リプレイ
柳谷・凪
絡み・アドリブ歓迎
「むぅぅ、敵の数が多すぎなんだよ。雑魚相手はいい加減うんざりしてきたのだ。そろそろ敵将引き摺り出したいんだよ」
前哨戦、敵トループ相手に大立ち回りの無双をするのだ。奇襲を利用して一気に敵の数を削るんだよ。
神への生命賛歌に由来する古式の奉納演舞を煽情的で妖艶に改編した演舞を行い、戦場の敵を魅了しつつ味方を鼓舞し士気を爆発的に高めるんだよ。魅了した敵は斬鋼糸【阿羅倶禰】で斬り刻んでいくんだよ。
残りHP3割まで減ったら撤退するんだよ。
「むぅ、雑魚の数結構減らしてるんだけどなぁ。そろそろ敵将の1人や2人引き摺り出して倒しておきたいんだよ。」
リト・ハリーリー
援護に徹底するよ。身軽な体だから小さな事を利用して動くよ。
大きな体を使ってスフィンクス『マウ』(全長100cm程)が敵を誘導したり、
リトが忍び足して情報収集。敵さんの動きを仲間に伝えるの。※連携歓迎
あっちにいるよ。こっちが少ないよ。そこ危ないの。
戦いは上手くできないから、見極めは難しいかもしれないけど…
仲間のピンチには【モブオーラ】で行動を察知させない様にしたり『マウ』に援護してもらうね。
藺草・風水
即興連携、アドリブ歓迎
「ホントに始皇帝の兵馬俑みたいな有様なの。此処の指揮官の目的も気になるけど、まずはやる事をやってから!」
余りの数と不動ぶりに疑問を抱きつつ、殲滅の狼煙となる一撃を与えるべく戦う
「物言わぬなら、そのまま壊れた埴輪のような有様にしてあげるの!」
可能な範囲で奇襲する形で、装備した銃火器をフルに使った【万火殲乱】の連射と連続砲撃で可能な限り多くの敵を焼き払う
敵の反撃には砲撃による吹き飛ばし等で極力近寄らせないようにすることで対応
「残念だけどここらで区切り、引かせてもらうの!」
残りHP4割まで減る、または敵が此方の面々を包囲しに動き始めたタイミングで撤退する。
ロロス・ペタルロベル
炎を使ってくる蜂ですか。
こちらの方が多勢であれば対となる属性で力押しした方が良さそうですが、今回はそういう訳にはいかなさそうですね。
となれば、相手の攻撃を受け止めやすい火炎使いの私の出番でしょうか。
奇襲による不意打ちと離脱も得意分野です。
両の手に持った≪焔刀≫と≪影焔刀≫で迫りくる敵の炎を斬り裂き、時に取り込み纏わせたりして無効化しながら敵に近付き、
火の粉が舞うような揺蕩う動きで敵を次々と斬り捨てていきます。
常に移動して囲まれ過ぎないよう気を付けながら戦いますが……流石に数が多いとこのまま戦い続けるのは厳しいですね。
あまり敵中に深入りし過ぎず、敵の増援で退路が断たれる前に無理せず退きましょう。
袁・雀蜂
※アドリブ歓迎
・心情
おかしい、ウチの思ってた虎牢関と違う……。
ええ~、ナニあれ。
飛翔で上を飛んで行けないよう増築するにしてもトンデモすぎるでしょう
まあ突破するためにも、今は手前の雑魚を間引いていくしかないんだけど
それじゃあパパッと行って、サクッと片付けて帰ろうか!
・行動
相手が活動を始めるギリギリを探りながら近付き、
間合いの外から暗器を投擲して奇襲。
目標分だけ敵を討ちとったらすぐに離脱して囲まれないように撤退する。
また、初めから敵の位置を探って警戒しておくことで
敵のパラドクスの迷彩効果を減じる。
(技能:偵察、不意打ち、投擲、一撃離脱)
十六夜・ブルーノ
休眠中の?相手を攻撃するのは
ちょっと気が引けるけど
歴侵略者相手なら遠慮は無用かな
奇襲といこう、ドゥー
毒針ならぬ毒槍の扱いは中々のものだけれど
俺とドゥーのコンビネーション相手には役不足だ
二本の槍の鋭い連撃と
穂先から迸る翠の稲妻で倒していく
毒槍の穂先へ電気が伝導したり落雷するかも
敵の槍を片方が抑えて
もう片方が反撃というのもいいね
【通信障害】で伝令や太鼓、角笛?を邪魔して
援軍の集結を少しでも遅らせる
さて引き際も肝要だ
無事に帰還するまでがお仕事だ
もう少しは粘れそう、というところで切り上げる
仲間にも声をかけて撤退
余裕あれば
死出の旅立ちの安らかを願って
ブズーキを奏でながら去ろう
これは未来への誓いでもあるよ
美空・旭
「百聞は一見に如かず、聞きしに勝る規模ですね」
いっそこの戦力で三国潰し合って消耗してほしいところですが、そんな事を言っても始まりませんね。ここで出し惜しみする意味は無いので、持てる【戦闘知識】、【計略】の全てを駆使しましょう。戦場を【観察】して防備の薄い場所を【看破】、効率的に【不意打ち】を行い、敵の火炎に対して消火も期待できる青龍水計を主軸に立ち回ります。引き際を誤るわけにはいかないので【情報収集】は怠らず【臨機応変】に対応、必要があれば同じ戦場に立つ皆さんを【統率】し一時的に指揮官を務めさせていただきます。
アドリブ、絡み歓迎です。
●序幕
レールが敷かれていない丘の上に、JR山手線の車両に似た列車が停まっていた。
異様な光景ではあるが、その列車がパラドクストレインとなれば、話は別だ。
「マウー!」
車両側面に並ぶ黄緑色の扉が一斉に開き、そのうちの一つから大柄なスフィンクスが飛び出した。渋い声で鳴きながら。
鳴き声と同じ『マウ』という名を持つ彼(彼女?)に続いて降車したのは七人のディアボロスたち。全員が若い。マウの相棒であるリト・ハリーリー(守護獣と神子・g05408)に至ってはまだ十歳だ。
「また来たね……」
閉じていることが多い瞼を開けて、リトは左右色違いの瞳を東方へと向けた。
風に巻き上げられた砂煙の向こうにうっすらと見えるのは、虎を模した異形の城塞。
虎牢関である。
「うん。また来たんだー」
肉感的な肢体に申し訳程度の衣装を纏った少女――柳谷・凪(お気楽極楽あーぱー娘・g00667)がリトの呟きに答えた。『また来た』という言葉からも判るように、凪とリトが虎牢関を攻めるのはこれが初めてではない。
「えー!? なにあれ?」
眉を八の次にして大げさに体を退いてみせたのは袁・雀蜂(ホーネットガール・g01434)。蜂の特徴を有したインセクティアの娘だ。
「なんか、ウチが知ってる虎牢関と違う……ぜっんぜん、違う!」
「虎型の巨大ロボットにでも変形しそうだね」
呆れ半分愉快半分の微笑を浮かべたのは藺草・風水(天使喰らいの重ガンナー・g00346)。凪に勝るとも劣らぬ魅惑的なプロポーションを有しているにもかかわらず、そのシルエットはゴツゴツとしている。いくつもの銃火器を装備しているからだ。
「まあ、さすがに変形はしないだろうけど――」
目の上に手を翳して虎牢関を望みながら、チームの黒一点である十六夜・ブルーノ(希望の配達人・g03956)が言った。その横では黒いメーラーデーモンのドゥーが同じポーズを取り、雄々しくも愛らしい目で敵地を睨んでいる。
「――それでも充分に厄介だよね。城塞そのものじゃなくて、その守り手たちがさ」
「はい」
神算軍師の美空・旭(悪辣軍師・g02138)が頷いた。彼女はまだ十八歳だが、このチームの最年長者の一人である。しかし、身長は十歳児のリトに次いで低い。
「かなりの数と聞いていましたが……聞きしに勝る規模ですね」
眼鏡の縁に手をやって位置を直しながら、小さな神算軍師は視線を移行させた。
異形の城塞から、その前面に広がる黒い絨毯へと。
「こちらのほうが多勢であれば、力押しで片がつくのでしょうが……」
そう言いながら、もう一人の最年長者――妖狐のロロス・ペタルロベル(妖艶な焔刃納刀術使い・g02535)が腰の刀を抜いた。
そして、黒い絨毯に……いや、虎牢関を守る軍勢に向かって、歩き始めた。
恐れる様子も見せず、悠々と。
他のディアボロたちも彼女の後に続いた。
同じく、悠々と。
●リト・ハリーリー(守護獣と神子・g05408)
虎牢関を目指して、リトたち七人と二匹(マウとドゥーだよ)はずんずん歩いていった。
「こうやって改めて見ると……やっぱ、トンデモすぎるわー」
雀蜂さんが言うとおり、虎牢関はトンデモな建物だった。すごく高くてすごく長い城壁の真ん中のところにすごく大きくて(縦の長さは五十メートルくらいあると思う)すごく厳めしい虎の顔がついてるの。
その虎の顔を守るかのように、トループス級の蟲将たちがずらりと並んでる。全員、石像みたいにピクリとも動かない。
「あいつらは敵の接近か攻撃に反応して動き出すんだってね。この辺りがギリギリのところかな?」
雀蜂さんが歩くのをやめた。リトや他の皆も立ち止まった。
虎の頭を守ってるトループス級にはいろんな種類がいて、同じ種類同士がひとかまりになってるみたい。リトたちのいちばん近くにいる『ひとかたまり』は蜂っぽい姿をしてる。
「始皇帝陵の兵馬俑を彷彿とさせるね」
細長い筒を束ねたような武器(『ガトリング』って言うらしいよ)を始めとする何丁もの鉄砲をガチャガチャといじりまわしてチェックしながら、風水さんが言った。
「風水さんの時代にも始皇帝陵のことは伝わってるの?」
と、雀蜂さんが訊いた。
「伝わってるどころか、中国のいい観光資源になってるよ」
「ふーん。自分のお墓が二千ウン百年後にも残っていて、しかもオクニの役に立っていると知ったら、始皇帝も草葉の陰で感涙にむせぶかもねー」
「もっとも、その二千ウン百年分の歴史は――」
風水さんは、チェックの済んだ武器を蜂型トループスたちに突きつけた。右手のガトリングとか、左手の拳銃とか、背中に担いだ機械に取り付けられた大砲だのなんだのとか。
「――クロノヴェーダどもにズタボロにされちゃったんだけどね」
「ズタボロの歴史を修正するためにも、このトンデモ城塞を落とさないとね」
雀蜂さんが胸元に手をやって、長くて太い針のような武器を取り出した。
●柳谷・凪(お気楽極楽あーぱー娘・g00667)
「休眠中の相手を攻撃するのは、ちょっと気が引けるけど……クロノヴェーダ相手なら、遠慮は無用かな」
ブルーノちゃんが電磁槍を構えた。その槍の先端には緑色の光がぼーっと灯ってるのだ。
「準備はいいかい、ドゥー?」
「めぇーっ!」
元気にお返事するドゥーちゃん。ブルーノちゃんとお揃いの電磁槍を蜂型の雑魚たちのほうに突き出してるんだけど、敵はノーリアクション。お地蔵さんみたいに立ってるだけ。
「物言わぬなら、そのまま壊れた埴輪のような有様にしてあげる」
風水ちゃんの全身からカチカチカチッという小気味よい音が連続して聞こえた。銃火器の安全装置の類を解除する音かな?
「うん。サクッとかたづけて――」
雀蜂がゆっくりと腕を振り上げた。握り拳の間の指に何本かの針が挟まってる。
「――帰ろうか!」
そして、腕を振り下ろした。今度はゆっくりじゃない。指の間にあった針が銀色の線を引いてピューンと飛び、雑魚たちに突き刺さった。
ほぼ同時に銃声だの砲声だのが轟いた。バキューンバキューン! ドカーンドカーン! ダダダダダダダッ! ……ってね。言うまでもなく、それらの音を出したのは風水ちゃん。左右の手に持ったガトリング銃と拳銃だけじゃなくて、バックパックに装着されたショットガンだの大砲だのバスターライフルだのをじゃんじゃか撃ちまくったのだ。
砲弾と銃弾や光線を何十発も食らい、あっという間に四人の雑魚があの世行きになった。バラバラになってね。風水ちゃんは『壊れた埴輪のような有様』とか言ってたけど、実際はもっとグロい。粗挽きの肉が入ったドロドローのシチューみたいな有様。
もちろん、雀蜂ちゃんの針を受けた雑魚たちもあの世に行ってる。その数は三人。一度に七人の敵を倒せたってことだね。我ら、奇襲に成功せりー。
でも、本番はここからなのだ。
お地蔵さんモードだった雑魚たちが一斉に首を動かして、ボクたちのほうを見た。
そして、これまた一斉に走り出した。
「囲まれないように動き回って!」
ボクたちに声をかけながら、雀蜂ちゃんも走り出した。
●十六夜・ブルーノ(希望の配達人・g03956)
「いっくよー!」
迫り来る蜂型の兵士たちに向かって、凪が文字通りに躍り出た。
なにが『文字通り』なのかっていうと、本当に踊ってるんだ。
子供のくせして(いや、俺もたいして年齢は変わらないけどね)目のやり場に困る衣装を着ている凪だけど、その踊りもまた目のやり場に困る類のものだった。膝を何度も高く上げては剥き出しの白い足を誇示して……なんというか、粘っこい透明の液体の中で立ち泳ぎをしているかのような色っぽい動きなんだ。
それを見た兵士たちがバタバタと倒れた。べつに悩殺されたわけじゃなくて、パラドクスがもたらしたダメージにやられたんだと思う(肌を露わにした人間を見て興奮する虫なんていないだろうし)。
もちろん、ダメージを受けなかった兵士もいる。というか、パラドクスは(現在、確認されている限りでは)最大でも四人までしか対象にできないから、無傷の兵士のほうが多い。
そのうちの何体かが凪に襲いかかろうとしたけど――
「マウー!」
――翼を持った大きなモフモフがそいつらの前を横切り、自分に注意を引きつけた。
外見に似合わぬ(いや、似合っていると言えなくもないか?)渋い声で鳴いたそのモフモフの正体はマウだ。
兵士たちがマウに気を取られたのはほんの一瞬だったろうけど、その一瞬が命取り。風水が弾丸を次々と撃ち込み、またもや『壊れた埴輪』のごとき代物を地面に撒き散らした。有言実行だね。
その間もマウは兵士たちの間を縫うようにして飛び続け、翻弄している。
「頼れるスフィンクスだね」
銃火器に弾丸を再装填しながら、風水がマウにウインクを送った。
「これもリトさんの教育の賜物かしらん?」
「どちらかというと、マウのほうがリトの教育係かも……」
と、近くの岩陰から声が聞こえ、リトが顔を覗かせた。いつの間にか、そこに隠れていたらしい。
視覚以外のものに頼って周囲の状況を感知しているのか、彼女は瞼を閉じていたけれど――
「そっち!」
――いきなり目を見開き、俺の後方を指さした。
●袁・雀蜂(ホーネットガール・g01434)
ウチらの攻撃やマウくんの陽動をすり抜けて、数匹の兵士がブルーノくんの背後に回り込んだ。
だけど――
「そっち!」
――リトさんの声に応じて、ブルーノくんは瞬時に反転。
そして、裂帛の気合いを発した。
「めぇー!」
おっと、間違い。気合いを発したのは、ブルーノくんと一緒に振り返ったドゥーくんのほうでしたー。
兵士が槍を繰り出したけれど、ドゥーくんは電磁槍を振り上げ、穂先から迸る翠の電光でそれを弾き返した。間髪容れずに返す刀……じゃなくて、返す槍でグサリと一突き。
その間に別の兵士が攻撃を仕掛けたものの、そちらはブルーノくんが対応。ドゥーくんと同じように敵の槍を自分の電磁槍で弾き返した。
そこに飛び込む我らがドゥーくん。またもや、電磁槍でグサリ。更に振り返りざまに別の兵士をグサリ。見事な電槍乱れ突き。
「キミたちの槍の扱いも中々のものだけど、俺とドゥーのコンビネーションを相手にするには力不足だね」
電磁槍を体の前面で回転させて穂先の電光で円を描きながら、ブルーノくんは見得を切るかのように兵士たちを睨みつけた。
その迫力に恐れをなして、兵士たちは戦意を喪失……なんて、可愛げのある反応はしないんだよねー。無表情で(まあ、元から表情を出せるような顔じゃないんだけど)仲間の死体を乗り越えて、攻撃を仕掛けてきた。
もっとも、怯んでいないのはブルーノくんとドゥーくんだって同じ。電磁槍を今まで以上に激しくブンブン振り回して応戦してる。
「そちらの方面の敵はブルーノさんたちにお任せするとして……」
と、ウチに声をかけたのは旭さん。
兵隊たちの攻撃を躱しつつ、彼女は戦場の一角を羽扇で指し示した。
「あちらの方面にどなたか斬り込んでいただけませんか? いい具合に防備が薄くなっておりますから」
ウチはその指示に従おうとたけれど、それより先に――
「では、私が参りましょう」
――ロロスさんが駈けてった。
モッフモフの銀色の尻尾をたなびかせて。
●美空・旭(悪辣軍師・g02138)
「消シ炭ニナレ!」
ロロスさんの進行方向にいた兵士が背中の翅を展開し、残像が生じるほどの速さで振動させて、そこから炎を放ちました。
その兵士だけでなく、他の兵士たちも次々と炎を放射。
しかし、ロロスさんは銀と紅の軌跡を空間に刻んで素早く蛇行して炎を躱していきます。
銀の軌跡は頭髪と尻尾によるもの。
紅の軌跡は刀によるもの。
本来ならば、刀のほうも銀色の軌跡を描くことでしょうが、そうならなかったのは刃が紅蓮の炎に包まれているからです。
「敵が炎を使うとなれば――」
最初に火の玉を撃ち出した兵士の懐へとロロスさんは飛び込み、燃え上がる二本の刀を振り下ろしました。
二本の?
そう、彼女は左右の手にそれぞれ一本ずつの刀を持っていたのです。それらを振り下ろす寸前には、一本の刀を両手で保持していたはずなのですが。
「――同じく火炎使いの私の出番でしょう」
二本に増殖した刀で兵士を斬り捨て、更に敵陣へと踏み込み、別の兵士を斬り殺す(焼き殺す?)ロロスさん。一切の無駄を削ぎ落とした実戦的な動きであるにもかかわらず、とても華麗に見えます。いえ、無駄がないからこそ、華麗に見えるのでしょうか?
「すごい、すごーい。まるで剣舞みたい」
凪さんが賛辞を送りました。自身もまた踊り続けながら。剣舞とは別種の艶めいた踊りですが、パラドクスであるという点は同じ。目には見えない傷を受けたであろう敵が次々と倒れていきます。
「あっちのほうに敵が集まり始めてるよ」
リトさんがまたもや岩陰から顔を出し、私たちに報告してくれました。どうやら、彼女は敵の全体的な動きを把握すべく、岩陰等に身を隠しては戦場のそこかしこを移動していたようです。小さな体を活かした作戦ですね。小さいといっても、数年も経たぬうちに私の背丈を追い越してしまうのでしょうが……。
「じゃあ、集まっちゃう前に――」
リトさんの示した方角に向かって、凪さんが移動を始めました。踊りを中断することなく、時に高く跳ね飛び、時に体をくるくると回転させながら。
「――崩しておくのだー」
●ロロス・ペタルロベル(妖艶な焔刃納刀術使い・g02535)
私も敵兵も仲間たちも常に動き続けているので、特定の対象を視界にずっと留めておくことはできません。
そんな状況にあってなお、妖艶に踊る凪さんの姿は何度も目に入りました。私と彼女の動きが偶発的に同調したのでしょうか。
「むぅぅぅ。いいかげん、雑魚相手はうんざりしてきたのだ」
不平を漏らしながらも、凪さんさんは攻撃の手を……いえ、踊りの足を緩めてはいません。
「そろそろ、敵将を引き摺り出したいんだよ」
「お気持ちはよく判ります。しかし、焦りは禁物。どんなに面倒であっても、今は着実に敵を減らしていきましょう」
凪さんに言い聞かせながら、旭さんが羽扇を一振り。
すると、彼女の足下から水が噴き出し、忽ちのうちに激流に変じて、数人の敵兵を押し流していきました。
「とはいえ、お気持ちはよく判ります」
旭さんは先程の言葉の前半を繰り返しました。
「いっそ、ここに集結している三国の戦力にそれぞれ潰し合ってほしいところなのですが……そんなことを言っても始まりませんね」
「普段は仲悪いくせして、共通の敵を相手にする時だけは手を組むなんて――」
話に加わりながら、ブルーノさんが電磁槍で敵兵を牽制。
「――そういうところは蟲将も人間と同じなんだね」
「めぇー!」
ブルーノさんにタイミングを合わせて、ドゥーさんが同じ形の電磁槍を突き出し、敵兵を葬り去りました。
「学習能力も人間と同じなのでしょうか?」
旭さんの姿は私の視界から消えましたが(前述したように常に動いているので)、その声はしっかりと聞こえました。それに水が流れる音も。再び水流を発生させたのでしょう。
「だとすれば、この虎牢関の戦いで教え込み、思い知らせることができるかもしれませんね。ディアボロスという『共通の敵』はにわか仕込みの共闘で倒せるほど甘くはない、と……」
●藺草・風水(天使喰らいの重ガンナー・g00346)
「アアアァァァーッ!?」
翅をキシキシと擦らせて炎を放とうとしていた蜂たちが旭さんの水流に呑み込まれ、悲鳴と一緒に流されていった。やっぱり、火と水では勝負にならないね。
でも、火を以て火を制している人もいるの。
ロロスさんだよ。
「私の『焔刀』と『影炎刀』にとって――」
刀の名前らしきものをロロスさんは口にした。さっきまでは一本の刀しか持ってなかったんだけど、今は二刀流なの。
「――炎は糧も同然」
燃え上がる二本の刀身が火の粉を撒いて唸りをあげ、ロロスさんに向かって飛んでいた炎を断ち切った。
次の瞬間には、その炎を飛ばした蜂も真っ二つになっていたの。いえ、四つね。二本の刀でX字型に分断されたから。
そして、四つになって地面に落ちた死体の傍に別の死体も倒れ込んだ。何本もの針を顔に突き立てられた死体。言うまでもないと思うけど、雀蜂さんの戦果だよ。
「うんうんうん。みんな、絶好調だねえ」
周囲に転がる蜂たちの死体を見回しながら、雀蜂さんは満足げに何度も頷いた。
「だけど――」
雀蜂さんの手から針が飛んだ。
誰もいない場所に向かって。
「――そろそろ、潮時じゃない?」
いえ、誰もいないわけじゃなかった。針は、見えないなにかに突き刺さったの。数秒後に『見えないなにか』は目に見える蜂へと変わり、地面に倒れて死体たちに仲間入りした。どうやら、透明になって不意打ちを仕掛けようとしていたみたいだね。
「ゆっくりではあるけれど、こいつらも包囲網を築きつつあるようだしね」
「はい」
と、水流を迸らせながら、旭さんが雀蜂さんに同意した。
「敵の戦力は十二分に削りました。今回はここで退きましょう」
うーん。残念だけど、しょうがない。
せめて、最後に派手な花火をブチあげてやるの。
もちろん、水平方向にね。
●終幕
「ここらで区切り! 退かせてもらうのぉーっ!」
蟻型のトループスたちめがけて、風水はありったけの銃弾や砲弾を撃ち込んだ。
「退却!」
銃声と砲声に紛れて旭の叫びが響いたが、それを聞くまでもなく、皆は走り出していた。パラドクストレインが待つ丘に向かって。
「……きゃっ!?」
リトが小さな悲鳴をあげた。トループス級の死体に足を取られてつまづいたのだ。
「マウー!」
マウが慌ててフォローしようとしたが、それより早く――
「大丈夫ですか?」
――ロロスが素早く手を取ってくれたので、リトは転倒を免れた。
「雑魚の掃除はもう飽きたんだよ! 次は大物を配置しておくのだー!」
トループス級たちに捨て台詞をぶつける凪。
そんな彼女とは対照的にブルーノのテンションは低かった。
「できれば――」
正面を向いて走ってはいるが、視界の端を通り過ぎていくトループス級の死体のほうに意識が向いている。
「――この兵士たちを弔ってやりたかったんだけどな」
「べつに今すぐ弔う必要はないでしょ」
ブルーノの隣を走っていた雀蜂が背中を景気よく叩いてきた。
「こいつらを一人残らず倒して虎牢関を陥落させた暁に全員まとめて弔ってあげればいいじゃない!」
その日は遠くないかもしれない。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【おいしくなあれ】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV2が発生!