リプレイ
野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎
救出、と言っても西宮神社のヒルコたちにそう思っては貰えないのでしょうね。
事実はどうであれ『豊臣秀吉』は恩人、ヒルコたちにとってはそれが真実。
役に立って恩返しがしたいという気持ちは理解できます、それでも儀式の犠牲となると知っていながら黙ってはいられないのです。
【平穏結界】で異常を察知されないようにしながら西宮神社の内部に潜入します。
戦闘をせざるを得ない時はヒルコに接触するために避けて通れない警備の者だけを倒して進みましょう。
周囲に他の天魔武者がいないことを確認し【平穏結界】内で出来るだけ短時間で仕留めるつもりで戦います。
使う刀は《飛妖刀『霊花』》、パラドクスで分裂した『霊花』と私自身も分裂させた『霊花』の本体を手に飛び込み包囲・奇襲を試みます。
距離を一気に詰め『坊官衆』には錫杖による近接戦闘を強いることにします、ビームなどを撃たれては【平穏結界】の外に気づかれてしまうかもしれません。
出来るだけ静かに、そして速やかに突破しましょう。
(「施設を『坊官衆』が警備しているのは以前と変わらず……ですか」)
松の木の影に身体を滑り込ませ、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は境内の様子を窺う。時折坊官衆の巡回はあるが、神依木に玉垣、灯篭――幸い遮蔽物は多い。【平穏結界】の助けもあり、今の所は交戦せずに済んでいる。
(「あれは」)
一見すると、ごく普通の少女。ヒルコだ。掃除用具を手に、坊官衆と話している。裕樹は音を立てる可能性がある参道の玉砂利を避けつつ、接近する。
「清掃終わりました!」
「ご苦労。戻るのか?」
「はい、この後は他の子とお勉強です」
「そうか、たくさん励むといい」
「はい!」
裕樹はヒルコを見送る坊官衆をやり過ごし、ヒルコが入っていった建物へと侵入した。素早く視線を巡らせ、死角となる廊下や調度品の類を見極める。
(「坊官衆とのやり取りを見る限り、悪い扱いはされていないようですね」)
だからこそ、『豊臣秀吉』が恩人であるというヒルコの認識は揺るがない。
(「事実がどうであれ、ヒルコたちにとってはそれが真実。……それでも」)
彼らの秀吉に対する恩を返したいという気持ちは承知しているが、犠牲になる未来を許容するなど到底できやしない。決意を胸に裕樹が屋内の探索を続けていると、通路の先に坊官衆の姿を認めた。しばし観察したが移動する様子はなく、常駐警備のようだ。倒しておかねば、脱出時の障害となりうる。
(「周囲に他の天魔武者は――居ないようですね」)
妖気を纏い裕樹の下を発った飛妖刀『霊花』が分裂し、坊官衆を左右から同時に襲う。回転する卍型の剣は、刀剣というより四方手裏剣に似ていた。音もなく飛来するそれに、坊官衆が気付く。
「敵襲か!」
視認も困難な刃を錫杖で叩き落とし、坊官衆は任を全うしようと大声を上げ――ようとした所で、首に突き立てられた刃によって遮られた。挟撃に気を取られた隙に懐へと飛び込んだ、裕樹の『霊花』本体による突きだった。
手早く片付けた坊官衆の亡骸を近くの空き部屋に隠し、裕樹が顔を上げる。
(「あちらのようですね」)
短い戦闘の間にも、坊官衆が気に掛けるように向けた視線の方向を、裕樹は見逃さなかった。目星をつけ、先に進む。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
ブレロー・ヴェール
ヒルコ達には悪いけど、天魔武者の元に居ては遅かれ早かれ生贄にされてしまうからね。多少強引にでも確保しないと。
僕の方は先ず雑木林の安全を確保するとしようか。
【トラップ生成】で怪しい動きをするデコイを設置して連中の目を集めてその隙に一人ずつ静かに処理していく作戦で行こうと思う。
出来るだけ姿を見せずに被害を出していく事で敵の動揺や混乱を煽るようにするよ。処理した敵をわざと目立つように吊るしておくのも良いかもしれないね。
六甲山を発着するパラドクストレインを見送り、ブレロー・ヴェール(Misère tue à l'abattoir・g05009)は拠点と西宮神社の位置関係を確認する。
(「ヒルコを連れ出すだけだと、ここが露見する可能性が高そうだ」)
豊臣陣営の警戒が六甲山まで及べば、ここの維持は難しくなるだろう。
「僕の方は先ず雑木林の安全を確保するとしようか」
先行したディアボロスはヒルコの保護に向かったらしい。円滑な任務遂行の為、ブレローは地の利が敵にある雑木林に単身乗り込んだ。
指定されたルートは欅に楡、植物の知識に長けたブレローの目にも特異な植生は無く、鬱蒼とした森だった。
(「夏緑の広葉樹が多いかな。隠れるにはうってつけな場所だね」)
青々とした葉が高い密度で茂り、暗緑の天魔武者を探し出すだけでも骨が折れる。狙撃手に先手を取られるのは避けたいが――、ふと悪戯を思いついた子供のように、口の端を上げる。
連中の目を集める先を、作ればいい。【トラップ生成】を発動させたブレローが作ったのは、バルーン式のデコイだった。がさりと音を立てて茂みから膨れ上がった得体のしれない人型は、すぐに『武田静林隊』の狙撃によって破裂する。
(「あのデコイを認識出来る距離で、僕が身を隠すなら――」)
こういったトラップは時として敵に警戒を促す事にも繋がるが、この機を逃すようなへまはしない。ブレローは武者を発見するなり背後から首に鋼糸を掛け、一息に引いた。人体と異なるとはいえ、頚椎への負荷が大きい。肩部の突起で反撃を試みるも、ブレローの肩口を掠めるに留まった。
「敵襲……か?」
所定の位置に仲間が居ない事に気付いたか、動き始めた武者が居た。その進路を見極め、ブレローは罠を作動させる。だらりと木から垂れ下がる――武田静林隊の亡骸。
「なっ……!」
仲間の変わり果てた姿に気を取られた瞬間、ワイヤーが彼の動きを封じた。視界の隅に捉えたブレローに対し罵倒を口にするも、当の本には何処吹く風だ。
「好きに言うといいさ。すぐ、静かになるからね」
ブレローは辺りに響かぬよう鋼糸を小さく弾き、その音に耳を傾ける。次の獲物はどんな音がするのだろう。
(「ヒルコ達には悪いけど、天魔武者の元に居ては遅かれ早かれ生贄にされてしまうからね」)
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
文月・雪人
※アドリブ・連携歓迎
秀吉の為に犠牲となる事、それはヒルコ達の望みでもあるのだろう。
だがそんな事、叶えさせる訳にはいかないから。
分かって貰えなくともいい、
ヒルコ達の命を護りたいのだと、
その揺るがぬ覚悟を胸に作戦を遂行していこう。
今回は既に裕樹が先行してくれているね。
何度目かの潜入だ、内部の構造も凡そ把握しているが、
敵地である事に変わりはない。
少人数ずつしかヒルコ達を連れて行けないのはもどかしいけれど、
全員を助けたいからこそ、今は焦りは禁物だ。
【平穏結界】を重ねた隠密行動で、敵に気付かれる可能性を更に下げつつ、
救援機動力も活用して、油断なく潜入し、ヒルコ達の所へと向かう。
敵がいる時は物陰に潜んでやり過ごし、戦闘は極力避けたい。
それでも突破に必要な時は、
単独か少人数の敵を不意打ちで狙い、
他の敵に見つかり騒ぎとなる前に、一気に倒して先へと進む。
戦闘時は『不動降魔印』のパラドクス使用。
印を素早く結び【ダメージアップ】な攻撃を重ね、
反撃のビームもパラドクスの神気で相殺しつつ、静かに速やかに敵を倒す。
巡回の『坊官衆』が通り過ぎるのを見送り、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は静かに築地塀を越える。新宿の資料によれば、本来の歴史では重要文化財であったか。雪人には境内を囲繞するように聳えるそれが、ヒルコを守る為の、そしてヒルコを逃がさぬ為の檻に見えた。
(「秀吉の為に犠牲となる事、それはヒルコ達の望みでもあるのだろう」)
だが、叶えさせるわけにはいかない。秀吉の目論見を阻止したい復讐者としても、ただ彼らが資源として消費されてしまうような生を送って欲しくない雪人個人としても。
(「分かって貰えなくともいい」)
ヒルコ達の命を護りたい。エゴであろうと、譲れない覚悟。目当ての建物を見つめる雪人の視線は揺るがない。警備の目が無い事を確認し、静かに地面を蹴る。
(「今回は既に裕樹が先行してくれているから、スムーズに潜り込めたね」)
常駐警備の坊官衆は彼女が上手く処理してくれたのだろう。救援機動力で辿るように進めば、順調にヒルコが滞在しているであろう部屋に近付いていく。雪人自身、この一件に関わるのは初めてではなく、随分と手慣れたものだ。
(「……少人数ずつしかヒルコ達を連れて行けないのはもどかしいけれど」)
焦りは禁物だと自身に言い聞かせ、回廊の柱の陰で様子を窺う。――近付いてくる、足音が一つ。
(「俺はやり過ごす事も出来る……けれど」)
恐らく巡回中の坊官衆だろう。常駐警備の不在を怪しまれる可能性や、向かう先が裕樹の居る方向である事を考慮し、交戦を決める。
(「――今!」)
敵が【平穏結界】の効果範囲内に入ると同時に触地の密印を形作り、神気を放つ。天魔武者を調伏せんとする神気の気配を察した坊官衆の掌で、宝珠が赤く輝いた。
「仏敵か。貴様は慈悲を知るべきだ」
「侵略者の説く慈悲か、興味深いね。でもそういうのは間に合ってるよ」
降魔の光と慈悲を謳う光線は幾度かの攻防の末、神気が押し切った。
「濁世に塗れた人間風情が……ッ」
倒れた坊官衆を人目につかぬよう隠し、雪人は先に進む。警備の気配はない。今ならば、ヒルコに騒がれない限りは問題なく連れ出せるだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【平穏結界】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
マティアス・シュトローマー
恩に報いたいというヒルコ達の気持ちは理解出来るけど、その先に輝かしい未来があるとはとても――いや、彼らはそれを分かった上で志願しているのかもしれないね
救出には仲間が向かってくれている
なら、俺はここで後顧の憂いを断っておこう
まずは【パラドクス通信】で仲間と連絡を取り、敵の数や位置、地形の詳細を把握
次に【光学迷彩】の効果を借りて身を隠しながら現場に駆け付け、先行している仲間が生み出した混乱に乗じてパラドクスを発動。具現化した雷を敵部隊に向かって落とし麻痺を伴うダメージを与える
命中アップの効果を活用しながらクリティカルを狙い、動きを封じる事でこちらが反撃に対応するまでの時間を稼ぎたい
雷が鳴ったら木の側からは離れないと――ま、離れても命中するんだけど
やるね、狙撃手なのに近接戦闘もイケるんだ
反撃は装備したライオットシールドで往なし、受けるダメージの軽減を試みる。ワイヤーが撃ち込まれた先を確認し、攻撃の軌道を読めば致命傷を負う事も防げるだろうか
この場を預かっている指揮官様にもそろそろ会えるかな?
クィト・メリトモナカアイス
人は生きて、そして死ぬもの。
決して永遠に生きたり蘇ったりはせぬ。それでも人は死を恐れて永遠を望む。
他にも。
例えば誰かのために死ねるのだと。そう思うことで死の恐れから救われる道もあるのかもしれぬ。
それはそれとして。我的に生贄は好きくない。
雑木林の見通しの悪さをこっちも利用しよう。
【光学迷彩】で木々に紛れ、他の復讐者が作り出した混乱の隙に忍び寄り、一体ずつ順に黄金猫拳打棒で殴り倒す「喧騒へ捧ぐ宵の峰」。
離れた敵、陣形の外側にいる敵、他の復讐者を攻撃しようとしている敵。そんなのを狙って、存在を知られぬように攻撃していく。
【パラドクス通信】があれば仲間と連携を取り、敵の隠れている場所を教え合って正面からではなく死角からお互いが攻撃できるように。
ワイヤー攻撃は木を障害物として利用して敵が攻撃しづらいようにしつつ、こっちに飛んでくるものは黄金猫拳打棒でガード。
巻き取られたらそのまま逆らわずに相手の方へジャンプで跳び、黄金猫拳打棒で殴り倒す。
んむー、お掃除完了……にはもうちょっとかかりそう。
「こちらディアボロス、マティアス。現着。聞こえてるかな?」
ヒルコ救出には既に仲間が向かっている。ならば自分は後顧の憂いを断つべきだと、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は先行していたディアボロスに【パラドクス通信】で到着を伝えた。通信機からは『良い所に来てくれたね』と歓迎する仲間の声。曰く、『武田静林隊』の何体かが離脱しようとしていると。状況的に考えれば混乱した鉄砲隊の立て直しを図り指揮官を呼ぶつもりだろうが、万が一にも雑木林の外に出られては厄介だ。マティアスは戦況を把握するなり、敵を捕捉すべく耳を澄ます。微かに聞こえた、ワイヤーの射出音。
木陰に【光学迷彩】で潜んでいた彼は、木から木へと飛び移る武者を視界に入れるなり、指を弾いた。生じた青白い光は瞬時に枝葉を伸ばし、疾駆する武田静林隊へと奔る。
「ここにも居たか、ディアボロス……ッ」
武者達は雷に打たれ、初めてマティアスを視認する。――雷が鳴ったら木の側からは離れないと。軽口を叩く青年に、武者たちは瞬時に進路変更した。ワイヤーアクションさながらの動きをポリカーボネート一枚隔てて眺め、マティアスは感心したように顔を綻ばせる。
「やるね、狙撃手なのに近接戦闘もイケるんだ」
「でも、陽動に釣られてる」
跳躍した武者とマティアスの間を割って入るように、黄金の柄が突き出された。武者からしてみれば、突然目の前に棒が生じたように見えたかもしれない。音も無く敵の懐へと飛び込んだクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、そのまま『黄金猫拳打棒』を振るった。首を強かに打たれた武者が、地面に落ちていく。
「ん。我を見ること能わず」
武者の一体を屠ったクィトは身を隠せる藪へと着地し、茂みの合間から次の獲物へと狙いを定めた。再度発されたマティアスの稲光に気を取られた武者は、強烈な光の陰に溶け込む彼女を捉え損ねている。
「この場を預かっている指揮官様にもそろそろ会えるかな?」
「否。まだ居る」
閃光を観測したと思しき、敵の増援。神社に囲ったヒルコが余程大事らしい。大切な大切な、――生贄。
「……恩に報いたいというヒルコ達の気持ちは理解出来るけど、その先に輝かしい未来があるとはとても――いや、彼らはそれを分かった上で志願しているのかもしれないね」
マティアスは複数の反撃を受けるも、どれも致命傷には至らない。クィトは敵の死角を駆け、間隙を補うように稲妻走る戦場で槌を振るい、着実に敵を仕留めていく。
「そう思うことで死の恐れから救われる道もあるのかもしれぬ」
クィトは話す。人は生きて、そして死ぬもの。決して永遠に生きたり蘇ったりはせぬ、と。それでも人は死を恐れて永遠を望む、――と。
飛来打突。漸くクィトを捉えた武者のワイヤーが、得物を振り下ろす彼女を襲う。だが自由落下する彼女を止める事は叶わず、クィトは勢いのままに武器を叩きつけた。頭部を潰された武者が、仰向けに倒れる。
「それはそれとして。我的に生贄は好きくない」
「それには俺も同意するよ」
恩人の為という大義名分。けれど秀吉の為の死が永遠に匹敵するようなものには思えなかった。所詮はクロノヴェーダだ、彼らの命も資源としてしか見ていない。ヒルコ達の望みに反しようと、むざむざ殺させてなるものか。そう心に決めているディアボロス達は、武者を容赦なく屠っていく。
幾度となく閃く雷。叩き込まれる鈍器。密やかに進められていた戦闘は武田静林隊の総力戦へと移行していくが、蓄積してゆく麻痺が彼らを追い詰めていく。
ばちりと雷が爆ぜて、糸が切れた人形のように甲冑姿が頽れた。同時期、ブレローより『こちらは片付いた』との通信が入った。
「あらかた片付いたかな」
視界内に敵は居ない。だというのに彼らは肌にひりつくような緊張を覚えた。彼らの指揮官、臨戦態勢の『『千里穿楊』筧十蔵』の気配を感じた。仕掛けてこないのはこちらをまだ視認出来ていないのか、彼の戦闘スタイルに因るものか。
「んむー、お掃除完了……にはもうちょっとかかりそう」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
手荒な真似は避けたいという裕樹の気持ちは良く分かる
俺もまた同じ気持ちだからね
ヒルコ達を騙す事にはなるけれど、それでも
彼らの命を護るために作戦を実行しよう
天魔武者の様な甲冑と仮面を付けて、秀吉軍の紋の入った陣笠を被り
豊臣秀吉の配下を装ってヒルコ達と接触
裕樹の作戦に合わせて【プラチナチケット】を使いつつ
【友達催眠】でヒルコ達の警戒心を解き
ヒルコ達の反応を見ながら臨機応変にフォローする
自分達が秀吉の命に従ってここへ来た事を伝えて安心させつつ
徳川家康の手勢が、ヒルコ達の身柄を奪おうと西宮神社へ向かって来ており
皆の安全を確保する為に、急ぎ避難する必要がある事を伝えて
隠密行動で一緒に避難してくれるよう説得する
既に多くのヒルコ達が隠れ場所へと向かっている事も伝えて安心させ
もう他に残っているヒルコ達がいないかも、念のため確認しておきたい
これも秀吉様の作戦です、お任せして下さって大丈夫
知らない場所へ行く事は心細いかもしれませんが
皆さんが無事でいる事こそが、秀吉様への恩返しにもなりましょう
野本・裕樹
ヒルコたちにとって輝かしい未来かはわかりません、ですが未来そのものが閉ざされることだけは。
心苦しくはありますが、せめて手荒な真似は避けたいと思います。
【プラチナチケット】で『豊臣秀吉』の関係者として振舞います。
お勤めご苦労様ですと声を掛けつつ、『豊臣秀吉』の下からの密使として西宮神社へ来たと説明しましょう。
目的はヒルコたちを西宮神社から秘密裏に避難誘導すること、と知らせます。
『豊臣秀吉』の政敵である『徳川家康』が西宮神社に保護されたヒルコたちを攫おうとしているため、『豊臣秀吉』はヒルコたちを事前に安全な場所へ逃がしたいと考えていると伝えましょう。
秘密裏である理由は敵を騙すなら味方からだと説明して納得してもらえるでしょうか。
敵も味方もヒルコたちが西宮神社に居ると思っていればそれだけヒルコたちが安全になる、という『豊臣秀吉』からの心遣いと。
これで隠密行動にも賛同していただけると良いのですが。
「足手纏いということではないのです、この先憂いなく戦って貰うための奉公だと思って欲しいです」
社務所へと続く襖の前で、深呼吸を一つ。視線は引手の一点に向けたまま、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)が口を開いた。
「……ヒルコたちにとって輝かしい未来かはわかりません、ですが」
未来そのものが閉ざされることだけは。彼女が抱いたであろう葛藤を思い、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は仮面の下で微かに笑んだ。
「裕樹の気持ちは良く分かるよ。俺も同じ気持ちだからね」
手荒な真似はしたくない。不確実な説得に割ける時間的余裕も無い。詰まるところ取り得る選択肢は彼らを『騙す』しかなく、根が誠実な二人は少なからず罪悪感に駆られていた。
「それでも」
彼らの命を護るために。雪人の言葉に裕樹はしっかり頷いて、引手に手を掛けた。
「お勤めご苦労様です」
裕樹は床に両膝を着き、淑やかな仕草で襖を開けた。普段は警備以外の来訪など無いのだろう、作業に従事していた彼らは虚を衝かれたように固まった。
「あ、えっと……何か?」
ヒルコ達にとって心当たりのない訪客ではあったが、自分達を労う裕樹の自然な声掛けに【友達催眠】の作用が相俟って、警戒心が薄らいでいるようだった。
「端的に申し上げます。急ぎここを離れましょう」
「え? それってどういう……」
裕樹は声を潜め、真っ直ぐに目を見つめて言う。迫真の演技だ。
「秀吉様の政敵……『徳川家康』の手勢がこちらに向かっています。狙いは、あなた方です」
部屋の中を見渡す。四人。いざとなれば担いで運べる数だが、自ら進んで移動して貰えるのが一番だ。
「でもさっき会った警備の方は、そんな事は一言も……」
「秘密裏に避難させるよう、仰せつかっています」
敵を欺くにはまず味方からであり、ほとんどの警備にも伝えていないのだと話せば、ヒルコ達は戸惑ったように顔を見合わせた。
「坊官衆のみんなは一緒じゃないの?」
よほど信頼を寄せているのか、坊官衆を探すように出入口へと視線を向ける。代わりに甲冑姿の雪人が姿を見せ、視線を合わせるように屈む。
「道中は自分達が護りましょう。これも秀吉様の作戦です、お任せして下さって大丈夫」
雪人が屈んだ事で、目深に被った陣笠の家紋がヒルコの目に留まった。紋への反応は薄いが、雪人を武士階級の者、所謂『偉い人』だと認識したらしい。まだ不安はあるようだが、めいめいに手にしていた道具を置き、立ち上がった。
「秀吉様の使いの方が言うなら」
「他の皆さんは隠れ場所へと向かっています。ご安心を」
ここで最後のはずだ。駄目押しとばかりに既に雪人が避難誘導を終えたヒルコ達の特徴をそれとなく交えて話せば、すっかり信用したらしい。
――少しばかり、心苦しくはありますが。
――見す見す犠牲にするよりはいいよ。
無垢な視線に居た堪れない気持ちになりながら、ヒルコ達に出立を促す。
「では、ここからは隠密行動でお願いします」
「敵味方問わずあなた達がこちらに居ると思い込ませておく事が、あなた達の安全に繋がる――秀吉様のお心遣いです」
秀吉に心酔するヒルコ達は純粋に喜び、だが快活そうな少年は顔を曇らせた。
「やっぱり、俺達が足手纏いだから」
「いいえ」
彼の心情を慮り、裕樹は努めて優しく話し掛ける。
「この先憂いなく戦って貰うための奉公だと思って欲しいです」
「知らない場所へ行く事は心細いかもしれませんが。皆さんが無事でいる事こそが、秀吉様への恩返しにもなりましょう」
彼女の言葉を補足するように雪人も口を開き、そっと手を差し伸べた。機械的な籠手に、小さな手が重ねられる。
「……はい、新しい場所でも精一杯お勤めします!」
こうしてヒルコ達は、自分達の足で六甲山の拠点へと向かう事になった。大切に囲っていたヒルコを失った事に、豊臣秀吉はまだ気付いていない。ディアボロス達は、まんまと出し抜いたのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
伊佐沼・チカ
チカは、頭が回るワケじゃねぇのです
だから……秀吉と家康、どっちが殿様ならうちらが楽かなんて、わかりません
でも、ヒルコの皆が生け贄にされちまうって言うんなら、ほっとくことなんか出来ねぇのです!
折角助かった皆を、悪ぃおさむらいさんには返さねぇぞ、なのです!
敵さん探すために、【トラップ生成】で辺り一面に鳴子の罠を張り巡らせるのです
音が鳴ったらそこだぁ!って分かるし、あんまし鳴らねぇなら、動きを控えてるって分かって、それはそれで探し易いんじゃねえかと
集まった復讐者ん中じゃ、チカはそんな強くありません
ドカンとトドメを刺すのは強ぇ人に任せて、早めにどっかり殴りかかって、不届き者の動きを邪魔します!
野のかみさまにお願いして、『神懸・地牢重撃鎚』を使わせて貰うのです
敵さんの周りの土を盛り上がらせて、牢屋みてぇにしてやります
そんでもって高くジャンプして、頭を≪天魔鎚『山崩』≫でブッ叩くのです!
どおりゃあっ、お覚悟をぉーっ!
反撃の弾は≪天魔障壁『羽衣』≫で弾いて、「防御の弱ぇ部分」から当たり所をずらすのです
クィト・メリトモナカアイス
あっちは上手くやって……る!必ず。
んむ、我よりもよっぽどこの地や民のことを知っているのだし、あっちに憂いなし。
と、いーうーわーけーでー。
こっちは頑張る。
今日は浮遊球形ガジェット「モナカ」たちはお休みの日。
黄金猫拳打棒を手に近接戦闘に全力を注ぐ「震わすは鬣なき獣」。
ぴりぴりとした中で待ち構えてー……んむ、待つのは暇なので動こう。
地の利はあちらにあれど。数の利はもうこちらにあり。ならばそれを活かす。
他の復讐者と【パラドクス通信】で連絡を取り合いながら動き出し。敵を見つけるか敵が攻撃してくるかで見つけ出したら攻撃開始。
さっきのもだけど。天魔武者にはなかなか珍しいぼでーと銃……ゾルダートっぽい。んむ。ともかく見つけた。
一度見つけたら逃さず接近戦。敵に張り付き、敵から目を刺さず、銃口の向きで弾が出る方向だけ把握して当たらぬように動き、黄金猫拳打棒で殴りつける。
生贄を逃さぬように囲んでいると思えば我のやる気も上がるというもの。そいやー。
マティアス・シュトローマー
姿は見えないのにこの威圧感。ちょっと一息、なんて悠長な事も言ってられなそうだ
仕掛けてこない理由がどんなものであれ、こちらが敵を見付けない事には始まらない
それに相手が優れた狙撃手なら、こうして立ち止まっている状態こそ恰好の的だからね
――ああ、動こう
パラドクスを発動。具現化した大鴉を放ち、敵指揮官を捜索。発見次第、追尾爆撃しダメージを与える
仲間とは【パラドクス通信】で連絡を取り、お互いの位置や敵の接触の有無を把握。手が回らない部分はカメラを取り付けた【フライトドローン】を飛ばし、捜索の手を広げよう
攻撃では重ねた命中アップの効果を乗せ、視界の悪い雑木林の中でもより確実にダメージを与えていきたい
俺の友達はやんちゃでね
加減ってヤツを知らないんだ
どう見てもただの種だけど、喰らったら厄介そうなのは分かるよ
反撃の如葛藤は着弾前に銃で迎撃し対処を。撃ち漏らしはライオットシールドで弾き、伸びてきた蔓は竜骸剣で切り裂こう
これで六甲山の安全は確保出来たね
ヒルコを失った豊臣陣営がどう出るか――お手並み拝見といこう
飛鳥・遊里
動力甲冑を装着し、【スタンブレード】を携える
「さて、いよいよ大将戦だ。…これはまたとんでもない得物をお持ちで」
戦国には似つかわしくない先進的な銃火器を持った敵を見てひとりごちる
生憎マニアではないんで正確な名前などが分かるわけじゃないが、少なくともおおよその諸元は外観からでも測れる。これも職業柄ってやつだ
「じゃあ、銃は剣より強しかどうか、実践してみるか?」
スタンブレードにエネルギーの注入を開始。プラズマの奔流が刀身を駆け巡る
相手の懐に潜り込むために、動力甲冑のHUD(ヘッドアップディスプレイ)のデータを元に敵の射線を予測し、回避しながら肉薄する
「こっちがこんだけ動いてるのに狙いが正確すぎる…こりゃ、向こうさんも似たような機構使ってるな」
だがそれがどうした。多少の被弾は上等。こっちが倒れる前に倒せばいいだけの事。俺の特製動力甲冑の装甲を舐めるなよ
敵を射程内に納めたら、充填の完了したブレードを大上段に構え、一気に袈裟斬りにする。さあ、この光の剣を受けて見よってな!
「アスカ・ダイナミック!」
夏緑の木々が生い茂る雑木林にそよ風が吹き、葉が擦れ合う度に木漏れ日がきらきらと揺れる。爽やかな初夏の香りに反し、漂う空気は物々しい。
「姿は見えないのに、この威圧感。ちょっと一息……なんて悠長な事も言ってられなさそうだ」
百歩穿楊どころか千里とは大きく出たものだが、警戒するに越したことはない。マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は周囲の気配を探るが、少なくとも至近距離に潜んでいる事は無さそうだ。
『向こうさんもこっちを警戒してる……みたいだな』
通信機から聞こえた声の主は、飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)。奇襲と攪乱によって鉄砲隊を制圧した事に加え、遊里のようにアヴァタール級との戦闘に駆け付けてくれた者もいる。『『千里穿楊』筧十蔵』はディアボロス側の戦力を把握出来ていない――、今はこちらの戦力を探っているといった所だろう。冷静な天魔武者のようだ。
『音は……鳴らねぇですね。敵さんもじっとしてると思うのです』
伊佐沼・チカ(土興しの鎚・g08514)はそこかしこに鳴子を仕掛けたが、耳を澄ませどささやかな自然音しか聞こえない。敵の位置を捕捉出来ずとも、この場において敵が動いていないというだけでも貴重な情報だ。クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)はふむ、と情報を精査するような素振りで通信機に告げた。
「んむ、待つのは暇なので動こう」
暇。戦端を開く前の緊張感に満ちた空間をそう評される筧十蔵がなかなか不憫で、ディアボロス達は薄く笑う。
「――ああ、動こう」
とはいえ相手が優れた狙撃手であるのなら、こうして動かぬ的であるのは拙い。マティアスの一言を合図に、ディアボロスは各々の手段で敵を炙り出すべく移動を開始する。
「さて、いよいよ大将戦だ。……しっかしまあ、報告書に目を通した限りでは、棕櫚蓑というより現代のギリースーツみたいだな」
戦国に似つかわしくない装備だ、厄介な配下を抱え込んでるものだと見立てを語る遊里に、チカがぽつりと零す。
「チカは、頭が回るワケじゃねぇのです。だから……秀吉と家康、どっちが殿様ならうちらが楽かなんて、わかりません。でも」
生贄にされるとわかっていて放っておけるはずがない。気負う彼女に、クィトが「安心するといい」と声を掛ける。
「あっちに行ったのは、我よりもよっぽどこの地や民のことを知っている、憂いなし。あとはこっちのお掃除だけ」
だが肝心の敵が見つからない。いっそ攻撃してくればと思う反面、先手を取らせるのも癪だ。ならばとマティアスは【フライトドローン】を操作する。カメラを搭載する事で別角度からの捜索が可能になると踏み、木々の合間を縫うように右へ左へと動かし――、
「……ッ!」
マティアスがドローン操作に意識を割いた瞬間を隙と見たか、或いは不審な行動を阻止するつもりであったか。自身へと飛来する弾丸に気付けたのは偏に幸運によるものだった。直撃は免れたものの間近で弾丸が爆ぜ、ホウセンカのように飛び散った種子がドローンを弾き落とす。
「筧十蔵だ。俺を捕捉出来る位置にいるよ」
すかさず仲間へと一報を入れる。マティアスは拓けた場所に居たわけではない。そうすると敵が潜める場所は自ずと絞られてくる。
――カタカタ……
救援機動力によってディアボロスが集いつつあったその時、風に乗って不自然に木のぶつかり合う軽い音が響いた。
「北西!」
音を拾ったチカが、仲間へと叫ぶ。神社周辺はディアボロスの変身を警戒するあまり野生動物が駆除されているはずだ、間違いなく筧十蔵だろう。
「見ぃつけ……た!」
一番最初に標的の下へと辿り着いたのは、遊里。炎の神の名を冠する動力甲冑の出力を限界まで上げ、ブレードを抜き放つ。
「銃は剣より強しかどうか、実践してみるか?」
急激に速度を上げ、肉薄する。刀を振り抜くと同時、音も無く放たれていた弾丸が甲冑の表面で炸裂した。
「……これはまたとんでもない得物をお持ちで」
遊里は生憎マニアではないんでと言いつつも、職業柄、見ただけである程度のスペックを予測する事は出来た。随分と先進的な武器だ。敵の矛先が再度遊里へと向いたが、発砲するより先にクィトが下から銃身を殴りつけた。跳ね上げられるように、銃口が逸れる。
「天魔武者にはなかなか珍しいぼでーと銃……ゾルダートっぽい」
好奇心に目を輝かせたのも束の間、好きに弄る事の出来ないガジェットへの興味は早々に失せ、クィトは自身の得物を引き追撃の姿勢に入る。
「地の利がそちらにあれど。見失わなければいい。それだけ」
目を離さずに、ひたすらに踏み込んで。ヒトであれば息遣いが聞こえそうな咫尺の間へ。筧十蔵も無意識に後ろへ跳び退こうとして、――はらりと落ちてきた羽に、足を止める。
「高度な隠蔽能力も、こうなったら役に立たないね」
マティアスが言うが早いか、頭上を旋回する大鴉から爆弾が投下される。轟音。砂塵が濛々と煙る中、――どうと低い音を響かせて、チカが着地した。見た目からは想像もつかない重量級の鎧が、がちりと音を立てる。
「ヒルコの、皆を! 悪ぃおさむらいさんには返さねぇぞ、なのです!」
愛らしく頬を膨らませ、けれど鋭く吼える。得物の先端、肉球の形をした黄金を筧十蔵の鼻先に突き付け、クィトが宣言した。
「数の利はもうこちらにあり。逃がさない」
筧十蔵の攻撃は何処までも正確無比で、ディアボロスが絶えず動き回ろうと、強力に時空を歪めては反撃に転じる。
「……こりゃ、向こうさんも似たような機構使ってるな」
視野に表示される敵データを基に射線を予測するが、敵の弾丸は度々遊里の動力甲冑を掠めている。だが、それでも。見通しの悪い雑木林の中で見失うまいと、四人がかりで捕捉し続けていた事。何より重ねられた残留効果により、ディアボロスの命中率が筧十蔵に勝るとも劣らないものになっていた事。明らかに筧十蔵の損耗が大きくなっていた。
ゆら、と。チカの魔力障壁が羽衣のように舞う。彼女の輪郭が、陽炎のようにぶれる。
「野のかみさま――」
巫者が霊瑞を現すが如く、高められた念動力が揺らめいて。直後、筧十蔵の周囲で大地が隆起した。罪人を囲繞する檻さながら、武者を捕らえた。
「どおりゃあっ、お覚悟をぉーっ!」
その不届き者を捕まえててくだせぇ。祈りと共に跳躍したチカから飛び出したのは、なかなかどうして逞しい掛け声だった。ブースト噴射によって勢いの増した戦鎚が、重力に逆らう事なく三度笠を被った頭頂部に叩き込まれる。前のめりになった筧十蔵に、体勢を立て直す間もなく降り注ぐ、航空爆弾。
「俺の友達はやんちゃでね。――加減ってヤツを知らないんだ」
膨れ上がる熱風は、鴉の悪戯と呼ぶにはあまりにも苛烈。具現化した大鴉によってもたらされた暴力をさも微笑ましい光景であるかのように眺めながら、マティアスは魔の手を伸ばす蔓を竜骸剣で斬り捨てた。透き通った刃が陽光できらめいて、光り物を見つけた大鴉が嬉しそうに一声鳴いた。
しゅう、と空気の抜けるような音がした。筧十蔵のガスマスクに似た顔面の機構から発せられた音だった。声すら上げられない満身創痍で、しかし銃を杖に立ち上がる武者は、戦意を失っていない。
「生贄は好きくない。好きくない、が」
クロノヴェーダを袋叩きにするのは、悪くない。生贄を逃さぬように囲んでいると思えば我のやる気も上がるというものと嘯いて、クィトは「そいやー」と気の無い声を上げた。
ひゅん、と短く空を切る音。次いで、めきりと金属の拉げる音がした。気の抜けるような掛け声とは裏腹に、軽く回転を加えながら繰り出された『黄金猫拳打棒』の突きは鋭い。普段彼女の周囲に浮かぶ球形ガジェットの操作を止め、近接攻撃にリソースの全てを割いた彼女の、渾身の一撃。
的確に狙いを定め続けていた筧十蔵の射撃が、乱射乱撃に近しいものへと変わった。最期の悪あがきとでも言うべきか。そのような状態でなおトリガーを引き続ける武者に感心に似た感情を抱きながら、遊里は『スタンブレード』にエネルギーを流し込む。自身に向けられる弾雨に、元より多少の被弾は覚悟の上と、真っ向から立ち向かった。
「俺の特製動力甲冑の装甲を舐めるなよ……ッ」
さあ、この光の剣を受けて見よってな。遊里は大上段に構えたブレードを、袈裟に斬りつける。
「アスカ・ダイナミック!」
プラズマが奔り、筧十蔵が膝を着いた。戦場に流れていた張り詰めた空気が、霧散する。
西宮神社に向かっていた二人に、雑木林の敵勢力を排除した旨を通信する。クィトが憂いなしと言った通り、そちらも順調にヒルコを連れ出したという回答だった。これで六甲山の拠点は、当面の安全が確保出来たと言える。
神社の方角を見据え、マティアスが呟いた。
「ヒルコを失った豊臣陣営がどう出るか――お手並み拝見といこう」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
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【フライトドローン】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV2になった!
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