リプレイ
穂村・夏輝
攻城兵器か。パラドクスの力で威力を上げたらどれだけのものになるかな?復讐者のパワーとスピードを乗ってた破城槌とか面白そうかな?
とりあえず、リングスラッシャーで木材を切り出して調達かな。オラトリオを連れているのもあるし、【植物知識】で建材に向いた材木も見分けるよ
あとは【飛翔】と【怪力無双】とかの合わせ技で建設予定地に空輸とかをするよ
建設場所もリングスラッシャーで雑草とか薙ぎ払ってならしておくかな?
喩・嘉
あまり力仕事は得意ではねぇが
工夫次第で好きな兵器を作れるというのは楽しみだな
俺は主に石を集めてくるか。
使用できないような大きさの岩は「青龍水計」をぶつけて豪快に砕き加工
可能ならば、他の仲間が切り出した木材に石材を組み合わせ
生み出した水流に乗せて運搬する
運んだ材料は大きさや形状にあわせて並び替え
使用時に材料がひと目で分かるように整理整頓しておく
副産物として【水源】から汲んだ水は竹管の水筒にいれ、仲間に適宜配って休憩を促す
いくら頑丈な体を持つとはいえ、働き詰めでは効率も悪くなるからな
※アドリブ、連携歓迎
守都・幸児
俺は木材を集めるぞ
【情報収集】でいい木がたくさん生えている場所を探す
【植物知識】で丈夫な種類の木を見極めて
軽い木と重い木、柔らかい木と硬い木に分けておくぞ
あと運搬に使う用に、よく水に浮く素材の木も探しておくぞ
【怪力無双】で伐り出して運ぶ
力仕事なら得意だぞ
喩嘉の集めた石材を運ぶのも手伝うぞ
木材も一緒に喩嘉のほうに運んで
石材と一緒に長距離を運搬してもらうぞ
うまく水に浮いたらやったーって喜ぶ
木を伐り出しながら食べられる木の実とか山菜もあったら
お土産にもってくぞ
休憩するとき皆と分け合って食べるんだ
さあ、もうひと頑張りだっ
集めた材料がどんなすごい攻城兵器になるか
今からわくわくするなあ
※アドリブ、連携歓迎
●青龍水計
この日、蒼天は澄み渡り、白雲は戦乱の世など無関心と言いたげに悠々と流れていた。
屹然たる岩山からは、猛虎を模した難攻不落の要塞を、一望のもとに見下ろすことができる。
「あまり力仕事は得意ではねぇが……工夫次第で好きな兵器を作れるというのは楽しみだな」
秋風に応龍袍――特別に誂えた漢服を翻しながら、喩・嘉(瑞鳳・g01517)は独り呟いていた。
攻城兵器を造り上げるために必要な石材を、彼はこの岩山に求めたのである。
「如何なる難攻不落であろうが、攻めようはある。地の利を得るのは守備側だけではない」
虎牢関を睥睨しながら喩嘉は言うと、眼下の森との位置関係をも目測して、頷いた。
切り立った岩山や森は、確かに攻め寄せる者を阻む要害となろう。
けれど、見方を変えれば。
超常の力を有する復讐者達にとって、それらは豊富な資源の出処とも言えるのだ。
「さて、始めるとしよう」
ごつごつとした大岩が豊富に在る山肌に立つと、喩嘉は瑞鳳凰扇を手に意識を集中させた。
波濤にも似た水音が響き渡るや否、虚空から生じた水流が、軍師を中心に渦を巻き始める。
「青龍水計――ただ敵を呑み込むだけのものではない」
羽扇を振る動きに合わせて、水龍の如き流れが岩を適切な大きさに砕き、運びながら山道を下り始めた。
●木材獲得
「攻城兵器、か。パラドクスの力で威力を上げたら、どれだけのものになるかな?」
少しばかり時は前後して――二人の復讐者が、岩山の麓に位置する森に足を踏み入れていた。
高い木々の合間から覗く巨大な虎型要塞に目を向けながら、穂村・夏輝(天使喰らいの復讐者・g02109)は何を造るべきかを考える。ただの兵器であれば、あの難攻不落の巨大建造物を破壊することなど、とてもできそうにない。
けれどパラドクスの力を行使して作り上げるとなれば、話は別だ。
「集めた材料がどんなすごい攻城兵器になるか、今からわくわくするなあ」
落ち葉や木の枝をざくざく踏んで、周囲に視線を巡らしながら守都・幸児(迷子鬼・g03876)が言った。
「復讐者のパワーとスピードを乗せた破城槌なんて、面白そうですよね」
年長者である幸児に丁寧な言葉を使いながら、夏輝も注意深く木々を見る。
林立する樹木はどれも幹回りがあり、鬱蒼と葉を茂らせていた。
「いい森だ。これなら選び放題だなっ!」
山育ちの経験によるものか、幸児は嬉しそうに言って、手頃な木の幹を手のひらで叩いた。
硬い中にも靭やかな感触が返って来て、思ったとおりだと頷く。
木材というものは、硬質なだけでは材料として十分ではない。
鋼材などと比較すると、木はしなり、たわむ性質を持つ。
硬さと柔軟さを併せ持つ樹木こそ、無二の材料として珍重されてきたものである。
「軽い木と重い木、柔らかい木と硬い木……しっかり選んでいかないとな」
幸児と夏輝が適切な木を瞬時に見定めることができたのは、植物の知識を持っていたがゆえ。
足を使って探し回った甲斐があり、復讐者二人はこれという樹木の連なりを見つけ出したのだ。
植物の知識は、樹木の何処をどう切り出すべきなのかを把握するのにも役立った。
「この木は……使えそうだ」
夏輝は材料となりそうな樹木に近づくと、手で触れたり叩いてみたりして確認する。
オラトリオのアンジェローザ――アンジェも、夏輝のすぐ近くの木をじっと見つめ、くるりと振り返って首を傾げた。
「うん、それも良さそうだね」
使えそうな樹木を選定したら、やることは一つである。
「伐採もこれで出来るはず」
長い睫毛を伏せて精神を集中させた夏輝の天使の翼が、見る間に輝きを帯び始める。
足元の下草を円形になびかせながら不可視の力で宙に浮いた夏輝――その周囲に、燦然と輝く光輪が無数に出現した。
光輪は意のままに飛び、見る間に周囲の木々を伐採していく。
白い翼によって飛翔した彼とアンジェの眼下で、盛大に葉擦れの音が奏でられ、倒れた木々が地響きを立てた。
アンジェが両手を合わせて喜びを表現する。
「おお、器用なもんだなあ」
愉快げに賛嘆する幸児も、負けじと鬼鉱刀を閃かせ、その鬼と化した腕の膂力で木を切っていく。
「もう少し手を加えておこうかな……」
着地した夏輝は呟くと、倒れた木々の余計な枝葉を切り落としにかかった。
その卓越した解体の技も相まって、見る間に樹木が建築に使えそうな材木と化していく。
「それじゃ、運びましょうか」
「力仕事なら得意だ。任せてくれ!」
怪力無双の効果を発揮すれば、重い木々もなんのその。
夏輝は材木を軽々と持ち上げて飛翔し、幸児は幾つも積み重ねて両手で抱えられる限りを抱え、悠々と運んでいく。
しっかりとした形の材木に切り分けられていることも、運搬を容易にしていた。
応援するようにアンジェがぱたぱたと羽根をはためかせて付いていく。
たどり着いた先は、森から出たところにある、岩山のとば口だ。
何回かに分けて運搬すると、そこには膨大な量の材木がうず高く積み上げられることとなった。
「よーし、あとは巻き込まれないようにしないとなっ!」
幸児が言って、二人が資材と距離を取るや否、地鳴りのような音を響かせて怒涛が山から押し寄せてきた。
切り出された木材が、山から来る石材と共に、流れに乗って作業に適した平坦な地に運ばれていく。
「やった! さすが喩嘉だっ!」
思わず快哉を叫ぶ幸児。
やがて材料が流れ着いたのは、虎牢関から少し離れ、森にも遮蔽された好環境だった。
●準備万端
「整えられるだけ整えておこう」
作業予定地に流れ着いた材料を目の前にして、夏輝が再び羽根を輝かせた。
光の輪がまるで芝刈り機のように地面の雑草を刈ったかと思うと、石材さえ適切に加工していく。
それを幸児が作業のしやすいように抱え、運び、材料別に並べて額の汗を拭った。
「万事、上首尾と言ったところか」
下山してきた喩嘉は、着々と整いつつある作業環境を目の当たりにして感嘆した。
幸児の整理した材料を、大まかな作業分野ごとに更に細分化し、いっそうの効率化を図る。
水の流れに乗せて木々を運ぶという奇策は、或る英雄が一夜城を築いた際のやり方にも似て――必要十分な材料が、最適な場所にみごと運ばれてきたのである。
「さて、この辺りで小休止としよう」
喩嘉は言うと、携えていたものを夏輝と幸児に手渡した。
「竹筒、ですか?」
「ああ、折角の水の流れだ。喉を潤すのにも使えると思ってな」
「喉渇いてたんだ。あー、美味ぇっ」
竹筒をあおり、冷たい水で喉を潤して口元を拭う幸児。
「いくら頑丈な体を持つとはいえ、働き詰めでは効率も悪くなるからな」
「俺も木を選ぶついでに色々と見繕ってきたんだっ」
幸児が背に負ってここまで運び、地面に置いていた袋の中には、木の実や山菜などが詰まっていた。
赤い木の実は甘酸っぱく、どうやら食しても問題なさそうな様子。
「確かに休憩は必要ですね。ちょっと休みましょう」
言うと、夏輝も石材に腰掛けて竹筒の水を口にし、整えたばかりの作業環境を眺める。
復讐者たちの連携により、攻城兵器を造り上げることができるだけの膨大な建材が、整然と並べられていた。
準備は整い、これからが作業の本番である。
果たして復讐者たちは、如何なる攻城兵器を造り上げるのだろうか。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
平良・明
喩嘉さん達を手伝ってもいいですが……
あれです、最近真面目に働きすぎです
私は本来働かないアリなのでふらふらしていましょう
キャンプ……昼寝!いや、ほら、いつ敵が襲ってくるかわからないじゃないですか
遠くがよく見える木の上に登って、ええ、これは偵察です
木の下にはあからさまに焚火の後など残して
待ち伏せの準備も万端です
近寄ってくるまで待ちましょう
よく観察して単独でかかってもいけそうなら
先手必勝、頭上からの奇襲です
盾を出すなら上から殴って吹き飛ばし
回り込みながら攪乱しつつ拳をねじ込みます
同じ働かないアリ同士なかよくしましょうよ
いや、これはアリではなくカナブンでしょうか
ともあれここで私と無駄に遊んで頂きます
虎牢関にほど近い森の中で、ぱちぱちと焚火の燃える音が響いていた。
心癒やされる音色とともに鮮やかな炎が踊る。
「喩嘉さんたちを手伝っても良かったですが……」
手頃な岩に腰かけ、揺らめく火を焦茶色の瞳に映しながら、平良・明(巡礼・g03461)はしみじみと独りごちた。
「あれです、最近真面目に働きすぎです」
数多の戦場を駆け抜けてきた数カ月を思い、青い作業着を着こんだ明は大きく吐息する。
(「ふらふらしていましょう。私は本来、働かないアリなので」)
秋も深まり、空気は澄んでいる。森林浴をしながら焚火にあたるには、絶好の日和だ。
暫く英気を養ったあと、明は手近な背の高い樹を選んで登り始めた。
「これも偵察です。ええ」
働いているアピールをしておくに越したことはない。……たぶんこの報告書、あとで喩嘉たちも読むので。
さて木の天辺あたりまで登ってしまうと、虎型要塞である虎牢関の様子がよく見えた。
こちらに進軍してくる板循黄金兵の一団も、である。
「ちょうどよく気付いてくれたみたいですね」
焚火の煙は狼煙にも似て、巡回していた兵士たちの注意を引いたのである。
果たして、樹の上で待ち構える明の眼下に、板循黄金兵がぞろぞろと駆けつけてきた。
「これは……野営の痕か?」
「やはり何者かが……」
「この焚火の様子では、まだ近くにいるぞ」
口々に言い合う板循黄金兵。
それを見下ろしながら、明は笑った。
「先手必勝!」
「上から……!?」
黄金兵たちが気付くも、時既に遅し。
重力さえ味方につけて、明が全力で黄金兵を殴りつける。
硬質な盾に打撃音が炸裂し、衝撃に黄金兵の足が地面にめり込んだ。側面に着地した明が続けざまに腹部に拳を叩き込み、他の黄金兵をも巻き込んで吹っ飛ばす。
「同じ働かないアリ同士なかよくしましょうよ」
重い盾を構える敵の横合いに素早く回り込み、側面から拳打を打ち込む明。
殴り飛ばし、そして小首を傾げた。
「いや、これはアリではなくカナブンでしょうか?」
黄金兵自慢の大刀と大盾を活かすためには、敵との間合いをはかり、陣形を保つことが欠かせない。
奇襲攻撃により突如接近された黄金兵たちは、その時点で相当に不利な状況に陥っていたのだ。
浮足立った兵士たちの一団を瞬く間に殴り倒した後、明は空を見上げてやれやれと息を吐いた。
彼の活躍もまた、攻城兵器の建造を支援する重要な一手となったのである。
大成功🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
緋薙・紅花
よーし、全力で寝過ごしましたごめんなさい!(パラドクストレインの中で
遅ればせながら、紅花、いきます!
攻城兵器については他の皆さんにお任せして大丈夫そうですし
わたしは完成後スムーズに城攻めができるように
見回りしている巡回警備から潰していきましょう
ついでにわたしへ注目を引き付ければ
皆さんが安心して攻城兵器作れると思いますしね
発見したらあえて姿を現わしましょう
その上で仲間から引き剥がす方向へ移動
硬そうな蟲ですが
≪紅花さんのお料理教室≫なら!
炎を纏った拳で真正面から突撃です!
穏やか陽光も捨てがたいのですが
わたしは燃え盛る炎の方が好みですので!
遠近対応しているわたしの炎の拳で
ばっちり燃やしてあげますね!
「よーし、全力で寝過ごしましたごめんなさい!」
虎牢関付近の平地を猛然と疾駆するのは、緋薙・紅花(サージェナイト・g03888)だった。
まるで遅刻しかかっている学生やらOLみたいにパラドクストレインを下車すると、全力ダッシュした彼女である。
そんな風でもあり、緋色の闘気を両手脚に纏わせた彼女の姿は、巡回警備する板循黄金兵たちの注意を大いに引いた。
「自ら出てくるとはな」
「陽動かも知れぬぞ」
「構わん、痛めつけて聞き出せば良い」
もとより発見されるのは承知の上。
「硬そうな蟲ですが……遅ればせながら、紅花、いきます!」
寧ろ敵の注目を集め、攻城兵器造りの現場から引き離すのが、紅花の狙いの一つなのだ。
「逃れられると思うな!」
「我々の武勇を思い知るがいい!」
流石に精鋭の部隊だけあり、正面から飛び込まれれば対応は迅速であった。
蟲の兵どもが紅花を取り囲むと盾を構えて壁を作り、三体ほどが大剣を振りかぶって斬りかかってくる。
「そう簡単にはやられませんよ!」
さながら蟲の包囲陣とも言うべき死地のただ中で、紅花が大立ち回りを繰り広げる。
練達した技術によって振るわれる三振りの巨剣。
紅花は体術を以ってその尽くをかわし、緋色の闘気を纏わせた回し蹴りで牽制する。
と、大剣を振るっていた黄金兵が高らかに宙返りして退避し、周囲の黄金兵が異口同音に叫んで盾を輝かせた。
「蒸し焼きにしてくれる!」
大安陽光――それは盾より生じる陽光により敵の戦意を弱めながら、数を以って熱殺する攻防一体の技だ。
「穏やかな陽光も捨てがたいのですが」
炎纏う双拳を構えた紅花が、言い終えるや否、円舞するような動きで猛烈な炎を迸らせた。
「わたしは燃え盛る炎の方が好みですので!」
火炎が放射状に渦を巻き、盾を構えた黄金兵どもに襲いかかる!
如何に強固な盾とは言え、焦熱の中を耐え切ることはできない。
折角の防具を手放して悶え苦しむ黄金兵めがけ、紅花が気合一声、炎を纏わせた拳で反撃を開始した。
超高速の打撃が黄金兵どもを山なりに吹き飛ばし、倒れ伏す兵のただ中に立っているのは残身して息を吐く紅花ただ一人。
「まだ見回りがいるかも知れませんね。でも、邪魔はさせません……!」
戦えば戦うほど、攻城兵器造りの支援になる。
精鋭部隊を倒してしまうと、紅花は油断なく周囲を見回し、そして赤々と闘気を燃え上がらせた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
玉梓・はこべ
攻城戦
まさか自身で体験することになろうとは
これも不可思議話のうち、でしょうか
(自身の信号拳銃を眺める)
えぇと、こういうのは如何でしょう
吊り下げた杭の先端とおしりに補強を加えて打ち出すんです
復讐者の装備や技能で爆破なり強打なり衝撃波なり、こう、どかーん!と
杭の先端と枠組みの屋根?に乗組員席を取り付けるというのも一手かもしれません
城壁の破砕まで槌を護るための人員、槌の勢いに合わせて追撃を加える人員を配置してそれぞれの役目に専念できるように、ですね
作業の段階では打突手榴弾を貫通撃で打ち込み爆破して、土台や枠組みに組み付ける石材の切り欠きを作成します
全体を組み上げる際の力仕事だって怪力無双で!
ラウム・マルファス
「お手伝いに来たヨ。ボクも混ぜてマゼテ」
全知の魔法書でこの時代の技術や素材を調べるヨ
火薬は無理だけど鉄は少量なら大丈夫カナ
兵器の設計までできるなんて、みんな多才だよネ
貰った設計図に従って、Rewriterの物質変換で空気を鉄に変換して鉄板を作り、木材を束ねて大きな杭にしよウ
さらに木材の先端を覆うように鉄に変換するヨ
後ろからドカンてやるならそこも補強すル
あとはこの時代の薬品で木材や縄の補強もしよウ。防水や防虫ができるとイイナ
組み立ては、ドローンで運搬や吊り下げのお手伝い。Rewriterで細かい加工や修復を担当するヨ
完成した兵器は隠したほーがイイのカナ?表面の塗装色で目立たないようにしておこウ
喩・嘉
破城槌を皆で作ろう
複数人で大掛かりなものを作るには共通の目標が必要だ
先程用意してきた材料の情報を元に
俺の持てる様々な知識を総動員し設計図を作成する
土地に適した車輪をつけた木組みの土台には
重さを増す石材を用い強度も高める
防御を兼ねた枠組みを立て、
そこから巨大な丸太を吊り下げて、先端には鉄の覆いをする
ディアボロスが用いるものなので重量は問題にはならない
それぞれの部位は、重さを度外視して頑丈に
さらに虎牢関の城壁の規模にあわせて大きく作るべきだ
設計図を皆に共有し、効率的に作業ができるように連携しよう
もとより天気も悪くはないが、「晴天炯計」で雲を払い、【照明】を用いて作業環境の向上をしておこうか
守都・幸児
破城槌を作るぞ
どんな木材がどれだけの量あるか
それぞれの硬度も含めて【植物知識】と【記憶術】で把握して
喩嘉が設計図を作るときに伝えるぞ
特に要になる槌の丸太はいいやつを使わねえとなっ
それから設計図に従って
必要なものを必要な場所に運んでく
俺の手は硬化した鬼の手だから、細けえ仕事はうまく出来ねえんだ
そのかわり【怪力無双】を使って
重てえ石も木もどんどん運ぶ
だから遠慮なく重てえ設計にしてくれて大丈夫だぞ
鉄も用意してもらえるの有難えっ
加工するのを手伝うぞ
特にここは丈夫にしねえとだもんな
あと、皆が少しでも快適に作業できるように
ときどき【クリーニング】を使うっ
きっと大きくて強くて立派な兵器が出来るぞ
楽しみだなあ
穂村・夏輝
破城槌作りをやろうかな
パラドクス使用を前提とするなら
【飛翔】による加速と【怪力無双】で破城槌を運べるように、上部に掴めるような取っ手をつけたいね。
重いものを上に積んで威力上げられるように、置けるようなスペースが欲しいかな。で、【アイテムポケット】で重量物を積んだ状態で上に乗ってもすごそう。ポケットに入れてる間は重さも消えるのなら、加速をつけて門や壁に激突する直前に出して重量を上げる、みたいなのもいけるかな?
「1メートルある鉄の立方体とかは流石に用意できないかな? 石でも結構な重さになりそうだけど、流石に無理かな?」
石とかをそのくらいの【アイテムポケット】にしまえそうなサイズに切り出してみるかな
●攻城兵器、その名は
晴朗な天気のもと、広々とした作業場には整然と資材が並べられ、攻城兵器の建造に必要な状況が整えられていた。
虎牢関周辺を巡回警備していた板循黄金兵の部隊も、各所で撃破されつつあり、作業が妨害される心配はない。
となれば、次の工程はやはり『何を造るのか』という一点だ。
資材も時間も、限られている。
意見を合致させなければ、あの虎牢関を落とすほどの攻城兵器を造ることはできない。
「えぇと、こういうのは如何でしょう」
年式の削り取られた信号拳銃を見ながら、思いついたように言ったのは、玉梓・はこべ(いくさばのたより・g01107)だった。信号拳銃の撃鉄に視線を向けたのち、彼女は身振り手振りを交えて語を継いだ。
「吊り下げた杭の先端とおしりに補強を加えて、打ち出すんです。あとは復讐者の力で、こう、どかーん! と」
「なるほど。似たような兵器は私も識っている。設計図を作ってみよう」
石材に腰掛けた喩・嘉(瑞鳳・g01517)が妙案だと膝を打ち、毛筆で紙にさらさらと絵を描き始めた。
「面白そうだ! それなら土台にぴったりの木があるぞ。槌も特にいいやつを使わねえとなっ」
流れるような筆致で描かれる設計図を見つめながら、守都・幸児(迷子鬼・g03876)が嬉々として意見を出す。
木材を調達した一人として、彼はどのような材質の資材が揃えられているのかを逐一記憶し、把握していたのだ。
「きっと大きくて強くて立派な兵器が出来るぞ。楽しみだなあ」
「復讐者が扱うのだったら、重さも大事そうかな。石を積み上げるのはどうですか?」
穂村・夏輝(天使喰らいの復讐者・g02109)がオラトリオのアンジェを肩に載せながら、設計図を眺めて言った。
「効果的だろう。攻城兵器は思いのほか火攻めに弱い。火矢などを撃ち込まれる可能性もあるからな」
夏輝の名案に喩嘉が首肯する。
「その、槌の先端と枠組みの屋根に乗組員席を取り付けるというのも一手かもしれません」
こちらは、はこべの言である。
「城壁を破砕するまでのあいだ、兵器を壊されないよう護る人員……槌の勢いに合わせて追撃を加える人員も配置して」
「その槌に鉄で補強が施せれば、なお望ましいが」
「鉄かぁ……」
喩嘉が設計図に各人の意見を取り入れながら呟き、幸児が頭を抱えた。
木材や石材は豊富に確保したものの、流石に鉄までは用意がない。
「兵器の設計までできるなんて、みんな多才だネ」
と、パラドクストレインから降り立ったラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)がそのとき声をかけた。
「鉄なら少し用意できると思うヨ。ボクも混ぜてマゼテ」
彼の前に浮遊しているのは全知の魔法書。
叡智を司る悪魔の力が宿った書物は、風もないのにパラパラと捲れ、必要なページを指し示す。
「鉄が手に入れば、思ったとおりに作れそうですね」
はこべが嬉しそうに言った。
「車輪をつけた木組みの土台に石材を重ね、その枠組みの中心に巨大な槌を吊り、それにより要塞の防御を砕く」
出来上がった設計図を両手にふわりとのせて、喩嘉が言った。
「では皆で造るとしよう。虎牢関を打破するための攻城兵器――破城槌を」
●土台作り
何を造るかが決まり、設計図が出来上がれば、あとは完成に向けて驀進するのみである。
組み上げる作業も多大な労苦が必要となるが、実は白紙の状態で意見を擦り合わせ、一本化することの方が難しい。
その最難関の工程を、復讐者たちはごく短期間のうちに見事やってのけたのである。
それは大いに称賛されるべき、素晴らしい連携の賜物だ。
「重いもんは任せとけ!」
幸児が意気揚々と鬼人の腕を隆起させ、必要な木材や石材を抱えて運び、土台を組み上げていく。
作業工程の中でどのような資材が必要とされているのかも、設計図を記憶していれば迷うことはない。
(「この手だと細けえ仕事はうまく出来ねえからな」)
鬼人となり硬化した腕に幸児は未だ慣れておらず、器用さを求められる仕事はどうしても不得手になる。
その代わり力の要る作業を一手に引き受けようと、彼は資材を抱えて奔走していた。
「頼りになるな」
喩嘉が言えば幸児はにっかりと笑って、
「力仕事は得意だ。遠慮なく重てえ設計にしてくれて大丈夫だぞ」
「私も全力でお手伝いしますよ!」
はこべも重い木材や石材を資材置場から怪力無双で運搬し、破城槌の土台にのせてしっかりと固定する。
夏輝の機転で雑草が払われ整備された作業場に、頑丈な車輪が並べられ、見る間に破城槌の基礎が組み上がっていった。
●枠組み作り
「天候は移り変わるものだ。少し手を加えておくか」
万が一、急な悪天候にでも襲われれば作業の妨げになる。
羽扇を振るった喩嘉の晴天炯計により白雲が払われ、天から程よい光が降り注いで作業を支援する。
「石を積み上げたら、重さも頑丈さも確保できそうだね」
夏輝はアイテムポケットに四角く切り出した石材を詰めて運びながら、土台の上に組み上げられていく枠組みを見上げた。
木造の攻城兵器は、その性質上、やはり火に弱い。
頑丈な石材で防御を固め、更に重量を増すことで大質量の兵器ともすれば、虎型要塞の壁を破壊するだけの力を発揮できるに違いない。
「運べるものはドローンに運ばせよウ」
ラウムの呼び出したフライトドローンが資材を吊り下げて飛び交い、段々と高さを増す構造物の上方に材料を運んでいく。
ドローンへの資材運搬や吊り下げ作業は人力で行わなければならないが、この手の運搬装置は作業効率化のため重要だ。
「念のため離れていてくださいねー」
資材置場の近くでは、はこべが打突手榴弾を大きな石材に打ち込んで手頃な形に砕き、整えていた。
●巨大な槌
「槌は丈夫な木を束ねるといいヨ」
「なんてったってこの大きさだからなぁ」
巨大破城槌の肝心要の武器ともなれば、やはり相応の大きさにすることが求められる。
幸児が木を選りすぐり、組み合わせ、程なく巨大な槌が作業現場に横たえられることとなった。
「薬品も用意したヨ。これで防水や防虫ができるとイイナ」
先程から枠組みとなる木材に塗っていた特殊な薬品を、ラウムは巨大な槌や綱にも塗り重ねていく。
薬品は全知の魔法書の導きにより、この時代に合わせて調合したものだ。
神は細部に宿るというが、こういった細やかなことも、より良いものづくりには不可欠である。
「鉄も用意可能、とのことでしたが」
年長者に対する喩嘉の問いに、ラウムが頷いた。
「大丈夫だヨ」
大きく頑丈な木材を組み合わせた槌ができあがると、ラウムはRewriterの名を冠するメガネを光らせた。
「前を頑丈な鉄で覆って、後ろからドカンてやるならそこも補強しよウ」
彼の目の前で、大槌の前部と後部に鉄製の覆いが生じ、槌の強度を高める。
「鉄までは用意できなかったんだ。有難えっ!」
補強された巨大な槌を見て、幸児が目を輝かせた。
それを綱で吊り下げる工程もまた、主に怪力無双を駆使した彼や、はこべの役割だ。
「よいしょっ、と!」
「流石に重てぇなっ!」
力を合わせて巨大な撞木のような大槌を持ち上げ、皆で破城槌の内部に綱で結束して固定する。
そうして遂に、肝心要の巨大な槌が、構造の中心に吊り下げられることとなったのである。
●構造上部
「ちょっと中が暗くなってきましたね」
はこべが内部に入って、大槌を吊った綱や、各所の結合部を確認しながら言った。
「明かりは確保済みだ。問題ない」
喩嘉が照明の効果を発揮し、組み上がりつつある破城槌内部を照らして作業の効率化を図る。
巨大建造物を作ろうとするとき、それは効果的な配慮だった。
「重しに鉄の立方体は用意できるでしょうか」
難しいことは承知で、夏輝がラウムに訊いた。
「控えめにしておいたほうがいいかもネ。石でも十分だと思うヨ」
「なるほど、確かにそうですね」
あまり鉄を大量生産すると、万が一、排斥力に引っかかったときに怖い。
また多量の製鉄を実現するのは、常理を書き換えるパラドクスの範疇となるだろう。
「これ、石を運ぶのにも便利だね」
夏輝がアイテムポケットに石材を入れ、上下するドローンに乗ってアンジェに言った。アンジェも一緒にエレベーターのようなドローンの上で、出来上がりつつある全体像を眺める。
「このスペースに置けそうだ。ここに載せていこう」
ドローンから完成しつつある枠組みに飛び乗ると、夏輝はアイテムポケットから立方体に整えた石を積み、固定する。
「この破城槌、飛んで運ぶことができたら最高なんだけど……ちょっと難しそうかな」
一緒になってアンジェも首をかしげる。
怪力無双を駆使して空高く攻城兵器を運ぶことができたら理想だが――空を飛ぶ飛翔の効果との併用で、巨大な重量物を持ち上げることは流石に難しい。本来、怪力無双に、飛翔の効果をそこまで向上させる力はないようだ。
「パラドクスとか効果を使うのだとしても、運ぶための取っ手は必要そうですね」
軽やかに地面に降りた夏輝が喩嘉に提案する。
「確かに、力をかける箇所も設えておくべきだろう」
復讐者が運搬するにしても、やはり後ろから押すだけではなく、側面にも掴むところがあった方が良さそうだ。
夏輝のアイデアの延長で、破城槌の側面にも取っ手が取り付けられることとなり、より早く力強く敵にぶつけるための機構が整った。
枠組みが出来上がって、いよいよ天井に頑丈な三角屋根が設えられる。
屋根にもラウムの薬剤が塗布されていたが、それは仮に燃えたときにも延焼防止の役割を果たすものだ。
「あとは搭乗スペースですね」
はこべがドローンの上に乗って全体を確認しつつ、ふうと息を吐いて額をぬぐった。
虎牢関側の出方は不明であるが、攻城兵器が近づいてくるとなれば、流石に何らかの抵抗をしてくるに違いない。
復讐者が破城槌に搭乗しながら破壊されぬよう防衛できれば、虎牢関に取り付ける可能性は飛躍的に高まるだろう。
「もう一息です!」
ドローンの力も借りて木材を運び、喩嘉やラウムの助言も受けて、はこべが先頭に立って作業に取り掛かる。
やがて破城槌の屋根の四方に、櫓のような構造が作られ、復讐者たちが乗り込めるようになった。
「けっこう汚れてきたなぁ」
作業を続けていれば、木屑も出るし埃も付着する。
幸児がクリーニングの力を使って、それらを洗浄して作業環境の美化をはかる。
「ああ、助かる」
綺麗好きな喩嘉のこと、幸児の配慮は冷静な判断力を保ち続けるのにも役立った。
「あとはできるだけ隠したほーがイイのカナ?」
自然色に紛れられるように、ラウムが破城槌の全体を塗装し、仕上げていく。
塗料の汚れもまた、クリーニングですぐに綺麗になった。
●完成、巨大破城槌!
「これで出来上がりだネ」
「ええ、予想以上の出来栄えと言えるでしょう」
ラウムが完成を告げ、造り上げた巨大攻城兵器の出来を確認しながら、喩嘉も言った。
「すげーな! これなら絶対うまくいくに違えねぇっ!」
幸児が目をキラキラさせながら破城鎚を見上げる。
下から見ていくと、まず木組みの土台を、巨大な車輪が支えている。
土台の枠組みや内部には、石材が積み上げられ、堅牢性・防火性ともに抜群だ。
中央には、両端を鉄の覆いで補強された巨大な槌が吊り下げられ、内部で綱を引いて振り子の要領で叩きつけたり、後ろから復讐者が何かをぶつけて、パイルバンカーのように打ち出すための足場も整えられている。
そして大槌の先端付近と、三角屋根の四方には復讐者が搭乗できるだけのスペースがあり、乗り込んで突撃することも可能だ。
また両側面には、前方に引っ張るための取っ手があり、復讐者がそれを掴んで走ったり、後方から全力で押しても破城鎚を動かすことができる。
「攻城戦、まさか自身で体験することになろうとは。……これも不可思議話のうち、でしょうか」
造り上げた兵器を目の当たりにしてみれば、いよいよ戦の実感が湧いてくるというもの。
はこべ自らが体験した今回の出来事も、彼女たちが紡ぎ上げた稀有な物語と言えよう。
やがて大規模な戦いが幕を開ける。
復讐者の労苦と叡智の結晶たる巨大破城槌は、攻城戦において、きっと活躍してくれることだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV2が発生!
【照明】LV1が発生!
【怪力無双】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
「ふぅむ……妙なものだ……」
虎牢関前にて、蟲将の華雄が大地に大刀を突きつけて呻いた。
板循黄金兵の各部隊からの定期連絡が、未だに入ってこないのである。
――事実。
板循黄金兵は未だ全滅していないものの、復讐者たちにより、各個撃破されつつあるのだった。
「如何なる企みにせよ、撃砕するのみ。この華雄に牙を剥いたこと……後悔させてくれる」
ラウム・マルファス
うわー、何かスッゴイのできたネ。よし帰ろ……じゃなかっタ、巡回兵と華雄を倒さなきゃだネ
巡回兵を探そーカナ。ドローンを飛ばして情報収集。金色の盾は目立つからネ
ついでに華雄も探そうカナ。不意打ちできる場所とかあるカモ。巡回兵を見付けたら飛翔で向かうヨ
「やっほー、キミはどの陣営?緑っぽいから蜀の人?」
華雄はどこの人ダロ。魔法書見れば書いてあるだろうけど、まーいーヤ
隙を付く攻撃って、隙だらけなボクにはどーなるんダロ。武人じゃないし、運動不足の研究職だからネ。隙の多さには自信があるヨ。真っ正面から来るのカナー。どっちから来てもイイように、全方位にドローンで電撃ビリビリ。飛翔してるから上や下にも電撃だヨ
「うわー、何かスッゴイのできたネ」
きらりと眼鏡を光らせながら、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は造り上げた巨大破城鎚を見上げていた。
白衣を羽織った彼の姿は、壮大な発明品を前にした発明家そのものだ。
「よし帰ろ……じゃなかっタ」
満足したのでパラドクストレインに……いやいや、ここで帰るわけにはいかない。
「巡回兵と華雄を倒さなきゃだネ。巡回兵はどこにいるのカナ?」
移動しながら索敵するのも骨が折れるので、ラウムはドローンを飛ばして情報収集を試みることにした。
各種機能を備えた汎用ドローン群は彼の目となって、程なく板循黄金兵の部隊を捕捉する。
「やっぱりあの盾は目立つネ。華雄に合流するつもりなのかナ?」
何らかの異常を察知して、華雄のところへ報告に向かっているのだろう。
このままでは、決戦を挑む復讐者が妨害されかねない。
「させないヨ」
ラウムはパラドクスの効果で飛翔すると、漆黒の羽根を羽ばたかせ、移動する黄金兵の部隊に急速接近した。
「やっほー、キミたちはどの陣営? 緑っぽいから蜀の人?」
敢えて目の前に降り立ったラウムに驚愕しながら、黄金兵の集団が、すぐさま彼を取り囲む。
「一人で出てきたか」
「その勇気は褒めてやる」
対するラウムは飽くまで悠然としたもの。
「おい……隙だらけだぞ」
「こいつ、抵抗する気がないのか」
その悠揚迫らざる態度は却って不気味であり、黄金兵は大剣を構えて油断なく間合いを詰めた。
怪しむのも道理……これが本当に正真正銘、隙だらけなのである。
(「武人じゃないし、運動不足の研究職だからネ。隙の多さには自信があるヨ」)
誇っていいところなのかは分からないが……哀しきかな、生粋の戦士である黄金兵どもは、ラウムの狙いに遂に気付くことができなかった。
「死ねい!」
「その首、華雄様に献上してくれる!」
絶体絶命と思われたその瞬間、ラウムは再び飛翔した。
同時、円を描くように降下してきたドローン群が容赦なく電撃を放つ。
もはや隙を突いて斬りかかるどころではない。
「残念だったネ。キミたちはここで終わりだヨ」
それは敵の目論見を逆手に取るという、ラウムの優れた洞察力のなせる技だった。
ドローンの放つ雷めいた電撃が虚空を裂いて敵を射抜く。
それが止んだかと思うと、足下には黒焦げになった黄金兵どもの亡骸が転がっていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV4になった!
喩・嘉
敵将に何の情報も行っていないのは僥倖。
さらに霧の中で封じ込めさせてもらおう。
華雄と言えば名の知れた猛将だ。
もちろん俺が知っているのは蟲将ではなく本物の方だが、その名を奪っているのだからそれなりに腕は立つのだろう。
武勇を誇る敵に正面から立ち向かう程、俺も素直じゃねぇからな。
「五里霧計」を使用し霧を立ち込めさせると、死角から急襲する。
暗器の毒針である鳳凰爪を鎧の隙間から差し入れて深く突き刺す。
一撃を入れたら、突進してきたところを引きつけながら再度霧の中に紛れよう。
仲間に不意をついてもらい、交代だ。
※アドリブ、連携歓迎
守都・幸児
ずいぶん頑丈そうな敵じゃねえか
こいつは面白そうだ
喩嘉の話を聞いて猛将ってやつに興味がわいてきた
俺は正面から勝負を挑んでみるかな
敵の挑発には思いっきり乗る
俺は守都の幸児だ、ちょいと力比べに付き合ってもらうぞ
硬殻突進を正面から受けてみてえ
【怪力無双】の力を乗せてもきついだろうな
俺の硬化した腕でも砕けるかもしれねえが
それを「破」に転じて
【捨て身の一撃】で攻撃する
はは、硬えっ
敵の鎧、装甲や関節に攻撃できる隙を探し【看破】できたら
その一点を狙って集中的に闇の雷をぶち込む
さあ、力比べはどっちが勝つかな
勝っても負けても
楽しかったぞって笑ってやる
帰りは喩嘉の霧に身を隠して
あとは皆に任せるぞ
※アドリブ、連携歓迎
玉梓・はこべ
華雄さん、私たちを侮ることなくこうして自ら出向く先見の明、お見事です
華雄の名に恥じぬ……と申し上げたいところですけれど、歴史の簒奪者であることに変わりありません
こうして見えた情報を持ち帰っていただくわけにも、虎穿つ私たちの一刺しの針を砕かれるわけにも参りませんから
ここで、討たせていただきます!
――演義において関羽さまと一合の打ち合いで討たれた、とのことですし
あ!関羽さん!
って後ろを指さしたら気を取られたり
……さすがに無理がありますよね
ダンゴムシの特性を活かした突進……でしたら体を折り畳んだ継ぎ目、そこから繋がる体の内側は如何に守ろうと背の甲殻の比ではないはず
動きを鈍らせ、その隙間を狙えば!
平良・明
休養……哨戒任務の後始末はしっかりと
火の処理から陣後の備えまでぬかりなく、仕事の時間です
皆さん働きすぎでしょう
まあ、楽しそうで何よりです
遠雷に霧、本日の天気は接敵日和となります
そしてこの、後に次ぐいかづちは私のもの
追わせも遊ばせもしませんよ、華雄将軍
関羽にズタボロにされた私は焚火と墓標と共に今日へ供養して行きましょう
代わりにこの小型拳銃に印刻み、放つ砲火と共に私は前へ進みます
でも帰りの電車くらいは一緒の席がいいですね
頃合いを見て喩嘉さんと幸児さんの後を追いましょう
では左様なら。
穂村・夏輝
さて、色々見つかる前に倒さないとね。上手い人なら敵に偽情報を掴ませたりできるかもだけど,俺は愚直に戦うだけかな
「そっちが体を張るならば、こっちも張らせてもらうよ!」
基本は前衛に出て、敵の攻撃を剣で受け流したり、腕に発現させた綠甲で受け止めたり。パラドクスで攻撃するのは俺じゃないしね
「アンジェ、今だ!」
敵が程よい感じ動きを止めたら、【ジャッジメントレイ】で攻撃する
破城槌も、改めて見ると屋根がついたり人が乗れるスペースがついていたりで、なんかお祭りの御神輿とか山車みたいな風にも見えるかな?
「これからの戦争もある意味祭りみたいなものなのかな?」
ちょっと不謹慎かもだけど、そんな風に思ってしまう
ラウム・マルファス
残るは華雄だネ
巡回兵が向かってた方に行ってみよウ
接近したら観察で情報収集
霧は誰かのパラドクス、カナ
【完全視界】を使いつつ、華雄の背後から近づくヨ
はこべの声に合わせて早業でナノマシンを纏おウ
関羽に直接会ったことはないケド、姿形くらいは聞いてるサ
霧を透かして影が見えればそれでイイ
殺気も気配も本物とは段違イ
でも一瞬気を逸らせば、はこべならその隙をついてくれるでショ
敵の攻撃は、大声を出すなら霧は揺らぐカナ?
「音による空気の振動を否定スル」
無理なら「へー、それデ?」って挑発し返そウ
武勇とか興味ないシ
例え一騎打ちになってもこの霧なら、誰かが攻撃してくれるサ
あとは霧の中からイバラの冠で攻撃して一撃離脱しよウ
緋薙・紅花
よし、あと残すは華雄だけですね!
…ダンゴムシってもっとこう可愛いと思うんですけど?(個人の見解です)
なんかこう釈然としないのでぶっ飛ばします!
挑発に乗るわけじゃないですが
≪魅了する脚≫で応じます!
ダッシュで間合いを詰めつつ
体を回転させての後ろ回し蹴りで仕掛けますよ!
かわされても着地さえ整っていれば!
相手の攻撃を回避の方向で
隙を捉えたらハイキックで反撃
硬った?!
でも衝撃は貫通してるはず!
わたし1人で倒す必要もありません
ダメージの蓄積を狙って
あらゆる角度から蹴りを叩き込みます
でもやっぱり大技も狙わないと!
つまりかかと落としです!
「くらえーっ!」
まさかか弱い女の攻撃をかわしたりしませんよね?(挑発)
●勇武の蟲将
「やはり儂の勘は正しかったようだ。虎牢関を脅かすため、小細工を弄していたということだな」
地に大刀を突き立てた漆黒の蟲将は、その剣柄を握ったまま、堂々と復讐者たちを迎え撃った。
世の理を破る雷鳴が遠くに鳴り響き、精強を誇る黄金兵どもは合流することもできず全滅を遂げている。
今や待ち受けるは、ただ一人――硬い甲殻で総身を覆った勇武の将は、百戦錬磨を窺わせる瞳に復讐者たちを映した。
「ずいぶん頑丈そうじゃねえか。こいつは面白そうだ!」
硬化した鬼人の拳をがつりと打ち合わせて守都・幸児(迷子鬼・g03876)が言い、嬉々として構えを取る。
眼前の敵は、己が腕を武器として振るうに足る猛者。
「俺は守都の幸児だ、ちょいと力比べに付き合ってもらうぞ」
「余程の自信があると見えるな。面白い、後で吠え面をかかぬことだ」
猛将、華雄。
演義に描かれる虎牢関の戦いにおいては、剛勇を誇る幾多の武人を撫で斬りにし、敵対する諸将をも震撼させた武人だ。
「これが……」
伝承された広範な知識そのものを武器とする玉梓・はこべ(いくさばのたより・g01107)は、それだけに、眼前の敵が油断ならない大敵であることを承知している。
改ざんされた世界の蟲将とは言え、その黒き体躯より迸る威圧感からして、そこらの兵とは比べものにもならない。
「華雄さん、私たちを侮ることなくこうして自ら出向く先見の明、お見事です」
単身で多数を相手取る華雄の武人らしさを讃えながら、はこべは年式の削られた信号拳銃を手に断じた。
「その名に恥じぬ……と申し上げたいところですけれど、歴史の簒奪者であることに変わりありません」
華雄が口の端を歪めたのを見据えながら、はこべは決然と言い放つ。
「ここで、討たせていただきます!」
「大言を吐いたな。良かろう」
黒き蟲将が重々しく告げるや、大刀をいとも容易く大地より引き抜き、はこべに突きつけた。
「我が力、存分に味わうが良い!」
疾駆――からの斬撃。
上段に振りかぶって打ち落とす大刀の一撃より速く、迎え撃つ剣閃が冴え渡るような軌跡を描いて虚空を飛んだ。
天晶剣を手にした穂村・夏輝(天使喰らいの復讐者・g02109)がその両翼をはばたかせ、間に入ったのだ。
(「さて、色々見つかる前に倒さないとね」)
如何に凄まじい攻城兵器を造ったところで、いま此処で敵将を討たなければ破壊の運命は免れない。
「俺は愚直に戦うだけかな……!」
天晶剣を閃かせ、流麗たる剣捌きを以って勇将と斬り合う彼は、もとより必死。
「そっちが体を張るならば、こっちも張らせてもらうよ!」
「カカカッ、突っ込んできたか。その意気や良し!」
夏輝の勇敢さを称賛しながら華雄は軽々と巨大な得物を振るう。
閃々と翻る天晶剣。
轟々と風を呼ぶ大刀。
舞うような斬り合いはこの死地にあって息を呑むほどに美しい光景を描き出した。
復讐者たちが散開し、互いに呼吸を合わせながら攻撃の機を窺う。
その、さなか。
何処からともなく生じた濃霧が戦場を一挙に包み込んでいく。
(「敵将に何の情報も行っていないのは僥倖」)
白煙にも見紛う霧の中から悠然と現れたのは、瑞鳳凰扇を手にした喩・嘉(瑞鳳・g01517)だ。
「なるほど、猛将の名を戴くことはある。もちろん俺が知っているのは蟲将ではなく本物の方だが」
音に聞こえし勇将、華雄。
虎牢関に勇名を轟かせた武将の力量を識っているがゆえ、喩嘉は同名の蟲将相手に、油断なく事を運ぶ。
――深き霧の中で、迷い子のように惑え。
将の首を獲らんと欲せば先ずその目を奪うべし――五里霧計が、復讐者たちを蹴散らさんとする華雄を阻んだのだ。
(「武勇を誇る敵に正面から立ち向かう程、俺も素直じゃねぇからな」)
勇将を相手に真っ向から戦う愚を避け、尚且つ、万一に備えて攻城兵器の在り処さえ隠す。
計略により一石二鳥を狙うのもまた、優れた軍師のなせる業だ。
「ッらぁっ!」
「ぬぅぅぅっ!」
霧の中で幸児の鬼腕と華雄の大剣がぶつかり合い、両者が弾き飛ばされる。
「な……ぐぅッ……貴様!」
「武勇だけでは戦には勝てん」
霧に乗じていつの間にか背後に忍び寄っていた喩嘉が、華雄の鎧の隙間に暗器を突き刺していた。
「尤も。俺の識っている将は、更に勇猛な武将に討たれたのだがな」
囁くように言いながら、容赦なく、深々と。
鳳凰爪――瑞鳳凰扇に差して隠匿できる羽根型の暗器が、鋭利なその根本から毒を注入する。
「小癪な真似を……!」
大刀が霧を裂くも、濃霧はそれそのものが不死身の生物であるかのように再び密集し、喩嘉の姿を覆い包んだ。
「流石に並大抵の攻撃では通りませんね……!」
敵は柄付き手榴弾の爆発さえものともしない。
はこべは蜜蜂の羽根に風を受けながら戦場を駆け回り、華雄の様子を窺う。
(「でも、体の内側は如何に守ろうと甲殻の比ではないはず……!」)
ここまでは小手調べに過ぎない。
持てる知識を総動員すれば、必ず活路は開ける――その眉宇に凛と決意を漲らせながら、はこべが頷いた。
●霧中の激闘
「残るは華雄だネ」
敵将と合流しようとしていた板循黄金兵の部隊を殲滅してしまうと、ラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)は濃密な霧の広がる戦域に足を踏み入れた。
白く煙る世界の中を、剣が閃き、大刀が唸り、爆音が響き渡って激戦の様相を彼に伝えてくる。
それだけではなく、視界を覆う濃霧を前にしても、眼鏡の奥の瞳は正確に彼我の状況を見通していた。
それはクロノヴェーダたる蟲将との相違点にして、復讐者たる彼の絶対的アドバンテージ。
「この霧は確かに利用できそうだネ」
白衣を手で翻したラウムが濃霧に紛れながら呟いた。
「霧を透かして影が見えればそれでイイ」
「なんといいますか」
大刀を横一文字に構えた華雄と対峙しながら、緋薙・紅花(サージェナイト・g03888)は目を瞬かせていた。
実際に目の当たりにしてみると、その、かなり想像と違うというか。
「ダンゴムシってもっとこう可愛いと思うんですけど?」
どちらかと言えば……渋みと重厚感を兼備した、如何にも武者然とした華雄の勇姿であった。
「可愛い? フン、戦場でそんなものが何の役に立とうか」
構えを取りながら鼻で笑う華雄。
「敵を見た目で判断すれば認識を誤り、畢竟、悔いても悔やみきれぬ敗北に至ろう。その身を以て知るがいい!」
なんだか見た目通りにむずかしい言葉を並べ立てて、上から目線で大喝してくる華雄。
(「……よし、ぶっ飛ばします。なんかこういろいろ釈然としないので!」)
決して、決して挑発に乗ったわけではないが、真顔で頷いた紅花が華雄めがけて間合いを詰めた。
烈火とも見紛う緋の闘気を両手脚に纏い、猛烈な蹴撃を繰り出しながら隙を窺う紅花。
脚技ばかりでなく、言葉さえも、渾身の一撃を叩き込むための布石に過ぎない!
その猛烈な格闘戦を目の当たりにしながら、はこべが思案する。
(「やはり試す価値はあるかも知れませんね――演義において関羽さまと一合の打ち合いで討たれた、とのことですし」)
あらゆる戦術、あらゆる攻撃法を考慮しなければ勝機は掴めない。
考えながらも、信号拳銃に装着したのは、銃と同じく年式の削られた手榴弾だ。
「発ッ!!」
紅花が颯爽と助走をつけて蹴撃を見舞う。
狙うは人体急所。剣閃より疾く、槍よりなお鋭い後ろ回し蹴りが華雄の胴を射抜く――!
「甘いわッッ!!」
怒声一喝、大上段に振りかぶりながらも身をそらした蟲将は、狙いを定めて大刀を振り下ろした!
が、その捷さでかわしざま敵の体側を横切った紅花は、地面を蹴って弾かれるようにハイキックを見舞う!
直撃――しかし。
「硬った……?!」
「無駄なことを!」
鋼鉄の装甲を蹴り込んだような轟音が響き渡るも、華雄はよろめくことさえない。
だが、まだだ。
決め技は放っておらず、何より紅花は、一人で戦っているのではない。
「関羽さまに遅れを取ったとは言え、流石の武勇ですね」
霧の中――はこべが、華雄の背後に突如生じた気配を見ながら言った。
「私たちを相手取ってのこの苦戦、どう思われるでしょう。関羽さまが見ているとすれば」
「なに!」
華雄の背後、濃霧の中に、勇壮にして魁偉な影が立ち上がった。
蟷螂のように鋭角的なシルエットが見る間に浮かんだのだ。
それはラウムが身に纏ったナノマシン群が、霧中に作り出した虚像である。
「関羽に直接会ったことはないケド、姿形くらいは聞いてるサ」
復讐者たちの激闘は報告書につぶさに記載されている。
それに目を通したラウムにとって、外形を真似る程度のことは造作もない。
無論、本物の気配など再現できるはずもないが、
(「一瞬でも気を逸らせば、その隙をついてくれるでショ」)
「おのれ、まだ小細工を弄するか!」
背後から突如として気配が生じれば、流石に注意がそちらに向く。
大喝一声、武勇で競わぬ者を責める怒声が、華雄の口から迸るかに見えたその時。
――音による空気の振動を否定スル。
眼鏡を光らせたラウムが告げるや否、空間を伝播する華雄の大喝そのものが、常理を覆すパラドクスの前に消え失せた。
「なっ……」
もとより武器を振るっての一騎打ちなどに、ラウムが引き込まれるはずもなく。
「思い通りにはさせないヨ。……武勇とか興味ないシ」
挑発の声さえ封殺した事象否定の力は、霧中の敵を誘い込もうとした華雄の目論見を見事に挫いていた。
ラウムが瞬時に魔力を編み、茨が巻き付いたような黒い光輪を敵に殺到させる。
それは大刀の一振りでたちまちに霧散したが、しかしそれで充分だった。
「まさか、か弱い女の攻撃をかわしたりしませんよね?」
間合いを詰めた紅花が猛烈な連続蹴りを放ち、華雄の態勢を崩させる。
「チィッ! ぬかったか……!」
「くらえーっ!」
そして決めの踵落としが、目を見開いた蟲将の首根に叩き落とされる!
華雄は紅花の観察力を見誤っていた。
外見で判断したのではない。
敵の姿形を利用したまでだ。
首を曲げた独特の形状を見定めた紅花が、そこに渾身の踵落としを炸裂させた!
「ヌグアッ……!」
余りの衝撃に全身の甲殻がひび割れ、痺れたように蟲将が一瞬身動きを止める。
「こっちです!」
と、はこべが敢えて華雄の前に姿を晒し、信号拳銃を構えた。
「動き回りおって……!」
はこべが引き金を引くと同時に、華雄が体を丸めて突撃してくる。
(「ダンゴムシの特性を活かした突進……でしたら」)
信号拳銃に装着された手榴弾が噴進弾のように飛んで、罅の入った華雄の甲殻の一部を吹き飛ばした。
衝撃に速度が弱まり、軌道も逸らされたことで、はこべが襲いくる突進を回避する。
そのとき、何の前触れもなく、大地より石版がそそりたった。
「……来たか」
戦況を見定めていた喩嘉が、勝敗を決し得る味方の登場に呟きを発した。
霧の中、大軍師の石兵八陣さながらに、墓標めいた壁の数々が屹立する――。
●決着
「皆さん働きすぎでしょう。まあ、楽しそうで何よりです」
青の帽子を被りなおし、同色の作業着を纏った平良・明(巡礼・g03461)が狭霧の中から姿を現した。
(「さて、仕事の時間です」)
束の間の休息を終え、焚火の後始末も済ませた彼が、遂に敵将の前に姿を現したのである。
「追わせも遊ばせもしませんよ、華雄将軍」
演義では数多の豪傑を討ち取ったとされる猛将、華雄。
虎牢関の戦いにおいて、それを一刀の下に切り捨てた武将が存在した。
改ざんされたこの世界においては蟲将としてその名を轟かせる英傑。
関羽。
そう、関羽だ。
(「あの戦い、私は焚火と墓標と共に今日へ供養して行きましょう」)
捨て身を以ってしてさえ太刀打ちできなかった難敵を思い出しつつ、明は新宿島の侠客から手に入れたと云う小型拳銃を、ガンプレイの要領でスピンさせた。
帽子の影から射抜くように放たれる明の眼光は、研ぎ澄まされたナイフよりもなお鋭い。
濃霧の中にそそりたつ石版に刻まれているのはRIPの三文字。
安らかに眠れ、昔日の記憶(じぶん)よ――今や石の墓標は霧の中に林立し、明の姿を隠している。
「妙な策を」
華雄が亀裂の入った甲殻を丸めて、敵よ粉微塵になれとばかりに突進した。
次々に破砕されていく石版。
「甲殻の継ぎ目です……!」
その時、敵の露出した弱点を看破する言葉が、蜂の一刺しのように霧の中を貫いた。
明が小さく頷いて。
「ええ、外しませんよ」
霧中を疾駆し、石版の影から影へと飛び移る明の俊敏さを前に、さしもの華雄も攻めあぐねることとなった。
引き金を引く。
瞬くマズルフラッシュ。
霧の中に連続する発砲音。
対ジェネラル級の拳銃が火を噴き、連射された弾丸は狙い過たず割れ砕けた甲殻の隙間に突き刺さる!
「ぬうぅぅッッ……!」
精強なる武人であれど、配下を無為に失った者が、連携する復讐者たちにかなう道理はない。
たたらを踏み、それでも大刀を振るう華雄。
その一撃を受け止めていたのは、割って入った夏輝が腕に発現させた緑色の手甲だった。
「……なんだと」
「やっぱり、キミじゃ関羽の鎧は斬れないみたいだね」
その血を取り込んで発現したと云う緑甲で大刀を受け、夏輝が天晶剣の切っ先を突きつける。
「ほざけぇっ!」
華雄が如何に猛将とは言え――蟲将の関羽を相手に、堂々と斬り結んだ夏輝だ。
眼前のアヴァタール級は、あの無双の蟲将ほどではない。
攻めきれず、怒りにかられて体を丸め突っ込んでくる華雄。
「アンジェ、今だ!」
陽動は功を奏した。
霧の中から現れたアンジェが、その翼から光輝を放つ。
パラドクスの光が乱反射し、美しい幻想的光景が描き出されたかと思われた刹那、猛将の鎧の裂け目を光芒が射抜いた。
「事此処に至れば……」
華雄が自らの命をも省みぬ渾身の一撃に打って出る。
「来い!」
両手を広げてそれを迎え撃ったのは幸児だ。
猛将と豪傑。
猛突と豪腕。
両雄がいま勝負を決さんとぶつかり合う!
頑強無比な甲殻を丸めて突撃する華雄、その凄まじさたるや、砲弾を喩えに出すのも愚かである。
地を転がる黒き凶弾と化した蟲将は、不敵な笑みを浮かべた幸児を、その大威力で引き潰す――!
「っ……らあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
転瞬、まるで頑強な装甲に巨大な弾丸が衝突したような轟音が響き渡った。
鬼人の腕――その硬化した両のかいなを以て、幸児が突っ込んでくる華雄をがっきと受け止めたのだ!
「ぐうぅぅぅぅぅぅっ!!」
歯噛みしながら大威力を迎え撃った幸児、その両足が豪快に地面を抉り、土煙と共に轍めいた痕を残す。
余りに強力な攻撃を受けてか――その両腕がぴしりと割れた。
「はは、強ぇっ……!」
口の端から血を流しながら、幸児の顔に浮かんでいるのは飽くまで笑み。
破砕した両腕から紫電が迸る。
華雄が驚愕の声を発した刹那、割れた鬼腕から溢れ出した闇の雷槌は、電磁的な音を響かせながら迸った。
至近距離にて放たれた電撃が華雄の甲殻を貫通し、痙攣させる。
全身から黒煙を立ち上らせながら武器を地に突きたてる蟲将。
「……よもや……我が突進を防ぐ猛者がいるとは、な……」
ぐらりと体が傾いだかと思うと、猛将は遂に大刀の柄から手を離し、前のめりに斃れた。
「楽しかったぞ」
幸児が言うとそのまま地面に座り込み、荒い息を整える。
「討ち取れましたか」
「ああ。まさかあれを受け切るとはな」
明の言葉に首肯して、喩嘉が幸児に労いの目を向けながら言った。
「ご苦労さま、アンジェ」
戻ってきたオラトリオの頭を夏輝が撫でる。
華雄が討ち果たされたことで、虎牢関攻めまでの間、造り上げた攻城兵器が危険にさらされることはなくなった。
あの破城鎚が、当日、どのような活躍を見せるのか――何だかお祭りの御神輿とか山車みたいにも見えるよねと、乗り込めるようにも仕立てた攻城兵器を思い起こしながら夏輝は連想する。
「これからの戦争もある意味祭りみたいなものなのかな……?」
ちょっと不謹慎かもと自身の想像を笑った夏輝だったが、攻城兵器の数々で攻めかかるとなれば、正に一大イベントだ。
決戦の日は近い。
「さて、帰りましょうか」
帰りくらいは一緒の席がいいと、明が去りゆく喩嘉や幸児の後を追う。
「では、左様なら」
討ち果たされた蟲将と、そして他ならぬ昨日の自分に向けて――。
別れを告げ、パラドクストレインに乗って、明は皆と共に帰途につくのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】LV2が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
【水源】がLV2になった!
【完全視界】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!