オホーツク海、ローレライサブマリナー殲滅作戦

 攻略旅団の作戦により、オホーツク海でアルタン・ウルクを誘引する『AU作戦』を行っている『ローレライサブマリナー』の殲滅作戦を実行します。
 吸血ロマノフ王朝奪還戦の結果、シベリアの多くの地域を強奪するなど、更に勢力を強化させているアルタン・ウルクの介入を阻止する事は重要となるでしょう。

!特殊ルール!
・この事件は攻略旅団の提案による期限延長が行えません。

禍を招くはローレライの唄(作者 朝下万理
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#冥海機ヤ・ウマト  #オホーツク海、ローレライサブマリナー殲滅作戦  #オホーツク海  #AU作戦 


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#AU作戦


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「お集まりいただき、ありがとうございますっ」
 新宿駅グランドターミナル。
 停車するパラドクストレインの隣。木製リンゴ箱の上に乗った天竜・なの唄(春告小唄・g03217)はいつものように、集まったディアボロスに溌剌とした笑顔を向けて告げる。
「オホーツク海において『冥海機ヤ・ウマト』に『アルタン・ウルク』を招き入れようとしている『ローレライサブマリナー』の撃破作戦が攻略旅団から提出されましたっ」
 ディアボロスたちは今、ミッドウェーで断片の王『超大和』と相対している。それ故にこの後に及んでの『アルタン・ウルク』の介入は可能な限り避けるべきだろうと言うのが、皆の総意。
「『ローレライサブマリナー』は、潜水艦『モビィ・ディック』と部隊を組んで、オホーツク海で活動しているようですっ。皆さんには急ぎオホーツク海に向かっていただいて、冥海機たちの撃破をお願いしますっ」
 この『ローレライサブマリナー』を逃がさず全て撃破する事が出来れば、オホーツク方面に『アルタン・ウルク』が侵攻して来るのを防ぐ事が出来るはず。
 なの唄の言葉に、ディアボロスたちも小さく頷き合った。

「皆さんには『暗黒世界蝦夷共和国』の監視の為に北海道沖で活動している『みなと』の元まで、パラドクストレインで向かっていただきます。そのあとは海上を移動して、オホーツク海に向かってくださいっ」
 そのオホーツク海の探索範囲は広いので海上哨戒が欠かせないが、目標に近づけば海上にて美しい歌声が聴こえてくる。それが『ローレライサブマリナー』の歌声だ。
「『アルタン・ウルク』がオホーツク海に現れるまで猶予は少ないですっ。故に『ローレライサブマリナー』の撃破は時間との戦いになると思いますので、よろしくお願いいたしますっ」

 そう告げたなの唄は、今一度、集まったディアボロスを見回して告げる。
「冥海機自らが自分のディヴィジョンに『アルタン・ウルク』を引き入れるのは自殺行為に近いですよねっ。だけど、『吸血ロマノフ王朝』同様に追い詰められれば背に腹は代えられないのでしょうっ」
 もし仮に、オホーツク海への『アルタン・ウルク』の侵入を許せば。最終人類史の多くの地域が『アルタン・ウルク』と隣接する事になる可能性もある。
「そうなれば、この先『冥海機ヤ・ウマト奪還戦』を行ったとしても、最初から多くの地域がアルタン・ウルクに制圧された状態……多くの海洋が『アルタン・ウルク』に強奪されるのは避けられませんっ」
 これはとても危険な状態であることは、皆も理解できるはずだ。
「なので『ローレライサブマリナー』は今回の作戦で確実に全滅させるのが良いと思います。重要な作戦となりますが、作戦の成功と皆さんの無事の帰還を信じていますっ」
 と普段はふわふわと語る彼女が強い語気に込めるのは、確かな言霊の力であった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV5 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV1 / 【アヴォイド】LV1

●マスターより

朝下万理
 こんにちは、朝下万理です。
 冥海機ヤ・ウマトシナリオです。
 よろしくお願いいたします。


 選択肢①:敵部隊を哨戒します。
 海域は広いですが現場に近づけば歌声が聞こえてきます。
 残留効果1を駆使して探し出してください。

 選択肢②:護衛のトループス級冥海機『ローレライサブマリナー』と戦います。
 
 選択肢③:アヴァタール級冥海機『潜水艦『モビィ・ディック』』と戦います。

 その他の状況についてはオープニングや『情報』をご覧ください。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
 
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ラキア・ムーン
さて、アルタン・ウルクを誘き寄せる歌……か
トループス級の歌くらいで誘き寄せる事が出来るとは思わんが、作戦が行われている以上時間を掛ければ可能……なのだろう
もとより排斥力が揺らいでいるのが原因か、それ以外の仕掛けがあるかは分からんが早期に全滅させ止めるのみ!

『みなと』より水面走行を使用して出撃
『みなと』は北海道沖、オホーツク海はおよそ北東方面か
まずは該当海域へと早急に移動しよう

オホーツク海に到着したら、双眼鏡で周囲を捜索
さらに新宿島よりパラボラ集音マイクを持ち込み、集音する方位を絞り方角のアタリを付けるように歌を探って行こう
オホーツク海最外部からコツコツと索敵
索敵時は一時停止、歌が聞こえなければ更に北東方面に移動しながら再度集音と目視による索敵
これを繰り返し敵の作戦海域を割り出していこう

海と言うのはやはり広い
これを考えると、大地は狭くとも海で活動できる冥海機は取れる戦略の幅は広いのだろう
だが、策を補足出来れば止めようはある
お前達の好きにはさせん

アドリブ連携等歓迎


月鏡・サヨコ
オホーツクに逃げていく宗谷の配下を見落としていたら、AU作戦には完全なあてずっぽう意外では気付けなかっただろう
ここまでの戦いが現在の好機を作っている
……AU作戦の阻止も同様に、ヤ・ウマトが不当に占拠する領域の完全な奪還に繋がっていくはず

【水面走行】を借りつつ【パラドクス通信】を共有
歌声を検知したら以後は一方向に向かって行くけれど、それまではオホーツク海を渉猟することになるだろう
そんな時に手分けして哨戒を行うために一度距離を離しても、通信があれば互いの状況を把握できる
情報を交換しながら可能性が薄い方位を選択肢から外し、捜査網を狭めていこう

調査時は望遠鏡による目測に加え《試製型攻勢電探》のレーダー機能と新宿島から持ち込んだ騒音計を使用
レーダー反応や計測される音量が大きくなる方に進んでいく
歌声が耳ではっきりと聞こえ、望遠鏡越しに敵の姿を確認できる位置まで来たら、気付かれる前に奇襲攻撃の準備へと移行しよう

戴冠の戦においてアルタン・ウルクは間違いなく大きな脅威となる
……これ以上日本には近づかせない


マティアス・シュトローマー
冥海機達がアルタン・ウルクにまで手を出そうとしているとはね
ここまで様々な作戦をこなし、彼らを追い詰めてきた仲間には頭が上がらないな
ここからは俺もその頑張りに恥じない働きが出来たら

それじゃ、俺はこちらの方向から探っていくよ
【水面走行】の効果を借りたら、オホーツク海を目指して北上。効率良く作戦を遂行するため、仲間とは違う方向を捜索しよう
双眼鏡で冥海機達の影を探しつつ、歌声が聞こえてこないか耳を澄ませる
時折海中にハイドロフォンを差し込み、モビィ・ディック達が放つ、水を掻く音や装備の駆動音を探ってみるのも手だろうか。彼らの側にはローレライサブマリナーがいるはずだからね
また【フライトドローン】に望遠カメラと集音マイクを搭載。これらを目立たない高さ――海上から2メートル以下で飛ばし、自身とは別方向の情報も収集していこう

ロマノフといい、ヤ・ウマトといい、本当嫌な作戦を思い付くよなー

敵影を発見したら即座に仲間と情報を共有。戦闘に備えよう
綺麗な歌声だね
アルタン・ウルクじゃなくても誘い出されてしまうくらいに



 この季節のオホーツクの海はくすんだ青い色で、目指している歌声をかき消すかのように海鳴りが響き渡っている。
『暗黒世界蝦夷共和国』の監視の為に北海道沖で活動している『みなと』の元へと辿り着いたパラドクストレインから下車したディアボロス三人―― ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)と月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)、そしてマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は、早速とばかりに極寒のオホーツクの海へと飛び出していく。
 桃銀の長い髪を靡かせながらラキアが【水面走行】を効かせれば、三人の足元の海面は地面のように凪いで硬くなった。
「……冥海機達がアルタン・ウルクにまで手を出そうとしているとはね……」
 厄介なことになってるね。と白い息を吐きながら、オレンジ色の髪を揺らしたマティアスが海域を見やると、ラキアも同じように海域に目線を投げながら顎先を手で触れて呟く。
「アルタン・ウルクを誘き寄せる歌……か」
 ラキアには、ひとつ疑問があった。
『アルタン・ウルク』ほどのクロノヴェーダが、果たして『ローレライサブマリナー』というトループス級の冥海機程度の歌声で誘き寄せることができるのだろうか。
 だが、時先案内人の少女が作戦を予知した以上、トループス級冥界機とて時間をかければおびき寄せることは可能……ということなのだろう。
 もとより。排斥力が揺らいでいることが原因か、それ以外の仕掛けがあるかは分からないけど――。
「早期に全滅させ止めるのみ!」
 ラキアの言葉に頷きながら、サヨコはこの企てを発見するに至った経緯を思い起こしていた。
 オホーツクに逃げていくジェネラル級冥海機『宗谷』の配下を見落としていたら、この『AU作戦』には完全なあてずっぽう意外では気付けなかっただろう。
 サヨコには手応えがあった。
 ここまでの戦いが、現在の好機を作っていると。
 そして今ここで、ローレライサブマリナーを潰しておくこと。それは――。
「……『AU作戦』の阻止も同様に、『ヤ・ウマト』が不当に占拠する領域の完全な奪還に繋がっていくはず」
 藤色の硝子の瞳で見据えるのは最良の未来への道筋。
 サヨコの士気は俄然と上がる。
 そんなラキア、サヨコが『冥海機ヤ・ウマト』攻略・奪還に尽力していることを知っているマティアスは、気合十分な二人を見つめ、僅かの口角をあげた。
「…… ここまで様々な作戦をこなし、彼らを追い詰めてきた仲間には頭が上がらないな……」
 ならば俺も、その頑張りに恥じない働きが出来たら――。
 マティアスも自分の胸に湧き上がる熱い思いに、無意識に拳をトンと胸に当てた。
「では、オホーツク海はここからおよそ北東方面。まずは早急に移動しよう」
 告げるラキアの声に後にサヨコが効かせたのは【パラドクス通信】。
 歌声を検知したら、以後は一方向に向かって行くけれど。それまでは三人でオホーツク海を渉猟することになる。
 そんな時に手分けして哨戒を行うために一度別れても、通信があれば互いの状況を把握できる。
「情報を交換しながら可能性が薄い方位を選択肢から外し、捜査網を狭めていこう」
 サヨコの言葉にラキアとマティアスは一つ頷いて、各々、広いオホーツク海を紹介するべく、方向を定める。
「それじゃ、俺はこちらの方向から探っていくよ」
 マティアスは望遠カメラと収音マイクを携えた【フライトドローン】を従えると、ラキア、サヨコと足並みを揃えてブルーグレイの海へと駆け出していく。
【パラドクス通信】の無線は9キロ離れてしまえば三人で通話することができない。
 故に、距離感には細心の注意を払いながら三人は、『ローレライサブマリナー』の歌声を探し始めた。
 しばらく海上を走っていたマティアスは時折立ち止まり、双眼鏡で辺りを見渡してみる。しかしそのレンズの先には北風に煽られて波立つ海面しか伺えない。
 少し遠くで索敵を手伝わせているドローンから送られてくる映像や音声にも、それらしき姿形は写らない。
「……サブマリナーってくらいだから、海面には顔を出してないのかもな……」
 ならばとその場に膝をついて、海中に差し込むのはハイドロフォン。
 水中の音を聞くことができるマイクで、『ローレライサブマリナー』と追随している『潜水艦『モビィ・ディック』』が放つ水掻き音や装置の駆動音を拾えればと思ったのだ。
 その音の隙間から歌の旋律が拾えれば、あとはその音が大きくなる方向へと向かえばいいだけ。
 それにしても、アルタン・ウルクを誘き寄せる作戦を取るなんて――。
(「全く『ロマノフ』といい『ヤ・ウマト』といい、本っ当に嫌な作戦を思いつくよなー」)
 声に出したら音が聞こえなくなるから。
 だけど、唇を尖らせてのため息くらいは吐いても、微かにマイクのコイルを振るわせる音は掻き消えないだろう。
 マティアスから離れること9キロ。
 灰色のポニーテールと軍服のミニスカートの裾を冷たい海風に靡かせるサヨコもまた、望遠鏡に火器制御レーダー『試製型攻性電探』のレーダー機能、そして騒音計を駆使して不可解な影や音声を逃さないように努めていた。
 彼女が見据えるレーダーに映し出されるのは、明らかに群がる何者かの影。
「――確実に近づいてはいるな」
 望遠鏡の向こうは冷たい海ばかりだが、騒音計にも海鳴り以外の音がかすかに入るようになってきていた。
 サヨコから9キロ離れた位置で走るラキアの持つパラボラ収音マイクにも、不可解な音声は届き始めていた。
 時折足を止めては慎重に音の発信源を探り、音声が大きく拾える方角を双眼鏡で覗きながらもそちらの方向に走っていく。
 素早い索敵はもちろん大事だが、海鳴りの音とかの歌声を間違えて違う方向へと向かっては本末転倒。丁寧な索敵がやがて大きな実を結ぶのだ。
 海中ハイドロフォン、レーダーに騒音計、収音マイク。
 これらの機器を駆使したディアボロスたちは、ついに『ローレライサブマリナー』のステージを突き止めた。
 冥海機たちに見つからない程度の距離を置き、マティアスとサヨコ、そしてラキアはその一群を見据える。
「綺麗な歌声だね。アルタン・ウルクじゃなくても誘い出されてしまうくらいに」
 マティアスのライトグレイの双眸は、海中で金色の髪を漂わせながら緩やかに歌う『ローレライサブマリナー』を捉えるが。まるで転がる鈴の音のような、水晶を微かにぶつけて響く音のような澄み渡る歌声は、さすが『ローレライ』の名を冠するに相応しい。
 だが、その歌を止めるべく愛用の銃のグリップに手をかければ、ラキアも若草の瞳で冥海機を捉えるなり呟く。
「……海と言うのはやはり広い。これを考えると、大地は狭くとも海で活動できる冥海機は取れる戦略の幅は広いのだろう」
 だが、策を補足出来れば止めようはある。
「お前達の好きにはさせん」
 決意を込めて得物の黒槍の柄に手をかければ、サヨコも奇襲に向けて海戦装を展開させた。
「戴冠の戦においてアルタン・ウルクは間違いなく大きな脅威となる。……これ以上日本には近づかせない」
 三人はお互いの顔を見合わせて頷き合うと、早速とばかりに奇襲作戦へと移行する。

 オホーツクの海はくすんだ青色で、目指していた歌声をかき消すかのように海鳴りが響き渡っていたが。
 禍を招く唄なら、海鳴りだけが聞こえていたほうがいい。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

マティアス・シュトローマー
沖縄離島での戦闘でも見掛けた彼女達・ローレライサブマリナーがこのAU作戦の要
あの時は一介のトループス級だと思っていたけど、何がどう転ぶかはわからないものだね
後顧の憂いを断つためにもここできっちり撃破しておきたいところ!

仲間と足並みを揃えてパラドクスを発動。敵の目視と同時にP08を構え、聖なる一撃による不確定要素すらも味方につけた弾丸をお見舞いしよう
初手は仲間と違う個体を狙う事で奇襲のアドバンテージを最大限に活用。その後は狙いを統一し、効率よく敵の数を減らしていきたい
数に勝る敵相手に優位を保つため、さらに能力値アップの効果を重ね、攻守共に能力も底上げしておこう

生憎この技は以前も喰らっているんだ
どんなに可愛くても油断はしないさ
敵から放たれる魚雷に対しては、見た目に惑わされる事なくライオットシールドを構え直撃を阻止。被弾直前にシールドを振り払い、魚雷を体から遠ざければ被ダメージも軽減出来るだろうか

これでアルタン・ウルクを招き入れるという君達の計画は破綻した訳だけど……まだ悪足掻きを続けるかい?


ラキア・ムーン
ローレライサブマリナーにこのような運用方法があったのは、正直驚きだ
しかし仮にアルタン・ウルクを呼び寄せたとしても、真っ先に狙われるのは自分達であろうに……それ程までの覚悟か
引き締めていかねばな

仲間と連携し、海中のローレライサブマリナーに対して強襲を仕掛ける
水面走行を解除、水中適応に変更し海中へ
仲間の攻撃に合わせて潜航して敵へと接近
射程に入り次第仕掛ける

《RE》Incarnationを構え【Call:Divine_Edge】起動
槍を術式とオーラで強化
敵を槍の間合いに捉えたら槍を振って『薙ぎ払い』
強化した槍で敵を攻撃し、確実にこの海域のローレライサブマリナーを殲滅していこう

敵が機雷を展開してきたら、Emu【E.S】起動
周囲に魔術障壁を複数展開し、機雷を障壁に当て近接での爆破処理
爆破衝撃に備え、武装制服で防御しつつ少しでも爆破地点から距離を稼ぎ痛打を避けよう

海中でも良く響く、良い歌声だな
誘い出すのが化物というのが、難点だが
あんな物に頼るなどと馬鹿げた事をしてくれる
此処で潰す、海底へと還れ


月鏡・サヨコ
ローレライサブマリナーが元来よりアルタン・ウルク誘引を目的に製造された艦種とは思えない
偶然に力を有していたのか、或いは目に見えない改造が施されているのか……
……尤も、背景が何であれ、力を活かす機会を与えるつもりはない

【水面走行】状態で海上から海中の敵に奇襲攻撃を仕掛ける
『零式弾・広域砲撃』を発動し、敵が密集する箇所に榴弾を撃ち込んで炸裂させよう
海中での爆発が破壊的な水流を生み出し、巻き込まれた敵の駆体を破壊する
初撃でなるべく多数の敵を撃破すると共に、生き残った者達も荒れ狂う水流で動きを乱し、十全な迎撃態勢を取るまでの時間を長引かせる
卵型機雷は≪巡洋戦艦海戦装『黒姫』≫の機銃や砲弾で接触前に破壊し、近くで爆破される数を減少
ダメージを抑制した上で比較的機雷の数が少ない所から離脱して距離を取り直す

2撃目以外は可能なら【水中適応】を借りて潜水、そうでなければ海上から残敵を掃討
一体も逃がすことが無いように確実に殲滅し尽くさなければならないな

AU作戦……神頼み同然の稚拙な作戦には、妥当な結末だ



 雪雲に覆われたオホーツク海にて、アルタン・ウルクを誘う歌声を響かせていたトループス級冥海機『ローレライサブマリナー』を発見したディアボロスたちは、各々の得物を手に好機を機定め始めた。
 ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)はこのディヴィジョンにおいて、今まで何体の『ローレライサブマリナー』を撃破沈没させてきたかわからない。
 それは月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)も同様だ。
(「沖縄離島での戦闘でも見掛けた彼女達『ローレライサブマリナー』がこのAU作戦の要……」)
 あの時は一介のトループス級だと思っていたけど――。
「……何がどう転ぶかはわからないものだね……」
 小声で呟く彼の言葉の意図は、ラキアにも理解できた。
(「まさか『ローレライサブマリナー』にこのような運用方法があったのは――」)
 だが、仮に冥海機がアルタン・ウルクを呼び寄せたとしても、真っ先に狙われ喰われ、取り込まれるのは自分達であろう。
(「……それ程までの覚悟か……」)
 ラキアは音が立たないように短く息を吐いた。
 覚悟を胸に秘めているものは強い。
 それはこのディヴィジョンでいやと言うほど味わった感覚。
「……引き締めていかねばな……」
 ラキアが微かに声に出して自分に言い聴かせると、それを聞いたマティアスも
「後顧の憂いを断つためにもここできっちり撃破しておきたいところっ!」
 と、声を顰めつつ頷く。
 一方の『ローレライサブマリナー』はまだ歌うことに集中しており、こちらに気がついていない。
 だが、モタモタしていたら『ローレライサブマリナー』にもアヴァタール級冥海機『潜水艦『モビィ・ディック』』にも気づかれてしまうだろう。
 三人は今一度目配せをすると、まず奇襲の先手を打ったのはサヨコ。 
 クロノヴェーダのものとは思えぬほど美しい歌声を海中に響かせ続ける『ローレライサブマリナー』を静かに見据えて思うのは、彼女たちの性能だ。
(「『ローレライサブマリナー』が元来よりアルタン・ウルク誘引を目的に製造された艦種とは思えない。偶然に力を有していたのか、或いは目に見えない改造が施されているのか……」)
 ――尤も。
 背景が何であれ、その能力を活かす機会を与えるつもりはない。
 この肥沃な海に、アルタン・ウルクは呼ばせない。
「……纏めて、焼き払う」
 サヨコは敵に気づかれない程度の小声で呟くと、海戦装の砲門から榴弾を連射した。
 砲弾は迷うことなくクロノヴェーダの群れへと突っ込んでいくが、この砲弾はただの砲弾ではない。時限信管によって任意のタイミングで炸裂し、破片が全方位に撒き散らされる代物だ。
 だが今は『ローレライサブマリナー』の歌を一刻も早く止めねばならぬ故、即時起爆させる必要がある。
 ――今。
 サヨコが念じれば、砲弾群は海中に突っ込んだと同時に激しい轟音と眩い閃光を伴い炸裂した。
 それと同時にマティアスも構える『P08』のトリガーを、万感の想いを込めて引けば。甲高い音を響かせてマズルから撃ち出された聖なる一撃は、砲弾の炸裂による混乱のさなかでも幸運を手繰り寄せるかのように、確実に敵の命を奪う。
 高く水柱が上がり水飛沫も凍る中、海中で巻き起こるのは、爆発による破壊的な水流と少女のものと思われる多数の叫び声。
 初撃でなるべく多くの『ローレライサブマリナー』を撃破し、荒れ狂う水流で場を乱す。そしてこの混乱に乗じ、確実に敵の息の根を止める。
 こうすることでクロノヴェーダ側が十全な迎撃体制を取るまでの時間を長引かせようとの狙いも、功を奏することとなった。
 ディアボロスの奇襲はサヨコ、マティアスの攻撃だけでは終わらない。
 海面から冷たい海へと身を投じたラキアは【水中適応】を効かせると、先の爆発で濁る海中を泳ぐように駆け抜けていた
 見据えるは、大混乱の『ローレライサブマリナー』。
 ラキアは確実に仕留められる射程に入ったと判断するなり、黒槍『《RE》Incarnation』の柄を握る手にグッと力を込めて唱える。
「今此処に、強靭なる刃を授けよ!」
 もう声を顰める必要はない。自分に気合を入れるように大声で叫ぶと、自分の芯から溢れる術式の力とオーラが掌を伝わって黒槍へと流れ込む。
 そして己が武器が強化されたと見るや今一歩踏み込んで、『ローレライサブマリナー』の姿を捉えるなり、強化した黒槍を大きく振って、可憐な少女の姿をした冥海機を薙ぎ払った。
 ここで初めて冥海機たちは、自分たちを奇襲した存在の正体を知る。
「……っ、やはりお前たちか……ディアボロス……っ!」
 先ほどまで美しい歌声を紡いでいた唇からオイルのような血を垂らし、ラキアを睨みつけた。
 ラキアは、恨めしげに自分に向いた目線に口角をあげる。
「お前たちの歌声は海中でも良く響く、良い歌声だな。誘い出すのが化物というのが、難点だが……あんな物に頼るなどと馬鹿げた事をしてくれる――此処で潰す、海底へと還れ」
 最終人類史をも脅かしかねない画策は、ここで終わらせる!
 告げて今一度、黒槍を振るえば。一番傷が深い個体の体が真っ二つに引き裂かれた。
 奇襲の第一段階はディアボロス側が優位に立った格好だ。
 だが三人は、来る反撃に備えることも忘れてはいない。
 マティアスは『ローレライサブマリナー』を睨むなり、愛用の銃のマズルを群れに向けた。
「これでアルタン・ウルクを招き入れるという君達の計画は破綻した訳だけど……まだ悪足掻きを続けるかい?」
 砲弾の爆発で起こった水流が収まった海中に伺えるのは、今にも倒れそうな少女型の冥海機の姿。
 満身創痍の『ローレライサブマリナー』はディアボロスたちを憎悪を込めた視線で睨みつけるなり、自身のウミガメ型海戦装の上でよろよろと立ち上がる。そして、その体に傷を負っているとは思えない足捌きで舞を踊り始めた。
「……いつもそう。どうしてお前たちディアボロスは、私たち冥海機の邪魔をする!! いつも、いつも、いつも!!」
 悲痛に叫ぶと、当時にウミガメ型海戦装から発出されるのは、何十何百の卵形機雷。 
 ラキアはそれを魔法障壁『Emu【E.S】』を複数展開すると、機雷を障壁に当てて爆破させていく。その衝撃で吹っ飛ばされそうにもなるが、装備での防御や回避行動で躱していく。
『ローレライサブマリナー』の悲痛な叫びは、ラキアの胸にも届いていた。
 だがラキアにも、冥海機の思惑を潰すための大義名分がある。
 サヨコはそのガラスの瞳で『ローレライサブマリナー』と卵形機雷を見据えた。
「AU作戦……神頼み同然の稚拙な作戦には、妥当な結末だ」
 恨むなら、そんなくだらない作戦を思いついた己の指揮官を恨め。
 そう言わんばかりに『巡洋戦艦海戦装『黒姫』』の砲口を敵に向けるなり、機銃や砲弾で機雷を迎撃。
 オホーツクの海に何筋もの水飛沫を立ち上げさせる。
 そんな機雷の反撃や迎撃を掻い潜って、マティアスへ向かってふよふよと泳ぐのは、なんの変哲もないウミガメの子供。
 しかしこのウミガメもまた、水陸両用の魚雷。
「お生憎様。その技は以前にも喰らってるんだ。どんなに可愛くても油断はしないさ」
 それに、こんな冷たい海にウミガメの子供がいるわけがない。
 マティアスはライオットシールドを構えるなり、それをシールドの縁で振り払って起爆させる。
 もちろん防御は忘れない。咄嗟に後ろに跳ねながらシールドで、跳ね上がる水飛沫すら退けていく。
 反撃が終われは次は相手側からの攻撃。
 だが、奇襲という形で攻撃を喰らった『ローレライサブマリナー』にその余力はない。
 美しい歌を奏でていた少女たちはウミガメと共に力なくその場に漂い、やがては海の底へと沈んでいくのだろう。
 だが、まだ油断はできない。
 なぜなら、少女たちと入れ替わって海の底から上がってきたのは巨大な白鯨――アヴァタール級冥海機『潜水艦『モビィ・ディック』』が健在であるからだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建物復元】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

マティアス・シュトローマー
このまま見逃し――てはくれないか
きっと君にとっても作戦の失敗を報告に戻るより、この海で散った方が格好も付くはず
始めようか

パラドクスを発動。引き続き【水面走行】の効果を借りてモビィ・ディックに肉薄後、アクロバットな蹴りの連続攻撃を仕掛ける
【浮遊】の効果を交える事で滞空時間を伸ばし、可能な限り連撃を叩き込みたい
また、仲間の攻撃で出来た傷があればそこを重点的に狙い、より効果的にダメージを与えられるように

別の海で、島ほどの大きさのあるヘンリー・ハドソンの突進を受けた事もあるんだ
この程度、可愛いものだね
モビィ・ディックが海に深く潜る予備動作を確認次第、【浮遊】しながらライオットシールドを構え、敵の頭部から体へと滑るようにして攻撃を往なし、その質量をまともに受けないよう立ち回る
ガードアップの効果も纏い、万全の体制で受けて立とう

これでひとまず横槍が入るのは防げたかな
戦争における戦術としては正しいんだろうけど……
形勢の不利を悟るや否や、盤上を滅茶苦茶にするような子供じみた真似はもう止めて貰いたいね


ラキア・ムーン
少し遅かったようだな、モビィ・ディック
貴様の指揮下にあったローレライサブマリナーだけではない、この海域のそれは掃討されつつある
AU作戦は叶わない、アルタン・ウルクに邪魔はさせん
貴様もこの海で果てよ

限定解除、形状変換
再誕の槍よ更なる先へ……《RE》Incarnation:Extend、顕現!
浮上してきたモビィ・ディックとの間合いを図りながら、引き続き水面走行で戦場を駆ける
指揮官たるアヴァタール級、単体の戦闘能力は油断ならん
だが、敵が単体ならなんとでもなる

仲間の行動に合わせて動く
【Call:0_0_0】起動
槍の機能を解放、輝く魔力の槍を展開
構えて突撃態勢、仲間と攻撃タイミングを合わせる
モビィ・ディックの側面を狙い『突撃』
槍を突き出し、魔力の槍をねじ込む!

槍をねじ込みダメージを与えたら、引き抜きバックステップ
敵の攻撃に備えよう
下部へとEmu【E.S】展開
魔術障壁で敵の突進を受け、バックステップ
突進軌道から体をずらし突進の衝撃を少しでも逃がし、ダメージコントロール
耐えて追撃に移行しよう


月鏡・サヨコ
護衛目標を失おうと、戦意は衰えず……一人でも道連れにする気のようだ
外観が異質でも精神は冥海機のそれらしい
仕方ない。あなたの覚悟を買って相手しよう
……ただし、一人も沈めさせるつもりはない

【水面走行】を継続。敵が潜水した場合は【水中適応】で追跡する
海面を隔てたり距離が離れている仲間とは【パラドクス通信】で連携しよう

≪試製型攻性電探≫から『高出力殺傷電波砲「Z」』を放射
マッコウクジラの重厚な脂肪を物理的に貫通するのではなく、体内を指向性電磁波で直接加熱する
見えづらいダメージが駆体の奥底に蓄積されることで、相手の想定していない時に傷が動きに響く状況を招ければ最良
その隙に仲間の強烈な一撃を撃ち込んで貰い、決着へとつなげよう
反撃の突進に対しては≪海戦装用増設防盾≫を構えてガード
吹き飛ばされたら【フライトドローン】を操って自分を回収させ、素早く体勢を立て直してから海上に復帰しよう
隙を晒して重ねての猛攻を受けることが無いように

冷たい海の底にも安らぎはあるだろう
……波に抱かれて、静かに眠れ



 オホーツクの冷たい海に沈んでいくトループス級冥海機『ローレライサブマリナー』ト入れ変わって、突如海の底から高速で姿を現したのは鯨の形を模したアヴァタール級冥海機『潜水艦『モビィ・ディック』』だった。
 沈みゆくトループス級の残骸をも押し除けてディアボロスに迫るその姿は、潜水艦の急浮上に相応しく、海底から突き上げてくるその白い巨体は最も簡単にディアボロスを吹き飛ばした。
 立ち上がる冷たい水飛沫と共に宙を舞う。
 だが、そのまま落下して海面に打ち付けられるようなディアボロスはここにはいない。各々攻撃を防御し、極力ダメージを負わずにその場に立つことができた。
 彼らはすぐさま反撃に転じ、その巨体に傷を刻みつけた。
 ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)も自分の足の下を泳ぎ回る『モビィ・ディック』を見据えながら得物の柄を握る手の力を強める。
「……少し遅かったようだな『モビィ・ディック』。貴様の指揮下にあった『ローレライサブマリナー』だけではない、この海域のそれは掃討されつつある」 
 それを覆すには、美しい歌を唄って禍を呼ぶ冥海機を新たにここに呼んでくるほかないが、ミッドウェー海戦も激化の一途を辿る中、それどころではないだろう。
「護衛目標を失おうと、戦意は衰えず……一人でも道連れにする気のようだ」
 外観が異質でも精神は冥海機のそれらしい。と、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)が足元を悠然と泳ぎ回る白鯨の冥海機に目を細めると、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)も海中で威嚇するその白い巨体を見据えて口角をあげた。
「このまま見逃し――てはくれないか」
 作戦の要である『ローレライサブマリナー』を失ったら、アルタン・ウルクを呼び寄せる『AU作戦』は失敗。
 自分一人だけでも大本営へ敗走できるのに、この冥海機は戦うことを選んだのだ。
「そうだね。きっと君にとっても作戦の失敗を報告に戻るより、この海で散った方が格好も付くはず」
 マティアスがさらに瞳を細めて白鯨を見据えれば、
「『AU作戦』は叶わない。――アルタン・ウルクに邪魔はさせん。貴様もこの海で果てよ」
 ラキアが黒槍の穂を向け、サヨコも「仕方ない」とガラスの瞳を瞬かせる。
「あなたの覚悟を買って相手しよう……ただし、こちらは一人も沈めさせるつもりはない」
 マティアスは靴のつま先でトントンと海面を叩き、『モビィ・ディック』をキッと見据えて告げる。
「――始めようか」
 この世界を、いや。
 最終人類史をあの魔物に食い尽くされないための戦いを。
「燃え尽きて、溶け落ちろ」
 まず動いたサヨコが火器制御レーダー『試製型攻性電探』を構えれば、放たれるのは強烈な指向性電磁波。
 電磁波は射出と同時に『モビィ・ディック』の重厚な脂肪を物理的に貫通するのではなく、まるで電子レンジの中に入れて食べ物を加熱するが如く、いやそれ以上の威力で白鯨の内部を急速に加熱していく。
 ディアボロスの目には変化は確認できないだろう。けど、このパラドクスを食らった『モビィ・ディック』は自覚しているだろう。
 内部から得体もしれない熱に溶かされる恐怖を。
 だが、その熱がいつ身体に響いてくるかは術者であるサヨコにもわからない。
 せめてそのタイミングがラキアかマティアスのどちらかが放つ強烈な一撃中であるといい。
 そう願いながらサヨコは、白い巨体が暗い海へと潜ったことを確認し、自らの海戦装に取り付けていた『海戦装用増設防盾』を自身の前に構えながらも、確実に迫り来る巨影に目を凝らす。
 と。
 一瞬で水飛沫と共に高く吹き飛ばされる、サヨコの小柄な体。
「……っ。同じ手は食わない」
 冷たいオホーツク上空でなんとか手を伸ばした先に呼んだのは、【フライトドローン】。
 安全な部品ならどこでもいい。掴めば最悪、海面に叩きつけられる恐れはなくなるのだから。
 けたたましいプロペラ音を北の海に響かせているドローンを忌々しく見つめるつぶらな赤い瞳の持ち主が海上にその巨体を晒しているうちに。
「Eins,zwei,drei」
 水飛沫を上げて駆け出したマティアスがタンッと海面を飛び上がれば、マティアスの足元は心なしかキラキラと金色に輝き、その体はふわりと浮き上がる。
 あとは体と足が動くままにしておけば、『モビィ・ディック』の巨体に痛烈な連続攻撃が喰らえられる。
 一撃は大したことがなくても、連続でお見舞いされれば白鯨も痛みでも耐え苦しむ。
 現に蹴られた箇所は赤く内出血を起こし、先ほどサヨコが加えた熱も相まって、『モビィ・ディック』はさらに大きくのたうち回る。
 そして逃げるように海底へと進めば、やることはただ一つ。
 反撃だ。
 マティアスは海底へと逃げた白鯨の動きを観察しながら、その時に備えて『ライオットシールド』を構える。
 あとはその白い巨影が水中に見えた瞬間に【浮遊】の力も借りながら、頭部から体へと滑るように反撃を往なした。
 その質量をまともに受けない行動は功を奏し、無傷で海面へと降り立った。
「キミの攻撃はさっきも喰らったし、別の海で島ほどの大きさのある『ヘンリー・ハドソン』の突進を受けた事もあるんだ。この程度、可愛いものだね」
 勝ち誇ったようにニッと笑うマティアス。
 その横を颯爽と駆け抜けていくのは、黒槍『《RE》Incarnation』を構えたラキア。
「限定解除、形状変換。再誕の槍よ、更なる先へ……《RE》Incarnation:Extend、顕現!」
 ラキアが唱えれば、黒槍は自らのリミッターを外して大きく鋭く変化を遂げる。
 この個体は指揮官たるアヴァタール級。単体の戦闘能力は油断ならない。
「――だが、単体ならなんとでもなる」
 皆が力を合わせれば――!
 ラキアは『モビィ・ディック』と間合いを取りながら、つぶらでも赤く鋭くひかる瞳を見据えるや否や。
 進化した黒槍の柄を握る手に力を込めた。
「――再誕の槍の名の下に……我は世界を穿つ者也!」
 唱えれば。再誕の名を冠する槍はこの灰色の雲が重く立ち込めるオホーツクに、まるで太陽の如き光をもたらした。
 その輝きを伴ってラキアが海面を駆け出すと、『モビィ・ディック』も少しでもダメージを和らげようと身を捩る。
 だが、狙った箇所は必ず穿つ。
 冷たい海面をタンと蹴って高く飛び上がったラキアは、ただ一点を見据えていた。――マティアスが連続の蹴りで内出血を起こさせ、白鯨が必死に尻尾で庇う側面だ。
「これで、終わらせるっ!」
 ラキアは空中で槍を突き出して、狙っていた箇所に槍の穂先を思い切り捩じ込んだ。
 その痛みに吠える『モビィ・ディック』激しい轟きが、オホーツクの空に響く。
 だが、まだその生命を奪うまでの傷は与えられていないのか。ラキアが穂を引き抜いて魔法障壁『Emu【E.S】』を展開しながらバックステップで下がれば、すぐさま反撃とばかりに白鯨は水飛沫を上げながら海中へと潜っていく。
 浮上までは一瞬の猶予も無いだろう。
 足元に目を凝らしながら仕切りにバックステップで突進軌道を逸すが、その突進は突然やってきた。
 足元がズンッと揺れたかと思った刹那、突き上げられるような衝撃がラキアを襲う。
「……っ!」
 こうなれば後は耐えるのみか。
 体が浮き上がる中で咄嗟に考え、『Emu【E.S】』を前に構えたラキアがカード体制をとった矢先――激しい爆発音と共にその白鯨の潜水艦は空中で爆発した。
 サヨコのパラドクス『高出力殺傷電波砲「Z」』が今になって、『モビィ・ディック』の身体を内部から焼き切ったのだ。
 白鯨の血肉やら冥海機の部品がボトボトと海水面に散らばり落ちて、ラキアも海面におりたてば、一帯は普段のオホーツクの海に戻っていく。
 そこには冥海機の唄も、咆哮も、砲撃も聞こえない。
 響くのは海鳴りの甲高い声だけ。
「……冷たい海の底にも安らぎはあるだろう。……波に抱かれて、静かに眠れ」
 オホーツク海に沈みゆく『モビィ・ディック』の頭部に向かい、灰色の髪を靡かせたサヨコが呟けば、ラキアも桃銀の髪を風に揺らしながら黒槍を元の形状へと収める。
 マティアスも、この海域と空と同じ色の瞳で巨大であった冥海機の亡骸を見送ると、ふと顔を上げて前を見据えた。
「これでひとまず、横槍が入るのは防げたかな」
 呟いて想うは、冥海機たちが企てようとした『AU作戦』のこと。
 戦争における戦術として、別の脅威を誘い込む作戦は、ある意味正しいのだろう。
 しかしそれは、誇り高き軍人が取るべき作戦なのだろうか。
「……形勢の不利を悟るや否や、盤上を滅茶苦茶にするような子供じみた真似はもう止めて貰いたいね……」
 ため息まじりの呟きと深い相槌を残し、ディアボロスたちはこの海域を後にする。
 後にこの戦いが、最終人類史の『護り』となることを信じて――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年12月21日