リプレイ
菅原・小梅
◆行動
訳合って常日頃より男装している為か
かような姫君達と接するのは正直気が重いものですね
此度は冬に差し掛かる歌会、相応しき身なりを
表は鳥の子色、裏は白、氷重の襲の色目とした装束
いつもの水干ではなく単の上に細長を羽織りましょう
自身で調合した香をしかと焚き詰め
私も姫君として牛車に揺られて歌会へと
歌会では女童として愛想を振り撒き、笹葉姫の隣を確保致しますね
姫が歌を詠む番になったら自分が先に詠むのだと我儘を
『蜻蛉羽(あきづは)の、袖振る姉を、仰ぎ見て、微笑み浮かぶ、笹葉を手に』
万葉集からの本歌取りですね
姫をこの場から連れ出す策も用意致しました
私飽きてしまいました、あちらのお部屋でお話を致しませんか?
魏・鋼
歌ですか
教養として詩経を読んだことはありますが詠むのは久しぶりですな
平安装束というのですかな、この国の服を着ていきます
そして宮廷にお仕えする役人を装い歌会に紛れ込み
歌を詠みつつ場を観察しましょう
何か収穫があれば良いのですが
ふむ、私の番ですかな
では秋らしく「収穫」の歌を
赤々と
天日(あまつひ)照らす
夏は去り
命刈り取る
秋の夕暮れ
これは夏の間、田畑で伸び伸びと成長し栄えた穀物が、秋になって刈り取られる風景を読んだものです
裏の意味は、人の世で伸び伸びとのさばって栄えているクロノヴェーダ共に対して
我らディアボロスが今日刈り取りに行くぞという決意表明を兼ねているのですが
そこは言わないようにしておきましょう
御田神・希理恵
貴族の歌会って行ったことはないけど、やってみようかなー。
服装……悪目立ちはしたくないし水干くらいでどうだろ。五衣に唐衣裳とか重いし……周りがそればっかりで、溶け込むのにそれがいいなら着るのは吝かではないけど。
さて、肝心の歌会だけど。笹葉姫に直接接するには早い段階だけど、印象に残るように詠みたいかな。
赤蜻蛉から始まる歌に被せるような視覚効果の見込める感じに……。
「人知れず 思いそめしは 恋なれど 唐紅に 燃ゆ山紅葉」
恋は人知れず思い始めるものだけど、山紅葉は目に見えて紅に鮮やかに燃えるように色づいていくよ。
初めと染めをうまく掛けたかったけど、ちょっとイマイチかな?
シャルロット・アミ
とても興味を持ちましたのでお邪魔してみることに
私の姿で侵入できるかわからないので
まずは【プラチナチケット】使用で少し馴染ませて
着物はお借りしていきます
さすがに姫君と名乗るわけにはいかないので
姫君を追ってきた女房とでも名乗りましょうか
「姫様と一緒に歌を習いたくお邪魔致しました」
笹葉姫に興味を持ってもらうべく歌も用意していきましょうか
赤蜻蛉 目に写りしは 明けの路 暗き心も 満ちていくかな
呪いの歌に引っ掛けて私なりの返歌を
優しい笹葉姫に不幸が起きないように願いをこめて
「このように下手な歌詠みですが、習うことは可能でしょうか?」
都のあちらこちらの邸宅より、姫君と呼ばれる者やその従者達がその屋敷へとやってくる。己の歌の技術を高める場であり、この時代の社交場でもあるのだろう。
しずりしずりと装束の裾が板張りの廊下を滑る。菅原・小梅(紅姫・g00596)は常の水干姿から打って変わって単衣の上に細長を羽織った姿。表は烏の子色、裏は白、氷重の襲の色目とした装束は、この歌会に相応しきみなりと言えよう。
仄かに薫る香は、小梅自身の調合したもの。すれ違う都度、衣に焚きしめられた芳香に姫君や侍従の者達が振り返る。
(「……かような姫君達と接するのは正直気が重いものですね」)
普段は男装している故か、何となくこの格好は慣れないが致し方ない。そんな溜息を押し殺す彼女の後ろから、小刻みに聞こえる足音。
「ああ、姫様置いていかないで下さいませ」
黒髪を靡かせて小梅を追う様にやってきたのはシャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)。彼女もまたこの事件に興味を持って歌会に紛れ込んだディアボロスの一人。着物に身を包み、プラチナチケットの効果を用いれば、この歌会の参加者の振りをするには充分なくらい溶け込む事が出来る。
「ええと、ついてきたのですね」
姫様、と呼ばれた小梅は合わせる様に返事をする。成る程、追って来た女房と言うのであれば、シチュエーション的にも違和感は薄れるだろう。
「姫様と一緒に歌を習いたくお邪魔致しました」
一歩後ろをついて行きながら、二人は会場となる大広間へと案内される。冬に差し掛かる季節、簾の中の広々とした室内は何処となく肌寒い。
見ると御田神・希理恵(零れし伝説の忘れ形見・g01168)が既に溶け込む様に座しているのが見えた。彼女の衣装は五衣に唐衣と何となく重そう。周囲を見渡せば流石に水干姿とは行かなかったようで。悪目立ちする訳には行かないのだ。
(「まぁ吝かではないけど」)
口元を扇の代わりに短冊で隠しながら、希理恵は上座に座る女をちらと見る。見た目、小柄な女性にしか見えない一人の女房が、次々と広間に集う姫君達を見つめて歌会の始まりを待っている姿。
あれが今回の黒幕か、とディアボロス達は顔色や表情に出さぬ様にさり気なく観察する。
上手く人間に化けているのか、クロノヴェーダたる鬼の特徴は今は見当たらない。向こうも自分達の潜入に気が付いている素振りも見えないの事に軽く安堵する。
「お隣、失礼しますね」
「あ、は、はい……」
小梅は周囲に愛想を振りまきながら選んだ席は――笹葉姫のすぐ隣。
「突然失礼致します。うちの姫が笹葉の姫君とお近づきになりたいと仰せになって」
シャルロットは従者の女房らしく言葉をかけた。不自然さは無い。そもそも貴族の姫君とは我が儘で奔放なものなのだ。
「おや、随分と麗しき女人の皆様が集まっておられますな」
簾をひょいと上げて顔を覗かせたのは、狩衣に身を包んだ魏・鋼(一臂之力・g05688)の姿。白い髪を烏帽子に纏め、平安装束に身を包んだ彼の姿はまさに宮廷に出入りする役人にいそうな雰囲気を醸し出していた。
「ほほ、別に女人に限らずとも殿方の参加も歓迎しておりますわ」
奥に座りし講師たる女房がコロコロと笑って鋼に声を掛けた。
「ふむ、歌ですか。教養として詩経を読んだことはありますが詠むのは久しぶりですな」
「でしたら是非とも。さぁ、そちらの席がまだ空いておりましょう」
館の主人に勧められるままに、鋼も歌会の席に座す。見れば男性の参加者も数える程だがいる模様。歌習いと称して出会いを求める貴人達もいるのだろう、恐らく。
「さて……皆様お集まりの様でございますし」
短冊を手に、歌会の主催やるその女房は妖しくも微笑んだ。
「歌会の始まりと致しましょうか」
秋を主題に歌会は進む。貴人や姫君が思い感じた季節を歌に詠み、時折気になる者に捧げる様に詠み、それに対し続ける様に詠まれていく。
「ふむ、私の番ですかな」
自分の順が回ってきた鋼は佇まいを直して、コホンと軽く咳払い一つ。
「では秋らしく「収穫」の歌を――」
赤々と 天日(あまつひ)照らす 夏は去り 命刈り取る 秋の夕暮れ
「まぁ、夏から秋にかけての風景でしょうか」
「ええ。夏の間、田畑で伸び伸びと成長し栄えた穀物が、秋になって刈り取られる風景――を読んだものです」
鋼は静かに微笑みを向けながら頷き、歌に籠めた意味を告げる。
……だが歌に籠めたもう一つ。
(『人の世で伸び伸びとのさばって栄えているクロノヴェーダ共に対し、我らディアボロスが今日刈り取りに行く』)
――という決意表明を兼ねているのではあるが、流石に目の前の標的は気が付いてはいないようで。無論、敢えて此処でそれを言う意味も無い。
(「後に気が付くでしょうかね、この意味に」)
心の内に秘めたまま、鋼は披露される歌に耳を傾け微笑むクロノヴェーダを見つめていた。
「次はあたし……かな?」
希理恵は歌会の中でも緊張する素振りを見せぬまま、番が来たと促されるとスラスラと短冊の上に筆を滑らせる。堂々とした佇まいはやはりその出自故か。
ちら、と笹葉姫に視線を向ければ一瞬目が合った。途端、向こうは目を反らす。恐らく返歌の相手を探しつつも悩んでいるのだろう。
(「直接接するには早い段階だけど……」)
人知れず 思いそめしは 恋なれど 唐紅(からくれない)に 燃ゆ山紅葉
「恋は人知れず思い始めるものだけど……山紅葉は目に見えて紅に鮮やかに燃えるように色づいていく、そんな情景を詠んでみたよ」
「素敵な歌ですこと。詠まれた心の内と燃ゆる山々の色彩が目に浮かぶ様です」
「ふふ、初めと染めをうまく掛けたかったけど、ちょっとイマイチかな?」
「いいえ、言葉遊びに手慣れてらっしゃるとお見受け致しましたとも」
集まる姫君達に褒められ、希理恵は思わず照れてしまう気もしつつ。ふと見れば、笹葉姫もじっと自分を見つめている事に気が付いた。ある意味狙い通りいったのだろうか。
(「姫の印象に残る感じに……彼女が持つ、赤蜻蛉から始まる歌に被せるような視覚効果の見込める感じに……」)
笹葉姫の心を引き付ける様な歌を詠むのは希理恵のみでは無く。
赤蜻蛉 目に写りしは 明けの路 暗き心も 満ちていくかな
「このように下手な歌詠みですが、習うことは可能でしょうか?」
はにかみながらシャルロットは首を傾げる。もし笹葉姫が手にしている件の歌に返すとすれば、こう詠むだろうという己なりの歌を詠み上げたつもりだ。
「優しくて、良き歌……ですね」
ぽつりと笹葉姫が呟いた。シャルロットが詠んだ歌は、この優しき姫君に不幸が起きぬ様に願いを籠めていたから。興味を惹けたのであれば、その想いが通じたのであれば嬉しい事この上ない。
「さて、次は笹葉姫の番――ですね」
ころりと微笑むながら、上座に座るクロノヴェーダが告げた。ディアボロス達の間に僅かなりとも緊張が走る。恐らく奴は見物するつもりなのだ。姫が苦悩に満ちたその表情を。その呪いを誰かになすり付けるその瞬間を。
「私に先に詠ませて下さいませ」
その空気を遮る様に告げたのは小梅であった。
「まだ笹葉姫は良い歌が思い浮かんでない様ですし」
にこっと笑ってみせる小梅。我が儘な振る舞いは、この伏線であるとすれば至極自然であったと言えよう。
蜻蛉羽(あきづは)の 袖振る姉を 仰ぎ見て 微笑み浮かぶ 笹葉を手に
「それは万葉集の――」
「ええ、本歌取りですね」
元の歌もまた、蜻蛉を歌に詠んだもの。そして歌の中に己の名を呼ばれた当の姫は驚くようなきょとんとした表情で小梅の方を見つめていた。
「笹葉姫、私飽きてしまいました」
「……は?」
突然の言葉に思わず出たのはその一言だったらしい。二の句を告げられぬ姫の袖を掴みながら小梅は立ち上がり、にっこりと告げた。
「あちらのお部屋でお話を致しませんか?」
「え、えっ
……??」
「ひ、姫様……!? 我が儘にも度が……!」
引っ張る小梅と、為すがままに広間の外に向かう笹葉姫、そして慌てて追いかける従者のシャルロット――の図。
「いやはや、若い方々は何をしでかすかと思いきや」
鋼は穏やかにその場を収める様に告げ、そして主催に向けて問う。
「まぁ確かに長く座り通しではいささか疲れますしな。この際、休憩に致しませんか」
「……そうですわね。一休みとしましょうか」
提案に頷くクロノヴェーダ。歌会に集った貴人や姫君も緊張の糸が解れたのか、思い思いに席を外し、火鉢にあたったり白湯を頂いたりと休憩に入る。
その様子を尻目に、鋼と希理恵もまた、広間を抜け出して先程の三人を探しに向かう。
笹葉姫に接触し、その呪いの返歌を貰い受けるが為に。
「…………」
赤蜻蛉 目を背けしは 黄泉の路の 御霊導く――
ここまで詠んで、姫は苦悩に首を横に振る。
心優しき姫は言葉選びにも、そして返す相手選びにもすっかり疲弊していたのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV2が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV3が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
※『呪われた歌の返歌』では姫より歌を送って貰うまでで、この段階で歌の作成は不要です。
※ディアボロスによる返歌の作成はボス戦での披露(=叩き付け)になります。
魏・鋼
笹葉姫については上手く連れ出していただけたようですな
私も合流しましょう
突然の来訪失礼します
姫君同士の話に入るのは無粋とは思いましたが
何やら込み入ったご様子
私も良ければその話、聞かせてはいただけませんかな?
その前にまずは【平穏結界】を貼り外から知覚されにくいようにしましょう
実は陰陽道の心得も少々ありましてな
私としては道士の術に近いの理解なのですが
どうやらここ平安京では陰陽師に信頼を置いている様子
札を周囲に貼ってそれらしさを演出しつつ
陰陽道ということにしておきましょう
呪いの連歌の話が出たら
元凶には目星がついていることと解決する手段はあるということを伝え
私達に返歌を送ってもらえるよう働きかけましょう
菅原・小梅
◆行動
さて部屋も移りましたし、此で込み入った話も出来ましょう
改めて私は菅原一門の娘、小梅と申します
先程の無礼、慎んで笹葉姫様にお詫び申し上げます
(女童として我儘な振舞いをした事を丁重にお詫び致します)
されど此も笹葉姫様に助力せよと卜占に出た為に行った事
貴女様には心当たりが御座いますね?
はい、私達は連歌の呪詛を祓う為に動いて居るのです
アレは人心を惑わす妖怪変化の手によって紡がれたもの
決して悪い様にはしませんし、笹葉姫様が悔いる様な結果をもたらすつもりも御座いません
どうか歌を私達に預けては頂けませんか?
それでもなお悩まれる様でしたら一つ
『そら事の、たえぬ世なれど、 笹葉舟、せせらぐ水に、心浄めて』
シャルロット・アミ
別室に入れたことでほっと一息
着物というのは疲れるものなんですね
笹葉姫、先程は私もご無礼致しました
姫様に付き従って参りましたの
どうぞ、気を楽になさってくださいませ
他の復讐者さんの言葉を立てながら、あくまでも女房としてふるまうつもり
姫様の卜占は当たるんですのよ、とか
笹葉姫さま、どうぞ私たちに歌を預けてくださいませ
姫さまに悪いようには致しません
それに……四人に預ければ、被害も減るとは思いませんか?
そう言って、姫様の心痛を軽くして
最後の七文字「かの空の色」とか如何でしょう?
私、歌詠みは本当に下手なんですが
アドリブ、連携歓迎です
御田神・希理恵
うんうん、ゆっくりお話できる感じになったね。ちゃんと正装でめかし込んだ甲斐があったよ。
というのも、呪いの歌の噂あるでしょ?それに関して貴女が鍵を握ってるって、星辰の巡りがあったみたいなんだよね。
ここに集まってる皆は大体同じような結論のもとに集まってて、ちょっとお話したいなってことで今に至るわけなんだ。
あたし達に歌を預けてくれれば、貴女は解放されるし、呪い返しが捗る。利害は一致してるんじゃないかな?
……みたいなことを他の人と話を合わせつつ語りかけるよ。
鋼さんが結界を張ってくれるみたいだね。一応、あたしは五行を扱うからもっとそれらしい見た目にできると思う。打ち消さない程度に手助けしていこう。
大広間の喧噪が遠くに聞こえる。
笹葉姫を連れて歌会を抜け出した菅原・小梅(紅姫・g00596)とシャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)は、障子や御簾で他の部屋との区切りを作ってやれば、込み入った話をするには充分な部屋となる。
シャルロットは他の姫君や貴人が此方にやってこない事を確認すると、少々はしたないのは分かりながらもパタパタと衣の胸元を摘まんで服の中に空気を通す。ほっとしたら妙に汗ばんでいたのは緊張してたと言う事か。
「着物というのは疲れるものなんですね」
「あ、あの……」
きょとんとして二人の顔を見つめる笹葉姫。何が何やら、と戸惑いを隠せない表情だ。
「さて部屋も移りましたし、此で込み入った話も出来ましょう」
小梅は先まで見せていた我が儘な姫君の様相から打って変わり、まるでどこぞの若君の様に表情引き締めた上で両手を畳の上につき、頭を深く下げた。
「改めて――私は菅原一門の娘、小梅と申します。先程の無礼、慎んで笹葉姫様にお詫び申し上げます」
「あ、いや、その……どうぞ頭を上げて下さいませ、小梅様」
「いいえ、我儘な振舞いをした事は事実」
深い謝罪。だが笹葉も元々然程怒る様な性格の姫では無かった。再度頭を上げる事を促され、小梅はゆっくり頭を上げ、佇まいを直す。
「笹葉姫、先程は私もご無礼致しました。姫様に付き従って参りましたの」
シャルロットも丁重に詫びながら、小梅に付き従う女房の振りをして優しく笑みを向けた。どうやら危害を加える訳ではないらしいと笹葉姫はやっと硬かった表情を緩め出す。
「先程、込み入った話……と仰せになってましたが」
「ええ。先の失礼――此も笹葉姫様に助力せよと卜占に出た為に行った事」
「助力……?」
姫の表情が硬くなる。何故それを知っているのか……と言う驚きもあるのだろう。
「突然の来訪失礼します」
簾を捲ったのは魏・鋼(一臂之力・g05688)のゴツゴツとした大きな手。白髪の偉丈夫はのそりと顔を覗かせれば、その後ろには御田神・希理恵(零れし伝説の忘れ形見・g01168)も控えていた。
(「姫を上手く連れ出して頂けたのは何より」)
鋼は三人が無事怪しまれる事無く話す場所を作れた事に安堵する。お陰で自分も彼女達の会話にこうして合流出来た。
(「うんうん、ゆっくりお話できる感じになってるね」)
希理恵も着物の裾を摘まんで部屋に身を滑らせ、笹葉姫に一礼。先程の歌会で詠んだ歌のお陰で、姫も「先程の……」と顔を覚えてくれていたらしい。
「姫君同士の話に入るのは無粋とは思いましたが、何やら込み入ったご様子」
鋼は大きな身体を揺らして座すと、落ち着いた大人の貫禄を見せながら女性陣に問うた。
「私も良ければその話、聞かせてはいただけませんかな? ああ……その前に結界を張っておきましょう」
鋼は部屋の障子や御簾に札を貼る。それ自体には演出であり特に意味は無いが……彼が真に用いたのは平穏結界――彼の周囲が外からの把握を遮断し、中の会話がますます外に聞こえなくなった事だろう。
「実は陰陽道の心得も少々ありましてな」
中国大陸出身の鋼自身はどちらかと言うと道士としての術に近いのだが。この地では陰陽道と言い張った方が恐らく信頼を置いてくれるだろう。
「まぁ……陰陽師の方だったのですね」
素直に信じ込んだ笹葉姫のその安堵した表情。この時代の人は卜占や陰陽術と言ったものに対する信頼が厚いらしい。
「鋼さんが張ってくれた人避けの結界、更に強化しておくね」
希理恵も札を取り出し、五行の術で更にそれらしい見た目を演出する。ついでにその効果を口にする事で姫が自分達に打ち明けやすい様に誘導も出来るだろう。
「さて、笹葉姫様」
シャルロットは優しくゆっくりと姫に微笑みかけた。
「どうぞ、気を楽になさってくださいませ。お困り事があるのでしょう?」
「何故それを……」
「ふふ、うちの姫様の卜占は当たるんですのよ」
ねぇ、とシャルロットが視線を向ければ、小梅もこくりと頷き返す。
「というのも……呪いの歌の噂あるでしょ?」
そこに希理恵が単刀直入に言葉を投げかけた。
「それに関して貴女が鍵を握ってるって、星辰の巡りがあったみたいなんだよね」
「……そこまでご存じとあらば……」
観念したかの様に。笹葉はようやっとその重い口を開き、ディアボロス達にぽつりぽつりと打ち明け始めた。己が受け取り、その手に抱えたままの呪いの歌について。
「ふむ、やはりそうでしたか……」
全てを正確に知っていながらも、たった今確信を得たかの様な神妙な表情で鋼は己の顎髭を撫でて頷いた。
「皆様は――呪いが恐ろしくはないのですか?」
「はい、私達は連歌の呪詛を祓う為に動いて居るのです」
小梅が静かに姫の言葉を肯定し、言葉を続ける。
「アレは人心を惑わす妖怪変化の手によって紡がれたもの」
「そして元凶には目星がついておりますし、解決する手段も我々は見出しております」
鋼が続けると、笹葉はぱちくりと目を瞬かせ、驚いた表情を見せた。
「なんと……! あなた方は一体……」
「何て事は無いよ。ここに集まってる皆は大体同じような結論のもとに集まってて、ちょっとお話したいなって事で今に至るわけなんだ」
希理恵が姫の肩にそっと手を乗せ、明るく笑いかける。彼女の問いに明確に答える訳では無いが、今はそれで充分……彼女の味方である、それさえ伝われば良いのだ。
「笹葉姫さま、どうぞ私たちに歌を預けてくださいませ」
シャルロットからまず申し出る。歌を預ける――即ち、呪いを渡すと言う事だ。
「え……でも、しかし……」
「あたし達に歌を預けてくれれば、貴女は呪いから解放されるよね?」
希理恵がにっこり笑って首を傾げた。自分達は呪いを恐れていないと言うのを示すかの様に。そして小梅は笹葉姫の白い手を取り、真摯な視線を向ける。
「決して悪い様にはしませんし、笹葉姫様が悔いる様な結果をもたらすつもりも御座いません。どうか――」
どうか――歌を私達に預けては頂けませんか?
四人の真剣な、そして姫を思う気持ちが伝わったのか。
笹葉姫は、今にも泣き出しそうな表情を浮かべつつ……こくりと頷いたのだった。
『そら事の たえぬ世なれど 笹葉舟 せせらぐ水に 心浄めて』
小梅は姫から返歌を受ける前に、とそっとこの歌を詠んだ短冊を彼女に渡す。少しでも、この心優しき姫の悩みが晴れる事を祈って。
「先程告げた解決する手段とは、呪いを元凶に戻してやる事なのですよ」
「そうそう、呪い返しが捗る訳だし、利害は一致してるって訳」
鋼は姫にそう告げ、希理恵もその言葉に続ける。術士らしさを見せた二人の言葉は彼女に安心感を与えた事だろう。
「さぁ笹葉姫様、返歌を私達に」
シャルロットが促す。姫がそっと取り出した短冊は最後の七音を残すのみであった。これを完成させれば、返歌がディアボロス達に繋がる。
「最後の七文字「かの空の色」とか如何でしょう?」
思いつくままにシャルロットが口に出すと笹葉は、静かに彼女の方を見つめ。その視線にシャルロットは慌てて手をぱたぱた横に振って顔を赤らめた。
「あ、私、歌詠みは本当に下手なんですが……」
「いえ、素敵だと思います」
彼岸の紅蓮華、と続けようかと悩んでいたと姫は言う。
「目を背けていたのは私なのでしょうね」
そうぽつり呟いて、短冊に最後の一句を加え――彼女は四人の手にそれを託したのだ。
『赤蜻蛉 目を背けしは 黄泉の路の 御霊導く かの空の色』
受け取った四人は呪いの移行を感じ取る。
同時に笹葉姫はすっかり心労から解き放たれたのか、へなへなと床にへたり込んだ。
「誠に見苦しい限りですが、お陰で助かりました。皆様は命の恩人です」
そしてご武運を、と彼女は告げた。元凶とやらを相手にこの人達は挑むのだろうと感じながら。
歌会もそろそろ再開する頃合いか。なれば各々、怪しまれぬ様にその場から立ち去るのみ。
元凶たる存在と対峙するには夜更けを待つ事になるのだから。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】がLV2になった!
【プラチナチケット】がLV4になった!
【水源】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
オリヴィエ・ルー
(サポート)
普段の口調:穏やか(ボク、呼び捨て、だね、だよ、~かい?)
敵には:刺々しい(ボク、お前、呼び捨て、だね、だよ、~かい?)
戦闘中、クロノヴェーダへの態度は一貫して辛辣(※相手の境遇や振る舞いで態度が軟化したり、慈悲を与える事もないです)
「戦いを楽しむ」より「攻撃する、痛めつけるのが楽しい」タイプ
通常時は好奇心旺盛で、見知らぬものや楽しげなもの、食べたことのないモノに対して強い興味を示したり、積極的に首を突っ込んでいきます
(基本世間知らずです)
※他ディアボロスに迷惑をかける行為、年齢制限のかかる描写(エロ等)NG
鬼姫・アヤメ
(サポート)
とりあえず、殴ってから考えるタイプ。
敵は殴る。とにかく殴る。
人懐っこい。とにかくフレンドリー。
『んじゃ、やっちまうか!』
鬼人の鬼狩人×デストロイヤー、16歳の女です。
普段の口調は「普段の口調(アタシ、お前、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、戦闘中は「イライラ(アタシ、お前、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。
基本的には、お任せです。
パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
天野・帷
(サポート)
口調:僕、〜さん、だ、だね、だろう、だよね?
死を覚悟した時は:わたくし、~様、です、ます、でしょう、でしょうか?
/口調補足
二人称:きみ
身分が高い人物に対しては敬語になります(身分が高い敵に対しては、戦闘等対立の意思を示している場合通常の口調に戻ります)
無気力気味、冷静な性格です
/行動
戦闘は積極的に参加します
使用パラドクスは威力の高いものを優先します
人の尊厳や故郷が奪われる事件では、人命やその土地を守る行動を優先します(上記のような事件に敏感で感情がわずかに表れやすくなります)
協調性は高く他のディアボロスへの協力を惜しみません
夜も更け、平安京を月明かりが照らす。
日中は歌会に人々が出入りしていた屋敷もすっかり静まりかえり、屋敷の主たるクロノヴェーダも枕を高くしてスヤスヤお休み中。
警備の者すら置かなかったのはその傲りのせいか。まさかこの平安を支配せんとする彼らを……ましてや日中は只の貴人女性に化けて装い過ごしているのを襲撃しようと思う者などいる訳が無い、と。
そんな高慢ちきな意識ごとぶっ飛ばすかの様に。
「それじゃ、取り敢えずカチコミ入れとくか」
ずっがぁぁん!! 寝殿の外と中を区切る御簾やら障子やらの調度品が外から強烈な一撃を受け、景気の良い音と共に破片が床に飛び散った。
『っひぃぃっ!? な、なんです、何奴ですか!?』
飛び起きた女房姿の館の主の前、大きく戸が開け放たれた軒先には数人のディアボロスの姿があった。
「お前が呪い歌の元凶だって聞いてぶん殴りに来てやったぜ」
鬼姫・アヤメ(鬼人の鬼狩人・g03328)は肩に担いだ得物をこれ見よがしに見せつけながら、不敵な笑みで告げる。
「人に化けて歌会を催すなんて、クロノヴェーダにも色々いるんだね」
オリヴィエ・ルー(青を宿す・g01610)は隣に携えた操り人形のコッペリアにそう問いかけながらクスクスと笑みを零し、そして続ける。
「さぁ、その化けの皮を剥がしてやろうか……」
オリヴェエの指先が動けばコッペリアが連動して動き出す。踊る様に人形は寝床に佇む女房に向かい、その手足を持って攻撃を仕掛ければ。
人とは思えぬ反応で女は飛んだ。床の上にストンと足を着き、此方を振り返るその姿は額に禍々しき二本の角を生やした悪鬼のものであった。
『人間風情が……と言いたい所ですが、只のヒトではありませんね』
東宮左近と呼ばれるアヴァタール級クロノヴェーダは目の前のディアボロスを睨み付ける。その瞳より放たれるは幻瞳術。しかし、その力に屈する事無く、天野・帷(電子端末依存症・g04186)は東宮左近に向けて高らかに歌を唄い上げながらソードハープの刃を敵に向けて振るう。
「歌はこの時代の文化であり、人々の交流ツールだと聞くけど」
現代のSNSに変わるものだと言えよう。貴人の間で想いを伝え届ける手段なのだとすれば。
「それを呪いとやらで穢した罪は重い」
淡々と告げる帷だが、その声色には僅かながらにも怒りが滲んでいよう。
華麗な剣撃が東宮左近を襲う。その攻撃は容赦無い。
『ふふ、私をこのまま倒して良いのですか? 呪いは我が死で解ける様なものでは――』
攻撃の手が緩む様に東宮左近は動揺を狙ってそんな事を口にする。しかし。
「無論、その辺は織り込み済みだよ」
オリヴィエは再び人形を繰り出し、なぶる様な連撃にて敵の女を攻撃しつつ告げた。
「ボク達はあくまで露払い。呪いの歌を受け取ったあの人達がお前を待ってるよ」
「そういうこった! さぁ、顔出してやるといいぜ!!」
アヤメが大棍棒を思い切り振りかぶり、力一杯繰り出せば。
『ひぎぃぃっ!?』
寝殿作りの建物の外に、東宮左近は打ち出される様にすっ飛んでいった。
さぁ、引きずり出して正体は曝き、ダメージも与えておいた。
あとは、彼らが返歌を叩き付けて解呪すれば勝利は間近だ。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【壁歩き】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!
魏・鋼
ほう、我らより先に妖魔と戦っている方々がいるようですな
おかげで既に化けの皮が剥がれている様子
此度の妖怪変化に返歌をして討ち滅ぼすだけですな
それでは私から彼奴めには名乗りの代わりに開戦の一句を返歌しましょう
の ろしあげ
ろ(路)の名は黄泉路
い ざ進め
返 歌とともに
し き(死期・士気)は来たれり
皆の宣戦布告も済んだところで私は愛馬を呼び
駆けて来させてそのまま飛び乗りて青龍偃月刀を振りまわして打ちかかりましょう
相手は奇怪な術を使う様子、その対処はお嬢様方して下さるでしょうから、私の役目は行動妨害かと思案します
得物を振り回す速さに重きを置いた戦い方で体力の続く限り妖魔と打合いを演じましょう
御田神・希理恵
おや、随分派手にやってるねぇ。
さて、お待ちかねだよ!
「男山 護国願いし 石清水 言の葉連ね 実を結ばむ」
勝利の神に捧ぐ歌だよ!
これで呪いは返してと。
あいつの視界にいると厄介みたいだよね。これまでの歌会絡みの動きで【水源】を仕込んでおいたから、辺りに水気が増してるはず。
【金生水】で距離を取ったところから、裏を取るように動き回って【連続魔法】で狙い撃とうかな。【浄化】しちゃうよ!
もしかすると、水で撃って濡らした後なら、微弱でも【電撃使い】の電流を【早業】で仕込んだら動き止められたりして。
味方を巻き込まないのは当然として、できれば連携しながら動きたいね。
シャルロット・アミ
戦闘は着物のまま
そのほうが、向こうも「あの時の」ってわかっていいかと思って
では私も貴女に返歌をするわね
「空蝉の 命刈り取る 呪い歌 今宵祝に 変えてみるらむ」
……やっぱり、私、歌詠みは下手ね
高らかな声で歌を歌うわ
このディヴィジョンにちなんで和音階の歌を選びます
さすがに西洋音階では締りがないと思ったから
おいで青い鳥 一緒に歌いましょう
相手の詩に感動して声が詰まっても
私は歌えばすぐにパラドクスが発動する
何度感動させたって無駄よ
その間に私の歌が、あなたのその詩作を蝕むわ
呪われて死ぬのは、あなたのほう
アドリブ、連携歓迎です
妙に妖しく夜空の月が平安の都を見下ろす。
静寂の内に突如鳴り響くけたたましい破壊音とその奥に聞こえた悲鳴も、平穏結界の内にあれば隣近所がこの戦いの開始に気付く事は無い。
『うぐぐ、おのれ――私を何と心得ようか――』
屋敷の外に放り出されし、呪いを放った鬼=クロノヴェーダが呻きながら身を起こす。その身なりこそ顔立ちこそ、日中に歌の師範として振る舞っていた女房であったが、その髪は白く染まり、何より額よりおぞましき二本の角が生えていた。
「おや、随分派手にやってるねぇ?」
御田神・希理恵(零れし伝説の忘れ形見・g01168)は、露払いに動いてくれたディアボロス達の戦いっぷりとその結果に痛快と言った笑みを浮かべていた。
「ほう、我らより先に妖魔と戦っている方々がいるようですな」
魏・鋼(一臂之力・g05688)は髭をしごきながら目の前の白鬼の姿を見やる。彼らのお陰でクロノヴェーダの化けの皮は既に見事に剥がれ落ちている様だ。
『――新手ですか――って、お前達は昼間の歌会で――!?』
「ふふ、ちゃんと覚えててくれたのは嬉しいですね」
昼に続いて着物姿で参じたシャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)はわざわざ同じ格好をして来た甲斐があったものだとほくそ笑む。日中の彼らの振る舞いは多少なりとも鬼の記憶に刻まれていたらしい。
『歌会の途中で抜けた笹葉が戻って来た時には呪いを手放していた事は気になってましたが、もしや――』
「無論、貴殿に――呪いの出所に返上する為ですな」
「さて、お待ちかねだよ!」
鋼が答え、希理恵もまたこの瞬間を待ち侘びた様に微笑んだ。
この妖怪変化――クロノヴェーダ『東宮左近』に丁重に歌を、呪いを返す時。そして討ち滅ぼす時が来た。
「それでは私から彼奴めには名乗りの代わりに開戦の一句を返歌しましょう」
既に歌をしたためた短冊を手に、鋼は左近に向けて朗々と歌を詠み上げた。
の ろしあげ
ろ(路)の名は黄泉路
い ざ進め
返 歌とともに
し き(死期・士気)は来たれり
『折句、ですか……』
左近はその歌の意味もさる事ながら、使われた技法……現代人であれば所謂縦読みとも呼ばれるその言葉遊びに、敵の歌ながらも思わず感嘆の息を吐き出した。
『呪い返しの歌にその言葉を入れるとは――ふふ、正直殺すのが惜しい歌詠みですね』
呪いに和歌を用いただけあって、この鬼は教養を好むのか。
「私も貴女に返歌をするわね!!」
シャルロットもその手にした短冊にしたためられた歌を詠み上げる。
空蝉の 命刈り取る 呪い歌 今宵祝に 変えてみるらむ
「……やっぱり、私、歌詠みは下手ね」
『ふ、ふふ……我が敵でなければ弟子に迎えて差し上げたい所ですけども、ね』
左近はその歌に籠められた意味と共に乗せられた呪いの力を身に受け、蝕まれつつあるのを感じていた。笹葉姫から複数人に分けられた歌の呪いは純粋に倍返しとなっているのだろうか。
男山 護国願いし 石清水 言の葉連ね 実を結ばむ
「勝利の神に捧ぐ歌だよ! これで呪いは返した事になるね!」
希理恵は元気いっぱいに歌を詠み上げ、その短冊を札の様に鬼に向けて投げつける。
『うぐあぁぁぁっっ!?』
左近に呪いの力が向けられ、その鬼の身を蝕んでいき――何かがパキンと爆ぜたかの感覚がその場に居た三人に感じられた。
「これは……」
「呪いが返った事で解けた様ですな」
これで笹葉から返歌を受けたディアボロス達が数日後に死ぬ事は無くなった。そして自分の放った呪いを自分で受けてしまった左近は術を解くしか無くなったのだろう。
『まぁ良い……其方達纏めて私の幻瞳術の虜にしてくれましょう』
「そうは行かないわよ!」
シャルロットは敵に先んじて、今度は高らかな声で歌を唄う。自信なさげに詠み上げた歌とは違い、音階に乗せて紡がれる歌唱は堂々としており、それこそが彼女のパラドクスを呼び起こす。
「♪おいで青い鳥 一緒に歌いましょう」
和音階にて奏でられる歌声は着物姿の彼女には強く調和しており。――この時代に西洋音階は似遣わず締まらないと思ったが故なのだが。
シャルロットの歌声に合わせて喚び出された青い鳥達が共に歌い出せば、その歌声そのものが左近に心に、精神にダメージを与えていく。
『う、が、くっ……』
堂々としていた左近の顔色が変わる。青ざめ、身を蹌踉めかせたのは心に傷を負い、その余裕を失ったからか。
「自信を無くしたあなたの詩になんて屈しないし感動だってしてあげない」
瞳術を向けようとした所で無駄だとシャルロットは告げる。
「その間に私の歌が、あなたのその詩作を蝕むわ……!」
『――ならば』
左近はその視線を鋼に向けんと身を捩る。だが既にそこには愛馬に跨がった鋼が自分に向かって大陸の曲刀を振り回し、打ちかからんとする所であった。
「はあぁぁっっ!!」
裂帛の気合いと共に、青龍偃月刀が左近に向けて刃を煌めかせた。パラドクスの域に達したその紫電の如き一撃に左近は術どころでは無くなり、錫杖で受け止める間も無く刃を身に受けた。
『うがあぁぁっ!!』
悲鳴を上げながら身を仰け反らせる左近。更に馬上より繰り出される攻撃から逃れるべく、左近は鋼の刀から離れる様に後ろに跳躍する。体勢を立て直して傀儡の術を彼にかけようと言うのか。
しかし希理恵はそんな敵を既に術中に収めているも同然であった。
「あいつの視界にいると厄介みたいだよね」
五行の力を更に高めるのは、歌会絡みの動きの内に仕込んだ水源の力。辺りに満ち満ちる水の気。
「五行相生・金生水!! 浄化しちゃうよ!!」
希理恵の周囲に生み出された水が強烈な流れとなり、距離の離れた左近を襲い捕らえる……!
『な……!? ごぼっ!?』
大量の水に呑み込まれ、術の使用が妨げられる。陸地にて溺れそうになる左近に次々と水鉄砲の様に水流を叩き込みながら希理恵は距離を詰めていく。
「もしかして、こんなの効いたりしない……かな?」
『ひぎゃっ!?』
素早く繰り出されたのは電撃を帯びた符。パラドクスの攻撃で無い以上、ダメージには至らぬものの――この悪鬼を驚かせ怯ませるには充分!
「呪われて死ぬのは、あなたのほう!」
「覚悟召されよ!!」
シャルロットの歌声が響き渡る中を鋼の馬が駆け抜けた。
青い鳥の歌が東宮左近の心を穿ち、そして青竜刀がその心の臓を穿つ……!
『か、は、……』
血を吐きながら白髪の悪鬼は地に倒れ、そのまま息絶えた。
こうして京の都を騒がせた呪いの連歌事件は、ディアボロス達の手により元凶たるクロノヴェーダを成敗する事でまた一つ解決となったのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【水源】がLV2になった!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ラストリベンジ】がLV2になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!