リプレイ
黄下・泉
アドリブ、連携は歓迎
話聞くにも着いてこさせないにも不自然じゃない理由……うーん。
なあなあおっちゃん、ちょっといいか?
……あ、その旨そうな魚、一匹焼いてくれない?
お代は銭で良いかな、薬(排斥力に排除されない物資)も何種類かあるけど。
って、本題そっちじゃなかった。
最近、この辺で怪しい奴ら流れてきてないか?
それか、人気のないはずの所に何か住み着いた、みたいな話とか。
いやさー、この前、仲間と一緒に居た時に野盗とモメて潰したんだけどさ……一部に逃げられちゃってさ。
手分けして探してるんだよ。
見落としで村が襲われた、とかなると寝覚め悪いしさ。
ってわけで何か知らない?
怪しい影を見たとか、人のいないはずのとこに火が灯ってたとか、何でもいいんだ。
……あー、道案内は遠慮するよ。
あたしが見つかる分にはともかく、村の人がいたら『村に知られた』ってなる。
そうなったら、あたしが仲間呼ぶより先に、行き掛けの駄賃で村を襲ってから逃げてやるってなるかもだし。
あたしは何とでもなるんだ、これでも腕っぷしと逃げ足には自信がある。
●漁村にて
海から吹く潮風が、髪や肌の表面を、ゆったりと撫でてゆく。
のどかな漁村へと訪れた黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)は、浜辺で魚を捌いている村人たちへと話し掛けた。
「なあなあおっちゃん、ちょっといいか? ……あ、その旨そうな魚、一匹焼いてくれない? お代は銭で良いかな、薬も何種類かあるけど」
排斥力に排除されない、時代に合った品々を見せる。
「こりゃいい品だ。お前さん、旅商人かい?」
「うん、まあそんなところ」
村人の思い違いを泉は否定せず、逆にそうだと頷いた。都合の良い思い違いに、乗っからない手はない。
泉が旅商人であるとすっかり信じきったらしい村人が、獲れたての魚を一匹串に刺した。
「待ってな。すぐに焼いてやっから」
慣れた様子で火を起こし始める村人の背中へと、泉は再び声を掛ける。怪しまれない入りは成功。ここからが本題だ。
「もうひとつ、聞きたいことがあってさ。最近、この辺で怪しい奴ら流れてきてないか? それか、人気のないはずの所に何か住み着いた、みたいな話とか」
「怪しい奴ら?」
首を傾げる村人へと、泉はさらに続ける。
「いやさー、この前、仲間と一緒に居た時に野盗とモメて潰したんだけどさ……一部に逃げられちゃってさ。手分けして探してるんだよ。見落としで村が襲われた、とかなると寝覚め悪いしさ。ってわけで何か知らない? 怪しい影を見たとか、人のいないはずのとこに火が灯ってたとか、何でもいいんだ」
村人たちは互いに顔を見合わせた。やはり、心当たりがあるようだ。彼らの返答を、泉は静かに待つ。
一人が、村の出口を指差しながら口を開いた。
「出口から海沿いを行った先に、守り神様を祀ってる洞窟があるんだがな。そこで妙な影を見たぞ。村の子供も、火が揺れてるのを見たらしい」
「それはいかにも怪しいな……行ってみるよ」
泉は村の出口へと目線をやった。歩き出そうとする彼女を、村人が呼び止める。
「あんた、ここの土地は初めてだろ? 近くまで案内しようか?」
村人の言葉に、泉はゆるく首を横に振った。
「……あー、道案内は遠慮するよ。あたしが見つかる分にはともかく、村の人がいたら『村に知られた』ってなる。そうなったら、あたしが仲間呼ぶより先に、行き掛けの駄賃で村を襲ってから逃げてやるってなるかもだし」
「確かにそいつはまずい。俺らは魚は捌けても、人は捌けねぇから……」
どこか不安そうに言う村人たち。彼らを落ち着かせるように、泉は力強く言葉を紡いだ。
「もし野盗が洞窟に居たら、村に手出しできないように懲らしめてやるさ。これでも腕っぷしには自信がある」
「そういうことなら、気を付けて行ってきてくれ。魚はちゃんと焼いておくからよ!」
泉の頼もしい佇まいに、村人たちは安心感を得たようだ。彼らにお礼と別れを告げ、泉は洞窟へと向かう。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
●洞窟に潜む天魔武者
村の守り神が祀られている祠があるという、海沿いの洞窟。
村人から場所を聞き出し、ディアボロスはその洞窟へと訪れた。
洞窟の中は一本道になっており、天魔武者たちは祠がある地点よりも奥に隠れている。
長期的に身を隠すのに適した、広めの空間があるようだ。
耳を澄ますと、洞窟の奥から声が聞こえてくる……。
「暗くてジメジメしていて、気が滅入ります……」
「弱音を吐くな。今はただ静かに身を隠し、好機を待つのだ」
気が滅入ると弱音を吐くのは『腰元天魔武者』か。そして、そんな配下を叱っているのが『いろは姫』だろう。
彼女たちは、ディアボロスが洞窟に訪れたことに気付いていない。
黄下・泉
アドリブ、連携は歓迎
よーし、場所は特定できたし、悪戯坊主が着いてきてる様子もない、ヨシッ!
見張りは出すと逆に見つかる確率が上がるし、村人が祠の所までは入ってるから洞窟の外には居ないはずだと思ってたけど案の上か。
奇襲できるに越したことはないし、音はなるべく殺して【完全視界】を使って無灯火で潜入だ。
祠を壊したくはないし、開戦は奥の方が良い。
十分近づいたら一気に攻勢に出る。
式神結界なら敵の火炎放射の余波も祠まで届かせずに止められるだろうから丁度いいし。
士気は高くないし、動転してる間に立て直せないほど叩ければいいんだけど。あわよくば一気に殲滅まで。
……それにしても、こんな狭い所で火炎放射とか。
ディアボロスが一般法則破壊できなきゃ窒息が怖い所だったよな……。
物語じゃ逃げ延びて隠れ潜む姫さまの所に攻めてくるのは悪漢なんだろうけど。
クロノヴェーダ相手だからー……覚悟してくれ。

零識・舞織
アドリブ・連携歓迎です。
場所の特定をしてくれた方に感謝しつつ敵の討伐を行います。
【完全視界】のおかげで暗い洞窟内でも問題はありません。
更に狭い洞窟内を【飛翔】による低空飛行で素早く敵に近づきます。
相手の数も少なく加えてこんな洞窟内を飛んでくるなんて予想しないでしょうから隙も作れるはず。
相手が火を扱うならその火を吹き消すほどの暴風でお相手しましょう。
パラドクスですからダメージは防げないにしても炎を吹き消して延焼を防ぐくらいは出来るはずです。
私一人では殲滅まではいけなくても他の方が居るならそこまでいけるでしょうから協力できるよう立ち回ります。
正直洞窟に逃げ延びたお姫様とお付きの女中を追い詰めるというシチュエーションは完全にこっちが悪役なんですがまぁ今まで民草を虐げてきた報いとでも思って受け入れていただきたいところですね。
●闇を貫く急襲
洞窟の奥から届く声に、ディアボロスたちは耳を傾ける。気付かれないうちに接近して叩く絶好の機会だ。
「よーし、場所は特定できたし、悪戯坊主が着いてきてる様子もない、ヨシッ!」
後方確認はバッチリだ。黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)は小さく呟いて、前方へと鋭い眼差しを向ける。
「場所の特定ありがとうございます。早速、討伐とまいりましょうか」
同じく小声で囁き、零識・舞織(放浪旅人・g06465)も洞窟へと足を踏み入れた。
彼らは足音を潜めながら歩を進める。完全視界を用いることで、暗闇に影響されない状況は確保済みだ。
(「見張りは出すと逆に見つかる確率が上がるし、村人が祠の所までは入ってるから洞窟の外には居ないはずだと思ってたけど案の上か」)
必然的に洞窟の奥で戦うことになるが、祠を巻き込んで戦うよりはずっと良い。
暗闇の奥から、チラリと松明の光が見えた。天魔武者が光源として使っているものだろう。炎に照らされ、天魔武者たちの姿が赤く浮かび上がった。
今いる場所が、気付かれないギリギリの地点。
(「暗く狭い洞窟……隙を生み出すための環境は整っています。あとはそこに、風を吹かせるだけです」)
舞織は飛翔を発動する。洞窟の形状に合わせて低空で飛行し、瞬く間に敵へと肉薄する。
突如として飛来した舞織に、腰元天魔武者たちが声を荒げた。
「!? 何奴……!」
「敵襲!? 姫様をお守りせねば……!」
慌ただしく薙刀を構えようとする彼女らへと、舞織は容赦なくパラドクスを叩き込む。
「妖に堕とされし龍神よ。その怒りを暴風に変え敵を屠れ!」
開かれた『妖怪伝承書』から解き放たれるのは、かつて神から零落した妖。天候を操る力が暴風を生み出し、洞窟内を搔き乱した。
腰元天魔武者たちが吹き飛ばされ、洞窟の硬い壁へと激突する。激しい風の中で悠然と立ち、舞織は穏やかに紡いだ。
「こんな洞窟内を飛んでくるなんて、思いもしなかったでしょう?」
暴力的なパラドクスとは対照的な声色が、洞窟内にゆったりと響く。
そのギャップに、不意打ちを喰らった腰元天魔武者たちが恐れをなした。その動揺は、泉の攻撃でさらに膨らむことになる。
「洞窟よりも、もっと狭い場所に閉じ込めようか」
泉は『攻性式神結界』を展開し、敵を結界の中へと閉じ込めた。続けざまに、術式の力を宿した式神を結界内へと放つ。
「行け、式神たち。囲った敵を叩き伏せるんだ」
式神は結界に囚われた敵へと体当たりし、その体に衝撃を与えていく。
ただでさえ低い士気をさらに叩き潰すかの如く、式神たちは猛烈な攻撃を繰り出した。
「ぐあぁっ!」
「こ、このままでは死んでしまう……!」
悲鳴じみた声を上げる彼女らへと、いろは姫が叱咤する。
「情けない声を上げるな! 臆せずに戦え!」
「は、はいっ……!」
「必ずや姫様をお守りしますっ!」
いろは姫の言葉に、薙刀を握り直す腰元天魔武者たち。奇襲で満身創痍だが、それでも攻撃せんと尻尾を振り上げる。
内臓された火炎放射器の発射口が、ディアボロスたちへと向けられた。
『狐火放射』の予兆を感じつつ、泉は思ったことを率直に口にする。
「クロノヴェーダの階級的にも士気的にも、姫さまの方が強いじゃないか……」
どうあれ、たとえ姫より弱くとも、『守ること』は彼女たちの務めというわけか。
どこかで見たような既視感を感じる展開に、舞織も何とも言えない表情を浮かべる。
「何でしょうね。この、いかにもこちらが悪役です、とでも言いたげな流れは」
火炎が噴き上がり、ディアボロスたちへと襲い掛かる。二人は互いにパラドクスを展開し炎を迎え撃った。
舞織は再び伝承書を開き、猛獣の如く荒れ狂う暴風――『妖怪写一目天津風』を洞窟内へと解き放つ。
「火で対抗するというなら、その火を吹き消すほどの暴風でお相手しましょう」
暴風は炎と衝突し、舞織に届くはずだった熱と延焼を緩和する。
敵の攻撃と同時、泉も攻性式神結界を再発動していた。敵を包み込む結界は炎の進入を妨害し、熱によるダメージを弱める。
(「……それにしても、こんな狭い所で火炎放射とか。ディアボロスが一般法則破壊できなきゃ窒息が怖い所だったよな……村人が付いてこなくて本当に良かった」)
敵が妨害によって最大火力を出せていないにしても、洞窟の中が炎で炙られていることには変わりない。
そして、腰元天魔武者たちの体力を、暴風と式神が削っていることも同様に。
「うう……っ」
「姫様、もう、立てません……」
限界に達し、腰元天魔武者たちが次々と倒れていく。
炎に熱された洞窟内にはディアボロスと、そしていろは姫だけが残された。
「敵わなかったか。臆しながらも、最後までよく戦った。……次は、我の番か」
覚悟を決めたように、武器を構え直すいろは姫。彼女へと、泉は真っ直ぐな眼差しを向ける。
「物語じゃ逃げ延びて隠れ潜む姫さまの所に攻めてくるのは悪漢なんだろうけど。クロノヴェーダ相手だからー……覚悟してくれ」
その瞳に迷いはない。相手の見た目がどうあれ、人類を虐げる『敵』であることには変わりないのだから。
泉と同じく、舞織にも躊躇いの感情は一切無い。躊躇いは敗北に繋がる――そのような感情は、戦いに必要ない。
「正直、洞窟に逃げ延びたお姫様とお付きの女中を追い詰めるというシチュエーションは完全にこっちが悪役なんですが、まぁ今まで民草を虐げてきた報いとでも思って受け入れていただきたいところですね」
因果応報とは、まさに斯様な事を言うのであろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
黄下・泉
アドリブ、連携は歓迎
……覚悟、決まってんなー。
アヴァタール級とトループス級の実力差を抜きにしても、この姫単体の方が厄介そうだ。
武家の心構えって奴かな?
まあいいや。クロノヴェーダとのんびり長々と話す趣味はないし。
一気に突っ込むよ。薙刀の薙ぐ間合いの内に飛び込めばあっちも戦い辛いだろ。
むしろ超々近接戦はあたしの得意だ。
全身の符で自己強化して、四肢の符で術式を宿した打撃での格闘戦。
相手が調子づく前に畳みかけるのを狙う。徹底的に分解してやるよ。
反撃は侮れないけど、刃に気を付けてれば致命的なダメージは受けないはずさ。
っても熟達してたら薙刀がどんな風に飛んでくるか分からない、警戒は怠らずに行かないとな。
倒せたら、排斥力で即追い出されるかな?
少しでも時間あれば、村のおっちゃんに安全だって言いに行くところなんだけど。
魚も食べてないしさ。

零識・舞織
アドリブ・連携歓迎です。
敵ながらお見事と言うしかありませんね。
ただここまで来たなら言葉は不用。お互い持てる力を尽くし決着をつけるしかありませんね。
そんな貴方に敬意を評して全力でもってお相手いたそう。
接近戦はお味方にお任せして私は遠くからその支援を行います。
人妖筆を手に取り素早く妖怪画を書き上げたらパラドクスを発動しそれを次々ぶつけます。
それでこちらに注意を向けられたなら上々です。
妖怪と武士の合戦というのは中々見応えあるものですがそれに気を取られないよう全力で対応します。ここまで来たら気力勝負ですからね。
最後まで諦めないその姿勢は敵ながらあっぱれと評するしかないですね。
とはいえここで貴女を生かせば災が残るだけですのでキッチリ止めはささせていただきます。
●覚悟との対峙
熱気が残る洞窟の中、ディアボロスといろは姫は対峙する。
報い。その言葉を聞いて、いろは姫は突き刺すような眼差しをディアボロスたちへと向けた。
「報いとやら、そう易々と受け入れるつもりはない」
配下を討ち倒されても揺るぎない彼女の意志を、黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)はひしひしと感じる。
(「……覚悟、決まってんなー。アヴァタール級とトループス級の実力差を抜きにしても、この姫単体の方が厄介そうだ」)
これが武家の心構えというものだろうか。ともあれ、敵とのんびり長々と話す趣味は持ち合わせていない。
泉は全身に貼り巡らせた符へと意識を向け、己の身体に強化術式を施す。
零識・舞織(放浪旅人・g06465)も『人妖筆』を手に取り、洞窟の暗闇へと筆を走らせる。
「敵ながらお見事と言うしかありませんね。そんな貴方に敬意を評して、全力でもってお相手いたそう」
ここまで来たならば言葉は不用。互いに持てる力を尽くし、決着を付けるのみだ。
「来い、ディアボロスども。我が武の真髄、とくと味わうがいい!」
いろは姫が言い放った。滞留しかけていた空気が、大きく動く。
「お望み通り行ってやるよ。近過ぎるなんて文句は受け付けないからな」
泉は風のように駆け、いろは姫へと接近する。その体には『再編術式〈有為転変〉』の力が注がれている。
四肢に術の力を宿し、『分解』と『変性』を成す術式を展開する。
「――解き、崩す。その体、徹底的に分解してやるよ」
拳を堅く握り締め、符に覆われた腕をいろは姫に向かって繰り出した。
ドッ――と鈍い音が響く。高速の鉄拳がいろは姫の体へと鋭く打ち込まれたのだ。いろは姫の体の一部が、ぐしゃりと崩れ落ちる。
「……重いな」
いろは姫が痛みに耐えながら呟いた。息を詰める彼女へと、泉は強気に返す。
「超々近接戦はあたしの得意だ。薙刀の間合いじゃ戦い辛いだろ」
「違いない。だが――どうとでもなる!」
いろは姫が数歩後方へと退きながら、薙刀を振り上げた。膨れ上がる殺気に、泉はとっさに飛び退く。
つい1秒前まで泉が居た場所を、薙刀が薙ぎ払った。空気を震わすほどの衝撃が、泉の体を揺らす。
(「空気を伝って衝撃が襲ってくる――たぶん、直撃すれば致命傷だ」)
やはり侮れない。元より警戒しているが、泉はさらに神経を尖らせた。一方でいろは姫も、燃えるような瞳を泉へと向ける。
「避けたか。だが、次は必ず――」
いろは姫の言葉はそこで途切れる。悍ましい悪鬼羅刹の咆哮が、彼女の声を掻き消したのだ。
舞織が描き上げた妖怪の軍勢が、いろは姫へと一斉に襲い掛かる。
『妖怪写百鬼夜行軍』は大きな顎を開き、鋭い牙を光らせ、いろは姫を引き千切らんと喰い付いた。
「最後まで諦めないその姿勢は敵ながらあっぱれと評するしかないですね。とはいえ……」
人妖筆を止めどなく動かしながら、舞織は言葉を続ける。
「ここで貴女を生かせば災が残るだけですので、キッチリ止めはささせていただきます」
妖怪たちの牙が、いろは姫の体を引き裂いた。いろは姫は苦痛に眉を寄せながらも、鋭い眼差しを舞織に向ける。
「具現化させた妖怪か。このようなもの、斬り捌いてくれよう!」
薙刀を掲げ、武者たちの幻影を出現させた。妖怪たちを蹴散らしながら、舞織へと突撃する。
妖怪と武士の討ち合い――まるで合戦の如き光景だ。その光景は舞織の興味を誘うが、彼が筆を止めることはない。
「中々見応えある光景ですが、残念ながら観賞している暇はありませんので」
筆跡から無数の妖怪が次々と創り出され、いろは姫と彼女に付き従う武者たちを堰き止める。
「そちらが武者の軍勢を差し向けるならば、こちらは絶えず妖怪たちを描き出しましょう」
幻影の一部が妖怪たちを突破する。舞織は彼らへと意識を向け、全力を以て攻撃を受け流した。
両者の攻防は熱鉄のように熱く、氷点下に咲く氷柱のように鋭い。
ひとつの間違いすら許されない状況の中、泉は疲労を誤魔化しながら精神を研ぎ澄ます。
(「この緊張感……少しでもミスったらこっちがやられる」)
いろは姫の荒い息遣いが、洞窟の中に響いた。
「はぁ、はあ……たとえ刺し違えてでも……討つ!」
一矢報いると言わんばかりに、いろは姫はボロボロの体で薙刀を握り続けている。
そんな彼女へと、舞織は静かに告げる。
「刺し違えてでも、ですか。心意気は買いますが、その願いを叶えさせはしませんよ」
討たれるべきは、天魔武者……いろは姫だけだ。泉も首を横に振り、いろは姫の願望を否定する。
「行けるかわからないけど、あたしにはまだ用事があるんだ。討たれるのは君だけさ」
時間が許すなら、戦闘後に村へ行き、安全であることを伝えたい。
二人の言葉に、いろは姫が吼えた。
「まだ、どうなるかはわからぬ!」
薙刀を掲げ、無数の武者たちを再召喚するいろは姫。舞織は彼女を視界の中心に捉え、人妖筆で再び空間をなぞる。
「貴女が倒れる未来を見届けるまで、何度でもお相手いたしましょう」
舞織が創り出す妖怪の軍勢が洞窟の暗闇を舞い、その波の隙間から泉が格闘術による一撃を叩き込む。
二人は反撃を凌ぎながら、着実にいろは姫の体力を削っていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
瀬鍔・頼門
覚悟は定まっているようだな。
天魔武者といえど死地に赴く気概を見せし以上、愚弄はせぬ。堂々とぶつかり合おうぞ。
無双馬を駆り、太刀による【岩清水ノ託閃】を突き放つ。
いろは姫の薙刀とぶつかり合う度に押し負けぬよう鐙を踏ん張り突き込む。
逆に押し込まれる気配があれば太刀で薙刀を受け流して力を分散させつつ、離れて仕切り直そう。
防御できる限りは鎧の大袖も傾けて薙刀の攻勢を軽減させたい。
そしてこちらも体力の尽きぬうちに【命中アップ】を意識していろは姫との決着の一撃を狙おう。
下総国のジェネラル級服部半蔵は最期までよくよく気概を見せた。だがそれも倒し、今ここは人の持ちたる国!天魔武者は一人とて潜ませるわけにはいかぬ!
天魔武者達を排除できたなら祠に一念祈念しておこう。
いつか帰還のその日まで、この地の人々が圧政なき豊かな生活を栄えしめたもうことを。
●終決
激しいパラドクスの応酬が、空気を震わせる。その激闘は散り際に舞う桜の如く、あるいは燃え落ちる楼閣の如く。
混沌を極めし戦場へと、瀬鍔・頼門(あかとき闢く忌刀舎人・g07120)は無双馬を駆り突入する。
「覚悟は定まっているようだな。天魔武者といえど死地に赴く気概を見せし以上、愚弄はせぬ。堂々とぶつかり合おうぞ」
太刀を抜き、いろは姫と対峙する。いろは姫は薙刀を構え、力強く言い放った。
「いいだろうッ、このいろは! 決して退きはせぬ!」
体中が激痛に苛まれているだろうに。だが、いくら弱っていようと容赦をするつもりは無い。
手加減など、武者である彼女を愚弄する事と同じである。刃の如き眼差しにて、頼門はいろは姫を睨み据えた。
「瀬鍔頼門、推して参る! 綾目草、共に征こうぞ!」
無双馬『綾目草』が呼び声に応え嘶く。硬い地面を蹴り上げ、目指すはいろは姫の心臓。
「下総国のジェネラル級服部半蔵は最期までよくよく気概を見せた。だがそれも倒し、今ここは人の持ちたる国! 天魔武者は一人とて潜ませるわけにはいかぬ!」
手元に闘志を集束させ、その先に在る太刀へと注ぎ込んだ。闘志は剣気へと転じ、眩い光を放つ。
「我が心中の八幡座より清水を徹(とお)す……!」
閃光と共に、『岩清水ノ託閃』を突き放った。
「なんの、これしきっ!」
『薙刀術』を繰り出し攻撃を受け止めるいろは姫。だがその腕は、近付く限界に軋み音を上げている。
打ち合いに押されぬよう、頼門は鐙を踏み締めた。太刀と薙刀が交わり離れる音が、幾度も響き渡る。
「その刀捌き、間違いなく強者とお見受けする。されど、こちらも負けるわけにはいかぬ!」
いっそう強く、頼門の太刀がいろは姫の薙刀へと打ち込まれた。
「く……っ」
いろは姫がバランスを崩す。その大きな隙を頼門は見逃さない。光の導きが、いろは姫の中心を指し示す。
剣気を宿した一刀を、寸分の狂いなく叩き込んだ。その衝撃は、いろは姫の心臓を確かに突き穿つ。
「ガ、ッ……!」
いろは姫は目を見開き、なおも薙刀を構えようとするが――。
「……決着はついた。人を害す天魔武者よ。その刃を捨て、静かに眠るといい」
そう、既に勝敗は決している。頼門が告げると同時、いろは姫の手から薙刀が滑り落ちた。
暗い洞窟内に金属音を響かせながら、いろは姫も冷たい地面へと倒れ伏す。最期の言葉は無い。糸が切れた人形のように、彼女は絶命する。
――天魔武者を葬り去ったことで、遠退いていた静けさが帰ってきた。
敵の討伐を終えたディアボロスたちは、祠がある位置まで戻る。頼門はそこで一度足を止め、祠の前に立った。
(「いつか帰還のその日まで、この地の人々が圧政なき豊かな生活を栄えしめたもうことを」)
神前にて深々と頭を下げ、彼は人々の幸福を祈念する。その願いは、村の守り神へと届いたことだろう。
かくして、ディアボロスたちは下総国に隠れ潜む天魔武者の軍勢を、またひとつ撃破するに至ったのである。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!