灼熱の鉄柱(作者 一条もえる)
#火刑戦旗ラ・ピュセル
#オルレアン戦争前哨戦
#パテー
#オルレアン
#ジル・ド・レ
#オルレアン戦争
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●『火刑戦旗ラ・ピュセル』・オルレアン
オルレアン城の広間は、死臭で満たされていた。
人間たちの骸で飾られた広間で2対の腕を組んでいるのは、この城を守るジェネラル級キマイラウィッチ『ジル・ド・レ』である。
その手足は猿のようである。だがその腹部は3つの目を持つ顔が浮かび上がっており、それ以外にもあちこちに人面が浮かび上がっていた。……頭があるはずのところにも、いくつも。
ジル・ド・レは腹の3つ目をギョロリと動かし、配下を睨みつける。
「ディアボロスどもの拠点は、まだ突き止められぬのか」
居並ぶ配下どもは恐縮する他なく、そのひとりであるピエール・ダルクは顔を上げ、
「魔女化した近衛騎兵に、探索させているんですが……」
と、首を傾げた。
その答えはジル・ド・レを満足させるものではなく、
「そもそも、探し方が悪いわ。お前たちの頭は飾りなのか!」
と、頭が一斉にピエール・ダルクを向いた。
だが、言っても詮無きことと思ったか、ジル・ド・レは大きく息を吐き、
「ディアボロスどもは、人間どもを助ける性質がある。だが、助けた者どもを連れて帰る場所はないはずだ。
つまり……助けられた人間どもは、まだその集落に残っているということだ」
「なるほど。たしかに一理あります」
ピエール・ダルクが頷く。
「そうであろう。排斥力の影響もあるだろうが、人間どもを締め上げれば、ディアボロスどもの痕跡は簡単につかめるだろう。
オルレアン周辺の集落を虱潰しにしてでも、ディアボロスどもの情報を集めてこい!」
そう言って、ジル・ド・レは配下どもを叱りつけた。
「おまかせを。それがジャネットのためになるというなら、僕はなんでもいたします」
ピエール・ダルクは立ち上がり、兵どもを従えて城を出た。
●『最終人類史』・新宿島
「パテ―は、拠点とするに十分な状態になったと言えるでしょう」
許・伯隼(人間の無双武人・g03617)はパテ―が描かれた絵図をディアボロスたちに示した。そこには朱筆でいくつも但し書きが為されている。そのひとつひとつは、ディアボロスたちが発案したパテ―の強化策であった。
「拠点を得たことにより、攻略に弾みがつくことはもちろん、キマイラウィッチどもから救った民をここに避難させることもできるようになりました。これは、大きい」
伯隼は満足げに頷く。
一方で、すぐに眉をひそめて「ただし」と続けた。
「ジル・ド・レは麾下の兵を発し、我らの痕跡を探っております。集落を襲っては民を拷問し、我らに関わりがないか問うつもりでしょう。
目下、皆様に向かっていただきたいのは、この集落です」
と、伯隼は絵図の一点を指し示す。
見覚えのない地名である。
「左様。我々はこの集落を訪ねたことはありませぬ。故に、キマイラウィッチどもに我らの痕跡を掴まれる危険はないのですが……」
そんなことは知りようもないキマイラウィッチどもは、死のうがお構いなしに人々の拷問を続けるであろう。死者が10人になろうと20人になろうと、キマイラウィッチどもにとってはたいした違いはない。
「それを見過ごすわけには参りませぬ。急ぎ彼の地に向かい、敵兵が現れる前に民を避難させていただきたい」
集落の人々を避難させ、そこを襲うキマイラウィッチどもを撃破すれば作戦は成功と言えるのだが……伯隼は顎に手を当て、考え込んでいるようだった。
「それにより、オルレアンの敵勢を減らすことはできるでしょう。また、敵に情報が渡ることを防ぐこともできるはずです。
しかし……」
ジル・ド・レは、容易く諦めはすまい。ディアボロスたちの拠点が近いことは間違いなく、調査は続けられるだろう。
「万が一にもパテ―のことを知られれば、敵はオルレアンの全力を上げて攻撃してくるでしょう。パテ―は戦場となり、いかに備えをしたとはいえ、もともと堅城とも言えぬパテ―では防ぎきれぬやもしれませぬ」
伯隼とディアボロスたちは腕組みしたまま、絵図を見下ろす。
敵の目を、パテ―からそらす必要がある。
「……『用間』というものがござる」
伯隼が顎を撫でた。間とは間者、すなわちスパイである。それを用いるべしと伯隼は言う。
「兵書には『間を用いるに五あり』とあります。此度に用いるのはそのひとつ『反間』です。『其の敵間に因りてこれを用うるなり』と申します」
敵の間諜を利用して、こちらのために働かせるのである。
敵将ピエール・ダルクに率いられた近衛騎兵隊どもが、この役目を果たしてくれるであろう。
すなわち、こちらの欺瞞情報を与えた上であえて敵兵を逃がし、ジル・ド・レのもとに戻らせるのである。
「片言しか喋れぬ自動人形どもでも、報告ぐらいはできるでしょう」
と、伯隼は目を細めた。
「無論、それを容易く信じる敵将ではないやもしれませぬ。無視されることもありましょうし、こちらの策と見抜かれる可能性もあります。
しかし成功すれば、敵を大いに惑わせることになるでしょう」
一同を見渡した伯隼は席をおり、
「よろしくお願いいたす」
と、揖した。
●『火刑戦旗ラ・ピュセル』・とある集落(ディアボロスの現れなかった未来)
「教えろ、ディアボロスの、こと!」
近衛騎兵隊どもが、逃げ惑う住民たちを取り囲んだ。心当たりのない村人たちは蒼白な顔で、
「知りません、何も知りません!」
と首を振るのだが、騎兵隊どもはそれを信じない。
騎兵隊どもは運んできた鉄柱を地に突き立てると、ひとりの女をそこに縛り付けた。
「お母さん!」
小さな女の子が悲鳴を上げ、夫がそれを阻もうとしたが、サーベルを首筋に突きつけられては大人しくなるしかない。
柱の下に積んだ柴に火がつけられた。
「あああッ! 熱い、熱いッ!」
女が悲鳴を上げる。炎が激しくなると灼熱が女の身を焼く。立ち上る煙に女は咳き込み、熱せられた鉄柱もまた、女の背を焼いた。
「お母ざん! お母ざんッ! お腹に、赤ぢゃんがいるのにッ!」
小さな女の子は身も世もない絶叫を上げるが、騎兵隊どもはまったく感情を動かさない。
「教えろ、ディアボロスの、こと」
と、同じ言葉を繰り返す。一言付け加えたのは、
「そうすれば、楽に、死ねる」
という言葉だけである。
それでも女は、
「知りません、なんのことかわかりませんッ!」
と、言うしかない。女は最後にビクビクと身を震わせて絶命した。
「次、お前だ」
騎兵隊どもは小さな女の子の手をねじり上げ、鉄柱に縛り付ける。
「ピエール様の考えた、拷問」
「実に、効果的」
と、頷くのみであった。
リプレイ
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎、ヴェルチ(g03614)と一緒に参加
友達催眠とかは無いから、普通に村を訪ねよう。
案内人の見た未来、本当に酷かったよね。絶対止めないと。
……あ、妖精さんたちは隠れててね。魔女の力だって思われると困るし。
よし間に合った。落ち着いて聞いて。村長さんとか、まとめ役の人も呼んでほしい。
オルレアンから魔女が来るよ。でも今から逃げれば十分間に合う。
逃げる先もちゃんと用意はあるから、安心していい。
私たちの仲間がちゃんと色々準備してくれてるからね。
ただ、さすがに持ち物全部はもって行けない。
そこまでの時間はないから、そこは我慢してほしい。
お年寄りや怪我人、妊婦さんとかの動くの大変な人はドローンに。
それから、重い荷物は私に任せて。こう見えて力はかなりあるからね。
【怪力無双】で重い荷物は引き受けよう。
物によってはドローンに括りつけてもいいしね。
ヴェルチ・アリ
シエル(g01847)と共に参加。
…まさに無差別ってか。放ってはおけない、急いで救出しよう。犠牲なんか、無いに越したことは無いからね。…聞こえる声がさらに増えるのはごめんだ。
下手に案じてもかえって逆効果になったら困る、2人で普通に村を訪問する。いきなり訪れた余所者が何をって感じかもしれないけど、悪いが悪趣味な柱を立てさせる気はないんだ。
シエルの言う通り、魔女が来る!オルレアンから、貴方達を何も知らないのに苦しめようとやってくる!まさに無差別、お構いなしだ!
いいか、落ち着いて聞いてほしい!今ならばまだまだ普通に間に合う!手に持てるものを、本当に重要な最低限だけを選んで、逃げる準備をしてほしい!あぁ慌てないで、今なら普通に間に合うし、貴方達の安全も保障される!そのための手伝いもする!
【フライトドローン】を使い、妊婦を始めとした、動きに難がある人を優先して運んでもらう。
【怪力無双】を使い、重い荷物は機械化した身体の動力を生かして持ち運ぶ。
アドリブ、絡みを歓迎します。
「まさに、無差別ってか」
ヴェルチ・アリ(GE-■■・SOL■■×××・g03614)は口中の苦いものを吐き出すように、顔をしかめた。
「うん」
シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)も伯隼に聞いた話を思い出して、
「案内人の見た未来、本当に酷かったよね」
と、大きくため息を付いた。
「絶対、止めないと」
「もちろん。急いで救出しよう。犠牲なんか、ないに越したことはないからね」
……聞こえる声がさらに増えるのは、ごめんだ。
ヴェルチは小さく呟き、集落への道を急ぐ。
「妖精さんたちは、隠れててね」
シエルシーシャはそう言いつつ、先に進むヴェルチを追った。
秋晴れの、よい天気である。吹き抜ける風は心地よく、沿道に茂る木々の葉がサラサラと鳴る。
まもなくこの集落が惨劇に見舞われるとは到底思えない、のどかな光景である。
「よかった、間に合った」
シエルシーシャが安堵の息を吐く。
ふたりは正面から、集落へと乗り込んだ。その姿に気づいた婦人が、
「あら、なんのごようかしら?」
と、怪訝そうにこちらを見た。ひと目見て気がついたが、そのお腹は大きい。そしてその陰に隠れるように、小さな女の子がこちらを見ていた。
大きな街道沿いの集落ではない。人が通りかかることもあまりないようで、突然の来訪者に驚いたようだった。
シエルシーシャはあくまで穏やかな口ぶりで、
「落ち着いて聞いて。そして、村長さんも呼んでほしい」
「……いったい、どうしたんです?」
婦人が眉をひそめる。小さな女の子も、母親のエプロンをギュッと掴んだ。
「オルレアンから、魔女が来るよ」
そう言われても、婦人はしばらくなんのことかわからなかったようだ。
ヴェルチは語調を強め、
「シエルの言う通り、魔女が来る! オルレアンから! 貴方たちを、何も知らない貴方たちを苦しめようとやってくるんだ! まさに無差別、お構いなしだ!」
と、婦人に詰め寄った。よそ者が何をいきなり、と思われてもよい。
「……悪いが、悪趣味な柱を立てさせる気はないんだ」
「そんな……ッ!」
しばし戸惑っていた婦人も、事態に気づいて顔色を変えた。よろめき倒れようとしたところを、小さな女の子とシエルシーシャが支える。
「大丈夫、今から逃げれば、じゅうぶん間に合う。逃げる先もちゃんと用意はあるから、安心していい」
「なんだ、なんだ?」
ふたりの声の緊迫感のせいか、何事かと聞きつけた人々が姿を見せた。
「好都合だね」
ヴェルチが事情を説明すると、彼らもまた狼狽した。
「落ち着いて聞いてほしい! 今ならまだまだ、普通に間に合う! 手に持てるものを、本当に重要な最低限だけを選んで、逃げる準備をしてほしい!」
ヴェルチの指示に、人々は慌てて駆け出した。
「ヴェルチ、ドローンの用意はいい?」
「任せて」
ヴェルチは呼び出した【フライトドローン】に婦人を乗せた。
「なるべく揺らさないように気をつけるから、しっかりつかまっていて」
「え、えぇ」
婦人は戸惑いながらも、頷く。
「わたしも……!」
小さな女の子も、母親に続いて乗り込もうとした。ヴェルチが口をへの字に曲げる。
「まぁ、重量制限では乗れなくもないけど……」
「ちょっと、いいかな?」
シエルシーシャがしゃがんで、小さな女の子の顔を正面から見つめた。
「お母さんのお腹には、赤ちゃんがいるの。知ってるよね?」
「う、うん」
「ドローンの上は狭いから、君がギュッとお母さんにしがみついたら、赤ちゃんが窮屈かも」
小さな女の子は泣きそうな顔をしたが、しばらくうつむいたのち、
「わかった。わたし、がまんする」
と、こちらを見つめ返した。
「はは、えらいね。名前は……リュシーちゃん? じゃあリュシーちゃんは、こっちのドローンへ」
ヴェルチは小さな女の子を抱き上げて、もう1機のドローンへと乗せた。母親と離れたことは寂しいが、これはこれで楽しいらしく、小さな女の子は歓声を上げた。
「さぁ、そうと決まればさっさと避難するだけだ!」
「重い荷物は任せて。こう見えて、力はかなりあるからね」
シエルシーシャの鬼の腕に力が込められた。凄まじい膂力を秘めたその腕は、人々の手から荷物を受け取って、それを軽々と持ち上げたのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
他の良案があれば話を合わせるようにする
・目的
オルレアンの南方に復讐者の拠点がある事
オルレアンからの襲撃を恐れて、森の奥など、人気のない自然の中に隠れ住んでいる事を匂わせる
拠点を討ち取るために捜索部隊を出させたり、警戒を緩めるなどの隙も生まれるだろうか
・行動
人々の避難完了後に行動
魔女達に対して演技しつつ、自然に情報を口を滑らせた感じに
コンパスでオルレアンに対し南にあたる方角を確認し
南側へ向けて速やかに撤収しようとしている所を、見つかったように驚き、演技
……ッ、キマイラウィッチか? 速かったな……
自動人形もいるのか……
まだ人々は出発したばかり……あの拠点を守らなければ……!
南側をちらりと気にかけ、焦った様子を見せる
反応があれば畳みかけるように否定
どこを探しても無駄だぞ!
自然の奥深くに隠れているんだ、見つかりっこない……!
あんたらはいつも、誰か人に聞いたり喋らせようとするからな
銃を構えてみせ
あんたらみたいなやつが来たら、恐ろしい事になる……
ここで倒させてもらう……!
「避難は、順調か」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)はシエルシーシャとヴェルチに率いられて移動していく人々を横目に見つつ、入れ替わるように集落へと入った。辺りに人気はなく、逃げ遅れた者はいないようだ。安堵の息を吐く。
しばらくすると、騎馬の音が響いてきた。自動人形どもの鉄の蹄だ。
近衛騎兵隊はマスケット銃を手に、サーベルを腰に、集落へと一直線に近づいてくる。よく見れば2騎は、3メートルかそれ以上の鉄柱を左右から引きずっている。
コンパスで方角を確かめたエトヴァは集落から飛び出し、「南」を目指して駆けた。
「何者、だ!」
それを見咎め、騎兵隊どもが誰何する。
「キマイラウィッチ、いや自動人形か! 早かったな……!」
エトヴァは「焦ったように」、敵群を見渡した。
「ディアボロス、か」
「やはり、拠点、近い」
敵兵どもは偵察に手応えを感じつつ、サーベルを抜いた。そしてエトヴァを囲むように2列に分かれ、こちらに接近してくる。
エトヴァは銃を構えて左右を見やりつつ、「南」にちらり視線を向け、
「まだ、人々は出発したばかり……あの拠点を、守らなければ……!」
と、呟いた。
「拠点?」
1体の自動人形がその言葉を聞き咎める。
エトヴァは「しまった」という表情をしてみせて、
「どこを探しても、無駄だぞ! あんたらはいつも、誰か人に聞いたり喋らせようとしたりするが……あそこなら」
そう、「森の奥深くに隠れている」のだから、「集落で聞き込みをしたところで」見つかりっこない……!
「あんたらみたいな奴が来たら、恐ろしいことになる……ここで倒させてもらう!」
と、エトヴァは己の「失態」を取り返そうとするように銃を構えた。
さて。
いかにも機械仕掛けといった声色しか発しない近衛騎兵隊であるが、知能が格別に劣っているわけではない。エトヴァの「焦り」をみた騎兵どもは、
「南、何か、ある……?」
「ピエール様の耳、入れるべき」
エトヴァを囲む一方で、1騎が伝令となって駆け出した。
はたして、この偽情報をピエール・ダルクが信じるか、どうか。それにはさらなる「裏付け」が必要かもしれない。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
シル・ウィンディア
キマイラウィッチ達もなかなかやるよね。
ほんと、いやらしいことで…。
でも、バレるわけにはいかないから、欺瞞作戦、しっかりしないとね。
集落の南の方から現れるようにして現場へ行くよ。
エトヴァさんを見つけたら、そちらへ向かって走っていくよ。
避難していない人がいないのを確認してくれてたけど、ちょっと返ってくるのが遅かったから気になって来たんだけど…。
まさか、遭遇しちゃったかぁ…。
安心して。
もう避難した人は結構奥に進んでいるから。
今からだと、キマイラウィッチ達も追いつけないし、ここで足止めすれば追いつかれることはないよ。
それに、あそこはほんとにわかりにくいから簡単には見つからないよ。
…内通者がいない限りは。
まぁ、そんな相手がいるとは思わないけどね。
さ、それじゃ確実にここの人達を逃がすための時間稼ぎを行おうか。
…あなた達が先に進みたいなら、わたし達をどうにかしてからにするんだね。
絶対に通さないし、この先の拠点には行かせないからっ!!
「ほんと、いやらしいことで……」
キマイラウィッチどもはオルレアンを固く守り、なかなか付け入る隙を見せない。
「キマイラウィッチも、なかなかやるよね」
シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)はため息交じりに、ひとり街道を進んでいた。
エトヴァとそれを囲む近衛騎兵隊どもの姿が見えたのは、まもなくのことだ。
「バレるわけにはいかないから……欺瞞作戦、しっかりしないとね」
唇に手を当て、シルは駆け出す。
「エトヴァさん!」
『創世の光剣』を抜いて駆け寄ったシルは、敵兵が振り下ろしたサーベルを弾き返す。
「帰ってくるのが遅かったから、気になってきたんだけど……まさか、遭遇しちゃったかあ」
と、囲む敵兵どもを見渡して呟いた。
そうしておきながら、隣に立つエトヴァに顔を寄せ、
「でも安心して。避難した人は、けっこう奥まで進んでいるから。
キマイラウィッチでも今からだと追いつけないし、ここでわたしたちが足止めすれば、もっと確実だよ」
と、耳元で囁いた。
いや、囁いたというには、その声は大きすぎる。人並み外れて鋭敏……かどうかは知らないが、近衛騎兵隊どもはしっかりと、その声を聞いていた。
「……人間ども、逃げた?」
「あちらか?」
近衛騎兵隊どもも頭を寄せ合い、口々に呟いている。
シルは笑みが零れそうになるのをこらえつつ、
「あそこは本当にわかりにくいから、簡単には見つからないよ」
と、さらに囁く。
「……内通者でもいない限りは」
エトヴァも意図を察して「確かにな」と目を細めて頷いた。
シルは敵兵どもに向き直り、
「さ、それじゃ確実にここの人たちを逃がすための、時間稼ぎを行おうか。
あなたたちが先に進みたいなら、わたしたちをどうにかしてからにするんだね。
絶対にここは通さないし、この先の拠点には行かせないからッ!」
そう言って、「南を背にして」剣を構えた。
敵兵どもはすぐに襲いかかってくることはなく、
「あの女、南から、来た」
「では、やはり」
「南に」
「うむ」
同胞たちがマスケット銃を構えるなか、1騎がその列から離れて駆け出した。
ピエール・ダルクに、ディアボロスの拠点が南にあることは確実であると、知らせるために。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
「ディアボロスがいただって? それに、奴らの拠点がオルレアンの南に……?」
知らせを受けたピエール・ダルクは首をかしげたが、
「まぁ、いい。とにかく奴らを倒す事が先決だ」
と、伝令の2騎とともにディアボロスの元へと急ぐ。
偽情報を掴ませたからには、あとは敵将を撃破するだけである。とはいえ近衛騎兵隊に守られたピエール・ダルクを討つのはいささか手こずるであろう。
しかし、煩わしくとも近衛騎兵隊のいくらかはあえて逃さねばなるまい。
将を失った敵兵はあえて交戦する事はせず、オルレアンにいるジル・ド・レにも、その偽情報を伝えるであろうから。
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎、ヴェルチ(g03614)と一緒に参加
合流前にこっそり【パラドクス通信】で状況は共有。
せっかく二人が仕掛けてくれたんだし、合わせといた方がいいよね。
今の流れなら、私たちも南から現れよう。
エトヴァ、シル!避難はひとまず無事に……って敵!?
……もうこんな所にまで。近場に危険は残せないし、仕留めないとね、ヴェルチ。行こうか。
仕留めるとは言っても、殺し切らないようには気を付ける。
割と本気で戦うけど、南に抜けそうな敵がいたら過剰反応してみせて、目の前でもう倒せる敵がいても放置して追いかける、とかしちゃおう。
敵は騎馬型だけど『蹂躙者』も足が速い。追いかけるにはちょうどいい。
「トループスを普通に蹴散らすだけなら何とでもなるけど、とにかく南には行かせないのを優先すると少し厳しい」って感じを見せたい感じだね。
そんな風に苦戦してみせれば狙い目に見えるだろうし、その弱みを突いて崩してやると思って数を割いてくれないかな。
まあ、それをしないなら機動力を活かしてヒット&アウェイで削っていくけど。
ヴェルチ・アリ
シエル(g01847)と共に参加。
南方向から、シエルと共に駆けつける体で登場。
二人とも!避難完了だ、ありが…とう、っていうには、まだ早いか。悪いけど、お前たちをこのまま先に行かせるわけにはいかないんだ。どこまで場所に検討ついているかは知らないけど。
その考え丸ごと、灰にしてやる。来いよ。
【パラドクス通信】を使い、事前に情報共有。
【火炎使い】と【ブレス】を使い、目の前の相手を一気に焼き尽くし、前には進ませないようにする。
【追跡】と【計略】を使い、逃れて南へ行こうとする敵兵が目視できれば、出来る限りそいつを優先的に燃やすようにして、南を重要視していると見せかける。
とはいえ、相手を全滅はさせない。敵にそうとバレない様に、あえて見逃すのではなく、明確に倒すべき範囲を決めておいて、そこ以外は敵を燃やす手が回らない様に見せかける。南に向かおうとする相手には、追い打ち反応をしておこう。南にばかり意識を割いていれば、かえって相手がその隙をついて離脱してくれるなら御の字だ。
アドリブ、絡みを歓迎します。
「偽情報は、うまく流せたのね?」
通信機に向かって話しかけたシエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)は、傍らで聞き耳を立てているヴェルチ・アリ(GE-■■・SOL■■×××・g03614)と視線を交わらせ、互いに頷いた。
「せっかくエトヴァとシルとが仕掛けてくれたんだし、合わせといたほうがいいよね」
「そうだね。ボクらも南から駆けつけようか」
ふたりも出立したパテ―方向から大きく回り込み、仲間たちと対峙するピエール・ダルク、およびそれを護衛する近衛騎兵隊の姿を捉えた。
「避難はひとまず無事に……って、敵ッ? ……もう、こんなところにまで」
一芝居うちながら、シエルシーシャは呪詛を帯びた宝玉を取り出す。
「近場に危険は残せないし、仕留めないとね、ヴェルチ」
「あぁ。ふたりともありがとう……って言うには、まだ早いか」
と、ヴェルチも敵群を射程に捉える。
「へぇ、新手かい?」
芝居がかった仕草でピエール・ダルクはかぶりを振る。しかし敵将がこちらに向き直ろうとしたところ、横合いからシルが、
「あなたはわたしと付き合ってもらうよ!
大丈夫、飽きさせることはさせないからッ!」
と、白銀の白杖を高々と掲げる。
「ち。近衛騎兵隊よッ!」
ピエール・ダルクが声を張り上げると、騎兵隊どもは素早く陣形を整えて疾走する。
地響きを轟かせて襲い来る敵群をヴェルチは睥睨し、
「偽装展開、ベディヴィアの竜炎!」
その背中に、巨大な炎の翼を生成した。燃え盛る竜の右翼はその存在を誇示するように二度三度と羽ばたくと、無数の火炎弾を射出する。
「……ッ!」
炎は金属でできた自動人形どもの身体さえも焼き、敵兵はものも言わぬままにドウッと横倒しとなる。
それでも後続の兵は恐れることもなく突進し、マスケット銃を発射した。
とっさに身を捩ったものの、弾丸がヴェルチの横腹をかすめる。
よろめいたその間に、敵兵はサーベルを掲げて襲いかかってきた。しかしヴェルチは避ける素振りも見せない。
「焼き、尽くせェェェッ!」
敵の顔面に突きつけるように、ヴェルチは『Galantyne00』を向ける。竜の翼はその最後に灼熱の炎を剣に注ぎ込み、剣もまたその光と熱とを取り込んで炎の刃を形成する。
繰り出される突きとともに炎は渦を巻き、敵兵はその刃に貫かれた……というよりは、激しい炎熱によって焼き溶かされた。
こちらを強敵と見た自動人形どもは警戒しつつも、速度を一気に上げてシエルシーシャに斬り掛かった。
砕け壊れた数知れぬ砕片は長剣の形を得て、シエルシーシャはその刃をかろうじて受け止める。
しかし彼女は次に襲い来る敵兵に背を向けてまでも、
「そっちは……!」
と、「南」に駆け抜けた敵を追った。振り下ろされた敵兵の刃が、彼女の背を浅く裂く。
「く……ナックラヴィー! 呪え、鎧え、踏み躙れ!」
呪具を核にして、呪詛が縒り合わせ練り合わせられていく。象られたそれこそが封じられたナックラヴィー本来の、歪な四腕を持つ人馬の姿。人馬は怒涛の勢いで敵兵を追った。
人馬が奇怪で歪な腕を振り回す。それが敵兵どもの胴を打つと、金属製の身体が大きくへこむ。体勢を崩したところを、筋肉の躍動する脚で踏み潰した。
「ヴェルチ」
「わかってる。やり過ぎは禁物だ」
このまま敵群を全滅させることも、ふたりにとってはできないことではない。しかし仕掛けた策謀を完成させるためには。
「どこまで場所に検討ついてるかは知らないけど……先に行かせるわけにはいかないんだ。
その考え丸ごと、灰にしてやる。来いよ」
と、ヴェルチは「南を背にして」、そちら側に回り込もうとする敵兵ばかりを迎え撃った。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
シル・ウィンディア
援軍も来てくれたし、トループスはお任せできる形だから…。
ピエール・ダルク。
あなたはわたしと付き合ってもらうよ。
大丈夫。
飽きさせることはさせないからっ!
ここは敢えて動かずに固定砲台モードで相対かな。
トループスの邪魔が入ると厳しいと思うけど、わたしは二人を信じているから。
だから、信頼して、確実に砲台としてダメージを積み重ねるように立ち回るよ。
敵の動きを観察して…。
確実にピエールを正面にとらえるように方向を取るよ。
わたしを無視して他の人に気を向けているなら、遠慮せずに壱〇芒星精霊収束砲で撃ち抜くよ。
無視するなんてひどいじゃない。
もっとこっちを見てよ?
いいつつ、どんどんパラドクス攻撃を仕掛けていくよ。
わたしの方に注意が向いているなら、パラドクス通信で味方へ連絡。
今のうちに仕掛けてね。
敵の攻撃は、パラドクス発動時に現れる光の翼で体を覆って防御を行うよ。
このためのガードアップだからね。
…ふぅ、まだまだ元気そうだなぁ~。
仕方ない、もうちょっとお付き合いしましょうか。
「へぇ、新手かい?」
ピエール・ダルクがシエルシーシャとヴェルチの方へと向き直ろうとしたところ、
「あなたはわたしと付き合ってもらうよ!」
シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)が声を張り上げた。
「大丈夫、飽きさせることはさせないからッ!」
と、白銀の白杖を高々と掲げる。
「ち。近衛騎兵隊よッ!」
ピエール・ダルクが声を張り上げると、騎兵隊どもは素早く陣形を整えて疾走する。
シルはそちらをちらりと見やり、足を止め、世界樹の翼『ユグドラシル・ウィング』を敵将に突きつけた。
「無視するなんて、ひどいじゃない。ふたりに気を取られてないで、もっとこっちを見てよ?」
「心配はいらないよ。君から殺してあげよう! ジャネットのために!」
ふたつに割れた蹄で地面を蹴り、飛びかかってくるピエール・ダルク。
「そう……それは、嬉しいね!」
シルの前で、6属性の魔力が形作られていく。
「世界を司る六界の精霊たちよ。宇宙に集いし天体の守護者たちよ。過去と未来を繋ぐ時よ……!」
そのひとつひとつだけでも凄まじいエネルギーを持つが、
「集いて力となり……」
互いにぶつかりあって消滅する際に、いっそう凄まじい力が生じる。その純魔力が、前面に描かれた「太陽と星と月」の魔法陣でさらに増幅され、そしてもうひとつ「時」の魔法陣で収束していった。
「すべてを撃ち抜きし虹光となれッ!」
その目を焼かんばかりの光芒は一直線にピエール・ダルクへと襲いかかって、上半身を覆う強固な金属鎧のあちこちを吹き飛ばし、肉を引き裂き、抉った。
敵将の受けた傷は凄まじいものであったろうが、それでも、
「ジャネットの味わった熱は、こんなものじゃなかったんだよ!」
憤怒と憎悪の籠もった目で敵将はこちらを睨み、雄叫びを上げながら飛びかかってくる。
シルは光の翼でその怒涛の攻撃を凌いでいたが、
「復讐する! それが、ジャネットのためだ」
振り回された戦旗が、シルを打った。
「ふぅ、まだまだ元気そうだなぁ~。仕方ない、もうちょっとお付き合いしましょうか」
こめかみから一筋の血を垂らしながらもシルは立ち上がり、敵将へと得物を向けた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
シル・ウィンディア
まだまだ勢いがあるならば…。
もうちょっとお付き合いしてあげるよ。
わたし達も、あなたをそのままにしておくわけにはいかないしね。
…逃げてもらった人たちのためにもっ!!
距離を取るように動きつつ、そのまま高速詠唱で隙を減らして動くよ。
さっきの砲撃で、遠距離型っていう印象はつけられていると思うから、これは不意を打てるかな?
…敵が追って来たら、幻影魔砲撃を発動させるよ。
左手に創世の光剣を抜いて、一気に前に詰めて攻撃だねっ!
斬撃・突きのコンビネーションを行って仕掛けていくよ。
さぁ、本物のわたしはどれでしょうっ!!
懐に潜り込んだら、ゼロ距離砲撃でずどんっ!だね。
ふふ、意外だったかな?
遠距離しかできないって、一言も言ってないもん。
とはいえ、あまり得意でもないけどね。
敵の攻撃は、剣で切り払ったり、致命箇所を重点的に防御したりでダメージを防いでいくよ。
さて、そろそろフィナーレにしたいけど…。
言い残すことはないかな?
まぁ、あっても無くても、ここで倒させてもらうだけだけどねっ!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
シルさんに合流し参戦
ああ、彼らを追わせたりはしない
ここで食い止めてみせる
PD通信で連携を取りあおう
敵の動きを観察しつつ、間合いを計りつつ戦闘
シルさんを守るようにタワーシールドを構え前に出て
銃撃を仕掛けPD攻撃
シルさんが前に詰めるタイミングで援護に切替
連射と跳弾を重ね、機先を制し動きを縫い止めるように
こちらも中距離で攻めていこう
もしも護衛が戻ってきたら避けるように射撃
敵の攻撃には、Segenの魔力盾を展開し身を護りつつ
戦旗の振りを観察、痛打を受けぬようタワーシールドを構え受け流すように
己の復讐くらい、己で定めてはどうだ?
さて、仕込みはいかがなものかな
オルレアンの周辺では、既に住民に被害が出ている……
この戦いに勝利し、ジル・ド・レを討つしかあるまいな
「生憎と、僕はいつまでも君に付き合うつもりはないね」
ピエール・ダルクは血を流しながらも、シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)を見下ろして鼻を鳴らした。
「今すぐに、僕に復讐されるといい!」
ピエール・ダルクは青の戦旗を振りかざし、シルに襲いかかってくる。
「そう言わないで。もうちょっとお付き合いしてあげるよ!」
シルは距離を取るように駆けながら、高速で詠唱して次々と魔法を放つ。しかしピエール・ダルクは旗で包み込むようにそれらを弾き返したかと思えば、一気に間合いを詰めてきた。
「さぁ、死ぬがいい! それがジャネットのためにもなるのだから!」
だが、シルは戦旗が振り下ろされるにもかかわらず、地を踏みしめてその場に留まり、拳を握りしめた。
「なにッ!」
「六界を司る使者よ、我が身に宿りて、全てを撃ち抜きし力を……!」
6属性の魔力がシルの身体を駆け巡る。それは彼女に常人ならざる力を与え、叩きつけられる戦旗が拳で打ち払われた。
「な……!」
驚愕するピエール・ダルクとは対照的に、シルは笑みを浮かべる。
「幻影の連撃、見切れるかなッ!」
次々と叩きつけられるシルの拳。ピエール・ダルクは懸命にそれを防ぐが、シルの動きはさらに速く、【残像】を生み出すほどに加速していく。
「さぁ、本物のわたしはどれでしょうッ!」
スラリと『創世の光剣』を抜き放ち、ピエール・ダルクの二の腕を斬り裂く。そして最後に、至近距離からの魔力砲でピエール・ダルクを吹き飛ばした。
しかし敵将も吹き飛ばされた瞬間に戦旗を握りしめ、シルの頭蓋を砕かんとそれを投じたのである。
凄まじい連撃で大きく息を吐いたシルに、それを避ける術はない。
が、
「シルさん」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は銀のタワーシールド『Hushed Audience』を構えつつ、その横から伸ばした銃口で敵将を狙ったのである。
戦旗は盾に阻まれてあらぬ方向へと飛び、聖なる祈りを込めた白銀の弾丸が、ピエール・ダルクに襲いかかる。
吹き飛ばされて地に背を打ち付けた敵将の脛を、太腿を、エトヴァの銃弾が貫いた。
「エトヴァさん!」
「あぁ。彼らを追わせたりはしない。ここで食い止めてみせる」
「よほど大切なものがあるらしいが……ジャネットの復讐以上に大切なものが、この世にあると思うかいッ?」
翻る戦旗を避けて跳び下がりつつ、エトヴァは大盾を投げ捨て、両手に銃を構えた。
一見すると無差別に放たれているように見えた銃弾は、岩で跳ね返り倒れた近衛騎兵隊の身体で跳ね返りして、ピエール・ダルクに襲いかかる。
シルも呼吸を整えて立ち上がった。
「そろそろフィナーレにしたいけど……言い残すことは、ないかな?
まぁ、あってもなくても、ここで倒させてもらうだけだけどねッ!」
再び拳を握りしめて小剣を構えるシルを、戦旗を拾い上げたピエール・ダルクは憎しみのこもった目で睨めつけた。
「ふふ、接近戦は意外だったかな? 遠距離しかできないって、わたし一言も言ってないもん」
シルは肩をすくめ、再び攻撃を仕掛ける。小さく、
「……あまり得意でもないけれど」
と、呟いて。
「復讐を! ジャネットのために、この女にも苦しみを!」
全身を朱に染めながらも、敵将の攻撃に緩みはない。シルを押し返す勢いで戦旗を振る。エトヴァが割って入ると、ピエール・ダルクはそちらを振り返らぬままに戦旗を振り回した。
籠手から生じた魔力盾で戦旗を受け流し、エトヴァは目を細めて敵将を見据える。
「己の復讐くらい、己で定めてはどうだ?」
「なに……!」
思わず振り返ったその背を、シルが至近距離から放った魔力砲が貫いた。
「がはッ……!」
「……踊れ、導け、祈りの下に」
エトヴァが放った無数の弾丸は、祈りと念動力の魔力によって縦横無尽に跳ね返り、ピエール・ダルクの心臓一点を狙って貫いた。
「ピエール・ダルク様!」
「むむ……!」
驚愕の声を上げた騎兵隊であったが、もはや戦機が去ったことは明らかとみるや、踵を返して引き上げていく……オルレアンへと。
「さて、仕込みはいかがなものかな……?」
その背を見送り、エトヴァは大きく息を吐いた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!