鉄道網掌握奮闘記(作者 柊透胡
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#吸血ロマノフ王朝  #鉄道網掌握作戦  #シベリア鉄道 

「攻略旅団からの提案により、吸血ロマノフ王朝の大動脈である、鉄道網の掌握作戦を行う事となりました」
 新宿駅グランドターミナル――今日もプラットホームに出現したパラドクストレイン1号車の傍らで、篁・弧珀(陽炎う陰陽射手・g03309)はその行き先を案内する。
「鉄道を走る列車には、クロノヴェーダが同乗しています。まずは、その排除が必要でしょう」
 彼ら――本件では『宝石兵士・デマントイドガーネットの吸血鬼』達は、ジェネラル級ヴァンパイアノーブル『セルゲイ・ウィッテ』の配下だが、彼がディアボロスに討たれた事をまだ知らない。首尾よく騙せば、奇襲で掃討出来るだろう。
「トループス級の排除後は、彼らに代わって鉄道を運行して下さい。鉄道網を利用した物資の配給などに従事する事になるでしょう」
 鉄道運行のルートについては、接収したデータを基に最終人類史の専門家が用意してくれている。その運行予定に従えば、問題ない筈だ。
「吸血ロマノフ王朝にて、ディアボロスの皆さんが実際に鉄道を運行する事で、問題点を洗い出せるでしょう。その上で、今後の対応を協議、攻略旅団に提案する事になります」

 鉄道業務に従事するトループス級は、ディアボロスの臨検があれば従うようにと、セルゲイ・ウィッテより指示が出されている模様。
「多少どころか、かなり卑怯ではありますが……騙し討ちでの制圧が妥当でしょう」
 勿論、逆説連鎖戦であるからには、完全な不意打ちであっても反撃は生じるが、大した事はあるまい。
「トループス級の掃討後は、一般人の労働者と協力して、鉄道の運用に当たると良いでしょう」
 荷運びなどを担当する彼らは、上司であるトループス級を撃破したディアボロスを恐れる者も多いだろうが……元より、強者に無条件で従属する一般人が集められているとの事。指示には従ってくれる筈だ。
「鉄道の運行に於いて、クロノヴェーダ……引いては、ディアボロスが対処しなければならないトラブルが、多数発生する事が予測されています。直面するトラブルを解決しつつ、鉄道運用の体系を確立させていきましょう」

 吸血ロマノフ王朝は、クロノヴェーダの管理無くして人々が生息できない過酷な環境となっている。
「ヴァンパイアノーブルは、この過酷な環境自体を『従属』の道具として利用してきたのでしょう」
 幸い、攻略旅団の対応が早かったので、時間的な猶予はまだある。この猶予の間に、生活システムの早急な再建が必要となる。
「気候が比較的穏やかになっている事、更に飲料水に利用可能な雪が大量にある事から、困窮した大量の餓死者が出るまでには、1~2ヶ月程度の余裕が見込めるとの事です。今の内に、何とか対策を整えたい所ですね」
 ――ディアボロスの健闘を祈る。

「……結局、ディアボロスとはどうなんだ?」
 その列車は、各地の食糧配給の為、運行中。業務に従事する『宝石兵士・デマントイドガーネットの吸血鬼』らは、緑の宝石武装こそ解いていないが、非戦闘の任務故の気安い空気が漂っている。
「交戦の可能性は低いというのが、ウィッテ様の読みらしい」
「ま、少なくとも鉄道の方は、俺達の力が無ければ、まともに動かないからな」
「鉄道網を利用したいなら、幾ら戦闘狂のあいつらだって、仕方なく妥協するだろうさ」
 何処か誇らかなその言葉は、セルゲイ・ウィッテの薫陶の賜物であるのだろう。実際、勤務態度は真面目だ。
「そう言えば……ディアボロスの臨検が、あるかも知れないようだが」
「そん時はそん時。精々下手に出て、丁重にお出迎えしようや」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV3 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

柊透胡
 こんにちは、柊透胡です。
 今回は『吸血ロマノフ王朝』行きのパラドクストレインに、時先案内人篁・弧珀がご案内致します。
 セルゲイ・ウィッテを撃破した事による、鉄道網掌握作戦です。

 リプレイの流れは、②→①となります。
 まず、鉄道を運用するトループス級『宝石兵士・デマントイドガーネットの吸血鬼』の排除です。
 セルゲイ・ウィッテの撃破情報が広まれば、彼らが破壊工作を開始する可能性があります。情報の伝播に先んじて、一気に排除する必要があります。ディアボロスの臨検があれば受け入れるよう指示されていますので、奇襲自体は簡単です。

 トループス級の排除後、ディアボロスの手で、鉄道の運用と配給業務を行ってください。鉄道運行中に『発生したトラブル』をディアボロスが解決して、予定通りに運用できるかという実験となります。
 荷運びなどの業務を行う一般人の労働者も乗車していますので、彼らの協力を得る事も可能です。
 基本、『こんな問題があった』という問題提起と、『現場にディアボロスがいたので、こういう風に解決できた』という結果報告となります。トラブルの数は2~3程を想定しています。
 発生するトラブルの内容は、プレイングに依りますが、断章で提起する場合もあります。
 ここで得られたノウハウを元に、今後の内政方針を考えていく事になるでしょう。頑張って下さいね!

 それでは、吸血ロマノフ王朝より、皆さんの熱いプレイングを待ちしています。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と共に
ウィッテの教育の賜物か
まじめに働いている所、申し訳ないのだが

臨検として停車させ乗込み
順に臨検が入るので、持ち場を離れないように
各自の業務ぶりを見たい
と通達
一般人は邪魔と先に下ろす

この鉄道は何人で運行しているんだい?
中の人数を把握し
機関部は中を見たいといって敵を追い出す
狭くて重要部の破壊は避けたい

前の車両からスタートし
案内や業務説明させ、油断しきった所を襲う
1車両になるべく三体以下で襲撃
俺は次の車両側の扉に覗き窓あれば暗幕を貼り、トラップ生成でトリモチやワイヤーをかけて簡単には開かないように細工し
振り向いて、反対側にいるラズと挟み撃ちを
「臨検開始だ」の合言葉で奇襲
閉じこめ、一気に殲滅しよう
扉には鈴つきワイヤーも張り敵接近を感知
倒しきったら次の車両へ
異変を悟られたら、問答無用で敵を倒し次の車両へ

PDの糸を絡めて刻む
狙いを合わせ速やかに倒す
動きを観察し、掴みや抱き着きには下がって間合いをずらし
魔力障壁で爆風を防ぎ、タワーシールドを翳し破片を防御

これまでの働きには感謝を


ラズロル・ロンド
どうやらある程度は従順に応じてくれそうだね
エトヴァ(g05705)と
列車に乗り込み止まらせ、臨検だ!そこ、持ち場を離れるな!と
下手に出てくれることを利用しトループス達を留まらせ各車両ごとに始末していこう
一般人の方々はこちらへと、トループスを片付けるまでは外で待つよう言おう
降りれない場合は、各車両で一般人はこちらへと、固めて壁を見ててもらおう
車両の前方から僕は入り挟み撃ち状態に
運行状況や世間話しで打ち解けつつ…
エトヴァの合図と共に襲撃開始だ
不意を打ちでフリージングミサイルで攻撃
反撃の宝石変化は噛まれる事を警戒し
魔障壁で阻む、噛まれても直ぐに振り払うなどダメージ軽減を試みる

襲撃に感付かれたら一気に未臨検の車両に押し入り、全てのトループスを倒し切ろう
エトヴァと息のあった連携を

この車両は僕等が責任を持って運行するから、ご心配なくだ
ご退場願えるかな

さて、各地にしっかり食料を届けるためにも
鉄道網を掌握しないとだね
どんなお仕事があるのか、ちょっぴりワクワクだ〜


 モスクワ郊外――とある駅に停車していたその列車に、近付く複数の影。
「臨検だ! 持ち場を離れるな!」
 いっそ居丈高なラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)の声に、『宝石兵士・デマントイドガーネットの吸血鬼』らは、作業の手を止め顔を見合わせる。
 その勤勉な様子は、確かにセルゲイ・ウィッテの教育の賜物なのだろう。
「まじめに働いている所、申し訳ないのだが、各自の業務ぶりを見たいので」
 取りなすようなエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の言葉に合点がいったのか、トループス級達から抗議は無かった。すんなり列車に乗り込むディアボロス達。
(「どうやら、ある程度は従順に応じてくれそうだね」)
 早速、一般人は邪魔だからと先に下車させようとしたが、彼らも鉄道業務従事者だ。
「連中の使い方、確認は必要ないので?」
「それは……」
 宝石兵士の探るような視線――今はまだ、不審を抱かれる訳にはいかない。
「それじゃ、こっちから質問するまで、壁側に寄っていてもらおうか」
 思わず言い淀んだエトヴァを、今度はラズロルがフォローする。否応なく物音を聞かれるのは仕方ないが、壁の方に向いていて貰えば……殺伐は、見られまい。
「この列車は、何人で運行しているんだい?」
 何食わぬ顔で、1両目の列車に機関部詰めの宝石兵士を呼び付けるエトヴァ。
(「重要部の破壊は避けたいからな」) 
「君なら、運行状況にも詳しいよね?」
 ざっくばらんに、その宝石兵士に声を掛けるラズロルと入れ違いに、次の車両の様子を窺いに行く。出来れば、2両目以降の横槍が入らないよう、連結扉が簡単に開かないようにしたい所だが。
(「【トラップ作成】は……流石にマズいか」)
 残留効果【トラップ作成】は、初期レベルにしてディアボロスから「300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。扉の封鎖のみに使うには広範囲が過ぎる。何より、トループス級とてクロノヴェーダだ。罠地帯のトラップはクロノ・オブジェクトでは無い。瞬時で『一般法則破壊』で無効化されるだろう。
 残留効果は便利だが、効果範囲に融通は利かない。どれ程、実践経験を積んだとして、残留効果の適切な活用は、中々難しい。
 ならば――短期決戦で押し切るのみ。
 連結扉から踵を返すエトヴァ。幸いにして、1両目に居るクロノヴェーダは、3体だ。
「……」
 トループス級越しに小さく頭を振れば、ラズロルは臨検の相槌を打つ素振りで頷く。
「臨検開始だ」
 掛け声と同時、エトヴァは極細の糸を展開。
 ――――!!
 応じたラズロルは、武装に取り付けた「凍結弾精製装置」より、フリージングミサイルを発射する。
「!!」
「貴様ら、裏切ったのか!!」
「この車両は僕等が責任を持って運行するから、ご心配なくだ。ご退場願えるかな」
 ディアボロスと敵対しないよう、セルゲイ・ウィッテに命令されていたトループス級を奇襲するのは容易かった。
 斬糸結界に刻まれ、凍結弾を至近距離から浴びせられ、宝石兵士らの絶叫が相次いで響き渡る。
「これまでの働きには感謝を」
「この……卑怯者が……」
 反撃も弱々しく、歴戦のディアボロス達の連携の前に、トループス級らは呪詛を吐いてバタバタと倒れていく。
「……まあ、やっぱり勘付かれるよね」
 連結扉の向こうで慌てる緑の影を複数認め、肩を竦めるラズロル。
「問答無用で、一気に押し切る」
「了解!」
 エトヴァの判断に否やなど無く、肩を並べて2両目へ打って出る。
(「各地にしっかり食料を届けるためにも、まずはこの列車から掌握しないとだね」)
 最初の手応えからして、この列車に居る宝石兵士らが束になって掛かってこようが、ラズロルとエトヴァの敵ではあるまい。
「これからどんなお仕事があるのか、ちょっぴりワクワクだ〜」
 フリージングミサイルをぶっ放しながら、あっけらかんとしたラズロルの呟きに、エトヴァは思わず唇の端を緩めた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

 瞬く間に、列車を制圧したディアボロス達は、いよいよ鉄道網運用を試みる。
 モスクワから接収した資料を基に、最終人類史にて列車の運行ルートが作成されている。その予定表に従い、実際にディアボロスの手で運用する事で、今後の課題も見えて来るだろう。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
枕木や修復資材は束ねて担いで
除雪用のスコップと共に持参

ラズ(g01587)と協力し
鉄道の運用と配給業務を行うよ

騒がせてすまない
俺達は、「吸血貴族とは無関係の」ディアボロスだ
これからのロマノフの民の生活のため
鉄道運行への協力をよろしく頼む

以前の監査の時、運転方法は説明を受けたな……
一般人の役割にも注目して、話を聞いておきたいな
どの部分を担っているのかを把握し、代替してもらえる所は積極的に人材を頼る
道中、運転を替わってもらうように伝えて
慣れるまでついて補佐を

受け取り側も含め、一般人の働きと協力なしにはきっと回らない
配るだけでなく、本来は、現地に支所を置き、複合的な問題解決に当たらねばならないのだろうな……

線路の積雪の問題は怪力無双を借りて除雪
窃盗目的の襲撃があれば、武装を奪い無力化し事情を聴く
どこの誰か、状況は
物資を渡し
今後は襲撃でなく、並んで待っていて

線路の修復には、持参の枕木を用いつつ周囲が森ならX-Machinaで木材を切り出すなど現地調達
少しでも効率を上げるノウハウを確立していきたい


ラズロル・ロンド
卑怯者はすこーしチクッと刺さりつつも
お互い裏切るタイミングを見計らう関係だと思ったので気にしない~
なんと言われようとクロノヴェーダは倒す。そこは変わらないんだな

運行表を見て、流石は日本の鉄道会社
これに従えば間違いなさそうだね
今後鉄道の指揮を取るのはディアボロスになりました。悪いようにはしないから、よろしく頼むよ
一般人に挨拶し、運行表を元に指示を出し不測の事態に備えよう

問題があれば解決策を一緒に考え
力仕事は【怪力無双】を使い手を貸し
暴動は刃を収めて貰えるよう働きかけよう
窃盗が無くなるくらい食料物資が行き渡るといいんだけどねぇ
襲撃者があれば、今は応じることと、必要な物は新たに運び込んだこの地に合った物資を渡そう
食料や衣服とかね


あと起こりそうな問題点と言えば…敵との遭遇かな?
各駅に居るヴァンパイアの情報やターミナル駅の内部情報も収集しておこう
今後、ディアボロスが運行する鉄道に逆襲撃だってあり得なくも無いかもだしね

これ迄にあった問題を聞き取り調査し
エトヴァと相談しながら起こった問題に対処しよう


「騒がせてすまない。俺達は『ヴァンパイアノーブルとは無関係の』ディアボロスだ」
 列車に同乗していた一般人労働者達は、明らかに怯えていた。
「これからのロマノフの民の生活のためにも……鉄道運行の協力、よろしく頼む」
 努めて、穏やかに話し掛けるエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)を見上げ、コクコクと頷く労働者達。戦闘直後だ。その顔が引きつっていたとして、仕方あるまい。
 尤も、ディアボロスが去れば、彼らはディヴィジョンの排斥力によって『忘却』してしまう――今回に限っては、幸か不幸か。
(「だから、『無関係』と強調したけれど……」)
 人々がディアボロスに再会すれば、又思い出してくれる事を信じて。
「そうそう。今後、鉄道の指揮を取るのはディアボロスになりました。悪いようにはしないからさ」
 ざっくばらんに挨拶したラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は、懐から鉄道運行表を取り出す。
(「流石は日本の鉄道会社。これに従えば、間違いなさそうだね」)
 正史に於いて、日本が誇る精密な鉄道運行は、最終人類史が新宿島しかなかった頃に漂着したラズロルも既に知る所だ。運行表を元に列車を走らせ、不測の事態に備えるとしよう。

「そうか……運転手は、クロノヴェーダだったのか」
 鉄道運行を始めるに当たり、労働者達に聞き取りを行うエトヴァ。
 クロノヴェーダと一般人の能力差は著しい。少なくとも、この列車ではクロノヴェーダが作業の中心となり、一般人で手数を補っていたようだ。
 これからは、一般人で行える作業は積極的に頼るべきだろう。
「ぼ、僕が……ですか!?」
「大丈夫だ。慣れるまでは俺も補佐をする」
 機関部の手伝いに、列車の運転を任せられそうな者がいたのは幸いだった。
 結果として、モスクワの監査は1度きりとなったが――エトヴァもその時に、列車の運転方法を確認している。
「ラズ、こっちは暫く、機関部に詰める事になるが……」
「了解! 他の作業は僕の方で見ておくよ」
 手分けする算段をして、ディアボロスによる鉄道網運用実験開始――突如、列車が傾き急制動を掛けたのは、出発して小1時間程走行した頃合いだった。
「何があった?」
「線路が沈み掛けています!」
「どういうこと? ……ワワッ!?」
 様子を見るべく列車から外に降りたラズロルは、忽ち膝下まで泥に埋没する。
「まさか……この辺り、沼地なの!?」
「除雪の可能性は考えていたが、そっちの問題もあったか」
 ラズロルを列車に引っ張り上げながら、エトヴァは厄介そうに眉根を寄せる。
 吸血ロマノフ王朝は、人々の生存も危ぶまれる寒冷の地。領土全域に、永久凍土が広がっている。だが、ディアボロスが攻略に乗り出してから、その環境も変化した。『密約』から約1年。ジェネラル級のヴァンパイアノーブル『冬将軍』の差配で、かつてない温暖化が生じている。
「えっと……あったかくなったお陰で、凍っていた沼が泥濘になったってこと?」
 泥塗れの靴を拭い、ラズロルは呆れ顔。
「『どうせ氷は融けないから、沼の上でも線路通せるよね♪』みたいな? いい加減にも程があるでしょ」
「あのセルゲイ・ウィッテの事だから、直線距離で線路を敷く『効率』を取ったのかもしれない」
 ともあれ、何とかしなければ、先に進めない。
「こういう事って、そこそこあるのかな……線路の盗難もあるって話だし、だから、結構な量の線路の予備を積み込んでいるんだね」
「枕木や修復資材は、持参した分もある。即席で迂回路を作ろう」
 幸い、泥濘は只の泥濘だ。【怪力無双】で、泥濘に沈み掛けた列車と線路を持ち上げ回収。乗組員総出で沼地を迂回する線路を敷き直す。【修復加速】も活用した分、作業は比較的早く完了した。
「でも……一般人だけだと、線路の修復1つでも、工事はかなりの時間が掛るよね」
「そうだな」
 氷が融け出す程度に温暖化しているとはいえ、ロシアの大地が寒冷であるのに変わりはない。そんな環境の土木工事が過酷であるのは、想像に難くない。
「まあ、泥濘程度なら、他に解決方法もありそうだけど……」
 迅速な解決を目指すなら、残留効果頼りとなってしまうだろう。であれば、列車には常に、ディアボロスが同乗しなければならなくなる。
「そう言えば、線路の盗難だけじゃなくて、物資目的の襲撃もあるって話だよね?」
「ああ、その場合は無力化して事情を聴く、物資は渡す心算でいる」
 きっと、受け取り側も含め、一般人の働きと協力なしに配給業務は回らない。
(「配るだけでなく、本来は、現地に支所を置き、複合的な問題解決に当たらねばならないのだろうな……」)
 言うは易く行うは難し――ディアボロスには『現地の人と約束したとして、排斥力によって忘れられてしまう』という、クロノヴェーダにはない問題点がある。この解決策は、まだ見えない。
(「鉄道の逆襲撃も警戒したいけど……まだ、それどころじゃなさそうだね」)
 現状、モスクワでセルゲイ・ウィッテが斃された事は、各地で鉄道業務に従事するクロノヴェーダもまだ知らない。だからこそ、ディアボロスも「鉄道網掌握作戦」が可能であるのだが、ラズロルの懸念も尤もだろう。
(「今の内に、各駅のヴァンパイアノーブルや駅の情報も、収集しておこうっと」)
 今の内に……セルゲイ・ウィッテ討伐の報が伝播してしまう前に。
 ――この……卑怯者が……。
 耳に甦る宝石兵士の恨み言が、棘のようにラズロルの胸を刺す。多少どころかかなり卑怯な騙し討ちとなると、時先案内人も言っていた……それが、妥当な策であるとも。
(「……お互い、裏切るタイミングを見計らう関係だったんだし」)
 だから、今更気にしない。何と言われようと、クロノヴェーダは倒す。そこは変わらないから。
「ラズ?」
「あ、ごめんごめん。窃盗が無くなるくらい、食料物資が行き渡るといいんだけどねぇ」
 ラズロルの善意の言葉に和みながらも、エトヴァは思案顔で凍土の大地を見やる。
(「枕木なら、周辺の森から木材を切り出し、現地調達も可能だろう……少しでも効率を上げる、ノウハウを確立していきたいが」)
 ふと、思う――現地調達出来る資材ならまだ良い。出来ない物資は、どうするのか。
(「そもそも……賊に渡せる程、物資は十分用意出来ているのか?」)
 その答えは、在庫確認ですぐに知れた――積み込まれている物資の量は、この辺りの人口を考えれば……充分とは絶対に言えない。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【修復加速】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!

ラズロル・ロンド
うーむ、問題山積だねぇ
ま、やれる事をやるしか無いだよ
復讐者が常駐しなきゃならないなら、出来るだけ効率化が急務だね
一般人と強力して問題が大きくならないように、手当てしていかなきゃだ
ロマノフ奪還までの場繋ぎだとしても、問題が見つかった分だけ解決策だって打てるさ

路線の問題は…
現代の路線図の場所に線路を引き直せば、確実に運行出来そうかな?
ロマノフの路線図と持参した現代の路線図を広げ、現代の川や湖、湿地に当たる路線は今後使えなくなる可能性があるとしチェック
その先にある町や村は直接ディアボロスが赴いて物資を運ぶとかかな
代表者に馬車とかで取りに来てもらいたいけど…忘れられちゃうのも難だし
今は簡易迂回路で何とかしよう

そして、足りない食料は【口福の伝道者】を使って食料を増やそう
物資のまま増やせるものは、1袋完食して袋ごと増やす
うっぷ…しながらも、これも人助け食べきろう
足りない資材は年代に合わせた物をトレインで運んで少しは足しに出来るかな
合間に力仕事や、強盗対応したりと
コツコツとやれる事を着実に進めるぞ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と協力を
そうだなあ……
話には聞いてたが、実地を見れば何とも
地道にやるしかないんだろうかな

発生した問題はすべて記録して、報告しておこう
次は予見し、より良い対処をするために

運行中も一般労働者達とのコミュニケーションを取り
復讐者が同乗するにも、最少人数で済むように
他の業務を任せていけるよう、業務の詳細を聞き取り、働きぶりを拝見
手伝えることは手伝い
マニュアル化や訓練でより多くの業務を担ってもらえる道筋を見出したい
そうだ……労働の対価は何でもらっていた?
それとも、義務的に呼び出されていたのだろうか

減った物資は、口福の伝道者や液体錬成で埋め合わせできるか計算し
運行中にも物資を増やし続ける事ができれば、地道だが、救援物資のボリュームアップに繋がるのではと

ああ、現地では代表者が受け取りに来られるそうだ
ただ、印をもっているそうで……
駅に到着すれば、【プラチナチケット】で関係者として受取側の代表者と話をしつつ、どのような『印』を使っているか記録
一般労働者さんから軽く事情説明をしてもらおう


「……え、物資が足りてないの? まさか……クロノヴェーダが着服してたとか?」
 眉根を寄せるラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)に、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は頭を振る。
「クロノヴェーダ……それも、トループス級がジェネラル級の意向を無視して、物資を着服するとは考え難い」
「じゃあ……もしかして?」
 声を潜め、ラズロルは荷運びに従事する労働者達を一瞥するも――元より、強者に無条件で従属する一般人が集められているのだから、その線も薄いだろう。
 最初の配給もまだという現状、恐らく、物資不足のまま出発したと推測される。
「この列車だけじゃないかもね……エトヴァ、食料とかどれくらい足りない感じ?」
 エトヴァがざっと計算した所――公平に配給すれば、餓死者が出る程ではなさそうか。
「だが、食料不足で体力が落ちれば、病気にもなり易い……体力の無い老人や子供から、被害が出てきそうだ」
 正史のロシアに於いても、餓死や凍死は当然あった。これを全て無くす事は、より過酷な環境にある吸血ロマノフ王朝では尚の事無理だろう。だが、物資不足が引き起こす死亡率の上昇、という可能性を考えるだに、エトヴァの表情は暗澹となる。
「……兎に角、追加で食料を用意しないと」
 残留効果【液体錬成】は使えない。液体の増殖には「8時間もの冷暗所での安置」が必要だが、走行中の列車は流石に「冷暗所」とは言い難い。
「運行中にも物資を増やし続ける事ができれば、救援物資のボリュームアップに繋がると思うのだけど……」
「【口福の伝道者】を使ってみようか?」
 完食出来そうな物資が無いか、貨物列車を物色するラズロル。
 生の穀類は論外。食器によそう必要があるものでは、増やしても配給には使えないだろう。
「……あ、瓶詰ならいけそう?」
 蓋を開ければ、酸味の強い匂いがした。ロシアで定番の保存食、ザワークラウトだ。
 早速、一口頬張るラズロル。「酢漬けキャベツ」とも訳されるザワークラウトだが、実は発酵食品。その酸味は爽やかで奥深い。
「うっぷ……」
 とはいえ、流石に大瓶のザワークラウトを1度に食べきるのは厳しかった。千切りキャベツに塩を揉み込んで発酵させる為、塩分が多い食材であるし、美味しく食べるなら調理した方が良いに決まっている。
(「これも、人助け……」)
 最後は、ボランティア精神で押し切った。ラズロルの献身の成果は、400瓶ものザワークラウトとして目の前に積み上げられている。
「でもね……僕、気付いちゃった」
 水を飲んで一息つきながら、ポソリと呟くラズロル。
「ディヴィジョンに初期レベルから残留効果を持ち込んで物資を増やすより、新宿島の物資をパラドクストレインで運び込んだり、【アイテムポケット】に入れて持って来る方が……断然効率が良い、よね」
 最終人類史は、残留効果は常に最高レベルだ。その生産力も、ディヴィジョンでディアボロス個人が行う比ではない。
 ディアボロスが鉄道運行に携わり続けるのが前提となるが、不足している物資を補う事自体は、然して難しくないかもしれない。
「目先の問題解決は、それでも良いだろうな。でも……」
 エトヴァの表情は晴れない。
 ラズロルがザワークラウトチャレンジしている間、エトヴァは一般労働者達の働きぶりをチェックしていた。
「そうだ……労働の対価は何でもらっていた?」
 鉄道業務の合間を縫い、労働者達とのコミュニケーションも心掛けた。物資配給の際も、【プラチナチケット】で関係者を装いながら、物資の授受の様子をつぶさに記録した。
「なるほど、これが『印』なのか」
 鉄道運行について、セルゲイ・ウィッテの言葉に虚偽が無かった事は確認出来た。更に、より明確に見えたのは「鉄道業務は、クロノヴェーダが中心として動く事が前提」である状況だ。
 鉄道の路線問題にしてもそうだ。
 喩え線路が雪で埋まろうと、泥濘に嵌ろうと、線路自体が盗まれようと、クロノヴェーダならば力づくで押し通れるが、一般人労働者だけでは如何ともし難い。路線を変更しようとしたとして、工事の期間は莫大となり、時間が掛かれば掛かる程、支援が遅れて餓死者は増え続けるだろう。
「簡易的な迂回路を作ったとして……一時凌ぎだよね。これまでのように、駅まで代表者に取りに来てもらいたいけど……その約束を忘れられちゃうのも難だし。直接、ディアボロスが物資を運ぶ? うーむ、問題山積だねぇ」
「そうだなあ……話には聞いてたが、実地を見ると何とも」
 現実として――一般人だけで鉄道を運用出来るならば、セルゲイ・ウィッテも列車にわざわざトループス級を配置するなど、しなかっただろう。
 それだけ、クロノヴェーダ、引いてはディアボロスと一般人との能力差は著しい。
「ま、やれる事をやるしか無い、だよ」
 ディアボロスが列車に同乗するにしても最少人数で済むよう、業務のマニュアル化や効率化を進めたいのは、エトヴァもラズロルも同じだ。
「地道にやるしかないんだろうかな」
「そうそう。やれる事をコツコツ、着実に進めないとね」
 発生した問題は全て記録し、一般人とも協力して対処していく――次は予見し、より良い方策を見出す為に。
 喩えそれが、吸血ロマノフ王朝奪還戦までの場繋ぎだとしても。
「問題が見つかった分だけ、解決策だって打てるさ」

 ロマノフの『血管』、鉄道網を掌握するべく、奮闘の日々はまだまだ続く――。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2024年07月26日

鉄道網掌握作戦

 モスクワの内政を司っていた、ラスプーチン派のジェネラル級ヴァンパイアノーブル『アレクサンドル・プロトポポフ』『セルゲイ・ウィッテ』の撃破に成功しました。
 この結果、モスクワを含めた、吸血ロマノフ王朝の多くの地域がラスプーチン派の支配から脱する事となりました。
 策士であるジェネラル級ヴァンパイアノーブル『怪僧ラスプーチン』が用意したであろう策の殆どは、この結果によって阻止できた筈です。

 しかし、ラスプーチン派が「吸血ロマノフ王朝の一般人の生活を支える内政」を行っていたのも事実です。
 このディヴィジョンの多くの一般人は、食料や燃料、寒冷地で育つような特殊な植物といった生活に必要な物資を、ヴァンパイアノーブルから与えられなければ生活できません。
 このまま放置すれば、統治システムの破綻は、多数の一般人を短期間に死に至らしめるでしょう。

 この状況に対し、鉄道網の掌握と食料の配給システムの安定化を行うべく、対策を講じるよう攻略旅団からの提案が出されました。
 まずは、鉄道の列車に乗車している『セルゲイ配下のトループス級』を撃破し、ディアボロスの手で、鉄道の運用と配給業務を行ってください。
 ここで得られたノウハウを元に、今後の内政方針を考えていく事になるでしょう。

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#シベリア鉄道


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選択肢『鉄道網運用実験』のルール

 トループス級排除後、ディアボロスの手で、鉄道網による物資の配給などを行います。
 実際にディアボロスの手で運用する事で、今後の課題が見えて来る事でしょう。
 モスクワから接収した資料を基に、最終人類史のJR職員などが、列車の運行ルートなどを割り出しているので、その予定表に従って運行できるか試してください。
 鉄道網の運営には、クロノヴェーダの力が必要なトラブルが発生するという報告がありましたが、ディアボロスであれば解決できる筈ですので、鉄道網の運用を行ってください。
 この運用報告をもとに、攻略旅団で今後の対応を提案すると良いでしょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、シナリオは成功で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾鉄道を運用するトループス級『宝石兵士・デマントイドガーネットの吸血鬼』のルール

 ジェネラル級ヴァンパイアノーブル『セルゲイ・ウィッテ』の配下で、鉄道を運用する業務を行っているトループス級を撃破します。
 彼らは、ディアボロスを友軍だと認識している為、奇襲攻撃で素早く撃破する事ができるでしょう。
 奇襲に失敗した場合、貨物列車、運んでいる物資、作業人員の一般人などに被害が出る可能性があるので、注意が必要です。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。