リプレイ
一里塚・燐寧
もー、最後の直線でスパートかけたいとこなのにぃ~
どーやらこの辺りは巨獣にとっても走りやすい所みたいだねぇ
あの速さで走り回る奴らを放置して本丸だけ潰そうとすると、戦闘中に後ろから轢かれたり、一部が船を見つけちゃうかも?
あーゆー草食動物は眼が横についてて広い範囲が見えるって言うしねぇ
んまーその分距離感が掴みづらいらしいけど、逆接連鎖戦的には見られてること自体が問題
ここはみんな片付けちゃうのが逆に近道だと思うねぇ
ゼブラをさっさと片付けて皆の道を切り開くよぉ
ミウから少し離れた所で撃退できるのを活かして、敵の進行方向脇の草むらに身を隠しながら、駆け抜ける横からの不意打ちで仕留めよう
脚に向けて《テンペスト・レイザー》の刃を叩きつけ『呪式:異苦同怨』を発動!
巨大な回転鋸刃が肉を削ぎ骨を断ち切る傷を周囲の敵にも伝播させ、一斉に倒すよぉ
倒れ伏した敵の体が遮蔽物になったり 他の個体の進撃の邪魔になればなおよし!
反撃の稲妻を得物の分厚い刀身で防ぎながら、どんどん倒しちゃお!
どっちが強いか、白黒つけたげるよぉ!
無数の蹄が草原を叩き、地響きが大地を揺らす。
雷を纏い、炎を纏い、群れを成すのは巨獣たちの大集団だ。アヴァタール級『雷王鹿ドンネルク』に率いられ、我が物顔で草原を駆ける彼らは、停船するサフィーナ・ミウとの距離を着々と縮めつつあった。
『ブルルルルッッ!!』
進路を塞ぐ異物の存在に、先頭を駆ける『雷光馬ライトニングゼブラ』が怒りの嘶きを上げる。
道を譲らぬ不届き者には、彼らは一切の慈悲を示さない。邪魔な存在を蹂躙しようと速度を上げる中、その進路上には、ひとりの復讐者が虎視眈々と攻撃の機を窺っていた――。
「もー、最後の直線でスパートかけたいとこなのにぃ~」
接近する敵群を見澄まして、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が口を尖らせた。
彼女は今、草むらに身を隠しながら奇襲の好機を待っている。先頭の雷光馬を不意打ちで撃破し、それを皮切りに巨獣たちの群れを殲滅する――それが今回の方針だ。
「急がば回れって言うし。ここはみんな片付けちゃうのが、逆に近道だと思うねぇ」
初手で雷王鹿を狙う選択肢も無くは無いが、そうなれば手下の巨獣が横やりを入れて来ることは間違いない。喜望峰到達が目前の今、リスクは確実に排除したいところだ。
地響きの衝撃が一層強まる。草むらに潜む燐寧に、敵は未だ気づいていない。
気配を殺し、一瞬の機を窺う燐寧。やがて先頭の一体が十分に迫った次の刹那――彼女は鎖鋸剣『テンペスト・レイザー』を掲げ、雷光馬の群れに牙を剥いた。
「さぁ、さっさと片付けて道を切り開くよぉ!」
轟く地響きを切り裂いて、鎖鋸剣の回転刃が木霊する。
標的に選んだ雷光馬の脚部めがけ、燐寧が叩き込むのは呪詛と怨念を込めた斬撃だ。強烈な一撃に肉を削がれた勢いで先頭の個体が足並みを乱すと、その混乱はドミノ倒しのごとく、たちまち群れ全体に波及していった。
「どっちが強いか、白黒つけたげるよぉ!」
『ブルルルルッ!』
鎖鋸剣を構えて告げる燐寧に、雷の矢が勢いよく降り注ぐ。
疾走を阻んだ燐寧を、巨獣たちは最優先の排除目標と見做したようだった。だが、態勢を崩して放った反撃など、脅威からは程遠い。燐寧はすぐさま反撃を凌ぎ切ると、盾代わりに用いた鎖鋸剣を振り被り、再び攻撃に移っていく。
襲撃開始からさしたる時間も経たぬうち、雷光馬の群れは完全に態勢を崩していた。
先頭の個体が被弾して程なく、後続の巨獣たちの体が次々と傷を負い始めた為だ。燐寧が発動した『呪式:異苦同怨』は、刃を浴びせた相手に加え、周囲の敵も巻き込んで傷を与える。ダメージアップを帯びた一撃の威力は強烈で、足並みを乱した雷光馬たちに抗う手立ては最早無い。
『ブルルル……ッ!!』
一体、また一体、混乱のままに討ち取られていく雷光馬たち。
程なくして最後となった一体を狙い定め、燐寧は巨獣の血で染まった鎖鋸剣を振り被る。止まっている暇は無い。この戦いは言わば前哨戦、無用な時間をかけることは許されないのだ。
「一人だけ苦しいのは辛いでしょ? じゃ、みんなを苦しくしたげるよぉ!」
振り下ろした一撃が、雷光馬の命脈を断ち切る。
草原に響く断末魔の絶叫。地に斃れ伏す地響きが、最初の死闘の決着を告げた。
「ふぅっ。まずは一勝だねぇ」
奇襲からの速攻で雷光馬を全滅させると、燐寧は戦場の奥に視線を向ける。
続く火竜馬の元では、後続の復讐者たちが戦闘を始めようとしていた。この状況なら雷王鹿との決戦もすぐだろう――そう確信し、燐寧は次の敵を求めて走り出す。
「出航まで後少し。さぁ、一気に駆け抜けるよぉ!」
砂上船に迫る巨獣たちとの死闘。その初戦に勝利を収め、復讐者たちは次なる戦いに臨もうとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
月下部・小雪
あわ、あわわっ! 本当に巨獣さんの群れがこっちに来ています!
あんなのに巻き込まれたらサフィーナ・ミウが大怪我しちゃいます。
サフィーナ・ミウを守るためにもげ、迎撃に向かいましょう!
燐寧さんがシマウマさんをやってくれるみたいなので、
ボ、ボクとコダマはサラマンドホースさんを蹴散らしちゃいます!
【電気推進飛翔型モーラット・コミュ】になったコダマが
ライトニングゼブラさんの間をすり抜けてサラマンドホースさんに接敵です。
両手に持ったレーザー砲でサラマンドホースさんを撃ち抜いていきます。
ライトニングパックのコダマなら豪炎走で爆走するお馬さんにも追随できるはずです。
ま、まだまだお馬さんがいっぱいですが、この調子でやっつけていけばいつかは倒せるはずです。
※アドリブ連携大歓迎
呉鐘・承李
【アドリブ・連携歓迎】
どうやら、シマウマは一里塚が蹴散らしてくれるらしい。
なら、こっちの燃える馬は貰おうか。
護衛任務、の経験は少ないが殲滅戦ならさもありなん、だ。
さて、長い戦いになりそうだし、天照は温存しておきたい。
ここは薫風でサポートに回るとしよう。
一里塚が切り開いてくれた道を駆け抜け、コダマのやや後ろを追従しながら風の刃による支援を行う。
コダマが攻撃対象に定めたサラマンドホースの足を狙って攻撃。
レーザー砲で確実に刈り取れるようにダメージの蓄積と、駆けまわるサラマンドホースの足を少しでも止めて狙いをつけやすくするのが目的だ。
一里塚がこっちに追いつくまでに殲滅できていなければ、一里塚に何を言われるかわかったものじゃない。
気合を入れていくとしよう。
復讐者の奇襲が奏功したことで、雷光馬の集団は早くも排除された。
予期せぬ襲撃を受けた巨獣たちは、しかし未だ足を止めようとはしない。全身を炎で覆う『火竜馬サラマンドホース』たちは護衛となって雷王鹿の周囲を固めると、雷光馬に代わって群れの先頭へ躍り出る。
『ブオオオオオオォォッ!!』
自分たちを阻む者は、何人たりとも許さない――そんな怒りを込めた嘶きと共に、速度を上げんとする火竜馬たち。
だが、その試みは未だ実を結ぶことは無かった。彼らの進路を塞ぐように、新たな復讐者たちが駆け付けたからだ。
「あわ、あわわっ! 本当に巨獣さんの群れがこっちに来ています!」
草原を踏みしめた月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)の口から、驚愕の声が洩れる。
赤熱する巨躯を誇る巨獣の群れが、彼女の前方から群れを成して迫りつつあった。炎を操る危険な火竜馬たち――統率者の雷王鹿ともども、彼らの蹂躙を受ければ砂上船は一たまりも無いだろう。モーラット・コミュのコダマを連れて、小雪は急ぎ迎撃に動き出す。
「今ならまだ、食い止められます! サラマンドホースさんを、蹴散らしちゃいましょう!」
「ああ、賛成だ。シマウマの方は、一里塚が蹴散らしてくれたようだしな」
頼もしい頷きを返し、呉鐘・承李(剣鬼・g06193)が小雪に続く。
群れの外周を為す雷光馬は一足先に全滅しており、その際の戦闘で生じた混乱は、火竜馬の集団にも及んでいた。敵が完全に体勢を立て直す前に、今は一気呵成に攻撃を仕掛ける時――たとえ言葉には出さずとも、戦いの流れを彼ら復讐者が見誤ることは無い。
「護衛任務の経験は少ないが、殲滅戦ならさもありなん、だ。こっちの燃える馬は貰おうか」
今は一秒でも早く、巨獣たちを排除する時。
戦闘態勢を瞬時に整えて、承李は小雪と共に火竜馬との戦いに臨む。
熱気を帯びた戦場の空気に、一陣の風が唸りを上げる。
その源は、承李が抜き放った精霊刀『薫風』が帯びた風の力だ。愛用の刀を構えて敵へと疾駆しながら、承李は前方を進む小雪とコダマに合図を送った。
「俺はサポートに回る。思い切り暴れてくれ」
「分かりました! 行きましょう、コダマ!」
「もっきゅー!」
頷きを返し、承李に背中を預けると、小雪は『電気推進飛翔型モーラット・コミュ』を発動する。
フライトユニットを装備し、ふわりと宙に浮きあがるコダマ。次の刹那、ユニットに内蔵された電気推進システムで一気に加速を果たすと、二門のレーザー砲が開戦の狼煙を上げた。
「攻撃開始、です。どんどん敵を撃ち落としていって、ください!」
眩い閃光が、ゴンドワナの草原を蹂躙する。
ダメージアップを重ねた砲撃は雷を上回る絶大な威力を秘めて、火竜馬たちの集団に次々と着弾。命中した個体を、跡形も無く吹き飛ばし始めた。雷光馬が全滅した今、加速を止める巨獣はおらず、コダマが両手に構えるレーザー砲の砲撃は更なる猛攻となって敵群に降り注ぐ。
『ブオォッ!!』『ブオオオォォッ!!』
対する火竜馬も負けてはいない。降り注ぐレーザー光を掻い潜り、斃れていく同胞の屍を踏み越えて、反撃とばかり猛烈な疾走を浴びせて来た。その全身から溢れる炎はたちまち周囲に燃え広がり、小雪の身を容赦なく焼いていく。肌から走る火傷の痛みに耐えて、小雪は敵を睨みつけた。
「こ、このくらいで、ボクたちは負けません!」
「そういうことだ。ディアボロスの覚悟、甘く見るなよ」
執拗に食い下がる火竜馬の足目掛けて暴風の刀身を振るい、承李が告げる。
退けない理由があるのは、巨獣たちだけではないのだ。力による決着を望むなら、全力で受けて立つのみ。息の合った連携で支援を続行しながら、承李は小雪と共に火竜馬たちを着々と撃破していった。
それから暫し逆説連鎖戦が続いたところで、復讐者たちは次第に優勢を得始めた。
多数の標的を狙える小雪とコダマを先頭に、残留効果によって威力を底上げ。更には戦闘の役割分担を明確にしたことで、二人の攻勢は留まるところを知らず、火竜馬たちを更に蹴散らしていく。
『ブオオオオッ!』
「に、逃がしません! コダマ、攻撃です!」
強引に突破を図る個体がいれば、ライトニングパックで加速したコダマが最優先で撃破した。
火竜馬たちの疾駆が齎す炎は未だ健在だが、それに怯む復讐者ではない。小雪とコダマが派手に攻め、討ち漏らしが出れば承李が援護攻撃で確実に排除していく。気づけば戦場には火竜馬の屍が山と転がり、残る個体はあと僅かのところまで減っている状況だった。
「さて、そろそろ終わりにしようか。あまり手間取っていては、一里塚に合わせる顔が無いからな!」
決着をつける決意を胸に、承李が『薫風の太刀-暴風』を発動する。
薫風より解放された暴風はパラドクスで一振りの刀身に変じ、その刃で火竜馬たちを狙い定めた。いかに俊足を誇る巨獣であろうと、避けることは叶わない。草原を駆け抜ける風を浴びずに済む術を、何者も持ち得ないのと同じように。
「あかしま流……秘奥、十の型。――暴風」
唸りを上げた風が刃となって、火竜馬たちを斬り伏せる。
大きく、鋭く、疾い一閃。
その一撃が役目を終えてゴンドワナの大地に溶けた後、燃え盛る巨獣たちの姿は、もはや一体も残されていなかった。
「……よし、これでトループス級は全部片づけたな」
役目を果たした薫風を鞘に収め、承李は戦場となった草原を見渡した。
火竜馬が齎した炎は残らず消えて、大地を突き進んだ巨獣の群れも過去のものだ。これで後は、統率者である雷王鹿を撃破すれば脅威は完全に排除されるだろう。
「いよいよ親玉との決戦か。気合を入れて行くぜ!」
「そうですね。最後まで、頑張りましょう!」
「もきゅ!」
救援機動力で駆けて来る仲間の足音を聞きながら、小雪は再びコダマと共に戦闘態勢を取った。
長い旅路を共にしてきた砂上船を守り抜く為にも、この決戦に負ける訳には行かない。戦意を露わに身構える巨獣を前に、小雪は臆さずに告げる。
「退く気が無いなら……手加減はしません! 覚悟して、下さい!」
ゴンドワナの草原に、青い雷が走る。
雷王鹿との避けられぬ決戦を前に、復讐者たちは次々に戦闘態勢を取り始めた。
この戦いを勝利で締め括り、そして――彼方の地に待つ喜望峰の地へと辿り着く為に。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
最終人類史の喜望峰の近くは動物が多いけどゴンドワナでも巨獣が多いんだね。
今回は四足歩行系ばかりだから大移動に巻き込まれたら、サフィーナ・ミウもボロボロにされちゃってたよね。
幸いな事に取り巻きは皆が片付けてくれたからボスのドンネルクをぶっ飛ばそう。大物が居なくなれば暫くは静かになるだろうしね。
敵の突撃は衝撃と電撃の二段構えで厄介過ぎるね。先ずは【飛翔】の力を引き出して地形に左右されず素早く動ける様にしようか。
目の前を全速力で飛んで翻弄し注意を惹き付けよう。挑発していれば我慢出来ずに角で突き上げて来るだろうから其処がチャンス。
身に纏った『主の加護』を全力で放出して電撃と相殺し
【ダメージアップ】を引き出して目の前に迫る立派な角を鉄拳である【ペトロの殉教】で殴り飛ばそう。その衝撃が角を伝わって頭部に届けばまともには動けなくなるよね。
隙となる時間を作り出せば皆が止めを刺してくれるだろうしね。
生憎だけど目的地の喜望峰は近いんだからキミ達巨獣に時間を裂く余裕は無いんだよ。
砂上船を襲う巨樹たちとの戦いが繰り広げられる、ゴンドワナの草原にて。
復讐者たちは、そこに只一体残された巨獣と対峙していた。青き雷を身に纏う『雷王鹿ドンネルク』――群れを率いていたアヴァタール級の個体である。
『グルルルゥゥ
……!!』
雷王鹿の眼には、今や強い怒りの色が宿っていた。
配下の悉くを討たれ、統率者の誇りを傷つけられた彼にとって、下がる選択肢など元より無い。殺意を帯びた嘶きを洩らす巨獣を前に、今、最後の決戦が幕を開ける――。
「いやはや……この辺りはゴンドワナでも巨獣が多いんだね」
砂上船を狙った巨獣たちへの驚きを込めて、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は呟いた。
既にその身は『主の加護』で障壁のごとく守りを固め、臨戦態勢を取っている。対峙している雷王鹿とは、いつでも戦いを始められる状態だ。
「巨獣たちの大移動に巻き込まれてたら、流石のサフィーナ・ミウも少し危なかったね。……取り巻きは皆が片付けてくれたみたいだし、イロハは大物をぶっ飛ばさせて貰うよ」
炎に雷にと騒音甚だしい巨獣たちだったが、群れのボスを倒せばそれも終わる。
どこまでも冷静な声に、昂揚の色は一切なく――喜望峰への道程を阻む脅威を排除する為、イロハはその身を飛翔で宙へと浮き上がらせた。
「さあ、時間も惜しい。速攻で行くよ」
言い終えると同時、飛翔したイロハが雷王鹿へ肉薄する。
巨獣の巨躯を越えない高度を保ち、彼女が狙うのは敵への挑発だった。
標的の視界を遮るように羽虫の如く巧みに飛び回ること数秒、果たしてイロハを帯電の突撃が襲う。体当たりと雷、更には角の突き上げで、衝撃と雷撃の多段攻撃を浴びせる気らしい。
『グルルゥゥッ!!』
「――かかったね。イロハの狙い通りだ」
体当たりが命中するかに思えた刹那、巨獣の角を強烈な衝撃が揺さぶった。
それは、イロハが発動した『ペトロの殉教』――勇気と信仰で鍛えた拳を、パラドクスを秘めて叩き込む必殺の一撃だ。
「聖なるかな。海に金の冠を投げ捨て すべての聖徒はあなたを崇めます」
狙いすました拳が、雷を纏った角を強かに叩く。
ダメージアップを秘めた一撃は常よりも更に威力を増して、激しい衝撃を帯びて雷王鹿へと直撃した。イロハの拳が与えた力は角を伝って巨獣の頭蓋を揺らし、そこに収まる諸々の器官に著しい衝撃を齎す。平衡感覚が乱され、雷王鹿が洩らすのは苦悶の呻きだ。
『グルルゥ!』
「おっと! ……残念、そう簡単には負けないよ」
刹那遅れて叩きつけられる衝撃と電撃を主の加護で受けると、イロハは草原へ軽々と着地する。
受けたダメージは軽微だ。五体の痺れと痛みを信仰心で上書きし、尚も雷王鹿の前に立つイロハの眼に迷いは無い。たとえ自分が与えた傷は、続く仲間たちの有利に繋がる――それを彼女は知っているからだ。
「生憎だけど、ここで時間を裂く余裕は無いんだ。喜望峰は近いんだからね!」
長き旅路の終着点はもう目前。故に立ち止まっている時間などは無い。
砂上船の目指す先へ、今こそ辿り着く為。青き雷の巨獣を前に、復讐者たちは更なる攻勢をかけていく――。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
呉鐘・承李
【アドリブ・連携歓迎】
さぁ、残るは大将戦。
ドンネルク、その首――貰い受ける。
今度は温存は無しだ、最初からフルスロットルで行かせてもらう。
残火を抜刀、次いで解心。
天照の力を解き放つ。
常に味方とドンネルクを挟む位置を取り、味方の方を向くようであればその後ろ脚を切りつけ、こちらを向くようであれば攻撃を天照の腹で逸らし、そのまま頭目掛けて振り下ろす。
体力を削ることと仲間のアシストを意識し、遊撃手としての立ち回りを意識する。
ドンネルクの角にエネルギーが収束し始めれば、それに呼応するように天照の熱量を上げて真っ向から迎え撃つ。
摂氏一億二千万度、天地開闢に等しいこの一撃と――草原を駆ける蒼き雷、どちらが上か……試させてもらおう
一里塚・燐寧
こいつが喜望峰の前に立ち塞がる最後の門番ってやつだねぇ
あそこにアビスローバーがいるとすると、キングゴンドワナを殺る前になんとかしなきゃエルドラードに取られちゃうかもしんない
フルスロットルで間に合わせるよぉ!
敵に走って接近し、懐に入ろうとする……と見せかけよう
そしたら相手は角を使った攻撃であたしを追い払うために、頭を地面の高さまで下げるかも
そうなったら狙い目だよぉ!
『絶技:界を絶つ巨剣』で《テンペスト・レイザー》を超巨大化し、威力とリーチを激増
敵の頭に向けて渾身の力で得物を振り下ろし、自分から差し出してくれた脳天に兜割りをブチこむ!
叩きつける刀身の巨大な質量で角と頭蓋を粉砕し、頭の中身を回転鋸刃で削り斬るっ!
エジプトからずっと一緒に走ってきたサフィーナ・ミウ……その道を、何度だって切り開くよぉ!
幸い、周囲の敵は全滅してる
地を跳ねる稲妻の直撃を低空・短時間の【飛翔】で躱す分には問題ないはずだねぇ
ま、きつそうなら得物を地に刺して壁にしよう
これで邪魔者はいなくなったねぇ
さぁ、走り抜けちゃおっか!
月下部・小雪
馬・馬・馬だと思っていたら、馬・馬・鹿でした。うまうましか、です。
い、いえ、最近、ちょっとアホの子な巨獣さんと戦っていたので、こっちはおバカさんじゃない、ですよね?
ドンネルクさんは電撃が得意みたいですが、電撃の扱いならコダマも負けていません!
けど、わざわざ相手の得意なフィールドで戦うだけが能じゃありません!
多才なこともコダマの強みです!
【収束太陽光砲台型モーラット・コミュ】になったコダマがみんなが戦っている間にエネルギーをチャージです。
ゴンドワナの元気な太陽の光を浴びてエネルギー充填120%です。
ドンネルクさんのライトニングカノンにも負けない、ごくぶとのビームを発射、しちゃいます。
や、やったでしょうか?
これで草原を闊歩していた巨獣さんはやっつけたはずなのでサフィーナ・ミウの邪魔するのはいなくなったはず、です!
※アドリブ連携大歓迎
広大な大草原でパラドクスの攻防を繰り返しながら、雷王鹿との戦いは正念場を迎えようとしていた。
配下たちを残らず討たれ、更には先頭で手傷を負い、かの巨獣は今や窮地に陥りつつある。群れを率いる者の誇りを賭けて抵抗する彼に対し、復讐者の攻勢はいよいよ熾烈だ。
この戦いを制すれば、後は喜望峰へと向かうのみ。巨大砂上船サフィーナ・ミウを終着点へと導く為、復讐者たちは全力で雷王鹿へと挑んでいく。
「さぁ、残るは大将戦。ドンネルク、その首――貰い受ける」
護衛の火竜馬たちを討ち果たし、呉鐘・承李(剣鬼・g06193)は雷王鹿に向かって告げた。
敵は既に手負いだが、油断する気など更々無い。戦において慢心は命取りに繋がり兼ねず、ましてや相手は追い詰められたアヴァタール級の巨獣なのだ。
持てる余力を全て注ぐ――そんな決意を示すように、承李は精霊刀『残火』を抜刀。天照の力を解き放つ。
「喜望峰への道を拓く為にも、負けられん。全力で行くぞ」
「そうしましょう! 勝つのはボクたち、です!」
承李の意思を示すように、残火の焼け焦げた刀身に灼熱の力が宿る。その横で月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は頷くと、対峙する雷王鹿をコダマと共に見遣った。
「馬・馬・馬だと思っていたら、馬・馬・鹿でした。うまうましか、です」
「もきゅもきゅ、もきゅ!」
敵は傷こそ重ねているが、身に帯びた威厳は未だ損なわれていない。
小雪ら人類にこそ知性は及ばないが、その振舞いには復讐者の抹殺を目論む強固な意志が感じられた。どうやら、並行して進めている作戦で戦っていたアホの子巨獣とは違うらしい――そう判断した小雪は、改めて気を引き締める。
「皆さん、宜しくお願いします! え、援護はボクとコダマに任せて、下さい!」
戦いを勝利に導く為、戦闘態勢を整える小雪。
その言葉に心を奮い立たせ、仲間たちは雷王鹿との距離を着々と詰めていく。
今回の戦闘において、復讐者は遠距離攻撃と接近攻撃の二手に分かれて戦闘を進める方針を取っていた。
前者を担当する小雪とコダマは、後方から仲間を支援。
後者を担当する承李と一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は、小雪の援護を受けながら二人がかりで雷王鹿を多方向から攻撃。敵の体力を削り、そのまま最後の一撃を叩き込むという流れである。
「じ、準備OK、です!」
「こちらも準備完了だ。いつでも行ける」
「了解だよぉ。それじゃ、さっさと片付けちゃおうかぁ!」
雷光馬との戦闘に引き続き、燐寧は鎖鋸剣『テンペスト・レイザー』を得物に構えると、雷王鹿と真正面から対峙する。
青雷を帯びる堂々たる巨躯――その雄姿は復讐者にとって、喜望峰の前に立ち塞がる最後の門番と同義だった。この死闘を制した先の未来に思いを巡らせながら、燐寧は闘志を燃え立たせていく。
(「喜望峰にアビスローバーがいるとすると、早いうちに何とかしなきゃね」)
断片の王『最強巨獣キングゴンドワナ』との決戦は、もはや目前に迫りつつある。かの王を倒す前に対策を練らなければ、エルドラードが喜望峰を強奪する可能性も考えられた。探索を終えた先に待つであろう新たな戦――それを見据えるように、燐寧の双眸にクロノヴェーダへの怒りが宿る。
「よぉし、フルスロットルで間に合わせるよぉ!」
邪魔する者は、何者であろうと斬り伏せるのみ。
回転を開始する刃を構えた燐寧を筆頭に、復讐者たちは戦いの火蓋を叩き切った。
炎刃と鎖鋸。二人の復讐者が互いに得物を構え、雷王鹿めがけて疾駆していく。
標的との距離が見る間に縮まる中、雷で弾ける空気の衝撃が承李と燐寧を叩いた。見上げる先、雷王鹿の巨大な角に稲妻の力が収束していく。パラドクスによる青雷で、復讐者を迎撃しようと言うのだろう。
『グルルルウウゥッ!!』
「ドンネルクさんは、電撃が得意みたいですね。でも、それならコダマも負けていません!」
迎撃態勢を取った雷王鹿を狙い、小雪が『収束太陽光砲台型モーラット・コミュ』を発動する。
巨大な砲身を2門装備したコダマが、砲門を展開。ソーラーパネルでフルチャージしたエネルギーを残らず込めると、敵の巨体を狙い定める。
相手の得意な舞台で戦うだけが能ではない、多才なこともコダマの強みだと小雪は胸を張って告げた。その証拠を今から、あの雷王鹿に示してやるとしよう。
「コダマ、一点集中狙い、です。クロスソーラーキャノン発射、です!」
「もきゅー!」
巨大砲身の砲口から、二条の光が放たれる。
螺旋状に絡み合う光の極太ビームは、回避も防御も許さない。ダメージアップを帯びた光は巨獣の巨体に命中し、その態勢を大きく崩させた。
『グルルゥゥ!!』
怒りを滾らせ、雷王鹿が稲妻の矛先を小雪へと変える。
反撃で発射された雷撃は強烈な火力を誇るパラドクスだが、その程度で止まる小雪とコダマではない。衝撃で草原の地面が吹き飛ぶ中、立ち込める土煙を突き破り、先行する二人の仲間たちに向かって叫ぶ。
「い、今がチャンス、です!」
応えるように、承李と燐寧が疾駆の速度を更に上げた。
小雪の砲撃で態勢を崩した雷王鹿めがけ、今こそ渾身の一撃を叩き込む為に――!
切り開かれた道を先頭で駆け抜けた承李は、即座に雷王鹿の側面へと回り込んだ。
続け様、燃え盛る天照の刃を以て、巨獣の後ろ脚を狙いながらダメージを蓄積させていく。今回の戦闘において、彼は遊撃を主とした立ち回りで戦うと決めているのだ。
「決定的な一撃を叩き込む機会が訪れるまで、まずは奴の体力を着実に削る!」
『グルルゥゥゥ!』
「あはっ、こっちだよぉ!」
稲妻のエネルギーを雷撃に変え、尚も荒れ狂う雷王鹿。燐寧はそこへ鎖鋸剣を構え、正面からのフェイントを交えた攻撃で更なる翻弄を巨獣に加えていく。逆説連鎖戦で飛び交う雷の攻撃は相応に厄介だが、それとて今の彼女を含む復讐者の勢いを止めるには至らない。
「エネルギー再充填完了です! コダマ、どんどん発射して下さい!」
「もきゅー!」
燐寧と承李を援護するように、後方からは尚も小雪のパラドクスで光の砲撃が降り注ぐ。
三人の息を合わせた猛攻は尚も衰えず、草原の覇者たる雷王鹿の体力を着々と削り取っていった。
それから更に攻防を続けること暫し、決定的な機が訪れた。
最初に動いたのは承李だった。雷王鹿の角に幾度目かの雷が収束を始めた刹那、僅かに生じた攻撃の隙。その瞬間を逃がすことなく、天照の炎が鮮やかな変化を生じる。
「天威に満ちて煌々と座し、地に充つ須くを照らせ。残火解心――天照」
青白い焔を纏う純白の大剣に変じたそれは、彼のパラドクスが生み出したもの。
『残火解心――天照』。彼の刀身は今や、この世界のあらゆるものを焼き尽くす熱を帯びて、ただ一体の巨獣を斬り捨てる為に存在していた。炎が齎す苦痛をダメージアップの怒りで塗り潰し、承李は今、全力の一撃を叩き込む。
「摂氏一億二千万度、天地開闢に等しいこの一撃と――草原を駆ける蒼き雷、どちらが上か……試させてもらおう!」
『グルルルルゥゥッ!!』
逆説連鎖戦の力で、承李が動いた先は雷王鹿の頭上だった。
巨獣の角に収束する稲妻のエネルギー。それに呼応するように天照の熱量を上げて、巨獣の眉間に炸裂した。身を焼く雷をねじ伏せて承李が振るう一閃は、そのまま巨獣の巨体を焼き焦がし、青い毛並みを炎で包み込んでいく。苦悶の呻きを上げて敵が態勢を崩した一瞬を、果たして彼は見逃さない。
「一里塚、今だ!」
「オッケー。とっておきの兜割り、ブチこんでやろうじゃん!」
承李に頷きをひとつ返し、燐寧の鎖鋸剣が天高く掲げられた。
『絶技:界を絶つ巨剣』の発動と同時、パラドクスの力で刀身が瞬く間に巨大化していく。クロノヴェーダの犠牲となった者たちの怨念を集積具現化させた刃の長さは、5m、10m――成長は尚も止まらない。そうして遂に、刃の先端が雷王鹿が見上げる程に超巨大化を遂げた次の刹那、
『グルル
……!?』
「エジプトからずっと一緒に走ってきたサフィーナ・ミウ……その道を、何度だって切り開くよぉ!」
命中アップの光に導かれ、渾身の力を秘め、燐寧は鎖鋸剣を振り下ろす。
馬鹿げた質量を帯びた刀身は雷王鹿の頭蓋を粉砕すると、そのまま勢いよく刃を回転。内部の臓器を滅茶苦茶に切り刻み、逃れようのない死を齎した。
「これで……終わりだよぉ!!」
断末魔を轟かせて絶命した雷王鹿が、そのまま炎に巻かれて炭化していく。
戦いは幕を下ろし、砂上船を襲う巨獣はもう居ない。蹄の音が絶えた草原に、勝利の快哉が高らかに響いた。
戦闘終了から程なく、脅威の去った草原を後に、復讐者たちは船旅の再開に動き出した。
周囲に巨獣の影は無く、航行を邪魔する障害も無い。このまま旅を続ければ、目的地の喜望峰に辿り着くのはそう遠くないことだろう。
「や、やったでしょうか? やりましたね!」
「ああ。俺たちの勝利だな、お疲れ様だ」
「おっつかれー! これで邪魔者はいなくなったよぉ!」
敢闘を称え合う小雪と承李に頷いて、燐寧は南西の方角を見遣る。
巨獣大陸ゴンドワナの南北を横断する旅も、終わりはもう目前だ。未踏の大地に待つ未知なる光景に期待を弾ませながら、燐寧は仲間たちを振り返った。
「さぁ、走り抜けちゃおっか!」
かくして復讐者たちを乗せて、砂上船は再び走り出す。
大草原の彼方、地平線の果てに待つ喜望峰を目指して――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV2になった!
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※マスターより
同時進行中のシナリオが完結したことにより、サフィーナ・ミウはリッチモンドの南西300㎞地点に移動しました。
これに伴い、選択肢①の出発地点は「オーツホーン(オウツフルン)付近」に変更されます。
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月下部・小雪
えへへ、ドンネルクさんを退治している間にオーツホーンまで移動させておいたので今回はここから、です。
喜望峰まで残り300km。こ、これが最後の第三次巨獣大陸調査です!
いつも通り、船体のチェックをしたら喜望峰に向けて出発進行です。
コダマ船長、最後の合図をお願い、します!(もきゅー!)
ゴンドワナの北から始まった巨獣大陸調査も今回で最終回ですね。
今までの思い出を思い出したりしてちょっとしんみり、しちゃいます。
マラウイ湖やカリバ峡谷、ヴィクトリア・フォールズとかもう少し調べてみたかったですね。
喜望峰の直前まで来たらアビスローバーの見張りがいないか周りの警戒を密にします。
停船させる時には物陰に隠して、見つからないようにカモフラージュとかした方がいいかもですね。
サフィーナ・ミウ、とっても長い冒険の旅、お疲れ様でした。
い、今はゆっくり休んで、またボク達の冒険のお手伝い、お願いしますね。
※アドリブ連携大歓迎
一里塚・燐寧
ネコ2世が集めたフェニキア人船乗り達も見たかもしれない、アフリカの南岸がすぐ間近にっ!
いやー、コーフンしちゃって仕方がないよぉ
でも、そろそろアビスローバーと出くわすかもしれない
ゴール目前こそ慎重にならなきゃねぇ
ここからはもう喜望峰方面に行くっきゃない!んだけどぉ……
喜望峰があるのは最終人類史のケープタウン
エルドラードの時代には既に白人の入植が始まってて、今じゃ南アフリカ共和国の首都だよぉ
敵の大規模拠点や監視塔があるパターンも警戒して【平穏結界】を展開しながら進もう
レベル1じゃミウの全面を覆えないなら、複数人の復讐者で立ち位置を分担
各人から広がる結界で全体をカバーするねぇ
道中で遠くに見える巨獣や普通の恐竜が不自然に少なくなってきたら、いよいよアビスローバーの領域が近いかもぉ……?
敵の様子やその拠点だけじゃなく、自然が切り開かれた痕跡にも注意
無策で敵地に突っ込まずに済むように、船を森や山(テーブルマウンテンってあったよね)の裏手に隠すべきかは常に考えるよぉ
大地の果てには、何があるのやら……?
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
進路:喜望峰
よし、第三次巨獣大陸調査も最後の冒険だね。今回はいつもより人が居るしチェックリストに従いサフィーナ・ミウの点検とクリーニングをしたら喜望峰へ出発しようか?
現在地点はオーツホーン……確か最終人類史だとダチョウ産業の街だよね。案外『駄鳥アホデンネン』がこの辺りに生息して居る理由なのかもね。
喜望峰へはもう遠くは無いから、時間が取られない様に姿が見える巨獣は刺激しない様に出来るだけ距離を取って先へ進もうか。
一番の懸念事項はアビスローパーのバルトロメウ・ディアスだよね。情報を得てから暫く経つし、既に喜望峰の辺りを海賊の港街とか、強固な要塞にしていてもおかしくないと思うんだよね。
いずれにせよ、砂上船の甲板で双眼鏡を使いながら、遠方へに何かが見えて来ないか警戒は怠らないようにしないと。人工物が見えて来たら敵に発見されないように距離を取って停船しないとね。長い巨獣大陸調査は終わったけど、イロハ達の冒険は此からもまだまだ続くんだから。
呉鐘・承李
【アドリブ・連携歓迎】
さて、文字通り乗りかかった船だ。最後まで見届けるとしようか。
飛翔を用いてサフィーナ・ミウの点検を手伝おう。海上船の知識ならば多少はあるが……サフィーナ・ミウについては素人だ、あくまで小雪達の補助に徹したほうがいいだろう。
コダマ船長の元気な掛け声を聞きながら、サフィーナ・ミウの中でもっとも開けていて高い場所に陣取る。
もう敵地も近いという、画竜点睛を欠く結果にならないよう周囲の警戒と偵察に努めよう。
なに、無駄に目と耳と第六感だけはいい自負がある。何かあれば気が付けるだろう。
……風が気持ちいいな。海風、だろうか。
――Cabo destoso、か。
Cabo da Boa Esperançaだなんて呼ばれているが、その実、嵐の海域だ。
バルトロメウ・ディアスが陣取っているのならば、その側面が強く出ている可能性もある。
無事に、辿り着ければ良いが……
敵影だけでなく、環境や天気の変化にも気を配ろう。
巨獣の気配が絶えたゴンドワナ南方の平原。その只中で、砂上船は静かに出航の時を待っていた。
目的地の喜望峰までは、いよいよ後僅かだ。カリバ峡谷より始まった合計8度に及ぶ船旅も、今回を最後に幕を下ろすこととなるだろう。
巨獣大陸の南端にある地には、果たして何が待っているのか。それを今こそ確かめる為、復讐者たちは最後の船出に向けた準備を進めていった。
「いよいよですね。とってもわくわく、しちゃいます!」
操舵室のドアを潜り、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は用意しておいたチェック用紙を手に声を弾ませた。昨年6月に始まった第三次探索作戦も、遂に今回で最後だ。一回分だけ残された最後のチェック欄を見ると、その想いは一層強くなる。
「喜望峰まで残り300km。き、気合が入りますね!」
「いよいよ最後の冒険だね……じゃ、いつもの始めようか」
小雪から用紙を受け取って、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は微笑みを返した。
出発前に船内チェックを行い、クリーニングで汚れを落とす……出発前のルーティンとなって久しい作業も、今回ばかりはどこか粛々とした空気が漂う。取り留めも無い会話に花を咲かせつつ、イロハと小雪は機器類に異常がないことを丹念に確認していった。
「現在地点はオーツホーン……確か最終人類史だとダチョウ産業の街だよね。案外、『駄鳥アホデンネン』がこの辺りに生息して居る理由なのかもね」
「ふふっ。可能性は、ありそうです!」
程なく船内のチェックが完了すると、後は外観チェックを残すのみとなった。
出発の予定時刻まで、あまり時間は無い。少し急ぎで進めた方が良いかと思いつつ船上の甲板に出ると、そこで二人が目にしたのは呉鐘・承李(剣鬼・g06193)の姿だった。
「外観チェック、やっておいたぜ。どこも異常なしだ」
飛翔の効果で船の周りを飛びながら、承李がサムズアップを送る。目立った行動で敵に発見されないよう、高度を最低限に維持することも忘れてはいない。心強い助力によってチェックリストが異常なしの印で埋まると、小雪とイロハは感謝の言葉を承李に送った。
「わわっ、ありがとうございます。とっても助かりました!」
「チェック完了、と。それじゃ戻ろうか」
かくして出発前の確認作業を完了すると、三人は操舵室に足を向ける。
準備が整い、後は移動中の分担を決めるのみ。出航の時が、いよいよ間近に迫っていた。
操舵室には、一枚の地図が張り出されていた。
そこに描かれた最終目的地――喜望峰の地を、確認作業を終えて戻った三人と一緒に眺める少女がいる。一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)であった。
「喜望峰……ネコ2世が集めたフェニキア人船乗りたちも見たかもしれない、アフリカの南岸がすぐ間近にっ!」
強い興奮を帯びた声で、燐寧が目を輝かせる。エジプトを魂の故郷に持つ彼女にとって、喜望峰は特別な意味を持つ地だ。そこに待つ光景を想像しただけでも、期待の高まりは天井を知らない。
とは言え、感動してばかりいられないのも事実だった。情報では、『バルトロメウ・ディアス』が喜望峰に到達したという情報が入っているからだ。それが齎された時期が8ヶ月ほど前であることを併せれば、かの土地がアビスローバーの一大拠点と化していても不思議ではない。道中の警戒は必須と言って良いだろう。
「とゆーわけで、あたしは警戒をやるよぉ」
「敵地も近いし、画竜点睛を欠く事態は避けたいからな。操縦は、誰がやる?」
「はいっ! ボクとコダマが、やります!」
「了解だよ。じゃ、警戒はイロハたち3人が担当するね」
戦いの時と変わらぬ阿吽の呼吸で、探索の分担は支障なく決定された。そうして最後に簡単な打合わせを幾つか終えると、いよいよ訪れた出航の時を前に、承李は胸を踊らせて言う。
「文字通り乗りかかった船だ、最後まで見届けさせて貰うぜ。皆、宜しく頼む!」
「イロハの方こそ。よろしくね」
「んふふ。じゃ、出発進行だねぇ!」
心を一つに、喜望峰への出発準備を終える復讐者たち。
やがて全員が各々の持ち場についたことを確認すると、舵を取った小雪は後方の船長席を振り返る。
「コダマ船長、最後の合図をお願い、します!」
「もきゅー!」
かくして――コダマ船長の声が響くと同時、舵がゆっくりと回り出す。
今こそ、最後の船出の時。喜望峰を目指して、サフィーナ・ミウはゆっくりと動き始めた。
復讐者たちを乗せた砂上船が、ゴンドワナの南端を目指して進んでいく。
山と谷に囲まれた周囲の景色は長閑なもので、クロノヴェーダの気配も全く無い。それらしい脅威は未だ見えず、船の行く手には豊かな自然がどこまでも広がっていた。
「……風が気持ちいいな。海風、だろうか」
船上をそよぐ温かい南風に、承李が頬を綻ばせた。
警戒で張り巡らせた彼の五感には、先程から穏やかな自然の気配だけが送られて来る。時折届く巨獣の咆哮は、船の現在地から遥かに遠く、それ以外に怪しいものは感じない。辺りには動物の群れが時折見て取れるのみで、敵の姿や拠点などは見て取れないままだ。
手元の伝声管からは時折、イロハや燐寧からの連絡が入って来る。いずれも異常の類は発見できず、周囲は至って平和だ。燐寧の提案で発動している平穏結界の効果も、少なからずあるのかもしれない。三人で船上の位置を分散させたことで、結界の範囲は満遍なく砂上船を覆っていた。
「このまま無事に辿り着けるといいんだけど。気は抜けないねぇ」
「ああ。バルトロメウ・ディアスのことだな」
燐寧の声に返事を返しつつ、承李は眉を寄せた。
かの海賊や配下たちは喜望峰を既に出発したのか、或いは今も留まっているのか。サント・マリー島の冥海機のように現地を放棄していれば上々だが、楽観は禁物だ。
「喜望峰……Cabo da Boa Esperança、か。確か最終人類史だと、ケープタウンにあるんだったか」
「そうそう。エルドラードの時代には白人の入植が始まってて、今じゃ南アフリカ共和国の首都だよぉ」
「ということは、海賊の港街とか、強固な要塞になってる可能性もある訳だね……」
承李と燐寧の会話に、横からイロハが加わる。
もしも喜望峰がアビスローバーの拠点と化していたら、相応に面倒なことになるだろう。小勢ならまだしも大規模な警戒網でも敷かれていれば、発見されるのは時間の問題だ。最悪、敵の大群から一斉攻撃を受けるといった事態もあり得るだけに、油断は出来ない。
「史実のバルトロメウは喜望峰を“Cabo destoso”――『嵐の岬』と呼んだらしいが……」
果たして彼の地で待つのは何なのだろうと、ふと承李は思う。
晴れ渡った空か、それとも荒れ狂う嵐か。波乱の気配も感じられない程に雲一つない青空の下を、4人の復讐者たちは尚も進んでいった。
オーツホーンを出発し、曲がりくねった道を進み続けること数時間。
周囲の景色は山々から密林地帯に変わり、砂上船は着々と目的地に近づきつつあった。やがて出発からちょうど良い時間が過ぎた頃合いで、燐寧が小休止を提案してきた。
「ここから先、何があるか分からないからねぇ。今のうちに準備しとこうよぉ」
遮蔽物の多い密林は、待ち伏せにも適した地形だ。喜望峰にアビスローバーの拠点がある可能性を踏まえれば、船が襲撃を受ける危険は更に高くなる。万が一に備えて撤退ポイントを選定しておこうという燐寧の提案に、他の仲間も揃って賛同の意を示した。
「厄介な敵が居ないことを願いたいが……状況は、常に最悪を想定して臨みたいからな」
「大群で襲って来るケースも考えられるしね。船を隠す場所を用意しておくのは悪くないと思う」
「一時撤退も視野に入れる、ということですね。き、緊張します」
かくして4人は、緊急時の準備を急ぎ整えていった。
小雪とイロハが周囲の警戒を強化する中、燐寧と承李は船の隠し場所を船上から選定していく。幸いにも周囲に巨獣の気配は無く、一見して危険そうなポイントは無い。不意の襲撃にも対応できるよう臨戦態勢を整えつつ、二人は出発に向けて作業を尚も進めた。
「……この努力が、徒労で済むことを願うばかりだな」
「だねぇ。開拓の痕跡とかは全然見えないけど……」
果たしてこの先には、何が待っているのだろう――到着も目前となった喜望峰の空は、雲一つない晴天だ。それが嵐の前の静けさでないことを願いながら、作業は着々と進んでいく。
「こっちは異常ないよ、小雪君。燐寧君たちの作業も、もうすぐ終わるみたいだ」
「了解です。いつでも、お船は出せます!」
イロハの連絡に伝声管で返事を返すと、小雪の口から吐息がふっと洩れる。
いよいよ、旅が終わる――その事実に覚える一抹の寂しさが、彼女の心には僅かにあった。第一次からの探索を含めれば、全20回に及ぶ巨獣大陸の探索作戦。その多くの参加して来た小雪だけに、感慨の深さは一入だ。そんな内心を察したようにイロハの呟く声が伝声管から届く。
「……もうすぐ、終着点だね」
「そうですね。最初にヴィクトリア湖を見た時のこと、今でも覚えてます」
「湖の探索や陽動は、イロハもよく一緒に行ったね。まさか断片の王がいたなんて、あの頃は思いもしなかったけど」
言葉を交わす二人の脳裏に、探索で見つけた各地と、そこで繰り広げた冒険の思い出が蘇る。
ヴィクトリア湖。キリマンジャロ山。更には、冒険こそ叶わなかったがモールスカロヴァの群れがいたマラウイ湖。それらの景色は、二人の記憶で今なお鮮明だ。
(「……カリバ峡谷とかヴィクトリア・フォールズとか、もう少し調べてみたかったですね」)
しんみりとした時間が流れる中、小雪は改めて感じる。巨獣大陸の探索の日々は、もうすぐ終わるのだ。
最後の目的地である喜望峰、果たしてそこに何が待っているのだろう――そんな思いを改めて抱く彼女に、作業が完了したとの連絡が燐寧と承李から届けられた。
「お待たせ―! 作業終わったよぉ!」
「さあ、出発しようぜ。後少しだ」
「お、お疲れ様です! それではレッツゴー、ですね!」
「そうだね。旅の締め括りに、行くとしようか」
かくして万一の備えを整えて、砂上船は再び進んでいく。いよいよ到達の迫る喜望峰を目指して。
船旅は、いよいよ終盤に差し掛かろうとしていた。
周囲の景色は、先程から変わらない密林が続いている。燐寧は船上でアビスローバーの襲撃に備えながら、伝声管を用いて小雪に連絡を送った。
「今のところ異常は無いよぉ。喜望峰、もうすぐだねぇ」
「そうですね。き、緊張します……!」
「このまま進めばテーブルマウンテンっていう山が見えてくる筈だよぉ。船の隠し場所、良かったら……」
良かったらそこに移そうか、と燐寧が呟きかけた次の瞬間。彼女の声を遮るように、伝声管を介して船内に届けられたのは緊急事態を告げる連絡だった。双眼鏡を手に、船上の前方で警戒を行っていたイロハからだ。
「前方に影が見える。……巨獣じゃない、人影だ」
「人影? くそ、やはり喜望峰は奴らの根城か!」
齎された報告に、承李が急ぎ戦闘準備を整え始める。
巨獣大陸ゴンドワナは紀元前1億年の時代であり、人類は存在していない。となれば、影の正体は言わずと知れた。
果たして次の瞬間、船上の迎撃態勢が整うより早く、敵意を秘めたパラドクスが一斉に復讐者へ襲い掛かる。間を置かず、船の進路を塞ぐように現れたクロノヴェーダたちの姿を、イロハたち4人は明確に視認した。刀剣で武装した鮫型の海賊――トループス級アビスローバーの大群である。
『シャークックック! 略奪の時間だぜぇ!』
『野郎ども、逃がすなよ! 全部奪っちまえ!』
密林の中から、雄叫びを合図に海賊の群れが一斉に迫る。
このままでは、包囲されるのは時間の問題だった。燐寧とイロハが迎撃に動き出す中、承李は手元の伝声管を掴み、操舵室の小雪に向かって叫ぶ。
「撤退だ! 迎撃は俺たちがやる、急げ小雪!」
「り、了解です! コダマ船長、引き返しましょう!」
「もっきゅー!」
瞬時に意識を戦闘に切り替えた小雪が、コダマの合図で勢いよく舵を切った。
元来た道に進路を定め、砂上船が退路を加速していく。そうする間もアビスローバーの追撃は執拗で、多少の被害では逃走する気配を全く見せない。そんな敵を前に懸命の応戦を繰り広げながら、イロハと燐寧は敵の現れた方角を見澄ました。
「近くに砦の類は見えないか……警戒網に察知されていたようだね、これは」
「それなりの規模の戦力が展開してると見て間違いなさそうだねぇ。もー、後一歩なのに!」
「全速離脱、します! 皆さん、しっかり掴まっていて下さい!」
そうして撤退準備の完了と同時、砂上船は追撃を振り切って撤退していく。
喜望峰を根城とするアビスローバーの大群を、彼方に置き去りにして――。
離脱が無事に完了したのは、それから程なくのことだった。
ひとまず安全は確保できたが、未だ油断は出来ない。燐寧が選定した密林に砂上船を留めて、船の周りにカモフラージュを施すと、復讐者たちは急ぎ操舵室へと集合する。先程の襲撃で、得られた情報を共有する為だ。
「……喜望峰は、完全にアビスローバー勢力圏のようだね」
「だねぇ。これ以上船で進むのは、ちょっと厳しいかもぉ」
全員の無事を喜びつつ、イロハと燐寧が情報をまとめ上げる。
喜望峰一帯に相応の規模のアビスローバーが拠点を築いて展開していることは、今回の襲撃でほぼ確定的だ。拠点への調査や強襲を行う場合は、攻略旅団での提案が別途必要となるだろう。そうして探索で明らかになった現状に、承李は改めて眉を寄せる。
「喜望峰への到達は、一旦お預けと言う訳だな……」
「うん、まずは新宿島に報告を持ち帰ろう。調査は終わったけど、イロハたちの冒険はまだまだ続くんだからね」
イロハの言葉に仲間たちは頷くと、急ぎ帰還の支度を整え始めた。
状況次第では、ゴンドワナ奪還が成功した際に喜望峰の近辺がエルドラードに奪われる可能性もあり得る。今回の探索では喜望峰の到達にこそ至らなかったが、アビスローバーの動向に関する情報を得られたことは大きかった。それをどう活かすかも含め、今後の協議は欠かせない。
「……サフィーナ・ミウ。とっても長い冒険の旅、お疲れ様でした」
かくして仲間たちが帰途に就く中、小雪は最後に操舵室を振り返った。
今までに幾度も旅を共にし、多くの未踏の地を発見した巨獣大陸の探索作戦――新たな敵との遭遇という形ではあったが、その長き道は、遂に終わりを迎えたのだ。
「い、今はゆっくり休んで、またボク達の冒険のお手伝い、お願いしますね」
いつか再び、船は新たな冒険に出るのだろう。まだ見ぬ大地を、復讐者を乗せて再び進んでいくのだろう。
長きに渡り一つの旅を共にした巨大砂上船サフィーナ・ミウ。そこに今暫しの別れを告げ、小雪は船を後にした。
🎖️🎖️🎖️🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!