関羽軍の魏領侵攻

【!期限延長により状況が困難になっています!】
『樊城の戦い:蜀』でのディアボロスの活躍により、蜀の関羽は、大戦乱を引き起こすだけの大規模な軍勢を組織することが出来ませんでした。
 しかし、魏の曹仁が、樊城を捨てて宛に撤退したため、関羽軍は図らずも重要拠点である樊城の制圧に成功したのです。
 樊城は、魏の首都である『許昌』に近く、関羽は魏の喉元に刃を突き付けた形となりました。
 これに気を良くした関羽は、魏の領土であった町を襲撃して破壊、生き残った人間を兵士として連れ帰り戦力を増強、魏の首都『許昌』を攻める大戦乱を引き起こそうとしています。

 関羽配下の蜀軍による、魏の町の襲撃から人々を救出し、大戦乱の発生を阻止してください。
 戦闘中、赤兎馬に騎乗した関羽が現れる事がありますが、現時点では撃破は不可能なので、できるだけ戦闘を控えつつ、作戦目的を達成してください。

紅生匈湧(作者 唐揚げ
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#大戦乱群蟲三国志  #関羽軍の魏領侵攻  #蜀  #攻略期限延長  #関羽 


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 異様な光景だった。
「まさか、こうもたやすく樊城を制圧出来るとはなあ。音に聞こえし魏の曹仁、所詮は腰抜けよ!」
 と、上機嫌に酒を呷るのは、蜀は誇る無双の蟲将・関羽である。
「なあ、お前達もそう思うであろう、ん?」
「は、は! まことその通りで!」
 関羽がぎろりと睨みつけると、傍に控えていた『張任』は慌てて同意した。
 その背後には、『蜀軍剣蟻兵』と『東州蜂兵』の軍団が直立不動で整列する。
 アヴァタール級の蟲将をして、奴婢めいて媚びへつらう……それはすなわち、この美髯公の名を持つ蟲将が、はるか格上の存在であることを示している。

「がははは! よいよい。わしは気分がいい」
 張任のへつらいが気に召したのか、関羽は呵々大笑し、酒をまた呷る。
「これは好機よ。このまま魏の町という町を襲い、住人どもを兵の足しにしてやろうではないか」
「尽くを……で、ございますか」
「おうさ。ここらはすべて魏の領土だったのだ。遠慮なぞ必要なし」
 関羽はくつくつと肩を揺らす。
「抵抗する者は……そうさな、生きたままはらわたを抜き、それを縄代わりに首を吊るすなどどうだ?」
「よき策、かと」
「うむ。存分にやれ。派手なら派手なほど、兄上も喜ぼうぞ」
 張任に、一般人への同情はない。だが関羽の軽挙ぶりは目に余る。
 それを諌めようにも、万一機嫌を損ねればその怒りは己に向く。ゆえに何も言えない。

「ああしかし、まこと残念よなあ。曹仁が腑抜けなあまりに大戦乱を起こせなんだ」
 関羽は口惜しげに呻き、盃を乱暴に傾けた。
「我が赤兎馬も戦いに疼いていよう。いっそ敵に相応しい輩でも現れればよいのだが」
「……お言葉ながら、然様な冗談はいささか過ぎたものではないかと」
「がははは! 言うではないか!」
 張任の覚悟の言葉も、関羽には蚊ほども届かない。
「まあ安心せい、そのような敵がおれば、わし自ら相手をすればよいのだからな。
 もっとも、わしの食指を動かす『敵』なぞ、はたして現れるかどうか……」
「関羽殿!」
「がはははは!!」
 諫言を一笑に付し、関羽は盃では足りずに瓢箪をそのまま呷った。
 これこそがジェネラル級、強大なる蟲将の暴虐である。

●新宿駅
「先輩、大変ッス! 『大戦乱群蟲三国志』で、ジェネラル級の蟲将が動き出したッスよ!」
 七田・ナナ(サキュバスのバウンサー・g05125)は、慌てた様子で予知を伝えた。
「先輩がたがハイパー頑張ってくれたおかげで、魏の曹仁は『樊城』から撤退したッス。
 けど今度は、蜀の『関羽』が、その樊城を制圧した上に、略奪を計画してるッス!」
 愛用のメモ帳に何度も目を落とし、ナナは慣れない語彙で必死にまくしたてた。
 つまり関羽はそれだけの相手であり、放置すれば惨劇へと発展するということ。
「奴らは、大戦乱を起こす兵力がないんス。それも、カッケー先輩がたのおかげッス。
 だから兵士を増やすために、あちこちの町を襲撃して、人を連れ去るつもりなんスよ!」
 現在の魏領の町は、クロノヴェーダが軒並み撤退し、完全な無防備状態にある。
「町の人達じゃ、一番弱い兵士にだって勝てないッス。それどころか、もしも抵抗したら……」
 兵士にされるどころの話ではない。ナナは最悪の可能性を想像し、青ざめた。

「と、とにかく! まずは町の人達と義勇軍の人達を説得して、『許昌』の方に撤退させてほしいッス。
 そのあと略奪部隊を倒せば、作戦は成功ッス! 順番が大事ッスよ、要注意ッス!」
 と、ナナは指を立てて連呼した。

「蜀の軍には、クロノヴェーダ以外にも一般人の兵士がたくさんいるッス。
 そいつらから身を護って、うまく撤退する方法を考えるのが、多分大事ッスよ。
 ……でも同じぐらい大事なのは、町の人達を安心させることッス。
 関羽の恐ろしさは、ディヴィジョンで暮らす人達が一番よく知ってるはずッスからね……」
 ナナは恐怖に震えているであろう町人の様子を想像し、ため息をつく。
「どうやって脱出するかをキチンと説明して、先輩がたが指揮を執れば上手くいくはずッス!
 あ、魏の連中のふりをするとかどうッスかね? だって、もともと魏の領土だったッスからね!」
 具体的な方法は、ディアボロスに委ねられる。ナナの提案はあくまでその一つだ。
 重要なのは、町の人々を安心させ信頼を勝ち得られるかどうかである。

「あ、それと敵の構成は、アヴァタール級の下にトループス級と普通の兵士がついてるみたいッス。
 アヴァタール級を倒せば解決……するんスけど、トループス級が生きてたらハイパーヤバイッス!
 町の人達はクロノヴェーダには勝てないッスから、それだと結局大惨事になっちゃうんスよ~」
 逆に言えば、一般兵士のみであれば、義勇軍に守られ整然と避難する町人を襲うことはない。
 町人たちと義勇軍の説得、そして避難誘導、最後にアヴァタール級とトループス級の殲滅。
 この3つを満たさない限り、魏領の人々に未来はない。

「……そんで、多分これが一番大事なコトなんスけど」
 ナナはごくり、と唾を飲み込んだ。
「もしかしたら、関羽本人が、あの『赤兎馬』に乗って戦場に出てくるかもしれないッス。
 ハイパー上から目線のハイパー偉そうなヤツッスけど、とんでもなく強い化け物ッスよ。
 先輩がたに、こんなこと言いたくないッスけど……今のウチ達では、アイツは絶対に倒せないッス」
 力不足に拳を握りしめ、ナナははっきりと言った。
「だから、もし関羽が現れたら、絶対に無理せず作戦成功を優先してほしいッス」
 彼女の面持ちは真剣そのもの。「先輩」であるディアボロスらを心から案じていた。

「相手はハイパーイカれ野郎ッス。情報を引っ張り出そうとしても、会話が成立すると思えないッスよ。
 カッケー先輩達が死ぬのはイヤッス! 必ず、必ず無茶はしないでほしいッスよ、約束ッス!」
 関羽の出現は『敵』と認められた証であり、同時に凶兆……極限の修羅場が到来するだろう。
 今後の情勢への不安、蜀以外の国の動き。ディヴィジョンを包み込む暗雲は未だ濃い。
 それを払うかの如く、パラドクストレインの発車ベルが鳴り響いた。

●大戦乱群蟲三国志:魏領
「お、おい……聞いたか、例の噂」
「ああ……軍が逃げ出したってことは、マジなんだろうな」
 やせ細った町人達は、絶望的な面持ちで言葉をかわす。
 関羽軍が通りし後、草一本残らず。地を濡らすは鮮血ばかりなり。
 それが彼らの知る蜀の英雄の全てであり、ゆえに降伏など考慮にすら入らない。
「せめて、魏軍が戻ってきてくれりゃあよお」
 若者は泣きそうな声で言い、名前も知らぬ神に祈りを捧げた。
 されどその願いは届かない。関羽軍は、目前まで迫りつつある……!


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 関羽は、蜀軍最強と目される、ジェネラル級の蟲将です。
 彼は、大戦乱群蟲三国志のディヴィジョンでも有数のクロノ・オブジェクトである『赤兎馬』を有しています。
 赤兎馬に乗った関羽は『一定範囲の、自軍(蜀軍)が戦闘中の戦場に瞬時に駆け付ける』事が出来ます。
 また、赤兎馬に乗っている関羽は、万が一戦闘で敗北したとしても、死亡する事無く撤退に成功してしまいます。
 そのため、現時点で、関羽を滅ぼす手段はありません。

 関羽も、自軍の一部隊が全滅する程度で、戦場に駆け付けるような事はしません。
 しかし、自分が相手をするべき敵が居ると感じると、ためらいなく戦場に切り込んでくる事があるので、注意が必要です。
 万が一、関羽と相対してしまった場合は、まともに戦わず、作戦目的を達成する事を優先しましょう。
 ディアボロスが、目的を達すると、戦いの気を削がれた関羽は赤兎馬で撤退していきます。

 戦場に現れた際に、関羽が使用するパラドクスは以下の通りです。これ以上の情報は分かっていません。
================================
・関将百烈撃(POW)
 裂帛の気合と共に無数の突きを繰り出し、敵群を貫きます。
・赤兎馬天駆(SPD)
 赤兎馬ごと空中を駆け抜け、着地と共に敵を断ち斬ります。
・青龍天昇波(WIZ)
 振り上げた青龍偃月刀から、無数の龍の如きオーラを放ち、敵群を薙ぎ払います。
================================


特殊ルール 【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵が撤退し、シナリオは成功で完結する。
👑66 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
4
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【迷宮化】
1
洞窟や家屋、砦などの内部を迷宮に変化させる。迷宮化により、敵は探索や突破に必要な時間が「効果LV倍」される。
【隔離眼】
2
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【光学迷彩】
2
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
3
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【使い魔使役】
2
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【アイテムポケット】
3
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV5 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV6 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【アクティベイト】LV2 / 【先行率アップ】LV6 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV5 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

唐揚げ
 伊達巻です。いえ、唐揚げです。お初の方はどうぞよろしくお願いします。
 今回は、魏領に取り残された、見捨てられた人々を救出するシナリオです。
 といっても厳密には、救出活動は必須ではありません。

 なぜかというと、このシナリオはアヴァタール級を撃破しさえすれば完結します。
 ただしその場合、見捨てられた人々は大勢死亡あるいは改造されることとなるでしょう。
(それはシナリオ後のことなので、具体的に描写されたりはしません)
 加えて再三警告された通り、このシナリオではジェネラル級『関羽』出現の可能性があります。
 たいへんに偉そうな奴なので、ディアボロスを敵と認めない限りは出てこないようです。
(ある意味ではありがたいですね)
 逆に言うと、認められたら大変なことになります。👑の必要数からもお分かりいただけますね。

 繰り返し書きますが、このシナリオで関羽を撃破することは『絶対にできません』。
 ドチャクソ強い敵なので、マジで戦いたいという場合は色々お覚悟ください。
(たとえ🔵🔵🔴であってもそれなりのダメージ描写が入ったりします)
 何を優先し、どう行動するか、よくお考えの上でご参加ください。お待ちしております。

 あ、ちなみにタイトルは「こーしゅんきょうゆう」と読みます。いじょうです。
198

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


●業務連絡:OPの誤表記について
 OP中に選択肢にないトループス級『蜀軍剣蟻兵』の名前が出ていますが、これは選択肢がないことから分かる通りシナリオには関係しません。ご注意ください。
エレオノーラ・アーベントロート
野蛮ですわね。
わたくし、(自分よりも)偉そうな奴が大嫌いですの。

必要であればデモンストレーションとして【怪力無双】を使用して力を誇示しつつ、町の人たちを逃げるよう説得します。

件の噂は聞いていますわね?
まずははっきりさせておきましょうか。
あれは事実ですわ。関羽は確かにこの町にやってきましてよ。
えぇ、そうなれば当然、この町の人間は皆殺しでしょうね。

ですから、お逃げなさいな。
ご安心あそばせ。殿はわたくしたちが務めますわ。
えぇえぇ、ゴミムシ一匹通しませんことよ。

魏軍? いえ、少なくともわたくしは違いましてよ。
偉そうにしている奴が大嫌いで、強いだけの復讐者ですわ。


●その者、傲慢につき
 ズズン! と音を立て、巨大な岩が投げ捨てられる。
「いかがかしら? これで、わたくしの力はお分かりいただけて?」
 岩を持ち上げていたエレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は、町人らに微笑む。
 言葉も表情も、気品ある淑女そのもの。だがその怪力と雰囲気は、あまりにもかけ離れていた。
「あ、あんたは一体」
「わたくしの素性よりも、今はもっと気になることがあるでしょう」
 エレオノーラは端的に言った。
「件の噂、聞いていますわね? まずはそれをはっきりさせておきましょう」
 彼女の言葉に、人々はごくりと唾を飲み込んだ。
 素性の知れぬ小娘であれば、彼らはこうも耳を傾けなかったかもしれない。
 しかし有無を言わさず誇示した力が、彼らを本能的に畏れさせた……生物としての畏怖だ。
 それゆえ、口を挟む者はいなかった。

「噂は事実ですわ。関羽軍はたしかに、この町にやってきましてよ」
 エレオノーラはきっぱりと、ストレートに告げる。
「そ、そんな……!」
 わかりきっていたことではあるが、厳然たる事実として提示される重みは大きい。
 中にはへたりこみ、頭を抱える者すら居た。
「そうなれば当然、この町の人間は皆殺しでしょうね。あなた達では、抗いようもありませんわ」
「お、終わりだ、もうおしまいだ……」
 エレオノーラは、絶望に暮れる町人達から目を逸らさない。
 その目に宿るのは、彼らへの侮蔑ではなかった。

「ですから、お逃げなさいな」
「!」
 町人達が顔を上げる。
「ご安心あそばせ。殿はわたくし"たち"が務めますわ」
「達……?」
「えぇ、ゴミムシ一匹通しませんことよ。だから立ち上がりなさい。生き残りたいならば」
 エレオノーラの言葉は、乾いた土に沁み込む水のように、彼らを奮い立たせた。
 彼女の誇示した力が、まるでそのまま言葉に宿ったかのようだ。
「お、俺達を守ってくれるのか? ならあんたは魏軍……」
「いえ、少なくともわたくしは違いましてよ」
 ならどうして。町の人々の顔にそう書いてあった。
 だからエレオノーラは、先程の問いに答えるように、こう続けた。
「わたくしは、偉そうにしている奴が大嫌いで、強いだけの――復讐者ですわ」
 己より傲慢なる者を、エレオノーラは決して許さない。
 ゆえにその双眸に燃えるのは、侮蔑ではなく敵対者への怒りだった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

無堂・理央
ボク等が動いた結果がこの状態、かぁ。
うん、大争乱が起きて無ければいくらでもやりようがあると考えよう。


住人を避難させるとして、言い分を考えないとね。
うーんと、魏の本軍は退いたけど、許昌にて避難民を受け入れる準備は整えている。
ついては、速やかに許昌へ非難すべし。
この言い分ならいけるだろうけど、これって魏の兵のフリをしないといけないよね?
確か、伝令のフリをする事もあったし、その時の装備があればそれを着ちゃおう。
そうでなくても、紋章なり何なりで魏の伝令とか派遣兵と思わせれれば何とかなる!

無双馬『クロフサ』に跨ってれば、蜀の一般兵も指揮官と誤認させれるかな?
誤認してくれるなら、それっぽく振舞っちゃおう。


瑚雛・凛櫻
アドリブ、連携大好き

関羽本人が顔出すかもしれないらしいけれど、一先ず町の人達と義勇軍の人達を説得したり避難させたりするのが先決ね
何事も土台からって言うしね

うーん…私は一般人の避難に注力しようかしら
避難と言ってもそう遠くまではいけないだろうし、この場所に思い入れがある方々もいると思うから…
そうだ、迷宮化を使ってより安全な避難場所を提供出来たりしないかしらね…
内部地図を一緒に作成して一般の方々に配って迷子にならないようにはからっておくと安心感が増すかもしれないわ。量産できないようなら統率してる方にだけでも渡しておくと良いかもしれないわね
兎に角、住民被害を最小限に食い止める様努力したいわね


●生き延びるために
 関羽軍の噂は厳然たる事実であると、町人は知った。
 ディアボロスの説得により、彼らは生き延びる意志を奮い立たせた。
 問題は、どう逃げるか。そして、誰が逃すのか、である。

 そこで現れたのが、無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)と瑚雛・凛櫻(滅びの箱庭、綻びの記憶・g00518)の二人だ。
 町人らを信じ込ませるため、理央は予め無双馬『クロフサ』に騎乗し、装備を整えていた。
「ぎ、魏軍が帰ってきてくれたのか?」
「いや、だとしてもたった二人じゃ……」
 二人に呼び集められた町の人々は、そんな風に囁きあう。
(雲行き怪しそうだけれど、どうするのかしら……)
 凛櫻は部下か副官あたりの体裁を保っており、口を開かずに理央の言葉を待つ。
 そんな彼女の視線を受けて、理央はこほん、と咳払いした。

「……聞け、魏の民達よ!」
 理央はそれらしい口調を即興で装い、出来るだけ大きな声で叫ぶ。
「諸君らの知っての通り、すでに本軍は樊城から撤退した。だが、諸君ら民を見捨てたわけではない」
 見捨てられたと考えていた……それは事実なのだが……町の人々の表情は、そう言われてもまだ翳ったままだ。
 理央はもうひと押しが必要だと考え、こう続ける。
「ゆえに我が軍は、避難民を受け入れる準備を整えている。ついては、速やかに許昌の方面へと避難すべし!」
 静かに彼女の言葉を聞いていた人々が、徐々にざわつく。
「許昌だって?」
「そんな遠いところまで、歩いて避難しないといけないのか?」
「無理だ、うちのじいさまは足が悪いんだよ……」
(むむ、信じてはくれたみたいだけど、やっぱり距離や体力の問題があるよね)
 理央は嘘が露見しないように顰めっ面を保ちつつ、考える。
 だが、理央に不安はなかった。そのために、凛櫻が協力してくれているからだ。彼女には策があるらしい。
(ボクに出来るのはここまでだから、あとはよろしくね!)
(ええ、任せておいて)
 理央からのアイコンタクトに、凛櫻は頷き、ようやく口を開いた。

「といっても、何も許昌まで一本道で避難しろということではないわ」
「え? それは一体どういうことです?」
「これを見てもらえるかしら」
 凛櫻が差し出したのは、彼女が用意した避難場所の内部地図である。
 緊急事態ゆえに数は量産出来なかったが、実際に物があるという証拠が、人々に大きな安心感を与えた。
「私達は、あなた達を見捨てるつもりはないわ。必ず、蜀軍の略奪から守り抜いてみせる。そのために此処へ来たのよ」
 凛櫻の言葉に嘘はない。ただ少し真実をぼかしているだけだ。
 彼女も理央も、民を死なせないという意志においては同じであり、またその思いの強さも同様だった。
「だから安心して、私達の指示に従って移動してほしいの。そうすれば、生き延びることが出来るわ。絶対に」
 凛櫻の言葉に、人々は顔を見合わせた。互いにどうするのか、それを無意識のうちに探り合うように。

 あとひと押しで、いける。
 そう考えた理央は、凛櫻の言葉に乗じる形で再び演説する。
「ここで腰を上げなければ、諸君を待っているのは確実な死……いや、もっとひどいことになるかもしれないだろう」
 トループス級に改造され、一山いくらの兵力として使い潰されることは、個と生命に対する最悪の陵辱といっていい。
 ありふれた日常を奪われた理央は、それを身を以て知っている。だから彼女は、己の思いの丈を言葉にありったけ籠めた。
「どうか……どうか、ボクらについてきて。生き延びるために!」
 熱意のあまりに、即興の演技もわずかに崩れてしまうほどだ。
 だが、人々がそんな些細なことを指摘するはずもなかった。
「生き延びる、ために……」
「……そうだ、こんなところで終わりなんて、御免だ!」
 ディアボロス達の熱が伝搬したように、人々は勇気を振り絞る。
「やるぞ」
「やろう」
「生き延びるために!」
 いつしか彼らは、力強い言葉をかけあっていた。
 伺うような眼差しではなく、生を求める貪欲な瞳で。

「……あとは、私達の仕事だね」
 そんな彼らの様子に頷き、凛櫻は言った。
「被害を最小限に……いえ、決して出させないように、努力しましょう」
 本来の彼女は人見知りが激しく、こんな風に人々を説得するようなコミュニケーションは不得手である。
 それでも彼女がここへ来たのは、なんとしても被害を食い止めるという確固たる意思があったからこそ。
「ボクらが動いた結果が、この状態だからね」
 凛櫻の呟きに、理央はぽつりと言った。
「大戦乱が起きてなければやりようはある、そう考えないと」
「そうね。この場所に思い入れがある人もきっといるはず」
 だからこそ、クロノヴェーダによる蹂躙は見過ごせない。
 人々の意志が一つになったように、彼女らもまたお互いの思いを等しくし、避難のための行動を開始した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【迷宮化】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

奉利・聖
───感じますね、えぇ
強大で途轍もない力を持つ、ゴミの存在を感じます
掃除屋としてはあまりに口惜しい話ですが…今の僕では綺麗にしきれない
今は己に出来ることを、ただ全力でやるのみ

皆さん、突然で申し訳ありませんが…聞いて頂きたいことがあります
これよりこの場は、間もなく修羅場となるでしょう
生半可な者では死んでしまいます
…えぇ、分かります 義勇軍の皆さんは特にそうでしょう
舐めるなと、突然何を宣うのだと

ですので、これだけは言います
「関羽」が来ますよ
嘘だと思い、全員死ぬか…信じて生き残るか
答えは明白かと

さて、では少々偵察に行ってまいります
──『影気功』
敵情を知ればアドバンテージになる 
武装も数も、詳らかに


錣吹・しとら
関羽だか何だか知らねえが、随分と上等くれてる野郎じゃねえか
ぶっ飛ばしてやりてえが、まずは堅気の皆様の避難と行くか!

魏軍の援軍ってことを喧伝して住民に話を聞いてもらいやすくするぜ
こういう時は旗印を持ってとにかくデカい声出すのが吉ってな!
そぉら、アタシらが魏軍がケツをもってやっから!四の五の言わずに指示通りに逃げな!

そしたらとにもかくにも『拠点構築』で避難しやすいように街や道を軽く整備したり、『地形の利用』で攻めにくく、守りやすいように街の周りに手を入れるぜ

戦った後の事を考えるなんざ贅沢な話かもしれねえが
ここは避難した人達が戻って来るべき街だ
なるべく壊れねえように守り抜いてやらねえとな!


●義勇軍、起つ
 町の人々はディアボロスの熱に突き動かされ、避難を始めた。
 しかしここで新たな問題が浮上する。避難民の護衛だ。
 彼らの避難は長く続く。ディアボロスの目的は「避難を完了させること」ではないため、それを最後まで見届けることは出来ない。
 ゆえに、この避難を確実に終わらせるには、義勇軍の協力が必要不可欠だった。

 そこで奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)と錣吹・しとら(鬼門の姫・g00929)は、義勇軍に接触を図った。
 その道すがら、聖はあらぬ方を振り返り、目を見開く。
「……感じますね」
「あの関羽とかいう野郎か?」
「えぇ。強大で途轍もない力を持つ、ゴミの存在を」
 聖の言葉が嘘か真か、それは彼の表情からは読めない。
 確かなのは、この一体には不気味な威圧感があったことだ。
 はたしてそれは、関羽軍を恐れる町の人々の不安が暗雲めいて伝搬したものなのか。
 あるいは……強大なるジェネラル級のどよもす威圧感か。
「けっ、随分と上等くれやがってるみてえだな。ぶっ飛ばしてやりてえ……が」
「……掃除屋としてはあまりに口惜しいですが、今の僕らでは、あれは綺麗にしきれません」
 ならば、為すべきことを。二人は顔を見合わせ、頷きあった。

「そぉら、魏軍のお帰りだ! 避難の時間だぜ、野郎ども!!」
 義勇軍らの元へ来るなり、しとらは旗印を掲げ、大声でがなりたてた。
「魏軍だと? 戻ってきたのか」
「町の連中が避難を始めたというが、何がどうなってる」
「ええい、四の五の言うんじゃねえよ! 指示通り逃げな!」
「それはいくらなんでも乱暴な……」
 しとらのストレートすぎる言葉に、さすがの義勇軍は困惑気味だ。
 するとそこで、聖がするりと割って入った。
「皆さん、突然で申し訳ありません。が、落ち着いて聞いていただきたいのです」
 良い警官と悪い警官のメソッドめいて、聖の落ち着いた声は彼らによく届いた。
 町の人々を他のディアボロス達が説得したことで、たしかに生まれた熱が、静かに伝わったのもあるのだろう。
「これよりこの場は、まもなく修羅場となります。生半可な者では死んでしまうでしょう」
 聖は真剣な面持ちで言う。義勇軍は反論した。
「なめるな! 俺達だって腕に覚えはあるんだ!」
「そもそも突然何を言う? 何の根拠があって……」

「関羽が、来ますよ」

 その言葉に、嘘のように沈黙が訪れた。
「えぇ、あなたがたの言いたいこと、思うことはわかります。突然すぎて受け入れられないことも。
 嘘だと思い、全員死ぬか。それとも信じて生き残るか。答えは明白かと思いますが?」
「「「……」」」
「……まあ、そういうこった。それにアタシらも、ただ頭ごなしに指示に来たわけじゃねえ」
 一同が落ち着いたのを見計らい、しとらが言葉を次ぐ。
「すでに、避難経路はカンタンな整備を済ませてある。多少は移動がしやすくなってるはずだ。
 それと、お前らが居なくなったあとの町にも、手を入れておくさ」
「町に……?」
「ここはお前らが戻ってくる場所、だろ?」
 しとらはニッと笑った。
「なら、なるべく壊れねえように守り抜いてやるさ! だから安心して、お前らが護るべきものを護ってやんな!」
「……そう、だな」
「ああ、俺達も行動せねば!」
「急いで護衛に回るぞ!」
 それからは早かった。義勇軍は装備を整え、素早く行動を開始する。
「少々、大言壮語が過ぎた気もしますが?」
「なあに、クロノヴェーダをぶちのめせば、奴らは町を襲いようはねえんだろ?」
 聖の言葉に、しとらは歯を剥いて笑う。
「戦ったあとのことを考えるなんざ、贅沢な話かもしれねえけど、な」
「いいことだと思いますよ。綺麗にする必要がないのは、なによりですからね」
 聖はにこりと穏やかな笑みを浮かべ、そう答えた。

「……っておい、どこに行くんだお前」
「偵察に行ってまいります」
 踵を返した聖は、しとらの問いかけに何気なく答える。
「敵情を知ればアドバンテージになります。武装、数、戦術。情報は力、ですからね」
「なるほどなあ……じゃ、アタシは早速整備を始めっか!」
「ええ。お互い頑張りましょう」
 聖の姿が景色に溶けるように消え、気配もまた失せる。
 しとらは腕をまくり、気合を入れた。ここからが、戦いの本番だ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

同じ頃、移動を開始した略奪部隊の前にも、ディアボロス達が立ちはだかっていた。
シエロ・ラヴィオン
腐れ蛮族どもめ
此方を見ろ、外道共!貴様らの敵、復讐者は此処にいるぞ!
市民に手出しは、絶対させやしない

毒蜂が攻め手、ならば『フリージングミサイル』発射
冷気をぶち撒け、周囲を寒気で支配する!
貴様らの自慢の群れも、足場や空間が凍ればどうかな?

少しでも鈍った瞬間、此方は飛翔しながら銃弾や残りのミサイルをばら撒き、敵を駆逐していってやる

皆が市民を逃す間は、僕が時間を少しでも稼いでやる
敵の視線やヘイトを、限りなく此方へ向けさせて、必要ならば突撃からガジェットで叩く
傷も、痛みも受けても、死兵のように戦ってやるよ

死は恐れない、怖くない…怖くなんか、無い
僕の手が届かないほうが怖いんだ、負けてやるものか!


●本当に怖いのは
「此方を見ろ、外道ども!!」
 進軍する蜀軍に、突如として浴びせられた罵声。
 どよめく一般兵をよそに、トループス級は無言でそちらを見た。
 蟲そのものの無機質な統一。シエロ・ラヴィオン(sky the limit・g00146)は、心底から奴らを嫌悪する。
「腐れ蛮族どもめ……貴様らの敵、復讐者は此処にいるぞ!」
 シエロは自らを親指で指し示し、あえて姿を現した。
 市民が避難を少しでも稼ぐ。そういう戦術的意図も、無論ある。
 だが、シエロがこんな危険な手を選んだ一番の理由は……。

『東州蜂兵』が動いた。毒蜂を召喚し、シエロを囲むつもりだ。
 それはつまり、シエロもすでに攻撃に動いていることを意味する。
「それが貴様らの道具か、ならば!」
 シエロは先んじて『The-origin gun S-custom』を構え、トリガを引いた。BLAMN!!
 銃口から飛び出したのはただの弾丸ではない、冷気を封じた凍結弾だ。
 極低温の冷気が広範囲に炸裂し、シエロの周囲を一瞬で凍りつかせる。
 展開した毒蜂の群れは、半分以上が冷気により即死。シエロはそれと同時にフライトデバイスで飛翔する!

 悪運強く冷気を避けた蜂の群れが、執拗にシエロを追う。
 シエロは『rampage the sky』の性能を限界まで引き出し、その銘に相応しい暴れるような軌道で戦場を翔んだ。
 BLAMN! BLAMN!! 反撃を受けながらも蜂兵を狙撃、時には自ら突っ込んでガジェットで白兵戦を挑みさえする。
 戦えば戦うほどに毒蜂の針がその身を傷つける。だが、シエロは止まらない。
(死は、怖くない……怖くなんか、ない)
 シエロが身を挺してまで戦う理由、それは恐怖ゆえ。
 怖いのは傷でも痛みでもなく、その手が届かないこと。
「負けてやるものか……絶対に手出しさせやしない!!」
 弾丸を浴びた氷漬けの蜂兵が、バラバラに砕け散った。
 無数の小さな傷が一つの大きな傷になっても、シエロは戦い続ける。
 その手で、人々を護るために。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

ディゼラータ・ネイディアラ
アドリブ歓迎

彼方此方で戦局が動いているようだな…んー…ジェネラル級…将兵か…
些かならず心惹かれるものもあるが…滅ぼせぬのなら相手にしても仕方無いか…無意味な戦闘は戦場に於いて避けるべきものだからなぁ…
何時か、来たる決戦を夢見ながら、先ずは此処を攻略に行こうか…

惨刃に・呪詛を纏わせ守勢に構え、戦闘開始
黒吹雪と雷撃を展開して叩き込むことで攻撃し(氷雪使い・風使い・電撃使い・連続魔法・高速詠唱)
そのまま連撃しながら適当なところで「奈落因り」を叩き込んでフィニッシュ

関羽が出てきてしまったらその時点でさっさと「奈落因り」迄発動して、暴風と氷壁を撒きながら撤退


●from Abyss
 ジェネラル級。断片の王に仕える強大な将。無敵にして不滅。
「……んー」
 ディゼラータ・ネイディアラ(揺らめく星を喰らうモノ・g00054)の声は、いくつもの菓子を前に迷う娘のようなもの。
(些かならず心惹かれるものもあるが……)
 無意味な戦いは避けるべきもの。だがまたとない機会でもある。
 彼女は悩んでいた。どう戦うかではなく、どうすれば愉しめるか。魔女の根幹にあるのは、悪魔めいた冷酷さでしかない。

 されど、あちらは占術師の思索を許さぬ。
「仕方ないな……まずは目の前の敵を叩こうか」
 これはこれで面白い、とでも言いたげな声音である。
 ひゅん、と蒼白のグレイヴが空を切り、不穏な軌跡を虚空に刻んだ。纏わりつく揺らめきは冷気めいた呪詛。
 刃風は消えることなく、びゅうう……と徐々に強まっていく。これは!
「征くぞ」
 疾い。ディゼラータは迅雷の如き速度で踏み込んだ。
 遅れて、彼女の背後に巨大な水柱が噴出する。敵のパラドクスだ。
 刃じみて圧縮された飛沫が白磁の肌を斬り裂く。されど軽傷とも呼べぬかすり傷。一方でディゼラータの一撃が入った!
「"Nihil est miserum nisi cum putes"」
 ラテン語の箴言を謳うように口ずさみ、ディゼラータはステップを踏む。黒い吹雪と雷撃が、ばちばちと螺旋を描いた。
 グレイヴの一撃を受けた蜂兵は、遅れて吹き荒んだ暴風にミキサーめいて斬り裂かれ、やがて微塵と還る。
『奈落因り吹く風(マイアズマ)』。ディゼラータの口元に酷薄な笑みが浮かんだ。
「愉しみだな、いつかの時が」
 戦いの中にありて、ディゼラータが夢見るのは関羽との決戦。いつか来るであろう死闘である。
 夢見心地で舞い踊る魔女の刃が、次々に蜂兵を引き裂いていく。多少の負傷など、ディゼラータは意に介さない。
 命を奪えば奪うほど、傷を浴びれば浴びるほど、占い師を包むくろぐろとした呪詛は強まっていく。
 撒き散らされる血も肉も、呪われた風がすべて洗い流した。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【クリーニング】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

「……んん?」
 ひとり退屈そうに酒を呷っていた関羽は、あらぬ方を睨み、鼻を鳴らすように触角を動かした。
 まるで星を……いや、風を読むように。風が運んできた「何か」を吟味するような沈黙。
 ジェネラル級の強大なる知覚力が、ディアボロス達の戦闘を感じ取ったとでもいうのだろうか?
 だとすればこの猛き将は何を思う。高揚か、落胆か? あるいは。
「赤兎馬よ」
 関羽の声に、愛馬の嘶きが応えた。
「疼くなあ。ああ疼く。わしらの望みに適う敵は、さて。何処に居るか……」
 関羽は瓢箪の中身を一滴残らず呷ると、無造作に放り捨てた。
 それが地に触れた瞬間、瓢箪はばかりと真っ二つになり、次いで四、八、十六、瞬き一つで微塵と化す。
 手品めいて、関羽の右下部腕に青龍偃月刀が現れていた。

 深緑の色持つ甲殻が、煮え立つように揺れていた。
エレオノーラ・アーベントロート
ふふ、チリチリとしてきましたわね。
どこからか見ていらっしゃいますの?
そうなのでしたら、ゴミムシの親玉をこの場にご招待するためにも、邪魔なゴミムシどもには退場願いましょうか。

「第九の魔弾【群像】」を使用、200に分裂する魔弾を投射し、東州蜂兵を蹴散らします。
もう、ムシに相応しい鬱陶しい小細工ですわね。毒霧で視界を塞いだところで、広範囲を制圧する「弾幕」の前ではそんなもの何の意味もありませんことよ。

わたくし、弱いものをなぶるのも嫌いではありませんの。けれどそろそろ、虫を潰すのにも飽きてきましたわ。
うふふ――待ち遠しいですわね。


●予感
 エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は、うなじにチリチリと違和感を覚えていた。
「どこからか見ていらっしゃるのかしら、ゴミムシらしい姑息さですわ」
 半ば挑発も籠めて、もう半分は本心の言葉を吐く。
 関羽。奴がこちらに襲いかかってくるというなら、それもいい。
 エレオノーラは、己よりも傲慢な者を許容できない性質なのだから。

 ではそれ以外の「ゴミムシ」を許容するのかと言えば、無論、否。
 避難民を見送ったエレオノーラは、すぐさま蜂兵どもの前に現れた。
「"群像"解放――」
 第九の魔弾を『フェアレーター』に装填し、無造作に構える。
 それと同時に毒霧が視界を覆う。だがエレオノーラは慌てない。
「もう。ムシに相応しい、鬱陶しい小細工ですわ――ねッ!」
 BOOM!! レールガンの砲身から放たれる魔弾。毒霧に紛れた蜂兵はこれを見切り、避けている。
 無防備なエレオノーラめがけ槍が突き出される。エレオノーラはそれを知覚している――しかし、笑っていた。
「爆ぜなさい」
 見よ。あらぬ方向に飛んだと見えた魔弾は、宙空で爆裂。
 蜂兵の槍がエレオノーラの柔肌を皮一枚ほど裂いた瞬間、合計200余りの弾幕が、機会を伺っていた蜂兵も含め撃ち抜いた!
「わたくし、弱いものをなぶるのも嫌いではありませんの」
 ガシャコン、とリロードを行いながら、エレオノーラは心の底から楽しそうな表情で微笑む。
「わたくしの暇潰し、付き合ってくださいましね?」
 立ち込めた毒霧は、犠牲者の目を覆うためのヴェールではない。
 奴らが無様な骸を晒さぬための、鬼人の慈悲というべき骸布(シュラウド)に変わっている。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【隔離眼】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!

袁・雀蜂
※アドリブ歓迎 (『アイテム名』【パラドクス、残留効果】です)

・行動
避難させる人びとへの説得と同時進行でトループス級を撃破、足止め。
【避難勧告】により避難活動への支援を行う。


・戦闘
突撃槍『震天雷』の柄から隠し武器の『流星錘』を飛ばして敵を牽制、
視覚に頼らず触角により敵の振動を感知して攻撃を叩き込み
パラドクス【屠竜撃】を放つ。
(技能:偵察、投擲、貫通撃)

・心情
関羽、後に神に祭り上げられた武人。
その名を関するジェネラル級クロノヴェーダ、か……

戦いは避けられないにしても、それは今ではない。
まずはやるべきことをただ果たすのみだね!


八栄・玄才
蜀軍最強の蟲将、関羽か
ぜひお目にかかりたい……、いや違うな、ブン殴ってみたいモンだ

雑兵をブッ倒して、相手にするべき敵と思ってもらえるか、試してみるか

蜂兵の毒霧に対しては《飛翔》で上方に逃れる
目眩ましは厄介だが、双翼魔弾の一撃目で周囲の霧を吹っ飛ばし、敵の位置を【看破】
二撃目を確実に当てていこう。

翅があるなら向こうも空まで飛び上がってくるかな?
だとしたら、わざわざ殴られに近づいてきてくれてありがたいってもんだ
空間を広く使える【空中戦】だ
縦横無尽に飛び回って、槍の軌道の外に出る
小回りの利かない長物を持って飛ぶのは大変じゃあないかい?

槍をかわしたら上方からの顔面【強打】で地面に叩き落としてやる


シークローネ・メーベルナッハ
かの美髭公の名を簒奪せし蟲将、それに相応しき力量の持ち主のようでございますが…
先ずは、為すべき事を為しませねば。

というわけで雑兵の掃討を行って参りましょう。
町の外、樊城方面を主に警戒。敵を発見次第、同道のディアボロスの皆様に伝達の上、迎撃に赴きます。
指定パラドクスにての攻撃に【ダッシュ】を交え、敵集団の間や周囲を駆け回り撹乱しつつ戦力を削って参ります。
敵が呼び寄せた毒蜂も、パラドクスに巻き込んで撃墜できれば重畳。
移動の合間、敵集団から離脱して別方向へ向かおうとする敵が居ないかにも警戒を致します。具体的には、避難を試みる一般人の皆様の方へ行くものが居ないか。
発見次第、最優先にて排除致します。


瑚雛・凛櫻
アドリブ、連携大好き
多少の怪我はオイシイです

避難の方はこんな感じかしら?
後は……まだ残ってる一般人の救出に向かわないとね
目の届く所くらい被害は最小限に食い止めたいもの
襲われている一般人は誘導した場所へと逃げる様指示
後を追わせないよう立ちふさがるわ

このハチさんは自然を上手く利用して戦闘している感じかしら…
周りの状況や破損具合を確認し、出来れば戦いやすく建物の被害が少なく済む場所を選んで戦闘していきたいわね

それじゃあこれならどうかしら
ハッキングでここの情報を書き換えて私の世界へと誘ってあげるわ
自然はなくただあるのは綺麗な光景、素敵でしょ?

この世界に貴方達はいらない
さぁ、電脳の海に沈みなさい


●乱戦
 町の人々は、義勇軍とともに避難を開始した。
 とはいえ、何事にも例外はある……すべての町人が、迅速かつ規則正しく町を離れることが出来たわけではない。
 怪我や病を患った者、思い入れゆえに町を離れがたい者。
 他にも様々な理由から、本隊からやや遅れてしまった人々がいる。
 そして、そんな人々を、クロノヴェーダは絶対に見逃さない。
 弱った獲物を働き蜂が集団で群がるかのごとく、蜂兵の部隊は着実に迫っていた!

 だが、奴らが無辜の民をけして見逃さないように。
「やっぱり、まだ残ってる人達を優先して来たわね……思った通りだわ」
「雑兵の掃討は拙らの役目、町にも人々にも手は出させません!」
「オレの目当てはアンタらの上なんだ、相手してくれよ」
「まずはやるべきことを果たすのみ、ってね!」
 ディアボロス達もまた、クロンヴェーダの悪行を見逃さない。
 何かを「奪われた」彼らは、それゆえに奴らの「奪う」行為をけして許さない。
 瑚雛・凛櫻(滅びの箱庭、綻びの記憶・g00518)が、避難民の誘導を終えて急いで戻ってきたのも。
 シークローネ・メーベルナッハ(其は生ける疾風怒濤・g00007)が、町の外に網を張り奴らを待ち構えていたのも。
 八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)の、半ば増上慢めきながら、強敵を求める闘争心も。
 袁・雀蜂(ホーネットガール・g01434)が、正しい歴史を取り戻そうとするのも。
 すべては同じ。ゆえに彼らは人々の盾となり、戦うのだ!

 敵およそ10数体と、ディアボロス4人の戦闘は、接敵と同時になし崩しに始まった。
 しかしてイニシアチブを握るのは、ディアボロスらだ。
 何故なら彼ら――特に凛櫻とシークローネ――は、蜂兵の行動を読み警戒をしていた。
 つまり、敵には迎撃を受けたことによる驚愕という、意識的な隙がある。
 毒霧の噴出、毒蜂の展開、あるいは水脈への介入。
 奴らがパラドクスによる反撃を行うよりも、ディアボロスらの先手のほうが圧倒的に疾い!
「遅いよ!」
 雀蜂が『震天雷』を振るうと、柄に仕込まれた隠し武器、すなわち『流星錘』がひゅるりと空を裂いて飛び、敵先頭の個体を牽制する。
 この間に稲妻じみた速度で踏み込むのは玄才。まさしく、その身に宿した雷魔に相応しき韋駄天である。
「目眩ましでもするつもりか? 厄介なんでな、止めさせてもらう!」
 玄才の背に悪魔の翼が生え、ばさりと力強くはためいた。
 だが飛翔の方向は上ではなく、前――つまり、地面すれすれを這うような、超低空のグライドである。
 戦闘機めいて加速した玄才の放った魔力の弾丸が、毒霧を噴射しようとしていた蜂兵を鋭く撃ち抜いた!

「この戦い、積極攻勢が吉と見ました。撹乱いたします!」
 2発目を続けざまに打ち込む玄才を飛び越え、蜻蛉の翅を広げたシークローネが敵集団のど真ん中へと飛び込む。
 地上最速生物の特徴を持つ彼女がその気になれば、雷魔を身に宿す玄才の速度に比肩、ともすれば超越したかもしれない。
 ならばなぜ彼女が一手遅れたのか――そもそも「遅れた」のではない、「ずらした」のだ。
 この中で戦線を離れようとする者がいるか、居たとすればそいつは避難民を優先して攻撃するかどうか。
 あくまでも避難民の無事を優先するがゆえ、シークローネはその看破に刹那の時間を供した。
 そんな余所事を考えながらでさえ、シークローネは一瞬で敵陣へ切り込むほどの速度を持つ。疾風怒濤とはまさにこれ!
「拙の疾走が齎せしは、斬撃の嵐。いざ!」
 一塊になった敵陣の只中で目にも留まらぬジグザグ模様を描き、シークローネは敵集団後方へ抜けた。
 遅れて花開くは斬撃の嵐! 陣形を組む前に、毒蜂の群れは全身を斬り裂かれ風に散っていく!
「完全に浮足立ってるね、同じ蜂としてはちょっと残念な気分になっちゃうなあ!」
 などと嘯き、斬撃嵐で生まれた混乱を見逃さず、流星錘を改宗した雀蜂の激烈なる刺突が蜂兵を貫いた。
 土手っ腹に狙い定めた真一文字で串刺しにされた蜂兵は、死に際の反撃を撃つ余裕さえなく痙攣し、がくりと息絶える。
 逆説連鎖戦において、尋常な戦闘における先手と後手の概念は存在しない。歪められた時空の中で攻撃と反撃は等価だ。
 にもかかわらず、敵を射止めたのは雀蜂の『震天雷』であり、彼女の――無論、切り込んだシークローネや玄才も含め――身体には、傷一つない。これこそが如実な力量差を示す。
 接触戦は、ディアボロス達に圧倒的な有利が続いていた。

 見事な刺突を放った雀蜂だが、勝利の余韻に浸る間もなく骸を引き抜き、振り向きざまの横薙ぎを繰り出した。
 背後、敵が回り込んでいたのだ。如何にして彼女は気付いたか?
「いくら気配を消して音を立てないようにしても、振動って意外と伝わるものだよ」
 言葉の意味を示すように、雀蜂の触角がぴくりと揺れた。
 インセクティアとなったことで得た、極度に鋭い感知能。それが、彼女に背後からの奇襲を気付かせたのである。
「いまさら取り囲もうってハラか? 遅すぎるね!」
 ならばと蜂兵は空へ飛翔する。だがそこは玄才の領域!
 悪魔の翼がふたたび大気を叩き、彼は先んじて頭上に居た。
 斜めに飛翔した蜂兵をもぐら叩きめいて殴り飛ばし、長柄によるリーチの有利と包囲網を一切許さない!
「自然を上手く利用して、自分達に有利な状況を作るのが得意ってわけね。なら、これならどうかしら」
 ダメ押しとばかりに、凛櫻のパラドクス『崩れゆく世界にさよならを』が周辺を歪曲、空間そのものを最適に改竄する。
 すると、混乱はあれど多少なりと統制の取れていた敵の動きが、狂ったレミングめいて完全な無秩序と化す。
 申し訳程度の陣形は乱れ、攻撃も防御も意味をなさず、回避行動は(それが叶わぬとしても)てんで出鱈目なものになる。
「自我も記憶も、その存在さえも曖昧にして、歪ませて、崩してあげる。この世界に、あなた達は要らないのよ」
 凛櫻はレンズの奥に満面の笑みを浮かべ、死刑宣告めいて言った。
 もはや、クロノヴェーダに万に一つの勝ち目もない。存在情報という根幹部分に、致命的なクラックが生まれたからだ。
 身体の内側から骨肉に染み込み脅かす病毒めいたその効能と裏腹に、改竄された空間はキラキラと光に満ちていた。

「拙らには、まだ警戒せねばならぬ敵がございます。この程度の相手に、足踏みはしていられません」
「関羽……神に祭り上げられた武人、その名を冠するジェネラル級、か」
 剣を、槍を振るい一体また一体と敵を仕留めながら、シークローネと雀蜂は表情を引き締めた。
 こうして戦っている間にも、どこか――おそらくは樊城の方角から、突き刺すような威圧感を覚える。
 警戒心が生む錯覚か、本当に「奴」の放つプレッシャーなのか。それすらもはっきりとしないほどの漠然としたものだ。
 だが、「いる」。そしておそらく、あちらもまたこちらに気付き……そして、測っているのだろう。敵としての格を。
「ああ、ぜひお目にかかりたい……いや違うな、ブン殴ってみたいモンだッ!」
 我が声を聞け、とばかりに玄才は大声で言い、雷纏う拳で蜂兵の顔面を殴り飛ばし、砕いた。
「戦いは避けられないね。それが今日かその先なのかはわからないけれど」
「ならなおのこと、必要ない邪魔者は消し去ってしまいましょう? どっちに転ぶとしても目障りだもの」
 雀蜂の言葉に、凛櫻は笑みを浮かべたまま言った。敵に対する容赦など一切なし。
「しからば……これにてッ!」
 これまでで最速の俊足を見せたシークローネの斬撃が、残存する蜂兵を斬り裂く。
 ほぼ同時、雀蜂の屠竜撃が、最後の一体の心臓を貫いた。
 はたしてこの戦果は、関羽を呼び寄せる水となるか、あるいは……それはまだ、誰にもわからない。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【先行率アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

竜城・陸
少しばかり遅参になったかな
……その分働けばいいだけか
頼れる後輩たちも戦っているようだし
ひとつ手を添えるとしよう

水脈を操るともなれば民にとっては確かに脅威だったろう
けれど、此度は差し向けた相手が悪い
噴き出した傍から凍り付かせてしまえば、まともな攻撃にならないだろう

君たちの目の前にいるのは、人でなくて“竜”だ
それは、当然、この程度造作もないさ
それを、そっくり返すこともね
そこを叩けば水脈が活性化する――ということは
その足元に水脈があるということだろ?
水柱を呑み、水脈を伝って、地中から氷撃を見舞ってやればいい

さあ、平伏せ
無辜の命を踏み躙る事を、当然とする
――度し難い傲慢
それを赦すほど、寛容ではないんだ


奉利・聖
──ゴミが蠢いておりますねぇ
えぇ、よろしくありません…大変よろしくありません
関羽は現状どうにもならないとはいえ、それにも満たない木っ端のゴミがうじゃうじゃと……不愉快極まりない
掃除しなければなりません

では──『軽気功』
<呼吸法>による<オーラ操作>で脚に気を纏わせ、機動力を強化
毒蜂をけしかけようが、それ以上に速く動けば良いのです
その兜で覆われてない、顔の下半分──口と鼻の間、人中へ<強打>
人体では急所ですが、その身体ではどうでしょうね
怯んだ隙に槍を奪い取り、もう一体へ力いっぱい刺突
壁に縫い留め、さらに槍を奪い取って、柄を利用して首を絞めます
まぁ─窒息する前に、折りますけどね ゴキッと


錣吹・しとら
堅気の皆さま避難ヨシ!
当方の迎撃の用意ヨシ!
さーてそんじゃ……ぶっ潰してやらぁこのクソ虫どもがぁぁあぁああああああああ!!!!!


毒霧だろうが蜂だろうがやることがしゃらくせえんだよテメエらは!
ンな小賢しいもん『風使い』で突風を起こして吹き散らしてやんよ!
死角から襲ってこようが蜂を襲わせようが、【一切合切完砕破】の衝撃波で蜂ごとまとめて『粉砕』してやらぁ!
鎧もなんも『破壊』してやっから覚悟しやがれオラァ!

アタシャ蜂が嫌いだから特にテメエらには容赦しねえぞゴラぁ!
何でかって?……………………イメージカラーがアタシら鬼の虎柄と被ってるからだよゴラぁぁあぁああああああああ!!!!!


エンデ・トロイメライ
勝ち目がないほどの強敵、ねぇ。こっちに来ないといいけれど。
まあ、ひとまずはこの兵士達を片付けますか。

FLUGEL起動、出力最大。さあ、全速力でいこうか。
敵の攻撃を掻い潜り、すれ違い様にナノマシンを再構成したナイフで首を切り裂き、速度を乗せた蹴りで頭を砕いて蹴散らしていく。
速さにはそこそこ自信があるんだよね。そう簡単に捉えられるつもりは無いよ。

万が一関羽が来たら急いで離脱。
でも負傷者がいたらFLUGELの機能で重力を操作し浮かして運ぶ。
最悪、目をつけられたらナノマシンからライフルを再構成して、牽制射撃を行いつつFLUGELの出力を200%に。

復讐者は死なない。でも、死んでいいわけじゃないでしょ。


●殲滅
「カタギの皆さま避難、ヨシ!」
 セルフクラフトその他諸々で町と避難経路の整理を終えた錣吹・しとら(鬼門の姫・g00929)が、何やら片足を上げる奇妙なポーズをしていた。安全確認は大事だ。
「当方の迎撃の用意、ヨシ!」
 しかもどうやら、このまま蜂兵の迎撃に向かうつもりらしい。
 すでにその大半は、他のディアボロスらの奮戦によって蹴散らされていたが、いまだしぶとくも数を残していた。
「さーて、そんじゃ……行くかッ!!」
 しとらは大棍棒『鬼伽藍』を担ぎ、戦場へと駆け出した!

 ……一方その頃、戦場では!
「木っ端のゴミがうじゃうじゃと、まだこんなに……よろしくありませんね。えぇ、大変よろしくありません」
 偵察行動に準じていた奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)も、いよいよ我慢の限界が訪れたようだ。
 向こうに回すのは残存敵のすべて。聖の声音には、"ゴミ"どもに対するこの上ない嫌悪と殺意が滴っている。
「不愉快極まりないです。掃除するといたしましょう」
 そう言うと同時、聖の姿が消えた。偵察中に使用していた光学迷彩か? 否!
「手早く……片付けますッ!!」
 内家拳でいうところの軽気功、すなわち自然エネルギーを体内で混ぜ合わせることによる身体強化が、高速移動の正体だ。
 通常の戦士であれば、どうあがいても三手は必要とするであろう距離を、聖はたった一呼吸の間に詰めてみせる。
 これこそがパラドクスの脅威であり、同じ使い手たる蜂兵も瞬時に反撃を繰り出す。展開する毒蜂の群れ!
 一斉に襲いかかるそれらを、聖はすさまじい速度で武器を振るい、ことごとく叩き落とした。
 しかもそれは剣でも棍ですらない、ただのデッキブラシだ。
 練達の気を纏わせれば、たかが清掃用具とて豪剣に勝る!

 だが、聖の渾身の打突が、蜂兵の人中を叩いた瞬間。
 恐るべきスピードで駆けつけた何かが、別の兵士とすれ違っていた。
 聖はその存在を訝しみ、だが敵意がないことを瞬時に察する。
 なぜならばその何か……いや、何者かは、スピードを乗せた斬撃で兵士の喉を裂いていたからだ。
 加えてその人物は、聖にとって知らない相手ではなかった。
「こちらの用途では、あまり使うことはないんだけれどね」
 ギュン! と航空力学的にありえない軌道を描き、エンデ・トロイメライ(エピローグ・g00705)が聖の背中に立つ。
 ただのフライトユニットではない。彼女の装備する『FLUGEL』は、ジェット噴射ではなく重力を操作することで飛翔を可能にする、極めて特殊な装置なのだ。
 ゆえに先ほどのような、既存の可変翼では不可能な軌道も可能とする。これは彼女の大きな強みだった。
 本来であれば、彼女の用いたパラドクス……『Zugvogel』は、その加速力と機動力を生かして怪我人を回収・救助することに特化したものである。
 明るく前向きで、過去を振り返らない――まるで蓋をしたように――彼女の戦い方としては、些か不似合いなものだった。
「でも、速さにはそこそこ自信があるよ! キミもそう、でしょ?」
「えぇ、手前味噌ですが。少なくとも足は引っ張りませんとも、エンデさん」
「そうこなくっちゃ! それじゃあ……FLUGEL、出力最大!」
 瞬間、聖とエンデは同極の磁石めいて跳ね分かれる。遅れて彼女らがいた場所に、巨大な水柱が噴出!
 ドウ、ドウ! と、槍撃によって刺激された水脈の噴出は、高速移動で翻弄するふたりを追って次々に生じる。
 徐々に水柱の放出箇所と、二人の現在位置の相対距離が縮まっていく。捉えられてしまうか……!?

「少しばかり遅参になったかな……まあ、その分働こう」
 だが見よ。噴出した水柱は瞬時に凍りつき、地から突き出した氷のオベリスクめいて静止していた。
 やや遠間、この現象をもたらした竜城・陸(蒼海番長・g01002)は、極低温の冷気をコロンのように纏い、穏やかな笑みを浮かべる。
「いくら水脈を操って攻撃したところで、その水を凍りつかせてしまえばまともな攻撃にはならない。こんな風にね」
 陸は片手を突き出した。
「君達の目の前にいるのは、人でなくて"竜"だ。それじゃあ……お返しといこうか」
 開いた手を握りしめる。すると、凍りついた水柱がひとりでに割れて砕け、嵐めいて渦巻いた。
 氷雪の洗礼が、愚かにも地を穿った蜂兵どもを、スイスチーズめいて貫き、そして氷の氷像に変えてしまう!
「ぶっ潰してやらぁこのクソ虫ども……ってお頭じゃねえか!? なんでいんだよ!?」
「頼れる後輩たちが頑張っているんだから、俺も少しは働かないと、と思ってね」
 どたどた騒がしくやってきたしとらに、陸は何気なく答えた。
 聖とエンデも多少の手傷を浴びつつそれぞれに蜂兵を仕留め、顔を見合わせると肩をすくめた。
「ずりィぞ!! アタシにもやらせろォ!!」
 しとらは仲間はずれにされた気分になったようで、地面の埃が巻き上がるほどの大音声で叫び、鬼伽藍を振り上げた。
 一瞬一同の気が緩んだのを隙と見た蜂兵どもは、毒霧を展開し視界を奪おうとする……しかし!
「毒霧だろうが蜂だろうが、やることがしゃらくせえんだよテメェらは! 気張れや叔父貴ィ!!」
 ドゥンッ!! と、鬼伽藍を地面に叩きつけた瞬間、先ほどの大音声とは比較にならないレベルの衝撃波が吹きすさび、充満しかけた毒霧を払い除けてしまったのである!
「アタシャ蜂が嫌いなんだ! テメエらには容赦しねえぞゴラぁ!!!」
 SMASH!! ホームランめいたフルスイングを浴び、鎧ごと「爆散」する蜂兵! すさまじい腕力だ!
「蜂が嫌い? なんで?」
「なんでって……」
 なんとなく問いかけたエンデに、しとらは鬼伽藍を振り抜いた姿勢のまま固まり、うーん、と唸った。
「……イメージカラーがアタシら鬼の虎柄と被ってるからだよ!!! 文句あっか!!!!」
「そんな理由!? いや文句はないけど!!」
 それで跡形もなくふっとばされたクロノヴェーダが、少しだけ、ほんのちょっぴりだけ不憫になったエンデである。

「なにはともあれ、このまま掃除しきってしまいましょうか」
 聖はにこやかに言い、陸の冷気に紛れるように低く滑り、下からの打ち上げで蜂兵の護りを砕く。
 流れるように槍を奪い取ると別の敵へ投擲、陸へ襲いかかろうとしていた蜂兵を串刺しにした。
「関羽が来ないうちに片付けないとね。もし来たら、全力でみんなを逃すから」
 エンデも風を切るような速度でナイフを振るい、確実に敵を仕留めていく。
「あぁ? あんな上等くれてる野郎、殴り返しちまえばいいじゃねぇか!」
「復讐者は死なない。でも、死んでいいわけじゃないでしょ」
 しとらの言葉に返す表情は、常に笑顔で明るい彼女にしては真剣なものだった。
「その心配はありませんよ。ええ、なにせ」
 陸の魔力が、強まる。残った敵が、足からパキパキと凍りついていく。
「無辜の命を踏みにじることを当然とする傲慢は、俺にとって赦しがたい。そこまで寛容ではないんだ」
「そうこなくっちゃあなァアアア!!」
 身動き取れない最後の敵を、しとらの全力攻撃が……再び粉砕!
 かくて略奪部隊を構成するトループスは、これで完全に殲滅された。
 もはや一般人と義勇軍を脅かす者はいない。となれば、残るは……!
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【先行率アップ】がLV4になった!

茅野・いつき
とても強い相手と聞いて。
……そうですか、今回はそっとしておこう、ということですか。
残念です。それなら殴る相手を変えましょう。

相手は蜘蛛みたいな敵。となると全部の腕を戦いと行けませんね。
面倒ですが1本ずつ叩いていきましょう。シンプルイズザベスト。

相手は小手先の手を使ってくるでしょう。
こちらの対抗策は……これといってありません。まっすぐいって殴る。
とはいえまっすぐ行ってもダメでしょう。セルフクラフトで壁を作ってそれごと殴りましょう。幸い、僕と同じぐらいの壁ができますから。

喧嘩は素手でやるもの。こういう小細工を使うのは頭が疲れます。


●闘争は拳にて
「殺(シャ)ァアッ!!」
 張任が鋏角を開き、口から粘ついた蜘蛛糸を射出する。
 茅野・いつき(双子月・g00758)は首を傾けるように最小限の動作で蜘蛛糸を躱し、身を伏せて一気に間合いを詰めた。
 そして猛烈な一撃を腹部めがけて――放とうとしたところで、両足でブレーキ。ほぼ直角に横っ飛びに身を擲つ。
「チィッ!」
 遅れていつきのいた場所を、蜘蛛足から噴出した糸の雨がぞわりと覆っていた。
 もしも打撃を優先して一瞬でも足を止めていれば、フェイントに騙されて全身を縛り上げられていただろう。
「こういう小細工は苦手です。頭が疲れます」
 いつきは心の底からうんざりした様子で嘆息する。
 小手先の技で動きを止められるほど、いつきはおとなしい性分ではない。
 すでに五合。互いに間合いを測るようにこのような寸止め勝負めいた接近戦が続いていた。

「なかなか目敏い娘だ。関羽殿であれば、あるいは貴様を『敵』とお認めになったやもしれぬな」
「関羽、ですか」
 いつきは目を眇める。彼女は状況判断の上で、張任を叩くために此処へ来た。
「僕としては、残念ですけれどね。とても強い相手なのでしょう」
「強い?」
 張任の右側の目が、訝しむように細められる。
「"強い"などという次元で収まるものか。あの方は蜀最強の蟲将よ。貴様らが束になろうとて敵いはせぬわ!」
「ではあなたは、その将の威を狩る狐と」
「……小娘ェッ!!」
 張任が仕掛けた! いつきは動かずに機を待つ。
「殺(シャ)ッ!!」
 再び蜘蛛糸が放たれる。回避先も読んだ広範囲の散布だ、逃げ場なし!
 ゆえにいつきは目の前に壁を作り出し、蜘蛛糸を阻んだ!
「何ッ!?」
「だから言ったんです、"こういう小細工は頭が疲れる"って」
 壁越しに両者は同時に武器/拳を突き出し、同時に壁を破壊した。
 轟音――そして激突! ダメージはわずかに張任のほうが大きい!
「グッ!!」
 張任はダメージに呻きつつ、苦し紛れに蜘蛛足でいつきを突き刺そうとした。だが裏拳がそれを迎撃し、さらに一撃!
「がはっ!!」
「喧嘩は素手でやるもの、ですよ」
 少なからぬダメージを受けつつ、いつきは静かに言った。小柄なその肩から、闘気が湯気めいて湧き立つ!
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【隔離眼】がLV2になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

「……さァて」
 巨躯が立ち上がると、その意を汲んだ愛馬は恭しく頭を垂れ、あるじを迎え入れた。
 赤兎馬に、本来あるべき馬具は一切着いていないように見える。

 必要がないからだ。
 関羽と赤兎馬は一心同体。言葉も、鞭も、腹を蹴る必要すらなくすべてを察し、そして応ずる。
 そして愛馬の背に跨る時は、関羽が決める。関羽だけが、決めることが出来る。
 何と戦い、何を殺し、何を従えるか。関羽だけが、決められる。だから、馬具など必要ない。

 そして、今。
「張任も励んでおるようではないか。重畳、重畳」
 心にもないことを――関羽はトループス級の全滅を知覚しているが、そんなことは気にかけてすらいない――嘯きながら、猛将が、馬の背に跨った。
 赤兎馬はぶるるる、と首を振る。蹄を鳴らす。それだけで空気がどろりと濁る。
 馬上の関羽は、青龍偃月刀をぶん、ぶんと無造作に振るった。肩慣らしのように。
「酒を呑むのにも飽いたところよ」
 ……関羽は、部下の被害を頓着しない。兵士がどれだけ死のうが、守ってやることなどない。
 仮に張任が倒れれば、奴は興が削がれてそのまま消えるだろう、自分勝手に。
 どこへでも行けるはずなのに、奴はそうしないのだ。己の興が乗った時を除いて。

 誰と戦い、誰を殺し、誰を従えるか。
 関羽が決める。関羽だけが、決められる。奴が馬上に跨るのは「そういうこと」だ。
「征くぞ、赤兎馬よ」
 嘶きが地の果てまで響き渡る。
 遠くで一列になって避難する民のうち、感覚の鋭い者は得体のしれない恐怖に頭を抱えて蹲り、あるいは目を剥いて気絶した。
 何が敵なのか、関羽が決める。その時にだけ奴は戦う。

 赤兎馬の前脚が、力強く地を蹴った。
 次の瞬間、絶望の化身は、笑声とともに風となった。
無堂・理央
蜀軍最強と目される将と中国最高とも言える名馬。
その組み合わせと矛を交える機会が来るなんて。
実力差は明白だけど、うぅん、明白だからこそ挑むんだ!


無双馬『クロフサ』に騎乗、パラドクスでクロフサには天を駆けて、空中戦に挑めるようにする。
今回、関羽に挑戦するのは彼のパラドクス【赤兎馬天駆】の使用技能を探る為。
推測が正しければ、ボクの【戦騎天駆】と同じで【一撃離脱】【空中戦】【戦闘知識】を使用するパラドクスのはず。

今の実力で関羽相手に何合もやり合えるとは思わない。
なら、危険は承知で一気に踏み込んで、馬上槍の渾身の一撃を打ち込むだけ!

次の機会の為に退くのは躊躇わないけど、重傷覚悟で限界まで戦っていたいね。


八栄・玄才
来たか
今まで見聞きしたクロノヴェーダの中じゃ、まず間違いなく最強
つまりはここが最前線だ
時代の最前線にオレは立っている!

有効な程の小細工は手札にはない
だからとにかく思い切り殴りつける

赤兎馬の側面から【突撃】
利器砕きで【粉砕】の一撃を叩き込む

拳を交えれば分かることもあるハズ
こちらの技能はどの程度通じるか、向こうは【粉砕】や【強打】の技能はあるか?
あちらはどんな技能をどれ程に使うか、オレの持っている技能で軽減できるモノか?
SPDの技能を探る人がいるみたいだし、オレはPOWで行くぜ

やっべぇ~~~~
これもう突きってレベルかぁ?

敵の攻撃に対しては、後ろに【ジャンプ】して吹き飛ばされることで威力の軽減を図る


瑚雛・凛櫻
アドリブ、連携大好き
多少の怪我はオイシイです

倒そうとは思っていないのだけど、関羽をこの目で見てみたいのよね

三国志で最も強い武将の一人として知られている武将がどう言う技を出してどう動くのか、出ている情報以外のものが発見出来れば万々歳かな(電脳ゴーグル装着して録画)
周りを警戒しつつしっかり相手を観察して次に繋げられるよう努めるわね
勿論戦わないわけではないわ
あちらが攻撃してきた場合や応戦しなければならない状態の時はしっかり応戦
私の攻撃が関羽にどの位通じるか見極めておきたいわね
私の全力受けてみなさい!(即座に大鎌を作り出して攻撃)

深追いはせず、熱くなりすぎないよう注意ね


●隔絶
「来たか……!」
 すさまじい重圧を肌で感じ、八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)は笑みを浮かべた。
 本人としては、戦いに餓えた狼が牙を剥くような、気高い表情のつもりだったろう。
 残念ながら実際は、ひくつく頬肉を無理やり押し上げたようなものだったが。

 ズズン!! と、流星めいた速度で降り立つ巨躯。
 もうもうと立ち込める土煙が、青龍偃月刀の一振りで雲散霧消した。
「……関羽……!!」
 無双馬『クロフサ』に乗った無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は、対手の馬体を見て顔を顰めた。
 クロノ・オブジェクト『赤兎馬』。このディヴィジョンでも有数とされる、歴史に名高き馬。
 あれは、ものが違う。小手先の足止めが効くモノではない。
 生半な小細工は、すべて力でねじ伏せられる。絶望的な確信が、無双馬を従えるからこそ直感できた。
(実力差は明白だって、わかってた。でも、これは……!)
 冷や汗が頬を伝う。
 この状況で悲鳴を上げ逃げずにいられるだけ、玄才も彼女もひとかどの戦士と言えた。
 険しい表情で隙を伺う、瑚雛・凛櫻(滅びの箱庭、綻びの記憶・g00518)とてそれは同じ。
「倒そうなんて最初から考えてなかったけれど、ね。この目で見て、改めて理解したわ」
 凛櫻は電脳ゴーグルを装着し、嘆息混じりに言った。
「あなたは強い。でもそれは、私達が退く理由にならない!」
 三者を値踏みしていた関羽の口元に、裂けるような笑みが浮かんだ。

 対する関羽は、一言呟く。
「面白い」
 格上であることを当然とする声音。だが不可思議な響きもある。
 関羽は油断していなかった。そも彼にとって戦いは娯楽でこそあるものの、遊びではない。
 敵と認め姿を表すということは、ある種の敬意めいたものがあるからこそ。
 たしかに目の前の若者達は己より弱い。だが油断できるような相手ではない。奴はそう考えていた。
 格下とわかってなお戦おうとするその意気。一矢報いんとする闘志。いずれも、なめてはいけないと。
 ある意味、油断しやすい敵よりも「やりづらい」手合である。

「ああ、たしかに強ぇよ。つまりここが最前線だ」
 肉体に染み込んだ恐怖を払うように、玄才は言った。
「時代の最前線に、オレ達は立っている! だったらよ……」
「おうさ、来い。闖入者ども!」
「言われなくてもそのつもりだ!」
「ボクだって! ただ震えるために此処に居るんじゃないよ!」
 玄才に続き、理央がクロフサとともに飛翔した。
 理央は正面から、玄才は側面に回り突撃を仕掛ける構えだ。
 さらにやや遠間、凛櫻は敵の一挙一動に注視し、全力のサポートのために身構える。
 逆説連鎖戦において、包囲や多重攻勢の持つ意味は薄い。だがけして無意味ではない。
 即興の連携ながら、3人の動きは見事というほかない練度だった。
 仮に相手がアヴァタール級の将であれば、反撃を一切許さぬ攻勢を可能としたはず。

 "相手が悪かった"という言葉は、こういう時に使うのだろう。
「え?」
 動きを逃すまいとしていた凛櫻は、ゴーグル越しの光景に呆けた声をあげた。
 同時攻撃を仕掛けた理央と玄才が、まったく同時に、それぞれふっ飛ばされている。
 何が起きた? 疑問に応え、脳髄そのものが記憶をリレイし、スロー映像めいて一瞬の交錯を再生する。
 それが走馬灯に似た現象であることを、凛櫻は生き延びたあとで理解した。

(オレの手札に、こいつに効きそうな小細工はねえ。だったら、おもいっきり殴りつけるだけだ!)
 凛櫻からは同時に見えた攻撃も、わずかに先んじたのは玄才だ。
 雷魔を宿す彼のスピードは、まさしく稲妻。彼は修めた武術・八栄流が極意『利器砕き』にて挑んだ。
 内勁を浸透させ、外ではなく中から破壊する武技。そこに雷魔の力が加われば、まさに利器を砕く衝撃と化す。
 八栄流は『文明の進歩に並び立つ武』。事実、TOKYOエゼキエル戦争では、この技は大きく役に立った。

 しかし。
「なるほどな」
 返ってきたのは岩を殴るような手応えと、関羽の感心するような声。そして無数の刺突。
(おいおい)
 口癖が出る暇も、飛び退き逃れる隙もなし。
「これ、もう突きってレベ――」
「噴ッ!!」
 万軍を射抜く無双の打突が、玄才の全身を穿った。
 関羽は、渾身の掌底を受け止めた右上部腕を握り、開く。深緑の甲殻の隙間から、ぶすぶすと煙が漏れている。
「わしの身体に気を通すとは、やるではないか。いかなる流派か知らぬが見事なり」
「……ッ!!」
 称賛と呼ぶべきか、親が子を褒めそやすような甘い言葉と見るか。
 いずれにせよ、赤い瞳は玄才から理央に視線を移した。同時に赤兎馬が蹄を鳴らして空に舞う。

「……クロフサッ!!」
 一瞬にして騎馬は眼前にある。
 理央は馬上槍を振るい、悪魔じみた笑みを浮かべる関羽を迎え撃つ。
 激しく振動する原子がぶつかりあうような交錯。一合、二合、三合!
「がははは! よく耐える! 誇っていいぞ、小娘!」
「こ、の……!」
 渾身の一撃。それを叩き込むだけなのだ。なのに、あまりにも遠い。
「……クロ、フサ……行くよッ!!」
 死中に活あり。理央はあえて騎馬一体となって突っ込んだ。
 関羽は目を見開く。驚愕と愉悦があった。
 天駆の一撃が関羽に届く。馬上槍が甲殻を打ち、砕き、異色の血が噴き出し理央の顔を汚す。
 幻想竜域での戦いが脳裏に去来する。起死回生のクロスカウンターは功を奏した。だが今は。
「やはり面白い。来た甲斐があったものよ!」
 趨勢は一転した。いや、最初からそうだったのかもしれない。
 理央はクロフサごと弾かれ、地に落ち、そこに騎馬一体の斬撃が襲いかかる。
 無意識に取った防御姿勢が、理央を致命から救った。胴体を両断する斬撃は、脇腹を深く抉るにとどまる。
「がはッ!!」
 理央とクロフサは地面をもう一度バウンドし、吹き飛ぶ。
 ここまでが、「一瞬」である。

 赤い瞳がこちらを見ていた。
「……私の全力、受けてみなさい!!」
 凛櫻は大鎌を作り出し、絶望的な戦いに向かう。
「見上げたものよ。これでなおわしに挑むか。魏の臆病者とは大違いよな、お前達は!」
 悪魔は喜んで迎え撃った。大鎌と偃月刀の打ち合いは、二度。3度目の斬撃が深く関羽の身を抉る。
「あ――」
 同時に、龍のオーラが凛櫻を飲み、そして薙ぎ払った。
 己の身体が浮かび上がっていることを、凛櫻は知覚する。痛みと同時に襲いかかる重力の抱擁、弓なりの落下。
「斯様に手傷を受けようとは、いやまったく予想外」
 ただひとり、伏せることなき無双の将が言った。
「だがぬるい。わしの手を読もうという邪気がはっきり感じられる。それでは足りぬわなあ」
 拳を交え、矛を交え、視ることで少しでも情報を得る。
 それは、多少なりと余裕があり、力量が近ければこそ可能なこと。されど此度は……。

『今のディアボロスでは、奴は倒せない』
 その言葉の意味が、一同に重くのしかかる。

「しかして、その意気やよし。お前達の武、たしかに覚えたぞ」
 関羽は言い放ち、次の瞬間には旋風めいて消えた。
「……名前ぐらい聞いてけよ、クソが……」
 ごほ、と血を吐き、玄才は気を失った。
 理央も何か言おうとして、呼吸をし、肺の痛みに顔を顰める。言葉は出ない。
 凛櫻は動かない。打ちどころが悪かったか、憔悴ゆえか。

 彼らは空を見ていた。
 猛将との差は、あの空のように遠かった。
苦戦🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

イグザリア・リミット
ひとまず、一般人達は一安心か。

ジェネラル級が来るかどうかは不明だが
邪魔される前にアヴァタール級を叩くべきだろうな。
張任といったか。
貴様の強さ/弱さを見せてみろ。

昏冥、啓け。
懐に入り込んで技を放たせ、至近距離での観察で蜘蛛糸の性質を分析し利用する。
冷やせば良いか熱せば良いか、酸で焼くべきか、時を止めるか。
分析に応じた魔法で蜘蛛糸の性質を変化させて自身に都合の良い足場とし、
相手にとっては罠としよう。

最近の魔女は身体も動かす必要があって大変だが……
アトラクションのようで楽しくもある。
物理が有効なら魔力を纏った蹴りで穿ち
魔法が有効なら収束した魔力で撃ち抜く

さて、次はどうなるか。


●魔女の懊悩
(始まったか)
 張任と相対するイグザリア・リミット(赫眼の魔女・g05140)は、魔女としての優れた感覚で「それ」を感じ取った。
 すなわち、関羽の襲来。どこかでディアボロスが交戦に入ったと。
「いよいよ急がねばならんな。貴様との戦いを邪魔される前に」
「……愚かな」
 油断ならぬアヴァタール級は吐き捨てた。
「さような悩みなど不要。貴様は私がここで仕留める」
「張任と言ったか。それは、あのジェネラル級への忠義ゆえか? あるいは」
 イグザリアの隻眼が細まる。
「叱られるのが、そんなに恐ろしいか」

 ぴしりと、両者の間に転がる石が真っ二つに割れた。
 張任の殺気を浴びながら、イグザリアは静かに言う。
「貴様の強さ/弱さを、見せてみろ」
「殺(シャ)ァアアッ!!」
 両者が霞めいて消えた。一瞬で間合いが詰まる!
 敵の狙いは蜘蛛糸による捕縛。問題はどこから放たれるか……そして、いかにして罠とするか。
「昏冥、啓け」
 張任の攻撃は罠の迷宮だ。打撃斬撃刺突、いずれもがフェイント。嘘の塔。魔女はそれを尽く見切る。
 なぜならば魔女の遺誠は心を開く。以て道を拓き、理を啓く。破戒の魔法はあらゆる虚飾を見通す開明の魔鍵。
(最近の魔女は、身体を動かす必要があって大変なものだ)
 はたして蜘蛛足から噴き出した糸の構成を、イグザリアは一瞬で分析、同時に形質変化。岩となし足場に変えて跳躍する!
「何!?」
「貴様は私の考えを「悩み」と言ったな」
 頭上。魔女は言った。
「それは違う。これでなかなか、アトラクションめいて楽しいものだぞ」
「が――ッ1!」
 張任は何かを吐こうとしたが、その顔面に死神の鎌じみた蹴りが叩き込まれた。
 回転して地を転がる将と、絹布めいてふわりと降り立つ魔女。趨勢は一目瞭然なり!
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!

奉利・聖
────居ますね、奴が居ます
この膨大な気運…アヴァタールとはここまで差がありますか
途轍もない生命力、そして溢れ出す力
矮小なる我が身では、手に負えないは百も承知
しかし──好きにさせるわけにもいかないのです

くっ…平然と馬ごと空を行くとは
まともに食らえば死は必然、それも悪くありませんが…不確実な確信で受ける訳にもいきません
だから──前に行きます
【飛翔】で飛び上がり、懐に潜れば…少なくとも当初の狙いは少しだけ逸らせるはず
すれ違いざまに『朽気功』で触れて、少しでもダメージを

後はもう、如何に防ぎながら釘付けにするか
【早業】と【ダッシュ】で避けながら、入れるのは一発の軽いものだけ
口惜しいですが…精一杯です


●掃除人の矜持
 死ぬかもしれないとわかっていても、奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)は退かなかった。
 いや、退け「ない」時というものが人にはある。今がそうだ。ここで退いては、己は永遠に負け犬であり続けるだろう。
 それは御免被る。あってはならない。だから聖は戦う。
 彼にとって、これが初めて「忘れられない」敵となった。

 頭上。
 黒雲で渦巻く稲妻めいた威圧感がある。
「平然と馬ごと空を往くとは……」
 落ちてきたところを迎え撃つというプランもある。だが聖はそれを棄却。
 死が恐ろしいわけではない。確実性と、矜持の問題だ。
 すう、と鋭く呼気を一つ。一瞬で全身に気が循環し、爆発的なエネルギーが生まれた。聖は地を砕き跳躍。
 ぐんと視界が流れ、色つきの奔流めいた景色の中で対手の姿が近づく。聖は顔を顰めた。

 奴は笑っていた。赤子をあやす好々爺のように思えた。
 それほどの力量差か。それでいて奴は聖を見くびっていない。
 油断せず認めているからこそ、かえって両者の力量的断絶が浮き彫りとなり、ゆえに奴は笑う。
 聖は気に入らぬ。懐に飛び込んでの一撃……だが!
「ははァ!」
 打撃が触れた瞬間、関羽は加速し、聖を押し出すように地面に叩きつけた。
 攻撃は入った。衝突点がボロボロと崩壊を始めているのがその証拠だ。だがそれすらも奴は織り込んでいた。
「アヴァタールとは、ここまで差がありますか……ッ!!」
 無謀な突撃が逆に彼を救った。斬撃ははらわたには届いていない。

 騎馬が眼前に在る。聖は血を吐きデッキブラシを杖めいて地に突き立て、回し蹴りを繰り出した。
「よい殺気だ。とことんわしを殺したいと見える」
 赤い瞳が愉悦に細まる。蹴りは傷を帯びた腕で止められていた。
 青龍偃月刀が、傷をなぞるように抉る。今度こそ臓物が裂けた。
「途方もなき怒り。憎悪。苛立ち。心地よし」
 ビキビキと繁茂する崩壊は、関羽が全身に力を込めると停止した。倒れ伏す聖を、関羽は捨て置く。見逃すのではない。
 とどめを刺しに行けば一矢報ると、己を睨む瞳が告げていた。
 一撃。たった一撃。聖は己の力不足に奥歯を噛みしめる。
(好きには、させない。させるわけには……)
 立ち上がろうと四肢に力を籠め、肉体がストを起こし、崩折れる。
 ……たった一撃。されど一撃。関羽はぐるぐると笑った。
「やはり戦はよい」
 その声が、風の如く去る猛将の置き土産だった。
苦戦🔵​🔴​🔴​

茅野・いつき
「敵」と認められるというなら行ってみましょう。
その「強い」というモノを目にするために。僕より強い相手に会いに。
小手先の手段は無粋。正面からの打ち合い、応じてもらいます。

飛翔の勢いで跳び込んでまずは一手。これはあいさつ代わりに。
セルフクラフトの壁を足場にして切り返して二手。この程度ではないはず。
強さを持つなら速さに対応されるでしょう。障害物も意味がないはず。
そのためにはフライトドローンを隔離眼で飛ばしておいて保険に。
飛ばされたときや三手目に使います。緊急用の動く足場として。

三度目の正直。三顧の礼を持って、拳迷い無く、道遠し!


●拳迷いなく、道遠し
 張任の言葉を受けた茅野・いつき(双子月・g00758)は、その意味を直後に知ることになった。
「おう! 宴もたけなわか。今日はまこと退屈せぬ日よなあ!」
 ずずん!! と、前触れもなく目の前に現れたる巨躯。騎馬一体の魔将、関羽!
「……敵と認められた、ということですかね」
 いつきは油断なく身構え、空気をどろりと濁らせるほどの関羽の殺気を受け流す。
 正面から意をぶつけようとしてはならない。心を砕かれかねぬほどの闘気だ。
「ならば……その強さ、この拳にて確かめさせてもらいます!」
「がははは! 重畳ッ!!」
 二者が同時に飛んだ。スピードは圧倒的に関羽が疾い。
(三手。地形を利用し、三手にて届かせてみせます)
 いつきはあくまで正面かつ徒手空拳での戦いを覚悟し、套路を組み立てる。
 己が何をすべきか、それに意識を集中させることで莫大な殺気を受け流す。重要なのは届かせることだ。
 猛然たる速度で間合いが縮まる。時空が歪曲、いつきは挨拶代わりの一手目を仕掛け……。
「噴ッ!!」
「……!!」
 三手。積み上げて届かせるという目論見ごといつきの身体を打ち砕こうと、無数の突きがほとんど同時に壁となった。
 青龍偃月刀の矛が、いつきの全身を斬り裂く。いつきは吹き飛ぶ。
「が……!!」
「わしを相手に小手調べなどと考えてはいまいな、小娘ェッ!!」
 関羽がロケットめいた速度で加速、追撃のために突きを繰り出した。
 力だ。圧倒的な力が、何もかもをねじ伏せる。これがジェネラル級!

「……僕の、拳に」
 おお、だが見よ。いつきは立つ。受け身をとって起立し、突きを浴びながら踏み込んだ。二手を耐え抜く!
「ほう!」
「拳に、迷いなく――道遠し! それでも!!」
 己より強い者に出会い、練磨し、より高みを目指すため。
 悪鬼粉砕の一撃、到達。関羽の鎧の一部がひび割れ、砕けた!
「三顧の礼とでも言うか? がはははは!!」
 愉快げに関羽は笑い、ダメ押しの刺突でいつきを今度こそ地に伏せさせた。
 一方的な蹂躙。そう見ることも出来よう。だが。
「……無聊の慰みどころでは済まんか? これは。ハッ!」
 関羽はさらなる敵の気配に、笑いながら空へ舞う。
 いつきは最後まで、意識を手放すことなく、その背を睨み続けていた。
苦戦🔵​🔴​🔴​

錣吹・しとら
陸(g01002)と
あれがジェネラル、敵側の番長か。ウチの番長共とどっちが強いかねえ、お頭?

腐っても大将首だ。生半可な攻撃は通じねえと思っていいだろう
じゃあどうする?決まってらぁ!アタイの"全力全壊"をぶつけんだよォ!
『セルフクラフト』『建築物分解』で資材確保だ!
図面は即興で書くしかねえが、足りない質はアタイの呪力と勇気で補うぜ!

『拠点構築』も加えて、コイツがアタシの渾身の一作!
【百鬼家工落成式】だぁぁぁぁああああ!!!ツブ
今までテメエが踏みにじってきたモンにブッ『破壊』されやがれぇぇぇえええ!!!
(拳骨の形をした砦を関羽目掛けて落とす)


ぷじゃけんな自力で歩けらー……(精魂尽き抱えられて離脱)


竜城・陸
しとら(g00929)と

遠間から見るだけでも、桁違いだな
ん? ……それは勿論、向こうの方だろう
今のところはね

小細工は通用しないだろうな
やるのならば一点集中、一撃離脱といったところか

狙いがあるのならそれが為せるまで、防御はこちらの仕事
いずれの攻撃も生半可ではないけれど、防ぐことに専念して耐え凌ぐさ
骨が砕けた程度なら、幾らでも後で治せる
負傷程度、この背にあるものを諦める理由にならないからね

――準備はいいみたいだね、合わせるよ
光を幾重に束ねて、創出するのは光の槍
叩きつけるように墜とされる建造物の命中するタイミングに
完全に合わせるように叩き込むよ

さ、離脱しよう
……抱えていこうか? その方が早いでしょ


●破壊
「……あれがジェネラル、敵側の番長か」
 目の前に降り立った騎馬を睨み、錣吹・しとら(鬼門の姫・g00929)は笑みを浮かべてみせた。
 不器用で不格好な、笑みらしき何かというのが正しいが。
「ウチの番長どもとどっちが強いかねえ、お頭?」
「ん? ……それはもちろん、向こうのほうだろう」
 竜城・陸(蒼海番長・g01002)は何気なく言い、付け加える。
「今のところはね」
「ハ! そうだな、"今のところは"だ」
 もとより勝てぬと宣言された戦いである。
 逃げることは出来た。関羽は背を見せて逃げるような臆病者を敵とはみなさない。
 ただ呆れ、嘆息し、侮蔑ののちに存在さえ忘れて消えるだけだ。

 だがふたりは、そうしなかった。
 ゆえに関羽は笑っている。笑いながら相対している。
「小細工は通用しないだろうな」
 やるのならば、一点集中、一撃離脱。これしかない。
 陸の言葉に、しとらは頷いた。であれば攻め手と護り手は一目瞭然――破壊力のみにおいてはしとらの方が上だ。
「アタイの"全力全壊"、ぶつけてやるよ! 上等野郎!!」
 狙いがあると彼女は言う。ならば陸は前に立つ。
 先輩であり番長であり、竜であるゆえに。護るのは己の仕事。
「耐えてみせるさ。何があろうとも」
 陸が一歩前に出た。
 その瞬間、将は色ある風となって牙を剥いた。

(図面は即興で書くしかねえ! 足りない質は呪力と勇気で補う! 贅沢言ってられる状況じゃねェんだ!!)
 しとらはにじみ出る脂汗と冷や汗を拭うことも忘れ、めきめきと周囲の「素材」を操り、猛スピードで図面を描く。
 関羽ほどの化け物を前にしては、あまりにも冗長な行動だ。
 無論、あちらも見逃すつもりはない。そこに陸が割り込む。
「俺の相手をしてもらうよ、関羽」
「何?」
「通さないと言ったんだ」
 関羽がこれまで帯びた手傷から、びゅっ、と血が噴き出した。
 赤い瞳にぎらつくもの。それは怒りだ。憤怒が陽炎じみて立ち上る。
「わしに挑むならば相手をしてやろう。だが盾となろうてか! わしの矛を前にして!!」
 あまりの怒気に、地面が割れて石が次々に砕けた。陸は仕掛けない。背にあるものを諦める理由などない。
「笑止なり。その言葉の愚かさ、己で知れィッ!!」
 骨が砕けた程度ならば治せる。ディアボロスの不死性がある。
 いかなる攻撃が来ても耐え凌ぐ。陸は確信じみた覚悟でそう決めていた。

 それはつまり、接敵即致命とすら警告された関羽の攻撃を、その身ですべて受けるということである。
 いかに陸が竜とて、蒼の番として強大な力を持とうとも、彼は神ではない。無敵でもない。
「お頭ァッ!!」
 しとらが叫んだ。声が聞こえる。陸は言葉を返そうとした。
 だが出来ぬ。龍のオーラが陸を空中高くへ吹き飛ばし、そして堕ちる。
 怒気をオーラめいて纏う関羽の刺突が全身を切り刻み抉った。雨あられとはこういうことを言うのだろう。
「退けィッ!!」
 とどめの刺突が心臓を狙う。貫かれてそこで終わるはずだった。

 陸は立っていた。
「…………負傷程度、諦める理由には、ならないんだ」
 おそらく、彼はそう言おうとしていた。
 実際は切り刻まれた喉からごぼごぼ、ひゅうひゅうと音が出るばかりで、少なくともしとらは言葉として聞こえなかった。
 だが、自ら腹にずらしてまで刃を受けた番の背が、しとらに告げていた。

 諦めるなと。
「此奴」
「テメエが――」
 図面を叩き壊す。
「テメエが! 今まで踏みにじってきたモンに!! ブッ破壊(こわ)されやがれェエエエエエ!!」
 巨大な岩が、関羽の頭上に出現した。恐るべき速度で降り注ぐ質量!
 加えて貫かれたままの陸が光を生み出す。至近距離での一撃。関羽は青龍偃月刀を引き抜く。間に合わぬ! 間に合わぬ?
 否! 赤兎馬が駆ける! 光と質量を浴びながら関羽はしとらを狙い反撃を! ……。

 轟音と閃光が止み、残骸がバラバラに散らばった戦場で。
 しとらと陸は、ほとんど支え合うようにして膝を突いていた。
「……抱えていこうと、言うつもりだったんだけどね」
「ぷじゃけんな、自力で歩けらー……」
 満身創痍である。陸が護りに徹さねばしとらは死んでいただろう。
 だがそうしなければ、陸がこれほどまでに傷つくこともなかったかもしれない。

 そして、クレーターじみた破砕点には、異色の血がこびりついていた。
 全身を朱に染めて得た戦果としては、あまりにも不平等な取引というものだ。

 だが二人の意地は、たしかに猛将に一撃をもたらした。
 生き延びたという事実が、なによりのトロフィーだった。
苦戦🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

奉利・聖
──関羽を止めることは、叶わず
ならば本来の目的…この掃除で片付けるべきゴミを、消し去るとしましょう
えぇ、決して弱いとは思っておりませんよ
ただまぁ…関羽を体感した今となっては、相対的に評価を下げざるを得ないだけです

蜘蛛の糸?えぇ、構いませんよ
【セルフクラフト】で彼我の間に遮蔽を緊急作成
【使い魔使役】も同時に放ち、蜘蛛の糸を防ぎながら注意を逸らす要因を作り出しましょう
ゴミの視界の外、死角で錬気を準備します

──『爆気功』
爆発的な衝撃から成る究極の<強打>
脚を踏みつけ、片腕で組み付き、セルフクラフトごぶち抜くようにして
その醜い頭部に、<破壊>の一撃を見舞います
やはり…関羽の後ではどうも物足りませんね


●傷を帯びてなお
「まさか……貴様、関羽殿と立ち合ったのか!?」
 奉利・聖(クリーナー/スイーパー・g00243)の傷を見た張任は、二つの意味で驚愕を漏らした。
 一つは、関羽と相対しながら、目の前の敵が生き延びたという事実。
 そしてもう一つは、その上でなお己を討ちに来たという現状である。
「えぇ。僕では、関羽を止めることは叶いませんでした」
 ほとんど重傷に近い有様で、聖は微笑む。
「ですが僕の役目は、お前達ゴミを掃除することですから。まさか、見逃してもらえるとでも思いましたか?」
「……幸運で拾ったその生命、無駄にする愚かさを教えてくれる!」
 張任は丹田に力を籠め、蜘蛛糸の網を吐き出した!

 されど、網が聖を捉えることはなかった。
「何ッ!?」
 ミスディレクションだ。一瞬にして聖は姿を消した。
 正しく言えば、張任の意識からその姿を消した。
「関羽を体感した今となっては、相対的に評価を下げざるを得ませんね」
「貴様……」
「遅いですよ」
 すでに聖は間合いの中だ。張任の蜘蛛足がわずかに肌を裂くが、あの怪物に与えられたダメージに比べればかすり傷。
 ズシン!! と、踏みしめた両足が地を砕く。障害物として生成した壁ごとぶち抜く、爆気功の一撃が、炸裂!!
「その醜い頭部を、爆ぜさせます!」
「が、ああああっ!?」
 張任はインパクトを受けた顔を押さえ、どたどたと蹈鞴を踏んだ。そのダメージは甚大だ。
 聖は呼吸による痛みに顔を顰めながら、嘆息する。
 あれのあとでは物足りない。だがこの対峙も、積み重ねた手があらばこそ。
 かえってあれとの距離を体感させられる。口惜しさがある。
「……次こそは掃除してみせますとも」
 聖の瞳は、目の前の敵のはるか先を見ていた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【建造物分解】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

エンデ・トロイメライ
あー、来ちゃったか……まあ来ちゃったもんは仕方ない。
それじゃ、勝てないなら勝てないなりに、なんとかしようか。

最優先は負傷した復讐者の救助。
重力操作で浮かせて運ぶと同時に、フライトドローンを呼び出し使う。
出来るだけ関羽達から遠ざけて追撃を防ぐ。

襲ってきたら?そりゃあ、戦うしかないでしょうが!
と、言ってもあくまで行うのは遅滞戦闘。
引きながら再構成したサブマシンガン2丁で牽制。
接近されたらショットガンに。これも牽制。
隣接されたら更にナイフへ。まあ届かないだろうけど。
そこで懐から手榴弾を取り出し自爆と見せかける。
すぐさま再構成、スタングレネード。
後は救助者ごと全速力で撤退……出来るといいんだけど。


●勝てないなりの戦い方
 負傷者の救助。
 エンデ・トロイメライ(エピローグ・g00705)が最優先するのは、どんな戦場であれそれ以外にない。
 関羽との戦いはすなわち、それほどの傷を負う。救助は急務と言えた。

 だが、関羽は、目の前に立つ敵を見逃すことなどない。
「わしの視界に入っておきながら、背中を向けて逃げようというのではあるまいな!!」
「く……!」
 エンデの想定以上に、関羽は疾く、そして獰猛だった。
 あらゆる効率を、道理を、力でねじ伏せる圧倒的な暴威。
 エンデは思考を切り替える。戦うならば、勝てないなりにやれることをやるしかないのだ。
「FLUGEL、リミッター解除……持ってよね、アタシが斃れるまでは!」
 ガガガガ! と、サブマシンガンが火を噴く。
 マズルフラッシュが、襲い来る怪物の姿をコマ送りの映像めいて照らす。
 あまりにも疾い。ショットガンへの再構成が、追いつかない。
『FLUGEL』が悲鳴を上げる。もはやここまでか!?

「……小癪な!」
 関羽は激昂した。
 エンデが懐から取り出したのは手榴弾である。彼女は自爆しようというのか? 否!
「これで……!」
 スタングレネードに変じたそれが、閃光と轟音を放つ。
 いかな関羽とて、この至近距離で閃光を浴びればひとたまりもない。エンデはそう考えていた。

「小癪と、言ったはずだぞ小娘」
 その期待は、降り落ちてくる刃によって叩き切られた。
「が……!?」
 速度を乗せた斬撃が、後退しようとしていたエンデを袈裟懸けに斬る。FLUGELがエンストめいて故障し、重力に縛られた彼女はごろごろと地面を転がった。
 足止め、遅滞戦術、陽動。そういった搦手さえもねじ伏せる。それが関羽の力。それほどの差が両者にはある。
「……まったく小癪なり。この生き汚さ、厄介なものよ」
 されど死物狂いで死ぬまいとした彼女の攻撃は、関羽に確実に効いていた。傷ひとつとて通用してはいる。
 救うためには、挑まねばならない。その矛盾にエンデは呻き、意識を手放した。
苦戦🔵​🔴​🔴​

ディゼラータ・ネイディアラ
アドリブ歓迎

んー…やっぱり、無駄だと解っていてもやりたくなっちゃうよねぇ…
其れに、相手の戦力を把握しておくのも大切だろうし…何、行ってみようか…ふふふ…

正面から打ち合うのは無謀だな…
距離を取ったところから氷槍や暴風、雷撃を連発し(氷雪使い・風使い・電撃使い・連続魔法)そのままの勢いで「呪妖」まで叩き込んだら深追いはせずに撤退
相手の攻撃は減衰の・呪詛を込めておいた惨刃で受けて、逆らわずにそのまま弾き飛ばされるように間合いから出るのを優先


●氷雷を穿つ暴威
 ディゼラータ・ネイディアラ(揺らめく星を喰らうモノ・g00054)にとっては、戦力を把握する程度のつもりしかなかった。
 いや、あるいは強敵と死合う愉悦を優先したのかもしれない。
 彼女はそういう放蕩の気があり、ある種の破滅願望の持ち主であったがゆえに。

 だがあいにく関羽は、そんな愉悦に付き合ってやるほど優しい手合ではなかった。
「女! お前の術はなかなかのものぞ! だァがァ!!」
 まるで台風のように氷槍や雷撃を青龍偃月刀で吹き飛ばし、関羽が猛然たる勢いで迫る。
 正面からの打ち合いは無謀。ディゼラータの判断は正しかった。だが撤退を前提に立ち合えるようであれば、関羽はこのディヴィジョン有数のジェネラル級として暴威を振るってはいない!
「く、ふふふ……ああ、噂に勝る勢いだな、関羽!」
 だがディゼラータは心の底から楽しげに、虚無的な笑みを浮かべた。
 彼女にとって、自分はもう「終わっている」。すべては余興に過ぎない。この死線さえも心地よいという狂った笑み。
 関羽もまた笑う。降り注ぐ氷・雷・風は一流の証ゆえに!
「Calamitas virtutis occasio est――!」
『呪妖:悉葬(ヴァニタス)』の一撃が、呪いの塊となって関羽を襲う。爆ぜた呪詛は関羽の硬殻を汚染した。しかし。
「わしに手傷を負わせるとは。貴様らはまったく予想外の敵よ! ぬうん!!」
 龍のオーラが炸裂し、減衰を狙った呪詛ごとディゼラータを空へと叩き飛ばした。
 間合いから出るのは叶った……関羽がそれ以上の追撃をしなかったからだ。
「しかし手ぬるい。わしと戦おうと思うならば、引け腰では足りぬな!」
「……ふふ、ふ……なら、次はその首を貰いに行く、わ……」
 はたして、ボロボロのディゼラータの声は関羽に届いたか否か。
 膝を突き立ち上がるもままならぬ彼女を見捨て、猛将は瞬時に消える。その差は歴然としていた……。
苦戦🔵​🔴​🔴​

ア・ンデレ
【桃園結義】の皆と協力する。

「アンデレちゃん、だんまくいきます。」

宣言すると、アンデレは幻影を大量に召喚する。

「いくらすばやいうまにのっていても、だんまくはよけられないでしょ。
どっかんどっかん、いってみよう。」

アンデレは、一発でも攻撃を当てるため、そして弾幕自体やそれにより生じた煙で仲間を隠して接近させるため、弾幕を張る。

仲間が接近したら、仲間に当たらないように正確な射撃に切り替える。
特に、撤退する仲間がいる場合、その援護を重点的に行うようにする。


瀧夜盛・五月姫
【桃園結義】
連携、アドリブ、歓迎、だよ?

――【彼女は衆敵を一瞥すると声高らかに名乗りを上げた!】
誰よりも【大声】で、名乗りを上げて、関羽、【挑発】。
関羽雲長! 姫と、果し合い、だよ!

姫は、皆が手掛かり掴む、【時間稼ぎ】。
もちろん、死ぬ気、ない。太刀筋、呼吸、癖、よく【観察】。
【殺気】は、切らさない。
切らせば、隙、突かれる。それほど、油断できない、相手。

姫、平安生まれ、だけど。もちろん、関羽、知ってる。でも姫、よく、知らない。
危険な存在? 取り除かなきゃいけない、ではない、の?
ん、考えても、わかんないや。
でも、お手合わせ、してもらう、よ。


平良・明
【桃園結義】

未来に備え強敵を肌で感じましょう
深呼吸ですよ深呼吸、呼吸が乱れればそこを狙われます

まずは【光学迷彩】を使いつつ隠れながら待機します
瀧夜盛さん達の戦いをよく【観察】して赤兎馬の癖を見抜きましょう

仲間が崩れればこそが出番です、このうつろう時代に一石を
いざいざ前へ出て名乗りを上げます

行雲流水にして無明、平良明ここにあり!

さあ、この名に懸けて捨て身の一撃を
関羽と赤兎馬が地に降り立つその瞬間が切れ目でしょう
見えるなら好し、見えなければこのクソちんけな経験と勘で引き金を

攻撃を引きつけ合わせ、鉛白の破壊光線を死化粧に
後ろに吹っ飛びつつ攻撃を避け、被害を最小限に抑えます

誰か!死体は拾って下さいよ!


薬袋・透
【桃園結義】相手がどんなに強敵だろうと、戦わない理由にはならないのよね
小細工が通じる相手かは判らないけど、それでも数の力の凄さ、見せてあげる

僕の役目は中遠距離からのサポートね
光学迷彩を纏い飛翔
上空から高速詠唱、仲間の隠れ蓑も兼ねた氷雪使いと風使いを合わせた猛吹雪の奇襲をかけるわ
ときおり不意打ちに電撃の貫通撃もまぜて

着地と同時にパラドクス発動、
足下の影から赤兎馬ごと動きを封じる罠を仕掛けましょう

反撃は結界術を用いて被弾ダメージを軽減させつつ飛翔した状態で回避を狙うわ
被弾率の高くなる接近組にも結界術の守りをかけておくわね

撤退する場合自分含め重傷の仲間がいたら安全圏までフライトドローンに乗せてくわ


御森・白露
【桃園結義】じゃ。

くはは!何という覇気、一切の隙無き佇まい!
勝ち目、皆無!打ち合えて一合、甘く見積もって三手で詰みか!
是非も無し!

【セルフクラフト】にて立方体を造り、【怪力無双】で関羽に向かって投擲じゃ。
皆が弾幕を張るようじゃし、その陰に隠れて疾走しつつ、【呪詛】【オーラ操作】【両断】で地を這うように斬撃を飛ばし牽制、斬撃で発生した土埃に紛れ【光学迷彩】、五月姫殿とは真逆の方向から不意を打って【弄月・宵闇桜】、狙いは関羽の関節部分じゃ。

関羽の反撃は【呪詛】を出来る限り溜めた妖刀で迎撃、直撃を凌げれば多少の損害は許容範囲よ。
わざと吹き飛ばされ、その勢いで【飛翔】を使い撤退じゃ。


ネリリ・ラヴラン
【桃園結義】でも援護は全員対象だよ。
勇ましいのは頼もしいけど、みんな無理はダメだよ?

強さが未知数だから、何が起きても不思議じゃないわ。
無傷でなんて言わないけど最悪だけは避けたい気持ち。

【飛翔】で上空に間合いを取って”爛れた輪舞”の詠唱だけして準備。
皆とタイミング合わせて、遠くから魔法を放って弾幕を作り上げるよ。発動したらできるだけ散開しながら、連続魔法・高速詠唱で次を準備するね。

誰かに攻撃が向いたら【セルフクラウト】で、関羽さんとの間へ壁を作ってみるよ。止めきれなくても一瞬驚かせて勢いを削ぎたいね。
連続魔法が間に合っていたら、青龍偃月刀を狙って放って、少しでも下がりやすくするわ。

アドリブ好き


レオ・レーラー
【桃園結議】
瀧夜盛さん達とは別方向から接近、皆が張ってくれてる弾幕と『残像』で撹乱。相手はあの関羽。見破られる事を前提にしておく。
距離を詰める間に相手の太刀筋、動き、癖を『観察』して相手の攻撃のタイミングの『看破』に努める。
関羽の攻撃が届く範囲に入ったら、こちらに注意を向ける為に叫ぼう。
「横槍を叩き込ませてもらうよ!!」
『ダッシュ』で相手の攻撃のタイミングを外して、一気に拳が届く間合いに距離を詰めて、【デストロイスマッシュ】を叩きこみ、そのまま駆け抜ける。
腕一本くらいは覚悟。
他に接近戦を仕掛けた人達の援護に『早業』でワイヤーを放って武器を持ってる腕を『捕縛』して攻撃のタイミングを遅らせる。


雅諒院・基経
【桃園結義】の人と連携を取る
「…ふん、関羽将軍の名は武ばかり…か、少し残念だよ」
残念そうな顔をしながらも真剣に攻撃を躱すことを最優先する。
「(…あれが演技での得物…青龍偃月刀…いやはや見事、あれで撃ち合いは僕(やつがれ)の得物では一合でへし折れてしまいそうだ…)」
滝夜盛さんの戦闘を全力でサポートをしながら戦う、赤兎馬が飛んだ時、それに合わせて風牙烈破を当てて赤兎馬と関羽の体勢を崩させる
「風結びだ、倒せずとも隙は生まれるな?」
もしも滝夜盛さんが倒れた場合、即時救援をし、離脱する。
「…武勇は見事、だがこの者の首はやれん、安堵の酒を啜るがいい」
地面に向けて風を送り、砂煙を起こして目潰しし、離脱する。


ルミ・アージェント
【桃園結義】
とんでもなく強いやつがいるらしいね!すっごくゾワゾワする…!
でも五月姫たちの助けになりたくて駆けつけたよ!

関羽自身も強いんだろうけど、それ以上にあの赤兎馬ってやつが厄介そう!
どうにか機動力を削いでサポートしたいね!
初めは様子を伺って、仲間が貼った弾幕に紛れるように光学迷彩を使って近付き【魂縛鉄鎖】で赤兎馬を狙って絡め取りにいくよ!捨て身の覚悟で五月姫たちの攻撃のチャンスを作るんだ!
ソウルマローダー!あたしの生命力、沢山喰べていいから!少しでも長く束縛できる力をちょうだい!
その後は離脱できそうなら離脱したい!…けど最前線のみんなの撤退補助が最優先だよ!


ヒース・クリフ
【桃園結義】
「俺の役割は撤退を支援する事だ。だから、今は我慢我慢…」
【無限の武具】で作った見つかりにくい迷彩服とマントと双眼鏡を装備し、戦場のどこかに伏せ、撤退の頃合いを見計らう
それまでは関羽の戦いぶりを双眼鏡で観察し、奴に弱点が無いか、無くても攻撃や移動の癖を観察し、後の戦いに生かせないかを考える

地に倒れる復讐者が出て来たら活動開始。長い糸と針を作り出し関羽に気づかれないように慎重に動けない者から糸で釣って戦場から離脱させる。運びやすいようになるべく一か所にまとめたいな

撤退が終わったら俺も撤退。が一撃も与えてないのは癪だ。最後に投げナイフを作り出して関羽に投擲。と見せかけて赤兎馬の頭を狙うぜ


シルヴィア・シュヴァインフルト
【桃園結義】
連携アドリブ歓迎

……まったく。命知らずにも程がある。
ま、いつかは相手をせねばならん敵だ。威力偵察は必要だろうがな。

さて、既に皆の作戦は充分だろうな。
私に出来ることは……いや、まだある。

まずは戦場に生じた瓦礫なり物陰なりに身を潜める。【光学迷彩】をはじめとする残留効果、私の忍び足や暗殺の技能は有用やもしれん。

後はひたすら待つ。
……復讐者達が撤退を始めるまで。

相手は紛い物とは言え、あの関羽だ。安々と撤退出来るほど甘くはないだろう。
だが……敵はまだここに居るぞ。
その殻に、この成形炸薬弾は効くんじゃないか?

さて、私が演じるのは宛城の典韋か、長坂橋の張飛か……
前者よりは、後者だといいがね。


●猛攻
「アンデレちゃん、だんまくいきます」
 ア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)は宣言するなり、無数の幻影……正しき歴史とともに消えた砲兵達を召喚し、一斉砲撃の構えを取る。
「いくらすばやいうまにのっていても、だんまくはよけられないでしょ。どっかんどっかん、いってみよう」
 DOOM! 耳をつんざく砲声とともに放たれる無数の砲弾!
 しかも、弾幕を張るのはアンデレだけではない。
「くはは! なんという覇気、一切の隙なき佇まい! 勝ち目は……皆無か!」
 御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)は弾けたように笑い、立方体を作り出すと、それを関羽めがけて投擲する。
(打ち合えて一合、甘く見積もって三手で詰みか……是非も無し!)
 飛来する質量は、弾幕の援護射撃めいているとおもにそれ自体が関羽の視界を妨げる。
 巨塊を投げつけた瞬間に、白露は駆け出していた。混乱に紛れて関節を狙う構えだ。
「相手は強さが未知数のジェネラル級……何が起きても不思議じゃない。けれど……!」
 どうか無理をしてくれるな、と心のなかで願うネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)は、上空に飛翔し素早く詠唱を終えた。生み出されるのは、魔力で形成された小型の蝙蝠の群れである。
 この蝙蝠は魔力で作られているがゆえに、一種のホーミングミサイルめいて自在な軌道を描き、標的に着弾すれば爆発する。無論、これは接近する仲間の目眩ましも兼ねたもの。
「小細工が通じる相手かはわからないけど、数の力の凄さを見せてあげる!」
 さらにそこに、やや遠間を飛翔する薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)の猛吹雪までもが加わった。
 局所的なブリザードが、仲間達の弾幕とも相まって、完全に関羽の視界を覆い隠す。
 透自身も万が一に備え、自らを光学迷彩で隠蔽して臨むという油断ない姿勢だ。
 関羽の反撃は飛翔を伴う。だがこれだけ備えていれば、結界の守りも含めて、あるいは回避が狙えるかもしれない。
 少なくとも相手がアヴァタール級であれば、この時点で敵の反撃を封殺出来ていたのは間違いないだろう。

 だが。
「小賢しいッ!!」
 関羽の激昂、一喝。青龍偃月刀が、まるで竜巻のようにぶうん、と力強く振り回された。
 すると飛来した弾幕のことごとくが、純粋なパワーによって生み出された衝撃波に薙ぎ払われる。弾幕によるダメージはほぼ皆無!
「二重三重と、よく策を張ったものよ。魏の臆病者とは比較にもならん。だが、わしの目を欺けるとでも思うていたか!」
「……!」
 遠方、関羽の一挙一動を双眼鏡越しに観察していたヒース・クリフ(達人【生き方】・g00411)が、息を呑んだ。
 赤い瞳がこちらを見返している。……潜伏が割れている!
(「この距離で、よりにもよって俺を見咎めるか……!」)
(「……となれば、こちらも気付かれていると考えるべきだな」)
 ヒースの役目は、同じく別方角に潜伏したシルヴィア・シュヴァインフルト(Nachladen・g01146)と同じく、ディアボロスらの撤退を支援すること。
 そのために彼はパラドクス『無限の武具』を用い、様々な道具を準備して用意万端整えていた。
 だが、関羽ほどの格上を相手に、パラドクスを使用してまで準備を整えるというのは、いささか悠長に過ぎたらしい。
 関羽はすでに一同の作戦を半ば看破している。であれば最初に叩かれるのは、間違いなく潜伏組だ。
 降り注ぐ弾幕など意に介さぬように、赤兎馬が蹄を蹴って飛翔する……そこへ割り込む別のディアボロス達!

「遠からん者は、音にも、聞け! 近くば寄って目にも、見よ!  やあやあ、姫こそ、日の本より、参った。姓は瀧夜盛、名は五月姫。だよ!」
 飛翔しようとした関羽の眼前、雄々しく立ちはだかった瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)は、その小柄な体躯からは想像もできない勇ましい声で名乗りを上げた。
「関羽雲長! 姫と、果し合い、だよ!」
 この名乗りは、それ自体が相手に一騎打ちを仕掛け、小細工や姑息な手を潰すという極めて特殊なパラドクスである。
 五月姫に死ぬ気はなかった。すでに弾幕に紛れ込んで、
ルミ・アージェント(全力乙女・g01968)や平良・明(巡礼・g03461)が、関羽の不意を打とうと息を潜めている。
 レオ・レーラー(サイボーグのデストロイヤー・g04422)もどこかで機会を伺っているはずだ。そして、五月姫の隣には、雅諒院・基経(はぐれ者の元天狗・g00191)が立っていた。
「よもや名乗りを受けておいて、応えぬつもりではなかろうな?
 であれば、関羽将軍の名は武ばかり……ということだ。残念だよ」
 基経は冷淡な声音と無表情で、関羽を挑発する。だが彼の心の中では、最大限の警戒と緊張が渦巻いていた。
(「……あれが演技での得物……青龍偃月刀……いやはや見事、あれで撃ち合いは、僕の得物では一合で折れてしまいそうだ……」)
 相手は並ではない。こうして相対して改めてそれがわかる。肌を刺すほどのすさまじい殺気、そして怒気……!

 対する関羽は、ふんと鼻を鳴らすような声を漏らした。
「くだらぬ。名乗る暇があるならばかかって参れ、名を覚えるかどうかはわしが決めることよ!」
 関羽はいまだ、ディアボロスの力量をある程度評価すれど、一騎打ちに臨むべき対等な敵とはまったくみなしていない。
 否、そもそも奴が、対等な敵とみなす相手が、このディヴィジョンにどれほど居ようか。
 なんたる傲慢。だがそれほどの武勇を備えるのもまた事実……!
「……なら、お手合わせ、してもらう、よ」
「一騎討ちでないというならば、僕も手を貸させてもらおう」
 五月姫と基経が挑む! アンデレ、ネリリ、透の弾幕が勢いを増した。雨霰の中、関羽は傲岸に両者の攻撃を待つ!
(「姫は、皆が手がかり掴む、時間稼ぎの役目……少しでも、注意、向けさせて、不意打ち、させる!」)
 五月姫の主観時間が、極限の緊張と脳内麻薬の分泌により、スローモーションめいて極度に鈍化する。
 八尺五寸大業物、『大薙刀無銘瀧夜叉一振』を構え吶喊! 関羽は青龍偃月刀を振るい、無造作に渾身の一撃を受けた!
「おう! 小生意気にも名乗りを上げるだけはある。小娘と思っていたが、この膂力……見上げたもの!」
「こちらも忘れるな、関羽よ!」
 ぎょろり。大薙刀を弾いたところで、基経の振り上げた風纏いし『錫杖六角棒』の打突を関羽はたやすく打ち返す。
 ごぉん! と、銅鑼を鳴らすような大音声。そして響くは笑声!
「がははは! そうだ、それでよい! わしに挑まんとするならば全力で来い、小手調べなぞしている暇はないぞッ!!」
「「……ッ!!」」
 一合、二合、三合……関羽は健在! 呵々大笑しながら、二人の猛攻を捌いている!
(「死ぬ気、だめ。太刀筋、呼吸、癖、よく観察して……」)
「滝夜盛さん!」
「!」
 五月姫は、けして警戒を解いたわけではない。
 彼女は今できる全力を振り絞り、関羽にまさしく猛攻を仕掛けていた。
 だが、少しでも敵の癖を見抜こうという邪心……それは、格上との戦いにおいては、たとえ微量でも致命的になりうる。
「噴ッッ!!」
 基経の警告が後か先か、青龍偃月刀が無数に分裂したかに思えるほどの刺突が、五月姫を襲った。
 一流の戦士であれ即死しておかしくない、万軍を払うほどの猛撃。これをかろうじて耐えた五月姫の反射神経は見事。
 だが、ダメージは大きい。五月姫の華奢な体が吹き飛ばされる!
「ほおう、耐えたか。面白い、ならばその首刎ねてくれる! この関羽に討たれる栄誉を味わえい!」

「させぬわ、猪武者!」
「それ以上は、やらせない!」
 そこで白露と、チャンスを伺っていたルミが同時に仕掛けた。
「ソウルマローダー! あたしの生命力、たくさん食べていいから! 少しでも長く束縛できる力を頂戴!」
 魂を蝕む呪いの大鎌が不気味に脈動し、その石突から大蛇めいてのたうつ呪いの鎖が生まれた。
 狙いは赤兎馬の拘束だ。じゃらりと鎖が赤兎馬の前脚に絡みつく……しかし!
「ぬるいわァッ!!」
「きゃ……!?」
 呪いの鎖は強引に叩き切られ、暴発した呪いの余波でルミは吹き飛んだ。
 相当の生命力を喰らってなお、赤兎馬を縛ることは出来ない。あれは並のクロノ・オブジェクトではないのだ!
「いざ、参るぞ……我が必滅の斬撃、受けてみよ!」
 白露は琥珀色の瞳を見開き、『荒魂・忌椿』を構えて燃え盛る呪詛の炎纏いし斬撃を繰り出した。
 ルミへの対処で生まれた隙を突き、関節を叩く。狙いも繰り出した技の精度も並々ならぬ一撃である。相手が関羽でさえなければ、『弄月・宵闇桜』の一撃はまさしく必滅のものとなったはず。しかし……!
「よき闘志よ、そうこなくてはな!」
 関羽はあえて関節から狙いをずらし、斬撃を肩で受けた。刃は深々と硬殻を斬り裂き身を抉るも、深手とは言い難い!
「この連撃にも対応するとはのう、やはり我の見立ては間違っておらなんだか。だが……是非も無し!」
 白露は極限の緊張感と高揚にぎらぎらと目を輝かせ、すぐさま斬撃の嵐を放って関羽を牽制する。攻撃はまだ終わっていない!

「どっかんどっかん、まだまだいっちゃうよー!」
「絶対に、誰も殺させない……最悪だけは絶対に避けてみせる!」
「赤兎馬の動きさえ封じられれば……!」
 アンデレ、ネリリの再度の弾幕……それも味方を巻き込まないよう正確性を増した集中砲撃……が、関羽を包む。
 それと同時に透は着地、『召喚:遊影魚(サモン・アンクルポワソン)』を発動し、関羽の影に『うろこちゃん』を潜ませることで動きを封じようとする。人造魔物の爪が赤兎馬の足を掴む。しかし振り払われてしまう!
「ハ! ようく練られておるわ。そこらの兵士どもでは万軍揃おうが真似できまい。だがァ!」
「これでも動きを封じられないの!?」
 赤兎馬は地を砕かんばかりに蹄を鳴らし、その場でぐるりと一周。関羽はその勢いを乗せ、まず奴にとって目障りなネリリめがけ龍のオーラを放った!
「きゃあああっ!?」
 襲いかかる膨大なエネルギーに呑まれ、ネリリはあえなく地に落とされる。アンデレらの妨害がなければ、続けざまの攻撃で首を刎ねられていてもおかしくはない。
「横槍を、叩き込ませてもらうよ!!」
「ぬう!」
 消えゆくオーラを切り裂いて吶喊するレオ。己に注意を向け、疾走し刺突のタイミングを外してのカウンターを狙おうとする。
 そのまま駆け抜けることで、反撃のダメージを最悪でも腕一本におさえるつもりだったが……『戦闘用義手『Vernichter』』が緑の硬殻を叩いた瞬間、無数の刺突が彼を吹き飛ばしていた!
「ぐはっ!?」
「引き絞られた弓弦の如き殺意、心地よし!」
 レオもまた吹き飛ばされ、地を転がる。『デストロイスマッシュ』は確実に入っている、ダメージはあったはずだ。だが……!
「さあて、出し物はこれで終いだな? では……死ねィ!!」
 関羽と赤兎馬が騎馬一体となり、空をマウ。基経の鋭い瞳がぎらりと萌えた!
「これぞ天狗の神通力……! 風の方角、我が道を塞ぐ、たわけものを吹き飛ばす! 受けよ、風牙烈破ッ!!」
 天狗の団扇が生み出す暴風烈風! さらにそこへ明の援護!
「行雲流水にして無明、平良明ここにあり! いざ!!」
 彼はここまで常に関羽と赤兎馬……特に後者……の動きを観察し、突くべき隙を見出した。
 その結果わかったことは、すでに証明されている。
(「現状の私達では、戦いながらあれを縛ることは、出来ない……ですが!」)
 赤兎馬という足を潰すには、より入念な準備のもと、それ自体を打ち砕くという作戦で臨まねば叶わないだろう。
 騎馬一体となった関羽と赤兎馬は、それほどまでに強い。だが明は、彼らは! 臆さずにその刃に戦いを挑む!
「ぬう! よくよく練られた連携よ……!」
 関羽は笑った。心地よし。これこそ戦なり。
 多数で挑む敵を蹂躙する。まさしく匈湧の猛攻!
「風結びだ、倒せずとも隙は生めたはず……平良さん!」
「ええ、わかっていますとも。このうつろう時代に一石を、投じさせていただきます!」
 騎馬が落下する。明は捨て身で臨んだ……交錯!
 吐き出された破壊光線は関羽の肩部を抉り、同時に振るわれた真一文字の刃が明の胴をぞぶりと深く切り裂いた!
「これが限界、ですか……誰か、死体は拾ってくださいよ……!」
 もしも明が射撃反動を利用して吹っ飛んでいなければ、そして基経の援護なければ、上半身と下半身が泣き別れしていただろう。かろうじて彼は生存!
「がははは! いいぞ、いいぞ! 滾ってきたわ!!」
 関羽健在! 勢いそのままに蹂躙の体勢に入る! まずは白露だ!
「返礼をいたすぞ、剣士!」
「ぬ、う……ッ!!」
 弾幕をものともせず超低空飛翔、すさまじい速度の斬撃が白露の守りを力でねじ伏せ、その体を地に転げさせた。
 赤い瞳がアンデレを見返す。次の瞬間奴は眼前に、そして刺突が砲兵もろとも彼女を吹き飛ばす!
「うぎゃーっ!?」
「……ちぃ!」
 関羽は舌打ちした。今のは確実に殺すつもりで放った一撃である。
 ではなぜアンデレは致命傷を避けられたか……答えは、執念深く奴に縛りついたワイヤー、呪いの鎖、そして人造魔物の爪。つまり、倒れ伏してなお妨害を諦めぬディアボロス達の介入だ!
「たとえ、生命力が尽きたっていい……でも、誰も、殺させない……!!」
 己を鎖で縛るルミの目は、あかあかと輝いていた。
「言ったよね、横槍を叩き込ませてもらうって」
「あなたが強いのは認めるわ……けど、好きにはさせない。これが数の力よ!」
 レオ、そして透もまた立ち上がる。不屈!

(「そろそろ頃合いだな。さあ、やろうか」)
(「敵はまだここにいるぞ、関羽」)
 仲間達の猛攻で結果的に狙いがそらされたヒースとシルヴィアが、ここで動いた。
 彼らは確信していた。このまま反撃を受けずにおめおめと撤退を許すほど、関羽は甘くない。ともすれば己らも、ああして地を転がることになるかもしれないと。
 それでも彼は、彼女は、動いたのだ。仲間のため、己の信念と怒りのため、なによりもこの先の勝利のために!
「ここからが俺達の出番だ!」
「さて、私が演じるのは宛城の典韋か、長坂橋の張飛か……前者よりは、後者だといいがね」
「!」
 ヒースの投げナイフ、そしてシルヴィアの成形炸薬弾!
 同時攻撃は狙い過たず関羽の硬殻をひび割れさせる。そう、完全に防ぎきれなかったのだ。関羽が万全であればそうしたはず。
 つまり、ダメージは確実に入っている。そして11人の連携は、決して無駄ではない! 奴に徐々に刻まれつつある傷跡こそがその証左!
「無礼た連中かと思えば、見上げた根性! そのまま尻尾を巻いて逃げればよいものを、わしに歯向かうとはな!」
「……俺達がこうして身を潜めていたのは、逃げるためじゃない」
「いつかは相手をせねばならん敵なのでね。戦略的判断、というやつさ」
「がはははは! よかろう! ならば受けぃ!!」
 瞬間移動じみたスピードの突進から繰り出される、無数の刺突、そして落下速度を乗せた薙ぎ払い!
 結果的にこの反撃により、地に伏せたネリリや決死の足止めを行ったレオ・透・ルミはかろうじて撤退のチャンスを得た。
 想定通りの動きとはいかなかったものの、二人の存在は仲間達の生還に間違いなく寄与したのである。

「ふん、すばしこい奴らめ……引き際をわきまえておるとは、そこらの猪突猛進な莫迦どもとは一味違うようだな」
 関羽は遠のきつつある気配に舌打ちしつつ、ならばと己に名乗る不遜を見せた五月姫、そして明を確実に討とうとした。
「その武勇は……見事。だが、誰ひとりとして首はやれん。安堵の酒を啜るがいい」
 そこで基経が割り込む。砂煙! 関羽は破顔!
「これを狙っておったか、目ざとい! ……ぬうんッ!!」
 砂煙をかき消す勢いで、振るわれた威風が龍のオーラとなって荒れ狂う。
 地面がすり鉢状になるほどにオーラが荒れ狂ったあとに、そこに残っていたのは関羽だけだった。
「……このわしを相手に、立ち回るばかりか逃げおおせる。がははは、はははは……やはり足を運んだ甲斐がある、よいよい!」
 獲物を逃した口惜しさも、また戦の一部分。
 関羽は悪魔じみた哄笑をあげ、次なる「敵」を求めて空へと舞った。

 その姿を遠くより確認し、安堵の脱力をする一同。
「みんな、無事……ではないけど、最悪の結果は免れたわね。よかった……」
「アンデレちゃん、ぼこぼこにされたー……」
「……赤兎馬の頭を狙ったつもりだったが、まったく効いてなかったな。あれが三国志有数のクロノ・オブジェクト、か……」
 己よりも皆の無事を喜ぶネリリと、口惜しさと苦痛に呻くアンデレ。
 対してヒースは傷跡を押さえ、敵と自らの力量差に歯噛みした。圧倒的。ひたすらに圧倒的な敵だった。
 仲間がいなければ、あるいは誰かひとりでも欠けていたならば。
 そもそも己は一矢報いることすら出来ず、初手で仕留められていたかもしれない。
「……まったく、誰も彼も命知らずにも程がある。次はこうはいかないかもしれないぞ」
 呆れた様子で呟くシルヴィアも、相当のダメージを負っていた。痛みを押し殺し、ごまかすように煙草に火を付ける。
「だが、僕らは生き延びた……今はそれでよしとするべきだろう」
 五月姫と明をかばった基経は、だくだくと溢れる血を周辺部位を縛ることで押さえ、野太い息を吐いた。
 誰ひとりとて無傷ではいられない、手痛い結果となった。わかったのはただただ莫大な力量差と、生半な小細工は通用しないという教訓だけ。
 それでも、彼らは生き延びた。そればかりか、関羽が彼らを「見逃す」のではなく「見失う」だけのダメージを与えたのだ。
 ……光明はある。いつかの勝利の兆しは、必ず。
 その事実が、彼らにもう一度立ち上がるための力を奮い起こさせた。
苦戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

錣吹・しとら
陸(g01002)と

お頭、どてっ腹に穴空いてんだから無理すんじゃねーぞ
ああ?こんな時に予行演習だぁ?
――上等じゃねえか!そこで見ていやがれ、アンタにかばわせた分以上に働いてきてやらあ!

……とは言ったもののアタイもガス欠が近い
一発で奴さんを『破壊』しねえといけねえ
ここはお頭を信じて蜘蛛糸の対処を任せるぜ
真っ向から吶喊だ!お頭が弄った『地形を利用』して、凍った蜘蛛糸ごと足場にして突っ込むぜ!
お頭へ攻撃は通さねえ、んな温い攻撃したら不味いって『殺気』で圧かけていくぜ!

アタシの思う大将ってのは、誰より先頭で艱難辛苦を切り開いていくやつだ!
そこんところをその脳天に叩き込んでやっから、往生しろやぁ!


竜城・陸
しとら(g00929)と

やれやれ、手酷くやられたな
まあ、もともと襤褸屑みたいな身体だ、致し方ないさ

しとら、前を任せるよ
俺がいなかったら、皆を導く陣頭は君の仕事
予行演習だとでも思うといい
勿論、援護は十全にするさ

なんだい、不安?
――なわけないね、上等

しとらの邪魔はさせないよ
その糸がどこから射出されようが、全て捉えて凍りつかせてみせよう
動きを封じる粘性も、凍ってしまえば意味をなさない
砕くのだって簡単だし、強固なら逆にこちらの足場にもなる
……頼れる後輩ほどじゃないが、【拠点構築】は得意でね
こちらに有利な地形を生み出すのは長けている
仕上げに腕か脚でも捉えてやれば、十分に隙を狙えるだろう

――では、任せたよ


●大将の在り方
 ディアボロスらと関羽の猛攻が繰り広げられている一方、関羽との戦いを生き延びた若者達も戦っていた。
 つまり、錣吹・しとら(鬼門の姫・g00929)と竜城・陸(蒼海番長・g01002)の二人は、張任に戦いを挑んでいたのだ。

「……よもや、関羽殿と相対し生き延びたというのか」
 張任は、再びの驚愕に襲われる。
 それにしても目につくのは、ふたりの……特に陸の負傷だ。
「あまつさえ、斯様な深手を負いながら我が前に立ち塞がるとは……なるほど、よくよく貴様らは貪欲な連中らしい」
「ハッ、お前だって大概じゃねえか、ああ?」
 しとらの言う通りだ。張任の受けた傷は決して浅くはない。
 あと少し。アヴァタール級を討つことはそう難しくないことは……隣に"番長"がいればなおのこと……彼女にもわかる。
「……お頭、土手っ腹に腹空いてんだから無理すんじゃねーぞ」
 しかしそれでもしとらは、陸の負傷を顧みざるを得なかった。
 これで死ぬタマではない。わかっている、が……。
「……手ひどくやられたのはたしかだけれどね。でも、まだ終わってはいないよ」
 もともと襤褸屑みたいな身体さ、などと陸は嘯く。
 そんな減らず口を叩けているだけ、やはり"番長"を名乗るだけはある。
「しとら、前を任せるよ」
「あ? 当然――」
「俺がいなかったら、皆を導く陣頭は君の仕事だからね」
「……」
「予行練習だとでも思うがいい。援護は十全にするさ」
「…………」
 陸は首を傾げた。
「なんだい、不安?」
「……上等じゃねえか! そこで見ていやがれ、アンタにかばわせた分以上に働いてやらあ!」
 しとらは笑った。陸もまた微笑む。
「そうだね。上等だ」
 かくして二人は、己の気力を奮い立たせアヴァタール級との戦いに挑む!

「うおおおッ!!」
 しとらは鬨の声をあげ、真正面から張任に吶喊した。
 気丈に振る舞ってこそいるものの、実のところ、しとらも無傷ではない。いつ倒れてもおかしくない有様だ。
(「蜘蛛糸はお頭に任せる、アタシに出来んのは、奴さんをぶっ潰すことだ!」)
 言葉にせずとも、しとらの信頼は陸にたしかに届いていた。
 その背中を、陸はレンズの奥の瞳を細めて見つめる。
(「……任せたよ、しとら」)
 はたして彼が心のなかで呟いた言葉は、何に対しての「任せた」だろうか?
 戦い? あるいは、己のあとを継ぐものとしての……。

「殺(シャ)アアアッ!!」
 時間感覚が現実に引き戻される。張任は蜘蛛糸を吐き出した!
 されどそれは、狙い過たず放たれた陸の冷気が完全に凍結させてしまう!
「何ッ!?」
「頼れる後輩ほどじゃないが、これでも拠点を作ったりするのは得意でね」
 陸は薄く微笑んだ。
 凍りついた蜘蛛糸は、こちらにとっての足場にもなりえる。
 しとらの身体がぐらつく。彼女は闘志を振り絞り、だくだくと流れる血よりも熱き心で己を踏ん張らせた!
「アタシの思う、大将ってのは!!」
 張任が陸へ攻撃を向けようとした刹那、しとらは猛烈な殺気を放って狙いをこちらに向けさせた。
「ぬうっ!?」
「誰よりも先頭で、艱難辛苦を切り開いていく、やつだ!!」
 呪力と鬼の力を籠め……一撃を、振り上げる!
「そこんところを、その脳天に叩き込んでやらぁあああ!!」
「う、うおおおおッ!?」
 ズガッッ!! と、地が割れんばかりの破砕音が響いた。
『地鎮砕』、炸裂! 張任は脳天から血を吹き出し、吹っ飛ぶ!
「……ああ、それでこそだ」
 後輩の頼れる姿に陸は安堵したように大きく息を吐いた。
「お頭!」
 膝をつく己に駆け寄る彼女の姿に、その笑みはすぐ苦笑いに変わったが。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【建造物分解】がLV3になった!
【使い魔使役】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【能力値アップ】がLV5になった!

ブロス・ブラッドハート
やっべー、おまえやっべーな!
おまえがなに考えてるとか、だれに仕えてるとか、暴虐でハイパーイカれ野郎だとか関係ねーぜ
わかんだよ、強ぇやつってのは鼻にビンビンくんだ。弱っちいおれが強くなるにはそーいうやつと戦わなきゃいけねー
だから、関羽を見つけたら負傷覚悟で真っ先に突っ込む!

【飛翔】じゃおいつけねーかもだけど、とにかく不意討ちでもなんでも相棒(大剣)でぶっ叩く!狙いは『赤兎馬』だ!!
あいてにされないならさんざんまとわりついてやるっ
ちょっとでも反撃が来るんなら、避けられねぇのはわかってる…急所だけ相棒で防ぐ!!
きっと死ぬほどいってぇんだろうなぁ……でも、死ななきゃ安いんだぜ!

アドリブ・連携歓迎だぜ!


末廣・諒太
絶対に敵わないとしても、戦ってみたくなるんだよな。
たとえ蟲将だろうと、武神の関羽と一瞬でも戦える機会、見逃せるかよ!

バール片手に戦線へ乗り込み、周囲の仲間と連携して挑む
堅牢衝符、御守りで守備を固めて接近戦
モラには無理はさせず、可能そうなら遠くから電撃で援護を指示

クソ、痛ぇなマジで……
笑っちまうくらいの強さだな、本当
それでも捨て身の一撃で、どうにか一発叩き込んでやる
まだまだ俺は弱いし正直てめぇが怖いけど
勝ちよりも負けを糧にした方が、ずっと成長出来るんだよ
……いつかその強さに届いてやるから、待っとけよな

(傍から見て自分が満身創痍かつ敵の撤退が望めない状況で
戦闘続行しようとしたらモラが止めます)


結島・蘭杏那
「げえっ関羽!」
関羽と遭遇したら一度言ってみたかったのよね。

さて、気まぐれでこの戦場にいる奴なんて無視すれば良いのだけど、ジェネラル級で蜀軍最強と謳われる蟲将と一戦交えるのはこの先ずっとクロノヴェータと戦っていく上での糧になると思うわ。全身全霊の一撃をお見舞いして、今の私達とジェネラル級との差を実感するわ。

将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、関羽を討つには赤兎馬をどうにかしないといけないわね。その糸口が見つかれば良いのだけど…関羽もこれだけの人達と戦っているのだから隙きの一つくらい生まれるはず、その一瞬に賭けて私が出せる最大威力の一撃を赤兎馬目掛けて放つわ!

今代が剣の舞姫、いざ舞わん!


●今は届かずとも
「次はお前達か……がははは、敵に事欠かんわ」
 結島・蘭杏那(剣の舞姫・g01039)、ブロス・ブラッドハート(角欠けた竜の子・g03342)、そして末廣・諒太(海底20コイン・g02599)の前に降臨した関羽は、全身あちこちに手傷を負っていた。
 それが、奴と相対したディアボロスらの奮戦と、同時になおも威風堂々たる関羽の強大さを同時に感じさせる。
「げえっ、関羽! って、一度言ってみたかったけど……本物? を前にすると、冗談は言ってられないわね」
 蘭杏那は肩をすくめ、身構える。いつ首を刎ねられてもおかしくない……そう錯覚するほどの殺気。
 こちらは3、通常のアヴァタール級との戦いであれば、連携次第では有利に戦いを進められる差だ。だが此度においては。

「やっべー、おまえやっべーな!」
 一方で、ブロスは興奮した様子でまくしたてる。
「おまえがなに考えてるとか、だれに仕えてるとか、そんなの関係ねー……鼻にビンビンくんだ、強ぇやつだってな!」
「……たしかに、俺達じゃ絶対に敵わなさそうだ。だけど」
 同時に諒太も戦意を漲らせた。
「だからこそ、こんな機会見逃せるかよ。相手になってもらうぞ、関羽!」
「やれやれ、男の子達はやる気みたいね。まあ、頼もしいわ」
 蘭杏那は二人の前のめりさに呆れ半分の苦笑を浮かべ、リラックスした様子で『銘無し』の十文字槍を構えた。
 関羽は、笑っている。そのいじらしさもまた心地よいとばかりに。支配者であり、奪う者であり、格上の笑みだった。
「同時に参るがいい。ことごとく蹴散らしてくれるわ!」
「……全身全霊の一撃、お見舞いさせてもらうわよ!」
「弱っちいおれが強くなるために、ぶっ叩いてやる!!」
「モラ、援護頼むぞ……!」
 蘭杏那とブロスが吶喊し、諒太は相棒のモーラット・コミュに援護を命じると、そのあとに続いて戦いを挑んだ!

 一撃に賭ける。その点で3人の戦術は共通していた。
 これは間違いなく正しかったといっていい。なにせこちらと彼方の力量差は、赤兎馬の存在を抜きにしても圧倒的なのだ。
 生半可な小手調べでは届かない。であれば、一撃に全力を賭ける。それでこそ見えてくるものがある。

 されどもしもそこに穴があったとすれば……ブロスと蘭杏那の狙いが『赤兎馬』に注がれていたことだろう。
 蘭杏那はその緒を見つけるため、ブロスは意地でも己の意を通さんがために、まず馬を射ろうとした。
 されど、赤兎馬は並のクロノ・オブジェクトではない。
 二人がほぼ同時に繰り出した裂帛の一撃は、強壮なる赤兎馬を傷つくことは叶わず、あまつさえ青龍偃月刀に弾かれた!
「んなあっ!?」
「く……!」
「どうした、お前達の相手はわしぞ! よもや足を潰せばどうとでもなるなどと考えておるのではあるまいなあ!」
 関羽が吠える。
「わし以外の相手であれば、あるいはそれも叶うやもしれぬが……この関羽を討たんとするならば、ぬるいわ!」
「言ってくれるわね……いいでしょう、それなら!」
「おれ達の力! 見せてやらぁあああっ!!」
 赤兎馬を射止めることは出来ない。
 その厳然たる事実を理解した二人は、十文字槍と真紅の大剣『紅角刀』を構え、今度こそ関羽めがけて突き進んだ。
「がははは! そうこなくてはな! よいぞ、お前達のその烈気、憤怒、闘志! 心地よし!」
「俺も忘れるな! 油断してるなら、痛い目見るぜ!」
 さらに背後、二人が一気呵成の攻め手を見せる隙に回り込んだ諒太が、モラの電撃の援護を受けつつ鈍器を振り上げた!
「快なり!」
 恐るべきは関羽、三者同時攻撃を受ける、受ける、受ける!
 呵々大笑しながら、青龍偃月刀を振り回し拮抗、否!
「うおおおお!! 行くぞ、相棒ッ!!」
 ブロスは捨て身の覚悟で翼を広げ飛翔、垂直に近い急降下での強襲斬撃を放った!
「奪ったモノ全部、返しやがれ!」
 そこに乗る形で諒太も仕掛ける。革命の属性を籠めた衝撃波の一撃!
 さしもの関羽も、二人の命さえ賭けた同時攻撃は防ぎきれぬ。紅角刀とバールが、関羽の硬殻を砕いた! 砕いたのだ!

「善き哉!」
 おお、だが見よ、関羽健在! そして!
「噴ッ!!」
「「ぐあ……ッ!?」」
 万軍をも薙ぎ払う必殺かつ無数の刺突が、諒太とブロスを吹き飛ばした。
 ともに捨て身である。死んでいておかしくない、いやさ四肢が断裂し屍が地に四散してもおかしくない状況だった。
 だが見よ。ブロスは相棒たる紅角刀を即座に縦にして刺突の致命的部位を防ぎ、諒太は予めしのばせていた『堅牢衝符』および『銀狐の御守り』の備えにより、九死に一生をを得ている!
「ほお、わしの一撃を耐えたか! 小僧ども、愉しませてくれるではないか!!」
「……今代が剣の舞姫、いざ舞わん!」
「!!」
 追撃を仕掛けようとした関羽は、鋭い殺気と鬨の声に空を仰ぐ。蘭杏那だ! すでに頭上!
「貰ったわ!!」
「ぬうっ!!」
 飛天流星脚、炸裂! インセクティアの翅で加速した蘭杏那の蹴り足が、関羽の鎧を砕いた! 騎馬がわずかに蹈鞴を踏む!
「ぬ……は、がはははは! はァはははは!!」
 関羽は強引に蘭杏那を払いのけると、赤兎馬が飛翔。猛烈な攻めで蘭杏那を地上へと叩き落とす!
「ぐ……!」
「よい一撃だったぞ、小娘! いざや我が一撃、受けよ!!」
 流星が落ちるかの如き斬撃が、蘭杏那の胴体をぞぶりと抉った。
 どうん!! と、落下した蘭杏那が土煙に呑まれる。関羽……健在!
「まだ、だ……まだおれは、死んでねえぞ……!!」
「正直、怖いよ……けど、諦めてたまるか!」
 そこへ、再起したブロスと諒太の悪あがきめいた追い打ち。そう、この力量差では悪あがきと言うほかあるまい。
 だが、おお、だが! 満身創痍でなおも立ち上がり闘志を燃やす若者らの姿は、まさしく復讐者のそれ。
 関羽は冷静に判断する。ここで全員を屠るのは容易い、だが窮鼠猫を噛むとの言葉もあるように、これほどの執念と怒りを燃やす者らを相手にしていては、痛烈な一撃を受けかねない。
「よい意気だ。がははは! 今日はまこと愉快な日よなあ!!」
 再びの刺突を繰り出し今度こそ二人を地に伏せさせると、関羽は満足げに姿を消した。

「……ああくそ、いってえ……」
 紅角刀を手に、ブロスは仰向けになっていた。もう立ち上がる力もない。
「こっぴどくやられたわね、これは……あなた、大丈夫?」
「……あ、あ……」
 蘭杏那はよろめきながら二人の……とくに諒太の無事を確認する。ひどい有様だった。
「いつか……絶対に、あの強さに届いてみせる……絶対に……!」
 諒太は虚空に手を伸ばし、握りしめ、すぐに気を失ってしまった。
 与えた損害の差はあまりにも大きい。それでも彼らには、手応えという力強い糧が残された。
 それを活かし次に繋げられるかは、これからに委ねられている。
苦戦🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

一ノ瀬・綾音
【奴崎組】
どれだけいけるかわからない。
負けるかもしれない。
けど、それでも綾音ちゃん達は挑み続ける!それが復讐者だ!

相手に見つかるまでは【光学迷彩】で隠れ、関羽とはロングレンジを保ちながら『高速詠唱』で「魔法のカード群」を『投擲』で飛ばしつつ自分は【飛翔】。関羽がカードに近づくが気づいたら『砂使い』『風使い』でカードから砂嵐の竜巻を放つ。
でもこれはあくまでフェイク、本命は関羽がそれに引っかかったところで綾音ちゃん本人が【飛翔】しつつ相手の反撃のオーラも飲みこむ勢いで関羽に放つ『高速詠唱』からの【星光】!
この時もロングレンジはキープし続けるよ。

これが綾音ちゃんの今できる全力全開、存分に受け取れー!


エレオノーラ・アーベントロート
【奴崎組】
うふふ、まるでパーティ会場ですわね。盛り上がってきましたわ。
(ネメシスモード解放中)

あら、随分な遅参でしたわね。
わたくし、下等な虫ごときに払う敬意は持っていませんことよ。
(自分を支配しようとする力に反逆することが生き様。故に相手が自身よりも力量が上だと理解した上でも傲岸不遜な態度と優雅な笑みは崩さない)

砲と槍の間合いの差なんて通用する相手ではありませんわね。
関羽の動きを観察し、味方の援護も受け無数の突きから致命傷は避けます。
身体を貫かれようと足を穿たれようと、この指と「フェアレーター」が万全なら十分ですわ。
どこまでも敵を追う「第十二の魔弾【狂愛】」で戦場を駆ける関羽を撃ち抜きます。


リューロボロス・リンドラゴ
【奴崎組】
挑もうにもその気にさせて参戦させねば意味がなかろう。
故にオーラ操作で闘気を練り上げようぞ!
関羽程のものなら、収束する我が闘気に気づこうぞ!

潜伏や不意打ち、細工を狙う組員の囮にもなれるのなら尚良し!
無論、綾音らがバレてても動揺はせぬよ。
よそ見はさせぬぞ、関羽!
特に真っ先にエレオノーラが狙われる可能性があり得る!
戦で顔が売れておるし、復讐神故に最大戦力なのだから。
ならば我が身を盾にしてでも守ろうぞ。

無論身体を張ろうにも、受け身でやりあえる相手ではなかろう!
全力で攻撃し、全力で守る!
能動的タンクよ!
肉を切られ、骨を断たれ、心の臓を穿たれようとも。
「我は龍、我こそがドラゴン、我ら奴崎組也!」


クィト・メリトモナカアイス
【奴崎組】
遊びに来た。
なんかいるって聞いてる。

おぉ、強そう……そのおひげひっぱってもいい? だめかな? だめなら仕方ない。その変わったロバのしっぽで我慢する。

【飛翔】でこちらも空中を飛び、関羽が飛び上がったところを背後や頭上からクロノオブジェクトである黄金猫拳打棒での不意打ちを狙います。
深追いはせず一撃離脱するつもりで武器はふるい、反撃で戦闘不能にはならないように。また、敵に防がれるor反撃で撃ち負けたところで地上側から本命である浮遊球形ガジェット『モナカ』突撃型を召喚、関羽めがけて「突撃のジャパニーズボブテイル」の突進を行わせます。

我はいつでも大真面目。
帰りたくなるまでシバく。


黄泉王・唯妃
【奴崎組】

なるほど、あれが関羽……。
これは一筋縄ではいかなそうですね。

一先ず鋼糸での足止め最優先にしましょう。
【怪力無双】を用いたとしても単純な膂力では拮抗出来ないでしょう。ならば腕を振るう際や踏み込む瞬間に【捕縛】、【早業】で力の方向を僅かにずらして十全の力を発揮出来なくさせる事に此方の全力を尽くします。
それだけでは倒せる相手ではないでしょうが此方はそもそも1人では無いので。

「卑怯、などとは申しませんよね? 相手は音に聞こえし関雲長。例えそれが歴史侵略者であっても同じ事……。圧倒的な数の暴力で擦り潰して――いえ、『八つ裂き』にして差し上げましょう……!」


奴崎・娑婆蔵
【奴崎組】
●SPD


おうおう、やる気の様子じゃァありやせんかエレオノーラのお嬢

よござんす
大将首に一刺し入れてやろうってんなら同道させて頂きまさァ
格上の足を止めてやる仕儀にゃァちょいと心得がござんす

手前、姓は奴崎名は娑婆蔵
人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』
おいでなせえよ、ジェネラルなにがし
ここにゃ強ェのが頭数揃っておりやすぜ?


・敵の軌道は「飛行からの着地時に攻撃」と知れている
・であれば、妖刀『トンカラ刀』の柄の握りに【怪力無双】を籠め不動にて立ち構え、敵が飛来し来る刹那をこそ待ち受ける

・【黒死斬】発動
・黄泉王が敵の挙動をいなす先に剣を「置く」ように振るい、得物を繰る要と見た箇所――特に腕の腱を斬り抉らん


カルン・ティミド
【奴崎組】
あれがジェネラル級…。オーラがすごいですね…。
でもみんながいれば戦えるはずです!1撃くらい与えてその綺麗な角や虫の甲殻を貰っていきますよ!(物欲)

今回の敵は本当にやばいんです!本気でお願いしますロプト様!
ジンとさらに契約して常に本気の刃にしてもらいます。

【飛翔】で常に飛んで馬が着地しそうなときは絶対に近づきません!
敵の攻撃が終わったタイミングや仲間に気を取られてる隙に飛び込んで尻尾の必殺の一撃を与えたいですね!
カウンターを受けそうでも尻尾から突っ込めばきっとなんとかなります!回転して捨て身の突撃しますよ!
恐怖よりも欲が勝ちます!なにか寄越せです!


樹・春一
【奴崎組】
僕も知ってますよ関羽! 強いんですよね! 何したかは忘れましたけど!
作戦はいのちだいじに! 敵情報を持ち帰るを目標に!
神の御加護もございます! いざちょっとだけ勝負です!

ですが今回は一般人や仲間のディフェンスに回らせていただきます!
盾は本来守るもの。オーラだったら全力で防御に徹すれば弾き返せましょう!
物理攻撃はわかりませんが! ピンポイント突きにはピンポイント盾で立ち向かえませんかね!
合わせるのは難しそうですがやってみる価値はありそうです!

魔力が足りなければ予備魔力も投入しますよ!
1はるいち……即ち僕まるまる一人分の過剰魔力があれば!
誰かを守ることくらいはできますとも! 神の力で!


椋井・矢一
【奴崎組】 

賢く器用に上手くやる。
ソレだけを徹底できる程、利口じゃなくてね。

「折角だ――少しと言わず、莫迦をやろうか」

どうやら、滾っているのは俺一人というわけでもないらしいし、な。

行動は味方の援護となるよう意識。
『復讐者の赫怒』〈念動力〉で敵足元の地面を〈破壊〉して間接的に行動を妨害。
機を見て【光学迷彩】〈忍び足〉〈ダッシュ〉にて接近、パラドクス『怨嗟の黒霧』実行〈暗殺〉。
濁る世界の中、保有する武器の限りを叩き込む!

一手交わす間、放つは渾身の〈殺気〉。
無謀愚行と嗤わば嗤え。
だが――刃が命に届かぬとも、この殺意は刻んで帰れ。

宣戦布告〈挑発〉。
嗤い告げよう。
「覚えておけ――何時かお前は、思い知る」


響風・涼花
【奴崎組】

あれが……あれが関羽。
無双の武人だ。私の腕で勝てるわけがない。
でも……みんなと一緒にいけば、少なからず戦えることは出来る!

セルフクラフトやフライトドローンを投擲で投げて隙を作る。
他にも組のみんなやこの戦場に来てくれた皆が作ってくれた好機を逃さないように、後衛気味に立ち回りつつ忍び足で隠れつつ、ほんの一瞬の隙でもあれば飛び掛かる。
重傷は覚悟して、組みついて武器を振るう腕を狙ってストリートストライクだ。これで武器の一つでも落として見せる。


●節目
 多くのディアボロスが地に伏した。
 並のアヴァタール級ならば、二度……いや、三・四度は滅されていておかしくない猛攻である。
「さァて……次はお前達ぞ、小僧ども」
 されど関羽、いまだ意気軒昂。戦傷もまた心地よしとばかりに、ぎらぎらと赤い目を光らせていた。

 これに相対するは、総勢で10名のディアボロス。
 うち、一ノ瀬・綾音(綺羅星の如く・g00868)はすでに光学迷彩の残留効果を用いて、姿を隠していた。
 遠間も保っている。だが、まったく落ち着かない。
(「どれだけいけるかわからない、負けるかもしれない。けど、それでも……!」)

 いわんや、関羽の必殺距離に身を置く残りの面々となれば……。
「うふふ、まるでパーティ会場ですわね。盛り上がってきましたわ。それにしてもずいぶんな遅参でしたわね?」
 ネメシス形態を発動したエレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は、闘志に満ちた傲慢な表情を崩さない。
 払うべき敬意も、怯えてやる理由もなし。彼女は強大なる者に反逆することをこそよしとする。

「おぉ、強そう……そのおひげひっぱってもいい? だめかな? だめなら仕方ない。その変わったロバのしっぽで我慢する」
 クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、ふざけているようにしか聞こえない調子で言う。だが、これでも彼女なりには大真面目に立っている。
 現に、クィトは身構え、一切の隙がない。いつ戦闘が始まってもいいように備えているのだ。
「なるほど、これが関羽……一筋縄ではいかなさそうですね」
「で、でもみんながいれば戦えるはずです! そうですよね!?」
 黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)の言葉に、カルン・ティミド(略奪竜カルン・g00001)は怯えきった様子で言った。
 怯えてこそいるものの、カルンはどうにかして戦利品を得られないかと、鼻をすんすん鳴らしている。
 あいにく関羽は強大である。そのような余裕は一切ないのだが、わかっていても物欲は抑えられないらしい。
 唯妃もすでに生成した糸をきりりと爪先に巻きつけ、いつでも戦闘に入れるように備えていた。
「僕でも知ってるぐらいですからね! 関羽って強いんですよね! ……何したかは忘れましたけど!」
 などと、樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)は嘯く。本人としては思ったことを正直に述べているだけだが。
 こうして敵と見初められた以上、『ちょっとだけ勝負』とはいかないことはわかりきっていた。腹をくくらねばならない。

(「あれが、関羽。無双の武人……私の腕で勝てるわけがない、でも……!」)
 響風・涼花(世界に拳を叩きつけろ・g05301)は震える片腕をもう片方の手でぐっと握りしめ、奥歯を噛み締めた。
 隣には仲間がいる。ならば、少なくとも戦うことは出来るだろう。
 全身の細胞は逃げ出したいと叫んでいた。そうしなければ死ぬかもしれないと。それでも彼女は、ここに立っている。
「息を潜めて肩を丸めてやり過ごす……それが賢く器用な『上手いやり方』なんだろうが、俺はそこまで利口じゃないさ」
 椋井・矢一(マグマ・g04848)は薄く笑みを浮かべる。その裏にあるのは、煮えたぎる溶岩めいた灼熱の殺意。
 敵は強い。だが、それがどうした? いずれ倒す敵ならば、いま相対しようと同じことではないか。
 現に奴は此処へ来た。怯えて逃げ出せば興味を失うのだろう。生き延びて目的を果たすためにはそれが最善なのだろう。
 だが、無謀愚行とて、彼は挑むことを決めたのだ。

 そして。
「闘気を練り上げた甲斐があったぞ。これで見初めてもらえねば、骨折り損のくたびれ儲けであったからな!」
 並々ならぬオーラを纏い、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)はやれやれといった様子で言う。
 事実、関羽を惹きつけたのは、なによりも彼女の放つ莫大なオーラによるところがもっとも大きい。
 つまり奴は、わかっていて己を挑発する輩を面白く思い、こうしてやってきたのである。
 すでにいくつもの手傷を負わせた連中と同じ『敵』がいるはずだと信じて。……事実、それは叶った。
「おうおう、エレオノーラのお嬢だけかと思いきゃ、どいつもこいつもやる気の様子じゃァありやせんか」
 そして、その中心に立つ男が、おそらくは笑みを浮かべた。
「よござんす。向こうもその気になってくれたようだ、ひとつ死線をくぐるといたそうじゃァねえですか」
 奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)。9人のディアボロスを率いる男。包帯で覆われた相貌は定かならず、されど双眸は。
「始めましょうや、ジェネラルなにがし。ここにゃ強ェのが、頭数揃っておりやすぜ?」
 闘争の歓喜と極限の死闘への高揚に、ぎらり燃えていた。

「……ハ」
 関羽が笑った。張り詰めていた空気が……爆ぜる!
「がはははは!! その強気が増上慢か、あるいはわしに届くか! 見せてみぃ、小僧ども!!」
「言われずともそのつもりよ。さあ、龍が参るぞ!」
 どうっ!! 地が砕ける。一番手を仕掛けたのはリューロボロスだ!
 それと同時に一同は散開、あるいは土埃に紛れて不意打ちのために……たとえばクィト、綾音、涼花がそうである……姿を消す。
 並のクロノヴェーダであれば、この時点で完全にイニシアチブを握られているだろう。
 だが関羽は傲慢不遜! 挑んでくるがいいとばかりに忍び笑いを漏らす!
「神のご加護もございます! ディフェンスしてみせましょう!」
 そこに春一が続く。この集まりのもっとも堅固な守りはこの二人だ。

「今回の敵は本当にやばいんです! 本気でお願いしますロプト様!」
 カルンは契約したジンに祈りを捧げ、魔力刃の出力を最大に。敵が攻勢に入った瞬間の隙を狙う構えだ。
「砲と槍の間合いの差なんて、通用する相手ではありませんわね……前は任せますわ!」
 エレオノーラは必殺の一撃を見舞うため、可能な限りのアウトレンジを保つ。
「では、こちらは足止めに専念するといたしましょう」
「折角だ。少しと言わず、莫迦をやろうか」
 一方、唯妃と矢一は少しでも関羽の動きを妨害するため、それぞれにパラドクス『絲妃(アラクネ)』と、クロノ・オブジェクト『復讐者の赫怒』を使い、拘束と地面破壊の二重作戦に出た。何よりも驚嘆すべきは、その連携のなめらかさか!
「ふうむ、臭うなあ。わしの目を逸らさせたいとありあり顔に出ておるぞ、がははは!」
「よそ見はさせぬぞ、関羽!」
 リューロボロス、接敵! 小柄な少女は肺いっぱいに息を吸う。喉から胸、胸から肩、肩から両拳へ伝搬する熱の赤!
「万物万象燃え尽きよ! 火を吹くは竜である!!」
 ごおう!! と、肘部から炎が噴出し、恐るべき速度のバーストナックルを繰り出した。
 これぞ『赫焉の竜王極大弾(リンドラゴ・バースト)』。間合いには入っている。火炎炸裂、爆熱……だが!
「おう、体躯に似合わずなかなかのもの! 滾るではないか!」
 関羽は真正面からこれを受け、狂笑! 矢一による足元破壊をものともせず、応報の連続刺突でリューロボロスの身体を貫く!
「ぐ、おお……! まだ、まだァ! 戦いは始まったばかりぞ!!」
 驚くべきことに、リューロボロスはこの致命的連続猛打を真正面から受けながらも、気力で己の両足を縛り付けていた。
 関羽の紅き目がぎらりと輝く。続けざまの追撃……否!
「ぬう!」
「卑怯、などとは申しませんよね? 相手は音に聞こえし関雲長……」
 唯妃である。生じた糸が青龍偃月刀に絡みつき、刺突の威力をわずかにだが妨げていた!
「たとえそれが歴史侵略者であっても同じこと。圧倒的な数の暴力で磨り潰して……いえ、『八つ裂き』にしてさしあげます!」
「よくぞ吠えたな!!」
 関羽、馬鹿げたほどの怪力で蜘蛛糸を振り払い、リューロボロスの追撃をいなすと唯妃へと狙いを変えた。だがここで春一、さらに姿を消していた綾音が動く!
「それは困りますので! 護らせていただきます!」
「小賢しい……ぬ!?」
「今だ! もらったよ!」
「上か!」
 然り! 綾音の投擲したカードが関羽に降り注ぐ!
 さらにカードからは砂嵐が吹き荒れ、関羽の視界を覆った。通常のアヴァタール級ならば、これで致命的な隙を晒すが……!
「ぬうんッ!!」
 青龍偃月刀の薙ぎ払いがオーラを生む。猛攻を受け止めた春一を、盾ごと吹き飛ばす龍の猛威!
 オーラは咆哮をあげ綾音にも襲いかかる。だが彼女の詠唱のほうが疾い!
「火・水・風・土・雷・氷・光・闇……八属性魔力、収束(コンバージェンス)!」 綾音ちゃんの全部、持っていけぇー!!」
 八つの魔法陣が眼前に生まれ、一瞬の詠唱で高められた魔力が巨大魔法陣へと結合し星の光の如き破壊となって迸った!
 龍のオーラと『星光』が激突! 余波が溶断された鉄の飛沫めいて飛び散り地を焦がす! 関羽は飛沫を浴びながら偃月刀を振るう!
「おおォッ!!」
 龍のオーラ、加速! 星光を喰らい、とぐろを巻くようにして綾音に猛追、遠間を貫いてのオーラ攻撃が綾音に届いた!
「あぐぅっ!! これで終わりじゃ……無いんだからー!!」
 魔力再収束、星光炸裂! 関羽は直撃を避け疾駆する!
「神よ! 我らを護りたまえ!」
 春一は生成した盾を攻撃に用い、オーラ攻撃を受けつつもシールドバッシュめいた近接戦闘を挑んだ。鋼と盾とがぶつかりあい火花を散らす。
「我は龍、我こそがドラゴン、我ら奴崎組也! いまだ我は健在よ!」
「ぬうう……!」
 さらにボロボロのリューロボロスが追撃を仕掛ける。さしもの関羽も苛立たしさが勝ったか、強引に白兵戦組を振り払い飛翔した!
「……ここだ! そのまま攻撃はさせない!」
 機会を伺っていた涼花が障害物およびドローンを投擲、関羽の飛翔に少しでも隙を生もうとする。だがこれらはすべて偃月刀で迎撃され両断、爆散!
「うしろ、もらった」
 さらに身を潜めていたクィトが動いた。背後から『黄金猫拳打棒』での不意打ち。関羽はこれを防ぎきれぬ。命中!
「わしの後ろを取るとはなかなかやる! ぬうあァッ!!」
 咆哮、そしておよそ物理的には不可能にしか思えぬ軌道での反転、一撃離脱しようとするクィトの身体をぞぶりと偃月刀が裂いた。だがクィトの置き土産はこれだけではない!
「ふざけた真似を!」
「我はいつでも大真面目。……帰りたくなるまで、シバく」
 浮遊球形ガジェット出現、三連突撃が命中、いかな関羽とて勢いを殺せず追撃不可能、空中で体勢を崩す!
 危ないところだった。関羽の反撃は常に優勢、もしもクィトが深追いを決めていたら、あるいは彼女はすでに死んでいたかもしれない。冷静な判断と突撃というパラドクスの効果が彼女を救った形だ。

 無論、クィトへの追撃を防いだのは、彼女の力だけではない。いまだ絡みつく唯妃の糸、さらに綾音と涼花の妨害もあらばこそ!
 さらに見よ。関羽を包み込むように、赤黒い霧が一時周囲を染めた!
「俺も滾っているんだ……思い知らせてやる。この殺意をな」
「何!」
 矢一が仕掛ける。保有する武器の限りを尽くし、目にも留まらぬ連続攻撃で空中に関羽を斬り裂く、穿つ、殴る、貫く!
「この並々ならぬ殺気……は、は、は! よい、よいぞ!!」
 関羽はこれにさえ対処してみせた。殺気から矢一の位置取りを読み、加速しての横斬撃。赤黒い霧が晴れ、びしゃりと鮮血が噴き出した。
「ハ」
 嗤っているのは矢一も同じだった。口から血を吐きつつ、告げる。
「覚えておけ。いつかお前は、思い知る」
「……!」
 偃月刀を振り抜く。矢一、落下。通常であれば落ちざまに致命の一撃を繰り出すところ、なおも続く妨害がそれをさせぬ。
「ええい……目障りぞ!!」
 今度こそ唯妃めがけて騎馬が落ちる。吹き飛ばされた春一では防御が間に合わない……これは!

「餓鬼道」

 落下による轟音の中に、凛とした声が響いた。
「……な、に?」
「"刀途"」
 関羽は瞠目した。蟲将たる彼奴に瞼はない、ゆえにこの表現は適切ではないが……そうとしか言えなかった。
 置かれていた。斬撃がひとつ、剣が一振り、何もかもを読みきったかのようにそこに『置かれて』いた。
 ぶしゃり、と血が吹き出す。それは異色の血……関羽の血!
「ぬうおおおっ!?」
 驚愕。然り、驚愕である! ことここにいたって、関羽に手傷の累積とは異なる一撃がたしかに入った!
「あっしはこれでも、格上の足を止めてやる仕儀にゃァちょいと心得がござんす」
 包帯の下。その男は笑っているとたしかにわかる。鷹の目の如き双眸が細まった。
「いかがでござんす? ジェネラルなにがし」
 過去定かならぬこの男の仕儀、明らかに格上相手に『慣れた』剣である。
 その剣、ともすれば不死の鬼の首すらも落としてみせるやもしれぬ。それほどに静かで、だが苛烈な、殺人剣だった。
「は、は! はははははは!! がはははは!!」
 関羽、哄笑。赤兎馬は恐ろしいほどの脚力で跳躍、再落下!
「よい! よいぞ! 実に……よいッ!!」
「ロプト様! お願いします……!!」
 娑婆蔵と入れ替わる形でカルンがカウンターを試みる。偃月刀と紙一重ですれ違い滑る魔力刃、奇しくも尾撃は彼の切り裂いた箇所をなぞるように打った!
「ぬうううッ!!」
 並の敵であれば腱を裂かれ再起不能のところ、伊達に猛将ではない。関羽はぐるりと竜巻じみて刃を振るい、カルンおよび妨害に徹していた唯妃に傷を穿つ!
「ぐ……これだけの数の利でも、まだここまでの力を……!」
「痛い痛い痛いぃい!! なにかよこせです、このー!!」
 この悪鬼を相手に戦場に立ちながら、無傷で帰ることなど出来ようはずもなし!
「八ツ裂きにしてやりまさァ!」
 娑婆蔵が再び仕掛けた! 火花、火花、火花……白装束に血の赤が広がる。されど侠客退かず! そこにリューロボロスと春一が合流、三対一の白兵戦が蛇行めいて戦場を駆ける! 駆ける!
「私だって、見ているばかりじゃないんだから!!」
 否、四対一だ。目眩ましをくぐり抜けた涼花のストリートストライク!
 偃月刀を取り落とさせるための打撃は、残念ながら武器を取り落とさせることこそ叶わなかったものの、カルンと娑婆蔵が抉った傷を三度打つ!
「ぐぅお……!!」
 猛将の口から苦悶が漏れた。同時に刺突の花が咲く。春一は全魔力を注いで刺突を受ける!
「あぐ……ッ!」
「まだまだ! 予備魔力も投入します、神の力ぞここにあり、ですよ!」
「龍もいることを忘れるでないぞ!」
「おのれがァ!!」
 猛攻猛攻猛攻、防御防御防御……突破! 関羽のめがける先はエレオノーラだ!
「【狂愛】解放――」
 トリガーを引いた瞬間か、先かあとか。あの刺突は間違いなく己を襲うだろう。
 だがそれでいい。身体を貫かれようと足を穿たれようと、応報の力に目覚めたエレオノーラは己の一撃を叩き込むまで!
「受けなさい、我が魔弾……フェアレーターの一撃を!!」
「オオオオオ――!!」
 カッ! と、炸裂した魔弾の輝きが、戦場をにわかに照らした。

 ……閃光が晴れ、戦場の状態が再び眼に映る。
 関羽、健在。全身におびただしい手傷、および腕部に深い傷を受けながらも、赤兎馬ともども屹立。
 対してディアボロス10名、うち地に伏すか膝を突くのはほぼ全員。その中でも特にダメージがひどいのは、常に最前線で立ち回りを続けたリューロボロスと春一だ。
「……なるほど」
 関羽はそれ以上仕掛けなかった。仕掛けることが出来なかった。
 ディアボロス。怒りを以て歪みを叩き潰す者。奪われたものを取り戻そうとする復讐者達。
 この10名だけではない……これまで立ち合った全てのディアボロスの怒り、殺意、そして力量を、奴は認めたのだ。

 ゆえに奴は言った。
「これまでの者どもも含め、お前達の力は見事なものよ。単なる戯れ事では済まぬ、我が敵としてまこと十分と認めよう」
 ぐるりと偃月刀を振るい、全身から流れる血を払う。
「ゆえに、我が配下となれ。兄上に進言してやろうではないか」
「……何を言っているのです?」
 唯妃が訝しんだ。
「お前達はとてもよい戦士だ。我がもとで蟲将となり、戦功を積み重ねれば、あるいはこの関羽に比肩しうるやもしれぬぞ」

 そう、関羽はディアボロス達の力を認めた。
 これまで打倒してきた者も含めて、その存在と力量を。
 ゆえに奴は言う。軍門に降り、手先になれと。
 それは関羽にとって最大の称賛ではある。だが……。

「……とことん水と油だな、俺達とお前らは」
 立ち上がり、矢一があざ笑った。
「そんなことをする理由は、ない。さすがの我も、ちょっとヒいた」
 クィトは傷を抑えつつ嘆息した。
「なるほど。それがクロノヴェーダなりの評価、というわけであろうな」
 リューロボロスは瞳に炎を燃やす。それは敵愾心の証だ。
「下等な虫になる? 冗談は寝てから言ってもらえます、かしら……?」
 痛む身体に鞭打ち、エレオノーラはここぞとばかりに侮蔑の笑みを向ける。
「綾音ちゃん達は、そんなことのために戦ってるんじゃないよ……!」
「私達は……アンタ達を、倒すために此処に居るんだ!」
 綾音、涼花も、強い意志を以て応えた。
「あいにく、もらうのは宝だけと決めていますので! その間違った厚意はお返しさせていただきます!」
「神のご加護がある僕が、なぜいまさらあなたの庇護に入らねばならないのでしょうか?」
 ボロボロながら、カルンも春一も当然のように言い放った。
「……フン。惜しいな。まこと惜しい」
 関羽は頭を振り、最後に言った。
「ならば名乗るがいい。すでに、このわしに名乗り挑んだ者どもも居る。そやつらの名も刻んだが……あえてわしの申し出を拒み、なおも敵対せんとする者の名として刻もうではないか」
「……手前、姓は奴崎名は娑婆蔵」
 片膝を突いていた娑婆蔵が、立ち上がり仁義を切る。
「人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』。代表して名乗りまさァ」
「ふ、は……がはははは!! はァははははは!!」
 関羽は哄笑をあげ、次の瞬間にはつむじめいて姿を消した。
 クロノヴェーダとディアボロスの道は、決して相容れない。
 その断絶は、傷の痛みも忘れるほどに彼らの怒りを強く刺激した。
 奴はディアボロス達の……これまで戦った者らすべて……存在と、名を忘れまい。

 復讐者達の怒りと執念は、ついに最強のジェネラル級に一糸報いた。
 これこそまさに、大きな節目である。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV2になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
【照明】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV2が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【先行率アップ】がLV5になった!
【アヴォイド】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV2になった!

袁・雀蜂
※共闘希望

・戦法
一人では相対せず、2~3人のチームアップで戦う
切り合いをせず、一撃離脱を繰り返し足を止めない
チームの仲間を「ディフェンス」宣言して連続攻撃を喰らうことを避ける
脚か翅どちらかへの傷を必ず避け、撤退に支障のない様にする
撤退時は目線を切って認識の外へ出てから【光学迷彩】で隠れ潜む
(赤兎馬のワープ対策)
【飛翔】しながら仲間と共に連携攻撃を仕掛ける
(技能:空中戦、一撃離脱)

・心情
どうしてもこれだけは言ってやりたいから此処に来た
「我が名は袁・雀蜂、一介のディアボロスなり!
いかに敵が強大でも、我らは寄せては返す波濤の如く
尽きることなく抗い続けるだろう、奪われた全てを取り戻すその日まで!」


シークローネ・メーベルナッハ
あれが関羽…!
成程、紛いなき強敵と言えましょう…!

なれど、故にこそ挑むべき敵とも感じます。
より速き境地へ至る為、いつか超えねばならぬ壁を知る為に!

持ち前の【ダッシュ】に、空を蹴って飛翔する事による【空中戦】での立体的機動を交え撹乱を試みます。
とはいえ、あれ程の将。拙の速度をも捉え得る事は確実。故に、味方の攻撃の一瞬前か一瞬後に斬り込む【一撃離脱】も交え、此方を意識させ防御を揺さぶれないか試みてみます。

敵のパラドクスは、着地と同時に攻撃を仕掛けるものであるならば。その直前こそ最大の隙であると見ます。
故、そのタイミングを狙い此方もパラドクスで仕掛けて参ります。
「此が、今の拙の全力にございます…!」


イグザリア・リミット
関羽が来たと言うならば、対抗する他ないだろう。
張任との戦いは優勢、そちらは仲間に任すとしよう。

現状選び得る最効率でもって対応する。
昏冥、啓け。
ただ懐に入り込む事ができればよいが
そうたやすくは行かんだろうな
残像を使った計略にて、攻撃を受け、致命傷を外させた隙に入り込み、
関羽の弱点を探る。仲間と共有できたらなお良いが…それは後でも果たせるか。
今の力量差で急所を付けるかは分からないが
弱さを捉えられないならばその強さを捉えよう。
溢れ荒れ狂う奔流の流れを、少しだけ反らして、少しだけ宥めて、少しだけ加速させる。
激流の中に生まれた弱所にて、狙いすました一撃を関羽に見舞おう。
さて、少しは効いてほしいものだが。


●空を駆け、蒙を啓き、意を貫く
 これまでのディアボロスらの奮戦は、実りつつあった。
 関羽はおびただしい傷に包まれ、少しずつだがその力も翳りを見せている。
 今は、奴を滅することは出来ない。だが攻撃は届いているのだ。
 そしてまた新たに、関羽は新たな『敵』を見初めた。

「あれが関羽……! なるほど、紛いなき強敵と言えましょう……!」
 近づく騎馬の影を認め、シークローネ・メーベルナッハ(其は生ける疾風怒濤・g00007)は凄まじい威圧感に呻いた。
 されど、ゆえにこそ挑むべき敵とも感じている。
 より疾き境地に至るため、そして、いつか越えねばならぬ壁を知る。
 それは、必ずこれからの戦いに役立つはずだと。

「どうしてもやりたいことがあるんだ。だから、それまでに斃れるわけにはいかないね」
「……張任との戦いは優勢だ。あとは仲間に任せておいていいはずだろう。であれば、魔女はここに立つ」
 袁・雀蜂(ホーネットガール・g01434)とイグザリア・リミット(赫眼の魔女・g05140)は万全の準備を整え、降り立つ悪鬼を睨み据えた。
「ほう、気骨のある連中がまだまだおるようだな。がははは! さて、試させてもらうぞ!」
「……もはや対抗するほかなし。征くぞ」
「もちろん! 無茶だけはしないようにね!」
「ええ。お二人も……ご無事で!」
 3人の女達は、翅を広げ魔力を高め、聳え立つが如き強敵に挑む!

 関羽が接近する直前、雀蜂は二人にひとつの提案をしていた。
「一人で戦うのは危険すぎる。だから、常に3人のチームアップで戦おう。一撃離脱を繰り返して動き続けるんだ」
 雀蜂の提案は、機動力に長けたシークローネと、応用性に長けたイグザリアにとってはぴったりのものだった。
「最悪の場合は、ウチがかばって攻撃を遮るよ。連続で攻撃を受けないように、注意して」
「……了解でございます」
「いいだろう」
 関羽は強敵だ。これで撹乱し続けることは出来ないだろう。
 だが少なくとも、致命傷を避けることで継戦は可能になる。
 彼女らの作戦は、結論から言えば大きな効果を発揮した。

 ……そして現在!
「ちょこまかとすばしこい! なるほど、戦い方を心得ておるようだな!」
 3人……特にインセクティアであり高速での飛翔が可能な二人は、立体的機動を交えることで関羽の狙いを常に揺さぶっていた。
 もちろん無傷ではない。牽制の斬撃がその身体をあちこち切り刻み、シークローネも雀蜂もだんだんと疲弊している。しかし!
「昏冥、啓け。……仕掛けるぞ!」
 パラドクス『昏冥』を発動したイグザリアが空に舞った。関羽はぎらりと赤い瞳を輝かせ、これを迎え撃つ!
「ぬうん!!」
 龍のオーラが荒れ狂う! 真正面から挑めば致命は確実……の、はずだ。しかしてイグザリア、健在!
「残像か!」
「我が遺誡は道を拓く。……弱さは捉えられまい、だがその強さならばどうだ?」
 イグザリアは『弱点を突く』のではなく、荒れ狂う攻防の中で少しだけその潮流を操作し、打つべき箇所を『生み出した』。
 関羽が絶対的強者であるとわかっているからこそ、その強さを心開くパラドクスで逆用したのである。発想の転換だ。
「ぐむ……!!」
 狙いすました一撃が叩き込まれる。関羽の体勢がわずかに崩れた!
 応報のオーラがイグザリアを飲み込む。だがさらなる龍が食らいつこうとした瞬間、突き飛ばす形で雀蜂がディフェンス!
「……ッッ!!」
 オーラが身体を斬り裂き、雀蜂は両腕と腹部におびただしい裂傷を負った。されど肝心の脚と翅はいずれも無事だ。
(「これならやれる! やってやる!」)
 緑色の瞳が怒りに燃える!
「聞け、関羽!」
「!?」
「我が名は袁・雀蜂、一介のディアボロスなり!」
 稲妻じみたジグザグ軌道を描き、雀蜂は飛翔。シークローネが鏡合わせめいて飛翔することで狙いをさらにブレさせる。
「いかに敵が強大でも、我らは寄せては返す波濤の如く、尽きることなく抗い続けるだろう……奪われた全てを取り戻す、その日まで!!」
「ぬうう……!!」
「合わせましょう! 此が、今の拙の全力にございます……!!」
 ふたつの風がバツ字を描いた。超加速からの斬撃、同時にスピードを乗せた槍の一撃!
 イグザリアの打撃で生まれた空白に、超高速の双撃が叩き込まれる!
「ぬううっ!! が、は……はははッ! やはりお前達はよい! いい蟲将になるであろうになあ!!」
 関羽、血を吐きつつ哄笑! 赤兎馬が空中を蹴って加速!
 無数の刺突と急降下からの斬撃が、雀蜂とシークローネをそれぞれに切り裂いた!
「あぐっ!」
「か、は……ッ!」
 四者、落下。3人は地を転がりつつ受け身を取る。
 対する関羽、追撃はせず……否、不可能というべきか。
「……その名は覚えたぞ。そこの両名も名乗るがいい。そして我が配下となることを誓えば、口利きをしてやろうぞ」
「拙はシークローネ・メーベルナッハ。ですが、その提案は不要でございます」
「イグザリア・リミットだ。……よもや、私達をクロノヴェーダに誘うとはな。どこまでも理解しがたい」
 関羽はぐるぐると笑う。その不遜もまたよし、といったふうに。
「ディアボロス……怒りに燃える戦士ども。わしの敵に相応しい者どもよ……!」
 関羽は瞬時に姿を消した。ダメージは着実に蓄積され、奴の力を削いでいる。
 されど完全なる滅殺には未だ遠い。力量差もまた同様……だがその差は、着実に縮まりつつあった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV4になった!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV5になった!
【アクティベイト】がLV2になった!

シエロ・ラヴィオン
勝てない
手持ちの戦術では、自分が逆立ちしても不可能だと理解出来る
下手を打たなくても死が襲い掛かるだろう

だが、だからこそ逃げない
目があったら、笑うだけ

致命を避けるように避けて、ガードして、削られながら
勇気を込め、使える技術を踏み台として
襲い掛かる刃を前に、敢えて踏み込むのだ

傷を負っても切り裂かれる事があっても
──命を賭ければ、簡単に踏み込み抜ける!

如何なる生物も、顔面砕けば同じ事!
貴様の生命を、『穿ち』、『死』を与える

ただの一撃と侮るならば、その瞬間落ちるのは貴様
侮らずとも、打ち抜けはただでは済まさない

我が名はシエロ、空を冠する者
豪将を前に名乗らないのは、…戦の理がなっちゃいない、だろう?


●不敵に笑って
 強大なるジェネラル級を前に、シエロ・ラヴィオン(sky the limit・g00146)はただ笑った。
 強気な言葉を吐くのでも、勇気を奮い立たせるのでもなく、挑むように、あるいは微笑むように口の端を上げたのだ。

「面白い」
 関羽は嘯いた。己を前に笑ってみせる小僧をどうしても倒したいと思った。つまりは敵だとみなしたのだ。
 ならば、笑うシエロに策はあるか。……残念ながら、否。
(「勝てない」)
 シエロはそう結論づけていた。弱気からくる悲観ではなく、彼我の力量を冷静に、客観的に分析した上での、ごく自然な結論である。

 手持ちの戦術では、逆立ちしたって勝てないだろう。
 下手を打たなくても死が襲ってくる。目の前に死が立っている。

 されど彼は、笑っている。笑って、自ら関羽に挑んだ。
(「それでも、僕は逃げない」)
 勝てない『からこそ』。
 死が襲いかかる『からこそ』。
 逃げてはならない。死がそこにあるからこそ、命を賭す!
 傷を負っても、斬り裂かれることがあっても、止まらない。
 どのみち死ぬならば、死ぬ気で捨て身の一撃を見舞うことなんて簡単ではないか。
 無数の刺突の中に踏み込む。全身が斬り裂かれる。シエロは!
「……ッッッ穿!!!」
「!!」
 己を死線に置いた決死のカウンターが、関羽の顔面を叩いた。
 両者、同時に吹き飛ぶ……然り、吹き飛ぶ! 関羽にダメージが入った!
「ぬ、ぐ……ふは、は、がははは!!」
 しゅうしゅうと煙を上げる顔面を押さえ、関羽は笑った。
「これがディアボロスの力か。小僧、お前もなかなかやるではないか!」
「……シエロだ」
「ぬう……?」
 全身ボロボロの有様で、シエロは立ち上がる。
「我が名はシエロ。空を冠する者……豪将を前に名乗らないのは、戦の理がなっちゃない、だろう?」
 始まりと同じように、彼は不敵に笑ったまま、そう言った。
苦戦🔵​🔴​🔴​

アンクレアアニムス・サフィールヴァーグ
本来不要な不安を煽る歪み
私達は大きな歪みに歯向かう復讐者
だからテメェに届きうると、望む敵を通り越して障害たりうる勢力だと叩き込むです
今!この場で!

主戦場をカチ割るように乱入するです

自信に満ちてるですね
その自信、ヒビを入れてやるです

何度死んでもテメェらに歯向かうから"復讐者"でしょ
先の人達の凄惨な状態も見ている
けど、いや、だからこそ被弾を承知で
少しでもこれまでの手癖、体躯の運びから予測を立て
関将百烈撃の薄い角度
馬上から狙いづらい位置から赤兎馬に向けて十字架を叩き込むです
千切り飛ばされようが穴が開こうが知らねぇです
死に物狂いで攻撃し次の復讐者に繋げるのが本懐
私を雑兵と侮っても知ったことでないです


諷和・もこ
医療従事…メディカルアロマセラピストを目指す身としては
まずは負傷者の治療と、同じく保護をしている人の手助けが最優先なんだよ

【建造物分解】で巻き上がった土埃で目隠しして負傷者を保護するんだよ
【光学迷彩】で隠れて【怪力無双】と鬼の怪力で仲間を担いで
【迷宮化】した非難所に保護
「アロマオイルカプセル」を適宜使って治療

もしも近づかれたら【マーチオブシープ】で押し流すんだよ
力じゃ敵わないかもしれないけれど、数で押し切れば、数秒くらい時間を作れる

患者を守るのが、医者の務め
みんなはボクが守るんだよ!

接近されたら(気付いていないけどたっぷり呪詛をため込んだ)「まくら」で防御・反撃

(アドリブ・連携・怪我描写歓迎)


●復讐者の所以
 諷和・もこ(ふわもこうとうと・g01739)は、関羽に襲われ負傷したディアボロスを救援するため、独自に救護所を作ろうとしていた。
 だが、そんな(奴の尺度で言えば)惰弱な行いを、関羽が見逃すはずもない。なによりも奴は、ディアボロスの力量を認めた……この場合、もこの視点から見れば、認めて『しまった』というべきだろう。
 奴は敵を求めている。そしてもこの存在を、関羽は知覚した!

「……え」
「ほォ。ここが戦場と解っていてそのようなことをしておるか」
 関羽が、もこを睨んだ。
「悠長な話よ。わしの戦場に斯様なものは必要なし。在るべきは戦士のみよ」
「……!」
「来い! 生き延びてみたくばわしに挑んでみせよ、小娘!!」
 びりびりと大気が振動する。並の兵士であれば、心の臓が潰れているかもしれないほどのプレッシャー。
「……患者を守るのが、医者の務め」
 だが、もこには矜持がある。癒やす者としての矜持が!
「みんなはボクが守るんだよ!」
 ……そして、関羽に挑むのは、彼女だけではない。

 ずん!! と、巨大な十字架を背負った少女がそこに現れた。
「本来不要な、不安を煽る歪み……私達は、その大きな歪みに歯向かう復讐者(ディアボロス)」
 アンクレアアニムス・サフィールヴァーグ(信徒兼学徒・g01233)は赤い目を見開いて言った。
「だからテメェに届きうると、『敵』を通り越して『障害』たりうるのだと、わたしが叩き込んでやるです!!」
「ほォ! よくぞ吠えた。よいぞ、同時に参れ!」
「……羊さん、羊さん! こっちなんだよー!!」
 もこはパラドクス『マーチオブシープ』を発動、無数のもこもことした可愛らしい妖精が召喚される。……無数である。数と質量がこのパラドクスの武器だ!
「なんだ、あるではないか! そうこなくてはなァ!!」
 関羽は呵々大笑し、無数の刺突で襲い来る羊の群れを薙ぎ払う。吹き飛ばす。消し飛ばす!
(「どんな攻撃にも死角はあるです。この数に紛れれば……!」)
 その濁流じみた群れの中に、アンクレアアニムスは居た。
 傲慢にふんぞり返る関羽のあらゆる体運び、癖、すべてを見、予測し、味方の攻撃を隠れ蓑に死角からの一撃を叩き込む。
 これで倒されても上等。雑兵と侮られようが構わぬ。
(「次のディアボロスに繋げるのが、わたしの本懐……復讐者の強み、教えてやるですよ!!」)
 群れが……途切れる! アンクレアアニムスが羊の中から飛び出し、巨大な十字架を振り回した!
「そう来ると思っておったぞ。小娘ェ!!」
 関羽は見切っている! 大質量を無数の刺突が拮抗する……否、押し返す! 赤兎馬は強壮なるクロノ・オブジェクト、いかなアンクレアアニムスの怪力とて届かぬ!
「ぐ、ぅ……ッ!!」
 全身をくまなく刺突でえぐられ、アンクレアアニムスはごろごろと地を転がった。
 咄嗟にもこが駆け寄り安全域に運び出そうとする。それを逃す関羽ではない!
「……!」
「お前達の力は見せてもらった。やはり、戦場はかくあるべきよなあ!」
 大群と大質量のダメージを受けながらも、関羽の猛攻が迫り……!

 ……アンクレアアニムスは、己が仰向けになっていることに気付いた。
「ああよかった、生きてた……!」
 視界いっぱいに、自分と同じようにボロボロになったもこの顔が見える。
「放っておけばよかったのに……」
「それは、ボクには出来ない相談なんだよ」
 もこは困ったように笑った。
 復讐者の所以。それは己の矜持と怒りを、どんな障害があろうと貫き通すこと。
 もこの在り方もまた、立派なディアボロスに相応しいスタンスなのだ。
苦戦🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ゴーシュ・ザチェリスト
メリディアナ・レヴィg03353と共闘

喧嘩ってのは売るものじゃない、押し売りするものだぜ!

そろそろフィールドも温まってきた頃、ディアボロスの神髄っての見せてやるぜ(効果2総動員)

怒らせるとヤベエかな?でも言っちゃう。とにかく隙作らなきゃ

「ヒゲにご飯粒ついてるぜ!関羽雲長!」
と、諱と字(あざな)含めて煽る、情報収集もかねて

一撃も貰えない、とにかく回避優先時間稼ぎの立ち回り
武器もデリンジャーとか通らないだろ、対物狙撃銃で接近戦

リディ姉御の攻撃直前でスフィンクスの発光で目くらまし
後は他のディアボロスがいる場所まで意地でも逃げる!
煽っちゃったから少しでも生存確率上げなきゃ……うー怖いですわ


メリディアナ・レヴィ
ゴーシュ・ザチェリスト(g02403)と共闘

見ただけで分かるわ。圧倒的な力の差
結果なんて分かってる。これはわたしの覚悟の問題、これから世界を取り戻す為の幾多の苦難のひとつ

取れる選択肢はそう多くない
最初から全力でいくわ!
【怪力無双】で足元の地面を砕いて隆起した壁を生成、即座に魔法の詠唱に入る
こんな物で相手の攻撃を防げるとは思わないけど、ウィザードのわたしに近接戦闘のセンスなんて元より無い

今はゴーシュちゃんが全力で時間を稼いでくれている
あの子を信じて体中の魔力を集める事だけに集中

全魔力をこの一撃に籠めるっ!
恐らくわたしは無事ではないでしょうけど
ゴーシュちゃんは……大丈夫かしら……


●己に出来ることを
「ヒゲにご飯粒ついてるぜ! 関羽雲長!」
 ゴーシュ・ザチェリスト(やさぐれ元王女は硝煙マニア・g02403)は野卑に作った笑みを浮かべ、関羽を挑発してみせた。
 怒らせることで、少しでも隙を作ろう、というわけらしい。
「ハ! それで挑発のつもりか、小娘よ。お前の狙いはわかっているぞ……片割れからわしの目を逸らそうというのだろう?」
 片割れ。それはつまり、即席の障壁を生み出して魔法詠唱に入っているメリディアナ・レヴィ(甘美にして芳烈なる芸術家(パティシエール)・g03353)のことだ。連携が読まれている!
「だったらなんだってんだよ、このヒゲ野郎!」
「決まっておろうが。……こうするのみよ!!」
「!」
 関羽が動いた。ただしゴーシュのほうではなく、メリディアナの方向へ!
(「来る……! わたしに近接戦闘なんて出来ない。近づかれたら……いえ」)
 猛烈な殺気の接近を感じ取ったメリディアナは、揺れ動きかけた心を鎮めた。
(「ゴーシュちゃんが、時間を稼いでくれるはず。あの子を信じて、わたしはわたしに出来ることをするだけ……!」)
 彼女なら足止め出来るはずだと、メリディアナは信じて命を託した。
 これは捨て鉢などではない。ふたりの間の強い絆があらばこその、信頼の問題なのだ。

 そして、ゴーシュは!
「こっち向きやがれ、関羽!!」
 BLAMN!! 対物狙撃銃を力任せに振り回し、己を無視しようとする関羽に弾丸をぶちこんだ!
 そこにスフィンクスの『カナイ』が追従し、関羽に攻撃を仕掛ける。いじましい努力!
「小娘よ、お前はわしを恐れておるな」
「何を……!」
「わしの太刀を是が非でも受けるわけにはいかぬ、そういう恐れが見えるぞ。そのような引け腰でこの関羽と戦おうてか?」
 挑発し返されるという屈辱。ゴーシュは奥歯を噛み締めてそれを耐える。己を信じてくれたメリディアナのために。
「……ビビってんのはそっちだろうが、あぁ!?」
「ほォ! 吠えたなァ、小娘ェ!!」
 喜悦混じりに関羽は叫び、地を蹴って猛然とゴーシュに襲いかかる。
 ゴーシュは確信する……あれは、避けられない。受けてはならぬ一撃が来る。
(「怖い、怖い怖い怖い! 怖いけど……でも!!」)
 ゴーシュは……覚悟を決めた! 迎え撃つ構えだ!
「ここで尻尾巻いたら、オレは『私』に戻っちまう!!!」
 銃声、そして騎馬が落下する轟音……!

 メリディアナは目を見開いた。
「全魔力をこの一撃に籠める……っ!!」
 頭上に城と見紛うほどの巨大ケーキタワーを作り出し、落とす。
 その瞬間、目の前の壁が砕け、龍のオーラがメリディアナを襲った!
「あうう……っ!!」
 再びの轟音! メリディアナは……生きている。オーラに呑まれたが、どうやら致命傷を避けたらしい。
 避けた? 違う。彼女は確信する。『ずらしてくれた』のだ。
「ゴーシュちゃん……!!」
 ゴーシュは……ボロボロだった。斬撃を受け、身体から滂沱の血を流している。
 巨大ケーキタワーの落下により生まれたクレーターの中央には、関羽が被弾したことを示す血溜まりがあった。
「へ、へへ……ざまあみろヒゲ野郎……です、わ」
「ゴーシュちゃん、大丈夫……!?」
 メリディアナはふらつきながらも駆け寄り、少女を助け起こした。
「生き延びてやりました、わ……へへ……目眩まし、上手くいきましたのよ……」
「うん、うん……っ」
 二人は生き延びた。それどころか、関羽に確実なダメージを通しさえしたのだ。
 少女達の意地は、はるか格上の強大なるクロノヴェーダにさえ貫き通してみせたのである。
苦戦🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

エルフリーデ・ツファール
【魔女の薬店】

おいおいおい、こんな奴相手にパーティ誘う気軽さで声掛けんじゃねーぞあの蜘蛛女。
まあ、やると決めたのはこっちだし話に乗った以上仕事はきっちりしてやんよ。

先行したディアナの攻撃と本命の桂菓の一撃の間に割り込むように【飛翔】で背後から肉薄。狙うのは関羽本体――じゃなく青龍偃月刀だ。
九つの炎の尻尾を束ねたこちらの一撃を防御、そして反撃させることで偃月刀と奴の意識を正面から逸らしてやんよ。
ディアナが赤兎、私が偃月刀を何とか抑え込むことで僅かながらにでも関羽に隙を作らせる。どっかの蜘蛛女の糸より細い勝ち筋だが私らにやれそうなのはこれくらいだからな。

「死なねぇ程度に死ぬ気でやるぞお前ら!」


陳・桂菓
【魔女の薬店】
関羽の武技は私では見切れんが、赤兎の首を刎ねるような軌道では得物を振るまい。
つまり馬首ゆえに攻撃手段の限られる真正面は、完全に安全でないにせよ幾分マシな位置のはず。
問題は赤兎に殺されないかだが、それも空にあるうちは蹴られはしても踏み潰されない。警戒すべき手段を絞れる分マシ。
勝機は空。飛んでいる関羽に【飛翔】で肉薄、追随、正面の位置を保持。ディアナの攻勢で速度は落ちていようし、可能なはず。
そこから赤兎の首をかすめるように関羽の胸へ苗刀で片手突。
エルによって青龍偃月刀の動きも鈍いはず。

(たとえ体のどこかしら持って行かれようと……!)

思い付き得る最善の一撃。当てる程度はしてみせる。


ディアナ・アインホルン
【魔女の薬店】
倒すのは無理でも一撃入れる位ならなんとか!
 
空を掛ける関羽に殺到する流星で遠距離から攻撃を仕掛ける。
飛翔効果も併せて距離を縮めつつ射撃しながら弾幕に紛れて接近、私に注意が向くようにするわ。
最後の一撃は頭上から降るように調整して先に撃っておいたミサイル。
上に注意を逸らしつつ相手を地上に押して関羽の攻撃のタイミングをずらして全力を発揮しにくくしてみせる!
これなら桂菓の一撃を入れるチャンスを作れるはず!

桂菓の攻撃の直後に最接近して牽制攻撃で追撃を妨害しつつ、桂菓を掴んでその場を離脱。妨害用に炸薬を仕込んだナイフを置き土産にして爆発に紛れてその場を逃げる!

「みんなで帰らせてもらうよ!」


●瞬撃
「おいおいおい、こんな奴相手にパーティ誘う気軽さで声かけんじゃねーぞ、あの蜘蛛女……」
 エルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)は関羽の姿を睨み、どこぞの黒セーラーのことを想起する。
 その当人は、すでに熾烈な攻防を繰り広げ、手痛いダメージを互いに与えているのだが、それを聞いたところでエルフリーデが彼女を心配することはないだろう。
「まあ、やると決めたのはこっちだし。話に乗った以上、仕事はきっちりしてやんよ。準備いいよな?」
「それは逃げる準備の話?」
 陳・桂菓(如蚩尤・g02534)は真顔で冗談めかした。
「なんてな。仮に逃げ出そうとしても逃してくれないだろうし、逃げるつもりもないが」
 桂菓は軽口を叩きつつも、心の中では覚悟を決めていた。
 たとえ体のどこかしらを持っていかれたとしても、一撃を叩き込んでみせる。
 彼女の役目は、ディアナ・アインホルン(夜空を切り裂く流星・g01791)とエルフリーデが切り開いた活路を進む。つまり、仕上げの役目だ。
 武神の末裔とされる生まれとして、無双の武将の名を奪いしクロノヴェーダ相手に、退くわけにはいかなかった。

「倒すのは無理でも、一撃入れるくらいならなんとか! ……で、考えないとね」
 ディアナは気合を入れる。3人の中では最年少だが、隣の二人と肩を並べるに足る技量と度胸を持つ少女である。
「問題は、一撃入れたとして離脱出来るか、させてくれるかだけど……まあ、やってみないとね」
 しくじれば死ぬかもしれない。目の前の化け物をこうして見ると、そういう実感として湧いてくる。
 だが、此処に来た。そして会ってしまった。
 であればやるしかない。腹を決めればあとはどうとでもなれ、だ。
 つまり彼女達は、タフでシニカルな女達だったのである。

「見せてみよ、お前達の力を!!」
 雷鳴の如く轟く大音声。関羽と赤兎馬は空に在る!
「んじゃ、行くか。死なねぇ程度に死ぬ気でやるぞお前ら!」
「ええ」
「おう」
 3人はいつも通りの気楽そうな調子で言い、まずディアナが先手を打った。フライトレッグ機動、少女は風を纏って翔ぶ!
「全弾叩き込むわよ、二度目はないからね!」
 ディアナは仲間に叫ぶと同時、格納空間からあらゆる装備を取り出し、迫りくる関羽めがけて一気に砲火を放った。
『殺到する流星(サージング・ミーティア)』という銘の通り、空をつんざく火線はまさしく流星群のよう。いや、もはや白夜めいて砲火の光が空を染めているようですらあった。

「ハ! なるほど、目眩ましか。だが小手調べと侮ってはならぬ火力、やるではないか!」
 関羽は蟲の瞳を炯々と燃やし、青龍偃月刀を振るって弾幕を斬り裂く。互いの相対距離が即座に縮まる!
「小娘! わしと空で争う技量はあるようだ。どれ、地に落としその首、刎ねてくれよう!」
「その前に、上に気をつけたほうがいいんじゃないかしら!」
「!」
 頭上! 先んじて撃ち出していたミサイルが、計算されたタイミングで関羽に落ちてくる!
「がははは! 二重の仕込みとは恐れ入るわ! ぬうん!!」
 だが関羽の刃、鋭く疾い。ミサイルは着弾前に爆発! ディアナは万事休すか!?

「獣の野生と赤き炎を、この身に……!」
「ぬうっ!?」
 背後。エルフリーデが回り込んでいる!
 その頭には耳が、腰からは9つの尾が……炎で象られた異貌が燃えている。エルフリーデの体温は代償により急激に上昇し、見開かれた瞳は内なる輝きでいっそう色を強めているように見えた。
「喰らってみるか? なあ、関羽!」
 炎の尾が身を捩るようにより合わさり、巨大な炎と化して関羽に襲いかかる。
「よく練られた技だ。だが!」
 騎馬一体となった関羽は独楽めいて回転! 回転から生まれた斬撃エネルギーがオーラの荒れ狂う龍となり炎の尾とぶつかる。龍の牙が炎の尾を食らった!
「ち……馬の動作じゃねぇだろそんなのはよ……!」
 荒れ狂うオーラは、炎を喰らいエルフリーデに殺到する。斬り裂かれた傷口から文字通り燃えるような血潮がぶしゃりと溢れ、熱病に浮かされたような頭は強制的に冷やされた。
「けど……狙い通りだな」
「……!」
 エルフリーデの不敵な笑みを、関羽は即座に察知した。

 桂菓である。
 ディアナによる挑発、エルフリーデによる直前のインタラプト。
 この二つにより、関羽は前後の敵を同時に警戒せざるを得なくなった。
 つまり、正面ががら空きだ。そこに桂菓が、突っ込む!
(「相手はクロノ・オブジェクトの使い手だ。馬の首を刎ねないように偃月刀を振るうなんて芸当はやってのけるだろう……」)
 ディアボロスがその器物でいかなる環境にも対応してみせるように、クロノヴェーダもまた……ことに関羽は強大なジェネラル級である……物理的障害に妨げられることは早々ない。
 パラドクスに対抗しうるのはパラドクスのみ。それが逆説連鎖戦だ。だからこそディアボロスはクロノヴェーダに抗しうる。
 であれば。仲間達が作り出したこの活路、その身で活かせぬはずがなし! 桂菓は全神経を極限まで研ぎ澄ませる!
『苗刀『飛竜』』を構える。攻撃後のことは考えない。それはディアナに任せる。エルフリーデがそうしたように、命を預ける。そうしてこそ見えるものがある。死中に活あり!!
「――斬るッ!!」
「ぬううっ!!」
 関羽は刃を弾こうとする。だが一手遅い! 目が覚めるような速度の刺突が煌めき、関羽の胸部硬殻を叩き割った。異色の血が間欠泉めいて噴き出し、桂菓の顔を汚す!
「がは……ッ!」
「なんだ、思ったよりやれるじゃないか」
 桂菓は不敵に笑い、次いでぐんとおもいきり引かれる感覚を覚えた。ディアナによる『回収』だ。
「ぐ、は……ぐはははは! オオオッ!!」
 関羽の猛追! 獲物を狙う猛禽めいた、ナイフのように鋭い騎馬突撃からの斬撃! 置き土産の爆炎を切り裂いて、撤退しようとするディアナと桂菓をばさりと偃月刀が裂いた!
「……!! みん、なで……帰らせて、もらうよ!!」
 大きく身を崩したディアナだが、歯を食いしばり桂菓を保持、フライトレッグが悲鳴を上げるほどに加速。
 ずずん! と、騎馬が地面に着地した。エルフリーデはすでに撤退している。
「ふ、く、く……よもや、わしにここまでの深手を負わせるとは……ぜひとも兄上に配下として推薦したかったものよ」
 だくだくと血の溢れる傷口を押さえ、関羽は鬼のような形相で笑った。
「……ディアボロス。く、くく……がははは!!」
 敵だ。そこらの臆病者とは比べ物にならぬ敵が、このディヴィジョンに現れたのだ。
 関羽は震える。哄笑する。これから先も待っているであろう、『敵』との戦いの予感に高揚して……!

「……おっかねぇな、むしろやる気増してないか、あれ……」
 傷を処置しながら、運ばれ状態の桂菓は嘆息した。
「でも、生き残れたから私達の勝ちってことでいいんじゃないかな……」
「まあ、そうだな……次はあの武技も見切ってみせるさ」
 手応えはあった。女達は痛みに呻きつつも帰路につく。

 それは、密かに撤退していたエルフリーデも同じだ。
「あの蜘蛛女……あいつも痛い目見てなかったら承知しねーぞ……」
 全身の傷が疼く。大きく吐息を漏らし、エルフリーデは己を強いて歩いた。
 店にあの女が来たら、文句の一言でも言ってやろう。そんな思いを、倒れそうになる足を動かす力に変えて。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【狐変身】LV1が発生!
【一刀両断】がLV2になった!
【アイテムポケット】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【先行率アップ】がLV6になった!

無堂・理央
文字通り、天地の差があるって感じだったな。
応急処置はしたし、何とか戦いには参加できそう。
まぁ、いつもの突撃戦術は無理そうだけど。


無双馬『クロフサ』に騎乗したままだけど、戦場を駆け巡るとかはやらない。
やるのはパラドクスで生み出した投槍を和弓に番えて、放つだけ。
駆けない射撃、狙撃とかは得意じゃないんだけどな~。
関羽とぶつかった後で駆けれないし、しょうがないか。

敵が放つ蜘蛛糸は、攻撃に支障がない部分に関しては避けずに狙いをつける事を優先。
駆けれない以上、避けるのは最低限だけで良い。
接近戦も、投槍を普通の槍として防いだり迎撃したりするよ。

対張任戦人参加する他の人とは可能な範囲で連携するよ。


●天地の差を越えて
 体中が痛む。それでも無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は、ディアボロスとして、一人の戦士として、果たすべき任のために戦場に舞い戻った。
 目の前の張任もまた瀕死。勝負は一撃で決するだろう。
「……理解が、出来ん」
 張任は言った。
「貴様らは、軍ではあるまい。忠義で『そうする』というのならば、まだ理解は出来る。だのになぜ、そこまでして戦おうとする……?」
「……クロノヴェーダに言ったところで、わからないだろうね」
 理央は己を強いて笑った。
 この怒り。負けたくないという強い思い。覚悟。
 奪われたものを取り戻す。それこそがディアボロスの原点にして根幹。
 奪った側に、どれほどの道理を並べたとて理解はされまい。

 だが、それでいい。ここは戦場、そして互いに敵同士。
 ならば主義も信条も理由も関係ない……決着をつけるのは武勇である!
「殺(シャ)ッ!!」
 粘糸封縛撃! 張任の放った蜘蛛糸の塊が、クロフサに騎乗する理央めがけて迫りくる。
 万全の状態であれば、相棒の健脚を発揮して、着弾より疾く駆け抜けてみせただろう。だがこの体ではそうもいかぬ。
(「狙撃とかは、得意じゃないんだけど……!」)
 呼吸をするたび肺が痛む。理央は苦痛を顔に出すまいとした。
 ただ一撃。届かせればそれでよし。それは敵も同じか!
「死ね、小娘!」
「……悪いけど」
 爆ぜる蜘蛛糸を、ボロボロの理央とクロフサは、騎馬一体となってくぐり抜けた。相対距離が縮まる。
「何!?」
「ボクらにはまだまだ、やることがあるんだ……だから! 負けないよっ!」
 勢いそのまま、理央は倒れ込むように投槍を投擲した。
 張任にも回避する体力はない。投槍は狙い過たず、彼奴の口蓋を貫き、壁に縫い止めた!

「……はぁ、はあ……っ」
 クロフサの鞍上、理央はこらえきれず馬体にもたれかかる。
 辛い戦いだった。得た教訓は多い。このことは早々忘れられないだろう。
 だがそれでも、犠牲になるはずだった無辜の民を救い、悪辣なるアヴァタール級を討つことは出来た。
「今は、これでいいんだ……今は」
 理央は噛みしめるように言った。いつか必ず、あの天の如き怪物を、己の手で地に伏せさせることを誓って。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2021年10月25日