リプレイ
峰谷・恵
「ジェネラル級に出てこられても本番までは対処できないからね、向こうが出さないようにするならこっちも助かる」
心情:クロノヴェーダは全て人類史と地域を略奪した侵略者、略奪者と見ているので何を言われてもお前たちがいうのかと嗤い飛ばす。
「お前たちは侵略し奪い処刑に興じてきたんだ、全て奪い返されて殺されるのは当然の最期だよ」
行動:可能な限り連携を取る。アドリブOK。
敢えて小細工抜きで敵陣へ向かい、破軍衝で先制攻撃を仕掛けて注意を引き付け、奇襲を仕掛けようとする他の味方から敵の意識をそらす。
敵の攻撃は下手に避けようとせずLUSTオーラシールドと竜将骸剣で受け流し防ぐ。吹き飛ばされそうなら逆らわず吹き飛ばされエアライドの追加跳躍で空中で体勢を立て直す。
その後はダメージを負った敵から破軍衝で攻撃し敵の数を減らしていく。対処しきれない大量の敵援軍が来る、ジェネラル級が出てくる、HPが残り4割以下のいずれかで撤退する。
「まだ本番前の数削り、無理しても良いことないよ」
田淵・あゆみ
さて、ナポレオンに辿り着く為に……って、がっちり見張られてんのねー、流石軍隊さんだ
新宿からカモフラージュ用の大地の色した布を持ち込んで、遠くから観察しよう
一番人数が薄そうな所、もしくは誰かが仕掛けた所に
【狂騒ダイバー】発動、複数のコネクタを生やしてそこからシールドを伸ばす
相手の足元を狙って絡めにいく、足停めてくれりゃラッキーだ
俺が跳んでいくから
勢いのせて蹴りつけて、その相手を足場にしてさらに他の奴を蹴りに行く
さぁ、踊ろうぜ!
反撃は体の中心への攻撃は腕や肩でカバーし、脚への直撃は出来るだけ減らせるよう動く
もしジェネラル級が出てきたなら、何よりも攻撃を避ける、重傷を受けない事に集中する。今ここで俺達だけで闘える相手じゃないのは判ってるから
他の人が動けない状態なら、シールドでこちら側に引き寄せる
アドリブ連携歓迎
●拳打蹴撃を以て騎兵に対す
「警戒せよ、警戒せよ。オージュロー元帥の命は街道一帯の封鎖である」
「これまでの交戦実績及び大天使・アークデーモンからの情報提供により、ディアボロスの事前奇襲の可能性は大と推察。総員、見敵必殺を旨とせよ」
ローザンヌ方面の街道上を無数のトループス級警戒部隊が巡回してゆく。最初期から復讐者と交戦している事も有り、戦訓を十二分に蓄積しているのだろう。そんな敵軍の様子を峰谷・恵(フェロモン強化実験体サキュバス・g01103)は遠巻きに観察していた。
「成る程、練度は十分と言う訳ね……ジェネラル級に出てこられても本番までは対処できないし、向こうが出さないようにするならこっちも助かるよ」
「しかし、ナポレオンへ辿り着く為に……って言っても、がっちり見張られてんのねー。流石は軍隊さんだ。兎にも角にも、まずは頭数を減らさなきゃ話にならないか」
その横では持ち込んだカモフラージュ用の迷彩布ですっぽりと全身を覆った田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)が軽口を叩いている。配下からすれば決戦兵力たるジェネラル級は奪還戦まで温存していて欲しいのだろう。故にこそ、手を煩わせぬよう気を張っている様だ。
こちらとしてもこの場で将を仕留められない以上、まずは麾下の兵力漸減に注力できるのならそれに越したことはない。だがその一方、領土を奪われまいとする相手の言動に恵は幾ばくかの呆れと苛立ちを覚え、思わず皮肉が口を突く。
「……お前たちはさんざん侵略し、奪い、処刑に興じてきたんだ。だったら全て奪い返されて殺されるのは当然の末路だよ」
万全を期すため十重二十重に策を講じてきたが、最後まで手を緩めるつもりは無い。彼女は仲間に先んじて飛び出すや、敢えて注目を集める様に真っ向から距離を詰めていった。殺気に気付いて振り返る者も居たが、時既に遅し。
「なっ、ディアボロ……ッ!?」
「まず、一つッ!」
踏み込んだ勢いのまま拳を振り抜き、手近に居た個体へ叩き込む。幾ら歴戦の精兵とは言え、虚を突かれては脆いもの。強烈な一撃に粉砕された同胞を目の当たりにしたトループス級たちだったが、しかしてそこで呆けるほど相手も甘くはない。すぐさま自慢の脚力で距離を取るや、猛然と加速しながら隊伍を組んで襲い掛かってゆく。
「先手を取られるとは痛恨の極み……ッ」
「だが、この程度は想定の範囲内だ。元帥に及ばずとも、我らが剣の味を馳走しよう!」
騎兵突撃の衝撃力は機甲兵器が登場するまで戦場における最大脅威と言って良い。すらりと抜き放たれた刃の一閃は狙い違わず復讐者をすれ違い様に切り裂き、刀身を朱で濡らす。
一方、攻撃に晒された恵が回避行動を取る事は無かった。無論、武器や展開した闘気によって致命傷を避けてはいる。なぜ敢えて彼女がそうしたのか。再突撃の為に旋回したトループス級たちは、すぐさまその理由を知る事となった。
「……何事も一息入れた直後が狙い目ってな。ご自慢の機動力も、足を止めちまったらお仕舞いだろ!」
「む、ぅっ!?」
しゅるり、と。脚部に巻き付いた何かによってガクリと騎兵の動きがつんのめる。何事かと下へ視線を巡らせたトループス級が見たものは、無数のコネクタから伸びたマイクシールドだ。それを手繰り寄せながら、あゆみが敵陣へと斬り込む。
身を潜めていた彼は仲間の吶喊とタイミングを合わせ、死角から不意を打ったのだ。騎兵の本領は一にも二にも速度の乗った突撃。故にこそ、足回りを封じてしまえば強みの大半を封じられると言って良い。
「さぁ、踊ろうぜ!」
そうして相手の動きを牽制するや、男は一転して高々と跳躍する。馬の首、兵士の頭部や肩。突き出た箇所を足場とし、踏み込むと同時に強烈な蹴撃を叩き込む。装甲が砕かれ、酷いものでは頭部がそのまま千切れ落ちてゆく。これには堪らず自動人形も咄嗟に剣を頭上へ突き出すも、破れかぶれの攻撃に当たる様な復讐者では無かった。
「狼狽えるな、足元の障害物を切れ! 手玉に取られては元帥に処断されるぞ!」
「元より無傷で終われるなぞ思ってはおらん! 多少の傷を呑み、体勢を立て直せ!」
だが一方、トループス級の立て直しもさるものだ。闇雲の反撃するのではなく、まずは脚部を縛るマイクシールドを断ち切るや即座に散開。相互に距離を取ってあゆみが利用できる足場を無くすと、十分な距離を稼いだ後に再集結。再び一塊となって突撃を敢行する。
「俺たちよりも上官の方が怖いってか? 人望があるんだか無いんだか」
「流石にトループス級というだけあって、個々の実力はともかく数が多いね。ジェネラル級が飛んで来る気配はまだないけど、退き際は常に見極めておきたいかな……ッ!」
こうなってしまえばただでさえ障害物に乏しい街道上である。逃げ隠れする場所が無い以上、真っ向から迎え撃つより他に無し。油断なく構えるあゆみに対し、恵は撤退のタイミングを見誤らぬよう脳内で算盤を弾く。今は飽くまでも前哨戦だ。この後の奪還戦こそが本番。故に可能な限り敵戦力を削りつつ、安全に離脱せねばなるまい。
「Assaut!」
果たして、そんな思索に費やした数秒を経て復讐者と騎兵が激突する。縦隊を組んだ敵部隊が復讐者を呑み込み、すれ違い様に絶え間なくサーベルを振るって全身を切り刻まんとしてゆく。
対して、あゆみは先ほどと同じように飛び上がると、雪崩を打って殺到するトループス級をまるで飛び石の如く足場にしてしまう。無論、相手とて二度も同じ手は食うかと掲げた切っ先で復讐者を捉える。
(脚が使えなくなると不味いのはこっちも同じ……出来る限り、肩や腕でカバーしなきゃな!)
もしも敵中で身動きが取れ無くなれば、刃だけでなく蹄で無惨にも踏み砕かれてしまうだろう。その様な末路は御免だと、男は両腕を盾代わりに攻撃を凌ぎつつ、隙を見てシールドでの拘束や蹴撃を試みてゆく。
一方の恵もまた空中跳躍で突撃の勢いを受け流しつつも、仲間とは対照的に拳打を繰り出し真正面から敵部隊と相対していた。拳を振るう度に数騎のトループス級が吹き飛び、その隙間をすぐさま後続が埋める。その様は激流に立つ巌を思わせる奮戦ぶりだ。
「……そろそろ頃合いだね。戦果としてはある程度の損害は与えられたし、一先ずはこれで良しとしておこうか。まだ本番前の数削り、無理しても良いことはないよ」
「だな。この上、万が一元帥にでも出張って来られたら手に追えねぇ。連中が再突撃の準備を整える前にいったん退くとするか」
結果、敵部隊が通り抜けた後に残った復讐者は決して浅くない手傷を負っていた。勿論、通常であればまだ十分に戦闘を続行可能なレベルだが、恵の言葉通り無茶をすべき時はこの後に待っている。
斯くして復讐者たちは己の戦果を確かめつつ、敵部隊が踵を返す前に危なげなく戦場から離脱してゆくのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
噂に聞いていた剣豪、オージュロー
元帥に相応しい実力の持ち主のようだ
その部下たちの実力も侮らず、機を逃さず戦力を削ぐ
二年を超え、数多の戦場を戦い抜いてきた
長い戦いの果て。全土の奪還を成し遂げる
迷彩コートを纏い、保護色や地形に紛れ、遠方から双眼鏡で偵察し状況把握
巡回中のなるべく分断しやすい部隊を見定めて
PD通信で味方と連携を取り
タイミングを合わせ奇襲
相手から発見された場合は、即迎撃態勢に入る
煙幕弾を炸裂させ、敵の視野を撹乱しつつ両手の銃でPD攻撃
敵の連携を阻害し、隊伍を崩しにかかる
味方と狙いを合わせ
一撃で倒せる敵>消耗した敵を目安に、確実に数を減らす
包囲されぬよう味方と死角を補いあう立ち位置を取り、援護
騎兵隊の攻撃には、魔力障壁で全身を護りつつ
回り込む動きに合わせ、腕のタワーシールドを構えて銃弾を防ぐ
残りは防弾コートで防御
戦況を常に観察し、把握
十分な戦果か、味方が深手を負う前に撤退判断し、PD通信で共有し全員で撤退
将の登場を警戒し、遭遇時は攻撃を防ぎつつ、挨拶し速やかに撤退だ
エレナ・バークリー
“剣豪元帥”。是非死合って見たいものですが、それは後日の楽しみにとっておきましょう。
それでは、魔法騎士エレナ・バークリー、推して参ります。
「召喚」「蹂躙」で偉大なる大地の君主の歩みを行使。
さあ、この『脚』目掛けて突っ込んできてください。蹴散らし、踏み潰して差し上げます。
「念動力」で『脚』の動きを補助し、「砂使い」で岩が形を崩さないように調整。
迂回してくる相手は気にせず、敵集団の密集しているところから潰していきます。さぞ、「撹乱」出来ることでしょうね。
「大声」で敵将を前に出てこられない臆病者と「挑発」し、配下の騎兵を私に向かって突撃するように仕向けましょう。
集まったところで、彼らを『脚』で蹴散らします。
私への攻撃は、魔法障壁とクレイモアで受け止めましょう。
剣の勝負でも後れは取りませんよ。軽いサーベルでこの両手剣を撥ね除けられますか?
“剣豪元帥”が現れたら、一合二合手合わせをして退却に移ります。
元から、警戒部隊を殲滅出来れば引き上げるわけですが。
最後は【エアライド】を使って離脱します。
一角・實生
敵は巡回警備を行っているという
スコープでまずは偵察
巡回ルートを看破し仲間へも伝えるよ
警戒を怠らない精兵達の真正面から突っ込むのは避けたい
敵の統制を乱し、復帰までの時間を可能な限り引き延ばすこと
それらを念頭に機を待とう
――ここだ
パラドクスを発動、命中アップの効果も使って捉えた一瞬を逃さず敵を撃ち抜く
勢いはそのままにグラナトゥムで連続した銃撃を叩きこむよ
混乱からの復帰を図る指揮官じみた敵個体がいれば集中的に狙っていこう
仲間への援護にも繋がる
騎兵は機動力に優れる反面小回りが利かないはず
……とはいえクロノヴェーダであり精兵、過信はせずに
ぎりぎりまで銃撃し続け引きつけて、グラナトゥムでサーベルを受け流しながら真横へ回避を試みよう
怪我のいくらかは覚悟の上だ
前線で戦う仲間を援護するためやや後方で敵を牽制し続ける
同時に退路を確保したいんだ
頃合いだと判断したら仲間と共に撤退しよう
敵の勢いと数を削ぎ続ければ勝機は見えてくる
逃してはならないものを確実に仕留めるためだ
逸る心は今は抑えて――冷静に戦場を去るよ
水蓮寺・颯
どうして関係ない生き物まで……
彼らの敵は僕たちディアボロスのはずでしょう……!
騎兵に撃たれ落とされゆく鳥を見て、無意識に拳に力が籠る。
大きく息を吐きだし、古書を開いて
隊列を組んで巡回しているなら、行動の予測はつきやすそうですね。
しかしあの徹底ぶり。迂闊に近寄ってはあの鳥さんと同じように……。
ならば身を隠して、敵群が可能な限り隊列を引き延ばされた瞬間を狙って
『其は―』
腕を広げ、囲った中から光の魚が泳ぎ出る。
『―目眩ませ、“金青天水鉢”』
兵と、可能なら騎馬の目を狙い、隊列を崩すよう誘導します。
まず馬を射よ、と言いたいところですが、文字通り人馬一体のようですものね。
サーベルを持った敵が迫れば、体の小ささを生かして回避を試みます。
しかし負傷は織り込み済み。いざとなれば自身を囮にすることも……止むを得ません。
退く際に彼らに命を奪われた動物の亡骸を目にすれば
弔いたいけれど、今はできませんか……
必ずや、あなた達の無念も晴らして見せますからね。
せめて一瞬、祈りの数珠音を響かせて。
アドリブ・連携 歓迎です
●剣豪元帥、推参す
「おのれ、こうも良い様に弄ばれるなど屈辱の極み……元帥に申し訳が立たぬ」
「いまの交戦で何騎が倒された? 各員は速やかに参集し、陣形を整えよ!」
復讐者たちの奇襲によって浮足立つトループス級。しかし遅れを取ったとはいえ、立ち直りの早さは正に精兵と呼ぶべき練度である。彼らは散り散りになっていた兵員を手早く終結させると、再び隊伍を組んでゆく。幾分か数を減らしたとは言え、一個の纏まりと化したそれは依然として純然たる戦力を有していた。
(巡回警備の部隊と聞いていたけれど、あの数は平時の比じゃないね。警戒を怠らない精兵達の真正面から突っ込むのは避けたいけど、さっきの混乱をもう立て直している……敵の統制を乱し、復帰までの時間を可能な限り引き延ばすこと。これらを念頭に置いて立ち回るべきか)
そんな敵の様子を一角・實生(深い潭・g00995)は地面の僅かな起伏へ身を隠しつつ遠巻きに観察していた。スコープ越しの僅かな視界は克明に相手の身振り手振りを拡大してくれる。先の一戦を見ただけでも、単なる数合わせの雑兵で無い事は明らかだろう。
一方、その傍らには水蓮寺・颯(灼がて白く・g08972)の小柄な姿もある。彼女も青年と同じように敵陣の様子を窺っていたのだが、その視線はどちらかと言うとトループス級の周囲に向いていた。痛まし気な瞳が見出すは無惨にも撃ち落とされ、或いは踏み散らされてゆく小さな命たち。
(どうして関係ない生き物まで……彼らはただ、あるがまま此処に在っただけなのに。彼らの敵は僕たちディアボロスのはずでしょう……!)
動物を手懐け、時には己自身すら変化させて忍び寄る。自動人形たちの行為はそうした復讐者側の手妻を学習した結果だ。『七曜の戦』以降、歴史改竄者がそうした対策を取っている事は聞き及んでいた。だが、いざそれを目の当たりにしてしまうと、我知らず拳に力が籠ってしまう。
今すぐにでも飛び出したいが、無為無策で突っ込んでも跳ね返されるのみ。乙女は小さく息を吐いて気を鎮めながら、携える古書の頁を捲ってゆく。何事も動くに適する機が必ずやって来ることを彼女は知っているのだ。
「飽くまで隊列を組んで巡回しているなら、行動の予測はつきやすそうですね。しかし、あの徹底ぶり。迂闊に近寄ってはあの鳥さんと同じように……傷を恐れる訳ではありませんが、出来る限り上手く立ち回りたいところです」
「そうだね。ただ、幸いにも此処に居るのは俺たちだけじゃなさそうだ」
颯の言葉に頷きつつ、實生は不意に敵部隊から目線を外す。彼は胸元に潜ませた通信機に耳を傾けながら、チラと遠くで微かに瞬く光を認めていた。その正体は双眼鏡の反射光である。
「……噂に聞いていた剣豪、オージュローか。麾下の兵士を見れば将の力量も透けるというもの。どうやら元帥に相応しい実力の持ち主のようだ。侮らず、機を逃さず戦力を削ぐ為にも、ここは上手く協力すべきだろう」
その持ち主は狙撃手と同じように息を潜めていたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)だ。迷彩柄の外套に身を包んだ彼もまた、先ずは見に徹しているらしい。既に自動人形の戦力は瀕死状態と言って良いが、だからと言って慢心や油断してやるつもりなど更々無かった。
「二年を超え、数多の戦場を戦い抜いてきた。次こそが長い戦いの果て。必ずや、全土の奪還を成し遂げる」
「グランダルメは最初期に接敵したディヴィジョン、その最後の一つ。ここまで持ち堪えた実力を甘く見るつもりはありません。“剣豪元帥”オージュロー……是非とも死合って見たいものですが、今は敵勢の漸減が最優先です。それは後日の楽しみにとっておきましょう」
決意を滲ませる仲間の言葉に、合流していたエレナ・バークリー(Highlander/Absolute Wish・g00090)も相槌を打つ。機械化帝国、平安京、、獣神王朝に三国志、東京二十三区、そして円卓騎士団。同時期に攻略を開始した勢力の尽くが潰えても尚、今日まで生き残ってきたのは決して運や偶然ではない。
綺羅星の如き元帥に他勢力から引き入れた戦力や技術。果てに『疑似ディヴィジョン』の創造にまで到達したのは正に驚嘆すべきだろう。故にこそ、その命脈は確実に此処で断たねばならぬのだ。
「それでは……魔法騎士エレナ・バークリー、推して参ります」
「ふむ、敵陣に斬り込むのなら付き合おう。だが、闇雲に突っ込むのも芸が無い……と言う訳で、一の矢は頼めるか?」
もう観察は十分だと判断するや、エレナは身の丈もある大剣を鞘走らせてゆく。そんな騎士の動きへ合わせる様に、画家もまた双眼鏡を二挺拳銃へと持ち替える。敵陣へ飛び込むならば、背中を守る者も居るべきだろう。そして、援護射撃もあれば最高だ。通信機へと問い掛けるエトヴァに対し、實生は銃声を以て返答とした。
「ああ、お安い御用だ。軍隊である以上、見た目は同じでも必ず階級が存在している。立て直しの様子を見れば指揮官が誰なのか、自ずと見えて来るさ。つまり……」
――ここだ。
果たして狙撃手がトリガーを押し込んだ瞬間、銃火を散らして立て続けに弾丸が解き放たれる。刹那の内に飛び出した無数のそれらは音すら置き去りにして敵部隊へと吸い込まれるや、指揮官を中心とした広範囲を吹き飛ばす。
「ッ、なんだ!? 何が起こった!」
「銃声が遅れて……間違いない、狙撃手だ! 止まるな、動け、狙い撃たれるぞッ」
トループス級たちは何が起こったのか瞬時に把握するや、得物を抜き放ち猛然と駆けだし始めた。棒立ちの兵なぞ単なる的だと心得ているらしい。抜け目なく弾道から青年の潜伏位置を割り出したのか、一つの有機的な群れと化して迫って来る。流石は騎兵と言うべきかその速度は凄まじく、彼我の距離が瞬く間に詰まりゆく。
(騎兵は機動力に優れる反面、小回りが利かないはず……とはいえクロノヴェーダであり相手は精兵だ、過信をすべきではないね。ギリギリまで銃撃を続けて引き付けよう。なに、怪我のいくらかは覚悟の上だ)
今から離脱を試みた所で無防備な背を晒すのみ。ならば被弾覚悟で敵の注意を惹いた方が仲間も動きやすかろうと、彼はトリガーを絞り続ける。瞬く間に敵影が視界いっぱいへ広がり、もうスコープも必要ないほどだ。後は横へ飛び退くなりして凌ごうと、實生は覚悟を決めるのだが、しかし。
「突撃の勢いには目を見張るものがありますが、その分どうしても隊列が伸びてしまう。そこが狙い目です……其は嘗て三度の災火を逃れし邸の魚鉢。その水面の眩さに、火矢すら憚り避け通る。今ひとたび目を醒まし、その御業を成し給え」
――目眩ませ、“金青天水鉢”。
ふわり、と。輝く何かが騎馬の鼻先を通り過ぎる。それは魚だった。悠々と宙を泳ぐ、光り輝く優美な魚。次々と湧き出るその源は、狙撃手の傍らへ立つ述師の胸元だ。か細い両腕で囲った円の中には滾々と水が満ち、細波を打つたびに魚が飛び出してゆく。
まるで重なり合う様に魚群が敵部隊の内部へと浸透した瞬間、不意にそれらは全身を爆発的に煌めかせた。視界全てを一瞬で真っ白に塗り潰すほど、暴力的なまでの光量。これには堪らず、トループス級の視野も異常をきたしてしまう。
「ま、前が見えん!? いかん、同士討ちなぞ間抜けすぎるぞ!」
「止むを得んか。散開せよ、散開せよッ」
つんのめり、ぶつかり合い、更には縺れ合って転倒する始末。敵部隊は復讐者への攻撃もそこそこに、距離を取り合う事で更なる被害を防ごうとする。そんな混乱状態の相手を尻目に、颯は實生の手を取って狙撃地点を変更してゆく。流石に無傷とはいかなかったが、覚悟していたダメージと比べれば遥かに小さかった。
「怪我をするな、なんて人の事は言えませんけど……僕も居るって事を忘れないで下さいね? 本番はまだこれからなんですから」
「ああ、ありがとう。助かったよ」
乙女の言葉に苦笑を浮かべつつ、青年は礼を述べる。チラと後ろを見やれば、騎兵たちも徐々に視力を取り戻しつつあるらしい。だがそんな隙を見逃さぬとばかりに、すかさず襲い掛かる仲間の姿も其処にはあった。
「このまま彼らを追撃させる訳にはいきませんからね。少しばかり派手に参りましょうか。さぁ、諸人は地に伏せ跪拝せよ。尊くして偉大なる我らが『神』の御幸なれば、一切合切を蹴散らし踏み潰して見せようぞ」
敵群の真っ只中へ猛然と飛び込んだのはエレナである。彼女は長大な得物を振るって周囲に間隙を作り上げると、素早く祝詞を口遊む。刹那、土塊や巌が巻き上げられ、小山を形成してゆく。いや否、それは単なる土砂ではない。五指を備えた巨なる神の脚だ。
脚はその見た目に反してふわりと持ち上がるや、凄まじい質量に任せて大地を踏み締める。無論、それに巻き込まれた自動人形の末路なぞ語るべくもない。密集していれば一網打尽は避けられぬと悟ったトループス級たちは部隊を小集団へ分け、術者である騎士へと狙いを絞ってゆく。
「おのれ、小癪な。だがあの大きさだ、動きは素早くあるまい。我らの機動力で翻弄してやれば……」
「そうはさせんよ。先程が光ならば、今度は煙に巻いてやろう。それに煙幕で覆い隠せば、あの脚の動きも悟り難くなるだろうからな」
だが、その程度の対応はエトヴァも想定内であった。なまじ相手が分散したのを好機とみるや、彼は煙幕弾を周囲へ散布。周囲は瞬く間に極彩色の煙で覆われてゆく。咄嗟に煙の範囲内から抜け出そうとする者や、意に介さず突き進もうとする者でそれぞれの動きはてんでバラバラ。これでは各隊同士での連携も儘なるまい。
一方、彼は蹄の音から敵に位置を割り出すや、そちらへ向けて両手の拳銃を掃射。装甲を穿つ甲高い音により、画家は己が狙いの正しさを確かめてゆく。しかし同時に、その銃声は自らの居場所も相手に教えてしまう事も意味していた。
「我らが銃撃にてディアボロスを牽制する! 貴隊はその間に肉薄し、彼奴らを仕留めよ!」
「心得た! 数多の砲火に比べれば、煙幕如き何するものぞ!」
辛うじて煙の範囲外へと逃れ出た部隊が内部へ向けて間断なく銃弾を撃ち込みつつ、別の一群が猛然と霧中の中へ吶喊し始めた。その勢いは凄まじく、エトヴァは辛うじて銃撃から身を守れたものの、続く突撃によって強引に押し退けられてしまう。
突入して来た部隊はそのまま速度を落とすことなく進撃し、煙に身を紛れ込ませていたエレナを捕捉。巨大な脚に同胞が踏み潰される事も構わず、切っ先を突き立てるべく襲い掛かってゆく。
「覚悟して貰おう、ディアボロス! 勝利すべきは我らが地上最強たる大陸軍よ!」
「その気概は敵ながら賞賛しましょう。ですが、肝心の元帥はいったい何処で何をしているのですか? よもや、臆病風に吹かれて奥にでも引き籠っている訳ではありませんよね?」
「貴様ァッ!」
時には人望の厚さも善し悪しか。騎士の放った挑発に対し、トループス級は嚇怒の雄叫びを吼え猛る。激情の儘に振るわれた刃を大剣でいなそうとするも、するりと隙間へ滑り込んだ刃が彼女の肌身を深々と切り裂いてしまう。
(得物的には此方に分があるはずなのに、よもやあの速度の中で巧みに剣閃を操るとは。剣の勝負でも後れは取らないつもりでしたが、剣豪元帥の麾下戦力というのも伊達では無いのでしょう。ですが……!)
しかし、その代償もまた小さくはない。威力と引き換えに単調となった動きを見切ると、騎士は敵集団を纏めて頭上に控えさせていた脚で踏み潰す。一網打尽とはいかないものの、撃ち漏らしについての心配は無かった。
「――絢爛と、咲き誇れ。これは決戦に辿り着けぬお前たちへの、せめてもの手向けだ」
色とりどりの奔流を突破し、再びその外へと離脱した騎兵たちだったが、待っていたのは活路ではなく突き付けられた二つの銃口。相手の動きを読んでいたエトヴァは先回りして待ち構えており、正確無比な射撃を以て朱い華を咲かせゆく。不運なトループス級たちがその弾丸より逃れる術など、有りはしなかった。
斯くして、このまま順調にいけば相応の損害を与えることが出来るはず。そんな確信じみた考えが復讐者たちの脳裏に過ぎる。事実、それは決して希望的観測ではない。何事もなければその狙いを果たせるだろう……そう。
――何事もなければ、だ。
「ぉぉぉおおおおおおおッ!」
果たして、戦場に突如として大音声が鳴り響く。敵味方双方ともにハッとそちらへ顔を向けた瞬間、突貫してきた何かが混戦極める最前線へと仁王立つ。自然と周囲に間隙が生まれるのは、その者が纏う気迫故か。
たなびく銀の髪に獰猛な笑み、着崩された純白の軍装と翻る真紅の軍旗。そして何よりも腰に佩いた一振りの刃が、現れた女が何者かをこれ以上ないほど雄弁に物語っていた。その姿に周囲の騎兵たちは瞠目し、快哉を叫び、或いは武運の拙さを恥じてゆく。
「来て下さった! オージュロー元帥が援軍に来て下さったぞ!」
「も、申し訳ございませぬ。我らが不甲斐ないばかりに、元帥のお手を煩わせてしまい……ッ」
「気にするな。あのネイやランヌを仕留めた連中だ、お前らが束になっても分が悪いのは当然……寧ろ、そうでなきゃぁなァ!」
そうして復讐者へ向き直る者こそ、ローザンヌ地方を任されたジェネラル級にして剣豪と謡われし元帥『ピエール・オージュロー』に他ならない。将の出現にトループス級の士気が上がったばかりか、当の元帥本人もやる気満々と言った様子だ。撤退するにも交戦は避けれないだろう。
「なかなかやるね、ディアボロス。だけど、この先は行き止まりさ。此処でアタイの糧になるが良いッ!」
「良いでしょう。決闘で無敗を誇ったというその技量、一足先に確かめさせて頂きます!」
なればと威勢よく応じたのはエレナである。無論、彼女とて相手をこの場で討ち取れるとは思っていなかった。だが、一合二合は斬り結ばねば後退の隙も望めまい。頭上から脚を振り降ろしつつ、自身もまた大剣を手に挑み掛かる事で上下からの挟撃を狙うのだが……。
「その気概は褒めてやる。だが、甘いよッ!」
翻る戦旗が文字通り足を打ち払い、もう一方で鞘走らせた刃が復讐者の攻撃を受け止め、返す刀で斬撃を叩き込む。電光石火の手腕は正に剣豪の名に相応しい。元々蓄積していたダメージもあったとはいえ、その鮮やかな一閃によって騎士の意識は瞬時に刈り取られてしまう。
「っ、ぅ
……!?」
「む、不味いッ!」
ガクリと崩れ落ちる仲間の体をエトヴァは咄嗟に抱き留めると、これ以上の継戦は困難であると判断し撤退へと移行する。だが一方、勢い付いたトループス級は逃がすまいと追撃を試みてきた。このままでは包囲されるのも時間の問題だった、が。
「目的は既に達せられました、これ以上の戦闘は無用です! 援護しますから、今のうちに離脱を!」
「ああ、感謝する……しかし、よもや一撃とはな。やはりジェネラル級は侮れないか」
すかさずカバーに入ったのは体勢を立て直した颯と實生の二人だった。光魚の群れが再び視界を奪い、足並みが乱れたところへ浴びせられる弾丸の嵐が混乱に拍車を掛けてゆく。述師の言葉通り、敵戦力の漸減自体は達成済み。その上、ジェネラル級まで引きずり出して手の内の一端を垣間見れたのだ。戦果としては上々である。意識を失ったエレナを庇いつつ、残る三人は急ぎ戦場からの退却を測ってゆく。
(相手も欲を搔いて損害を増やすほど愚かではないはずだ。冷や水を浴びせてやれば、そこまで強引に追い縋っては来ないだろう。敵の勢いと数を削ぎ続ければ、いずれ勝機は見えてくる。いまは抑えよう。逃してはならないものを確実に仕留めるためだ)
今回は飽くまでも前哨戦。幾ら粗暴で知れた性格でも、戦に関する眼までは曇ってはいまい。そんな狙撃手の予想を裏付ける様に、オージュローは配下へ待ったを掛けて引き戻していた。これならば背を撃たれる心配もなさそうだ。
(弔いたいけれど、今はできませんか……必ずや、あなた達の無念も晴らして見せますからね)
そのお陰と言うのもおかしな話だが、結果として乙女に背後を窺う余力が生まれる。彼女が後ろ髪を引かれる様に視線を向けるのは、戦闘に巻き込まれた小動物たちの亡骸だ。弔う時間など望むべくも無いが、せめてもの祈りを込めて数珠の音を響かせていった。
「……ふん、最後に一片の意地を見せたか。精々、次に会う時までに腕を磨いておくのだな」
一方、元帥は遠ざかる復讐者たちの姿から視線を切ると、踵を返して元居た本陣へと戻ってゆく。その頬には薄く斬傷が刻まれている。有効打には程遠いものの、それでも騎士は交錯の最中に一手届かせて見せたのだ。途中で追撃を止めさせたのも、好敵手への敬意故か。
斯くして、ローザンヌ街道上における前哨戦は双方痛み分けと言う形にて、決着を奪還戦へと持ち越すのであった。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【エアライド】がLV3になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
【リザレクション】LV1が発生!