リプレイ
①🔑住民との会話(ウェアキャット)
神坂・雷
(連携アドリブ歓迎)
情報あつめ、かー。き、気をつけてがんばるぞー。おー。
現地のウェアキャット達と似たような服装を用意し、潜入
遊んでいるウェアキャットの子供を探し、仲間のふりをして話しかける
獣耳をぴこぴこ動かしたりしてアピール
おれ、ここに来たばっかりなんだ。いっしょに遊んでいいかー?
探検?いいなー!たのしそー!
探検ごっこの流れで、道や建物の場所や人の流れを観察し把握
人懐っこく振舞い(素)、遊んでいる場所についてあれこれ興味を示し、何か噂や面白い話はないか教えて貰う
所かまわず覗いたり入り込んだりしようとする事で、子供たちが「近付かないように言われている場所」を探る(その場では覚えておくだけにして、「近付かない」という言いつけに従い、無理矢理入り込んだりはしない)
暫く遊んだら子供たちに礼を言って別れ
得た情報から、目的の裏口の場所を推測する
「近付いてはいけない」所が複数あれば、聞いた噂話、付近の大人の動きや会場の方向も考慮し、更に他の味方とも情報を共有して、場所を絞り込む
●行ってはいけない場所
亜人達のバトルロワイアル会場に潜入するためには、まず裏口を発見しなければならない。そのためにはウェアキャット達から情報を得る必要があると聞いて、神坂・雷(赤雷・g11092)は先んじて情報を集めに向かった。
「情報あつめ、かー。き、気をつけてがんばるぞー」
もっとも、ウェアキャット達が亜人側の勢力に属している以上、滅多なことでは情報を聞き出せないだろう。おまけに雷は、ただでさえ子どもなのである。下手に探りを入れると却って怪しく思われてしまい兼ねないので、ここは同じ年代の子どもに的を絞り、彼らから情報を得ることにした。
「お~い、そこのお前達~!」
街の外れで遊んでいる子ども達を見かけ、雷は手を振りながら声を掛けた。獣の耳をアピールすることで、少しでも同族であると思ってもらえるようにして。
「え……? もしかして、わたし達のこと?」
「誰だ、あいつ? 新しく、ここに来たのかな?」
見知らぬ者に声を掛けられたことで、ウェアキャットの子ども達も最初は訝し気に首を傾げるだけだった。しかし、そんなことは気にせずに、雷はどんどん彼らへと近づき、改めて一緒に遊びたいという意思を伝えた。
「おれ、ここに来たばっかりなんだ。いっしょに遊んでいいかー?」
「な~んだ、そうだったの。それじゃ、一緒に遊びましょ」
純粋無垢な子ども達は簡単に雷を信じ、そして一緒に遊ぶことにした。どうやら、子ども達は探検ごっこをしていたようで、それぞれ手に棒切れを持ち、街から更に離れた場所へ向かっていた。
「探検? いいなー! たのしそー!」
「でしょ? でも、ここから先は、入っちゃダメなところもあるから、みんなから離れないようにね」
万が一、そこに入ったが最後、大人から恐ろしく怒られる。絶対に近づいてはいけないと念を押され、それに納得した様子で頷いて、雷も子ども達の後に続く。
「ところでさ……その、近づいちゃいけない場所って、なんで近づいたらダメなんだ?」
「え……? さあ、なんでだろう?」
道中、さりげなく尋ねてみるも、子ども達からの返事はどうにも期待できないものばかり。うっかり足を踏み入れないためにも、せめて場所くらいは教えて欲しいと頼み込めば、子ども達は一斉に同じ方向を指差した。
「あっちの方……ここから見えるかな?」
「ほら、犬の石像が見えるでしょ?」
よくよく目を凝らして見れば、確かにそこには犬の石像があった。だが、片方は首が二つもあり、もう片方は首から上が完全に失われてしまっている。
「なんだか、おかしな像だね。まあ、いいや。近づかないよう、気をつけるよ」
それだけ言って、雷は子ども達と一緒に、しばらく遊ぶことにした。やがて、日が西の空に傾き始めたところで、子ども達は各々の家に去って行く。残された雷は、息を潜めて改めて像に近づいてみたが……これといって変わったところは、特になかった。
「おっかしーな……。たぶん、この辺に秘密の入り口があると思うんだけど……」
もしかすると、単に隠されているだけでなく、何か特別なことをしないと入り口が開かないのではなかろうか。入り口を見つけるためにも、この周辺をもう少し調査した方が良さそうだ。
大成功 🔵🔵🔵🔵
効果1 【怪力無双】LV1が発生! 効果2 【ダメージアップ】LV1が発生!
①🔑住民との会話(ウェアキャット)
ディアナ・レーヴェ
わんちゃんと聞いて!(ニッコリ犬好き。※いやジョークだけど!)
ここを調べてるのバレたら悪目立ちしそうね?
最初は【光学迷彩】使用でいく。
まず犬の石像の首の有る方を調べてみる。
首一つの方が可愛――もとい、二つは不自然よね?
片方とれるようになっていないか、切れ目とかないか観察。
もしくは三つ首の番犬として、もう一つ首を追加できる仕組みだったりして。
それから首なしちゃんの方も見てみるわ!
ただ取れてるだけじゃなくて、何かくっつけられそうな作りかレバーじゃないの?
続いて周辺を観察。首みたいな物の隠し場所に良さそう所はないかしら?
ここまでやって収穫薄いなら、誰かウェアキャットが通り掛かる時を狙ってわざと【光学迷彩】解除。
服装で種族は誤魔化しつつ、「引っ越してきたばかりよ!あちこち見て回ってるの!」「ねえ、この像なあになあに?」「なんで近寄っちゃいけないのー?」「誰が首獲ったのかしら!」と小声ながら無邪気な調子で質問しちゃうわ。あとあちこちぺたぺた触ろうともする。
『最もストップかけられた所』こそが怪しい!
●双頭の犬は問い掛ける
禁足地とされる場所に佇むのは、二つの首を持つ犬と、完全に首を失った犬の像。どちらも怪物には違いないが、しかしそれでも犬と聞いては、犬好きのディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は黙ってはいられなかった。
「わんちゃんと聞いて! ……って、ここを調べてるのバレたら悪目立ちしそうね?」
ウェアキャット達も普段は近寄らない場所だけに、今のところ人気はない。だが、何かの拍子に見つかってしまったら一大事。最初は付近の背景一体化する形で近づいて、二つの首を持つ犬の像を調べてみた。
(「首一つの方が可愛……もとい、二つは不自然よね?」)
もしや、片方が外れてもう片方の頭になるのではと思ったが、残念ながら首はどちらもしっかりとついており、とても外れそうにない。切れ目さえなく、どうやらこれは完全に、最初から二つの頭を持つ犬の像として造られているようだ。
(「う~ん……だったら、三つ首の番犬として、もう一つ首を追加できる仕組みだったり?」)
そう考え、今度は首の割れ目を除いてみたが、やはり何の仕掛けも見つからなかった。ならば、首のない方が怪しいと調べてみたが、こちらはこちらで最初から首無しの像のようになっている。
(「おっかしいわねぇ……。何か仕掛けがあると思ったんだけど」)
レバーの類があるかと思ったが、それもなし。周囲に落ちた首が転がっている様子もなし。完全に八方塞りになったところで、ふと視線を下に向ければ、二つの頭を持った犬の足元に、なにやら文字が書かれていた。
(「なにこれ? えぇっと……『我は牛の番犬なり。我が兄は地獄の番犬なり。我が兄の好物を、我が兄の正しい首の数だけ捧げよ』……どういうこと?」)
ディアナにも、これが秘密の入り口を開けるための鍵だということは、なんとなくだが理解できた。だが、今は答えの品を探すのも難しく、そもそも謎かけの答えが直ぐには分からない。
「だいたい、亜人って頭悪いのよね? なんでこんな難しいクイズ仕込んでるのよ!」
思わず声が出てしまったディアナだが、そこでふと思い出す。
そういえば、この施設の中で戦わされているのは猿の亜人。あくまで亜人にしてはであるが、なかなか頭の良い連中だと聞いている。
ならば、そんな連中を欺くためには、単に仕掛けを作るだけでは駄目だったのだろう。その結果、亜人を欺くには難し過ぎる謎かけを残し、それを解けなければ中に入れないようにしているというわけだ。
(「なんだか、ちょっと悔しいわね……。これ、謎が解けなかったら、私の頭も猿と同レベルってことでしょ?」)
こうなったら、是が非でも謎を解いてやる。そのためにも、まずは首なしの像の正しい首の数を当てることと、好物とされるものを用意するのが最優先。
場合によっては、準備が必要になるかもしれない。万が一のことに備え、ディアナは像の前から一時的に撤退したのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵
効果1 【光学迷彩】LV1が発生! 効果2 【アヴォイド】LV1が発生!
●御犬様は腹ペコです?
ウェアキャット達との接触によって、なんとか入口付近までは絞ることができた。
だが、問題なのは、双頭の犬の足元に書かれた謎を解かねば、入り口が開かないということだ。ウェアキャット達であれば答えを知っているのだろうが、さすがに堂々と尋ねるわけにもいかない。
像の足元には、こう書かれていた。
我は牛の番犬なり。我が兄は地獄の番犬なり。我が兄の好物を、我が兄の正しい首の数だけ捧げよ。
ここはギリシャだ。ギリシャにおいて兄弟の犬、しかも弟の方が二つの頭を持っているとされるものは何か。兄の方が地獄の番犬と呼ばれていることも合わせて考えれば、その答えは容易に浮かんでくるはず。
問題なのは、その後だ。兄の首の数を当てたところで、好物を当てられなければ意味はない。首無しの像の足元には、ご丁寧に餌皿のような石像まで安置されている。きっと、ここに好物とやらを置けば、何かが反応して隠し扉が開くのだろう。
犬の好物といえば肉や骨だが、さすがにそんな安直な答えではないだろう。そういえば、地獄の番犬を題材にした、なんとも面白い諺があるそうだ。厄介な相手を懐柔するという意味の言葉。さあ、いったい何だっただろうか?
②秘密の出入り口を探せ(オリュンピア)
ディアナ・レーヴェ
亜人の、それもお猿になんて絶対負けなぁーい!!(燃えている!)
牛の番人? ……あぁ、なるほどあなたオルトロスだったの!
なら悪かったわね、一つの方が可愛いとか三つにしてやろうとか考えて。よく見ると二つでも可愛いわ。(なでなで)
するとこの首無しちゃんの方が三つ首の番犬ね?
…そっか、なるほど『ケルベロスにパンをやる』って奴。
ふーむ。だったらこの時代に即した『パン』的なものを、その辺のウェアキャットのお店を回ってさっくり仕入れてきましょうか!
種族は服装で誤魔化して、通貨はないけど新宿島から小さな金銀の塊か何かを持っていって渡すわ。
「亜人様の急ぎのお使いなのよ!」って苦笑気味にお願いしたら、そうそう売ってもらえない理由もないはず。
もちろんただのパンじゃなく、【蜂蜜の使われてる、この時代のパン的なもの】を【3つ】ね!
(ぐぅー。…私もお腹が空いてきた。自分の分の奴も一緒に買っても、きっと怒られない気がする。食べて良い?)
②秘密の出入り口を探せ(オリュンピア)
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
道を拓いてくれた仲間達に感謝を
オリュンピアの儀式を阻止できれば、イスカンダル奪還戦の天秤はまた大きく傾くだろう
追い込みの時だな
一対の像……どこかしら狛犬を想像してしまうな
ギリシャ神話の犬の兄弟……
牛の番犬で双頭なのはオルトロス、兄の地獄の番犬はケルベロス
三つ、ケルベロスの好物を捧げよう
諺は、英語だと……give a sop to Cerberus
Sopはパンとも訳されていて、牛乳に浸したパンと現代ではいわれているのもあるが
時代的にはパンであっても「蜂蜜と芥子または小麦の粉を練って焼いた菓子」「蜂蜜に浸したパン」のほうが近そうかな
首の数は諸説あるが、ゴルディオンで会ったやつを思えば三つ首かなと
新宿で再現してもらったものをアイテムポケットで持ち込もう
文献を元に、現地のギリシャ出身の方にご協力願い、伝統的なものを再現できれば尚よいだろうけど、手に入るものを持参だな
蜂蜜に浸して甘くした三つの菓子パンを
石像の前の餌皿に備えよう
●番犬の好物
双頭の犬の足元に記された謎かけの答え。それを正解させることに、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)はいつになく燃えていた。
「亜人の、それもお猿になんて絶対負けなぁーい!!」
この謎は、亜人にしては頭の良い猿どもが、用意に仕掛けを解かないよう設けられたものだろう。つまり、この謎が解けなければ、自分の頭の程度が猿並であるという証明になってしまう。
そんなことは、絶対に避けなければならなかった。猿より頭が悪いディアボロスなんて、末代までの恥だ。だが、こういう時は熱くなり過ぎると却って頭が回らなくなる。とりあえず、もう一度落ち着いて考えようと、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)がディアナを制した。
「一対の像……どこかしら狛犬を想像してしまうな」
元より、この像は兄弟であるという。ギリシャ神話において血の繋がった怪物は数多く存在するが、犬の兄弟、それも牛の番犬で双頭の犬となれば限られる。
「ギリシャ神話の犬の兄弟……牛の番犬で双頭なのはオルトロスか」
「牛の番人? ……あぁ、なるほど、あなたオルトロスだったの!」
エトヴァが犬の正体に辿り着いたところで、ディアナもまた気が付いたようだ。
そう、この犬はオルトロス。ギリシャ神話では、クレタ島で巨人ゲリュオンの持つ不思議な雄牛の番犬をしていた話が有名だ。
「悪かったわね、一つの方が可愛いとか三つにしてやろうとか考えて」
よく見ると二つの頭でも可愛いと、ディアナは優しく頭を撫でた。その上で、改めて考える。オルトロスの兄は、地獄の番犬と呼ばれるケルベロス。こちらは現世の牧場などではなく、死者の国に繋がる冥府の門を守る門番だ。
なんというか、蠱毒壷のような迷宮へと向かう入り口を守る門番としては、この上になく相応しいものに思われた。伝説によれば、ケルベロスは冥府に入る者は見逃すが、冥府から出ようとする者には容赦なく牙を剥くという。この先にある迷宮からは、最後の一人になるまで逃れることはできないことを、暗示しているかのようだった。
「すると、この首無しちゃんの方が三つ首の番犬ね? でも、番犬の好物って何かしら?」
「そうだな……。ケルベロスにちなんだ諺に、こんなものがある。give a sop to Cerberus……Sopはパンとも訳されていて、牛乳に浸したパンと現代ではいわれているのもあるが……」
相手に賄賂を贈り懐柔するという意味の諺。それをエトヴァが思い出したところで、ディアナもまた閃いた。
「……そっか、なるほど『ケルベロスにパンをやる』って奴!」
つまり、この首無しケルベロスの餌皿に、パンを置けば良いということだろう。だが、当然のことながら、この時代には現代における菓子パンや食パンなど存在しない。ケルベロスの好物は牛乳に浸したパンとする資料もあるが、この時代の文化や背景を考えるなら、実際は『蜂蜜と芥子または小麦の粉を練って焼いた菓子』か、あるいは『蜂蜜に浸したパン』のほうが近いかもしれない。
「ふーむ……。だったら、この時代に即した『パン』的なものを、その辺のウェアキャットのお店を回ってさっくり仕入れてきましょうか!」
そう言うが早いか、ディアナは一目散に駆け出して、パンを買いに行ってしまった。あまり目立つ行動をするべきではないが、この場合は仕方がない。一応、エトヴァもパンを用意はしていたが、この時代に存在するパンを直に使用した方が安全かもしれない。
「ふぅ……ふぅ……な、なんとか、大急ぎでパンを3個だけ手に入れたわ。あとは、これ……蜂蜜ね」
やがて、買い物から戻って来たディアナが袋からパンを取り出したところで、いよいよ謎の解明だ。まずは、それぞれのパンを蜂蜜に浸し、それらを首無しケルベロス像の餌皿に置く。すると、餌皿の底に穴が出現し、3つのパンは穴の中へと落ちて行き。
「……あれ? これって、正解したってこと?」
「どうやら、そうのようだな」
近くの岩が音を立てて移動し、その奥に入り口が広がっていたことで、二人は自分達の考えが間違っていなかったことを理解した。
「なるほど、手の込んだ仕掛けだ。だが……いったい、何をトリガーにして、パンで扉が開くようになっていたのだろうか?」
もっとも、あまりに突拍子もない仕掛けの構造に、エトヴァはしばし考え込んだ。電子機器やセンサーの類も存在しない時代、一般人でしかないウェアキャットに、果たしてこのような仕掛けが本当に作れるのかと疑問に思ったからだ。
「まあ、細かいことはいいじゃない。それより……ちょっと、お腹が空いてきちゃったのよね。余った菓子パン、食べてもいい?」
それでも入り口が見つかったので良いだろうと、ディアナはパンを片手に先を行く。腹が減っては戦はできぬともいうわけで、確かに彼女の言うことにも一理はある。
「では、しばらくは食事をしながら進むとするか」
苦笑しながら、エトヴァもまたその後に続いた。なお、仕掛けの謎であるが……実はこれ、そこまで難しいものではない。パンに限らず、何かが餌皿に置かれると、とりあえずそれらは全て回収されることになっているのだが……その先には、交代制で入り口の閉会係をしているウェアキャットの部屋へと繋がっており。
「おっ! パンが転がって来たってことは、閉会の時間ってやつだな。う~ん、役得、役得♪」
パンを齧りながらハンドルを回転させて、仕掛けを作動させていただけである。この場合、パンは通行手形の代わりであり、仕掛けの大半は人力仕様。なんやかんやで、裏の部分では極めてアナログな作りになっていたのだが……そんな事実は、ディアボロス達が知る由もないのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【完全視界】LV1が発生! 【アイテムポケット】LV1が発生! 効果2 【命中アップ】LV1が発生! 【ダメージアップ】がLV2になった!
●地獄のモンキーロワイアル
秘密の入り口から中に入ると、そこは複数のレバーと、それに連動する鎖が多数存在する部屋になっていた。レバーのひとつを動かせば、先程入って来た入り口が閉じた。別のレバーを動かせば、今度は迷宮に繋がる扉が開放された。
なるほど、この部屋は連絡通路のようなものであり、中に入った亜人達がパンの手形を用いずとも自由に出入りしつつ、しかし亜人の目は誤魔化せるようにしているのだろう。入り口が閉じている状態であれば、亜人が外に逃げ出す心配もない。後は、この迷宮内にて戦いを繰り広げている、猿の亜人達を倒すだけだ。
だが、この迷宮内にいる亜人達は、どいつもこいつも悪知恵の回るやつばかり。亜人にしては頭が良いようだが、その頭の良さを卑怯なことにしか使えない。
「ウッキッキ……真正面から戦うなんて、アホのやることだッキー。俺様はここで待ち伏せして、間抜け野郎の後ろから襲い掛かってやるッキー」
「まともに殺し合いなんかしていたら、いくら命があっても足りないッキー。他の二人が戦っているところに乱入して、美味しいところだけ持って行くのが正解だッキー」
ある者は待ち伏せで敵を暗殺しようと影に潜み、またある者は漁夫の利を狙って行動している。迂闊にうろつけば、彼らの思わぬ奇襲を受けることは間違いない。が、しかし、数が減るのを待っていては、後々になって相手をする亜人の能力が格段に上昇してしまう。
ここはひとつ、こちらも作戦を立てて挑むのが良いだろう。いかに頭の良い亜人とはいえ、所詮は猿。人間様の知恵には敵わないということを、この辺りでしっかりと教えてやろう。
③👾予選迷宮のトループス級『モンキーモデルメーカーズ』
エイレーネ・エピケフィシア
予選参加を許可された以上、此度の敵は比較的優秀な者達だったのでしょう
亜人の知恵と侮らず、着実に対策を打って叩き潰すとしましょう
漁夫の利狙いの者ばかりということは、放っておいて大乱戦になる可能性は低いか、なるとしても時間がかかりそうですね
【完全視界】で暗がりを見通しながら潜伏中の敵を探して、各個撃破していきましょう
加えて【光学迷彩】を展開し、自分たちが闇の中や曲がり角に身を隠している時は見つかりづらいように
闇の中に潜んでいるだけの敵なら見つけるのは簡単ですが、小部屋の中などで待ち伏せをされると厄介ですね
そんな時は最終人類史から持ち込んだレンチや手榴弾を敵から見える範囲の壁に投擲し、同族の争いが始まったかのように見せかけます
好機と見てのこのこ出てきたら奇襲の時です
≪神護の長槍≫を『邪悪を砕く雷霆の槍』として投擲
身を隠せていると思っている敵や誘い出された者を槍で貫き、狭い迷宮を跳ね回る雷撃で焼き尽くします
反撃のレンチは≪神護の輝盾≫を構えて防御
文明の智が生み出した道具も、結局は鈍器扱いですか!
③👾予選迷宮のトループス級『モンキーモデルメーカーズ』
ディアナ・レーヴェ
…レンチと手榴弾両手に持ってる神官の姿に見惚れて危うく出遅れそうになったわ。
どうしましょう似合わなすぎてすごーくカッコいい。(ぐっ)
ともあれ!
同じく【完全視界】で見通しつつ、物陰の暗殺狙いの奴らに注意ね。
おびき出し作戦は勿論乗っかりましょう!
まず皆で隠れた状態から数発「どーん!」してもらって様子見。
投擲された方角とは外れた所に潜んで、そろーっと覗きに来た敵の足元を地面と似た色の紐辺りで絡め取って(【トラップ作成】)、びっくりしてる背を皆で狙い打ちましょう!
…って、美味しい所だけ乗ろうとしてるって事は、ある程度戦いの佳境を演出しないと出てこない可能性もあるかしら?
もしある程度待ってみてそんな感じと判断できたなら、私が手榴弾の土煙に紛れるようにして突っ込んで「うーわーそんなこの私がッキー!?」みたいなこと叫んで倒されそうな奴のフリしてあげるわ!
私一人分くらいの居所が割れても、敵が来るって分かってさえいればそう不利にはならないと思うのよ?
火砲&ガードアップでレンチを受け止めたら戦闘開始っ!
●本当の計略
ウェアキャット達の作ったカラクリの仕掛けを解いて、ディアボロス達は予選会場へと侵入を果たした。
ここから先は真剣勝負。敵はこちらの存在を感知してはいないが、それでも予期せぬ侵入者があったとなれば、全力で倒しに来るだろう。
「予選参加を許可された以上、此度の敵は比較的優秀な者達だったのでしょう。亜人の知恵と侮らず、着実に対策を打って叩き潰すとしましょう」
どこから不意打ちを仕掛けてくるか分からないと、エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は油断なく辺りの様子を伺いながら進んで行く。もっとも、そんな彼女は神官のような衣装に反し、片手にはレンチ、片手には手榴弾を持っている。
(「……はっ! あ、危うく出遅れるところだったわ。でも……どうしましょう、似合わなすぎてすごーくカッコいい」)
一方で、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は何故かミスマッチなエイレーネの姿に見惚れており、危うく出遅れそうになっていた。
まあ、この先に出てくるであろう猿どもの姿は、それこそ亜人としては恐ろしい程にミスマッチなのだから、この程度で驚いてはいられない。暗がりの中、奇襲を警戒しながら進んで行くが、しかしどうにも敵の現れる気配がない。
「おかしいですね……もしや、小部屋や袋小路に隠れ、騒ぎが起きるまで待ち伏せしているのでは?」
「げぇっ、最悪! そんなの、いちいち探して倒していられないわよ!」
エイレーネの懸念を聞いて、思わずディアナが顔を顰めた。敵は弱い内に各個撃破が基本だが、これでは時間が掛かって仕方がない。だが、焦って動けば敵の思う壺。慌てて状況を見誤り、猿なんぞに調子に乗られるのは頭に来るわけで。
「仕方がありませんね。ここは敵を誘き寄せましょうか」
そう言って、エイレーネが手榴弾を構えたところで、ディアナも何をするか悟ったようだ。
「あ、それなら、私が囮になるわ。確認するけど……それ、クロノオブジェクトじゃなくて、単なる手榴弾よね?」
念のために確認すると、エイレーネは静かに頷いた。ならば話は早いと、ディアナは敢えて開けた場所に身を晒し、自分に向かって手榴弾を投げろと合図した。
(「なるほど、そういうことですか。確かに、クロノヴェーダだけでなく、私達にも『一般法則』は通用しませんね」)
なかなかに勇気のある行動だが、自分達の力を信じていればこそできる所業。まずはディアナの足元にレンチを投げ、次いで躊躇うことなくピンを抜き、手榴弾を投げつける。瞬間、爆音が周囲に轟き、爆風の中から吹っ飛んでくるレンチと共に、ディアナの叫ぶ声がした。
「うーわーそんなこの私がッキー!?」
どうやら、倒された猿の振りをしているようだ。その声に導かれたのか、あちこちから猿どもが湧いて来たが、彼らは広場に出てくる前に、盛大にロープに躓いて転倒した。
「ウッキッキ! トドメは俺様がいただ……ウキャッ!?」
「こんなところに縄が!? 姑息な真似をする奴がいるッキー!」
転倒させられた猿どもは、口々に文句を言っている。一般法則が通用せず、手榴弾を食らってもディアナには効果がなかったように、彼らにもまた単なる罠は効果がない。当然、縄で転んだ際のダメージも受けないのだが、それでも姿勢が崩れれば好都合。
「残念だったわね! 誘い込まれた時点であなたの失策よ!」
ドヤ顔でディアナが告げれば、次々と爆発する爆雷の嵐。今度は即席の罠ではなく、ディアナのパラドクスによる攻撃だ。
「ウッキャァァァ! なんじゃこれはッキー!?」
「こんな罠が使えるやつがいるなんて、聞いてないッキー!」
哀れ、猿どもの大半は、何が何だか分からないままディアナの敷き詰めた爆薬の餌食となった。それでも、中には生き延びて襲い掛かって来るやつらもいたが、苦し紛れに鈍器で殴る程度の技などパラドクスであったとしても怖くはない。
「おっと、そうはいかないわよ!」
「文明の智が生み出した道具も、結局は鈍器扱いですか!」
ディアナは火砲で、エイレーネは槍で、それぞれレンチをガードした。所詮は、ここが猿どもの限界だ。中途半端な浅知恵を付けたところで、人間様のそれには決して敵わない。
「ウキャッ!? な、なんでこんなところに女がいるッキー!?」
「えぇい、ウェアキャットどもは、何をやっているッキー! この戦いに勝ったら、あいつら全員お仕置きだッキー!」
攻撃を防がれた猿どもの中には、八つ当たりで怒りの矛先をウェアキャット達に向ける者も出てくる始末。果ては、目の前に人間の女がいると知って、露骨に発情する者まで現れ始めたのでやってられない。
「ウッキッキ……ちょっと予定変更だッキー。まずは、この女どもを犯っちまうッキー」
なんとも下品な笑みを浮かべて迫って来るも、ここで本能に負けたのが運の尽き。
「気持ち悪いわね! こっち来るんじゃないわよ!」
哀れ、ディアナの火砲の直撃を受け、エロ猿は一撃で頭を吹っ飛ばされ死亡した。もはや、戦っても勝機はないと判断したのか、一転して逃げ出す者も現れたが。
「どこへも逃がしませんよ! 聖なる槍よ、邪悪を砕く雷光を灯せ!」
そんな猿どもの尻目掛け、エイレーネの槍から雷光が迸る。それらは逃げ惑う猿どもを、まるで意思を持っているかの如く追い回し、次々と感電させ黒焦げにして行く。
「ウギャギャギャギャ!!」
「何がどうなっているんだッキー!?」
狭い場所に入り込もうにも、雷はそんな猿どもにさえ追いついて、徹底的に焼き尽くした。全てが終わった時、ディアナとエイレーネの周りに散らばっていたのは、真っ黒焦げにされた猿どもの亡骸だけであり。
「とりあえず、この辺にいたやつは全部片づけたかしら?」
「ええ、恐らくは。上手く一網打尽にできたのは幸いでしたね」
逆説連鎖戦において、一般法則は無視される。その性質を逆手に取って相手を罠に嵌めた二人の知恵は、猿どもの浅知恵を遥かに上回っていたというのは言うまでもなかった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【光学迷彩】がLV2になった! 【トラップ生成】LV1が発生! 効果2 【命中アップ】がLV2になった! 【ガードアップ】LV1が発生!
③👾予選迷宮のトループス級『モンキーモデルメーカーズ』
神坂・雷
(連携アドリブ歓迎)
むむむー、なんかキーキー聞こえる…
なんだろ、バカにされてるっぽくて…ミョーに腹立つぞー…
(ギョフノリってなんだろう、食えるのかな)
一緒に進む味方と、はぐれないように注意。待ち伏せしている敵を誘い出す際には協力する
気配や声、火薬の臭い、物音を探って敵を見つけ出し、可能なら不意打ちを仕掛ける
敵から奇襲を受けないように、警戒する方向は分担し、死角をできるだけ減らす
戦闘時は【一蹴入魂】使用
【ダメージアップ】【命中アップ】の力を乗せ、狙い澄ました全力の蹴りを叩き込む
敵の攻撃は『撥撥』(網目状に広がる電撃のマジックシールド)で防御。自分の負傷はあまり気にしないが、大きな怪我は避けるように動く
(ここ抜けて終わりじゃないのはわかってるし…なんか、こいつらにやられて動けなくなるとか、考えただけですげー腹立つし!)
「戦闘音で敵が必要以上に集まってこないようにする」「自分や味方の消耗をできるだけ抑える」を目標に、手早く静かに各個撃破
(普段は大声を出して暴れるが、我慢してちょっと静かに戦う)
●道具は一流、技量は三流?
ディアボロス達の乱入もあって、迷宮内ではあちこちで本格的な戦いが繰り広げられるようになっていた。
先に倒された大量の同胞。その姿を見たことで、焦りを感じ始めた者もいるのだろう。敵を倒せば倒しただけ強くなるとなれば、後々になって不利になるのは猿どもも同じ。相手を出し抜こうにも、さすがに圧倒的な力の差があればそれでもできないと判断し、各々が少しずつライバルを蹴落とすことにしたのだろう。
「むむむー、なんかキーキー聞こえる……。なんだろ、バカにされてるっぽくて……ミョーに腹立つぞー……」
爆発音に紛れて聞こえてくる猿どもの叫び声に、神坂・雷(赤雷・g11092)は露骨に顔を顰めた。亜人の癖に妙な悪知恵が回るというのも気に食わないが、それにも増してやつらの声は鬱陶しい。ついでに言うならば、やつらの顔も鬱陶しい。それなのに、妙に小難しい言葉を使うのが、一周廻って更に鬱陶しさの極みである。
(「そういえば、ギョフノリってなんだろう? 食えるのかな」)
ふと、猿どもが呟いていたことを思い出した雷だったが、直ぐに気を取り直して考えるのを止めた。
こんなところ、あの猿どもに見られたが最後、盛大に馬鹿にされるに違いない。そうなった場合、怒りに我を忘れて突撃し兼ねず、それでは作戦が台無しだ。
気配や声、あるいは火薬の匂いなどを頼りに、雷は敵が戦っている場所を割り出して行く。互いに戦っていても、今はまだ仕掛けない。奇襲を受けることも警戒するなら、完全に安全かつ敵を確実に倒せる時にしか仕掛けてはならない。
「ゼハァ……ゼハァ……。よ、ようやく、勝ち抜いたッキー」
そんな中、戦いを終えたばかりの猿を見つけ、雷は息を潜めた。
戦いとは、終わった瞬間が一番無防備になる。勝ったと思った時は、誰しも油断をしているからだ。そこを逃さず、一気に距離を詰めて全力の蹴りを叩き込む。何が起きたか分からないまま、猿は壁に激突し、そのまま力尽きて動かなくなる……と、思われたが。
「……ウッキャァァァ! 貴様、やってくれたッキー!」
なんと、顔面が盛大に陥没しながら、最後の力を振り絞って反撃して来たではないか! どうやら、それなりに場数を踏んだ個体だったらしく、なかなかどうしてタフさだけは一人前。
「ウキャキャキャキャ! ハチの巣にしてやるッキー!」
懐からマシンガンを取り出し、猿は雷目掛けて乱射して来た。咄嗟に、網目状のマジックシールドを展開するも、巨大な砲弾や近接武器ならいざ知らず、マシンガンの弾は一部が網をすり抜けてしまう。
「ウッキャッキャ! そ~んな網で、俺様のマシンガンを防げると思っているッキー?」
「……っ!? あったまくんな、この猿!!」
言動も行動も、いちいち癪に障る相手だ。しかし、ここで苛立って勝利を焦れば、余計な怪我をしかねない。最悪の場合、騒ぎを聞いて集まった敵に囲まれてしまうかもしれないので、ここは『静かに』しかし『威力は殺さず』戦うべきだ。
(「ここ抜けて終わりじゃないのはわかってるし……なんか、こいつらにやられて動けなくなるとか、考えただけですげー腹立つし!」)
せめて、何か一矢報いなければ。銃弾の軌道を読み、雷は高々と跳躍すると、斜め上から必殺の蹴りを放つ。いかに優れた武器でも、使い手が素人では意味がない。顔面を盛大に蹴り抜かれ、今度こそ本当に猿は崩れ落ちたのであった。
成功 🔵🔵🔵🔴
効果1 【水面走行】LV1が発生! 効果2 【命中アップ】がLV3になった!
③👾予選迷宮のトループス級『モンキーモデルメーカーズ』
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
お、鍵は合っていたな。良かった
ここへ来て、なりふり構わずの趣はあるが……戦力増強などさせはしない
大王にはグランダルメに欲を出した痛手を、そのまま受けさせよう
完全視界で視野を確保し
迷彩コートを纏い光学迷彩を発動、忍び足で静かに内部を探索
地形の影を辿る、潜む等で利用
不意打ちは仲間と手分けし警戒を
【トラップ生成】で鈴付きの極細のワイヤーを密に巡らせ
足元には落とし穴やトラばさみ等を仕掛ける
自分たちの進路には避ける
鈴の音で敵の居場所を察知しつつ、敵の疑心暗鬼を誘う
敵同士が戦うか場所を変えようと移動を始めた所を狙う
足元の罠で移動を妨害しつつ、注意が逸れれば好機
味方が待ち伏せの際は動きを合わせ、援護しよう
トループスを発見次第、仲間と狙いを合わせてPD攻撃
後半になるほど敵が強くなるとみて
なるべく先手を取り、攻撃を集中させて倒そう
敵の攻撃には、腕の振りを観察しつつ
タワーシールドを構えて手榴弾を防ぐ
挑発には耳を貸さぬよう、挑発返し
……ドイツの技術力と相対してきた身から見れば
所詮は猿真似だな
●阿呆か天才か
裏口を開けるための謎かけに正解し、少しばかり安堵の溜息を吐いたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。だが、戦いはこれからが本番だ。敵もなりふり構わない状況になっているようだが、それは相手を追い詰めている証拠でもある。
「ウキィ……ど、どこにいるッキー?」
「残る同胞は少ないはず……。勝ち残るのは、俺様だッキー」
いよいよ余裕がなくなったのか、猿どもも自ら動いてライバルを蹴落とさんとしているようだった。奇襲に警戒しなくて済むのは幸いだが、それでも見つかったら面倒だ。迷彩コートと光学迷彩の二重遮蔽で身を隠し、エトヴァは密かに迷宮内へ罠を仕掛けて行く。
「……ん? こんなところに鈴の付いた縄が……ウキャァッ!?」
「な、なにが起きたッキー!? また、誰かがやられ……痛いッキー!!」
ある者はワイヤーに気づいた瞬間に落とし穴へと落ち、またある者はトラばさみへと引っ掛かった。が、それらの罠に嵌っても、猿どもはダメージを受けることなく、怒り狂いながら立ち上がって来た。
「フン、馬鹿にするんじゃないッキー! 今の俺様達に、こんなもんが効くと思うのかッキー!」
「自分達の能力も忘れるとか、とんだアホが紛れ込んでいたものだッキー。同胞として恥ずかしいッキー!」
罠そのものには引っ掛かっても、一般法則が通じない以上、罠によるダメージは期待できない。そんな罠を、自分達の同胞が仕掛けたと勘違いした猿どもは、怒りながらも侮蔑の感情を込めた笑みを浮かべ。
「ん……? あんなところに、人間がいるッキー!」
「さては、さっきの罠もお前が仕掛けたんだッキー! 本当に、人間はアホだから困るッキー!」
敢えて姿を晒したエトヴァを確認し、猿どもは盛大に罵り始めた。恐らく、一般法則が通じないことを知らない、ただの人間だと思ったのだろうが。
「こんなところに迷い込んだのが運の尽きだッキー!」
「俺様達が、真の道具の使い方ってやつを教えてやるッキー!」
調子に乗った猿どもは、次々にエトヴァへと手榴弾を投げつけてくる。しかし、それらの爆風を大盾でしっかりと防ぎつつ、エトヴァは反対に猿どもを挑発した。
「……ドイツの技術力と相対してきた身から見れば、所詮は猿真似だな」
こちらは既に、東京23区もドイツも奪還しているのだ。マシンガンにしろ手榴弾にしろ、エトヴァにとっては倒した敵の技術に過ぎない。この時代の人間にとっては脅威かもしれないが、エトヴァにとっては見慣れた代物だ。
「ムッキィィィィ! 調子に乗るんじゃないッキー!」
「お前なんて、武器なんかなくても十分だッキー!」
小馬鹿にされたと感じたのか、猿どもは一斉にエトヴァへと飛び掛かって来た。その先に細いワイヤーが仕掛けてあったが、猿どもは全く気にしていない。大方、先程のような『通常の罠』だと思って甘く見ていたのだろう。
「……ウキャ!?」
次の瞬間、ワイヤーに振れた猿どもの身体が、一瞬にしてバラバラになった。残念ながら、こちらは通常の罠ではなく、エトヴァのパラドクスで作り出した罠。当然。一般法則無視という現象は発生せず、頭から突っ込んだ猿どもは漏れなく身体を切断される。
「分不相応な自信と過剰な思い込みは、時に判断を鈍らせる。怒りに支配されて本質を見抜けぬとは、所詮は猿知恵か……」
相手がこちらを舐め、勝利を確信した瞬間、相手は既に敗北している。罠の直接的な効果こそ期待通りには行かなかったが、その状況を逆に利用し、エトヴァはまんまと猿どもを嵌めて見せたのであった。
成功 🔵🔵🔵🔴
効果1 【トラップ生成】がLV2になった! 効果2 【ダメージアップ】がLV3になった!
●限界バリバリの亜人!?
迷宮内の猿を全て掃討し、ディアボロス達は最後の決戦会場へと脱出した。
今までの戦いは、あくまで予選。本来であれば、ここで予選を勝ち抜いた者が、互いにアヴァタール級へと進化して最後の殺し合いを行うはず。
果たして、そんなディアボロス達の予想は正しく、もう一つの迷宮の出口からズタボロになった猿が現れた。
「ウキィ……ウキィ……。お、俺様の勝ちだッキー! 俺様は……生き残ったッキー!」
そう、猿が笑みを浮かべた瞬間、彼の頭に強烈な光を迸らせながら稲妻が落ちた。それを受けた猿の身体はどんどん肥大化し、筋骨隆々とした鬼の如き亜人へと変化して行く。彼の持っていた装備もまた、一か所に集まって鉄屑のようになったと思うと、グニャリと変形してバイクになった。
「フンガァァァァ! 最高にイカした気分だぜぇぇぇぇ!!」
鼻息荒く、新たな肉体を得た亜人が叫ぶ。彼こそは、火炎戦車のイクシオン。女と同じくらいにバイクを愛し、マシンにさえもワイルドかつセクシーな雰囲気を求める、バリバリのバイク野郎である。
もっとも、今のイクシオンは覚醒したての上に全身に纏った雷の影響もあってか、完全に暴走状態だった。恐らくは、この戦いでもう一人の候補者を倒さない限り、パワーが安定しないのだろう。
今の彼は、あくまで最後の戦いの参戦権を得たに過ぎない。しかし、肝心の相手がいないため、当然のことながらその矛先はディアボロスへと向けられるわけで。
「グハハハハ! 貴様達が俺の相手か! 殺す! 殺す! 轢き殺すぅぅぅぅ!!」
碌に状況を判断できているかも怪しいまま、イクシオンがバイクの炎を盛大に噴出させる。彼を倒さなければ、残念ながらこの戦いは終わらない。炎のバイクに雷のパワー。圧倒的な強化が施されたイクシオンを相手に、最後の戦いが幕を開けた。
④👿雷を纏うアヴァタール級との戦い『火炎戦車のイクシオン』
ヴァネッサ・ダヴー
アドリブ連携可
ほう、進化とはこのようになるのか。何と面妖な・・・
だがいかなる相手であろうと狩ることに変わりはない。覚悟してもらおうか!
真正面からやりあうなど妾の好むものではないが已むをえまい。
あ奴の進路上に【トラップ生成】でまきびしやバイク事入る落とし穴の仕掛けておくか。
多少の足止めになれば良い。
とは言え投げつけるものに対しては無力だから避けるしかないな。
あ奴の動きを見切り投擲物の軌道を読んで潜り抜けてダッシュで接近。
懐に入り込んだら奴の首元目がけて一閃を叩きこんでくれよう!
一撃を入れたら即座に間合いを離して落とし穴とかのトラップ地帯を挟んで対峙するとしよう。
無理して倒す必要はない。あ奴を少しでも足止めする。そうして味方の好機を作り出すのじゃ・・・・
④👿雷を纏うアヴァタール級との戦い『火炎戦車のイクシオン』
神坂・雷
(連携アドリブ歓迎)
ウキーが変身したー!?
(わー、バイクかっこいいなあ!おれものりたいなあ!などと見入ってしまうが、我に返る)
バリバリでビリビリする…つよそーだな!でもまけねーぞ!
おれもバリバリで、どかーんだ!
周囲の味方とは声を掛け合い連携
敵を観察し、動きの癖や傷つき具合、消耗で動きが変化していないかなどの情報を共有する
(おれ、きっとまだチカラたりない。
…でも、あいつから見えにくいとこに隠れたり、イヤな感じにうろちょろはできるぞ!
おれ、ちっこいからな!ちっこい…から…(自分で思いついておいて凹む))
戦場をうろちょろ動き回り、敵の死角になる場所を見つけ出す。敵の攻撃直後や方向転換等の瞬間、味方が攻撃した直後などを狙って【狼突猛進】使用。【命中アップ】で狙いを定め、オーラ『赤雷』を纏って(【ダメージアップ】)、ツルハシを力任せにぶちこむ
バイクを狙って機動力を削ぎにかかる(かっこいいけど、ごめんな!)
敵の攻撃は、マジックシールド『撥撥』を展開して受ける。【ガードアップ】の力も借りて消耗を抑える
●バリバリ亜人は止まらない!?
雷を受けたことで、陰気な技術者から一転してムキムキのボディとバリバリのバイクを操る亜人となる。その、あまりに常軌を逸した変身方法に、神坂・雷(赤雷・g11092)は思わず見惚れてしまっていた。
「ウキーが変身したー!?」
イクシオンのマッチョ感も凄いが、なによりバイクがカッコイイ。髑髏のカウルに炎を吹き出すバイクなど、まるでどこぞのコミックに出てくるダークヒーローのようではないか。
「ほう、進化とはこのようになるのか。何と面妖な……」
その一方で、ヴァネッサ・ダヴー(ウェアウルフのグリムリーパー・g10171)は感心こそすれど、イクシオンやバイクには見惚れていなかった。
どのような相手であろうと、ここで倒すことに変わりはないのだ。どうせ会話もできないのだから、早々に叩き潰してしまえばよい。
「ガハハハハ! 斬殺! 斬殺! ブッ殺ォォォス!!」
案の定、目の前の相手を倒すことしか考えていないイクシオンは、火炎車輪を手に真正面から突撃して来た。その先にはヴァネッサが撒いたまきびしあったのだが、しかしバイクは何ら動じることなく、まきびしを跳ね飛ばしながら突進してくる。
「笑止! 笑止! 笑止ぃぃぃぃ! 俺様は誰にも止められねぇぇぇぇ!!」
逆説連鎖戦において、パラドクスやクロノオブジェクト以外の道具は意味を成さない。当然、まきびしも同様であり、何の効果も発揮していない。
「くっ……! だが、まだこちらには次なる罠がある!」
ならば、バイクごと落とし穴に落としてしまえばと思ったが、落下させたところでダメージはゼロだ。多少の足止めにこそなれど、それも長くは持つまい。雷を浴びて強化されたイクシオンは、そもそもこの程度で止められる相手でもなく。
「オラオラオラァァァァ!!」
穴の中から、イクシオンは車輪だけでなく工具やら石ころやら、とにかく何でも炎を纏わせメチャクチャに投げつけて来た。あまりに規則性がないため、却って軌道が読めない。おまけに、逆説連鎖戦では距離感を無視して相手を確実に狙えるので、確実な回避手段がなければ距離があるからといって油断はできない。
「な、なんじゃこれは! 殆ど出鱈目のヤケクソではないか!?」
炎が身体を掠めたことで、ヴァネッサは思わず顔を顰めた。この亜人、メチャクチャだが強い。罠が殆ど効果を発揮しない以上、あのバイクを止める方法が彼女にはない。
「バリバリでビリビリする……つよそーだな! でもまけねーぞ! おれもバリバリで、どかーんだ!」
ならば、自分が先に仕掛けてやろうと、今度は雷がイクシオンへ突っ込んで行く。だが、穴を垂直に走り上ることで脱出して来たイクシオンは、真正面から雷に突っ込み、彼の身体を盛大に部屋の隅まで吹き飛ばした。
「……ぐっ! すっげーパワーだ……!!」
叩きつけられた衝撃で壁に亀裂が走ったことで、雷は改めて敵の強大さを思い知った。咄嗟に盾を展開して防いだものの、真正面の戦いでは確実に押し負ける。なにか策を考えないと、このままでは完全にジリ貧だ。
(「おれ、きっとまだチカラたりない。……でも、あいつから見えにくいとこに隠れたり、イヤな感じにうろちょろはできる!」)
なぜなら、自分は敵に比べて小さいから。自分で言っていて悲しくなってくるが、それはそれ。続く突進を左右に小刻みに動くことで華麗に避け、敵に狙いを定めさせない。そして、突進を避けた次の瞬間、雷は相手の真横から全力の一撃をお見舞いした。
「そこだ! ぶっとべー!」
真正面からの突進勝負では勝てずとも、真横から叩けばどうだろうか。バイクというものは、真横からの衝撃には滅法弱い。特に、予期せぬ衝撃を横から食らうと、簡単に転倒してしまう。
「ぬごぉぉぉぉっ!! 制御がぁぁぁぁぁっ!!」
転倒したイクシオンは勢いを殺せず、ねずみ花火のようにクルクルと炎を吹き出しながら回転していった。壁に激突してようやく止まったが、バイクを立て直している間に、既にヴァネッサが懐に入り込んでいた。
「隙だらけじゃな! これを食らうがよいわ!!」
虚無の魔力を宿した刃が一閃、イクシオンの首元を斬り裂く。強靭な筋肉に守られ首を刎ねることこそできなかったが、それでも急所を刈られたイクシオンは、思わずバイクを後退させてディアボロス達から距離を取った。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1 【アイテムポケット】がLV2になった! 【怪力無双】がLV2になった! 効果2 【アヴォイド】がLV2になった! 【ダメージアップ】がLV4になった!
④👿雷を纏うアヴァタール級との戦い『火炎戦車のイクシオン』
エイレーネ・エピケフィシア
イクシオンとは、神を謀ろうとして奈落に囚われ、燃え盛る車輪の責め苦に処された者の名です
それで、あの乗り物が彼にとっての「車輪」なのでしょうか?
どう見ても最終人類史の機械ですが……
いずれにせよ、ここで仕留めなければ地の果てまでも蹂躙せんと駆けてゆくのでしょう
そのような蛮行の実現を許す訳には参りません!
飛び散る雷と炎から身を護るために≪神護の輝盾≫を構えながら戦います
狭い決戦場にあって、突撃と雷炎からの逃げ場を失うことがないよう注意
仲間が壁際に押し込まれそうな時は、攻撃を差し込んで敵に方向転換を促し一人への集中攻撃が続かないようにしましょう
盾を構えて護りを固めた姿勢のまま≪神護の長槍≫を振るい、『勝利齎す女神の威光』を発動
敵にまだ余力があるうちは、槍を横に振って薙ぎ払うように聖光の奔流を放ち、威力の高さよりも確実な命中を狙います
敵の動きが鈍ってきたら穂先を真っすぐ突きつけ、敵が完全に消え去るまで光を照射し続けましょう
突撃は地を強く踏みしめながら盾で防ぎ、吹き飛ばされて隙を晒さないようにします
④👿雷を纏うアヴァタール級との戦い『火炎戦車のイクシオン』
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
ちょっとちょっと交通違反……
だけど戦車マシンが格好いいなと思ってしまう……!
技術力をクロノヴェーダが悪用するとこうなるのだな……と妙な感心はするが
所詮は亜人、人を蹂躙する天敵だ
ここから、一歩も外に出す訳にはいかないな
仲間と声掛け合い連携を
敵の動きと戦況を観察しつつ把握
運転中にどこまでよそ見できるか知らないが
直進方向を避けるように動き回り、常に死角に回るような小回りで対抗しよう
この場でデカブツを乗り回すには、何度も方向変換や加速が必要だろう
味方との攻撃の応酬のあいだの移動時、加速中を狙い
一回きりだが、直進するタイヤの下の進路に【防衛ライン】
動きが止まるのは一瞬でもいい、その間にPD攻撃を畳みかける
クロスボウから狙い澄ました一撃で射貫こう
敵の反撃には、魔力障壁で迷惑行為の余波を防ぎつつ
動きを見極め、身体に触れない脅しはスルー
戦車前方へ向けタワーシールドを構え、炎の噴射をガードする
カッコいいのにドライバーがこれでは宝の持ち腐れだな
……スリップと衝突にはご注意を
④👿雷を纏うアヴァタール級との戦い『火炎戦車のイクシオン』
ディアナ・レーヴェ
エトヴァこういうの好きだったのね……(「男の子って…」みたいななんとも言えない生温かい微笑み)
ともあれ!
爆走野郎に10mのリングは多分ちょっと狭い。
奴が「安全運転」もしくは「降りる」みたいな冷静さを取り戻す前に一気に攻めるわよ!
後衛からしっかりその運転の癖やら慣性やら観察するわ。
仲間が動きを止めてくれた隙にしっかり狙って良い一撃いれてやりましょう!(【王道の計】)
……やっぱり狙うは爆発炎上よね。エンジンどこ?(※何か変な映画とか見たらしい)
●バリバリ戦車を吹っ飛ばせ!
雷の力で進化した亜人が、科学者からバイク乗りに変身した。それだけでも無茶苦茶な話なのだが、そもそもここは古代ギリシャ。
そんな時代に、マシンガンだのバイクだの持ち込むなと言いたいところである。もっとも、実際は形だけ真似して動力は魔力炉だったりするので、時代の壁に阻まれることもないようだが。
「イクシオンとは、神を謀ろうとして奈落に囚われ、燃え盛る車輪の責め苦に処された者の名です。それで……あの乗り物が彼にとっての『車輪』なのでしょうか?」
それでも、エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は、どこか納得がいかない様子だった。
まあ、確かにあの戦車、どこからどう見ても最終人類史のバイクだもんね。一方で、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、そんな無茶苦茶な火炎戦車にもどこか感心している様子だったが。
「技術力をクロノヴェーダが悪用するとこうなるのだな……」
口調は冷静を装っているが、その瞳はどこか少年の日の輝きに戻っている。そんなエトヴァの姿に、ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)は思わず苦笑した。
(「エトヴァこういうの好きだったのね……」)
彼に限らず、男というのは何歳になっても強いマシンが好きな生き物だ。車、バイク、ロボットなど、カッコイイ機械は男子の浪漫! しかし、それを悪用しようというのであれば、許すわけにはいかない。
「来るわよ! 散開して!!」
ディアナが叫ぶと同時に、イクシオンがバイクでこちらへ突っ込んできた。咄嗟に三方向へと散って逃れるも、イクシオンは凄まじいドリフト技術で床からも炎を噴き上げながら巧みに方向を変えてくる。
「グハハハハ! 逃がさん! 逃がさん! 逃がさぁぁぁぁん!!」
この亜人、バイクテクニックもなかなかのものだ。彼にとって、このバイクはまさしく身体の一部。人機一体とは、こういうことをいうのだろうか。こんなやつを野に放つことになったら、それこそ亜人の戦力が危険な形で誤った方向に強化され兼ねない。
「焼殺! 焼殺! 焼殺ぅぅぅぅ!!」
方向を転換すると同時に、イクシオンがバイクの前方から凄まじい勢いで炎を放つ。髑髏のカウルが口と目から火を噴き出し、それらはディアナを焼き尽くそうと、闘技場の全てを焼き払わんばかりの勢いで彼女に迫る。
「ちょっと! なんでこっちに来るのよ!」
後衛であっても安全が保障されないのは、逆説連鎖戦のお約束。この狭い闘技場内では、それは更に顕著となる。何ら防御手段を用意していなかったため、このままではバーベキューにされ兼ねないディアナだったが、そんな彼女を大盾を構えたエトヴァが身を挺して守っていた。
「カッコいいのに、ドライバーがこれでは宝の持ち腐れだな」
適切な防衛ラインを敷くことで、彼は最初からこの瞬間を狙っていたのだ。相手の炎を受け止め続けることはできないが、それでも防御から反撃に転じる一瞬のチャンスがあれば良い。
「――光、守護と成せ」
クロスボウを用いた連続射撃で、エトヴァはバイクの弱点を的確に射抜いて行く。接合部やホイールの間、あるいは車輪そのものを狙ってパラドクスで射抜けば、さすがの大型バイクもイクシオンの意思とは関係なしに苦痛の焔を上げて行く。
「おのれぇぇぇぇ! 俺様のセクシーバイクに、なにしやがるぅぅぅぅ!!」
愛車を傷つけられたことでブチ切れたイクシオンが、形振り構わず突進して来た。そのままパワーに任せて、ディアボロス達を轢き殺す気だ。
しかし、そんな力任せの攻撃も、今度はエイレーネの盾で受け止められてしまう。パワーこそイクシオンの方が上のため、エイレーネは徐々に後ろへ追い詰められて行くが、それでも勢いを殺すことには成功し。
「本来であればその時代に存在しないはずの機械を使い、地の果てまでも蹂躙せんとする蛮行の実現……許す訳には参りません!」
気持ちだけでは負けておらず、エイレーネは一歩も退かなかった。このままでは、いずれ彼女が轢き殺されてしまうかもしれないが、敵の動きが止まっている今はチャンスでもある。
「やっぱり狙うは爆発炎上よね。エンジンどこ?」
ディアナが狙いを定め、それらしき個所に火砲を撃ち込む。実際は、エンジン云々ではなく魔力で動いているため、動力炉の位置が既存の機械とは異なるかもしれないが、それはそれ。
車体の中央をブチ抜かれれば、どちらにせよ機械が制御を失うのは必然だ。噴出する炎を止められず、イクシオンもまた炎に包まれて行く。もはや、彼のバイクは煌々と燃え上がる暴走弾丸。それでも、しつこく食い下がろうとするイクシオンだったが、ここに来て防戦一方だったエイレーネがついに反撃に出た。
「アテーナー様! 大神ゼウス様の姫神にして、勝利を齎す女神よ! どうかこの槍に、人々の敵を撃ち破る力をお与えください!」
信仰の力を光に変えて、エイレーネは槍先に宿した上で解き放つ。とめどなく溢れる光の奔流は黄金に輝く破壊光線と化し、動けないイクシオンをバイクごと盛大に飲み込んで行く。
「ぬ……ぬぉぉぉぉぉっ!!」
光の奔流に飲み込まれ、イクシオンが叫んだのが最後だった。
次の瞬間、凄まじい爆発音と共に、バイクが木っ端微塵に飛散した。その衝撃でイクシオンもまた吹っ飛ばされてしまい、真っ黒焦げの姿となって闘技場の床を転がる。ここまで深刻なダメージを受けたのであれば、もはや立ち上がる気力もあるまい。
「終わったか……。しかし、少しばかり勿体な……いや、なんでもない」
最後に、粉々になったバイクの残骸を見つめながら呟くエトヴァだったが、直ぐに視線を感じて言葉を切った。
あのバイク、亜人の物にしておくには少しばかり惜しい気がしたのは秘密である。どちらにせよ、人機一体のクロノオブジェクトであるが故に、イクシオンが倒される時は即ちバイクも死ぬ時だったのかもしれない。
斯くして、地下迷宮のバトルロワイアルは、途中乱入したディアボロス達の勝利となった。今回の戦いは色々な意味で濃い体験をすることになったようだが、それらも含めて大きく成長した者がいるのも確かであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1 【隔離眼】LV1が発生! 【防衛ライン】LV1が発生! 【書物解読】LV1が発生! 効果2 【命中アップ】がLV5(最大)になった! 【アヴォイド】がLV3になった!