リプレイ
エレナ・バークリー
ラ・ピュセル本土から離れているのに、どうしてバルセロナに境界の霧が?
いえ、詮索は後回しですね。侵入してきたキマイラウィッチたちを討滅しましょう。
事前にその辺りの地図を見て区画割を頭に入れておきます。地の利を得るは戦の常道。
【完全視界】で気鋭を見通し、クロノヴェーダの居所を把握します。
「全力魔法」「精神攻撃」「演奏」「殺気」「呪詛」で昏き深淵に潜むは悲劇従えし黒皇竜を行使。
封じられし黒竜の威を借りて、トループス級たちを精神面から削りましょう。二度と立てなくしてあげますよ。
反撃の奔流は【エアライド】で高所へ逃れつつ、パラドクスの反撃として届いてくる部分を魔法障壁で防ぎ止めます。濁流にまともに呑み込まれるわけにはいきませんからね。
一旦隣の路地に移ってから、敵の警戒が薄い部分を探し出し、そこから再びパラドクスを使います。敵の反撃が少しでも鈍れば。
さあ、曲も最高潮を迎えますよ。あなた方の魂を、私に捧げてください!
その髑髏たちが歌い出せば楽しいんですがね。
とどめは他の方にお任せしましょうか。
バルセロナの町は霧に満たされていた。
並木の大通りはやはり時間が止まったようになっているが、元々は、活気のある場所なのだろう。帰還前で人がいないのは好都合だった。
それにしても、
「ラ・ピュセル本土から離れているのに、どうしてバルセロナに境界の霧が?」
大通りに立ったエレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)は思わずそう呟いていた。パッと頭に地図を思い描き、考えてみるものの、ふるふると首を振って、
「いえ、詮索は後回しですね」
今は目先の戦闘に集中しなければ――。
最終人類史の恩恵をエレナは感じていた。
完全視界で霧の奥に目を凝らせば、不気味な死神兵の姿をはっきりと捉えることができた。敵はこの状況に上手く対処できておらず、警戒しながらこちらに進んでくるが、まだエレナの存在に気付いていないようだ。
「あれが全てではないでしょうね。何体かは散開したはず」
ともあれ先制攻撃のチャンスである。エレナはこちらへ進軍してくる敵を凛と見据えながら、どこからともなく出現したフルートを構える。
「なんだ
……!?」
「どこから響いている
……!?」
不意打ちを得意とし、獲物の命を容赦なく刈り取る死神兵グリムダムド――彼らはしかし、今や狩られる側だった。
可憐でありながら妖しい音色に、死神兵たちが足を止め、辺りを見回す。
「……?」
「まさか……!」
霧の中、何処からともなく響いてくる木管楽器の音は、魂喰らいの魔竜の吐息を再演する。忌まわしき黒竜の微かな呻き。それは、ただそれだけで命刈る悪魔の精神を掻き乱す、昏き呪いを帯びている。
まるで、悪夢。
エレナの得物といえば両手剣クレイモアだが、今回は武器らしい武器を用いた攻撃ではないだけに、死神どもはそれこそ目に見えぬ魔物に苛まれているかのような様相を呈し始めた。
「待ち伏せていた
……!?」
「反撃せよ……!」
辛うじて霧の中にエレナの姿を視認した死神兵たちが、パラドクスを解放。虚空より激流を生じさせる。
演奏を止めさせようと放たれた狭間の河水は、命あるものを彼岸送りにする無慈悲なる怒涛である!
「甘いっ!」
だが反撃を読んでいたエレナはエアライドを活用して立て続けに跳び、足下を流れる激流をやり過ごしていた。
神秘の防壁と呼ばれる可変魔力障壁を咄嗟に展開しながらも、
「障壁を使う必要さえありませんでしたね」
エレナは空中で靭やかに身を捻って路地へと着地する。現地の地図は頭に入れていた。活かすのは残留効果だけではない。地の利もこちらにあるのだ。
「さあ、曲も最高潮を迎えますよ。あなた方の魂を、私に捧げてください!」
再びの演奏に狼狽する死神兵グリムダムドたち。
「その髑髏たちが歌い出せば楽しいんですがね」
死神兵から狂える楽器のように響き渡ったのは……悲鳴だった。
霧の中の魔竜に蹂躙されるかのように、一人また一人と倒れていく。
残るは、幸いにも散開していたものたちだけだった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【おいしくなあれ】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
テテル・グリーズ
アドリブ・連携OK
プランはこうだ。
悪魔を蹴散らす。強化されてる魔女に派手な動きで斬りかかる。反撃をボコボコに受けて戦闘不能になる。以上。
いかんせん突撃兵演るのが楽しくてたまんねーから、普段の戦いでも突っ込んでいって反撃顧みずに暴れて、痛い反撃貰うのがお約束だかンな。嘘や演技ってヤツは真実(普段の行動)と近ければ近いほどイイ。
流れが決まればサッサと行動に移るぜ。悪魔の殲滅がスムーズなら魔女も俺がただの狂犬じゃねーと認識し、俺を倒した時に満足感マシマシになってくれそうだろ?
サイクロンラッシュで複数体を潰してく。相手からの反撃の重さから、一度攻撃した相手に追撃して確実に減らしていくか、ところかまわず攻撃を放って多くを引きつけるか判断する。
悪魔からの反撃で流されそうになったとしても力尽きなきゃ攻撃は続けられっからな。強気な態度を崩さず押して押して押しまくるぜェ!
オイオイその斧は飾りかァ!?
嗤ってやりながらカースファルシオンを振り回したりパラドクス放ったりして戦場を暴れ回ってやる。
死神兵たちが狼狽している。
慌てふためくそれらが霧の中に惑っているのを見て、テテル・グリーズ(まがいもの・g08976)はニヤと笑った。
――これなら上手くいきそうだ。
テテルの考えたプランはこうである。
悪魔を蹴散らす。強化されている魔女に派手な動きで斬りかかる。反撃をボコボコに受けて戦闘不能になる。以上。
実に明快。
それだけにすべてを上手く運ぶ必要はあるが、ここは最終人類史である。敵はまだこちらの様子に気づいてもいないし、不意を打つのも難しくはなさそうだ。
となれば――これは影に潜み敵の命を狙う彼の得意分野でもある。
「さァて、やってやりますか!」
路地から飛び出したテテルは、まだ無事な死神兵――すなわち大通りの異変を察して戻ってきた者たちに狙いを定めて攻撃を仕掛けた。霧の中を猛突するテテルの姿は、恐ろしい『鬼』にも見えよう。
「しまった……!」
振り返った時にはもう手遅れ。
「遅ぇな!」
砂混じりの旋風が吹き荒れる。一陣の暴風、その中心となったテテルは、投げ放たれた槍のように敵集団に突っ込み、そして愛刀であるカースファルシオンを振るうのだ。
「オイオイその斧は飾りかァ!?」
剣風が唸り、死神兵の一体が為すすべもなく袈裟に斬られた。別個体は何とか武器で防ごうとしたが、それが強く弾かれる。テテルは独楽のように回転し、そのままがら空きになった胴を切り裂いてみせた。
「姿を見せたな……!」
「喰らうがいい……!」
猛攻に晒されながらも、ここにきて死神兵たちは僅かな安堵を覚えたことだろう。ひとたびは不意を打たれたが、如何に強敵とは言え視認できてしまえば対処の仕様はある――!
パラドクスにより生じた激流が、テテルを呑み込む。
してやったり。死神兵はベールの下でほくそ笑んだだろう。
けれど。
「なん、だと
……!?」
「ハッ、その程度なのかよ!」
幻でも見たかのように後ずさる死神兵たち。
立ち続けている。
テテルは防御の態勢のまま、大通りの只中に立ち続けている――!
「駄目だな。そんなんじゃ俺は倒せねェ」
「まさか……こんなことが……」
最終人類史による強化を受けているからこその芸当だろう。そして彼のプランからすれば、すべてが上手くいっていると言える。
ここまでの大立ち回りを演じれば、ヘキサトリニティだって、テテルをただものではないと認識するだろう。
そうだ。そういう猛者を倒してこそ、
――満足感マシマシになってくれそうだからなァ!
「容赦はしねえぜ? こっちに踏み込んできたこと、後悔させてやる!」
まさに颶風。
暴れまわるテテルが戦場を席巻する――!
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
「あぁん? なんで役にも立たずにブッ倒れてやがるんだよおい」
傲慢さを表すような足取りで霧の奥からやってきたのは、肩から獅子と黒山羊の頭部を生やしたキマイラウィッチ――ヘキサトリニティだった。
死神兵の亡骸を見下ろして眉間に皺を寄せると、その場に仁王立ちする。
「迎え撃たれたってことだよな。アハハハハッ、面白ぇ! 纏めてぶっ殺してやらァ!」
咆哮は獅子の如く、そしてその笑い声はどこまでも不吉だった。
エレナ・バークリー
ご機嫌ですね、復讐の魔女。
ハイランダーが一刀、エレナ・バークリーが相対します。すぐにも笑っていられなくしてあげますよ。
「全力魔法」「氷使い」「闇使い」「撹乱」で闇黒に舞い踊る白華の断絶を行使。
闇で視界を閉ざし、縁が鋭い無数の氷晶の渦で、キマイラウィッチの身体を切り刻みます。
まったく、クロノヴェーダでなければ口説いてもいいんですけどね!
パラドクスで血塗れになった敵の突撃の勢いを魔力障壁で殺し、腕に止めたバックラーで山羊の頭を受け止めて。突破された魔力障壁を「念動力」で操作して獅子と蛇の攻撃を封じるように。
そんなに私たちが憎いですか、キマイラウィッチ。ですが我々とて『復讐者』。そう易々と屈するとは思わないでください!
剣を振るって牽制してから、再びパラドクスの領域に飲み込み、体力を削っていきます。
――彼女の復讐心を満たす生贄役は、テテルさん、頼みましたよ。
敵に見抜かれないよう、わずかに間合いを外して、テテルさんが狙われる状況を作ります。
作戦上必要とはいえ、どうかご無理なさいませんよう!
テテル・グリーズ
エレナの名乗りと彼女が扱うパラドクスを見て満足げに笑う。
こいつはいいや、魔女の視界を闇で閉ざしてくれるとはな!
(騎士道の名乗りに憧れみたいなモンがあるんでそっちも満足)
エレナのパラドクスにより闇に包まれた戦場――足音を殺して駆け、魔女に一撃をくれてやる。
よう、名乗り遅れたな。
俺様はテテル、テテル・グリーズ。お前をぶち殺す者だぜ!
ニィと笑って挑発してやろう。
おっと、今は暗くて見えないか、ハハハ!
視界が奪われていてもある程度反撃は飛んでくるんだろう。
【完全視界】がある優位を活かして躱せるモンは躱しておきたいトコだ。特に毒な!
脚絆による足技も交えて魔女の狙いをブレさせ、反撃の精度も下げてやろう。殺る気は満々、残留効果マシマシなんでブラッディオーラも相当な強度を持ってくれてるだろうしな。
反撃をいなしつつパラドクスで更に追い打ちをかけて消耗しておくのも重要か。
今のうちに魔女の攻撃から攻撃のクセや本人の性質を見抜いておきたい。
やられるフリは致命傷を辛うじて躱さなきゃいけねーから観察は抜かりなく、だ。
「さぁて、どうやって殺してやろうか! お前らの苦しむ顔が見ものだ! ハハハハッ!」
大通りの真ん中で仁王立ちするヘキサトリニティは、全身から強い殺意を発散していた。
目に見えなくとも肌を刺してくる、刺々しい『気』。それはディアボロスに対する復讐の念の発露とも言える。
「ご機嫌ですね、復讐の魔女」
エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)は敢然、傲岸な魔女と対峙する。愛刀クレイモアの切っ先を突きつけて、涼やかな、それこそ研ぎ澄まされた刃のような声を発した。
「ハイランダーが一刀、エレナ・バークリーが相対します。すぐにも笑っていられなくしてあげますよ」
名乗りに合わせて、ふわりとエレナの赤茶色の髪が揺れる。
見えざる魔力が高められ、時空を歪めるパラドクスとして今にも放たれようとしているのだ。
「ほぉ。言うじゃねえか。その顔、絶望に歪めてやるよ。ディアボロス!」
対してヘキサトリニティは不敵に笑い、その尖った歯を剥き出しにした。
刹那、エレナのパラドクスが瞬く間に景色を塗り替える。
漆黒。
まるで黒い帳が降りたようにぬばたまの闇がエレナとヘキサトリニティを包み込み、黒き帳を彩るように薄墨桜が舞い始める。
桜吹雪――血染めのそれは実のところ刃の如き氷の欠片だ。瞬く間に渦と化した氷晶が闇の中を舞い踊る。
高らかな名乗りが、実に痛快だった。
エレナのパラドクスが戦場を塗り替えるのを見て、テテル・グリーズ(まがいもの・g08976)は満足げに笑った。
(「こいつはいいや、魔女の視界を闇で閉ざしてくれるとはな!」)
魔女は知らない。
暗闇は、まがいものの鬼人――テテルを利するということを。
逆説連鎖戦によるパラドクスの攻防は、時空を歪めるものだ。それ故、連携して事に当たる為には相応の作戦と立ち回りが不可欠である。相性もあるだろう。
だからこそ、その意志で。
そして行動で。
テテルはエレナが作り上げた好機を掴み取ろうとしていた。
「ハハハッ、こいつは愉快な手品だ!」
美しい氷の一片一片が、切れ味鋭い薄刃と化していた。瞬く間に白い肌を朱に染めたヘキサトリニティはしかし、笑い顔のまま自らもパラドクスの力を解き放つ。
「アタシの愉しみを教えてやろう。それはなァ」
轟然たる獅子の咆哮。突撃とともに突き出されるは黒山羊の角。
「お前みたいな奴を叩き潰してやることだ!!」
鼻でも効くのか、魔女の狙いは正確だった。まともに喰らえば、如何に地の利があるディアボロスとて、ただでは済むまい。
「魔力障壁、展開」
迎え撃つのは縹色に彩られた掌大の小盾。それらが集まって守りとなる神秘の防壁(レ・バリカード・ミステリユーズ)が魔女の突撃を受け止める!
「アハハハハハハッ! 止められると思ったかよ!」
「――くッ!」
なんという威力か、獅子に牙を立てられ黒山羊の角で突かれ、障壁が破られる。けれどそれは承知の上だ。
エレナは利き腕でない方に固定したバックラーで更に防御の構えを取っていた。
衝撃。
靴は路面と激しい摩擦を起こし、手は痺れるどころの話ではない。
それでも、エレナは持てる技を尽くして魔女の突進を受け止めていた。
ギリギリと押し合う。
「さっきまで威勢はどうした……!」
顔を近づけて眺め入るように嗤うヘキサトリニティ。杖に巻き付いていた蛇が威嚇音を発し、エレナの頬にまで這い上って毒を放とうとする。
「そんなに私たちが憎いですか、キマイラウィッチ。ですが我々とて『復讐者』」
舞い散る桜吹雪がざくりざくりと魔女を、獣の頭を、そして蛇をも抉る……!
「そう易々と屈するとは思わないでください!」
「チッ……!」
攻めきれない。そう判断した魔女が飛び退く。その腹部をかすめるように、エレナのクレイモアが宙を薙いだ。
如何に魔女が強化されていようとも、最終人類史の効果で強化されているエレナのパラドクスを、足を止めて喰らい続けることはできなかったのだ。
「やれやれ、あと少しだったんだがな」
嗤う魔女。
エレナは息を弾ませているものの、その表情には未だ余裕が窺えた。
苛烈にして凄艶なる獣の魔女――。
「まったく、クロノヴェーダでなければ口説いてもいいんですけどね!」
ヘキサトリニティをして、それは意外といえば意外な言葉だったのかも知れない。
「ハッ、言いやがる」
鼻を鳴らすように返した、ただの一言。
それを発した一瞬の隙に――。
(「捉えたぜ!」)
――闇に乗じたテテルがヘキサトリニティに襲いかかろうとしていた。
暗殺靴で足音を殺して。
刃のように鋭く死角を突く。
「なにっ
……!?」
デーモニッシュな笑みを浮かべていたヘキサトリニティが目を見開いた。
最早、避けようがない。
刹那、カースファルシオンによる暗夜の一撃が魔女の背中を貫いた!
「ッ、テメェ!」
ブンと杖を振るってテテルを飛び退かせたヘキサトリニティが、ごぼりと口から血を吐いた。人間であれば、間違いなく致命傷。手応えを感じつつ、しかしテテルは眼前の魔女がそれで斃れるような相手でないことを分かっている。
「よう、名乗り遅れたな」
だから名を告げるのだ。
ここからが本格的な殺し合いの始まりだとばかりに。
「俺様はテテル、テテル・グリーズ。お前をぶち殺す者だぜ!」
「ハッ、調子に乗るなよ……アタシにぶち殺されるの間違いだろう!?」
獅子、黒山羊、そして蛇――魔女の操るそれらが一斉にブレスを放とうと顎を開いた。が、それを前にしてテテルが棒立ちでいるわけがない。
「避けるってのか!?」
否!
突進したのだ!
そして金属製の脚絆を駆使した足技で、蛇の巻き付く杖を蹴り上げた!
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、ですか」
勇敢な戦い振りにエレナが呟く。
(「炎も雷も喰らいたかねェが……特に毒はヤベェからな」)
せっかくここまで上手く運んでいるのだ。体の自由が効かなくなるような事態は避けたい。
「喰らえこの……!」
足払いも交えて魔女の体勢を崩そうとするが、それでも醜悪な獣どもは炎と雷の吐息を至近距離でテテルに放ってきた。
「っぶね……!」
吹き飛ばされたかに見えたのは、テテルが無理矢理に地を蹴って飛び退いていたからだ。最終人類史の効果で防御力も向上し、殺意の具現であるブラッディオーラも赤々と燃え上がるようだった。
「こんなもんかよ……!」
言いながら、魔女の攻撃、立ち回り、その癖について考えを巡らせる。
(「やられるフリするには、致命傷を辛うじて躱さなきゃいけねーからな」)
簡単に騙されてくれるような相手ではないとテテルは思う。だからこそ手は抜けない。
「強がるんじゃねえよ。耐えたのは驚きだが、平気ってツラでもねえだろうが」
もし通常の状態で、この強化された魔女と戦っていたらと考えると恐ろしいが――ディアボロスは今のところ、戦いを拮抗と呼ぶ以上に運んでいる……!
ただ倒すだけではない戦い。それは事程左様に難しいものだが、
――彼女の復讐心を満たす生贄役は、テテルさん、頼みましたよ。
目配せして。
――作戦上必要とはいえ、どうかご無理なさいませんよう!
魔女が、テテルを狙うように。
敢えて間合いを取り、エレナは剣把を握り込んだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
「まだだ、これじゃアタシの気が収まらねェ!」
魔女が怒号する。
ディアボロスが最終人類史の恩恵を受けているように、キマイラウィッチであるヘキサトリニティも復讐の念で強化されている。かなりの傷を負ってはいるものの、戦いはまだ続く。
ただ打ち倒せばいいのではない、敵。
それを相手にする分、ディアボロス側も全く油断できない状況にあるのだ。
テテル・グリーズ
悪いなエレナ
いい具合に俺へ攻撃したくなる間合いにしてくれてるし
心配してくれてンのもなんとなくわかる
でも魔女を満足させるためには
その嗜虐心も満たしてやる必要があるように思うンよ
魔女は強気で攻めてくるように見せかけて
獣による圧をガンガンかけるものの不利を悟ると引くバランス感覚を持っているように感じた
話し方だけじゃなくて性質も俺と似てる気がして笑えてくる程だ
コイツ、きっと圧倒的有利にならない限り油断しないな
お前ら魔女は俺らと同じく復讐心が力の元なんだってな?
どっちの復讐心が勝つか、勝負だぜ!
引き続き暗夜の一撃で攻撃を続け、反撃は上手く往なし続けたい
先程までと同じように立ち回っていれば戦いを維持できると俺が安心しきっていると魔女に思わせる
ガンガン攻撃を放つが
反撃&攻撃を受けきれなくなって倒れる
ぶち殺されるワケにはいかねェ
最後の最後まで足掻く…復讐者は諦めが悪いからな
そんな生きようと縋る者を潰す時の快感はデカいだろう
必死に武器へ震える手を伸ばしたトコで追撃を受けて動くのを“やめる”
…後は頼んだぜ
「気が収まらない? だったらかかって来いよ」
最早、逃げも隠れもしない。する必要もない。
カースファルシオンを構えたテテル・グリーズ(まがいもの・g08976)は挑発するように笑い、ヘキサトリニティの復讐の心火に油を注ぐ。
そうしながら、テテルは横目で、ちらとエレナに目配せした。
(「悪いなエレナ。いい具合に俺へ攻撃したくなる間合いにしてくれてるし、心配してくれてンのもなんとなくわかる。でも――」)
狙うはギリギリの線。
綱渡りもいいところだ。
それでも、やってみせると決めた。
(「魔女を満足させるためには、その嗜虐心も満たしてやる必要があるように思うンよ」)
「まずは手前ェからだ。ふた目と見れねぇ姿にしてやるよ、ディアボロス!」
魔女が繰り出したのは突進だった。獅子が吼え、大顎を開けて噛みつこうとしてくる。避けたところへすかさず黒山羊の角が繰り出され、テテルは剣で受けながらたたらを踏む――かに見えて、即座に体勢を立て直し、地を蹴った。前へ。
魔女の周りを俊敏に駆け回りながら連撃する。
「軽いなおい! アタシをぶち殺すんだろう!?」
「そうやって吼えるだけが能なのかよ!」
挑発を交え、動き回りながらテテルは思う。
粗暴な言動や振る舞いとは裏腹、実のところ、この魔女は相当に慎重で用心深い。だからこそ、緒戦では死神兵を先行させて様子を見たのだ。
(「コイツ、きっと圧倒的有利にならない限り油断しないな」)
全く――なんて酷い一致。
(「笑えてくる程だ。話し方だけじゃなくて性質も俺と似てるなんてな」)
その魔女を、騙そうというのだ。
簡単な筈がない。
「お前ら魔女は、俺らと同じく復讐心が力の元なんだってな?」
「手前ェらと一緒にするんじゃねえ! アタシらの方が上等だ!」
「ならどっちの復讐心が勝つか、勝負だぜ!」
テテルは更に速度を上げた。
常人ではとても追いきれない程の疾さで魔女を翻弄し隙を窺う。そういう素振りを敢えて見せる。
「躱せるモンなら躱してみろ!」
「笑わせるんじゃねえ! 眼の前で飛び跳ねる虫なンざ、見失うわきゃねえだろうが!!」
背後に回り込んで繰り出す暗夜の一撃が、魔女の肉体を抉る――そう思われた瞬間、まるでダンスでも踊るようにヘキサトリニティが体を回転させた。三種類の属性を持つ烈しいブレスがテテルを吹き飛ばす!
だが、それでも。
テテルは立ち上がり、そして立ち続ける。
「ぶち殺されるワケにはいかねェ。最後の最後まで足掻く……復讐者は諦めが悪いからな」
「いいねェ。そうでなくちゃ面白くねえ。気に入ったよ。悪くないぜ、お前」
時空を歪ませ、タイマンを張るのもまた逆説連鎖戦の特徴の一つだ。
その意味で魔女は、この状況をさほど不自然に感じてはいない。
両者は火花を散らし。
かくして決定的な瞬間が訪れた。
「これで仕舞いだ! 砕けやがれディアボロスッ!!」
突撃するヘキサトリニティがテテルを強かに吹き飛ばす。
激しく転がり、地を滑る鬼人。
うつ伏せになりながらも、テテルは震える手でカースファルシオンに手を伸ばした。その横腹にヘキサトリニティの蹴りがくい込む。
呻き声もない。テテルの伸ばした手が力を失い、地に落ちる。
反撃はない。
つまり『そういうこと』だ。
「どうだディアボロス! 粋がった末路がこれだ! ハハハハハハッ!」
天も見よとばかりに空を仰ぎ、声を響かせる。
報仇の念をぶつけ切ったキマイラウィッチの、それは勝ち誇るような高笑いであった。
復讐の魔女はここに満たされて。
――……後は頼んだぜ。
テテルは心の中で念じ、戦場に立つディアボロスに後を託した。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
「見たかディアボロス、これがアタシの復讐の力だ!」
哄笑がバルセロナの町に響き渡る。
ディアボロスを手にかけて、ヘキサトリニティは喜悦に身を震わせていた。
だが、魔女は気付かない。
復讐の念が弱まり、最早ディアボロスの術中に陥っているという厳然たる事実に――。
戦いは、最後の局面を迎えようとしていた。
エレナ・バークリー
テテルさん! よくも仲間を殺ってくれましたね。いいでしょう、最早遊びはここまで。心底からあなたを仇と見なし、片を付けます。
(姿が消えて新宿島に還らないなら、テテルさんは無事ですね。何とも無茶をしますが安心しました。ですが、その心の動きを魔女に悟られないようにしないと)
まずはあなたを、地に這いつくばらせてみせましょう。
「全力魔法」「念動力」で地の底の玉座は全てに君臨すを行使。
高重力で一気にキマイラウィッチを大地に叩きつけます。そのまま、地面にめり込ませて、圧し潰します。
これだけで終わりとはなりませんよね。次はおそらく全力。
体勢を立て直す前に、「誘導弾」の牽制を入れます。彼女本人ではなく、身体を支える地面に攻撃を打ち込んで砕く!
身体の支えを失えば、いかなクロノヴェーダとて隙が生まれるはず。そこに再びパラドクスを行使します。
反撃のブレスは、魔法障壁の集中展開とバックラーで対処。
ええ、攻めに全力ですよ。中途半端に身を守っていては、あなたに勝てない。
吐息を「ダッシュ」で突破して、至近からの一撃を!
「テテルさん!」
クレイモアを構えたまま、エレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)はその名を呼んだ。駆け寄りはしない。戦闘中なのだ。眼前の魔女は、獲物ににじり寄る猛獣めいて、いつ仕掛けてきてもおかしくはない。
「一人倒れたぞ? 次はテメェだ。頭から喰らってやろうか、それともコイツの角で突き殺してやろうか」
うつ伏したテテルを、ちらとエレナは見やっただけ。すぐに魔女を見返した。
(「(姿が消えて新宿島に還らないなら、テテルさんは無事ですね。何とも無茶をしますが、安心しました」)
倒れたディアボロスは新宿島に漂着する。これまで多くの強敵と刃を交えてきたエレナは、その現象を知っている。
最終人類史の様々な効果が、テテルを護ったのだろう。
(「ですが、それを魔女に悟られては元も子もありません」)
思い、エレナは、そのアメジストのような紫の瞳に激情を湛えた。
誰が見てもそうと分かる、怒りに。
「よくも仲間を殺ってくれましたね。いいでしょう、最早遊びはここまで。心底からあなたを仇と見なし、片を付けます」
魔力がほとばしる。
飛びかかろうとしていたヘキサトリニティが、足元から生じた気配に目を見開いた。
「何――」
だが、もう遅い。
「まずはあなたを、地に這いつくばらせてみせましょう」
顕現したのは冷たく昏い冥府の呪縛。見えざる縛鎖が、復讐の魔女の三ツ首に、腕に、脚に絡みつき、猛獣を縛るように雁字搦めにして大地に叩きつけた!
「ぐ、アァァッ!?」
今や世界がエレナを祝福していた。その瞳には彼女だけに見える導きの光が映り、その怒りが攻撃の威力を飛躍的に高めている――!
「このアタシを縛りやがったな、テメェ!」
這いつくばって地を舐めることとなったヘキサトリニティは、怒りに身を震わせていた。パラドクスの拘束が消えた瞬間、弾かれるようにして距離を詰めてくる。
「技能だけで何とかなる相手ではありませんね」
エレナはクレイモアによる斬撃を交えつつその脚を狙った。最終人類史の加護を受けた剣の鋭さに、遂に魔女が体勢を崩す。
「この……このアタシが……お前らなんぞに負けるわけがないんだ!!」
膝をつきながらも叫び、魔女は渾身のブレスを放った。
「やらせはしません!」
神秘の防壁(レ・バリカード・ミステリユーズ)が縹色の輝きを放ち、結集する。
猛烈なブレスにあぶられて障壁が軋みを上げるが――バックラーを構えながらエレナは魔女を見据えた。
そして。
「圧してきやがる、だと……!」
防いだだけではない。
前に出たのだ。
「ええ、攻めに全力です。中途半端に身を守っていては、あなたに勝つことはできない」
魔女が全身全霊で放ったはずのブレスが、遂に消え果てた。
すかさずクレイモアの剣把を握り込み、エレナがパラドクスの力を解放。至近距離から渾身の『一撃』を放つ!
「このアタシが……馬鹿な……そんな馬鹿なあぁッ
……!!」
ヘキサトリニティは絶叫し、最早なすすべもなく地に倒れ伏した。
「終わりましたね……」
嘘のような静寂が、バルセロナの町に舞い戻る。
その中で一息つくと、エレナはテテルに手を差し伸べた。
「名演技でした。内心、どうなるかと思いましたが……真に迫るには、無茶も必要ということでしょうか」
「ってて……いや、それも活かしてくれる仲間がいてこそだった。感謝するぜ、エレナ」
エレナ・バークリー、そしてテテル・グリーズ――ふたりのうちどちらが欠けても、この大勝利はあり得なかっただろう。
これで死した魔女の思念が利用されることはなくなった。
パラドクストレインがやってくる。
それに乗り帰還すべく、二人は霧の中を歩き出した。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!