リプレイ
鬼歯・骰
【KB】
愛想はともかく、頼もしさってのを見せてやりゃいいんだろう
笑顔はツリガネに任せて渋い顔で水鉄砲を持つ
…喧嘩売ってんのかツリガネ
アンタみたいにへらゆるした作りじゃねぇんだよ
この訓練が終わった後で海に沈めてやるからちょっと待ってろ
花は上着の胸辺りにつけて個人戦でいく
ハルトヴィヒ達と会えたら挨拶がてら勝負を挑んでみようか
悪いな、ツリガネの言葉は無視していいぞ
2体1みたいな構図になるのは大人げねぇから先行くわ
つっても銃火器の取り扱いじゃ叶う気がしねぇっていうか
俺苦手なんだよな、銃
確り狙いを定めたつもりでも飛ばす水は明後日の方へ
真面目にやってるつもりなんだがなんでだろうなと、また渋い顔
岩陰に身を隠しながら出来るだけ近づいて、外さねぇような距離で撃ちたいところだが
そんな甘い相手じゃねぇわな
撃たれりゃなるべく派手に倒れるふりでもしてみるか
勝つ見込みがねぇなら相手に花を持たせた方が
それらしい演出にもなるだろ
俺達の分まで優勝目指して頑張ってくれよ
しかしこの水鉄砲、ここまで威力高める必要あったのか…?
鐘堂・棕櫚
【KB】
親しみを持ってもらうお仕事なんですね
骰さんわかりましたか、「こわくない」を演出ですよ
夏の光の下に映える笑顔をお出ししないと
ギャラリーの方々へは営業スマイル全開で手を振りつつ
花はパーカーの胸ポケットに挿しときましょう
何言ってんですか、訓練が終わったらご当地ご飯に行きましょうよ折角ですし
特に骰さんとチームを組むわけではなく、生き残りを掛けての個人戦へ
ハルトヴィヒさんこんにちは!お顔怖いですよスマイルスマイル!
真剣にギラつているお姿に思わず感心しつつも、つい余計な一言を
そして俺も勝負を挑みたいです、と骰さんが負ける前提の申し込みを
真っ向勝負だと本職の銃使いに勝てる気がしませんし
将を射んとすればの精神で先ずブレッツェルさんを狙……、ねら、
狙えませんねこんな可愛い子!!
照準ぶれぶれであっという間に勝負つきそうな気がします
やられる時は【浮遊】でも使ってスローモーションで倒れ込む姿を見せたら
観客さんに少しは楽しんで貰えますかね
…あ、いやこれ撃たれると本当普通に痛いですね?ウワー!
「愛想はともかく、頼もしさってのを見せてやりゃいいんだろう」
青い空を背に組み立てられた客席に大勢のギャラリーを迎えて、『試合』会場は熱狂の渦に包まれていた。そんな中、華やかな夏の浜辺には似つかわしくない渋面で、鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)はぼそりと呟く。水鉄砲を抱える姿が妙にさまになっているのは、職業柄というものだろうか。
親しみやすさ、とは大局に位置するその立ち姿に苦笑しつつ、鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)は努めて明るく――その朗らかな声色がまた、骰の神経を刺激するのだが――言った。
「だめですよ骰さん、親しみを持ってもらうお仕事なんですから。わかりましたか、『こわくない』を演出です」
「そういうのはアンタの専売特許だろ」
「まあまあ、今日は特別に特許貸与してあげますから、ね!」
夏の光の下には、爽やかな笑顔こそがよく映える。詰めかけた観客たちへ満面の営業スマイルで手を振れば、老若男女を問わず歓声が上がる辺り、人好きのする棕櫚らしい。喧嘩売ってんのかと毒づいて、骰は続けた。
「アンタみたいにへらゆるした作りじゃねぇんだよ。この訓練が終わった後で海に沈めてやるからちょっと待ってろ」
「怖っ。洒落にならないんでやめてもらえます? 俺は海の底よりご当地ご飯の方がいいです、せっかくですし」
受付で受け取った花を上着の胸ポケットにそれぞれ挿して、試合開始の笛が鳴ったらいざ、出陣。一斉に動き出した参加者たちに入り乱れながら、めざすのは入り江を取り巻くように茂る林の中だ。
「まずは森に身を隠して機を狙う。定石ですね」
「って、ついてくんのかよ」
チームを組んだ覚えはないぞと骰が睨めば、まあまあと答えにならない答えで棕櫚が笑う。そして木立を進むことしばらく行った、その時だった。
「!」
ビシュ、と鋭く水の鳴く音がして、傍らの木から樹皮のかけらがぱらりと落ちた。『銃弾』の出どころを追って振り返ると、茂みの向こうに一人、よく見知った顔が見える。
あ、と声を弾ませて、棕櫚は軽やかに片手を挙げた。
「ハルトヴィヒさん、こんにちは! お顔怖いですよ、スマイルスマイル!」
「悪いな、ツリガネは無視していいぞ」
いったい誰に吹きこまれたのだか、ギラギラとこちらを睨む氷晶の瞳は依然として、この催しを本気の『訓練』と思っているらしい。だが、それならそれで面白い物が見られそうだ。
ふ、と不敵に口角を上げて、骰は言った。
「なあ、どうせならひと勝負どうだ?」
「ああいいですね! 俺もぜひ挑みたいです、骰さんの後に」
しれっとこちらの敗北を前提に申し入れる棕櫚に、鬼のこめかみがぴくりと動く。だが青年――ハルトヴィヒは、ごく淡々として応じた。
「戦場じゃ敵が正々堂々仕掛けてくることの方が少ねえ。潰せる奴はその場で潰すのが定石だろ」
「……確かに、そいつはその通りだ」
二対一の構図になっては大人げないと思ったが、考えてみれば戦場では大人げも何もない。なるほど、とその意を汲んで棕櫚は言った。
「そういうことなら、一時共闘といきましょうか? あちらは一人と一匹ですし、真っ向勝負じゃ本職に勝てる気がしませんし」
「不本意だが仕方ねえな」
まとめて掛かってこい、と彼が言うならば、それは受けて立つしかない。先手必勝と銃を構えて、骰は素早く引き金を引いた――が。
「……えっ」
勢いよく銃口を飛び出した水の弾丸は、相対する青年を大きく逸れて明後日の方向へ飛んでいく。えっ? ともう一度繰り返して、棕櫚は憐れむような視線を骰へ向けた。
「骰さんって……もしかして、ノーコn」
「ブッ飛ばすぞ」
狙いはしっかり定めたつもりなのだが、どうにも銃の扱いは苦手だ。ますます渋い顔になって、骰は銃を構え直す。
(「外さねぇような距離で撃ちたいところだが……」)
そんな甘い相手じゃねぇわな――胸の裡で呟き撃ち出した水は、青年の横髪をわずかに掠め、樹木の表面で弾ける。その数歩後ろで片目を瞑り、棕櫚はライフル式水鉄砲の銃口を下げた。
「将を射んとすればなんとやらです。まずはブレッツェルさんを狙……、ねら……」
どうする? ライフル。
銃口に合わせて下げた視線は、浮き輪をつけて尻尾を振るパンツァーハウンドの円らな瞳にぶつかった。思わずヴッと唇を噛んで、棕櫚は上着の胸を押さえる。
「狙えませんねこんな可愛い子――!! あっ」
びすっ、と鋭い水音と共に銃を持つ手に衝撃が走り、照準がぶれた。かと思うと、水の銃弾が怒濤のように二人を目掛けて飛んでくる。
「あ、いやこれ撃たれると本当普通に痛いですね? ウワー!」
びすびす。びすびす――はらり。
息つく間もない連撃に、二輪のハイビスカスがあえなく地に落ちる。同時に水が尽きたのか、ハルトヴィヒは銃を下ろした。
「行くぞブレッツェル。補給だ」
「ワン!」
がさがさと草叢を鳴らしながら、一人と一匹の足音が遠ざかっていく。茂みの中に転がったまま、いててと呻いて棕櫚は言った。
「どうしたんですか骰さん。こんなもんじゃないでしょう骰さん」
「うるせえ。勝つ見込みがねぇなら相手に花を持たせた方がそれらしい演出にもなるだろ」
しかしこの水鉄砲、ここまで威力高める必要あったのか……?
地味にまだ鈍痛を訴えている胸と腹とをさすって、骰はぼやいた。二人の屍(死んでない)を乗り越えて進んだ彼がどこまで登り詰めるのかは、神のみぞ知るところである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
雑賀・黒詠
※誠司(g00115)と同行
※アドリブ、連携可
よしよし。傭兵で狙撃手たるワタシが活躍できそう……え、あくまで模擬で水鉄砲?
ふむ……とは言え競い合いなんだろう?だったらそれなりには本気でやらせてもらおう。
パラドクスは使用できないが、身体能力は普通よりも高い。
普通では見られない、白熱した水鉄砲戦争と行こう
では、扇動は頼んだよ。誠司。
ハイビスカスは髪飾りとして差しておこう
競技開始時、まずは遮蔽物。海が近い岩礁に身を隠しておこう
その間に誠司に相手をしっかりと引き付けてもらおう
的は背面にあるとは言えない為、完全に誠司に釘付けになった辺りで、視界外から滑り込み目標を狙い撃ちたいところだ
水の容量に余裕があるならば、砂を撃ち煙幕を張ったりもしてみようか
もしくは、敢えて明後日の方へ撃ち、視線がずれたところを狙い撃ちしたいね
水も有限だ、極力無駄撃ちはしない様にしたい。補給を晒せば狙われてしまうからね
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
黒詠(g07640)とチームを組む
【心情】
水鉄砲でゲリラ戦か。やってみる価値はありそうだな
罠はなしにしよう。一般人に見せていいもんじゃない気がする
それでも本気で挑まないとな
よしきた!任せておけ。黒詠も頼んだぞ
【行動】
ハイビスカスは胸に刺そう
できるだけ1人でいる相手や離れて孤立している相手を狙い挑発
逃げながら水鉄砲を撃ちつつ黒詠が隠れている場所まで誘導
胸のハイビスカスが狙われたら機械の腕で隠すように守る
片手で水鉄砲を撃ち
もう片手は防御に使えば攻防バランスよく行えるはずだ
片手撃ちはブレやすいが黒詠が当ててくれるのを信じて立ち回る
隙を見て水もすぐに補給
引き付けている間に節水すると策があるってバレそうだから総量は常に気にしておく
あえて水が無くなったように演技して不意打ちするのも良さそうだ
必要なら臨機応変に対処する
足元を浸す白波を撥ね散らし、降り注ぐ光の中を駆ける、駆ける。
左右から浴びせ掛けられる水の弾を掲げた機械腕で防ぎながら、荒田・誠司(雑草・g00115)は反転した。そして翻る黒い和装の袖越しに、己を狙う銃口を見定める。一発、二発と撃ち返して再び踵を返すその背は、好敵手たちを何処かへと誘い込むようだ。
(「できるだけ引きつけて――」)
胸に咲いたシフォンのようなハイビスカスは、真紅に黄色のグラデーションが掛かる夏の色。その花弁を守るように背を屈め、青年は濡れた波打ち際を走り抜ける。そうして辿り着いた岩場に飛び込んだら、今度は『彼女』の出番だ。
「今だ」
短く告げる声に合わせ、飛び込みざまに地に伏せた誠司と入れ替わるように、雑賀・黒詠(雑賀衆の末裔・g07640)が岩陰から躍り出る。追っていた標的の姿が視界から消えれば、追手の側には隙が生じるもの――それを見越しての作戦だ。
青に金、輝く二色の瞳で素早く状況を見極めると、迫り来る追手をカウンターで跳ね返し、どうだ、と黒詠は胸を張る。男のそれとは対照的な白い花を飾った艶やかな黒髪と、金糸の煌びやかな和風の水着は、欧州の人々にとってはこと魅力的な異国の装いに映るだろう。
「さすがだな、黒詠」
「これでも傭兵で狙撃手、だからね。だが一番は、誠司がしっかり相手を引きつけてくれているからだよ」
狙い甲斐があると笑って、黒詠は再び岩陰へ座り込んだ。戦国生まれの傭兵と、今は亡い鉄靴の帝国の諜報員。抜群のコンビネーションは、実戦は勿論のことこのような模擬戦でも大いに役に立つ。
水鉄砲を用いた訓練、などと聞いた時はどんなものかと思ったが、限りなく遊びに近いといっても競争は競争だ。易々と他に後れを取る気はない。たとえパラドクスを用いずとも、復讐者たちが高い身体能力を駆使して繰り広げる白熱の銃撃戦は手に汗握るものがあるようで、盛り上がる聴衆の歓声は入り江の片隅からでもはっきりと聞き取ることができる。
「さて、この後はどうする?」
ボルテージを上げ続けるギャラリーの期待に応えるために、何ができるか。窺うように尋ねて、黒詠は続けた。首を傾げれば長い結い髪が、ショールの肩からさらりと落ちて砂の地面にわだかまる。
「やはり普通では見られないような展開を、観客はお望みかな」
「かもしれない。でも、罠はなしにしよう。あれは一般人に見せていいもんじゃない気がする」
だがそれは決して、手を抜くということではない。
わずかに口角を上げて、誠司は覗き込む娘に信頼の眼差しを向けた。
「要するに小細工はなしで、本気で挑み続けるってことだ」
華やかなパフォーマンスがなくとも、伝えられることはきっとある。
らしいなと笑って、黒詠は応じた。
「では、私も本気でやらせてもらおう。引き続き陽動は頼んだよ、誠司」
「よしきた! 任せておけ」
休憩の時間も、そろそろ終わりだ。足元に寝かせた水鉄砲を拾い上げ、誠司はすっくと立ち上がる。
「その代わり、しっかり当ててくれよ」
「ああ、勿論」
軽く握った拳をこつりと打ち合わせて、誠司はひらりと岩を飛び越え、再び『戦場』に身を投じた。ここにいるぞと報せるように敢えて宙を撃ち抜けば、誘われた視線の主を目掛けて黒詠が狙い撃つ。補給時は極めて無防備になると考えると、極力無駄撃ちをしないことも肝要だ。阿吽の呼吸で頷き合い、縦横無尽に入り江を駆ける二人の姿は、観衆の眼に眩しくも消えない夏の記憶となって焼きつけられることだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
ゼキ・レヴニ
【まのもの《Bチーム》】
Aチームと対戦
迷彩水着とカモフラージュペイントのゲリラ戦仕様
まずはブリーフィング
索敵しつつ遮蔽がある林の高所を取りに行くぜ
アヴィシアの知性、ジズの膂力、そしておれの技巧がありゃ勝利は確実だ
いくぜ二人とも!
勿論審判への賄r…アピールも万全だ
勝てたら高級焼肉奢る旨事前に伝えてある
有利判定ヨロシク、とタオにウインク
おれは相手の習性を利用し誘き寄せて仕留める、デコイ作戦を決行する!
事前にコッソリ録音しておいたタオがサアシャを呼ぶ声を流し
アリア特注の突撃銃型水鉄砲を手に、匍匐で待ち伏せ
狐耳発見!クク、ホイホイ現れちまって
しかしサアシャ、いつの間にあんなに寸胴に…スペイン料理が余程旨かったんだな
だが戦争に慈悲はねえ、全軍突撃ィ!…って銀シャリ!?
ミイラ取りが云々にならん内に遮蔽に飛び込む
結局乱戦んなったが、望む所
アヴィシア前衛、ジズ後方支援か。アレッ、思ってたのと反対…
まあいい、おれは中距離から弾幕を張り牽制するぜ
すばしこいなクーガ、アリア殺意高ぇ!?
あすまんタオ、流れ弾が
クーガ・ゾハル
【まのもの《Aチーム》】
対Bチーム
ゴーグル、サンダル、ヨシ
すごいぞアリア
じゃあ、おれはこの、なんかたくさん出るやつ
ガトリングタイプを装備、花はゴーグル端に差し
サアシャ、今のうちにタオにアピールだ
よくわからないが、なんか効く気がする、たぶん
あとゼキって、こういうののプロだよな
じゃあ、えーと
プロならぜったいやらない
ドタバタ・マルゴト・センメツ作戦だな!
(意味不明な握りこぶし)
ニセオトリとは、コソクだぞ
がんばれ銀シャリ、スキをつくってくれ
……アヴィシアって、あんなキョーアクな感じだっけ
なかなかやるな――はっ!
殺気にふりむけばジズ
ジズは術もコブシもやばいし、ケレイもやばいが
これはエジプト対決、まけられないぞ
猛ダッシュで樹々や岩の遮蔽物へ
次々移動しながらガトリング・水
アリアの水手榴弾をスマッシュして軌道変化
時々パラドクスをまじえて一瞬猫が飛ぶパフォーマンス付
みだれうちだ、くらえー
ゼキはとくに、ハチのスにするぞー
あの赤い影
そうだ、まだあそこに狙うべきやつがいたな
タオにショージュンをあわせる
アリア・パーハーツ
【まのもの《Aチーム》】
覚悟しろ、Bチーム!
「武器」はボク様にお任せあれ
大人げない武器商人、遊びでも本気で仕入れた模様
ハンドガン、ライフル、ガトリングに長距離系と色々な電動式を取り揃え
水量も改造して重すぎない程度に増量済
水鉄砲?ノン、ウォーターガンだ!
好きな物をどうぞー(Bチームの人も手招く)
連射式&飛距離10m以上あるマシンガンタイプをチョイス
貯水タンクも腰にぶら下げて、ハイビスカスは左胸につけて準備完了
2人ともすばしっこいし…先手必勝が好き…
というわけでスピード勝負でもしてみる?
ボスのゼキさんを殺せば、……倒せばいいのか(物騒)
テアタリシダイ・センメツ作戦も悪くないぞ
身を潜めつつ手榴弾(風の水風船)を投擲
誘導したり息を潜める耐久戦も好き
クーガ君ナイス!
サアシャちゃんデコイの銀シャリ可愛い
ホホジロザメを召喚するパラドクスで強襲したり水浸しにしてやろう
ちっバレた!
アヴィシアさんが突っ込んで来るんかい!
なんか狙撃された?!ジズか!
手あたり次第乱射するから審判に当たっても仕方ないよね?
ジズ・ユルドゥルム
【まのもの《Bチーム》】
Aチームと対戦
勝負するからには…勝つッ!
ゼキは突撃銃で、アヴィシアは二丁拳銃か。格好いいじゃないか。
では私は遠距離用のライフルで背後から支援しよう。
頭にハイビスカスを着け、掛け声に応!!と返事をし、
戦闘開始だ!
私はクーガを狙い撃とう。彼は普段ノンビリしているが戦いには天賦の才があると見える。
それに猫になられると厄介だ。…気持ち的に撃ちにくい。
人間姿のうちに撃つ!!
標的が遮蔽に隠れても慌てて無駄撃ちはするまい。
遮蔽から出て、かつ動きを止めた瞬間を確実に狙う。
更に、木上に設置した水鉄砲の仕掛け糸を引いて偽の狙撃を演出し、敵陣を撹乱してやろう!
今だ!……はっ、猫。(ためらう)
なるほど囮戦術か、ゼキはさすがの…技…巧…なのかそれ??
サアシャホイホイを見て技巧って何だっけという顔になりつつ、
頼れるアヴィシアが強襲作戦に挑むのを見れば、狙撃で支援だ。
私のことも忘れないでくれよ、アリア!
む、あの踊りは…くっ、目が離せない。やるなサアシャと銀シャリ!
あっ、偶然にも射線上にタオが…
サアシャ・マルガリタ
【まのもの《Aチーム》】
Bチームと対戦
わぁお、さすがアリア
武器がよりどりみどりです!
サアシャは電動式のアサルトライフル型と予備タンクを持っていくです
お花はアリアに習って左胸に差すですよ
え、クーガ。タオちゃんへのアピールです?
ええと…いつまでも高みの見物でいられると思ったら大間違いですよ!(ぴっと指差す)
はっ、どこからかタオちゃんの呼ぶ声が(狐耳ぴっぴこ)
…今のタオちゃんは審判ですよね?
つまりこれは罠!
トラップにはフェイクをーというわけで
銀シャリにサアシャっぽいカツラ(狐耳付き)を被せ
林の方へ向かわせるです
これだけ視界が悪ければたぶんサアシャに見間違えるはず
サアシャは物陰に潜みながら少し離れて追いかけるですよ
スペイン料理はおいしい
って乙女を寸胴呼ばわりしないで下さいです
フェイクの正体がバレたら
銀シャリを踊らせて注意を引きつけている間に接敵
極力相手の水切れを狙って仕掛けるです
乱戦上等ですよう!
アヴィシアの戦法、まさか噂のガン=カタ…?
かっこいいー!
あ、いけない、流れ弾がタオちゃんの方へ…
アヴィシア・ローゼンハイム
【まのもの《Bチーム》】
Aチームと対戦
色々と武器があるのね…!じゃあ、私はこれにしようかしら
ハンドガンを二挺。ガン=カタ、というのでしょう?映画で見たわ!
くるくると拳銃を回してご満悦
ハイビスカスは左胸付近に
ジズとゼキは武器は何にするのかしら?
なるほど、地の利を味方につける、というわけね。OKよ
ゼキの掛け声におー!と返事をしつつ、いざ出陣ね
私は先手必勝で強襲しようかしら
狙うは恐らくAチームの頭脳、アリア
ボスを倒したら総崩れになるはず
樹々に隠れたアリアを探して見つけたら
水鉄砲や水風船は羽や木でガードしつつ一気に接近を試みたり
ガン=カタといえば接近戦よね。さあ、勝負よアリア!
凶悪、というけれどクーガもなかなかじゃない!
乱れ撃ちには思わずびっくり。でも負けないわよ!とこちらも乱れ撃ち
パラドクスで銃撃に氷の薔薇のエフェクトを付けたら派手かしら?
囮戦法なんて、やるわね、サアシャ…!
びしょ濡れになりつつも乱戦へ、目に入った対戦相手はとりあえず撃つわ!
乱戦ゆえに、タオにも偶に飛んでいくかもしれないわね
タオタオ・ザラ
【まのもの《審判》】人数奇数なので審判
わー、なんか富豪になった気分だ
いいぞ、もっと争えなどと煽りつつ、高みの見物
あー、アイスがうまいにゃあ!!!
……でもこっちも水鉄砲で武装はしとこうな
嫌な予感がする、タオはくわしいんだ
焼肉奢ってくれるって言ってたし買収されたほうがいいのかにゃあ
なんて思っていたらサアシャに宣戦布告(?)されたので
かるーく投げキスでもして気を引こうとしてみる
……よし、焼肉分の働きはした
みんないつも通りガチ戦闘だなーとか
アヴィシアが以外にパワフルだなーとか
ハチャメチャな騒ぎをアイス両手に眺めていたけれど
……うん、思った通りめちゃくちゃ流れ弾が被弾するな
距離とっても被弾するんじゃけどお!!
ちょっとまて!ぜってえこれ流れ弾じゃねえ!!意思のある発砲!!
貰ったハイビスカスは落とさずに済んだけれど
これでもかと被弾して参加者以上にぐっでぐで
よくやってくれたなお前ら!!
呼び出した騙りの獣にも水鉄砲をひとつ渡して
よーし反撃開始!!
審判なんてやめだやめ、全員返り討ちじゃあ!!
「始まる前に認識を合わせておくぞ。まず、索敵しつつ、遮蔽物がある林の高所を取りに行くぜ」
顔を寄せ合う仲間たちだけに聞こえるように、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)は声を潜めた。たかが訓練、されど訓練、勝敗のある物事に関して手を抜くつもりはない。迷彩柄の水着にカモフラージュペイントを施したその姿はゲリラ戦に挑む兵士そのもので、一瞬、ここがどこであるかを忘れそうになる。
なるほど、と男の意を汲んで、アヴィシア・ローゼンハイム(Blue・Roses・g09882)が頷いた。
「まずは地の利を味方につける、というわけね。OKよ」
「こちらも承知だ。勝負するからには……勝つッ!」
琥珀色の瞳を爛々と輝かせて、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は意気込む。呼応する声は、凡そ遊びとは思えぬ――否、一応『訓練』というていではあるのだけれども――気魄に満ちている。そんな三人を手招きして、アリア・パーハーツ(狂騒・g00278)は掴みどころのない笑顔で言った。
「ブリーフィングも大事だけど、武器がなくっちゃ始まらないよ。そっちのみんなも、好きな物をどうぞー」
足元に広げられたレジャーシートの上には、色も形も多種多様な水鉄砲が堆く積まれている。それもこれも、貸与品では味気がないからとアリアが仕入れてきたものばかりで――。
「ノン、ウォーターガンだ!」
誰にともなく釘を刺して、美しくも大人げない武器商人は続けた。
「『武器』はボク様にお任せあれ。ハンドガン、ライフル、ガトリングに長距離系と電動式のものを色々と取り揃えたよ。タンクも改造して、重すぎない程度に増量済みだ」
玩具とは思えない風体の水でっ……ウォーターガンからは、遊びにも決して手を抜かない彼女の本気加減が窺える。すごいな、と猫のような瞳を煌かせて、クーガ・ゾハル(墓守・g05079)は前のめりに一丁の水でっ……ウォーターガンを取り上げた。その外見は、まるで本物のガトリングガンのようで厳めしい。
「じゃあ、おれはこの、なんかたくさん出るやつ」
「わぁお、さすがアリア、武器がよりどりみどりです! サアシャは~……これにするです!」
サアシャ・マルガリタ(えいえいお!・g05223)が選んだのは、電動式のアサルトライフル型ウォーターガン。加えて予備タンクをしっかり持っていくところが、彼女の抜け目ないところだ。
ゴーグルの端に、羽織ったシャツの左胸に、ハイビスカスの花をそれぞれ一輪差せば、戦いへの備えは万全である。
「色々と武器があるのね……! じゃあ、私はこれにしようかしら」
玩具のウォーターガンであることの他に規定がない以上、武器の選択は勝敗に直結する重要な要素である。どれどれと足元の山を覗き込んで、アヴィシアはハンドガン型の銃を二挺拾い上げた。マーメイドラインの青いパレオを翻し、くるくると銃を取り回して構えるその姿は、さながら本物の人魚のようだ。
「これで近接戦を仕掛けるの。映画で見たわ!」
「二丁拳銃か。格好いいじゃないか? では私は背後から支援しよう」
満足げに胸を張る娘を横目に、ジズは遠距離用の、ゼキは連射式のライフルを選び取る。試合開始を告げるアナウンスが流れ始めるのを聞きながら、ハイビスカスを身につけてゼキは口角を上げた。
「アヴィシアの知性、ジズの膂力、そしておれの技巧がありゃ勝利は確実だ。いくぜ二人とも!」
「応!!」
アリア、クーガ、サアシャのAチームと、ゼキ、ジズ、アヴィシアのBチーム。両者が位置についたところで、『戦闘』開始を告げる笛の音が、白い浜辺に響き渡る。マシンガン型の連射式ウォーターガンをしっかりと両手に携えて、アリアはハイビスカス咲く胸を張った。
「覚悟しろ、Bチーム!」
飛距離は十分。腰には補給用の貯水タンクも万端備えて、いざ開戦――一気に動き出した仲間たちの位置と動きを流れるように視線で追って、ゼキは戦場を二分する線の延長に――どこから持ってきたのか、背の高い審判台の上に――座す、タオタオ・ザラ(大喰らい・g05073)へ目をくれた。
「有利判定、ヨロシクな?」
ぱちりと片目を瞑って何やらよからぬことを囁き、ゼキは戦場へ目を戻す。その不自然な仕種に、女性陣が小さく首を捻った。
「どうした、ゼキ」
「タオがどうかしたのですか?」
「勿論審判への賄r……アピールって奴だ」
今、賄賂って言っt
「賄賂じゃねえ、アピールだ。勝てたら高級焼肉奢るってな、事前に伝えてある」
いや賄賂じゃん!?
もっとも勝てば官軍、敗ければジ・エンドの戦場では、賄賂だろうとなんだろうと使える手は使っていくべきなのだろう。ぶつかり合う両チームの様子を監視台の上から眺めながら、タオタオは大きく欠伸した。
「なんか富豪にでもなった気分だな。いいぞ、もっと争え――あー、アイスがうまいにゃあ!!」
富豪、というよりデスゲームの主催者のように一同を煽りながら、男はオレンジ色のアイスキャンディを齧る。三対三でチーム分けをするに当たって一人余ったがための審判役だが、これはこれで気分は悪くない。くあっともう一つ欠伸をして、タオタオは呟く。
「んでも焼肉奢ってくれるって言ってたし? 買収されたほうがいいのかにゃあー……」
「サアシャ、今のうちにタオにアピールだ」
完全に高みの見物を決め込んでいる男を一瞥して、クーガはサアシャの肩を叩いた。
「よくわからないが、なんか効く気がする、たぶん」
「えっ、タオちゃんへのアピールです? ええと……いつまでも高みの見物でいられると思ったら大間違いですよ!」
「…………」
「えっ、こういうことではないです?」
びし、と指差す――人を指差してはいけません――少女に気づいて、監視台の上のタオタオはじっと彼女を見つめたのち、軽いウインクと投げキッスを送った。サアシャが一瞬、雷に打たれたように固まったから、これでカルビ一皿分くらいにはなるだろう。いや、審判への宣戦布告って、なんだ?
「先手必勝で強襲しましょう」
一方のBチーム。二丁拳銃を構えて白砂を踏み締め、アヴィシアが言った。
「恐らくAチームの頭脳はアリア……ボスを倒したら、総崩れになるはずです」
「では私はクーガを狙い撃とう。彼は普段ノンビリしているが、戦いには天賦の才があると見える。それに猫になられると厄介だ」
チーム戦において戦況を有利に運ぶには、相手をどこから崩すかが鍵となる。並ぶジズの言葉に得心して、アヴィシアは応じた。
「確かに、的が小さくなりますものね……」
「いや、気持ち的に撃ちにくい」
普通にメンタル的な問題だった。
きっぱりすっぱりと言い切って、ジズはビタミンカラーのウォーターガンを胸に構える。
「即ち人間姿のうちに、撃つ!!」
玩具といえども高性能なウォーターガンは、当たると痛いくらいの威力がある。連続して引き金を引けば飛び出す水の銃弾が宙を裂き、Aチームに襲い掛かった。咄嗟に散開して岩陰に飛び込み、アリアたちは互いに目配せする。
「二人ともすばしっこいし、先手必勝が好きと見た。ボスのゼキさんを殺せば、……いや、倒せばいいと思うのだけど」
今殺すって言った。
「ちゃんと言い直したよ」
空に向かって弁明し、アリアは二人の仲間へ目を向ける。いやでも殺すって言ったからね。天の声ちゃんと聞いてたからね。
「スピード勝負でもしてみる?」
「じゃあ、えーと……プロならぜったいやらない、ドタバタ・マルゴト・センメツ作戦だな!」
「テアタリシダイ・センメツ作戦も悪くないぞ」
意図の分からない握り拳を作って応じるクーガに同意して、アリアは頼もしげに頷いた。だいぶ物騒なうえに物凄く中身のない――失礼、シンプルな作戦である。
その時、
「はっ!?」
「どうした、サアシャ?」
「今、どこからかタオちゃんの呼ぶ声が……うひゃあ!?」
ふらり、吸い寄せられるように岩陰から出ようとしたその足元を、高圧の水が撃ち抜いた。大きな狐耳をびくりと跳ね上げて、サアシャは周囲に目を配る。耳を澄ませば聞こえてくる声は、決して幻聴というわけでもなさそうだが、今日のタオタオは(一応)審判、試合の最中に声が掛かるわけもない。
ひとしきりぴこぴこと耳を動かして、娘は愕然と眉を寄せた。
「……さては、たばかったです!?」
つまり、これは古典的な罠。がーんという書き割りを背負ったサアシャの前に進み出て、クーガは無表情に敵チームの潜む林を見やる。敵の弾丸の出どころを義眼で辿れば、遥か茂みの中に腹ばいになったゼキの姿が辛うじて見て取れた。
「ふっ……こんなこともあろうかと、タオの声を録音しといたんだ」
タオの声に反応せざるをえないサアシャの習性を利用し、誘き寄せて仕留める、デコイ作戦改めサアシャホイホイだ。くつりと得意気に喉を鳴らして、ゼキはジズたちを振り返る。
「技巧派だろ?」
「技巧ってなんだっけ――あっ」
顔どころかうっかり声に出た。そんな分かりやすい罠に、いくらサアシャでも掛かるとは思えない――が、その瞬間、こちらに向かってくる狐耳が目に入る。
「まさか、本当にこんな罠で……?」
こんなって言っちゃった。
「狐耳発見! クク、ホイホイ現れちまって可愛いもんだ」
ぴこぴこと絶えず蠢く狐の耳は、草叢を掻き分け一直線にこちらへ向かってくる。してやったりと口許を歪めて、ゼキは銃を手に立ち上がった。
「だが戦争に慈悲はねえ、全軍突撃ィ――ん? しかしサアシャの奴、いつの間にあんな寸胴に……」
スペイン料理がよほど旨かったのだろうか。ぴこぴこと動く狐耳は、のっぺりとしたラインの身体につながっていた。しかしてどたどたと寸胴鍋のような身体を揺すって走るのは、狐耳の少女ではなく――。
「って、銀シャリ――!?」
「トラップにはフェイクですよう! だいたい、乙女を寸胴呼ばわりしないで下さいです!!」
狐耳つきのウィッグを被ったダンジョンペンギンをぐいと押しのけて、サアシャは最前線へ躍り出る。凄い、どっちもどっちのトラップとフェイクだとか思ったことは公然の秘密だ。しかし不意打ちの効果はあったようで、Bチームの面々に動揺が走る。そこへ襲い掛かる手榴弾(※水風船)は、アリアの仕業だ。
「おい、これはアリなのか!?」
「花を散らすことができるのは水鉄砲だとしか言われていないからね」
しれっと応じて、アリアは水風船を投げ続ける。ウィッグを外していつもの鉢巻頭に戻ったペンギンを従えて、サアシャは敵チームに銃口を突きつけた。
「乱戦上等ですよう! 銀シャリ、踊るです!」
「やるわね、サアシャ……それなら、こちらも!」
手中で取り回した二挺拳銃を握り直し、アヴィシアはいかにも動き易そうには見えない衣装をものともせず、降り注ぐ射撃を掻い潜って距離を詰める。そして木立を大きく回り込むと、隠れたアリアの背を取った。
「さあ、勝負よアリア!」
「ちっ、バレた――ってアヴィシアさんが突っ込んでくるんかい!」
一番意外な人がと舌を巻いて、アリアは反転する。その勇姿たるや普段の彼女からは想像もつかない凶――猛々しさで、クーガは大きく目を瞠った。
「……アヴィシアって、あんなキョーアクな感じだっけ」
ああっ、天の声ちゃんと踏みとどまったのに! 遠距離武器を持ちながら敵陣の真っ只中に飛び込む、敵ながら見惚れるような戦いぶりに、サアシャは瞳を輝かせる。
「まさかあれが噂のガン=●タ……!? かっこいいー!」
「私のことも忘れないでくれよ!」
鋭い一声と共に、殺気が迸る。瞬時に反転したAチームの視線の先で、ジズが狙撃銃を構えた。チュイン、と木の幹を削って弾けた水を辛うじて避けながら、クーガは呟く。
「ジズか……これはエジプト対決、まけられないぞ」
前衛にアヴィシア、中衛にゼキ、そして後衛で狙うジズ。三弾構えの攻撃を潜り抜け、いかに反撃に転じるか。乱戦の戦場を見渡して、クーガは咄嗟に茂みの中へ潜り込んだ。
「隠れたか。だが……」
慌てる必要はない。冷静に草叢の揺らぎを追い掛けて、ジズは瞳を眇めた。この場で闇雲に狙っても、無駄撃ちを誘われるだけだ。敵が物陰から姿を現し、かつ動きを止めた瞬間を確実に狙う――そのための罠も、用意してある。
樹上に設置した水鉄砲の仕掛け糸を引いてあらぬ方向を狙撃すると、草叢が大きく騒ぎ、何かが飛び出した。
「今だ――はっ、猫!?」
背の高い草の中からびょいんと飛び出した毛玉の姿に、動揺させられたのはジズの方だった。ナイス、と讃えるアリアの声を背に、猫変身を解いたクーガは銃を拾い上げ、木陰から木陰へ猛ダッシュで駆け回って、作戦通り『手当たり次第』に乱れ撃つ。
「みだれうちだ、くらえー。ゼキはとくに、ハチのスにするぞー」
「すばしこいなクーガ、でもなんで俺狙い撃ち!?」
凶悪さ、を言うならばクーガのそれもなかなかのもの。負けないわよと意気込んで、アヴィシアもまた引き金を引きまくる。目に入った対戦相手は撃つべし、撃つべし、撃つべしだ。
飛び出す水の銃弾に合わせて氷の薔薇が散るさまは、苛烈な陽射しの注ぐ浜辺に刹那の凉を飾っていく。そんな光景を遠巻きに見ながら、タオタオは監視台の肘置きに頬杖をついた。
「みんなガチ戦闘だなー、ほとんどいつも通りじゃねえの」
ハチャメチャ騒ぎを他人事のように眺めるその手のアイスは、いつの間にか数を増やしている。すると――食べかけのアイスを撃ち落とすように、びし、と右手に水が当たった。
「あ、すまんタオ、流れ弾が」
「おいおい、気をつけてくれよ。審判への攻撃は、ふつー反則……」
「あ、いけない、流れ弾がタオちゃんの方へ……」
ばしゃあ。
「あっ、偶然にも射線上にタオが……」
びちゃあ。
「手あたり次第乱射するから審判に当たっても仕方ないよね?」
びしゃあ。
「乱戦だもの、タオにもたまには飛んでいくかもしれないわね」
びしゃびしゃあ。
「…………うん」
何発目かの『流れ弾』で地に落ちたアイスを見つめ、タオタオはすっかり濡れそぼった長髪から点々と水の滴を落とす。最初から嫌な予感はしていたのだ――そして思った通りだ。この審判席、めちゃくちゃ被弾する。
「あの赤い影……そうだ、まだあそこに狙うべきやつがいたな」
「いやちょっとまて! ぜってえこれ流れ弾じゃねえ!! 意思のある発砲!!」
当たり前のようにこちらへ銃口を向けるクーガと他五名を睨みつけ、タオタオは激昂する。貰ったハイビスカスは鮮やかな赤い髪を飾ってまだ一応咲いてはいるが、恐らく今この場で一番濡れているのは彼である。
「よくもやってくれたなお前ら! 審判なんてやめだやめ、全員返り討ちじゃあ!!」
元々、自分以外はみんな敵の戦場だ。こんなこともあろうかと持っておいた水鉄砲を荒々しく抱えて、タオタオは審判台を飛び下りる。さあ――ここからは反撃のお時間だ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【猫変身】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【アイスクラフト】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【ダブル】LV1が発生!
シャムス・ライラ
【こあら】
欧州の方々の好感度を上げるパフォーマンス
ならばここはこあらの出番ですね
ある時は拳闘家、またある時は名探偵であり芸術家
こあらとは無限の可能性を秘めつつ愛らしさも兼ね備えた至高の存在
つまり、我らはこあらの魂を宿し
この地にて戦うのですよ
(※遠国の未知のもふもふ「こあら」に憧れる中東人。
本物のコアラも見たけれど、想像力の赴くままに曲解中)
胸のハイビスカスも鮮やかに
愛らしいこあら耳付きヘルメットを装着
おお、その給水タンクも可愛い
ソレイユにこあらの守護がありますように
ユーカリの木陰に隠れるが如く秘密裏に
眠れるこあらを起こせば、嵐のように降り注ぐ弾丸…いや今回は水鉄砲
我らはスナイパー
コードネームは『K・A・R』
散開し、木陰に隠れて敵を挟み撃ち
緑の樹木に良く似合うこの愛らしいぽわぽわの耳よ
撃てるものなら撃ってみるがいい
…!!
くっ、まさか本当に撃つとは…
しかし、こあら魂は不滅
大地を潤し蘇るこあらのように第二第三のこあらが…(ぱたり)
はっ、まだ花は散っていない!?(復活!)
アドリブ等歓迎
ソレイユ・クラーヴィア
【こあら】
アドリブ歓迎
古来より誰の心にもこあらは棲むと言い伝えられています
欧州の人々の心のこあらを覚醒させれば、きっと人類みなこあら…ではなく
友達です!
こあらは地球の神秘であり、不死鳥の如く蘇り大地を潤す至高の存在
(こあらに馴染みの無いフランス人はオーストラリアは行った事あるしワイルドコアラも見た事あるけど、こあらの可能性は無限大なのでセーフ)
ええ、こあらの魂と共に戦うなら、勝利は間違いありませんね
目覚めよ、私の心のスナイパーこあら!(なお、ノーコンである)
というわけで、こあら型の給水タンクを背負い参戦です
背負うとこあらをおんぶしてるみたいで可愛いでしょう?
シャムスのこあら耳付きヘルメットの可愛さも流石
こあらへの理解の深さを感じます
胸のハイビスカスにこあらワッペンを添えて
こあらジャケット風パーカーでユーカりの森(?)を駆け抜けましょう!
はっ、大丈夫ですよシャムス
被弾は耳のみ
ハイビスカスが散らなければセーフです!
ここは私が
クラッシャーこあらの加護よ、ここに在れ!
と気合いを入れて突撃します
時間を区切って行われる模擬戦も、これでもう何度目か。初めは訝るような視線を向けていた観客たちのボルテージは、今や最高潮に高まっている。そこへ――。
「なるほど……欧州の方々の好感度を上げるパフォーマンスですか」
白い砂浜を、灰色の獣の足が踏み締める。否――正確には、灰色の獣の足を模ったビーチシューズが踏み締める。すらりと伸びた褐色の脚を辿れば、目につくのはコアラ柄の海パンと豪州国旗のボディペイント。コアラの形のビーチタオルを翻して立つのは、シャムス・ライラ(極夜・g04075)である。
「ならばここはこあらの出番ですね」
うん、なるほど分からん。
「古来より誰の心にもこあらは棲むと言い伝えられています」
さもいいことを言った風なキメ顔で立つシャムスの背後にもう一人、細身のシルエットが歩み寄る。長い金髪を後ろ頭で一つにまとめ、コアラマークのラッシュガードを纏った少年――ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は、真面目腐った口振りで続けた。
「欧州の人々の心のこあらを覚醒させれば、きっと人類みなこあら……ではなく、友達です!」
うん。知ってたよ、このプレイングを貰った時からそうだろうなと思ってたよ。思って覚悟して読み解こうとしたけど全然わからんやっぱり通訳を呼んできて!?
肩から滑り落したビーチタオルを監修に見えるよう手頃な物干しに掲げて、シャムスは続ける。いや、何その物干し。
「ある時は拳闘家、またある時は名探偵であり芸術家。こあらとは無限の可能性を秘めつつ愛らしさも兼ね備えた至高の存在……」
と、遠国の未知のもふもふ『こあら』に憧れる中東人がのたまえば、
「こあらは地球の神秘であり、不死鳥の如く蘇り大地を潤す至高の存在」
と、こあらに馴染みのないフランス人がのたまう。
いや、でも、あなたがた本物のこあらを見たことあるんですよね?
「ありますけれど、想像の羽ばたきは押さえられるものではありませんし」
「オーストラリアは行ったことあるし、ワイルドコアラも見たことあるけど、こあらの可能性は無限大なのでセーフです」
セーフの意味を一回辞書で引いてきて欲しい。
堂々と訳の分からないことを言って、二人は水鉄砲を胸に構えた。
「つまり、我らはこあらの魂を宿し、この地にて戦うのですよ」
「ええ、こあらの魂と共に戦うなら、勝利は間違いありませんね。目覚めよ、私の心のスナイパーこあら!」
どうしようなにいってるのこのひとたち。
あともうツッコミがマンネリじゃない? この地の文つまらなくない? コアラー(※発音はマヨラーと同じ)の期待に応えられているのかどうか、天の声はもうドキドキです!
受付で貰ったハイビスカスを羽織ったパーカーの胸に挿しながら、シャムスは言った。
「おお、こあら型給水タンクですか。可愛らしいですね」
「背負うとこあらをおんぶしてるみたいで可愛いでしょう? シャムスのこあら耳付きヘルメットも流石の可愛さです。こあらへの理解の深さを感じます」
「ふふ、光栄です。ソレイユにも、こあらの守護がありますように」
とりあえず異議しかない。
こあらパーカーの胸のハイビスカスにさらにこあらのワッペンを添え、ソレイユは強気の笑みを浮かべた。
「さあ、ユーカリの森(?)を駆け抜けましょう!」
因みにマヨルカ島の植生は主にマツ、クロウメモドキ科、ローズマリー、オリーブ、シュロの一種だそうです(出典:とてもありがたいWEB百科事典)。
「ユーカリの木陰に隠れるが如く秘密裏に! 眠れるこあらを起こせば、嵐のように降り注ぐ弾丸――いや今回は水鉄砲。我らはスナイパー、コードネームは『K・A・R』!」
そろそろ脳が理解を拒み始めそうな口上をスラスラ述べて、シャムスは銃を手に走り出した。散開した二人は林に駆け込むや、木陰に隠れて敵を狙う。その時――どこからか向けられた殺気に気づいて、シャムスは立ち止まった。
「誰かあるな……! 緑の樹木によく似合うこの愛らしいぽわぽわの耳よ、撃てるものなら撃ってみるがい」
バシッ。
「ぎゃふ」
横方向から一直線に飛んできた水ビームに撃ち抜かれて、青年の身体が横っ飛びに飛んだ。どさりと草叢に倒れ込んで、シャムスは悔しげに土を掻く。
「くっ……まさか本当に撃つとは……、しかし、こあら魂は不滅……! 大地を潤し蘇るこあらのように、きっと今後も第二第三のこあらが……」
「大丈夫ですよシャムス、ハイビスカスが散らなければセーフです!」
「はっ、セーフ!?」
何この茶番。
幸い(?)敵の狙撃は耳を掠っただけで、胸のハイビスカスには何の影響もないらしい。秒で復活したシャムスへ頼もしげな視線を向け、ソレイユは水鉄砲を持つ手を高く突き上げた。
「クラッシャーこあらの加護よ、ここに在れ! 突撃――!」
徹頭徹尾なに言ってんだか分かんないけど、楽しそうでよかった。こあらフォーエバー。さて、お後がよろしいようで……。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】がLV2になった!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
イリヤ・レダ
【送櫻館】の方々とチーム戦
(Aチーム:クレドさん、神樂さんと)
※勝敗はお任せ
白基調のハーフパンツ型の水着
身体には緋色の刺青の様な呪紋(心臓を中心に四肢へと象る様に)
お館の方々は雰囲気あって育ち良さそうだし近寄りがたく感じる時もあるけど、こういう遊びだと親近感あるよね。
男女別だけれど、彼女たちも一騎当千。性別差は気にしないでいこう。でも、目のやり場には困るなあ…。
ハイビスカスは水鉄砲に当たったら落ちる程度の固定だよね…?
水着の腰部分に固定しようか。あんまり本気で動くと自爆しかねない。
あ、ルールに禁止って書いてないから二丁スタイルで。
クレドさんはウケ狙いや女子に花を持たせるムーブはありうる。好きにさせて盛り上げて貰おう。
神樂さんは向こうチームに祇伐さんがいるから当てにしない感じで行こうかな。シスコンは不治の病かもしれないし。
オレくらいは少し真面目にやろうかな。
障害もあった方がイイよね。
神樂さんとクレドさんの後ろに位置取り一撃離脱。
1人くらいは脱落させたいよね。
終わったらアイスでも満喫しよう
咲樂・祇伐
🌸送櫻館
Bチーム
勝敗お任せ
水着も着込んで水鉄砲を構えて準備完了
男子組…Aチームと対戦です!
サバゲーははじめてですが…血湧き肉躍るとはこのこと
あ、少々乙女らしくなかったかしら?
彗藍さん、雪璃さん行きますよ
御屋敷男子を撃破するのです!
…お兄様…イリヤさん、クレドさん…覚悟なのですっ
地形を活かし打っては身を隠しのヒットアンドウェイの戦法でいきます
物陰に身を隠して彗藍さん達とも協力してフェイントをかけたりしてえいっと
包囲されないように注意しましょう
水の残量が心もとなくなれば直ぐに海へ
雪璃さん達が水の補給に向かうなら警護にまわります
あっ…これはもしや狙われ…もはやここまで、と思ったら…
お兄様!?な、なぜ敵チームのお兄様が私を庇い…?!
かっこいいこと言ってるところ申し訳ないですが……悲しいですが…これ、戦なのです
背後からうたせて貰います
なっ…道連れ?!
お兄様は私がひきうけます!
雪璃さんと彗藍さんはクレドさんとイリヤさんを!
討ち取ってもとられても
水浸しなって遊ぶのは楽しくて
こういうのも悪くないですね
朔・彗藍
🌸送櫻館
Bチーム
勝敗お任せ
兄様から二丁持てと勧められたので
小回りの効くサイズの水鉄砲を両手に構え
水着も準備万端、花は髪に飾って
さばげー開始です!行くですよー!
女性チームですが容赦無くかかってこいなのです
岩陰から男性陣の動きを窺いつつ
二人と共にヒットアンドアウェイ戦法で距離を詰め
バーン!ですですっ
交互に撃ち込み隙を狙いつつ、補給も忘れずに
祇伐!危ない…っ!
あっやっぱり神樂が盾に…!
いえ、道連れに!?
うたれているはずなのに何だか嬉しそうに見えますね
ああ…二人とも御幸せに…
ではなく!
今が好機ですよう!!雪璃、一緒に畳み掛けましょう!
クレドとイリヤの花を散らすべく一気に駆け抜けて
お覚悟ーーー!あ、あれは……空飛ぶモアイ?!
空へ指差し、これは主にクレドへ気を逸らす作戦なのです
ふわり飛翔で回り込み死角へ噴射
当たったかな、なんて喜ぶ前に
足場の悪い砂浜に足がもつれて
なぜか穴が空いていた場所へ
あっ(ずべしゃあ)
ふ、ふふ、楽しいですねえ
みんなで濡れて走って戦だけど仲良く笑って
よいアピールになった気がします
咲樂・神樂
⚰️送櫻館
Aチーム
なんて素敵なサバゲー日和!
あたし達男子組は送櫻乙女達と勝負ってわけ
クレド、イリヤ…送櫻男士の意気をみせてやるわよ
雪璃も彗藍もかよわい乙女だと思って油断しちゃダメ
祇伐…あたしの愛しい番よ
覚悟を決めるのね(悲壮感
とりあえずクレドとイリヤのアクロバティックでサバゲーな動きに期待しあたしは祇伐を見張る
おっと……雪璃と彗藍の動き…女子達のコンビネーション!油断出来ない
クレド達がわちゃわちゃしてるけど身を潜めて
なっ…狙われている!狙われてなくてもとりあえず祇伐!危ない!!
祇伐を庇うわ!全身全霊で
祇伐を守るのはあたしの役目
共に生きて共にしぬと誓いあった身、当たり前の事でしょう?
悲しくなんてない…あたし達の間に争いなどないのだから…なっ…背後から……打った!?
ふっ…
優しく微笑み、愛の前に散るとしよう…
もちろん、祇伐を道連れにして…!
あなたは誰にもとらせない
後は任せた
クレド、イリヤ…
あたしの墓前に勝利の花を添えてくれ
敗北後はきゃっきゃと勝負の行方を見守るわ!
思いっきり遊ぶって楽しいわね!
茜來・雪璃
🌸送櫻館
Bチーム
勝敗お任せ
水着もばっちり着込み
がしょん!と大型水鉄砲構えたらニンマリ
私もサバゲー初めてなんだけど、何か楽しそうだね!
ん!祇伐も彗も頑張ろうねえ
女は度胸!油断してると痛い目見せちゃうぞ!
クレドの教えてくれる作戦が…
めっちゃ姑息だ!
さてさてー…敵さん達はどうくるかなあ?
隠れたり移動したりする時はしっかり音を聴きわけ情報収集
水の補給はフォローし合いながら手際よく
物陰に隠れてひょこりと出る耳
それは私のと見せかけた、いづの耳
隙アリ!!
寄ってきた男子がいたらシュバっと噴射しちゃおう!
あ!祇伐あぶな……神樂!?
ま、まさかの盾出現!
…は!そうだった!
今のうちにクレドとイリヤどちらかの花を狙い撃ちだ!
守ってばっかりじゃあ勝てないぞ!
え!モアイ!?
て、ちょっぴりつられて余所見
あ!彗!!…うひゃあ!?!?
危ない時は尻尾でガード!
あっは!あるものは何でも使うんだ
たまにはこういうわちゃわちゃも楽しくて良いねえ!
勝ち負けに関わらずケラケラ笑い
またこういうの、みんなでしようね!って
クレド・クレイアデス
🌸送櫻館
Aチーム
勝敗お任せ
これはあくまでゲームだ。正々堂々と楽しめるような、いい勝負をしようぜ!!(キラーン)
おおそうだ、俺は銃に詳しいからな。Bチームの奴らにも撃ち方を教えてやろう
などと言いつつ俺は空気を読まずに(ルールの範囲内で)全力で卑怯な事をするぜ!
これも相手の水を消費させる策略である。撃ち方自体はちゃんと教えるけどね
他にも(ちょっと体勢を崩すくらいの)落とし穴を掘るとか、砂浜に穴を掘って隠れるとか、罠を仕掛けるとか、海の中に隠れるとか、仲間を盾にするとか、バックスタブを仕掛けるとか。もうなんでもやる
卑怯、汚い?褒め言葉だなァ。勝てば正義よ!!
ただし相手が卑怯な手段を取ったなら全力で非難するぜ!!
――くっ、祇伐め。我が大切なチームメンバーである神樂を盾にするとはなんて卑劣なんだ!!許せん!!
散って逝った神樂の為にも!俺達は卑怯者のいるチームには負けられん!!行くぞイリヤ!!
なおAチームが勝った(かつ自分が生き残っている)場合、しれっと味方を撃つ
最後に立つのは俺一人で良い――!!
抜けるような青い空に、白い雲、光る海。
熱気溢れるマヨルカ島の入り江は、まるで真夏の宝石箱のような様相を呈している。そして賑わう人の波を掻き分けながら、そこへ踏み込む影が一つ、二つ――六つ。
「なんて素敵なサバゲー日和なんでしょ!」
入り江を見渡す浜に立ち、咲樂・神樂(離一匁・g03059)は朗々と両腕を天に突き出した。ディアボロス対抗水鉄砲サバイバル(仮)も佳境というところ、次なる試合に花を飾るのは、旅団『送櫻館』の面々である。
「サバゲーははじめてですが……血湧き肉躍るとは正にこのこと。あ、少々乙女らしくなかったかしら?」
「私もサバゲー初めて! でも何か楽しそうだね!」
大型の水鉄砲に満タンのウォータータンクをがしょんと嵌め、めいめいに華やかな水着を纏った咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)と茜來・雪璃(朧夜ノ蝶華燈・g00793)は顔を見合わせる。そこへ朔・彗藍(ベガ・g00192)が加われば、さながら浜辺には大輪の花が咲き誇るかのようだ。
拳銃タイプの小ぶりな水鉄砲を両手にくるくると取り回して、彗藍は髪に飾ったハイビスカスにも負けない笑顔を綻ばせる。
「兄様から二丁持てと勧められたので、小回りの効くサイズのものを選んでみました。どうでしょう?」
「いいね、いいね! 女は度胸! 油断してると痛い目見せちゃうぞー!」
そう言って藍色のパレオを風に膨らませ、雪璃は構えた水鉄砲を男性陣に向ける。尖った八重歯を覗かせる挑戦的なその笑みは、神樂の闘志を燃え立たせるばかりだ。
「なんの、あたしたちだって! クレド、イリヤ、送櫻男士の意気をみせてやるわよ! 相手が乙女と思って油断しちゃダメ、やるからには全力でね!」
「全力……?」
わずかに訝るような眼差しで、イリヤ・レダ(はぐれ天使刃傷派・g02308)は透けるような白い前髪の隙間から青年を見やる。きょとんとして見つめ返す神樂の表情は、一種の近寄りがたささえ感じさせる普段の幽玄な雰囲気とはうって変わってあどけない。
「ん? どうかした?」
「いや……なんでもない」
全力、と彼は言うけれど、イリヤはちゃんと知っている。相手チームを率いる妹の祇伐を、神樂がこれでもかと溺愛していること。そしてシスコンは、不治の病だということ。要するにこの戦いにおいて、神樂をあてにするのは些か危険だ、ということをである。
が、そんな本音は唇の裏側にきちんとしまって、少年は応じた。
「彼女たちも一騎当千。性別差は気にしないでいこう。目のやり場には困るけど……?」
がし、と白い上着の肩を抱かれて、少年は言葉を切る。首に回った腕の主――クレド・クレイアデス(厄災と踊る蒼・g00325)はまあまあと鷹揚に笑いながら、白い歯を輝かせて言った。
「そう気負い過ぎるなって。これはあくまでゲームだ。正々堂々と楽しめるような、いい勝負をしようぜ!!」
「…………」
なんと胡散臭い、とは、思っても口に出さないイリヤである。
「おおそうだ、俺は銃に詳しいからな。正しい水鉄砲の撃ち方を教えてやろう。ここで大事なのはいかに(ルールの範囲内で)相手の水を消費させるかだ。それから補助的な作戦も有効だな。(ちょっと体勢を崩すくらいの)落とし穴を掘ったり、逆に掘った穴に隠れたり、水に潜ったり仲間を盾にしたり――」
「めっちゃ姑息だー!?」
撃ち方、構えを教示するのもそこそこ、流水が如く紡ぎ出される卑劣な作戦の数々に、雪璃が思わず声を上げる。呆れ半分にその様子を眺めつつ、イリヤは小さく溜息をついた。
(「クレドさんはウケ狙いや女子に花を持たせるムーブはありうる。……まあ、好きにさせて盛り上げて貰おう」)
結局のところ、この催しは盛り上がればそれでよし。赤いハイビスカスを水着の腰元に固定して、少年もまた二丁の水鉄砲を取り上げる。その時――試合の開始を告げる笛が、周囲一帯に鳴り渡った。
「彗藍さん、雪璃さん、行きますよ! 御屋敷男子を撃破するのです!」
「容赦なくかかってこいなのです!」
祇伐の呼び掛けに彗藍が応じ、女性陣が散開する。花色の竜の尾を靡かせ駆ける妹の姿を視線で追って、神樂は悲壮感を露に眉を寄せた。
「ああ、祇伐……あたしの愛しい番よ、覚悟を決めるのね」
「…………」
茶番、とは思ってもやはり口にはしないイリヤである。
「……オレくらいは少し真面目にやろうかな」
山あり谷あり、多少は波乱もあった方が最終的にはきっといい塩梅になる。視界前方に展開した味方の位置を確かめて、少年は緋色の呪紋が走る両脚で白い砂浜を踏み切った。高い跳躍からの狙い澄ました連撃は瞬時に宙を裂き、走り込む女性陣の手足を掠めて弾け散る。
咄嗟に手近な岩陰に身を潜めて、祇伐はチームメンバーへ呼び掛けた。
「包囲されないように注意していきましょう! ヒットアンドアウェイです!」
「そういうことならお任せ!」
雪璃が軽く唇を鳴らすと、白く優雅なクダギツネがどろんと現れる。主と揃いの狐耳を岩の陰から覗かせれば、即席デコイの出来上がりだ。
「隙ありー!」
「バーン! ですですっ」
うっかり引っ掛かって近づいてきた男性陣へ岩陰から容赦なく水を浴びせながら、雪璃と彗藍はきゃらきゃらと歓声を上げる。くっと小さく喉を鳴らして後退し、神樂は奥歯を噛んだ。
「女子達のコンビネーション、油断出来ないわ……ん?」
戦況を見定めようと走らせた視線が、ある一点で縫い留められる。雪璃と彗藍の背後に位置取る祇伐、その更に後背に――忍び寄る影が一つ。くっくと喉を鳴らしながら、男――クレドは、娘の無防備な背中に向けて水鉄砲を構えた。
「卑怯、汚い? 褒め言葉だなァ――勝てば正義よ!!」
「なっ!? 祇伐! 危ない!!」
いざ必殺のバックスタブ――が決まると思った、その瞬間。振り返った祇伐と射手であるクレドの中間に、神樂が走り込む。まさに全身全霊の失踪――砂を巻き上げ滑り込むや顔の前で両腕を交差させると、その中心で水の弾丸が砕け散った。
「お兄様!? な……なぜ敵チームのお兄様が私を庇って……?!」
ショックを隠せないといった表情で祇伐は驚いてみせたが、茶番である。
駆け寄ろうとする妹に背を向けたまま、まるで致命傷を負ったような顔で神樂は言った――なんならちょっと嬉しそうに見えるとは、彗藍の言である。
「あなたを守るのはあたしの役目……共に生きて共にしぬと誓いあった身、当たり前のことでしょう?」
茶番である。
「……悲しくなんてない……あたしたちの間に争いなどないのだから……えっ?」
ビシッ、と凄い勢いの何かが側頭部を掠める感触があった。と同時に、髪に飾っていたハイビスカスがぽとりと落ちて砂に沈む。花色の瞳を見開いた神樂がそろそろと振り返ると、そこには仕事人よろしく水鉄砲を構えた可愛い妹の姿があった。
「かっこいいこと言ってるところ申し訳ないですが……悲しいですが……これ、戦なので……」
「な……祇伐……どうして……!?」
何度も言うが茶番である。
硝煙の立たない銃口に息を吹きかける祇伐へ向き直り、クレドはびしりと指を差した。これね、今日言うの二度目なんですけど、人を指差してはいけません。
「くっ、我が大切なチームメンバーである神樂を盾にするとは……なんて卑劣なんだ!! 許せん!!」
自分のことは一旦さておき、相手が卑怯な手段を取ったなら全力で非難するのが今日のクレドスタイル。しかし儚い笑みでそれを制して、神樂は弱々しく続けた。そして、
「ふっ……いいわ……愛の前に散るとしましょう……ただし、」
「ひっ!?」
振り返りざまに引いた引き金に連れられて、飛び出した水の一筋が祇伐の横髪を射抜く。壊れたように引き金を連射しながら、神樂は半ば叫ぶように宣った。
「もちろん、あなたを道連れにして! あなたは誰にもとらせないわー!!」
「お、お兄様は私がひきうけます! 雪璃さんと彗藍さんはクレドさんとイリヤさんをー!」
しつこいようだが、茶番である。
ほろりと目元を拭う仕種で、彗藍は言った。
「ああ……二人とも御幸せに……ではなく。今が好機ですよう!! 雪璃、一緒に畳み掛けましょう!」
「は! そうだった!」
「散って逝った神樂のためにも! 俺たちは卑怯者のいるチームには負けられん!! 行くぞイリヤ!!」
(「終わったらアイスでも満喫しよう」)
各者各様の思いを胸に、復讐者たちは武器を取る。斯くなる上は志半ばで潰えたチームメイトの墓前に(死んでない)、勝利の花を添えるのだ。
「守ってばっかりじゃあ勝てないぞ!」
これで二対二。機先を制するのは、どちらか。
片目を瞑って狙いを定め、雪璃は引き金に掛けた指へ力を込める。果敢に白浜を駆け抜ける友の背を追いながら、彗藍もまた銃を構えた。しかしてその胸には――一計があった。
「クレド! イリヤ! お覚悟――あっ、あれは……空飛ぶモアイ?!」
「え! モアイ!?」
人間誰しも、予想外の事態には反応が鈍るもの。古典的な手段ではあるが、効果は抜群だ――ただし、雪璃に。
完全に明後日の方を向いて手を止めてしまった雪璃に白い肩を跳ね上げて、彗藍は戦慄した。
「雪璃がつられてどうするんです!? あっ? ア――!?」
ツッコミに気を取られて、いつの間にか波打ち際に足を踏み入れていたことに気づかなかった。寄せる波と引く砂に足元を掬われて、彗藍は思いきり転倒する。盛大な水柱が上がって、雪璃は背後を振り返った。
「彗!?」
「貰った!」
狐耳の根元に咲いた大輪の花を、クレドの水鉄砲が狙い撃つ。一撃、二撃はふかふかの狐尾を上手く使って防いだ雪璃であったが――。
「あっは! あるものは何でも使うんだー、って――ひゃ!?」
これで打ち止め、かと思いきや、クレドの背後から白い影が飛び上がる。太陽を背に銃を構えたイリヤの姿を視認したその瞬間、赤い花弁が波に落ちた。撃たれた勢いのまま波間へ倒れ込んで、雪璃はばしゃばしゃと水を跳ね散らす。
「あ~~負けた! 悔しい! 悔しいけど、楽しいー!」
「ちょっ、雪璃、もう……!」
浴びせられる水に顔をしかめたのも束の間、隣に倒れた彗藍もまた、堪え切れずに笑い出す。それは、勝ったはずなのになんだか置いて行かれたような気分で――クレドは同じように立ち尽くすイリヤを見やり、そして徐に水鉄砲を構えた。
「――最後に立つのは俺一人でいi」
ビシッ。
男の指が引き金を引くよりも早く、黒いシャツの胸に挿した花を少年の二丁拳銃が撃ち抜いた。討ち取った討ち取られたはさておき、こんな風に水浸しになって遊ぶのも時には悪くない――咲いた笑顔は詰めかけた欧州の人々にとっても、よいアピールになったことだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【友達催眠】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV2になった!
朔・冥夜
【朱鴉】
二丁拳銃の水鉄砲装備して
ハイビスカスは的の狙い難い髪に差し
よし、戦争の時間だ!本気で……来い…!
個人勝負だな、最後の残った一人は…
じゃあ俺がアイスでも買ってあげよう
何かあった方が燃えるだろ
あれ?個人戦とは…早速手を組むつもりだなお前ら
一寸予感してたが!
俺が勝ったら二人分から褒美貰えるってことか
やったぜ
先ずは岩陰に隠れて二人を様子見
手始めにデカいリアクを標的に
ふ、俺は策を講じて戦うからな
覚悟だリアク!!
俺は、正々堂々と!!背後から撃つ!!
引き金を引いて背へ水を噴射
俺の防御はこうする
羽根でふさあ、っと身体を覆いながら
これなら何処からでも守れる気がする
頭はガラ空きなわけだがな(失策)
視界が……!なあんてね
神速反応でリアクの懐に飛び込む
くっ、上から天彩、だと……!!
二丁で交互に撃ちながら動きを追う
流石のすばしっこさだが
これなら、どうだ!尻尾なら狙いやすい!
ふははは萎め萎めー!
なんて悪役ムーブ
そうだ俺も飛翔で飛…
ぶわーーーっ!!
(見上げて顔面に水鉄砲直撃で溺れかける)
結果勝敗はお任せ
眞守・天彩
【朱鴉】3人、個人戦
誕生日に貰った超かっこいい水鉄砲の活躍時だな…!
(高性能水鉄砲を構える)
ハイビスカスは胸元に付けよう!
ひゃっはー!戦争…じゃないよね??
勝っても賞品ないんだぁ…冥夜さん、なにかいいもの出ない?
わーい、アイス!
なるほど…リアクさーん!共闘しようよ
冥夜さんを倒し、でっかいアイス買ってもらおう!
いえーい、がんばろー!
ふふ、冥夜さん、勝てるといいねぇ?
よーし試合開始!派手にいこう!
(パラドクスで会場上部に蒲公英の綿毛を広げるパフォーマンス)
おおっリアクさん見事に防いだー!
冥夜さん、隙アリ!
俺の戦法はヒットアンドアウェイ、
(【飛翔】を使って空を駆け上り)
打って、離脱して、次!
(地上に着地してから打って、再び【飛翔】で駆け上がる)
上下に動くと狙いにくいだろ〜!
あっ尻尾がぺしょってするぅ!すげー冷え込む!
お返しだよー!(顔に向けて連射)
冥夜さんの花が落ちかけたのを確認したら、そのままリアクさんに打つよ
共闘終わり!リアクさん、覚悟!
うおお、動きが変則的で狙いにくい…!
結果勝敗はお任せ
宵霞・リアク
【朱鴉】
水鉄砲つっても色々あんのな
ライフル型の水鉄砲を担ぎそれぞれのモノをしげしげと
受取ったハイビスカスは首飾りにでも添えておくぜ
戦争はこないだ終わったろうが
ま、景品はしゃーねえだろ
観光客向けのパフォーマンスだかんな
そうかアイスか
そりゃあ気合い入れる必要がありそうだ
共闘ノった!天彩、さっさとやっちまおうぜ
俺らが何か買うとは一言も言ってねえけどな!
あ?冥夜テメエ、背後からの何処が正々堂々なんだ阿呆!
ガッと翼を広げて水を防ぎ
妹に今度チクんぞ!!
その翼の影からカウンターでぶっ放す
全員飛んだり跳ねたりじゃあ芸が無えよな?
つーわけだ、撃ち落とさしてもらうぜ!
反則ギリギリ?視界を狙って目眩ましをしかけ
その間に方向転換
そらそら!目つむってっとやられちまうぞ!
余所見してれば好機と容赦無くぶちかますぜ
おう、やれるもんならヤってみな!天彩!
冥夜にトドメをさそうとしながら
天彩の相手もしてやろうじゃねえか
尾と翼でいなしては
天彩の既にびしょ濡れの尾と胸元めがけてぶっ放すぜ
結果勝敗はお任せ
「へー、水鉄砲つっても色々あんのな」
山と積まれた貸出品の水鉄砲から一丁を取り上げて、宵霞・リアク(夜風奏・g08397)は感心したように言った。たかが玩具と言うなかれ、ライフル型の水鉄砲は見た目も作りも存外に本格的で、タンクいっぱいに水を入れるとそれなりの重量もある。それとは対照的な拳銃型の水鉄砲を二丁取り上げて、朔・冥夜(星朧・g06409)は言った。
「よし――戦争の時間だ」
「ひゃっはー! 時間だー! ……あれ、でも」
戦争じゃないよね、と小首を傾げて、眞守・天彩(くろきつね・g02572)が問う。蹂躙戦記イスカンダルの奪還からほどない今日この頃に何を言うのかと思えば、至って真顔で冥夜は続けた。
「戦争のつもりでやらなきゃ訓練にならんだろ。本気で……来い…!」
「でも、勝っても賞品ないんだぁ……」
「ま、賞品はしゃーねえだろ。観光客向けのパフォーマンスだかんな」
真顔の冥夜をさらりとスルーして、天彩が呟き、リアクが応じる。あくまでこれは、欧州の人々に向けた親善のためのパフォーマンス――だが何事においても『ご褒美』というものは、時に思いもよらない潜在能力を引き出すきっかけになったりするもので。
「冥夜さん、なにかいいもの出ない?」
「そうだな――じゃあ個人戦で最後に残った一人には、俺がアイスでも買ってやろう」
何かあった方が燃えるだろ、と不敵な笑みを浮かべれば、黒い狐の青い瞳がキラキラと光って男を見た。
「ほんと!? わーい、アイスだ! リアクさーん! 共闘しようよ!」
「え?」
個人戦で、と言ったのだが。聞こえていたのかいなかったのか、狐はぴょんぴょんと足取りも軽く、リアクの周りを跳ね回る。
「冥夜さんを倒して、でっかいアイス買ってもらおう!」
「共闘ノった! 天彩、さっさとやっちまおうぜ」
「いえーい、がんばろー!」
「あ……れ? 個人戦……あれぇ」
薄ら、こんなことになるのではないかという予感はあった。予感はあったが口にしてしまったのだから仕方ない。今更この二人に『個人』の意味を辞書で引いてこいと言ったところで引いてくるはずもなかろうから、若干の納得のいかなさを抱えながらも冥夜は気を取り直す。
「つまり俺が勝ったら、二人から褒美が貰えるってことだな。やったぜ」
「俺らが何か買うとは一言も言ってねえけどな」
「ふふ、冥夜さん、勝てるといいねぇ?」
運動終わりの至高のアイスが懸かっているとなれば、自然と気合も入るもの。受け取った真紅のハイビスカスを、リアクは数珠状の首飾りへ、天彩はセーラー風の上着の胸元へ、冥夜は陽射しに透き通る髪へと添えて、適度に距離を取り散開する。遠い審判台で審判が試合開始のホイッスルを唇に寄せるのを見て、天彩は言った。
「よーし試合開始! 派手にいこう!」
高らかに鳴る笛の音と共に、遅れ咲きの蒲公英が白い綿毛を夏空へ撒き散らす。同時に灼けた砂を蹴り、冥夜は弾丸の如く駆け出した。
(「二対一で狙われてるんじゃ、不利だ。まずは……」)
不利を覆すには、何よりもまず戦況の把握から。手近な岩陰へ走り込んで二人の位置関係を確かめ、青年は銃を構え直す。先に狙うのは、背が高く的の大きい、リアクだ。
「俺は、正々堂々と!! 背後から撃つ!! 覚悟だリアク!!」
「あぁ!?」
思い切りよく引き金を引けば、噴き出した水が一直線に宙を裂いてリアクの背を捉えた。しかし直撃と思われた水の光線は惜しくも、輝く黒竜の翼によって阻まれる。
手に汗握る攻防に、天彩が感嘆の声を上げた。
「おおっ、リアクさん見事に防いだー!」
「テメエ、背後からの何処が正々堂々なんだ阿呆! 妹にチクんぞ!!」
翼の陰に忍ばせた銃口が、高圧の水を噴きつける。だが煌く水流もまた、ふさふさの白い翼に阻まれて冥夜に届くことはない。余裕の笑みに口許を歪めて、不遜な天使は言った。
「俺の防御はこうするんだ。これなら何処からでも守れる気がする――?」
びし、ばしと顔周りを狙う水が、翼の表面で弾けて無数の水の礫を散らす。強い日差しを乱反射する飛沫に瞳を眇める冥夜を見て、リアクは荒々しくも吼えた。
「そらそら! 目つむってっとやられちまうぞ!」
「ふ、この程度! 俺の鉄壁の防御を以てすれば――」
「冥夜さん、隙アリ!」
「ぶふっ」
これぞ、身体隠して頭隠さず。頭上から噴きつけられた水を思いきり被って、冥夜はぶるぶると首を振った。水の入った目を拭って見上げれば、天彩の黒い尻尾が左右にはたはた揺れながら遠ざかっていく。胸に抱える水鉄砲は貸与品ではなく、先頃貰ったばかりの誕生日プレゼントだ。メタリックな光沢を持つそれは十把一絡げの玩具とは違う――高性能で、何よりとてもカッコいい。
「俺の戦法はヒットアンドアウェイ! 打って、離脱して、次!」
「くっ、上から天彩、だと……!!」
すばしこい彼を追うのは左右の動きだけでも大変なのに、上下に動かれるとますます狙いが定まらない。左右の拳銃を交互に撃ち続けるも、なかなか目標を射抜くには至らず――そうだ、と冥夜は思い至る。
「これなら、どうだ!」
「あっ!?」
胸の花を射抜かれなければいい、と考えているのだから当然と言えば当然だが、背中はある意味無防備だ。小柄な身体に比して大きな狐の尻尾を狙い撃つと、びゃあ、と萎れた声が上がった。
「尻尾がぺしょってするぅ! すげー冷え込む!」
「ふははは萎め萎め! ってうお、待っ、ぶわ――っ!!?」
「お返しだよ! それ――!!」
高笑いする冥夜の口を目掛けて、天彩は水鉄砲の引き金を引きまくる。立て続けに撃ち込まれる水撃に冥夜が溺れて倒れたら――次はリアクだ。
「共闘終わり! リアクさん、覚悟!」
「おう、やれるもんならヤってみな! 天彩!」
たとえ『訓練』であっても、そうそう勝ちは譲らない。天彩の速攻を尾と翼でいなしながら、リアクは狐の胸元を目掛け狙い澄ました一撃を放つ。しかしその刹那、突きつける銃口越しに真っ直ぐ視線が交わった。
「勝つのは――」
「俺だ!」
光る水の軌跡が二人の間で交錯し、その胸に、首元に、飾られた花を撃ち落とす。だがその実、一足早く砂浜に沈んだ冥夜の髪には、落ちかけて落ちなかった赤い花がまだ残っていたとか――いなかったとか?
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【神速反応】がLV2になった!
【飛翔】がLV3になった!
【エアライド】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV3になった!
ギィース・エレクレ
【彩縁筆】
2023年の水着姿で
水鉄砲サバイバル?訓練らしいけどなんだか面白そうだね!
個人じゃ無くてチーム戦だね!
良かった、レジーナちゃん相手だと敵わないもの!
お相手さんは、ハルトヴィヒ、ブレッツェル、カラスだね!
宜しくお願いします!
応援もあると頑張れるねー
レジーナちゃん、ブラシちゃん、トトも宜しくねー!
白いハイビスカスを胸にさして
レジーナちゃんのカッコっこ良い!ブラシちゃんも可愛いよ!
じゃ俺は連射出来る銃を装備して、トトは両手で銃を抱えている
どうやって撃つの?あぁ、なるほど尻尾で
はーい!こちらも準備出来たよー
ふふっ、隠れながら探すのも面白いね
えっと、気配は何処かなぁ?
トトはブラシちゃんの援護してねー
おっ!忍って!忍者さんだよねー
相手さんも的確に来るーカッコ良い!!
あっ!レジーナちゃん危ない!
レジーナちゃんをひょい片手で抱えて、ひょいひょいと避ける!
もう片手で水鉄砲で攻撃
壁になるのでいつでも大丈夫だよ!
ふふっー、俺のお姫様はカッコ良い!
レジーナちゃんやっちゃえー
(結果お任せ)
レジーナ・ネイサン
【彩縁筆】
2023年の水着姿で
水鉄砲サバイバル!いいね、燃える
ハルトヴィヒ、ブレッツェル、カラス
チーム対抗戦でお相手してもらえる?
千陽は応援、両方にくれたら嬉しい
手加減はナシ
やるぞギィース、ブラシ、トト
白のハイビスカスを頭にさし
ゴツめのウォーターガンにたっぷり水チャージ
ブラシもお子様水鉄砲を2丁持ち
いつもより凛々しい顔をしている気がするね
ふふ、ギィースとトトも決まってるよ
…尻尾で撃つの?器用だね??
では準備万端、スタート!
設置物や木に隠れながらハルトヴィヒ達を探そう
ブラシはトトと一緒に援護や偵察を
くっ、一人忍ぶのがプロの人がいる!気配全然分かんないんだけど!?
あと何処からか凄い殺気を感じる
うわッ危ない!
ふふふ、いいね
壁に一発描きする時みたいな緊張感だよ
これは避けきれないか…!?て、ギィース?
重くないのコレ?よく避けれるな!?
あなたが的になってしまうだろ
…こういう時、ギィースはよく身を挺してくるな
ああもう!やってやる
私は護られるだけのお姫様じゃないんで!
狙いを絞り引き金を引く
(結果お任せ)
「水鉄砲サバイバルか――いいね、燃える!」
「訓練らしいけど、なんだか面白そうだね!」
準備運動もそこそこに繰り出した浜辺は、眩しいほどの煌きに溢れていた。寄せる白波、青い海――背にした観客席に軽く手を振りながら、レジーナ・ネイサン(灰色キャンバス・g00801)とギィース・エレクレ(誘惑の道化師・g02447)は軽い準備運動を済ませ、貸与品の水鉄砲を取り上げた。真白のハイビスカスを灰色の結髪に差し込んで、レジーナは玩具にしてはかなり厳ついウォーターガンを胸に構える。その傍らを飛び回るモーラット・コミュもまた、針のような小さな両手にお子様仕様の水鉄砲を二つ握っている。パンツスタイルの動きやすい水着は海のような群青で、水辺のサバイバルにはうってつけだ。
「おおーカッコいい! 凄腕スナイパーって感じだね!」
「ふふ、褒めても何も出ないよ。ブラシは――なんだかいつもより凛々しい顔だね?」
「もきゅ!」
ぴゅっぴゅと両手の鉄砲から水を噴きながら、ブラシはぐるぐると主の周りを飛び回る。やる気に満ち溢れたその姿に微笑って、ギィースは円いサングラス越しに瞳を細めた。
「でもチーム戦でよかったー。レジーナちゃん相手だと敵わないもの!」
「よく言うよ」
ふっと唇を綻ばせて、レジーナもまた口角を上げる。中華風の上衣に黒い外套を羽織ったギィースの胸に咲く花は、彼女と同じ純白だ。へらりと笑って見せてはいるが、その腕に構える連射式の銃といい、両の前脚で銃を抱えたクダギツネといい、主従ともに気合は十分と見える。
見上げる狐の額にちょんと触れて、レジーナは言った。
「トトも決まってるよ」
「でもそれ、どうやって撃つの? ……おぉ」
尋ねると、黒い狐は己の尻尾を使って、その先端で引き金を引いた。器用だね、とレジーナが感心した声を上げると――続く言葉の先を遮るように、『戦闘』開始を告げる笛の音が響く。
ウォータータンクの水は十分、不敵な笑みを浮かべてレジーナは言った。
「手加減はナシだ。やるぞギィース、ブラシ、トト」
「はーい! 頑張ろうねみんな!」
ギィースの呼び掛けに応じて、小さな味方が二匹、もきゅっとコンッと元気よく応じる。客席から呼び掛ける狐耳の時先案内人に手を振って、二人と二匹は駆け出した。目指すのは、入り江を取り巻くように広がる木立の中だ。
見通しのいい砂浜で真っ向勝負もいいが、本気で勝ちを狙いにいくなら最初から全力の潰し合いは避けたい。森に潜んで索敵し、気づかれないようスマートに狙撃と行きたいところだが――。
「ふふっ、こうやって隠れながら探すのも面白いね。トトはブラシちゃんの援護……」
ギィースが何気なく傍らの狐に話し掛けた、その時だった。ビシュ、と鋭い風鳴りを伴って、高圧の水が赤い髪を揺らした。
「え?」
「!? 今のは、どこから……あっ」
予兆も、気配も、何一つ感じはしなかった。少なからず動揺を覗かせて、レジーナは前後左右に目を配る。しかし誰の何の姿も見えず、もしやと視線を上向けると、樹上を遠ざかっていく黒いパーカーの後ろ姿が見えた。フードの影から零れた銀髪と赤い眼差しは、時先案内人が一人――確か、カラスと云っただろうか?
「おっ! 時先案内人の忍者さんだね!」
「くっ、忍ぶのがプロの人がいる……! 気配全然分かんないんだけど――うわッ、危ない!」
あらぬ方向から飛んでくる射撃を地面に飛び込むように躱して、レジーナは草叢に潜り込む。だが不思議と心が高揚するのは、復讐者の性のようなものだろうか?」
「いいね。壁に一発描きする時みたいな緊張感だよ……!」
ぞくり、と背筋を撫でたのは、只ならぬ殺気だった。また上かと二色の瞳を廻らせて、レジーナは警戒感を露に青葉の梢を仰ぎ見る。
「っ!?」
がさがさと低木の茂みを掻き分ける音がしたのは、横方向からだった。ワン、と犬の吼える声がしたかと思うと、緑の中から一頭のパンツァーハウンドが駆けてくる。その背後で銃を構えるのは、ハルトヴィヒだ。
(「やばい……!」)
この位置、この距離では避け切れないか。そう、半ば覚悟を決めた時だった。
「あっ! レジーナちゃん危ない!」
不意に、身体の浮く感覚があった。地面が急速に遠ざかり、舞い上がった落ち葉を直線状の水が射抜く。驚きに目を白黒させるレジーナを片腕に軽々と抱えて、ギィースは留まるところを知らない銃撃の間を縫っていく。
「ギィース!? 重くないのコレ? よく避けれるな……というか、これじゃあなたが的になってしまうだろ」
「大丈夫大丈夫! どうってことないよ」
ひょいひょいと草を分け、枝を分け逃走を図りながら、ギィースは片手の銃で背後の青年を撃ち返す。俵抱きにされた肩越しに背後を見据えて、ああもう、とレジーナは喚いた。
「そっちがその気ならやってやるさ!」
護られるだけの『お姫様』になる気は更々ない。さすが、と屈託なく笑って、ギィースは言った。
「俺のお姫様はカッコ良い! レジーナちゃん、やっちゃえー!」
だらりと下げた腕を持ち上げ、男の肩越しに銃を構える。狙うのは追い縋る犬ではなく、その向こうだ。
「そこ!」
絶えず変化する距離と位置関係を計算し、的を絞って撃ち出した渾身の一射は、緑の木立を突き抜けて青年の胸の花を散らす。
「!」
「ナイス、レジーナちゃん!」
ち――と小さな舌打ちを耳にした瞬間、互いの口許が緩んだのが、見なくとも分かった。この調子なら二人、真夏の入り江をどこまでも駆けて行けそうだ。
🎖️🎖️🎖️🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【士気高揚】がLV2になった!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV5になった!
マティアス・シュトローマー
ラト(g00020)と同チーム
対戦相手の有無等詳細お任せ
ハルトヴィヒに感謝しないとなー
ここまで俺向きの“訓練”もそうそう無いよ
――これでよし、っと
ラトの耳に飾るのは淡い髪色に良く似合う白いハイビスカス。カモフラージュ柄のシャツをはためかせ、ゴーグルを掛けたら準備完了
それに修道女様が一緒なんだ
この条件下でどうすれば負けるのか教えて欲しいくらい!
ちゃちゃっと勝って南欧でのバカンスと洒落込もう
って事で援護よろしく、ラト!
岩を足場に大きく跳躍。さらに【エアライド】で宙を蹴り、遮蔽物の無い高所から敵を狙い撃ちしよう
最大レベルで使える残留効果で宙を駆け、加速し、攻撃もさらりと躱していく
余裕があればギャラリーにも手を振りたいね
次は――っ…!
ラトに狙いを定めた敵を発見。声を掛けるより早く、その射線上に突っ込んでいく
集中砲火に晒されようと――っいたたた痛い痛い!
耐え切って反撃に出るつもりが、胸ポケットからぽとりと落ちた花を見てがっくり
その後は静々と敵を殲滅していく修道女様を岩陰で震えながら応援していたとか
ラト・ラ
マティアス(g00097)と同チーム
こういった“訓練”ははじめてなのですけど…
飾られた白いハイビスカスに触れ、上目がちにマティアスを見る
心なしか不安そう
足を引っ張らないようにしなくちゃ
持ち慣れない形状のウォーターガンを抱え
まずは岩陰へ
華麗に宙を駆けるマティアスの攻撃は
威力が高いだけでなく、周りの注意も引きつけてくれる
ならばそのうちに――!
敵の死角から花をピンポイントで狙い撃つ
場所が周知される前にすばやく次の物陰へと移動
マティアスとは距離が離れたとしても
【パラドクス通信】で位置を共有しながら
どちらかというと地道に立ち回るほうが性に合――、!?
こちらを狙う敵の存在にはまったく気付いていなかったため、
自身を庇おうと現れた彼の姿に驚き隠せず
大丈夫ですか!?…よくもマティアスを…!
仇をとるためにもこんなところで引きこもってはいられない
翼で攻撃を防ぎつつ正面から応戦
試合が終わる頃にはくたっくたになっていたとかいないとか…
眩しいほどに白い砂浜の、先に広がる水晶の海。マヨルカ島の夏景色は、目にも鮮やかな色彩の洪水だ。鳴く砂をビーチサンダルで踏み締めて、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)はふふんと悪戯な笑みを零した。
「ハルトヴィヒに感謝しないとなー。ここまで俺向きの『訓練』もそうそうないよ」
「こういった『訓練』ははじめてなのですけど……」
「誰だってなんだって最初は初めてなもんだよ。気にしない気にしない」
上目遣いに見つめるラト・ラ(*☽・g00020)の瞳を覗き込み、少年は事もなげに笑う。ドット柄のレトロなワンピース水着に透かし織りのショールとヴェールをまとった竜の娘は、持ち慣れない形状のウォーターガンを抱えて不安げに佇んでいる。
ひと撫で触れた手の感触を確かめるように左耳に触れて、ラトははっと息を呑んだ。指先に触れた柔らかな花弁は、淡いアッシュブロンドによく映える純白のハイビスカスだ。
「これでよし、っと」
カモフラージュを狙った花柄シャツの胸ポケットに同じ色のハイビスカスを差し込んで、マティアスは額に上げていたごつめのゴーグルを引き下ろす。子どもの玩具というには無駄に大きなウォーターガンのタンクに一杯の水が入っていることを確かめたら、準備は完了だ。
「足を引っ張らないようにしなくちゃ……」
「何言ってんの。修道女様が一緒なんだ、これでどうすれば負けるのか教えて欲しいくらいだよ!」
何しろ彼女は勝利の女神。ただ隣にいてくれるだけで、マティアスにとっては負けられない理由になる。ニッと悪戯に口角を上げて、少年は言った。
「ちゃちゃっと勝って、南欧のバカンスと洒落込もう――ってことで、援護よろしく、ラト!」
訓練の開始を知らせるホイッスルの音が、青い夏空を劈いた。同時に岩を足場に跳躍し、マティアスは高々と飛び上がる。一瞬、どよめいたギャラリーへひらりと手を振って、少年はウォーターガンの引き金に指を掛けた。
「さ、ショータイムの始まりだ!」
波音さざめく煌びやかな『戦場』を縦横無尽に駆け回る少年の華麗な立ち回りは、必然的に敵の視線を引きつける。その隙に岩陰へ走り込んで、ラトは注意深く周囲の様子に目を配った。
(「こちらの位置を気取られる前に……!」)
敵の死角から、ピンポイントで狙い撃つ。銃器を抱えての戦いに慣れないラトにとっては、それが一番堅実な戦い方だ。しかしいざ、引き金を引こうと岩陰から顔を出した――刹那。
「!!」
遠く、こちらに向けられたウォーターガンの銃口が、高圧の水を噴く。咄嗟に身体を引いて隠れると、ビーム状の水が岩を削る勢いで横髪を掠めた。させるか、とマティアスの叫ぶ声がして、蜜柑色の鮮やかな後ろ髪が敵の斜線に突っ込んでいくのが見える。
この場所に留まり続けるのは危険と判断して、ラトは岩陰を飛び出すと、背の高い草の茂みへ飛び込んだ。そして耳元に寄せた通信機だけに届く声で、激戦の只中の少年へ呼び掛ける。
「マティアス? 聞こえる?」
「ラト? 無事――っっいたたた痛い痛い!」
「マティアス!? 大丈夫ですか!?」
囮となって戦場の中心へ飛び出した少年の姿はこの位置からでは見えないが、どうやら周囲からの集中砲火に遭っているらしい。そろそろと茂みを掻き分け草の隙間から目だけを覗かせてみると、見慣れた背中が浅瀬にがくりと膝をつくのが見えた。漣寄せるその足元には、胸ポケットから落ちたらしい白い花がぷかぷかと浮かんでいる。その姿を捉えた瞬間、貞淑な女の中で何かが――カチリと小さな音を立てた。
「どちらかというと地道に立ち回る方が性に合っている……のですが」
ゆらりと立ち上がった娘の全身から、静かな闘志が立ち昇る。夏の陽射しに濃い影を落とす前髪の下で、深緑の瞳がぎらりと光った。
「よくもマティアスを……!」
これが実戦であったら、と思うと、遊び――もとい訓練とて、黙ってはいられない。仇を取らんと草陰から飛び出して、ラトは細い身体に不釣り合いなウォーターガンを構えた。
「行きます」
向けられる水のビームを黒い翼膜ですべて受けきって、竜の娘は駆けていく。粛々と銃を繰り、敵を撃ち抜いていくその姿は、声援を送る少年もたじたじの勇ましさだ。
しかし、苛烈に戦場を征くラトは知らない。試合が終わる頃にはへろへろのくたくたになって、熱砂の浜に突っ伏す羽目になるのだと――まだ知らない。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】がLV4になった!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!