リプレイ
平良・明
砂嵐の中では缶コーヒーも飲めないです
そもそも口を開くのも難しい、いやぁ……わくわくしますね
襟袖を縛って口元も覆い、砂の重みに負けないようにしましょう
ディガーパックを使い姿勢や歩行を安定させるのも試します
共に行く味方がはぐれそうなら大声で注意喚起します、助け合い大事です
どのような物がこれを生み出しているか分かりませんが
非自然物です、何か法則性のようなものを見つけれるといいですね
風が吹くリズムや方向等を注意して観察し、全身で感じます
有用な残留効果もあればありがたく使わせて頂きます
足元が危ういなら山河千景に機織る橋を架けて進みましょう
目的地はあるはずです、全て見えずともすぐそこに、気が付かないだけで
一角・實生
人々が生きる場所を奪い続けているのか……流石に看過できない
一刻でも早く止めないと
砂に足を取られ且つ彷徨えば体力を消耗する
[結界術]で障壁を張り砂嵐・流砂との直接の接触を避ける
【完全視界】でまずは視界の確保だ
仲間がいれば纏まって移動したいな
消耗した仲間がいたら風下に庇うようにするよ
少し疲れるけど翼を広げれば簡易風よけになると思うし
仲間のパラドクスをはじめ対策法を使わせて貰いながら移動しよう
視界を確保できた今なら砂嵐に阻まれて見えなかったものが捉えられるようになっていないだろうか
岩石、地形の凹凸、遠くに見える目印になるもの
[記憶術]でそういったものを[情報収集]・蓄積し突破口を見つけていくよ
辻・彩花
砂やばすぎ風強すぎ!お気にのキャップ飛ばされないようにしなきゃ。
【念動力】を全方位バリアーって感じにして砂嵐から身を守るよ。さすがに完全にどうにかできる訳ではないと思うけどね。
あとは足元の砂を固着させて安定した足場に変える事もできるかも。これで流砂対策はオッケーかな。
最適な移動経路ってやつに期待して【エアライド】も必要に応じて使っていくよ。
風の流れの緩い場所とか分かったりしないかな?
バースィル・アシュラフ
厄介な砂嵐よな…しかし、攻略せねば我が民が救われぬのだ。
ならば、挑むしかあるまい。
「我が民よ、我に続くがいい!道は我が切り開こう!」
エアライドで最適な道行を見つけ、そこを進もうぞ。
方向感覚が狂いそうでもあるが…そこは我が力を信じよう。
あぁ、他の民(復讐者)とはぐれてはいけぬな。
各個撃破なぞされた日には目も当てられぬ。
我が旧き王の装いの布を利用しよう。
布の端と端を持っておれば、はぐれにくいであろう?
命綱代わりにもなるだろうしな。
「何、触れる事に否等言わぬよ。お互いの安全が第一だ」
「砂漠の恐ろしさ、砂嵐の恐ろしさはよく知っておる。警戒に越したことはない」
アドリブ歓迎
絡み歓迎
クィト・メリトモナカアイス
おおー、おっきい。
これに乗り込むのか。
いけるかな? いけるか。
【エアライド】で砂嵐の風を読み、吹き飛ばされないように突破して進むのに最適な移動経路を見つける。
可能であれば他の復讐者が残した【完全視界】で良好な視界も確保。
移動経路を見つけたら風に飛ばされないよう身をできる限り低くして、息を止めて一気に風の強いエリアを駆け抜ける。
もし急激に強い風が吹き飛ばされそうになった場合は黄金猫拳打棒を砂に深く突き立て、それに掴まることで飛ばされるのを耐える。
んんん……ぷは。
抜けたかな? まだかな。頑張ろう。
●砂上を進む者達
照りつける、エジプトの陽光の下。
バースィル・アシュラフ(焔陽の獅子王・g02196)が、己の道を阻むものを見据えていた。
砂嵐。
それも、クロノヴェーダによって作り出された、超自然的結界だ。
「厄介な砂嵐よな……しかし、これを攻略せねば我が民が救われぬのだ。ならば、挑むしかあるまい」
バースィルは、自信と威厳に満ちた足取りで、砂嵐へと挑んだ。
風格をまとって進むバースィル。
それとはまた別の余裕をたたえた者がいる。すなわち、平良・明(巡礼・g03461)は、難儀な地形を前にしても、何処か楽し気であった。
砂嵐の中では、ゆっくり缶コーヒーも飲めやしない。そもそも口を開くのも難しい。全く困った環境だ。
それでも明は、弾む心を抑えられぬ。
「いやぁ……わくわくしますね」
襟袖を縛って口元を覆い、砂の重みに負けぬよう準備すると、明はいよいよ砂嵐へ突入した。
予想通りの容赦なさ……ふと、明の聴覚が、悲鳴をとらえる。それも、すぐそばで。
「うひゃー!」
響いた声は、しかし、すぐさま吹き荒れる嵐に吸い込まれていく。
声の主は、辻・彩花(Stray Girl・g03047)だ。
「砂やばすぎ風強すぎー!!」
自然と、声量が増す。
懸命に、自分を押し返そうとする風に、耐える彩花。お気に入りのキャップが吹き飛ばされないよう、しっかと押さえる。
もちろん、このまま難所に挑む無謀はしない。
むむっ、と意識を集中させ、彩花は、念動力を発動。自身の周囲に張り巡らせ、力場を形成する事で、全方位バリアーの役目を果たしてもらう。
完全に遮断、とまではいかないが、行軍する分には、十分に有用だった。何より、キャップの心配をしなくていいのは、大きい。
吹き付ける風と砂の中。クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、出立前に示された巨大砂上船の雄姿を思い出していた。
「おっきかったなー。この砂嵐を抜ければ、あれに乗り込むのか。いけるかな? いけるか」
いけるはず。
無表情のまま、黄金猫拳打棒を携えたクィト。見据える先には、砂嵐。いつ止むともしれぬ大自然の要害……クロノヴェーダによる悪意ともいえるものだ。
クィトにも、ひしひしとそれが伝わって来る。
「お邪魔してくれるなー。まあ、奴らも砂嵐を守らなくちゃならないか。大変だな」
だが行く。クィトは、更に歩みを進めた。
そうして、行く手を阻む罠に挑む、一角・實生(あざよいの鷲・g00995)達。
この向こうに、災厄の源が隠されている。砂上船という形の、侵略者。
「人々が生きる場所を奪い続けているのか……流石に看過できない。一刻でも早く止めないと」
四方から、進入を阻むように襲い来る砂に、耐えて進む實生。
もしも何の策も無ければ、この砂に足を取られ、彷徨うことになれば、無駄に体力を消耗する。それどころか、命さえ危ぶまれるであろう。
ゆえに。
實生は、結界術を利用した障壁を展開。生きるものの命を、存在すらも脅かさんとする砂嵐との、直接の接触を避けた。
何より、周囲が不明瞭なのは、リスクが高い。何処に流砂など、障害があるともしれない。
そこで實生は、パラドクスのもたらす加護……完全視界によって、視界を確保した。
晴れた道行、進むべき方向を、仲間達に指し示す。
「よし、我が民よ、我に続くがいい! 道は我が切り開こう! 物理的に!」
バースィルにとって、民とはすなわち仲間。
吹き付ける風、叩きつける砂。それら邪魔ものに臆する事なく、バースィルが飛び込んだ。
エアライドで最適な道行を見つけ、そこを進む。
侵入者を追い返すように吹き付けてくる風と、刻一刻と変わり、しかし同時に見た目の変わらぬ景色。
それらが、バースィルの方向感覚を狂わせる。
それでも、共に進む民……復讐者達とはぐれぬよう、策を講じねばならぬ。
もしも、分散したところに敵襲を受け、各個撃破などされるような事になった日には、目も当てられぬであろうから。
「よし、これを用いよ!」
自身がまとう衣服の布、その端をしゅいっ、と味方へ放つバースィル。
同じ布の端と端を持ってさえいれば、はぐれる確率も下がる。それに、砂に足を取られるような事態に見舞われた場合、命綱代わりにもなる。一石二鳥というわけだ。
「何、触れる事に否等言わぬよ。お互いの安全が第一だ」
一瞬躊躇する仲間に、バースィルは破顔してみせた。それから、行く先を睨む。
民を苦しめる悪しきもの、クロノヴェーダの居るであろう方角を。
「砂漠の恐ろしさ、砂嵐の恐ろしさはよく知っておる。警戒に越したことはない」
助け、助けられ。
ディガーパックから伸ばした作業用アームを駆使して、姿勢や歩行を安定させるよう努める明。
共に目的地を目指す仲間とはぐれてしまわぬよう、逐一互いを把握する事にも余念がない。助け合いは、大事だ。
皆が、それぞれの力を振って、また、重ね合わせた事で、明にも、思考の余裕が生まれた。
「クロノヴェーダが砂上船を隠し、守るためにな作り出した砂嵐、ですか」
クロノ・オブジェクトなるものが、元凶だという。ならば、この現象も、人為的に生み出されたものだ。つまり、非自然物。
「だとすれば、何か法則性のようなものがあるはずですよね」
五感を研ぎ澄ます明。
風が吹くリズムや、方向。それらを注意深く観察し、進んでいく。
しかし、明達の足元は、不安定だ。刻一刻と様相を変える景色、地形。
少しでも、前へ。明は、橋を架けた。
『山河千景に機織る橋』……仲間達と共に、目指すべき方向を定め、そちらへとつながる道を生み出す。
一足飛びにゴールはたどり着けない。だとしても、目的地はあるはずだ。全て見えずとも、すぐそこに。まだ、明達が気付いていないだけで。
信じて進む事。それが、明達を辿り付くべき場所へと近づけてくれる。
そうして明が絞り込んでくれた、行くべき方へと、彩花も、ひょいひょい、と進んでいく。
砂に着地する寸前、念動力を足元に向けて発動。着地点の砂を固着させることで、安定した足場を確保する。一面の砂地、それに流砂への対策は十分であった。
仲間達も、すぐそばにいる。いつでも助けに入れる距離だ。とはいえ、この砂嵐は、彩花達に気を緩める隙を与えてはくれない。
真っ直ぐ進んでいる、と思っていても、代わり映えしない景色の中では、方向感覚も鈍る。
彩花は、風の流れの緩い場所を見出す。
そう、この現象の要は、砂ではなく、風にこそあると読んだのだ。砂は元々この地に溢れるほどあるのだから。
うかつに飛びあがるのは命取り。だが、気まぐれな風の吹き方を知る事が出来れば、一転、頼もしい味方となる。
彩花は、読み取った風の流れに従い、空中を跳躍。目的地へと近づいている事を確信していた。
彩花同様、クィトも、でたらめに吹き荒れる風の中を、すいすいと飛び回る。
「ん、こっちだな」
自らまとった気流に身を任せれば、最適な移動経路を見出してくれる。第六感にも通じる、超感覚の為せる技だ。
この場にいる味方の力も相乗して、砂嵐を攻略していく。
すると、風が強さを増した。うっかり飛ばされないよう、身をできる限り低くして、息を止めるクィト。後は、タイミングを見計らって、一気に駆け抜けるだけだ。
だが、砂嵐は、まだまだ試練を与える。
強い突風が、クィトの体を吹き飛ばそうとする。
とっさにクィトは、手にした黄金猫拳打棒を砂に深く突き立てる。味方の布をつかんでいたお陰で、皆の視界から消えるなどという事も無く、すんなりと棒を突き立てる。
ぐ、と、杖に掴まることで吹き飛ばされないよう、耐える。
風の方も、いつまでも強さを保ってはいられない。ようやく勢いが弱まり、クィトを襲っていた圧力が、ふわりと緩む。
「んんん……ぷは。抜けたかな? まだかな。頑張ろう。もう少し」
こくん、とうなずくクィト。
時に、クィト達を風下にかばうように、歩みを進める實生。
その分の負担は實生の身にのしかかるが、広げた翼が風よけになってくれている為、いくぶんは楽だ。
望んで得たわけではない。それでも、この猛禽の翼が役立ってくれるのなら、有り難いと言うべきなのだろうか。
ともあれ、皆のパラドクスの力もあって、想定以上に進軍は楽な者であった。
不意に、實生が、皆を制止する。行く手に岩石を発見したからだ。
通常なら、吹き荒れる砂嵐に阻まれた視界も、今なら見える。
地形の織りなす凹凸、そして、遠くに見える砂丘。
ともすれば迷い、自分の居場所すら見失いそうになる砂嵐の中で、實生はそれらを記憶し、確かに『前』へと皆を導いていく。
この砂嵐の中心……元凶たるクロノヴェーダの元へと。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【エアライド】LV3が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV3が発生!
●砂中に潜む者達
「……侵入者か」
ディアボロスの接近に、気づくもの達がいた。
雌獅子神群だ。今こそ鍛錬の成果を見せる時とばかり、息をひそめて、機を待つ。
砂に紛れ、嵐に乗じて、奇襲を得意とする敵。
砂嵐と雌獅子。この2つをいかにして切り抜けるか。
ベアトリス・リュウフワ
砂嵐は汚れてしまうから嫌いですわ。
早々に斬りさばいて終いにいたしましょう。
【エアライド】と【飛翔】にて、砂嵐の対策は行っておきましょう。吹き飛ばされても、そのまま空中戦に持ち込めるようにしたいですわね。
さて、こういった手合いは地中からの奇襲で一気に突き崩してくるでしょう。
なのでそれまでは【完全視界】で周囲を警戒しながら、剣の切っ先を下に向けながら歩みます。
飛び出してきたところを斬り結べれば幸いですわね。一撃でも防御出来れば、後はこちらのもの。
『弩』の性質は追尾性能です。どれだけ逃げようが、決して逃がすことはありません。
そもそもわたくしに【ダンス】で勝負を挑むなどあまりに無謀。
恥を知りなさい。
ベアトリス・リュウフワ(強欲と傲慢のミルフィーユ・g04591)は、一面の砂景色、そして吹き付ける嵐に、眉をひそめていた。
「砂嵐は汚れてしまうから嫌いですわ。早々に斬りさばいて終いにいたしましょう」
当のさばかれる相手は、既に近くにいるはずだ。
雌獅子神群。
スフィンクス型砂上船を守る砂嵐の、そのまた警備者だ。
しかし、砂地を得意とする雌獅子神群以上に、ベアトリスはこの気象を乗りこなしていた。
慎重に、砂地を進む。いざ刃を交えるとなった際、砂嵐に足元をすくわれるような事があってはいけない。
ベアトリスは、まだ見えぬ敵の出方を推理する。
(「こういった手合いは地中からの奇襲で一気に突き崩してくるでしょう」)
先手必勝、とはよく言ったものだ。
そこでベアトリスは、完全視界で周囲を警戒しながら、歩みを進める。抜いた剣、その切っ先を下に向けながら。
来た。
突き刺すような殺意とともに、刃が来た。砂に紛れ、飛び出して来た雌獅子神の一体だ。
無言にて繰り出されるその挙動は、雌獅子の舞……華麗に命を刈り取る、死へと誘う舞踏。
「ですが、相手が悪かったですわね」
ベアトリスは剣を振るい、突き出された高速の刃を弾いた。
「!」
必殺の一撃。そう信じて疑わずにいたのだろう。
見事なまでに初撃を防がれた雌獅子神は、驚愕を顔に浮かべた。
急襲は失敗した。次の行動はどうする? 刹那の迷いが、隙となった。
反対に、一撃を防いだ時点で、ベアトリスは勝利を確信していた。
攻撃を弾いた剣で、即座に反撃に転じる。電光石火の一撃は、瞬く間に、雌獅子神を貫いた。
ベアトリスの剣は、神速にして、高い追尾性能を誇る。たとえ素早くベアトリスから離脱を試みようと、決して逃がれる事などできはしない。
「おのれ、神聖なる領域を侵す不届き者め! 大人しく死に誘われよ!」
幾度も刃を繰り出すも、ベアトリスに一太刀すら浴びせられぬ雌獅子神群。
舞踏の主導権は、常にベアトリスにあると言えた。
「わたくしにダンスで勝負を挑むなどあまりに無謀。恥を知りなさい」
また一体、ダンスパートナー……もとい、敵を討ち果たしながら、ベアトリスはそう告げた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
平良・明
敵の気配……いや、そんな達人でもないのでよくわかりませんよ
そもそもこの砂嵐の中どうやって私たちの気配を察するのでしょう
大声を出しながら進んだので、音でしょうか
だとしたら、風下に潜んでいた可能性が高い、気がします
さらに、奇襲を仕掛ける為に潜伏場所を移動させる動作が必要でしょう
こちらの進行方向、あるいは風上が奇襲を仕掛けるのにまっとうな位置取りです
幸い完全視界があるので、よく観察すれば移動中の敵を見つけれるのではないでしょうか
遮蔽物の無い場所での奇襲って難しいんですよね
風上を取りながら逆に奇襲を仕掛けるくらいでいきましょう
復讐者になってはや数か月、会得した業があります
男女平等拳!
相も変わらず、平良・明(巡礼・g03461)の前には、見渡す限りの砂漠。
この景色のどこかに、襲撃者……雌獅子神群がひそんでいる。次の瞬間には、明も地に……否、砂に伏しているかもしれない。暗殺者の様相だ。
「敵の気配……いや、そんな達人でもないのでよくわかりませんよ」
明は正直であった。
しかし、裏を返せば、条件は相手も同じはず。雌獅子神どもは、いかにして明達の気配を察しているというのか。
明達一行は、決して隠密に行軍していたわけではない。やりとりの声を聞きつけていた可能性は捨てきれないし、相手としても一番確実性が高いと言えるかもしれない。
だとすれば、声がしっかりと聞こえる位置……すなわち、風下に潜んでいた可能性が高いのではないか。
更に、明は推理を重ねる。
奇襲を仕掛ける為には、潜伏場所を移動させる動作が必要では?
何せ、どこから飛びかかってもいいというわけではない。こちらの進行方向、あるいは風上こそが、奇襲を仕掛けるのにまっとうな位置取りだと、明は考えた。
未だ吹き続ける嵐、しかし、明は、完全視界という心強い力が発揮された状態だ。
目を凝らす。砂や復讐者以外に動くものを、視界に……。
「いましたね」
とらえた。
完全に戦闘態勢に入った雌獅子神群。
明は、相手に気づいた事を察せられぬよう、ごく自然な進行を装いながら……位置取りを決めた。すなわち、敵の風上である。
踏み込む。
「! 敵襲!」
明の攻勢を確認した敵が、反応する。神々の賛歌で己を鼓舞しながら、曲刀を振るう。
しかし、明瞭な視界を生かし、先手を取った明のアドバンテージを覆す事はできなかった。
「復讐者になってはや数か月、会得した業があります」
それは、
「男女平等拳!」
「!?!?」
シンプルにして物理攻撃の極致の如し。
明の打撃が、敵を撃つ。吹き飛ばされた相手は、複数の味方を巻き込んで、威力をまき散らした。
互いをフォローし合い、明に殺到する敵群。輪唱の如く響く歌に合わせ、次々と軌跡を描く剣の数々。
それを何とかかわし、いなし、受けると、再び明は相手を、殴った。
雌獅子だろうと神だろうと、分け隔てなく叩き伏せる拳で。
成功🔵🔵🔴
効果1【クリーニング】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
辻・彩花
砂嵐だけでも大変なのに敵の相手もしなきゃいけないなんてね。さっさと倒して砂嵐を抜けよう!
どうやら敵は砂の中に潜って姿を隠してるみたいだね。だったら無理矢理引きずりだすまでだよ。
【念動力】で地上の広範囲の砂を浮遊させて敵の姿を暴くよ。大がかりになるけど全力出せばこのくらいはイケるはず!
敵が出す炎は砂で壁を作ってガード。そして大量の砂を【キネシスランチャー】で叩きつけるよ。まるで砂の雪崩だね。
たかが砂でも大量に勢いよく浴びせられたら痛いし息もできないでしょ。砂なら無限にあるし、おかわりはいくらでも出せるよ。
辻・彩花(Stray Girl・g03047)は、油断なく、その場に佇んでいた。
(「もう近くにいるね?」)
未だ吹き荒れる砂嵐に紛れて、こぼれてくる雌獅子進神群の殺気を、彩花は感じ取った。
とは言え、それも一瞬。気配を嵐に紛れさせた相手は、この砂に身を隠し、機会をうかがっている。彩花の命を奪う機会を。
「砂嵐だけでも大変なのに、敵の相手もしなきゃいけないなんてね。なら、さっさと倒して砂嵐を抜けよう!」
彩花の上げた声にも、反応はない。
ならば、こちらから、無理やりにでも引きずり出すまで。
静かに、意識を集中させる。目に映る、砂地全てに……。
「えいっ!」
高く掲げた両手。それに引っ張られるようにして、砂が剥がされた。
念動力で、周囲の砂に干渉、一気に浮遊させたのだ。正直、技としてはかなり大がかりなものだが、彩花は、見事それを成し遂げた。
「!?!?」
砂のヴェールの下から、驚愕の顔がいくつも現れる。身を隠していた、雌獅子神群だ。
まさか、こんな豪快な方法で暴かれるとは、予想外だっただろう。事態を理解するので思考が精いっぱいで、彩花の次の行動への対応が遅れる。
「かくれんぼは終わりだよ!」
「おのれ、だが肉体の鍛錬も怠ってはいない!」
我に返った雌獅子神の口元から、赤いものがこぼれ出る。
炎だ。奇襲が見破られた以上、彩花をシンプルに焼き尽くす算段であろう。
「神炎にて塵となれ!」
彩花に吹き付ける、炎のブレス。
だが、それが届くより早く、彩花の足元が突然隆起した。砂を念動力で操り、壁としたのだ。
微細な粒子から構成された障壁は、神の炎さえも遮断した。
そして、炎の勢いが途切れた瞬間を狙って、彩花が反撃に転じた。支配下に置いた大量の砂を、一斉に敵群に叩きつけたのだ。
それはちょうど、砂の雪崩。
構成する一粒一粒は小さくとも、無数に集まれば、それは強大な力となる。
味方につけたはずの砂に、反旗を翻された雌獅子神群は、ただただ圧倒的な質量に呑みこまれていく。
「あ、うまく逃げたのがいるね。でも、砂なら沢山あるし、おかわりもいくらでも出せるから安心してね?」
「……!」
彩花の宣言に、雌獅子神群の顔が、蒼白となった。その表情もまた、砂へと呑みこまれたのだった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
●砂嵐の根源へ
ディアボロスを狙う刺客……雌獅子神群を蹴散らし、進んだ先。
突然、嵐が止んだ。
こここそが、砂嵐の中心。それを示すように、一体のクロノヴェーダが鎮座していた。
白猿だ。
「ほう、ディアボロスか。護衛の者どもがいたはずだが、それを突破してきたというのか?」
感心したように、声を上げる白猿……『ヘジュ・ウル』。
「だが、この砂嵐を止めさせはせぬぞ。『あのお方』にディアボロスを近づけるわけにはいかぬのだからな」
あぐらをかいていたヘジュ・ウルが、ゆっくりと立ち上がる。
すると、その周りに、数体の浮遊動物が現れる。
「おお、モフィンクスよ。下がっておれ、ここは我が相手をしよう」
「もふう」
取り巻きのモフィンクス達は、了承したとも否定したとも言えぬ、曖昧な鳴き声を上げた。
「まあ、共に戦うというなら構わぬが。さあ、愚かなる侵入者どもよ。我が神罰をくれてやろうではないか」
ヘジュ・ウルの背後に、巻物型の書物が浮かび上がる。
その1つに記されし知識は、戦の為に。
そしてもう1つこそ……この砂嵐を創り出している、クロノ・オブジェクトを内包したものに違いあるまい。
クィト・メリトモナカアイス
我が思うに――ますこっとの条件はふわもこさではない。
つまり我のモナカたちはかわいさで負けていない。
というわけで。我はでぃあぼろすのますこっと決定戦をやってくる。
【フライトドローン】代わりの浮遊球形ガジェット『モナカ』射撃型に飛び乗り「射撃のスコティッシュフォールド」。地上付近にいるモフィンクスたちを機銃で撃ち抜いていく。
逃れた敵が頭上や死角から攻撃してくるのは浮遊球形ガジェット『モナカ』反撃型で察知、反撃型の突進で威嚇して奇襲を防いでいる間にそっちも機銃で攻撃する。
んむ。やはりディアボロスのマスコットたるもの、必要なのは制圧能力。
ファハド・ハリーリー
ふわふわ、モフモフ、まるい……
こいつらを倒さないと首魁を討てないから、きっちり討伐しないとだ
残留効果2は使わせてもらうよ
あの尻尾の動きは危ないな
おれも距離はとるけど、シャフィーカにも衝撃波をまずまずかわせる位置からブレスを吐いてもらおう
緑の炎が毛玉を焼き尽くすよ
一緒におれの風魔法で延焼範囲を広げて、もっと威力を強める
弱ったやつから確実に潰していくよ
おれはまだ実戦経験に乏しいので、戦闘に有効な動き方を学んでいこう
ふわ。
ふわふわふわ。
クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、実に愛らしく浮遊するモフィンクス達を前にしても、屈する事はなかった。その魅力に。
「我が思うに――ますこっとの条件はふわもこさではない」
「もふっ?」
クィトの、何とも自信にあふれた眼差しに、たじろぐモフィンクス。
「つまり我のモナカたちはかわいさで負けていない」
言うなり、クィトが跳び上がる。
その身を受け止めたのは、浮遊球形ガジェット『モナカ』射撃型。猫耳と猫尻尾を備える、すぐれもの。
かくして、クィトは、モフィンクス達に、『でぃあぼろすのますこっと決定戦』を挑んだ。
睨み合う二種の愛らしきもの達。片や、ふわもこ。片や、めかめか。
今まさに、決定戦の火ぶたが切られようとする場面に、ファハド・ハリーリー(天渡りの子・g04298)の姿もあった。
「もふ」
「もふう」
綿毛のようにふわりと浮かぶ、モフィンクス。
敵らしからぬその風貌に、ファハドは、じぃっ、と見入っていた。
「ふわふわ、モフモフ、まるい……」
一見、戦意を感じないが、ファハド達を通せんぼするように、ヘジュ・ウルへの道を遮っている。
どうやら、このモフィンクス達を倒さないと、砂嵐の元凶を討伐できないようだ。
威圧して逃げてくれるならいざ知らず、立ち向かって来るというのなら、ファハドも相手をする事に異論はなかった。
そして、戦いは始まった。クィトの合図とともに。
「てー」
集結した複数のモナカ達が、一斉に射撃する。名付けて『射撃のスコティッシュフォールド』!
地上付近にいたモフィンクス達は、慌てふためく間に、機銃で撃ち抜かれていく。
緒戦は、モナカ優勢。だが、戦いは続く。まだモフィンクスはいるのだ。
「もふうー!」
鳴き声は、クィトの後方、頭より高い位置から聞こえた。
小さくとも、そのモコモコの翼は伊達ではない。クィトの死角を取り、急襲。自身の体を武器として、渾身の体当たり。
「もふっ?」
だが、モフィンクスの目論見は阻まれた。新たに現れたモナカ……その反撃型によって。
そのネコミミ型デバイスは、伊達ではない。ふわふわが空中で立てる音さえ聞き逃さない。
にゃー!! 反撃型の突進が、モフィンクス達をひるませる。
そして、その背後から、射撃型モナカの機銃が火を噴く。
「もふー」
あえなく、撃ち落されていくモフィンクス。
マスコット入り乱れる戦場は、クィト側が押している状況であった。
モナカ達にきりきりまいさせられ、圧倒されていくモフィンクス達が、その証拠だ。
「んむ。やはりディアボロスのマスコットたるもの、必要なのは制圧能力」
可愛さは強さ。その逆もまたしかり。
ますこっと決定戦は、クィトのモナカの方に軍配が上がったようだ。こころなしか、モナカ達は得意げな表情のようにも見えた。
「こういう戦い方もあるのか……」
「もふっ」
ふわっ。
モフィンクスの尻尾が、クィトの戦いに見入っていたファハドを襲う。
ねこじゃらしめいたアタックだが、常人なら容易く叩きのめされるくらいの威力が秘められているのだ。
「シャフィーカ、気を付けろよ」
ファハドの警告にうなずき、モフィンクスから距離を取るミニドラゴンのシャフィーカ。
ヘジュ・ウルの方へは近づけまいと、懸命に尻尾を振るうモフィンクス。空振りの衝撃波が、地面に砂柱を突き立てる。
ファハドは、ディアボロス達によってこの場に刻みつけられた数々の加護を掴み取り、衝撃波を、あるいは尻尾の直撃をかわしていく。
ファハドは、実戦経験にはまだ乏しい。実際の立ち回りについても学びながら、攻めていく。
敵の動きはもちろん、年齢的にも戦闘経験的にも先輩であるクィトを参考にしつつ。
そして、何度目かの尻尾衝撃波によって、舞い上げられた砂が落下した瞬間。
鋭い緑の光の後、モフィンクスを緑の炎が襲った。シャフィーカのブレスだ。
「もふっ!?」
本体は、実にもふもふの毛玉である。
従って、モフィンクスは、瞬く間に着火した。
加えてそこに、風が吹く。ファハドの風魔法によって起こされたものだ。
勢いを増して猛る炎は、モフィンクスの全身を包み、火の玉へと変えた。
「ももも、もふうー……」
火炎の中に消えるモフィンクス。
「よし、やったな」
怪我1つなく乗り越えて。シャフィーカとうなずきあうファハドだった。
阻むものは、もういない。これで、ヘジュ・ウルとの戦いに専念できるというわけだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
平良・明
進む道が衝突するのならば、退いてもらいます
砂上船の為にくたばってもらいますよ
あれに乗ればこの砂漠をどこまでもいけそうだ
(それにしても、モフィンクス、もふもふしたかったです)
しかし、この敵は何をしてくるのか全くわかりません
そういう時は何も考えずに一歩踏み込む、これに限ります
攻撃は貰ってからお返しを考えましょう
私は自分の墓標に覚悟を込めて前に進み
壁があるなら、撃ち砕きます
モフィンクスは一時の気の迷い
まあ旅に道草はつきものですが
それはさておき今は二者択一
月に向かって鉛玉を撃つか
猿の眉間に鉛玉を撃ちこむか、です
一角・實生
お前の言う『あのお方』はオアシスを次々と襲っているんだろ
どんな理由があるとしても到底黙過できることじゃない
モフィンクスは仲間に任せヘジュ・ウルとの戦闘に臨もう
浮かび上がる書物や奴の外見……魔法・物理両方の攻撃を警戒した方が良さそうだ
己の位置取りに注意し、時には【飛翔】による移動や回避を交えながら≪パニッシャー≫で銃撃を行うよ
仲間を標的にしていれば背後から、俺を標的にしている時は仲間が背後をとれるような位置取りを意識する
俺に攻撃の矛先が向くと同時にパラドクスを発動
魔力を流した書物諸共黒鷲達に食い破らせたい
一番の狙いは砂嵐のように黒鷲で視界を阻害すること
そこへ書物と奴を貫通するような一撃を見舞うよ
(「モフィンクス、もふもふしたかったです」)
ひらり、舞い散る羽毛。
平良・明(巡礼・g03461)は、クィト・メリトモナカアイスやファハド・ハリーリーが勝利を収める様子を横目に見ていた。
少々残念であるが、今はそれどころではない。
「我が愛しきモフィンクス達を……許さんぞ」
もっとも、明以上に落胆していたのは、ヘジュ・ウルだった。
その白き体から溢れ出る、一歩も退かぬという意思を、明はひしひしと感じ取っていた。
「進む道が衝突するのならば、退いてもらいます。砂上船の為にくたばってもらいますよ」
あれに乗ればこの砂漠をどこまでもいけそうだ。明には、そんな展望があった。
明ともども、ヘジュ・ウルと睨み合いながら、一角・實生(あざよいの鷲・g00995)は口を開く。
「お前の言う『あのお方』はオアシスを次々と襲っているんだろ。どんな理由があるとしても到底黙過できることじゃない」
「かつても、そのような事を口走る愚か者どもがいたな。根絶したはずと思っていたが」
パラドクスを介さぬ格闘術で、實生に攻めかかるヘジュ・ウル。
背にした書物、そして、今の拳打に蹴り。
それらは、實生に、魔法・物理両方の攻撃を警戒させるのに、十分な振舞い方であった。
相手はもちろん、自身の位置取りにも注意を払い、相手の出方をうかがう實生。
敵は……猿という事を考慮すれば当然かもしれないが……身軽だ。實生も、空中さえ飛び回って、相手とやり合わねばならなかった。
足を止めぬまま、實生が把握に努めるのは、自分と相手の配置ばかりではない。同時に攻撃を仕掛けている明の動きを見逃さず、ベストな位置を取れるよう、意識しているのだ。
實生と互いにタイミングをはかり、遂に敵の背後を取る明。
ここまで、ヘジュ・ウルの出方を、明は注意深く観察していた。が、相手もさるもの。猿だけに。
泰然と構えた様子からは、手の内を簡単には明かさぬぞ、という態度を感じる。
そういう時は何も考えずに一歩踏み込む、これに限る。明はそう判断した。こちらの技を知らぬのは、ヘジュ・ウルも同じこと。
反撃が来るのなら、貰ってからそのお返しを考えればいい。
すると、いつの間にか日は没し、代わりに天の主となっていた月が、隠れる。ヘジュ・ウルの掲げた、偽の月の仕業だ。
だが、明も、ためらいなく踏み出す。
『R.I.P.』と、そう刻まれた薄い石板状のトーチカを、周囲に即座に生成。
それは、明自身の墓標。そしてそこに込めた覚悟とともに、手に握られた小型拳銃で、ヘジュ・ウルを撃った。
その銃口が、ぶれる事はない。先刻のモフィンクスの件は、一時の気の迷いに過ぎないのだ。
(「まあ旅に道草はつきものですが」)
意識を研ぎ澄ませ、二者択一と向き合う明。
すなわち、こめた鉛弾を、偽の月に向かって撃つか。
それとも、猿の眉間に撃ちこむか、だ。
銃声一発。
苦悶の声を上げたのは、ヘジュ・ウルだった。その背後、偽月が朧に消えていく。
月光によって動きを抑制されたところで、トリガーを引く行為の妨げにはさしてなりはしない。ならば、元凶を狙うのは道理と言えた。
「おのれ……だが、そちらも見えているぞ!」
ヘジュ・ウルが、突如、振り向いた。自身の背後に迫っていた實生を。
瞬時に走る魔力。それを帯びたことで、書物は包丁の如き刃に硬化、實生を狙って振り下ろされたのである。
だが、實生の首が飛ぶより先に、黒い影の群れが、書物に喰らいついた。
その正体は、黒い鷲達。實生の手もとの狙撃銃が転じたものだ。
魔力によって変質したとはいえ、本質的には紙に分類されるもの。呪詛による侵食も加えれば、食い破る事も難しくはなかった。
「おのれ、知識を冒涜するか!」
書物を振るって、黒鷲達を払いのけようとするヘジュ・ウル。
しかし、黒鷲達も、どう猛さを以て、抗う。力強い羽ばたきによって、その視界は黒く塗りこめられるばかり。そう、射手たる實生の姿が見えぬほどに。これが一番の目的であると、ヘジュ・ウルは気づいていたであろうか?
既に實生の手もとには、パニッシャーが再構築されている。
次の瞬間。實生のパニッシャーが、銃弾を撃ちだす。
己を狙う殺意の形を視認することすら叶わず……ヘジュ・ウルは胸に弾丸を浴びたのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【セルフクラフト】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
辻・彩花
やっと砂嵐を抜けられたね。帰ったらすぐシャワー浴びなきゃ。
という訳で、さっさとアンタをやっつけてクロノ・オブジェクトを破壊させてもらうよ!
『書物斬り』はナイフで受け止めるよ。まさか巻物そのもので攻撃してくるとは思わなかったよ。
さすがに敵の方が力も強そうだし、接近戦を続けるとこっちが不利だね。隙を見て【念動力】で敵を【吹き飛ばし】して距離を離すよ。
【インスタントバレット】で狙いやすいいい距離だね。
さっきは質量で圧し潰す砂の雪崩だったけど、今回は一握りくらいの砂を高速で叩きつける砂の弾丸。すっごく痛いよ。
ここは砂漠のど真ん中。目立った遮蔽物はなさそうだし、弾に困る事もない。精々上手く逃げ回りなよ?
平良・明や一角・實生の繰り広げた銃撃戦に続いて、辻・彩花(Stray Girl・g03047)も、ヘジュ・ウル戦に加勢した。
砂嵐の中心地は、無風。久しぶりの、落ち着いた気象だ。
ここに至る道中、さんざん浴びた砂のじゃりじゃりとした感触が、今更のように強調される。
「帰ったらすぐシャワー浴びなきゃ。という訳で、さっさとアンタをやっつけてクロノ・オブジェクトを破壊させてもらうよ!」
「そのような真似を、我が許すとでも思ったか」
返答に乗せて先手を打ったのは、ヘジュ・ウルだった。
好戦的な意思をその目に宿し、彩花へと、巻物状の書物を振るう。
たわんでいたそれが、ヘジュ・ウルの瞳が輝くや否や、魔力を帯び、一枚の刃と化す。
知識こそ力。それを証明する方法が、まさか物理攻撃に訴えるものだとは。
何とも身もふたもない攻撃手段に、一瞬驚きながら、しかし、彩花は、敵の攻撃を見切った。
「なんと!」
巻物をガードしたのは、彩花のナイフ。
知識と刃。ペンは剣より強しとはよく言ったもので。しかし、いざ戦場に立てば、ペンも剣も、物理という同じ土俵で勝負するしかない。
「知識の重みに耐えるとは。だが、我が知識の底はまだ見えぬぞ!」
外見から想定されるとおり、膂力では、ヘジュ・ウルの方が、彩花を上回る。
知識を司ると見せかけて、実際は戦好きである事は、今の一撃で彩花にも読み取れた。
このまま接近戦を継続しても、相手を利するだけ。彩花は、相手の踏み込むタイミングを見切り、念動力を繰り出した。
敵の足めがけ発動し、その身を吹き飛ばす。反動を生かして、彩花自身もバックステップ。
そうして生まれた互いの距離は、彩花にとって、絶好のものとなった。
後退しつつ、砂をすくい取ると、弾丸を強くイメージする。
「すっごく痛いよ。我慢してね?」
宣言とともに彩花が撃ちだしたのは、砂の弾丸だった。
先ほどの砂の雪崩が面ならば、今度は点。念動力によって、一点に凝縮された砂の弾丸が、ヘジュ・ウルの肩を撃ち抜いた。
「ぐうっ」
弾丸が貫通した箇所が、赤く染まる。
「ここは砂漠のど真ん中。遮蔽物はないし、こっちは弾に困る事もない。精々上手く逃げ回りなよ?」
次々と握った砂を圧縮しながら、彩花が、ヘジュ・ウルを追いつめていく。
成功🔵🔵🔴
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
ベアトリス・リュウフワ
砂嵐という天候操作に頼らねば、己が威すら示せぬ弱き者。
貴方がたにとっては大事なことなのかもしれませんが、わたくしからしてみれば児戯に等しい。
疾く失せなさいな。
ほう、このわたくしを前にして『神』を名乗りますか。
実に傲慢ですわね。
それが真実なのか欺瞞なのか、わたくしの剣で確かめましょう。
神と王、どちらの【情熱】が勝るか、勝負といきましょうか。
繰り出された拳を、一撃目の【斬撃】で逸らし、一歩前へ。
二撃目の【斬撃】を立て続けに繰り出し、相手の防御を崩し――がらんどうとなった胴体へと踏み込みます。
そして、三撃目の【斬撃】を以て、優雅に斬り抜けましょう。
これが、わたくしの剣。
クィト・メリトモナカアイス
あいむうぃなー。
ますこっとの座は我のモナカのもの。
次は汝の番。
つまり。この砂嵐を止めていけばあのお方に近づける。
あのお方がどのお方かは知らないけど。
殴りに行くから砂嵐は止める。
我は我の目に映るものしか信じない。
故に。ここに神などいない。
凶暴であんまりかわいくないお猿はいるけど。
ヘジュ・ウルを相手に接近戦。「天に坐すは二つ国の庇護者」の「連撃」でひたすら殴る。
書物による斬撃は「残像」を生む「ダンス」を踊るような動きと黄金猫拳打棒で受け流して防ぐ。
どこにも神などいない。
故に。守護するは我にあり。
辻・彩花の砂弾に翻弄されていたヘジュ・ウルに向けて、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)の勝利の声が投じられた。
「あいむうぃなー。ますこっとの座は我のモナカのもの」
得意げに猫耳を動かすモナカに乗り、勝ち誇るクィトを、ヘジュ・ウルは怨みの眼差しで射抜いていた。
「愛しきモフィンクスをよくも!」
「次は汝の番。慌てなくても同じところに送る」
あまりにもしれっと告げるクィトに、さしものヘジュ・ウルも二の句が継げないようだ。
神を名乗る白猿。追い詰められた敵に対し、ベアトリス・リュウフワ(強欲と傲慢のミルフィーユ・g04591)は、憐れみにも似た眼差しを注いだ。
「砂嵐という天候操作に頼らねば、己が威すら示せぬ弱き者。貴方がたにとっては大事なことなのかもしれませんが、わたくしからしてみれば児戯に等しい」
「何だと」
腕組みをしてベアトリスを睨んだヘジュ・ウルの眉が、ぴくん、と上下した。
「そうしてすぐ心乱すことこそ弱者の証。疾く失せなさいな」
ベアトリスの尊大な言動に、白猿はぎりり、と歯を鳴らした。
モナカから降りたクィトもまた、ぼんやりとしながら、高貴さを主張している。
決戦の地に集ったのは、奇しくも、いずれ劣らぬ気位の高い三者だった。
「この砂嵐を止めていけばあのお方に近づける。あのお方がどのお方かは知らないけど。殴りに行くから砂嵐は止める」
「そうはさせん!」
明快な否定と共に、クィトを襲撃するヘジュ・ウル。
書物を手に取ると、魔力を付与する。しゅるりと巻かれ、筒状に変じたその先から、光が溢れる。巻物を持ち手に見立てた、光の剣だ。
「叡智にはこのような使い方もある。神の御業を受けるがよい!」
ヘジュ・ウルの苛烈な形相とは正反対に、クィトの表情は、悟りを得た者のようだった。
「我は我の目に映るものしか信じない。故に。ここに神などいない。凶暴であんまりかわいくないお猿はいるけど」
「お、おさ……!」
黄金猫拳打棒を振って、ヘジュ・ウルとの接近戦を演じるクィト。
その身はいつしか金色の輝きをまとい、白猿神へも通じる打撃力を生み出す。
肉球型の杖から繰り出される連撃が、ヘジュ・ウルの体を突き、殴り、叩く。
よろめくヘジュ・ウル。
「おのれ、まだまだこんなものではない!」
書物剣が、クィトを狙う。
その光の切っ先が、クィトを貫いた……。
「手応えがない。残像か!」
剣が空を切った事を認識した時には、ヘジュ・ウルの背後に、クィトが回り込んでいた。
舞踏の如き動作で、再度の斬撃をかわすと、黄金猫拳打棒の渾身でもって、叩きのめす。
「どこにも神などいない。故に。守護するは我にあり」
膝を屈したヘジュ・ウルを見下ろし、クィトは勝者のポーズ……拳打棒を天高く掲げて見せた。無表情で。
だが、ベアトリス達に怒気を叩きつけながら、立ち上がるヘジュ・ウル。
「おのれ! 我は神であるぞ。このような無様が許されるはずがないのだ!」
「ほう、このわたくしを前にしてなお『神』を名乗りますか。実に傲慢ですわね。それが真実なのか欺瞞なのか、わたくしの剣で確かめましょう」
すらり、抜かれた直剣の刀身が、ベアトリスの剣気を浴びて煌めく。
「神と王、どちらの情熱が勝るか、勝負と行きましょうか」
「戦にかける意気ならば、戦神にも引けを取らぬ!」
ベアトリスの技の発動を制するように、先に仕掛けるヘジュ・ウル。
振りかぶられたのは、正に神拳。物理という名の神罰だ。受ければ、あまねく反逆者を地に、いや、砂にねじ伏せるであろう。
「さあ、沈黙せよ!」
だが、繰り出された拳は、ベアトリスの斬撃によって逸らされた。
「バカな!?」
渾身の一撃を退けられ、驚愕するヘジュ・ウルとは反対に、ベアトリスは一歩前へ。
振った剣の流れに逆らわず、むしろそれを斬撃に乗せて、二撃目を見舞う。
「ぐうっ!」
斬った。自身の攻撃を弾かれ、相手の攻撃を浴び。ヘジュ・ウルの体勢は完全に崩れた。
だが、それを立て直す時間など、与えない。ベアトリスは、隙だらけのがらんどうとなった胴体へと踏み込む。
三撃目。
最も苛烈な斬撃が、ヘジュ・ウルを断ち切った。
一、二、三。三度の太刀を完遂したベアトリスは、あくまで優雅に。
「これが、わたくしの剣」
「む、無念……!」
どさり。
ヘジュ・ウルが地に伏し、砂に還る音を、ベアトリスは背に聞いた。
ヘジュ・ウルが倒れると同時、書物もまた風化するように散っていく。内に秘めたるクロノ・オブジェクトも、末路は同じだ。
力の根源を失ったことにより、復讐者達を悩ませた超常の砂嵐が、遂に止んでいく。
まだ他の砂嵐は、いくつも残っている。ゆえに、景色を見通す事は叶わない。
それでも。ディアボロス達の視界の先……スフィンクスの巨影が、刹那、見えた。
重なるように響いた少年の笑い声は、果たして幻聴であっただろうか。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV4になった!