リプレイ
吸血ロマノフ王朝、モスクワ――クレムリン。
「ようこそ、いらっしゃいました。監視団の皆々様」
ディアボロス達を恭しく迎えたのは、眉目秀麗なヴァンパイアノーブルの青年。トループス級『血の記述者』の1人だろう。
「主より、クレムリンの案内を仰せつかっております。まずは……どうぞ、こちらに」
慇懃に、粛々と――何か話し掛けられたとして、「私からは何も……どうぞ、主にお伺い下さい」とやんわりと躱し、侍従の青年は足音も立てず、ディアボロス達を先導する。
城壁でほぼ三角形に囲まれたクレムリンには、大小様々の宮殿、聖堂、塔がある。何処という説明もないまま、とある扉から屋内に。案内されるまま階段を幾つも上り下りし、扉を幾つも越えた先――。
「此方でございます」
その幅の狭い廊下には、一切窓が無かった。どうやら地下のようだが、最初に入った建物の地下で在るのかすら判らない。
血の記述者に促され、突き当りの扉を開けると。
「よく来てくれた、ディアボロス諸君。斯様に狭い場所から失礼する」
執務机の向こうで立ち上がり、『怪僧ラスプーチン』は両腕を広げて歓迎の意を露にする。
「何せ、私は『死に体』であるからな」
時先案内人の情報通り、ラスプーチンは己の生存をまだ秘匿事項としている様子。表だって姿を見せないよう、秘密の部屋に籠っているのだろう。
「だが、君達がモスクワを視察するのは、何ら問題が無い。実務担当であるプロトポポフとウィッテにも、話を通してある。希望の場所に案内させよう」
今の所、ラスプーチンの態度はこれまでと変わり無さそうだ。だが、早速、会談を希望したディアボロスに対して、静かに頭を振る。
「或いは、退屈そうに見えただろうか。私の話し相手となって貰えるのは嬉しいが……まずは、存分にモスクワの現状を確認し給え。その方が、より実り多き対話に臨める筈だからな」
レイラ・イグラーナ
●方針:セルゲイと会談し、鉄道や鉄道を用いた支援について情報を集める
此度はご案内頂き、感謝いたします。
この吸血ロマノフ王朝の生命線ともいえるモスクワ鉄道ですが、私たちには分からぬことも多く……その専門家の方にこうしてご案内頂けるのは恐縮です。
この鉄道が血管ならばモスクワは心臓。モスクワを中心として周囲の街や集落に物資を輸送しているのだと考えているのですが、相違ないでしょうか?
かつて見た七曜の戦の予兆では、彼はアルタン・ウルクにシベリア鉄道が呑み込まれていくのを嘆いておりました。
鉄道の有用さやその手腕を褒め、鉄道の機能について語らせれば、彼も悪い気はしないでしょう。
しかしこれまでのカーミラの統治は厳しいものでしたし、いきなりのことで周辺都市の方々も困惑されておられるのではないでしょうか。
もし人民の皆様に困惑や恐れがあり、物資支援が難しくなるようならば私たちも回り、言葉をかけましょうか?
モスクワから支援をしている周辺集落への対応を聞き出し、そこからラスプーチンの狙いを予測できないでしょうか。
「此方でお待ち下さい」
「ご案内頂き、感謝いたします」
秘密の部屋に留まるラスプーチンに見送られ――レイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)が案内されたのは、クレムリン大宮殿の一室。
その応接室の内装は豪奢であったが、調度の数々は繊細で優美な意匠ばかり。或いは、まだ死妖姫カーミラの趣味のままかもしれない。
「――待たせたな。業務に一区切りが付くまで、手が離せなかった」
果たして、車掌のような制服姿のジェネラル級ヴァンパイアノーブルがキビキビと入室して来たのは、暫く時間が経ってから。
「セルゲイ・ウィッテである。モスクワ鉄道の運営を一手に担っている」
「レイラ・イグラーナと申します」
簡潔な自己紹介の後、ウィッテの様子を窺うレイラ。
セルゲイ・ウィッテの装いは重厚であるものの、貴族の華美さはなく質実剛健。両手は白手袋に覆われている一方、面は漆黒そのもの。双眸の赤光が炯炯としているものの、表情は窺えない。声音も沈着で平板だ。
(「しかし、かつて見た七曜の戦の予兆では……アルタン・ウルクにシベリア鉄道が呑み込まれていくのを、『私の大切な鉄道が』と嘆いておりました」)
であるならば――。
「この吸血ロマノフ王朝の生命線ともいえるモスクワ鉄道ですが、私たちには分からぬことも多く……その専門家の方に、こうしてお会いして頂けて恐縮です」
「……ほう?」
レイラの言葉に、ウィッテは小首を傾げ、立ったままであった姿勢から傍らの肘掛椅子に腰掛ける。
「この鉄道が血管ならばモスクワは心臓。モスクワを中心として、周囲の街や集落に物資を輸送しているのだと考えているのですが……相違ないでしょうか?」
「うむ。鉄道網は、吸血ロマノフ王朝という巨体を生かす為の『血管』である」
我が意を得たりとばかりに、大いに肯くウィッテ。
「鉄道の運行管理は職人芸である。私の時間を無駄にする度に、輸送が間に合わなかった地域の一般人は餓死していく。故に、門外漢に口を出して欲しくなかったのだが……どうやら、ディアボロスを誤解していたようだ」
鉄道の有用さと『専門家の手腕』を認める発言は、確かに彼の琴線に触れたようだ。
「それにしても、これまでの死妖姫カーミラの統治は、厳しいものでした」
「ああ、『血管』の価値が判らない、カーミラを除いてくれた事は感謝しよう……ラスプーチン殿が盟約を結ぶだけの事はある。お前のようなディアボロスならば、私も友誼を結ぶことに否やは無い」
最初と変わらず、漆黒の面の表情は読めないが、随分と態度は軟化している。
「そう言えば……此度のモスクワ解放はいきなりのことで、周辺都市の方々も困惑されておられるのではないでしょうか」
ウィッテの反応に内心で安堵しながら、レイラは丁寧な口ぶりで提案する。
「もし人民の皆様に困惑や恐れがあり、物資支援が難しくなるようならば……私たちも回り、言葉をかけましょうか?」
その実、モスクワから支援をしている周辺集落への対応を聞き出し、そこからラスプーチンの狙いを予測するのが、レイラの狙いだが――無論、真意はおくびにも出さない。
「ふむ……」
ウィッテが思案するのも束の間。
「では、何処にどれだけ物資を運んだか、報告してもらえればありがたい」
そう要請して来た理由も、明快だ。
「二重で物資を送るのは無駄である。更に、一部の地域が二重に物資を得たと知られれば、他者から憎まれる土壌となるだろう」
鉄道の運営に関して、ウィッテは合理的に辣腕を振るっているようだ。
「物資はまずモスクワに集合させ、此方で一元的に配布したい。ディアボロスにも、可能な範囲で協力してほしい」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【傀儡】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
俺は現場の視察を主に
動的・積極的な情報収集と、静的な観察を併せて行う
モスクワ鉄道はこの国の大動脈……
鉄道と支援計画の実態を調査しよう
運行計画や、支援物資の量と運び先をチェック
物資をどこから調達し、どこへ運んでいるか
復讐者以外に供給の当てはあるのか
物資の運び先を網羅して把握、メモを取り、ポケットに忍ばせた小型カメラで記録する
支援が適切に行われているかと、その規模と全体像を把握したい
需要と供給にアンバランスはないか……
従属を強いるために、物資の量を減らす意図はないか
復讐者に隠したり、計画の不自然や、作為的な動きはないか
中立派の取り込みに関わりそうか
注意深く分析
次に鉄道の運行実態と、効率的に支援を行うノウハウを確認
実働はウィッテの配下か、ラスプーチン直属なのか
復讐者が支援を成り代わる事ができるかの観点を持ち、業務を確認
鉄道の機関は……蒸気なのか?
ちょっと運転させて?と好奇心の演技で尋ね
こっそり操作会得で操作可能か確認
多角的にラスプーチン派の動きを浮き彫りにするため情報を集めよう
(「多角的に、ラスプーチン派の動きを浮き彫りにしたい所だな」)
その為には、積極的な情報収集と俯瞰的な観察を――エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、モスクワ鉄道の現場視察に向かう。
セルゲイ・ウィッテも認める通り、モスクワ鉄道は吸血ロマノフ王朝の大動脈だ。鉄道運営と物資救援計画の実態調査は、監視団として必須だろう。
「『鉄道参謀大佐』ドロズドフスキーであります。ウィッテ様より鉄道管理を仰せつかっております」
白軍服に眼鏡のヴァンパイアノーブルが、エトヴァに敬礼する。何度か見た顔だった。アヴァタール級故に、全く別のヴァンパイアノーブルだけれど。
「まず、運行計画や、支援物資の量と運び先をチェックしたい」
「此方がその記録です」
物資を何処から調達し、何処へ運んでいるか――バインダーを開き、ドロズドフスキーは淀みなく、書類を読み上げていく。
「……死妖姫カーミラ、随分と貯め込んでいたんだな」
「処分前で助かりました。勿論、其方からの救援物資も活用しております」
物資の当てが気懸りであったエトヴァだが、死妖姫カーミラが収奪していた物資がそれなりに有るとの事。ディアボロスからの救援物資と合せて、暫く心配無さそうだ。
計画の規模と全体像を把握するべく、物資の運び先と輸送量をメモするエトヴァ。
(「需要と供給にアンバランスはないか……従属を強いるため、物資の量を減らす意図はないか……」)
ドロズドフスキーに隠蔽の素振りは無いが、本当に物資の支援が適切か、疑って掛かるに越した事は無い。
尤も、計画の不自然さや作為的な動き、果ては中立派取り込みとの関連の有無など、その場で看破するのは難しい。
(「詳しい分析は新宿島で、だな」)
続いて、鉄道の運行実態と効率的な支援のノウハウを確認。
ドロズドフスキーの先の言の通り、現場の人事はウィッテが取仕切っているようだ。
「鉄道の機関は……蒸気なのか?」
「お見せするであります」
果たして、車両置き場には、貨物車両を連結した機関車が並んでいた。
「運転士は……」
「訓練を受けたクロノヴェーダが運転する事で、輸送の安全を保ちます」
既にモスクワ鉄道は、人と物の流通を再開させている様子。
ディアボロスからの救援物資を積み込んだ貨物車両も確認した。この物資がモスクワだけでなく、近郊の人々を餓えから救うかもしれない。
「他に質問は?」
「質問というより……ちょっと運転させてもらえないか?」
好奇心旺盛を装い、悪戯っぽく笑むエトヴァ。
「構いませんが……」
真意は、ディアボロスが物資支援側に成り代われるかどうか――運転台にて、残留効果【操作会得】を使ってみるも。
(「発動しない?」)
この機関車がクロノ・オブジェクトである証佐だが、予測の範囲内ではあるだろう。クロノ・オブジェクト化した特別列車は、喩え線路が破損していても無理矢理進める。流石に、全てがクロノ・オブジェクト化はされていないが、輸送力強化の為、そして、鉄道復旧が完了するまでの輸送の維持に特別列車は欠かせまい。
「うーん……基本の操作は、そこまで難しくなさそうだけど」
「操作方法、教えましょうか。そう言えば、映像は撮らなくて大丈夫ですか?」
「あ、ああ……」
隠しの小型カメラを上から撫で、エトヴァは曖昧に笑む。
(「今回は、現場視察だから、かな……」)
何ら、疚しい所は無いのか、ドロズドフスキーは生真面目そうな面持ちのまま。
まだ、時間はある。鉄道施設を撮影したら、機関車の運転方法を教えて貰うとしよう。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
イシュア・アルミゴス
さて、改めて初めまして。あなたがモスクワの統治を担うということで。
ラスプーチン殿の腹心となればその手腕は大いに期待できる。
内政となると余程の頭脳が無いと任せられない重要な役割だ。
ラスプーチン殿が重視していたモスクワがどうなるのか、楽しみにしている。
早速街を案内してほしい。街の雰囲気や支援に滞りが無いか確認したい。
詳しく把握するには聞くより見るのが一番だ。地図はあるかな?
あなたに是非直接案内して欲しい。
市民の顔や街の施設を確認しこちらを恐れている様な顔や警備の厳重な施設が無いか確認。
前回会談の様な秘密の部屋があるかもしれない。さり気なく無鍵空間を発動。
隠された部屋等が無いかを見ていこう。探るにも取っ掛かりが無いとね。
地図を片手に案内していない場所が無いか確認。
記録や写真を撮り用途や状態を聞きつつ内部を確認していこう。
忙しい中、案内感謝する。そうだこれだけ聞いておきたい。
ラスプーチン殿はモスクワを法による従属と言っていたが
法はあなたが考えるので?ディアボロスが口を出していいものかな?
「監視団の皆さんですな。私はアレクサンドル・プロトポポフ。以後お見知りおきを」
クレムリン大宮殿のホールで待合せ――警備兵を従え現れたのは、口髭を整えた痩身のヴァンパイアノーブル。袖口の金飾りこそ豪奢だが、寧ろ文官めいた装いだ。
「初めまして。内政は、余程の頭脳が無いと任せられない重責だ。ラスプーチン殿の腹心となれば、その手腕は大いに期待できるね」
いっそ愛想よく、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)もご挨拶。
「これはこれは……私の事をよくご存知の様子。流石はディアボロス、でしょうか」
「早速、街を視察したい。地図はあるかな? あなたには是非、直接案内して欲しいのだけど」
百聞は一見に如かずと急かすイシュアの態度にも、プロトポポフは鷹揚に首肯する。
「問題ありません。行きましょう」
「……そうだ、これだけ聞いておきたい」
クレムリンから市街へ出る道すがら、イシュアはプロトポポフに問う。
「ラスプーチン殿は、法による従属と言っていたが……法はあなたが考えるので? ディアボロスが口を出していいものかな?」
「ふむ……細則や運用は、現場に任せて頂きたい。其方で方針や心掛けてほしい事がありましたら、上を通して貰えれば、可能な限り対応しましょう」
上、即ち怪僧とは後々会談の機会がある。まずは、モスクワの現状を知る所からだ。
果たして――街の雰囲気は、モスクワ市街地解放作戦の時と比べて、随分と明るかった。
「今日の配給は?」
「今からだ」
市民の会話に、思わず聞き耳を立てるイシュア。
「クレムリンのお貴族様が替って、春にもなったし、漸く息が出来るってもんだ」
「おう、配給も再開されたしな。本当に、ヴァンパイアノーブル様々だぜ」
危機的飢餓状況から解放されたからだろう。人々の表情は、一応に安堵の色濃い。
だが、イシュアは小さく眉根を寄せる。
(「『従属』に慣れてるんだろうね」)
ココツェフ伯爵も、死妖姫カーミラも、怪僧ラスプーチンも、モスクワの支配者は全てヴァンパイアノーブルだ。だが、人々は十把一絡げに感謝を口にする――支配者への迎合が生き延びる術と言わんばかりに。
それでも、モスクワの一般人の生活が落ち着いてきているのは、一目瞭然。それも、ディアボロスからの支援物資が大きく寄与しているのは、確かだろう。
(「警備体制は……」)
首を巡らせて、イシュアは思わず溜息1つ。
「何か?」
「いや……」
目敏く気遣うプロトポポフに頭を振りながら、彼の周辺に立つ警備兵を一瞥する。
(「これだけゾロゾロくっついてたらなぁ」)
ジェネラル級と一緒の視察だ。どうしても大人数となる。厳戒体制とまで行かずとも、平時の警備状況は却って判り難くなってしまう。
「……あ、あそこ。物々しいね?」
「モスクワも広い。掌握がまだの地域は、警備を厚くしています」
プロトポポフの返答は淀みない。一応、理屈は通っており、嘘かどうかも判断が難しい。
(「秘密の部屋とか……パッと見じゃ判らないか。【無鍵空間】に発見出来る効果とか無いのは残念だ」)
探るにも取っ掛りが欲しい。確かに記録や撮影は自由だし、プロトポポフ自ら案内役を務めるのは、それだけ監視団に配慮しているからだろう。だからこそ、イシュアも不審な行動は取れない。
「この界隈の配給所は、向こうの広場になります。行かれますかな?」
「勿論」
もどかしさを抱え、プロトポポフに続くイシュアの耳に、告知の声が聞こえてくる――。
「――本日の配給を始める。この食料は、新たにモスクワの内政を取り仕切るアレクサンドル・プロトポポフ様の特別な計らいである。日々感謝を忘れず、忠勤に励むように!」
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
宣伝効果か……
街中へ移動して、プロトポポフに挨拶し、会話しながら視察に同行しよう
さて、やましい所がないのか、やましく思っていないだけなのか
まずは配給の様子を確認
配られている物資の量や様子
……配給所は何か所あるんだろう?と尋ね
観察とメモ・撮影機材(写真と隠しカメラ)で記録を
今後の統治についての意見交換をぜひ……
要望を突き付けてみる
苦笑を浮かべつつ
ディアボロスも物資を供出しているんだけどな?
こちらも潤沢ではない物資を出している……支援を行うのはやぶさかではないし、目的は同じだ、今後も供出は続ける
だけど、ディアボロスも加わっていると、民衆に伝えておいてもいいのではないかな
どう思われる?
カーミラの備蓄があるとはいえ暗に支援を切る可能性があると仄めかし、どの程度困った反応をするか
それで……掌握していない地域とは?
具体的にどういうことなのか?
モスクワで不測の事態が起きることでもあるのかい?
彼らにとっての「不都合」が隠れている場所や要素があるかどうかを探る
なんか革命軍を思い出すんだけど
(「宣伝効果か……」)
配給の告知の声は、鉄道の視察を終え、市街地の方へ向かっていたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)も聞いた。唇の端に浮かんだ笑みに苦さが混じる。
配給所を横目に、一団と合流したエトヴァはアレクサンドル・プロトポポフに挨拶する。
(「さて、疚しい所がないのか、疚しく思っていないだけなのか」)
「あの告知……ディアボロスも物資を供出しているんだけどな?」
「そうですな。しかし、市内の混乱を鎮める為には、強い指導者の存在を印象付ける必要があるのです」
エトヴァの言わんとしたい事を察したのだろう。プロトポポフは、ご理解下さいと神妙な面持ち。
「強い指導者によって統治されなければ、配給物資を巡って一般人同士が争う事件が頻発してしまうでしょう」
「……支援を行うのはやぶさかではないし、目的は同じだ。だけど、ディアボロスも支援していると、民衆に伝えておいてもいいのではないかな」
「その点はご安心を。『革命軍の精鋭部隊であるディアボロスが、市民を助けている』というのは、周知の事実ですからな」
(「そう来たか……」)
実際、ディアボロスの活動を革命軍の成果として宣伝していたのは、エトヴァも知っている。
「詭弁だな。正当な評価がないまま支援を続けられる程、此方の物資も潤沢では無いのだが」
敢えて強気に、暗に支援を切る可能性があると仄めかしてみたが……プロトポポフの表情は変わらない。
「仮に、支援が打ち切られるとして……それが、其方の意向なのでしたら、引き締めを行うのも吝かではありません」
プロトポポフ曰く――過ぎたるは猶及ばざるが如し。
「寧ろ、物資が潤沢にあり過ぎても問題ですので。本来は、物資がやや足りていない程度で、丁度良いのです」
「物資の不足が深刻と言ったのは、ラスプーチンの方だったけど?」
「ええ、其方からの物資が全く無くなれば、餓死者を出す事になるでしょう」
事も無げに、サラリと言ってのけるプロトポポフ。
「そうなった場合、『輸送を円滑化する事で無駄を無くし、餓死者の数を減らす』ように、配分するだけの事ですよ」
少なくとも、プロトポポフにとって、ディアボロスの支援物資は必須では無いのだろう。
あくまでも、民は『従属』を得る為の糧。例えば『1割の住民が餓死する』状況の方が『効率的』であれば、あっさりと舵を切るだろう冷徹さが透けて見えた。
「……ともあれ、モスクワの解放は成ったばかりです。皆さんの希望については、我々の統治が軌道に乗った後に相談させて頂きましょう」
場が冷え切る前に、話を切り上げるプロトポポフ。小さく溜息を吐き、エトヴァも別の話題を探す。
「そう言えば……ちょっと小耳に挟んだのだけど、掌握していない地域とは? モスクワで不測の事態が起きることでもあるのかい?」
「先程も言いました通り、モスクワを制圧してから間もないですからね」
或いは、空き家の地下室に、カーミラ派残党のトループス級が取り残され、隠れているかもしれない。
「この短期間で、モスクワの隅々まで、調査を完了させるには到底至っていないのですよ」
その実、モスクワは、ジェネラル級が犇めき陣取り合戦に明け暮れていた『TOKYOエゼキエル戦争』――東京23区より広いのだ。
「街路の1つ1つ、建物の1つ1つを、完全に調べ上げるのに、数ヶ月単位の地道な作業が必要なのは、お判りでしょう?」
例えに挙げられたカーミラ派の残党が、本当にラスプーチン派の『不都合』なのかどうかは、判然としない。
一方で――慇懃な挙措と声音は変わらず、内政を任されたこのヴァンパイアノーブルの弁が立つのは、確かだった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
アタランテ・フォードブルー
我はアレクサンドルと話をしよう
モスクワに常在するのは汝らである事は確か
然し我らも監査団を出して相互に確認を出来るか否かを話を詰めたい
今後の統治の際、警備体制や配給体制等について一度我らディアボロスに案を通して問題が無ければ可決する、といったようにな
そんな風に話を進めながら次にモスクワの防衛体制について話を
カーミラが死んだ事は露見している場合でも否でも、我らは主流派の脅威からモスクワ住人を護る為、モスクワの警備体制や監視体制等を聞かせてほしい
……我らが攻める時でも、その情報は役に立つだろうからな
そんな内心を隠しながら、毅然とした態度と声色で警備体制や監視体制等の話を進めていく
モスクワからのカーミラからの通信が無くなれば、いずれは吸血皇帝も事態を察するだろう
その時のモスクワ住人に対する手筈はどうする?
疎開する場所は我らディアボロスが設けて開拓を一任するというのはどうだろうか
そんな風に、ディアボロスの勢力下にある北欧を疎開地域として話を進めていく――
警備兵に囲まれ、モスクワ市街を視察しながら、ディアボロスはアレクサンドル・プロトポポフと言葉を交わす。
遠目からは、和やかに談笑しているように見えているだろう。
「死妖姫カーミラの死亡は、既に露見しているのだろうか?」
その実、アタランテ・フォードブルー(氷理騎士団総長『氷聖』・g07418)の話題は、剣呑であったけれど。
「喩え今は秘匿事項であっても、モスクワからカーミラの通信が途絶すれば、何れは吸血皇帝も事態を察するだろう。その時、モスクワの住人はどうする?」
「どうする、とは?」
「主流派の脅威から、モスクワの人々を護らねばならんだろう。まず、モスクワの警備体制や監視体制を聞かせてほしい」
(「……我らが攻める時でも、その情報は役に立つだろうからな」)
一気に踏み込んだアタランテからの更なる提案は『モスクワ市民の疎開』。
「疎開する場所は、我らディアボロスが設けよう。例えば、北欧の開拓を一任するというのはどうだろうか」
「……余剰人員の疎開については、検討の余地がありますな」
逡巡の後――プロトポポフは小さく頷く。
「疎開させるべき人員については、こちらで検討しておきましょう」
それなりに色よい返答を得たにも拘らず、アタランテは眉根を寄せる。
(「『余剰』人員?」)
考えを巡らせ――プロトポポフの視線の先、店先に座り込む老人達に気付くに至り、ハッと瞠目するアタランテ。
モスクワは広い。人口も多い。その全てを養うのに必要な物資も又。
(「まさか
……!?」)
例えば老人、身体が不自由な者、社会性が低い者――そんな生産性の低い人々を、『疎開』を名目にモスクワから追放出来るならば。
「……」
冷えたアタランテの脳裏に、5月期に採択された攻略旅団の提案が1つ、過る――。
「……今後のモスクワ統治について、だが」
「何でしょうかな?」
「相互に確認出来るか否か、話を詰めたい……まずは、警備体制や配給体制からか。1度我らディアボロスに案を通して問題が無ければ可決する、というのは」
「……」
ピタリと、プロトポポフの足が止まる。
「……」
「……ディアボロスは、我々の邪魔をしたいだけのようだ」
淡々と様子を窺うアタランテに向けられた視線は、射殺さんばかり――プロトポポフは、再三口にしていた。采配は現場に任せて欲しい、と。
「話にならない。現場の裁量を禁じ、別ディヴィジョンにいるディアボロスの裁可を一々仰げなど……一般人の死骸を積み上げる事を、我らに要求しているとしか思えない!」
「モスクワに常在するのは汝らである事は確かだ。然し、我らも監査団を出して――」
「月に1度会合を行うとして、裁可が出るのは1ヶ月後か? それとも半年後か? 死妖姫カーミラでさえ、そんな事は言い出さなかったろうな!」
語尾を荒げ、プロトポポフはアタランテを、ディアボロス達を睨み付ける。
「こんなにも理不尽で、高圧的な無礼に遭うとは……ラスプーチン様より、ディアボロスの意見に従うよう命ぜらせていたが、最早我慢ならん!」
即刻、モスクワから出て行け! ――憤然とプロトポポフは言い放つ。
「こいつらを摘まみ出せ! 抵抗するようなら、戦闘も許可する」
警備のトループス兵らがわらわらと監視団を包囲する中、アタランテは凛と顔を上げ、プロトポポフを真っ向から見据える。
「早々に馬脚を露したか……これだけは覚えておけ――手を切ったのは、汝らの方からだ」
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
俄かに空気が殺気立つ中、思わず身構えるディアボロス達だが、戦力差著しく流石に勝算は無い。
更には――モスクワ市民が少なからず、遠巻きに此方を窺っている。街中で暴れれば、どれ程の巻き添えが出るか知れない。
「今回の件は、報告させて貰うわ……皆、いきましょう」
表情を強張らせ、踵を返すアンナ・ローザ(ヴェンデッタの糸・g03283)。モーラット・コミュのマリアが、心配そうに追い掛ける。
プロトポポフも最後は、理性が勝ったか。粛々とモスクワより撤収する監視団のディアボロス達が、攻撃される事は無かった。
――多方面からサンクトペテルブルクを攻撃し、本格的な大規模攻略を始める。
モスクワ解放後、初めて監視団が派遣される中――攻略旅団で採択されたその作戦方針は、完全にラスプーチン派を手切れとする内容であった。
喩え、今回の監査を穏便に済ませたとして、その場凌ぎでしかなかっただろう。決裂が決定的であるならば――終結に至るその過程も、きっと重要となってくる。
(「この結果は、未来にどう影響するのかしら……」)
斯くて、仮初の平穏は潰え、戦場は変転する――吸血ロマノフ王朝の心臓部モスクワから、断片の王坐すサンクトペテルブルクへ。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!