【吸血ロマノフ王朝奪還戦】凍てついた防衛線(作者 紅葉茉莉)
#吸血ロマノフ王朝
#【吸血ロマノフ王朝奪還戦】⑯チェルニーヒウ要塞
#吸血ロマノフ王朝奪還戦
#ウクライナ
#⑯スネグーラチカ
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ここはチェルニーヒウ要塞、ジェネラル級ヴァンパイアノーブルであるスネグーラチカが防衛線を構築しディアボロスを待ち受ける拠点の一つであり。
本来の思惑、この要塞だけでなくソロカ要塞とハルキウ要塞、三つの要塞による相互連携での防衛線を構築する予定であったが、ソロカ要塞陥落にて不完全となったこの場所では、要塞だけでなく周囲の地面や森までもが凍り付いていた。
見渡す限りの凍り付いた銀世界、戦場となれば足場の悪さが露呈する中、巡回するトループス級は凍った地面など苦にせずに、踊るように滑走する。
それもその筈、鋭利な刃を持ち、血に染まった赤き靴を履いて踊るトループス級、赤い靴の乙女にとってはフィギュアスケートを行うようなものなのだろう。
「ねえねえ、知ってまして? 私達におあつらえ向きなこの銀世界、どうやってできたのかを」
「勿論、知ってるわ。偉大なるスネグーラチカ様のお力で一面凍り付いているのをね!」
噂話が好きなトループス、故に警戒中でも戦場を変化させた存在は誰か、などを語りつつ。
ジェネラル級の力で凍らせたその土地を滑走し、ディアボロスを待ち受ける。
地の利は敵にあり、ならばその利を如何にして崩すか、はたまた互角の状況で戦うか、ディアボロスの手段が問われる中、赤い靴の乙女たちは散開、森の中や平地など、周囲を警戒する任務を続けていた。
新宿駅グランドターミナル、吸血ロマノフ王朝にて大きな動きがあった今、数多のパラドクストレインがその地に向かう事となりこの列車もまた、同様に吸血ロマノフ王朝に向かうものであった。
「はいどうもーっ! 吸血ロマノフ王朝奪還戦を示す断層碑文出現の一報あり、となれば戦いに先んじての前哨戦、そのご案内となります!」
奪還戦発生によっていつもよりテンション高く出迎えたミレー、指を立ててクルクル回し説明を継続する。
「最終人類史でジェネラル級ヴァンパイアノーブルを一般人被害なしで撃破、ジェネラル級の大減少はありましたがどうやら王朝にはまだまだジェネラル級が居たようですね。
主力はサンクトペテルブルクに集結、竜血卿ドラキュラの軍勢はウクライナを拠点に、シベリアには冬将軍と分かれて配置されている様ですが、奪還戦ではアルタン・ウルクの侵攻という横槍もありますから。
ですが、これまで多くのジェネラルを討伐した皆さんならば、起死回生の策を練る吸血皇帝ニコライ2世を前に引けを取らず、油断せず徹底的に叩けると信じています。
そして、今回向かってもらうのはチェルニーヒウ要塞、どうやら要塞だけでなく周辺もまとめて凍り付いた銀世界になっているようでして」
戦場となる要塞近辺は凍り付いた地面、されど敵はその足場の悪さを苦にせず踊るように動き回っているらしい。
森に、平地に、高台に、各所に散開した敵は優位な状況で待ち受ける中、此方も相応の対策をせねば苦戦を強いられる事は確実だろう。
「凍った面倒な戦場、ですが皆さんならこう、なんやかんやと良い感じの対策をバシっと決めて、自分達が有利な戦場だって余裕ぶった顔を驚嘆する顔に変える事は出来ますからね。
同じ条件に乗っかってもよし、前提条件を叩き壊すでもよし、いっそ力押しで無理に押し切っても勝てるならばそれでよし、皆さんが思う形の手で敵の数を減らして撤退してください。
では、これよりご案内しますね」
そういってミレーは説明を終了、少々厄介な戦場ではあるがディアボロスを待ち受ける要塞警備、その偵察を担う軍勢との戦いにディアボロス達を送り出すのであった。
リプレイ
笛島・他助
連携・アドリブ歓迎
【戦場:森】
おぉ寒い寒い。地面も凍ってて危ねぇなぁ。
都会じゃ凍った地面で事故が起きるもんだが、敵方には期待できねぇだろうな。
そんじゃま、準備に取りかかるとすっか。
【泥濘の地】で凍った地面を動きづらい泥に変えてやるぜ。
起爆沼もセットして準備オッケー! 敵さんが嵌まったら開戦だ!
へーい! 赤色が素敵な美女達! 俺と泥んこ遊びしねーか? 童心に返ったみたいで楽しいぞ!
うーん、服も泥だらけになって実に可哀想だ。
森の中を逃げ回りつつ沼爆セットして起爆を繰り返してっと……。
うぉ、囲まれた。しかもなんか彼女らの踊りに合わせて変な茨が。
なるべく起爆して茨を吹っ飛ばして致命打にならない程度に耐えて逃げなきゃな。幸い彼女らの動きは地面変えたお陰で少し遅いし。
深追いはしねぇで各個撃破のスタンス。危なくなる前に撤退するぜ。
ここの指揮官やってるスネグーラチカさんも、この沼だらけの惨状見たら怒るかねぇ。
少女達の遊び場を壊して怒らす俺、間違いなく悪い大人だな!
一角・實生
ようやく見えたロマノフ奪還の機
今は凍てついた大地だとしても必ず春を呼び込むため
まずはこの地から
木々の間に身を潜め敵の動向を探る
自信に満ちた敵を確実に討てる機を捉えパラドクスを発動
能力値アップで強化した熱波を放とう
凍り付いた箇所全てを融かす程の呪詛を込めて
ひとりだからといって簡単にやられるような覚悟じゃないよ
それに戦闘では情報がどれだけ重要かも知ってる――だから
偵察部隊であるお前達を逃がすはずがないだろう
数と状況で有利であるからこその驕りを打ち砕く
反撃は木々の間を走り抜け包囲されぬよう立ち回る
グラナトゥムで断続的に銃撃を行い、踊りの阻害と茨を断とう
融けたものが再び凍てつけば悪路の出来上がり
泥濘の地で更に体勢を崩した後、再度熱波を放ち敵の数を減らしていくよ
情報が少なければ大隊も真価を発揮できないもの
スコープや偵察能力を引き続き駆使し、可能な限り敵の情報網遮断――討伐を行おう
頃合いになれば撤退を
近くに仲間がいれば足並みを揃えて逃げ遅れのないように
今は敵の戦力は削るだけ、殲滅は奪還戦で
九十九・静梨
ロマノフといえどここまで凍り付いているのもそうそうないですわね
ジェネラル級の力の程が見えるというもの
ですがそれで怯む事はありません
やりようはありますわ
高台を選びましょう
しかしこのままでは最初の足場だけが不安なので準備を
螺旋砕腕をドリル形態に変形
音をできるだけ押さえて慎重に高台上の足場の氷を削り
氷の下の地面を露出させることで踏んで安定するだけの足場を確保
そうしたらパラドクスを発動
全身の筋肉を強化し
魔力の風を腕と足に纏い
安定させた足場からジャンプし敵陣ど真ん中へと飛び込みながら
蹴りや拳の連撃強打を敵に繰り出しますわ
同時に巻き起こす魔力嵐は敵を吹き飛ばし陣形をかき乱すのと同時に
周囲の地面の氷も周りの地面ごと破壊しますわ
つまり攻撃さえ終わればわたくしの回りはただの地面だらけ
安定して継戦できるというものでしてよ!
反撃には魔力障壁を纏わせた螺旋砕腕と魔晶刃腕のダブルガントレットで対処
肉弾戦の構えから刃を受け止めパワーで弾き軌道を逸らす
急所への攻撃だけは絶対逸らすように注意
ジェネラルが来るか限界で撤退
アンネリーゼ・ゾンマーフェルト
寒っ……冬将軍ほどではないにしろ、この土地を管轄するジェネラル級も強力な冷気を操るようね
無策じゃ足が滑って満足に動き回れそうもないわ
しっかりと準備をして行かないとね
平地を選択。展開する大量の敵を焼き払って戦力を削りましょう
防寒着を着こみ、靴は登山や極地探検に用いる底が滑りづらい形状になったもの
その上で【フライトドローン】を使用し、足下の状況に縛られない移動手段として活用するわ
ただし高台など他の戦域の敵から集中砲火を受けないように、高度は飽くまでも低空を保たないとね
『#高熱 #掃射 #制空権確保』で武装ドローンを召喚
敵群に向けて機銃から焼夷弾を掃射し、撒き散らされる火焔で敵を焼き払うと共に凍り付いた地面を熱し、溶けて流れ出る水も乾かしていくわ
急に悪口?何も響かないけど!
刃は≪Schlafplatz≫を盾に防ぐわ。足下が安定してた方が耐えやすそうね
ある程度氷解した範囲を作れれば着地しての戦闘も可能かしら
十分に打撃を与えたら逃げ道を塞がれてしまう前に撤退よ
ダンスの続きは決戦の時にしましょうか!
凍り付いた戦場、木々も要塞も地面も等しく影響を受けたその中で、森を進む敵偵察部隊を狙うディアボロスの姿が在った。
「おぉ寒い寒い。地面も凍ってて危ねぇなぁ。都会じゃ凍った地面で事故が起きるもんだが、敵方には期待できねぇだろうな」
「そのようだな。しかしようやく見えたロマノフ奪還の機、今は凍てついた大地だとしても必ず春を呼び込むため。まずはこの地から」
移動を妨げる凍り付いた地面、最終人類史における凍結路面の厄介さを語りつつ事前に情報を得た敵にはその影響がないのが厄介とボヤく笛島・他助(アレがアレでそれな感じの奴・g03086)に一角・實生(深い潭・g00995)が淡々と返しつつ。
ディアボロスの動きを、情報を集めんとする少数の敵が如何なるルートで巡回しているか、息を潜め様子を伺い攻めるべきポイントとタイミング、それを慎重に図っていた。
そんな中、潜み自分達を狙うディアボロスが居るにもかかわらず、口々に噂話に花を咲かせながらの偵察任務をこなす赤い靴の乙女たち。
特に何も起こっていなかったが故に、そして警戒任務に就く事で娯楽という者が無かったのか、仲間内でペチャクチャと喋る事に楽しみを見出していたのだろう、場所によっては数的優位も持っている環境下、だからこその驕りを見逃さず。
狙撃銃のグラナトゥムを構え、實生が攻める好機だと離れた場所に潜む他助に知らせる様に下草の間から手を出して。
「それでね、あの人ったらそんなごとぉ!?」
滑走する赤い靴の乙女たち、その足元が急にぬかるみ一人が転倒し泥だらけになった所で更に周りの面々を巻き込むかのように爆発が発生。
大量の泥が撒き散らされ、偵察任務に就いていた赤い靴の乙女たちは一瞬で泥まみれになっていて。
「へーい! 赤色が素敵な美女達! 俺と泥んこ遊びしねーか? 童心に返ったみたいで楽しいぞ!」
挑発的な言葉を発し姿を晒した他助が全力で逃げ出すが、しかし凍った地面、滑りながらの逃走故に思ったよりも離れられない状況下。
ならば追い縋って囲んで倒してやるとばかりに立ちあがり、警戒中の仲間を呼び寄せんと大声を張り上げたその直後。
「喧しいな、だがそれ故に。不幸は足元から這い寄るものだよ」
實生が天使の翼を広げ羽ばたけば、熱波が生じ赤い靴の乙女たちの足元の氷を溶かし、そして熱によるダメージを与えていて。
更には仲間を呼び出す為の叫び声、それを打ち消すかのように鳴り響いた発砲音はグラナトゥムの引き金引いての銃撃で。
熱波で氷を溶かしつつ泥濘を広げ、相手の機動力を削ぎ落しつつの後退戦を二人にて始め、氷上を滑走する赤い靴の乙女たちは手玉に取られた状況……のように見えたのは攻撃を仕掛けた直後。
出鼻を挫かれ攻撃を受けた面々ではあったがスケート移動を妨害されたと察するや否や、ヴァンパイアノーブルの特性を用いて地面を離れ飛行、木々の合間を縫うように飛び両者との距離を詰め始めていたのだから。
「うおわっ! 予想外に動きが早いし囲まれた、ってなんか彼女らの踊りに合わせて変な茨が」
怒りの形相を見せ空中で踊り狂う赤い靴の乙女に狙われた他助、取り囲むように飛ぶ敵が踊れば踊る程に真っ赤な茨が周囲より生え出て彼の体を絞めつけて生命力を奪っていき。
痛みに耐えて茨をほどき、逃走の突破口を開かんと再び起爆しぬかるんだ泥を飛ばし攻撃するも、敵中を突破できるほどの効果は見えない。
何より想定していた泥濘による移動妨害、速度低下が見込めぬ中の反撃を受けたのだ、少々厳しい状況であることは間違いなくそれは同じ戦場を戦う實生にも当てはまる。
「チッ、溶けた先がすぐ凍り悪路を作る、まではできたが……こう飛ばれてはな」
「そうよ、滑れなくされたのは癪だけどここで血祭りにしてあげるわ!」
再度熱波を放ち攻撃する中、その熱に焼かれながらも飛び掛かり、靴の刃で斬りつける赤い靴の乙女たち。
その攻撃をグラナトゥムの銃床で受け流しつつ、されど殺到する数を全て凌ぐことは叶わずにダメージが蓄積する中、遠方より聞こえる声は数多の女性によるもので。
「あっははは、きたきた、来たわ。あなた達を血祭りに出来るわよ、これで!」
「うげ、援軍か! もーちっと泥んこ遊びの惨状にして指揮官のスネグーラチカさんを怒らせる、までいきたかったけどねぇ」
「無理をして倒れるのが一番駄目だからな、少数は倒せたうえに援軍が来た、ということは他が、な」
増援が迫る事を察し歓喜の表情を浮かべる赤い靴の乙女に対し、思った以上に損害を与えられなかった事に頭をかく他助。
だがここでの戦果は芳しくなくとも敵の援軍を引き付けることが出来た、それは他の地点を攻める仲間にとって優位に働くと實生が返し、二人は眼前の消耗しきったごく僅かの敵に再度の猛攻を仕掛け打ち倒せば、増援が来るより早く急ぎ後退を開始して。
地面を滑り到着した軍勢が見つけたのは倒れた少数の同胞と足止めに失敗し、傷つきうずくまる同胞と。
爆発と泥濘、熱波が再度凍り付きぐちゃぐちゃになった氷の世界とその上に散らばる敵味方入り混じった血痕であった。
同刻、小さな高台となり見張り台としても機能するその崖下に密やかに潜入した九十九・静梨(魔闘筋嬢・g01741)の姿あり。
「ロマノフといえどここまで凍り付いているのもそうそうないですわね。ジェネラル級の力の程が見えるというもの」
恐るべき氷結の力、されどそれを前にしても怯むわけにはいかぬと崖を見上げその上にて待機する敵を叩くべく策を練る静梨。
崖を昇り敵中に飛び込むべく凍てついた岸壁に手を付ければ、やはり掴み足場にするにはこのままでは無理だと察し、闘気にて形を成したガントレットの螺旋砕腕をドリル状に変化させ。
なるべく派手に音を立てぬようにと慎重に、シールドマシンが掘削しながら進むような速度でいいと岸壁に穴を開けて氷の下に眠る岩盤を露出させ、手をかけ足をかけて登っていき。
ある程度進んだ所で体を丸め、全身をバネにして一気に跳躍、纏った風の力も相まってふわりと飛んだ彼女は崖上に飛び出し敵の前に姿を晒し、不意を打つつもりであったが掘削の音で不自然な何かに気付いていたのだろう。
密集し、身構えていた赤い靴の乙女たちの姿が見えたがある意味好都合、まとめて粉砕するとばかりに静梨は急降下。
「気付かれていましたか、ですが……九十九家家訓が1つ! 『時には容赦なき破壊も必要!』荒れ狂え我が魔の筋肉! 全てを破壊し粉砕する嵐とならん!」
急降下キックで敵中に突入、それと同時に身に纏っていた風が周囲に吹き荒れ氷を砕き、強烈な踏み込みと共に右手、左手、そして蹴りと暴風の如き乱打を放つ静梨。
いくら異音に気付き身構えていたとて猛烈なラッシュに晒されればひとたまりも無く、3人の赤い靴の乙女が吹き飛ばされればそこには猛攻によって砕け散った氷の破片、そして露になった岩盤の上にて仁王立ちする静梨の姿があった。
「ふふ、身構えるまでは結構でしたけど。今はわたくしの回りはただの地面だらけ。安定して継戦できるというものでしてよ!」
滑る地面であろうとも粉砕し、氷を吹き飛ばし地面を露出させれば良いと豪語する静梨。
だがその威圧するような姿を見て、赤い靴の乙女たちはクスクスと笑い出しその直後、砕けた筈の地面が凄まじい勢いで凍り始めていたのであった。
「すごい攻撃ね、でもでも。スネグーラチカ様の力なら、ほんのちょっと砕いたとしても無駄なのよ」
ただ一瞬砕いただけでは意味がない、もっと根本的な何かをしなければこの凍り付いた世界をどうこうすることは出来ないと嘲笑いながら氷上滑り一気に静梨との距離を詰め、繰り出されるは靴の刃による斬撃で。
右から左から、凍った地面の上が故に自由に動けぬ状況となった静梨を攻め立てる攻撃を螺旋砕腕と魔晶刃腕、左右の腕のガントレットで受け止め、いなし、軌道を逸らし耐えるも急所への直撃を避けるのが精いっぱいの状況で。
だがそのまま攻め立てられるままではないとばかりに伸ばした手、それは静梨の体を切り裂いた刃を掴み、ぎょっとした顔の赤い靴の乙女を殴り飛ばし致命傷を与えるものであり。
「なるほど、分かりましたわ。なら、直ぐに凍るなら! また凍る前、わたくしが動く時だけ砕けていれば結構!」
凍り付くならその都度砕き、継戦限界まで引き付けてやると静梨は奮起して。
交戦の報を聞き敵の大部隊が増援に向かい戦場に現れる、その限界ギリギリまで攻防を繰り広げそして風を纏って崖下に飛び降りて。
自身も傷つきながらも監視部隊に多大な被害を与えこの場での戦闘は終了するのであった。
森で、高台で、敵襲との一報あり、そこへ慌ただしく援軍を送り出した平地ではどうなっていたか。
「ディアボロスが出たんですって! 数が足りないわ、あなた方は其方に向かって」
「私達は高台のほうへ、血祭りに上げて認めてもらうの!」
ディアボロス発見、援軍を求める声に次々と部隊が移動する中、まさかこの数を前に。
そして敵襲を知って援軍を出しつつ警戒しているように見える自分達を攻めてくるはずは無いだろうと赤い靴の乙女たち皆が思っていたのだろう、しかしその予想を裏切るディアボロスも居るもので。
「寒っ……冬将軍ほどではないにしろ、この土地を管轄するジェネラル級も強力な冷気を操るようね」
敵が援軍の為に出払い、甘くなった監視の目を遠方から確認し、アンネリーゼ・ゾンマーフェルト(シュタールプロフェート・g06305)が戦場となる場所、即ち凍てついた地面の具合を寒冷地用の登山靴にて確かめて。
普通の靴なら滑りやすくてどうしようもない状況、一応対策したこの靴でも自由自在にとは難しいと防寒着を着込んだ下で思案して。
だが十分に、出来る範囲での対策はできているとばかりにフライトドローンを呼び出しその上に飛び乗って、援軍を放ち一時的に数を減じた敵軍に向け一気に飛んでいけば、隠れる場所もない平地、否応なく発見されるがそれも彼女の想定内か。
「ん? ちょちょ、ちょっと!? こっちに何か飛んできたわよ!」
「ディアボロス、ディアボロスよ! しかも飛んでって……何考えてるの!?」
明らかに撃墜して下さいと言わんばかりの単独飛行、しかし援軍を各所に派遣した今では一気に撃墜できるかどうか微妙なラインにまで一時的に圧力が減じたその機を逃がさずに。
撃ち落としてやるとばかりに地面を滑り、アンネリーゼに迫る赤い靴の乙女が地面を蹴って飛び上がり、フィギュアスケートのように高く舞ったと同時、数多のフライトドローンが出現し飛んだ者も、そして地面を滑り迫る者にも容赦なく一斉に機銃掃射を始めていたのだ。
「飛行攻撃端末、展開。標的の排除を継続するわ!」
次々と放たれる銃弾、されどその銃弾は通常の銃弾ではなく着弾した場所を、相手を焼き払う焼夷弾であり。
銃撃受けた赤い靴の乙女は衣装を燃やし転倒、地面を転がり炎を消して、外れた弾丸は凍てついた氷上を溶かし一時的な水溜まりを作り出すも直ぐに凍り付き、地面を溶かす効果はほぼ期待できない事にアンネリーゼは眉をしかめたその瞬間。
「よくもやってくれたわね、けどこの数なら!」
「貴方のような命知らず、一瞬で血祭よ!」
転げまわって火を消した赤い靴の乙女たちが殺意に満ちた目でアンネリーゼを睨み、次々と飛び上がる。
ヴァンパイアノーブルの飛行能力も合わさって、一気に距離を詰めながら数多の茨が生み出され多数のドローンごとアンネリーゼを絡め取り、その体を地表に引きずり下ろすかのように縛り付けていたのだ。
だがしかし、この数を相手に仕掛ける事を決めた決意は赤き茨如きで止められる筈も無く。
「急に強気になっての悪口? 何も響かないけど!」
茨が絡みつく直前、キャリーケースでもあるSchlafplatzを盾にして胴体部分に茨が絡まる事を防いでいたアンネリーゼ。
引きずり下ろされながらも態勢を整えて、棘に体を傷つけられながらも足から着地、一度溶けて再度凍った地面の具合は元とあまり変わらないと踏みしめながら察しつつ、だがここで動かぬまま攻撃を受け続ける道理も無いとばかりに再び多量のドローンを生み出して、今度は後退しつつの機銃掃射を始めていた。
「くっ、またこの攻撃!? 滑りにくくされちゃ困っちゃうわよ!」
再度広がる炎、溶けた部分は即座に凍っているのだがほんの一瞬でも邪魔をされるのがイラつくのか悪態をつきながらアンネリーゼを追おうとする赤い靴の乙女たち。
その一団が生み出す茨による攻めを受けつつ、されど大部隊に混乱と連携の不和を齎せ消耗を強いたアンネリーゼは遠方、森や高台に救援に向かった部隊が空振りに終わり、戻り始める様子を開けた戦場故に認識し。
これ以上の戦闘継続は無意味と判断、攻撃を停止し反転すれば数多のドローンを活用し、氷の障害物を飛び越え足場として跳躍し、戦場より離脱を始める。
「そんなに集まってこられても付き合えないわ、ダンスの続きは決戦の時にしましょうか!」
離脱しながら紡がれた挑発的なその言葉。
更なる追撃も狙えたがもしもディアボロスが伏兵を置いていれば、逆に手痛い被害を受ける可能性のある状況。
相手が下がるのならば無理な追撃で犠牲をより大きくする必要も無く、各所に広がった戦闘による被害の実態把握も必要と追撃を断念した赤い靴の乙女たちは再集結。
ダメージは与えつつも倒しきれなかった、爪を噛み悔しがる姿が凍てつく銀板の上に残されるのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【泥濘の地】LV2が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!