【吸血ロマノフ王朝奪還戦】ロマノフ・ウォーズ成るぞ!(作者 baron)
#吸血ロマノフ王朝
#【吸血ロマノフ王朝奪還戦】⑨正規軍養成練兵場
#吸血ロマノフ王朝奪還戦
#サンクトペテルブルク
#⑨アレクセイ・ブルシーロフ
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『ロマノフを掛けた戦いになるぞ!』
「ロマノフをかけた戦いに参加するぞ!」」
アヴァタール級らしき訓練教官にしごかれ、兵士たちが練兵場を走っている。
何周も何周も、まるで心を折るのが目的であるかのように。
『これはシミュレーションではない!』
「「これはシミュレーションではありません! 本当の戦です!」」
それは兵士たちの基礎体力をつけ、イザという時の備えにしつつ、精神面でも鍛える為であった。
今訓練されているのは編成されたばかりの戦車兵であるが、正しくは戦車随伴歩兵とも言う。
『命を懸けよ!』
「「命を懸けます!!」」
つまり、歩兵として戦車に従うので、戦車について行けるだけの体力は無駄では無いのだ。
一部は戦車を操って砲撃の訓練をしているが、初期型なのか、あるいは数が無いのか随伴歩兵の方が多い。
『陛下のお耳を穢すな! お前たちだけで倒せる実力を身に着けよ!』
「「陛下にご心配は掛けません!」」
『敵を吞み込め!』
「「敵を呑み込みます!」」
彼らは来る日も来る日も訓練を続け、戦車が到着次第に精鋭として投入されることになっていた。
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「皆の力で最終人類史に現れたジェネラル級ヴァンパイアノーブルは見事全滅させることができた。まずは見事だと言っておこう」
アウグスト・エステルブリッツ(人間の思想家・g08506)はポーランドへ侵攻した敵部隊を殲滅したことを言祝いだ。
最終人類史が占拠を食い止め、一般人への被害を無くなったことを最初に報告した。
「作戦の失敗により、吸血ロマノフ王朝のジェネラル級は大きく数を減らし、更に最終人類史に攻め込んだことで、ディヴィジョンの排斥力も大きく揺らいだ。この影響により、【吸血ロマノフ王朝奪還戦】発生を示す断層碑文が出現した。吸血ロマノフ王朝の大地を奪還する絶好の機会となる!」
ヴァンパイアノーブルの主力はサンクトペテルブルクに集結している。
集められた情報によると、勢力を保っている竜血卿ドラキュラの軍勢はウクライナに、それ以外の地域にある戦力はシベリアに冬将軍のだけだ。だが、シベリアでの排斥力が一気に下がり、奪還戦時にはアルタン・ウルクの侵攻がほぼ確実に発生する。
「どうやらアルタン・ウルクを招き寄せる事で、ディアボロスに二正面作戦を強いるという作戦だな。これまでの戦いで多数のジェネラル級を撃破し追い詰めた。だが、断片の王である『吸血皇帝ニコライ2世』は、起死回生の策を諦めていない。アルタン・ウルクを使うのも時間稼ぎの一環だろう。油断せず徹底的に叩き、吸血ロマノフ王朝との決着をつけるぞ」
そう言ってアウグストは資料を配布した。
「完全なる『鮮血の革命術式』は、敵のジェネラル級が広大なロシアの大地制圧の為に攻め込んで来た時点で発動する。集結した自軍の戦力を首都ごと敵本拠地に転移させ、戦力の下がった敵本拠地の制圧及び、断片の王を撃破して速攻で勝利するというカウンターを可能とする秘術だった」
ここで懸念事項に関して補足説明が入る。
鮮血儀式で敵が新宿に攻め入って来ると大問題だからだ。
「これまで大領地の解放やモスクワ鉄道会社の活動をはじめ、ディアボロスの活躍は多くの人々を助けて来た。吸血ロマノフ王朝の人々の『従属』の感情を減らしたゆえ、一度は完全な発動を阻止できた。まさにな明けは人の為ならずと言えるだろう。だが敵は再度の『鮮血の革命術式』の発動を諦めてはいない。迅速に決着をつけなければディヴィジョンの人々は死に絶え、新宿島も甚大な打撃を受けることになる」
アウグストはそう言って、新宿を守る結界は機能しないと告げた。。
相手の都市と同一化する様なものなので、弾く事が出来ないのだろう。
「ディアボロスの活躍で市内の一般市民は既に避難している。今まで以上に派手に破壊してしまって構わん。人々の犠牲をなんとも思わないヴァンパイアノーブル達に目に者見せてやろうではないか!」
そう言ってアウグストは一同を励ますと、相談を見守るのであった。
リプレイ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
ドイツから渡された橋
ああ、ロマノフで最初に再開した吸血鬼たちも、訓練を受けていたな
彼らも儀式の糧とされるのだろうか
長くロマノフを駆け抜けてきた
もう、決して人々を犠牲にさせはしない
パラドクス通信も用い仲間と連携を取り
可能なら迷彩コートを纏い、物陰に潜みつつ
双眼鏡で敵方を偵察、分断や一部と戦いやすい箇所を探す
味方と機を合わせ攻め入る
仲間の死角を補う立ち位置を取り、飛び出さず自陣を維持
戦況を観察し把握、気づいた事は通信で伝える
Wandervogelを演奏しPD攻撃
焔を巻き起こし、呑み込み、翻弄
狙いを合わせ、一撃で倒せる敵>消耗した敵の順に確実に倒し
敵の攻撃には戦車の砲塔の動きを観察、タワーシールドを構えて受け魔力障壁で身を護る
死角からの攻撃にも注意
従属と、飢えと、恐怖と隣り合わせの世界を見てきた
そこで懸命に生きる人々を
熱よ、祈りとなり、雪を解かせ
民の叫びよ、革命の音色よ、響き渡れ
今、ロマノフに夜明けをもたらそう
戦果十分か将の登場、又は深手の者が出る前に通信で合図し、全員で撤退だ
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
吸血ロマノフ王朝の内ウラル以西のヨーロッパロシアを奪還すれば、東欧の未帰還地域の帰還も遠からず実現出来る。
王冠領を本当の意味で取り戻し、止まった時の中から同胞達を救い出す。その為に私は飛び続けて来たのだ。
●行動
【飛翔】し敵地上部隊を空襲。
攻撃行動は全てパラドクス。
練兵所を狙う、か。
英国のフライングエースの一人、ミック・マノックは訓練飛行中のヒヨッコを狙い撃ちにしたと言う。
敵国のやり口だが、今回は彼に倣うとしましょう。彼の弁を借りるなら『雛鳥もいずれは鷲になる』のだからね。
【地形の利用】を応用した地形追随飛行で接敵、友軍が【泥濘の地】を使用したタイミングでポップアップ、ループ機動に入り肩越し爆撃へ。
【制圧射撃】で敵を泥濘の中に縫い止め、投擲した爆撃槌で止めを刺して行く。
空中に逃れた者には投擲ではなく【空中戦】から直接爆撃槌を叩き込み、地べたに叩き返してやるわ。
貴様らに空は似合わない。地べたを這い回るのがお似合いよ。
敵ジェネラル級等、高脅威目標との接敵時は殿軍を務め、友軍の撤退を支援。
●
ディアボロスたちはサンクトペテルブルク中央部へと進軍を開始した。
奪還戦に先立つファーストアタックの始まりである。
「こちらフェーデル。目標、練兵場。コマンドポストを務めさせてもらう。以上」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は迷彩コ-トに身を包みパラドクス通信で状況を共有した。傭兵会社の仲間が居るので手短に交信を果たす。
「こちらユサール。地形追随飛行で接敵中。状況、送れ」
「ユーサル、参戦を歓迎する。ドイツから渡された橋……乗り切ろう。敵兵はまだ異変に気がついたばかりだ。もう1チームの残留効果は共通メモに挙げてある。以上」
エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)からの通信にフェーデルは返信に僅かばかりの私信を織り交ぜた。機械化ドイツ帝国との戦いでも吸血鬼が介入して来た。なんとも感慨深い事だと思う。その上で、今回は2人づつ2チームに分かれているのでその説明模して置いた。
(「ああ、ロマノフで最初に再開した吸血鬼たちも、訓練を受けていたな。彼らも儀式の糧とされるのだろうか……それともトループス級へ変異している所か? どちらも望まないが……もう、決して人々を犠牲にさせはしない」)
長くロマノフを駆け抜けてきた中で、かつて出会った人々を今更のように思い出す。
まったく、このロマノフは広過ぎる。氷の封土や安全地帯へ避難させられた人々も居れば、途中ですれ違うような見かけた方をした人々。あるいはまだ見ぬ大領主の土地の人々もいる筈だ。実に心がざわつくフェーデルであった。
「ドイツ……ね。こちらユサール、一騎翔けをさせてもらう。泥濘の地で攪乱を試みる。以上」
ユサールは口の中に僅かな苦みを散りばめて苦笑した。
二重帝国は機械化ドイツ帝国に組み込まれ、三重帝国化していたのだ。
歯がゆい思いではあるが仕方のない所だろう。何を言った所で言葉遊びでしかないし、同じ傭兵会社の仲間であり地域が違えど二重帝国出身者のフェーデルに文句をつける気はなかった。そしてもう1チームが用意した泥濘の地を使うと宣言しておく。
(「吸血ロマノフ王朝の内ウラル以西のヨーロッパ・ロシアを奪還すれば、東欧の未帰還地域の帰還も遠からず実現出来る」)
それにクロノヴェーダと接敵して居ないエリアが増えれば増える程に奪還地域が増える。ここが正念場であり、ドイツ地方まで繋がる安全圏の道筋が出来たという意味では間違いは無いのだ。キエフ・ポーランド・ハンガリーなど黒土地帯は、化学肥料の登場以降は豊かな穀倉地帯でありさ一周人類史に寄与してくれるだろう。
(「王冠領を本当の意味で取り戻し、止まった時の中から同胞達を救い出す。その為に私は飛び続けて来たのだ。ここで絶対にやり切る!」)
胸を引き裂いて、その気持ちを取り出して力に出来るならやりたいとすら思う。
やらないのはそんなに都合の良い能力なんかないからだ。
だから一歩一歩進むしかないし、第一歩はドイツの開放でイギリスやイスカンダルときて、ロマノフを取り戻してようやくイシュトヴァーンへと辿り着くのだ。いつか『私は帰って来た!』と叫ぶために、今ここでもう少し戦い続けよう。
「こちらユサール。敵の視界が無い場所を低空で侵入する。誘導を頼む。送れ」
「フェーデル了解。侵入角度とランドマークを、こちらの攻撃用カウントダウン・シグナルと共に送信する。以上」
二人がやろうとしている事は簡単だ。
高度を上げて飛翔したり、高速で移動し過ぎると敵に見つかってしまう。
そこでユサールは建物や起伏の影に隠れて飛翔し、敵地に入った所で一瞬だけ高空に移動して急降下攻撃を掛けるのである。そのためフェーデルが地形情報をパラドクス通信で送信し、タイミングを合わせて同時に攻撃を掛け、敵が集中攻撃できないようにする訳だ。
やがて二人は全ディアボロスの攻撃タイミングに合わせて行動を開始した。
「こちらフェーデル。敵は集結を始めた、これ以上は好機を逃すので攻撃を仕掛ける。以上」
双眼鏡越しに練兵場を走っていた敵兵が異常事態に気がついて集合しているのが見えた。
そこでフェーデルは距離の壁を越えるべく楽器を取り出してパラドクスを使用する。
心の中にある悲嘆を打ち消し、焦燥から怒りへと激しさを元にリズムを奏で始めたのだ。
「――踊り、謳え、心の儘に。林を抜ける風のように、山から溢れる炎のように。これが俺の風林火山だ!」
踊る様に揺り動かす弓と弦、揺れる心のボルテージが上がると主に激しさを伴う環境変化。
内なる心の発露が炎を煌かせ、風が嵐となって逆巻き、猛る火焔は何のために?
それは生命を生み出す賛歌であり、死に行く者たちへの鎮魂歌である。
『なんだこの音は? 敵の攻撃なのか!?』
『か、構わん何処でも良いから攻撃するんだ!』
敵は慌てながらも集結しつつ反撃を始めた。
相手が分からないあてずっぽうの攻撃でも逆連鎖戦ならば到達できる。
とりあえずで放った砲撃の中にもフェーデルへと届くものが現れたではないか。
「従属と、飢えと、恐怖と隣り合わせの世界を見てきた。そこで懸命に生きる人々を。……熱よ、祈りとなり、雪を解かせ民の叫びよ、革命の音色よ、響き渡れ。今、ロマノフに夜明けをもたらそう」
奏でるリズムは圧政に立ち上がる人々の姿を思い起こしながら描く。
史実では赤い革命のあったこの地で皮肉ながら、確かに生きる人々の思い、雪を解かす民の心、革命を表すリズムを響かせロマノフを開放するという思いと共に奏でて行った。それは従属を強要する豪砲の音をかき消さんばかりに盛んにパラドクスでリズムを掻き立てていく。
(「始まったな。……練兵所を狙う、か。英国のフライングエースの一人、ミック・マノックは訓練飛行中のヒヨッコを狙い撃ちにしたと言う。敵国のやり口だが、今回は彼に倣うとしましょう。彼の弁を借りるなら『雛鳥もいずれは鷲になる』のだからね」)
視界を遮る建物の向こうで何かが起こった。
そのことを察したユサールは攻撃に移る。
慌てている新兵であろうと構うことなく……いや、新兵であるからこそ今のうちに叩き潰して置こうと躊躇なく攻撃を行う覚悟を決めた。
「ポップアップ……3、2、1、今!」
ユサールはひねりを加え、建物を跳び越す形で一瞬だけ高度を上げた。
そして盤面を上から見据えた上で、そのまま敵中央へ降下しつつ射撃。
半回転加えながら低地を飛翔し、爆撃槌に指を掛けたのである。
『新手だと! 突進だ! どけどけどけええ!』
「ピンを抜く暇もないのが残念だわ。ここは直接叩く!」
敵は戦車を血の海から召喚して突進を始めた。
それを見たユサールは爆撃槌で白兵戦を挑むことにする。
本来であれば手榴弾でも投擲したいところだが、普通に安全装置のついた爆薬は時間がかかるし、赤い悪魔はノーサーンキュー。そのまま爆撃槌のトリガーを引いてぶん殴ったのである!
「このまま次の味方が来るまで制圧する。状況が変わった場合は総撤退の指示を! 送れ!」
「了解した! こちらも可能な限り援護を行う。以上!」
ユサールは制圧射撃を行いながら周囲に泥濘の地を維持するために留まり、そしてフェーデルは音楽を奏でながら、必要に合わせてライフルを取り出して援護し続けたのである。
そして暫く後に、ゴーレムを伴って仲間たちが訪れ敵兵は混乱の極致に追い込まれる。
だが……状況は三度変更されたという。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
新城・橙花
他の人たちと協力して頑張るねー。
狙いははぐれた敵だよっ。
数が多いと怖いからねー。
練兵場にこっそり接近。
できれば他の人が攻撃しているといいけど、どちらにしても端っこの方で一人でいる敵を見定めて攻撃開始。
奇襲だから最大火力を最初から。
パラドクス呪法【七つ禍つ星】、そっと舞うようにくるりと回って、
「妙見尊星が王に願い奉る。我が敵に七つの鉄槌を下し給えっ」
七つの災いの鏃を叩きこんで確殺するよっ。
一度攻撃が終わったら、距離を取ってまた次のはぐれくんを探しに行こうっ。
見つけたらまた鏃を打ち込んで、そしてまた次っ。
危なくなってきたら引き上げるよー。
続きはまた今度っ。
フルルズン・イスルーン
さて、ちょいちょいと打撃与えないとだね。
んーむなるほど。統率の概念の強化に練兵場かな。
クロノヴェーダの実体的にはあまり意味はないけど、規律ある軍隊があるというのはそれだけで人々が逆らいにくくなるから。
強さが人の感情に依存してるからイメージ作りは大変だ。
では、ごっこ遊びにお邪魔しよう。ファブリケイト・ゴーレムくん。
これより泥中行軍訓練を行う!
【泥濘の地】発動! 見事突破できる奴に照準を合わせて架空元素粒子弾をお見舞いしてやろうね。
軍隊にご褒美なぞないのだ! できる奴により強い負荷を与えるのは基本だよキミ。
いや、実際は能力を平坦化して行軍計画に遅れがないようにしたり、エリートは選抜して別部隊誂えるんだけど。
クロノヴェーダ相手に人間用の調練説いたって仕方ないのだ。
地獄のアスレチーック!
突出するやつは良い的だ! ゴーレムくん!
両手ランチャーを存分に撃ち尽くして穴だらけにしてやれー!
●
練兵場に爆音が木霊する。
先行するディアボロスに対して戦車兵が応射したのだろう。
「始まったよっ!」
新城・橙花(呪刀の裁定者・g01637)は掌を目の上に掲げて光を遮った。
彼方に登る土煙と爆炎がちらりと見える。
今回の作戦は2人2チームで計4人で構成する作戦なので、タイミングが重要である。
「さて、ちょいちょいと打撃与えないとだね」
フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)はその様子を見もせずに地面にナニカを描いていた。そしてポリポリと頭をかいて思案を整える。
「んーむなるほど。統率の概念の強化に練兵場かな」
そこには周辺の地図と、三行の文字。
取り巻きのトループス級、護衛のトループス級、そして防衛ラインのトループス級だ。
「クロノヴェーダの実体的にはあまり意味はないけど、規律ある軍隊があるというのはそれだけで人々が逆らい難くなるから。強さが人の感情に依存してるからイメージ作りは大変だ」
取り巻きとその他は倍半分の戦闘力差がある。
弱兵は一発殴られたら逃げるか、それだけで死んでしまう。
死んでも反撃できるのが逆連鎖戦だが、ダメージ的には自分から行う本命でないと火力が低い。さらに言えば残り二者の強さは同じだが、防衛ラインは正面であったり下方を狙い撃ちしているので命中精度が段違いだから、こちらも何らかの工夫が無いと不利になってしまうのだ。
「もー何してるの~。先に行った人たちがこまっちゃうよー」
「ん。あ、終わったから始めようか。では、ごっこ遊びにお邪魔しよう。ファブリケイト・ゴーレムくん」
橙花がピョンコピョンコして抗議するとフルルズンは地図の周囲にルーン文字を描いた。
そして敵兵が居るべき辺りに矢印を描く、記号のチャンポンをやって見せる。
するとゴーレムがその場に現われ進撃を開始するのであった。
「おっきぃー! すっごいねー」
「んむ。これより泥中行軍訓練を行う!」
感心した橙花の声にフルルズンは胸を張ってゴーレムに指示を出した。
何時だって賞賛の声は素晴らしいものである。
そして二人が進撃を開始すると、ゴーレムの周囲の地面が泥濘と化して行くではないか。
「と、敵の数が多いからはぐれた相手を狙いたいかな? 数が多いと怖いからねー」
橙花はちょこっと離れて壁の後ろから発言してみた。
ゴーレムは大きいから集中攻撃されたら怖いし?
とか言ってみるが、特に目立ったりはしないのであんまり関係なかったりする。
「それは今から顕著になるよ。ここで【泥濘の地】発動! 軍隊にご褒美なぞないのだ! できる奴により強い負荷を与えるのは基本だよキミ」
フルルズンは先行した仲間が使った泥濘の地と、ゴーレムと共に起動する泥濘の地で分断する心算であった。この残留効果はディアボロスの周囲で起動するため、敵は自然と移動力がチグハグになるのである。むしろ中間に居る連中の方が足が速いくらいだろう。
「どうやら先行組が突入した時、まだ練習中だったようで配置がバラバラなんだ。そして泥濘の地が二か所で発生し、相手は分断されているという訳だね。さあさ、見事突破できる奴に照準を合わせて架空元素粒子弾をお見舞いしてやろうね」
フルルズンは『こっち側』と『向こう側』で移動力に齟齬が生まれ、孤立した敵に大してゴーレムに攻撃させた。
「地獄のアスレチーック! 突出するやつは良い的だ! ゴーレムくん! 両手ランチャーを存分に撃ち尽くして穴だらけにしてやれー!」
腕の術式から万能溶解液の性質を持つ架空元素を発射させる。そして原始分解へと至る攻撃を仕掛けたのだ。まあ足元の泥と反応して起きる攻撃なので、見た目には違うように見えるかもしんないけどさ。
『なんだ? 体が……くそっ! 撃て! 撃って連中を混乱させ、その間に立て直すぞ!』
(「え? こいつら無理やり飛び出てジャジャジャジャン? いや、実際は能力を平坦化して行軍計画に遅れがないようにしたり、エリートは選抜して別部隊誂えるんだけど。まあいいや、クロノヴェーダ相手に人間用の調練説いたって仕方ないのだ」)
敵は何も考えずに反撃し、あるいは突進して抜けようとしている。
いっそ潔いくらいに統制されておらず、旧ソ連で『畑で兵が採れるから気にせずに突撃!』という号令を垣間見たような気がする。
「えっとえっと……確かに、みんなバラバラだねー。とりあえず倒せそうな人を倒した後で、後は、はじっこに居る人とか狙えば良いかな?」
その間、橙花は静かに敵に近寄って攻撃を掛けた。
狙うは大混乱の中で孤立した敵兵だ。
先行した仲間やゴーレムくんが攻撃し、みんなバラバラなので狙い易い。
「妙見尊星が王に願い奉る。我が敵に七つの鉄槌を下し給えっ」
橙花はそっと舞うようにクルリとターン。
七つの災いを持つ鏃を放った。
それは北斗七星に由来する力であり、既に生命力が減っている敵は容易く打倒されていく。
『ぐあっ!? 逃げろ! 邪魔する奴は踏み潰せ!』
「あっぶなーい!? もー! 汚れる位なら良いけど、巻き込まれたら大変なんだからね!」
逆連鎖戦なので気がついて居なくても巻き込み攻撃が可能なので、橙花は危うい所で逃げ出すことにした。途中で爆発したというか、相手が弱いから火力が低かったのか分からないくらいだ。
「次のはぐれくんを探しに行こうっ。ん~パラドクス通信わっと……。ここと、ここかな? 上手く行ったらまた次で」
橙花は星々の矢を武器に、呪いを叩き込みながら駆け抜けた。
もちろん近くにゴーレム君がいるし、離れた所にもう1チームが居るけどね。
そんな中、次第に敵兵の混乱が収まって来た。
「おや? あれは……やばっ。脱出!」
その様子に気がついたフルルズンは本格的な反撃が来る前に撤退を始める。
ゴーレムの制御を手放し、自走させながら反対方向へダッシュだ。
「うわっ……アレは無理かなー? 続きはまた今度っ」
橙花もソレに気がつき、大急ぎで撤退する。
何というか敵兵がまとまってくるくらいは覚悟していたが、アレは想定外である。
もう1チームの方に向かって居るのか、あるいはゴーレム君を狙って居るのか……。
『こんな物に敗北したのか? やはりお前達は弱い』
その時、赤いナニカが振られ戦場が彩られた。
ゴーレム君が粉砕され、あるいは空中に居た仲間が追い払われる。
『だが、それを嘆く事は無い。お前達は、これから強くなり、そして、吸血ロマノフ王朝を支える礎となるのだ』
『『『おおお!』』』
ソレは赤き旗を持ち、なりのように薙ぎ払うジェネラル級クロノヴェーダであった。
ただ、その力強い言葉に対して視線は告白だ。
礎とはロマノフ王朝を活かすための犠牲であり、『もっと役に立つ死に方をさせてやる』という意味であろう。
『軍団長に歓呼三唱!』
気がついた誰かが声を張りあげる。
そこに現われたのは赤い旗を掲げたアレクセイ・ブルシーロフ。
『ウラー!』
『ウラー!』
『ウラー!』
その姿を持って兵たちの士気を煽り、混乱の極みにあった部隊を立て直した男である。
『行くぞ、お前たち!』
『『『おおお!』』』
奇襲によって混乱した練兵場は、アレクセイの登場により手直されつつあったという。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!