斎藤義龍決戦~夢、果てること無く(作者 坂本ピエロギ
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#天正大戦国  #美濃国『不破の関』決戦  #美濃国 

 天正大戦国、美濃国。
 同国における軍事交通の要所である『不破の関』は、今や全ての砦が突破され、陥落寸前の状況に陥っていた。
 そんな地の中心部にあって、復讐者の電撃的な攻略速度に舌を巻く天魔武者がひとり。名を『斎藤義龍』――ここ不破の関を預かるジェネラル級天魔武者であった。

『……まさか、こうも容易く砦が落ちるとは。やはりディアボロスこそ、天魔武者にとって最強の敵ということか』
 そう呟く義龍は、自分の状況が劣勢であることも無論理解している。
 だが同時に、不破の関を放棄して逃げる判断を、彼は決して下さない。理由は義理や意地ではなく、義龍を義龍たらしめる信念によるものだった。すなわち、復讐者が最強の敵であるなら、その最強すら打ち破るのが『斎藤義龍』である――そんな強烈極まりない自負心だ。
『俺は勝つ。そして……奴らディアボロスを葬り、美濃国の国主になって見せる!』
 己が野心を天下に知らしめるように、義龍が吼える。
 自分は此処から必ず這い上がって見せる。国主に返り咲いた後は、天正大戦国中央の旗頭になってやる。その後は、自分を軽んじた有力大名どもを顎で使う身分に、絶対に成り上がってやろうと。
 夢を捨てることは、義龍にとって死と同義。故に彼が選ぶ道もまた、決戦の勝利以外に有り得なかった。

『そうとも。俺は、俺の夢を掴む。どん底から這い上がって……いつか頂点まで上り詰めてやる!』
 不倶戴天の敵である復讐者を倒さずして、己の野心は叶わない。
 地を這う大蛇から天駆ける竜に変わることを夢見ながら、義龍は決戦に向けて牙を研ぎ始めるのだった。

●新宿駅グランドターミナル
「よう、皆。美濃国への道を切り開く時が、いよいよ来たぜ!」
 集まった復讐者たちを前に、大鳥・直雅(人間の傾奇武者・g08448)は力強い笑顔を浮かべ、作戦の説明を開始した。
 美濃国の国境を守る砦を制圧し攻略可能となった『不破の関』。そこを守るジェネラル級天魔武者『斎藤義龍』に、ついに決戦を挑む時が来たのだと言う。
「皆に頼みたいのは、斎藤義龍の撃破だ。奴を倒せば不破の関は制圧され、美濃国の本格攻略が可能になるだろう」
 義龍は現在、不破の関に立てこもり迎撃準備を整えている。
 正面からの攻略は至難である為、今までの砦同様、まずは秘密裏に潜入を行って関の内部へ突入せねばならない。そうして突破を完了した後、内部で待ち構える義龍と配下たちを撃破する――以上が作戦の流れだと直雅は告げた。

「まずは義龍が立てこもる『不破の関』の仕組みを説明するぜ。といっても面倒な絡繰りは一切ない、今までに皆が攻略して来た砦を一回り強力にした感じだ」
 外観、機能ともに、『不破の関』は他の砦と同様のものを有している。
 外部からの攻撃を軽減する機能と、外部に向けて行う反撃を強化する機能。加えて、周囲で残留効果やパラドクスを用いた時に警報を鳴らす機能だ。
「つまり、義龍がいる状態で真正面から攻めることはほぼ不可能ってことだ。ただし、現場の警戒レベルは厳しくないから、内部に潜入することは難しくない。諸々の機能は『不破の関』の門を開放すれば解除できるから、それまでの間は残留効果やパラドクスに頼らない方法で行動する必要があるだろうな」
 潜入は夜陰に紛れて行われる為、周囲の視界は非常に悪い。その為、残留効果以外の方法で視界を確保できれば潜入が有利になる筈だと直雅は付け加えた。

 不破の関へ潜入し、門を開放して機能を解除。そうして内部へ突入すれば、いよいよ斎藤義龍との決戦だ。
 義龍は護衛の『銀閃鬼兵』と共に復讐者を待ち構えており、戦闘となれば勇猛な戦いぶりを見せる。配下である鬼兵も死兵と化している為、突入後の戦闘は激戦になるだろう。
「義龍は性格に難があって、統率力もけして高くないが……こと戦闘力という点に関しては一切侮れない。なにしろ、武勇の高さは史実でも折り紙付きの武者だからな。油断して足元を掬われることの無いよう、くれぐれも注意してくれ」
 それと最後に、と直雅は義龍に関する情報を一点付け加えた。
 義龍は断片の王『織田信長』の義兄にあたる天魔武者であり、天正大戦国の中枢に近い情報を保有している可能性がある。復讐者を不倶戴天の敵と見做している義龍の性格を加味して、上手く情報を引き出せれば、今後の攻略にも何かの形で役立てられるかも知れない、と。
 そうして直雅は説明を終えると、信頼を込めた笑顔を浮かべて復讐者たちに言った。
「皆の勝利を待ってるぜ。――それじゃ、出発だ!」

●天正大戦国:美濃国『不破の関』
 義龍が復讐者との決戦を決意したという報せは、配下の銀閃鬼兵たちにも早々に伝えられた。
 最早決戦は不可避と知った彼らに動揺の気配は微塵も無い。焦る者も怯える者も、彼らの中には一兵たりとも存在しない。長い間、義龍の腹心として仕えた鬼兵たちには分かっているのだ。自分たちにも、ついにその時が来たことを。
『義龍様は、本気でディアボロスに勝つ気でおられるのか』
『そのようだな。勝利すれば、我等の出世も望みのままだそうだぞ』
『おお、景気が良い。やはり義龍様はそうでなくては』『そうとも。ここで縮こまるような輩に命など預けぬわ』
 鬼兵の一体が冗談めいて言うと、兵の間には小波のように笑い声が広まって行った。
 これから砦に現れる復讐者の実力を見誤る者は居ない。トループス級と言えど、義龍の良きも悪しきも知った上でなお付き従うことを決めている鬼兵たちに、迷いの心は絶無である。
『……いよいよ、我等の番か』
『うむ。良き夢を見られたわ』
 義龍の前に幾度も立ちはだかった、復讐者との最後の決戦。
 刻々と迫るその時を、鬼兵たちは静かに待ち続ける。主人の為に最後まで戦う不動の決意を、各々の胸に秘めながら――。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【未来予測】
2
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【託されし願い】
3
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【アイテムポケット】
2
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV3 / 【フィニッシュ】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【先行率アップ】LV3 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

坂本ピエロギ
 坂本ピエロギです。
 今回のシナリオでは、ジェネラル級天魔武者『斎藤義龍』の撃破が目標となります。
 長きに渡る義龍との因縁に終止符を打ち、『不破の関』を制圧しましょう。

 🌏現地情報🌏
 美濃国:不破の関(天正大戦国)

 ✏作戦概要✏
 『不破の関』へ潜入して機能を解除し(①)、その後、内部に立て籠もる斎藤義龍と配下を撃破しましょう(③・④)。
 OP記載の通り、義龍は相応の戦闘力を有する強敵で、死兵と化した配下ともども熾烈な抵抗が予想されます。戦闘では通常よりも厳しめの判定が行われますので御注意下さい。
 また、戦闘中は義龍から天正大戦国に関する情報を収集することが可能です(②)。会話を行うタイミングは任意ですが、復讐者を不倶戴天の敵と考えている義龍の性格を踏まえて行うと、より良い情報を得られるかもしれません。

 攻略順は①→(②・③・④)。執筆の優先順位は①>③>②>④で、成功条件は④の達成です。
 ②は2~3名の採用を予定。参加者超過の場合、プレイングに問題が無くても不採用となる場合があります。
 尚、本シナリオは早くとも4/11の8:30迄は執筆を行いません。以降は参加状況を見つつ、緩めのペースで進行予定です。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
74

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


冰室・冷桜
さーて、ある意味普通の攻め方といいますか、かえって新鮮な感じよね……
ま、ディアボロスがパラドクスなしでもやれるってーことを再認識してもらいましょうか

夜闇に紛れられるように暗色の服、被って身を隠せるような迷彩使用の外套を用意、暗視スコープやナイフも用意していきましょ
継続的に使うことを考えなきゃ文明の利器にも頼れるのは助かるとこよね

警備のレベルは高くないってーことですが、気を付けるに越したことはなし
気を抜いて下手を踏むのは御免ですからね
草陰や木陰があるようならそこに身を隠しつつ、門へ向かいましょう
音も立てないように慎重に

正面からは近づかず、様子を窺いながら進んでいくわね
見張りの様子や建物の形状を確認しつつ、潜り込みやすそうなポイントを探っていくわ
壁際まで近づいたらフック付きのロープを使って壁登り、内側に潜り込むわね
登る時はなるべく素早く、潜り込んでからはスピード勝負
物影に使いながら門まで向かいましょ
門を開けさえすればこっちのもんですからね


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

斎藤義龍、その首元まであと少し、
愈々これが最後の砦だね。
不破の関、今回もパラドクスは使えないけれど、
文明の利器と、ここまでの砦攻略の経験を活かしつつ、
仲間と連携してフォローし合って乗り越えたい。

夜闇に紛れ、かつ動き易い服装として、黒い忍装束を着用。
足には滑り難く、音も立て難い地下足袋を履き、
暗視スコープで視界を確保する。
壁や崖を登る為に使う鍵縄も用意して、
可能ならイヤホン型の通信機で仲間と連絡し合い、連携したい。

スムーズな潜入を行う為には情報はとても重要だ。
油断なく、暗視スコープ越しに現地の状況を観察し、
これまで突破した砦の形状も参考にしつつ、遠方から見張りの様子を確認する。
敵の位置と数、巡回のタイミングを確認し、見つかり難い最善のルートを見出そう。

作戦時は隠密行動、音を立てない様に注意して進む。
草木や岩の影を利用しながら砦壁面へと接近し、鍵縄を使い素早く登る。
仲間が登る際は周囲を警戒してフォローする。
侵入後は物陰を伝って移動し、
接敵を避けながら門へと向かい開門しよう。


 天正大戦国、美濃国南西の国境に設けられた不破の関。
 復讐者の侵入を阻むための砦群は、既に『斎藤義龍』の一つを残すのみとなっていた。
 不破――即ち『破れず』の名を持つ難攻不落の要所も、今や陥落寸前である。美濃への門を開くため、復讐者たちは最後の砦を目指して進んで行った。

「斎藤義龍、その首元まであと少し。愈々これで最後だね」
 夜闇が覆う山道の木陰に身を潜め、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は小声で呟きを洩らした。
 彼が暗視スコープ越しに凝視した先、やや距離を開けた場所には義龍の立てこもる砦が見える。すでに固く閉ざされた門の向こうには、天魔武者たちが手ぐすね引いて復讐者を待ち構えている筈だった。
「そして例に漏れず、門を開くまで残留効果は使えない……と。毎度のことだけど、いやらしい仕掛けだ」
 砦の機能を反芻しつつ、雪人の顔に苦笑が浮かぶ。
 とはいえ、過去にも砦を突破した経験を持つ彼にとって今回の潜入は慣れたもの。
 無論、諸々の準備も万全だ。視界を確保するスコープに、夜闇に紛れ動きやすい漆黒の忍装束、そして滑り難く消音性能に優れる地下足袋……敵に発見されることを防ぐ出で立ちは、今回の作戦でも大いに役立ってくれるだろう。
「しかし……こうしてみると完全に忍者だね、やっていることは」
「ホント。ある意味普通の攻め方といいますか、かえって新鮮な感じよね」
 雪人の言葉に、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)が同意を返した。
 周辺は灯り一つない暗闇だが、行動に困ることは無い。彼女も雪人同様、万全の準備で臨んでいるからだ。暗視スコープはもちろん、暗色の服に迷彩仕様の外套、更には取り回しに便利なナイフ。継続的に使うことを考えないという前提下ではあるが、こうした状況において、文明の利器の存在は非常に頼もしい。
「てーわけで、敵さんには再認識してもらいましょうか。うちらがパラドクスなしでもやれるってーことを、ね」
「そうだね。よし、頑張って乗り越えていこう」
 万全の態勢で決戦に臨む為にも、砦の機能解除は欠かせない。
 暫しの時間をかけ、遠方から警備の手薄な場所を確認すると、雪人は冷桜と共に砦へ接近していった。

 行動を開始して程なく、二人の復讐者は砦の外部へと辿り着いた。
 周囲が静寂に包まれる中、雪人は先行するように壁面に近づくと、木陰に身を隠していた冷桜に合図を送る。
「よし、大丈夫だ。今のうちにこっちへ」
「いい感じだわね。んじゃ、次は潜入できそうな場所を探しますか」
 砦の外壁を注意深く見回しながら、冷桜は呟いた。
 事前の情報通り、敵の見張りや巡回は数が少なく、警備もさほど厳しくないようだ。恐らく、復讐者の襲撃を見越した上で迎撃態勢を敷いているのだろう。とはいえ、油断する気は更々ない。冷桜は雪人と先頭を代わると、門のある場所を目指して気配を殺しつつ進んでいく。
(「気を抜いて下手を踏むのは御免ですからね。慎重に、慎重に……」)
 所々に生えた草陰を潜伏に利用しながら、冷桜は砦の壁に視線を巡らせる。潜入に使えそうな凹凸が無いか探る為だ。
「じゃ、探すのに集中しますんで。敵が来たら連絡頼みますね」
「了解。すぐ報せるよ」
 雪人から借りた非パラドクス型の通信機で連絡を取り合いながら、探索を開始する冷桜。
 敵の警戒に意識を割かずに済んだことが幸いしてか、程なく彼女の眼は僅かに凹凸のある壁を発見した。
 とは言え、壁の高さは相当なもので、素手で登ることは困難を極めそうだ。念のため周囲を観察してみても、他に利用できそうな経路は無い。程なくして雪人が合流してくると、二人は壁を登って潜入することに決めた。
「堂々と門から……って訳にはいかねーですしね、さすがに」
「うん、他に潜入出来る場所は無さそうだ。となれば『これ』の出番かな」
「だわね。じゃ、さっそく潜り込むとしましょうか」
 そう言って雪人と冷桜が取り出したのは、壁や崖を登るためのフック付きロープ――『鍵縄』であった。
 周辺に敵がいないことを入念に確かめて、二人は壁の上部を狙ってそれぞれのロープを投げる。フックに錘が付いた其れは綺麗な放物線を描いて飛び、狙った場所へと引っかかった。
「……よし、かかった」
 僅かな凹凸を足場に、地下足袋を履いた雪人が壁面を登っていく。
 程なくして壁の上に辿り着き、後続の冷桜も無事に登り終えたことを確かめると、二人は早足で駆け出した。
 物陰を伝いながら走ること暫し、重々しい門の所まで辿り着くと、冷桜は設置された開閉操作用と思しきレバーに取りついて、両腕に思い切り力を込める。
「門を開けさえすれば、こっちのもんですからね……!」
 そうしてレバーが下ろされると同時――重々しい音を立てて、砦の門が開かれた。

「よし、開門完了だ。これで砦の機能は使えない」
「ですね。あとは義龍と配下の撃破です」
 砦の奥から流れて来る敵の気配に目を向けつつ、二人が最初にしたのはパラドクス通信の発動であった。
 本来であれば鳴る筈の警報は、通信機が現れても一向に沈黙したままだ。それは同時に、天魔武者を守る砦の機能が完全に解除されたことの証左でもある。雪人と冷桜は頷きを交わし合い、じきに駆けつけるであろう仲間たちの道標となるように、砦の奥を目指して駆け始めた。
「ここからが本番だわね。じゃ、気張って行きますか」
「ああ。義龍を討って、不破の関を制して……美濃攻略の第一歩を踏み出そう」
 門が開かれた今、天魔武者を守る機能は最早無い。
 復讐者たち頷きを交わし合い、砦の奥へと駆けて行く。義龍との因縁に決着をつけ、不破の関を制圧するために――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

 突入の手引きが完了して程なく、復讐者たちが砦の中心部に到達すると、其処には天魔武者の一団が待っていた。
 最前列に立つのは、迎撃態勢を整えた銀閃鬼兵の群れである。無言で銃を構える彼らが纏った気配は、死を覚悟した兵士の其れだった。最後の一兵まで戦い抜く――そんな不退転の覚悟を、復讐者たちは即座に感じ取る。

『……やはり来たか、ディアボロス!』
 そして。護衛である鬼兵たちの後方、その武者は声を響かせた。
 両腕に大蛇の武装を施した、一体のジェネラル級天魔武者――あくなき野心を湛えた瞳で復讐者を睨みつける彼こそ、不破の関を守る『斎藤義龍』その者に間違いない。復讐者との長き戦いに決着をつけるべく、彼はこの場に立っていた。
『俺にとって、お前たちディアボロスは不倶戴天の敵。その因縁を、今日ここで終わらせてやろう!』
 得物の槍を構え、堂々と義龍が告げる。
 天魔武者と復讐者、この戦場を生きて出られるのは片方のみ。そして当然、己にここで朽ちる気はないと。
 同時に復讐者たちも悟る。目の前の相手が、自らの全てを賭してこの戦いに臨んでいること。そして、自らの勝利を今なお信じて疑っていないことを。
 この戦いは激戦になる――誰が言うともなく、戦場に立つ全員がそのことを確信する。

『我が夢のため、野心のため。いざ勝負だ、ディアボロス!』
 天正大戦国、美濃国は不破の関。
 彼の地を巡る最終決戦の幕が、今まさに上がろうとしていた。

『いざ勝負だ! ここで決着をつけるぞ、ディアボロス!』
 配下の銀閃鬼兵を従えて、斎藤義龍が吼える。
 その表情には自信が漲り、自分の敗北など露ほども考えていない様子だ。
 復讐者の力を認め、その上で最後は勝つと言ってのける彼の態度は、己への過大評価から来る偽りの自信とは無縁である。そんな彼と配下たちを前に、復讐者が取れる選択は二つ。戦うか、問いを投げるかだ。

 前者であれば話は速い。義龍も鬼兵も、即座に応じるだろう。
 問題は後者である。いま問いを投げたとして、むろん義龍が拒否することは無いだろう。
 ただし、彼は復讐者を不倶戴天の敵と見做している。そうした相手に、刃を交える前から重要な情報を話すかと問われれば恐らくは否だ。
 相応の情報を欲するならば、復讐者が義龍の敵に相応しいことを『行動』と『結果』で示すこと。
 すなわち刃を交え、ジェネラル級たる義龍を追い詰める――そうすることで、会話に応じる可能性も、そして恐らくは彼の知る情報を話す可能性も上がることだろう。

 静寂に包まれた戦場で、時間は刻々と過ぎていく。
 斎藤義龍と配下たちに対し、復讐者の選ぶ行動は果たして――。
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

油断なく敵陣を観察し、その実力と動きを見極めて
後への布石として決戦開始を演出するべく静寂を切り裂き宣戦布告
戦場全体の空気を此方のペースへ引き寄せつつ
【先行率アップ】で先手を取るべく機を窺う

斎藤義龍、お前を放置できないのは俺達復讐者もまた同じ、元より不退転の覚悟で来た。
護衛にどれだけの精鋭を揃えていようとも、必ずやその首へと刃を届かせよう。
文月雪人、いざ参る!

『虚実潜霊』のパラドクスを使用
虚空を切り裂き召喚した妖の群れと共に
パラドクスの力を宿した刀で敵を切り裂き【命中アップ】

銀閃鬼兵、トループス級とは言え精鋭だ
並みのアヴァタール級達より実力も高いだろう
だがそれで臆する事はない
此方にもまた頼もしい仲間がいる
先陣を切って戦う事で仲間の攻撃へと繋げよう

一度に何体も相手にはしたくない敵ではあるが
逆説連鎖戦であればこそ全てに反撃も行える
襲い来る弾丸を刀で弾いてダメージを凌ぎつつ
火剋金、陰陽五行の理を活かして炎の妖に飲み込ませる
一撃一撃で押し負けぬよう、確と敵の動きを見極め対処したい


 不破の関に立て籠もり、起死回生をかけて復讐者との決戦に臨む『斎藤義龍』。
 彼を前に復讐者たちが下した決断は、『銀閃鬼兵』たちの撃破であった。
 火縄銃を構え、義龍を護衛するように展開するトループス級の群れ。そんな彼らを退けるべく、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は先陣を切って戦いを挑もうとしていた――。

「斎藤義龍。お前を放置できないのは、俺たちもまた同じだ」
 戦場の静寂を切り裂いたのは、雪人の堂々たる口上であった。
 元より自分たちも、不破の関を守る天魔武者との戦いに不退転の覚悟で臨んでいる。護衛にどれだけの精鋭を揃えようと、必ずやその首へ刃を届かせてみせる――と。
 首魁である義龍を見据えて告げる雪人に、義龍もまた復讐者の決意を理解したらしい。鋭い視線で雪人を睨みつける彼の前で、鬼兵の一団が戦闘態勢を取ったまま義龍に言った。
『義龍様。ここは我らに』
『うむ』
 同時、鬼兵たちが一斉に動き出し、雪人を囲むように展開していく。
 一糸乱れぬ動きと、そして義龍を襲う復讐者への警戒も怠らない動きは、明らかに強敵のそれだ。目の前のトループスたちが油断ならぬ相手であることを瞬時に把握しつつ、雪人は鬼兵たちを見澄ました。
「文月雪人、いざ参る!」
 その言葉と同時、戦場に吹き抜けるは先行率アップの風。
 不破の関を巡る最後の戦いは、雪人の先攻によって幕を開けるのだった。

「虚を裂き咲きて、潜みしモノよ実を結べ!」
 雪人の手刀が、『虚実潜霊』のパラドクスを込めて虚空へと振り下ろされる。
 切り裂いた空間から現れたのは、雪人に召喚された妖怪の群れ。素早さに優れた彼らは一斉に戦場の影に溶け込んで、陰陽五行の力で鬼兵たちを攻め立てていく。
「逃がしはしない、そこだ!」
 降り注ぐ火と水を浴びる鬼兵を狙い済まし、雪人が刀を構えて跳躍する。
 逆説連鎖戦の力で瞬時に間合いを詰め、立て続けに斬撃を浴びせる雪人。刀身に宿したパラドクスの輝きを浴びて、直撃を受けた鬼兵が爆散する。
 そして、次の瞬間――雪人を襲ったのは、鬼兵が放つ怒涛のごとき銃撃だった。
 少しでもダメージを凌ごうと刀を構える雪人だったが、パラドクスの力で跳ねる弾丸は変幻自在の軌跡を描きながらガードをすり抜け、彼に傷を負わせてくる。確実に威力を削ぐのなら、ガードアップを始めとする効果を駆使するのが確実――そう告げるように。
 復讐者と天魔武者、対峙する両者のパラドクスが応酬を終え、戦場が世界の理を取り戻す。
 雪人が見遣る先、銀閃鬼兵の隊列は僅かに戦死者を出したのみで、今なお健在を誇っていた。

「……流石、といったところかな」
 隊列を組む鬼兵を前に、雪人はそう呟いた。
 虚実潜霊の攻撃時に発動した命中アップによって、今回は成果を挙げられた。だが命中アップを始めとする残留効果は未だ高いとは言えず、現状ではそう何度も幸運を期待できる状況ではない。逆説連鎖戦で有効な効果を積んでいくことは、義龍と戦う上で必須と言って良いだろう。
 この戦いは、間違いなく激しいものになる。
 そんな確信に近い予感を抱きながら、しかし雪人が浮かべる自信に満ちた笑顔は崩れることは無かった。何故なら、
「此方にもまた頼もしい仲間がいる。俺の戦いは、続く仲間が繋いでくれる!」
 雪人が告げた、その言葉を証明するように。
 今まさに、新たな復讐者が戦場へと駆けつけようとしていた――。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

呉守・晶
アドリブ歓迎

先行した仲間が門を開けてくれたから突入してきたぜ
へぇ、流石は斎藤義龍だ。堂々と出迎えてくれるとは流石だぜ
あぁ決着を付けようか、いざ勝負だ!

とはいえ、まずはお付きの銀閃鬼兵達を片付けねぇとな
流石にトループス級を残したまま斎藤義龍と戦えると思う程、俺達も己惚れちゃいねぇからな
魔晶剣アークイーターを構えて突っ込むぞ!敢えて戦国風に言うなら、一番槍は貰ったぁ!ってな……いや、俺の武器は槍じゃなくて大剣だが
着弾寸前まで認知できない弾丸だろうが【未来予測】で1秒先を、その着弾の瞬間を見ればいいんだろ!それで避けられるものは避けて、切り払えるものは切り払い、どっちも無理なもんは急所だけは避けるように着弾位置をズラしながら吶喊するぞ!
間合いにまで踏み込めば、火縄銃を向けて撃ってくる前に斬って斬って斬りまくってやるよ!
本命は斎藤義龍の首だ!前座はさっさと退場して、俺達と斎藤義龍との決着の邪魔をするんな!
と、まぁ前口上や戦いの最中でも斎藤義龍を持ち上げつつも奴との勝負に特別な感情を匂わせとくぞ


 斎藤義龍との決戦に先立ち、銀閃鬼兵に攻撃を開始した復讐者たち。
 いまだ鬼兵が熾烈な抵抗を続ける戦場に、新たな応援が駆け付けたのは正にその瞬間であった。

「流石は斎藤義龍だ。堂々と出迎えてくれるとは流石だぜ!」
 開け放たれた城塞の門から、力漲る声が響く。
 声の主は呉守・晶(TSデーモン・g04119)。救援機動力で駆けつけた彼女は、戦場後方の義龍に挑戦的な視線を向けると、そのまま視線を護衛の鬼兵たちへ移した。
「俺も勝負を申し込むぜ、義龍! だがその前に、まずはお付きの方を片付けねぇとな!」
 晶が見遣る先、護衛部隊である鬼兵たちは未だその力を喪うことなく保っている。
 強敵である義龍と戦うにあたり、リスクとなる護衛の事前排除は必須――それは晶や雪人をはじめ、恐らく殆どの復讐者が同意する方針であろう。
 故に晶は決めている。その一助となるべく、今は鬼兵の排除に全力を掛けるのだと。
「始めようぜ、アークイーター。斬って斬って斬りまくってやる!」
 晶の構える魔晶剣が狂暴な光を帯びる。同時に彼女が展開していくパラドクスの光が、逆説連鎖線の開始を告げていた。

「行くぜ、まとめて蹴散らしてやる!」
 咆哮を戦場に響かせると同時、晶は地を蹴って駆け出した。
 魔晶剣アークイーターを構えた彼女の体躯が、逆説連鎖戦の力によって鬼兵の間合いへ瞬時に移動を完了する。次の刹那、『勇鼓吶喊』の斬撃が立て続けに、鬼兵の隊列へ降り注いだ。
「食らいやがれ!」
『ぐぅ……!』
 一切の恐れを排して晶が仕掛ける勇猛果敢な斬撃が、雪崩のごとき勢いをもって襲い掛かる。その猛攻に晒されて、雪人の攻撃で負傷していた鬼兵が一体、二体と撃破されていく。呼吸する間も惜しむように斬撃を浴びせ続ける晶の攻勢は、着実に鬼兵の戦力を削り、じりじりと敵を押し込み始めた。
「……っ!」
 しかし次の瞬間、更なる追撃を浴びせんとした晶の体が、不意の衝撃を受ける。
 それが鬼兵たちの放った不可視の弾丸だと瞬時に悟って、晶は唇を噛んだ。残留効果無しでの防御や無効化は至難の射撃。戦闘不能に陥る傷でないことを確認すると、晶はいっそう戦意をかき立てられたように、不敵な笑みを義龍へと向けた。

「多少の傷なんか気にしねぇ。どっちが先にくたばるか、保身抜きの全力勝負……そうだろ、義龍!」
 晶は言う。これは、ちまちまと守るような戦いではない。互いの全てをぶつける戦いだと。
 その為にも、いつまでも前座に関わっている暇はない――そう無言のうちに告げて睨みつける鬼兵たちは、今や着実に数を減らし、追い込まれつつある状況だ。
 あと一押しで鬼兵の部隊は落とせる。そう確信を抱きながら、晶は改めて啖呵を叩きつけた。
「本命は斎藤義龍の首だ! 俺たちと、義龍の決着の邪魔をすんな!」
『ディアボロスめ……言ってくれる!』
 槍を構えた義龍の全身に、溢れんばかりの戦意がゆらめく。
 不破の関を巡る最終決戦は、復讐者の目前に迫ろうとしていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【未来予測】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!

テテル・グリーズ
アドリブ・連携歓迎
普段の口調であるカタカナ混じりは本日少なめ

復讐者の力を認めつつもそれに勝つと豪語する大将
その心意気嫌いじゃないぜ
報告書を見るに散々プライドを傷つけられるような扱いを受けていたらしいがそんな背景が全く見えない堂々とした態度だ
同行している鬼兵達も半端な心構えでここにいるとは思えねぇな
でも案内人の話でチョイと気になる話を聞いた
「自分達の番が来た」「いい夢を見た」とな
その時と今と状況は違うから同じ考えとは限らねぇが
もし同じ考えなら考え直してほしいモンだぜ
大将は負ける気がない
どんな苦境も乗り越えた大将を信じてお前らも負ける気無しでかかって来いよ
俺はそんな心構えのヤツの相手が好きなんでな

妖刀を抜刀、普段は使わない呪いの力を解放し、真正面から鬼兵達にぶつかる
全身全霊を賭けて勝負しようぜェ!
鬼兵のパラドクスにちらりと目をやれば
跳弾…こりゃ避けられねぇな
だがそれより今は攻撃だ
戦う相手の姿を見て、腹の底から戦意が湧いて止まらない
それに反応するブラッディオーラで威力を殺せたらラッキー、ってな


野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎

不退転の覚悟……『斎藤義龍』の夢に最後まで付き従う者たちですか。
彼らにとって『斎藤義龍』は夢を託し、命を預けられる存在ということでしょうか。
ですがその夢を叶えられては私たちの望む未来は訪れないでしょう。
『斎藤義龍』への道、切り開かせてもらいます。
立ちふさがるならば押し通るまで。

銃の使い手が相手なら距離を詰めて戦いましょう。
使う刀は《雷光刀『雷花』》です。
戦国時代には「鉄砲切り兼光」のような鎧ごと火縄銃を刀で斬った逸話だって存在します。
手に持った銃ごと天魔武者を斬るくらいの勢いで、こちらにも不退転の意思で決戦に挑んでいると叩きつけてやりましょう。

弾丸が不可視で防ぐのが困難であれば、相手に万全の体勢で射撃させず威力を減じさせることを狙いましょう。
【命中アップ】で狙うはその銃を持つ腕、射撃の精度が落とせれば致命傷を受ける可能性も減るはず。

この戦いの勝利は決して譲りません。
『斎藤義龍』、あなたの夢はディアボロスが阻止します。


 天魔武者『銀閃鬼兵』の部隊と対峙する復讐者たち。
 互いに一歩も譲らぬ攻防の行方は、しかし着実に復讐者側の優勢に傾き始めていた。
 逆説連鎖戦のパラドクスが交錯する度、義龍を護衛する鬼兵たちは櫛の歯が欠けるように撃破されていく。だが――それで尚、彼らに諦めの色は無い。
 火縄銃が放つパラドクスの弾丸は、最後の一兵まで戦い抜く決意を秘めたもの。
 そんな天魔武者たちを前に、今、新たに駆けつけた復讐者たちが最後の攻撃を開始しようとしていた。

「復讐者の力を認めつつ、それに勝つと豪語する大将か。その心意気嫌いじゃないぜ」
 後方から鬼兵たちの戦いを見守る義龍へ、テテル・グリーズ(まがいもの・g08976)は告げた。
 今までに関わった作戦では、天魔武者勢力からも軽い扱いを受けて来た義龍。だが、いま対峙している相手は、そんな背景など全く感じさせない堂々としたものだとテテルは感じている。今なお身を挺して義龍を守っている鬼兵の戦いぶりからも、そのことは明らかだ。
「お前にでっかい野望があるのは理解したぜ、義龍。だが、俺たちも退く訳には行かないんでな」
 妖刀カースファルシオンを抜き放ち、戦闘の意思を示すテテル。
 そんな彼を阻むべく、火縄銃の銃口を突きつける鬼兵たちの瞳に宿る不退転の覚悟を見て取り、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)が呟きを洩らした。
「銀閃鬼兵……『斎藤義龍』の夢に最後まで付き従う者たちですか」
 劣勢が明らかとなって尚、鬼兵の戦意が不動であることを、裕樹は確かに感じ取る。
 彼らにとって義龍は夢を託し、あるいは命を預けられる存在なのだろう。
 だが同時に、裕樹は理解している。彼らは天魔武者であり、復讐者の敵であることを。彼らが夢を叶えることは復讐者の、ひいては人類の未来が閉ざされることと同義であることを。
 故に、裕樹が鬼兵たちに出来ることは只一つ。復讐者として全力で戦い、彼らを討ち果たすのみだ。
「『斎藤義龍』への道、切り開かせてもらいます。立ちふさがるならば押し通るまで」
 雷光刀『雷花』を構え、裕樹が告げた。
 同時、鬼兵たちの全身から殺気が迸り、無言を保ったまま火縄銃の発射体勢に入る。
 復讐者と銀閃鬼兵、対峙する両者の死闘。その始まりを告げるように、戦場に一陣の風が吹き抜けていく。

 先行率アップに背中を押され、先陣を切ったのは裕樹であった。
 雷花の切先を天に掲げ『雷光刀閃・矢車菊』を発動。一条の雷光が夜空を切り裂き、闇を照らす。
「迸れ、『雷花』」
 そうして――逆説連鎖戦の開始と同時、刀光は雷となって戦場を駆け巡った。
 力と速さを兼ね備える剣速は、いかなる標的も逃さない。雷花を振るう度、鬼兵の体は両断されて吹き飛んだ。その斬撃に裕樹が込めるのは、自分たちも不退転で決戦に臨むという意思表示である。かつて戦国時代、鎧ごと火縄銃を刀で斬った逸話を持つ『鉄砲切り兼光』のように、銃もろとも天魔武者を斬るという決意を秘めて。
「この戦い、勝つのは私たちです!」
 雷よりも高らかに、裕樹の決意が響く。
 鋭く、迅く、そして容赦なく。雷光のごとき猛攻が鬼兵を一体また一体と葬り、その隊列を削り取っていく。
 ダメージアップを込めた斬撃は、捉えた兵を一刀のもとに斬り伏せた。言葉を遺すことなく死んで行く鬼兵の最期を義龍が無言で見守る中、鬼兵たちが放つのは認知不能の弾丸による射撃だ。
「……これは、確かに防ぐのは困難ですね。ですが……」
 銃弾を身体に浴びながら、しかし裕樹は倒れることなく踏み止まる。
 万全の状態で受ければ脅威であったろう攻撃も、兵を多く失った今では復讐者の勝利を脅かすには至らない。
 もはや数える程にまで頭数を減らした鬼兵たち――そんな彼らを一気に蹴散らすべく、カースファルシオンを構えたテテルが最後の攻撃を浴びせんと肉薄していった。

「最後の一兵まで戦う気持ちは、まだ変わらないか……おい、お前たち。一言だけ言っておくぜ」
 抗戦を続ける鬼兵たちを油断なく見澄ましながら、テテルは言った。
 主である義龍は今も復讐者に勝つ気でいる。そんな天魔武者の配下なら、お前たちも勝つ気でかかって来いと。そう告げる彼に鬼兵たちも重い口を開き、テテルに言い返す。
『笑止だな、ディアボロスよ。義龍殿は将であり我等は兵、将と兵が果たすべき役目は別だ』
『我等の役目は命を賭してお前たちを阻み、義龍殿の勝利に繋げること。その為なら、我等は喜んで捨て石と為ろう!』
 最後の一兵、最後の一秒まで、復讐者に抵抗する。
 すべては主たる義龍の勝利の為に。
 それが自分たちの、兵士としての義龍への忠義だ――その言葉を行動で示すように、鬼兵の銃が銀色の弾丸を吐き出した。跳躍を繰り返す弾の狙撃を、テテルは敢えて受ける。被弾の負傷など大したことは無い。腹の底から湧き上がる戦意、そして全身を駆け巡る血潮の熱さは、痛みを彼に忘れさせていた。
「……お前たちの覚悟、判ったぜ。なら容赦なしだ、全身全霊を賭けて勝負しようぜェ!」
 同時、カースファルシオンから、膨大な呪詛が溢れ出る。
 パラドクス『神蝕呪刃』によって解放されたその力は、特別な時のみ使うとテテルが決めたもの。
 増幅された怒りを込め、テテルが真正面から鬼兵たちにぶつかっていく。その一閃に込めるのは妖刀の呪詛と、眼前の相手を一撃で葬るという決意だ。
「あばよ。これで終わりだ!」
 妖刀の斬撃が、呪詛を帯びて闇を走る。
 刀を介して伝わる手応えと同時、鬼兵が一体残らず爆散し果てていく。最期の刹那に見せたその顔が、テテルには穏やかな笑みに思えてならなかった。

 そうして――ひとつの戦いの決着を見届けて、義龍は静かに槍を構えた。
『……鬼兵たちよ、忠義は忘れん。ディアボロスの首級、この俺が必ず挙げてみせる!』
「この戦いの勝利は決して譲りません。『斎藤義龍』、あなたの夢はディアボロスが阻止します!」
 対する裕樹もまた、雷花の切先を義龍へと向ける。この戦場に集う、復讐者たちの思いを代弁するように。
 張り詰めた空気が満ちる中、戦いは更に続いて行く。
 ジェネラル級天魔武者『斎藤義龍』――不破の関を守る将との決戦が、今まさに始まろうとしていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【腐食】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!

白・明江
往生際が悪い――って言うたら悪いんかな。勝つ気満々なんやもんな。
まあ、自慢やないけど俺かて散々負け戦ばっかり経験して、それでもあきらめ悪くあがきまくった結果の復讐者ライフやでな。ヒトのことどうこう言える筋合いもないわ。
せやから、ただの人類史の敵として討たせてもらおか。

使用武器は大闊板刀『狴犴』
初手から真っ直ぐに突撃――考えなしに見えるか?
せやけど、【殺開血路】は反撃を受ければ受けるだけ俺の攻撃力を上げるパラドクス。
義龍の変幻自在の槍さばき、最初から完璧に見切って防ぐなんていうのはどうせ不可能や。だったら、多少なりと突かれるのを前提にして、徐々にその槍の動きに慣れていけばええ。
そして、動きの隙を見極めて義龍に一撃をぶち込む。『狴犴』の刃はごっついでな、義龍の装甲がなんぼのもんやろうと、当たったらタダじゃ済まへんで。

攻撃の速度や精度が義龍に届くくらいまで高まる前に、体力が尽きてもうたら、詰みやな。
こればっかりは、やってみないことにはわからへん。根性で何とかするしかないな。


 美濃国は不破の関、その中心部。
 全ての銀閃鬼兵を退けた復讐者たちは、首魁の天魔武者といよいよ決戦の時を迎えんとしていた。
 大蛇のような両腕に、鋭槍を構える武者の名は『斎藤義龍』――《七曜の戦》以前より復讐者と因縁を持つ、ジェネラル級の一体である。
「往生際が悪い――って言うたら悪いんかな。勝つ気満々なんやもんな」
 巨大で分厚い板をブンと振るう音が、戦場に響く。
 否、それは板ではない。白・明江(腥紅狼・g11020)が手にする大闊板刀『狴犴』の刀身だ。
 幅広かつ長大な片刃の剣、その切先を義龍に突きつけて、復讐者の青年は不敵に笑う。負け戦を重ね、それでも心折れずに足掻き続ける――そんな義龍の身の上は、復讐者として明江が歩んできた道とも重なっていたから。
「せやから、ただの人類史の敵として討たせてもらおか」
 真剣な眼差しで狴犴を構える明江に、義龍が無言で槍を構える。
 不気味に蠢き始める大蛇の腕と、戦場を席巻する熱気が、死闘の開始を告げていた。

「どかへんかったら叩ッ斬んで!」
 狴犴が唸りを上げて、義龍目掛けて襲い掛かった。
 初手からの真正面、小細工なしの全力攻撃。それが明江の取った戦法だ。
 物理や時間の概念に縛られない逆説連鎖戦においてさえ、その行動はあまりに無謀――何も知らぬ者が見れば、明江の行動はそのように映ったかも知れない。
(「せやけど、これでええ。俺の『殺開血路』は、この戦法が最も強い!」)
 彼が駆使するパラドクスは、敵と鎬を削りながら動きの癖を見極め、威力と精度を増した一撃を浴びせるもの。
 故に、正面からの力押しを行う戦いは、彼にとって最も望むところなのである。
 ジェネラル相手に無傷で勝つなど、端から望んではいない。競り合い斬り合い――その上でねじ伏せるのみだ!
「斎藤義龍! いざっ!!」
 刹那である。
 明江の言葉に応じるように、槍を持つ義龍の腕がしなり、音無き刺突となって放たれた。
 人間型の関節構造を完全に無視した、宙を飛ぶ大蛇のごとき一撃。物理も間合いも無視した軌跡を、明江は狴犴だけを頼りに懸命に捌き続ける。

 義龍の刺突に明江が圧倒され続けたのは、最初の十数秒ほどだった。
 それから十数秒が経つと、刺突で負う傷は目に見えて浅くなり、代わって狴犴の刃が槍の穂先を捉え始めた。
 それから更に十数秒てば、両者の攻防は逆転し、狴犴の刃が義龍の槍を追い込み始めた。
「ギリギリ『詰み』は免れた……ってとこやな」
 そう不敵に笑う明江の顔は、刃傷で赤く濡れている。
 顔だけではない。絶え間なく繰り出された攻撃は彼に傷を刻み、全身を血で染めていた。
 アヴァタール級とは比較にならぬ攻撃を凌ぎ切り、紙一重で掴んだ好機。気合と根性で掴み取ったそこへ、明江は残る全ての体力を注ぎ込み、渾身の一発を叩き込む――!
「『狴犴』の刃はごっついでな。装甲がなんぼのもんやろうと、当たったらタダじゃ済まへんで!」
『……っ!』
 重く、分厚く、巨大な刀身。それが今、勢いよく義龍へ叩きつけられた。
 ホームランを狙う金属バットのごとく直撃する刃が、義龍の重厚なボディに食い込む。火花と共に飛び散る金属の軋みは、決戦の開始を告げるように、高らかに戦場に木霊するのだった。
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

陳・桂菓
義龍か。人類史では、父の道三が美濃を信長に譲ろうとしたのに叛逆してこれを討ち、後も信長に抗戦を続けたとされる驍将だな。その名を奪ったわけか。
旺盛な野心や勇猛果敢ぶりはなるほどと思わんでもない。が、威勢の良さだけでは引っ繰り返せないものがあることを、思い知ってもらおう。

使用武器は朴刀『驪竜』
槍の軌道がどうでも、狙うべき本体が見えているなら構わん。私の出来うる最速でもって一気に肉迫し、義龍の胴に斬りかかる。
義龍の変幻自在の槍術はなるほど見切りづらかろうが、義龍が私の速度を捉えられないならばどのみち当たりはしないはず。
そして義龍の体も剛強なる鋼であろうが、斬れ味と重量のある朴刀の刃であれば一刀両断――は無理でも、当たれば多少はダメージがあるだろう。

そのまま一気に押し切れれば良いが、いずれ私の速さにも慣れられるだろう。
そうなったら全速力で逃げを打つ――ふりをして、うんと腕を伸ばして槍撃を放ったところで切り返し、伸びきった腕に斬撃を見舞う。
斬り落とすのは無理でも、勢いを殺す程度はできるだろう。


 戦場に微かな羽音が響き、新たな復讐者の到来を告げる。
 夜陰が覆う闇の中、門から現れたのはインセクティアの無双武人――陳・桂菓(如蚩尤・g02534)だ。
 到着と同時、義龍と対峙する桂菓。いつでも戦闘に応じられるよう、その手には薙刀にも似た形状の朴刀が握られていた。
「奴が義龍か。人類史では、父の道三に叛逆してこれを討ち、信長に抗戦を続けたとされる驍将だが……」
 朴刀『驪竜』を構えながら、桂菓の視線が標的を見据える。
 対峙する先、義龍の名を奪った天魔武者もまた、槍を構えたまま鋭い視線を投げ返す。そこに宿した眼光は刃めいて鋭く、彼の旺盛な野心を雄弁に物語るものだ。
 勇猛果敢な戦いぶりと併せても油断できる相手ではない――桂菓はそう判断する。だが、
「威勢の良さだけでは引っ繰り返せないものがある。そのことを、思い知ってもらおう!」
 視線で切り結ぶように、更なる鋭い視線を投げつけて。
 パラドクスを発動した桂菓の翅が、彼女の体を驪竜もろとも宙へ浮かび上がらせた。

 逆説連鎖戦の開始と同時、桂菓が矢の如き勢いで義龍めがけ突撃して行く。
 全身を覆うのは真紅に輝く闘気。それは彼女の『単駆突赴』が発動したことを告げるものだ。暗闇が覆う戦場の中に紅色の軌跡を描きながら、驪竜の刀身が瞬く間に義龍を捉える。
「突き破る!」
『……面白い、やってみろ!』
 決意を秘めた刃が、桂菓の手で唸りをあげた。
 対する義龍もまた、槍を構える腕をうねらせ――伸縮自在の槍撃を桂菓めがけて放つ。
 同時、戦場を席巻するのは、鎬を削りあう鋼の音だ。驪竜の刃、そして義龍の槍。斬撃を受け止め、刺突を払い、激突する両者が火花を散らし、両者の生命を込めた激しい響きを伴って響き合う。
『おおっ!』
「……っ!」
 義龍の槍が、千変万化にして伸縮自在の軌道を描く。
 元より間合いの概念が通用しない逆説連鎖戦にあって、その攻撃を見切ることは至難だ。桂菓はインセクティアの翅を駆使した速度で戦場を飛び回るが、そんな足掻きを嘲笑うように槍の刺突は四方八方から襲い掛かって来る。
「まさか、これほど早く捉えて来るとは……流石はジェネラル級か!」
 傷ついた身を宙で翻し、門へと急ぐ桂菓。果たしてその隙を逃さず、義龍の腕が槍を構えて伸びる。
 態勢を立て直すべく逃げを打った――義龍の目に、桂菓の行動はそう映ったのかもしれない。
 だが、この展開こそ、まさに桂菓が臨んでいたもの。敵が誘いに乗ったことを確信すると同時、桂菓は再び宙で身を翻す。そうして突っ込む先は――義龍の懐であった。

「おおおおおおおおぉぉぉぉっ!!」
 桂菓の全身から、燃えるような闘気が迸る。
 真紅の濃さを一層増した突撃。驪竜の刃で光の尾を描いて迫る姿は一条の流れ星にも似て、義龍を捉えた。
 狙うは命中アップが導く先、剛強なる鋼の胴体だ。突撃の速度、驪竜の重量、そして勝利への信念。それら全てを込めて、桂菓の闇を断つ一閃が義龍の肉体に食い込む。
『ぬうんっ!!』
「――!」
 確かに命中させた一撃は、しかし直撃には僅かに至らず。
 凄まじい衝撃を伴う槍の刺突に、桂菓の体が玩具めいて吹き飛ぶ。桂菓は驪竜の刃で間一髪、深手を免れて踏み止まると、いまだ衰えぬ闘争心を宿す瞳で義龍を見遣った。
「やはり、そう簡単には斃れてくれん……か」
 驪竜の刃傷を浴びてなお、敵の動きには些かの衰えも見られない。
 ジェネラル級たる天魔武者の強さを示すように、壁となって立ちはだかる斎藤義龍。
 その双眸に宿された戦意は、更なる死闘の始まりを雄弁に物語るように、なお激しさを増していく――。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!

文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

配下もまた見事な戦いぶりだった、七曜の戦の頃とは大違いだな。
敗北がお前をここまで強くしたのだとしたら、
斎藤義龍、やはりお前は侮れない相手だ。

経験に学べる者の強さを俺達は良く知っている。
俺達ディアボロスもまた、嘗て敗北して世界から排斥された身だ。
それでも猶折れぬ心が、復讐者として俺達を今へと導いた。
泥臭かろうとも、手を伸ばさなければ得られないものがある。
だからこそ俺達は足掻き、走り続けてここにいる。
お前もそうであるのでは?
成程これぞ宿命の敵と言うべきか。

野望を抱き、何度敗れようとも折れる事無く突き進む。
それこそが天魔武者の神髄であるならば、
お前が真に目指しているのも只の大名ではない筈だ。

6月に信長は退き断片の王が交代する、だがそれで終わりではないのだろう?
この地は天正大戦国、安土桃山でも江戸時代でもない。
世界の根幹が天下を勝ち取る事にあるのだとしたら、
王の交代もまた一度だけとは限らない。
己の力を示し、より多くの大名達に認めさせた者こそが『覇王』となるべきだろう。
違うかい?


 不破の関を巡る最終決戦が開始されて程なく、新たに義龍の前に立つのは一人の青年であった。
 名を文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)。
 砦への潜入と開門、銀閃鬼兵の撃破と、この作戦で大きな活躍を見せる彼は、対峙する義龍を見澄ましながら口を開く。
「配下もまた見事な戦いぶりだった。七曜の戦の頃とは大違いだな」
『……ふん』
 雪人が《七曜の戦》に言及したことで、義龍の眼光に屈辱の色が混じる。
 伊勢国制圧を目論み、復讐者の襲撃によって夢破れ。砦を放棄して逃げる時は、呪いの言葉を残して退散し。
 そうして今、この場に立って復讐者と対峙している義龍の姿は、あの時と見違えるようだと雪人は告げた。
「敗北がお前をここまで強くしたのだとしたら、斎藤義龍、やはりお前は侮れない相手だ」
『……何が言いたい?』
 油断なく槍を構えたまま、問いを投げる義龍。
 旺盛な戦意と野心を湛える眼光に、涼しい色を帯びた視線をかち合わせ、雪人は話を切り出した。

「経験に学べる者の強さを俺たちは良く知っている。俺たちディアボロスもまた、嘗て敗北して世界から排斥された身だ」
 雪人は言う。それでも猶折れぬ心が、復讐者として自分たちを今へと導いたと。
 泥臭かろうとも手を伸ばさねば得られないものがある――そう知るからこそ、雪人も彼の仲間たちも、足掻き、走り続けてここに至ったのだと。
「斎藤義龍。お前もそうであるのでは?」
 問いかける雪人に、義龍は重々しい声で言葉を返した。
『……潔く散るより、泥を啜ってでも機を伺う。俺にとって闘争とはそう言うものだ』
「成程。ではお前は、俺たちにとって宿命の敵と言うべきか」
『――!』
 雪人の口が『宿命の敵』という単語を紡いだ瞬間、義龍の眼が一瞬、強い光を宿す。
 光に宿る感情は、共感や同意といったニュアンスの其れではない。強いて言うのなら、それは『苛立ち』という感情が最も近いだろう。
 その矛先が、他でもない義龍自身へ向いているらしきことを感じ取り、雪人は首を傾げる。
 ――彼は一体、何に苛立ちを覚えたんだろう?
 ほんの刹那の間に見せた感情の源を知れぬまま、雪人の話はいよいよ本題に及ぼうとしていた。

「野望を抱き、何度敗れようとも折れる事無く突き進む。ならば、お前が真に目指しているのも只の大名ではない筈だ」
『……』
 口を閉ざす義龍に、雪人が問いを投げる。
 断片の王である『織田信長』は6月に死を迎え、王の交代が行われる。
 『豊臣秀吉』、あるいは『徳川家康』――現在の天正大戦国では、この2体が後継を巡って争う状況だ。だが、
「それで終わりではないのだろう? 世界の根幹が天下を勝ち取ることに有るとしたら、交代が一度だけとは限らない」
『…………』
 義龍は肯定も否定も返さない。そんな彼へ、さらに雪人は続ける。
 己の力を示し、より多くの大名たちに認めさせた者こそが『覇王』となるべきだろう、と。
「俺はそう考えているけど。違うかい?」
 そうして暫しの沈黙が流れた後。義龍は、それまで閉ざしていた口を開く。
『……信長様の後継者は、秀吉殿か家康殿と決まっている。そして――』
 其の声に一層強い憤りを込めて、義龍は言葉を紡ぐ。
『断片の王は遍くジェネラル級を従える圧倒的存在であり、その王座も軽いものでは無い。少なくとも、数人のディアボロスも仕留め切れぬ力では、務まらぬ位にな……!』
 復讐者と直に刃を交え、それは初めて彼が実感したであろう思い。
 同時に、雪人と全ての復讐者たちに義龍は吼える。不倶戴天の敵と見做した相手を未だ脅かせぬ、己が未熟さへの苛立ちを振り払いながら。
『お前たちを此処で殺し尽くせぬようでは、断片の王など夢のまた夢。――来い、ディアボロス!』
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

文月・雪人
成程、奢る事無く己を冷静に見極めていると。
だがディアボロスの力も見くびって貰っては困る。
殺し尽くすだなどと、これが俺達の限界とは思わぬ事だ。
刃を重ねる毎に、戦いを重ねる毎に、一戦一戦を糧に強くなる。
今はまだ届かずとも、孰れは秀吉も家康も倒してみせよう。
全世界の奪還こそが俺達ディアボロスの目指す道。

刃と共に投げる言葉に返答はないだろうが、揺さぶりにはなるかもしれない
己への苛立ちもまた成長への糧
先々に向けて油断ならない相手と思えばこそ
今ここで倒さねばならないと改めて感じるよ

『光明一閃』のパラドクス使用
パラドクスで強化した観察眼と洞察力で義龍の中の本質を見極める
僅かな逡巡をも見逃さず
可能な限り【先行率アップ】で先手を取って
此方のタイミングで間合いを詰めて【命中アップ】
【ガードアップ】で反撃の砲撃を凌ぎつつ
【ダメージアップ】な力と共に刀を振るい、光明一閃!

仲間と重ねた残留効果も未だ十分とは言えないけれど
それでもディアボロスの持つ粘り強さは感じでくれるだろうか

戦いはこれからだ
俺達はまだまだ強くなる


 戦場に、毒々しい濁気が渦巻き始めた。
 その源は斎藤義龍が放つ殺気である。己が野心のため、復讐者を殺し尽くす――そう決意した敵を前に、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は愛刀の『雪月花』を手に対峙していた。

「成程、奢ること無く己を冷静に見極めていると。……だが、ディアボロスの力も見くびって貰っては困る」
 手負いとなった義龍に、雪人が雪月花の切先を向けながら言う。
 自分たち復讐者は、刃を重ねる毎に、戦いを重ねる毎に、一戦一戦を糧に強くなる存在。そう簡単に殺し尽くされるほど、限界は低くないのだと。
「今はまだ届かずとも、孰れは秀吉も家康も倒してみせよう。何故なら――」
 何故なら、全世界の奪還こそが復讐者の目指す道だから。雪人がそう告げた瞬間、義龍の闘気が膨れ上がった。
 そこに宿るのは戦意、敵意、殺意。そして、それらを凌ぐ圧倒的な野心である。
『成程、やはりお前たちは不倶戴天の敵だ。ならばこそ、殺し尽くす価値もあるというもの』
 ギン、と耳障りな音を立て、義龍の腕が牙を剥いた。
 大蛇のそれに似た禍々しい両腕に、紫色の光が宿る。此処から先は力をもって語るのみ――そう無言で告げてくる義龍に、雪人の雪月花から溢れる白銀の粒子が、戦場を満たしていく。
「義龍。お前はこれから、ディアボロスの強さを思い知る」
『ならば俺は、それを上回ってやる。お前たちの屍をもってな!』
 復讐者と天魔武者。相容れぬ両者の死闘が、逆説連鎖戦となって再び幕を開けた。

 一陣の風が、戦場を吹き荒れる。
 追風を味方に地を蹴ると、抜刀した雪人が義龍へと疾駆した。
 逆説連鎖戦の力で瞬時に肉薄を果たす雪人。白銀の切先が義龍の脳天を捉えるかに思われた次の刹那、しかし背筋に走ったのは本能が告げる悪寒であった。
「――っ!」
 反射的に身構えた刹那、火のような激痛が雪人の脇腹を穿つ。
 視線を向けた先に映るのは、紫色の熱線を放つ二本の蛇腕。義龍が時空を書き換え、先んじて放った反撃だ。ガードアップで深手を免れたことに安堵しつつ、雪人の雪月花と義龍の蛇腕が壮絶な打ち合いを演じ始めた。
『逃がさん!』
「まだまだ……っ」
 手負いとなって尚、義龍の攻勢は熾烈そのものであった。
 けして攻め急がず、執拗で執念深い攻撃はまさに大蛇のごとく。四方八方から迫る熱線を雪月花で凌ぎつつ、雪人は改めて確信せざるを得ない。この敵は、確実に倒しておかねばならない相手だと。
(「自らの弱さへの苛立ち……それはそのまま、義龍の伸びしろに繋がりかねない。だからこそ――」)
 禍根の芽は、此処で確実に摘む必要がある。
 復讐の怒りを増幅させて、雪人は一気呵成の攻勢に転じていった。

 雪月花の剣閃が、白銀の輝きを帯びて放たれる。
 ダメージアップで威力を増した猛攻に、義龍が防戦に追い込まれ始めた。未だ余力を残している為か、その動きには若干の余裕が見て取れる。
(「残留効果も、まだ十分とは言えないか……それでも!」)
 それでも雪人は一向に構わない。この戦いに勝利する確信は些かも揺るがない。一人一人は弱くとも、積み重ねることで力を残し、続く仲間の道となる――それが復讐者の戦いだからだ。
 故に、雪人もまた決意する。この一閃をもって、新たな道を切り開こうと!
「……見えた、進むべき道はこの先に!」
 雪月花の刀身が、不屈の意思と勇気に輝く。
 次の刹那、蛇腕を打ち払った白銀の切先は、雪人の全身全霊の力を帯びて、義龍めがけ襲い掛かった。
「戦いはこれからだ。俺たちはまだまだ強くなる!」
 戦場を照らす『光明一閃』の斬撃。光の筋が弧を描いて走り、標的を捉える。
 装甲の断ち割れる鋭い音は雪人の決意にも似て、義龍に傷を刻むのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【建物復元】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

呉守・晶
アドリブ歓迎

聞きたいことはあるが、まだ答えてくれるとは限らんか
そうだな。刃を持って語り合う武人の流儀の合わせてやるぜ

流石は斎藤義龍、素直にそう思うぜ
史実で織田信長は斎藤義龍が病気で急死するまで美濃を制すことは出来なかったんだ、その名を持ったジェネラル級が弱いはずがないな!
それでこそ、俺らの宿命の敵将……これでこそ、俺の宿敵だ!
義龍を持ち上げるリップサービスもあるが殆ど本気でそう思うぜ

チッ!これはまるで、どこぞの有名ロボアニメみたいなオールレンジ攻撃のようだな!
なら、魔晶剣アークイーターの封印を一部解除して峰に魔力噴射スラスターを持った巨大な片刃大剣に変異させつつ突っ込むぞ!
地表スレスレを最高速度で【飛翔】して、更に魔力噴射スラスターを吹かして加速して義龍目掛けてかっ飛んでやる!
オールレンジ攻撃を防ぎきれないなら、最短最速で敵の懐に飛び込んで叩き斬るだけだ!
魔力噴射スラスターを全開にして刃を更に加速させて、高速斬撃をお見舞いしてやる!
これが義龍、お前の宿敵の力だ!
斬り裂け、アークイーター!


 不破の関を巡る最終決戦が、いよいよ前半の終わりに差し掛かる頃。
 斎藤義龍へ着実に傷を刻み続けた復讐者たちは、更なる攻勢をもって優勢を確実なものにせんとしていた。

「刃を持って語り合う武人の流儀。合わせてやるぜ、斎藤義龍!」
 闘志に満ちた少女の声がひとつ、戦場に反響する。
 魔晶剣アークイーターを手に宣言する彼女の名は、呉守・晶(TSデーモン・g04119)。銀閃鬼兵との戦いを制し、義龍との死闘に臨む復讐者だ。
 彼女が見澄ました先、義龍もまた晶へ口を開く。
『俺の配下たちを討ったディアボロスか。先程の男もそうだったが……成程、鬼兵で歯が立たんのも納得だ』
 そう呟く彼の体には、今までの激戦を物語る派手な傷があちこちに刻まれている。それで尚、勝利への執念を燃やし続ける姿に、晶が送ったのは惜しみない賛辞の言葉だ。
「へへっ。斎藤義龍と言えば、最終人類史でも名の知られた猛将……その名前を奪った天魔武者が弱い道理は無いな!」
 義龍から聞きたい情報がある晶にとって、実のところリップサービスも無くはない。
 だが、本気で紡いだ言葉かと問われれば、彼女は躊躇うことなく頷くことだろう。或いはそれは、目の前の天魔武者に晶が感じる何か――単なる一介の敵とは違う、宿命的な何かの所為かもしれなかった。
「それでこそ、俺らの宿命の敵将だな! よし、始めるか!」
 アークイーターを構え、不敵に笑う晶。
 その手に構えた魔晶剣が、一騎打ちの火蓋を豪快に叩き斬った。

 パラドクスの力が戦場を満たすと同時、晶が全力で駆けて行く。
 狙うは義龍の首ひとつ。逆説連鎖戦の開始された戦場を尋常ならざる速度で猛進し、両者の距離が瞬時に縮まっていった。
『捉えたぞ!』
 瞬間、義龍の両腕が晶へ迫る。
 関節の制限はおろか間合いの長短も無視するように、牙を剥くのは大蛇めいた二本の腕だ。鋼鉄くらいは容易く溶断するであろう熱線が、上下から左右から縦横無尽に晶へ襲い掛かる。
「チッ! どこぞの有名ロボアニメみたいな攻撃のようだな……!」
 思わず舌打ちを洩らしながら、晶もまた戦場を駆け回り続けた。
 初撃こそ掠り傷で済んだが、このままでは防戦一方なのは明白だ。死角など無きに等しい熱線の網を潜り抜けるため、晶は魔晶剣に力を注ぎ込んでいく。

「魔剣アークイーター、第一封印解除。変異開始、コード切断剣『鋭キ斬リ裂クモノ』っ!」
 キ、キ、キンッ――断続的に響く怜悧な音と共に、晶の体が宙へと浮いた。
 パラドクスの力で片刃大剣へと変異したアークイーター、その峰に有する魔力噴射スラスターの力によるものだ。
 同時、晶は疾風の如き速度をもって義龍へ肉薄する。防戦を続ければ、直撃を受けるのは時間の問題。ならばその前に敵の懐に飛び込み、全力で叩き斬るのみ――!
「スラスター全開だ! かっ飛んでやるぜ!!」
『出鱈目な真似を……!』
 残像を生みかねない速度で、晶が二本の蛇腕を掻い潜る。
 復讐者を撃墜せんと義龍が標的を捉えようとした次の瞬間――彼の頭上に、晶はいた。
 巨大大剣に変異したアークイーター、その刃を義龍に狙い定めて魔力噴射スラスターを最大出力。最高レベルに到達させた命中アップに導かれ、視認すら困難な高速斬撃を一息に叩き込む。
「存分に受けろ義龍、これが俺の力だ! 斬り裂け、アークイーター!」
『ぐうおおお……っ!』
 斬撃の生み出す激しい火花が、立ち続けに戦場へ飛び散る。
 それは晶の胸に灯る意思の光であり、義龍から削り取った魂の輝き。
 かくして激しさを増す復讐者の攻撃は、天魔武者『斎藤義龍』から着実に優勢を奪い取ろうとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!

呉守・晶
今の一撃でも倒れねぇか!此処は素直に褒めてやるよ、流石は斎藤義龍。俺らの宿命の敵手だってな!
この実力に加えて、碌に伝手もなかっただろう豊臣秀吉と徳川家康を相手に約定を取り付けた政治力……だが、だからこそ解せないな
織田信長の死後、その跡目を継ぐのは本当に豊臣秀吉と徳川家康のどちらかだけなのか?
幾ら信長に嫌われようとお前程の漢と、この美濃の大名である濃姫が組めば織田政権の存続の目はあったんじゃないか?
信長の嫡男、織田信忠をお前と濃姫が支持すれば豊臣と徳川に対抗できたはずだ。お前だって碌に繋がりもない豊臣と徳川よりは織田の天下が続いた方がマシな筈だろう
それに俺ら相手に失点を重ねたのは秀吉も家康だってお前と同じだ。功績が無くとも失点がないだけ信忠のが勝ち目があったんじゃないか?嫡男の信忠が討ち死にした信雄に劣るとは思えないしな
お前が高野山で出家してないのが濃姫のお陰なら妹とは手を組めただろ……あぁ、そうだった。まず濃姫に礼を言わなきゃだったな、お陰でこうしてお前との決着を付けられるんだからな!


 決戦開始から幾度かの死闘を交え、復讐者たちは戦いの流れを着実に掴み始めていた。
 斎藤義龍もまた野心を露に応戦するが、その猛攻に命を落とした者は未だいない。身体に刻まれた傷は着実に数を増やし、じりじりと劣勢に追い遣られつつある状況だ。
 そんな義龍を前に、呉守・晶(TSデーモン・g04119)は新たな行動に舵を切る。
 行動とは即ち、義龍との会話を介した天正大戦国の情報収集であった――。

「今の一撃でも倒れねぇか! 流石は斎藤義龍、俺らの宿命の敵手だな!」
 魔晶剣アークイーターを構えながら、晶が堂々たる口調で告げた。
 かたや、対峙する義龍から滲むのは明白な焦燥だ。未だ勝利を諦めない点では一切揺るがない彼も、自分が着実に追い詰められつつある現実は直視せざるを得ない。
 劣勢を理解してなお諦めず、虎視眈々と逆襲の機械を伺い続ける斎藤義龍。執念を帯びた視線を正面から睨み返しながら、晶は本題を切り出した。
「お前の力、そして秀吉や家康を相手に約定を取り付けた政治力……大したもんだ。だが、だからこそ解せないな」
『……何がだ?』
 不倶戴天の敵ではあれど問答を拒む気は無い――そんな義龍の意思を感じ取り、晶は問いを投げていった。いつでも戦闘に移れるよう、油断なくアークイーターを構えたままで。

「なあ義龍。お前が美濃の大名である濃姫が組めば、織田政権にも存続の目はあったんじゃないか?」
 断片の王である織田信長が義龍を嫌っていたことは、晶を始めとする復讐者も知るところだ。
 だがそれでも、と晶は言う。織田信忠を義龍と濃姫が支持すれば、今のような事態――即ち、豊臣と徳川が次代の王を争う事態は避けられたのではないか、と。
「お前にとっては、豊臣と徳川より、織田の天下が続いた方がマシな筈だろう。違うか?」
 こと復讐者相手の失点という意味では、豊臣も徳川も無傷ではない。
 和泉国を落とされ淀殿を喪った秀吉しかり、武蔵国の忍城が失陥の間際にある家康しかり、である。それに比べれば、失点が無い信忠の方が勝ち目があったのではないかと、晶は義龍に告げた。
「お前が出家してないのが濃姫のお陰なら、妹とも手を組めただろ? 何故、織田を存続させようと動かなかったんだ?」
『……覆った水は盆に返らず。それが答えだ』
 晶の言葉に、微かに震えた声で義龍が言う。
 そこに込められたのは、復讐者への尽きること無き怒りであった。
 決して手の届かぬ、二度と叶わぬ夢。それを話す屈辱に声ばかりか身も振るわせて、義龍は言葉を紡ぐ。

『織田存続……確かに信雄が生きていれば、その目はあったかもしれん。だが――』
 だが、と義龍は言葉を繋いだ。
 存続の望みであった信雄は最早この世にいない。全てをご破算にしたのはお前たち復讐者だろう、と。
 その言葉を聞いて、晶もまた理解する。信雄が、あの能力や性格で優遇されていた裏には、相応の理由があった事実を。
「成程、事情は大体判ったぜ。信雄と戦った俺が言うのも何だが……色々ひっくるめて、ここは濃姫に感謝しなきゃな」
 晶がアークイーターを構え、戦場には再び殺気が満ち始めた。
 信雄、信長、濃姫、そして復讐者――多くの因果と思惑が重なり、義龍はこの場に立っている。
 長き戦いに決着をつけ、最期を見届ける決意を抱きながら、晶は仲間と共に更なる攻勢に移ろうとしていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【未来予測】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!

テテル・グリーズ
アドリブ・連携歓迎

まだネメシスにはならない
ネメシスになるのはとっておきの一撃を入れる時だ

今は気分が高揚しているから痛みは感じねぇけど
あいつら(鬼兵)が残していった爪痕は確かに俺に刻まれている
完璧な状態で大将に挑めないのはきちぃな
いつまでこの体が持つかわかんねぇが
共に戦うディアボロスのために残留効果を重ねて次に託すぜ

大将の得物は槍だ
普通の方法じゃ俺の大太刀より射程が長いだろう
だが普通じゃないのが逆説連鎖戦、パラドクスで一撃入れてやる
鬼兵との戦闘を終えて義龍の迫力に圧されてその場で見ていたワケだが
その位置から鬼神変を発動
【先行率アップ】が働いてくれるかはわかんねーが
間合いを詰めようとしてからのパラドクス発動よりは大将に先手を打たれる可能性は減るように思う
【命中アップ】は充分に重ねてもらった
跳ねあがった膂力でカースブレイドを振るい
確実に一発強打してやりたい

攻撃の後は隙が出るだろう
ちっ、どこから攻撃が来るか読み辛いったらねぇ
急所を貫かれるわけにはいかない
腕辺りで受けることで致命傷は防ぎたいトコだ


 かくして、復讐者と義龍の戦いが再び幕を開ける。
「あれが斎藤義龍。不破の関を守るジェネラル級か……!」
 強敵を前にした高揚感で、テテル・グリーズ(まがいもの・g08976)は武者震いを抑えきれずにいた。
 銀閃鬼兵との死闘で負った傷を、彼の五体はいまだ生々しく記憶している。これより臨む決戦が、鬼兵のそれよりも熾烈な死闘となることは確実だ。刹那でも油断を見せれば、義龍の槍は即座にテテルの心臓を穿つだろう。
「体が持つかは分かんねぇけど……次の仲間に託すためだ。俺も戦うぜ」
 テテルは愛刀カースファルシオンを構え、義龍との距離を詰めていく。
 接近するにつれて全身を包む殺気は、トループス級のそれとは比較にならない。重圧で重みを増した膝を叱咤し、テテルは義龍を見据える。鬼兵たちが忠を尽くした天魔武者を、今こそ討ち取るために。
「勝負だ義龍。俺の全力を叩き込んでやる!」
『来るがいいディアボロス。高みへ登る、俺の踏み台になるために』
 愛刀に宿る呪詛を解放するテテル。
 伸縮自在の槍術で立ちはだかる義龍。
 逆説連鎖戦の幕開けを告げるように、両者の放つパラドクスの燐光が夜闇を照らし、そして――。
「ここで止まってはいられない。行くぜ!」
 復讐者の己が持つ全てを懸けるように。テテルは咆哮を轟かせ、義龍との死闘を開始するのであった。

『受けよ、変幻自在槍撃!』
 機械腕の立てる甲高い金属音が、戦場に木霊する。
 それは義龍の駆使するパラドクスの前動作だ。自在にしなる腕を操り、刺突をもってテテルを射抜く狙いである。
 度重なる戦闘で負傷を重ねているにも関わらず、その猛攻には些かの衰えも見られない。闘志と野心に溢れる義龍の意思をそのまま反映したかのように、槍は変幻自在の軌跡を描いてテテルに傷を刻む。負けじとカースファルシオンが呪詛を宿し、鬼人の膂力をもって激しい斬撃の火花を散らす。
 テテルと義龍、ぶつけ合う斬撃と刺突の応酬はいよいよ激しさを増して、干渉し合うパラドクスの光を散らし始めた。
「ちっ、どこから攻撃が来るか読み辛いったらねぇ……だが、防いで見せる!」
『無駄だ。どこに逃げようと、串刺しにしてくれる!』
 逆説連鎖戦の特性を存分に活用し、遠近織り交ぜた刺突を浴びせる義龍。
 対するテテルは肉体をガードアップで硬化させ、さらに両腕で心臓の位置を守る。ズン、と骨まで響く衝撃の直後、両腕に走る激痛を、高揚する心はすぐに忘れさせた。五体が、五指が動くならば問題ない。義龍に一撃を叩き込む絶好の好機、その刹那を、テテルは決して見逃さない。
「貰ったぜ……今だ!」
 傷口から溢れる熱い血潮が沸騰する感覚と共に、テテルの両腕が異形へと変貌する。
 パラドクス『鬼神変』――跳ねあがった膂力を込めた腕が、隕石の如き速度と硬さを帯びて振り下ろされる。その手に握るカースファルシオンの刃と共に――!

「目覚めろ、鬼の血よ! おおおおおおおおおおっ!!」
 衝撃に大気が揺れる。
 地響きが木霊し、砦を揺さぶり、そうして叩きつけるは一切合切を粉砕する鬼人の一撃。真正面から浴びた強撃に、義龍の身体が悲鳴にも似た軋みを挙げた。
『ぬ、うう……!』
「まだまだ。俺たちの勝負はこれからだぜ、義龍!」
 いかなる強敵が相手でも、決して屈することはない。
 鬼人の青年が振るう拳は唸りを上げながら、復讐者の鯨波にも似て戦場に響き渡るのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!

レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

旅団の中で天正大戦国の事情を聴きました。
グランダルメの奪還に尽力して頂いた恩は働きを持って返します。
レイ・シャルダン及ばずながら加勢させて頂きます。

ゴーグル型電脳デバイス『Boeotia』のテンプルをノックして起動
≪ - 人機接続:Lynx of Boeotia - ≫
精神と全武装をリンクさせ
人と機械が互いを補い合い、相乗効果を発揮した『人機一体』の状態へ。

大望を持つ者は決して嫌いではない、むしろ好ましい。
ですが、どっちかと言うと貴方達の構造の方が興味ありますね!

飛行ユニット『アクロヴァレリア』を点火して【飛翔】
世界すら認識を誤認させる程の空中機動により分身体を幾つも産み出し
1人で4人編隊を組み上げて敵に突撃を仕掛けます。
分身体は機械魔導弓『ACRO』にて敵を磔に
ボクは煌剣『シュトライフリヒト』を振り抜き一閃を

防御時は分身体で周囲を固め更に『アルヴァーレ』『シャルダント』
による【結界術】による防御壁を展開し砲撃を耐えましょう。

なるほど、日本のジェネラルもまたお強い


エヴァ・フルトクヴィスト
断片の王を交代させるという稀に見る手法を取る天正大戦国。
己が未熟を、不甲斐なさ、苛立ちという強き想いは、強くなるきっかけとなる。
強き感情は強大な力となる事は私達ディアボロスもですが、キマイラウィッチが証明しているのですから。
故に、私達も強き想いを以って望みます。
貴方達が奪った全てを、返して貰いましょう!

パラドクス通信で味方と連携しつつ。
敵の攻撃は精神を集中して殺気の察知、また未来予測から飛翔の加減速で左腕の攻撃を貰わないように、槍の攻撃も致命傷を受けないように動きます。

全ては避けられないのなら!

お返しとばかりに蒼炎を無数に生み出して、場を制圧する射撃で相手を翻弄。
また回避する方向を限定させて、次の味方の攻撃が有利になるようにしますよ。

強さを求めるのは畏怖という点でジェネラル級を超えて断片の王に至る道、というのはあるでしょう。
ですが、秀吉も家康も後継足り得るのは畏怖だけでなく。
この人ならより強く、全てを打ち壊せるという知略と人望もあるから。
故に強さだけ求める貴方に負ける道理はありませんよ!


 決戦の幕が開けて暫し、復讐者の優勢は不動と為りつつあった。
 尽きぬ野心と戦意を胸に戦う義龍だが、もはや逆転の可能性は限りなく低い。砦の機能は失われ、護衛の銀閃鬼兵を失い、彼自身に刻まれた傷も数え切れない。
 四面楚歌――義龍の状況は、正にその一言に尽きるだろう。
 一方、復讐者たちの攻勢は更に激しく、斎藤義龍を呑み込もうとしていた。
 不破の関を制圧するため、義龍との因縁に終止符を打つため。戦いは、いよいよ佳境に向けて動き出していく。

「今こそ、グランダルメ奪還戦の恩を返す時ですね。皆さん、加勢させて頂きます!」
 戦場が激戦の熱気に渦巻く中、新たに駆けつけたレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)が凛とした声で告げた。
 旅団で天正大戦国の情勢を聞いて、彼女は仲間の助太刀に参じた次第だ。標的である義龍を確認すると、レイはゴーグル型電脳デバイス『Boeotia』のテンプルをノック。精神と全武装をリンクさせていく。
「Lynx of Boeotia――人機接続、完了」
 リンク完了と同時、煌剣『シュトライフリヒト』の刀身が、蒼色の輝きで戦場を照らす。
 一筋の光の名を冠するサイバーレイピアを手に、義龍と対峙するレイ。天正大戦国のジェネラル級と戦う初めての経験を前に、心臓が否応なく緊張の鼓動を刻む。グランダルメを始め数多くの有力敵と戦い、時には撃破して来た彼女だが、それ故にジェネラル級の強さは身に染みて知っていた。
「激戦は確実。けれどボクたちが打撃を与えれば、勝利に大きく近づけます。必ず成功させましょう!」
「そうですね。義龍を確実に討つためにも、全力を尽くしましょう」
 エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)が、決意に満ちた声で頷きを返す。
 『星鏡の魔杖』に魔力を注ぎ込みながら、彼女の意識は義龍から片時も離れない。かの天魔武者を確実に撃破する――それこそが、今のエヴァにとって最優先される事項だったからだ。
(「義龍は、自身の未熟さに苛立ちを覚えている。ここで逃がせば、厄介な敵に成長する可能性も否定できません」)
 強き感情を抱くクロノヴェーダの厄介さを、エヴァは嫌というほど理解している。
 復讐心を糧とするキマイラウィッチ、暗躍するエゼキエル残党たち……彼らのようになる可能性がゼロでない以上、リスクの芽は摘んでおかねばならない。
「斎藤義龍。貴方たちが奪った全てを、返して貰いましょう!」
 義龍の心に負けぬ程――否、上回る程の強きを想いを胸に抱いて。
 魔杖を掲げたエヴァはレイと共に、負けられぬ戦いに敢然と挑んでいった。

『俺の道を阻む者は叩き潰す! 死ね、ディアボロス!』
「大望を持つ者は決して嫌いではない、むしろ好ましく映ります。でも、生憎と命はあげられません!」
 殺意を露に身構える義龍へ、レイが先陣を切って突撃して行く。煌剣シュトライフリヒトを構え、蒼光を帯びる細剣で義龍と切り結び始めた。
 そこへ続けと、パラドクスを発動したのはエヴァだ。星鏡の魔杖を掲げて発動した『蒼炎流星嵐』は、エヴァの周囲に蒼き炎を無数に生成。尾を引く流星のごとき勢いをもって、義龍めがけ次々に射出していく。
「逆転の機会は与えません。このまま斃れて貰いましょうか」
『ちっ――そうはさせん!』
 降り注ぐ炎の雨に負けじと、義龍の槍が唸りを上げた。
 変幻自在の軌跡で上下左右から降り注ぐ刺突と、隙を突くように仕掛ける蛇腕の毒牙。息つく間も与えぬ猛攻を、エヴァはガードアップを交えた防御で凌ぎ続ける。回避は叶わずとも、直撃は避けられる――その狙いが結実してか、被弾による負傷は軽微な状態だ。
「そう。戦えるなら問題ありません!」
 攻める時は、今。残り数個となった炎を、エヴァが一つ残らず撃ち放つ。
 対する義龍は全身を激しく炎上させながら、次々迫る蒼炎を一つでも防ごうと足掻き続ける。
 どこまでも強く、どこまでも高く。そんな執念めいた想いを胸に槍を振るう義龍へ、エヴァは凛とした声で言葉を投げた。

「義龍。あなたが如何に強かろうと、断片の王には為れません」
『……戯言を……! ならば言ってみろ、その理由を!』
 全身を焼かれ、苦悶の呻きを洩らしながら叫ぶ義龍に、エヴァは言う。
 実際のところ、天正大戦国における断片の王の仕組みは未だ不明な点が多い。だが――それで尚、エヴァには確信できた。万が一、いや、億が一の確率で斎藤義龍がこの戦いを生き延びても、彼が王座に就くことは決してないと。何故なら、
「あなたには――将の器が無いからです」
『……!!』
 僅かな一瞬、凍りつく義龍に向かって、エヴァは更に言葉を紡いでいく。
 王の次期候補と目される秀吉や家康には、確かに天魔武者としての力もある。
 だが、それ以上に彼らを強大たらしめるのは、彼らが立場に相応しい知略と人望を有するから。そして、それこそが彼らと義龍を分かつ、決定的にして永久に埋まらない溝。レイ同様、天正大戦国のジェネラル級と初めて対峙する自分の目においてさえ、その事実は明白であると。
「故に。強さだけ求めるあなたに、負ける道理はありません!」
 最後の一発となった炎弾を叩きつけ、エヴァが魔杖を高々と掲げた。
 断続的に浴びせる炎と、そして舌鋒によって生み出す攻撃の好機。その一瞬を逃すこと無く、パラドクスを発動するレイがいま義龍へと突撃を開始する。

「この空を駆ける、これがボクの……機動戦闘の極致だ!」
 発動完了と同時、逆説連鎖戦の力が世界の理を書き換えた。
 飛行ユニット『アクロヴァレリア』の最大出力が、星々を内包する蒼色の噴射炎を赤く染める。
 空を駆ける翼の速度は世界の認識さえ欺いて、残像の兵たちを次々と生み出した。そうして――残像兵の編隊突撃が、いま義龍へと襲い掛かる。
「斎藤義龍。いざ勝負っ!」
『ぐっ……ぐおおおお!!』
 蛇腕が唸り、熱線の乱射が戦場を荒れ狂う。
 その猛攻は、確かにジェネラル級の名に恥じぬ勢いを秘めたもの。だが、レイの残像兵が繰り出す攻撃は、既にそれさえも上回ろうとしていた。命中アップの光に導かれ、ダメージアップの怒りを込めたパラドクスが、機械魔導弓『ACRO』の放つ矢となって勢いよく降り注ぐ。
『く、くうぅっ……』
「なるほど、天正大戦国のジェネラルもまたお強い。でも――」
 全身に矢を浴び、傷口をスパークさせる義龍。追撃を警戒し身構えた刹那、彼の意識が辛うじて捉えたのは、レイが構える煌剣シュトライフリヒトの蒼い光であった。
「ボクたちは進みます。貴方を倒して、その先へ!」
 振り抜く一閃が、義龍を穿つ。
 決意を誓うレイの叫びと共に、一筋の光が勝利の標さながら戦場に輝いた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【ダブル】LV1が発生!

文月・雪人
負ける気は毛頭ない
だが義龍を大名に相応しき実力者だとは認めた上で
状況を見つつ会話を進める
『王の引継ぎ』と『本能寺の変』について少しでも情報を得られると有難い

秀吉と家康か、王の後継者は未だ決まってはいない
ならばお前は何方がより相応しいと思うのか
意図したものかは知らないが
両方と約定を結び大名となれば
キャスティングボードを握る事にもなるやもしれぬ
或いは争う両者を繋ぐ事も出来ようか
何れにせよ抜け目のない立ち回り方だ

美濃国の大名、それがお前の野望なのだな
だがその先に見据えているのは
天正大戦国の勝利で間違いない様だ
そしてそれこそが信長が大名達に望んだもの
『断片の王の目線』というものであるのだろう
秀吉と家康だけじゃない
人材は確実に育っていたという事か
厄介な話だよ本当に

6月の『本能寺の変』
信長の命は間もなく尽きる
本能寺にて、全ては戴冠の戦の勝利の為に
信長はどんな気持ちでその日を迎えるのだろうな

だが引き継がれるその道も俺達が必ず阻止しよう
お前を倒し、秀吉を倒し、家康を倒し
必ずやこの世界の奪還を成し遂げる!


 天正大戦国、美濃国を守る門として立ち塞がる『不破の関』。
 その地を守る数々の砦は悉くが陥落し、最後の一つが今まさに復讐者の手によって落とされようとしていた。
 幾度にも及ぶ死闘の果て、満身創痍となった斎藤義龍。そんな彼を討つ攻撃の準備が着々と進んで行く中、復讐者の一人が最後の会話に臨むべく歩み出る。

「……大したものだ、義龍。大名に相応しき実力者であること、掛け値なしに認めるよ」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は口を開くと、まず最初に自身の本心を義龍へ告げた。
 彼と交わす会話は、恐らくこれが最後だろう。
 負ける気は元より無いが、その上で敵の力を認め、雪人は慎重に会話を進めて行く。
「秀吉と家康か、王の後継者は未だ決まってはいない。ならばお前は何方がより相応しいと思う?」
『…… ……』
 逆転が絶望的な劣勢下の義龍に、雪人は淡々とした声で問いを投げる。
 対する義龍は未だ無言を貫いたまま。その双眸に宿った感情を伺い知れぬまま、雪人は更に言葉を紡いでいった。
「美濃国の大名、それがお前の野望なのだな。だがその先に見据えているのは、天正大戦国の勝利で間違いない様だ」
 国を任されぬジェネラル級に過ぎないとしても、お前の目線は並の天魔武者とは一線を画すものだ――そう前置きをして、雪人の話はいよいよ本題へと及ぶ。
 即ち、『断片の王の引継ぎ』と『本能寺の変』に関してである。

「信長の命は間もなく尽きる。本能寺にて、全ては戴冠の戦の勝利の為に」
 6月のその日を、信長はどんな気持ちで迎えるのだろうなと告げる雪人。
 そんな彼の言葉に、義龍は僅かな間をおいて、重々しい溜息と共に頭を振った。
『……さてな。今の俺に分かることは只一つ――信長様がその日を迎えるより先に、俺は此処で死ぬということだ』
 今の己は、失態を重ね、力及ばず、辿り着いた果て。
 追い求めた夢は果たされず、己の命と共に潰えることを悟ったように、義龍は呟くような声で雪人へ言った。此処から先は下らぬ遺言ゆえ、そのつもりで聞くがいいと。

『最早認めざるを得んが……次の王を決める天秤を持っているのは、お前たちディアボロスだ』
 魂を削られるような声で語る義龍の話は、更に続く。
 秀吉と家康のどちらが王を継ぐかは、今も決まっていない。それは6月の『その日』を迎えた時、候補者の片方は断片の王に為れないという事実と同義だ。同時にその脱落者は、他でもない復讐者次第で決まるだろうと彼は告げる。
「俺たち次第? それは一体……」
『お前たちディアボロスがより多くの妨害を行った相手。……秀吉殿か家康殿かは判らぬが、その者が脱落者と為る筈だ』
 そうして――雪人に返す言葉を語り終えると、義龍は再び槍を構えた。
 例え運命が定まろうとも、従容と死を受け入れる気は無い。その双眸に宿るのは、一介のジェネラル級天魔武者として最期まで戦い抜く覚悟の色だ。
 それを見た雪人もまた、引き継がれる王の道も阻止する決意を新たに、義龍を見遣る。
「いいだろう。お前を倒し、秀吉を倒し、家康を倒し……俺たちは、必ずやこの世界の奪還を成し遂げる!」
 最早、互いに語ることは無い。
 復讐者と斎藤義龍。不破の関を巡る両者の決戦は、かくして終盤を迎えようとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

旗楽・清政
【翠緑の師弟】

義龍とは因縁のないそれがしからすれば、男子たる者が夢を抱くは当然であるし、
そう言う意味でそれがしは義龍に好感さえ感じるでござるよ。
それがしにも、九州奪還と言う夢がござるしな。

されど、貴様がここにおっては、畿内より関東へと打通するそれがしの策が成り立たぬ。
何より、旅団の仲間にも参戦してもろうておる以上、これでそれがしが奮い立たねば漢が廃ろうと言うものよ!

さて、此度はエスメラルダを先に動かすと致す。
ヴェルデ・フィナーレではジェネラル級を仕留めきれぬであろうとは言えど、
義龍が微動だにせぬと言うこともよもやあるまい。
義龍の体勢が揺らいだらば、その隙を狙い翠緑の疾風で突撃でござるよ。
【命中アップ】をフル活用し、直撃を狙うでござる。
そして、それがしの突撃で体勢が揺らぎし隙を狙いエスメラルダに砲撃させ、
その砲撃を受けた隙を狙いまたそれがしが突撃と、交互に攻め立てていくでござるよ。

義龍からの反撃に対しては、具足と闘気による守り、そして【ガードアップ】を活かして、耐え抜くでござるよ。


エスメラルダ・リベロ
【翠緑の師弟】

清政殿は、何やら男として義龍相手に相通ずるものを感じているようだな。
だが、私には如何でも良いことだし、清政殿もだからと言って義龍を討たぬと言う選択肢は持ち得ぬはずだ。
何より、旅団より応援が来てくれた、と奮い立っていたしな。

ともあれ、私にとっては二度目のジェネラル級戦だ。当然、油断なく戦っていくぞ。
清政殿の指示により、今回は私が先に動く。
【先行率アップ】で先手を取り、ヴェルデ・フィナーレで攻撃だ。
【命中アップ】をフル活用して、直撃を狙っていくぞ。
行動中止にまで至れば最良だが、せめて体勢を崩させるまではしたいものだ。
いくらジェネラル級相手とは言え、もしこれで義龍が微動だにさえせぬようなら、流石に凹む。
そして、義龍が体勢を崩した隙を狙って、清政殿が突撃という段取りだ。
さらに、清政殿の突撃で義龍に隙が出来れば私が砲撃し、それによって出来た隙を衝いて清政殿が突撃、だな。

義龍からの攻撃に対しては、緑の大盾、肥後の艤装、オーラフィールド、【ガードアップ】を駆使して守りを固め、耐え抜くぞ。


「不破の関……か。最初の砦に挑んだ日が、今では遠く感じられるな」
 新たに戦場に到着したエスメラルダ・リベロ(蒼海に輝く翠緑・g10981)が、過去となった日々を思い返すように呟いた。
 復讐者として、まだ駆け出しだったあの頃。トループス級との戦いで未熟さを痛感したのも、今では良い思い出だ。
 あれから幾つもの戦場を渡り歩き、ジェネラル級とも渡り合い、そして今――彼女はこの場に立っている。不破の関を守るジェネラル級天魔武者、『斎藤義龍』の前に。
(「義龍と戦える実力と経験は、十分詰んで来た自信がある。この戦い、常以上に全力で挑まねばな」)
 そう思って視線を向けた先では、彼女が師と仰ぐもう一人の復讐者が、義龍と対峙していた。
 旗楽・清政(知勇兼備の昼行灯・g08816)である。
「……義龍よ。戦の前に、ひとつ伝えたいことがある」
 緑玉の片鎌槍を構えて告げる清政に、義龍もまた槍を手にしたまま、無言で裂きを促す。
 それを敵なりの肯定と受け取って、清政は言葉を紡ぐ。一度戦いが始まれば、もう二度と伝える機会は無い――そう、理解していたからだ。
「男子たる者が夢を抱くは当然。それがし、そういう意味では貴様に好感を感じておる」
 自身もまた、九州奪還という夢を持つ立場が故に。そう言いつつ清政は続けた。
「されど、貴様を討たねば畿内より関東へと打通することは叶わぬ。不破の関を幾度も落とした身としても、ここで戦わねば漢が廃ろうと言うものよ!」
『……成程。ならば俺にも、お前を討つ理由は十二分に有るという訳だな』
「左様。もっとも、それがしもエスメラルダも討たれる気は毛頭なし」
 義龍の両腕が、戦意と殺意に波打つ。対する清政も片鎌槍を構え、義龍の言葉に応じた。
 此処から先は言葉ではなく力で雌雄を決する時。両者の会話が幕を下ろしたことを感じ取り、エスメラルダは海戦装を展開しながら清政の方を向いた。
「もう良いのか?」
「うむ。十分にござる」
「そうか……男というのは、時々分からん」
 義龍と親しく会話を交わしたかと思えば、全力で命を獲り合う――その辺りの機微はエスメラルダにとって如何でも良い。師匠の戦意に揺らぎが無いことは、既に彼女も判っている。である以上、ここから先は至ってシンプル。討つか討たれるか、それのみだった。
「では清政殿、作戦通りに」
「任せたぞ。エスメラルダ」
 師弟である二人の会話は、既に不破の関を攻めた当初の頃の其れではない。
 多くを語らず、阿吽の呼吸をもって。そこに居るのは、幾多の戦場を潜り抜けた二人の戦士だ。
「全砲塔、エネルギー充填完了! 行くぞ、斎藤義龍!」
 復讐者の背中を押す一陣の風が、戦場に吹き荒れる。同時、エスメラルダの堂々たる声が戦いの開始を告げた。

「この一撃で、仕留める! ヴェルデ・フィナーレ!」
 エメラルド色の閃光が戦場の闇に輝く。
 それはエスメラルダが展開した重装型戦艦級海戦装『肥後』のビーム砲であった。四つの試製大口径三連装砲、計十二門の砲口が織りなす『ヴェルデ・フィナーレ』の光が夜空でうねり、パラドクスの力で義龍目掛けて殺到していく。
 断続的な着弾。響く衝撃。その威力を物語るようにビームは義龍の機体のあちこちを溶解させて、なおも止まらない。
「まだまだ……っ! 私の全力、持って行くがいい!」
 戦場への到着からこの方、エスメラルダの口調は一貫して武人の其れだ。
 普段は年相応の陽気な言葉を使う彼女にとって、それは今回の戦いに臨む本気を示す何よりの証。
 かくして十二発のビームを討ち尽くし、戦場に土埃が舞い上がる。だが次の瞬間――その只中を突っ切るように、義龍の槍がエスメラルダを襲った。
『この程度で俺を落とせると思ったか? 笑止だな、ディアボロス!』
「清政殿、今だ……っ!」
 変幻自在の槍術をガードアップで凌ぎながら、エスメラルダが合図を送る。
 応えるように響くは、地を蹴る具足の音。果たして義龍めがけて突撃して行くのは、片鎌槍を構えた清政だ。
 エスメラルダの砲撃に合わせ、清政が槍の突撃で攻める――それが二人の作戦であった。義龍が砲撃に耐える可能性だけが唯一の懸念だったが、それも杞憂に終わり、清政は安堵の想いを覚えていた。同時に、見違えるほどに成長したエスメラルダへの頼もしさも。
「はてさて、何処まで強くなるやら。それがしも、負けては居られんでござるな!」
 清政とエスメラルダにとって、この戦いは一つの通過点に過ぎない。
 戦いに勝利し、大地を奪還し、クロノヴェーダを排し尽くすまで、決して歩みを止めはすまい――その決意を胸に抱いて、エメラルド色に輝く闘気を帯びた清政は義龍へと襲い掛かって行った。

 砲撃を浴びせ、槍で突撃。
 突撃を浴びせ、ビームで砲撃。
 二人の復讐者が交互に織りなす攻撃が、着実に義龍の体力を削り取っていく。
 無論それは、彼らの連携のみによる結果ではない。今までの戦いで仲間の復讐者たちが積み重ねて来た残留効果も、二人の戦いを大きくサポートする形で貢献していたのだ。
「負傷など元より覚悟の上よ。この程度で止まりはせぬ!」
 機先を制した先行率アップ、更には守りを固めるガードアップは言うに及ばず。ダメージアップで増幅した怒りのもたらす攻撃は、着実に火力を増して義龍を追い詰めつつあった。義龍が全身に負った傷は今や数え切れず、傷のない場所を探す方が難しい程だ。
『……ぐ……まだ、まだ……!』
「これまで戦い、これより続く皆のため。それがしも負ける訳には行かぬ」
 エスメラルダが放った幾度目かの砲撃を耐え凌ぎながら、血を吐くような声で呻く義龍。その眼に宿る執念の光を正面から睨みつけながら、清政は片鎌槍を握る手に力を込めた。
 今こそ、渾身の一撃を叩きつける好機である――そう半ば直感的に理解したが故の行動であった。
「それがしの槍、馳走しよう。遠慮は要らぬ!」
 エスメラルダの砲撃に息を合わせ、清政が『翠緑の疾風』のパラドクスを発動する。
 全身を覆う闘気に、緑玉の片鎌槍を構えて駆ける清政は、まさに戦場を吹き荒れる一陣の疾風だ。何者にも風を阻むことの叶わないように、彼は瞬時に義龍の間合いを捉えると、必殺の刺突を一息に突き出した。
「斎藤義龍! この戦い、それがしらが頂く!」
『――!!』
 必勝の意思を帯びた槍は、さながら風雷の如く。鋭く、激しく、斎藤義龍に更なる傷を刻み込む――!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】がLV2になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!

テテル・グリーズ
アドリブ・連携OK

一度戦場から引きネメシスモード発動
生来の、普通の人間の姿へ
全身黒のレザーが主な服装に身を包む
シルバーブレイドを忍ばせて義龍と他のディアボロスの交戦を観察

俺の狙いはひとつだけ
一撃、たった一度だけでいい
とっておきのパラドクスを義龍に入れること
決着は他のディアボロスに任せるつもりだ
そのために最高の一撃を決めたい

自身の状態を確認する
先程バッチリ義龍の攻撃をいただいてるからな
普段とどこが違うかを正確に把握し、どう体を使えば相手に悟られぬように近づけるか、攻撃を万全のときと変わらぬように放てるかを事前にシミュレーション
そして行動に移る

戦場の影を行き、今の戦いに集中している義龍の背後を取って「暗夜の一撃」を放つ!

考えるのはこれだけだ
無論、死ぬのは御免なんでパラドクスを発動させた後は反撃で死なないことに頭を切り替える
急所を穿たれなければそれでいい

将の器が無いなんて言われてたな
俺はそういうのよくわからねぇけどよ
この最期まで義龍を慕い、信じ、忠義を尽くした奴らが居る
それは紛れもない事実だぜ


野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎

『斎藤義龍』、たとえ配下に夢を魅せられる程の強さだとしても。
貴方の夢は止めてみせます。
歴史や大地だけじゃない、ディアボロスの命だって奪わせはしません。

使用する刀は《巨刀『曼殊沙華』》、妖刀を変化させたこの刀で勝負します。
変幻自在の槍術に対抗するために、私もまた得物を巨大な刀へと変化させ間合いを幻惑しましょう。
刀を盾代わりに蛇腕の内側を沿ってレールを滑るように接近、変化前の妖刀では届かず変化後の巨刀でなら届く距離からパラドクスによる斬撃を放ちます。

反撃を受ける際は敢えて前へ踏み込み間合いを詰め変幻自在の槍術の軌道を限定させることを試みます。
蛇腕が伸縮するならばその伸ばし具合で背後や側面からの攻撃を警戒しましょう。

蝮の子はその名の如く龍たり得たのか……それは私にはわからないことですが、確かなことは此処で討たねばならない相手であること。
貴方はここで斬ります、『斎藤義龍』!


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

目を閉じ開くと同時にネメシス形態へ移行
瞳が赤く染まり
額に赤い二本の角が生える

過去に学び己を変える、義龍もまた並々ならぬ努力を重ねてきたに違いない。
一角の武将として戦い抜き、散る覚悟まで決めた相手に対し、最早言葉は要らぬだろう。
互いの存在をかけて、胸を焼く勝利への執念をぶつけ合おう。

油断なく仲間と連携し『願いの矢』のパラドクス使用。
義龍の蛇腕蛇頭の動きを見定めながら、【能力値・先行率アップ】で、掌の先に大弓を成す。
番えた矢に込めるのは、破魔の力と【託されし願い】。
全ての歴史を奪還すると、その願いを託してくれた最終人類史の人々の応援を背に感じながら、
義龍の砲撃を【ガードアップ】で凌ぎつつ、
仲間と重ねてきた残留効果、特に【命中・ダメージアップ、フィニッシュ】の力と共に、
勝利を信じて願いの矢を放つ。

戦闘後に改めて、見事な戦いぶりであったと伝えたい。
世界を奪還し、あるべき歴史を取り戻したその後も、
この美濃国に斎藤義龍という天魔武者の猛将が居た事を、
俺達ディアボロスが覚えておくと。


『……さあ。勝負だ、ディアボロス……!』
 もはや息も絶え絶えに、義龍は槍を復讐者たちへ突きつけた。
 事ここに至り、自分の勝機が潰えたことは彼とて承知している。じきに戦いは復讐者が勝利し、不破の関は落ちるだろう。
 そんな中にあって義龍が選んだ道は、只一つ――最後まで復讐者と戦い、果てるというものだ。その決意に応じるように、戦場に集った三人の復讐者たちも、静かに戦意を研ぎ澄ませていく。
 今こそ、決着をつける時。
 復讐者と長き戦いを繰り広げた天魔武者『斎藤義龍』。その死闘が、いよいよ終幕を迎えようとしていた。

「『斎藤義龍』。たとえ配下に夢を魅せられる程の強さだとしても、貴方の夢は止めてみせます」
 対峙する義龍を前に、最初に口を開いたのは野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)だった。
 裕樹が対峙する相手はクロノヴェーダであり、人類の歴史と大地を奪った明白な『敵』。それを前に復讐者の彼女が出来ることは、全力で戦い、これを討ち取ることのみだ。
「歴史や大地だけじゃない、ディアボロスの命だって奪わせはしません」
 そう告げた裕樹が、一振りの妖刀を構えて言う。
 裕樹の身長を優に超える刀から滲む莫大な妖気は、戦いに臨む彼女の本気を示すものだ。
 そんな彼女と同じく、本気をもって臨むのは、残る二人の復讐者もまた変わらない。
「スウゥゥゥゥ……ッ」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は、瞑目した目を見開くと同時、己が肉体を変貌させた。
 赤く染まった瞳、そして額に生えた二本の角。まさに『鬼』と形容するに相応しい彼のネメシス形態は、裕樹と同じく全力で義龍を叩き潰すことの意思表示だ。
 その全身が放つ圧倒的な気迫を前にして、義龍が静かに槍を構える。心乱されず戦いに全てを懸けるその姿に、雪人はこの天魔武者が重ねて来たであろう並々ならぬ努力に想いを巡らせた。
(「過去に学び己を変えて、一角の武将として戦い抜き……散る覚悟まで決めたか。斎藤義龍」)
 そのような相手を前に、言葉は最早必要ない。
 後は互いの存在をかけて、執念をぶつけ合うのみだ。この胸を焼くほどに狂おしい、勝利への執念を。
 かくして――戦場の戦意と殺意が最高潮まで高まりゆく中、最後の一人であるテテル・グリーズ(まがいもの・g08976)もまた、己の全てをかけて戦いに臨もうとしていた。
(「いよいよだな。逸るな、逸るなテテル……!」)
 彼は今、ネメシスモードで精神を研ぎ澄ましている。
 全身を黒レザーで覆い、懐には得物のシルバーブレイド。闇に溶け込むような姿の彼が立つ場所は、雪人と裕樹の後方だ。
 今回の死闘におけるテテルの望みを果たすには、この場所が最適だと判断した結果だった。望みとは即ち、
(「一撃、たった一度だけでいい。最高の一撃を、義龍に叩き込む!」)
 華々しい活躍は望まない。仲間たちとの協力は大前提として、その上で彼は自身の目的をそう決めていた。
 テテルは深呼吸をひとつ、両手両足に力を込める。
 昂った精神もあってか、負傷の程度はよく分からない。だが、五体が問題なく動くという現実一つで、不要な懸念はすべて消し飛んでいた。
「……よし、大丈夫だ。二人とも、よろしく」
「ああ。全力で戦って、この作戦を勝利で締め括ろう」
「では――参りましょう、皆さん!」
 テテル、雪人、裕樹。
 各々が心に秘めた決意を力と為して。
 復讐の刃が三つ、今こそ義龍の命脈を断たんと向かって行った。

 荒れ狂う刀槍の激突が、紅い火花に変じて戦場に咲き乱れる。
 裕樹の操る曼殊沙華が、義龍の繰り出す槍と激しく鎬を削っているのだ。
 牽制、斬撃、刺突。互いの得物で間合いを変化させながら、刹那の間に応酬を繰り広げ――果たして次の刹那。義龍の突き出した蛇腕の内側へと裕樹が飛び込む。
「嚙み砕け、鐵喰!」
 次の瞬間、妖刀に生じた変化に義龍は釘付けとなった。
 力を開放した鐵喰が、6尺を超える刀身を更に巨大化させ始めたのである。同時、オーラ操作と呼吸法で強化した裕樹の脚が尋常ならざる力で地を蹴り、宙へと跳躍。膨れ上がった体格で振り下ろす一閃を、義龍めがけ叩きつける。
「せいっ!!」
『ぐうおおおおお……っ!!』
 パラドクス『妖刀覚醒・鉄蝕閃』――その力で振るう巨刀『曼殊沙華』は、鐵喰の覚醒形態に相応しい威力を帯びて、義龍を袈裟に切り裂く。伸ばした刀身で間合いの誤認を誘い、増幅した怒りをありったけ秘めた斬撃。その一撃を執念で耐え切ると、義龍の槍が直ぐさま反撃で裕樹へと迫ってきた。
『そう簡単に斬られては、蛇の名折れなのでな……!』
 しぶとく執念深い猛攻が、四方八方から迫る。
 死にかけの天魔武者が放つ其れとは到底思えぬ鋭い刺突を捌きながら、裕樹はふと思いを巡らせた。
 史実において、義龍の父である斎藤道三は『美濃の蝮』の異名を持つ男であったという。翻って、天正大戦国の天魔武者、義龍の名を奪った彼は、いずれ名の如く龍たり得たのか――と。
(「……今となっては判りません。ですが、確かなことは、彼が此処で討たねばならない相手であること……」)
 故に、裕樹は告げるのだ。
 全力をもって倒すと決意した天魔武者に、ひとりの復讐者として。
「貴方はここで斬ります、『斎藤義龍』!」
『ふん。ならば、それより先にお前を斬るだけ――っ!?』
 そうして、構えた槍に義龍が更なる力を込めようとした矢先。
 ほんの刹那、背後に走った殺気に身構える彼へ、必殺の一突きが放たれる。
 それは、千載一遇の好機を狙い済ましたテテル・グリーズのパラドクス。即ち『暗夜の一撃』による奇襲であった。

 ギン、と装甲を断ち割る音が響く。
 それはネメシス形態となったテテルの刃が、義龍の背に直撃を叩き込んだ証だ。
 襲撃を察知するよりも刹那速く、銀色の輝きを帯びて突き立てられた一閃。黒装束に身を包むテテルの口から洩れる声が、荒れ狂う感情で僅かに震える。
「やっと捉えたぜ。義龍……!」
『ぬ、うううう……っ!』
 負傷など元より覚悟の上、己の渾身の一撃を叩き込む。
 その想いが成就した瞬間を噛み締めたのも束の間、反撃の熱線が凄まじい勢いを帯びて襲い掛かる。なかば反射的に肉体をガードアップで固めながら全身に熱傷が刻まれていく中、テテルは満足の笑みを浮かべながら口を開く。この言葉が、義龍への餞に為る――感傷ではなく、事実として彼はそのことを理解していた。
「なあ義龍。今までの戦いで、色々言われてたな」
 全身から火花を散らして戦う義龍を見据え、テテルは朗らかに笑う。
 自分には難しいことは分からない。だが、そんな自分でも、最後に伝えておきたいことがあると彼は言った。
「……最期の最期までお前を慕い、信じ、忠義を尽くした奴らが居る。それは紛れもない事実だ……」
『…… ……』
 無言の義龍へ、彼はさらに言う。義龍を守って、最後の一兵まで戦い抜いた銀閃鬼兵たちの忠誠は本物だったと。
 それは、他でもない義龍自身の力。復讐者であるテテルにも、他の誰にも否定できない事実だと、そう告げる。
『ふん……戯言だ……』
 黄色く光る義龍の眼がほんの一瞬明滅したのは、果たして言葉が届いた故だろうか。
 それだけを想い、テテルは残った僅かな力を振り絞るように、最後の一撃を仲間へと託す。
「全部、伝えられたぜ。……後、頼むわ」
「分かった。任せてくれ」
 テテルに力強い声を返したのは、攻撃準備を終えた雪人であった。
 その掌に成した大弓は、体内を巡る意思の力を具現化したもの。そこへ番える矢に託すは破魔の力と、そして復讐者である雪人に託された願い。
 最終人類史の人々が送る応援を背中に感じながら、雪人は弓を引き絞っていく。
 目の前の天魔武者を討つ――ただそれだけを一心に念じ、仲間たちが積み重ねて来た力に戦意を燃え上がらせ、雪人は今、最後の一矢を放つ。
「想いよ願いよ、未来を繋ぐ標となれ!」
 パラドクス『願いの矢』。導きの光を辿るように雪人が射かけた矢は、込められた勝利への信念と共に、標的の心臓を寸分の狂いなく穿ち貫いた。フィニッシュの殺意が周囲を包み込む中、ジェネラル級天魔武者『斎藤義龍』の腕から、ガシャンと乾いた音を立てて槍が落ちる。
『夢、叶わず……か……』
 夢を追い求め、戦い続けた彼が、最後まで手離すことの無かった一振りの槍。
 それが振るわれる未来が、この瞬間を以て永遠に消える。
 かくして、不破の関は復讐者の手によって陥落し――夜闇に降りる静寂の帳が、長き死闘の終わりを告げていた。

 戦いに勝利した後も、三人は戦場となった場所にしばらく留まっていた。
 残骸となった義龍の骸を見下ろして、雪人はしばし瞑目すると、最後の別れを告げるように呟く。
「斎藤義龍……見事な戦いぶりだった」
 最後まで勝利を諦めず戦った猛将の名を胸に刻み、彼は言う。
 世界を奪還し、あるべき歴史を取り戻したその後も、この地で戦った斎藤義龍という天魔武者の存在を、自分たちは決して忘れはしないと。
「じゃあな、義龍。鬼兵たち。……お前たちのこと、忘れないぜ」
 テテルもまた静かに祈りを捧げた。義龍と、そして彼の為に戦った配下の武者たち。彼らとの戦いを、自分もまた忘れまいと誓いながら。
 そうして別れを済ませると、テテルは雪人や裕樹と共に最終人類史への帰途に就いた。立ち止まることは許されない。不破の関を制した今、彼らには新たな戦場が待っているのだ。
「……お疲れ様です。帰りましょう」
 裕樹の言葉に頷きを返し、復讐者たちは戦場を後にする。
 美濃国を、そして天正大戦国を、いつの日か必ず奪還する決意を胸に秘めて。

 2024年4月30日、美濃国『不破の関』攻略完了。
 ジェネラル級天魔武者『斎藤義龍』撃破。
 砦攻略の開始よりふた月を迎える、直前の日の出来事であった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【託されし願い】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【リザレクション】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2024年04月30日
宿敵 『斎藤義龍』を撃破!

美濃国『不破の関』決戦

『不破の関』に築かれた砦を征圧した事で、遂に、ジェネラル級天魔武者『斎藤義龍』との決戦が可能になりました。
 斎藤義龍を撃破し、『不破の関』を突破すれば、美濃国の攻略を行う事が可能となるでしょう。
 現在、大阪城を攻略中の『千早城』を、美濃国に持ち込めば、城取合戦を挑む事も可能かもしれません。
『千早城』での攻略を目指す場合は、攻略旅団で提案を行ってください。
 そうでない場合は、美濃国内の攻略をすすめつつ、岐阜城を攻略する手立てを考えていく事になります。
『千早城』での攻略を行なう場合、準備を行う間、別方面の攻略を行う事もできるかもしれません。

斎藤義龍

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#天正大戦国
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#美濃国『不破の関』決戦
🔒
#美濃国


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選択肢『砦への侵入と突入の手引き 』のルール

 不破の関は非常に強力な防御拠点である砦が多数連なっています。
 正面から攻撃して突破するのは非常に困難である為、まずは、砦に潜入して内側から砦の門を開ける事が重要です。
 夜陰に紛れて砦に近づき潜入し、仲間の砦への突入の手引きをしてください。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『斎藤義龍との会話』のルール

 ジェネラル級天魔武者『斎藤義龍』との会話を行います。
 斎藤義龍は、何度も自分の前に立ちふさがった、ディアボロスを不倶戴天の敵とみなしているようです。
 そのため、宿命の敵との決戦に相応しいような演出でさりげなく誘導すれば、口を滑らせるかもしれません。
 〇〇について教えてくれ……といった直球の質問に答える事はありませんので、宿敵との決戦時の格好良い会話の中に、知りたい情報をどう混ぜるかが、情報を引き出すカギとなるでしょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『👿または👾で出現する敵との会話に専念する。戦闘行動は行わない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾護衛するトループス級『銀閃鬼兵』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿『不破の関』決戦『斎藤義龍』のルール

 『不破の関』を守るジェネラル級自動人形『斎藤義龍』との決戦に挑みます。
 正面から、ジェネラル級の護る『不和の関』を攻略するのは至難ですが、これまで同様、潜入して内部から手引きを行えば、勝利を得る事もできるでしょう。
 『不破の関』の先、美濃国は、史実の信長が天下布武の礎として重要地点ですので、制圧すれば、天正大戦国の攻略が大きく進むかもしれません。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【撃破】【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、宿敵を完全に撃破し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「呉守・晶」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。