リプレイ
四葩・ショウ
イブせんせい(伊吹・祈/g10846)と
【アイテムポケット】へ
米俵と干し山菜に干し柿
それから屋台で使う道具を詰め込んで
やぁ、こんにちは
わたし達は旅をしてるんだ
すこし休ませてほしいんだけど……
そうだったんだ、と眉をひそめて
ねぇ、お礼に
わたし達が皆をお祭りに招待するよ
イブせんせいと組み立てるのは
新宿島から持ち込んだ木製の簡易屋台
わたしはおにぎり屋さんにしようかな
ねぇ皆!ご飯を炊くの、手伝ってくれる?
余ったら干し飯にしちゃおう
おにぎりの具は色々持ってきたよ
梅干しと昆布の佃煮なら
余ってもこれからのかれらの食卓を彩ってくれそう
明太子&卵焼き入りとウインナー入りは今日だけの特別
さぁ、召し上がれ
ねぇ、ちょっとしたゲームしない?
持ち込んだのは線香花火
手持花火が日本に広まるのも
もうすこし先の時代だから
きれいだけど触っちゃダメ、だよ
いちばん長く、最後まで咲かせたひとの勝ち……わかった?
差し出された艶やかなりんご飴
有難うございますと受けとったなら
懐かしい味に
懐かしい言葉に
擽ったいよなしあわせな心地で花笑んで
伊吹・祈
■同行者:四葩くん(g00878)
物資は残留効果を利用し持参しましょう
折り畳み式のリアカーの手筈を整え
荷台に食糧と蓑やサイズ違いの笠、水筒を並べて村に立ち寄った商人を装い
青の視線を向けた先
……村の大人達は不在でしたか?等と話しかけ、子供達の事情を聞き出せれば
そうでしたか。今まで、良く頑張ってきたね
何かと不便だろうと物資を提供する口実に
こういう時は大人を頼りなさい。それが最善だ
屋台の準備に尽力をしながら
では僕はフルーツキャンディー、林檎飴の屋台を開きましょう
小ぶりの姫林檎を用いた物と、所謂ウサギ林檎の物を用意して来たんだ
どうぞ好きな方を選びなさい
出来上がる過程を眺めるのもまた醍醐味でしょうから
子供達の眼前で作ってみせる
出来立ての味わいは、さてどうだろうか?
花火に興じる(四葩くんを含めた)子供達を見守りながら
嗚呼、子供達の燥ぐ声は響くだろうか
せめてひと時の安寧たれと願わずにはいられない
四葩くんとあなたを呼ばえば
一等良い出来映えの林檎飴を差出して
……内緒ですよと見せるのは口許を擡げるだけの笑み
●幸いを繋げて
吹き抜ける潮風が頬を撫でる。
寄せては返す波の音と跳ねる水飛沫。海に囲まれた景色は何処までも広がる世界を感じさせてくれた。されど、此処に住む人々は海の美しさを思う余裕はない。
虐げられていた子供たちが寄り合って作った村は今、食料不足の問題に直面しているからだ。
「ここだね、例の村は」
「行きましょうか、四葩くん」
其処に立ち上がったのは四葩・ショウ(After the Rain・g00878)と伊吹・祈(アンヘル・g10846)のふたり。
元あった廃村を利用して住んでいるらしい子供たちは貧困にあえいでいる状態。天魔武者の行いが彼らの運命を変えたのだとしたら、今ある過去が未来に繋がらないかもしれない。
そんなわけで二人は万全の準備を整えてきた。
祈が引くのは折りたたみ式のリアカー。荷台には食糧と蓑、サイズ違いの笠や水筒などが積んであり一見すれば行商人のように見える出で立ちだ。
ショウも米俵と干し山菜に干し柿を其処に詰め込んでおり、後で使う例のものも用意している状態。
そんなふたりが訪れたことは子供たちも気付いているらしく、遠目からの視線を感じた。彼らからは少し警戒した様子が見えたため、ショウは微笑みを向ける。
「やぁ、こんにちは」
「……お前ら、何だ?」
するとリーダー格であろうひとりと、その次に年齢の高いであろう少年が近寄ってきた。
「わたし達は旅をしてるんだ。すこし休ませてほしいんだけど……」
「旅人?」
「……村の大人達は不在でしたか?」
ショウが質問に答え、祈が問いかけてみる。旅人らしい様相だと実感したらしい少年たちはひとまずショウたちの言い分を信じることにしたらしい。そして、青年の方が祈に向けて首を振る。
「大人なんていないよ。おれたちは身寄りのないものばかりで集まって暮らしてるんだ」
「悪いけど、何もやれるものはねぇからな」
少年たちは自分たちの暮らしで精一杯なのだと語り、旅人をもてなすようなことは出来ないと断った。言い方はぶっきらぼうではあるが、十分に休ませてはやれないと気遣ってくれてもいるのだろう。
「そうだったんだ」
「そうでしたか。今まで、良く頑張ってきたね」
「え?」
ショウが頷き、祈が少年たちのこれまでを労う。突然の優しさにきょとんとした少年は「まぁな」と照れくさそうにそっぽを向いた。おそらく労われたことなど初めてだったのだろう。
「どうしても休みたいなら寝床くらいはあるが……」
「ありがとう。ねぇ、そのお礼をしていい?」
「いや、礼なんていいよ」
「この地の様子からすると何かと不便でしょう」
「そりゃそうだが、旅人のあんたらには関係ないだろ?」
少年たちはこちらの申し出を受け入れるつもりはないようだったが、それは遠慮や戸惑いからのもの。そのことを見抜いていた祈は静かに微笑み、そっと告げる。
「こういう時は大人を頼りなさい。それが最善だ」
「そう、だからわたし達が皆をお祭りに招待するよ」
「大人を……」
「祭り? 祭りってあの祭りか!?」
祈とショウの言葉に青年と少年が其々違う反応を示した。頼ってもいいのか、という期待と話でしか聞いたことのない祭りというものに興味津々な様子。その様子が可愛らしく感じたショウと祈は視線を交わし、ふっと笑いあった。
「任せておいて」
「はい、他の子達も呼んできてください」
「わ、わかったよ」
「そうだ。あんたらの名前! 名前おしえてよ! 俺は小太郎で、そっちの兄ちゃんが」
「――佐吉。その礼ってやつ、受けさせてもらうよ……皆のためにも」
少年は小太郎、青年は佐吉と名乗り、他にも長丸やねね、与八やイチ、十郎太といった子供たちがいるのだと語ってくれた。自己紹介を良く聞いて名前をしかと覚えた祈は青の瞳に彼らを映す。
「僕は祈で、こちらは四葩く……ショウくんです」
「ショウだよ、よろしくね」
祈は少年たちが呼びやすいようにショウのことを普段の呼び名とは違う形で紹介した。先生が気を遣ってそのように称してくれたのだと感じたショウは双眸を細める。
そうして此処から、楽しいひとときのお祭が幕開けていった。
「イブせんせい、次はこっちを」
「あと少しですね、頑張りましょう」
小太郎たちが仲間を呼んでお祭りが始まることを説明している間、ふたりは新宿島から持ち込んだ木製の簡易屋台を組み立てていた。ショウはおにぎり屋さん、祈はフルーツキャンディーと林檎飴の屋台をやる予定だ。
「わ、これなーに?」
「ねねも! ねねもてつだう!」
集まってきた子供たちは興味津々。ショウと祈は屋台ごとに二手に分かれ、かれらにも手伝ってもらうことにした。
何せ材料だけでは屋台を開くまでにはならない。それにこういうことは皆で準備して完成させたほうが楽しく、勉強や経験にもなるからえだ。
「ねぇ皆! ご飯を炊くの、手伝ってくれる?」
「ごはん? お米があるの?」
「やるやる、やるよー!」
「余ったら干し飯にしちゃおう」
「俺もやらせてくれ、ショウ」
ショウの方に集まったのは瞳を輝かせている長丸、元気なねねと引っ込み思案な与八、そして先程の小太郎だ。ショウがお米を取り出したことでわっと喜びの声があがる中、佐吉とイチ、十郎太が祈の方に歩いてきた。
「おれたちに出来ることはあるか?」
「あの、お手伝いしたいです」
「不思議な匂いがする……これは?」
「林檎飴といいます。では、これを作っていくので並べてくれますか」
祈は小ぶりの姫林檎を用いた物と、ウサギ林檎の物を用意してきていた。こちらはコツがいるので祈が担当し、完成したものを綺麗に並べていく手伝いを願うことにした。そうすれば本当の屋台のようになって賑やかになる。
とろりと飴を絡ませて固めれば林檎飴の出来上がり。
するとお米を炊く手伝いが終わった子供たちが祈の方にやってきた。興味でいっぱいの瞳をきらきらさせている様子は愛らしく、誰かのお腹がぐうと鳴った。
「先にこっちを味わっちゃおうか」
「いいですね。どうぞ好きな方を選びなさい」
「わああ
……!!」
ショウがおにぎりより先に林檎飴を食べようと提案すれば、子供たちが嬉しそうにはしゃぐ。
飴が出来上がる過程を眺めるのもまた醍醐味だろうと考えた祈
子供達の眼前で作ってみせる
出来立ての味わいは、さてどうだろうか?
どちらでも好きなものを選べるということもこの時代と状況の少年たちにとっては特別なこと。
「おいしい……」
「甘い、甘いね、すごいよ!」
「こら、十郎太。急いで食べ過ぎだ」
「だって佐吉にーちゃん、これ! おいしすぎる!」
それぞれが味わい、或いは一気に食べていく様子は微笑ましい。佐吉がよく年少者の面倒をみていることもわかり、ショウと祈は目を細めた。
そうしているうちに米が炊きあがり、次はおにぎり屋台の出番となる。
おいで、とショウが手招けば子供たちは待ち切れないといった様子で屋台の方に集まった。
「これは?」
「梅干しと昆布の佃煮だよ。ほら、こうやって」
「わかった、握っていけばいいんだね」
ショウは子供たちに基本的な具を握ってもらっていく。この食材なら今回で余ってもこれからのかれらの食卓を彩ってくれそうだと考えてのチョイスだ。
それに加えてショウはとっておきの具材を用意してきていた。
それは明太子と卵焼き入り、それからウインナー入り。この時代にはないものだが今日だけの特別として、そして栄養不足であろう子供たちの健康や見た目の彩りを考えてのものだ。
「さぁ、召し上がれ」
「なにこれ、おいしい!」
「いくらでも食べられるよ」
「喉をつまらせるなよ、って佐吉兄ぃと小太郎にいちゃんもかよ!」
「いや、つい」
「あはは、こんなに食べられるのなんて久々だもんな」
「ゆっくりお食べなさい」
和気藹々とした様子に祈が笑みを向ける。これまで恵まれなかった子供たちを思うと胸が痛むが、この地域が支配から解放されれば幾分も事情はよくなるだろう。
その道筋は自分たちが勝ち取っていくものだと思うと、密かながらに気合いも入る。
そして、食事を終えた後は片付けと保存食の扱いについての軽い説明だ。暫くは暮らしていけるだけの量を貰ったことで佐吉は驚いていたが、仲間のために受け入れてくれた。
何度も何度も、ありがとう、助かった、と告げてくれる佐吉は心から喜んでいた。
それから最後は、此度の小さなお祭りの締めくくりだ。
「ねぇ、ちょっとしたゲームしない?」
「遊ぶの?」
「いいよ、何するのかな」
ショウはねねとイチの姉妹と仲良くなっており、皆にも向けて或る提案をした。それは持ち込んだ線香花火で行うちょっとした勝負だ。
「いちばん長く、最後まで咲かせたひとの勝ち……わかった?」
「やってみる!」
「おれも挑戦してみたいな」
他の子供たちも手持花火を受け取り、ショウはせーのと声を掛けた。これが日本に広まるのはもうすこし先の時代だから注意は万端に。きれいだけど触っちゃダメ、と告げれば皆は正直に従ってくれた。
「きゃあ、落ちちゃった!」
「へへーん、俺はまだまだ光ってるぞ」
「これは……むむ……」
「すごいね、佐吉がいちばんだ」
子供たちとショウのやりとりや、花火に興じる様子を見守りながら祈は穏やかな気持ちを覚えていた。最初こそ、子供らの燥ぐ声は響くだろうかと少し心配だったが今は無邪気に寛いでいる。
せめてひと時の安寧たれ。
そう願わずにはいられず、祈が瞼を閉じようとすると声がかかった。
「祈の兄ちゃん!」
「はい?」
「あの甘いやつ、林檎飴もういっかい!」
長丸が祈に近寄ってきて、もう一度甘いものが食べたいとねだってきた。微笑みをたたえた祈がもちろんだと答えると他の子たちも「りんごあめ!」「たべたい!」といって集まってくる。
そんなこんなで楽しいひとときは過ぎていく。
「四葩くん」
「イブせんせい、これは?」
「……内緒ですよ」
子供たちが残った花火で遊ぶ中、祈はショウにあるものを差し出した。一等良い出来映えのいい艷やかな林檎飴が渡されたことでショウは瞳を瞬く。祈は口許を擡げるだけの笑みを向け、人差し指をそっと添えた。
「有難うございます」
ショウは慣れ親しんだ味と、それ以上に懐かしき言葉に擽ったさを感じる。
しあわせな心地で花笑んだ少女はまるで、幼き日のままのようでもあって、祈もまた懐かしさを抱いた。
こうしてふたりは子供たちを救った。
飢餓や貧困からだけではない。絶望や死の淵に辿り着くかもしれない子供たちの心を救い、希望を繋げた。
ひとつずつの細やかな気遣いや行動、願う気持ち。それはとても尊く、称えられるべき行いに違いない。
🎖️🎖️🎖️🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV2が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
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少年や少女が住む村に物資を届けた後。
ディアボロスたちはかれらに別れを告げ、今後の安寧と平和を願った。感謝の言葉と共に「どうか無事の旅を」と送り出してくれた少年たちはとても元気になっていた。その未来はきっと明るいはずだ。
そして、その未来を繋げて守るのはディアボロスの役目であり使命。
鳥羽城までやってきた今、こちらの気配を察した部隊が戦闘態勢に入っているようだ。
「敵襲だー!」
「みんなあつまれー!」
「我ら、ましら組の力を見せつけてやるぞー!」
「それから尼子通久さまにほめてもらうんだ!」
次々と言葉を発するのは城を護衛するトループス級、軒猿・ましら組と呼ばれる化け猿たちだ。かれらを倒すことで尼子通久も姿をあらわし、戦う機会が得られるだろう。
未来ある子供たちの平穏を守るためにも、今こそ戦いを始めるときだ。
⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️
橙・夕晴
(トレインチケット)
●魔弾と氷刃
ここから始まるのは志摩国鳥羽城制圧作戦。
まずは城の前を守るトループス級、軒猿・ましら組を打ち倒すことが首魁への道に繋がる。
助っ人に訪れたルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)と橙・夕晴(レイニーキャット・g10607)は、ましら組へと狙いを定めた。
「連携を重視してきそうな相手ですね」
「そうだね、早々に倒してしまいたいな」
ルィツァーリと夕晴は頷きあい、互いに協力することを決めた。
敵が集団であることからルィツァーリは翼を広げ、無双馬のスヴェルカーニエに勢いよく駆けて欲しいと願った。
「参ります!」
その速さに乗せた双翼魔弾を解き放ったルィツァーリは騎士然とした言葉で立ち向かう。ましら組も素早く動いて魔弾に対抗しようとしているが、それだけではディアボロスの攻撃を防ぐことはできない。何故なら――。
其処に続いて、夕晴が力を紡いだからだ。
「さて、あの辺りかな」
夕晴は氷の刃を作り出し、ましら組へと放った。
それはルィツァーリの魔弾を避けた敵が動いた地点を狙ったものだ。氷の刃に貫かれたましら組の一体がその場に倒れ込み、戦う力を失った。
されど夕晴は攻撃の手を止めることなく、普段のタイピングの速さと同じように氷刃を解き放つ。
同時にルィツァーリもスヴェルカーニエで戦場を駆け回り、ましら組を翻弄していた。
「負けないぞー!」
「主君のためだからな!」
「……そうか、お前らも主を――」
その際、ましら組が主への忠誠を意味する言葉を落とす。はっとしたルィツァーリは普段の口調に戻り、相手もまた騎士道あるいは武士道に似た思いを持っているのだと知った。
だが、それであるからといって容赦はできない。いつの世も勝利を得た方が正義となり、歴史を作る。
クロノヴェーダである彼らが勝利したとて、待っているのは改竄された未来のみ。
「その心意気は忘れないぜ!」
「次に進むために倒させてもらうよ」
己の心からの言葉を告げたルィツァーリは更なる魔弾を、夕晴は速さを乗せた氷刃を放ち、そして――。
彼らの周囲を取り囲もうとしていたましら組は、一匹残らず地に伏した。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【通信障害】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【グロリアス】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
四葩・ショウ
イブせんせい(伊吹・祈/g10846)と
楽しかったですね、と
イブせんせいに笑顔を向けて
皆の未来を繋ぐためにも、頑張らなくちゃ
そうだ、ディアボロスが相手になるよ
高らかに声をあげて、かれらの注目を集めよう
イブせんせいをディフェンスする
いちばん深くダメージを受けた敵を巻き込んで
せんせいと狙いを合わせながら
レイピア達を揮って、踊るよに戦場を駆ける
敵が多い間はフリーの敵を牽制して
せんせいへ敵の意識が向きにくくなるように
――おいで、こっちだよ!
果敢に攻め込めるのは
敵の攻撃や反撃はレガリアが咲いて、降って
きっと護ってくれるから
それに――
まるで魂を光が照らすみたいな
あの子達の笑顔が胸に蘇るから
どんな痛みだって、乗りこえていける
えっ、だいじょうぶ?
チャーミングな敵、だけど
士気の高さは侮れないから
殲滅まで気をゆるめたり、しない
数を増やして襲いかかってきたって
そんなことじゃ――わたしは止めれない
くるり、ステップ踏んで
本体と分身達へレイピアを投擲しよう
ずっとお城に籠ってて退屈でしょう?
さぁ、わたし達と踊ってよ
伊吹・祈
■同行者:四葩くん(g00878)
教え子たる彼女の声に「ええ」と
この胸の内とは裏腹に、愛想無げに返すのも常の事
魔晶剣の、密かな響動と共鳴しながらも
サファイア・ブルーとブルー遊色の、青の双眸で見据える先は知己の背と迫る影
指示し命じる儘、別たれた赤の剣を嗾けて差上げる
四葩くんと連携に努め、標的を揃え弱った獣から各個撃破致しましょう
己の体力が奪われつつあれば積極的な撃破を目指し、【グロリアス】の祝福をこの手に
後衛から全体に意識を集中させ、彼女の動きをアシストしよう
為れども彼女の背を狙う獣は看破出来ない
紅玉の剣を嗾けてしまうだろうから
黄金の天使翼を拡げ、「触れるな」と低く告げるテノールが
あなたに届かない事を祈るばかりだ
敵の攻撃には魔晶剣を分裂させ、周囲に展開する事で盾とし直撃を避ける
…………
(武器を)投げ捨ててしまったら、次はどうする心算だい?
悲願は今も変わりはしない。『子供達を護る為に』――そう。その為ならば、僕は
あの子達の幸福が圧政で壊される事があってはならない
此処で憂いを断ってみせましょう
●護るべきもの
鳥羽城を臨む地にて、思い返すのは――。
「楽しかったですね、イブせんせい」
「ええ」
四葩・ショウ(After the Rain・g00878)は伊吹・祈(アンヘル・g10846)を呼び、あの村の少年少女たちとの時間を想う。笑顔を向けたショウに対して祈は愛想無げに頷いただけだが、胸の内には同じ思いがある。
「皆の未来を繋ぐためにも、頑張らなくちゃ」
「そうですね、必ず」
対する軒猿・ましら組は城を護るために全力を振るうだろう。どちらにも守るべきものがあるがショウと祈とて負ける気などない。歴史はもちろん、この場所に住む者たちの安寧を手に入れるための戦いであるからだ。
「おい、おまえらがディアボロスだな!」
「そうだ、ディアボロスが相手になるよ」
「かかれ、みんなー!」
ショウは高らかに声をあげることで、ましら組の注目を集めた。そうすることで自分に敵を引き付け続けていき、祈に攻撃の機を与えるためだ。
同時に祈が魔晶剣の密かな響動に意識を向けた。
絡み付く黄金の棘が血を啜り、白き手を染める。それに共鳴しながらサファイア・ブルーとブルー遊色の、青の双眸で見据えた。その先は知己の背と迫る影。
「行きましょう、四葩くん」
指示し命じる儘に別たれた赤の剣を嗾ければ魔晶剣が天を舞う。その赫を深めた刃はアネモネの鉱石花を咲かせながら迸る。一閃がましら組を貫き、更なる赤を散らせた。
「いたーい!」
「でもぜったいに負けないぞー!」
ましら組はかなりのダメージを受けたようだがそれでもなお立ち向かってくる。分身の術を用いて数を増やしてから一斉に襲い掛かってくる彼らはかなり騒がしい。しかし、ショウはかれらをよく観察していた。
「……あの子かな」
狙うのは祈の攻撃が届き、いちばん深くダメージを受けた敵。
分身したましら組よりもそちらに一撃をいれることができれば確実に戦力を削れる。せんせい、とショウが祈を呼ぶ声が響いたかと思うと、レイピアが一瞬で鋭い軌跡を描いた。
「――おいで、こっちだよ!」
踊るように戦場を駆けるショウは尚も敵の気を引く。
先程の合図でもう一閃の準備を整えた祈は分裂させた刃をましら組に向けた。その間もショウが果敢に攻め込めるのはレガリアが咲いて、降って、護ってくれるから。
それに此処で存分に力を揮える理由はもうひとつある。
『またな、ショウ! せんせー!』
『どうかお元気で。ありがとう!』
『とってもたのしかったよ!』
今も胸に残る、あの子たちが送り出してくれた声。
まるで魂を光が照らすようなの笑顔が蘇るから、どんな痛みだって乗りこえていける。
しかし、そのとき。
「いたっ!」
「うわー、ぶつかったー!」
分身したましら組が互いに衝突して大きな声をあげた。ショウは思わず目を丸くして敵に声を掛けてしまう。
「えっ、だいじょうぶ?」
随分とチャーミングな敵ではあるが油断は禁物。それに士気の高さは侮れないゆえに攻撃の手や気力を緩めてはいけない。ショウが気を引き締めたと同時に祈が癒やしの祝福を巡らせた。
此処まで積み上げてきた力を用いて、一歩も引かぬ戦いへと変える。祈は常に全体に意識を集中させ、ショウの動きを補助する役割を担い続けてきた。
揺るがぬ姿勢にましら組は脅威を覚えたのか、僅かに声を震わせながら対抗してくる。
「そーれ! くらえー!」
「えいやー!」
手にした刀を投げつけてきたましら組だが、祈は魔晶剣を周囲に展開する事で盾とし、ショウも素早く身を翻すことで回避した。魔晶剣での反撃に移った祈はふとした疑問を投げかける。
「それを投げ捨ててしまったら、次はどうする心算だい?」
「えっ」
「あっ!」
祈の指摘にはっとしたましら組は混乱してしまった。健気だがその辺りには頭が回らないようだ。しかしかれらもまたクロノヴェーダであり、狡猾な面もあるらしい。
「それなら……!」
ましら組の一体がショウの背後に回り込み、その背中を狙った。
されど祈はその動きをしかと見ている。看破出来ないと感じた彼は紅玉の剣を嗾け、ましら組がショウに触れる前に行動に出た。黄金の天使翼をひろげた祈は短く告げる。
「触れるな」
「……!」
低く告げるテノールは願い通り、敵にしか届かなかった。敵が倒れたことで祈が助けてくれたのだと気付いたショウはそっと彼に視線を向ける。
そうして戦いは巡り、残るは一体となった。
「う、うう。分身のじゅつー!」
追い詰められたましら組は更に分身をした。だが、また数を増やして襲いかかってきても問題などひとつもない。
「そんなことじゃ――わたしは止められない」
くるりと舞い、華麗なステップ踏んだショウは本体と分身たちへ向けてレイピアを投擲した。
勝負がついたのは一瞬のこと。
刃に貫かれた最後の一体は「そんな……」と一言だけを残して倒れ込む。壊れた機械部位が散らばる音が静かに響き、トループス級との戦いは此処で終わりを迎えた。
顔をあげた祈は城を見つめる。
悲願は今も変わりはしない。『子供達を護る為に』戦い、力を尽くすということ。
(「――そう。その為ならば、僕は」)
あの子達の幸福が圧政で壊される事があってはならないとして、祈は鳥羽城を瞳に映した。其処には騒ぎを聞きつけて出てきた人影がある。あれこそが此度に倒すべき相手、尼子通久に違いない。
確信したショウはそちらに向けて手を伸ばし、祈も身構え直すことで戦う意思を示した。
「ずっとお城に籠ってて退屈でしょう? さぁ、わたし達と踊ってよ」
「此処で憂いを断ってみせましょう」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️
「騒がしいと思えば、ディアボロスですか」
護衛のトループス級が打ち倒されたことに気付き、此度の首魁が顔を見せた。
その名は尼子通久。
「ましら組を倒すとは……彼らは退屈を紛らわせてくれる良い子らであったのに」
配下が倒されたことに思うことはある様子だが彼は指揮官として冷静につとめようしているようだ。尼子通久は静かな眼差しをディアボロスに向け、手にしていた銃を掲げた。
其処から感じられるのは明らかな敵意。おそらくこの行動が宣戦布告なのだろう。
そして、尼子通久は強く告げる。
「この鳥羽城には一歩も踏み入らせません。お覚悟を」
⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️
紫雲・朱夏羽
(トレインチケット)
天破星・巴
(トレインチケット)
●兎の抗い
天正大戦国における志摩国。
此処で行われているのは鳥羽城を根城とする残党を倒し、この地域を制圧する作戦。
「このお城は兎さんが守っているのね」
フィロメナ・ラウレアノ(ヴァルプルギスの夜・g00015)は現れた敵に興味を示し、淡い色の瞳を輝かせる。上官からの指示がないまま城を守り続けてきた兎獣人のことは気になるが、今は戦うべきとき。
自分の力を巡らせ、凛と立ったフィロメナは敵を真っ直ぐに見つめた。
魔法のランプである可惜夜を握る彼女の傍ら、紫雲・朱夏羽(天弓の色彩・g05172)も助っ人としてこの戦場に訪れている。倒すべき敵である尼子通久は表情を変えず、こちらを銃で狙ってくるようだ。
「このままだとこの辺りの村が圧政に苦しむんでしょ? だったら、好き勝手にはさせない」
だって嫌だもの、と語った朱夏羽は身構えた。
そして、天破星・巴(反逆鬼・g01709)も鳥羽城制圧戦に助太刀に訪れている。
「覚悟を決めるのはそちらじゃ」
尼子通久に向け、巴は静かに言い放った。
対する尼子通久も不退転の覚悟を持って挑んでくるようだ。そっと銃爪に手をかけた尼子通久の動きに気付き、巴が合図を送る。すると最初に動く好機を得たフィロメナが一気に攻撃に出た。
「――星に願いを」
指先を空に向けたフィロメナは其処へ天頂を飾る星を召喚する。光り輝く星は目映き閃光となっていき、敵を焼き焦がす一閃となってゆく。
それに合わせて朱夏羽が雪蝶の戯れを解き放つ。
凍てつく雪の蝶が翅を羽ばたかせ、幾重にも舞った。己の身を守る為でもあり、敵を惑わすためにも放たれた蝶々は戯れるように尼子通久に向かう。
「く……これは……!」
「魂から凍てつかせてあげる」
朱夏羽の力に翻弄されぬよう、尼子通久は身を引いた。だが、彼も反撃として正雲の銀弾を放ってくる。銃声が聞こえた瞬間に対応した朱夏羽は身を守る氷盾を作り上げながら、更なる一撃の準備を整えた。
同じくして巴も攻勢に入っていく。
巴が敵に向けて放つのは指弾。しかし、ただの弾ではない。銃を操る敵に対抗しうる一撃。鬼を封じた百鬼夜行絵巻が一篇、指弾を得意とした『鬼関銃』の鬼術だ。
血を固める術で作った弾を怪力で弾けば、鋭い一撃となった衝撃が弾けた。
「わらわ達が打ち壊してやるのじゃ」
鬼神の一撃の前では堅牢な護りとて、ただ打ち破られるだけのものとなる。巴の一閃は敵にかなりの痛みを与えたらしく相手がよろめいたのがわかった。
「もう一度、いくの」
そして、其処へフィロメナの魔力がふわりと揺蕩う。
朱夏羽による蝶の舞に合わせるかたちでフィロメナの紡いだ星が輝き、尼子通久を貫いた。だが、相手もアヴァタール級ゆえに余力を残しているようだ。次の瞬間、更なる反撃が三人に迫る。
「まだ、負けない。報いの弾丸を!」
尼子通久の放った銃撃は朱夏羽の頬を掠め、フィロメナや巴の足元に着弾した。掠めた頬から血が滴り、余波が衝撃を巻き起こしたがディアボロスたちは怯むことなどない。
「私だって負ける気はないの」
「そうよ、私達にも大事なものがあるんだから」
「如何様な理由があれど、打ち倒すのみじゃ」
フィロメナが告げたことに続き、朱夏羽と巴も己の意思を言の葉へと変えた。
そうして、此処からも戦いは巡り――勝利への道が刻まれていく。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【腐食】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
伊吹・祈
■同行者:四葩くん(g00878)
駆け付けた先輩復讐者方のパラドクスが巡る様に
度無し眼鏡のブリッジを押し上げつつ、四葩くんの様子を見遣る
「僕達も始めましょう」
彼女と連携を図り、声にいらえてパラドクスを巡らす
集団戦と同様に戦場を駆け回る四葩くんのアシストを致しましょう
それでも観測者でいる心算は毛頭無いから、薄い口唇を開く
残留効果(防衛ライン)で退路を断つ事も可能ですが。恐らくそれは必要ないだろう
何故ならば城の防衛が主命であるから
あなたは決して逃げたりはしない――そうだろう?
残留効果を追い風に、侮らずに攻防を続けよう
それが僕の報いであるというのなら、どうぞ
――貫いてごらん
嗚呼、されど僕の小鳥がそれを赦さないかも知れませんが
僕が希う『エデン』は――……僕がこの双眸に映した情景
村の子供達が笑い合い、燥ぎ合う。少年少女らが未来へ羽撃く――そんな光景を
さりとて願いの儘では終わらせない。この未来を繋ぐ為に僕は、僕等は此処に、在るのだから
祈るばかりの日々は終わったんのだ
この手で未来を、僕は、変えてみせる
四葩・ショウ
イブせんせい(伊吹・祈/g10846)と
はい、
わたし達もいきましょう!とまよわず駆けだしたなら
冷静に跳ね回る尼子通久を追いかけて
口遊む聖歌を奏でて、硝子のレイピアを突き立てる
――あの子達が頑張ってきたこれまでも
楽しかった手作りのお祭りも
歩いていくはずの、これからを
貴方達に踏みにじられることも、なかったことにされることも
なにもかも、きっと、ゆるせないから
ずっと鳥羽城を護っていた貴方にはわるいけど、
かえしてもらうよ
イブせんせい(g10846)をディフェンスする
ヒットアンドアウェイで攻めつつ、声をかけて
積極的に連携して戦えたらいいな
墨田区の図書館や過去の時代で逢った、大天使のものじゃ、ない
『イブせんせい』の歌声が戦場に響くから
わたしも声をかさねて、虹のひかりを齎して
仲良くなった姉妹のことを思えば
傷つくことを恐れたり、しない
熾烈に攻撃を仕掛けて
四方八方からの弾丸にも怯まずに
白のペリースで急所を護って、反撃のひと突きを、あげる
わたし達は
きっと、この国を解放してみせる
あの子達の未来を護るために
●ほんとうの楽園
迸る弾丸、計算された跳弾が戦場を駆け抜けていった。
弾道を見極めて身を反らした伊吹・祈(アンヘル・g10846)と四葩・ショウ(After the Rain・g00878)は頷きを交わし、最後の戦いに挑んでいく。
「僕達も始めましょう」
祈の度無し眼鏡には次に放たれた弾丸が映り込んでいた。されどその軌道が自分たちに向いていないと判断した祈は、ブリッジを押し上げながらショウの様子を見遣る。
「はい、わたし達もいきましょう!
ショウは祈の言葉にしかと答え、迷うこと無く駆けだしていった。
尼子通久は追い詰められてはいるが未だ冷静なまま。どうやれば自分が有利に動けるかを計算ずくで動いているようだ。焦ってくれれば此方にもやりかたがあるのだが、そうはいかないのがこの戦い。
ショウは尼子通久を強く見つめ、その後を追いかける。
口遊むのは聖歌。奏でる音は希う感情を込めたものであり、子供たちとの想い出を大切にするため歌でもあった。
硝子のレイピアを振り上げ、狙いを定めたショウはひといきに敵へと突き立てる。
「……っ、やりますね」
「ここまできたんだ、容赦はしないよ」
「それはそれは、どうも」
尼子通久は痛みを堪え、ショウから距離を取った。交錯した視線はどちらも鋭く真剣であることを示している。
ショウは戦いながら思いを巡らせた
あの子達が頑張ってきたこれまで。
とても楽しかった手作りのお祭りも、かれらが歩いていくはずの、これからを。
「貴方達に踏みにじられることも、なかったことにされることも、なにもかも、きっと、ゆるせないから」
「民のことですか?」
「あぁ。ずっと鳥羽城を護っていた貴方にはわるいけど、かえしてもらうよ」
「こちらこそ。やっと手に入れたものを奪い返させたりしません」
ショウと尼子通久の攻撃と言葉が巡る。
その間、祈はショウの動きに合わせて音を紡いだ。声にいらえて巡らせるのはエデンの音色。口遊むアンセムが、すべてを支配するかの如く広がってゆく。
「――此処へ」
勝利と未来を手繰り寄せるべく、祈のちからは敵に迸った。
素早く疾く駆け回るショウと尼子通久。ふたりの姿と攻防を決して見逃さぬように祈はアシストに回っている。だが、祈とて戦いの観測者だけに収まる心算は毛頭無い。
薄い口唇をふたたび開けば、アンセムの響きがよりいっそう強くなった。敵は自由に跳ねているようだが戦線を離脱すような動きは見せない。退路を断つことも可能だが、それは必要ないと祈は判断している。
何故なら、尼子通久は城の防衛が主命であるからだ。
「此処は通しません」
「あなたは決して逃げたりはしない――そうだろう?」
「当然でしょう」
祈が語りかけると尼子通久は真っ直ぐな眼差しを返してきた。祈の読み通り、この場で撤退することもなければ城を捨てて負けを認めるようなこともしない。それが今の尼子通久の状況と信念だ。
それゆえに祈は敵を侮らず、最後まで戦い抜くことを決めていた。
相手にも譲れないものがある。忠義のことだけを考えるのならば立派なものだが、それを許すことはやはりできない。誰かにとっての大切なものを壊しながら進む。それが復讐者の道でもある。されど――。
「それが僕の報いであるというのなら、どうぞ」
――貫いてごらん。
誘うように祈は言の葉を紡いだ。それに乗じて尼子通久が正雲の銀弾を放とうとする。
「ならば覚悟を」
「嗚呼、されど僕の小鳥がそれを赦さないかも知れませんが」
「当たり前です」
祈に迫った弾丸は一瞬でレイピアによって弾かれた。その刃と声の主はもちろん、ショウだ。予想通りに護ってくれた教え子に視線を遣り、祈は更に攻勢に入った。
祈が希う『エデン』、即ち楽園。それは彼がこの双眸に映した情景。
村の子供達が笑い合い、燥ぎ合う。少年少女らが未来へ羽撃く――そんな光景を願って謳う。さりとてこれは願いの儘では終わらせない。
「この未来を繋ぐ為に僕は、僕等は此処に、在るのだから」
祈の強い思いは声に変わる。
その声を耳にしたショウは一度だけ瞼を閉じ、少し過去を思い返した。
墨田区の図書館や過去の時代で逢った、あの大天使のものではない。自分が『イブせんせい』と呼ぶ大切なひとの歌声が戦場に響くから、ショウもこうして敵に立ち向かえていた。
「わたしも――」
彼と声をかさねて、虹のひかりを齎していけば尼子通久の力にも陰りが見えてきた。
それに仲良くなった姉妹のことを思えば傷つくことを恐れたりなどしない。ただ強く、熾烈に。敵へと攻撃を仕掛け続けていくショウは頬をかすめる弾丸になど怯まなかった。
ショウは白のペリースで己を護り、そして。
「イブせんせい!」
「えぇ、四葩くん」
名を呼びあったふたりは最後の一撃を放つ。
穢れなき献身の、揺るぎないひとつき。響き希う楽園の歌が、敵を深く貫きながら包み込んだ。
「ここまで、でしたか……申し訳ありませ――
……、……」
尼子通久は悔しげに表情を歪めた後、膝をついた。
そのまま倒れ込んだ彼は最期に鳥羽城を仰ぎ、もう二度と動かなくなる。兎の耳が力なく伏した様子を見下ろし、祈とショウは戦いの勝利を感じ取った。
祈るばかりの日々は終わった。此処からは新たな未来を待つ時だ。
「この手で未来を、僕は、変えてみせる」
「はい。わたし達はきっと、この国を解放してみせる」
――あの子達、今を生きる人々の未来を護るために。
戦いが終わり、ひとときの静けさが戻ってくる。
解放に向けての戦いは未だ暫し続くが、そう遠くない先に望む未来が訪れるはずだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV2が発生!