にして逸る気を落ち着かせつつ武器である魔筆を握り自身の騎士を呼び出す。
(「……良くないな。油断せず詰めきろう」)
自身の精神を改める為に、彼は彼自身と相対する敵に言葉を投げかける。
「『聖地』は、魔女を惑わせ続けるな」
「そうだろうな。この局面の前から大局は決していたと認めざるをえない」
「備えは悪くなかったようだが、状況とは皮肉なものだな。アレクサンドル・アルヒン。ロマノフ王朝の亡霊よ、一局お相手願う」
「ガンビットに使うポーンすらない相手に酷な事だ。私自身もポーンになれているかどうか」
そもそもからしてこのドンレミ村付近に残っているキマイラウィッチ達は不利な状態である。だからと言ってアレヒンも簡単に倒れるわけには行かない。血のチェスピースを操り自身を囲むディアボロス達の猛攻を凌いでいる。だがそれにも限界はある。
「ナイトだけで良くやるものだ」
「俺の自慢の騎士でね。いずれ花咲き乱れる盤面に俺の騎士が貴殿の騎士を破り、チェックをかけるだろう」
「スティルメイトには持ち込みたいがね」
漆黒の馬に跨った黄金の騎士が赤い兵士達を蹴散らしていく。アレヒンにとっては三面打ちでありディアボロスたちのどの手が通っても決着が着いてしまう厳しい状況だ。
「持ち時間も僅かか、ならば」
追い詰められたアレヒンは防御を捨て瞬く間に駒を増やしディアボロス達にけしかける。このまま戦っていても押しつぶされると判断しての果敢な手である。しかし。
「悪いがその程度の動きならばこちらも慣れているのでね」
「だろうな。でなければ最初からお前たちがここに来ることは無かっただろう」
アレヒンの決死の反撃もエトヴァの纏う魔力の壁に阻まれ止まる。
「貴方も異国の地に漂着し、苦労したのだろう。この辺りで休まれるといい」
騎士の槍がアレヒンの胸に突き刺さり、魔女化したヴァンパイアノーブルをそのまま永久の眠りへとつかせる。その倒れる様を見遣り、そして周囲をエトヴァは見まわした。
「これでこの部隊は終わりか。混乱を狙う形になったが、戦果は悪くないのだろうな」
キマイラウィッチ達の混乱の理由は分からない。しかしブルゴーニュ北部を抑えるのにはまた一歩近づいたのは事実だ。
(「この地の人々に、安寧を取り戻そう」)
その先にあるであろう火刑戦旗ラ・ピュセルの趨勢を決める大きな戦い。その予感を胸にディアボロス達は帰還するのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!