🚊宿縁を断ち切る戦い

 クロノス級クロノヴェーダは「自分の存在を保ったまま、その時代に転移してくる」事が多いですが、稀に「その時代の生物や概念などに寄生して転生する」事もあるようです。
 後者の場合、一定期間、転生した生物として成長し、充分に成長した所で覚醒する事で、対象の能力などを奪い、より強い力を得るようです。

 この事件では、上記の方法でクロノス級に覚醒したクロノス級クロノヴェーダと戦い、決着をつける事になります。
 そのため、宿敵であるクロノス級クロノヴェーダは、自分、或いは、自分に意志を託してくれた過去の時代のディアボロスの血縁者や恋人など、親しい相手の姿をしています。

 クロノス級クロノヴェーダは、覚醒時に『悲劇的な事件を引き起こす』事で、より強い力を得られるため、様々な悲劇を引き起こします。
 ですが、覚醒する前の人格に訴えかける事で、行動を制限したり、クロノヴェーダ撃破後に寄生された対象を救出したりできるかもしれません。

信念と力のMeasurer(作者 志稲愛海
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#宿縁邂逅  #🚊宿縁を断ち切る戦い 


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#🚊宿縁を断ち切る戦い


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 東京都、北区。
 普段は学校関係者だけを迎え入れる校門が、ポップで華やかに飾り付けられて。
 開門時間になれば、訪れた客達を招き入れ、歓迎する。
 今日は、北区にある学校の学園祭。
 お化け屋敷やメイド執事喫茶や脱出ゲームなどのクラス企画や、有志による食べ物系の出店はやはり人気で。
 グラウンドや体育館でも、各部活の体験イベントや展示やステージ上でのパフォーマンスなど。
 活気溢れる校内は、賑やかで楽し気な青春の一幕が各所で彩られている。
 そして……そんな学園祭もクライマックスを迎え、終わりが近くなった頃。
 広い中庭に設置されたメインステージで、楽しい時間が一変。その惨劇は実行される。

 多くの生徒達が集まる中で行なわれた、閉会式でのこと。
 ステージへと堂々とした姿で上がったのは、本来挨拶をする学園祭実行委員長ではなく、ひとりの男子生徒であった。
 誰かが、彼の名を紡いだ声が聞こえる――『真緋人』、と。
 けれどもきっと、眼前の『真緋人』は、この場にいる者が知る彼ではない。
 真緋人は……いや、『復讐者を測るもの・真緋人』は、赤い瞳を集まった皆へと巡らせながら告げる。
「力をつけ、悪魔の中で発言力を持てば、彼女の意識が砕かれるのを護れる。復讐者が敗北し彼女を守れなかった今、そうするしかない」
 彼が一体何を言っているのか、この場にいる者達は理解ができずにいたが。
 だが万が一わかったところで、一瞬にして無意味になる。
「……!!」
 刹那、会場に上がるのは真っ赤な血飛沫。
 一瞬にしてパニック状態に陥り、阿鼻叫喚となるのも構わずに、真緋人は始める。
 より多くの人を殺して血肉とし、悪魔としての地位を得るべく、大量虐殺を。
 効率良く且つインパクトも強い、学校の学園祭という舞台を使って。
 真緋人は赤に会場を染め上げて力を誇示しがらも、己の信念を紡ぎ落す。
 ……全ては「悪魔に憑かれた少女」を守る為だ、と。

●或る少年と少女たちの
「新宿駅グランドターミナルに、特別なパラドクストレインが現れたよ」
 そう告げた逢海・凪都(黒焔・g03331)の傍らには、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)の姿もあって。
 凪都の言う、特別なパラドクストレイン……その行先は、TOKYOエゼキエル戦争。
「このパラドクストレインで、クロノス級が活動していた過去の時代に向かえば、クロノス級と決着をつける事が出来るよ。クロノス級を撃破すれば、新たなアヴァタール級の出現を抑えられるだけじゃなくて、敵ディヴィジョンを弱体化させることも期待できると思う」
 今回、相対するクロノス級……その名は、『復讐者を測るもの・真緋人』。
「真緋人……悪魔の宿主となっているのは、小さい頃から知ってる私達の幼馴染みだね」
 アンゼリカはついに辿り着いた彼のことを皆にも紡いでから。
 凪都へと詳細の説明を委ねる。
 そんな彼女に小さくこくりと頷いてから、凪都は再び詳細を語る。
「この案件はね、クロノス級『復讐者を測るもの・真緋人』が、この時代で覚醒する最初の事件に介入する事が可能になっているよ。クロノス級に存在を奪われた人が、クロノヴェーダに覚醒してしまうのを止める事は出来ないんだけど……でも、その魂に呼びかける事で、行動を阻害することが出来るかもしれない。でも、覚醒したばかりとはいえ、クロノス級の戦闘力は侮れないから……慎重に戦って、撃破して欲しいよ」

 そして今回、『復讐者を測るもの・真緋人』が起こす事件。
「クロノス級は、北区にある学校の学園祭で、人々を殺して血肉とする事件を起こすよ。でも、この特別なパラドクストレインで、その事件が起こる前の学校に移動できるし。彼が事を起こすのは、学園祭の閉会式のステージの上ってことも判明しているから、その現場に駆けつけて、クロノス級やその配下を撃破して欲しいよ」
 移動した先、北区の学校では学園祭が行われている。
 ごく一般的な学園祭でありながら、来場者も多く、賑やかで楽しく人々が参加しているが。
 だからこそ、真緋人はこの日を狙って、事を起こしたのだ。
 力をつけ、悪魔の中で発言力を持てば……悪魔に憑かれた少女の意識が砕かれるのを護れる、と。
 あたかも宿主の少年が望んでいるといった体で。

「悪魔に憑かれた少女を、守る為……」
 アンゼリカはそう訊いて、言の葉を零す。
 思い出すのは、自分達の年上の幼馴染みと過ごした日々。
 彼は小さい頃は悪さばかりしていたのに、でも中学生に入ったら真面目な優等生になって。
 学校では事あるごとに勝負を繰り返したライバルであり。
 そして、共にヒーローに憧れた友で……1人の少女を共に守ると誓い合った同胞。
 けれども互いの運命が、護る手段を違えることとなったのだ。
 だから以前、アンゼリカは彼の分体に告げた……必ずクロノスに辿り着く。それまで待っていろ、と。
 勿論、その彼が本人とは違うとは理解していたけれど。
 そして今、その時がやって来たという訳だ。

「パラドクストレインは学園祭が始まる頃の時間に到着するから、まずは、学園祭に参加して欲しいよ。真緋人が事を起こすのは、学園祭の閉会式のステージ上ってことは分かっているんだけど。学校内を予めて見て回って、戦闘になったらスムーズに動けるように準備しておいたり、束の間の日常を楽しんで残留効果を発動させておくのもいいし。戦闘前におなかを満たすのもいいし、肩の力を抜いて決戦に臨めるように純粋に学園祭を楽しんでもいいと思う。決戦に向かう仲間の行動が目立たないよう、頭数を増やすために学園祭を楽しむ客として満喫する人とかもいていいんじゃないかな」
 凪都の言うように、『復讐者を測るもの・真緋人』との決戦が起こるまでは、学校内に居ることになるだろうから。
 気負い過ぎぬよう学園祭を楽しみつつ、来たるべき時の準備をしながらも。
 色々な企画や催しに参加してみたり、腹拵えしておくのが周囲から見ても自然だろう。
 お化け屋敷やメイド執事喫茶や脱出ゲームなどのクラス企画や、各部活のイベントやパフォーマンスなどを客として楽しんだり。有志による校庭での食べ物系の出店は、飛び入りの手伝いもできるようだ。
 そんな時間を楽しみつつも、この間に、決戦に備えて準備もしておきたいところである。
 そして閉会式になれば『復讐者を測るもの・真緋人』がステージ上で事件を起こさんと行動を起こすので。
 彼が放つ配下を蹴散らしつつ、悲劇を阻止し、そしてクロノス級を討って欲しい、というわけだ。

「クロノス級を撃破する事は、他のディヴィジョンを攻略する上で、とても重要な事だと思う。クロノス級を撃破すると、クロノス級の支配する歴史が崩壊するから、すぐにパラドクストレインで脱出する必要があるよ」
 凪都はそこまで告げてから、アンゼリカや集まった皆を見回して。
「悪魔の宿主である彼と、縁深い人もいると思うし……このチャンスを生かす為にも、是非、成功させてほしいよ」
 そう紡ぎながらも案内する。
 過去のTOKYOエゼキエル戦争へと向かう、特別なパラドクストレインへと。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【泥濘の地】
2
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【エイティーン】
2
周囲が、ディアボロスが18歳から「18+効果LV」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV6 / 【ガードアップ】LV3 / 【リザレクション】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV1 / 【グロリアス】LV4

●マスターより

志稲愛海
志稲愛海です、よろしくお願いいたします。
アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)さんの宿縁邂逅シナリオをお送りいたします。

●各選択肢について
 リプレイの進行は、①→③→④の予定です。
 ②は宿敵主専用の選択肢となり、呼びかけるタイミングはお任せします。

①現地のお祭りに参加しよう
 事件が起こる前の待ち時間で、学校の学園祭が楽しめます。
 戦場となる場所を事前に確認したり、被害がおこらないようスムーズに決戦に挑めるよう下見しておいたり。
 学園祭の日常を楽しんで残留効果を沢山発動させておくのもいいし、腹拵えをしておいたり。
 決戦に気負わず挑めるよう純粋に学園祭を楽しんだり。
 決戦に挑む仲間の行動を目立たなくするために、学園祭を楽しんでいる客の頭数のひとりとしての参加も勿論OKです!
 客としての来場者であったり、有志の出店の飛び入りの手伝いなどもできます。
 また、この選択肢は日常ですので、採用人数の制限はありません。
 皆様それぞれ、思い思いお好きな過ごし方をしていただければです!

②覚醒前の人格に呼びかける
 宿敵主専用の選択肢です。
 クロノス級は敵ディヴィジョンの情報を持っていない上、非常に知性が高いため、会話から情報収集は出来ませんが。
 お気持ちのまま、呼びかけていただければです。

③👾護衛するトループス級『アシュタロスの使徒』
 クロノス級を守るという行動をとる配下との戦闘です。

④👿クロノス級決戦『復讐者を測るもの・真緋人』
 クロノス級との決戦です。
 この戦闘に勝利すれば、シナリオ成功となります。

●他
 このシナリオは、心情メインで紡いでいく予定ですが。
 どうぞ皆様らしく思いのまま、挑戦して頂ければと!

 また、もしもネメシス形態で戦いたい場合があれば。
 ①~③いずれかの選択肢のプレイングの冒頭に『☆』(『』は不要)と記していただければです。
 ただし、複数人共同でのご参加を指定されている場合は、全員が同じ判定になる仕様なこと、ご注意ください。

 シナリオの進行状況の詳細などは、マスター個別ページにてお知らせします。
 ご参加お待ちしております!
208

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


アンゼリカ・レンブラント


恋人のミア(g09068)と
学園祭のメイド喫茶に入って
注文を待つ間、彼への想いを話すよ

これから彼、いや「悪魔」が行うことは許されないことは間違いない
でもね
シリク・コアのアヴァタール級はエゼキエル戦争の中で一度も現れず、
苦しむミアを見ることはなかったんだ

愛する少女が、ミアが悪魔に堕とされるのを見た真緋人が
ただ1つ彼女を護ることが出来る方法として今日の手段を選ぶこと

ミアを好きな人同士であり、一度は護れなかった私が否定すること
出来るのかな
私と真緋人は、「逆だったかもしれない」から

ふえ?真緋人が好きなのって……え?
意外なミアの言葉に動揺する私の頬を包むは小さな
あぁでも、どこまでも優しく強い手
ミアの瞳から視線をそらすことが出来ないことは知っている

彼女を救い共に復讐者として歩み出した時
輝く約束が未来を拓き
眩い歓喜の中友の祝福を受けた日のこと
その喜びは偽りじゃないから!

彼に言わないと
ミアも、私も
確かに「今」を生きていると
幼き日から繋がる今日が、諦めや悲しみで終わらせたくない
皆で未来に辿り着きたいって


ユーフェミア・フロンティア

恋人のアンゼリカ(g02672)と一緒に

●学園について
男女共学、中高一貫校。学校の名前はMS様に決めていただければ幸いです

アンゼリカ、いつもと違う雰囲気?
あの人が相手だからかな?

連れられてメイドカフェへ。
アンゼリカが話している間は、じっくりと聞き専門になります。
…あれ?
え、真緋人さんが好きだったのは、陽菜の方じゃなかったの?
え、私の方??
そーだったんだ…。

…ね、陽菜。
そんなに思いつめないの。
この時空では、私は『シリク・コア』に堕とされたけど。
でも、その運命を変えてくれたのも、陽菜…。あなただから。

そういって、アンゼリカの頬を両手で包みます。

逆だったかもしれない。
でも、実際はそうじゃない。

貴女は、たくさんの友達と一緒に私を救いに来てくれたから。
それがどれだけうれしい事か知ってる?
そうじゃなかったら…。
私は貴女の隣で一緒に戦うって言っていなかったかもしれないよ?

貴女はあなたらしく。
想いがあるなら、全力でぶつけてほしい。
陽菜でありアンゼリカであるあなたの全ての想いを。
その為の力にはなるから。


 東京都北区にある共学の中高一貫校・翔煌学園。
 大きく飛翔するための翼がデザインされた校章と校名に込められているのは、煌めく未来へと自由に羽ばたいて翔けていけるようにという教育理念だというが。
 それが、自由にのびのびと生徒達主体に行われているこの学園祭を見ても分かる。
 そんな賑やかな校内を歩きながらも。
(「アンゼリカ、いつもと違う雰囲気?」)
 ユーフェミア・フロンティア(光彩聖姫・g09068)がそっと見つめるのは、普段とどこか違う雰囲気のアンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)の横顔。
 だが、その理由はすぐに思い当たる。
 ……あの人が相手だからかな? って。
 あの人――真緋人は、小さい頃から知っている幼馴染み。
 だが、これから再会する彼は、悪魔の宿主となっていて。
 今はこんなに平穏で楽しい学園祭を、一瞬にして惨劇に変えてしまうというのだ。
 彼が何故、今回の事件を起こすのか、それは――。
 ふたりが入ったのは、学園祭の催しのひとつであるメイド喫茶。
 そして注文を済ませ待っている間に、アンゼリカは口にする。
 彼への想いを。
「これから彼、いや「悪魔」が行うことは許されないことは間違いない」
 まずは、此処に自分達が赴いた理由、揺らぐことのない思いを。
 そんな紡がれんとしている言葉ひとつひとつにじっくりと耳を傾けるべく、彼女を見つめるユーフェミア。
 それからアンゼリカは、こうも続ける……でもね、と。
「シリク・コアのアヴァタール級はエゼキエル戦争の中で一度も現れず、苦しむミアを見ることはなかったんだ」
 予知された惨劇を、彼が起こすという事件を防ぐため、こうやって母校へとやって来たのだけれど。
 だが、彼がどうしてそのようなことを起こすのか……それを考えれば、アンゼリカは思ってしまうのだ。
「愛する少女が、ミアが悪魔に堕とされるのを見た真緋人が、ただ1つ彼女を護ることが出来る方法として今日の手段を選ぶこと。ミアを好きな人同士であり、一度は護れなかった私が否定すること……出来るのかな」
 ――私と真緋人は、「逆だったかもしれない」から、と。
 力を得たのは自分で、だから護ると誓ったのに……此処では、それが叶わなかった。
 だから、悪魔に操られているとしても、彼がそれを成そうと想っている表れなのではないかと。
 彼の立場になって思えば、どうしてもそう考えがいきついてしまう。
 もしも自分が彼の立場だったら……逆だったかもしれないって、そう思うから――その行動を否定することが、自分にはできるのかと。
 そう抱く気持ちを紡ぐアンゼリカであったが。
 これまで話を聞いていたユーフェミアはふと、小さく首を傾けて。
「……あれ? え、真緋人さんが好きだったのは、陽菜の方じゃなかったの?」
 その声を聞けば、今度はアンゼリカが瞳を思わず大きく見開く。
「ふえ? 真緋人が好きなのって……え?」
「え、私の方?? そーだったんだ……」
 そしてふたりして顔を見合わせれば、お揃いで、瞳をぱちり。
 それから、意外な言葉に動揺しているアンゼリカへと、ユーフェミアは両手を伸ばして。
「……ね、陽菜。そんなに思いつめないの。この時空では、私は『シリク・コア』に堕とされたけど。でも、その運命を変えてくれたのも、陽菜……。あなただから」
 向けた言の葉とともに、アンゼリカの頬を両手で包みこむ。
 それは柔らかくて小さな、でも。
(「あぁでも、どこまでも優しく強い手」)
 伝わり互いに混ざり合う体温が心地良くて。
 与えられる温もりと感じるその強さに、こうやって自然と顔も上がって。
 そして、アンゼリカは知っている。
「逆だったかもしれない。でも、実際はそうじゃない」
 ユーフェミアの瞳から視線をそらすことが出来ないことは。
 そんな自分の姿だけを映す金の瞳を真っ直ぐに見つめたまま、柔く瞳を細めて。
「貴女は、たくさんの友達と一緒に私を救いに来てくれたから。それがどれだけうれしい事か知ってる?」
 包んでいる頬を軽く優しくふにっと摘まんで、続けるユーフェミア。
「そうじゃなかったら……。私は貴女の隣で一緒に戦うって言っていなかったかもしれないよ?」
 逆だったかもしれない。この過去の時空では、自分は彼を否定できる立場ではないかもしれない。
 けれど――今の自分は、自分達は、そうではないのだ。
 だって、輝く約束が未来を拓いたのだから。
 彼女を救い、共に復讐者として歩み出した、あの時。
 眩い歓喜の中、友の祝福を受けた日のこと。
 だからユーフェミアと共に並んで歩んでいる今、アンゼリカははっきりと声高らかに言えるのだ。
 ――その喜びは偽りじゃないから! と。
 そして、いつもの光を取り戻した友の瞳を見つめ、ユーフェミアはひとつ頷いて告げる。
「貴女はあなたらしく。想いがあるなら、全力でぶつけてほしい。陽菜でありアンゼリカであるあなたの全ての想いを」
 ――その為の力にはなるから、って。
 ユーフェミアにとっても、あの時、あの日、誓った想いを。
 だからこそアンゼリカは改めて、彼と正面からぶつかる気持ちをその心に決める。
「彼に言わないと。ミアも、私も、確かに「今」を生きていると」
 自分達は「今」を生きている。
 だけど、一緒に笑ったり、怒ったり、泣いたり、競ったり……今思い出すだけでも沢山いっぱい、共に過ごした時間。
 それがかけがえのない大切な過去であるからこそ、思うのだ。
「幼き日から繋がる今日が、諦めや悲しみで終わらせたくない」
 そして――皆で未来に辿り着きたい、って。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!

シル・ウィンディア

アンゼリカさん、いつもと違う雰囲気だったけど大丈夫かなぁ…。
まぁ、向こうには心強い人が行っているからお任せかな?

学園祭って初めてだからちょっとわくわく。
楽しんじゃうよー!

一応、戦闘になったとして避難経路とかも確認しておこうかな?
ステージからこっちにとあっちに逃げてもらって…。
ただ、足止めも必要になりそうかな?

よし、確認はこんなところ。後は楽しんじゃおー♪
出店でご飯っ♪
こういうのは、定番の焼きそばとかチョコバナナとかになるかな?お店を見つけて一つずつ食べちゃおうっ♪
出店のご飯って、いつものご飯と違って格別だよねー。

一通り食べ終わったら、催し物のステージを見に行くよ。
のど自慢とかあれば、飛び入り参加したいけどあるかな?

飛び入り参加できるならぜひ歌いたいところっ♪
歌うのは「ルーチェ・ソラーレ」
聞いたことないからこそのサプライズになるかな?歌詞好きだし。

歌えなくても、ステージの催し物に合いの手を打ったりしていくよ。
楽しい時間は過ぎるのが早いよね。
でも、ここからが本番だからっ!


 特別なパラドクストレインの出現は、彼女にとっても、叶うならいつかと思っていたことではあるだろうけれど。
(「アンゼリカさん、いつもと違う雰囲気だったけど大丈夫かなぁ……」)
 シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)はそう、目にした様子が気がかりではありながらも。
 けれどすぐに、こう思い直す。
 ……まぁ、向こうには心強い人が行っているからお任せかな? なんて。
 だから次に合流するときはきっと、いつもの彼女に戻っているって、信じているから。
 きょろりと視線を巡らせ、賑やかな校内を歩き出す。
(「学園祭って初めてだからちょっとわくわく」)
 ――楽しんじゃうよー! って。
 とはいえ勿論、此処へ赴いた目的だって忘れはしないから。
(「一応、戦闘になったとして避難経路とかも確認しておこうかな?」)
 足を向けるのは、事件が起こるという、メインステージがある広い中庭。
 今は催しと催しの間の時間で、人の姿も疎らであるけれど。
 閉会式の時はそれなりに人もいるだろうから。
 シルは事が起こった時にスムーズに動けるように、頭の中でシミュレーションして見つつ。
(「ステージからこっちにとあっちに逃げてもらって……。ただ、足止めも必要になりそうかな?」)
 ひと通り確認すれば、よし、と頷いて。
 ――後は楽しんじゃおー♪
 ということで! やはり学園祭と言えば、これ。
「こういうのは、定番の焼きそばとかチョコバナナとかになるかな? お店を見つけて一つずつ食べちゃおうっ♪」
 そう、出店でご飯!
 焼きそばにチョコバナナもばっちり見つけて購入すれば、早速いただきます!
 はむりと口に運んではもぐもぐと、シルは楽しみつつ確りと味わう。
「出店のご飯って、いつものご飯と違って格別だよねー」
 生徒達が頑張って作ったその味と、学園祭の醍醐味を。
 そして一通り食べ終わっておなかも満たされれば、見に行ってみるのは催し物のステージ。
 そしたら丁度、次の催しである、のど自慢の参加者の募集が行われていたから。
(「飛び入り参加できるならぜひ歌いたいところっ♪」)
 迷うことなく、エントリー!
 それから順番が回ってくれば、わくわくと。
(「聞いたことないからこそのサプライズになるかな? 歌詞好きだし」)
 晴れ渡った空の下のステージで披露するのは、未来に進む意志を忘れないために歌った曲。
 ――太陽も飛び起きるほど声を上げて 見たことのない朝を奏でるよ
 そう、歌うのは「ルーチェ・ソラーレ」!
 高らかに歌い上げれば、その歌声や旋律、歌詞、何よりも楽しそうに歌うシルの姿に共感してくれたのだろう。
 耳を傾けてくれた皆から、大きな拍手が。
 そんな向けられる拍手の中、ステージを下りた後も、シルは目一杯楽しむ。
 他の人のステージの催し物に合いの手を打ったり、一緒に歌ったりして。
 活気溢れる学園祭のひとときは、とても新鮮で。
(「楽しい時間は過ぎるのが早いよね」)
 気が付けば、あっという間。
 そんな学園祭をまだもう少し楽しみつつも、シルは賑やかな会場をくるりと見つめて。
 改めて、その心に思う――でも、ここからが本番だからっ! って。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

イツカ・ユメ
…わたしが知っているアンゼリカちゃんは、元気で凛々しくて、きらきら眩しいお日様みたいに笑う子。
その笑顔が曇らないように、お手伝いするね?

折角だし、学生気分で楽しんでみたいから。
この学校の制服をお借りしてお邪魔するよ。
……年齢?そこは便利なディアボロスパワーで、えいっ♪(【エイティーン】使用)

学園祭のパンフレットがあればもらって、現場の様子と照らし合わせながら避難経路を確認しておくね。
人が大勢集まる催し物や、お化け屋敷とか暗めなところは、混乱が起こらないように気をつけた方が良さげかも?

演劇部のお芝居を見たり、美術部の人に似顔絵を描いてもらったり、焼きそばやたこ焼き等のお祭りグルメを味わったり。
…クロノス級を撃破したら、支配されていた歴史は崩壊してしまうけれども。
きっと、皆頑張って準備したのだろうから。最後まで、学園祭を楽しみたいな。

ん?大声告白コンテスト??
学校の屋上から、愛を叫ぶの?
いいね、青春だね!
へ?わ、わたしは参加しないってば、
(この後屋上から恋人さんへの愛を叫びました。大好き!)


 見上げる空は晴れていて、絶好の学園祭日和。
 生徒達がこの日のために準備してきた各催しも凝っていて、沢山の来場者の姿もあってとても賑やかで。
 そんな楽し気な声が響く中、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)も校内を歩きながらも思う。
 イツカも他の人から見れば、学園祭を楽しむべくやって来た来場客で。
 勿論、学園祭だって目一杯楽しむつもりだけれど。
(「……わたしが知っているアンゼリカちゃんは、元気で凛々しくて、きらきら眩しいお日様みたいに笑う子」)
 思い返すは、少しだけいつもと雰囲気が違った彼女のこと。
 でも、それは当然のこと……彼女と縁があるという、特別なパラドクストレインが現れたと聞いたから。
 そしてイツカが此処へとやって来た目的は、何より、こう思っているから。
 ――その笑顔が曇らないように、お手伝いするね? って。
 けれどまだ、事件が起こるまでは時間があるということだし。
 折角だし、学生気分で楽しんでみたいからと、この学校の制服を借りて着てみれば。
 ……年齢? そこは便利なディアボロスパワーで、えいっ♪
 エイティーンを使えば、どこからどう見ても、この学校の生徒です!
 ということで、貰った学園祭のパンフレットをぱらり。
 きょろりと視線を巡らせてみるのは、学園祭を楽しむためだけでなくて。
(「人が大勢集まる催し物や、お化け屋敷とか暗めなところは、混乱が起こらないように気をつけた方が良さげかも?」)
 現場の様子と照らし合わせながら避難経路を確認しておく。
 そして体育館に足を運んでみれば、丁度これからはじまるという、演劇部のオリジナル脚本だという凝ったお芝居を楽しく観て。
 呼び込みの声に誘われて入ってみた美術室で描いてもらうのは、キュートでポップなタッチの上手な似顔絵。
 それにやっぱり、校庭にずらりと並ぶ出店巡りは欠かせないから。
 生徒達が作った焼きそばやたこ焼き等のお祭りグルメを買ってみて、はむりと美味しく味わったりしながらも。
 改めて賑やかな学園祭の光景を眺めつつ、ふとその心に思う。
(「……クロノス級を撃破したら、支配されていた歴史は崩壊してしまうけれども」)
 でも、だからこそイツカは、目一杯満喫するつもり。
 だって――きっと、皆頑張って準備したのだろうから。
 だからこのひとときを、イツカは最後までこの学園祭を楽しみたいと思うのだ。
 確りと、思い出として忘れないように。
 そんなことを思っていれば……ふいに、生徒達から声を掛けられて。
「ん? 大声告白コンテスト?? 学校の屋上から、愛を叫ぶの?」
 紹介された催しは、大声告白コンテスト!
 その内容を聞けば、うんうんと頷いて。
「いいね、青春だね!」
 そう微笑ましく思っていれば、続いて向けられた言葉に思わず瞳をぱちくり。
「へ? わ、わたしは参加しないってば」
 声を掛けられたのは、参加しませんかというお誘いでした!
 ということで、最初こそふるりと首を横に振っていたイツカであったのだけれど。
 参加して欲しいと頼みこまれたことと……それに何より、折角だからって。
 ――大好き!!
 この後ばっちり屋上から恋人さんへの愛を叫んで、青春を謳歌しました!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!

四葩・ショウ
萱さん(g01730)と

わ、すっごく賑わってますね
楽しそうな笑い声
手作りポップや看板が並ぶ校内に
わくわくを募らせながら

まずは出店からですね!
パンフレットをひらいてみせ
いろいろな種類があって悩んじゃうな
萱さんはどれにしますか?
いいですね、カステラ!
わたしはこの
揚げアイスが食べてみたくて

いいですね、探検しましょ
瓶ラムネを片手にみて回って
あ――中庭も見ていっていいですか?

木陰の落ちる横顔にふと
萱さん、疲れてないですか?
いつもつい連れ回してしまうから、

あ、美術部の展示もあるみたいですよ

そんなことないですって
ころころ笑ってみせるのに
そんな疑問符を浮かべてるって知らないまま
いきましょう、と手を引いて

キャンバスが並ぶ一角は
喧噪がすこし遠ざかって
世界が切り取られたみたい

刻逆が起きて
高校で学園祭は出来なかったけど
刻逆が起きたから
こうして萱さんと遊びにこれて
楽しい思い出が、重なりました

ふふ、きっとたくさん
望んでしまいそうです

いくらでもの言の葉で迷いが晴れるから
また、叶えてくれますか?
応える手を貴方にかさねて


標葉・萱
四葩さん/g00878と

盛況ですね
眩しさに気後れしてしまいそう
とはひそり含めて靴音を追って

開くパンフレットは宝探しの地図のよう
笑って覗き込めば目移りしそうで
……冒険しますね?
カステラとか、と選ぶ傍らは耳慣れぬ音

空の色したソーダも片手
呼び込みの声に髪ひかれつつ
すこし探検、しましょうか
中庭の声には勿論、と
きらめく空間から少しの木陰
ふと一息吐く合間の問いかけに
――これは保護者、とかでなく
私はおじいちゃんポジションなのでは?
美術部、良いですね、なんて答えつつも
引かれる手にすこし疑問符浮かべたのは内緒、

学生の作品は鮮やかで
向かい合えば少し懐かしいような
もう持ちえないものであるような
名残惜しさが掠めるけれど
四葩さんの言葉にふと、窺って

かわりに重ねる思い出になるのは
随分大役である気もするけれど
そう言っていただけるなら光栄

これ程世界が覆って
けれどまた手にしたのから
きっとこれからも
まだいくらだって
望むことが叶いますよ
いくらでも、と差し出した手は
――印象のうちではいつまでも少女の、貴女へ


 いつもは生徒や関係者だけの為に開いている門も、お祭りのこの期間は特別。
 活気溢れる賑やかな歓迎の言葉を受けつつ、カラフルに飾られた校門をくぐり抜ければ。
 歓迎してくれるのは、ずらりと並ぶ手作りポップや看板たちと楽しそうな笑い声。
「わ、すっごく賑わってますね」
 四葩・ショウ(After the Rain・g00878)はわくわくを募らせながらも、くるりと周囲を見回して。
 そんな彼女と共に、学園祭が行われている校内へと足を踏み入れる標葉・萱(儘言・g01730)であるけれど。
「盛況ですね」
 そう頷いて返すも……眩しさに気後れしてしまいそう、なんて。
 青春を謳歌している生徒達のキラキラした様子に、そっと思うも。
 それはひそり含めて、追うのは、躍るその心のように軽やかな彼女の靴音。
 そしてぱらりとパンフレットをひらいてみせて。
「まずは出店からですね!」
 ショウがまず廻らんと定めたのは、やはり学園祭の醍醐味の出店!
 生徒達が企画したそれらは、定番のものからちょっと変わったものまで、それぞれ趣向が沢山凝らされていて。
「いろいろな種類があって悩んじゃうな」
 落とした視線をきょろり巡らせる彼女に笑って、並んで一緒に覗き込んでみれば。
 萱も同じように目移りしてしまいそう――開くパンフレットは宝探しの地図のようで。
 そして悩ましげな声色のまま、ふと視線を向けられて。
「萱さんはどれにしますか?」
 そう問われれば……カステラとか、と選ぶ傍ら。
「いいですね、カステラ! わたしはこの、揚げアイスが食べてみたくて」
「……冒険しますね?」
 耳慣れぬ音と指される先を見つめ、その旺盛なチャレンジ精神に返せば。
 早速お目当ての出店へと赴き購入して、定番も冒険も、戦利品をわくわくそわり……楽しく美味しくいただきます!
 それから見つけた、しゅわりと弾ける空色の瓶ラムネをお供に、呼び込みの声に髪ひかれつつも。
「すこし探検、しましょうか」
「いいですね、探検しましょ」
 もう片方の手に携えた宝の地図を再び頼りに、いざ探検へ。
 ということで……これから、各教室を順に回るか、催されているイベントを観てみるか、はたまた体育館を覗いてみるか等々、楽しそうな場所は沢山あるのだけれど。
「あ――中庭も見ていっていいですか?」
 そんなショウの声に、勿論、と萱は返して。
 向かった中庭は、丁度設置されているステージの催しの谷間であったようで。
 その景色は、今はまだ……ゆったり穏やかな学園のひととき。
 そして、きらめく空間から少しの木陰へと足を運べば。
 ふと一息吐いた――その合間に。
「萱さん、疲れてないですか?」
 向けられるのは、彼女のそんな声。
 そしてショウも、木陰の落ちる彼の横顔にふと続ける……いつもつい連れ回してしまうから、って。
 それを聞けば、思わずこう零す萱。
 ……これは保護者、とかでなく、私はおじいちゃんポジションなのでは? と。
 そして、そんなことないですって、なんてころころ笑ってみせるのに。
「あ、美術部の展示もあるみたいですよ」
「美術部、良いですね」
 ショウは知らないまま……いきましょう、と彼の手を引く。
 そうこたえた萱が内緒で浮かべた、すこしの疑問符に。
 そして地図を頼りに、引いたその手が導く先は――様々な色が溢れる世界。
 まるで各々の世界がその中にあるかように、キャンバスが並ぶ一角は喧噪がすこし遠ざかって。
「……世界が切り取られたみたい」
 自然と零れ落ちたショウの言の葉を耳にしながら、萱はそんな世界たちを見つめる。
 学生の作品は鮮やかで――向かい合えば少し懐かしいような、もう持ちえないものであるような。
 仄かな名残惜しさが胸を掠めるけれど。
「刻逆が起きて、高校で学園祭は出来なかったけど。刻逆が起きたから、こうして萱さんと遊びにこれて――楽しい思い出が、重なりました」
 ショウが紡ぎ落とす言葉にふと、窺って。
「かわりに重ねる思い出になるのは、随分大役である気もするけれど。そう言っていただけるなら光栄」
 そして告げて返すは、きっと重ねられるだろうこれからの彩りたち。
「これ程世界が覆って、けれどまた手にしたのだから。きっとこれからも、まだいくらだって、望むことが叶いますよ」
 そんな彼が紡ぐように、自分のキャンバスに何を重ね描こうかと考えれば、笑みも零れて。
「ふふ、きっとたくさん望んでしまいそうです」
 そう瞳細める彼女の姿を向けた琥珀に映しながら、萱はその手を差し出す。
 いくらでも、と――印象のうちではいつまでも少女の、貴女へ、と。
 そしてその言の葉で迷いが晴れるから……また、叶えてくれますか? って。
 ショウは彼とかさねる。楽しい思い出と一緒に――応える手を貴方に、と。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【グロリアス】がLV3になった!

 学園祭は今年も大盛況、このままあとは閉会式を迎え、幕を閉じるだけ――。
 とはいかないことを、ディアボロス達は知っている。
 これからこの場で起こることを、生徒も教師も一般客も、予想していないだろう。
 容赦なく赤が飛沫き、阿鼻叫喚の悲鳴が響くことになるとは、誰も。
 悪魔に憑かれた少女を守る為だと、彼――真緋人が起こす惨劇を。
 いや、だからこそ自分達は今、刻を翔け此処に在るのだ。
 程なくして中庭のステージに上がる真緋人のことを、信念と力を示して、止めるために。
シル・ウィンディア
迷いは吹っ切れたかな?
それじゃ、道を切り開くための戦いを始めましょうかっ!!

避難勧告を使いつつ、声掛けも行っていくよ。
「ここはもう少ししたら危なくなるからっ!焦らずにここから退避して!!」
言いつつ、ステージを注視するよ。

トループスが出てきたら、高速詠唱で隙を減らしてからの六芒星精霊速射砲!
対多数もいいけど、確実に落としていくよっ!
狙いは、敢えて攻撃の受けていない敵を中心に撃っていくよ。
ダメージ量は高いからダメージソースにはもってこいだよっ!

初撃以降は、みんなとターゲットを合わせて攻撃を仕掛けるよ。
どんどん撃ち抜いちゃうから覚悟してね、デーモンさん達っ!

攻撃時は、一般の人達がターゲットにならないように、動き回って攪乱と注意を惹くようにするよ。
ね、ここから先は通行止め。
通りたかったら、わたし達をどうにかしてからにしてね?

トループス戦が終わったら…。
アンゼリカさんの行動を見守るようにして待機。

一言いいたいけど、それは本番が始まってからだね。
…あなたの想い、ぶつけてきてね。


アンゼリカ・レンブラント
脱出を始める一般人を、仲間と確認していた避難経路へ
進むよう促しつつミアとステージへ

遅くなってごめん、真緋人
でも私達の愛するミアは今、ここにいるから!
だから打ち砕きに来たよ
君の望みじゃない
悪魔の企てを!

悪魔よ、信念も力も測るなら好きにどうぞ
必ず、守ってみせるから

ミアの「心の英雄」に合わせるよう歌いつつ
仲間と連携を意識しトループス級へ攻撃パラドクスの閃光斬撃を叩き込み
敵の気を惹きながら泥濘の地を発動、動揺を誘う
万一にも一般人に被害は出さないよ

倒せる相手を巻き込み光剣を振るい、数を減らす
足を使い同じ場所に留まらない
複数個体から集中砲火を受けないよう気をつける

英雄に憧れていた
大好きな子がいた
幼き日、私達は同じだったよね

早く大人になりたかった
憧れた英雄のように

でもね
あの頃こそが、尊い時間だったって今は思うよ

想いと共に、当時の肉体年齢――ネメシス形態の戦乙女の姿に
全力の《光剣閃波》で、殲滅するよっ!

真緋人だけになったら、元の姿で近くへ
「陽菜」だよ真緋人

忘れえぬ日々の未来である今を
悲劇で終わらせない!


ユーフェミア・フロンティア
避難勧告を使用して、生徒さん達を避難させつつトループス級と対峙しますね。

トループス級…。
あれ?確かこのクロノヴェーダはアシュタロスの使徒でしたっけ?
もしかして、アシュタロスはこのような事件を北区の中で起こしていたのでしょうか?
今となってはわかりませんが、この悲劇はここで終わらせないと、ですね

アンゼリカ、気負い過ぎないでね。
私もいる、皆さんもいる。
だから、貴女はあなたのままで立ち向かって。

パラドクス攻撃は、味方と攻撃対象を重ねて確実にダメージと倒すことを意識して行っていきますね。

使うパラドクスは、心の英雄。
歌い上げるは、黄金の騎士の英雄譚。
でも、その英雄は、私だけの英雄…。
囚われた私を助けてくれた、一人だけの…。

でも、あの頃と違うのは…。
助けられただけのお姫様なんかじゃない私がここにはいる。
貴女と、ともに肩を並べて立ち向かえる私がいる。
だから…
隣と後ろは任せてね。

貴女は真っすぐにぶつかっていってくれればいいから。

しかし…。
真緋人さんが陽菜を好きなんだろうなぁって思うのは私だけなのかなぁ?


四葩・ショウ
実行委員や教員の近くで待機しておいて
灯る【避難勧告】が響いたなら
非常ベルが――!
先生、皆を誘導してください
【士気高揚】で促せば、焦茶の冒険靴の足音鳴らして、ステージへと駆け出そう

縺れ躓く生徒がいれば
大丈夫だよ、落ち着いて
手を差しのべて助け起こす

悪魔が生徒を追うとしても
背に庇って行かせない
傷付くことも血を流すことも厭わないよ、絶対に
誰も、何も、傷つけさせない
――わたしは彼女の願いを叶えに来たんだ

いちばん傷が深い敵を狙って
素早い殲滅を目指すけど
仲間が動き易いよに
序盤はフリーの敵を牽制したり、
使徒の役割を利用して
クロノス級を襲うフリをしたら
わたしに注目させられたりしない?

オッケー、こっちは任せて
声をかけ、仲間と連携して戦うよ
悪魔の特攻には
硝子のレガリアから魔力の雨降らせ威力を落として
或いは反撃の光の嚆矢で、その悪逆を刺し貫いてあげる
萱さんの呼ぶ声にはい!と声弾ませ
彼が示す先へとまよわず駆けだして

白のガーベラが揺れて、
希望はたしかにこの胸に咲くから
アンゼリカさんが羽搏く路を
邪魔させたりは、しない


イツカ・ユメ
うゃぁ、恥ずかしかった……でも、自分の想いを言葉にするのは大事なことだものね。
アンゼリカちゃんも、これから会う人に想いを届けられるように。
さぁ、ここからはわたし達のステージだよ!

事前に見て回った校内の様子と、【避難勧告】を活用して、他の皆と手分けして一般人の安全圏への避難を促すね。
明るい笑顔と歌声で、皆を安心させて混乱を押さえるように。
大丈夫!楽しい学園祭は、絶対に壊させない!わたし達がいる限り、誰の命も奪わせないよ!

【泥濘の地】で少しでも敵の動きを鈍らせつつ、皆と協力して片っ端からぶん殴るよ!
特攻上等!真正面から受けて立つ!……と見せかけて、お願いキット!(モーラットをもきゅっとぶん投げる!)
万が一、敵が一般人を狙うそぶりを見せたら最優先で庇うね。
皆が笑顔で学園祭を楽しんで、全員無事にお家に帰れるのならば、多少の怪我は厭わないよ。

…それから、可能な限りアンゼリカちゃんをディフェンス。
可愛い女の子が、大切な人に、想いを届けにいくんだもの。
なるべく元気なままで、送り出してあげたいじゃない?


標葉・萱
祭りの名残もひけないうちだというのに
どうか楽しい記憶が、汚されないように
避難勧告に伴うように避難誘導を

駆け出す皆を見送りながら
場外へ駆け出す人々の守護へ
大丈夫、彼らが守ってくれるから
振り返らずにそのまま、外へ
手述べて先へと促して背に手を添え
逸れる子がいないように

使途が危害を加えるのを阻むのを最優先に
さして頼りにはならないかもしれないけれど
身一つ、盾くらいにはなるでしょう
牽制ばかりの銃携えて、気を引きながら
四葩さん、
きっと彼女の足なら間に合うからと
呼びかける声は信頼をこめて

まっすぐな願い事も
道を過てば毒になる
そんな悲しい幕は降ろしたくないでしょう
だからアンゼリカさんの呼びかけにいらえて
ステージまで辿り着けるように尽くしましょう


 楽しい時間は、あっという間だとはいうけれど。
 翔煌学園の学園祭のスケジュールも、残すはあと閉会式のみ。
 ステージがある中庭には、生徒や教師達は勿論、来場客の姿も沢山ある。
 閉会式とは言っても、ただ挨拶があるだけではなくて。
 吹奏楽部の演奏に合わせて皆で歌ったりダンスパフォーマンスがあったりと、楽しい催しも企画されていて。
 学園祭の盛り上がりも、まさにクライマックスを迎えんとしていた。
 そんな生徒達に混じって、制服のセーラー服の青リボンを指でくるりと弄びながらも。
(「うゃぁ、恥ずかしかった……でも、自分の想いを言葉にするのは大事なことだものね」)
 イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)が思い返すのは、屋上で恋人さんへの大好きを叫んだ時のこと。
 ちょっと大胆だった気もして、ちょっぴり今になって恥ずかしくなったりもするけれど。
 こういう特別なお祭りだからこそ、普段はできないようなこともできちゃうものだし。
 そんな魔法のように大胆になれるような、生徒達が築き上げたこの賑わいに、背中を押されたことは確かだから。
 イツカは、楽しかったこの学園祭を大成功に終わらせるために。
 そして此処へ来た目的を確りと心に留めながら、来たるその時を待つ。
(「アンゼリカちゃんも、これから会う人に想いを届けられるように」)
 皆が幸せなフィナーレを迎えられるように、真っ向から『彼』とぶつかり合う彼女の背中を押せるようにと。
 同じ様にシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)も、閉会式の会場に確りとスタンバイしながら。
(「迷いは吹っ切れたかな?」)
 見かけたその顔は、此処へ赴いたばかりの時のものとは明らかに変わっていたから。
 ふと改めて目を向ければ……ステージへと上がらんとする、ひとりの男子生徒を見つけて。
 彼――『復讐者を測るもの・真緋人』が、ステージへと続く階段に足を踏み出した、その時だった。
『……!?』
 瞬間、赤い光が明滅し、けたたましく中庭に鳴り響くサイレン。
 そして。
「えっ、な、何!?」
「何だか分からないけれど、に、逃げなきゃ!」
「そうだ、逃げるぞっ」
 避難勧告の残留効果で、赤の明滅に染まる中庭から、一斉に脱出を始める人々。
 それに――これが、合図。
「それじゃ、道を切り開くための戦いを始めましょうかっ!!」
「さぁ、ここからはわたし達のステージだよ!」
 シルとイツカは同時に動き出す。
 誰一人も被害者を出さないように、そして彼女の声が彼に届くように。
 さらに、突然の出来事に騒然となる広場に、突如響く声。
「非常ベルが――! 先生、皆を誘導してください」
「あ、そ、そうね、慌てないで! 押さないように!」
「皆、落ち着いて順に此方から!」
 耳に届いた四葩・ショウ(After the Rain・g00878)の声に、狼狽えていた教師達もハッと顔を上げて誘導を。
 そんな教師達を士気高揚で促したなら、足音鳴らすは遊び心あるヴィクトリアの靴という言葉を名に冠した焦茶の冒険靴。
 軽やかに爪先が導くままショウが駆け出すは、逃げる人々とは逆のステージの方。
 その最中でも、すかさずその手を差しのべて。
「大丈夫だよ、落ち着いて」
 縺れ躓く生徒の手を引いて助け起こせば、向かうべき方向へと正しく導いてあげる。
 イツカもそんな皆と手分けして、事前に見て回った校内の様子と避難勧告を活用して、まずは一般人に安全圏への避難を促しつつも。
「折角の学園祭が、こんなことに……」
「ひいっ、い、一体何が!?」
「大丈夫! 楽しい学園祭は、絶対に壊させない! わたし達がいる限り、誰の命も奪わせないよ!」
 響かせるのは、声。
 いつかどこかで聴いた、穏やかに時を刻む、木漏れ日のぬくもりのような響きの歌と。
 明るい笑顔で、皆を安心させて混乱を押さえることも、確りと心掛けて。
 ステージへと駆け出す皆を見送りながら、標葉・萱(儘言・g01730)も場外へ駆け出す人々の守護へ。
「大丈夫、彼らが守ってくれるから」
 手述べて先へと促し、その背に手を添えれば……振り返らずにそのまま、外へ、と。
 逸れる子がいないように、避難勧告に伴うように避難誘導を行なっていく。
(「祭りの名残もひけないうちだというのに」)
 どうか楽しい記憶が、汚されないように――と。
 そっと送り出した、逃げてゆく子の背を見届けながら。
 そしてシルも避難勧告を使いつつ、声掛けも行っていく。
「ここはもう少ししたら危なくなるからっ! 焦らずにここから退避して!!」
 そして言いながらも、注視するのはステージの上。
 思わぬ展開に、完全に虚を衝かれたかたちになった『復讐者を測るもの・真緋人』であるが。
 刹那、真緋人の周囲に現れたのは、彼を護衛する配下達。
 そんなトループス級の出現に悲鳴を上げる一般人を、仲間と確認していた避難経路へと進むよう促しながらも。
 アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)は、ユーフェミア・フロンティア(光彩聖姫・g09068)と共に向かう。
 『復讐者を測るもの・真緋人』……いや、幼馴染みである真緋人のいるステージへと。
 そしてユーフェミアは、まずは彼の護衛にあたっているトループス級と対峙しながらも、ふと微か首を傾ける。
「トループス級……。あれ? 確かこのクロノヴェーダはアシュタロスの使徒でしたっけ?」
 そう――それはアンゼリカも気付いていたこと。
 真緋人と共にある配下は、『アシュタロスの使徒』。
(「もしかして、アシュタロスはこのような事件を北区の中で起こしていたのでしょうか?」)
 そう考えるユーフェミアと共に並び立ちつつ、アンゼリカも同じ様に。
 アシュタロスの元々の二つ名を思えば、それに堕とされた眼前の彼をみれば……色々と、思うことはあれど。
 アンゼリカや皆の手で討った彼女はもう誰も堕とすことはできない。
 目の前の真緋人だって、勿論のこと。
 だから、ユーフェミアも顔を上げて。
(「今となってはわかりませんが、この悲劇はここで終わらせないと、ですね」)
 ステージへと上がり、彼へと視線を向ける。
「遅くなってごめん、真緋人」
 ……でも私達の愛するミアは今、ここにいるから! って。
 そう真っ直ぐに彼へと紡ぐアンゼリカの声を聞きながら。
 そしてそんな自分達を、まるで測るかのように見つめる真緋人に。
「だから打ち砕きに来たよ」
 アンゼリカはまずは、『彼』へと語り掛ける。
 ……君の望みじゃない。悪魔の企てを! と。
 放っておけば、真緋人が起こしてしまうという惨劇。
 勿論それは決して許されない、阻止せねばならないことだ。
 けれどアンゼリカは、ふと考えてしまっていた――仮に悪魔ではなく、真緋人が本当に望んで愛する人の為に行おうとしていた場合は?
 それにもしも、自分と彼が逆であったなら。
 復讐者が敗北し彼女を守れなかった今、そうするしかない、と。
 新宿駅で彼がそう言っていたと聞いて、ついそんなことを考えてしまうこともあったアンゼリカだけれど。
 でも今なら迷わず言える。だって、きっと違うから。
 こんな手段で、彼が――真緋人が、望みを叶えたいはずがない。
 だから今度は『彼』を宿主にしている『復讐者を測るもの・真緋人』へと、アンゼリカははっきりと告げる。
「悪魔よ、信念も力も測るなら好きにどうぞ」
 ――必ず、守ってみせるから、って。
 その言葉に、見定めるようにアンゼリカや復讐者達をくるりと見回してから。
『力をつけ、悪魔の中で発言力を持てば、彼女の意識が砕かれるのを護れる。だが、その邪魔をするというのなら、見せてもらおうか』
 復讐者を測らんと、赤の瞳を細めて返す。
 信念や力を測る言の葉を紡ぎ、その上で叩き潰さんとしようと。
 その行動には、悪魔の宿主となった彼の人格も影響しているらしいが……まずは小手調べと、復讐者達を試すかのように。
 護衛のアシュタロスの使徒を差し向けてくる『復讐者を測るもの・真緋人』。
 そんなトループス級の動向から目を離さぬまま。
「アンゼリカ、気負い過ぎないでね」
 ユーフェミアは共に並び立つ彼女へと声を掛ける。
「私もいる、皆さんもいる。だから、貴女はあなたのままで立ち向かって」
 あの日以来、いつも傍にいるから……どうしても想いの強さで気負っちゃうところがあるアンゼリカのことはお見通しだから。
 そしてステージを降りた悪魔の数体が――ウィーンガシャン、キュラキュラ、と生徒を追わんとするも。
「誰も、何も、傷つけさせない」
 背に庇うショウが行かせやしない。
(「傷付くことも血を流すことも厭わないよ、絶対に」)
 ひとりでももしも守れなかったら、それは違うから。
 ショウは踵をぐっと踏みしめ、爪先を鳴らす。
 誰かが、何かが、傷つけば……それは彼女の願いではない。
 ――わたしは彼女の願いを叶えに来たんだ。
 それが、ショウが、皆が、此処へと時を超えてやって来た理由なのだから。
 そしてシルも高速詠唱で隙を減らしながらも、その背に広げるは二対の青白い魔力翼。
 ――世界を司る六界の精霊達よ、六芒星に集いてすべてを撃ち抜く力となれっ!!
『……!!』
 キュラキュラキュラキュラと音を立てて迫る敵へとぶっ放すのは、六芒星精霊速射砲!
 狙い撃つのは、敢えて攻撃の受けていない敵を中心に。
 そう、魔力翼で反動を抑える必要があるほどに威力は高いから、ダメージソースにはもってこい。
 開幕の号砲代わりに、豪砲の初撃を見舞ってやれば。
「特攻上等! 真正面から受けて立つ!」
 シルの攻撃に堪らず揺れるアシュタロスの使徒へと、いざ尋常に勝負!
「……と見せかけて、お願いキット!」
 少しでも敵の動きを鈍らせるべく、泥濘の地を展開しながらも――ぶんっ! と。
 もきゅっとぶん投げたのは、モーラットのキット。
 そして、もふんっとキットが突撃をかませば、皆と協力して片っ端から使徒どもをぶん殴ります!
 ショウも続いて、いちばん傷が深い敵を狙って追撃を繰り出し、素早い殲滅を目指しながらも。
「オッケー、こっちは任せて」
 声をかけ連携して、仲間が動き易いようにと、フリーの敵を牽制したり、真緋人の護衛だという使徒の役割を利用して。
(「クロノス級を襲うフリをしたら、わたしに注目させられたりしない?」)
 攻撃を今にも仕掛けんとする仕草を向けてみるのは、ステージの方。
『キュラキュラキュラキュラ……ッ!』
 そして自分へとまんまと特攻してくる敵を見遣れば口遊む。
 そう――聖歌がきこえたなら、舞い降りるは幻影の天使。
 刹那、開花した硝子のレガリアから降り注ぐのは、魔力の天泣。
 相手の突撃の威力を落とし、すかさず反撃に転じれば、雨にも似た光の嚆矢で悪逆を刺し貫いてあげて。
 逃げる人達へと危害を加えようと迫る使徒を阻むのは、萱。
 さして頼りにはならないかもしれないけれど……なんて口にしながらも、守ることを最優先に。
「身一つ、盾くらいにはなるでしょう」
「皆が笑顔で学園祭を楽しんで、全員無事にお家に帰れるのなら、多少の怪我くらい何てことないよ!」
 一般人を狙うそぶりを見せた敵の前に、イツカもすかさず割って入って。
「どんどん撃ち抜いちゃうから覚悟してね、デーモンさん達っ!」
 青白い魔力翼を背に広げたシルが連射する高出力砲撃魔法が、皆とターゲットを合わせた敵を次々と撃ち抜いていく。
 そして、ステージにいるユーフェミアとアンゼリカだって、信念や力を悪魔が測るというのならば見せてあげる。
 味方と攻撃対象を重ね、確実なダメージと倒すことを意識しながらも、歌い上げるユーフェミア。
 ――信じているよ 誰かのため 戦う貴方を 何より 私の英雄を♪
 それは心の英雄である、黄金の騎士の英雄譚。
 でも自分の歌声に合わせるように重なる、彼女の――。
「その英雄は、私だけの英雄……。囚われた私を助けてくれた、一人だけの……」 
 自分だけの英雄の歌声が、耳に届けば。
「どんな相手でも、この光剣で叩き斬るよっ」
 ――負けるもんかーっ! って。
 アンゼリカがアシュタロスの使徒へと叩き込むのは、光剣閃波振るう光の剣の閃光斬撃。
『……ッ、!?』
 さらに敵の気を惹きつつ発動させた泥濘の地で動揺を誘いつつも。
 万一にも一般人に被害は出さないよう立ち回り、戦場に響く歌に乗せて。
 複数個体から集中砲火を受けぬよう、足を使い同じ場所に留まらないようしながらも。
 倒せる相手を巻き込み光剣を振るい、連続で繰り出しては敵をなぎ払っていくアンゼリカ。
 アシュタロスの置き土産――彼女の使徒だという輩を、握る光の剣で叩き斬っては数を減らしていって。
「ね、ここから先は通行止め」
 素早い対応の成果でほぼ避難が終わっている一般の人達が、再びターゲットにならないようにと。
『……!』
「通りたかったら、わたし達をどうにかしてからにしてね?」 
 敵の攪乱と注意を惹くように動き回り、派手に立ち回れば。
 牽制ばかりの銃携えて、敵の気を引きながらも――四葩さん、と。
 萱は呼びかける。その声に信頼をこめて。
(「きっと彼女の足なら間に合うから」)
 避難の仕上げを邪魔する残党を全て仕留めるために、人々を守るために。
 硝子のつばめが翔けたなら――ほら、耳に聞こえる。
「はい! わたしの出番、ですね?」
 軽やかな靴音と、弾むように返る声が。
 刹那駆けつけるのはそう、オールドローズ色の瞳の乙女。
 それがわかっていたから、萱は硝子のカードを砕いて示して。
 星の如く鏤められた小さき瞬きが放つ衝撃に合わせ、敵を貫くのは、まよわず駆けだしてショウが繰り出す、虹のひかり纏う硝子のレイピアの冴える一撃。
 晴れの日をまた迎えるように、一緒に困難に立ち向かうために。
 そして、彼女から贈られた白のガーベラが揺れて、希望はたしかにこの胸に咲くから。
「アンゼリカさんが羽搏く路を、邪魔させたりは、しない」
 ショウが逃げる人々を追うアシュタロスの使徒を貫けば、せいなるかな――光の嚆矢が悪しきものに引導を。
 そしてユーフェミアは、自分だけの英雄の煌めきを瞳に映しながらも。
 心に勇気を奮い立たせる繋がる歌声を響かせ、実体化させた心の英雄を敵へと向かわせつつ、紡ぐ。
「でも、あの頃と違うのは……」
 ……助けられただけのお姫様なんかじゃない私がここにはいる、と。
「貴女と、ともに肩を並べて立ち向かえる私がいる」
 だから……隣と後ろは任せてね、と。
 そう胸を張って、ユーフェミアはアンゼリカを送り出せるのだ――貴女は真っすぐにぶつかっていってくれればいいから、って。
 そしてアンゼリカもまた、勇気を胸に躊躇なく踏み出せる。
 背中を、隣を、守ってくれる大切な人がいることを知っているから。
「英雄に憧れていた。大好きな子がいた。幼き日、私達は同じだったよね」
 そう口にするのは、あの頃のふたりが抱いていた想い。
 ――早く大人になりたかったのだ、憧れた英雄のように。
 その気持ちは当時は歯がゆくもあり、力不足を時には痛感したりもしたのだけれど。
「でもね。あの頃こそが、尊い時間だったって今は思うよ」
 アンゼリカの声は、戦闘中の今、真緋人に届いているかは分からないけれど。
 でも、必ず届けるって、そんな強き想いと共に。
『!』
 当時の肉体年齢――ネメシス形態の戦乙女の姿に変ずれば。
 残る使徒がアンゼリカへと攻撃を繰り出さんとするも。
「可愛い女の子が、大切な人に、想いを届けにいくんだもの」
 ……なるべく元気なままで、送り出してあげたいじゃない? なんて。
 イツカが咄嗟に身を呈して庇いに入れば、萱もショウと共に彼女の邪魔なんてさせない。
「まっすぐな願い事も、道を過てば毒になる。そんな悲しい幕は降ろしたくないでしょう」
 ……だからアンゼリカさんの呼びかけにいらえて、ステージまで辿り着けるように尽くしましょう、と。
 そして、そんな皆に守られながらも。
『――ッ、!!』
 戦乙女は握る剣を振るい、全力の光剣閃波でアシュタロスの使徒を殲滅する。
 守ってくれて、道を作ってくれた皆を、守るために。
 瞬間、全ての使徒を倒したことを確認してから。
 シルはアンゼリカの行動を見守るようにして暫し待機する。
「一言いいたいけど、それは本番が始まってからだね」
 ……あなたの想い、ぶつけてきてね、とそう送り出して。
 ユーフェミアも同様に、彼と彼女、ふたりのことを見守りながらも。
 しかし……と、再び首を傾ける。
(「真緋人さんが陽菜を好きなんだろうなぁって思うのは私だけなのかなぁ?」)
 過去にそうだろうと思ったこともあったし。
 これまでは悪魔の影響か、自分達の言葉に耳を貸さなかった彼が。
 ――「陽菜」だよ、真緋人。
 そんな彼女の声に、やはり微か反応を示したように見えた気もして。
 そしてアンゼリカは、自分を測るように赤の瞳を向ける悪魔にではなく。
(「忘れえぬ日々の未来である今を、悲劇で終わらせない!」)
 想いの言の葉をぶつけるべく――真っ直ぐに、真緋人と向き合う。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】LV1が発生!
【泥濘の地】LV2が発生!
【プラチナチケット】LV2が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【グロリアス】がLV4になった!

アンゼリカ・レンブラント
悪魔が真緋人の口を借り
何を言おうと気にせず彼の心に呼びかける

一緒にミアを護ると誓った日から時は流れ
力を得たのは、私だけ
でも君は、暗い気持ちを見せず私を笑顔で応援してくれた
私が真緋人の立場ならそんな風に出来ないよ

応援を受けた上で私は一度、ミアを護れなかったね
記憶を失い無意識に名乗ったのが、幼き日憧れた英雄の名「アンゼリカ」
憧れの形とは異なり、恰好だけだった

そんな私だけど
ミアと、多くの友と一緒に復讐者やってるんだ
かつて敗れた悪魔より遥かに強い敵にも勝ってきた
英雄の力よりも強い
絆が私を満たしているから

アンゼリカの名は、もう己を護る為の名前じゃない
新宿島でみんなと出会い、ミアと未来を拓けた名前
だから胸を張ってこの名前と生きていくって決めたんだ

今の私ならわかります
力に恵まれなくても
想い託した者が一度は敗れたとしても
貴方は愛する人に胸を張れない生き方はしない

だから、お願い
自分を保ちもう一度、貴方自身の声を聞かせてください
幼き日の想い出と、貴方に【託されし願い】と共に
今度こそ悪魔には決して屈しないから


 向けられるその赤い瞳に、今の自分はどう映っているのか。
 いや、分かっている。悪魔は測っているのだ、自分達復讐者の信念や力を。
 そしてその上で叩き潰そうとするのだという。
 けれど、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)が声を向けるのは、そんな悪魔『復讐者を測るもの・真緋人』にではない。
 幼馴染みで、何かと競い合ったライバルで、そして共に誓い合った同胞・真緋人へと届くようにと。
 信念や力を測り、潰さんとする行為は、悪魔が彼の身を使って行なっていること。
 だがその行動は歪んではいるものの、真緋人の人格の影響も受けている気がするから。
 真緋人自身の心も――きっとまだ、消え失せてなどいない。
 だから、アンゼリカは真っ直ぐに彼とぶつかる。過去のふたりが、そうであったように。
『全ては「悪魔に憑かれた少女」を守る為だ』
 真緋人の口を借りてそう紡ぐ悪魔。
 けれど悪魔が何を言おうと気にせず、アンゼリカが呼びかけるのは彼の心。
「一緒にミアを護ると誓った日から時は流れ、力を得たのは、私だけ。でも君は、暗い気持ちを見せず私を笑顔で応援してくれた。私が真緋人の立場ならそんな風に出来ないよ」
 共に、憧れていたのだ。力に溢れ眩い輝きを放つ、英雄という存在に。
 早く大人になりたい。大切なものを守れるくらいの力が欲しい、と。
 だから、自分だけ力を得た時の……なのに、笑顔で応援してくれたその時の、彼の気持ちを思えば。
 自分だったら同じようにはできなかっただろうって思うし。
『復讐者が敗北し彼女を守れなかった今、こうするしかない』
 彼が悪魔に堕ちてしまうことだって、そう紡がれた言葉だって、頷いてしまうのだ。
 ――だって。
「応援を受けた上で私は一度、ミアを護れなかったね」
 力を得た『陽菜』は、悪魔に敗れたのだから。
 そして、記憶を失い流れ着き、無意識に名乗ったのが『アンゼリカ』。
 けれどそれは名ばかりの借り物で、それらしく真似ていただけで。
「憧れの形とは異なり、恰好だけだった」
 力を得れば、ヒーローになれると思っていた。
 でも、失ったのだ。競い合った友が得られなかった力を得たというのに……大切なひとを、守れなかった。
 本当の『陽菜』は自信なんてない、ヒーローとは程遠い無能な娘。
 それを思い知らされて、振り返れば、惨めさが込み上げてしまうことだってあったし。
 大切なひとを守るために力を欲していたのは、陽菜だけでなく、真緋人だって同じで。
『力をつけ、悪魔の中で発言力を持てば、彼女の意識が砕かれるのを護れる』
 英雄となることと、彼は天秤にかけたのかもしれない。
 力を得るためならば、誓いを守るためならばと。
 悪魔が今の彼に言わせているように――『全ては「悪魔に憑かれた少女」を守る為』に。
 自分がもしも彼の方の立場であったなら、同じ様に悪魔となっていたのかもしれないって、思うから。
 だが、無力に唇を噛みしめていた自信なき少女は、歯を食いしばりながらも、勇気を胸に前へと踏み出したのだ。
「そんな私だけど。ミアと、多くの友と一緒に復讐者やってるんだ。かつて敗れた悪魔より遥かに強い敵にも勝ってきた」
 だからこうはっきりと、彼にだって言える。
 ――アンゼリカの名は、もう己を護る為の名前じゃない、と。
 確かに前までは、憧れの英雄をただなぞっているだけの『偽物のアンゼリカ』であったかもしれない。
 でも、今は。
「新宿島でみんなと出会い、ミアと未来を拓けた名前。だから胸を張ってこの名前と生きていくって決めたんだ」
 ……英雄の力よりも強い絆が私を満たしているから、と。
 だって今の自分はもう、憧れをなぞる必要なんてなくなった、『新宿島のアンゼリカ』なのだから。
 そう向ける声を無言で聞いているのは、真緋人自身なのか、復讐者を測っている悪魔なのか、それは分からないし。
 言いたいことだって、話したいことだって、溢れるほど沢山あるのだけれど。
 でもこれだけは、真緋人に伝えたいから。
 自分は『陽菜』としての道を歩んできた存在であり、そして、自分達の大切なひとは生きているのだと。
 それに、信じているから。
「今の私ならわかります。力に恵まれなくても、想い託した者が一度は敗れたとしても。貴方は愛する人に胸を張れない生き方はしない」
 これは真緋人が望んでいる行動では決してない、と。
 それに、競い合ってきて、誓い合った間柄だからこそ。当時のような言葉で語り掛け続ける。
「だから、お願い。自分を保ちもう一度、貴方自身の声を聞かせてください」
 ……今度こそ悪魔には決して屈しないから、と。
 そしてそう告げながらも、どうすれば彼に一番よく分かって貰えるかも、アンゼリカにはわかっている。
 堕とされた彼が、『復讐者を測るもの』となったことを思えばこそ。
 彼の心に、自分の、自分達の言葉が確りと届くように。
『お前達が正しいなら俺を倒してみせろ!』
 赤の瞳を細めた『復讐者を測るもの』が、『真緋人』が言うように、アンゼリカは示してみせる。
 幼き日の想い出と、貴方にと向けた託されし願いと共に。
 英雄の力よりも強い、自分達の絆を――ディアボロスとしての信念と力を今、全力で。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

アンゼリカ・レンブラント
ネメシスは法衣の聖女姿
恋人のミアと手を取り
友と【パラドクス通信】で動きを合わせ真緋人に向かうよ

正しいかは分からない
私達の戦いは正義を為すことではなく
大切なものを取り戻すこと
けれど貴方を縛る悪魔には必ず勝つよ

個の力には非ず
束ねた絆は何よりも強い!

言葉の通り積み重ねた残留効果を生かし悪魔を光剣で捉え、
反撃もしっかり剣と盾で受け、接近戦を続けるよ
身体能力はともかく技量は私が上
そして援護してくれる友が、愛する人がいる
それは無限の勇気を私にくれるんだよ!

戦いながらも真緋人に呼びかけるのをやめない
私個人じゃなく
「私達」だから、あの頃とは違う高みに辿り着いたんだ
もう二度と、託されし願いを果たせないままにはしない

だから、――帰ってきてよっ
想いの全てを込め《光剣収束斬》で勝利を掴むよ!

決着をつけたら
この世界が崩壊する前に陽菜として真緋人の手を取る

私ね
きっとあの頃真緋人さんが好きでした
でもあの頃の陽菜にはもう、決して戻れないから

だから
零れる涙を拭って

新宿島のアンゼリカとして
全部取り戻すため!頑張ってきます!


四葩・ショウ
――ああ
ただ独り、残された貴方は
『そうするしか』なかったんだね
でも、もういいんだ
堕とされてしまったその手が罪に染まる、前に

仲間と連携をとりいっしょに戦って
アンゼリカさんと萱さんをディフェンス
硝子のレイピアをまよわず揮うのは
彼と彼女達の望む未来を、取り戻すために

ねぇ、『貴方』は何を護りたかったのかな
悪魔に憑かれたミアさん?
それとも――アンゼリカさんとの、約束?

なんのちからも持たない
刻逆以前のわたしなら
ママとあの子(妹)を護るためだったら――

悪魔にでも天使にでも……魔女にさえ
歓んで『わたし』を差し出す
……二人はわたしが……
わたしが、護らなくちゃ

だけどね
此処にいるわたしは『復讐者のショウ』
あの夏の日
わたしは運命に選ばれたのかもしれない
わたしが運命を、選んだのかもしれない
それはわからないけど

だめだよ
その想いは、アークデーモンには渡さない
堕とされたその『罪』は
このひと突きで贖うから
彼女の希いが届くように

だいじょうぶ、信じてる
闇が思い出を飲み込んだとしても
彼女のひかりが闇を裂いて、照らしてくれるって


イツカ・ユメ
…あなたを倒すことが正しいのじゃなくて
本当のあなたを取り戻すことが正しいことだと、わたしは思うから
この想い、叩き潰せるものならやってみなさいっ!

…新宿島に来たばかりのわたしには、復讐者の力は持っていたけれども、そこに至るまでの記憶は無かった
でも、もしもそれが逆だったら?
大切なものを守れなくて、大好きなものを奪われてしまって
悔しくて悲しいのに、自分には何の力も無かったら?

…それでも、きっと
わたしは希望を、夢を歌う
何の記憶も無かったわたしに、友達が、居場所が、大切な人が見つかったのだもの
何の力も無くたって、わたしは、わたしの夢を諦めないよ!

そう
夢は、生きる力
魔法の弾丸で制約を受けても、この夢がわたしの身体を突き動かす!
この場に集った復讐者……わたしが出会った"英雄達"の軌跡をなぞって
皆と一緒なら、奇跡だって起こしてみせる!

いつか、きっと……ううん、いつかじゃなくて、きっと今、夢は叶うから!
闇を照らす太陽のように輝くアンゼリカちゃんの夢を、願いを、全力で応援するよ!


シル・ウィンディア
力がないなら、求めていたかもしれない。
たとえどんな手を使っても、ね。
それが、かけがえない大切な人を想うのならなおさらかな?
でも、救おうとする相手がそんな力を望んでいないのなら…。
そんな力はいらない。
この身一つで立ち向かうだけっ!

ネメシスモード開放っ!
銀髪青目の白黒1対ずつの翼を持った天使モード。
さぁ、始めましょうか。

味方の動きを観察しながら、パラドクスを放つタイミングを計るよ。
今回は、後方から援護砲撃だね。
…隙間を見つけたら、全力魔法の十芒星精霊収束砲!
わたしの全力、遠慮せずにもってけーーっ!!

相手のパラドクスは、パラドクス砲撃時に発現する光の翼で防御を。
ふふふ、これでも死線はたくさん潜り抜けているよ。
それだけで倒せるとは思わないでね。

正しいのなら、か…。
何が正解か、何が間違っているかだなんて、そんなの知らない。
わたしは、わたしの思うままに行くだけだから。
だから、押し通させてもらうよ。
友達をあなたの元に届けるっていうわがままをっ!

…アンゼリカさん、全力で行って来てね。
あとは見守るだけ…


ユーフェミア・フロンティア
ネメシスモードは、法衣の聖女姿。
アンゼリカの手を取って、一緒に真緋人さんへ向っていきます。

私が原因でなったことですよね。
真緋人さんも陽菜も…。

でも。
私は陽菜…。ううん、アンゼリカと皆さんに助けてもらった。
今度は、貴方を助ける番です。
例え望みが少なくても…。
それをしない理由にはならないですから。
だから、全力で行きます!

使うパラドクスは、神焔収束砲。
弓を構えて一言一句、じっくりと詠唱を行って放ちます。
援護をするように、アンゼリカの背中を押すように…。
後方援護を目的に撃ち抜ぬきます

力が無くて助けられるだけのお姫様の私はここにはいません。
だから、その悪魔の力は必要ないはずです。
悪魔の力を振り払うのなら、その為の剣に私達はなります。

アンゼリカ…。
私を助けてくれた大切な人。
貴女の想いなら、きっとどんな困難も断ち切れるはずだよ。
だから、貴女はあなたのまま…。
全力で行ってらっしゃい。

帰る場所は私の隣に。
悲しいなら、抱きしめてあげる。
嬉しいなら、一緒に喜ぶよ。

だから、目一杯、あなたの全力をぶつけてきてね。


標葉・萱
目を瞑った私よりは余程勇気があると
そう思いもするけれど
だから尚、見過ごせないのでしょう
その在り方がけがれてしまうのを。
信頼しているからこそ、正すのでしょう
だから、その影を掃う手伝いを、

アンゼリカさんのゆくさきを拓く手伝いを
同道の仲間と連携を取りながら
四葩さんの頼り甲斐のあること
追いつけずとも躊躇わぬように
せめてその一手に、報いるために

砕くカードを、散る花を
今の貴方への手向けにしましょう
闇の切っ先を裂く彼女たちの
真直ぐなこえを届けに

列車に乗り込みながら聞いた
もしも力を持たなかったらどうしたか、という彼女の問い
それでも足掻いただろうか
彼のように踏み外してでも藻掻いたか、
どうありたかったか未だに答えは出ないけど
――死に切れぬほどには諦められなかった
だからまだ、指輪が錆ついて尚、ここにある

彼女たちの声が
どうか貴方を、引き上げる手となるように
見据える先はどこか祈るような心地で


 ――もしも自分にディアボロスの力がなくて。
 ――でも、それでも助けたい人がいたら……?

 眼前に在る『復讐者を測るもの・真緋人』は、その問いに『彼』が出したこたえ。
 勿論、今回彼が起こそうとした事件は決して許されるものではない。
 それに、そんな事件を起こすこと自体は真緋人自身の意思ではなく、悪魔の所業であるが。
 でも……悪魔の手を取って力を得た彼の心に関しては、復讐者達は否定することはできない。
 力を得たという運命の元に今、生きているからこそ。
 力を得ても、それでも成せないことだってままあるのだから、もしも戦えぬ身であれば、と考えれば。
「――ああ、ただ独り、残された貴方は『そうするしか』なかったんだね」
 四葩・ショウ(After the Rain・g00878)は、『復讐者を測るもの・真緋人』となった彼の選択を肯定はしないが、理解はできる。
 英雄でありたい憧れを犠牲にして、堕ちて力を得たことを。
 だって、そうするしかなかったのだから。助けたい、守りたい人のために、誓いを果たすためには。
 だからこそわかるから、ショウは彼の前に皆と共に今、立ち塞がるのだ。
 ……でも、もういいんだ、って。
 堕とされてしまったその手が罪に染まる、前に。
『力をつけ、悪魔の中で発言力を持てば、彼女の意識が砕かれるのを護れるんだ』
 真緋人が幾度もそう口にするのは、悪魔が彼自身に言って聞かせているのかもしれない。
 助けたいならば、そうするしかないのだと。
 そしてそんな彼のことを見て、紡がれるその言葉を聞けば、標葉・萱(儘言・g01730)は思うのだ――目を瞑った私よりは余程勇気がある、と。
 でもやはり、萱が行き着くのは、ショウと同じ。
(「そう思いもするけれど。だから尚、見過ごせないのでしょう」)
 その在り方がけがれてしまうのを。
 そして。
(「信頼しているからこそ、正すのでしょう」)
 ……だから、その影を掃う手伝いを、と。
 シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)も、もしも力を得られなかった彼の立場であった時のことを考えてみれば。
「力がないなら、求めていたかもしれない。たとえどんな手を使っても、ね。それが、かけがえない大切な人を想うのならなおさらかな?」
 真緋人が力を得るためにそうしたことに、やはり理解は示すけれど。
 でもすぐに、はっきりとシルはこう言えるし。
「でも、救おうとする相手がそんな力を望んでいないのなら……。そんな力はいらない」
「……あなたを倒すことが正しいのじゃなくて。本当のあなたを取り戻すことが正しいことだと、わたしは思うから」
 イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)は改めて、自分達が此処に来た理由を口にする。
 『復讐者を測るもの・真緋人』である今の彼を、真緋人というひとりの少年に戻すために、刻を越えてきたのだということを。
 だから。
『復讐者は敗北した。彼女を守れなかった。なのにそれでもそう言うのなら』
 ――お前達が正しいなら俺を倒してみせろ! と。
 信念と力を測る悪魔に対して、やるべきことはひとつ。
「この身一つで立ち向かうだけっ!」
「この想い、叩き潰せるものならやってみなさいっ!」
 そんなシルやイツカが悪魔へと立ち向かうべく紡ぐ声が響く中。
 アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)とユーフェミア・フロンティア(光彩聖姫・g09068)は互いのその手を取り合う。
 法衣の聖女姿へと、ふたり変じて。
 そして皆と意思疎通を行いながらも、ふたり一緒に向かうのは勿論、真緋人の元へ。
 ユーフェミアはそんな悪魔と成った彼へと視線を向け、重ねた彼女の手をきゅっと握りながらも、紡ぐ。
「私が原因でなったことですよね。真緋人さんも陽菜も……」
 真緋人が、陽菜が、助けたいと思ってくれているのは、自分なのだから。
 けれど今のユーフェミアは。
「でも。私は陽菜……。ううん、アンゼリカと皆さんに助けてもらった」
 ディアボロスとして、アンゼリカと共に在るのだ。
 だから、嘗て悪魔と成った自分が救われたように。
「今度は、貴方を助ける番です」
 例え望みが少なくても……それをしない理由にはならないですから、と。
 そんな彼女の言葉を聞きながら、アンゼリカも続ける。
「正しいかは分からない。私達の戦いは正義を為すことではなく、大切なものを取り戻すこと」
 運命とか使命とか正義とか、正しいとか間違っているとか、そんなことではないのだ。
 色々と思う事はあって、立ち止まったり、沢山考えたり迷ったりしたけれど。
「けれど貴方を縛る悪魔には必ず勝つよ」
 彼のことを取り戻したい。戻ってきて欲しい。
 特別な列車が現れ、彼の元へと行けるというのなら、取り戻せる可能性が少しでもあるというのならば。
 それにこうやって、皆も駆けつけてくれたのだから。
「だから、全力で行きます!」
「個の力には非ず、束ねた絆は何よりも強い!」
 もう、迷うことなど何もない。
 だから悪魔へと立ち向かうのだ。此処にいる全員で、取り戻すために。
『ならば、その信念と力を示してみろ!』
 信念と力を全力でぶつけるべく、クロノス級との戦いに臨む。
 刹那、シルも――ネメシスモード開放っ! と、その姿を変える。
「さぁ、始めましょうか」
 銀の髪に青目、そして白黒1対ずつの翼を持った天使モードへと。
 ショウも仲間と連携をとりながら、いっしょに戦って。
 アンゼリカや萱を守るように意識して立ち回りつつも――させない、と。
 まよわず硝子のレイピアを揮う。
 だって、なかったことにされたくない。そうするしかなかっただなんて、もう思わせたくないから。
 虹のひかりの軌跡と想いを乗せた揺るぎない全力のひとつきを、悪魔へと。彼と彼女達の望む未来を、取り戻すために。
 そんな姿に、四葩さんの頼り甲斐のあること、と紡ぎながらも。
 萱も皆と共に向かう。アンゼリカのゆくさきを拓く手伝いを、と。
(「追いつけずとも躊躇わぬように」)
 ――せめてその一手に、報いるために。
 降って、おいで、と……硝子の小鳥が羽搏いたなら。砕くカードを、散る花を、少女達が流さないでいいように、かわりに白花の涙を落として。
「今の貴方への手向けにしましょう」
 ましろに塗りかえ、打ち砕くべく降り注がせる。
 闇の切っ先を裂く彼女たちの真直ぐなこえを届けに、揮われる虹のひかりに合わせて煌めき咲かせてかせて。
『もっと、もっとみせてみろ!』
 そしてそう告げる悪魔へと、御所望通りさらに攻撃をたたみかけてぶつける。
 イツカの、魂の奥底でずっと響いていた、ただひとつの歌が。今を生きる命達の歌が。
「いつか叶う、夢はきっと叶う……そのいつかは、今だよ!」
 勝利を掴む一撃を見舞うべく、高らかに歌われる中。
「世界を司る六界の精霊達よ、宇宙に集いし天体の守護者達よ、過去と未来を繋ぐ時よ、集いて力となり全てを撃ち抜きし虹光となれっ!」
 ……わたしの全力、遠慮せずにもってけーーっ!!
 皆の動きを確りと見ていたシルから刹那、タイミングを計り放たれるのは、限界突破の超出力のエネルギー砲撃魔法。
 後方から援護するように、全力魔法の十芒星精霊収束砲を遠慮なくぶっ放せば。
『みせてみろ、まだ俺は倒れていない!』
 ブラックホール化したが如き闇を内包して構えられた得物が黒く輝き、強烈な衝撃を繰り出してきて。
 指から放たれる魔法弾が死に至らしめんと、生命活動に制約を加えるべく復讐者達へと撃ち出される。
 そんな悪魔の攻撃はまさに強力なクロノス級のもの。
 けれど彼が倒れていないと声を上げるのならば、シルだってこう返してみせる。
「ふふふ、これでも死線はたくさん潜り抜けているよ」
 ……それだけで倒せるとは思わないでね、って。
 発現している光の翼で可能な限り、決して倒れぬように、魔法弾を防いで。
 ショウも強力な攻撃にその身を挺すことを厭わず、何としても黒き輝きを通させはしないと戦場を駆けて。
 そんな皆に続き、ユーフェミアもアマテラスを番え構えて一言一句、じっくりと詠唱する。
「神火よ、この手に宿りて焔の力となり、深淵の闇を撃ち抜かんことを……」
 後方から援護するべく撃ち抜くために。
 アンゼリカの背中を押すように、焔のエネルギーを――神焔収束砲を。
 そして皆の援護や防御を受け、言葉の通り皆で積み重ねた残留効果を生かして、アンゼリカは大きく地を蹴って。
『お前が正しいなら、俺を倒してみせろ!』
 眼前の悪魔を巨大光剣で捉え、豪快に振ってみせる。
 その身体に光と信念を纏いながら、防御ごと粉砕する力を。
 それに何よりも。
「身体能力はともかく技量は私が上。そして援護してくれる友が、愛する人がいる」
 ――それは無限の勇気を私にくれるんだよ! と。
『! く……ッ』
 束ねた絆と勇気を乗せた、光剣収束斬を。
 そして奇しくも己と同じような身の丈以上の巨大な、けれど光ではなく闇を纏う剣の反撃を。
 守りごと両断するべく振り下ろされる闇剣収束斬を、しっかり剣と盾で受けて。
 その重い衝撃を、鍛え上げてきた身体と培われた技量でアンゼリカは耐え凌いでみせる。
『復讐者が彼女を守れなかったんだ、だからこうするしかないんだ!』
 それは、あたかも宿主である真緋人が望んでいるといった体で紡がせていると、今ならわかる。
 けれど、こう思うことも正直あった。
 ――仮に悪魔ではなく、真緋人が本当に望んで愛する人の為に行おうとしていた場合は? と。
 そしてディアボロスの皆に、考える機会も与えたのだ。
「……新宿島に来たばかりのわたしには、復讐者の力は持っていたけれども、そこに至るまでの記憶は無かった」
 ――でも、もしもそれが逆だったら?
 ――大切なものを守れなくて、大好きなものを奪われてしまって……悔しくて悲しいのに、自分には何の力も無かったら? って。
 そして、考えたイツカが出したこたえは。
「……それでも、きっと。わたしは希望を、夢を歌う」
 揺らいで、苦しくて、悩んだりもするかもしれない。
 でもやはり、イツカは色々考えてみても、はっきりとこの結論にしか至らない。
「何の記憶も無かったわたしに、友達が、居場所が、大切な人が見つかったのだもの」 
 ……何の力も無くたって、わたしは、わたしの夢を諦めないよ! って。
 撃ち出される強烈な魔法の弾丸で貫かれ、制約を受けても、それでもイツカは歌うのも戦場を皆と駆けるのも、決してやめない。
(「そう――夢は、生きる力」)
 だって、歌ういつかはきっと、今だから。
「この夢がわたしの身体を突き動かす!」
 この場に集った復讐者……出会った"英雄達"の軌跡をなぞって。
 イツカは今この刻、叶えてみせる。
「皆と一緒なら、奇跡だって起こしてみせる!」
 此処に在る英雄の皆と一緒に、生きる命達の歌を響かせて、夢を。
 そして煌めく切っ先を揮いながらも、ショウは眼前の彼へと訊いてみる。
「ねぇ、『貴方』は何を護りたかったのかな。悪魔に憑かれたミアさん? それとも――アンゼリカさんとの、約束?」
 それに言の葉で返ってくることはない。でも、ぴくりと微か反応を示したようにもみえて。
 ショウも改めて考えてみた自分の思いを紡ぐ。
「なんのちからも持たない、刻逆以前のわたしなら。ママとあの子を護るためだったら――」
 ――悪魔にでも天使にでも……魔女にさえ、歓んで『わたし』を差し出す、って。
 だって、母も妹も、かけがえのない大切な大切な存在だから。
「……二人はわたしが……わたしが、護らなくちゃ」
 ぐっと得物を握り締め、零れ落ちる声。
 でもそれは、刻逆以前の、力を持たぬ自分が選ぶだろうもの。
 そう、眼前の真緋人と同じ。
 でも――違うのだ。
「だけどね、此処にいるわたしは『復讐者のショウ』」 
 あの夏の日、ショウはディアボロスとなったのだから。
 ……わたしは運命に選ばれたのかもしれない。
 ……わたしが運命を、選んだのかもしれない。
 それはわからないけど、と紡いで。そして、ショウはふるりと首を横に振る――だめだよ、って。
「その想いは、アークデーモンには渡さない」
 だから、堕とされたその『罪』はこのひと突きで贖うから、と。
 ショウはまよわず硝子のレイピアを揮い続けるのだ。
 ……彼女の希いが届くように、そう想いや願いをいっぱいに込めて。
 そんな彼女達の声を耳にしながら、萱も思い返してみる
 列車に乗り込みながら聞いた問いを――もしも力を持たなかったらどうしたか、と。
(「それでも足掻いただろうか、それとも、彼のように踏み外してでも藻掻いたか」)
 そして、どうありたかったか。
 それは未だに答えは出ないのだけれど。
 でも、こうは思うのだ。
(「――死に切れぬほどには諦められなかった」)
 死に切れず、復讐者となる感情があったからこそ、流れ着いたのだと。
(「だからまだ、指輪が錆ついて尚、ここにある」)
 その密やかな円環と共に。
「正しいのなら、か……」
 シルにだって、何が正解か、何が間違っているかだなんて、そんなのわからないし、知らない。
 けれど、わからなくて知らないからこそ。
「わたしは、わたしの思うままに行くだけだから」
 その心のままに、信じて駆けるだけ。
 今だってそう、抱くこんな思いがただ、シルを迷わず突き動かすのだ。
「だから、押し通させてもらうよ。友達をあなたの元に届けるっていうわがままをっ!」
「いつか、きっと……ううん、いつかじゃなくて、きっと今、夢は叶うから!」
 そしてイツカも全力で応援して、その背を押す。
(「闇を照らす太陽のように輝くアンゼリカちゃんの夢を!」)
(「闇が思い出を飲み込んだとしても。彼女のひかりが闇を裂いて、照らしてくれるって」)
 ショウだって、確信しているから。
 ……だいじょうぶ、信じてる、って。
 萱も見据える先、どこか祈るような心地で。
(「彼女たちの声が、どうか貴方を、引き上げる手となるように」) 
 ぐっと送り出されるその背をそっと押すように見送って。
(「……アンゼリカさん、全力で行って来てね」)
 シルも援護しつつ、あとは見守るだけ、と……そう支え続ける。
 彼と彼女達の行く末を、確りと見届けながら。
 ユーフェミアも悪魔にその身を乗っ取られ、そして助けられた。
 だから、彼も力を得るために、悪魔へと堕ちてしまった。
 でも――だからこそ、言えるのだ。
 だってユーフェミアは今、悪魔でも無力な少女でもなく、ディアボロスなのだから。
「力が無くて助けられるだけのお姫様の私はここにはいません。だから、その悪魔の力は必要ないはずです」
 ……悪魔の力を振り払うのなら、その為の剣に私達はなります。
 嘗て皆がそうしてくれたように、そしてそんな皆と今並び立って。
「アンゼリカ……。私を助けてくれた大切な人。貴女の想いなら、きっとどんな困難も断ち切れるはずだよ。だから、貴女はあなたのまま……」
 信念と力を自分のやり方で彼に示すべく、ユーフェミアはアンゼリカへと紡ぐ。
「帰る場所は私の隣に。悲しいなら、抱きしめてあげる。嬉しいなら、一緒に喜ぶよ。だから、目一杯、あなたの全力をぶつけてきてね」
 ――全力で行ってらっしゃい、って。
 そしてそんな皆や大切な人と一緒だから、アンゼリカは闇の剣を受け止め、光纏う剣を真っ向から全力で揮えるのだ。
 戦いながらも真緋人に呼びかけるのをやめずに。
「私個人じゃなく、「私達」だから、あの頃とは違う高みに辿り着いたんだ」
 彼が悪魔の宿主となってしまったのは、復讐者の陽菜が敗北したからだ。
 でも……もう二度と、託されし願いを果たせないままにはしない、と。
 新宿島のアンゼリカは、負けないから。
「だから、――帰ってきてよっ」
 ――裁きの光よ、我が手に集いて剣となり、全てを斬り裂けぇっ!
『! な……っ、ぐっ!!』
 光と闇、激しく全力でぶつかり合っていた刃の明暗が刹那、はっきりと分かれる。
 闇剣収束斬がアンゼリカの肩口を貫いたと同時に、想いの全てを込めた光剣収束斬が悪魔を斬り裂く。
 鍛え上げた身体は貫かれても尚揺るぐことなく、勝負を決めたのはそう――勝利を掴む豪快な光の一撃。
 そして堪らず膝を折って倒れた真緋人は、再び身を起こして。
「……陽菜?」
 赤い瞳で、アンゼリカを見上げて紡ぐ。
 そのいろには、闇の気配は消えていて。
 決着をつけた今、この世界が崩壊する前に真緋人の手を取る。
「私ね、きっとあの頃真緋人さんが好きでした」
 この瞬間だけは陽菜として、想いを告げながら。
 そう向けられた言葉に、真緋人も口を開くのだけれど。
「陽菜、俺――」
「でもあの頃の陽菜にはもう、決して戻れないから」
 だからこたえを聞かずに、零れる涙を拭って続ける。
「全部取り戻すため! 頑張ってきます!」
 新宿島のアンゼリカとして、そう彼へと。
 それから真緋人は、ふたりの幼馴染みへと交互に目を向けて。
「……そうか、救ってくれたんだな……よかった」
 誓いを果たしてくれてありがとうな、皆も止めてくれってありがとう、って。
 周囲の復讐者達にも礼を口にした後、やっぱり応援してくれるのだった。
「頑張れよ、アンゼリカ」
 ……きっとお前達なら全部取り戻せる! って。
 崩壊し始めた世界の中でも、あの時と同じように、そう笑顔で。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エイティーン】がLV2になった!
【未来予測】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV6になった!

最終結果:成功

完成日2024年07月01日
宿敵 『復讐者を測るもの・真緋人』を撃破!