ミッドウェー鎮守府最終決戦~暁鐘よ、永遠に鳴り響け(作者 秋月きり
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#冥海機ヤ・ウマト  #ミッドウェー海戦~ミッドウェー鎮守府最終決戦  #ミッドウェー鎮守府  #断片の王  #断片の王『超大和』 

 改竄世界史冥海機ヤ・ウマト、ミッドウェー鎮守府。
 断片の王『超大和』は静かに時を待っていた。
「我が予想した『ディアボロスにとっての最善の結果』さえも超えてくるか……」
 そんな彼を専属護衛部隊であるトループス級冥海機『オクトリア』達が心配そうに見守っている。誰もが言葉を発せず、ただ、痛々しげな表情を浮かべていた。
 トループス級冥海機を超えた最精鋭たる彼女達もまた、理解しているのだ。自身の主が最悪の窮地に立っていることを。
「起死回生の『MI作戦』であっても状況を覆すに至らぬとは。……だがしかし、『MI作戦』以上の策が存在しない以上、この作戦の成功に全てを賭ける以外、選択肢は無い」
 零れた嘆息は如何なる海溝よりも深く、重かった。
 そして超大和は虚空を睨む。そこに、自身を追い詰めた怨敵が存在している。
 そう言わんばかりに鋭い視線を叩き付けると、言葉を続けた。
「我が出来ることはただ、我が娘達が、ディアボロスに勝利することを信じて、この地に踏みとどまるのみ」
 ――ディアボロスよ、断片の王たる『超大和』の首が、簡単に取れると思うでないぞ。
 道はまだ続いている。その先はまだ、確定していない。
 そう。愛しい娘達を信じ、戦い続けること。戦い抜くこと。それが断片の王である彼の最期の矜持でもあった。

「いよいよ、ミッドウェー海戦は、最終局面――最後の決戦を迎える事となりました」
 最終人類史新宿島新宿駅ターミナル。時先案内人シルシュ・エヌマエリシュ(ドラゴニアンのガジェッティア・g03182)は神妙な顔で、その言葉を口にした。
「ミッドウェー東西海域の戦いは、皆様の活躍で最善の結果を迎えました」
 それは即ち、ミッドウェー島を包囲していたジェネラル級全てに対し、決戦を挑む事が可能となった、という事。
 つまり、ミッドウェー鎮守府の超大和を、完全に孤立させる事が出来たのだ。
「この機を逃さず、断片の王『超大和』の撃破に向かって下さい」
 断片の王である『超大和』を撃破すれば、広大な冥海機ヤ・ウマトの改竄世界史を人類史に奪還する事も可能となる筈と、シルシュは復讐者達へと告げるのだった。

「さて、その超大和ですが……先の説明通り、皆様の活躍で孤立しています」
 超大和の周囲には常に彼の身辺に侍る少数の護衛のみで、それ以外の戦力は存在していない。
「皆様が撃退した8本の触手型海戦装は、超大和の元に戻っているようですが、攻撃力を失っている為、脅威は大きく下がっているようです。あ、因みに、あの触手は独立戦闘型海戦装『八八艦隊』と言うらしいですよ」
 彼女らしい注釈の後、言葉を続けた。
「8本の触手は連携し、超大和の守護を行います。そのため、それらが健在な内は、その防御を掻い潜っての戦闘が必要となります」
 巨大触手は数十メートルの大きさがあるため、上手く隙を突ければ、触手撃破よりも効率良く超大和を狙えるかも知れない。上手く隙を突ければ。
「もしくは、先に触手を破壊してから超大和を狙うか、ですね」
 しかし、触手は並のジェネラル級やそれ以上の力を有するという。その撃破だけでもジェネラル級撃破以上の困難が予測されるため、状況や戦術をよく考え、対処して欲しいとシルシュは言う。
「今一度言います。敵はディヴィジョン冥海機ヤ・ウマトの急所にして最大戦力である断片の王『超大和』です」
 超大和を撃破すれば、冥海機ヤ・ウマトのディヴィジョンを最終人類史に奪還出来るだろう。
「そして、最期に超大和と対話する機会があるようです。もしかしたら、何か情報を得られるやも知れませんね」
 それが超大和との最初で最後の会話となるだろう。何を語るかは復讐者達次第だが、またとない機会。相応の締め括りとして欲しい。
 彼女は願うように、そんな言葉を口にした。

「ともあれ、攻略旅団の作戦と、作戦に参加した皆々様の活躍によって、ミッドウェー海戦は考えられる限り最善の状況を達成しました!」
 この勝機を生かし、断片の王『超大和』を撃破して欲しいと、時先案内人は復讐者達へと語る。
 それこそ、信頼の証しに外ならなかった。
「時に、『超大和』、その海戦装――独立戦闘型海戦装『八八艦隊』。共に『本来の歴史では実現しなかった構想』です。しかし、しかぁし!!」
 身を乗り出し上げる言葉は、とても力強い物だった。
「断片の王である超大和は、強敵です。強敵ですが、強敵なだけです! 決して倒せない敵ではありません!!」
 その撃破の瞬間が直ぐ傍まで来ている。
 彼女から伝わってくる興奮度合いが、その認識を復讐者達にも刻みつけていった。
「皆様の力で、必ずや超大和を撃破し、冥海機ヤ・ウマトの大地を奪還して下さい!」
 そして、時先案内人は復讐者達をパラドクストレインへと送り出す。
「あ、そうですそうです。ミッドウェーの東西の海域で行われている決戦の状況によっては、超大和の決戦に影響が生じる可能性もありえます。その点、注意を怠らないようにして下さい」
 思い出した様に告げる文句は少し締まらない物だったが、しかし、気負いばかりではないその様子こそ、復讐者達に取って必要な物だったかもしれない。

 パラドクストレインの行く先は、冥海機ヤ・ウマト。ミッドウェー鎮守府。
 改竄世界史冥海機ヤ・ウマトに終わりを告げる為、復讐者は、パラドクストレインは新宿駅ターミナルを後にする――。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【一刀両断】
4
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
3
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
3
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【壁歩き】
3
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【寒冷適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【イルカ変身】
2
周囲が、ディアボロスが体長2m程度のイルカに変身できる世界に変わる。変身したイルカは最大時速「効果LV×20km」で泳げるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV8 / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【リザレクション】LV1 / 【先行率アップ】LV2 / 【ドレイン】LV2 / 【ロストエナジー】LV2 / 【グロリアス】LV3

●マスターより

秋月きり
 お世話になります。秋月きりです。此度、改竄世界史冥海機ヤ・ウマトの断片の王『超大和』との決戦を執筆させて頂く事となりました。よろしくお願いします。
 冥海機達の王、超大和の最期を皆様の力で彩って下さい!
 因みに「永遠」は「とわ」と読んで下さい。お願いします!!

 以下、補足です。
 ご確認下さい。

●選択肢について
 各々の選択肢の詳細説明「❓」、また、オープニングの内容やそこまでに執筆したリプレイを踏まえながらのプレイングを頂ければ幸いです。

①海戦装『八八艦隊』の撃破
②護衛するトループス級『オクトリア』
③ミッドウェー島、断片の王との決戦『超大和』
 上記3つの選択肢は、何時でも受け付けております。
④断片の王『超大和』との最期の対話
 【完結条件】です。③のクリア後にのみ執筆を行います。2~3名のみ採用予定です。

 推奨攻略順はありません。選択肢をどの様にクリアするか、それもまた皆様の作戦となるでしょう。

●その他
・「超大和は強いです。単純な強さのみならず、戦術眼もあり、冴え渡る勘も有しています。ただ、残念なことに、今の彼は寡兵です。彼を守るのは護衛のトループス級。そして、独立戦闘型海戦装『八八艦隊』のみ。対して私達ディアボロスは、これまでの戦いもこれからの戦いも、コレを持って敵を制するでしょう。――そう、連携です!」
・「これの戦いやその他で、皆様が得たもの。感じたもの。培ったもの。全てを叩き付けて下さい。そうすれば、道は拓けるはずです!」
・「繰り返しますが、相手は断片の王。強敵どころではなく、超強敵です。大丈夫と思いますが、決して油断無きようにお願いします」
・「そして、それは彼を取り巻く最精鋭の護衛も、そして海戦装も同じです。お気をつけ下さいませ」
・「私はこの地で、皆様の御武運をお祈りしております!!」
 以上、時先案内人からの助言でした。皆様のお力になれれば幸いです。
・連携については「連携する」の一言でも連携可能です。ただし、誰と行うか、どの様に連携するかを記載して頂いた方が判定は有利になります。相談所もご活用下さい。
・また、連携プレイングを頂いても、必ず連携出来る(リプレイに描写される)ワケではありません。場合によっては個別処理や全て不採用となる可能性もあり得ますので、ご注意下さい。
・大勲章プレイングについて、システム通りに処理いたします。その為(プレイング次第ですが)必ずしも大成功や超成功が出るわけでは無い旨、ご了承下さい。
 
 それでは、暁の鐘を突き鳴らす皆様の力強いプレイングをお待ちしております。
 宜しくお願いします!
108

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
とうとう最終決戦か。まずは護衛から叩くとしよう
これが俺の援護の仕方。仲間が戦いやすくなってくれるといいんだがな

【行動】
仲間とは声を掛け合い積極的に連携していく
使える残留効果は全て使用
水中適応を使い行動する

まずはパラドクスを使用し銃型のバブルメーカーを製作

空気中ではシャボン玉、水中では泡を放出する
どちらも味方や地形にはただのシャボン玉や泡だが
敵に触れると爆発する仕組みになっているから
乱戦になっても問題なく使える
敵も連携も取りづらくなるだろう
シャボン玉や泡に触れないように戦闘を行うのは難しいだろうし
ある程度の範囲まではカバーできるはずだ

敵からの攻撃は爆発で牙ごと吹き飛ばしたり
盾のフェイク・プリドゥエンで受けて防ぐ
消耗も激しいだろうから正面から受けずに攻撃を受けたのと同じ方向に跳んで威力を殺す

必要なら臨機応変に対処する


 改竄世界史冥海機ヤ・ウマト、ミッドウェー鎮守府内司令室の扉が開け放たれる。
 身構える断片の王『超大和』、そしてトループス級冥海機『オクトリア』達の眼前に飛び込んできたのは、復讐者が一人、荒田・誠司(雑草・g00115)であった。
「避けられるのなら避けてみろ!」
 八本の巨大触手が蠢く司令室は内部での戦闘も想定し、作られたのだろうか。
 存外に広いその中で、彼は不意打ち気味にパラドクスを詠唱。無数のシャボン玉をオクトリアへと放つ。
 それが、戦闘の口火となったのであった。

 宙に舞う無数のシャボン玉はそれそのものが爆弾であり、即ち、オクトリアの海戦装に触れた瞬間、炎と衝撃を放ち、彼女達を灼いていく。
 パラドクスに炙られたオクトリア達はしかし、如何に不意打ちとは言え一方的にやられるわけでは無いと黒い触手を誠司へと伸ばす。そもそも超大和と共に侵入者に対し構えていたのだ。不意打ちにならないことは、先制攻撃を断行した誠司自身が一番理解していた。
「――ッ!」
 無数の触手はシャボン玉を潜り抜け、誠司の盾を剥ぎ取り、身体へと喰らい付く。
 流石は最精鋭のトループス級冥海機といった所か。一糸乱れぬ連撃は、誠司の防具を抉り、血肉を撒き散らしていった。
 これが海中であれば、その血も直ぐに霧散しただろ。だが、今の戦場は海中ではない。滴る血は誠司の身体を、床をも汚していった。
 そう。戦いの場である司令室は当然ながら、地上に存在する。或る意味、冥海機達よりも復讐者達が慣れ親しんだ場所でもあった。
(「それで、この勢いか!」)
 一瞬にして誠司は悟る。
 超大和達に諦観の意志はない。復讐者達をそのまま迎撃する、と言う強い意志がそこにあった。
「はんっ。だがそれは此方も同じでね!」
 その気持ちは復讐者側も同様だ。断片の王『超大和』を討つ。そのために彼らはここに来たのだ。
 一番槍を達したのは自身だが、直に仲間達もこの場へと殺到する。ならば、仲間への道を切り開くのが己の役目だと独白した彼は、更なるシャボン玉爆弾を放つ。
「見事だ」
 刹那、彼の耳朶を打ったのは賞賛の声であった。
 視線を動かせば、彼の覚悟を受け止めたのだろう。超大和の紅き瞳が、海戦装『八八艦隊』達の瞳が、誠司へと向けられていた。
「ならば、此度はその勇姿に応えてやろう。いけ。我が娘達よ」
 超大和の命に、オクトリア達はこくりと頷き、己が海戦装の全てを誠司に突き立てた。
 蛸の触手が、牙が、そして機雷と鎖が誠司を捉え、ギチギチに縛り上げる。ぐちゃぐちゃに血肉を啜り、その傍から打ち砕いていく。
 超大和に率いられた最精鋭のトループス級群。その意味を誠司は知る事となる。
「我に残されたのは我が海戦装『八八艦隊』や我自身のみならず。我と共に在る我が娘達もまた、我の手足同然よ。その全てを以て、我は貴様らを制す。それが我らの戦いだ。篤と見よ、ディアボロス!!」
 そもそもが最精鋭であるオクトリア達は、戦力に於いては通常のトループス級と一線を画しているだろう。その上で、超大和の指揮があるのだ。各々が復讐者と対等以上に渡り合うのは当然であった。如何に誠司がシャボン玉を放出しようとも、それらを己がパラドクスで掻き消し、最小限度の損害を以て彼に牙を剥いていた。
 誠司に幾多のパラドクスが叩き付けられ、彼の意識を奪う瞬間にも、しかし、超大和の視線は彼に注がれている。
 超大和の指揮が存在する以上、復讐者達の苦戦は必至と、己の中の何かが警鐘を鳴らしていた。
(「だが、それを捉えた。これが、俺の援護の仕方だ――」)
 上手く生かしてほしい。その願いと共に誠司は己の意識を手放した。

『荒田・誠司(雑草・g00115)は重傷を負った』
苦戦🔵​🔴​🔴​🔴​

フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、外部連携ok
【連合艦隊】同行

不退転の決意を固めた断片の王、ですか。
最後まで勝利を諦めない執念には敬意を表しますが、私達もこの場は退けません。
事ここに至れば、どちらかが倒れるまでの総力戦です。

でも焦りは禁物、まずはこの八八艦隊の触手達を排除です。
本丸前の露払い、行きましょう。

まず『護り手の行進曲』を歌い味方を鼓舞。
戦闘中は『護り手』の加護を武器やユリウスに込めてパラドクスの一撃とします。
ユリウスも行きますよ。

私は弓で魔力矢に依る狙撃を行い、触手の抑えに回る方や超大和に突撃する方々を援護です。
最優先は超大和への道をこじ開ける事です。その道を塞ぐ触手達には、この場を退いて貰います。
狙う触手は超大和への道を塞ぐ触手1本。その際、他の味方と標的を合わせて攻撃を集中し、可及的速やかに触手を排除です。
ユリウスにも同じ箇所を砲撃して貰います。
出来れば、他の味方が付けた傷を狙って追い打ちですね。
1本で無理なら、他の触手も狙いますよ。

超大和の起こす嵐や触手からの反撃は、魔力障壁を張って凌ぎます。


アドル・ユグドラシア
※アドリブ、外部連携ok
【連合艦隊】同行

事ここに至っても勝利の道を探るか。
なるほど、その姿を見れば配下達も必死になる訳だ。
だが必死なのは此方も同じ事、この場で一手お相手願おうか。

意気込むのは良いが、無策で行っても此方がやられる。
ここはまず、超大和の防御を引き剥がす。
後ろは任せた。俺は前に出て触手共を抑え、超大和への道を作る。
ま、勢い余って触手共を斬り飛ばしても構わん、その気概で行くぞ。

戦闘ではバーサークを発動。標的に接近し、全身全霊を込めて防御諸共叩っ切る。
狙う標的は他の味方と合わせるが、超大和への道を塞ぐ個体を優先する。
触手を狙う際は、先端よりは根元側を狙い、かつ切断するように双剣で斬り付ければ、触手の動きも止められるか?
切断は無理でも、触手をズラして道をこじ開ければそれで良い。

他の触手がこじ開けた道を塞ごうとしたり突撃への横槍を入れるなら、その間に割り込み双剣で切り払う。
仲間の邪魔はさせん。

また、超大和の反撃の砲撃や触手の反撃も、双剣で切り払うか盾代わりに構えるなどして衝撃に備える。


フィリス・ローラシア
※アドリブ、外部連携ok
【連合艦隊】同行

断片の王と直接相対出来たのは、これまでの積み重ねあっての事ですね。
その終着点、リュカ共々、お手伝いしますね。
超大和に繋がる道を塞ぐ触手達を邪魔しますよ。

戦闘ではリュカと力を合わせて攻撃です。
術式『心眼』で、私だけでなくリュカ自身の攻撃も、精霊の加護を受けて導けます。

まずは『心眼』で精霊達と視覚を共有して、超大和や触手達の動きを把握出来るようにし、攻撃に備えます。
攻撃には、魔力を集中してからの冷気の砲撃をお見舞いです。
接近戦を仕掛ける人達が戦い易いよう、また超大和に向かう人達が動き易いよう、触手の動きを止めるように援護射撃です。
狙えるなら、リュカや仲間と一緒に攻撃の標的や攻撃する場所を合わせ、集中砲火で早期撃破です。

ただ、触手は1本だけではありませんから、触手同士で庇い合いもありえます。
標的以外の触手が接近したら、味方に注意を促しつつ、横槍触手への妨害に入る味方を援護します。

超大和や触手達が反撃してきたら、その時は魔力障壁をしっかり張って防御ですね。


 ミッドウェー鎮守府に朱の色が散っていく。
 敵の攻撃によって仲間が肉塊と化し、飛び散る酸鼻な光景を目の当たりにしながらも、しかし、フィリス・ローラシア(夢現の竜使い・g04475)は頭を振った。
(「断片の王と直接相対出来たのは、これまでの積み重ねあっての事……ですね」)
 そして、先程仲間が遂げた最期も、積み重ねの一幕だ。
 それがあったから、敵の強さを理解出来た。それがあったからこそ、何を為すべきか、考える事が出来た。
「その終着点に至るため! リュカ共々、お手伝いしますね!」
 決意の言葉と共に、彼女はパラドクスを詠唱する。

(「不退転の決意を固めた断片の王、ですか」)
 蠢く触手の一打を躱し、鎮守府内を駆け抜けながら、フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)は感嘆の吐息を零した。
 彼女も理解している。超大和に諦観は無い、と。彼はこの場で復讐者達を迎え撃ち、亡き者とすることで勝利を得ようとしているのだ、と。
 何たる執念であろうか。その思いには敬意にも似た感情がわき上がってくる。
 だが。
「私達もこの場は退けません!」
 勝利を掴むのは自分達だと、フィーナは叫ぶ。
 敵は強力無比。今まで対峙したどの冥海機よりも強い事は明白だ。だが、だからと言って、気合いで負けるつもりは毛頭にも無い。
「そうだ。必死なのは此方も同じ事。一手、お相手願おうか」
 フィーナの兄、アドル・ユグドラシア(我道の求道者・g08396)も同意とばかりに息巻き、共に戦場を駆け抜ける。
「全て、断ち切る……!」
 その朱と黒の双剣は煌めき、其処から生み出された斬撃は超大和の海戦装『八八艦隊』の表皮に食い込む。最後まで断ち切ると振るう刃はしかし、表皮こそ削った物の、そのまま弾き返され、その勢いは、持ち主であるアドルの身体すらも宙を舞わせた。
「アドルさん!」
 後方で心眼のパラドクスを振るうが故だろうか。
 フィリスの両眼は彼が弾かれ、跳ね飛ばされる様を確と捉えてしまった。
 続いて零れ出た悲鳴に、しかし、天井を蹴って地面へと降り立ったアドルは、黒剣を握ったままの片手を上げることで応える。
「行きます、ユリウスッ! 大切なものを護らんとするその意志に祝福を……!」
 フィーナの歌はフィリスとアドルの二人を鼓舞し、そして合わせて放つ魔力矢と無数の氷片が八八艦隊の触手を穿ち、梳っていった。
「おおっ。だが、ディアボロス! その程度の攻撃では我が八八艦隊を打ち破ることは叶わぬぞ!」
 超大和の怒号に、しかし、三者は応えない。
 ただ、言葉を呑み込み、己のパラドクスを振るうのみであった――。

 三人は――否、今ここに戦う復讐者達は、一つの目的の為に力を振るっていた。
 超大和の防御網を崩し、道を作り、彼奴の眼前へ仲間を届ける。そして、彼奴の指揮を妨害するのだ。
 ただ、その目的を為すために、今の復讐者達はパラドクスを振るっていた。

「――ッ!」
 数度目の殴打を受け、壁に叩き付けられたアドルは、しかしと立ち上がる。額は切れ、血が視界をしていた。だが、身体に然程ダメージは無い事を確かめると、彼は再び双剣を構え、戦線へと戻っていった。
「攻撃力を失っている、と言う話でしたものね」
 アドルが切りつける触手に冷気の砲撃を叩き付けながら、フィリスは独白する。
 先に吹き飛ばされたアドルは元より、フィリスもフィーナも触手の殴打を受け、幾渡となく弾き飛ばされていた。数度は地面を転げ、床に投げ出された程だ。
 だがそれでも、復讐者である彼女達は傷付かない。
 それがパラドクスを伴わない物である以上、ただ殴られたのみでしかない。衝撃と僅かな痛みを感じるが、それだけだ。損傷を受ける事は無かった。
 おそらくそれが、先の戦いの結果だったのだろう。
 仲間達が海戦装『八八艦隊』の力を削ぎ落とした結果が効いていた。未だ力を取り戻さない海戦装は、おそらく、全ての力を防御に回しているのだろう。巨獣の体当たりに類する筈の殴打はしかし、只の体当たりでしかなかった。
「ならば、行けます!」
 フィリスの叫びに、アドルとフィーナは是と頷いた。
 八八艦隊もまた、強力な海戦装だ。ジェネラル級に遜色ない戦力は健在し、蠢く八本の触手は三者の攻撃を受け、弾き、そして、力のみの反撃を綴ってくる。
 それでも、と、三人は裂帛の気合いを口にする。
「最優先は――!」
「判っています!!」
 フィーナの声に、皆まで言うな、とフィリスは叫ぶ。
 全て理解している。そしてそれを態々敵に告げる理由は無い。
「リュカ! 一緒に――」
 冷気と光が舞った。フィリスの冷気砲弾はリュカの光の息吹と共に触手の一体を捉え、凍て付かせる。一般法則破壊の為だろうか。覆う氷は全て砕かれ、一条の光もまた、触手の表面を滑っていくように見える。
 其処に飛来するのはフィーナの魔力矢であった。
 深々と突き刺さったそれは、海戦装に大きな穴を穿ち、そのまま消失していく。海戦装からぬるりと零れた血は青く、そしてそれが触手そのものを濡らしていく。
「まずは――一本!」
 他の触手を蹴飛ばし、或いは剣で切り払いながら、アドルが傷だらけの一本へと斬撃を叩き付けた。
 根元で断ち切られ、弾き飛ばされた触手はそのまま空を舞い、そして――周囲へと破砕を撒き散らした。
 即ち、大爆発を起こしたのだった。
「――ッ?!」
 驚嘆の吐息が零れる。誰もが目を見開き、そして似たような表情を形成していた。
 ――敵は強敵。強敵だが、強敵なだけ。倒せない相手ではない。
 そう断じた声が蘇り、そして、三者はそれぞれの形で刹那の喜びを示す。
 己が両手を握りしめる者。目を輝かせる者。そして、一瞬だけ、サーヴァントを抱き寄せる者。
 復讐者達が感じていた物。それは確かな、勝利への兆しであった。

 そして、もう一人、超大和もまた、驚愕に表情を染めていた。
(「よもや、こうも短期で八八艦隊の一本が撃破されるなど――」)
 これが歴史侵略者達の怨敵。これが愛する娘達を狩り続けた悪魔達! これが――ディアボロスッ!!
「ディア、ボロスッ!」
 僅かな喜びを見せる三者の耳朶に、ぎりりとした歯噛みの音が叩き付けられた。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【連合艦隊】
連携アドリブ歓迎

今、超大和との対決の時
横須賀から始まり、多くの仲間が繋いだ道程
そこに、刃を届かせよう

パラドクス通信で仲間と連携し対象を共有
可能な範囲で、初手は超大和の視認方向からずらした一本へ仕掛ける

触手の1本をなるべく速攻で倒し、まずは道をこじ開ける
仲間と狙い合わせ、攻撃を集中
触手の動きを観察し、動き出しを制するように射撃しPD攻撃
跳弾を仕掛け、こちらの動きを読みづらく、単調を避ける
近接の味方を中距離から援護し、触手を縫い止める
1本の撃破で隙が出来なければ、超大和を狙う仲間(③)の進路妨害する二本目を狙い
余力ある間は次を狙う

触手の反撃や妨害があればタワーシールドで勢いを受け流し、魔力障壁で防御
看破した動きは飛びのいてかわす
他の触手も同様に凌ぎ、立ち位置を変え狙い撃ちを回避

戦況を常に観察し、情報共有
突破の隙ができた好機には、③の仲間へPD通信で合図
触手と装甲を組み合わせた防御の癖や特徴を看破し、すり抜けの隙を伝えよう
③の突破時には、彼らを狙う触手を率先して狙い妨害し縫い止める


音羽・華楠
【連合艦隊】

……オクトリアたちの排除さえ一筋縄ではいきませんか。
なら、彼女たちを指揮する超大和を乱すしかありません。
その役目を担う皆さんを送り込む為、八八艦隊の守護を切り拓きます!

対八八艦隊の【連合艦隊】の皆さんと、触手の内の一本へ狙いを定めて集中攻撃。
可能なら、超大和の視界外の触手に狙いを。
それを潰して出来た間隙を、超大和へ切り込む皆さんに抜けてもらいます。
私は《雷幻想・斬鉄》を全力で振るいますよ!
一本だけでは隙が足りないなら、即座に隣の二本目、三本目と、同じように潰していきます。

連携の精度を上げる為、【パラドクス通信】で味方との連絡は密に。
(挑む選択肢の枠を越え、【連合艦隊】全体で。特にこの①で作った隙を③の選択肢の皆さんが速やかに突けるよう留意を)

超大和への道を切り拓いた後も、超大和へ仕掛ける皆さんの妨害に動く触手へ攻撃、牽制を。

八八艦隊からの反撃があれば、直撃だけは避けるべく、《斬鉄》で出来る範囲で受け流す、吹き飛ばされる方向へ敢えて飛んで威力を少しでも殺すなどの対応を試みます。


エレナ・バークリー
【連合艦隊】
私も微力ながら改竄世界史『冥海機ヤ・ウマト』の攻略に助力した事もあります。
今はその総仕上げ。“断片の王”を討ち取るに相応しい皆さんの為、道を啓く。私は皆の礎でいいのです。

海戦装『八八艦隊』ですか。“王”ともなれば海戦装も桁外れ。攻撃機能を奪った方々に感謝を。
私の分担はこの海戦装の破壊です。

「全力魔法」「氷雪使い」「結界術」で螺旋渦巻く氷獄の大伽藍を行使。
超大和に向かう仲間の障害になる触手、出来れば皆と合わせ彼の視界外のものを確実に選んで狙います。一本潰して防御の隙を作り、足りなくば二本目、三本目と。
全ての熱を奪う術式と防御力の真っ向勝負。その芯まで凍らせます。

予想される反撃は魔法障壁とシールドガントレットで防御。
隙ができ私が伝達役に適していたら、パラドクス通信で切込役に連絡。

「大声」で超大和に詞を届けたく。
聞こえていますか、超大和!
大本営の興亡は既に決しました。だからと言って、ただ滅びろとは言いません。あなた方の誇りを、生きる意志を見せてください。私たちも全力で応えましょう!


月下部・小雪
【連合艦隊】のお手伝いです!

つ、ついに断片の王である超大和さんを追い詰めたのですね。
邪魔な周りの海戦装を倒している間、のんびりとこっちを観察させるわけにはいきません。
超大和さんの元に突撃する人達のためにも八八艦隊の防御に穴をあけ、ます!

ま、まずは1本、攻撃のための隙を作るためにタコっぽい海戦装の足を一本削りましょう。
皆と狙いを合わせて集中攻撃、です。コダマにお願いして【コダマ・ギガブレイク】を叩き込んでもらいます。
攻撃はコダマに任せて、ボクは他の触手さんの様子を警戒してますね。
も、もし、攻撃に集中している仲間に襲い掛かろうとするのがあれば【パラドクス通信】で警告を発しますね。
必要に応じて「魔力障壁」を全開にして攻撃に割り込んで仲間の盾になります。

1本で隙ができないなら、2本3本とやっつけましょう。
たとえジェネラル級並でも、事前に攻略のおかげで攻撃能力を損なっているならやりようはあるはず、です!

※アドリブ連携大歓迎


「多くの仲間が紡いだ道程がここに在る! 今こそ、そこに刃を届かせよう!」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は宣言し、白銀の弾丸を放出する。幾多の弾丸を受け、八八艦隊の触手が一本、大きく跳ね上がった。
「そして、此度の戦いは、その総仕上げ!」 
 其処に走る追い打ちは、極寒の冷気であった。
 エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)の放つ極低温の冷気は八八艦隊を凍て付かせ、氷結させる。一般法則破壊の為か、氷結そのものは即座に破壊されたが、しかし、そこに刻まれたダメージは計り知れなかった。
「ま、まずはこの一本を!」
 己がサーヴァントに呼び掛けるよう、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は、穿たれ、凍らされた触手をびしりと指を差す。
 集中砲火は戦いの基本。それを体現する台詞を口にした彼女は、そして、パラドクスを詠唱した。
「雷さんの力を借りて、ひ、必殺のコダマ・ギガブレイクです!」
 雷が走る。室内ではあり得ない落雷を受けたコダマは、しかし、それを長剣に集束、そのまま触手へと斬撃を加える。
「い、いっけーっ!!」
 幾多のパラドクスが弾け、八八艦隊の装甲が剥ぎ取られていった。

(「ただの護衛であるオクトリアの排除ですら、一筋縄に行きません」)
 自らの身体を張って敵情報を掴んだ仲間を想起し、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は嘆息した。
 コダマ――否、小雪同様に雷を紡ぎながら、それでも自身の思考の冷静な部分は、超大和達の全てを観察している。
 オクトリア達を支えているのは、超大和による指揮だ。それが彼女達を万夫不当の兵へとたらしめている。
 ならば、と唸る。
(「ならば彼女たちを指揮する超大和を乱すしかありません」)、
 如何に最精鋭の軍隊とは言え、指揮を崩せば、その力量は半減以下となる筈だ。今現在、その証左は無く、半分以上は願いかもしれない。だが、それでも、信じる価値がある願いだと、華楠は判断した。
「超大和! 貴方を討ちます!」
「元よりそのつもりだろう? ディアボロス!」
 蠢く八八艦隊の触手群の向こうで、超大和の吐き捨てる様な声が聞こえた。

「――ッ!」
 触手の殴打を巨大盾で受け止め、そしてエトヴァはその場で踏鞴踏む。
 奇しくも抱く感想は、同じく八八艦隊達と対峙する仲間と同じであった。
 触手の殴打にパラドクスの煌めきは無い。以前使用していた衝撃波も生じていないことから、パラドクスによる攻撃は無い物と判断する。
(「攻撃力を失っている、か」)
 自分達の猛攻が、仲間達の戦いが、超大和の海戦装から力を剥ぎ取った。
 その事実は、彼の言う通り、今まで切り拓いた道が示す物なのだろう。
「そ、それでもっ」
 雷神の斬撃を振るいながら、小雪が焦燥の声を上げる。
 それでも、八八艦隊の猛攻は如何ともし難かった。殴打されても大きな損害は無い。だが、攻撃を阻害されてしまえば、狙いは保てず、有効打に成り得ない。触手が健在なのは、その為だ。
「――成る程。八八艦隊を梳るか。狙いは何だ?」
 二人へ叩き付けられた声は、静かな問いであった。
 エトヴァはそれを威圧と判断し、黙する。小雪は目を見開く物の、しかし、今は対峙するべきは超大和ではなく、八八艦隊だと頭を振った後、コダマへ突撃を命じる。
 その二人の視線は目の前の八八艦隊へ、そしてその端ではエレナと華楠の姿を捉えていた。
 二人は頷く。――自分達の狙いを悟らせては駄目だ、と。
(「【パラドクス通信】は盗聴されない筈だ。だが――」)
 銃撃を放ちながら、エトヴァは頭を振る。
 この至近距離で繰り広げる戦闘において、盗聴も何も無いだろう。まして、超大和の目は常に復讐者達全てを捉えている。唇が読まれないとも限らない。
 これ以上、自身等の狙いを口にするのは危険だと判断した。
(「それが皆に伝わればいいが――」)
 流石に思考を読むことは出来ない様だが、しかし、其処は観察眼にも優れている、と評された超大和だ。行動の端々から、自身等の狙いに気付くやも知れない。それが杞憂なのか危惧なのか当然なのか、出来れば最前者であって欲しいと願う。
「私達の狙いは、あなたを討つのみです。超大和! 大本営の興亡は既に決しました。だからと言って、ただ滅びろとは言いません。あなた方の誇りを、生きる意志を見せてください」
 超大和の思考を阻害する為か、エレナが大言を叩き付けた。
「その誇り、生きる意志に私たちも全力で応えましょう!」
「――役者だな。ディアボロス」
 彼女の宣言をどう捉えたのか。超大和が零した台詞は、本心からの物とも、嘘や御為ごかしとも取れる物であった。そして、如何にも取れる言葉を口にした超大和は、ギロリとした視線を復讐者達へ向ける。
 睥睨の表情はいつも通りのまま。復讐者達へ何も悟らせない表情であった。

 そして、二つ目の触手が飛ぶ。
 コダマが切断した触手は宙を舞い、そのまま爆発。再びの大音響を周囲へ響かせた。
「や、やった、ですよっ!」
 これで、八本中二本の触手を奪うことに成功した。後残す触手は――六本っ。
「や、やっぱり、ジェネラル級並みでも、事前攻略のおかげで攻撃能力を損なっているなら、やりようはあるはず、です!」
「ああ。その通りだ!」
 白銀の弾丸で三本目の触手を穿ち縫い止めながら、エトヴァは頷き、そして言葉を紡いだ。
 それこそが、復讐者の力なのだ、と。
「冥海機ヤ・ウマトの断片の王、超大和は強い。それは間違いない。だが――俺達も弱いわけでは無い!」
「私達はクロノヴェーダに敗北し、それでも心を折らず戦う事を選びました。ならば、私達もまた、真の強者と成り得る筈です!!」
 改竄世界史冥海機ヤ・ウマトの中、復讐者達は歴史侵略者たる冥海機達に敗し、全滅させられた。だが、その怒りは新宿島に流れ着き、復活、あるいは新たなる生を得た。そして今、その怒りが超大和へと牙を剥くのだ。
「荒野の果てより来たれ、氷精たち! 冷たく凍える汝らの御業を持って、今ここに極北の氷塔牙を打ち立てん!」
「臨む兵、闘う者、皆、陣烈れて前に在り! 雷震誅滅剣舞――」
 エレナの喚ぶ冷気に合わせ、雷を召喚。物質化するほどに集束、超圧縮したそれは、小雪の紡ぐ雷刃とは質が違えど、しかし、同じく雷の刃であった。
「――撃ッ!!」
 霹靂の一閃と共に、轟音が響く。
 荒い息を吐き、華楠は虚空を見上げる。続くエレナの視線も、小雪の視線も、そしてエトヴァの視線も、それを追っていた。
 天井にまで飛び上がり、叩き付けられた触手が、更なる破壊を巻き起こす。爆発は拡がり、その衝撃は斯くやと復讐者達を嬲る。
 だが――。
「三本目、だ!」
「行って下さい!」
 エトヴァとエレナ、二人の砲声が発せられる。
 勝ち鬨とは程遠く、しかし、その叫びは歓声として、道を切り拓いた復讐者達の耳朶を打つ。
 そして、その瞬間、弾かれた様に跳ぶ者達の姿があった。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【グロリアス】LV1が発生!

シル・ウィンディア
【連合艦隊】で出撃。
まほろばさん(g09815)をディフェンス。

海戦装の防御の一瞬のスキを見つけたら、速攻を仕掛けるよっ!
まほろばさん、後ろは任せたっ!
まほろばさんの攻撃と同時に超大和へ向かって走っていきながら高速詠唱を開始。
幻影魔砲撃で近接戦を挑むよっ!

ダメージを与えることも大切だけど、近接戦闘で指揮の邪魔をすることを目的だね。

超大和!
よそ見はさせないよっ!

無謀って思う?
そだね、あなた相手にこんなに少数で仕掛けるなんて常識的には考えられないよね。

攻撃の目的は、敵のトループスの指揮の邪魔をメインに。
片手間だろうか、両手を使われようが、思考をわたし達に向けるように仕向けれればそれでいいんだっ!

捨て石になるつもりはないよ。
一撃だけでもこっちに気を惹ければそれでいいんだ。
その隙にみんながトループスや海戦装を攻略してくれるんだからっ!
だから、その間、少しだけでも付き合ってもらうよっ!

実力差は十分承知。
でも、だからって気持ちで負けるわけにはいかないっ!
最後は気合で勝負だよっ!!


麗・まほろば
【連合艦隊】! 出撃!
館長さん(シルさん・g01415)をディフェンスするよ!

りょーっかいっ、館長さんっ!
後ろは任されたーっ!
どどーんっと! じゃじゃーんと! ぶちかますからねぇ……、止まるんじゃあないよぉ!

【パラドクス通信】でみんなと連携!
みんなの攻撃によって生じたスキを見逃さず全力で走り抜け、【超々々々弩級戦艦級海戦装『紀伊』】を展開! 仮想接続!
【13mmまほろば機銃】!
【15.5センチまほろば砲】!
【51センチまほろば砲】!
全門装填用意!
まずの目標は撃破ではなくトループス級への指揮を妨害すること。そしてそのために前方で戦う館長さんやヴェルチさん、シエルシーシャさんへの支援砲撃を行うことだ!
さぁ、超々々々弩級戦艦たるまほろばこその大役だ!
まほろばの砲撃で! みんなを生還させるぞ!
砲撃開始!

超大和の意識が前方3人に向くようなら全力で砲撃し、まほろばにも意識してもらおう
よそ見だなんてつれないなぁ、同じ『超々々弩級戦艦(大和)』を超える者同士の砲撃戦だぞぉ?
仲間はずれにしないでよってね!


ヴェルチ・アリ
【連合艦隊】
シエル(g01847)と連携、彼女への攻撃は可能な限りカバーリング。


こうして向き合えるとはね。断片の王。この【冥海機ヤ・ウマト】という世界の、実質的な心臓。
いいね。何もかも焼き尽くし、燃やし熔かす。それを詠うからには、この場であんたも燃やせない事には始まらないってことだ。

まずはちょっとこっちに目を向けてもらおうか。冷静なところ悪いけど、ちょっとお互い、熱くなろうじゃないの。


【火炎使い】を使い、仲間に斬り開いてもらっている隙を無駄にしないよう、全力で接敵し、味方と連携して灼熱を叩き込む。

勿論これですぐに終わるとは思ってない。シエル、シルと共に、僕は真正面から灼熱を叩き込みに行く。連続砲撃が来るだろうけど…そうするためには、僕達を「狙わないと」いけないよなァ!その間、お前の意識は確実に指揮から外れる!

ちょっとでもいい!その余裕、じりじりと焦がして炙って燃やし尽くして焼き熔かしてやらァな!いつまでそのすまし顔が続くか根競べと行こうじゃねェか!

アドリブ、絡みを歓迎します。


 超大和の元へと駆け出した復讐者達は即座に、各々のパラドクスを詠唱。超大和へと叩き付ける。
「まほろばさん、後ろは任せたっ!」
 海戦装が切り飛ばされたその瞬間を隙と見定めたシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)は、後方を託した麗・まほろば(まほろばは超々々々弩級戦艦ですっ!・g09815)に声を掛け、そして、詠唱へと繋げる。
「六界を司る使者よ、我が身に宿りて、全てを撃ち抜きし力を……」
 その身体に宿るは、6属性の魔力エネルギー。それらが彼女の身体能力を増幅し、走破を後押しする。残像すら見えるその動きに、超大和は眉を跳ね上げさせた。
「幻影の連撃、見切れるかなっ! よそ見はさせないよっ。超大和」
 そして、放つ刺突と斬撃は、超大和の身体を斬り裂き、防具の切片を宙に舞わせた。
「りょーっかいっ、館長さんっ! 後ろは任されたーっ! どどーんっと! じゃじゃーんと! ぶちかますからねぇ……、止まるんじゃあないよぉ!」
 そのシルに追随するよう、まほろばは超大和へびしりを指を差す。
「この海に立ちし同志たちよ! 強大な敵に抗がわんとする勇者たちよ! この掲げる吾妻の旗を標しに、私と伴に祖国を護らんぞ!!」
 その身体に浮かぶ文様は、まほろばの誉れ。
 魔法陣の如く結ばれたそれは、まほろばの愛機【超々々々弩級戦艦級海戦装『紀伊』】との直結の証左だ。そして、その瞬間、まほろばの全砲門が開き、超大和へと向けられる。
 それは【13mmまほろば機銃】。それは【15.5センチまほろば砲】。それは【51センチまほろば砲】。
「さぁ、超々々々弩級戦艦たるまほろばこその大役だ! まほろばの砲撃で! みんなを生還させるぞ! ――砲撃開始!」
 全ての銃口、砲塔が火を吹き、爆発音を戦場に轟かせた。
「冷静なところ悪いけど、ちょっとお互い、熱くなろうじゃないの」
 そしてまほろばの砲撃の終焉を待たず、ヴェルチ・アリ(GE-07・SOL01847・g03614)が超大和へ肉薄する。
 流石に微動だにせずシルの攻撃を、まほろばの攻撃を受け止める事は出来なかったのだろう。身構え、己の二本の腕でパラドクスを弾きながら、或いは躱しながら、超大和はギロリとした視線をヴェルチへと向けていた。
「偽装展開、ガウェインの炎刃! ガラティーン、限定解除!」
 ヴェルチが抱く竜骸剣の名は『Galantyne00』。周囲の光と熱を取り込み刀身を形成する魔剣は、彼の詠唱の元、柄より更なる炎を吹き出させる。
 彼が喚ぶ炎は、円卓の騎士の残滓から引き上げた力の欠片。如何なる障壁も、如何なる防御も突破するそれを大上段に構え、ヴェルチは叫ぶ。
「総てを照らし、罪悪を染め上げるは宙光の陽炎!」
 超大和の天頂から足下まで。
 炎が駆け巡り、そして、その身体を両断した!
「――ってワケに行かないよな!」
 己が斬り裂いた残影に舌打ちし、ヴェルチもまた、睨眼を超大和へと向けていた。
「然り。流石の我もパラドクスで傷を負う。真正面から受けてやることは出来んな」
 そして、超大和もまた、腕を翳した。
 発するそれは幾多の砲撃。そして、具現化した巨大錨による殴打だ。砲撃はヴェルチやまほろばへ突き刺さり、次いで放たれた錨の回転は嵐を呼ぶと、彼へと零距離魔力砲撃を敢行するシルの身体を吹き飛ばす。
 反撃の一打はしかし、手加減など微塵も感じさせない破壊であった。
 シルは壁に叩き付けられ、かはりと吐息を零す。その様相は彼女だけでは無い。ヴェルチもまほろばもまた、同様に傷を負い、口端から血泡を零していた。
「ふむ。大したものだ。我が攻撃をまともに受け、それでも立ち上がるか」 
 賞賛じみた台詞に、しかし、ヴェルチは表情を歪め、裂帛の気合いを叫ぶ。
「これで終わると思ってないよな? その余裕、じりじりと焦がして炙って燃やし尽くして焼き熔かしてやらァな!」
 何時までもそのすまし顔を続けられるか、根競べと行こうじゃ無いか!
 叫び、吶喊する彼に、超大和は頭を振り、そして己が砲撃を叩き付ける。
「無謀な」
 思わず零したであろうその言葉に、しかし、反応する者が居た。
 魔力の残像を纏うシルであった。
「無謀って思う? そだね、あなた相手に――」
(「こんなに少数で仕掛けるなんて常識的には考えられないよね!!」)
 続く言葉は内心でのみ。代わりに彼女の口が紡いだのは多重の詠唱。それに呼応し、幾多の魔砲が超大和へと突き刺さる。
「捨て石になるつもりはないよっ。一瞬でも――」
「一瞬でも……なんだ?」
 パラドクスの嵐が吹き荒れる中、シルの独白に突き刺さったのは、血よりも濃い紅い視線だった。
 まるで邪視の様な視線に、シルは心の何処かに締め付けられるほどの痛みを覚える。
 それが恐怖である事を彼女は正しく理解している。
 今、自身が対峙しているのは超大和。この改竄世界史冥海機ヤ・ウマトの頂点に立つ断片の王なのだ。恐怖心は確かに存在している。だが、それを呑み込み、戦いへの想いへと昇華できるのもまた、彼女の強さであった。
「おおっと。まほろばを無視して館長さんに声を掛けるなんてつれないな。超大和っ。同じ『超々々弩級戦艦』を超える者同士の砲撃戦だぞぉ? 仲間はずれにしないでよねっ!」
 超大和の疑念を刈り取るが如く、まほろばは軽口とパラドクスによる砲撃を放つ。
 それらを捌きながら、超大和の表情に苦いものが浮かんでいた。苦虫を噛み潰したような顔とはまさにこのことであった。
「失礼だな! もしかしてまほろばを見くびっている?!」
「敵である貴様がどう名乗ろうが、我は関知せぬ。超々々々弩級戦艦、だったか?」
 超々々弩級戦艦を超えるから超々々々弩級戦艦。先のまほろばの口上を聞いていたのか。彼女の二つ名を告げた言葉に揶揄も嘲りも感じなかった。ただ、まほろばがそう名乗った事実のみがある、とだけ告げる様であった。
 ぐぬぬと唸るまほろばは、しかし、自身の冷静な部分で戦場内に視線を走らせる。
 超大和の意識は確実に自身等へと向いている。だが、それは未だ完全ではない。視界の端で繰り広げられるトループス級冥海機『オクトリア』の挙動は精彩で、対峙する仲間達と互角以上に渡り合っている。それは彼女達の想定に、未だ届いていない証左でもあった。
「断片の王、この冥海機ヤ・ウマトと言う世界の、実質的な心臓よ」
 まほろばの砲撃の中、再三と超大和に取り付いたヴェルチは、己が孝行に溢れる血流を吐き捨て、そして、剣を振るった。
「何もかも焼き尽くし、燃やし熔かす。それを詠うからには、この場であんたも燃やせない事には始まらない。――覚悟しやがれ!」
 再度放つ斬撃は、超大和の軍服に、袈裟斬りの傷を刻んでいった。

 無謀だと、超大和は言う。
 無謀ではない、とシルは叫ぶ。同時に自分達を意識しろとまほろばは挑発し、自分達から目を逸らすなとヴェルチは獣じみた笑みを浮かべる。
 そう。これは策の一環だ。超大和の意識を全て対峙する復讐者達に向けさせ、彼に隙を生ませること。彼の指揮が、そのカリスマがオクトリア達に十全以上の力を与えるならば、それを阻害し、奪うことが復讐者達の本懐であった。
 そして、その一瞬のために、復讐者達は全力を尽くす――。

 幾渡とパラドクスが交わされただろうか。
 既に幾多の傷を負う復讐者達に比べ、超大和の顔は未だ、平然とした物であった。
 軍服には魔砲の跡が、砲撃の跡が、そして炎の斬撃の跡が刻まれている。だが、それだけだ。息一つ上がらない涼しげな顔のまま、超大和は復讐者達を睥睨している。
「終わりだ」
 そして、再度展開した巨大砲台が向く先は、彼に何度も肉薄し、斬撃を加えてきたヴェルチであった。
 それでもとヴェルチは再度の斬撃を叩き付けるべく、超大和の元へと跳躍する。――その口元に浮かんだ笑みを、シルとまほろばは見逃さなかった。
「――ッ!」
 轟音が響き、ヴェルチを呑み込んでいく。焼かれ、砕かれていく痛みを全身で憶えながら、しかし、ヴェルチは残された力を総動員させ、僅かに動く親指を地面へと突き付ける。
「そうだよな。止めを刺す程の攻撃を行うなら――お前は僕を『狙わないと』いけないよな?!」
 我が身を犠牲にしてまでも、彼が為そうとしたことを悟った超大和の表情に、驚愕と焦燥が刻まれた。
 その表情に満足したのか、ヴェルチからククリとした笑いが刹那に響き、そして、何も聞こえなくなる。
「最後は――気合いだっ!!」
 そして、シルの魔砲が超大和へと突き刺さる。その砲撃は幾多にも重なり、爆炎が二人の身体を包み込んでいた。
 己を縫い止めるそれを両の腕で捌きながら、超大和は眉をしかめる。別方向から打ち出される砲撃を浴び続けながらも、それらをパラドクスで制する超大和は、確かにその瞬間、復讐者達の挙動に心を奪われていた。
 ヴェルチが身を挺して生み出した隙。
 その暇を無駄にしないと繰り出された復讐者達の最大火力の攻撃が、待ち望んだ機会を生み出したのだ。
 その時間は、数分にも感じ、或いは数秒程度でしかなかったかもしれない。
 だが、それは、超大和にとって決定的であり、致命的な思考の間隙となる。
(「一分でも、一秒でも、長く――」)
(「次の動作に移らせないっ。まほろば達の決死の攻撃を食らえ――」)
 息をすることすら惜しいとばかりに、復讐者達は己が全身全霊を超大和へと叩き付けた。

 どれだけの時間が経過しただろう。
 それが望んだだけの時間だったようにも、即座に終わった様にも思えた。
 返す刀の嵐が、砲撃が吹き荒れ、そして、復讐者達の攻撃を制した超大和はしかし、その口から歯噛みの音を漏らす。そして、視線を巡らせ――僅かな呻き声を発した。
「――我が娘達よ」
 悔恨に満ちた声が零れる。復讐者の意図を正しく理解した彼は、それを為した二人を睥睨。続けざまに再度のパラドクスを紡いだ。
 狙いは魔砲で彼を釘付けにしたシルであった。残心と身構える彼女に対し、パラドクスの嵐が突き刺さる。
「させないっ!」
 そこに飛び込んだのはまほろばであった。能力と技量、そして確率の壁を超えた彼女は、そのまま超大和が生み出す嵐へと吶喊し、シルをその圏外へと叩き出す。
 渦中の攻撃に己の身を残した彼女は、しかしただ、誇りを口にした。
「――これが、超々々々弩級戦艦の矜持。絶対、守り切るって決めたからねッ!!」
 ぐしゃりと潰れるその間際まで、浮かぶそれは花のような笑顔で、そして、誇らしげな笑いだった。
 ヴェルチとまほろば。二人の最期を見送ったシルは、ただ、大声で叫ぶ。
「これが、私達の力だ!」
 刹那、超大和から吐息が零れる。
 ゆるりと立ち上がりながら、シルはその裏に潜む感情を受け止め、唇を噛んだ。
 超大和から零れた嘆息はまさしく、慟哭の響きを帯びていた――。

『ヴェルチ・アリ(GE-07・SOL01847・g03614)は重傷を負った』
『麗・まほろば(まほろばは超々々々弩級戦艦ですっ!・g09815)は重傷を負った』
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【一刀両断】がLV3になった!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!

アンゼリカ・レンブラント
【連合艦隊】
私達を迎え撃つ断片の王の陣は堅牢そのもの
でも、奪還がすぐ傍に来ている今
私達の闘志は最大まで燃えているよ

サヨコ、勲、クィト。仲間と足並みを揃え護衛に仕掛ける
最初は標的を仲間と揃えずに星形状のパラドクスを放出
足を使い敵全体の動きを制するよう動き
トループス級が超大和や海戦装の方に向かえないよう立ち回る
(必ず仲間が超大和の指揮を乱す、その時こそ勝負!)

長期戦になると思うけれど
【ガードアップ】の恩恵で厚くなった障壁と盾で
敵の蛸足と鎖をいなし致命打を避けていくよ

超大和の指揮が乱れ、パラドクス通信での反転攻勢の合図を受けたら、
標的を揃え一気に攻めるよ!
倒せそうな個体、ついで仲間と攻撃を合わせられる個体を優先に狙い
数を減らしていき此方への攻撃を減らしていこう

ディフェンスは勲(g10186)に
そうそう通しはしないからね!

敵の数が減っていけば、徐々に仲間と挟み込むよう位置取り殲滅だよ
王直下のトループス級、確かに強かった
けれど力を合わせる復讐者に突破出来ない壁はないよ
最大まで輝け、《天輪輝星》ッ!


月鏡・サヨコ
【連合艦隊】
クィト(g00885)をディフェンス

生命の軽視と死者の冒涜に根差した世界の存在を、私達は否定する
出自が違えど想いと目的はひとつだ
……共に往こう。すべての魂の静かな眠りのために

勲の後衛からの支援を受けクィト・アンゼリカと前衛に立つ
【パラドクス通信】で勲や触手・超大和に挑む仲間と戦況を適宜伝達
私達によるトループス級の誘引や、仲間の行動による超大和の指揮の乱れを具に把握
各戦域(選択肢)で他戦域の状況変化が生む好機を逃さず動く

前衛組同士で互いの死角や攻撃後の隙を補い合いながら長く戦い、敵を釘付けにする
――『閃電・偃月』起動
≪対艦軍刀『銀鉤』≫を振るい灼熱のプラズマ波を放つ
触手をプラズマ波で牽制しながら踏み込み、本体に一閃を浴びせて深手を負わせよう
蛸足と鎖は後ろや横にステップしながら刀で打ち払って狙いを逸らさせ、体を解体されないように

勲の号令と同時に撃破に向けた集中攻撃を開始
他の前衛組と別方向からプラズマ波を撃ち込んで姿勢を崩し、隙を見せた者は直に斬り倒そう

――平和への道を、斬り拓く!


クィト・メリトモナカアイス
【連合艦隊】
サヨコ(g09883)をディフェンス

民の安寧は戦火の中にない。
故に。戦火で生まれ戦火を生む冥海機の支配の中にもない。
ここは獣神王朝ではないけれど。
んむ。この地の民と、この地の民の為に戦う汝らの為に我も戦おう。

サヨコ、アンゼリカ、勲と一緒に護衛のトループス級に攻撃を仕掛ける。
最初の狙いは敵を撃破することではなく、オクトリアたちを釘付けにし、超大和や海戦装へと向かう仲間たちが妨害されぬようにすること。
フリーになるオクトリアが出ぬように最初は固まり過ぎず、別々の敵を狙う。
【命中アップ】を積んで有効打を与えながら敵の反撃を弱め、謎の魚雷を叩き落し、【ガードアップ】で身を守って大きな傷を受けないようにして時間を稼ぎ、仲間が超大和に攻撃を仕掛けトループスを指揮する余裕がなくなった時がちゃんす。

後方から戦線を見る勲の【パラドクス通信】からの合図で、全員で標的を合わせて一気に反転攻勢の各個撃破。「天に坐すは二つ国の庇護者」でくるくると回りながらの黄金猫拳打棒での連撃でオクトリアの撃破を狙う。


三間・勲
【連合艦隊】
アドリブ歓迎
レンブラントさん(g02672)にディフェンス

覚悟を決めた冥海機の脅威と連帯感の強さは何度も目の当たりにしてきました
しかしここまで来た僕達なら乗り越えられると信じています
全力で行きましょう!

後方から全体の戦況を観察しつつ行動
【パラドクス通信】で『オクトリア』に対応する味方の他、可能なら全体とも連携
直接把握が難しい状況は味方の連絡を頼りに

味方の攻撃対象から漏れたり別動隊を狙う個体に対し、クラゲ型爆雷で攻撃して全体のカバーに回ります
結界術と爆破の衝撃を利用して敵の陣形の分断、行動の妨害を試みます

反撃の噛み付きに対しては氷盾の防御の他
軍刀を噛ませたり盾で接近する蛸を殴り払い負傷を軽減
【ガードアップ】を重ね、味方と相互に守り合い
痛みに怯まず別部隊の行動で指揮系統が乱れるまで護衛の行動を制限し持ち堪えます

仲間の超大和への攻撃で隙が生じたら即座にオクトリアを担当する味方へ攻勢に転じる合図を
クラゲの包囲を用いつつ残る敵を追い込み、力を合わせ一斉攻撃で護衛の撃破に集中しましょう


 光が舞う。鎖が踊る。飽和を超越した励起体が飛び、対して物理の触手が跳ね上がり打ち据える。
 守護者は踊るように得物を繰り、護衛者は鋭く己が爆雷を叩き付け、無数の爆弾が、黒い牙が相手を抉り、砕いて行く。
 繰り広げられているのは、そんな戦いだった。

(「覚悟を決めた冥海機の脅威と連帯感の強さは何度も目の当たりにしてきました」)
 海月型爆雷の群れを召喚しながら、三間・勲(漁火・g10186)は独り言ちる。
 賞賛にも似た感想が浮かぶのは、彼が冥海機との戦いを繰り返し、そして勝利してきたからだ。
 今までの戦いを想起し、そして、海月型爆雷を喚ぶ手に力を込める。
(「しかし、ここまで来た僕達なら乗り越えられると信じています!」)
「全力で行きましょう!」
 仲間を鼓舞する為、彼は吼えた。

「――平和への道を、斬り拓く!」
 己に向かう触手群と鎖達を断ち切りながら、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は想いを叫んだ。
「生命の軽視と死者の冒涜に根差した世界の存在を、私達は否定する。出自が違えど想いと目的はひとつだ」
 改竄世界史冥海機ヤ・ウマトは『海戦』にまつわる人間の感情の動きや落命からエネルギーを回収する。そして、その海戦を経て生み出されるのがサヨコ達零式英霊機。そして、目の前のトループス級冥海機『オクトリア』のような冥海機達だ。
 その存在は間違っていると彼女は断ずる。死から生まれる存在など、死者への――否、死への冒涜だ、と。
「……共に往こう。すべての魂の静かな眠りのために」
 その決意の元、彼女は白熱飽和した対艦軍刀を振るうのであった。

「んむ。民の安寧は戦火の中にない」
 サヨコの言葉に同調するよう、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)がむふーと唸る。
 その手に握られたのは黄金猫拳打棒。因みにルビは『ゴールデンねこパンチぼう』である。黄金色に輝く錫杖の如き槌を振るい、オクトリア達を打ち据える彼女は、うむうむと頷いた。
「故に。戦火で生まれ戦火を生む冥海機の支配の中に、安寧などはない」
 ここは、彼女が生まれた改竄世界史獣神王朝ではないけれど。
 苦しむ民がいるならば、それを救い出すのが守護者たる彼女の役目だ。
「この地の民と、この地の民の為に戦う汝らの為に、我も戦おう」
 仲間の為に戦いへ身を投じる。そこに迷いは無いと、クィトは笑う。

「我が手に集う裁きの光よ。全ての邪悪なる者を、焼き尽くせっ!」
 煌めくパラドクスでオクトリアを牽制しながら、アンゼリカ・レンブラント(白鯨殺し・g02672)は戦場を駆け抜ける。
 戦場を駆け巡る彼女の攻撃は目まぐるしく、四方八方から叩き付けられる光に、オクトリア達は幻惑の兆しを見せている。
 だが、と彼女は内心で首を振る。まだだ、未だ足りない。
 オクトリア達を制する決定的な機会は、未だ来ていない。
(「確かに私達を迎え撃つ断片の王の陣は堅牢そのものだ」)
 護衛たるトループス級冥海機『オクトリア』、一つ一つがジェネラル級冥海機に匹敵するとまで言われた八本の独立戦闘型海戦装『八八艦隊』。そして、冥海機ヤ・ウマトの頂点に立つ断片の王超大和自身の強力さは、オクトリア達と対峙するだけでも、圧を感じ取ってしまう。
 だが、負けるつもりはない。敗北を喫するつもりなだけならば、この戦場に身を投じない。そこに勝算があるからこそ、アンゼリカ達は戦うのだ。
「私達の闘志は最大まで燃えているよ!」
 己と仲間を誇り、彼女はその言葉を口にした。

 オクトリア達と復讐者達の攻防は五分五分――否、分はオクトリア達にあった。
 最精鋭とまで謳われた彼女達は、個々の力量だけでも復讐者を上回り、加えて其処に、戦場を俯瞰する超大和の無言の指揮が加わるのだ。
 今や、軽快にパラドクスを放つように見せつつ、しかし、復讐者達の損傷は大きい。触手と鎖の殴打に血を流す者。爆雷に身体を焼く者。そして、牙を受け防具毎身体を砕かれる者。多種多様の被害を受けつつも、しかし、復讐者達の目に宿る光は消えない。
 彼ら彼女らは知っている。何れ、その機会が来ることを。
 今や、超大和へと迫りゆく仲間達が、オクトリア達への指揮を剥奪するその瞬間を信じ、復讐者達はパラドクスを振るう。

(「やっぱり、キツいなぁ」)
 オクトリア達から受ける鎖と触手を手にした黄金大剣『Day Braek of Leo』でいなしながら、アンゼリカは思わず呻いてしまう。
 撃竜の証したる清輝の軽鎧は所々が砕かれ、身体に纏うオーラの防御障壁も、今や色が薄れ心許ない。残留効果【ガードアップ】も今やLV3に及び、通常の冥海機戦であれば、充分な程の積み重ねが行われていると思う。
 ――通常ならば。
「流石は王の護衛と言うべきか」
 同じく触手と鎖に立ち向かうサヨコもまた、纏う巡洋戦艦海戦装『黒姫』に罅を受け、純白の軍服に裂傷を刻みながら、頭を振っていた。
 有り体に言えば、オクトリア達の攻撃は痛かった。通常のトループス級冥海機を並とするならば、彼女達の攻撃力はそれを遙かに上回っているように感じた。
 それが最精鋭の性能であるが故か、それとも、断片の王の指揮による結束の為かは判らない。もしかしたら、後が無いと言う背水の想いも彼女達の戦闘力に影響しているのかもしれない。
 だが、その検証をする暇は無かった。
 そして、如何に敵が強力であれ、そこに諦観の感情を抱くほど、二人は潔い性格でも無かった。
「んむ。それでも我らは渡り合えているぞ」
 謎の爆雷を受け続けた為だろうか。衣服の下の浅黒い肌に幾何かの痣を見せつつ、クィトは頷く。
 復讐者達の損傷も激しいが、敵にも有効打を刻み続けている。サヨコの立ち回りはオクトリア達を惑わせ、アンゼリカの光輝はオクトリア達を確かに焼いている。
 そして何より――。
「超大和と戦いは、圧しています! 少々舌戦も入っている様ですが、ここから、おそらく――」
 残留効果【パラドクス通信】の小型無線を介し、勲の声が飛ぶ。
 海月型爆雷を繰り出しながら、彼は超大和との戦いを観察していた。ならば、その彼を守り、そして、オクトリア達を制するのがクィト達の役目だ。
 機を窺いつつも、牽制に全力を尽くす。
 危険極まりない戦運びでは合ったが、しかし、相手が断片の王である以上、致し方ない。賭けはつぎ込む額が大きいほど、戻りも大きくなる物なのだから――。

 最初に聞こえたのは仲間の砲声。
 そして、全てを飲み尽くすような轟音であった。
「――今です!」
 多重の爆雷を召喚する勲の声を聞くまでもない。
 それが待ち望んだ機会だと、判断した復讐者達は弾かれた様に己がパラドクスを放ち、或いは携え、オクトリアへと迫っていった。

「我が守る」
 仲間達を。冥海機ヤ・ウマトの民達を。そして、世界そのものを。
 クィトはその誓いの元、己が得物たる黄金の槌を振るう。無数の乱撃を受けたオクトリアの表情を締めるのは、驚愕と焦燥の色であった。
「超大和様――お父様?!」
 おそらく無言の指揮が途絶えたのだろう。その焦燥はおそらく刹那で、しかし、復讐者達に取っては絶対の機会であった。
 クィトの乱撃に合わせ、サヨコまた駆け抜ける。プラズマ気流の刃と化した得物を振るい、オクトリア達の触手を、鎖を、そして本体を断ち切っていく。
「一気に切り崩す!」
 如何に仲間が全力を尽くしているとは言え、敵はあの断片の王、超大和なのだ。持ち直すまでの時間は僅かだろうと予測する。
 その数秒こそが、この戦いの分水嶺となる筈だ。
「――チッ!」
 鋭い舌打ちは、仲間を切り倒されたオクトリアからだった。そこに飛び込む海月型爆雷は、そして星形の光は、オクトリア達を捉え、打ち砕いていく。
「最大まで輝け、《天輪輝星》ッ!」
 復讐者に超えられない壁はない。
 そう断じたアンゼリカは全ての力を投げ打ち、パラドクスを発する。
 それがオクトリア達を穿ち、貫き、燃やし尽くしていった。
 だが――。
「たとえ、お父様の指揮が無くとも!!」
「やはり、最精鋭と謳うだけはあります……か」
 それに制されるのであれば、断片の王の護衛は務まらないと、オクトリア達は叫ぶ。彼女達もまた、使命を帯びている。矜持に突き動かされている。一瞬の虚は、自身等の半壊を招いたが、それでも、まだ、半壊だと叫び、触手を、爆撃を、牙を繰る。
 その一端が最初に呑み込んだのは、光を放ち続けるアンゼリカであった。
「――ッ!」
 元より、前線で戦い続けた彼女の損傷は大きく、疲労は濃かった。全ての気力を振り絞り、戦う彼女の身体を触手と鎖が縛り、ギチギチと砕いて行く。
「アンゼリカさんッ!」
 援護に機雷を飛ばしながらも、駆け付けようと足を踏み出す勲に、彼女はただ、微笑を向け、そしていった。
「――倒して」
 それが、末期の言葉だった。
 最期に紡がれたパラドクスは、流星雨の如くオクトリア達へ降り注ぎ、彼女達を吹き飛ばしていく。
 半壊どころか壊滅状態と化したオクトリア達であったが、しかし、その目は未だ、死んでいなかった。むしろ、ここからの末路こそが望みとばかりに、復讐者へと飛びかかってくる。
「クィト!」
「サヨコッ!」
 互いに互いを庇おうとした復讐者二人は触手と鎖、そして爆雷に飲まれていった――。

 もしも、の話となる。
 もしも、二人が選択したパラドクスの属性が異なっていたら、此度は別の結末を迎えたかも知れなかった。
 もしも、二人どちらかの技量が相手を大きく上回る物であったならば、どちらかは守り抜けたかも知れなかった。ただ、確率の壁だけが、彼女達の障害となり、それを乗り越える未来も合ったかもしれなかった。
 だが、互いに庇うことは出来なかった。得手とする能力も異なり、技能も相応だった二人は、そもそも、ディフェンスを成立させる条件を満たすことが叶わなかった。
 そして、非情な現実が牙を剥く――。

 ぐしゃりと潰れ、崩れ落ちた二人のパラドクスを前に、オクトリアは荒い息を吐く。
 逆説連鎖戦は時間を、空間を、世界法則までも歪める。仕留めたが仕留められた。その状況にゴボリと血塊を吐き出した彼女は、ただ、ズルりと血の跡を残しながら、勲の元へと歩んでいく。
 それは執念だった。事切れるその瞬間まで抗うと、触手を伸ばし、勲を喰らわんと怪異の牙を剥く。
「でも、それを受け入る事は出来ません」
 現実は非情だと、勲は呻く。そして、その非情な現実は復讐者と冥海機、歴史侵略者の双方に訪れるのだ。
 無数の海月型爆雷が彼女を包み、そして止めの一撃へと昇華されていった。
「ああ……」
 燃やされ、砕け、消え行く指先を、触手を、そして己の身体を見やりながら、オクトリアは末期の言葉を口にする。
「――でも、これで、良かった」
 死闘を繰り出した相手の末期を阻害するほど、勲は粗暴では無く、むしろ、敵味方問わず礼を尽くす誠実な少年であった。
 故に、その末期を全て聞き遂げてしまう。
「お父様は優しい方。きっと、私達の存在が足を引っ張ってしまう。――私達が先に果てる以上、あの方は、きっと、全力を尽くせる……」
 失った手が伸びる先は、自身の止めを刺した勲では無く、その向こうにいる筈の超大和であった。
「先に逝っています。お父様。だから……来ないでください」
 最期の願いと共に、オクトリアの身体はそのままミッドウェー鎮守府司令室の床へと崩れ落ちていった――。

 それが只の負け惜しみだったのか。
 それとも、何らかの示唆だったのか。それは、勲には判らなかった。
 ただ、自分達の成したことが、この戦いを大きく動かすであろうとの予感のみを抱き、彼は戦場に視線を巡らせる。
 そして、――もう一つの最期を、その目に焼き付けることとなった。

『アンゼリカ・レンブラント(白鯨殺し・g02672)は重傷を負った』
『月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は重傷を負った』
『クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は重傷を負った』
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【照明】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【壁歩き】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV4になった!

シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携歓迎
【連合艦隊】
ヴェルチ(g03614)をディフェンス

指揮官がアヴァタールでも指揮に長けてたら部下は一気に手強くなる。断片の王じゃ尚更か。
部下や触手を削るのも容易じゃないし、残したまま超大和を倒すのは無茶もいいとこ。
……でもいくら最精鋭でも、超大和の指揮がなければきっと倒せる相手だ。それなら。

仲間が作ってくれた隙を無駄にせず、一気に敵陣を突破して超大和の懐に飛び込む。
シルとは反対側から鬼神変での一撃を叩きこもう。
指揮に意識を割かせないよう、接近戦で思考リソースを削りにかかる。
まともなダメージは期待できないかもだけど、それでも無視し切る訳にはいかないよね。

やれる余裕があるなら、シルやヴェルチに対する超大和の対応を邪魔し、撹乱するように動こう。
出来るだけ他方向から攻めて、注意を分散させたい。
相手は断片の王。そう簡単にはやらせてくれないだろうけど。
あっさり倒れて役割を果たせないなんて御免だし、姑息でも何でもやれることは全部やるよ。
一秒でも二秒でも多く、お前の時間を奪ってやるから。


「娘よ。我が娘達よ……」
 漏れ聞こえる呟きは慟哭であった。その嘆きは、自身の護衛たるオクトリア達の死を本気で悲しんでいる、そう聞こえるに充分な響きを帯びていた。
(「これが――冥海機ヤ・ウマトの断片の王『超大和』)
 それを受け止め、シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)は身構え、そしてその懐へと飛び込んだ。

 鬼の手が舞う。異形巨大化した圧壊は超大和の軍服を切り裂き、その肌に裂傷を与える。
 返す刀の砲撃はシエルシーシャを灼き、彼女の身体を弾き飛ばす。
 一撃を受け、一撃を返し、殴り、殴り返される様は、まるでパラドクスによる交歓の様にも見える光景だった。
 そして、シエルシーシャは気付く。超大和に訪れた異変を。
 それが、彼の全身を包む震えだと認識したとき、シエルシーシャはただ、怪訝に問うた。
「何が可笑しい?」
「可笑しい。ああ。可笑しいとも。この後に及んで貴様らを見くびっていた我の滑稽さ故、笑いもする。……娘達よ、怨敵たる悪魔達よ。笑え。愚かな王と、愚かな父と笑ってくれ」
 それでも繰り出される砲撃混じりの拳はシエルシーシャを打ち据え、彼女の身体を刹那、宙に浮かせた。
 だが、シエルシーシャも負けてはいない。異形化した鬼の腕を囮に、その腹へと膝蹴りを叩き込み、会心の笑みを浮かべる。
「たとえアヴァタール級の指揮官でも、長けていたら部下は一気に手強くなる。お前が断片の王じゃ、尚更」
「故に八八艦隊を掻い潜り、我を強襲し、娘達への指揮を奪った、か」
 決意も敢行も容易ではなかった。だが、それを為し、そして、成し遂げた。
 己の成果に胸を張るシエルシーシャに、刹那、超大和は苦々しい表情を浮かべ、その顎へと殴打を放つ。砲撃の一撃に、シエルシーシャは僅かに後退。だが、と再度超大和に取り付き、全身全霊の一撃をその頬へと叩き付けた。
 幾ら最精鋭の護衛であっても、超大和の指揮が無ければきっと倒せる。そう信じて積み上げた作戦は、仲間によって成された。今、この戦場に残されたのは超大和の海戦装『八八艦隊』、そして超大和自身のみだ。
 息巻くシエルシーシャに再度、砲撃の一撃が放たれた。被弾の後に彼我の距離を置いた彼女に、否、そこに居ない誰かに向かい、超大和は声を上げた。
「ふははは。我が娘達よ。賞賛せよ。ディアボロスは我に対し『連携』をしてきたぞ!」
 超大和の哄笑は、何処か楽しげにも聞こえる物だった。
 生憎それを語る相手はいない。護衛のオクトリア達はもう亡く、今、激戦を繰り広げている筈のジェネラル級冥海機達に言葉を届ける術はない。
 護衛のオクトリアを倒す。それは当然の思考だ。だが、その為に超大和自身の指揮が邪魔だ。
 そして、超大和自身は海戦装『八八艦隊』に守られており、阻害は難しい。
(「それを、彼奴らは皆で抑え、我に一刀を喰らわせ、娘達を討つ隙を得た――」)
 それは『連携』だった。超大和の認識として、何処までも正しい連携だった。故に笑う。故に感嘆する。完全統制に特化した己が娘達ならば兎も角、雑多な意識の交わる復讐者達がそれを成したのだ。それは超大和にしても、賞賛に値する行為であった。
「故に」
 パラドクス強化された拳を己に叩き付ける好敵手の頭を鷲掴みにし、そして彼は言う。
「我も同じ考えだ。ディアボロスよ。優秀な指揮はそれだけで脅威となる。故に、我は貴様を殺す」
「一秒でも二秒でも多く、お前の時間を奪った。それが私の誉れだ」
 最期の言葉を全て聞き遂げ、超大和は己が掌を閉じる。
 肉と骨が潰れる音と共に吐き出された砲撃はシエルシーシャの身体を捕らえ、消滅させていった。

『シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)は重傷を負った』
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

 流石は断片の王と言うべきか。
 第一波とも言うべき【連合艦隊】の猛攻を凌いだ超大和は、しかし、と身構える。
 その第一波に呑まれ、護衛たるトループス級冥海機『オクトリア』達と、そして海戦装『八八艦隊』の触手三本までもが失われてしまった。
 手痛い損失を思い、しかし、彼に浮かび上がる表情はむしろ、好戦的な笑みであった。
「当然、これで終わる筈も無かろう? ディアボロス」
 忌むべき敵ではなく。
 排除する障害でもなく。
 好敵手を迎え入れるような表情で、改竄世界史冥海機ヤ・ウマトの断片の王は嗤う。
「終焉のその瞬間まで、我が全てを叩き付けてくれよう」
 その表情は支配者のそれではなく。
 むしろ、挑戦者の面持ちに近かった。
ラキア・ムーン
【奴崎組】
白水(g01398)をPOWでディフェンス

チームで連携を組み海戦装と対峙
全ての触手を同時に相手するのでは無く2〜3本に集中して対処
連携する者同士互いに隙を埋め合うように周囲の警戒を怠らない
確実に1本ずつ触手を撃破していこう

攻撃性能が喪失されているのは助かる話だ
先に海戦装を片付け正面から超大和と対峙し決着を付けるさ
此処で確実に倒しきる


《RE》Incarnationを構え鎮守府内へ突入
少し後方より敵海戦装の挙動を確認
防御主体で超大和を守護するというなら、奴を狙うかのような動きを見せつつそれに反応した触手を討つ
槍に魔力を込め炎を滾らせる
槍先は常に超大和に向け、さも奴を狙うかの如く動く
その動きに触手が反応したなら、その時動ける仲間と連携
反応した触手に攻撃を叩き込む
【Call:Flame_Canon】起動
術式展開、槍に滾らせた炎を解放し『砲撃』として放つ

触手の動きが邪魔になるなら、槍で払い防御し受け流す

仲間が触手に攻撃している時は横槍が入らないよう周囲を警戒
穴を埋め合い1本ずつ確実に破壊


ルィツァーリ・ペルーンスィン
【奴崎組】
アレンジ連携歓迎
POW攻撃ディフェンス

心情
成程、此れが超大和の海戦装
流石は断片の王と言うべきかジェネラル級の其れと比べても段違いだな
だが、其れでも負ける訳にはいかない
超大和を討ち取る、其の為にも此処で負けられるか!

味方との連携を重視し攻撃のタイミングを合わせ集中攻撃
確実に一本ずつ触手を倒していく
確実に当てる為に〇命中アップで命中精度を高め〇ダメージアップや〇能力アップの残留効果で威力を高めた〇ペルーン神の焔矢を叩き込む!

また攻撃能力は失ったが其の巨体から体当たり等は脅威
念の為〇ガードアップを込めた魔力障壁を展開
守りを固め攻撃対象以外の触手等の横やり随時警戒

確かにあんたは強い
そして、あんたが指揮する冥海機達も厄介極まる凶悪さだ
だが、其れでも俺達は負けない
皆の力を合わせて勝利を掴み取ってやる!

先ずはあんたを護る其の強固な盾、海戦装を砕かせて貰う!
俺の放ちうる最強の技、我が神の焔矢受けてみろ!

其れが堅牢で砕きにくいというのなら……己の全身全霊を込めた最強の一撃を以って砕く
其れだけさ!


荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【奴崎組】
仲間は基本的に名前の左側を呼び捨て

【心情】
さっきのような醜態は2度とみせるかよ!
また会ったな!触手!今度は皆で八つ裂きにして壊してやる
さっきので頭が冷えたよ。皆で戦って奴の首をとる!

【行動】
仲間とは声を掛け合いながら積極的に連携していく
使用できる残留効果はすべて使用

ラキア(g00195)の作戦に従い行動
あまり突出しすぎず味方との連携を重視
SPDやWIZが自分より低い仲間をディフェンスする

まずはパラドクスを使用し
炸裂すると敵に電撃ダメージを与える爆弾を製作して持っておく
能力値アップやダメージアップを使いつつタイミングを合わせて一気に攻撃

盾のフェイク・プリドゥエンをジェットボードに変更し近づきすぎないように注意する

必要なら臨機応変に対処する
仲間の助けになれるようにいつでも援護などができるように心構えしておこう


ワシリーサ・ヴォレシア
【奴崎組】
アレンジ連携歓迎
WIZかSPDディフェンス

心情
流石、冥海機の首魁
海戦装だけでも此の強さなんてね
でも、此処で負けてやるつもりはないよ!
海を取り戻す、其の為にも勝って見せるんだから!


味方との連携を重視
味方と攻撃のタイミングを合わせ同一の敵に集中攻撃
一本ずつ確実に倒していく
攻撃には〇スヴォーロフの進軍を使用し敵の護りの薄い箇所へ海戦装をぶち込む
又、自分に意識を向けさせ味方の攻撃から意識が逸れる様に戦場を駆け廻り常に攻撃は別の方向から仕掛けていく

攻撃能力は喪失したとは言え体当たり等は可能だろうから〇ガードアップで守りを強固に
〇戦闘知識を基に海戦装を含めた敵の〇陣形、戦場の状況を常に把握し攻撃対象以外の触手や他の敵の横槍も警戒

超大和、貴方は確かに強いよ
個としても集団の長としても本当に強い

けど、だからこそ……私達は其の強さを完全に発揮できない現状を逃しはしない!
先ずは貴方を護る強固な盾からはぎ取っていくよ!

触手の動きからして攻め立てるならこっちから!

ほら、私はこっちだよ!

全力で討ち取る!


白水・蛍
【奴崎組】
アドリブ等色々歓迎
ラキアさん(g00195)をディフェンス
彼女の作戦を元に動きます。

味方との連携を重視。
タイミングを合わせて攻撃。
海戦装一本一本確実に仕留めていきましょう。
どんな相手でさえも味方と力を合わせればどんな相手でも倒せます。
それはこれまでの経験が証明している。
ここから先もその証明をさせていただきます。
故にどんな相手でも恐るるに足らず!
どんなものでも壊れぬものはない。

触手の妨害があれば武器の持って切り払いして受け流したりと邪魔の影響を最低限にします。
妨害あってもみなと最後まで力を合わせて攻撃を続けてその触手全部へし折って差し上げます。

世界にこの歌を捧げましょう。その代償は全てを切り裂く刃を。
見えぬ刃を以て、その触手貰い受けます!!
さあ、お覚悟を!


リューロボロス・リンドラゴ
【奴崎組】ア・ンデレをディフェンス
我ら奴崎組を相手に“八”を冠するというのなら。
お望み通り八つ裂きにしてくれるわ!

海戦装を先に狙われる可能性が高いのは重々承知であろう。
その上で、超大和は自分狙いも警戒せねばならぬ。
海戦装の攻撃力だけでなく、自律能力を奪った皆の奮闘は大きな成果よ!
マニュアルへ操作を強いらせ、自分と海戦装、双方に思考を割かねばならぬのはいかな断片の王とはいえ、無視できぬ負担となり得るからの!
我らの攻撃が超大和狙いの隙を生むだけでなく、超大和狙いの攻撃が海戦装に隙も生み得る。
隙を生み、隙を見逃さぬ。
友に応え、友の為となる、ヒト、それを連携と呼ぶ!
――幼子よ、健やかに育て。未来護るは竜である。
味方と狙いを合わせ登竜門!
雨粒も重ねれば岩をも穿つ!
力を合わせ鉄壁をも貫かん!
自律攻撃不可という我らの認識を逆手に取った、手動だからこそのシールドバッシュ的な手痛い反撃、超大和ならば狙っていてもおかしくなかろうし、【ガードアップ】で守りも固めようぞ!
カウンターには登竜門でカウンター返しよ!


 続く復讐者達の第二波が閃光の如く奔る。
 それは【奴崎組】の面々であった。
 5本まで数を減らした海戦装『八八艦隊』に取り付いた復讐者達は、思い思いのパラドクスをその巨大触手へと叩き付けていく――。

(「成る程、此れが超大和の海戦装か」)
 皆の一斉攻撃を受け、煙を上げる触手を見やり、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は内心で呟く。
 炎撃に詩歌、雷撃に吸血船海戦装による一斉射撃、竜の突進。そして、己が砲撃。
 その全てを受け、しかし、損傷は軽微と主張するように蠢く触手は、自身へと取り付いた復讐者達を次々へと弾き飛ばしていく。
(「ジェネラル級の其れと比べても段違いだな。――だが、其れでも負ける訳にはいかない」)
 その頂点に立つ一翼、断片の王たる超大和を討ち取る! 其の為にも此処で負けられるものか!
 弾き飛ばされ、着地したルィツァーリは、裂帛の気合いのまま、再度とパラドクスを行使する。
「あんたを護る其の強固な盾、海戦装を砕かせて貰う! 俺の放ちうる最強の技、我が神の焔矢、受けてみろ!」
 再度の砲声の元、巨大な大砲が顕現。無数の誘導弾が八八艦隊へと突き刺さっていく。
「超大和。貴方は確かに強いよ。個としても集団の長としても本当に強い」
 吸血船海戦装を繰り、己が機動力を以て八八艦隊に零距離砲撃を繰り出すワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)から零れた言葉は、何処か賞賛の色を帯びていた。
 だからこそ、と彼女は口にする。
 その決意はルィツァーリ同様、裂帛の気合いと化し、八八艦隊の触手達へと叩き付けられていった。
「けど、だからこそ……私達は其の強さを完全に発揮できない現状を逃しはしない! 先ずは貴方を護る強固な盾から剥ぎ取っていくよ!」
 その後は、貴方だっ!
 自身に叩き付けられる少女の決意に、超大和は眉を動かす。
「万全であれば、等と泣き言は言わんよ。我が八八艦隊から力を奪った点、その点は貴様らに敬意を表そう。その上で――」
 それは、静かな声だった。
 だが、気合いと決意に満ちた声でもあった。
 ああ、とワシリーサとルィツァーリは想う。
 敵を倒す。その一点だけは、自身等も、超大和も、同じ気持ちなのだ、と。
 それを否が応でも実感してしまった。
「貴様らを倒そう。断片の王の矜持も冥海機の長としての自尊心も最早不要。我が娘達の為、我がディヴィジョンの為に、我は貴様らを討つ」
 口にした決意と共に、超大和は腕を振るう。彼の動きに合わせ、八八艦隊の巨大触手が舞い、二人の身体を再度、吹き飛ばした。

 超大和による海戦装『八八艦隊』の稼働。それは、確かに自律攻撃能力の喪失を意味していた。
 それが隙だと復讐者達は定義する。
 その定義は――八八艦隊の弱体化は確かに事実だと、超大和は唸る。
 そもそも、八八艦隊の巨大触手は、一本一本がジェネラル級冥海機の力を有すると言われていた。だが、先の作戦の敗北により、八本の巨大触手は失われ、その再生を余儀なくされた。
 充分なエネルギーと時間さえあれば、完全再生も可能であった。
 だが、その暇を復讐者達が与える筈も無い。故に、不完全な再生のまま、最終決戦へ投入せざる得なかった。
 今や、八八艦隊の能力は、全盛期の八分の一程度。八本を以て、ようやく、ジェネラル級冥海機と並ぶ程度。だが、攻撃能力を損なっている以上、確かにそれ以下の力でしかない。そう言わざる得なかった。

「此処で確実に倒しきる」
 海戦装を片付け、正面から超大和と対峙し、そして決着を付ける。
 蠢く八八艦隊を前に、突撃槍《RE》Incarnationを構えたラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は己が決意を独白した。
 静かに。冷静に。しかし、内情は熱く。
 緑色の睥睨を八八艦隊に、そして超大和へと向ける彼女に、共に並ぶ影は是と頷いた。
「どんな相手でさえも、味方と力を合わせれば倒せます」
 白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)であった。
 魔楽器のハープを構えた彼女は、その歌で、その言葉で仲間達を鼓舞する。此度の激励は、ラキアへ、そして共に戦う仲間達へと向けられた鼓舞でもあった。
「それはこれまでの経験が証明している。ここから先もその証明をさせていただきます。故に」
 故に、どんな相手でも恐るるに足らず! と彼女は断ずる。
 実際、彼女達は幾多の断片の王を倒してきた。
 機械化ドイツ帝国の断片の王『ヴィルヘルム2世』を皮切りに、その数は9体にも及ぶ。その列に次は超大和が並ぶのみ。
「どんなものでも壊れぬものはない」
 如何に超大和が強力であれ、倒せぬはずはない。それが蛍の鼓舞であり、歌であった。
「――さっきのような醜態は2度とみせるかよ!」
 鼓舞に合わせて詠唱が飛び、八八艦隊の触手が抉られていく。
 それを雷爆弾で為した荒田・誠司(雑草・g00115)は、己が身体を動かし、調子を確かめる。
 現時点で万全。それは、トループス級冥海機『オクトリア』の集中攻撃によって迎えた死からの完全復帰を意味していた。
 そう。彼に取って死は終焉ではない。機械化ドイツ帝国での敗北を始めとした死そのものは彼に取って只の経験、只の通過点だ。死ななければ安いものと言葉があるが、《不死性》を有する復讐者達にとってはそれどころの話では無い。彼らは戦う意欲を失わない限り、或いは「完全な死」を迎える以外、その歩みを止めることは無いのだ。
 そして、誠司は歩みを止めない。戦い続ける事を選ぶ戦士であった。
(「頭が冷えたよ。皆で戦って奴の首をとる!」)
 単独で先陣を切った彼が為したことはその実、超大和への大きな打撃へと繋がったのだが、しかし、その戦果に甘んじる男では無かった。
「今度は皆で八つ裂きにして壊してやる」
 気迫も気合いも充分と、彼はパラドクスを紡ぎ、仲間と共にパラドクスを巨大触手へと叩き付けるのだった。

 再三にわたって繰り出されたパラドクス攻撃に続くのは、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)による竜の如き一撃であった。
 本来ならばカウンター技である登竜門だが、しかし、攻撃に転じる事も可能だ。巨大触手の蠢きに合わせ、龍に至る鯉の如き殴打が、巨大触手を穿ち、砕き、消し飛ばしていく。
「我ら奴崎組を相手に『八』を冠するというのなら。お望み通り八つ裂きにしてくれるわ!」
 その気勢に呑まれたか、それとも第一波の猛攻で消耗し尽くしていたのか。復讐者達の幾多のパラドクスを受け、文字通り斬り裂かれた巨大触手が弾け、四散する。
 これで四本目――。
 予想以上の堅牢さ故、破壊に時間を有したが、それでも、それを為したことにリューロボロスは笑い、次なる触手を求めて駆け抜ける。
「海戦装を先に狙われる可能性が高いのは重々承知であろう! その上で、超大和は自分狙いも警戒せねばならぬ! 海戦装の攻撃力だけでなく、自律能力を奪った皆の奮闘は大きな成果よ!」
 笑い、哄笑し、そしてパラドクスを振るう。
 その鬼神さながらの動きを睥睨しながら、成る程、と超大和は頷く。
「我らの攻撃が超大和狙いの隙を生むだけでなく、超大和狙いの攻撃が海戦装に隙も生み得る。隙を生み、隙を見逃さぬ。友に応え、友の為となる、ヒト、それを連携と呼ぶ!」
 ――幼子よ、健やかに育て。未来護るは竜である。雨粒も重ねれば岩をも穿つ! 力を合わせ鉄壁をも貫かん!
 リューロボロスの快進撃に、否、リューロボロスを始めとした復讐者達による快進撃に、五本目の触手を半ばまで断たれた超大和は呻き。

 そして、問うた。

「流石よ。ディアボロス。それでこそ、我が娘達に、そして我に敗北の味を刻んだ者である」
 超大和の口から零れたそれは、若干楽しげにすら感じる賞賛で、そして。
「ならば、その連携とやらを受けざる得ん。さあ、見せてみろ」
 まるで子供が親に話の続きをねだるような、そんな言葉であった。

「――な?!」
「取っ掛かりの集中攻撃は見せて貰った。我が八八艦隊は幾何かの傷を負った。それは事実だ。だが、この程度で終わらないことは、貴様らも承知しているのだろう?」
 六人によるパラドクスを全て受け止め、触手の一本を失い、それでも、平然と超大和は問う。
「さあ。来い。この断片の王の全てを以て、貴様の連携とやらを受けきって見せよう。先の様に我が思考の阻害か? それとも我が砲撃以上の神懸かったパラドクスを撃つのか? ああ、貴様らが今まで虜獲したクロノ・オブジェクトと言う可能性もあるな。何せ、貴様らはこれまでに幾多のディヴィジョンを滅亡させている。いずれかの断片の王の超兵器を奪う機会もあったであろう?」
 よもや、今の同時攻撃を『連携』と称するわけではないだろう?
 愉悦の色すら感じる視線は、そう語っていた。
「超大和ッ!!」
 視線を断つように、ラキアの炎撃が飛ぶ。
 炎を纏う突撃槍の一突きが狙うのは、巨大触手でなく、超大和自身。
 だが、それが彼に届かない事を、一番理解しているのは超大和でもあった。
 巨大触手の一本が跳ね上がり、そのままラキアを弾き飛ばす。天井の高さまで跳ね上げられた彼女は、そのまま、天井へと着地。次なる殴打を突撃槍で受け止めると、そのまま床へと踏鞴踏む様、着地していく。
 考えてみれば、当然の帰結であった。
 海戦装は超大和を防衛する物であり、超大和を狙ったところで、それを当然の動きとしか認識しない。超大和を狙う素振りを見せるだけで隙が生まれるならば、それは守護の力を失ったも同然であった。
「ああ。そうだな。一つ訂正しておこう」
 一方でリューロボロスの殴打、ルィツァーリとワシリーサの砲撃、蛍の歌と誠司の電撃を捌きながら、超大和は言葉を口にした。
「確かに我が独立戦闘型海戦装『八八艦隊』は力を失い、自律攻撃能力を欠いている。しかし、我が好敵手たる復讐者の心配には及ばないと断じておこう」
 4本の巨大触手を己が意のままに動かしながら、超大和はそれを告げる。
「我が最強の海戦装が、最強たる使い手の我の元に戻った、それだけの話だ。半ばまで断たれた我が力ではあるが、貴様らの猛攻――否、超攻撃を受けきるぐらいの力量は残されているぞ?」
 さあ、遠慮は無用だ。己が力量を、作戦を全てぶつけてこい。
 嗤いながら、断片の王は復讐者達へと語り掛けるのだった。

 炎撃が飛ぶ。砲撃が飛ぶ。轟音が響き、破砕の音が戦場に木霊する。
 無数のパラドクスを受け、装甲に破壊を刻まれながら、しかし、蠢く巨大触手は復讐者達を捉え、弾き飛ばしていく。
 それがパラドクス攻撃で無い以上、復讐者達の損害は微細。少なくとも重傷に至る程の損傷を受けることはない。
 だが――。
「そもそも、貴様らの誇る未来予知で聞いていなかったのか? 我が八八艦隊を我が扱えば、鉄壁の防御を為すことが出来る、と」
 超大和にして、復讐者達の未来予知は前提であったのだろう。
 故に、未来予知を凌駕する程の作戦を立て、しかし、その作戦すらをも復讐者達は凌駕した。今、超大和を、改竄世界史冥海機ヤ・ウマトを奪還寸前にまで追い込んだのは、未来予知の力のみではない。復讐者達が総力を結集した結果であった。
「確かにあんたは強い。そして、あんたが指揮する冥海機達も厄介極まる凶悪さだった。だが、其れでも俺達は負けない。皆の力を合わせて勝利を掴み取ってやる!」
 ルィツァーリの叫びは神の炎たる砲撃と共に。
「ほら、私はこっちだよ! 全力で討ち取る!」
 海を取り戻す誓いと共に駆け抜けるワシリーサは、自身へと舞い踊る巨大触手に、海戦装の砲撃を叩き付ける。
 そこに放たれる一撃は、リューロボロスによる澄み渡った殴打。二人が刻んだ、否、今までに刻まれた傷痕を狙い、穿ち、砕き、断っていく。
「如何に虚勢を張ろうと、巨大触手は崩壊寸前よッ! 断てェェッ!」
「ああ、そうだな。だが、強がり程度はさせて貰おう。――我が娘、護衛たるオクトリア達の遺言もある。如何なる術を用いても、彼女達の願いを叶えさせて貰うつもりだ」
 対する超大和の台詞は余裕もあり、しかし、焦燥に似た響きも感じる。
 もしかしたら、復讐者達の力を警戒するが余り、その思考は、言葉は平静さを失っているのかも知れない。もしかしたら、復讐者達の力に焦燥を憶え、勝てぬと諦観が首を擡げ始めたのかもしれない。
 だが、全ては仮定でしかない。
 超大和は言った。如何なる術を用いても、と。ならば、声にそれらを混ぜるぐらいの演技はするかもしれない。己が中で何かがそんな警鐘を鳴らしていた。
「世界にこの歌を捧げましょう。その代償は全てを切り裂く刃を。見えぬ刃を以て、その触手貰い受けます!! さあ、お覚悟を!」
 蛍の歌に突き動かされるよう、走り出す二つの影があった。
 ラキアと誠司は己が得物に力を込め、そのままリューロボロス達の貫いた触手へ取り付き、全身全霊の力を叩き込む。
「極炎術式、展開」
「雷よ、降り注げ!」
 今在る全ての【残留効果】。全ての想い。全ての期待。それらを束ねた炎撃と爆弾は、その触手を最奥まで貫くと、そこから轟音と共に破砕を撒き散らしていく。
 それが、五本目の触手の最期だった。
「ほぅ」
 大した物だ、と超大和は頷く。其処に浮かぶのもまた、賞賛じみた笑みであった。

 そして、ふと気付いたように超大和は口にした。
「……貴様は確か、我が娘達が殺したはずだが」
 残り三本の触手で復讐者を牽制しつつ、その睨眼が向かうのは、先程、ラキアと共に巨大触手を破壊した誠司本人であった。
「トループス級……否、アヴァタール級の如くほぼ同じ個体が存在するのか? それとも――」
 独白。思考。刹那に全てを終えた超大和は、ただ一度だけ、ただ一度のみ、大きく頷く。
「根絶したはずのディアボロスが存在している事が貴様の存在理由であるならば――念入りに焼いておくべきか」
 そんな言葉を紡いだ。
苦戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

梅指・寿
【柘榴】で参加。
アリアちゃん、ルーくんと連携して超大和の海戦装を撃破していくわ。
私の目標は八本の触手の内一本を完全撃破。
アリアちゃんやルーくんの二人が大きな怪我をしなかったらもっといい結果だわ。

使う武器はおしおき用ロケットランチャー【小軍鶏丸】、使うパラドクスは【アサシネイトキリング】
二人と合わせて海戦装が吃驚させたいわね。大きな傷をつけたらなおの事良いわ。
けどその分反撃は激しそうね、ロケットランチャーを盾にしてバックステップをして受け流すようにしてダメージを減らしたいわ。
ルーくん、アリアちゃん、けがは大丈夫?
二人の怪我の度合いは常に注意を払いたいわ。私の怪我は…重傷も覚悟でいるわ。だって私が二人を誘ったのだから一番しっかりしなくちゃ。


アリア・パーハーツ
【柘榴】で参加
連携アドリブ歓迎、積極的に二人をディフェンス
寿:ひいおばあちゃま
ルーシド:パパン

まずは前哨戦とやらだ
一つ一つ落としていってやろうね

【意思を持った砲弾】で3匹のホホジロザメを召喚
さあおいで、餌の時間なのだぜ――喰らい付け、離すな、噛み千切れ
【命中アップ】を重ねて、仲間の攻撃が届きやすくしよう

鰭に仕込んだ爆撃で扇動や注意を引き付けられるかな

時にはサメを「足」にして戦場を駆け巡ろう
触手が邪魔だな!
機動力で翻弄して、なんとか一撃を確実に入れてやるのだぜ
愛用の独鈷杵はぶん回して盾代わり

ぎりぎりまで戦場で暴れていたいけど、一人突っ込むような真似はしない
ひいおばあちゃまやパパンを危険に晒したくないし、味方に余計な事はさせられない

だけど、命懸けの一手も格好良いよね
重傷くらいは可愛い勲章と思って出来る事を出来るだけ出来る限りやろう
好機だけは逃さないように戦場を俯瞰する事も忘れずに

だってまだ次があるんだから


 そして、第三波が駆け抜ける。
 気配殺傷からの奇襲、そして、地を這い宙を舞うホホジロザメの群れ。
 【柘榴】の名の下、それらを操りながら走る二人名の復讐者達がいた。
 梅指・寿(不沈の香・g08851)、そして、アリア・パーハーツ(狂騒・g00278)。
 未だ蠢く『八八艦隊』の巨大触手三本の内の一本に取り付き、二人は全力でパラドクスを叩き込む――。

「目標は一本の完全撃破! 行くわよ。アリアちゃん!」
 可憐な装飾を施したロケットランチャーを振り回し――否、ロケット弾を射出し寿が共に戦う二人に檄を飛ばす。
 なお、使用するパラドクスの関係上、気配を消している筈だが、まあ、うん、その存在感が強く映るのは寿が示す精神的な強靱さ、所謂大黒柱な存在、と言う奴だろう。
「任せて! ひいおばあちゃま! ――さぁ餌の時間だ、――喰らい付け!」
 ロケット弾を受け、黒煙を吐き出す触手に注がれたのは、三匹からなるホホジロザメの噛み付きであった。アリアの指揮の下、巨大触手にがじりと噛み付いたホホジロザメ達は、しかし、蠢く触手に振り回され、宙を幾渡も旋回する。噛み付きを継続しているのは流石であったが、その咬撃が通っているのか否かは、アリアには判断付かない。
「それでも――」
 装甲を砕き、巨大触手そのものに傷を負わせている。ならば、食い千切れる筈だと信じ、パラドクスの具現化であるホホジロザメ達に力を注いでいく。
「ほぅ……」
 己が海戦装を強襲した二者のパラドクスに対し、超大和は目を細め、そして、だが、と呟いた。
「攻撃そのものは見事と言っておこう。だが、高い攻撃力に依存するのみでは、この八八艦隊を破ることは出来ん!」
 そして、指揮者の如く、両腕を振るう。
 彼の動きに呼応し、三本の触手は旋回。寿を、アリアのホホジロザメを弾き飛ばし、背後でパラドクスを操るアリアもまた、その殴打で吹き飛ばしていく。
「くっ。ひいおばあちゃ――」
「アリアちゃん。怪我は大丈夫っ?!」
 アリアの叫びよりも早く憂慮の声が飛んだのは、寿の責任感が故だろうか。
 殴打を受け、しかし、存外痛みを覚えていない自身の身体に、ふむ、とアリアは小首を傾げる。
「痛いのは痛いけど、思ったほど……?」
「自律攻撃力を失っているって話だったからね」
 時先案内人が語っていた事を想起する。『八八艦隊は自律攻撃力を失い、防御のみに特化している』と。ならば、攻撃力の殆どを失っているのは、自明の理であった。
「……それでも、何度も叩かれたら危ないかも、だけど」
 だが、それでも断片の王『超大和』が操る海戦装なのだ。ほぼ無力と思わしき攻撃でも、長期に亘って受け続ければ、継戦能力は剥ぎ取られてしまう。戦闘とは、その場に身を投じるだけでも体力を失う行為なのだ。
 故に、しっかりと場を見極め、適切な戦いを続ける。一時退却も止む無し。
 そう決意する寿の言葉に、アリアはこくりと首肯、そして。
「麗しい親子愛だ。ご母堂」
 聞こえたのはそんな声だった。
 そして放たれた触手の殴打は、二人を空間ごと薙ぎ払い、再度、その身体を宙へと打ち上げる。返す刀に放たれたロケット弾、そしてホホジロザメの体当たりはしかし、超大和に届く事無く、別の触手に阻まれ、霧散していく。
 くるりと宙で回転し、足から着地した二人は身構え、そして、そんな二人に超大和は語り掛ける。
「ならば、理解して欲しい。我も同じ気持ちだと。散っていった愛しい娘達がいる。そして今もなお、戦っている娘達もいる。その中、虚勢と言われようと、父たる我が屈するワケにいかんのだ、と」
「……ご高説は承っておくわ」
「だからって、ボク達が手を緩めるなんて、思うなよ!」
 寿は頷き、アリアは駆け出す。
 損害が少ないのであれば、屈する理由は無い。止まるつもりはないと叫ぶ彼女は、再度のホホジロザメ達を召喚。寿のロケット弾に合わせ、その牙を巨大触手へと叩き込んでいく。
 だが――堅いっ!
「この場に及ぶまで、多くの娘を失った。先もそうだ。護衛たるオクトリア達はその本懐を果たし、我より先に逝った。……しかし」
 己が腕で自身を掻き抱く。
「娘達が遺してくれた物は我の中に息づいている」
 そして触手が再度、旋回した。ホホジロザメは鰭に仕込んだ爆弾と共に消失し、そして、アリアの放った独鈷杵もまた、弾かれ床を跳ね、そして彼女の手元へと戻っていく。
「――綺麗事を、とは言わないわ」
 おそらく、其処に賭ける愛情は本物だったのだろう。
 それだけは伝わると、寿は頷く。
 もっとも、子どもや孫達にかける愛の深さを問われれば、自身の方が上だと断ずる気は十分にあったけれども。
「故に、貴様らの前に立つのは超大和のみではない。此処までに至った冥海機ヤ・ウマトそのものだ。――その総てを以て、貴様らを討つ」
「はっ。ならば出来るだけやろう。やれるだけやろう。ボク達がお前を――お前達冥海機を全て倒してやる!」
 アリアの気合い充分な言葉に、超大和は好戦的な笑みを浮かべ、そして。
(「これまでの冥海機ヤ・ウマト……?」)
 僅かな引っかかりを寿は覚え、しかしと頭を振る。
 御為倒しの可能性もある。ハッタリや虚言と言った舌戦の可能性もある。
 今はそれに惑わされる暇はないと、彼女は再度、小軍鶏丸を構え、巨大触手へと取り付くアリアの援護射撃を行うのであった。
苦戦🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎

『八八艦隊』による鉄壁の防御を崩すために私もやれる限りの事を。

一番槍を務めた方の戦いの時、『八八艦隊』の瞳は確かに彼を捉えていました。
独立戦闘型らしいですし少なくとも「視る」機能はあるのでしょう、そして超大和の海戦装である事を考えれば。
超大和と視覚を共有している可能性はあるでしょうか?

『八八艦隊』の巨大さを逆手に取ります。
超大和から見て『八八艦隊』の裏側、超大和本人の死角となる位置から仕掛けましょう。
超大和本人が見えなければ、海戦装の扱いにも隙が生まれるかもしれません。
『八八艦隊』の瞳が超大和の死角の確認に視線を向けようとする動きがあるなら、迷わず瞳へ突撃します。

使う刀は《廻刃刀『竜顎』》、
使うパラドクスは《廻刃刀覚醒・竜牙葬》です。
超大和に意図を読み切られる前に一直線に飛び込み身体ごと『竜顎』を瞳に押し込み破壊を狙いましょう。

的外れならそれも仕方ありません、それでもやれるだけの事はさせてもらいます。
成否に関わらず可能ならその後は連携、味方と同じ触手を集中攻撃します。


 蠢き、超大和を守る八八艦隊と斬り結びながら、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は考える。
(「『八八艦隊』による鉄壁の防御を崩す為に、私もやれる限りの事を」)
 それが、彼女の決意。
 そして、裕樹は思考を紡いでいく――。

(「一番槍を務めた方の戦いの時、『八八艦隊』の瞳は確かに彼を捉えていました」)
 自律戦闘力を失ったとは言え、元々は独立戦闘型。少なくとも『視る』機能はあるのだろう。そして、彼奴が超大和の海戦装である以上、その視覚情報を共有している可能性は高い。
(「もしかしたら、私の思い込みかも知れませんが――」)
 超大和と八八艦隊の瞳が繋がっていない可能性だって、十分にある。
 それ以上に、アレが只の飾りで、瞳の役目を果たしていない可能性だって十分に考えられる。
 それでも、と彼女は駆け抜け、パラドクスを振るう。
 隙が生まれれば、それで良い。その思いを具現化するため、彼女は詠唱を口にした。
「圧し斬れ、『竜顎』ッ!」

 破砕の音を響かせる鋸刃は、八八艦隊の触手を半ばまで断ちきり、そして、鍔迫り合いの如く音を立てる。
 小柄な体躯の全身ごと、刃に膂力を上乗せする彼女に超大和は感心した、との声を上げた。
「……成る程。我が死角を狙ったか」
 まるで、裕樹の全てを捉えていたかのような台詞であった。
 返答代わりに唇を噛んだ彼女に、更なる言葉が放たれた。
「我らの鉄壁の防御に同時攻撃、集中攻撃が通じぬと判断すれば、別の手を即座に行使する発想力と手腕を有する。それでこそディアボロスよ。だが――」
 静かな宣言と共に翻ったのは、裕樹が斬り結んだ巨大触手とは異なる二本の触手であった。
 まるで嵐の如く旋回したそれは、裕樹の身体を捉え、宙へと弾き飛ばす。
 くるくると木の葉の如く回転した彼女は、しかし、足から着地。そして、更なるパラドクスを紡いだ。
 再度響き渡る機械音は、再び傷付いた巨大触手へ。
 それらを二本の触手で阻みながら、超大和は言う。
「如何に貴様らが我が隙を衝こうとも無駄よ。我と我が八八艦隊に死角など、存在せん!」
 叩き付けられる言葉は強く、それが真実なのだろうと実感してしまう。
(「人の形をしていても、やはりクロノヴェーダ。『目で見ている』という常識は捨てるべきですね――」)
 嗅覚、第六感、或いは未来演算。もしくは、【完全視界】のような能力を有しているのかも知れない。少なくとも、復讐者が出来ることは、それ以上の精度で超大和も出来ると考えるべきだろう。
 もしも、超大和の隙を衝くのであれば、如何なる全てをも上回る手段が必要にすら思えた。
「ですが――」
 己を信じ、裕樹は得物を振るう。それでも、と彼女は力強く言葉を発し、廻刃刀を奔らせた。
「貴方も完全じゃない!!」
 超大和は強敵だ。強敵過ぎるほどの強敵、超強敵だ。それは最初から判っていたこと。断片の王である超大和の撃破が、容易な筈も無い。
 ならば――その全てを考慮し、加味し、戦えば良いだけだ。それだけだと、裕樹は断言した。
「やれるだけの事をさせて貰います! 超大和、覚悟してくださいっ!」
 裂帛の気合いが迸る。
 小柄な体躯に支えられた巨大な剣が巨大触手の間を潜り抜け、竜牙の切断が、破壊が、ロケットランチャーの砲撃跡とホホジロザメの歯形を遺す巨大触手へと再度、食い込んでいく。
 そして――断った。
「ぬぅ」
 残る触手は後二本。
 爆砕を背景に廻刃刀『竜顎』を構え直した裕樹は、そして、荒い息を零していた。
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!

フィーア・オルリア
【NSS】で連携でいくよー

随分と評価してくれているみたいだけど
ちょーっと過大評価が過ぎるかな?
私達は個としてはアヴァタール級にも及ばない時もある
だからこそ、状況を整えて数を揃える
場さえ整えれば後は数と根性で乗り切れる
心が折れなければ、私達は何度でも立ち上がれるからね

さて、じゃあ皆いこー
攻撃能力があった触手を考えれば、まだまだ何とかなる範囲
触手1本をチームで集中攻撃
敵の指揮は厄介だけども、押し切れない状況じゃない

後方で状況を確認しながら触手の動きと、超大和の視線を確認
他の触手を攻撃する人が居れば同時に仕掛けようかな
いかに指揮能力が高くても、複数同時なら精度は少しは落ちるはず
ごりごりゴリ押しが大流行!

ノーパソくん、戦技004実行
風の弾丸を多数生成、広く触手に当たるように弾丸を展開して放っていこう
なるべく広い範囲に当てて衝撃で動きを制限しつつ、触手の可動域を一瞬でも鈍らせて仲間の攻撃を当てやすいように調整
触手の可動域には注意し、ノーパソくんが壊されないように注意
受け身を取って触手に対処しよう


阿南・達多
【奴崎組】
アドリブ連携歓迎。

心情
厄介な蛸の触手でございます。それに超大和の指揮が合わさるとこのような強さを誇るとは。
生憎、仏僧ゆえ刃物は持ち合わせておりませぬが。
丁寧かつ確実に、一本を葬りましょう。

行動
同道した奴崎組の皆様と同じ触手へと御業(パラドクス)を使用し御仏の浄化の力を与えます。
錫杖である【悟りの杖】の一振りで打撃も行います。
【ダメージアップ】等の残留効果も併せて使いつつ、一本の触手に負傷を蓄積させてゆきます。

連携しながらこの一本の蛸足を諸行無常に還し、確実に戦力を削って参ります。
それ一本でジェネラル級の強さがあるとなれば、障害を断ち切らねばなりませぬ。お覚悟を!


ワシリーサ・ヴォレシア
【奴崎組】
アレンジ連携歓迎

心情
うん、下手な策や連携は目の前の最上級の戦略と戦術を操る相手に通用しない
なら、皆の力を集中させて強引にぶちやぶるのも一つの手
私の全力、吸血船イワンワシリーの力も引き出して全力で!

確実に一体ずつ倒す為ラキアさん(g00195)と攻撃のタイミングを合わせて集中攻撃

〇アムンセンの障壁を発動
船の王、超大和に抗うという現状に即した簡易拠点、海上の拠点たる船を装備品で構築
海戦装を変形させ船体、ガジェットウエポンを動力、ウィザードロッドをマスト、マントを帆に
蒸気を飛ばしホバーの様に奔りながら突貫
錨を触手に向け発射し巻き付け同時に錨と繋がった鎖を巻き取り
巻き取る勢いの侭、船体ごとぶつかっていき肉薄と同時に装備を元の状態に展開
攻撃を叩き込む

船は海上の拠点
船の王たる貴方を討ち取るのなら此れ以上のものはないからね!

其れに私の力の根源は吸血船イワンワシリーによるもの
だからこの方が力も増すってもの

此れだけの質量とぶつかればこっちからぶつかっていったとしても……攻撃を受ける様な物だよね!


(「うん、下手な策や連携は目の前の最上級の戦略と戦術を操る相手に通用しない」)
 幾多のパラドクスを繰る中、ワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)は思考を加速させる。
 皆で行った一斉攻撃は見切られ、ただ攻撃力に頼るだけの攻撃は無意味と断じられた。それが改竄世界史冥海機ヤ・ウマトの断片の王、超大和の力量であった。
 彼奴は強い。その能力は全て、復讐者達を上回り、遙かな高みにいる。
 彼奴は強い。その攻撃力は全て、復讐者達を凌駕し、数撃と言わず単撃でも、復讐者達を退ける。
 彼奴は強い。その観察眼は今も尚、復讐者達の全てを見据え、戦いの糧としている。
 だが、それでも、彼奴にはない強さが復讐者達にはある、とワシリーサは断言する。
(「なら、皆の力を集中させて強引にぶちやぶるのも一つの手――」)
 苦戦上等との意気込みは、彼女の覚悟を完了させた。
「私の全力、吸血船イワンワシリーの力も引き出して全力で、ぶつかる――!」
 叫びと共にワシリーサは己が海戦装を最大展開。残る触手の内の一本へと、全身全霊の体当たりを敢行した。

「いやはや。最終的に『力押し』と言うのは如何かと、拙僧は思うわけでございます」
 ワシリーサの意図を察した阿南・達多(多聞第一・g11464)は、そんな言葉と共に、もう片方の触手へと取り付く。
「少しは『為て遣られた』とあのすまし顔を崩してやりたいのは、人の願望、或いは仏の道でありましょう」
 零れる嘆息は、感嘆と僅かな遺憾に染まっていた。
(「厄介な蛸の触手でございます。それを断片の王、超大和が扱えば、このような強さを誇るとは」)
 それを崩すのはやはり『連携』なのだろう、と達多は浄化の光と共に内心を吐露する。
(「そもそも、連携とは何でしょうね?」)
 超大和にして【連合艦隊】による最初の第一波を連携と称し、【奴崎組】による第二波は連携未満の同時攻撃、集中攻撃と指摘した。ならば、と思う。此度、ワシリーサが一つの巨大触手を押さえている中、別の巨大触手へ集中攻撃を行うことは、連携なのか、それとも、否なのか、と。
「ともあれ、丁寧かつ確実に、この一本を葬りましょう」
 呪言と共に彼は己が得物である悟りの杖を、八八艦隊へと叩き付けた。

「随分と評価してくれているみたいだけど、ちょーっと過大評価が過ぎるかな?」
 達多と共に巨大触手に取り付いたフィーア・オルリア(大流行・g05428)は、半ば愚痴混じりの言葉を口にした。
「私達は個としてアヴァタール級には及ばない。今回みたく、トループス級だって怪しい時もある」
 トループス級は数が前提だが、力量が高ければ、一対一のシチュエーションに落とし込んだとしても、倒しきれない可能性は重々にあった。
 しかし、そんな戦いを、復讐者達は全て乗り越えてきたのだ。
「だからこそ、状況を整えて数を揃える。場さえ整えれば後は、数と根性で乗り切れる。心が折れなければ、私達は何度でも立ち上がれるからね」
 要約すれば、復讐者の戦いとは力押しなのだ、という宣言であった。
 確かに、戦争は数、もとい、数の暴力や人海戦術との言葉もある。船頭多くとも目的の山さえ登り抜けば、それは目的達成だし、数の勝利でもあるのだ。
「行くよ。超大和。攻撃能力があった頃の触手を考えれば、まだまだ何とかなる範囲!」
 巨大触手を押さえているワシリーサに其方は託し、フィーアは達多の対峙する巨大触手に向け、風の弾丸を多数展開する。
 無数の風を従え、その弾丸を以て彼女は触手を貫いた。

 巨大触手が蠢き、ワシリーサの身体を殴打する。弾かれた少女はしかし、空中で体勢を整えると、着地と共に跳躍。再び巨大触手へと取り付いていった。
 蒸気を零しながら杖が転じた帆柱を繰りつつ執行する体当たりは、まさしく121センチの砲弾そのものであった。
「アムンセンが南極の過酷な自然を乗り越え南極点へ到達した様に……私も此の攻撃に耐え、勝利を掴み取るよ!」
 ノルウェーの探検家、極地に挑み、そして偉大なる足跡を残した偉人の名を叫んだ彼女はそのまま巨大触手へと衝突。刹那、錨を射出し、係留の鎖すらも戒めにと巨大触手を縛り上げる。
 しかし、相手は巨獣並みと称される巨大触手。
 如何に全ての装備を展開したとは言え、対峙するワシリーサとの体格差は明白だった。
 ギチギチと縛る鎖はそれでも心許なく、振り回される身体は今にも壁や床、天井へと叩き付けられそうだった。
 だが、それでもと彼女は叫ぶ。
「これもまた、逆説連鎖戦。だったら、体格差なんて――ッ!」
 己が全推力、全膂力、そして気休め程度に【怪力無双】を上乗せし、ワシリーサは巨大触手を押さえ込む。
 少女の全てを用いた阻害を、巨大触手は弾き飛ばすことも出来ず、ただ、その剥離に全霊を注ぎ、身悶えの如く蠢くのであった。

 そして、それが、復讐者達の見出した隙であった。
「彼の者には退いて頂きましょう。南無三!」
「ノーパソくん、戦技004実行」
 浄化の光が、風の弾丸が、残された触手へと突き刺さっていく。
 それを弾き、或いは身動ぎで躱しながら、触手もまた、パラドクスの主たる達多とフィーアへと強襲する。
 殴打を受け、僅かな損害を負いながらも、しかし、二人は更にパラドクスを重ねた。
「ごりごりゴリ押しが大流行! ここはごり押しで行く。――戦技ロード……実証開始」
「蛸足を諸行無常に還し、確実に戦力を削って参ります! お覚悟を!」
 着実に、確実に。
 己がパラドクスで全てを削りきると宣言した二人は、自身等に刻まれる傷も厭わず、ただ、愚直にパラドクスを詠唱、巨大触手を穿ち、貫く。
 虚仮の一念岩をも通す。或いは雨垂れ石を穿つとも言うべきか。
 二人のパラドクスは残された八八艦隊が一体を梳り、そして、ついにはその軟体を半ば処か、全てを断ちきっていった。
 響く爆発音を背景に、超大和は目を細め、そして、ワシリーサは歓喜の表情を形成する。
「船は海上の拠点。船の王たる貴方を討ち取るのなら此れ以上のものはないからね!」
 少女の挑発じみた叫びに、超大和は――破顔じみた表情を浮かべ、そして鼻を鳴らした。
「その手腕は認めよう。ディアボロス。だが、我が八八艦隊は未だ健在。それをどう攻略するつもりだ?」
 緋に染まった睨眼がただ、復讐者達へと向けられていた。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

ラキア・ムーン
【奴崎組】
なんとなく、分かったような気がする
貴様の認識に感じた違和感の正体が

個の戦闘力、指揮力、分析力流石は断片の王だ
だからこそ
予知関連は確かに我等の指針の1つだ
だが戦略を決める目安ではあるが、戦術レベルでは違う
我等はな、貴様が思う以上に脳筋なんだよ
予知は切欠に過ぎない
そこから生まれる熱意の奔流
それが本質

深読みし過ぎだ、王よ

先ずは1本確実に落とす

同行する仲間と連携し、火力を集中させる
前に出て、触手を抑えよう
出し惜しんで勝てる相手とは思っていない
G.O.C召喚
ネメシスの力を左手に
【Call:Breaker_Lance】起動

術式により穂先を拡張、腰を深く沈めて突撃準備
仲間の中~遠距離攻撃に合わせて地を蹴り『突撃』
触手が眼前に近付いたら、膂力を込めて槍を突きだし穿つ!
突き刺すと同時に最大速度まで水平方向へ飛翔加速
G.O.Cで石突を支え加速を込めて一気に押し込む
槍と触手をそのまま鎮守府の壁面に釘付けに
1秒でも長く、触手を押さえ仲間の攻撃が当たりやすいようにねじ込む

此処からは泥臭い総力戦といこうか


「なんとなく、分かったような気がする。貴様の認識に感じた違和感の正体が」
 残る巨大触手と対峙し、ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は言葉を口にした。
「個の戦闘力、指揮力、分析力。流石は断片の王だ。その強さは認めよう」
 巨大触手と斬り結びながらの台詞に、超大和は興味深げな視線を向けていた。
 その余裕こそが気に食わないとラキアは唸り、そして、断じた。
「予知関連は確かに我等の指針の一つだ。戦略を決める目安ではあるが、しかし、戦術レベルでは違う」
「ほう」
 予知の存在を肯定しつつ、しかし、それ頼りに戦ってきたわけではないと否定するラキアに、超大和は頷く。おそらく、それは、その予知すらも凌駕する筈の作戦展開を行った超大和にとっても痛い程認識している内容なのだろう。
「予知は切欠に過ぎない。我等にとってはそこから生まれる熱意の奔流、それが本質。――我等はな、貴様が思う以上に脳筋なんだよ!」
 繰り出される炎と風の魔力は、巨大触手を梳り、その装甲を、軟体組織を食い破っていく。
 だが、それでも足りない。
 必要なのは、後一押し。その一押しを敢行する為にラキアは《Gears Of Chaos》――鉤爪型特殊兵装を召喚した。
「そう謙遜するな、ディアボロス。今更そのような甘言に惑わされる我ではない」
 まるで歓談でも行っているかのように、超大和は言葉を紡ぐ。
「貴様らが脳筋――愚鈍で戯け者であるとの主張は、現状の我にとって甘き毒だ。思わずそれに縋りたくもなる。だが、それが是ならば、MI作戦の発動も、グアム鎮守府の陥落も、大反攻作戦の破棄もなかった」
 その悉くが無に帰した。自嘲気味な台詞は、しかし、其処に油断は無いと宣言する為の物であった。
「今更、その毒を鵜呑みにするなどと思ってはいまい?」
「――今一度言葉を重ねよう。深読みし過ぎだ、王よ」
 そして、ラキアはそれを行使した。
(「出し惜しみし、勝てる相手とは思っていない」)
 全膂力を特殊兵装の爪に、その先に展開する突撃槍に込め、そして、彼女は加速する。
 その一刀は鋭く速く。何より、ネメシス形態に転じた彼女の一撃は、それまでの復讐者達の攻撃とは異なり、八八艦隊の全てを斬り裂くに充分な力を有していた。
 鬼神の如しラキアの一撃は、そのまま八八艦隊を全て断つ。
 爆破四散が、まるで彼女の決断を祝福するかのように、鳴り響いていた。

 そして、斬り飛ばされた八八艦隊の断面を見詰めた超大和は――ただ、嘆息を零していた。
「成る程」
 しかし、その言葉の中に焦燥はない。彼はただ、静かにラキアを見据えると、独白の如く呟いた。
「やはり、我は言おう。貴様らは愚鈍ではない、と。切るべき場面で最良の手札を切ることの出来る優れた博徒でもある、と」
 海戦装『八八艦隊』の全ての巨大触手を断たれ、窮地に陥った筈の断片の王は、それでも得心したと笑った。
「その攻撃を敢えて称するならば、ネメシス形態とでも言うべきか。我に向かってくれさえいれば、遙かに凌駕したパラドクスで殴り抜くところであったが――」
 超大和がその名称を正確に言い当てているように聞こえるのは、自身等の翻訳能力の賜物であろう。
(「いいや、問題は、そこではない」)
 見るべきは、予想が覆されたと言いたげな反応だった。
「惜しむべくは八八艦隊が攻撃力を失っていた事よ。如何にそれを認識しようとも、対処する力が無ければ如何ともし難く。そうさな。今、この瞬間に、その力を行使したことを見事、と賞賛する他無い」
 やはり我が予想を悉く上回ってくる。
 クククと愉悦じみた笑いを浮かべた彼は、そして、ラキアを睥睨した。
「問おうか。我がその切り札を識ることを、いつから気付いていた?」
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!

ジズ・ユルドゥルム
他の復讐者達が牙を研ぎ澄ます間、超大和が体力を回復しないよう攻撃を仕掛ける
それに、今の奴の攻撃力を計る役も必要だろう。
丁度、聞きたいこともある。
務めを果たそう。

【ダメージアップ】は十分に満ちている
怒りの乗った攻撃を一手でも多く当てるため
【先行率アップ】の風を吹かせる

隙を付こうと無駄、とは嘘ではないのだろう
搦手は使わない
槍を構え、パラドクスを起動し、下肢に力を籠め、一息に超大和へ肉薄し
限界まで鋭利に尖らせた水による貫通撃を仕掛ける

錨で巻き起こされる嵐には水の壁で防御を試みるが、
吹き飛ばされても即座に反転し攻撃を仕掛ける

常に防御より攻勢を念頭に置く
生半可な攻撃では、威力すら計れないだろう

私の口がきけるうちに、超大和に一つ質問をしよう
超大和。貴様は、娘達を、愛しているか?
娘達のためなら、死んでも…
いや、死ぬ方が楽と思うような状況になってでも、生きたいと思うか

百術千慮の王が、これを挑発と捉えないといいんだが。
ただの会話だ。
もしも超大和が、愛情に似た感情を持っているなら――私は嬉しい。
それだけだ。


「超大和――ッ!」
 睨み合う超大和と復讐者の間に割っている声があった。
 ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)。復讐者の一人である彼女は、原初の水を纏った槍を携え、超大和へと肉薄。そのパラドクス纏いの槍を突き出す。
 足は鎮守府の床を踏みしめ、その両腕はまるで射出兵器の如く神速で、彼の断片の王の胸を捉える。そして、雄々しき一刺しは――。
「破ッ!」
 横合いから跳ね上がった腕に阻まれ、その肉体を貫くことは叶わない。
 だが、零れる防具の破片、そして朱の色を視界に捉えたジズは、己が一撃が超大和を梳ることに成功したことのみを認識する。
(「海戦装を撃破しても尚、この防御力――」)
 浮かぶ感嘆は、驚愕とも、当然とも受け取れる物であった。
 ジズに驕りはない。力量だけを鑑みれば、彼女が復讐者達の中でも高みにいることは事実だった。彼女以上、或いは同等の力量を持つ復讐者を数えても、100人は超えない筈だ。
 そんな彼女の一撃が、今まで積み上げた【残留効果】を上乗せした刺突が、有効打に成り得なかった。
 それもまた事実だと、受け止めた彼女は、吐き捨てる様に言葉を口にした。 
「八八艦隊を失った今もなお堅牢か!」
「『得物を失ったから楽に倒せた』ともなれば、断片の王の名折れだからな。ディアボロス!」
 そして、大渦が舞う。
 振り回す錨の嵐はジズの身体を跳ね上げ、その身体を司令室の天井に、壁に、床にと叩き付けた。
 ぐしゃりと肉の潰れる音、ビキリと骨が砕ける音が響き、しかし、ジズもそれを甘んじて受け入れるつもりはない。折れた足を壁に叩き付け、姿勢を整えた彼女は、そのまま超大和へと再度肉薄。原初の水撃と槍撃、その双方を、彼の断片の王へと叩き付けた。
「超大和! 貴様は――」
 そして、ジズは刺突と共にその問いを発した。
「貴様は、娘達を、愛しているか?」
 それは戯れ。或いは自己満足。
 舌戦どころか挑発にすらならない言葉に、しかし、超大和は表情を強張らせる。
「娘達のためなら、死んでも……。いや、死ぬ方が楽と思うような状況になってでも、生きたいと思うか?」
 会話に呼応したか否か。再度の嵐が吹き荒れる。吹き飛ばされたジズへ、意外な程、静かな言葉が返ってきた。
「……今の我に、娘達への愛を語る資格はない」
 数多くの冥海機を失い、それでもと立てた起死回生の作戦は、しかし、その悉くが失敗。残された娘達をも死地へと追いやる結果となってしまった。
 そして、先程。己が力不足で目の前で護衛であるオクトリア達を失った。如何に復讐者達の連携が己の認識を上回ったとは言え、甘受して良い物では無いと、ただ、その睨眼が物語っていた。
 悔悟のみが滲み出る静かな台詞に、ジズは何を思うのか。
「そうか」
 ただ一言だけ、ジズは言葉を紡ぐ。
「……戯れついでだ。後者の問いも応えよう。我は我の役目を果たす。それが、今の我の全てよ」
 滅び行く改竄世界史の王はそれ以上語らず。
 ただ、今一度と、パラドクスを紡ぐ。
 多大な嵐が、大渦がジズを包み込み、そして、全てを呑み込み、平らげ、消えていった。

『ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は重傷を負った』
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【イルカ変身】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

ラキア・ムーン
【奴崎組P】
いつから、か
推測はあったが確証なんぞ無いさ
だから直感に頼ったまで
それに王よ、この状況で随分と楽しそうに見えた
手札の内容では無く、切り方を見定めるようにな
ならば手札は把握されている方に賭けた方が、分は良い

限定解除、形状変換
再誕の槍よ更なる先へ……《RE》Incarnation:Extend、顕現!

攻撃属性毎にチームに分かれチーム内で連携
小細工が通じる相手ではあるまい
ならばこそ如何に有効な一撃を叩き込み
如何に耐えるかを考える
まだ得意な属性で受ける方がマシだ

右手に槍を
左手にG.O.Cを展開
超大和に答える形で語り、一瞬でも注意を此方に引き付け同行する仲間の攻撃チャンスを作る
【Call:0_0_0.Ex】起動
魔力を両武器へと展開、仲間の攻撃に合わせて地を蹴り接近
槍で穿ち即座に右肩を引く
貫手にした鉤爪を右肩を引いた反動を利用し突き出し穿つ

ガードアップで基礎防御力を上げEmu【E.S】展開
障壁を砲撃に対して斜めに当て、少しでも力のベクトルを逸らす
直撃コースからズラし槍と鉤爪で防御し耐えよう


ア・ンデレ
【奴崎組P】の友達と協力して超大和に立ち向かう。
「だんぺんのおう、わくわくするね。」
アンデレちゃんは戦うのが好きだ。
相手が強ければ強いほどわくわくする。
でも一人で戦って勝てる、まともに戦えると思うほど馬鹿ではない。
だから、友達と共に。友達の力こそがアンデレちゃんの力。
もちろんそれは奴崎組だけではない。
ディアボロス全員、人類全員がアンデレちゃんの友達だ。
「やつざきぐみの、ディアボロスの、じんるいの、アンデレちゃんが、きた!」
友達と一緒ならアンデレちゃんは何でも喰らえる。
「すべてくらう。すべてかえしてもらう。すべてはともだちのために。」
八紘一宇砲の連続攻撃を喰らいつつ超大和に迫り、掴みかかる。
「そのほうげき、げきまずだったよ。」
そして超大和の体の一部をがぶりと喰らってやる。
どこでもいい。少しでもいい。これでとどめをさせるなんて思っていない。
少しでも超大和にダメージを喰らわせられれば、あとは友達が何とかしてくれる。


「いつから、か」
 先の超大和の台詞を受けてか、ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)がぽつりと言葉を口にした。
(「滅んだ冥海機達の多くはネメシス形態を見ただろう。だが、それを超大和に伝える暇など、無かったはず」)
 先の巨大触手との戦いに於いて、唯一ネメシス形態を見た筈の巨大触手はいた。だが、その完全破壊をラキアもまた、目の当たりにしていた。
 ならば、彼奴がネメシス形態を知る機会など、一つしか無かった筈だ。
 黒き鶴の羽ばたき、そして微笑。その幻視を振り払い、ラキアは言葉を続ける。
「推測はあったが確証なんぞ無いさ。だから直感に頼ったまで」
 そして、それを識っていたことは、確かに、超大和に取って切り札と成り得た。今となってそれがどの様な切り札だったかは想像するしかないが、それでも、復讐者達に取っては不利益にしかならなかっただろうとの想像は、用意だった。
 畳み掛けるようにラキアは言う。
「それに王よ、この状況で随分と楽しそうに見えた。手札の内容では無く、切り方を見定めるようにな。ならば手札は把握されている方に賭けた方が、分は良い」
「脳筋とほざいた口でそれを言うか。ディアボロス」
 実に楽しそうに、超大和は言う。
 これがラキアの敵。これがディアボロスの敵。そして、改竄世界史の王、断片の王の姿であった。
「――限定解除、形状変換。再誕の槍よ更なる先へ……《RE》Incarnation:Extend、顕現!」
 共に、仲間がパラドクスを振るうのを感じる。
 共に、仲間が戦場を駆けるのを感じる。
 ラキアは愛機たる突撃槍《RE》Incarnation:Extendと鉤爪型特殊兵装G.O.Cを構え、そして、吼えた。
「無限光の名の下に、遍く邪悪を滅ぼす光を此処に」
 超大和にネメシス形態は効かない。認識する事で彼奴はその優位を奪った。通常攻撃だろうとネメシス形態の攻撃だろうと、彼奴は同じように捌くだろう。
 超大和に威力が高いだけの攻撃は効かない。大切なのは、それをどの様に当てるか、と言うことだ。ならば――。
(「この会話が、何れだけ彼奴の注意を此方に引きつけたか、だが」)
 それだけで注意を引ければ、苦労はしない。
 パラドクスを紡ぐラキアに、しかし、共に駆ける仲間の姿があった。
「だんぺんのおう、わくわくするね」
 ア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)であった。
 共に戦うチームのみならず。全ての復讐者。全ての人類。全てを友達と定義したアは、そして、超大和に自身の全てを叩き付けた。
「やつざきぐみの、ディアボロスの、じんるいの、アンデレちゃんが、きた! すべてくらう。すべてかえしてもらう。すべてはともだちのために」
 そして、喰らい尽くす渇望に飢えたパラドクスを用いた彼女は、そして、超大和に掴みかかり、その口で超大和を捉える。
 正確に言えば、超大和が構えた砲首そのものを。
「再度、言おう」
 ラキアの眼前で、アの口腔内に砲塔を突き付け、超大和は宣言した。
「もしも、たかだか同時攻撃を連携と称するならば、それはそれで構わん。だが、我に能わず、だ」
 連携故にオクトリアは倒れた。
 連携故に八八艦隊は破壊された。
 連携故に、冥海機ヤ・ウマトは復讐者達に追い詰められた。
 それが、超大和の識る復讐者達の力だった。
「脳筋と称するのは大いに結構だ。その欺瞞を装った貴様らの力押しに敗するのであれば、我もその程度の王。それだけの話だ。だが――」
 砲首を囓るアを救う為か、幾渡と自身に突き付けられたラキアのパラドクスを一瞥し、そして、超大和は嘆息した。
「そうではないことを、我は知っている。故に――我は驕らぬ。この場で貴様ら一人一人を殺し、その憂いを消して行くことにする。それでも尚、欺瞞を装い続ければ、敗北するのは貴様達だ、ディアボロス」
 自身に愛を説いた先の淑女も。
 己の切り札を読み解いた海の戦士も。
 そして、今、砲台にかじり付く道化じみた少女も。
 全てを例外なく滅すると、彼は口にした。差別も区別もない宣言は、そのパラドクスに付けられた名前そのものであった。
「強き者。弱き者。数多のそれらを区別せず、我はその総てを穿つ。八紘を掩いて宇と為さん事、亦可からずや。――八紘一宇砲!」
 王の宣言の元、光が溢れ、弾け、そして、それすらをも喰らおうとするアを、その背後から超大和を討とうとパラドクスを振るうラキアを覆い、焼き尽くし、そして、滅していった――。

『ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は重傷を負った』
『ア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)は重傷を負った』
苦戦🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

アンゼリカ・レンブラント
【連合艦隊B】
ネメシス形態の戦乙女の姿へ
相棒のシル(g01415)をディフェンスし共闘するよ

【パラドクス通信】で攻撃タイミングを合わせ
シルの砲撃に合わせ、距離を詰め超大和に全力の神焔剣で斬るっ
ここまで積み上げた【能力値アップ】等の残留効果は財産、必ず捉えるっ

相手の反撃は障壁全開!盾も併用し受け止める
凌ぎ切れないとしても体を砲撃が穿つとしても
口元には笑みをたやさず、へっちゃらさぁ!と友を鼓舞する言葉をあげるよ

役割としてはメイン攻撃チームの攻撃を通すために
超大和の動きを抑え、狙いを惹きつける役割を担おう
本命の仲間の攻撃が十分に通るよう、その隙を作り出すんだ
断片の王相手にはいつも真っ先に挑んできたからね
私が敗北してもそれは勝ちの途中――「私達」は負けないよ!

シルの砲撃に重ねるように神焔剣を叩き込む、
足を使って仲間が攻撃する方とは反対側から斬りこむ等
変化を意識し攻撃していくね

最後は気合!友の絆、人々の応援、愛する人のこと
己の想い全てを剣に込め
最大まで輝け、《神焔収束斬》ッ
断片の王を、穿てぇーっ!


 幾多と超大和へと突き刺さる砲撃を視界で納めながら、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)は走り行く。
「裁きの光と共に輝け、生命の焔よ! 絆を力とし、未来への道を拓けぇーっ!」
 神火は神焔として火勢を強め、その神焔は彼女の光剣と交わり、巨大な光の刃と化す。
 これこそネメシス形態へと転じたアンゼリカのパラドクス、神焔収束斬であった。超大和はおろか、八八艦隊すら呑み込みかねない刃を振りかざした彼女は、そのまま、超大和の脳天へと神焔を叩き付ける。
「最大まで輝け、《神焔収束斬》ッ! 断片の王を、穿てぇーっ!」
 叫びと共に光が溢れ、超大和を、司令室を、そして周囲の空気をも焼いていく。
 全てを呑み込むその一刀に、超大和は――。
「ふむ。やはりネメシス形態の攻撃力は如何ともし難い。……だが」
 アンゼリカの全身全霊な一刀を、その半分にも満たない軍刀で受け止めた超大和は、得心したとばかりに頷く。
「やっぱり、ねっ!」
 続けて放たれた超巨大砲台の砲撃を障壁と盾で往なしながら、アンゼリカは叫んだ。
 超大和に対してネメシス形態は決定打に成り得ない。それは判りきっていたこと。それが確たる物となった。それだけだと、彼女は己に言い聞かせ、更なる神焔を召喚。超大和へと叩き込んでいく。
 アンゼリカの目的はただ一つ。
 超大和を引きつけ、己が攻撃に釘付けにする。それのみだ。
 後は託した仲間達が何とかしてくれる。それだけを信じ、彼女は己がパラドクスを超大和へと放つ。
「断片の王相手にはいつも真っ先に挑んできたからね! 私が敗北してもそれは勝ちの途中――『私達』は負けないよ!」
「そうか」
 反撃の砲撃に重ねるよう、超大和はその言葉を紡いだ。
 その一撃で、アンゼリカの身体は遙か後方へと吹き飛ばされ、壁に叩き付けられる。ずるずると血の跡を残しながら床に落ちた彼女は、それでも、と神焔の黄金剣を杖にと、立ち上がる。
「へっちゃらさぁ」
 大量の吐血零れる口元を乱暴に拭った彼女は、それでも、仲間を鼓舞するよう、声を張り上げた。
 もしも超大和が、並の歴史侵略者であったならば。
 アンゼリカの一撃で地に伏せていたかもしれない。
 もしも超大和が、並のジェネラル級程度の力量しか持ち合わせていなければ。
 彼女の狙い通り、隙を作り出すことに成功したかもしれない。
 だが、超大和は断片の王であった。全ての冥海機の頂点に立つ戦力にして、それらを遙かに凌駕する力量の持ち主であった。
 そうだとしても。
 今ここで、心を折るわけに行かないと、アンゼリカは叫び、縋るように神焔の剣を振りかぶる。
「最後は――気合いだッ!」
 決死の一撃に――しかし、超大和の誇る砲撃の光が重なった。
 共に放たれた光は両者を呑み込み、そして、白く染め上げていく。
「ならば、貴様達が負けを認めるまで、我は戦い抜くのみ。それだけの話だ」
 神焔に焼かれ、全身から黒煙を零す超大和は、葬送の如く、消滅したアンゼリカへと言葉を向けていた――。

『アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)は重傷を負った』
苦戦🔵​🔴​🔴​🔴​

シル・ウィンディア
【連合艦隊B】
相棒のアンゼリカさん(g02672)をディフェンスして共闘。

さすがに強いなぁ…。
さっきも全力だったんだけど堪えてなさそうだし。
でも、それなら…。
全力を越えるだけだよねっ!
ネメシスモード開放。
銀髪銀目の天使モードへ。
それじゃ、行かせてもらうよっ!

高速詠唱で隙を減らしてからの全力魔法の十芒星精霊収束砲!
狙いはアンゼリカさんの通る道を作ることだね。

…もう一つの役割は後続の為の露払いだね。
でも、牽制なんて通用しない。それなら全力以上を出し切ってぶつけるしかないんだっ!

…しかし、こんだけやっても痛そうにしないんだもん。
これでもかなり限界突破しているんだけどなぁ~。
さすが断片の王ってことだよね。
それとも、お父さんってことなんだろうね。
力だけじゃない強さ。
そうじゃないとお父様って言わないと思うから。
気を惹くんじゃない、ちょっと気になったから。

しかしさっきの交戦でダメージはかさんでいるなぁ。
ただ、出来る限り持たせて見せる!
…ただでは転ばないから、わたしは。
倒れるときは前のめりってねっ!!


「流石に、強いなぁ……」
 幾多の砲撃魔法を叩き付け、シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)はむむむと唸る。
 今もなお、彼女は全力を尽くしている。むしろ、その全力すらも超過していた。銀髪銀目の天使と言うネメシス形態がその証左。その姿で敢行する魔法攻撃でも尚、超大和の体力を僅かにしか梳れない。
 だがそれでも、諦めないと、彼女は砲撃魔法を――十芒星精霊収束砲を放つ。
 アンゼリカの刻んだ成果を少しでも大きくするために。
 シルは魔法を紡ぐのであった。

「全力を超えても、キツいなぁ~」
 ぽつりとの呟きに、しかし、答えは無い。応えてくれるはずの友の姿は、もう亡く、彼女は復讐者の不死性に伴い、消滅してしまった。
 そのアンゼリカが倒れた今、シルに残された役目は後続への露払いだ。
 彼女同様、シルには仲間に対する信頼がある。シルが道を作れば、仲間達がそれを踏破してくれる。そう信じ、彼女は再度の魔法を詠唱する。
「世界を司る六界の精霊達よ、宇宙に集いし天体の守護者達よ、過去と未来を繋ぐ時よ、集いて力となり全てを撃ち抜きし虹光となれっ!」
 火、水、風、土、光、闇の六属性。太陽、星、月の魔法陣。そして、それらを集束させる時魔法。その総てを限界突破のエネルギーへ変換した魔法――否、魔砲は、如何に断片の王であっても無傷ではいられない。
 まして、ネメシス形態時に放つそれだ。
 貫き、穿ち、そして消滅させる――。
 シルの詠唱と共に叩き付ける光は、確かに超大和を呑み込み、その身体へ容赦ないダメージを刻んでいく。
 だが、それだけだった。
 今まで紡いだ幾多の魔砲同様、此度も超大和の身体を燻らすのみに留まる。
 返す刀で放たれた錨の嵐は、そして、シルの身体を跳ね上げ、小柄な体躯を壁へと叩き付けた。
 己を濡らす赤の液体は、しかし、壁に纏わり付いていた物。奇しくもアンゼリカの残したそれに染まった彼女は、彼女同様ずるずると地面に落ちながら、ぽつりと呟いた。
「……しかし、こんだけやっても痛そうにしないんだもん。これでもかなり限界突破しているんだけどなぁ~」
 さすが断片の王ってことか、と内心で浮かべた文言を、しかし、彼女は思わず言葉にしていた。
「それとも、お父さんってことなんだろうね」
 戯れの様な台詞は、しかし、独白のみで終わらない。
 ここまで呟けば変わらないと、シルは微笑じみた表情を形成した後、全てを吐露した。
「力だけじゃない強さ。そうじゃないとお父様って言わないと思うから」
 立ち上がり、白銀の長杖を構える彼女。そこまでの動作を紡ぎ、彼女は疑問を覚えた。
 追撃は必至と考えていた。だが、その追撃はなかった。
 如何に戦いの中とは言え、手加減をするような相手ではない事は、先刻承知であった。
 ならば何故、と向ける青い瞳が捉えた物は、――一抹の動揺を浮かべる表情であった。
 何が超大和の琴線に触れたのか。何が超大和に影響したのか。それは判らない。もしかしたら、他愛の無い言葉に、彼が一瞬、何かを想起するだけの文句があったのかもしれない。
 ともあれ、今このひとたびを逃す理由は無い。
 刹那の勝機と捉えたシルは、そのまま魔砲を放つ。
「ただでは転ばないから、わたしは。倒れるときは前のめりってねっ!!」
 叫びと重なった砲撃魔術は、超大和の身体を貫き、しかし、返す刀の嵐はシルの身体を再度打ち上げ、致命傷の消滅へと叩き込んでいく。
 後に残された超大和は、血の跡が残る壁に向け、ただ、嘆息を放つのであった。

『シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)は重傷を負った』
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!

アドル・ユグドラシア
※アドリブ、外部連携ok
※ネメシス形態使用
【連合艦隊C】同行

俺も外側を排除したから楽に済むなんて微塵も思っちゃいない。
貴公のヤ・ウマトへの想いには敬意を表するが、俺達にも譲れんものがある。

何より、家族が本来の台湾に居るそうだからな。
家族のため、貴公を踏み越える。

俺は引き続き前に出て超大和に肉迫し、敵を足止めする。
敵の砲撃が2人に来るなら其方も引き受けてディフェンスだ。

戦闘では紅蓮朱雀を発動。標的に接近すると共に左手を炎の巨腕とし、全身全霊を込めて防御諸共殴りつける。
その際、敵の体勢を崩せるよう地面に叩き付ける勢いで攻撃し、無闇に吹き飛ばさないようにする。
妹と機会を合わせ、妹に先行してその盾になりながら全力の一撃を叩き込もう。
妹、フィリスさん、俺には構わず遠慮無く奴を撃て。

超大和の砲撃は、右手の流星で切り払うか、左手の豪腕を盾代わりにして衝撃に備え、そのまま受け流す。
隙があれば切り払い序でに奴の砲身や本体を斬り付けて攻撃動作を妨害する。
どの道タダではやられん。釣りは遠慮無く受け取ると良い。


フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、外部連携ok
※ネメシス形態使用
【連合艦隊C】同行

海戦装も護衛も全て除きました。
後は文字通り、死力を尽くした総力戦。
個対個では到底及ばず。ならば私達は皆と共に貴方に挑むまでです。

引き続き『護り手の行進曲』を歌い周囲の仲間を鼓舞。
戦闘中は『護り手』の加護を武器やユリウスに込めてパラドクスの一撃とします。
ユリウスは、私の後ろで援護砲撃です。

私も前に出ますが、闇雲に突っ込むのも簡単に対処されそうです。
ならば私は、フィリスさんの砲撃と兄の突撃に同化するように紛れながら超大和の懐に突撃し、細剣で急所に刺突の一撃です。
完全に騙せるとは微塵も思いませんが、自分や味方のパラドクスに巻き込まれても、使い手に害意がなければ無傷なら、目眩ましには十分。
これが仲間への信頼、私の覚悟、出し惜しみなしの全力です。
突撃の際、超大和の体勢も崩せれば、続く仲間に後を託せます。

超大和の起こす嵐や錨の薙ぎ払いは、魔力障壁を張って衝撃を和らげつつ、流れに無理に逆らわずに勢いを受け流し、やり過ごした後で刺突の突撃です。


フィリス・ローラシア
※アドリブ、外部連携ok
※ネメシス形態使用
【連合艦隊C】同行

アドルさんが嵐に巻き込まれそうならディフェンス。

これでお互いを邪魔するものはなくなりました。
後は、自分達の全てを敵にぶつけるまでです。
皆と共に歩むための道程、邪魔はさせません。
私も全力でお手伝いします。

引き続き、戦闘ではリュカと一緒に攻撃です。
術式『人魚姫』、精霊さん達もお願いします。

術式『人魚姫』を発動して水の領域を戦場の地面に展開、その後魔力を限界まで溜めてから、リュカと共に水の魔弾改め水流の砲撃を一緒に放ち、超大和を撃ち抜きます。
砲撃の勢いに二人を巻き込んでしまいそうですが、私が狙うのは超大和のみ。
むしろこの水流に乗って、彼に一撃を与えて下さい。
当然、私も全力で、思いの丈をぶつけます。

戦っているのは私達だけではありません。前から引き継ぎ、後に繋げるため、全力を尽くします。

超大和の起こす嵐に対しては、魔力障壁を張って防御後勢いを受け流します。
それでも吹き飛ばされそうなら、無理に踏ん張らずに流れに身を乗せながら衝撃を抑えます。


「俺も外側を排除したから楽に済むなんて微塵も思っちゃいない」
 超大和へと肉薄しながら、アドル・ユグドラシア(我道の求道者・g08396)はそう唱える。
 両の腕に炎を宿したアドルは、そのまま超大和に取り付くと、パラドクス攻撃と共に、その文言を叩き付けた。
「貴公のヤ・ウマトへの想いには敬意を表するが、俺達にも譲れんものがある」
 改竄世界史の奪還は、最終人類史に住まう人々の悲願である。
 そして何より、アドルの家族は、本来の台湾――最終人類史では海と化している台湾にいるとのことだ。
 ならば、その家族の為に、超大和を踏み越える。
 それが、アドルの決意であった。
「これでお互いを邪魔するものはなくなりました」
 護衛であるオクトリア達を破り、独立戦闘型海戦装『八八艦隊』を全て破壊済み。そうして、ようやくここまで辿り着いたと、フィリス・ローラシア(夢現の竜使い・g04475)は言う。
 そして、彼女が操るパラドクスの名は「術式『電光石火の人魚姫』」。
 只の室内が溺れ出でるほどの水で満たされ、そして、その全てが魔力弾として、超大和へと突き刺さっていく。
 炎と水。
 その双方を受け、超大和は短い呻き声を発した。

「皆と共に歩むための道程、邪魔はさせません!」
「炎の豪腕、燃え尽きろ……!」
 炎の腕は超大和の防具を焼き、水弾はその身体を打ち据え、貫く。
 互いにパラドクス故、干渉し、減衰するという事はあり得ない。ただただ、二つのパラドクスが集い、超大和を穿つのみであった。
 アドルの殴打、そして、フィリスの射撃。
 どちらも双方の得手であり、最大級の火力を有する攻撃であった。だが、それでも、超大和を傅かせるに至らない。ただ、その身体を揺らし、僅かな声を零させるのみであった。
 そして、返す刀とばかりに、砲撃が、嵐が吹き荒れる。
「――ッ」
 アドルの身体に注がれる砲撃を一瞥し、フィリスは小さく息を飲んだ。
(「で、ですけど、我慢ですッ!」)
 彼を守ると決めた。だが、それを彼女は自信の得手――WIZ能力に対するそれのみに絞った。本来、ディフェンスの制約とはそれ程までに厳しい物なのだ。アドルが得意とする能力値に対し、ディフェンスを行おうとしても、彼の能力や技量を遙かに上回るそれが無ければ、そもそもディフェンスが成立しない。
 その意味では、アドルもまた、フィリスを守ることは叶わない。
 己に自身が在るのか。フィリスに注がれるパラドクスは攻撃、反撃問わず嵐のみだ。もしもこれが砲撃であったならば、己が身を挺して彼女を庇うことも叶ったかも知れない。
(「……いや、難しいか」)
 己が焦燥を表に出さず、彼は内心でのみ独白する。
 彼は彼の事情を以て、ディフェンスの内容を決めている。ここで明かすわけに行かないが、良くて三割と言われている確率の壁も、今やその半分にまで高いものとなっている。たとえ能力値と技量がフィリスを上回ったとしても、その上で、一割五分にまで激減した確率の壁を越えなければならない。
 ならば、これ以上は割り切るしか無い。
 その覚悟は、フィリスも同じだったのだろう。
「戦っているのは私達だけではありません! 全力を尽くします!」
 覚悟を決めたフィリスの声は、凜として響く。
 超大和の起こす嵐にその身と体力を梳られながら、それでも水弾を放つ彼女は――次を見据えての言葉を放つ。
 それを超大和はどう理解したのか。
 己への挑発と見たのかもしれない。あるいは、自身への鼓舞と判断したのかもしれない。
 少なくとも、その瞬間。超大和の意識は二人に注がれていた。
「そうだ。だから――」
 炎の殴打を交わし、砲撃に身を晒しながら、アドルは叫ぶ。
「――遠慮無く、奴を撃て!」

 男の叫びを、超大和は相方たる女へのそれと認識した。
 当然であった。二人は互いに庇いあう素振りを見せ、そして、共に挟撃せんとパラドクスを紡いでいたのだ。
 如何なる攻撃であっても、超大和の観察眼から逃れることは出来ない。
 炎の腕も、水の弾丸も、それを捌ききることは容易いと、超大和は軍刀で、具現化するパラドクスの鎖や砲塔でそれを捌いていく。
 超大和の観察眼から逃れることは出来ない。
 唯一それがあるとするならば――それこそ、盲点と呼ばれる事象であった。

「ぐ、ぐぬっ」
 脇腹に灼熱感が奔る。
 踏鞴踏み、それを為した人物を嵐で跳ね飛ばすも、しかし、己が負った損害に思わず呻き声を零してしまう。
 呪歌の旋律と共に奇襲を為した物。その正体は――。
「……成る程。仲間をも、煙幕代わりにした、か」
 荒い息を吐きつつ、細剣を構えるフィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)を見据え、超大和はむしろ、賞賛じみた声を上げた。
 アドルとフィリス。その二人が激しく攻撃を加える中、二人に集中した超大和へとフィーナが忍び寄り、攻撃を加えたのだ。
 事実、受けてしまった損害を認めた超大和は、ククリと笑う。
 そう、笑っていた。
「流石と言わざる得んな。確かにその不死性であれば、仲間の死を前提とした策も考えるか」
 得心したとの笑いだった。それを零した後、超大和は具現化した錨を――パラドクスを振るう。
 嵐はフィーナの身体を吹き飛ばし、大きく弾いたものの、しかし、彼女の身体を打ち据えるには至らない。それらを魔力障壁で緩和したフィーナは、そのままくるりと宙で一回転すると、足から着地する。
「故に、これは必然である」
 超大和の言葉が終わらないうちに、ぐらりとアドルの身体が揺れ、そして同時にフィリスもまた、崩れ落ちていく。霧散の如く、或いは硝子が砕けるかの如くその身体が消え行くのは、二人がそのまま新宿島外縁部へと流れ着くためだろうか。
「個対個では到底及ばず。ならば私達は皆と共に貴方に挑むまでです」
 勇気と加護の歌を紡ぎ、フィーナは細剣を身構える。
 先の二人同様、覚悟を決めた表情を形成する彼女に、超大和は僅かに表情を揺らし、そして言った。
「『蘇るから死ね』か。我等が海戦を批難する一方で、なかなか強かな策を立ててくれる。ディアボロスの名に偽りなし、と言った処か」
 皮肉じみた物言いに、フィーナはただ、唇を噛み締め耐えていた――。

『アドル・ユグドラシア(我道の求道者・g08396)は重傷を負った』
『フィリス・ローラシア(夢現の竜使い・g04475)は重傷を負った』
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【壁歩き】がLV2になった!
【勝利の凱歌】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV6になった!
【グロリアス】がLV2になった!

シエルシーシャ・クリスタ
【連合艦隊E】
ヴェルチ(g03614)をディフェンス
アドリブ等歓迎

ことここに至れば、残るのはただどちらが削り切るかの戦い
それが本当に厳しいんだけどね

ネメシス化/効果2は全て全開
間断なく仕掛け続けるのが理想だろうけど、必ず切れ目は出る。
他の班の攻撃の隙間をカバーするように攻撃をさしこめれば、そうしよう。
或いは反撃で欠けた所に「念入りに焼く」為の追撃を妨げに殴りかかろう。
少しでも立て直す時間を稼げれば、復帰してこれるかもだし。
攻撃時はなるべく同時に仕掛ける味方と別方向から、上段下段なども散らして。
まあ小細工狙い過ぎても潰されるだけだろうし、やれそうなら、だけどね。

「私」の再出現で超大和が動揺するのは期待できないよね、既に考慮されてるもの。
だからどんな様子だろうと、構わず仕掛ける。

戻って来たよ、超大和。
かつて故郷でも私は死に、新宿島で目覚めた。……奇跡なのか呪いなのか。
次があるかはいつだってわからないけれど、だからいつでも全力を尽くす。
兵として、さっきの私よりもほんの少しは手こずらせてみせる。


ヴェルチ・アリ
【連合艦隊E】
シエル(g01847)をディフェンス。

自分が、何で復讐者なのか、分からなかった。何もわからず、復讐すらも知らないで。我武者羅に戦ってきただけだった。


…ようやっと、わかったよ。これが憎いって感情なのか。これが復讐をしたいという感情なのか。



シエルを護れなかった僕が、弱い僕が、届かない僕が、憎い。赦せない。
シエルを害したお前が、許せない。憎い。憎い。



憎くて、憎くて、憎い、憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎



だから。
もう、行儀のいい理由はやめにしよう。

僕は、ただお前を焼き殺したいだけなんだから。


ネメシス起動。この醜い感情の自分を、総て薪にくべる。全身を炎にする。
一緒に燃えてくれよ。この海の亡霊共も纏めた、送り火には相応しいだろう。


【火炎使い】を使い、日輪の如き灼熱を、大上段から叩きこむ。


シエルと連携し、他の仲間の攻撃の合間を埋める様に攻撃。連撃を絶やすな。絶対に燃やせ。


アドリブ、絡みを歓迎します。


 超大和を討つ為、戦場に降り立ったヴェルチ・アリ(GE-07・SOL01847・g03614)は、内心のみで己が想いを吐露した。
(「自分が、何で復讐者なのか、分からなかった」)
 何も判らず、復讐を知らず。ただ、我武者羅に戦ってきただけ。
 その吐露は、己の深いところにある燻りに、まるで燃料の如く降り積もっていく。
 最初に点いたのは、僅かな火種の如き焔であった。
(「……ようやっと、わかったよ。これが憎いって感情なのか。これが復讐をしたいと言う感情なのか」)
 復讐者の大部分を支える力は、奪われた事に対する怒りだ。
 それを復讐というならば――ヴェルチの心に宿った黒い炎は、当然の如く復讐の感情であった。
(「シエルを護れなかった僕が、弱い僕が、届かない僕が、憎い。赦せない。シエルを害したお前が、許せない。憎い。憎い」)
 目の前の男が、大切な者を奪った。
 目の前の男が、大切な者を破壊した。
 目の前の男が、大切な者を――殺した。
「憎くて、憎くて、憎い、憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎!」
 そしてヴェルチは吼える。ヴェルチは走る。
 復讐を果たす為、超巨大な炎の刃を形成し、彼は超大和の元へと駆け抜けていった――。

「こと、ここに至れば、残るのはただどちらが削り切るかの戦いだ」
 それが、本当に厳しいんだけどね。
 嘆息を零しながら、シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)は己が腕を異形化させ、超大和へと叩き付ける。殴打の後、彼女の攻撃を繋ぐよう、ヴェルチの炎刃が大上段から薙がれ、超大和に斬撃を刻んでいった。
 だが、返す刀と放たれた砲撃は二人の身体を捉え、そして、弾き飛ばしていく。
「少しは動揺してくれてもいいと、思うけど」
 頭を握り潰し、砲撃で消し飛ばした筈のシエルシーシャが無傷で現れたのだ。
 本来ならば、大層な驚愕する筈の事象な訳だが、それが通じない辺り、断片の王だしな、としか言いようが無い。
「一応、言っておこうか。戻って来たよ、超大和」
「そうか。ならば致し方ないな」
 ここに来て理不尽さには多少の諦観はあるのか。溜め息と共に砲撃を紡ぎながら、超大和はシエルシーシャやヴェルチへと対峙する。
 彼奴が何を考えているのか。それを測る術をシエルシーシャは持ち合わせて居ない。
 それは超大和も同じだろう。戦術に長け、遙かな高みと言わざる得ない戦闘力を有する彼だが、結局、復讐者達の心や思考を読むには至っていない。それに近いことは行っているが、それにしても、卓越した観察眼や思考回路の成せる業だ。脳内を直接読まれていることはないと、断言出来た。……出来る筈だ。
「かつて故郷でも私は死に、新宿島で目覚めた。……奇跡なのか呪いなのか。次があるかはいつだってわからないけれど、だからいつでも全力を尽くす」
 兵として、さっきの私よりもほんの少しは手こずらせてみせる。
 シエルシーシャの覚悟に、超大和はただ、頷くのみ。

「連撃を絶やすな。絶対に燃やせ」
 己が身体を燃やしながら――文字通りの意味で、己が身体を薪の様に焼べ、炎の身へと転じたヴェルチは、ただ叫び、炎を超大和へと叩き付ける。
「一緒に燃えてくれよ。この海の亡霊共も纏めた、送り火には相応しいだろう」
 炎に燃える地獄の亡者が形になっていれば、今のヴェルチがそれに相応しかっただろうか。
 全てを投げ打ち、取り付いてくる青年と、それを援護するように斬り結んでくる鬼娘。
 その双方を軍刀や具現化砲塔で捌きながら、超大和は目を細めた。
「無軌道な若さも、好ましくはあるが。――しかし、貴様らは敵だ」
 如何に力強き攻撃を発しても。
 それがネメシス形態に由来する物だとしても。
 手品の種が割れていれば、実害は無いとばかりに、超大和はヴェルチの身体をはね除け、そして頭を振る。
「先の行動は恐れ入ったが――しかし、二度も三度も同じ攻撃が通じる我と考えてはおらぬよな?」
「当たり前だ」
 異形の右腕を叩き付け、シエルシーシャは思考を紡ぐ。
(「ここに至るまで、私達は確かに『連携』をしていた」)
 超大和への隙を作るために吶喊し、其処に重ねるよう、決死の攻撃を行った。そして、今、それを繋ぐべく、シエルシーシャとヴェルチは攻撃を重ねている。
 ここまでの流れを連携と言うのかと言えば――どうだろう?
(「いやまぁ、同時攻撃ではないとは思うけども」)
 隙が生まれたか、と言えば否だった。超大和は仲間の攻撃を捌ききり、カウンターを決めていた。
 決死の攻撃はどうだったか。此方は確かに、ある程度の有効打を得る事が出来た。
 ならば、今の自分達はどうだろうか。
 シエルシーシャは思考を重ね、そして、むむっと内心でのみ唸る。
 例えば、と想起する。
 例えば、ただひたすら攻撃を行い、超大和の行動を阻害する事が出来るだろうか。
 通常の戦闘ならば出来るだろう。並の一般人相手の戦いならば、駆け出しの復讐者であっても容易いと言える。
 だが、逆説連鎖戦ならばどうだろうか。
 反撃の概念がある以上、厳密な意味では、超大和の攻撃を止める術はない。そして、反撃が紡がれれば、それを起点に、超大和が自身の攻撃へ繋げる可能性がある。要するに、逆説連鎖戦で歴史侵略者の動きを束縛することは不可能だと断じるしかない。逆説的に、歴史侵略者達の攻撃であっても、厳密に復讐者達を行動不能にすることは厳しいのも事実だ。
(「だったら、何故、先程の――有効打に成り得た攻撃が存在した?」)
 それを紐解く必要があると、シエルシーシャは唸り――しかし、復讐者達が相対する現実は無情だった。
「何度も何度も貴様らを滅ぼそう。その行為を、我は無為と思わん。もしも復活の際にエネルギーを消費するのであれば、それを削り切りさえすれば、我の勝利よ」
(「そんなもの、無いけどね――」)
 『海戦』にまつわる人間の感情の動きや落命をエネルギーとして活動する冥海機らしき台詞に、ただ内心でのみシエルシーシャは首を振った。
 復讐者の不死性は、エネルギー由来では無く、能力由来だ。だが、それを超大和が知る由も無く、そして、それをわざわざ伝える意味も無い。
「死ね」
 超大和の唱えた文言は短く、そして簡潔だった。
 超至近距離にも関わらず、超大和の喚び出した超巨大艦砲が、ヴェルチを、シエルシーシャを捉える。
 復讐者と歴史侵略者が繰り広げる逆説連鎖戦に距離も時間も世界法則も意味を為さない。長大な彼我の距離があろうとも、超絶的な至近距離であろうとも、両者の繰るパラドクスは紛れもなく力を発揮する。
 再び、全てを区別、差別無く消し飛ばす連続砲撃が、二人の身体を覆い尽くし、そして――。
「……今度こそは」
 シエルシーシャを抱き留め、超大和に背を向けたヴェルチが、小さく呟いた。
 そして、ヴェルチの言葉はそこで途切れる。
 ただ、消え行く彼の残滓を掻き抱きながら、それでも尚、と。
 シエルシーシャは戦闘不能になるその瞬間まで、超大和を睨み続けていた。

『ヴェルチ・アリ(GE-07・SOL01847・g03614)は重傷を負った』
苦戦🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

月鏡・サヨコ
【連合艦隊A】
クィト(g00885)をディフェンス

超大和。あなたの娘達への愛は紛れもなく真実なのだろう
だけど、その想いを犠牲に耐え抜く力にしか出来ないことが冥海機の悲劇だ

私はヤ・ウマトから流れ着いた先で、共に生きて還るために命を懸けて戦う者達の絆を見た
それこそが、復讐者の真の力だと知った

他【連合艦隊】チームが繋いだ連携の末に決定打を狙う
敵に生じた隙や動揺や傷を見逃さない
後衛との連携やチーム外との敵状共有は【パラドクス通信】で円滑に
敵が砲撃の狙いを付けづらいように回り込む動きを意識
命中弾は【ガードアップ】の力を宿す≪海戦装用増設防盾≫を海戦装ごと使い潰す心算で防御

ネメシス形態解放
『真閃電・暁月』の発動と共に体から稲光を迸らせる姿へ
クィトと勲の技から間断なく別方向より超大和に仕掛ける
まほろばの砲声を聞けば、振り向かずとも着弾に斬撃を重ねられる
信頼があるから
迷いなく、対艦軍刀に纏うプラズマの巨刃を渾身の力で振り下ろそう

私達は勝利する。誰一人欠くことなく
――戦いの先に待つ時代を、生き抜くために!


クィト・メリトモナカアイス
【連合艦隊A】
サヨコ(g09883)をディフェンス

戦う意思が尽きぬ限り。我らは戻ってくる。
弾は尽きず、剣は折れず、我の肉球も光ってる。我らは未だ折れず、意思も尽きぬ。
んむ。決着を付けよう。

守護者の姿のネメシス形態へと姿を変える。
黄金猫拳打棒に神々しい光を集め近接戦闘を行う「人よ星よ始まりに還れ」。
勲の砲撃による支援を受けながら超大和へと接近。
サヨコ、まほろばの攻撃のちゃんすを作るのが狙い……だけれど。
隙を作るためのフェイントや温い攻撃やで隙はできるとは思えぬ。我が全力で倒すために武器を振るい、全力で反撃をさせれば、それが結果的に隙になる。
光を纏う黄金猫拳打棒の連撃で超大和の頭部や胴体を狙い、勲とはそれぞれの攻撃の合間にお互いの攻撃を挟むようにして攻撃後の隙を無くして怒涛の勢いで攻めかかる。

反撃に対しては【ガードアップ】の守護の光を込めた黄金猫拳打棒で薙ぎ払われる錨の攻撃を受け止め、受けきれずとも吹き飛ばされようとも、可能な限り戦闘を長く続けられるようにしよう。

この場の勝利は、我らが貰う。


三間・勲
【連合艦隊A】
麗さん(g09815)をディフェンス

「人には出来る限り平等に接しなさい」
僕が覚えている父さんの教えの一つ
これまで倒して来た全ての冥海機と同じように、貴方も平等に誠意を以て倒します

ネメシス状態へ
能動的なWIZ攻撃から同じ後衛の麗さんを守ります
観察し得た情報は【パラドクス通信】で全体と共有を
戮力協心の陣の剣の役割はクィトさんに委ね小型駆逐艦群の指揮に集中

超大和へ接近戦を試みるクィトさんの動きを観察し援護を
船を旋回させつつ接近までの道を開ける為に砲撃で牽制
黄金猫拳打棒を振り被る間、振り抜いた直後の隙の生まれやすい瞬間に合わせ攻撃を叩き込みます

反撃は【ガードアップ】と氷盾で負傷を軽減
軍刀を地面に突き刺し吹き飛ばしに耐え
意識が続く限り己と死者の魂を奮い立たせ一撃でも多く放ち続ける
全ては麗さんとサヨコさんに繋ぐ為

そしてもう一つ
「大切な場面こそ女性に花を持たせなさい」
最終人類史では時代遅れかもしれないけれど
それでも僕の『父さん』が遺してくれたものだから

どうか、この戦場の最大の花を彼女達へ


麗・まほろば
【連合艦隊A】
勲さん(g10186)をディフェンス

我らが同胞たちよ! 断片の王に引導を渡さんと奮い立ちし勇者たちよ!
これが正真正銘の最終決戦だ!
かの気高き王を越え、冥海機ヤ・ウマトをこの手に今! 奪還するぞ!

ネメシス形態、海戦装【超々々々弩級戦艦級海戦装『紀伊』】全門展開! 砲撃開始!
仲間たちとは【パラドクス通信】で常に状況を把握しあう
まほろばは後衛として弾幕を展開し、超大和へ存在をアピール!
(超大和にとって)敵は近づこうとする者だけではないと意識させることで、隙を作らせるように努めるよ!

反撃には【15.5センチまほろば砲】と【ガードアップ】を盾にして軽減
この脚が身体を支えている限り、たとえボロボロでもまほろばは戦い抜くよ!

征くぞ、戦友(サヨコさん)
何も言わずとも戦友なら合わせてくれると信じている
【51センチまほろば砲】に私の残りの全力込め、超大和へ砲撃するぞ!
――『豊葦原千五百秋水穂国』《この素晴らしき世界》、よろしく吾等が往ひて脩すべし《まほろばたちの手に返してもらうよ》


 散っていく仲間達がいた。
 攻撃が、目論見が届かず、無念のまま倒れる仲間達がいた。
 そんな仲間達を思い、そして、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は言葉を口にした。
「超大和。あなたの娘達への愛は紛れもなく真実なのだろう」
 如何に手札が開示されていても、活用しない理由も無い。
 己が身体を稲光発する姿――ネメシス形態に転じながら、サヨコは言葉を続ける。
「だけど、その想いを犠牲に耐え抜く力にしか出来ないことが冥海機の悲劇だ」
 愛を抱けど、それが超大和を劇的に強化するわけではない。
 ただ、心を強く持つ糧にするのみ。そんな真実を突き付けるサヨコに、超大和は何を思うか。
 微笑とも不動とも取れる表情はそのままに、ただ、睥睨だけが突き付けられていた。
「――私はヤ・ウマトから流れ着いた先で、共に生きて還るために命を懸けて戦う者達の絆を見た。それこそが、復讐者の真の力だと知った」
「……そうか」
 ただ一言、その一言だけを紡ぐ。
 その先の思考も不明だ。
 復活の力こそが復讐者の真の力なのか?
 それとも、絆を歌うことが、復讐者達の強みなのか?
 サヨコの内心に響いたそれは、彼女の想像なのか。それとも、超大和が零す未来を限定的に予知してしまったのか。
 それは判らなかった。
 そして、その思考も、仲間が発した闊達な声により、掻き消されていった。
「我らが同胞たちよ! 断片の王に引導を渡さんと奮い立ちし勇者たちよ! これが正真正銘の最終決戦だ! かの気高き王を越え、冥海機ヤ・ウマトをこの手に今! 奪還するぞ!」
 麗・まほろば(まほろばは超々々々弩級戦艦ですっ!・g09815)の言葉は雄々しく、明るく。
 ネメシス形態に転じる小柄な体躯から発せられる力強き宣言は、復讐者達の心を力強く鼓舞していった。
「驚いていないようだが、一応言っておこう。超大和よ」
 コホリと空咳を打ったクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、自身もまた、守護者の姿――ネメシス形態に変化させながら、力強い言霊を超大和へと叩き付けた。
「戦う意思が尽きぬ限り。我らは戻ってくる。弾は尽きず、剣は折れず、我の肉球も光ってる。我らは未だ折れず、意思も尽きぬ。んむ。決着を付けよう」
 サヨコ、まほろば、そしてクィト。
 何れもが先程、超大和のパラドクス攻撃によって滅したはずの復讐者達であった。
 戦闘で如何に致命傷を受けようとも、しかし、戦う意思さえ失わなければ、新宿島の外縁部に漂着し、復帰出来る。それが復讐者達の持つ不死性だ。
「ああ。そうだな」
 やはり、短く、超大和はクィトの言葉に是と頷く。
 静かな言葉に、一切の動揺は無かった。
(「ここに至るまでにそういう会話もしていたしな」)
 【連合艦隊】総体として、その殿を務めることを選んだのだ。当然と言えば当然の事態に、クィトはむむっと唸り、しかしと、首を振る。
 まあ、そうなってしまった物は仕方ない。笑って流そう。
 クィトは切り替えの早い復讐者でもあった。
「人には出来る限り平等に接しなさい。僕が覚えている父さんの教えの一つです」
 三間・勲(漁火・g10186)は真摯な表情で、その言葉を口にした。
「ですから、これまで倒して来た全ての冥海機と同じように、貴方も平等に誠意を以て倒します」
「そうか。我を人と定義するか。ディアボロスよ」
 憤怒とも苦笑とも取れる台詞のまま、超大和もまた、己が得物を構える。それは幻想の錨であり、超巨大艦砲の砲首であり、そして、己が体躯の半分をも超える軍刀であった。
「ならば、ご尊父に伝えておいて貰おうか。『年長者を敬え』と教えておけ、とな」
 そして、双方でパラドクスが紡がれていった――。

(「ここに至るまで、超大和に生じた動揺や傷は二つ」)
 超巨大プラズマ刃を対艦軍刀『銀鉤』で繰りながら、サヨコは思考する。
 一つはシルの言及。そして、フィーナによる奇襲だ。
 前者が何を起点としたかは判らない。文言から推測するのに、冥海機にまつわる話だと思うが、しかし、だとすれば、それをどの様に活用すれば良いか。人心掌握を不得手とするサヨコの思考では、その紐解きは難しかった。
(「いっそ冥海機への罵詈雑言を放って……いや、違うな」)
 多分、怒らせるだけだ。今以上に激しい攻撃が、罵詈雑言の主に叩き付けられるだろうことは、想像に難くない。そして、ジズやシルのそれがその目的で放たれたと捉えるのは、余程のひねくれ者で無い限り、無理だとサヨコは断ずる。
(「どうする? 【パラドクス通信】で共有するか?」)
 だが、この距離で小型無線機に話しかければ、その総てを超大和に聞かれてしまう。復讐者達が超大和の言葉を全て拾える以上、彼の断片の王が小型無線に語り掛けるサヨコの言葉を得るのは当然であろう。
(「では、後者は――?」)
 其処まで考え、否と首を振る。
 それは最初から答えが出ていた。
 超大和は言っていた。
『『蘇るから死ね』か。我等が海戦を批難する一方で、なかなか強かな策を立てる物だ』
 つまり、超大和の中にある復讐者像は、海戦を糧にする冥海機を相容れないと否定する者であり、それ故、仲間を犠牲にしてまで勝利を掴む存在だろうとの意識は無かった。
 だが、それも見せてしまった。ならば今後、同じ事をしても効果が無いと、それだけは淡く理解してしまう。
 そして、剣戟と共に紡がれる思考は、更なる仲間の攻撃によって加速していく。
 此度、それを為したのはまほろばの砲撃であった。
「――よろしく吾等が往ひて脩すべし」
 護るべきモノの数だけ強くなれる。
 背負ったモノの数だけ強くなれる。
 託してくれたモノの数だけ強くなれる。
 今、この場に【託されし願い】の効果は無くとも、ただ、仲間の思いを、自身の願いを砲塔に込め、まほろばは己がパラドクス、超々々々弩級戦艦主砲『豊葦原千五百秋水穂国』を放つ。
(「敵は、近付こうとする者だけではないと意識させるよ――」)
 超大和に向かう凶刃はサヨコやクィトによる接近戦のみではない。まほろばと勲の砲撃もまた、同じくらいに危険だと超大和に叩き込む。
 己が砲撃で、小柄な体躯とそれに見合わない巨大な海戦装でアピールするまほろばの狙いは、それであった。
「皆のために、皆と一緒に!」
 勲のパラドクスは、空を飛ぶ小型駆逐艦群と共に。戦死者の魂を宿した砲撃は軍刀の斬撃と共に、超大和の身体を梳って行く。
 爆炎が周囲を覆い、超大和の身体を覆い隠していった。
 そこへ黄金の輝きが飛び込む。
「戦いの前に平穏は無く、争いの中にも平穏は無し。ならば。民を戦禍から守るため、我が戦おう」
 黄金猫拳打棒を繰るクィトであった。温い攻撃や牽制如きで、超大和の隙を生むことは出来ない。ならば、全ての攻撃を全身全霊の物として殴ろう、と心に決めた彼女は、一打一打を致死性の殴打とすべく、全力で超大和を殴り抜く。
 サヨコのプラズマ刃に加え、クィトの黄金の殴打を軍刀で捌き、その上でまほろばや勲の砲撃を受ける超大和は、しばし沈黙し、そして、言葉を口にした。
「見えんな」
「何を――?」
 クィト、サヨコと挟撃を繰り出す勲は、超大和の独白を捉え、思わず疑問の言葉を発する。
 旋回する錨はそんな彼を捉え、弾き飛ばすが、しかし、致命傷には未だ至らない。天井に叩き付けられ、地へ降り立った彼は、それでも、小型駆逐艦群を繰り、超大和へと砲撃を重ねた。
「その黄金の猫の手は、おそらく、我の隙を生もうとしているのだろう。そして、少年の砲撃は、その少女の攻撃の隙を我に突かれないよう、連撃となるように撃っている。それも理解している」
 だが、逆説連鎖戦の最中、勲の砲撃がクィトへの反撃を阻む事は出来ない。そして、クィトへの攻撃の後、超大和が体勢を崩し、無防備な姿を勲に晒すはずも無かった。
「貴様らの狙いは見えんが……だが、それを待つ理由も無い。潰させて貰おう」
 幾多の砲撃が、軍刀の斬撃が、錨の嵐が復讐者達を襲う。
 それらを捌き、或いは様々な損害を受けながら、しかし、と復讐者達もまた、己がパラドクスを紡ぐ。
「――それでも」
 皮切りになったのは、勲の声であった。それを切欠に、再び4つのパラドクスが放たれる。
 それらを受け止め、超大和は淡々と言葉を重ねた。
「今一度言おう。これは逆説連鎖戦だ」
 刹那に出現した超巨大艦砲『八紘一宇砲』が、巨大な錨が空を薙ぐ。砲撃はサヨコとまほろばを捉え、錨が生み出す嵐はクィトと勲を吹き飛ばした。
 逆説連鎖戦であるが故、全ての攻撃に対し、反撃を行える。多対一であろうとも、超大和が不利を口にしない理由は、そこに在った。
「――ッ」
 超大和の反撃に対し、ディフェンスの暇は無い。反撃に対するディフェンスが生じない原則がある以上、断片の王からの攻撃に、互いが互いの相方を護ることは不可能だった。
「だけど――っ」
「この場の勝利は、我らが貰うーーっ!」
 それでも、と超大和に喰い付く勢いで、勲は砲撃を発し、クィトは黄金猫拳打棒を振るった。
 全てはこの先に繋げるため。己がパラドクスを叩き付け、嵐に吹き飛ばされながら、勲は力強く叫んだ。
「行って下さいーっ!」
 『大切な場面こそ女性に花を持たせなさい』。最終人類史の中では時代後れな言葉かも知れない。だが、それは彼が『父さん』と慕う人が残してくれた大切な言葉だった。
 だから、と勲は願う。
 最大の花が、彼女達に届くように、と――。
 錨の生み出す旋風に吹き飛ばされ、天井に、壁に、そして地面に叩き付けられた二人は、そのままずるずると崩れ、消え果てていく。
 その最後を見送る事無く、まほろばは行動を開始した。
「――この素晴らしき世界、まほろばたちの手に返してもらうよ」
 彼女が吐き出した砲弾は、今の彼女の残り全てが詰まった物であった。
 そしてまほろばの攻撃に、サヨコは剣戟を重ねる。
 振り向くこと無く。言葉を会わせることも無く。ただ、当然の如くと二人は行動を合わせる。阿吽の呼吸で放たれた双撃は、超大和を捉え、そして、その身体を穿った。刹那、激しい衝撃が迸り、攻撃を為した筈の二人は、空気そのものを揺らす反動に、僅かに踏鞴を踏む。
「私達は勝利する。誰一人欠くことなく。――戦いの先に待つ時代を、生き抜くために!」
 紡がれた力強き宣言は、自身の制帽を押さえるサヨコからの発せられた物だった。
 そして。
「そうか」
 静かに聞こえた声は、先程までと全く変わらない音と響きを有していた。
 否、僅かにくぐもって聞こえる声は、当然ながら超大和が得たダメージを現していた。だが、それでも、変わらないと思える音を有したそれは、そのまま復讐者達の耳朶へと突き刺さっていく。
 まるで、悪夢を見たような表情を、復讐者達は浮かべる。
「超大和――!」
 咄嗟に振るわれたサヨコの超巨大プラズマ刃を軍刀で受け止め、超大和は静かに言った。
「先も言った筈だ。同時攻撃、ネメシス形態に裏付けされただけの高威力の攻撃は、我を仕留めるに至らず、と」
 まして、と紡がれた言葉に、両者はただ、沈黙する。言葉を発する事が出来なかった。
「超々々々弩級戦艦は我に自身の存在を強く誇示していた。その中で、この攻撃の起こりを見逃すような愚かな王と侮りはしまい?」
 そして、再度具現化した超巨大艦砲『八紘一宇砲』が火を噴く。
 苛烈な砲撃は鍔迫り合いの剣技を見せるサヨコを、その後ろで脱力するまほろばを呑み込み、貫き、そして、消し飛ばしていった。

『月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は重傷を負った』
『クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は重傷を負った』
『三間・勲(漁火・g10186)は重傷を負った』
『麗・まほろば(まほろばは超々々々弩級戦艦ですっ!・g09815)は重傷を負った』
苦戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

力による制圧と、知力による戦況の解析で刻一刻と変わる戦場を掌握する
流石は断片の王ですね
優れた司令官であれば、鬼札の1枚や2枚隠し持っているのは定石
自らがそうであるように、ディアボロスも奥の手を隠していると想定していたとしても、全く不思議はありません

沈んだ冥海機の娘達が貴方に力を与え、共に在るのだとしても
ここで臆して足を止めることはできません
一歩でも前へ、一撃でも多く相手へ叩き込む
想いを背負って戦っているのはお互い様
仲間が積み上げてきた一歩を私もここで刻ませて頂きます

宙に展開した鍵盤で「福音」を演奏
聖なる光を剣と束ね、ダメージ・命中アップの加護でひときわ大きく力を籠め、超大和を貫けと射出します
可能ならパラドクス通信で仲間と攻撃タイミングを揃え
狙うのは先行した仲間が刻んだ傷
少しでも深く差し込み抉ります

反撃にはガードアップの加護を纏わせた守護の青薔薇の茨で急所と指だけは守ります
私の心と指さえ動けば戦えるというのは演奏家の利点ですね
とはいえ、これを何度もは
流石に無理、ですけど


(「力による制圧と、知力による解析で刻一刻と変わる戦場を掌握する。流石は断片の王ですね」)
 ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)の思いは、賞賛として紡がれていた。
「優れた指揮官であれば、鬼札の1枚や2枚、隠し持っているのは定石ですが」
 八八艦隊、自身の圧倒的な戦闘能力、そして、復讐者達への理解。
 それ以上の切り札を超大和が持ち得ているかと言えば、是にも非にも思える。だが、それを問うたところで、答えがある筈もない。疑心暗鬼に陥らせるのもまた、戦術の一つだ。
(「これ以上の隠し球はない。そう楽観視するつもりはありませんが、しかし、やることは同じです」)
 宙に鍵盤を展開し、ソレイユは詠唱を開始した。
「光あれ、恵みあれ、幸いあれ」
 音は力に、事象へと変換される。幸いあれと鐘は鳴り、軽やかな音は雨のように超大和へと降り注ぐ。生まれた光は、ソレイユの意に沿い、敵を――超大和を撃ち抜く。
「沈んだ冥海機の娘達が貴方に力を与え、共に在るのだとしても、ここで臆して足を止めることは出来ません」
 一歩でも前に。一撃でも多く。
 断片の王という巨敵を、僅かでも梳るべく、ソレイユは音を爪弾き、光を放った。
「思いを背負っているのはお互い様。仲間が積み上げてきた一歩を、私も此処で刻ませて頂きます!」
 超大和が冥海機達への思いを語るならば、ソレイユもまた、仲間達の思いを音と綴る。それが、演奏家としての彼の戦いだった。
「心と指さえ動けば、私は幾渡でも戦える」
 白熱する演奏は、超大和を穿ち、返す刀の嵐はソレイユの身体を激しく弾き飛ばした。
 壁に叩き付けられ、かはりと声を零した彼は、己の口から熱い液体が零れていくのを感じた。
 朱色のそれを乱暴に拭った彼は、それでもと、更に鍵盤を叩き、音を紡ぐ。
 思いは先程と同じだ。一歩でも前に。一撃でも多く。
 自身が果てる刹那まで、パラドクスを紡ぐ。超大和に損害を与え続ける。たとえ微力でも、その重なりが巨大な敵を討つのだと、愚直に信じ、彼は力を振るい続ける。
 対して、己に吹き荒れる嵐の力は変わらない。そこに躊躇いも気負いも感じない。ただ、目の前の敵を倒す。それは自分達復讐者も、超大和も同じであった。
 だからつまり、これは、――そう、意地の張り合いなのだ。
 冥海機ヤ・ウマトの全てと称する超大和と、それに抗う復讐者達によるエチュードの様な――と其処まで想像したソレイユは、首を傾げる。
(「本当にそうでしょうか?」)
 超大和が此処に居るのは、復讐者達が追い詰めたから。自身の命を賭けた作戦に敗北し、その責として後が無い戦いを繰り広げている。
 だが、もしも、この戦いそのものが超大和の望みであるならば? 彼奴は何を自身の利益と考えるだろうか。
「――ッ」
 考えろ、と己に言い聞かせる。嵐に翻弄され、意識を失うその瞬間まで、身体が命を手放すその刹那まで思考しろ、と自問自答を繰り返す。
 もしかしたら、それこそが疑心暗鬼かもしれない。超大和は何も考えておらず、この場で復讐者達を全て討ち取れると楽観視している可能性も捨てきれない。逆に其れは、復讐者達も同じではないか? 本来は薄氷の上を渡るような作戦にも関わらず、幾多の原則を無視、或いは楽観視するような策を講じていないか、と内心で問う。
(「ありとあらゆる想定が、今の超大和の強みであるならば」)
 生かせる材料は全て生かし、最悪を想定し、そして――。
 数度目の嵐を受け、ソレイユは己が意識を手放す。事切れるその瞬間まで、彼はパラドクスを紡ぎ、同時に、幾多のも思考を紡いでいた。

『ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は重傷を負った』
苦戦🔵​🔴​🔴​🔴​

阿南・達多
【奴崎組W】
アドリブ連携歓迎。

心情
成程、貴方様は思慮深い方であられる。故に強者のオーラも出ているのでしょう。
しかし我々もヤ・ウマト海域奪還の為には負けられぬ故。いざ尋常に、浄化説法の時間です。

行動
同道した奴崎組Wの皆様と連携しながら御業(パラドクス)の【祈り】の念仏を唱えましょう。【悟りの杖】での打撃も噛ませ、この錫杖は防御にも転用します。
【ダメージアップ】など各種の残留効果を、連携している皆様の分も併せて駆使し、連携攻撃によって負傷を防ごうと試みまする。

今までの攻撃を見るに……個での力では撃破は成し得ないと心得ました。それが貴方様の役目なのですね。
超大和……貴方様は断片の王であるからこそお強い。それは我が師である仏も恐らく認めましょう。
しかし、集団の力を侮ってはなりませぬ!


白水・蛍
【奴崎組W】
アドリブその他諸々歓迎
敵には敬意を
作戦はラキアさん(g00195)ので挑みます。

ネメシス使用。オラトリオのスパーライトと合体して天使のような姿に。
お待たせ王様。最後まで全力で戦いましょう。
私は全力を尽くす。
貴方も全力を出していただけるのかな?じゃないと面白くない。
これが最後かもしれないのだから。
……貴方の想いを受け止めて私たちは先に進む。
だからね。貴方の想いを全部教えて。受け止めて私達は先に進むから!

お願い世界よ。私に力を貸してください。その力を糧に全力の力を相手に。
相手に全力の刃を振りぬいてその一撃を放つ。

貴方の言葉で語ってほしい。貴方達をつづる言葉を教えてほしい。
私は詩人。物事を歌い語る吟遊詩人。
貴方が大事の子たちの愛を語るのか。ただ戦の為の歌を語るのか。
貴方の事。貴方達の事を教えてほしい。私はそれを歌いましょう。
それを歌いつづりましょう。戦った事を忘れないために、ね。
さあ、聞かせてくださいましおじ様。


「今までの攻撃を見るに、個の力では撃破を成し得ないと、心得ました」
 そうして、復讐者達の壁として立ち塞がることこそが、超大和の役目なのだろう。
 阿南・達多(多聞第一・g11464)の達観した言葉に、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は是と頷く。
「超大和、貴方様は断片の王であるからこそお強い。それは断片の王を抱かないディアボロスには分かり得ぬ強さなのでしょう。そして、その強さは、我が師である仏もおそらく、認めましょう」
 だからこそ、と達多は言う。
「しかし、集団の力を侮ってはなりませぬ!」
 一人が駄目ならば二人で。二人が駄目ならば三人で。単体の暴を以て駄目ならば、それらをまとめ、全てを叩き付ける。
 人海戦術を唱える彼に、蛍も再び是と頷いた。
 その結論もまた、復讐者達の力で成し得るものであった。

「お待たせ、王様。最後まで全力で戦いましょう」
 蛍は歌い、己が身をネメシス形態へと転じる。自身のサーヴァントと同化を果たした彼女は、まるで天使の如く輝いていた。
「私は全力を尽くす。果たして貴方はどうかしら?」
 全力を尽くすからには全力を尽くして貰わなければ面白くない。
 ある意味尊大とも取れる笑みを浮かべた彼女は、そして、世界へと語り、世界に希望を綴り、捧げる歌を口にした。
「いざ、説法の時間です」
 負けじと達多が念仏を唱える。
 歌と念仏。そのパラドクスを前に、錨を具現化させた超大和は、静かに言葉を紡いだ。
「今、全てを果たさずして何とする」
「貴方の思いを受け止めて、私達は先に進む」
 断片の王の決意を受け止めた蛍は、歌をその両腕に集束、そして、多大な気合いと共に歌が形成した刃を振り下ろした――。

 二人の作戦は、否、二人が所属する【奴崎組P・S・W】の作戦は一つだ。
 己が得意とする分野で思いっきり力を振るう。単純な作戦だが、それ故、思考の迷宮に陥らない、と言う利点もある物であった。
 作戦の正確な意図は、提唱者しか分からない。
 それ故、もしかしたら。
『どうせ敵は断片の王。如何なる能力もディアボロスを遙かに上回る筈だ。ならば、自分の悔い無き思いで、全力を叩き付けろ』
 そんな思いがあったのかもしれない。

 故に達多は説法を唱え、蛍は己が思いを口にする。
 叩き付けるならば己の力のみにあらず、その思いをも全て。それが彼ら復讐者達の意図でもあった。
「ここまで来れば小細工は不要。どうせ、全て看過されてしまいましょう」
「……先も言ったが、謙遜は止せ。そうやって我を謀ろうとするのは、貴様らの悪い癖だぞ、ディアボロス」
 嵐は僧侶の細い体躯を吹き飛ばし、続く砲撃は、その身体を壁へと縫い止める。
 断片の王の超威力なパラドクスをここまで叩き付けらながら、どうして壁破壊に至らないのか。
 そんな疑念が脳裏を過ったが、それは煩悩、捨て去るべしと達多は頭を振り、再度の浄化説法を、そして杖術の一打を超大和へと重ねていく。
「諸行無常。しかし、不朽不滅であれば、それも致し方ないと割り切るのも、仏の教えです」
 血を吐きながらも、そう唱える。涅槃寂静に程遠い俗世の身であれど、穢されず、侵されずの物があることを達多は知っている。例えば、仏の教えのように。
「双方決着付かず、鎮守府崩壊により玉砕のみが伝えられたとなれば、互いに興醒めであろう?」
 それは、この改竄世界史の元となった筈の大日本帝国と、その終焉に対する皮肉だろうか、と達多は受け止め、微笑を繰り出す。
 御仏に見られる古拙微笑は、修行半ばの達多にしても有効だ。まるで即身仏の如き微笑は、見るものが見れば、思わず拝んでしまうほどの神気に溢れていた。
 もっとも、超大和がそれに圧されることは全く無かったが。
「貴方の言葉で語って欲しい。貴方達を綴る言葉を教えて欲しい。私は詩人。物事を歌い語る吟遊詩人。貴方が大事の子たちの愛を語るのか。ただ戦の為の歌を語るのか。貴方の事。貴方達の事を教えて欲しい。私はそれを歌いましょう」
 歌と斬撃。その双方を紡ぐ蛍に還ってきたのは、達多同様、激しい嵐と、そして。
「ならば『咲くもよし散るもよし野の山桜』とだけ答えよう」
 一笑に付す、とばかりの返答であった。
 己が為すべき事を為す。己が成すべき事を成す。それ以上は後世の歴史家が判断すれば良い。其処に何があったかなど、知る人が知れば良い、との帝国軍人さながらな断言に、蛍は泡を喰らった表情を浮かべた。
「おじ様。それはどう言うこと――」
「歴史を紡ぐのは勝者の仕事よ。我が敗したのならば、稀代の悪鬼でも、極悪非道なA級戦犯でも、貴様らの好きな様に語り継ぐが良い。だが――」
 再度吹き荒れた嵐は、地獄の如き苛烈な砲撃は、そして断片の王の膂力から繰り出される斬撃は、達多を、そして蛍を砕き、斬り裂き、吹き飛ばす。
「それでも、実利は貰う」
 清廉潔白と語り継がれる名誉よりも、泥土を啜ると蔑まれ悪名を謳われる道を選ぶ。
 故に、最後の最後まで抗うと、超大和は、滅び行く断片の王は復讐者達へと宣言する。
「最後にそう謳いますか。それが、貴方の全力……」
「開き直り、ともいいましょう」
 むしろ、超大和の叫びを鑑みれば、後者に近かったが、それは追求しないのが華だろうと、達多は呟く。
 男にはやらねばならぬ時がある。それが今だと、彼奴が言うならば、御仏も咎めはしまい。
「ならば、我々も覚悟を決めるしかありません。輪廻よ回れ。そして、輪廻をやり直しましょう。幾渡と続く大いなる一撃を受けなさい!」
 達多の叫びの元、幾多のパラドクスが吹き荒れ、そして、互いの身体を梳って行く。
 そして、度重なる煙が嵐によって散華した後、其処に残されたのは、荒い息を吐く超大和のみであった――。

『阿南・達多(多聞第一・g11464)は重傷を負った』
『白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は重傷を負った』
苦戦🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ワシリーサ・ヴォレシア
【奴崎組S】
アレンジ連携歓迎

ネメシス体
輝く霧を周囲に漂わせ炎を纏う姿

心情
相手には相手の譲れない物があるなんて三笠と戦った時から判ってる
其れでも私の譲れない物の為に絶対勝つ!

他の奴崎組Sの面々と連携
攻撃タイミングを合わせる

超大和の中の自分のデータを一瞬でも乱す為技能総入替で近接戦主体に戦い方変更

敵に突貫
〇ダメージアップで威力高め〇イワンワシリーの焼失発動
鎖舵輪に炎を纏っての炎の刃
攻撃は輝く霧を斬り裂く軍刀軌道と超大和の放つ殺気で何処から来るか察知し反撃

貴方ならさっき迄の私の戦い方との差異も一瞬で是正し適応する
けど其の一瞬が得られる可能性があるなら賭けるに充分
取れる手段は何でもして貴方に食らい付く!

私は海が船が好き
だって私に残ってる唯一の兄様や母様との幸せな思い出の場所だから
其の海が血に穢され続けるヤ・ウマトの支配は嫌
そんな個人的な我儘だけど譲れない想いの為、平和な海を取り戻す為に貴方を討つ!

此れは吸血鬼と誤認された蒸気船イワンワシリーを焼き尽くした炎!
私自身も薪にし貴方を此処で焼き尽くす!


「あなたに、冥海機達に譲れない物があるなんて判っている!」
 己が身を輝く霧と炎纏いの姿――ネメシス形態に転じ、ワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)は超大和へと叫ぶ。
 同時に、展開した焔は矢の如く超大和へと飛来し、その身体を穿っていった。
「ええ。そう。あの時、三笠と戦った時に、それを理解したから……」
 唱えた名前は、誇り高き軍艦島の主の物であった。
 仲間の為に死を厭わず、自爆すらも厭わず、ただ、民を憂いて死んでいった三笠の名を叫び、燃える炎のパラドクスを超大和へと幾多、幾重と叩き付ける。
「三笠、か」
 独白は、軍刀の煌めきと共に放たれた。
 ワシリーサの焔、イワンワシリーの焼失よりも尚も眩しく、尚も輝く太陽の一刀は、彼女を海戦装ごと切り裂き、幼い体躯に損傷を刻んでいく。
 砕けた兵装が零す欠片を目端で追い、しかし、ワシリーサは更なる炎撃を見舞った。
「此れは吸血鬼と誤認された蒸気船イワンワシリーを焼き尽くした炎! 私自身も薪にし貴方を此処で焼き尽くす!」
「ならば我も旭日の輝きを以て貴様を焼き尽くしてやろう!」
 怪炎と陽炎。
 その双方が衝突し、そして、巨大な爆発を生じさせた。

 怒濤の如き軍刀の斬撃は、その全てがワシリーサの身体を斬り刻み、彼女に深刻な損害を与えていく。
 対するワシリーサもまた、炎を生んではそのまま超大和へと叩き付け、そして叫んだ。己が想いを。己が願いを。己が戦う理由を。
「私は、私の譲れない物の為に勝つ!」
 ネメシス形態。そして、装備変更による技能の変換。やれることを全てやり、その上で刹那の隙を見出し、食らいつくと戦う彼女に、超大和は何を見るのか。
 赤い睥睨はそのままに、ただひたすら、陽光の斬撃を彼女へと叩き付けていた。
「私は、海が船が好きっ!」
(「だって私に残ってる唯一の兄様や母様との幸せな思い出の場所だから――」)
 愛も、喜びも、悲哀も、痛みも、そして、肉親との思い出すらパラドクスへ変換し、ワシリーサは焔を放つ。
 焔は超大和を焦がし、しかし、その表情は険しく、静かなままだ。ただ、返す刀の斬撃がワシリーサを切り裂き、炎と霧ごと、吹き飛ばしていく。
「其の海が血に穢され続けるヤ・ウマトの支配は嫌」
 そんな、個人的な我が儘だけど――。
「譲れない想いの為、平和な海を取り戻す為に貴方を討つ!」
「貴様らとの認識差異は理解した」
 唾棄とは正にこのこと。
 ワシリーサの言葉を吐き捨てた超大和は、追い打ちの如く軍刀の斬撃を彼女へと繰り出す。
「その為に貴様らは何をした? 我らがディヴィジョンに乗り込み、幾多の命を屠った。それを棚上げし、美辞麗句のみを叫ぶのか? 三笠の名を唱えた、その口で!!」
 その言葉にワシリーサは目を見開く。
 超大和の本懐は理解出来ない。海戦を糧とする冥海機の生き様を是とは言えない。それでも――。
 超大和の想いの一端に、自らの手が触れた気がした。
「――三笠は、強かった。民を想い、仲間の為に散っていった」
 視線のみで問う。其れが答えなのか、と。
 超大和は応えない。答えなど、ある筈もなかった。
「アレは責任感が強い娘だった。おそらく、我も感嘆する程の、見事な最期だったのだろう」
 ただ在ったのは、口調も表情も変えない言葉のみ。
 そして、超大和は旭日の斬撃を振るう。太陽の輝きを持つ一刀は、ワシリーサの命を奪うに充分過ぎるほどの攻撃であった。
(「そう。超大和。あなたは……」)
 終焉を迎える間際まで、ワシリーサは脳裏に気高き冥海機の姿を描く。
 そして、そんな彼女へと向けられる慈しみの視線を感じながら、ワシリーサは己が意識を手放した。

『ワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)は重傷を負った』
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!

モリオン・スモーキー
【奴崎組S】
アドリブ等々歓迎
人名等誰かを呼ぶ際には~様

……さてと、どれ程強い相手だとしても。
諦められないのが人の性。倒したいと思う者がいる限り私は手を貸す所存でございますし、挑み続けるのが人です。
貴方は違いますか?大和様。
貴方は諦めないために此処にいる。違いますでしょうか?
私はそれほど知っているわけではない。聞いた限りの事しか知りません。
ですが、今ここに至るまで、貴方は諦めていない。
私にはそう見えます。……それとも自身は諦めているからか?
私は諦めません。この一撃届くと信じて攻撃するまでです。
信念は諦めねば通ると信じております故。

味方と攻撃のタイミング合わせてこの一撃を喰らっていただくまでです。
全力でパラドクスの一撃を打ち込みます。
――穿て!


「さてと、どれ程強い相手だとしても」
 己が得物に赤い目、そして牙の生えた口を生じさせながら、モリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)は超大和へと対峙する。
「諦められないのが人の性。倒したいと思う者がいる限り私は手を貸す所存でございますし、挑み続けるのが人です。――貴方もそうでしょう? 超大和様?」
 慇懃な言葉と共に、モリオンは超大和へと己が攻撃を繰り出していった。
 超大和は応えない、否定も肯定もしない。代わりに紡がれた軍刀の一撃はモリオンを袈裟掛けに斬り裂き、そして、血を噴出させた。
 ――それが、彼の意図で、答えだと、モリオンは何とは無しに悟っていた。

「貴方は強い。それは歴とした事実だ。そして、現状を認められない程、耄碌している訳でも無い。今の自分を、事態を冷静に受け止めている」
 軍刀の斬撃と、旭日の輝き。双方に損害を受けながら、それでもモリオンは語る。
 土台、最前線を突っ走る勇者達が苦戦する相手なのだ。断片の王の力量は強大で、個として考えれば自分が其処まで至らないのは、周知の事実。だからこそ、彼女は言ったのだ。己が得手を、全てをぶつけてこい、と。
 モリオンのそれは、力ではなかった。
 言葉であった。
「貴方は諦めないために此処にいる。違いますでしょうか?」
 だから、問う。故に問う。それが誰かに繋がれば、それこそが超大和への最善な攻撃となる。
 そう。繋げる事を連携と称するならば、これもまた一つの連携の形であった。
「私は貴方を、このディヴィジョンをそれほど知っているわけではない。聞いた限りの事しか知りません。それでも、今の貴方を評することは出来る。今ここに至るまで、貴方は諦めていない。少なくとも、私にはそう見えます」
 改竄世界史冥海機ヤ・ウマトが終焉に向かっていることは誰の目にも明らかだ。
 ここで取り返しが利くと考えるほど、超大和は愚者ではない。その筈だと、モリオンは想像する。
 だが、それでも、この断片の王は戦っている。全ての復讐者を狩り尽くす勢いで軍刀を振るい、超巨大砲撃を放ち、嵐を呼び起こしている。
 その目的は、推測することしか出来ないけれども。
「例えば貴方は反撃のみならず、自身の攻撃をも相手の得意属性に合わせています。それは、貴方が断片の王という絶対の自信から、のみでしょうか?」
 砲撃で倒れた仲間がいた。軍刀と旭日に斬り裂かれた仲間がいた。嵐に吹き飛ばされた仲間がいた。その何れもが、同じ属性のパラドクスを用いていた筈だ。
 それを鑑みれば、見えてくる物もある。それを、モリアンはこう称した。
 貴方は諦めていない、と。
(「或いは、自身だけは諦めているからかも知れませんが」)
 彼の言葉に断片の王は何も応じない。ただ、睥睨を刹那に伏せ、そして、瞬時に元に戻す。その動作のみが、答えだった。
「私は諦めません。如何に貴方に敵わずとも、この一撃が届くと信じて攻撃するまでです。信念は諦めねば通ると信じております故。――穿て!」
 如何に強大なパラドクスとは言え、超大和を討てない。
 如何にネメシス形態を取り、超大和に肉薄しようと、彼を超越することは出来ない。
 だが、言葉は別だ。
 そして、復讐者達を観察し、何としてでも最良を得ようとする超大和が、その言葉を拒絶する理由は何処にもない。
「そうだ。ディアボロス。我は最後の最後まで足掻こう。生き汚いと言われようと、蔑まれようと、嘲笑われようと、我は我の本懐を果たす」
 超大和の言葉に、モリオンは何を思うか。
 軍刀に心臓を貫かれた彼は淡い微笑を浮かべ――そして、果てていった。

『モリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)は重傷を負った』
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!

リューロボロス・リンドラゴ
【奴崎組W】
真体降臨……水竜激臨!
我は龍、我こそはドラゴン。
リューロボロス・リンドラゴ也!
征くぞ、超大和!

水竜としてのネメシスに転じ、最後の激突よ!
護衛は亡く、海戦装も無い。
だが故にこそ、今の貴様は貴様史上最強であろうよ。
何故ならその身があるからだ。その身一つでここにおるからだ!
王としての使命か。
娘たちへの愛か。
個としての意地か。
嘲笑わぬよ。
怒り、憎みはしても竜は嘲笑わぬ。

錨の嵐、何するものぞ。
竜は海を征き、嵐をも総べる者。
我が身が引きちぎられようとも、我は止めぬよ。
何を?
歌うのをよ。
――幼子よ、穏やかに眠れ。悪夢喰らうは竜である。
くく、くはははは。
噛み砕いてやろうと思うておったのだがなあ。
なあ断片の王よ。
子守唄を歌ったことはあるか?
クロノヴェーダの成り立ち故に、そのようなもの貴様の娘達には必要なかったか?
愛は要不要でもなければ、資格のある無しでもないと幼子は願うがの。
我は胸を張って謳おう。
幼子達への愛を。

父が娘への愛を語れぬのが冥海機ヤ・ウマトだというのなら。
その理ごと葬り去ろうぞ!


「真体降臨……水竜激臨!」
 水竜としてのネメシス形態に転じたリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は、司令室内で咆哮を響かせると、力強く宣言した。
「我は龍、我こそはドラゴン。リューロボロス・リンドラゴ也! 征くぞ、超大和!」
 海戦装八八艦隊の一本を想起させる勇姿に、錨を振り回しながら、超大和もまた同じ台詞を口にする。
「掛かってこい。ディアボロス。我はディヴィジョン、冥海機ヤ・ウマトの断片の王。超大和なり!」
 まるで、意気には応えなければ不躾と言わんばかりの台詞に、リューロボロスはニタリと破顔した。

 龍の巨躯から奏でられたそれは、水流でも息吹でも全身を使った殴打や爪牙の斬撃でもなく、子守唄であった。
 当然、ネメシス形態の復讐者が放つ子守唄だ。ただの歌であるはずもなく、パラドクスとして作用したそれは、超大和の耳朶を打ち、その脳を侵していく。
 そして、超大和もまた、それを受けるだけではない。反撃に紡ぐ錨の旋回は、巨大な嵐を呼び覚まし、リューロボロスと、超大和の背景を渦潮じみた旋風で染め上げていく。
「護衛は亡く、海戦装も無い。だが故にこそ、今の貴様は貴様史上最強であろうよ。何故ならその身があるからだ。その身一つでここにおるからだ!」
 どちらがラスボスか判らない台詞を、リューロボロスは口にする。
 もしも超大和が多弁な性格であれば、一言あったかもしれないが、しかし、彼はどちらかと言えば寡黙な性格であった。故に、ふむ、と頷くのみであった。
 故に、畳み掛けるよう、リューロボロスは言葉を続けた。
「王としての使命か。娘たちへの愛か。個としての意地か」
 使命もあろう。愛もあろう。意地もあろう。その全てが彼をここに立たせていることは想像に難くなかった。
 故に、リューロボロスは力強く宣言した。
「それを、竜は嘲笑わぬ」
 怒り、憎みはしても竜は嘲笑わぬ。それが自身の矜持だと言わんばかりにリューロボロスは宣言すると、更にパラドクスを重ねて行った。
 子守唄は反撃の嵐を誘い、そして、嵐はリューロボロスを梳って行く。着実に重なるダメージに対し、しかし、彼女は何するものぞと笑う。如何に我が身を斬り刻まれようと、彼女は笑うのみであった。
 そして、問うた。
「なあ断片の王よ。子守唄を歌ったことはあるか? クロノヴェーダと言う成り立ち故に、そのようなもの貴様の娘達には必要なかったか? 或いは、『海戦によって出現する』出自故、その機会はあったのかえ?」
 クカカカと響く哄笑に、超大和は眉を動かす。
 何か言葉が紡がれるかと思い、しばしリューロボロスは沈黙。しかし、その後に紡がれる言葉はなく、故に彼女は更なる言葉を超大和へと叩き付けた。
「愛は要不要でもなければ、資格のある無しでもないと幼子は願うがの。我は胸を張って謳おう。幼子達への愛を。――父が娘への愛を語れぬのが冥海機ヤ・ウマトだというのなら、その理ごと葬り去ろうぞ!」
 竜は嘲笑わず。竜は揶揄わず。
 ただ、怒りと憎しみだけを以て、討つと宣言し、そして、パラドクスを紡ぐ。
 物語となる子守唄は超大和を貫き、しかし、放たれた嵐はリューロボロスを呑み込み、その身体を砕いて行った。
 そして。
「――里の土産の、辺りが下手でな。良く娘達に笑われていたわ」
「そうか。まあ、うん。……そうか」
 見るからに寝かしつけは下手そうだしな、と。
 壁に叩き付けられ、ぐしゃりと潰れる間際、リューロボロスの脳裏を掠めたのは、そんな益体の無い言葉であった。

『リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は重傷を負った』
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】がLV3になった!
効果2【ガードアップ】がLV7になった!

梅指・寿
今できるすべてを使って戦わないといけないのね。(ネメシスモード発動、白髪のスーツ姿の老女の姿に変わる)
この姿になるのは初めてだけど、やっぱり力の入り方がしっくりするわ。

戦闘はパラドクス【アサシネイトキリング】を使用。小型拳銃【宮毘羅】で全弾発砲して攻撃。ここは…次の人の攻撃に少しでも貢献できるように相手の手を狙うわ。
指先一本が少しでも、武器を持つ手が少しでも緩んだら僥倖だもの。
反撃には普段ならバックステップでできるだけ斬撃のダメージを軽くしたいのだけど、ここは腹を決めてあえて攻撃を甘受…絶対当たるから相手の武器にべったり血を付けて他の味方への攻撃の時に刃が血で曇って味方のダメージが少なるなるようにしたいわ。

超大和さんは素直にすごい人だなって思うわ、だからおばあちゃんみたいな老いた生き残りも刃を振るうの。
私達は命が重なるほど刃が重く鋭くなるわ。
…貴方は、今まで啜った貴方の娘さん達と私達の命の重さにどこまで耐えれるかしら。
どこまでも耐えるその姿、敵同士だけど心配になるわ…


 普段の幼い容姿をかな繰り捨て、白髪の老婆――ネメシス形態に転じた梅指・寿(不沈の香・g08851)は、そのまま小型拳銃【宮毘羅】の全弾を超大和へと叩き込む。
 狙いは軍刀を握るその腕。傷付き、血を噴き出した己の腕を一瞥した超大和は、しかし、とそのまま軍刀を振るう。
 一太刀は彼我の距離を無視し、そのまま寿を斬り裂いていた。
「この程度の攻撃で、我は止められんよ。ご母堂」
「そうでしょうね」
 朱に染まる白スーツを手で押さえ、寿は静かに答えた。
 元より逆説連鎖戦。部位狙いが意味を為さないのは百も承知だ。それでも敢えて狙ったのは、そこに一片の希望を見出そうとしたが故。
 それもまた、連携の形だと、寿は口にする。
「連携、か」
 寿の独白に、大和は追従の言葉を口にした。
 意味の為さない攻撃など、連携の体を為していない。そう言いたげな口調に、しかし、と寿は頭を振った。
「超大和さんは素直に凄い人だなって思うわ、だからお婆ちゃんみたいな老いた生き残りも刃を振るうの」
 今の外観年齢に、寿と超大和は大きな差異が無い。自身を老婆と呼ぶ彼女に、超大和が苦笑じみた笑みを浮かべるのは致し方なかった。
 或いは、その笑みは困惑であろうか。
 先程、突如向けられたのは賛辞じみた言葉であった。故に、浮かぶ笑みに困惑が滲み出ていたのだ。
 それに構わず、寿は言葉を続ける。
「私達ディアボロスは命が重なるほど刃が重く鋭くなるわ。――貴方は、今まで啜った貴方の娘さん達と私達の命の重さにどこまで耐えれるかしら」
「言葉の意図は分からぬが……、ただ単純な問いならば『何処までも背負い続ける』と答えよう、ご母堂」
 断片の王たる彼は、確固たる意思でそれを断じる。
「そう。何処までも耐えるその姿、敵同士だけど心配になるわ……」
 呟き、そして、放った寿の銃弾が狙い違わず貫いたのは、超大和の手ではなく、その手が握る軍刀であった。
 一瞬の衝撃に、しかし、超大和の構えが弛む。
 刹那、眉を顰めた超大和は、反撃にと旭日の輝きと共に、寿へ袈裟斬りの斬撃を見舞った。
 新たに生じた傷口から血を零した寿は、しかし、と首を振る。その威力を強く認識してしまったが故に。
「もう、理解しているのでしょう? 貴方は私達を倒せない。幾ら私達を殺そうとも、私達は意思を、命を重ね、再びこの場に現れるわ」
「それでも尚、だ」
 無限に現れるならば、無限に殺す。
 その言葉に、寿は首を振った。
「もしも、これが海戦ならば、それも叶ったかもしれない。――でも、司令室で、私達と斬り結ぶこれは、『海戦』の定義から大きく外れるわ」
「――ッ」
 超大和――否、冥海機のエネルギー源は、『海戦』にまつわる人間の感情の動きや落命である。ただの戦闘行為――海を舞台としないこの戦いでは、それを得る事は叶わない。
 長時間の戦闘に疲労を覚えるのは、何も復讐者達のみではないのだ。超大和も――断片の王であろうともそこから逃れられない。まして、エネルギー補給がままならない今、全力で戦う超大和が疲弊するのも、当然であった。
 むしろ、ここまで保った方が脅威だと、寿は内心でのみ呟く。超大和への賛辞は、それ故の言葉だった。
「もう一度言うわ。何処までも耐えようとするその姿、私は心配になるの」
「――我に対する心配はご無用だ、ご母堂」
 殺しきれずとも、意識を奪いさえ出来ればそれで良い。
 その決意の元に放った斬撃は、確かに寿を斬り裂き、その身体を戦場外へと弾き飛ばした。
「我は我の役目を果たすのみよ」
(「……そうね。でも、旭日が昇るように、終わりは必ず来るわ」)
 地道に損傷を重ね続けるそれもまた連携だと。
 穏やかな微笑を浮かべ、そして、寿は己が意識を手放していった。
苦戦🔵​🔴​🔴​🔴​

音羽・華楠
他の皆さんが引き出した超大和の反応から、見えてきました。
超大和は、内面的にヨークタウンに酷く似てる。
なら、倒し方もきっと同じ――

――大切な存在に支えられた心を、逆にその存在を利用してへし折る!

ネメシス形態発動。
黒髪黒瞳の人間の姿に。

妖精たちを可能な限り【召喚】し、補助を願います。
小細工抜き、真っ向勝負の様相で超大和へ攻撃を仕掛ける寸前、語り掛けましょう――

――山城の最期の言葉は、「まだ眠りたくない」だったそうですよ。

――ヴェールヌイは最期に、「отец(お父様)」と呟いたそうです。

【精神攻撃】――『娘』に先立たれ、その最期の言葉を聞いて心に亀裂の走らない『父親』は居ません!
超大和が揺らいだ瞬間を【精神集中】して見逃さず、私の【全力魔法】、《雷幻想・閃耀》の【砲撃】を叩き込みます!!

味方が得た情報を自分の行動に落とし込み、活かす――それもまた連携です。
私は一人で戦ってるわけじゃないと信じられて【勇気】が湧き、断片の王が相手でも負ける気がしません!

これが、復讐者の勝利を照らす《閃耀》です!!


「貴方は内面的に、ヨークタウンに酷く似ている――」
 ならば、倒し方も同じ筈だと、音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は唱える。紫電を纏う少女の姿は、瞬時にネメシス形態へと移行し、パラドクスを放った。
「大切な存在に支えられた心をへし折ります!」
 轟音と共に放たれた荷電粒子砲は、超大和の身体を穿ち、その身体を僅かに後退させた。
 だが、華楠の狙いはその一撃では無い。
 彼女の狙い、それは――。
「山城の最期の言葉は、『まだ眠りたくない』だったそうですよ」
 ジェネラル級冥海機『山城』の最期を囁く。
 只の独白じみた言葉は、しかし、超大和の耳朶を打つ。
 彼女の狙い。それは、冥海機達の死を語ることにより、超大和の動揺を誘うことであった。
 冷静沈着な超大和のこと。ただ冥海機達の終焉を語るだけでは心を揺り動かすことは叶うまい。そんな不思議な確信があった。
 だが、華楠には切り札があった。通常では届かない文言も、しかし、その切り札ならば、鷹揚自若な心を抉れる筈――。
「ヴェールヌイは最期に、『отец』と呟いたそうです」
 世界の理を覆す力を継続使用。そのまま言葉を続ける。
 アチェーツ。ロシア語で父親を指す単語は、彼女が最期に求めたモノに違いなかった。
(「『娘』に先立たれ、その最期の言葉を聞いて心に亀裂の走らない『父親』は居ません!」)
 そして、その狙いは正しかった。
 先程まで、即座に反撃に転じていた筈の超大和は、しかし、身体を強張らせ、微動だにしない。
 そして、その隙を見過ごす彼女では無かった。
「ト ホ カ ミ エ ミ タ メ――汝、至高なる雷の神威を識れッ!!」
 陰陽木行、火行、土行、土行を核とした砲撃が、華楠の手から放たれ、戦場を駆け抜ける。大勲章と言う世界の理を侵す程の力を用いたパラドクスは超大和の身体を貫き、破砕の音を撒き散らした。
 超大和の身体が大きく傾ぐ。牽制の一撃とは比べものにならない程の損傷を受けた超大和は、しかし、床をも砕かん勢いで地を踏みしめると、具現化した錨を華楠へと振り抜いた。
 喚び起こす嵐は華楠の身体を捕らえ、遙か後方へ弾き飛ばす。そこに重なる攻撃は、十重二十重と華楠を強襲し、身体をそのまま壁へとめり込ませていった。
「今のは効いたぞ。ディアボロス」
 口端から血を零し、超大和は独白する。
 静かな言葉は賞賛で、そして憤怒の色を纏っていた。
「二つ言っておこう。一つ。我とヨークタウンを同じと見ない事だ。アレは弱き冥海機の中でも強き存在だったが……精神を妹へ依存し過ぎた。それが強みでもあったが、――我の有様が、娘の有様と同じと考えるな」
 そして、二つ目、と語る。
「我が娘を殺した上に、死をも陵辱した以上、貴様らも覚悟したのだろう? 最早、我は揺れ動かぬ。ただ、貴様らを殺し尽くすのみと誓おう。我が貴様らに与えるのは終焉のみ!」
 そう。確かに華楠の狙い通りだった。彼女の挑発は、的確な程充分に超大和の心を貫いていた。味方が得た情報を活かし攻撃する事を連携と呼ぶならば、此度のそれは恐ろしい迄の効果を発揮していた。
 そして、とも思考を紡ぐ。
 おそらく今後、復讐者達が如何なる口上を述べようと、瑕疵と受け取りはしないだろう。冥海機の名は、父娘の情は、逆鱗に触れる行為となる。そんな認識を覚える。
 そして、薄れ行く意識は掠れ、全てが闇へと染まっていった。
「今一度言おう。戯れ言の時間は終わりだ。貴様らの全てを以て我を討って見せよ。それとも、この後に及んで、我が命を小細工で奪えると見くびるのか?」
 消滅した華楠に、否、全ての復讐者に叩き付けるよう、超大和の憤怒の声が響き渡った。

『音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は重傷を負った』
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎

新宿島の助け無き今それでも多くの残留効果が積み重なっています、しかし。
死角など存在しない、『八八艦隊』との戦いの際に超大和はそう言いました。
超大和に刃を届かせるにはもう一工夫必要なのでしょう。
パラドクスを紡いだ瞬間が逆説連鎖戦の始まりであるならば、如何に最善の形に近付けてパラドクスを紡ぐ瞬間を迎えるか、勝負の分かれ目はきっとそこにあります。

使う刀は《妖刀『鐵喰』》と、その『鐵喰』を変化させた《巨刀『曼殊沙華』》、
使うパラドクスは《妖刀覚醒・鉄蝕閃》です。

脇構えで『鐵喰』の刀身を背に隠したまま一気に踏み込み超大和へと接近。
死角は無い、その言葉を信じるなら背に隠していてもこの『鐵喰』の間合いすら見切ってくるかもしれません。
ならば見切られていると想定した上で振り下ろすその直前、『鐵喰』を『曼殊沙華』へと変化させます。
ギリギリまで真の手札を見せず間合いも一撃の重さも予想から狂わせた、この一振りに全てを懸けて。

今の私に出来る事を貫き通すまで。
征きます――死を視る事帰するが如し。


月鏡・サヨコ
【倚門之望】

親子の情を語る言葉は、超大和の心に確かに響いている
或いは、血の繋がった家族でなくとも――彼らなら

私の役目は「仲間が超大和に語りかけ動揺や隙が生じた時、意識外から全力で撃つ」こと
負傷から復帰後すぐには超大和と接触しない
譲二と勲が超大和に届ける言葉を、司令室の扉の外や八八艦隊の残骸の陰等の隠れやすい場所に潜み把握
もし効果があれば【光学迷彩】を使用
二度の退場で完全消滅したと見せかけ合図の言葉を待つ
勲、譲二。二人の想いを、王をも貫く光と成して見せる

合図を受けたら『冥海浮上・試製乙砲×全砲門解放』を発動
ネメシス形態で変形した≪巡洋戦艦海戦装『黒姫』≫のビームと砲弾を撃ち尽くす
【ガードアップ】の恩恵で少しでも長く戦場に居座り、この身が在る限り砲撃を続けよう

ようやく分かった
あなたは、全てを犠牲にしてでも生きるべき断片の王でありながら……
同時に、娘の行く末を慮る父だったのだろう
その矛盾こそあなたを苛む心痛の根源だ

ここで終わらせよう。王ですら耐えきれぬ、父の深き苦悩を
――娘達を迎えに行ってやれ


梅指・寿
(意識を取り戻し次第ネメシスモード発動、再度白髪の老女に変わる)
ごめんなさいね、せっかく意識を奪うだけで収めてくれたのに。
けどここで足を止める訳には…いいえ、足を止めたくないの。
我儘に付き合ってね。

使うパラドクスは【平手打ち】、ビンタだけど威力があるのよ。
ネメシスの姿になって身長差が縮まったのを利用して超大和さんの武器を持つ手を叩いて行くわ。
さっきよりも強くなったおばあちゃんだから、このビンタで武器を持つ手が痺れちゃったらいいのだけど。
さっき銃で撃った時は一瞬眉をしかめたのが見えたから効果あるかしら。

反撃はあえて受け止めるわ、というか武器鷲掴みにできたら掴んで他の子に刃が届かないように押しとどめるか、それこそ血をべったりつけて刃を曇らせたいわ。痛みは我慢よ我慢。
何だか泥沼の戦いだけど、こういう戦い方が元々十八番よ。

心配は無用と言ってるけど心配させてね。年を取った女性はそういう生き物なのよ。
超大和さん、貴方はすごく頑張って最善を尽くしているわ。
その努力に胸を張っていいの。もう許してあげて。


ディアナ・レーヴェ
【月半湾】
私は攻撃偏重。
先陣切る形で【Dämon】の言葉の魔法を使用――ああ、なんであなたが王で居られたか分かった気がする。
あなたは娘達に愛されて、守られてるのね。

今まで、海の藻屑と沈んだ骸の山に守られてきたのね。
今でも、昏い水の底からそれが戦う意思を呼び起こすのね。

天使みたいな笑い声が指を握る小さなお手々がぜんぶぜんぶ「愛してる」って語ってくれたあの日を覚えてる?
私も。

でも愛されているせいで更なる娘の死地を招いてしまうのよね。
私も。

己の責で命を手放すのは死にたくなるわね死ねないのに。
私も。

おんなじ。

ぺらぺら喋って攻撃も注意も私の方へ誘引したい。行き先を定めれば受けやすく防ぎやすい、気休め程度には。
青沢が庇いやすいようその背にしがみつく。防御は任せた。この役割分担は決め打ちで割り切るわ。
滲む視界で叫んで敵の意識に食い込む事にだけ集中する。

――そうよ、私もみっっともなく守られた側よッ!
何もかも私のせいであんたのせいよ、泥試合といこうじゃないの!

涸れるまで一声でも多く。

※娘が居ました。私も。


青沢・屏
【月半湾】

「最終的に私たちはこうなるしかなかったようですね…」
「断片の王 超大和――これは正邪善悪とは関係のない、私たちそれぞれの生存をかけた戦いなの」

「彼女が何をしたとしても、私の仲間――仲間を庇う、当然のこと」
ディアナをディフェンス
ディアナの声掛けで超大和の意識を乱しつつ、攻撃は彼女へと仕掛けさせます。そしてディアナを守ります
ノックアウトされていない場合、綾音の砲撃支援と共に攻撃開始

「超大和、若い者の戯言だとお思いでいい――私はあなたを尊敬しています」
「戦い方を教えていただいただけでなく、何度もご指導や忠告をいただきました」
「ですから精一杯、お見せしましょう――あなたの敵として、あなたから受けた教えの、その先へ」

観察と学習によって得た「海洋知識」等のスキルを駆使し、海流の勢いに身を任せ、敵の攻撃を極限までいなす
そして研ぎ澄ました光芒の槍を投擲せん。ひたすらにダメージを与え続け、圧倒すること…断片の王を、撃退するまで

「夜明けの刻は近いだ」
「今日――この海域に、最終人類史の勝利を刻む!」


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

冥海機を見くびった覚えはない
見くびることができる実力だったらどれほど楽だったか

仲間と一緒に戦い続けてやるって決めてんだ
圧倒的な力で叩き潰され切られようとも
全てを取り戻すまでは何度だって立ち上がって喰らい付く
超大和、貴方には全力の姿で挑ませてもらおうか!サイボーグの意地と底力を見せてやるよ!

【行動】
ネメシス体で戦闘を行う
使える残留効果は全て使用

ネメシス体は両腕が銃剣、両脚が針状になったゴーグルと同色の仮面をつけた姿

ダメージアップ、能力値アップの効果を使用しつつパラドクスを発動
製作しておいた銛を銃の部分から射出して攻撃

両断されようが消えるまで攻撃をやめない
伊達に長い間戦ってきたわけじゃ無いから分かる
敵は俺の想像より遥かに強いし小手先の技で誤魔化される程度の相手ではない
分かっているからこそ最後まで意地だけでも通してやろうじゃないか
それが後続に繋がってくれるなら後悔はない


水上・鏡夜
雪華(g02423)と連携
残留効果2を全て使用

愛している子達の最期をこういう形で知るのは辛いんだろう
怒りを覚えるほどの愛情の深さ、か
場違いだけど羨ましいね、ほんと
全霊を持って、添え星お相手仕る

雪華が視線を奪えれば身を隠し、隙を伺う
視線を奪えなければ、雪華が特攻する瞬間、錨を具現化するタイミング
そこを狙い、パラドクス使用
錨ごと腕を茨で締め上げる
振るう事で嵐を呼ぶならそれを妨げればいい
一秒でも一瞬でも遅れれば、それは隙だ
意識が落ちるその時まで彼の王を締め上げ続ける

ほら、雪華、もう一撃、いけるだろ

親から無償の愛、子から親愛
敵ながら天晴
子を奪った復讐者がって思うだろうけど
私達は歪でも親子の愛を知っている貴方達が妬ましい
最大の感謝と敬意を
その上で、私達は超えていく


湯上・雪華
きょーちゃん(g09629)と連携

わぁ……でも、うん
やるべきはやるし、断片の王と相対するのも経験です
前回は燃やされて、今回は沈められて、かな?
全力でいきますよ!
渇望抱く伽藍、参ります

視野が広いならその分、動けば撹乱できるかしら
飛翔じゃ速度足りないですけど、無いよりはマシ
壁歩きも使って壁も天井も足場に変えます
この一撃を撃てれば満足です!
ボクが行うべきは攻撃をさせることだから

視線を奪えないなら肉薄します
自分事巻き込む使い方になるけど……これもボクなりの敬意です
残留効果2を全部盛りで!
一緒に蜂の巣になりましょ?

きょーちゃん、無茶ぶり!
でも、頑張りますよ!
一発だけでも通ればいいんですから

敵ですけど、愛し愛されって羨ましい
親からの愛をボクらは知りませんから
だからかな、愛を知る断片の王が居てくれた事に感謝します


ワシリーサ・ヴォレシア
アレンジ連携歓迎

ネメシス体
体の一部が輝く霧そのものに変じた姿に

心情
美辞麗句か
其れでも私の譲れない想いだし言い返したくもある
自分達が先に多くの命を屠り奪ったのにとか色々
でも家族への想いは理屈じゃないしね

なら後は……力で道を切り開く!

〇アムンセンの障壁を発動
嵐対策に錨を射出
超大和に巻き付ける或いは超大和の傍の大地に突き立てアンカー、鎖と繋げた手裏剣をサブアンカーにし突き刺さった地面を氷結輪で凍結し固定
ガジェットウエポンを中核に装備を用い風の抵抗を弱める流線形の壁作成
〇ガードアップで守りを固め嵐を凌ぎ嵐が落ち着いた瞬間を狙って錨と繋がった鎖を巻き取り其の儘の勢いで壁ごと突貫
〇ダメージアップで威力を高めた攻撃をぶちかます

例えどれだけ傷付いても例えどれだけ倒されても……例えどれだけ殺されても!
数多の先人の屍を乗り越え全ての海図を描き上げた船乗り達や大地を征した冒険者達の様に私達は何度でも挑み……貴方に勝つ!

自分を磨き上げ(ジョブチェンジ)敗北も力に(ネメシス体)した全力を超えた全力
食らって貰うよ!


大和・恭弥
可能な限り仲間と連携、アドリブ歓迎

――成程。それならば、俺も「刹那」の斬撃に全命を懸けよう

武者震いする藍雪花染を抑えて構えを取る
刀が糧としてきた人々の絶望、虚無、悲哀。それらを総て刀と己の戦闘力にして向かう。負傷すら届く迄。

仲間が着実に重ねた状況を見定め、刀と魂を共鳴させて精神集中し、超大和の繊細な呼吸を読み駆ける
【パラドクス通信】で仲間との密度高い連携
逆説連鎖戦であることも意識して臨機応変に剣を振るい、斬撃が届くまでは【ガードアップ】で持ち応えよう。現時点で出し得る精度の斬撃で次の仲間へ、道筋を斬り開かんと一閃
≪剣技・天神ノ瞋怒雨「雷神」≫を発動
【ダメージアップ】をも糧に最後まで振り抜いてみせる

藍雪と矜持を懸けて手を結んだ、はずなのに
俺もまた――親を、護れなかった。

超大和。虚無を抱えて尚、
最期まで倒れぬその生き様には敬意を示すよ

だが、この世を歪ませるものに慈雨は必要ない――。
雷撃の如く斬り、その絶望も悲哀も凡て藍雪が貰い受ける

お前を語り継ぐ未来の為にも、俺たちは此処に在るんだッ!


(「ああ、なんであなたが王で居られたか分かった気がする。あなたは娘達に愛されて、守られてるのね」)
 【Dämon】の魔法――パラドクスを使用しながら、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は内心で言葉を紡ぐ。
 おそらく、それを彼の断片の王は是としない。言葉に紡げば怒りのみを露わにするだろう。
 故に、ディアナは内心でのみ、超大和へと語り掛ける。
(「今まで、海の藻屑と沈んだ骸の山に守られてきたのね。今でも、昏い水の底からそれが戦う意思を呼び起こすのね」)
 恐れる事は無い。
 返す刀と放たれる嵐の幾らかは、青沢・屏(静かなる炎・g00202)が肩代わりし、護ってくれているのだから。
「天使みたいな笑い声が指を握る小さなお手々がぜんぶぜんぶ『愛してる』って語ってくれたあの日を覚えてる?」
 ――私も。
 謳うように。囁くように。
 ディアナの言葉は精神攻撃と化し、刃物の様に超大和を抉っていく。
「でも愛されているせいで更なる娘の死地を招いてしまうのよね」
 ――私も。
「――ッ」
 一言一言が、超大和の身体を梳り、同時に、彼の憤怒が牙を剥くのを感じる。嵐による反撃は最早暴風を通り越し、神風と言わんばかりの力で、二人に降り注いでいた。
 しかし、それでも倒れるわけに行かないと、ディアナは己が前に立つ屏の背中へとしがみつき、言葉の、精神攻撃のパラドクスを更に重ねていった。
 防御は彼に任せ、己はただ、攻撃へ集中する。これが、ディアナと屏の出した結論。役割分担と言う名の『連携』だ。
 ディアナの――手段を選ばぬ軍師の呪言は続く。
「己の責で命を手放すのは死にたくなるわね。――死ねないのに」
 ――私も。おんなじ。
 その言葉は、超大和への非難の様で、しかし、矛先が異なることを彼にすら認識させてしまう。
 ぎりりとした歯噛みの音は、憤怒でも悔悟でもなく、憐憫のようにも聞こえた。
「ディアボロス、貴様は――!」
 もしもそれを現すならば、共鳴とでも言うべきか。娘を失った母の呪いを受け取った彼は、血反吐と共にその名を呼ぶ。
 ディアナの紡ぐ言葉が非難する先は彼女自身で、しかし、其処に生まれる痛みは超大和を苛んでいった。
「最終的に私達はこうなるしか無かった! 断片の王『超大和』ッ! これは正邪善悪とは関係のない、私達それぞれの生存を賭けた戦いなのですッ!」
 屏の咆哮は破壊の光と共に。
 己に突き刺さる破壊の光を受け、反撃の嵐を紡ぎ、超大和もまた、屏の絶叫に応える。
「ああ、そうだ。我らの支配の中に生まれた反逆の使徒共よ! 貴様らが生きる為と叫ぶならば、我らクロノヴェーダは我らが支配のために同じ言葉を叫ぼう。我らは我らである為に、この戦いを勝ち抜くために、貴様らを――殺すッ!」
 その叫びの根幹が何だったのか。
 今の屏には判らない。そもそも、歴史侵略者と復讐者は相容れない存在だ。それは彼も理解する処だった。
 以前、『認識差異は理解した』と超大和は口走っていた。
 そもそも彼らの支配にして、改竄世界史にして、その切欠である人類史改竄術式『刻逆』にして、未知の部分は大きい。知識量の差異は、そのまま認識差異につながり、それを以て超大和が自分達に対峙すると言うのならば。
 果たして、その差異を『相容れない存在同士だから仕方ない』との文句だけで片付けて良いのか。
 形にならない思考を吐き出すよう、屏は光と共に叫んだ。
「超大和ッ! 若い者の戯言だと思ってくれていい。――私はあなたを尊敬していますッ!」
 戦い方、指導、忠告。超大和の言動や行動の全てを糧にしたと屏は口にする。それは皮肉でも嘲笑でもなく、彼の本心――魂からの叫びであった。
「ですから精一杯、お見せしましょう。――あなたの敵として、あなたから受けた教えの、その先へッ!」
 その叫びに断片の王からの返答はない。
 ただ、その口端に笑みを湛え――それは、紛れもない破顔で、そして、その表情のまま新たなる嵐を屏へと叩き付けた。
 神風の域に達した嵐が、屏を、屏が庇うディアナを吹き飛ばす。パラドクスの嵐に翻弄され、宙を舞いながら、それでもとディアナは言葉を紡いだ。
「そうよ、私もみっっともなく守られた側よッ! 何もかも私のせいであんたのせいよ、だったら、泥仕合といこうじゃないの!」
 涙と共に形成された覚悟。
 そして発せられた言霊は、超大和の精神のみにあらず、身体をも抉り、血肉を削り落としていく。
(「貴方の気持ちは痛いほど判る。私も――」)
 私も、同じだったから。
 嵐に弾き飛ばされながら、ディアナは己が魂を叫び、絶叫び、圧唱する。
「こっちの相手もして貰おうか。超大和っ!」
 ディアナの絶叫と入れ替わるように放たれた荒田・誠司(雑草・g00115)の一刀は、異形の姿から紡がれた一撃であった。
 両腕は銃剣。両脚は針。その顔は仮面に覆われ、人とは異なる姿に変異した彼の外見を何と言うか。
 超大和はそれを既に知っている。――ネメシス形態、と。
 危機の度合いによって身体能力が向上するそれは、復讐者達の切り札で、しかし、それは超大和に対する決定打には為らない。それを目の当たりにした部下が、その存在を遺してくれたが故に。
「冥海機を見くびったことは無い! 見くびれる程度の実力だったら、ここまでの道がどれだけ楽だったか!」
 グアムから――否、大戦乱群蟲三国志奪還戦の半ばから始まった縁を思えば、その何れにも快勝は無かった。時に敗北の苦渋を飲まされ、時に辛勝を何とか勝ち取った。それ故、誠司はこう断ずる。
「如何に圧倒的な力で叩き潰され切られようとも、全てを取り戻すまでは何度だって立ち上がって喰らい付く! 超大和、貴方には全力の姿で挑ませて貰おうッ!!」
 ――サイボーグの意地と底力を見せてやるよ!
 冥海機を舐めるな。断片の王を舐めるな。
 かつて見せた超大和の怒りに対し、誠司は同じ言葉を口にする。曰く。
 ――ディアボロスを、舐めるなッ!
 身体を軍刀で斬り裂かれようとも、旭日の光に焼かれようとも構わない。身体を斬り裂かれようとも、砲撃で打ち砕かれようとも、嵐に潰されようとも構わない。自身の命が絶えるまで、否、絶えたとしても何度でも蘇り、何度でも、何度だって食らいつく。
 それが誠司の矜持だ。
 それを小手先と笑うなら笑えばいい。妙技や誤魔化しの類いと揶揄するのならばそれで構わない。
 だが、それら全てを以て、超大和を討つ。その決意で異形に転じた彼は、肉薄どころか組み付く勢いで、超大和へとパラドクスを振るう。
(「そうだ、俺は、ここで、絶えても良い」)
 たとえ自分がここで超大和に倒されても、後続がいる。己に続く者達がいる。彼らが超大和を倒してくれる。
 そう信じ、彼はパラドクスのみならず、己が身体全てを用いて、超大和の攻撃を阻んでいった。
「その決意、私も同じよ」
 己が身体を用いて超大和の軍刀を阻害するのは、誠司のみではなかった。
 刹那の戦闘不能状態から回復した梅指・寿(不沈の香・g08851)もまた、溜め息と共に軍刀を受け止め、パラドクスを超大和へと叩き付ける。
 寿のパラドクス――平手打ちの激しい殴打に、甲高い破裂音が辺りに響いた。
「ごめんなさいね、せっかく意識を奪うだけで収めてくれたのに」
 それを厚意と捉えるか。それとも甘さと捉えるか。或いは――燃料切れに伴う弱体化と捉えるかは自由だ。
 故に寿は己が決意のみを超大和へと伝えた。
「けど、ここで足を止める訳には……いいえ、足を止めたくないの。我が儘に付き合ってね」
「――元より、だ」
 最早、最終決戦。ならば、殺し合う他無い。
 寿がそれを我が儘と言うならば、そもそも、この戦いは相互の我を通した結果であり、そして、それが全てだった。
 白髪の老婆に身を転じた寿は超大和へ殴打を見舞い、返す刀の斬撃は容赦なく彼女を斬り裂く。
 部位狙いに効果は無く、殴打と斬撃を交わす交歓じみたパラドクスの応酬に、しかし、寿は微笑を形成。ただひたすらその殴打を繰りだしていた。
「もともと、こう言う泥沼な戦いが十八番なのよ」
 断片の王と斬り合い殴り合いながら、己を誇るように笑い、そして。
「だが、それも終わりだ。ご母堂。我が旭日は貴様を確実に葬り――ッ?!」
 そんな彼女を切り捨てるべく斬撃を紡いだ超大和は、しかし、驚愕の表情でそれを目撃する。
 必殺とも言うべき斬撃を、寿が受け止めたのだ。
 それを為したのは防具も何も無い素手であり、そして、当たり前の様に肉が斬り裂かれ、朱色の噴血と共に弾け飛んでいく。
 白い五指を、否、腕そのものを半ばまで断たれた寿は、しかし、それに目をくれず、言葉を紡いだ。
「心配は無用と言ってたけど心配させてね。年を取った女性はそういう生き物なのよ」
 貴方は凄く頑張って最善を尽くしているから。
 囁くような呟きの後、寿は言葉を重ねた。
「――それと、狡くて、ごめんなさいね」
 斬り裂かれ、腕であったそれを旋回し再度の殴打を見舞った彼女は、にぃっと悪戯っぽい童女の笑みを浮かべる。
「――ッ!」
 その瞬間、風が疾走した。
 巻き上がった風は三陣。その何れもが、超大和を穿つべく、或いは縛るべく、パラドクスを彼へと叩き付けていく。
「全力でいきますよ! 渇望抱く伽藍、参ります!」
 湯上・雪華(悪食も美食への道・g02423)の弾丸は、超大和を包み穿つように撃たれ。
「必ず辿り着く。――いくよっ」
 水上・鏡夜(添星・g09629)の茨は、超大和の錨を捕縛するよう、放たれ。
「たとえ、どれだけ傷付いてもっ! たとえ、どれだけ倒されてもっ! ……たとえ、どれだけ殺されてもッ!」
 そして、ワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)の放つ錨は、超大和の身体そのものを捕らえるべく、射出された。
(「やるべきはやるし、断片の王と相対するのも経験です。前回は燃やされて、今回は沈められて、かな?」)
 二重三重、否、十重二十重と弾丸を放ちながら、雪華は驚嘆を口にした。
「一緒に蜂の巣になりましょう? 超大和! ボクごとでも、貴方を倒せるなら、それで構わない!」
 妖艶に笑う雪華の誘いに、しかし、超大和の返答はにべも無かった。
「折角のお誘いだが、断らせて頂こう!」
 バンザイアタックに付き合う暇は無い。鏡夜に縛られた錨を捨て、ワシリーサの拘束を一蹴した超大和は新たなる錨を具現化。その旋回を以て、雪華を殴打し、痩身の体躯を吹き飛ばす。
 天井に叩き付けられ、床に落ちた雪華は、己の鼻から零れる血を乱暴に拭いながら、しかしと立ち上がった。
 挑発的な目は未だ、死んでいない。いまだ好戦的な黄金色を放っている。
 故に、鏡夜は言い放った。
「雪華、もう一撃、いけるだろ?」
 傷付いた仲間に対し、容赦はなかった。
「きょーちゃん、無茶ぶり?! でも、頑張りますよ!」
 守護と信頼。その双方で繋がった二人に怖い物など無い。そう言わんばかりに再度、銃を構えた雪華は、鏡夜の茨に合わせ、幾多の銃弾を超大和へと見舞った。
(「最期は『お父様』と言いながら死んでいった、か。……愛している子達の最期をこんな形で知るのは辛いんだろうな」)
 茨で超大和を縛り上げながら、鏡夜は己が内で独白する。
 しかも、それを告げたのは、彼女達を最期へと導いた復讐者だ。言わば「お前の娘は最期まで『お父様』といい声で啼いていたぜぇ!」みたいな悪役台詞だ。怒りを買って当然と言うか、まあ、愛情が深ければ憤怒するよな、とも思う。
 ――それが、場違いだけれど、とても羨ましいと思った。
 ――思ってしまった。
「全霊を以て、添え星お相手仕る」
 だからこそ、鏡夜はパラドクスを叩き付ける。全身全霊を以て超大和を縛り、雪華の、仲間達の攻撃を彼奴へと届ける。
(「子を奪ったディアボロスが! って思うだろうけど。私達は歪でも親子の愛を知っている貴方達が妬ましい」)
 彼女の想いは実に、雪華も同じであった。
(「敵ですけど、愛し愛されって羨ましい。親からの愛をボクらは知りませんから」)
 それは、自分達に無かったものだから。
 最大限の感謝と敬意。それら全てをパラドクスに上乗せし、二人は力を振るう。
「それでも、私には譲れない想いがある。言い返したくもある」
 錨のパラドクスを叩き込みながら、ワシリーサは自身の想いを紡ぐ。
 美辞麗句。『海戦』を許せないと主張したワシリーサの想いを、超大和は綺麗事と一蹴した。
 もしかしたらそうなのかも知れない。現実は非情で、そして矛盾だらけだ。
 『刻逆』によって地球の大地は消滅した。歴史侵略者達は地球から大地と歴史を奪い、自らに都合の良い改竄世界史を生み出した。
 故に世界の対抗措置として、ワシリーサ達、復讐者が生まれ、奪還の道を――反逆の道を選んだ。
 ならば、と言葉を繋げる。
 戦う道を選んだのは復讐者達。そして、そこに血が流れるのは致し方ないと断じたのも、復讐者達であった。血を流すことを前提とした生き方の冥海機にして、血を流す道を選びながら血を流すことを非難するのであれば、それを嫌悪するのも或る意味、正当と言えた。
(「自分達が先に多くの命を屠り、奪ったのにとは色々在るけれど!」)
 もはや、そこは理屈では無いのだろう。
 ならば、為すことは一つしか無い。
「後は……力で道を切り開く!」
 所謂開き直りの想いで新たな鎖を射出。鏡夜の茨ごと超大和を縛り上げ、そのまま、雪華の弾丸と共に吶喊を果たす。
「数多の先人の屍を乗り越え、全ての海図を描き上げた船乗り達や大地を征した冒険者達の様に、私達は何度でも挑み……貴方に勝つ!」
「ならば、我を乗り越えて見せよ、ディアボロス!」
 ワシリーサの想いと体当たりを両の腕で受け止め、超大和は叫ぶ。
「我を否定するならば、我を討てば良い。冥海機ヤ・ウマトの有様を否定するならば、冥海機ヤ・ウマトを破壊すれば良い。だが、憶えておけ! 力を否定し、血を流すことを否定した貴様は結果、力を用い、血を流すことで我らを討つのだ。その矛盾にどうやって折り合いを付けるつもりか! それもまた、勝者の美酒ならば!」
 そして、錨と海戦装。全てを抱え上げ、超大和はそれを投げ飛ばす。
「――その美酒はとても苦いものに転じるであろう!」
 派手な音が響き渡り、ワシリーサの身体が衝突した天井が、そして壁が破壊される。幾多の攻撃を受けきった筈のそれは、しかし、その吶喊に耐えきれず、崩壊の音を響かせ始めていた。
「それでも、尚、だ」
 続けざまの斬撃は、大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)による一撃だった。
 得物、藍雪花染自身が糧としてきた人々の絶望、虚無、悲哀。それらを全て上乗せし、雷の如き一撃を超大和へと見舞う。
「おれでも、俺等はお前に勝つ!」
 刹那の斬撃に全命を懸ける。そう呟いた彼は、そのまま、全身全霊の力を以て、刃を袈裟斬りに振り放った。
 新たな疵が、超大和の軍服に刻まれ、新たな噴血が彼を、藍雪花染の刃を、柄を、そして恭弥自身を濡らす。
 だが、決死の一撃は恭弥の一刀ばかりでは無い。超大和の軍刀もまた、彼の胸を貫き、血肉を抉っていた。
「俺も……親を、護れなかった」
 独白は、淡々と。
 それは懺悔の様にも、悔悟の様にも、或いは、冷静に事実のみを紡ぐ様にも聞こえた。
 ――藍雪と矜持を懸けて手を結んだ筈なのに。
 そこに抱く虚無に、恭弥は折り合いを付けられない。そんな嘆息と共に、彼は言葉を続けた。
「故に、超大和。虚無を抱えて尚、最期まで倒れぬその生き様に敬意を示す」
 だが、と頭を振る。
 身体に叩き込まれた軍刀をそのまま胸筋と腹筋で押さえ込んだ恭弥は、更なる斬撃を超大和へと叩き込む。
「大切なものは自分で護る。ならば――その為に終わる事など、恐れる事は無い!」
 ここで自身が終局を迎えようと構わない。その覚悟で、その想いで放つ一刀は超大和の肩口に食い込み、肩章ごと、その肩口を、その先の腕をも断ち切っていった。
「――ッ?!」
 終焉を叫ぶ気迫に呑まれ、しかし、それでもと超大和は新たな軍刀を具現化。旭日の光で恭弥を切り伏せながら、その身体を蹴飛ばし、彼我の距離を置いた。
 断たれた腕は即座に再生。だが、その再生にかけた一瞬こそが、恭弥が得ようとした刹那であった。
「超大和ッ!!」
 仲間が必ず間隙を生み出す。
 そう信じ、遮蔽物に身を隠していた月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は、恭弥の生み出した刹那に従い、王を貫く光を紡ぐ。
 それは、専用海戦装の超破壊武装として、具現化した砲撃――双頭の怪物による息吹であった。
「――ぐっ!!」
 おそらく超大和のこと。彼女の存在は関知していただろう。復讐者が出来ることは歴史侵略者も可能。【完全視界】や【未来予測】、【強運の加護】で対応できる理など、端から当てに出来ない。故に、それに頼った意識外からの一撃など、行えないに等しい。
 だから、虚を突くことは諦めた。ただ、それでも、その時が来ることを祈り、信じ、待った。
 仲間達が傷付き、倒れ、消える最中でも、それだけを信じ、構え、待ち続けた。
 その解を今ここに示すとサヨコはパラドクスを放つ。
 そして、砲撃と共に、彼女は思考を紡ぐ。
「親子の情を語る言葉は、確かに貴方の心に響いた。だが――それは、……本当は、どうだったのだろうな」
 たとえるならそれは、甘美な毒だった。
 情を語り、騙り、幸せな夢に溺れさせる口撃は、超大和にしても、否、超大和だからこそ耐えがたく蠱惑的な誘惑だったのだろう。
 甘美な毒に溺れさせるか、それとも、その情を以て攻勢に移るか。
 それがきっと、分水嶺だった様に思えた。
(「冥海機への罵詈雑言は多分、怒らせるだけ……だったか」)
 尽きぬ砲撃の中、以前、自身が浮かべた文言を想起する。結果、自身等は超大和を憤怒させ、その虚を突く事が出来た。子を奪った者が、その口で子の最期を告げた。それを怒らない親が――少なくとも、我が娘と声高に喜びを見せる者が、怒らない筈も無い。
 毒を呷ったのは超大和か。それとも復讐者達か。
 それはもはや、判らなかった。
 だが、しかし。
「それでも、私達はこの海を、冥海機ヤ・ウマトを最終人類史に奪還する! 如何なる犠牲を払っても、だ!」
 冥海機達の支配で、そして奪還に至る戦いで、幾多の命が失われた。海戦にまつわる感情や死をエネルギーとする冥海機により、奪われた命もある。奪還の戦いに巻き込まれ、潰えた命もある。そして、踏み躙られた感情も多々ある。今更、臆する理由など何処にもない。
「貴様らが何を思い、主張しようとも我の思いは変わらずだ、ディアボロス! 我は貴様らを殺し尽くし――娘達を護ろう!」
 双頭三連撃の砲撃は超大和を貫き、八紘一宇の大砲はサヨコを穿つ。
 遮蔽物など最早、盾の役目を果たしていない。ただ、己を斬り裂き、焼き尽くす痛みを噛み殺しながら、サヨコは一撃でも多くと、砲撃を続ける。
 ――そこに飛び込む影は、神速で、そして縮地とも呼ぶべき一刀だった。 
「死角など存在しない。それがあなたの言葉でした!」
 野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は叫びと共に、己が愛刀と共に超大和へと飛び込んでいく。
 自身へ注がれる八紘一宇砲、妖刀『鐵喰』で切り払いながら、裕樹は走る。走る。疾走する。
「ならば、今の私の出来ることを突き通すまで。私が、死角を作ります!」
 剣道で言うところの脇構えに鐵喰を構えた裕樹は、その刀身を己が身体で隠しながら、超大和へ肉薄。そして、そのまま逆袈裟に切り上げる。
「己が身体で隠したところで――!」
 裕樹の体躯が150に満たない小柄女性だとか、刀身を隠すその戦法が果たして、だとか関係なかった。
 具現化した巨砲を盾に、僅かに半身を引いた超大和は、刹那、驚愕に朱の目を見開く。
 その斬撃は大きく太く分厚く、そして、鋭かった。
「嚙み砕け、『鐵喰』――いや、『曼殊沙華』ッ!!」
 それは、裕樹にとって慣れた詠唱で、しかし、そこに一言、文言を付け加える。――曼殊沙華、と。
 振るわれたのは鉄塊の如き巨刀よる斬撃であった。振り抜く神速そのままに、巨塊による斬撃を叩き付けられた超大和は、そのまま防御の砲台ごと弾き飛ばされ、壁へと叩き付けられる。
 絶命を免れたのは、盾と構えた砲塔のお陰。だが、その砲塔も半ばまで断ち切られ、即座に消滅していった。
「我が認知を、狂わせた、だと……?」
 ぜえぜえと喘ぎ、口腔に溜まった物をペッと吐き出す。
(「ディアボロスが、パラドクスのみで、我を翻弄したと言うのか?!」)
 たとえばそれが、何かの戦略級クロノ・オブジェクトであれば。或いは、他の断片の王が振るうパラドクスの力であれば。
 超大和の知覚を、観察眼を凌駕し、攻撃を届ける事は可能だろう。
 だが、それを、一介の復讐者が単独で為すなど、超大和の想定にはあり得なかった。
 何が起きたか、理解出来なかった。
 何が起きたか、想像すらも出来なかった。
 ただ、理解出来ないまま、想像出来ないまま、起きたことの認識と分析だけを行う。
(「ディアボロスの中には、それだけの力を持つ者が現れる、のか?」)
 復讐者が扱うパラドクスは、突き詰めてしまえばダメージを与え、【残留効果】を付与する行為で、それ以上でもそれ以下でも無い。そこに如何なる挙動があれど、全て一般法則破壊で凌げる事は、歴史侵略者であれば誰もが知っている事だ。
 故に、たかだか刀身を隠し、接触の刹那に巨大化したところで、超大和を討つに至らない。認知を狂わせる事など不可能。その筈だ。
「それを為した、だと?!」
 思えば、先に娘の最期を語った挑発も、必要以上に自身に響いた。響いてしまった。未知の力を見せた復讐者に八紘一宇の砲撃を放ちながら、超大和は――僅かに破顔した。
「このような手もあったとはな!」
 男子、三日会わざれば刮目して見よ処の話では無い。未だ、進化を続ける敵に、思わず笑いが零れる。むしろ哄笑とも呼ぶべき笑いは、彼女に対する賛辞だった。
 この復讐者が。この妖狐が。――野本・裕樹と言う小娘、否、女傑がそれを為したのだ。
 それが溜まらなく面白いと超大和は笑い、そして、砲塔を彼女へと向ける。
「見切られた上で、その更に上を行く一刀。堪能して頂けたようですね」
「――だが、もうその手品の種は割れたぞ。ディアボロス」
 己が身体に突き刺さる射撃、殴打、斬撃、そして、術式。
 それらを捌きながら、超大和は砲撃を、斬撃を、嵐撃を放っていた。

 どのくらいの時が経過しただろう。幾多のパラドクスが超大和へ突き刺さり、超大和のパラドクスもまた、復讐者達の身体を穿っていく。
 溢れ零れた血でミッドウェー鎮守府内の司令室は斑に染まり、そして、吹き出た血がそれを新たな朱に染め変えていく。
 ただひたすら、行われるパラドクスの応酬。それらが為されるこの時こそが、言わば最終局面であるとは、誰もが認識していた。
 そして、それは超大和も同じであった。
「貴様らは強い。それでも――ッ!」
 パラドクスを全身で浴びた断片の王の身体に、無傷な箇所は存在しない。血で血を洗い、瑕疵にすら新たな傷を刻む彼は、それでも睥睨と、己がパラドクスを復讐者達へと叩き付けた。
 八紘一宇の砲撃が飛ぶ。全てを差別無く、区別無く砕くと叫ぶ砲撃は復讐者と戦場の壁や床、天井すらも打ち砕いていく。
 軍刀の煌めきが跳ね上がる。大戦の名を冠した斬撃は旭日の輝きを以て、全ての復讐者を、己を穿つパラドクスすらも斬り裂いていく。
 そして、嵐が舞う。具現化した巨大な『錨』が生み出した暴風は吹き荒れ、如何なる障害をも破砕、吹き飛ばしていく。
 これが冥海機ヤ・ウマトの底力。
 これが断片の王。
 これが超大和。
 如何なる敵を前にしても、最後の最後まで倒れないとの意地は、最早気力だけで復讐者達を打ち砕き、そこに死を刻んでいく。
 だが――。
「敵ながら天晴れ、とだけ伝えておくよ」
「もういいの。自分を許して上げて」
 血に塗れた鏡夜と寿の台詞は、慮りとして響く。
 もういい。
 二人の紡ぐそれは彼に対する辟易ではなく、むしろ、憐憫と慰撫であった。
「一発だけ通れば良い……って言い続けていましたけど、ちょっと嘘が過ぎましたね」
「多少、欲が出るのも仕方ありません。私達はディアボロスで……人間ですので」
 肩で息をしながら、それでも尚パラドクスを放つ雪華に、裕樹は微苦笑と共に、更なる斬撃を重ねた。
 もしかしたら次の一撃で倒れるかもしれない。もしかしたら次の次の一撃で勝負を決するかもしれない。その欲は何れの復讐者達の元へも降り注いでいる。それを否定する気は無かった。
「私達の全力、喰らって貰うよ!」
 攻撃に全てを注ぐワシリーサの叫びは、超大和の雄叫びと重っていた。防御を顧みず、互いにパラドクスを叩き付け合っている戦いは、ディアナや寿が称した泥仕合そのもの。だが、それでも、一歩も引かないことが己の我を通す手段と、彼女は錨を射出し、殴打じみた砲撃を刻み続けた。
「ようやく分かった。あなたは、全てを犠牲にしてでも生きるべき断片の王でありながら……、同時に、娘の行く末を慮る父だったのだろう」
 そして、零れたサヨコの嘆息もまた、己の負傷を顧みない砲撃と共に放たれていた。
 サヨコは、否、復讐者達は理解している。彼ら彼女らが今まで応対してきた断片の王は何れも傍若無人で、それ故に強力無双であった。強さこそ正義。強さこそ王道。それを地で行く者達ばかりだった。
 だが、目の前の断片の王がそうだと誰も断じられなかった。
 兵を使い捨てに出来ない為政者。兵に心砕く独裁者。
 そのような矛盾が、彼を追い詰め、そして砕いたのだ。
「ここで終わらせよう。王ですら耐えきれぬ、父の深き苦悩を。――娘達を迎えに行ってやれ」
 彼を支えているのは支配者の矜持でも、断片の王としての意地でもない。復讐者達を一人でも多く殺し、一体でも多く冥海機を生かす。それだけの想いだ。
 そして、それが無為である事を、復讐者達は疎か、超大和も知ってしまった。理解してしまった。それでも尚、彼が諦観に浸らないのは、ただ、一抹でも、希望を有するが故に。
「端から見れば道化そのもの。だが……笑えねぇよ」
 半ば身体が砕かれ、機械油と冷却水、そして血が入り交じった液体を零しながら、誠司もまた、パラドクスを振るう。傷付いた身体は楽になれと悲鳴を上げるが、誠司はそれを無視。ただひたすら、攻撃を受け、代わりに攻撃を叩き付けていく。
「矛盾を抱え、終焉を間際に、それでもなお、戦うのね」
 種々様々なパラドクスの轟音を背景に、屏に支えられたディアナが言葉を紡いだ。
「涸れるまで一声でも多く言葉を紡ぐ。最後の最後まで、みっともないと自責しても、戦いを辞めない」
 だから、私も。
 精神攻撃に全ての想いを上乗せし、ディアナは言の葉を紡ぐ。
 砲撃、銃撃、斬撃、そして口撃。全てに重なり、碧刃が舞う。最早霧散してもおかしくないほどの傷を負った恭弥は、されど、と刃を振るった。
 血が足りない。自身の終焉は見えている。藍雪花染を握る腕にも力は籠もらず、ともすれば血で滑らせ、明後日の方向へと投げ飛ばしそうになり、必死で掴んでいた。
 それでも、と彼は己に活を入れ、刃を振るう。
 未だ終われない。未だ消えられない。この終焉を見届けると、刹那に終わらせない、超大和の最期を見届けると心に決めたのだ。
「お前を語り継ぐ未来の為にも、俺たちは此処に在るんだッ!」
 そして、その未来を紡ぐべく、復讐者達は全ての力を、想いを、己がパラドクスに集約する。
「征きます――死を視る事帰するが如しッ!」
「山嶽より重き命のために、私は義を果たす!」
「この……お馬鹿さん!!」
「ね。あなたの望みなんて、とっくの昔に壊れてるんじゃない?」
「夜明けの刻は近く、今日――この海域に、最終人類史の勝利を刻む!」
「撃ち抜け!」
「冥き陰より咲くは漆黒の茨なり」
「ハッピートリガーってこういうことですっけ?」
「アムンセンが南極の過酷な自然を乗り越え南極点へ到達した様に……私も此の攻撃に耐え、勝利を掴み取るよ!」
「この世を歪ませるものに慈雨は必要ない――雷撃の如く心根を斬るのみ」
 呪詛の斬撃が、双頭の砲撃が、涙混じりの殴打が、愛を叫ぶ言霊が、希望と破滅の光が、銃から放たれる投擲銛が、漆黒の茨が、無数の弾丸が、射出される錨と鎖が、そして、碧の斬撃が超大和を強襲する。

 それは嵐だった。全てを斬り裂き、全てを穿ち、全てを断つ復讐者の嵐だった。それらは幾多の傷が刻まれた超大和の身体を更に貫き、砕き、全身から血という血を噴出させる。

 それは光だった。黒雲を蹴散らす陽光を思わせる光は、復讐者達の織り成す旭日の、暁日の光であった。それらは超大和の身体を焼き、破砕し、そして、同じ光へと帰していく。

 これこそが復讐者達の王手。終焉を刻むパラドクス群は、鐘の如く響き渡り、超大和を打ちのめし、打ち砕いていく。
「――くっ」
 復讐者達の一斉攻撃に、如何に超大和と言えど為す術も無い。
 刹那に反撃を紡ぎ応戦する物の、しかし、復讐者達のパラドクスを――彼ら彼女らの全てを結集したパラドクスを、打ち消すことは叶わなかった。
 もしも、の話をしよう。
 もしも、一本でも八八艦隊が残っていれば。いや、自律戦闘能力を欠損させていなければ。
 もしも、護衛たるオクトリア達が未だに生存していれば。
 或いは、もしも、極小と切り捨てた攻撃の積み重ねが、超大和を僅かずつにでも傷付けていなければ。
 おそらくまだ戦えた。まだ未来を掴む事は出来た。まだ足掻くことが出来た。
 だが、歴史に『もしも』はない。そして、その全ては仮定でしかない。それらが実現できなかった今、「もしも」は只のIFでしかあり得なかった。
「ああ、成る程、な」
 口端から血塊を零し、超大和は頷く。
 零れ出でた声は、当初より彼が紡いでいた穏やかで、静かな独白でもあった。
「我は、敗けたのだな。――貴様らの連携に」
 護衛も亡く、八八艦隊も失われ、そして、多くの娘達もまた、喪われた。絶対の強者であった自身は、今、積み重ねのパラドクスに傷付き、復讐者達が放った力を受け止め切ることが出来ないかった。
 それを為した物を、否、成したものを断片の王はこう称した。
 ――これこそが連携だった、と。

 全ての戦闘力を失った断片の王は、そのまま片膝を突く。復讐者達のパラドクスによって刻まれた傷は全てが致命傷で、もはや、助かる見込みは何処にもなかった。
 その認識と共に、彼は言葉を口にした。
「幾渡も同じ台詞を口にしたが、これが最期だ。ディアボロス。――見事であった」
 その賞賛は、晴れ晴れしく爽快にも、忌ま忌ましいと憎々しげにも聞こえる不思議な音を纏っていた。
 暁鐘は今、ここに鳴り響いていた。

『青沢・屏(静かなる炎・g00202)は重傷を負った』
『荒田・誠司(雑草・g00115)は重傷を負った』
『梅指・寿(不沈の香・g08851)は重傷を負った』
『ワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)は重傷を負った』
『大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)は重傷を負った』
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【イルカ変身】がLV2になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【壁歩き】がLV3になった!
【浮遊】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
【託されし願い】がLV2になった!
【一刀両断】がLV4になった!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV8になった!
【ドレイン】LV2が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!

ラキア・ムーン
ふむ、最後は少し間に合わなかったな
だが、十分だ
王よ、貴方が殺した者が帰ってきたぞ
これが答えだ

単刀直入に言おう、褒美が欲しい
タダとは言わん、戦略談義も兼ねて貴方が何を考えていたか教えて欲しい
冥海機ヤ・ウマトの戦略を最後に、記憶へ刻ませてくれ

質問点
AU作戦、ER作戦、及びハワイに残した戦力には何をさせるつもりだったか
真意は何か
冥海機ヤ・ウマトの目指していた戦い方は何だったのか

まずは我等は、余程の事がなければ死なぬ
不死性を持った存在だ
だからこそ無理無茶を通せる
予知は切っ掛けに過ぎない
このディヴィジョンを滅ぼせた理由を1つ挙げるなら、それは速さだ
最速で動き最速で、策を砕いた
作戦達成の前倒し
これこそが我等が策の本質だ
単純だろう?脳筋だからな

だがもし翔鶴最後の策がそちらの主要戦術に組み込まれていれば、また違っただろう
自らの死と連動し、我等を殺す可能性を作った
あれを突き詰められたらまずかったな

王よ、我等は確かに矛盾を孕む
だからどうした
その道の先に何があろうとも、自分で選んだ道だ
納得出来るんだよ、私は


月鏡・サヨコ
……終わった、か

今日の戦術的な勝利は、開戦以来の戦略に起因している
私達は「歴史改竄を受けていない本来の歴史」に集った復讐者であり、ゆえに第二次世界大戦の顛末を知る
史実における軍の重要拠点や戦地に攻撃目標を絞って広大な版図を突破してきたことも、早期にバンダ海を制圧し燃料輸送を封鎖したことも、全ては史実の戦況に関する知識があってこその判断に他ならない
ヤ・ウマトに奪われた歴史が、ついに復讐を果たしたのだ

とはいえ、あなたにも戦略はあったはず
……『全てのディアボロスにとって最善の結果となったとしても揺るがぬ大戦略』と言うべきものが

超大和を討ち果たし、ヤ・ウマトを奪還する……それは私達にとって正しく『最善の結果』
だけど、この期に及んでもまだ、あなたが見定めた冥海機の未来は終わっていないはず
断片の王を失い、ジェネラル級の大半が沈んだ状況下に、一体何を残して逝く気でいる?

……娘達の未来のために、話せる範囲のことだけ聞かせてくれればいい
(黙秘するなら、それは実際に冥海機の勝算を残す危険な策略と認識しよう)


野本・裕樹
冥海機ヤ・ウマトで戦い続けた歴戦の方々にお任せすべきなのは理解しています。
それでも話を聞く機会を得られる可能性があるなら。

当然の話なのですがディヴィジョンは冥海機ヤ・ウマトだけではありません。
私の場合は天正大戦国、貴方達が対ディアボロス同盟を結ぼうとしたディヴィジョンで動く事が多いです。
冥海機ヤ・ウマトは広大な範囲を持つディヴィジョン故に多くのディヴィジョンと関りを持ちました、同時にそこで戦うディアボロスにも少なくない影響を与えています。
そうして想像以上のディアボロスを呼び込んだ事が今回の結果の要因、その一つかもしれません。

私がこの戦いに参加したのは単純に力になりたい……というのもありましたが、それだけでなく天正大戦国との対ディアボロス同盟について話を聞ければと思ったからです、その為に貴方から手品と言われようと刃を振るいました。

天正大戦国に提供した技術と資材、天正大戦国はあれで何を狙っているのか、知らずとも貴方の予想を……良ければ聞かせて欲しいです。


「王よ。貴方が殺した者が帰ってきたぞ」
 崩れ行く超大和に、「やれやれ」と、ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は首を振りながら語り掛ける。
 最早、超大和は滅していく存在だ。このまま放置していても、彼が消える迄に数分と掛かるまい。
 だが、とラキアは声を掛けた。
 これを終わりの形にしたくなかったのか。それともただ、敗北を敵に刻みたかったのか。
 どちらでも良いと一笑に付し、ラキアは言葉を口にした。
「単刀直入に言おう、褒美が欲しい」
「これ以上我から奪うのか。ディアボロスの名に恥じぬ、強欲な奴らめ」
 ラキアの言葉に、しれっとした回答を超大和は紡ぐ。
 だが、彼女はそんな言葉で矛を収める人間では無い。真摯な目で超大和の朱眼を見詰め、言葉を続けた。
「タダとは言わん、戦略談義も兼ねて貴方と語ろう。冥海機ヤ・ウマトの戦略を最後に、記憶へ刻ませてくれ」
 時先案内人は言っていた。
 自らを滅ぼしたディアボロスがどのような存在であったか、或いは、ディアボロスに勝利する可能性はあったのか等を、死ぬ前に知りたいと考えるでしょう。それを踏まえた会話を行うと、良いかもしれません、と。
 それを踏まえ、彼女は自身の提案を超大和へと突き付けたのだ。
「――それも勝者の特権やもしれんな」
 僅かな沈黙の後、崩れ行く身体そのままに超大和は首肯した。
 超大和の了承を受け止めたラキアは、言葉を口にする。
「王よ。私が語り、貴方が見てきた通りだ。我等は余程の事がなければ死なぬ。不死性を持った存在だ。だからこそ、無理無茶を通した」
 予知は切欠に過ぎない。そう言い切るラキアへ、超大和はただ、視線を向けていた。
「冥海機ヤ・ウマトへの勝因を述べるとするならば……それは速さだ」
 最速で動き、最速で策を砕いた。
 要約すれば、作戦達成の前倒しこそが、我らの策の本質だった、とラキアは継ぎ、そして相好を崩す。
 憮然とも微苦笑とも言える表情はある種の蠱惑的な魅力を帯びていた。
「単純だろう? 脳筋だからな」
 自虐的と取るか。それとも謙遜と取るか。
 頷いた超大和がどちらと認識したのかはラキアには判らなかったけれど。
 ただ、超大和はラキアへの礼と言わんばかりに、言葉を口にした。
「速さと不死性が、移動拠点を利用した撤退であるとは思っていたが、それ以上であったという訳か」
 おそらく、超大和は復讐者達の能力全ては移動拠点に依存する物と考えていたのだろう。故に潜水輸送艦『しぶや』を潰し、装甲輸送艦『しんじゅく』の撃破に拘っていたのだ。
 まさか、本当に新宿島へ流れ着き、そこから傷を癒やして現れたなど、夢にも思っていなかったに違いない。
 故に、と浮かべたそれは――微苦笑であった。
「この敗北は、我の策が敗れたという証し。イレギュラーと言うものが、これほどであるとは、な。……やはり、イレギュラーにはイレギュラーで無ければ太刀打ち出来ぬのかもしれぬ」
 ならば、その為の『AU作戦』だったのか?
 ラキアが問おうとした文言は、しかし、それより早く超大和が言葉を発した為、立ち消えてしまう。
 曰く。
「だが、そうであるのならば、我の最期の命は、悪く無かった、か。イレギュラーであるコーサノストラであれば、我が娘達が生き延びる可能性が高いだろうからな」
 改竄世界史空想科学コーサノストラ。
 アルタン・ウルク、ディアボロスに次ぐ第三のイレギュラーが支配する改竄世界史の名だ。
 その名が出た瞬間、ラキアは悟った。つまり、此処での奮戦もまた、一つの保険に起因していたのだ、と。
「王よ。まさか、ハワイに残した戦力は?」
「知れた事よ。娘達はそのままコーサノストラに亡命する事になろう。……敗戦の将とその兵故、立場は弱くなるだろうが、他の改竄世界史よりはよっぽど良い。我が設計した冥海機達は規律正しい軍隊の特性故に弱い存在だが、彼奴らがそれを良く理解する事を祈ろう」
 冥海機は他の歴史侵略者よりも弱い。規律正しさ故に命令を固守しがちで臨機応変に欠け、連携は得意とするものの、ジェネラル級に至っては単体としての強さは控えめ。
 それが超大和が語る冥海機の特性であった。
「思い当たる節は充分にあるが」
 数体の例外を除けば、確かにそれに倣った者が多かったとラキアは唸る。
「その冥海機の運用こそが貴方の戦略だった、と言う訳か?」
 月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)の言葉に、超大和は是と頷いた。
「冥海機ヤ・ウマトは、多くの人口や土地を持つ『大陸』の支配を諦める代わりに、広大な海の支配権を得たディヴィジョンよ。当然、人口が少なく、支配する土地が狭いと言う事は、クロノヴェーダの戦いでは致命的な弱点となりうる。また、支配地域が広い場合、ジェネラル級の統制が取り難い、との問題は、誰もが知ることであった」
 故に、規律正しき冥海機を産み、エネルギー源を海戦としたのだ、と超大和は口にする。
 海を主の領土、主の戦場とする以上、海戦は避けられず、ならば、其処からエネルギーを得ることがもっとも効率的だと判断した。彼の言葉に、サヨコは目を見開く。
「我らが最初に奪おうとした領土は『TOKYOエゼキエル戦争』であった」
 だが、外海からの侵略を妨げるジェネラル級に阻まれ、それがままならなかった。
「故に矛先を『大戦乱群蟲三国志』に変え……その先は、貴様達の知る通りだ」
 大戦乱群蟲三国志奪還戦こそが、復讐者と冥海機達との邂逅であり、冥海機の終焉の始まりであった。
「超大和よ、語ろう。私達は『歴史改竄を受けていない本来の歴史』に集まった復讐者であり、故に第二次世界大戦の顛末を知る者達だ」
 史実に於ける軍の重要拠点や戦地に攻撃目標を絞って広大な版図を突破してきた事も、早期にバンダ海を制圧し燃料輸送を封鎖した事も、全ては史実の戦況に関する知識があってこそ。
 サヨコはそこで言葉を句切り、断片の王へと啖呵を叩き付けた。
「ヤ・ウマトに奪われた歴史が、ついに復讐を果たしたのだ」
 だがしかし。
「それは違うぞ、ディアボロス」
 超大和はサヨコの言葉に否を唱える。
「我らクロノヴェーダは、敗北して消滅する歴史を改竄しているのだ。当然、その歴史を覆す為の策は用意していた」
 その証拠に、と超大和は言葉を続けた。
「我が冥海機ヤ・ウマトは、真珠湾を制して大本営とし、太平洋をその手中に収めていた。第二次世界大戦の顛末を知る者であれば、この意味、篤と理解出来るであろう?」
 改竄した歴史だからこそ、真珠湾を手中に収められた。改竄した歴史だからこそ、太平洋を己が主戦場と出来た。
 そう言われれば是と頷かざる得なかった。
「最期の戦いがミッドウェーとなったのは、ディアボロスを滅ぼす程の策を用意できる『力のある場所』であったから、だ。我が策は歴史を模倣したものでは無かった」
 だが、と溜め息を吐く。それは酷く重々しい嘆息であった。
「サヨコ殿。貴様の言葉が『我らが拠点と選ぶ地域を割り出せた』ならば、それは大半のディヴィジョンが持つ特性だ。致し方あるまい。だが、場所が判った程度で、揺らぐヤ・ウマトでは無かった」
 だから、と紡いだ言葉は悔悟と爽快さに彩られていた。
「貴様達の勝利は、貴様達の力だ。それを歴史の復讐と言うならば、貴様達そのものが文字通り復讐者であったが故。貴様達が勝ち取った物だ」
 言わんとすることは理解し、しかし、それが全てでは無い。
 そう言いたげな超大和の言葉に、サヨコはただ言葉を失う。
「――私は」
 言葉を逸したサヨコに入れ替わるよう、声を発する者が居た。
 野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)であった。
 彼女は崩れ行く超大和へ、己が意を衝突させる。まるで刀の切っ先を喉元に突き付けるが如くの言葉を、しかし、超大和は微動だにせずに受け止めていた。
「当然の話なのですがディヴィジョンは冥海機ヤ・ウマトだけではありません」
 主として改竄世界史天正大戦国を戦場とする彼女は、だから、と超大和へ問う。
「冥海機ヤ・ウマトは広大な範囲を持つディヴィジョン故に、多くのディヴィジョンと関わりを持ちました、同時にそこで戦うディアボロスにも少なくない影響を与えています。そうして想像以上のディアボロスを呼び込んだ事こそが――」
 此度の敗因を招いた。
 そう口にした彼女に、しかし、超大和は首を振った。
「共通の敵であるディアボロスに対して同盟を組もうと言う動きが、貴様達に危機感を与えた。そう言いたいと認識するが……」
 それは、主客転倒である、と超大和は断じた。
「我らは複数のディヴィジョンを同時に攻略する強者――ディアボロスに対抗する為、手を組まねばならなかったのだ。それが事実よ」
「卵が先か、鶏が先か、と言う話ならば」
 其処まで言い切り、裕樹は気付く。
 当然、復讐者達の快進撃が無ければ冥海機ヤ・ウマトが他の改竄世界史と手を組む必要はなかった。
 そう。天正大戦国と手を組もうとした事が裕樹の関わった理由かも知れない。だが、そもそも、他の改竄世界史を巻き込まなければ、復讐者へ対抗出来なかった事は、これまでに復讐者達が奪還した改竄世界史達が雄弁に語っていた。
 成る程。主客転倒との言葉に是と頷かざる得なかった。
「蝦夷共和国のように引き籠もっていれば、貴様達の標的とはならなかったかもしれん。だが、それでは、他のディヴィジョンを強奪して強大化した貴様達に対抗する事は叶わぬ。もしも、ディヴィジョンを超えた同盟にディアボロスが危機を感じ、ヤ・ウマトを狙ったのであれば、……我が戦略が正しかった事の証左だな」
 満足げな呟きの後、零れ出たのは嘆息だった。
「もしも、信長公の後を秀吉殿が継いでいれば、コーサノストラではなく、天正大戦国との協力もありえたやもしれん。だが、家康公では、守勢の気質が強過ぎる。手を切らざる得んかったよ」
「それは……?」
 裕樹は冥海機ヤ・ウマトの介入で、天正大戦国がどの様に変貌し、どの様な目的を抱いたのか。それを問うつもりであった。
 だが、その口ぶりを鑑みるに、それ以上の情報を超大和は持ち合わせていない様子だった。
「想像ならば語れよう。だが、今の天正大戦国を知らぬ我にお前達以上の推測は不可能だ。全ての情報を得た後ならば違うやもしれんが……生憎。その時間が無いことは裕樹殿。貴様達が一番良く知っている筈だ」
 嘆息と共に、断片の王は遙か彼方を見詰め、そして、ゆるりと視線を復讐者達へと戻した。
「そう、だな。生憎、時間のようだ」
 満足したとの喜色すら帯び、超大和は言葉を述べる。
「王よ。最期に告げておこう」
 ラキアの言葉に超大和は視線のみを彼女に向ける。首肯する程の力が無いことは、最早明白であった。
「王よ、我等は確かに矛盾を孕む。だからどうした。その道の先に何があろうとも、自分で選んだ道だ。――納得出来るんだよ、私は」
「そうか。ならば、それこそが貴様達の強さであろう。矛盾し、模索し、それで昏き道を歩むのであれば、――ラキア殿。貴様の言う通りだ。納得しながら進めばよい」
 最早、超大和の崩壊は胸まで達し、そして、首が、顎髭が崩れ落ちていく。
 今この瞬間に全てを受け入れたのか。超大和は目を閉じ、そして言葉を口にした。
「願わくば、残りし娘達よ。我が無念を晴らせとは願わん。ただ……」
 生きよ。
 それが、断片の王超大和の終焉であり、そして遺言であった。
 言葉の全てを紡ぎきる暇も無く、超大和の身体はぼろりと崩壊していく。身に纏う軍服も、得物も、そして、海戦装の残骸も何も残らない。主の後を追うように崩れ落ち、そして消え去っていく。

 そして、光が溢れ出た。
 奪還戦に勝利したときと同じ光を浴び、そして、復讐者達は断片の王の死と、改竄世界史冥海機ヤ・ウマトの結末を認識する。

 ミッドウェー鎮守府最終決戦は、此処に終わりを迎えたのであった――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】がLV3になった!
【修復加速】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
【グロリアス】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2025年01月14日
宿敵 『超大和』を撃破!

ミッドウェー海戦~ミッドウェー鎮守府最終決戦

 ミッドウェー鎮守府でディアボロスを待ち構える、断片の王『超大和』との決戦を行います。
 ミッドウェーでディアボロスに大打撃を与える『MI作戦』は、冥海機ヤ・ウマトがディアボロスに勝利する為に必要不可欠な作戦です。そのため敗色濃厚であろうと、超大和は退く事はありません。
 断片の王である『超大和』は恐るべき強敵です。『新宿島』の援護が無い状況では苦戦は必至でしょう。
 彼は上陸作戦で自律攻撃能力を失った8本の触手こと独立戦闘型海戦装『八八艦隊』を防御に使い、防衛的戦闘によって、ミッドウェー島を包囲しているジェネラル級達が作戦を成功させるまでディアボロスを抑え切ろうと戦います。
 ですが、ここで彼を倒し切ることができれば、冥海機ヤ・ウマトの大地を奪還できます。
 太平洋の命運をかけ、断片の王に立ち向かって下さい。

!特殊ルール!
・この事件は攻略旅団の提案による期限延長が行えません。


超大和

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#冥海機ヤ・ウマト
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#断片の王『超大和』


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選択肢『海戦装『八八艦隊』の撃破』のルール

『ミッドウェー海戦~ミッドウェー鎮守府上陸作戦』で撃退した、超大和の『8本の触手』こと、独立戦闘型海戦装『八八艦隊』の完全撃破を狙います。
『八八艦隊』の触手は、ディアボロスに撃退され、自律攻撃能力を喪失しています(超大和がパラドクスで使う武装としては機能しています)。ですが触手と装甲を連携させた鉄壁の防御は、超大和を強力に守護します。
 超大和を撃破する為には、この触手への対策は必須となるでしょう。

 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

!特殊ルール!
 この選択肢をクリアするまでは、超大和との決戦で『大成功(🔵🔵🔵🔵)以上』の結果が出る事はありません。
 また、触手の半分以上を撃破(🔵16以上達成)するまでは、超大和との決戦で『善戦(🔵🔵🔴🔴)』以上の判定が出る事も基本的にありません。
 ただし、『海戦装『八八艦隊』の撃破』のプレイングで、攻撃の隙を作った場合、直後の『ミッドウェー島、断片の王との決戦』のリプレイでは、判定が1段階良くなります。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達しない限り、👿のリプレイでは大成功🔵🔵🔵🔵以上が発生しない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾護衛するトループス級『オクトリア』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿ミッドウェー島、断片の王との決戦『超大和』のルール

 冥海機ヤ・ウマトの断片の王『超大和』との決戦を行います。
 超大和は、ミッドウェー鎮守府に防衛に適した陣地を構築、精鋭の専属護衛部隊と、海戦装『八八艦隊』の触手によってディアボロスを迎え撃とうとしています。

 『ミッドウェー海戦~ミッドウェー鎮守府上陸作戦』によって、触手を撃退した事で、触手による攻撃は行えなくなっているようですが、触手を連携させた動きにより、鉄壁の防御を行う為、『超大和』の撃破の為には、触手への対応が必要になるでしょう。<
 超大和は、ミッドウェーからの撤退は選択肢に入れていないようですが、ミッドウェー周囲に展開するジェネラル級がミッドウェー島に上陸した場合や、ディアボロスが決戦に敗北してジェネラル級の増援を許した場合などは、戦況に影響に影響があるかもしれません。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【撃破】この選択肢の🔵が👑に達した状態で、シナリオが成功で完結すると、宿敵を完全に撃破できる。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「シメオン・グランツ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『断片の王『超大和』との最期の対話』のルール

 致命傷を与えた『超大和』と最後の会話を行います。
『超大和』を撃破すれば、冥海機ヤ・ウマトを最終人類史に奪還できます。
 ディヴィジョンが失われる事が確定した後であれば、『超大和』に作戦内容を秘密にする理由は無くなる為、ディアボロスにとって有益な対話を行う事ができるかもしれません。
 超大和も、自らを滅ぼしたディアボロスがどのような存在であったか、或いは、ディアボロスに勝利する可能性はあったのか等を、死ぬ前に知りたいと考えるでしょう。それを踏まえた会話を行うと、良いかもしれません。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、シナリオは成功で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。