オルレアン戦争前哨戦
攻略旅団の作戦により、飛び地となっている『パテー』の防衛体制を強化し、拠点化しました。
ごく小規模とはいえ、火刑戦旗ラ・ピュセル内にディアボロスの勢力圏を確立したことで、一定の避難民の受け入れにも対応が可能となるでしょう。
しかし、パテーのすぐ南には、ジェネラル級キマイラウィッチ『ジル・ド・レ』が支配する『オルレアン』があり、気付かれれば即座に危機的状況となるのは間違いありません。
幸い、偵察部隊の撃破により、ジル・ド・レにパテーの拠点化が露見するのは防げています。
ですがジル・ド・レ配下は集落を虱潰しにし、オルレアン近辺でのディアボロスの痕跡の調査を開始しました。
キマイラウィッチによる調査という名の襲撃から集落を守りつつ、パテー方面から敵の目を引き離すような作戦を行ってください。
この前哨戦に勝利すれば、オルレアン攻略を進める事が可能になるでしょう。
ジル・ド・レ
狡猾、或いは偽りの叡智(作者 秋月きり)
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改竄世界史火刑戦旗ラ・ピュセル。
オルレアンの居城で、ジェネラル級キマイラウィッチ『ジル・ド・レ』が腕組みをし、唸っていた。
思慮している訳では無い。その表情を歪めるそれは、怒りであった。
「ディアボロスの拠点はまだ突き止められぬのか」
眼前に傅くアヴァタール級キマイラウィッチ『『屠殺者』オリヴィエ』がひぃっと声を上げる。キマイラウィッチでも、恐ろしい物は恐ろしい。恐怖。もしくは畏怖。彼に取ってのジル元帥は正にそれであった。
「そもそも、探し方が悪いわ。お前達の頭は飾りなのか!」
しかし、と紡ごうとした反論は、ぎろりとした睥睨で封殺される。
生きた心地がしない、とオリヴィエは冷や汗を浮かべた。
「良いか。よく考えろ。たとえばディアボロスは一般人を助ける性質がある。だが、助けた一般人を連れて帰ったりはしない。おそらく、連れて帰る場所が無いのだ。これがどういうことか判るか?」
ジルの言葉に、オリヴィエは壊れた人形の様に、コクリコクリと頷いた。
「ま、まだ、助けられた一般人が集落に残って居る、と言う事です!!」
「そうだ。排斥力の影響もあるだろうが、彼奴らを締め上げれば、ディアボロスの痕跡は簡単に掴めるだろう」
よく理解した、とジルは頷く。
だが、その表情は微笑していても、目は笑っていない。ただ、オリヴィエを睨め付け、そして告げるだけだった。
「判ったなら行け! オルレアン周辺の集落を虱潰しにしてでも、ディアボロスの情報を集めてこい」
「は、はぃぃぃぃ!」
自身と同じく背後に傅くトループス級アークデーモン『アラストルの乙女』を引き連れ、『屠殺者』オリヴィエは急ぎ駆けていく。
その背後で、ジルの深いため息が零れた。
「攻略旅団の方針、パテーの拠点化は無事、成功しましたわ」
所変わって最終人類史新宿島新宿駅ターミナル。時先案内人、マリー・アントワネット(人間のサウンドソルジャー・g09894)は復讐者達の功績を称え、喜色に染まった言葉を口にする。
パテーの拠点化成功により、キマイラウイッチから救出した一般人の避難場所も確保出来た。これからは、火刑戦旗ラ・ピュセルでの活動もしやすくなる筈だ。
「ただ、飛び地であるパテーは、地理的に隠れ拠点として優れていますが、直ぐ南にキマイラウィッチの重要拠点『オルレアン』を要する場所ともなっていますの」
その為、安全を確保し続けるのが難しいことが考えられる。
「更に、オルレアンを支配するジェネラル級キマイラウィッチ『ジル・ド・レ』は、ディアボロスの拠点を探そうとしているようですわ」
もしも彼にパテーの状況を知られれば、大変なことになってしまうだろう。
「そして、敵も今の状況を傍観するつもりはないようですわね」
ジル・ド・レはオルレアン周辺の集落を襲い、一般人の拷問などで復讐者達の拠点を見つけ出そうとしているようだ。
襲われる集落に駆け付け、敵の撃破と同時に、人々を庇護してパテーへと避難させる。
此度の動きは、それが求められていた。
「まず第一の話ですわ。此度、襲撃を受ける集落は、皆様が接触したことはありませんの。故に、キマイラウィッチ達の調査によって情報を得ることはない……とお考えくださいませ」
しかし、その調査方法が『死ぬまで拷問する』の為、放置すれば集落の人々が無惨に殺されてしまうだろう。
「その未来を回避して頂きたいのです」
彼らをパテーに避難させ、その上で集落にてキマイラウィッチを撃退する、が此度の基本方針となる。
そう告げるマリーの言葉に、復讐者達は「基本方針?」と小首を傾げる。
作戦は、その先がある様だ。
「ええ。キマイラウィッチを撃破する事も可能ですし、今後の戦いを見据え、布石を打つことも出来ますわ」
それが、欺瞞情報の流布であった。
トループス級をわざと撤退させ、偽の情報をジル・ド・レに掴ませれば、動きを攪乱することが可能な筈だ。
「勿論、逃げ延びたトループス級の情報をジル・ド・レが無視したり、或いは皆様の策と見抜いたりする可能性も否定出来ませんの。ですが、成功すれば大きな隙を作れるでしょう」
つまり、欺瞞情報の策を進めるためには、どの様な情報をどの様に渡すか、と言うのも重要になりそうだ。
マリーの言葉に、復讐者達はふむ、と唸るように頷いた。
「此度、予知した襲撃は皆様の向かう集落のみならず、他の集落でも発生する可能性が高いようですわ。それは即ち、ジル・ド・レにパテーの情報が伝わっていないことの証左でもある……と言う事ですの」
知らないが故、手当たり次第襲撃している、と言うのが実態なのだろう。
ならば、今の内にその対処を行うことは間違いでは無い。
「皆様の御武運、そして策の成就をお祈りしていますわ」
復讐者達をパラドクストレインへ送り出しながら、時先案内人はぺこりと頭を下げるのだった。
そして、火刑戦旗ラ・ピュセル。
村人の一人を捕まえたアヴァタール級キマイラウィッチ『『屠殺者』オリヴィエ』は、クククと笑いながら、その口へと曲線で校正された器具を突っ込む。
「なぁ、知っているんだろう? ディアボロスのこと、放してくれれば解放してやるよ」
その器具は、苦悩の梨と呼ばれる中世の拷問器具であった。
口に突っ込まれ、ギチギチと音を立てるそれに、村人は恐怖で目を見開く。双眸からは涙が零れ、ぶんぶんと首を振る。
だが、言葉は発せられない。当然だ。口に突っ込まれた器具が拡がり、その動きを制していくのだから。
「ああ、喋ってくれないか。残念だ。だったら、仕方ないな。死ぬしか無いよな。痛いそうだが、喋らないお前が悪いもんな」
じりじりと嬲るように言葉を並べ、そしてにやりと笑う。
迫り来る死の影に村人は絶叫しようとし、しかし、それすら許されないことを即座に理解する。
そして、ぱんっと弾けるような音が、響き渡り、オリヴィエはにぃっと笑った。
「あーあ。ただ喋るだけで良かったのになぁ。仕方ねぇ。次、連れてこい」
そして部下に片付けと次の獲物の手配を命じるのであった。
リプレイ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
オルレアン方面が緊迫してきたな
ここからの動きは大事になるだろう
何より、パテーはもちろん
周囲の人達を巻き込む訳にはいかない
案内を受けた集落へ急行し、急いだ様子で駆けこもう
【友達催眠】を発動させ
可能なら、村のまとめ役の方を紹介してもらい
広場などで演説
皆、聞いてくれ
俺はディアボロス。あなた方の味方だ
キマイラウィッチが、じきにこの集落にやって来る
奴らは理不尽な理由で容赦なくあなた方を責め立て、命を奪うだろう
……彼らの恐怖は言わずともご存知だろう
だが、怖がらなくていい、大丈夫だ
パテーという街がある。ここはディアボロスが解放した街だ
皆、安全に暮らせる
どうか、ただちにパテーへ避難してほしい
地図をみせながら説明し、まとめ役の方に渡し先導を頼む
少しだが、足しにしてくれ
新宿から鞄いっぱいに持ち込んだ保存食と真珠などの貴金属を渡し
必需品の荷造りがあれば手早く手伝う
仲間の残留効果があれば借りて活用
急いで。俺達が奴らを撃退する
いつか奴らを倒し、ここに平和を取り戻すよ
それまで待っていて
パテーで会おう
「オルレアン方面が緊迫してきたな。ここからの動きは大事になるだろう」
改竄世界史火刑戦旗ラ・ピュセル。オルレアン地方に降り立ったエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は独白の如く呟いた。
(「何より、パテーは勿論、周囲の人達を巻き込む訳にはいかない」)
復讐者に復讐心を抱くキマイラウィッチ達が、狼藉を働くのは当然の事。
だが、其処に犠牲があってはならない。犠牲者の存在を許しはしない。
斯くして、彼は予知のあった集落へと急ぐのであった。
「皆、聞いてくれ!」
そして、数刻後。
集落の広場で声を張り上げる彼の姿があった。
「俺はディアボロス。あなた方の味方だ。実はキマイラウィッチが、じきにこの集落にやって来る」
強く訴える彼の周囲には、既に人だかりが出来ていた。
集落の住民達は、誰も彼もがエトヴァの言葉により足を止めている。それは残留効果【友達催眠】の力もあっただろう。だが、何より、エトヴァの切実なまでの真摯さが、人々の心を掴んでいた。
「キマイラウィッチらは理不尽な理由で容赦なくあなた方を責め立て、命を奪うだろう。彼らの恐怖は言わずともご存知の筈」
エトヴァの語る情景を想像したのか。住民達は不安げに顔を見合わせる。
だが、とエトヴァは断じた。そんな悲劇を起こさないため、自分はここにやって来たのだ、と。
「怖がらなくていい、大丈夫だ。パテーと言う街がある。ここはディアボロスが解放した街で、キマイラウィッチの手が届かない場所だ。パテーでならば、皆、安全に暮らせる」
だから、直ちにパテーへ避難して欲しい。
その訴えに住民達は……困惑と逡巡の表情を浮かべていた。
そう。誰しもキマイラウィッチの影には脅えている。だが、生まれ育った集落を捨てる事もまた、怖いのだ。
(「まあ、そうだよな」)
人々の不安に、エトヴァは同意と頷く。
これまで幾多もそんな人々の表情を見てきた。それは火刑戦旗ラ・ピュセルに限った話だけでは無い。ありとあらゆる改竄世界史で、そんな人々に触れてきたのだ。
「無理にとは言わない。だが、周りを見て欲しい。そこに大切な人はいないか。大切な家族は、友はいないか。皆は今、岐路に立たされている。大切な人を思い描き、そして、どうするかを決めて欲しい」
話はそこまでと言葉を句切る。
可能な限り訴えた。後は人々次第だ。
「ああ、手伝ってくれて有り難う」
人々への訴えを終えた後、自分を補佐してくれた村のまとめ役に礼を言う。不安げな表情を浮かべた中年男性は、それでもぺこりと頭を下げ、エトヴァへの礼を口にした。
「人々がパテーに向かうなら、案内を頼みたい。これが地図で、あと、こっちは少しだが、有効活用してくれ」
自身謹製の地図と、新宿島から持ち込んだ保存食、貴金属の類い。それら全てを全てをまとめ役に委ね、エトヴァは次の行動に移ろうとする。
「どちらに……?」
男の問いには、不安が滲み出ていた。
それを払拭するべく、エトヴァは柔らかな微笑を男へと向けた。
「皆が逃げる時間稼ぎを稼ぐ。俺が……いや、俺達が奴らを撃退する。後は任せた」
いくら【友達催眠】があっても、見知らぬ自分を彼が信じる道理は薄い。ならばこそ、自分が彼を、そして住民達を信じ、全てを託すのだ。
エトヴァの意図を受け取った男は、決意したように頷くと、広場に残る人々に対し、力強い声を発した。
「皆! 聞いてくれ! 私は、ディアボロス様の言葉に従い、パテーへ行くつもりだ。皆も一緒に逃げよう!!」
男の訴えを背景に、エトヴァは広場を去って行く。
全てが終わった暁にパテーで会おう。広場に残されたのは、その誓いだけ。だがそれは何事にも代え難い信頼の証しでもあった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
演技しつつ情報工作を仕掛けよう
◇情報工作
情報を漏らしたふりをし、拠点の方角を吹き込む
オルレアンより南方にディアボロスの拠点があると思わせる
あわよくば、ロワール川からオルレアンに攻め入ろうとしている情報も添える
北のパテーから目を背けさせる意味と
オルレアンの防衛を一方面に集中させたり、追撃部隊を街から出させられればいいが
◆行動
集落へやってきたキマイラウィッチ達を迎え撃つ
一人しかいないとわかれば、相手の優勢だろう
事前に街の位置とコンパスで方角を確認
オルレアンの南方の方角を確認
ここがオルレアンより北側なら、南を流れるロワール川へ目を向けさせたい所だ
地図から顔を上げ
キマイラウィッチに偶然遭遇した様子で驚きを隠しつつ
さりげなく南側に回り立ちはだかる
……!
こんな所にまで出張ってきたのか、魔女の尖兵どもは
お前たちはどこから来た……?
何をしに来たんだ?
ここには何もないぞ
焦った様子で適度に怪しませつつ
もう村人も逃がしたぞ、無駄だ
南の方角を見やり
もう少し時間を…とつぶやく
仲間はまだか?
「さて、と」
集落を後にしたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、周囲をぐるりと見渡す。
幸い、時先案内人の予知により、キマイラウィッチ共がどの方角から来るか判っていた。
そのまま進めば衝突は必至だが、それでもエトヴァは急ぎと南経由の大幅な迂回路を取る。
(「我ながら小賢しい演技だが……ともあれ、俺達の拠点の位置を誤認させておきたいのは事実だ」)
彼らが拠点化し、避難を呼び掛けたパテーはオルレアンから見て北西。そこから目を逸らしたいのであれば、自ずと選択肢は限られる。
如何に獣じみた外見をしていても、キマイラウィッチは獣では無い。狡猾かつ残忍な知恵を持つ歴史侵略者なのだ。ならば、ただ口で南を示唆しても、信じない可能性の方が高い。
故に、南から彼らに衝突するのだ。復讐者達の拠点が、オルレアンから南に存在すると、彼奴らに信じ込ませる為に。
(「何処まで通じるかは判らないがな」)
さぁ、ジル・ド・レ、とエトヴァは内心で呟く。
知恵比べと行こうじゃ無いか。
集落へ向かうキマイラウィッチの一団を見つけたのは、それから一刻程経過しての事であった。
直線では無く曲線で移動した為、エトヴァの顔は汗ばみ、息も荒い。これも長距離の移動を示唆させる道具と成り得るだろうか。僅かな嘆息を零し、そして、エトヴァは声を張り上げた。
「こんな所にまで出張ってきたのか、魔女の尖兵どもは!」
怒りに塗れた声であった。
復讐者とキマイラウイッチ。不倶戴天の敵同士の遭遇だ。この声が演技に聞こえる事は無いだろう。何せ、八割九割は本心からの叫びであった。
「何をしに来たんだ! ここには何も無いぞ!」
「お前達がいるんだ。何も無いと言う事は無かろう!」
一団の先頭を歩いていたアヴァタール級キマイラウイッチ『『屠殺者』オリヴィエ』がエトヴァに向き直り、ガハハと笑う。
その哄笑は聞くに堪えない下卑た物だったが、しかし、同時にエトヴァは確信を得る。
(「よし。釣れた」)
後は何処まで彼奴――否、彼奴の周囲を固めるトループス級達に信じ込ませるか、だ。
「お前達がいるということは、村人は逃がした後か。まあいい。俺達の目的はお前達を見つける事だ。話が早くて助かるな!」
「――ペラペラとよく喋る獣だな!」
図星を突かれたとばかりに、罵倒のみを紡ぐエトヴァ。
察しの良さに内心で舌を巻きつつ、だが、彼奴の台詞は此方も同じだと、首肯する。そして、刹那、視線を南方に送りつつも、オリヴィエに銃を突き付けた。
「そうだ。村人はもう既に逃がした。それがどうした?」
「そして自分達も逃げようとしたら、俺達に遭遇してしまったか。運が良かったな。ディアボロス! 村人を逃がしたいと言う思いだけは叶えてやろう」
にたり、とオリヴィエは笑う。下卑た哄笑は、下卑た嘲笑に転じ、そして、獣の赤い双眸がエトヴァを睨め付けた。
「ペラペラと喋りたくなるよう、拷問してやるぞ、ディアボロス!」
「……抜かせ。キマイラウイッチ! 俺が仲間を売るような下衆に見えるか!」
売り言葉に買い言葉。逡巡と罵声を交えながら、エトヴァは更なる声を張り上げた。
「ふん。その割には仲間の到着が恋しいようだな! 先程から後方を気にしているのは、何故だ? ディアボロス」
「だ、黙れ!」
残虐な笑みを浮かべるオリヴィエに、苛立ち混じりの声を叩き付ける。
「くっ。仲間はまだか――」
駄目押しの独白を彼奴はどう受け止めたのか。
ざらりとした笑みを浮かべ、そして、命じた。
「奴を捕らえろ。生きてさえいれば、どうしたって構わん。好きに食い散らかせ!」
オリヴィエの声に応じるよう、アラストルの乙女達はキシャーと化鳥の様な声を発した。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
シル・ウィンディア
汗をかいてはさすがにこの場合は難しいから、接敵前に細工が出来れば…
持ち込んだ水を顔にかけて、汗っぽくみせるよ。
服にも水がかかるようにして、汗っぽく染みさせる形ならより良いかな。
香水も付けて汗のにおいをごまかすようにしていると思わせてみるよ。
エトヴァさんを探しに来た様子で、南から戦場へ向かっていくよ。
戻りが遅いから気になって来たんだけど、これまた盛大なお迎えだね…。
村の人達はみんなに引き継いでしっかり避難させてきたよ。
だから、早く戻ろうよ。
キマイラウィッチさん、そろそろお暇させてもらいたいんだけど。
まぁ、ただで帰れるとは思ってないけどね。
でも、あなた達にわたさないよ。
この人はしっかりと連れて帰るから。
ここで一人の仲間も欠けさせるわけにはいかないからね。
この先のキマイラウィッチとの戦いのためにもっ!!
拷問でペラペラしゃべると思ったら大間違い。
それにね…。
ここでやられたり連れていかれたるとかしないから、わたし達。
やりたいなら、力づくでどうぞっ!!
タダじゃやられないからっ!!!
「戻りが遅いから気になって来たんだけど、これまた盛大なお迎えだね……」
化鳥の如き怪音の中、仲間に合流したシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)は、冷や汗と共にぽつりと言葉を零す。
ここまで走り回ったのだろうか。まるで雨を被ったかのように全身は濡れ、息も荒い。おそらくかなり遠方から走ってきたのではないかと推測されるような外見であった。
(「……って、誤認してくれると良いけど」)
実はシルの全身を濡らすそれは汗ではなく、ただの水だ。
合流前に自身に水をぶっ掛け、多量の汗を演出する目的はただ一つ。本当の拠点で、人々の避難地であるパテーの存在の隠匿だ。
汗の臭いがしないのが少々難点だが、それも香水で誤魔化している。目聡く狡猾なキマイラウイッチ達に何処まで通じるかは判らないが、攪乱には一役買うだろう。それが彼女の作戦であった。
「村の人達はみんなに引き継いでしっかり避難させてきたよ! だから早く戻ろうよ!」
「ほぅ……」
先の命令に続き、『『屠殺者』オリヴィエ』は目を細める。
其処に溢れる色は、喜びに富んでいた。
(「拷問相手が増えた……とか思っているんだろうなぁ」)
思わず嘆息しそうになるが、それは我慢。このまま彼をあしらいつつ、復讐者達に利を運ぶ。それが今のシルの役割だ。
「キマイラウィッチさん、そろそろお暇させて貰いたいんだけど」
「ただで帰れると思うか? ディアボロス?」
にたりと浮かぶ挑発的な笑みに、「ま、そうだよね」と肩を竦める。
キマイラウイッチと復讐者。遭遇すれば何が起きるかなど、火を見るよりも明らかなのだ。
「でも、あなた達に渡さないよ。この人はしっかりと連れて帰るし、村のみんなもそう。誰一人欠けさせるわけにはいかないからね。この先の、キマイラウィッチとの戦いの為にもっ!!」
「成る程。ならばこそ、俺達はお前を拷問にかけねばならんな」
カカカと笑う。
嫌らしい哄笑は、シルのみならず、全ての復讐者や一般人達を拷問する喜びに染まりきっていた。
「拷問なんかで私達がペラペラ喋ると思ったら大間違い! こんな所でやられたり連れて行かれたり屈したりする私達じゃない」
「拷問受ける奴はみんな、そう言うのだ!」
暴力や責め苦に屈し、崩れ落ちる者を多数見てきた。
悍ましき笑いが語る様子に、シルは嫌悪を浮かべ、そして断と言い放った。
「やりたいなら、力尽くでどうぞっ!! タダじゃやられないからっ!!!」
「ならば望み通り、助けを懇願するまで、いや、その先までも拷問してやろう。全てを吐いて貰うぞ、ディアボロス!」
オルレアンの大地に、復讐者とキマイラウイッチの咆哮が響き渡っていった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
シル・ウィンディア
方針:情報を伝えさせるためにトループス級は殲滅させずに行動。
エトヴァさん(g05705)と連携して行動。
わたしは、トループス級をできるだけ引き付けて、オリヴィエと戦っているエトヴァさんへの妨害をできるだけ阻止するように行動を行うよ。
天翔残影砲でトループスへ攻撃。
攻撃を行いつつ移動を開始するよ。
さ、あなた達のお相手はわたしだよっ!
出来るだけ目立つようにして攻撃だね。
時々、世界樹の翼type.Bから誘導弾も連射しつつパラドクス攻撃を併用。
一人でもかなり邪魔という意識を植え付けられたらそれでよしだね。
意識がこちらに向いたら…。
少しずつ、アヴァタール級から引き離すように移動を行っていくよ。
出来るだけ意図を悟られないように…。
ほらほら、そんな動きじゃ捕まえられないよっ!!
時々煽りながら、さらに意識をこちらに向けさせるね。
トループス級全員を受け持てればいいんだけど、何人かは残っちゃうかな?
それでも、全員残るよりは…。
程よく引き離せたら、固定砲台モードに移行。
攻撃しやすく見えるように立ち回るよ。
(「……大切なのは、勝ち過ぎないこと」)
身構えたシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)は、しかし、己に視線を集中させるトループス級アークデーモン『アラストルの乙女』達を見やりながら、内心で呟く。
(「情報を持ち帰らせる為、全滅させては駄目。だけど、『屠殺者』オリヴィエを倒す為には数を減らす必要がある」)
あくまで目の前のトループス級はアヴァタール級キマイラウィッチの護衛。相応に数を減らさなければ、キマイラウィッチ撃破に影響を与えるだろう。
だが、倒し過ぎて全滅させれば、欺瞞情報を持ち帰らせる事が出来ない。それでは本末転倒だ。
「さ、あなた達のお相手はわたしだよっ!」
ともあれ、とシルは空を舞う。
光の精霊の力を背中に生み出した対の翼に展開させた彼女は、そして、力を解き放つ。
それが、彼女の用いるパラドクスであった。
「光よ、我が手に集いて、すべてを撃ち抜く力を……。最大稼働、乱れ撃つよっ!」
シルから溢れ出た光が視界を染め上げ、アラストルの乙女達を撃ち抜く。
それが、先制攻撃となった。
「アアアアアッ!」
放たれるのは炎と雷。それらを躱し、魔法攻撃を叩き付けたシルは、宙を舞いながらアハハと笑う。
「ほらほら、そんな動きじゃ捕まえられないよっ!!」
「ギギギギギ!」
聞こえる歯噛みの音は取り敢えず無視。全てを意識したらこんなアクロバティックな動きは出来ないとばかりに両翼に力を込め、空を駆けて行く。
「貴方達なんて、私一人でどうにでも出来るんだから!」
無論、その文句はハッタリだった。如何にシルが魔法少女――否、魔砲少女として名を馳せた復讐者と言えど、単独で全てのトループス級と渡り合うことは困難である。パラドクスを紡ぎ、その数を梳り、叩き落とすだけが精一杯。
だが、此度の戦いの目的はそれでは無い。アラストルの乙女達の意識をシルに釘付けにすることのみが、彼女の狙いであった。
(「そして、引き剥がす――」)
改竄世界史火刑戦旗ラ・ピュセルの空を飛び、パラドクスを叩き付ける。
迸る光に対し、放たれた地獄の炎と雷を受け止め、或いは受け流して致命傷を避ける。
彼女の戦いは全て、『屠殺者』オリヴィエと戦う仲間を補佐する為の物。その為にシルは空を駆け、魔砲を放つのだ。
「ほらほら。貴方達の憎いディアボロスはこっちだよ? それともキマイラウィッチ程憎しみとか怨みとかないのかな?」
復讐者の乙女が聞いて呆れる。笑顔と共に紡がれた文句は、彼女達を逆上させるのに充分であった。
「シャアアアッ!」
声にならない叫びと共に、再度地獄の炎雷を召喚した彼女達は、シルへそれらを叩き付ける。
だが、致命には程遠い。ただ、光の羽根を焦がし、炎と雷の軌跡を空に刻んだだけであった。
「ははっ。流石に怒った? でも――全然足りないよ!!」
煽りは怒りを呼び、怒りは無闇な吶喊へ転化していく。
それらを受け止め、或いは破壊しながら、シルは快活な笑みを浮かべ、そして、更なるパラドクスをアラストルの乙女達へと解き放っていった――。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
宮武・玄
(トレインチケット)
ゼタ・ドゥーリヤ
(トレインチケット)
「ちっ。アークデーモン共め」
はるか上空へと飛び出していった護衛達を見やり、アヴァタール級キマイラウィッチ『『屠殺者』オリヴィエ』は舌打ちした。
安い挑発に乗り、早々に護衛の仕事を放棄した彼奴らに、不満の声が零れたが、仕方ないとそれを飲み込む。
所詮、彼奴らは悪魔。滅びた改竄世界史から逃げ出した者、敗残兵だ。そんな奴らに真っ当な思考を期待する方が無駄だと、呵々と笑った。
「ならば、此方は此方で愉しませて貰おうか」
大剣の切っ先を地上に残った復讐者達へ向ける。
そして、黒山羊の下半身で地面を蹴り、彼我の距離を詰めていった。
「いいよっ。ボク達が相手になるよ!」
迫り来る大剣を前に、しかし、宮武・玄(冷光のシグナル・g00677)は拳を旋回。その側面を弾き、切っ先の軌道を逸らす。
「――……いくよっ」
そして、その場でくるりと回転した彼女は、そのままオリヴィエの横っ面に己が回転脚を叩き付けた。所謂回し蹴りを側頭部に受けたオリヴィエは、その場で唸り、踏鞴を踏む。
「おのれっ!」
「まだまだっ!」
玄の連撃は終わらない。それを可能にする程、彼女は己が体幹を鍛えに鍛えていた。
拳。掌底。手刀。裏拳。
前蹴り。旋風脚。浴びせ蹴り。膝撃ち。
緩急と共に幾多も織り成す打撃は、むしろ芸術品の如き輝きを放っていた。
「こりゃ、負けてられないね!」
其処に続くのはゼタ・ドゥーリヤ(星の雫・g03218)であった。舞うようにパラドクスを紡ぐ玄の影から飛び出した彼女は、猛毒を宿らせた打撃武器を構え、そのままオリヴィエへと振り下ろす。
ぐしゃりと響いた潰れる音は、鎧の隙間からその切っ先が潜り込んだ証左だった。
「当たればいいんだよ!」
微塵に砕けよとばかりに、何度も殴り突けるゼタに、オリヴィエはがああと悲鳴じみた叫びを零した。
そして。
「調子に乗るんじゃねーぞ。ディアボロス!!」
咆哮と共に、山羊の身体が旋回した。
蹴りは殴打に体勢を崩すゼタを捕らえ、そして宙を舞う玄の身体をも捕らえ、虚空へと弾き飛ばす。
その蹴打にしかし、二人は逆らわない。敢えて弾き飛ばされ、共に地面を削りながらも足から着地。刹那に視線を交わした二人は、頷き合うと、再度、オリヴィエへと取り付いていく。
「くそがっ。しつこいんだよっ!」
苛立ち混じりの叫びが向く先は、おそらく、自身を攻撃する玄とゼタではなかった。
(「そうだよね。こういうのを捌くのは護衛の仕事だとでも、思っているよね」)
オリヴィエの視線をなぞり、玄は内心でふふりと笑う。
そう。玄は理解している。おそらくゼタの内心も同じだろう。
己が攻撃がオリヴィエに対して有効に働いているのは、その実、彼の護衛を引き剥がしたが故にだ。この辺り、それを為した仲間の功績が大きい。
つまり、このキマイラウィッチはまんまと仲間の策に乗せられたのだ。
だが、それを告げる理由は何処にもない。そのまま苛立ちと共に滅んで貰う。
二人は挑発的な笑みを浮かべると、拳と蹴り、そして打撃武器をオリヴィエへと叩き付けていった。
「全てを守るため、私は戦う」
「倒れろ、キマイラウィッチ」
己が心情を叫び、攻撃を繰り出す二人に蹴打を叩き付けながら、オリヴィエもまた、叫ぶ。
「上等だ、ディアボロス! てめぇら纏めて拷問してやる。拠点とやらを吐いても終わらせん! 全て吐き出させ、廃人にしても尚、玩具として遊んでやるよ!」
下卑た咆哮と哄笑が響く。若き復讐者二人はそれを受け、嫌悪の表情を露わにしていた。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【落下耐性】LV1が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
方針:情報を伝えるため、トループス級を倒しきらないようにしつつアヴァタール級を分断
シルさん(g01415)と連携し行動
仲間と連携を取りつつ、シルさんに合わせ行動開始
俺は名指しでオリヴィエの注意を引きつつ挑発を交え、徐々に護衛から引き離す
貴様がオリヴィエか?
噂には聞いたことがある
随分、物騒な獲物を振り回す……拷問でも好きそうな様子だな?
だが、残念だったな
もうここには誰もいないぞ。その拷問の腕も、発揮されることなく貴様はここで倒れる
それとも俺に復讐して見せるかい?
――できるものなら!
クロスボウに幻惑の矢を放ち、PD攻撃
戦いながら常に間合いを取るようにして、シルさん側の護衛から引き離そう
戦場、敵の動きや視線を観察しつつ把握
よそ見をしそうなタイミングでさらに矢を撃つ
また残りの護衛の位置取りも把握し、会話の合間にすかさず隙間を通すように攻撃
周囲に樹々などあれば、遮蔽にして動きを掴ませにくくし多勢に対処
油断せず、敵の攻撃には魔力障壁を張り防御
タワーシールドを構え、竜巻の勢いを相殺する
ユーフェミア・フロンティア
貴方が皆さんの帰りを邪魔しているのですね。
村の人達を安心させるためにも早く帰りましょうよ。
…帰していただけないなら、貴方にはここで退場してもらうしかないですよね。
微力ながら力になりますよ。
聖杖を両手で構えて、オリヴィエへ向かって構えます。
トループスは抑えていただけると信じて…。
オリヴィエに向って走っていき、パラドクス:神火聖炎剣を発動。
杖から炎を生み出して、刀の形にして一気に振り切ります。
神火の刀、その身で味わってくださいっ。
攻撃後は、いったんバックステップで間合いを取り、ヒット&アウェイを心掛けて攻撃を仕掛けます。
敵パラドクスに対しては、聖杖を回転させたり、髪飾りの結界術で致命箇所の防御を重点的に行いますよ。
ガードアップの効果も借りて、ダメージを抑えるように立ち回りますね。
オリヴィエ、貴方の悪意を村の人に向けさせるわけにはいきません。
だから、ここで止めて…。
いえ、滅ぼさせてもらいますよ。
避難先で待っている、村の人達の安全のためにもっ!
「――光、守護と成せ」
「神火よ、聖なる炎を刃とし悪しきものを断ち切れっ! 炎の刃で一刀両断ですっ!」
オルレアンを望む戦場に、二つの色が舞う。
一つは青白い闘気。それは弩弓の矢を染め上げ、残像と共にオリヴィエの身体を穿ち、貫いていく。エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の放つパラドクスであった。
もう一つは朱色の神炎。ユーフェミア・フロンティア(光彩聖姫・g09068)の聖杖を染め上げたそれは、彼女の操るままにオリヴィエを殴打。その身体に傷を刻んでいく。
「村人を安心させるために、早く帰りましょう。――帰して戴けないなら、貴方には此処で退場して貰うしかないのです」
仲間達への呼び掛けだろうか。
ユーフェミアの真摯な言葉に、オリヴィエの罵倒じみた咆哮が重なった。
「五月蠅ぇ! 俺がお前達を連れて帰るんだよ!!」
「果たして、何のためにそれを行うか覚えているかな? 頭に血が上り、拷問のことしか考えていないように見えるが」
罵声を上げるオリヴィエに、随分と拷問が好きそうに見えると、エトヴァは鼻で笑う。
これはむしろ、自身等に意識を集中させる為の挑発だ。
護衛たるアラストルの乙女達は仲間が引きつけている。だが、もしかしたら、アヴァタール級であるオリヴィエの一言で、この場に戻ってくるかも知れない。
ならば、そこまでの思考回路を断つのも、自分達の仕事だ。
「だが、残念だったな。その拷問の腕も、発揮されることなく貴様はここで倒れる。それとも……」
何時だって、キマイラウィッチの害意が向くのは、一般人ではない。
エトヴァ達復讐者なのだ。
その筈だ。
「ここで俺に復讐して見せるかい? 出来る物ならやってみろ、と言ってやろうか!」
「そんな事はさせません。私が居る限り、村人を、仲間を害させる事なんて!」
エトヴァの嘲笑に、ユーフェミアの決意が重なる。
二人の言葉に返ってきたのは、オリヴィエの激昂じみた叫びであった。
「黙れっ! ディアボロス如きが!! 虫唾が走るんだよ!」
彼奴が冷静さを失っているのは、誰の目にも明らかであった。
気付かないのはオリヴィア本人のみ。
自身等の策の成功に、エトヴァは静かな笑みを湛え、共に戦うユーフェミアへこくりと首肯を示した。
赤い炎が舞う。蒼い光が奔る。剣戟が翻り、血霞が周囲を染め上げる。
繰り出される幾多のパラドクスは、エトヴァを、そしてユーフェミアを傷付けていく。
だが、致命傷には至らない。紙一重で躱し、或いは刃生む聖杖で受け止め、そして、返す刀でパラドクスを叩き付けていく。
大きく傷付くのは、その二人が対峙するオリヴィエのみだ。焦燥に表情を染め上げた彼は、苛立ちと共に大剣を旋回。二人を斬り裂くべく、地面へと振り下ろす。
それでも――。
「ちょろちょろと動き回るな! 人間風情が!」
正確に言えばユーフェミアのみが人間で、エトヴァは天使だが、それは些細な問題だ。
罵倒としての『人間』は、超越者たる歴史侵略者ならば、当然と言える文句で、しかし、とエトヴァは笑う。
「随分余裕が無くなってきたようだな! 人間風情に傷付けられて自尊心もズタズタと言った処か。それとも……『人間風情に』舐められていることが、苛立ちの原因か?」
「五月蠅ぇぇぇ!」
挑発に、面罵と斬撃が返ってくる。
それらを躱し、或いは受け流しながらエトヴァは短矢を射出。キマイラウィッチの鎧を血肉ごと打ち砕いていく。
「貴方が人間風情と言った私達が、貴方を討ちます!」
そして、神炎が舞う。
ユーフェミアの一刀はオリヴィエの肩口を捕らえ、そのまま袈裟斬りに振り下ろされる。その途中の心臓を捕らえ、そのまま、神の炎は山羊と人間の結合部じみた腰まで、走り抜いていた。
「貴方の悪意を村の人に向けさせるわけにはいきません。だから、ここで止め――いえ、滅ぼさせて貰います! 避難先で待っている村人達の安全の為にも!!」
それが、叩き付ける最後の台詞であった。
ユーフェミアの一刀によろよろと後退したオリヴィエは、その刹那、己の終焉を知る。
己に向けられた弩弓の先端が、その先に輝く魔力矢の鏃が、己が終焉を彩る得物だと理解した刹那、引き鉄は引かれていた。
「お前の行こうとした道の、その先へ俺は行く。――此処で滅べ、オリヴィエ。跡形も無く!」
エトヴァの放った魔力矢は、寸分違わずユーフェミアが刻んだ傷口へと飛び込んでいく。
その狙いは、オリヴィエの脈打つ心臓。それと穿ち、砕き、ぐしゃりと押し潰していく。
かはり、と呼吸が漏れた。
それが、アヴァタール級キマイラウィッチ『『屠殺者』オリヴィエ』の最期だった。
「気に食わねぇ。クソが……」
断末魔も、罵倒のみを纏い、そして、オリヴィエは果てていく。
その最期を看取りながら、エトヴァとユーフェミアはふぅと大きな呼気を零していた。
ぎゃぎゃっと叫び声がオルレアンの空に舞う。
魔法――否、魔砲の光が一閃し、しかし、それで仕留め切れなかったアラストルの乙女達が、方々と四方八方へと散っていく。
おそらく主であるオリヴィエの死を知ったのだろう。ならば、彼女達の役割は主の主――ジェネラル級キマイラウィッチ『ジル・ド・レ』へ、ここまでの一切合切を報告することだ。其処には復讐者達が告げた欺瞞情報も含まれている。
(「それをどう受け止めるかは、ジル・ド・レ次第か」)
感情的な部下と違い、狡猾なキマイラウィッチを何処まで騙し通せるか。
それは祈るしかないな、とエトヴァは表情を歪めるのみであった。
「それでは、帰りましょう」
今頃、パテーに移動した村人達が、再会の約束を心に抱き、復讐者達を待っている筈だから、とユーフェミアは微笑する。
彼らに顔を見せ、安心させるのも復讐者達の大事な仕事なのだ。
「ああ、そうだな」
こくりと頷いたエトヴァは、空から戻ってくる仲間に視線を向けながら、そして目を細めた。
彼の視線の先には、いつもと変わらない改竄世界史の空が広がっていた――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!