虎を射るか夢見鳥(作者 蘇我真)
#大戦乱群蟲三国志
#虎牢関前哨戦
#虎牢関
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●堅牢城塞『虎牢関』
それは洛陽・長安を守る巨大な城塞だった。
荒涼な大地に建設された高さ100メートル、横幅は1キロという規格外の大きさ。
万里の長城を思わせるそれは全体が巨大な虎の姿を模している。
超巨大要塞の外壁、中央付近には高さ50メートルほどの虎の頭部が置かれている。
その頭部を守るように、あるいは互いににらみ合うようにトループス級の蟲将たちが立ち並んでいる。
魏呉蜀、三国の垣根を超えた顔ぶれが身じろぎもせず、直立不動で整列している。
その列は呉に属する弓兵達だ。緑色をした蝶の羽根を持った男達。普段はチャラく、酒場で好みの女性を見つけては腰の琵琶を奏でて口説こうとする者達も、今この時ばかりは眠ったように立ち尽くしていた。それは夢を見る鳥、胡蝶のようだ。
彼らは立ったまま夢を見る。手にした弓から矢を放つ、そのときが来るまで。
●戦力を削れ
「6日連続虎牢関、これは関羽千里行になぞらえてカマル六虎牢と呼ぶのはどうだろう?」
カマル・サディーク(人間の王墓守護者・g03220)の提案は無視された。
「はぁ……意味わかんないよな。わかってる、言ってみただけ。それより早速いつもの始めるぞ」
カマルはタブレットを操作すると音声データを再生する。電子音と共に聞き慣れた恒例の説明が流れてきた。
『ディアボロスが援軍を潰しまくった結果、魏は荊州の更に北側にある『宛城』まで撤退した。おかげで洛陽・長安方面まで足を延ばせるようになったんだけど、そこに行くには今説明した【虎牢関】って城塞を抜かなきゃいけない』
この大戦乱群蟲三国志の虎牢関は、史実の虎牢関に比べても更に強大であり、その前面には無数の蟲将がひしめいている。密かに侵入して突破するという事は不可能だろう。
『そういうわけで、まずは短期決戦、一気に虎牢関全面の蟲将たちを攻撃して戦力を削ることになった』
なんでもカマルが見た予兆では、虎牢関の蟲将たちは機能を停止したように動かないらしい。ディアボロス達は先制攻撃を行えるだろう。
『ま、流石に向こうもある程度近づかれたり、攻撃されたら動き出すだろうから最初から全力の攻撃をぶっ放すといいと思う』
敵は動き始めたら当然迎撃を行ってくる。それに加えて周りの蟲将たちも援軍として集結してくるだろう。時間が経てば経つほど戦況は不利になる。
『ある程度倒せたな、と思ったら無理をせず撤退してほしい。いつの間にか囲まれていたとか、まさに悪夢だからな……』
だが、逆に言えば引き際さえ間違えなければディアボロスが優位に戦いを進めることができるはずだ。
「……あ、終わった? いやさほら、同じ依頼なのに毎回言う事微妙に違ってたらディアボロスの皆も混乱しちゃうかもと思って」
ついに半分手抜きに思える録音まで始めたカマルだが、戦うべき相手が違うところは流石に口頭で説明するようだ。
「今回、みんなに担当してもらいたい敵は呉軍弓奏兵、蝶のトループス級だな。甘いマスクと腰の琵琶の演奏、それともちろん弓が得意な相手だ」
火矢の斉射や琵琶を演奏しての射掛け、戦場をひらひらと舞い飛ぶ様はまさに蝶のようだろう。しかも今回は大軍、数が多い。弓は弾幕となり滝のように降り注ぐに違いない。
「遠距離から弓矢対策をするか、そもそも奇襲できるんだから懐に潜りこんで近距離で殴り続けるか。戦い方は色々ありそうだ。やりたいことをやってみるといいんじゃないか」
ディアボロス達なら問題なく戦力を削ってくれるだろう。カマルはそう確信し、頭を下げるのだった。
リプレイ
ユリア・ドライツェン
兵器である、火砲として参加。
システム、戦闘モードに移行します。
懸架用フレームにぶら下がった通常状態から、伏臥姿勢に移行。
生身の手足が地面に付いたら積層複合装甲大楯を地面に突き立てて砲撃姿勢で固定。
【精神集中】【偵察】【毒使い】を用いて【フェクターカノーネ】での砲撃を開始。
【偵察】で狙撃用投影機に周辺の敵勢力を投影して随時確認。
【戦闘知識】で間もなく敵兵が味方前衛を包囲出来ると判断したら弓兵に【制圧射撃】を行いながら上空に向かって時限信管にした榴弾を射出。撤退の合図にします。
機動性の乏しい本機が撤退戦の足手まといになるのは分かっているので、友軍機の撤退を支援しつつ、早々に離脱行動に入ります。
ユラン・ジォルトゥイ
説明が雑になってきてるね……憐れなのは、千切っては投げ千切っては投げされる兵たちかなー。
まぁ、僕もそこに加わるんだけれども。
遠距離攻撃されると、取れる手段が限られるんだよね。
それも弾幕と来た。
「じゃ、こうするのが正解かな」
使っている巨刃を四枚防御に回して、残った四枚をひたすら【八逆而禍擶】で連射連射っと。
矢に対しては質量ではまず負けないだろうし、敵位置までは問題なく届くはず。
あとは、回避に合わせて臨機応変に念動力で調整っと。
当然、敵位置の情報収集は怠らず、退路を失わないように常に移動。
引き際が来たら八枚全部迎撃防御に回して、さっさと逃げよう。
後は余裕があれば、味方の援護が出来れば上々、かな?
ディゼラータ・ネイディアラ
アドリブ歓迎
何だか、戦況が進んだようだが…流石にそう易々と進行させては貰えないようだな…だが、良い…一先ず、現場まで出てしまえば、目についたクロノヴェーダ共を叩き潰しに行けばいいんだろう…
何、数を減らせば其れだけで意味もあるだろう…
先ずは惨刃に・呪詛を纏わせ、守勢寄りに構え、距離を取ったまま吹雪や雷撃を連続で叩き込んでいって(氷雪使い・風使い・連続魔法・電撃使い・高速詠唱)
そのまま適当なところで「奈落因り」を発動してから撤退開始
氷壁と強風(吹き飛ばし)を背後へと連続展開しながら帰る
リト・ハリーリー
矢が飛んでくるって、地上だけじゃなく上空にも気をつけるよ。
リトは援護かな。忍び足して情報収集、敵さんの動きを仲間に伝えるの。※連携歓迎
遠距離が多いし、陽動や誘導にスフィンクス『マウ』(全長100cm程)が空を翔るよ。
追撃で残党をパラドクス<クロークラッシャー>で援護撃破落してもいいかもなの。
あっち。そこに隙。こっちが少ないよ。そこ危ないの。そろそろ撤退しないといけないの。
戦いは上手くできないから、見極めは難しいかもしれないけど…撤退の合図には素直に従うよ。
カドレクス・フェニカルス
多いな……いや本当に多いな。
よろしい、今回も削りに削り倒してしまおう。
放つ相手は多くとも、狙う先が我々と決まっていれば造作もない。
俺を誰だと思っている。
押し込みたくば──火竜の息吹でも持ってくるのだな。
伝承詩の如くに舞う様見事、だが俺が上を行く。何故かわかるか?
俺が伝説を紡ぐ側ということだ。
氷嵐による矢の妨害、防御を意識。
白水・蛍
連携、アドリブ歓迎
心情
「大勢の敵であったとしても恐れる事はございません。敵は倒す。それだけの事ですわ」
戦闘方法
敵に先んじてパラドクスを使用します。複数の敵を一斉に薙ぎ払います。
その後は≪ブレイドハープ≫を使用し、【演奏】をしつつ、音の魔力で攻撃したり、音の魔力で動く≪刀琴弦≫で敵を攻撃したり、音の力で【衝撃波】で近くの敵達を吹っ飛ばしたりして敵を減らしていきましょう。
弓矢は音の魔力で相殺したり、≪ブレイドハープ≫で叩き落としたりでなんとかなるでしょうか。
伝説を紡ぐのが私の歌。この戦もその一編になる事でしょう。
柳谷・凪
絡み・アドリブ歓迎
むぅ、倒しても倒しても敵の数が減ってる気がしないんだよ。前哨戦なのにまだまだ時間が掛かりそうだにゃぁ。奇襲出来る内に目一杯削って早く攻略しないとだよ。
前哨戦、敵トループ相手に大立ち回りの無双をするのだ。
神への生命賛歌に由来する古式の奉納演舞を煽情的で妖艶に改編した演舞を行い、戦場の敵を魅了しつつ味方を鼓舞し士気を爆発的に高めるんだよ。魅了した敵は斬鋼糸【阿羅倶禰】で斬り刻んでいくんだよ。雑兵なんかに舞踏で負けるわけにはいかないんだよ。
残りHP3割まで減ったら撤退するんだよ。
「後どれだけ屍山血河を築けば虎牢関に届くのかなぁ」
ココ・ジスカールアンベル
■外見
笑顔(糸目)のシスター
■性質
肉食昆虫の本質に、人間の血肉でかろうじて蓋がされたインセクティア。
敵と敵以外、肉と肉以外というような識別しかしていません。
言動は幻覚が見えてる系の狂信者。
■行動
敵の視界に、唐突に現れます。
「…地山に貴方がたの肉を打ち捨て…谷を貴方がたの腐肉で埋め尽くす…」
糸目の笑顔のまま、肉食昆虫のような所作で、パラドクス【腐肉に集るもの(カリオン・ラバー)】を放ち続けます。
敵に弓を射かけられても、防御や回避を行う素振りを全く見せず、気にせず攻撃を続けます。
「…我が主の御言葉のみが私を射る矢…」
攻撃後、次の獲物を求め、幽鬼のように去っていきます。
■その他
アドリブや連携歓迎です
●虎を射るか夢見鳥
「多分半分ぐらいは削ったと思うんだけどねぇ」
柳谷・凪(お気楽極楽あーぱー娘・g00667)は晴朗快晴なれどもやや向かい風の吹く虎牢関を遠目に眺める。
そこに配置された戦力、残りはいかほどか。
「倒しても倒しても、敵の数が減ってる気がしないんだよ」
「多いな……いや本当に多いな」
「何だか他方では戦況が進んだようだが……こちらは流石にそう易々と進行させては貰えないようだな……」
複数回、この虎牢関攻めに参加しているカドレクス・フェニカルス(ベドグレインの魔人・g03110)、ディゼラータ・ネイディアラ(揺らめく星を喰らうモノ・g00054)も同じような感想を漏らしていた。
「大勢の敵であったとしても恐れる事はございません。敵は倒す。それだけの事ですわ」
白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)の言葉にカドレクス達はうなずく。もちろんできるかぎりのことはやる。
「うむ……今回も削りに削り倒すとしよう」
「ああ、目についたクロノヴェーダ共を叩き潰す。数を減らせば其れだけで意味もあるだろう……」
連戦で落ち気味も士気が上がっていく。蛍の凛とした宣言のおかげもあるだろう。
「でも今回は、面白い戦いになりそうだね」
ユラン・ジォルトゥイ(応・g01640)は身の丈ほどもある巨大な刃の手入れをしながら話題を広げていく。
「みんな遠くから攻撃するんでしょ?」
特に事前のパラドクストレイン内での打ち合わせで足並みを揃えたわけではない。だが、示し合わせたように皆が遠距離からの攻撃を選択していた。
「私は兵器。火砲として動くのみ」
「……」
訥々と宣言するユリア・ドライツェン(十三番目の渡烏・g05181)の横でココ・ジスカールアンベル(甜血の蟲籠・g04970)は目を細め、微笑みを湛えている。表情に違いはあるが、血が通っていない、人間らしくないという点においてふたりから受ける印象は奇妙に似通っていた。
「一応マウは肉弾戦だけどね……地上だけじゃなくて上空にも気を付けていこうね」
リト・ハリーリー(守護者と巫子・g05408)は自らが連れたスフィンクスへ声をかける。マウと呼ばれたスフィンクスは渋い声でマウーと鳴いた。
準備を終え、ディアボロス達がそれぞれ自らが最大限の成果を引き出せると考えた配置につく。
虎牢関に、射撃戦の幕が開けようとしていた。
口火を切ったのは蛍と凪だった。
戦場に響き渡る進軍ラッパの代わりに滔々と歌い上げる。
「皆様と描く未来への希望。言の葉にて綴りましょう」
流れる蛍の歌声に合わせて、舞を披露する凪。
「神様だって虜にしちゃうんだよ」
ときに軽やかに、ときに艶やかに。前方、敵がその舞をはっきりと視認できる距離かは怪しいが、少なくとも戦場の味方を鼓舞し、士気を爆発的に高める効果は発揮される。
(「伝説を紡ぐのが私の歌。この戦もその一編になる事でしょう」)
戦勝を祝う喜びの歌。敵も舞と歌による音波攻撃を受けたことで接近に気づいたようだ。
「この声、マジでイケてんじゃん」
「マブいチャンネーたち、戦場じゃなきゃソッコーで口説きにいってたってのに」
チャラい、すかした弓兵達は奇襲に慌てふためきながらも弓に矢を番え、即座に迎撃の準備を整えていく。虎牢関に配置されただけあってか、敵もなかなかの精兵だ。
アップテンポな凱歌を聞きながら、ユリアは虎牢関の小高い丘に伏せる。
戦場において高低差は勝敗を分ける重要なファクターだ。丘の高さはそれほどないが、退けば敵の攻撃を防ぐ天然の盾となるし、高射でこちらの砲撃距離を延ばすこともできる。
「システム、戦闘モードに移行」
呟いて伏臥姿勢を取り、積層複合装甲大楯を大地に突き立てる。砲塔を置き、固定する。
「アルエネルギェツンゲンファーバンデン。ファザークウントステイゲイゼンゲシュペート。イネンカマードルクステイトノマルアン」
照準を合わせる。目標は敵弓兵の密集ポイント。
「フォイアー」
銃口前で小さな金属片が回転する。余剰エネルギーが拡散し、反動で大楯が揺れる。火弾が放物線を描く。着弾。
轟音と共に巨大な雲が立ち上る。重水素の反応にも似た大爆発。
「着弾確認。次弾装填」
影すら残さず滅ぼしつくすパラドクスの弾丸の威力を目の当たりにしても、ユリアは何の感慨も示さず与えた損害の計算を行っていく。
「な、なんだ今の……妖術か?」
着弾点からやや外れた地点、命からがら逃げ伸びた弓兵たちは更なる苦難に遭遇する。
「地山に貴方がたの肉を打ち捨て……」
それは、人災よりも天災に似ていた。
「敵だ!」「いつの間に……!」
ココの存在に気づき、琵琶を奏でようとする弓兵達。だが、その手は弦をかき鳴らすことはない。
「谷を貴方がたの腐肉で埋め尽くす……」
ニコニコとした笑顔を崩さずに、ただココはそこにいる。それだけなのに、彼女の全身から放たれる黒い毒性の腐食霧が弓兵達を蝕んでいく。
生き物は自然現象には勝てない。身を隠して嵐をやり過ごすことはできても、嵐自体を消すことはできない。
「あ……」「が……」
口々にうめき声を上げながら、その場にくずおれていく弓兵達。苦し紛れの一射が力なく、しかし鮮やかな軌道を描いてココの頭部へと迫る。
矢がココの銀糸の髪、その先端を僅かに千切り、頬を掠めて通り過ぎていく。
「……我が主の御言葉のみが私を射る矢……」
それでもココが柔和な表情を崩すことはない。うつぶせに倒れた弓兵達はココの頬から流れる体液を見上げることすらできない。ただ、彼女の修道服、長い裾の下から広がる鈍色の腐食痕を眺めながら意識を手放していく。
だから、きっと彼女は天災だった。
「怯むんじゃねえ! 我らが偉大な歴史が負けたりはしねぇぞ!」
別方面では、チャラい弓兵の中でも気概のある者が鼓舞するように樂志伝承を奏で始める。
士気を上げての華麗なる一斉射撃。反撃とばかりに矢の雨を降らす。
空を一時の間覆いつくす黒い影。全てが弓兵達の繰り出したものだ。
「黒が8、青が2って感じか……じゃ、こうするのが正解かな」
ユランはメンテナンスしていた巨大な刃をパラドクスで8枚に増やす。そのうち4枚を防御に回し、風車のように前面上空で高速回転させる。
巻き起こる旋風、巨大な質量によるガードで到達する矢雨を防ぎつつ、残った4枚を投射する。
「うおっ!?」「なんだこいつぁ!?」
ギロチンのように、空から降り注ぐ巨大な刃。矢ではとても落とせない鋭利な鋼鉄に逃げ惑う弓兵達。
「量よりも質だよ、っと」
ユランの反撃に敵わないと感じた弓兵達は転進し、増援部隊と合流して反撃しようとする。
「そう上手く合流が叶うと思わないことだ……」
それを阻止するのはディゼラータとカドレクスだ。
「Nihil est miserum nisi cum putes」
突如吹き荒れる暴風。ディゼラータの奈落因り吹く風だ。
真空の刃は肉体だけでなく精神までも蝕んでいく。しかもその風はココの腐肉に集るもの――例の黒い毒霧――の残り香を多分に含んでいる。
「成程成程、死を呼ぶ風という訳か。あれを防ぐのには火竜の息吹で霧を焼き飛ばすくらいしなくてはいけないだろうな」
趨勢を見守りながらカドレクスは豪語する。
「俺を押し込みたいならば、あれくらいの計略を弄して見せるのだな」
著しい傷を負いながらも、弓兵達は合流し、気勢を上げる。
彼らが死という天命を悟りながらも、抗おうとする。
「見事だ。その黄金の精神、さながら伝承詩の英雄のようだ」
カドレクスはその生き様、命の輝きを素直に評する。だが、ただ評するだけではない。
「だが、俺が上を行く。何故かわかるか?」
矢を放つ相手は多くとも、狙う先がカドレクス達だと分かっていれば対処法はいくらでもある。
「俺が紡ぐ側ということだ」
アイスエイジブリザード。吹雪が矢も弓兵も大地も、全てを凍てつかせていく。
凍った大地に一人たたずみ、凍り付いた矢が勢いを失い彼の前に力なくぽとりと落ちていく。
彼は『さながら』ではなく、本物の伝承詩の英雄だった。
「マウ、気を付けてね!」
そんな弓矢やら毒霧やら砲撃やら巨大な刃やら吹雪やらが行き交う戦場の上空、リトはマウのサポートで精一杯だった。
「そこ危ないの、あっち!」
味方のパラドクスに巻き込まれない場所を探し、指示する。それはマウのフレンドリーファイアを防ぐと同時に、敵弓兵が多く残っているポイントへの攻撃指示ともなる。
マウは翼をはためかせ器用にパラドクスや矢を避け、急降下。爪を伸ばした前脚を振り落ろして攻撃する。
「なんだあのにゃんこ! マジつえーんだけど……」
猫の姿で侮った弓兵達は、その攻撃に己の過信をほどなく後悔することになる。
虎に翼という慣用句が、今のマウを端的に表していた。
「ジャンプ!」
リトの声に反応し、軽やかに上空へと舞い上がる。数秒前マウがいた大地に矢が何本も突き刺さっていく。
「よっし、そこに隙。噛みついちゃうの!」
「マウー!」
大きく口を開け、渋い声で鳴くと弓兵の首筋に噛みついていく。マウにとっての『虎に翼』は自らの翼ではなく、リトのサポートのことを示すのだろう。
奇襲と砲撃の質で最初はパラドクスが押していたが、徐々に矢の数が増え始める。矢が多く、リトとマウはとても飛んでいられなくなった。
「そろそろ、撤退しましょうか」
蛍はブレイドハープを振る。甲高い音と共に、数本の矢が叩き落されていく。
「そうだね。後どれだけ屍山血河を築けば虎牢関に届くのかなぁ」
凪も瑞々しい珠の肌に随分と矢傷を作っている。引き際を見極めて、撤退の歌を合図とする。
「了解。帰投します」
ユリアは砲撃姿勢を解除し、懸架用フレームへとぶら下がる。その間に降り注ぐ矢はユランの巨大な刃が傘となって防いでいる。
引き際も奇襲と同じく鮮やかに。ディアボロス達の一斉砲撃は敵の弓兵、援軍を含めて三陣までを壊滅させる成果を得たのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV2が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!