リプレイ
嵐柴・暁翔
こんな荒野なら隠れる場所は幾らでもあるし此方は寡兵
余程運が悪くなければそう簡単には見付からないだろう
……運の悪さは自覚しているけど、運に頼る部分をどれだけ減らせるのかが腕の見せ所というやつだ
相手が来るとは分かっていても正確な場所も現れる時間も不明となると、探す方も常時緊張を強いられてさぞ大変だろうな
高台にでも潜伏して双眼鏡を使用して狗頭神官を探します
もし近くにいなくても此方が来ると分かっているならそのうち索敵範囲を広げるだろうから、下手に動かずに陳のおやっさんの饅頭でも食べながら長期戦の構えでいきます
首尾よく狗頭神官を見付けたならそのまま潜伏するか、余程入念に捜索していて隠れていても見つかりそうなら狗頭神官達が既に調べ終わった個所に逃げ込んでやり過ごします
暫くすれば索敵範囲に敵はいなかったと本陣に報告しにいくだろうからそこを追跡します
探す側ってのはつい自分達も探されているというのを忘れてしまいがちなんだよな
こういう時に直接伝令を送らなくてもやり取りができる通信機器のありがたみを実感するな
(「…さて、と。焦らず長期戦の構えでいきますか」)
パラドクストレインから現地に降り立った嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は、高台…というか積み上がった大岩の上へと身軽によじ登り、双眼鏡で周囲を見回す。すると、比較的移動しやすい岩と岩の間を、トループス級エンネアド『狗頭神官』が動き回っているのが、すぐに目に入る。
(「いたいた…探す側ってのは、つい自分達も探されているというのを忘れてしまいがちなんだよな」)
まあ、それはこっちも自覚しておかないといけないけどな、と、苦笑混じりに呟き、暁翔は『狗頭神官』たちの動きを観察する。どうやら彼らは数体で連携して周囲を探っており、誰かが何かを見つけたり、あるいは襲撃された時には、すぐに後続の者が気づけるようにしているようだ。近代的な軍隊では常識的な配置だが、古代エジプト人(?)として見ると、非常によく考えてある。
そして、後方から交代要員が来ると、一人ずつ押し出すような形で前に出て、いちばん前に立っていた者が後方へと下がっていく。実に合理的だ。
(「…まあ、合理的ってことは、読みやすいってことでもあるんだよな」)
残留して警戒を続けるトループス級たちに気づかれないよう注意しながら、暁翔は高台から降り、後方へ下がっていく『狗頭神官』の後をつける。ディアボロスが来るということ自体はアヴァタール級の宣託によって確信していても、彼らの感覚では圧倒的な強者であるディアボロスが、まさか単身でこっそりやってきて、攻撃もせずに本陣を探りに来るというのは完全に想定外だったのだろう。後方へ下がる『狗頭神官』自身も、周囲を警戒し続ける者たちも、暁翔の存在にまったく気づくことがなかった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
シアン・キャンベル
女神様の目玉とやらがしっかりと嵌まっているのか否か
確かめねばならない
その為には先ず此方側の有利を確実なものに成さねば
眼球よりも頭の中身が気になるが
取り敢えず常に【パラドクス通信】を使用。味方との情報共有は勿論、味方と団子状態にならないよう注意しておく。見つかって全滅、最悪の事態だけは避けるべきなのだよ
何処かの誰かは高低差を活かして哨戒していたらしい。ならば私は【光学迷彩】を用いて這うように連中を探してみようか。岩陰などの障害物に隠れつつ、芋虫みたいにゆっくりとやるのだ。
油断はしない。連中は手負いの獣だ。手負いの獣ほどに厄介な敵対者は存在しない故な。しかし、連中が『わかりやすい』頭部をしているのは僥倖。狗の頭とは棒にでもぶつかりに来たのか
さて、無事見つけた場合、私が選択するのは『観察』だ。敵部隊の位置を把握するのは難しいだろうが、改めて【パラドクス通信】。私の死角をカバーしてくれと誰かに頼む
もしも見つかる可能性が高そうだった場合、すぐに離脱
やはり私は『こういうもの』の方が得意なのかもしれん
アルラトゥ・クリム
女神イシスは、伝承だとホルスの母親で。随分重要な位置に居たと思うけど…
クロノヴェーダの序列だとアヴァタールかあ。
後にクロノス級が控えてるのかな?
与太はさて置き、周囲の地形に合わせた迷彩柄のフード付ポンチョを着込んだ後
視界を砂嵐などで遮られ、不意の遭遇などが起こらぬ様に完全視界を起動しつつ
低反射素材の双眼鏡で視界射程を伸ばして観察可能距離を延長
光学迷彩をお借りしつつ、低地の起伏や岩場などの遮蔽物に隠れて移動しながら
同じく低地で偵察する味方の死角をフォローして、不意のエンカウントを防ぎつつ
足下の足跡などを含めた周囲を確と観察して情報収集し、敵部隊或いはその痕跡の発見に努める
可能なら自身達が発見した部隊、発見できなかった場合はパラドクス通信で得た情報の部隊をストーキング(追跡)して
敵本隊の位置、或いは高い確度で推測可能な位置を把握したら
敵に補足される、或いは深入りする前に一時離脱
離脱時に周囲の地形を観察して情報収集しておき、敵本隊の襲撃に役立てる
アドリブ絡み連携歓迎・使用可能残留効果全使用
「女神イシスは、伝承だとホルスの母親で。随分重要な位置に居たと思うけど…クロノヴェーダの序列だとアヴァタールかあ。後にクロノス級が控えてるのかな?」
現地に向かうパラドクストレインの中。アルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)が小首を傾げて呟くと、シアン・キャンベル(ルログ・g01143)がにべもない口調で応じる。
「滅びたエジプトディヴィジョンの断片の王は、神ではなくファラオのクフ王だったからな。ラーだホルスだアテンだセトだと仰々しく自称しても、すべて小物のエンネアド(小神)に過ぎんよ。アヴァタール級のイシスも、似たようなものだろう」
女神様の目玉とやらがしっかりと嵌まっているのか否か、確かめねばならない。その為には先ず、此方側の有利を確実なものに成さねば。眼球よりも頭の中身が気になるが、と、シアンはほとんど感情を感じさせない表情で、声には出さずに呟く。
そして現地に到着すると、二人は残留効果【光学迷彩】と【完全視界】を共有。更に先行しているディアボロスとともに【パラドクス通信】を共有し、既知の情報を確認する。
「高みから観察した味方によれば、定置斥候のラインがこういう具合に伸びているそうだ。なので、こちらはこのラインを避け、別のラインが存在しているのか否か、左右に分かれて偵察する。ラインを発見できれば慎重に観察し、発見できなければ先行している味方を追って進む。得られた情報は、常に通信で共有する。方針は以上だ」
ディアボロスレベルも年齢も上のシアンが冷静簡潔に告げ、アルラトゥはうなずいて了解を示す。
「では、私は左へ」
「じゃあ、私は右へ」
短く言葉を交わし、二人は方向を異にして進む。アルラトゥは周囲の地形に合わせた迷彩柄のフード付ポンチョを着込み、視界を砂嵐などで遮られ不意の遭遇などが起こらぬ様に【完全視界】を起動しつつ、低反射素材の双眼鏡で視界射程を伸ばして観察可能距離を延長。常時【光学迷彩】を発動させながら、低地の起伏や岩場などの遮蔽物に隠れて移動する。向かって右側へ大きく回り込み、慎重に周囲を観察すると、意外なほど早く『狗頭神官』を発見することができた。
「敵斥候を発見。引き続き観察します」
すぐに【パラドクス通信】で味方に告げ、アルラトゥは『狗頭神官』の動向を観察する。どうやら先行しているディアボロスが発見した敵と同じく、定点に留まって周囲を警戒しているようだが、どうも地上よりも空を気にしているように思える。
(「…これって、ディアボロスが空を飛んでくると思ってるのかな?」)
そんな無警戒な真似するわけないのに、と、アルラトゥは小さく肩をすくめたが、考えてみれば、他ディヴィジョンに漂着するクロノヴェーダの大半は、自ディヴィジョンが滅びる時の最終決戦で初めてディアボロスと対戦したかどうか、程度の戦闘経験しかないはずだ。つまり「ディアボロスは圧倒的な数と力で怒涛のように侵攻してくる」と思い込んでいる可能性が高い。
一方、左へ回り込んだシアンも別の斥候ラインを発見し、慎重に観察を行う。どうやら、この地のエンネアド部隊は三本の斥候ラインを展開し、ディアボロスの侵攻に備えているらしい。
(「…狗の頭とは棒にでもぶつかりに来たのか」)
声には出さずに皮肉っぽく呟くと、シアンは【パラドクス通信】で状況を伝える。これで敵陣の全容は、ほぼ把握できたと見てよいだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
嵐柴・暁翔
今の所一人で動いているけど他の方も来ているかもしれないし、適時【パラドクス通信】を発動してみて反応があるようなら状況を伝え合います
狗頭神官を追跡して本陣を特定した後は、余裕があれば近場で潜伏して狗頭神官達が全員戻ってくるか、少なくとも狗頭神官達が複数人での連携が取れなくなるような状況になるまで待ちます
あれだけ合理的な動きをしているなら漫然と索敵を続けたりはしないだろう
急いては事を仕損じる、ってな
ただし、俺自身か他の誰かが見付かるなりするか、或いは狗頭神官達の動きが急に慌ただしくなったりすれば即座に攻撃を仕掛けます
兵は拙速を尊ぶということで
奇襲ができる状況なら狗頭神官達を出来るだけ多く巻き込むように《殺戮者の慈悲》を発動
できれば攻撃されたと気付かずにそのまま眠るように逝ってくれると有難い
下手に分かり易い攻撃をして悪目立ちしたり狗頭神官達に悲鳴を上げられたりすればイシスに警戒されそうだしな
(「斥候ラインが三本か…どうやらそれで、ほぼ全部隊を使い切っているようだな」)
哨戒に加わったディアボロスたちから【パラドクス通信】で情報を得て、敵本陣近くまで進んだ嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は、声には出さずに呟いた。
(「…しかし、手持ちの戦力をすべて斥候に注ぎ込んで、敵を発見した後は、いったいどうするつもりだったんだ? 他の亜人部隊に通報とか連携する様子もまるでないし…まあ、戦力としては事実上アヴァタール級一人だけで主力と言うか全戦力とも言えるが…」)
いやまあ、いくら合理的に動いているように見えても、紀元前エジプトの神が神官使って何をするつもりなのか推測しても始まらんよな、と、暁翔は首を左右に振る。
(「…さてと、ライン展開している斥候部隊は、根本から切っていくのが定石だな」)
どこまでアヴァタール級に気づかれずにやれるかが勝負だが、まあ、やってみるさ、と、暁翔はパラドクス「殺戮者の慈悲(ヒュポクリシス)」を発動させる。対象に一切の苦痛を感じさせずにダメージのみを与え安らかに眠るように息を引き取らせるこのパラドクスは、ある意味皮肉な話ではあるが、密かに複数を暗殺していく行為に非常に適している。
(「……せめて楽に終わらせてやるよ…」)
声にならない呟きとともに、暁翔は最前哨を終えて拠点に戻ってきた『狗頭神官』三人をパラドクス攻撃で完全奇襲し、反撃どころか、自分が攻撃されて死んだことすら認識できない状態で倒す。ここで指揮官のアヴァタール級『天上の聖母イシス』に勘づかれるかどうかが勝負だったが、幸い感知された様子はない。
ならば、さっさと片付けるまで、と、暁翔は三本の斥候ラインを順次後方から奇襲し『狗頭神官』を倒していく。トループス級の斥候たちは、自分の前に出ている者に異常が起きないかを全力で注視しており、背後から襲われるなどとは予想もしていない。そこへ背後から苦痛のない一撃が来ても、当然ながらどうしようもない。
結局、暁翔はアヴァタール級にもトループス級にもまったく気づかれないまま、一人で三本の斥候ラインを全部潰し、この部隊の『狗頭神官』を奇襲で全滅させることに成功したのである。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
シアン・キャンベル
犬の肉は既に鍋の中。あとは神を殺すだけの凄惨な戯れか。勿論、油断はしない。封殺するのが正解なのだよ
想定していたよりも上々。この勢いの儘、殲滅と行こうではないか
さて。残るは女神様の目玉ふたつか。嗚呼、奇襲は他の復讐者に任せて仕掛ける予定だ
【光学迷彩】【完全視界】で隠れつつ隙を伺い、絶妙なタイミングで攻撃する。たとえば『奇襲をした後』『戦闘中に横からぶん殴る』イメージ。【パラドクス通信】は戦闘中も使用し味方との連携を確実なものとする
大規模な水流を喰らいたくはないな。いや、パラドクス故、命中するだろうが。一応、可能な限り高いところでの戦闘を心掛ける
鞭などで敵を転ばせる事が出来たら嬉しい
そろそろ。貴様の目玉の嵌り具合を見せてもらう。雛だ。そうだな、幻覚の内容は眼球を押し出そうとしてくる、で、如何に。本来は頭蓋の中に寄生させるのだが、文字通りの節穴と成るが良い……
この幻覚を見ている間に他の復讐者が攻撃を行うのも実に良い。やはり戦争で、戦闘で必要なのは敵に嫌がらせをする事なのだよ
楽しい愉しい時間だ
嵐柴・暁翔
さて、後はイシスのみだな
とはいえどういう根拠からなのかは知らないけど、復讐者が来ると託宣した張本人なんだし、まして部下に捜索を命じておきながら自分は油断しているなんてことはないだろうし(フラグ?)ここは慎重にいくか
お偉いさんなら本陣の一番豪華な天幕にでもいるのが定番
狗頭神官達の見張りもいなくなったし、本陣から少し離れた場所に潜伏してまずは内部の状況を確認します
後は一気に仕掛けるのみ
気付かれていないなら殊更に弄る趣味も無いし再度《殺戮者の慈悲》を発動させます
一里塚・燐寧
ナイルの氾濫を告げるソプデト、牝牛の豊穣神ハトホル、そしてギリシャ神話のデメテル……
エジプトの長い歴史を通じて、イシスと同一視されてきた女神を色々組み合わせたエンネアドってワケだねぇ
「聖母」の称号には、幼いホルスを抱く像がキリスト教の聖母子像の源流になったって説も取り込んでるのかなぁ
んふふ。その欲張りな全部載せスタイル、嫌いじゃないよぉ?
仲間と共に奇襲攻撃を仕掛け、敵が態勢を整える前に一気に決着をつけにいこう
『絶技:界を絶つ巨剣』を発動し、巨大化した《テンペスト・レイザー》で敵を叩き斬るよぉ!
突如として出現したでっかい刃で敵を撃ち落とし、身体を地面に押し付けながら回転鋸刃の斬撃で切り刻もう
出来るだけ長く敵の動きを抑え、深い傷をつけることで、続く仲間が良い一撃を入れやすいようにしよう
あは。きみは割と趣味がいいけど、だからって逃がしはしないよぉ?
反撃の水流は得物を地面に深々と突き刺してしがみつき、押し流されないよう耐えるねぇ
わーお、これがアスワン・ダムのある今じゃ味わえない洪水!楽しいねぇ~
アルラトゥ・クリム
コイツが件の『女神イシス』かあ…
なんか色々くっ付いてるけど、属性増えてる?
神様なんて大体そんなもんだけど、なんかいい加減だなあ…
折角の機会なんだから、奇襲のひとつもしてみたいよね
パラドクスなんだから距離や射程なんて関係無いけど…
それでもわざわざ近づいていって、こちらの存在を知らせてやる必要も無い
光学迷彩を併用し遮蔽物に隠れた状態で、精神集中して敵を観察し
味方と呼吸を合わせ、敵がこちらに気付く前に一気に仕掛けて
敵が効果的な反撃を繰り出せる体勢を整える前に倒してしまおう
自身は可能な限り高所から、世界その物にハッキングを仕掛けて侵蝕し
情報収集して敵の存在因果を掴んだら
因果律に干渉して、敵の因果と物理的肉体を斬撃という形で侵蝕し
負傷と共に精神的衝撃を与え、気を逸らす事で味方の攻撃を通り易くする
敵の水流は速度と方向を精神集中して確と観察し、情報収集を瞬時に行い
その潮目を看破して不可視の斬撃を叩き込み
水流をモーゼの十戒宜しく斬り裂いて、負傷を回避軽減する
アドリブ絡み連携歓迎・使用可能残留効果全使用
(「…さて、後はイシスのみだな」)
卜ループス級エンネアド『狗頭神官』を静謐のうちに全滅させた嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は、本陣にいるアヴァタール級エンネアド『天上の聖母イシス』を視認できる位置に戻りながら、声には出さずに呟く。
(「…どういう根拠からなのかは知らないけど、復讐者が来ると託宣した張本人なんだよな…しかし、どんな具合に復讐者が来るかは、ずいぶん強い先入観というか、勝手な思い込みがあるみたいだな…」)
まるで舞台のように張り出した岩場に立ち、何かぶつぶつ呟きながら天を見上げている『イシス』を遠方から窺い、暁翔は首を傾げる。どうやら彼女から宣託を受けた『狗頭神官』たちと同様、『イシス』も「ディアボロスは圧倒的な数と力で、主として空から怒涛のように侵攻してくる」と思い込んでいるらしい。
すると、アルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)とシアン・キャンベル(ルログ・g01143)の二人が、それぞれ別方向から『イシス』を視認できる位置まで進出してきたらしく【パラドクス通信】で連絡を入れてくる。
「コイツが件の『女神イシス』かあ…なんか色々くっ付いてるけど、属性増えてる? 神様なんて大体そんなもんだけど、なんかいい加減だなあ…何だか、まだこっちに全然気づいていないみたいだし、さっさと一斉奇襲仕掛けましょうか?」
アルラトゥの通信を受け、暁翔はシアンに訊ねる。
「キャンベルはどう思う?」
「…そうだな。奇襲は二人に任せて、私は一瞬間をおいてから仕掛けるか」
犬の肉は既に鍋の中。あとは神を殺すだけの凄惨な戯れか。勿論、油断はしない。封殺するのが正解なのだよ。想定していたよりも上々。この勢いの儘、殲滅と行こうではないか、と、シアンは通告とも独言ともつかない、囁くような小声で呟く。
さて、どうするか、と、暁翔が思案顔になった時、後から駆けつけてきたと思われる一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)の独特な口調…陽気で弾むようなのに、どこか聞く者の背筋を寒くさせるような声が【パラドクス通信】から流れ出る。
「んふふ。ナイルの氾濫を告げるソプデト、牝牛の豊穣神ハトホル、そしてギリシャ神話のデメテル……エジプトの長い歴史を通じて、イシスと同一視されてきた女神を色々組み合わせたエンネアドってワケだねぇ。「聖母」の称号には、幼いホルスを抱く像がキリスト教の聖母子像の源流になったって説も取り込んでるのかなぁ? んふふ。んふふ。その欲張りな全部載せスタイル、嫌いじゃないよぉ?」
「…どうだ? 一里塚は一斉奇襲に乗るか?」
既にアヴァタール級を視認できる位置にいるようだな、と思いつつ、暁翔は敢えて事務的に淡々と訊ねる。すると燐寧は、彼女にしては比較的簡潔に応じる。
「モチのロンだよぉ。こんな好機、逃がす手はないよぉ」
「わかった。ならばキャンベルも、どうしてもイヤだというのでなければ、一斉奇襲に加わってくれ」
暁翔の要請に、シアンは怪訝そうに問い返す。
「なぜだい?」
「これだけ強力なディアボロスが揃っているとなると、一斉奇襲だけでケリがつく可能性が高いからだ。攻撃のタイミングを遅らせたので、結果的に何もできませんでしたでは、やっぱり残念だろ?」
身も蓋もない暁翔の指摘に、シアンは珍しくもというべきか、憮然と苦笑の中間ぐらいの声で応じる。
「…そうなってしまったら、確かに残念だな。少々不本意ではあるが、皆とタイミングを合わせよう」
「重畳だ。それじゃ皆、一里塚に攻撃のタイミングを合わせてくれ」
「んふふふふ。それじゃあ、行くよぉ!」
燐寧が歓喜の声をあげ、パラドクス「絶技:界を絶つ巨剣(フェイタリティ・ワールドスレイヤー)」を発動する。
「1ミリでも削れるなら、そこから世界だってブッた斬る――これがチェーンソーの神髄だよぉ! いっせーの、せっ!」
「因果律演算、共振開始…今、そこに自分が存在する事が。当たり前の事だと…思わない方が、良い」
見事にタイミングを合わせ、アルラトゥがパラドクス「Akashic Zamber(アカシック・ザンバー)」を発動させる。そして時間的にはほぼ同時だが、因果的に後を取る形でシアンがパラドクス「雛(アイホート)」を打ち込み、暁翔がもはや定番の「殺戮者の慈悲(ヒュポクリシス)」を送り込む。
「!!!!!!!!!!!!!」
その瞬間、まったく備えていなかった『天上の聖母イシス』に、四種の強力なパラドクス攻撃が一斉に襲いかかる。それでも戦い慣れたクロノヴェーダなら、反射的に反撃のパラドクスを放ったかもしれないが、このアヴァタール級『イシス』には、ほとんど実戦経験がない。能力があるということと、能力が使えるということは、実戦においてはまったく別なのである。
そして、一瞬の体験を経過時間を無視することで感じ取れるクロノヴェーダの特性が裏目に出て、『イシス』は四種のパラドクスの責め苦を、嫌と言うほど味わう羽目になる。
「あは。きみは割と趣味がいいけど、だからって逃がしはしないよぉ?」
「き、貴様、ディアボロス、いったい、どこから、どうやって!?」
たぶん現実ではなく精神世界的な現象なのだろうが、燐寧がぶん回す超巨大チェーンソー≪テンペスト・レイザー≫が、虚しく叫ぶ『イシス』を完全両断する。
「ぎゃああああああああっ!」
激痛とともに断たれた身体をアヴァタール級の力で(イメージ的に)繋いだ瞬間、侵蝕してきたアルラトゥのパラドクスにより、容赦なく因果を狂わされて肉体と精神を四分五裂させられる。
「あがっ、あがっ、あがっ…」
もはや(イメージ的に)絶叫する力もなく、力なく喘ぎながら必死で再び身体を繋ぐ『イシス』だったが、間髪を入れず、シアンの残酷なパラドクスが襲う。
「孵れ」
「ひぎいいいいいいいい…」
頭蓋の中に数百ほどの未成熟な雛が生じ、一斉に孵化して内側から眼球を押し出そうとしてくる。一応は幻覚のはずだが、こうなるともはや精神世界だの現実だのと区別する意味も余裕もない。
「こ…ころして…ころして…」
「ああ……せめて楽に終わらせてやるよ…」
その瞬間、まさしく慈悲深い終末が訪れ、まったく何もできないまま苦痛を味わうだけだった『天上の聖母イシス』の存在そのものが消滅する。同時に強大な排斥力が発動し、作戦に参加したディアボロス全員が、新宿島へ帰還するパラドクストレインへと強制移送された。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV2が発生!
【クリーニング】がLV2になった!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【先行率アップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!