地獄変第二幕『呪われた連歌』

【!期限延長により状況が困難になっています!】
 ディアボロスの活躍により、京の都を騒がせていた『数え歌殺人事件』は無事に解決する事が出来ました。
 しかし地獄変の事件はまだ終わりではありません。
 京の都では『この歌を送られた相手は、3日以内に返歌を作って、別人に送らなければ呪われて死ぬ』という、『呪われた連歌』事件が耳目を集め始めています。
 3日以内に返歌を送らなかった場合、或いは、既に、この呪いの歌を送った事がある相手に歌を送ってしまうと、体が腐り落ちて死んでしまうというのです。

 歌会などを通じて、呪いの歌を受け取ってしまった被害者に接触し、ディアボロス宛に返歌を送ってもらっいましょう。
 ディアボロスが歌の返歌を『事件を起こしているクロノヴェーダ』に送り付けて撃破する事が出来れば、『呪われた連歌』の呪いを打ち破ることが出来るでしょう。

いのちなし(作者 魚通河
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#平安鬼妖地獄変  #地獄変第二幕『呪われた連歌』  #地獄変 


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 秋の日も暮れようとしている。
 この日、けして豪奢とは言えない古びた邸宅に、貴族や従者が寄り集まって歌会を開いていた。
 歌を詠みあう人々の中心に座するのは、妖怪・空目。とうてい人とは間違えようのない外見だが、皆が何の疑問も覚えず、妖怪を歌の師匠だと思い込んでいるのは、ディアボロスと同様に違和感を抱かれない力があるのだろう。

「今日は素晴らしい歌ばかりで、大変楽しめました。
 ……お礼として、最後にこの歌を送らせて頂きたい」
 空目は喜ぶ貴族達の1人に向けて、歌を詠んだ。
「否と言えど 野辺の秋萩 散りぬべし など散りゆくも 知らずやあるらむ」

 するとどうか。送られた貴族は青ざめて震え出す。
 ――これが呪いの歌であること、呪いのルールが、呪われてしまった身には直感的に理解できたのだ。
「うう。へ、返歌を。返歌をしなければ……では、貴方に」
「え? 私に?」
 通常の返歌と違い、呪いの歌は別人にバトンを渡さなければならない。
「知らざれば 心もとなし 朽ゆる萩 色褪せるまで 君を留めむ」

 呪いを受けた別の貴族はやはり青ざめる。
 そうして互いに呪いを押し付け合う様を、空目は愉快そうに眺めていた。


「平安京では、数え歌殺人に代わって新たに奇怪な事件が起こり始めました」
 新宿駅ホームにはディアボロスが集まっていた。到着したパラドクストレインからの情報を、宵星・影晃(アストロマグス・アンティーク・g03235)は伝える。

「妖怪が呪いの歌を流行らせようとしているのです。
 呪いの歌を受け取った被害者は3日以内に、まだ呪われたことがない別の人に呪いの歌の返歌を送り、呪いを移さなければなりません。そうしないと身体が腐り落ち、命を失ってしまうのです。
 いきなり返歌を送りつけられ、しかもそれは呪われた歌。受け取った人は恐怖し、周りの人々もいつ自分に回って来るのか、誰に呪いを返そうかと、不安を抱く。そういう仕組みなのです」

「今、呪いを受け取ったある貴族――名前を静家といいます――が、それ以上呪いを広げるのを良しとせず、呪われたまま妖怪の歌会に参加し続けているようです。このままでは彼の身体は腐り落ち、死んでしまうでしょう。
 皆様は歌会に参加してうまく彼と接触し、呪いの歌について聞き出して頂きたい。
 彼から自分達に呪いの歌を送って貰い、それをクロノヴェーダに返歌した上で撃破すれば、呪いの連鎖を打ち破ることができるでしょう」

「妖怪の邸宅で連日開かれているこの歌会には、参加する貴族の関係者なら自由に参加できる他、受付で歌の技量を示すことでも入れるようです。
 クロノヴェーダとしては参加者は増えて困るものでもないですから、参加するのはそれほど難しくない筈です。
 ここで示す歌というのは和歌でもいいですし、何か他の形式の歌でもいいでしょう。新しい形式の歌にも興味を示す妖怪のようです」

「歌会に参加している静家は歌を愛する若い貴族です。呪いの連鎖に手を貸すなど腹立たしいと思っているようですが、何かしらの方法で話をつけて呪いの歌を渡して貰って下さい」

「歌会の主催である妖怪……アヴァタール級クロノヴェーダは、正体を隠して歌の師匠として活動しています。
 そうしている間は周囲の警戒などを行っていないため、こちら側も目立つ行動をせず、正体を隠すように立ち回れば、歌会の間にディアボロスの正体が露見することはありません。
 クロノヴェーダは邸宅を離れず、配下のアヴァタール級と共にずっと住み着いているので、戦闘を仕掛けること自体はいつでも出来ます。
 呪いの歌の返歌を叩きつけた後、まず配下との戦闘に入ることになるでしょう。返歌についても、別に和歌である必要もありません。心のままに自由に詠んで下さい」

「呪いの歌などを無視して戦闘し、撃破することも可能ではありますが……そうした場合、呪わたままの被害者の身体は腐り落ちてしまいます。これは上手く事が運ばなかった時の最終手段とするように、どうかお願い致します」

「私から説明できる情報は、以上です。
 ひとつの事件を終わらせたと思えば、また次の猟奇事件。これらの事件の裏には、正体も解らない断片の王がいるのかも知れませんが……今はひとつひとつ、事件を解決して脅かされる人々を助けていきましょう。
 ――では皆様、どうか御無事で」
 パラドクストレインに乗り込むディアボロス達を、影晃は頭を下げて見送った。


「静家様。昨日受け取られた『あの歌』への返歌、今日は用意しておいでで?」
 空目が静家に問う。
「いいえ、まだ」
「ほほ。静家殿と言えども、返歌はなかなか難しいでおじゃるか」
 既に呪いを送り終えた貴族達が、優越の笑い声をあげた。空目は尚も問う。
「……相手は誰でもよろしいのですよ。憎い相手に送りつけてやればいいだけのこと」
「誰であろうと詠みませんよ。醜い押し付け合いの道具に使われるなどは、我が歌にあらず」
 静家に呪いを移す気がないと聞いて、まだ呪われていない者達は安堵する。
「この上は歌会の最中に腐れ落ち、満座の座興となりましょう。それよりも私は残された時間、もっと歌を知りたいのです。お師匠、私が知らぬ歌をまだ御存じなのでしょう」
 静家は空目と意地悪な貴族達を涼しい目で睨みつけるが、それすらも妖怪にとっては愉悦の種。
「ええ、ええ。それもまたよし。ではご希望通り、歌会を続けましょうか……」
 クロノヴェーダはにたりと目だけで笑った。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【腐食】
2
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【隔離眼】
1
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【植物活性】
2
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV5 / 【ガードアップ】LV4 / 【反撃アップ】LV2 / 【アヴォイド】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

魚通河
 歌会で呪いの歌を引き受けた後、妖怪に叩き返して退治するシナリオです。

●歌会への参加
 この選択肢からリプレイは始まります。様々な方法で工夫して歌会に参加できます。妖怪が開いている怪しい歌会なので、難しい挨拶とか儀礼とかはありません。

●呪われた歌の返歌
 静家と交渉や説得などをして呪われた歌を受け取り、戦闘前に空目に返歌を叩きつけるまでがこの選択肢です。
 特に指定がない場合、戦闘は歌会が終わって人々が帰った後になるでしょう。
 呪いを受け取ることになるのは1人だけですが、別に呪われていなくても、戦闘前の景気づけに空目に歌を叩きつけても構いません。
 静家からの歌は、ディアボロスが空目に叩きつける歌の内容から逆算されて大体それっぽい雰囲気の歌になります。

●護衛するトループス級
 この選択肢をクリアしていない場合、ボス戦に雑魚敵が割り込んできて難易度が上昇します。

●アヴァタール級との決戦
 この選択肢をクリアするとシナリオ終了です。呪いの歌を叩き返さずにクリアした場合、静家は死んでしまうのでご注意ください。
15

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


狭間・ならく
歌会ねェ……。アタシ向いてねェな?
いや何となくは知ってるけどよォ。
ああいうのはいいとこの坊っちゃんがやるモンだぜ。

商人とかから話聞こう。
えーっと、ほら。アタシゃ雑色かなんかの格好でついてくからサ。
人手が足りねーっていう参加者の情報とかが欲しいね。臨時雇いで頼まァ。仲介料なら払うからよ。
あァ、もし呪いとか押し付けられそうだったらアタシに投げて構わねーよ。マ、そういう意味では用心棒みたいなモンだとおもっといてくれ。

連携・アドリブお任せ


菅原・小梅
◆行動
歌会であるならば新進気鋭の貴族の少年として潜り込みます
香を焚き込めた水干装束に身を包み
貴族達に侮られぬ様に【歴史知識】【伝承知識】により
立ち居振る舞いにも気を配り参加しましょう
面倒な輩に話を振られたら唐の珍しい草花や
雅楽について話し、煙に巻くのも良いかもしれませんね

場に程好く馴染めましたら
静家様の方を軽く見やった上で歌を詠みましょう

「この度は こだま返さぬ 静けさや 空こと消えぬ 別れ烏と」

空目や性質の悪い貴族達への意趣返しの歌としては充分でしょう

静家様に言伝をし、後程訪問のお約束を取り付けられれば良いのですが
はい、近頃困った歌が流行りのようなので内密に色々とご相談出来ればと思いまして


藤宮・翡翠
歌会の入り口で空目さまに伝えていただきたい、と下の歌を伝えます。
「静が家の 妙なる歌に 導かれ 寄り出でし我 乞うて求むる」
(静家殿の歌に惹かれてやってきた私をどうか歌会に入れていただきたい、という趣旨です。妙なる=絶えなる で絶えそうで心配だという気持ちも込めてます)
静家殿のファンを装い、顔を隠しつつ采女装束で動きやすくも優美な姿で参加を試みます。
(耳と尻尾は隠してます)
入れてもらえたら中ではおとなしく様子見。
最後にこっそり「この後お話させていただけませんか? ふじのか」と書いた紙片を風の妖精に静家殿の元へ運ばせます。

……和歌の作法ってこれでよかったのかしら?
自信もないしちょっと恥ずかしい



「(歌会ねェ……。アタシ向いてねェな?)」
 勿論、歌がどういうものか、何となくは解るが。
「(ああいうのはいいとこの坊っちゃんがやるモンだぜ)」
 ではどうするか?

「人手が足りない参加者は誰かって?」
「ああ。臨時にでも雇って貰おうかと思ってね」
 雑役をこなす雑色の格好で、狭間・ならく(【嘘】・g03437)は同じ雑役夫たちから話を聞いた。
「それは静家様の所だろうな。何でも昨日一晩で従者達もごっそり逃げちまったとか。まあ、主の気まぐれで呪いを押し付けられるかもと思えば、恐ろしいのも無理ないがね」
 雑色達は顔を見合わせて確かにな、と頷きあう。
「そうかい、成程ねェ。ありがとよ」
 手を振って去ろうとするならくに、1人が問うた。
「おいおい、今の話を聞いて行く気かい?」
「なァに、危険が多いほど見返りも大きいってモンさね」
 適当にそれらしいことを言って、ならくは静家を待つ。

「確かに人が少ねーな」
 やって来た静家と供の者に、ならくは近づく。既に仲間が発動しているプラチナチケットがあるので、面倒な交渉などは無用だろう。
「よう、御主人方。先に来て会場の準備なんかを手伝っておいたぜ」
 当然という顔で輪に入っていくと、従者達にはあっさり受け入れられた。
「おお、そなたは確かに我等の関係者」
「そうですか。ご苦労様でした」
 静家も細かいことを気にしない性格らしく、労いの言葉をかける。
「時に御主人、呪われたままじゃ不都合だろ。アタシに返歌を投げても構わねーぜ? アタシは半ば用心棒みたいなモンだからよ」
 受け入れられるままに、軽く探りを入れてみたが、静家の返事は速かった。
「冗談でしょう。呪いの歌に手を貸すなど忌々しい」
「(迷ってるって様子じゃなさそうだな)」
 呪いを受け取るには、腰を据えて話さなければならないだろう。ならくは値踏みしつつ、従者に混じって雑色らしい働きを始めるのだった。


 歌会が始まる少し前。寂れた妖怪の屋敷にも似合わず、それなりの人数が集まって受付を済ませようとしている。
 中には采女装束に身を包んで耳と尻尾を隠し、人の列に溶け込んだ、藤宮・翡翠(妖狐の陰陽師・g04641)の姿もあった。
「歌を詠めることを示せば参加できると聞き及びまして……主催の空目様にお伝え下さい」
 そう言って、翡翠が受付の者に詠んだ歌。
「静が家の 妙なる歌に 導かれ 寄り出でし我 乞うて求むる」
「少々お待ち下さい」
 受付は一旦下がり、近くで聞いていた静家も「ふむ」と考え込む。
「(……和歌の作法ってこれでよかったのかしら?)」
 待っている間、駄目と言われたらどうしようなどと、翡翠はやや恥ずかしそうにしていたのだが。
「どうぞお通り下さい」
 帰ってきた受付に、無事参加者と認められたのだった。

「(これで一安心ね。後は……)」
 首尾よく歌会に参加できた翡翠はその後、目立たないようにして大人しく様子を見ていたが、隙を見てメッセージを書きつけた紙片を静家に受け渡した。
「この後お話させていただけませんか? ふじのか」
 という伝言を受け取った静家は、またも考え込む様子。
 とはいえ歌好きの貴族には、翡翠が受付で呼んだ歌に混ぜ込んだ意図――「静家殿の歌に惹かれてやってきた私をどうか歌会に入れていただきたい」という趣旨や、「妙なる」を「絶えなる」とかけた、命絶えそうで心配だという気持ちは理解されているだろう。
「たまきはる 命短し 静が家の 朽ち果つる身を 誰ぞおとなう」
 はたして、静家は翡翠に問い返す歌を詠む。
 それから「では歌会の後、我が屋敷においで下さい」という静家からの返事を、従者が翡翠の元に届けるのだった。


 静家が呪いの返歌をしないと宣言した後。
「この度は こだま返さぬ 静けさや 空こと消えぬ 別れ烏と」
 香を焚き込めた水干装束を纏う、菅原・小梅(紅姫・g00596)が詠んだ歌。
「うむ。静家殿が呪いを返さぬのは御立派じゃ」
「あの見慣れぬ少年は?」
「新進気鋭の貴族の家の御子息とか……」
 小梅のことを噂する貴族達。プラチナチケットの効果によって、小梅の自称を疑うものはいなかった。

(「上手く馴染んでいるようですね。であれば……」)
「貴方が静家様でしょうか?」
「ええ。そういう貴方は……?」
 小梅は静家に近づき、挨拶がてら言伝しようとするも。
「ほっほっほ。おやおや、今や絶えんとする家の貴族と、まだ世に出てもおらぬ家の貴族が仲良く相談でおじゃるか」
「いじましいことでおじゃるのう」
 小梅達に目をつけていた意地悪な貴族達が、割って入って来てしまった。
 絡まれた静家は面倒そうな顔をしており、追い払わなければ話の続きも出来そうにない。
 小梅は何ということもない様子で、静かに口を開いた。
「日の浅いもの、すぐに絶えてしまうものと言っても、侮ってよいとは限りませんよ」
「ほほう?」
「例えば花です。総じて命短いものですが、深見草などは唐土でも尊ばれます。
 文集にもあるでしょう。花開き花落ちること二十日、一城の人皆狂うごとし、など。
 長く続けばいいというものではありません」
「む、むう?」
「ぐぬぬでおじゃる……」
 子供と思っていた小梅から急に知識を浴びせられ、上手い返しが思いつかなかった貴族達はすごすごと退散してしまった。
「助かりましたよ」
「いえ。それよりも、近頃困った歌が流行りのようですので、内密に色々とご相談出来ればと思いまして……」
 小梅は歌会が終わった後、静家の屋敷を訪問する約束をとりつけるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!


 歌会が終わった後。使用人が逃げ出して閑散とした静家の屋敷に集ったディアボロス達。
「それで、私に何をしろとおっしゃるのです?」
 静家はディアボロスに問いかけた。
加奈氏・コウキ
単刀直入に言おう。
今回の事件の発端は、あの空目だ。
奴は妖怪。
この呪われた歌を広め、その様子を見て遊んでいる。
そして、この呪われたの歌を消滅させる方法がある。
それは、空目に返歌を叩き付ける事だ。
それにより、この歌は消失される。
俺は奴に歌を叩き付ける。
だからお前は、その為に、俺に返歌を叩き付けろ。
信じる信じないは自由だが、嘘をつく奴が、わざわざ呪われた歌を自分に叩きつけろというかどうか、よく考えろ。

クロノヴェーダに叩きつける返歌は以下に。
世が乱れ、呪いがはびこる、この都、滅びもあれば、救いもある哉…。
ついでに腐食の効果も乗せてプレゼントしてやろう。



 最終目的はクロノヴェーダの殲滅。それまでの手順は、簡潔である方がいい。
「単刀直入に言おう」
 だから加奈氏・コウキ(妖一刀流皆伝・g04391)はただ要件を率直に、静家に伝えた。
「今回の事件の発端は、あの空目。奴は妖怪だ。呪われた歌を広め、その様を見て楽しんでいる」
「なんと。……呪いを始めたのはあの御方ですし、悪意があるのは知っておりました。言われてみれば不思議でもありません」
 この世界では妖怪の存在は常識であり、静家は自分で呪いを受けた身。ここまでは簡単に納得させられた。
「そして、この呪われた歌を消滅させる方法がある。空目に返歌を叩きつけ、倒すことだ。
 それにより呪いの連鎖も消失する。
 俺は奴に歌を叩きつける。だからお前はその為に、俺に返歌を叩きつけろ」
「ふむ……」
 親指で自分を指し示すコウキに、静家は考え込む。
「信じる信じないは自由だが、嘘をつく奴が、わざわざ呪われた歌を自分に叩きつけろというかどうか。よく考えろ」
「例えばこうは考えられませんか? 貴方は私から呪いを受け取った後、誰か憎い相手に呪いを移してしまいたいのだと。そうしたら私の歌は呪いの道具に利用されることになってしまう」
 よく考えた静家はその可能性が引っかかるらしい。

「俺はこの地に利害のある相手などいない。どうすれば信じられる?」
「貴方は……空目にどのような返歌をするおつもりで?」
 静家に促され、コウキが考えていた返歌を披露すると――静家はふふと笑った。
「なぜ笑う?」
「いえ。あまりに朴訥な歌でしたので。……ですが納得いたしました。
 貴方は人品卑しからず、明瞭に語る知性もお持ちなのに、歌だけそれほど奇妙なのは、京とは習俗の違う何処か遠い国から来られたに違いない。そうでしょう?」
「(歌好きは信用も歌で量る、という所か)」
 相手が納得している所に、異論を挟む必要もない。コウキは黙って頷いておく。
「とすれば、京に憎む相手がいる筈もなし。それに、歌を悪用する人間の歌とも思えません。
 ……解りました。貴方に呪いを移しましょう。ですが、本当に妖怪を退治できるのですか?」
「無論だ。心配には及ばない」
 頷くコウキに、それでは、と静家が詠んだ呪いの歌。
「朽つるとも 散るとも惜しめ 萩の花 手には無くとも 世に語られん」
 ――自分に呪いが移されたことを、コウキは直感的に感じ取った。

「確かに受け取った。……く、ち、は、て、よ、か」
「取るに足らない技巧です……貴方の国の歌にも、このような遊びはあるのですか?」
「ああ。……しかし今は、歌の話をしている暇はない」
 興味深そうに問う静家を、コウキは制した。どうせ自分達が去れば、この会話の記憶も別の記憶に挿し替えられてしまうだろう。
 見送る静家に別れを告げて、ディアボロス達は夕闇の中、空目邸へ押し入った。


「何者です?」
「呪いを返しに来た」
 古びた邸宅の広間にわだかまる空目。その不気味な眼差しに、正面からコウキが叩きつけた歌。
「世が乱れ、呪いがはびこる、この都、滅びもあれば、救いもある哉……」
「何とも言えぬ歌……それでよく静家に取り入れたものです」
「人間同士のやり取りは巧拙が全てではない。妖怪には解るまい」
 呪いが空目に返っていったことを、コウキは肌身に感じている。――そしてゆっくりと刀を抜いた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【腐食】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!


「者ども、かかれ!」
 空目が呼ばわると、広間の隅、柱の陰の暗がりから、黒虚天狗たちがゆらりと姿を現す。
 呪いは既に返された。後はクロノヴェーダを滅ぼすのみ。
藤宮・翡翠
「静家殿をどう説得するか迷ってるうちに加奈氏・コウキ殿が呪いを受けてくださったのね・・・・・」
ほうっと安堵の息をつく。
「私も陰陽師の端くれゆえ、ご安心を」
敵を討つのはこちらに任せて、静家は安全なところにいて欲しいとお願いします。
妖精の舞を使い、静家殿の屋敷の植物を活性化させる。
静家殿は朽ちたりしない。これからもその心の美しさと強さのままに歌を作り続けるでしょう。
木々が邪な眼差しを遮り守ってくれることを願って。


狭間・ならく
歌に呪いたァ全く無粋だねェ。どこの誰が考えたンだか知らんが。
マ、静家殿もご苦労さんだ。

んー……とりあえず、ヒスイを手伝うとすっかね。行きな、モコモコ野郎。

アタシゃ歌は上手いこと詠めねぇが、楽ならまぁまぁなほうなんだゼ?
ほら、家ン中に楽しげな音でも響いてりゃ、逃げてったヤツらも帰ってきたくなるってモンよ。

──響け、灼刀


神田川・憐音 (サポート)
『あたしの歌を聴くか飯を食え! そして感動しろ!』
 リターナーのサウンドソルジャー×特級厨師、15歳の女です。
 普段の口調は「口数の多いギャル(あたし、あんた、ね、よ、なの、なの?)」、真剣な時は「口数の少ないクリエイター(あたし、アンタ、言い捨て)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
取り合えず歌うか飯を食わせるかして問題を解決しようとします。
敵味方は問いません。音楽か飯か、その前に在るものは全て平等です。
他のディアボロスに迷惑をかける行為はせず寧ろ積極的に後押しします。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 時間は少し遡り、コウキが呪いを受けた後。
 ディアボロス達は見送る静家と従者達と共に、庭先に出た。
「静家殿に何と言って説得するべきか迷っていたのですが、コウキ殿が呪いを受けて下さる結果になって安心しました」
 ほっとするのは藤宮・翡翠(妖狐の陰陽師・g04641)。
「歌に呪いたァ全く無粋だねェ。どこの誰が考えたンだか知らんが。……マ、静家殿もご苦労さんだったね」
 静家を労うのは狭間・ならく(【嘘】・g03437)だ。
「心から歌が生まれて、歌が心に響くものなら……呪いに使うことも出来るってことなのかな」
 神田川・憐音(天地を揺さぶる情動・g02680)は物思う。

「私は特に何ということもありませんでしたが。それより皆様も、妖怪退治に向かわれるのでしたらどうぞお気をつけて」
「なァに、歌を詠めってんじゃなければ気楽なモンよ」
「私も陰陽師の端くれゆえ、どうかご安心を。敵を討つのはこちらに任せて、静家は安全なところにいて下さい」
「そういたします」
 と答える静家に、何か他に出来ることはないか……翡翠はふと庭を見渡した。
 見れば庭木は枯れて葉もつけず、人も去った静家邸を更に物寂しくしている。

「そうだ。木々が邪な眼差しを遮り守ってくれることを願って……ひとつ舞をご披露しようと思います」
「へー……、それじゃアタシも手伝うとすっかね。ほら、行きな、モコモコ野郎」
 舞を始めようとする翡翠の隣で、モーラットのモコモコ野郎も跳ね回る。
「アタシゃ歌は上手いこと詠めねぇが、楽ならまぁまぁなほうなんだゼ?
 ──響け、灼刀」
 ならくは不思議な刀から、筝の調べを響かせた。
「音楽と聞いたら黙ってられないよ」
 憐音は魔楽器を取り出し……音合わせにかき鳴らすと雰囲気が変わる。
「あたしの歌を聞け……!」
 ――3人のパフォーマンスが始まった。

「共に舞い踊れ わが友たちよ」
 ならくの楽の音でモコモコ野郎が光り、翡翠が舞えば、現れるのは6種の妖精達。憐音はそれらに合わせて演奏と歌声を響かせる。
 水の妖精は流れるような旋律の中で大気を潤し。
 光の妖精は優しい囁きと共に仄かな光を齎す。
 土の妖精がずしりと重い響きで木の根を揺らせば。
 植物の妖精はかき鳴らされる弦の音に緑の葉を茂らせて。
 風の妖精は加速していく歌声を受けて葉をさざめかす。
 そして火の妖精がチカチカと輝き――叫びに唱和して一面の木の葉を真っ赤に染め上げた。

「……ねえ、どうだった?」
「おお、なんと心躍る音楽なんでしょう!」
「もうずっと枯れたままだった庭木にも紅葉が……こりゃめでたい!」
 舞と楽と歌が終わって、植物活性の力により庭に紅葉が舞い散るようになった。
 力を込めた歌の後に、ふっと息を吐いた憐音の雰囲気はいつものギャルに戻っていたが、問いかける眼差しは真剣で、従者達は口々に感動を伝える。

「静家殿……貴方は朽ちたりしない。この紅葉のように。これからもその心の美しさと強さのままに歌を作り続けるでしょう」
「ええ、きっとそうします。まずこの素晴らしい出来事と感動を、歌にして残さなくては」
 舞い終えて一礼する翡翠に、静家は感極まって答えた。

「庭木が茂って、この家も少しは賑やかになったってモンよ。
 それにほら、楽しげな音につられて、逃げてったヤツらも帰って来たくなったんじゃねーか?」
 ならくの示す方を見れば、やはり主人が心配で様子を窺いに来ていた元従者たちが、音楽につられて庭へ立ち並んでいた。
「おお、もう呪いは大丈夫です。皆さん、また当家で働いて下さい」
 静家の招きに元従者たちは頷く。
「何だか丸く収まったみたいだね。それじゃあお祝いに――あたしの飯も食っていきなよ!」
 夕空に美味三昧砲が轟き、憐音の料理が唸りを上げるのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【植物活性】LV2が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV3が発生!

加奈氏・コウキ
前回の続きだ。
まずは天狗どもを屠る。
その後で、貴様の番だ。
空目、目玉を洗って待っていろ。

神蝕呪刃にて攻撃を行う。
使用する武器は、メインとして妖一刀流皆伝乃刀。
その他、全身に隠した装備武装も臨機応変に使用。
回避、攻撃、移動など。

敵の反撃は、黒翼影討ノ術と推測。
音に頼らず、気配を感じるように、空気の流れなどを読んで、冷静に、回避行動をとり、その後、隙を突くように反撃を行う。

トループス級など、もはや俺の敵ではない。
来い。
纏めて、首を置いていけ。

刻逆によって故郷と家族の存在を消された俺にとって、それを引き起こしたクロノヴェーダどもは全て、万死に値する。
一匹残らず駆逐してやる。
それが、俺の信念だ。



 クロノヴェーダ滅ぼすべし。
 鴉の声と黒い羽根が静寂を破る中、ただそれだけを考える。
 敵は自分を三方から囲み、錫杖の突きを繰り出して来る。そこまで読めている。

(「まずはこの目の前の敵から屠り……」)
 加奈氏・コウキ(妖一刀流皆伝・g04391)は右に跳んで正面からの突きを躱し、抜き放った呪いの刃で右から来る錫杖を腕ごと斬り落とした。
「ギエェェ!」
 肩から先を失くした天狗は苦悶の叫びをあげて倒れ、コウキは更に背後から迫る攻撃に向き直る。
 ――一呼吸間に合わず。錫杖の一撃がコウキの身を打ち据えるが、それでも致命的部位は避け、腕で打撃を受け止めた。
 止まってなどいられない。痛みは意識から追い出す。打たれると同時、限りなく圧縮される時間の中で2方向へ反撃を放ち、1体は斬り伏せた。
 更に自分からの攻撃……闇から振るわれる錫杖の軌道とすれ違いながら、天狗の胴を両断する。

「ケェ……」
 計3体を瞬く間に斬ったコウキに、天狗達はやや怯んだ様子。遠巻きにコウキを取り囲む。
「どうした。まだいるなら早く来い」
 クロノヴェーダは全て斬らねばならない……復讐の為に。
「いくらでも相手をしてやる。纏めて首を置いていけ」
「威勢のよいことで。さあ、お望み通り相手をしてやれ。お前達の技も通じないではない」
 奥で目を凝らしていた空目が、天狗達をけしかける。
「トループス級を片づけた後は、空目、貴様の番だ。目玉を洗って待っていろ」
「くっくっ。それまで貴方が生きていればね」
 冷たい視線を向けるコウキへの、空目の笑いが響く中、天狗達の第二陣が迫る。鴉の羽根より黒い殺意の中へ、コウキは再び神経を研ぎ澄ませ、沈み込む。
 そうして向かって来る敵をひたすらに斬り続けた。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【腐食】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

藤宮・翡翠
ネメシスモード発動。妖狐の耳と尻尾をピンと立てて。短刀を抜く。
静家殿はもう大丈夫だから。あとは、敵を倒すのみ。

まずは取り巻きの天狗からですね。
「我 願い奉る 我が前に現れ 力を貸し賜え」
舞い踊り、微笑みを浮かべて。
ここには力強い仲間がいる。
この場に満ちる力、すべてを借りて必ず敵を討ちましょう。

※共闘大歓迎


狭間・ならく
【アドリブ・連携お任せ】
待たせっちまったかィね、わりーわりー。
さて、相手してやンよ天狗。
(コインを弾く)
さて、表か裏か。アンタはどっちに賭ける?
ひひひ、嘘つきナラクさんと化かし合いしようってのが間違いさ。

蹴り飛ばしたついでに一太刀も浴びせてやるよ。



 ぞろぞろと、物陰から現れて取り込む、大勢の黒虚天狗たち。
「クェー……」
「ケケケ……」
「もしかしてさァ、アタシ等が来るまでずっと隠れて待ってたワケ?
 だとしたら待たせっちまったかィね、わりーわりー。静家ンちでのお別れが盛り上がっちまってよォ」
 狭間・ならく(【嘘】・g03437)は物怖じするどころか知り合いに話しかけるような気楽さで、灼刀を抜いた。
「さて、相手してやンよ天狗」
 そして、1枚のコインを高く弾く。
「――表か裏か。アンタはどっちに賭ける?」
「カァ?」
「キキッ!」
 意味ありげに投げられたコインに、天狗達の目線は引きつけられ……。
「ひひひ、嘘つきナラクさんと化かし合いしようってのが間違いさ」
 その隙に高速移動で回り込んだならくによって、1体の天狗が蹴り倒された。
「クアッ!?」
「ついでだ、これも貰っときなァ」
「ククッ……」
 灼刀による追撃に、天狗も無理な姿勢から反撃してくるが、それでならくに痛打を与えられる筈もない。
 背中を貫かれた天狗は藻掻くことも止め、事切れる。

「カアアァ!」
「クエッ!」
「おいおい。これは嘘じゃなく本当の忠告なんだがよォ、ナラクさんばっかりそんなに注目していいンかね。後ろがお留守になっちまうぜ?」
 仲間を倒された天狗がならくに殺到するも、ならくはニタリと笑って言い放った。
 その言葉を受けて、もう騙されないぞ、とばかりにますますならくに激昂する天狗達であったが……。

「我 願い奉る 我が前に現れ 力を貸し賜え……ならくさん、加勢するわ!」
 藤宮・翡翠(妖狐の陰陽師・g04641)はネメシス形態に変化。毛並みの良い妖狐の耳と尻尾を、今は戦いの為にピンと逆立て、短刀を抜いて祈りを込めた。
 現れたるは玄武、白虎、青龍、朱雀の四神の姿。

「無事ですか?」
「あァ、助かるぜヒスイ」
「ケェ!?」
 呼び出された四神は、各々鳴き声をあげて敵に飛びかかる。
 玄武は水流を発しながらの体当たり。白虎は爪と体躯で押し倒し。青龍は上から飛来して牙を突き立て。朱雀は炎を纏う突撃で。瞬く間にならくを囲んでいた天狗達を薙ぎ倒した。
「クアッ!」
「くっ……。まだこの程度では……」
 生き残った天狗の影討ノ術が翡翠を打つも、力弱く致命打には程遠い。
「今一度、四神よ、力を貸し賜え!」
 翡翠は怯まず、再びの四神召喚。荒ぶる獣神は更に天狗達に襲いかかり、追い散らしていく。
 祈りを捧げる翡翠の脳裏に浮かぶのは、静家邸の人々の喜ぶ姿。
「静家殿はもう大丈夫……後は貴方達を倒して、人々の平穏を取り戻す」
「頼もしいねェ……おっと」
 ならくは目ざとく、翡翠の背後へ忍び寄る天狗を見つけ出すと、そちらへコインを弾いて問いかける。
「表か裏か、どっちだ!」
「ケッ!? ……キィ!」
 あまりに意味ありげに放られたコインに、天狗は構わざるを得ない。……コインを空中でキャッチし、得意気な身振りでならくの方を向くが、もうそこに彼女の姿はなかった。
「やるじゃねェか。意味はないがな!」
 やはり背後から天狗を蹴倒し、ならくは翡翠への攻撃を防いでみせた。

「助かったわ、ならくさん」
「いいってことよ。それよりあっちも頼むぜェ」
 ならくの示す先には、更なる天狗の群れ。
「ええ……頼りになる仲間がいれば、遅れを取ることはないわ。この場に満ちる全ての力を借りて、敵を討ちましょう」
 三度、四神が天狗に襲いかかり、ならくは翡翠と背中合わせに背後を守る。
 それから、本体の安全を確保された翡翠の四神召喚は、次々に敵を打ち倒していった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

リュカ・テネブラルム (サポート)
私はしがない処刑人でございます。
争いも闘いも決して得意とするところではございませんが、けれどもこの刃が誰かの安寧の為にお役に立ちますならば、喜んで振るいましょうとも。

戦闘中は尾花栗毛の愛馬・ビーマイナーに騎乗し、馬上より大鎌を振るって戦います。

一般人の救出は最優先に、必要とあらばこの身を盾といたしましょう。
御身の為には賎しいこの身など何も惜しくはございません。
大丈夫ですよ。お怪我はございませんか?

敵へと向ける一閃には、せめてその最期が安らかでありますように祈りをこめて、ただ丁寧にその御首を落としてみせましょう。
衷心より尊び、慈しみ、愛をこめて彼岸へとお送り申し上げます。



「キィ……」
「クエエ……」
「休むな、押し包め。お前達は捨て石なのだ、命を惜しべからず」
 戦いの中で傷ついた黒虚天狗たちに、空目からの指示が飛ぶ。上位者の命令に逆らえないクロノヴェーダは、傷ついた身体を引き摺って敵を取り囲む。
「嗚呼、お労しい……」
 自分を囲む妖怪達の姿に、リュカ・テネブラルム(彼岸へと愛をこめて・g05363)は思わず零した。

 天狗達は錫杖を構え、愛馬の背に乗ったリュカの手には慈悲の大鎌。戦いが始まろうというのだ。
 不当な簒奪者に対して、人々を苦しめる妖異に対して、或いは怒りを燃やして対峙すべきなのかも知れなかったが。
「異教の魂とはいえ、人の理を外れた存在とはいえ……振る舞いを見れば知性と感情を有するのは明らか。
 そうであるならば、せめて最期は神の御慈悲の下、安寧を差し上げたく存じます」
「クエエ?」
「カァア!」
 何の話をしているのか、と言いたげに、威嚇の鳴き声を返す天狗達。
 リュカの心中には怒りも憎しみも湧いては来なかった。怒るとすれば、もっと大きな不条理に対して。目前の敵にはただ憐れみと慈しみを覚える。
「ビーマイナー、愛しい馬よ。だからこそ……貴方にお願いします。どうか私に力を貸して下さい。貴方の助力が必要なのです」
 白いたてがみを撫でると、ぶるる、とビーマイナーはリュカに答えた。
「貴方に感謝を。では参りましょう……」

 暗がりの中で鴉の羽根が舞い散り、黒い衣は翻る。
「クアッ!」
「キーッ!」
「まだ……最善の瞬間、最善の一撃を……」
 ビーマイナーは敵との間合いを計り、巧みに移動してリュカを助けるが、それでも錫杖は何度かリュカを掠めた。
 リュカの狙いはただひとつ。一切の苦しみを与えない、救済の一撃。
 更に幾度か黒い影が交錯し――その時は来た。
「或いは望まれぬことかとも愚考いたしますが……それでもこの場において、私に出来ますことはただこれのみなのでございます。神よ、慈悲深き貴方の御手に罪人の魂を委ねます」
 ビーマイナーが敵の真横を駆け抜ける。リュカの手にした刃が閃き、ぼとりと首が落ちた。悲鳴も起こらず、苦悶の呻きすらも上げず……首を落とされた天狗の躯体は静かにその場に倒れ伏す。
「嗚呼、今の一撃……ビーマイナー。もう一度お願いできますか?」
 かくして、大鎌がくるりと振るわれる度、リュカと愛馬による静かなる処刑が繰り広げられるのだった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【一刀両断】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!


「1人、2人を倒すことさえ出来ないとは……使えない者達でした」
 ディアボロスの手によって、黒虚天狗は全滅した。空目はさして落胆した様子もなく、暗がりの奥から進み出る。
「ですが、戯れもここでお終い。あなた方を始末してから、またゆるりと呪いの歌を考えるとしましょう」
 ぎょろぎょろと目まぐるしく視線を動かし、空目はディアボロスに襲いかかる。
青沢・屏 (サポート)
『まず護衛を一掃し、あとは敵将を狙う。これは基本です』
 人間の神算軍師×ワールドハッカー、22歳の男です。
 普段の口調は「男性的(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、戦闘中は「神算者(私、汝、言い捨て)」です。

 パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他のディアボロスに迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


マリアラーラ・シルヴァ (サポート)
『知ってるよ?【たぶらかす】すればいいんでしょ?』

 サキュバスの歌ったり踊ったり演技したりするのが得意な女の子です。
 自称、愛称はマリア。人懐っこく、人タラシ。口調はおこさま的です。

 情緒は童女ですが発想がエキセントリックで時に俯瞰的な視点で発言する時もあるサポートキャラです。

「クロノベータもお腹が空くのかな?それなら美味しい匂いで誘い出せるかもだよ!」
「スマホで録画して、と…新宿にもどったら友達に活躍自慢しよっかなって」
「トレインで移動中に遊ぶためにトランプ持ってきたよ!」

 お話を賑々しく彩る場合に是非使っていただければと思います。

※例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。


クリシュナ・ヴォルフィード (サポート)
「ん…お手伝い、がんばる…の…(ぐ)」

▼基本行動は大盾による壁役(タンク)。【ガードUP】から攻撃の肩代わりや『弾幕』『拠点構築』で防衛をメインに。
▼状況次第で攪乱役にシフト。【飛翔】や【エアライド】を駆使して『砲撃』『空中戦』『一撃離脱』『弾幕』を活かす戦術を。
▼基本会話はぽつぽつ、のんびりだが人見知りではない。戦闘中は少しだけしっかり話す。

※他のディアボロスの行動の邪魔はしない、言動にも反論しない。防衛と支援に徹する、あくまでも《守護者》として行動。
公序良俗に反さず、恋愛的行動、言動もしません。


縹木・勒哉 (サポート)
俺は縹木勒哉、よろしく頼む
蘇ったこの命…存分に使おう

戦闘は味方のサポート的な立ち回りが好きだな
装甲を削って敵防御を下げたり、敵の気を引いて味方の攻撃を通し易くする等
ただ、一度死んでいるという捨て鉢な気持ちが根底にあるので、我が身を顧みない戦闘になりやすい
捨身特攻は最悪の手段だと理解しているが…すまない


年齢より大人びていると言われているが…そうだろうか?
場の空気は頑張って読み、催し事の参加が必要なら全力で取り組むぞ
手先は器用なんだ。何でも挑戦しよう

「人々を脅かす、お前の存在を許容する事はできない」
「この痛み、身を持って味わうと良い」
「なるほど…その発想はなかったな」


アドリブ・連携歓迎、お任せです



 以前より住む者もなく、あげく妖怪の棲家になっていた屋敷である。
 もともと酷く痛んではいたが、戦いの余波を受けてとうとう天井と壁の一部が崩れ去り、広間には消えかけの夕日が差し込んでいた。
 その赤く滲む光を挟んで空目に対峙するのは、4人のディアボロス。

「護衛を一掃した後、敵将を討つ。基本にして正道ですね。後は詰めを誤らないよう気を緩めずいきましょう、皆さん」
 羽扇を片手に状況整理を行うのは青沢・屏(コーヒーアーティスト・g00202)。
「まかせてっ! マリアの魅力で妖怪も『たぶらかす』しちゃうんだから」
 意味を解っているのかいないのか、フリルのアイドル衣装でポーズを決めるのはマリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)だ。
「ん……。たぶらかし、は皆に任せて……わたしも防衛でお手伝い。がんばる……の……」
 朱金の大盾をしっかりと構えたクリシュナ・ヴォルフィード(ブルーアイズ・シルフィードナイト・g03989)は「えい、えい、おー……」とマイペースに皆を鼓舞する。
「ああ、皆の力を合わせて戦おう。よろしく頼む」
 縹木・勒哉(白亜・g02929)は彼等に応えると、空目に向かってチェーンソー剣を構えた。
「さて、妖怪・空目。人々に呪いと猜疑を振り撒くお前の存在、見過ごす訳にはいかない」

「くっくっく……そうですか。それは恐ろしい」
 勒哉の弾劾を受け、ディアボロス達から各々の武器を向けられた空目は、しかし不気味に宙に蟠っている。……その時。
「あっ……みんな、気をつけて……!」
 守護への意識が高く幸運にも恵まれているクリシュナは、背後からの視線に逸早く気がついた。
 振り向くと、そこに現れていた空目の一部――宙に浮かぶ小さな目に向けて、牽制の突きを放つ。
 朱金の銃槍が刺さる前に、空目はすっとその空間から消え失せた。
「どこからでも、わたし達を狙える……の?」
「自由に移動して視線の光線でこちらを狙える、厄介ですね」
 言いつつ、屏はクリシュナと共に仲間の死角を消すように円陣を組む。
「ああ、残念。勘の良いことで」
 空目の方はゆっくりと、攻撃の機会を探るように円陣の周囲を回り始めた。……互いに攻めあぐね、息の詰まる時間が流れる。

「もう、何なの? じっとしてるばっかりでつまんないよっ!」
 痺れを切らしたのはマリアラーラだった。不満げに声をあげた後、ひそひそと仲間達に告げる。
「目しかない妖怪なんて、マリアのパラドクスで目を眩ませちゃおうか? 威力は全然ないけど……」
「なるほど……僅かに狙いを遅らせるくらいは出来そうだ。その間に俺はどうにか飛び込んで……」
「待って下さい」
 勒哉から捨て身の意図を嗅ぎ取った屏が、すかさず申し出た。
「私のパラドクスも光です。目眩ましと、ある程度は相手の光線を相殺できるかと」
「奇遇……わたしも光になれる……の。光線にも、負けない……きっと」
「じゃあ決まりだね。マリア達のパラドクスの援護で……」
「縹木さんの道を開きましょう」
「空目を叩いて欲しい……の」
「ああ。了解した」
 状況を打開する為には捨て身の特攻も考えていた勒哉だったが、どうやらそうはならないらしかった。

「さあ空目、目を見開いてよーく見てよね! マリアの輝き!」
 マリアラーラが【夢魔のお天気占い(ウィザースウェザース)】を発動すると、眩い光の柱が何本も天から降り注ぐ。
 夕闇はあっという間に、アイドルステージよりも強烈な光に包まれた。
「万物の中の光よ……今は彼に力を」
 屏が【CODE・ダライアス】によって世界から抜き出したエナジーは、光球となって彼の周囲を巡る。屏はそれを、吶喊する勒哉の前方を飛ぶように解き放った。
「――暁に熾きろ、宵に耀け、疾く逆巻きて」
 クリシュナは一度屋根の穴から夕空へと舞い上がり……再び邸内を目掛けて急降下。
「――剣と成れ!」
 あまりにも迅く、朱金に輝くその様はまさに流星……【暁の光の剣(ライト・ブリンガー)】と化したクリシュナは、やはり勒哉を導くようにその前を奔る。

「ええい、眩しい……だが!」
 3種のパラドクス――主にマリアラーラのものだが――による圧倒的な輝きは僅かの間、空目の視覚を妨害した。しかしそれでも反撃と防衛は行わなければならない為、空目は出鱈目に光線を乱射する。
「きゃっ!」
「くっ……」
 放たれた何条もの光線は、的外れな方向へ飛ぶものも多かったが、いくらかはマリアラーラと屏を灼いた。
 敵と距離を取っていた2人にさえ当たるのだから、空目に向かって突き進む勒哉にはより多くの光線が降り注ぐ。しかし……。
「させない!」
 光剣となったクリシュナは光線に灼かれながらもそれらを弾き、屏の光球も光線とエナジーを相殺して威力を和らげ、後に続く勒哉への攻撃を減衰させる。
「光が微温い……これなら……!」
 更に自前のビームシールドでも光線を遮り――皮膚を焼き焦がす熱を感じながらも、勒哉は空目へ肉薄する。

「当たって……!」
「があぁっ!」
 先を奔っていたクリシュナが、まず光の刃を空目に突き立てた。しかし自身も多数の光線を浴びていた為に軌道はよじれ、空目本体の端を削るにとどまる。
 続く屏の光球は、空目が放った最後の光線と打ち消しあい、敵の目前で拡散した。
 ――そして迎撃の尽きた空白の瞬間、クリシュナの一撃目で怯んだ妖怪の隙を突き。
「……粉砕する」
「ぎゃああぁあああぁ!」
 振るわれたのは、勒哉のチェーンソー剣による渾身の一撃。回転する刃は空目の中心部分を抉り抜き、クロノヴェーダに絶叫をあげさせたのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【照明】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!
【ガードアップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV3になった!

陳・桂菓
朴刀『驪竜』を肩に担ぎ上げ、空間に溶けてどこにいるやら不明な空目に対して挑発。
「女を覗き見するのが趣味か? 風流なことだな。服も脱いでやろうか?」
全力で馬鹿にした口調で言いつつ、上着に手を掛けてヒラヒラと動かしてみせる。

怒ったなら行動はより攻撃的になり、空間に溶け込んで逃げ隠れするという行動は多少でも鈍るはず。その隙を狙う。
攻撃の性質上、光線が飛んできた方に目があると読む。
ゆえに、攻撃を受けた瞬間に逆方向に朴刀の刺突。柄尻の石突を握った最長射程、方向がどうであれ全力の【ジャンプ】で一瞬で間合いを無に。
ダメージに動じない【忍耐力】と、被弾して即反撃に移行できる【精神集中】が要になるだろうか。



「おのれぇ……」
 先の戦いにより、空目はかなり消耗した様子。大きな眼球はひび割れて濁り、これ以上のダメージを恐れてか、空間に現れては消え、消えては現われを繰り返して狙いを定めさせないつもりらしい。
 その様は、朴刀『驪竜』を手にした陳・桂菓(如蚩尤・g02534)に言わせれば――。
「無様だな。最後に正面からやり合おうという気概は無いのか?」
「何とでも言いなさい。どこからでも狙える。私を恐れろ……」
「女を覗き見するのが趣味の奴をか? 冗談だろう。
 ――全く風流なことだな。どうせなら服も脱いで見せてやろうか?」
「……」
 相手を馬鹿にしきった口調で、桂菓は上着に手をかけ、ひらひらと動かしてみせた。瑞々しい果実の如き乳房が上着の奥で揺れる……。
 だがそんな挑発にも空目は無言で、攻撃の機を見計らっているようだった。隙だらけの挑発を継続する桂菓の、頭上へ、右へ、左へ現れ――そして背後を取った時、とうとう動きを止めて目を見開き、光線を放つ。

「――掛かったな?」
 桂菓も黙ってはいない。
 研ぎ澄まされた集中力で攻撃の気配を察知すると、振り向き様、怯むことなく全力の跳躍で光線の中へ跳び込む――その先にこそ、討つべき敵はいるからだ。
「微温い……!」
「馬鹿な!」
 傷つけられた空目の光線は、威力も弱まっていた。朴刀を通じて発揮されるパラドクスの力は光線を斬り裂き、桂菓を無傷で空目の下へ導く。
 最速の反応により一瞬で間合いを詰め、朴刀の石突を握った最長射程での一撃。それは妖怪に避ける間を与えず、眼球の中心を貫いた。

「何故……反応が早すぎる……」
「攻撃は背後から。お前のような者の考えることは見え透いている」
「グ……ウウ……」
 思考を読まれていたことを告げられると、空目は屈辱の呻きを残し、粉々に砕け散ってしまった。
「虚誘還殺。これにて成った」
 クロノヴェーダの消滅を見届けた桂菓は構えを解き、朴刀を担ぎ直す。
 ディアボロス達は妖怪のいなくなった廃屋を後にし、帰りのパラドクストレインへ乗り込むのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2021年11月03日