リプレイ
●攻略戦の開始
不破の関。その名が持つ意味を文字通りに受け取るならば、決して破れぬもの。
だが、今日という日に此の関は破られることになる。何故なら――此処にディアボロスが訪れたからだ。
「争い事の前に動くのなら、それなりに役立てるな」
咥え煙草から燻る紫煙の先を見つめ、エルフリーデ・ツファール(紫煙の魔術師・g00713)は双眸を細める。彼女が被っているつば広のくたびれたとんがり帽子が風に揺れる中、関を見つめている影がもうひとつ。
「天下に名声を轟かせる、か。その夢、いずれ破られるぞ」
ダスク・ノーライズ(サイボーグの破軍拳士・g03370)が思いを向けるのは、眼前の重厚な門の更に奥地。
この地域の敵を率いている斎藤義龍のことだ。幾つも存在している関を破っていけば何れ彼と戦うことになるだろう。此度の任務はそのための道を拓いていくこと。
二人は偵察かつ実働として動く役割を担い、門の様子を窺っていた。
「パラドクスは厳禁ということだったな」
「ああ、迂闊に使って警報が響いてもいけない」
エルフリーデとダスクは今回の突破条件を確かめあい、慎重に動くことを決める。
関所として機能している以上、門そのものも頑丈な作りになっているはず。内部には妖怪が巡回しているであろう気配も感じ取れる。ただ無闇に突っ込むだけでは返り討ちに遭うだろう。
「往々にして人の意識は頭上には向きにくい。妖怪にしても同じことだろうな」
ダスクは持論としての意見を今一度思い返す。事前情報ではこの関はパラドクスに反応する警報機能があるため、敵側にある程度の慢心があるということだった。
此度の首魁である男は別かもしれないが、怪火たちが上に注意を向ける機会は少ないはずだ。
「そうなると――」
ダスクの言葉を聞いたエルフリーデは門の上部を眺めた。
やっぱりあの辺か、と呟いた彼女はダスクと同じ考えを持っている。パラドクスを使わずに壁を伝って門を越えること。まずはそれが達成すべき事柄だ。
しかし、ただ越えるといっても方法や場所で幾分も状況が変わる。
「此方は身を潜めて様子を窺おう」
「同じく、敵の気配を探っておく」
ダスクとエルフリーデは頷きを交わした後、各々が潜める場所へと移動していった。ダスクは深く茂った木の上。エルフリーデは門に近い位置に生えている茂み。
各自で其処から内部の怪火の動きや気配を探っていき、巡回頻度が薄い場所を見つける三段だ。
(「地味ではあるが――」)
(「パラドクスを使わない調査ってのは本来、こういった情報の積み重ねだ」)
二人は離れていながら、共通認識を持って動いている。
内部にいる怪火の揺らぎ、気配が多い場所。そういったところを避けていくことで自ずと警備の弱い部分や侵入に適した場所が絞られていくだろう。
そのとき、周囲に少しばかり強い風が吹き抜けた。ひらりと風に乗って来たのは淡い紅色をした花弁。
(「――桜だ」)
もうそんな時期か、と感じたエルフリーデは僅かに目を細めた。きっと別所にいるダスクも桜の花が舞ってきたことに気付いているだろう。そして、エルフリーデは気を引き締めながら思いを巡らせる。
新たに巡ったこの季節が、ディアボロスや最終人類史にとってあたたかなものになるように。
そのための作戦が今、此処から始まってゆく。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
本郷・夏深
パラドクスも残留効果も使えないとは厄介な
クロノヴェーダもあの手この手を使ってきて小賢しいですねえ
まあ、そんなの大して苦にならないからカフカは偉大なのですがね!
私は大人しくしていても目立ってしまう稀有な存在ですから、黒いマントを頭から被り
暗闇や物陰に身を隠しながら、音を立てないよう慎重に、静かに砦へと近付いていきます
一気に走って突き進めないというのは非常にもどかしいですが、
時間をかければ目も暗闇に徐々に慣れていくでしょうから、今は耐える時ですね
無事に砦の周囲まで近付けたなら
見張り役の敵の位置を把握しつつ、見回りや警備が手薄な場所を探して回りたく
尚且つ手や足をかけて登れそうな箇所がある場所ならば言う事なしです!
ジャンプして飛び越えられたら良かったのですが、流石のカフカでも無理なものは無理なので
フック付きのロープを使い、見つからないよう手早く登って乗り越えたいところです
…それにしても
見張り役のクロノヴェーダ、完っっっ全に火でしたね…
私は火が大嫌いですのに
あーあー、もう既に嫌な予感しかしませんよ
フェルナンデス・ミカ
神さま、今回もどうか
困っているひと達の
助けになれますように……
シスター服姿で
ロザリオに触れながら
十字を切って祈った後
シスター服を脱ぎ
全部黒のパーカーとパンツ
ネックウォーマーに軍手
スニーカー姿に
隠密行動なら
陰キャで目立たない
ミカにお任せ
パラドクスや効果を使わず潜入
遠方から望遠鏡で砦を観察アイアンブレインで高速思考
周囲をハッキングし
無音スキャン
風の方角雲の位置
月明かり松明の有無
見張りやすい位置や死角
岩の出っ張りのミリ単位の大きさまで情報収集
成功率の高い侵入ルートを計算し決定
サイキックオーラを足元にだけ
目立たないよう展開
足場にして操作
身体を少しずつ押し上げ
岩の出っ張りが大きな箇所を確実に
選び外壁を登っていく
後は友人に貰った
レッグホルスターから
ギミックリボルバーを出し侵入箇所へ狙い打ち
遠くの物を掴めるロープ付きハンドを発射
掴んだら手汗で滑らないよう伝っていき
内側へ静かに降りる
ロープは後続の目印にしておく
侵入後
忍び足で素早く
物陰や小柄さを活かし
門へ近づき
念動力で内側から
門を開けるよ
アドリブ連携歓迎
●戦火の気配
其処に大地がある限り、花は咲く。
強い風は種を運び、季節の巡りと共に新たな生命が芽吹く。それは世界が壊れた状態であっても同じ。
この天正大戦国の時代にもまた春が訪れ、何処かで桜が咲いている。
「――桜ですか」
本郷・夏深(逢魔が夏・g00583)は風に乗って流れてきた花弁を目で追い、空を見上げた。なすべきことを無事に終えられたら後で少しばかり夜桜を眺めていくのも良いかもしれない。
そんなことを少しだけ考えた後、夏深は目的の事柄に思考を戻した。
パラドクスも残留効果も使えない現状は厄介でしかない。視線の先にある重厚で頑丈そうな門も飛行して飛び越えれば簡単に突破できるのだが、今回はそれが出来ない。
「反撃強化に警報……クロノヴェーダもあの手この手を使ってきて小賢しいですねえ。まあ、そんなの大して苦にならないからカフカは偉大なのですがね!」
七曜の戦を経てからの戦いは一筋縄ではいかないようになっている。
だが、夏深としてはそれだけ敵側から自分が評価されているという証でもある。ふふん、と得意げな声を紡いで目を細めた夏深は門を見据えた。
ひとまず無事に砦の周囲まで近付けた。
こうして様子を眺められるのは、内部の見張り役がある意味で気を抜いているからだろう。砦に備えられた機能が強力であるがゆえに油断が生まれてしまうのかもしれない。
機能がある分だけ此方からの侵入は工夫が求められるが、それを乗り越えてこそのディアボロスである。
察知したいのは見回りや警備が手薄な場所。同時に他のディアボロスが動いていることもわかっているため、探る位置の分担も出来ている状態だ。
「さて……」
夏深は考えを巡らせる。自分は大人しくしていても目立ってしまう稀有な存在、というのが自己評価だ。それゆえに夏深は黒いマントを頭から被っていた。
物陰は木々の影で暗く、じっとしていればこれで発見されることはない。
幸いにも今は風が強いので葉擦れの音に乗って移動していけばいい。必要以上の音を立てないよう慎重に、かつ静かに。砦へと近付いていく夏深の距離の詰め方は的確だ。
(「一気に走って突き進めないというのは非常にもどかしいです、が――」)
勝利の道を走っていくためには、時には忍耐も必要。
「力を使わずとも発揮できるカフカの実力、とくと披露してみせましょう」
何れ戦うことになる敵への思いを静かな言葉へと変え、夏深は砦門の様子を窺っていった。
同じ頃、砦の門を突破するために動き始めた者がいた。
その名はフェルナンデス・ミカ(アイアン・ブレイン・g03347)。シスター服を身に纏っている彼女もまた敵に認知されない距離と場所を見極めており、静かに状況を分析している。
「神さま、今回もどうか……」
――困っているひと達の助けになれますように。
ミカはロザリオに触れながら十字を切る。そして、自分の中にある決意を祈りとして神さまに願った。
砦を攻略していき、この地を解放することは罪なき人々を救うことに繋がっていく。そのために頑張るのだと決め、ミカは周囲を探っていった。
完璧を期すならばこのシスター服よりも相応しいものがある。するりと服を脱いだミカは全て黒で統一したパーカーにパンツ、ネックウォーマーに軍手、更にはスニーカーという動きやすい服装になった。
「隠密行動なら……陰キャで目立たない、ミカにお任せ」
パラドクスや効果を使わず潜入するという共通認識は仲間みんなが持っている。それに加えて普段から目立たないミカならば、この任務を十二分に遂行できる。
まず、ミカは此処に来たときに望遠鏡で砦を観察していた。そのためある程度の形は理解している。
其処から導き出すのは周囲の状況。
風の方角、雲の位置。月明かりが出るならば何処かや、松明の有無。さらには見張りやすい位置や、敵からの死角。
岩の出っ張りがあるならばミリ単位の大きさまで把握しておきたい。細やかな情報収集から成功率の高い侵入ルートを計算できるのもミカ自身の才だ。
(「いざってときのため……サイキックオーラも足元にだけ……」)
これだけならばパラドクス効果は生まれないため、ミカは準備を整えた。
そして――。
見つけた、と皆が感じた。
情報収集と察知に徹したディアボロスたちは侵入に適した箇所を導き出していた。情報を共有しあった仲間たちは夏深とミカを実働潜入班として動き出す。
見張り役の敵の位置を把握するための気配察知は常に行っている。
「手や足をかけて登れそうな場所……ありました。これで言う事なしです!」
「……まずはミカに任せて」
「参りましょうか」
視線を一度だけ交わしたミカと夏深は頷きを重ねた。
まずはミカが自身の身体を少しずつ押し上げ、出っ張りが大きな箇所を確実に選んで外壁を登っていく。その際に近くを通っている怪火はいないので多少の会話も問題ないだろう。
「……あった、あの辺」
「わかりました、行きますよ」
先行したミカが指差した箇所に狙いを定め、夏深はフック付きのロープを一気に投げた。くるりと舞うように華麗に飛んだフックは仲間が示した場所にうまく引っかかった。
「ジャンプして飛び越えられたら良かったのですが、流石のカフカでも無理なものは無理なので。どうですか、敵が見ていたら焦るほどの――と、お喋りは長くない方が良いですね」
あとは手早く登って乗り越えるのみ。
夏深が門の壁を伝ってきていることを確かめた後、ミカも頭上を振り仰いだ。友人に貰ったレッグホルスターに手をかけたミカは其処からギミックリボルバーを出した。
そのまま更に上の侵入箇所へ狙い打ったのはロープ付きハンド。
「滑らないように……」
「大丈夫ですよ。もし落ちたとしてもカフカが補助しましょう」
慎重に伝っていくミカに続き、夏深が天辺に到着する。そのまま二人は内側へと静かに降り立った。
此処まで来たならロープは後続の目印にしておくのがいい。
「……それじゃあ最後の一押しだね」
「えぇ、門を思いきりひらいてやりましょうか」
ミカが忍び足で素早く駆け出し、夏深はその後についていく。ミカが扉を開ける役で夏深が周囲の敵の気配を探る役だ。
そうして、ミカはひといきに目的の場所へ近付き――。
軋んだ音を立てながら、砦の扉がひらいた。
「これで第一の任務完了ですね」
「あとは戦うだけ……」
門を開いたことで比較的近くにいた怪火が慌てて集ってきているようだ。身構えたミカは周囲を見渡した。彼女が外で待機していた仲間を呼び寄せる中、夏深は肩を竦める。
「それにしても。迫ってくるあのクロノヴェーダ、完っっっ全に火ですね」
火が大嫌いな夏深としては相手をしたくない部類だ。夏深は此方に敵意を向けてくる怪火を見遣り、戦いは避けられないものだと覚悟した。
「あーあー、もう既に嫌な予感しかしませんよ。まぁ勝つのは間違いない事柄ですが!」
「……さっそく来たみたい」
第一関門を見事に突破した今、此処からは己の力で戦い抜くのみ。
そうして、戦いの幕があがった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
許・伯隼
(トレインチケット)
宝心・アルフ
(トレインチケット)
●燃えゆく鬼火
厄介な力を宿した砦の門は開かれ、辺りに軋んだ音が響いた。
この砦の守護役として配備されていた妖怪『怪火』は現在、門に集いつつある。されどその様子は普通ではなく、妙に慌てているかのように見える。その理由は普通ならば侵入者が訪れた場合は警報が響き渡るはずだったからだ。
だが、警報は一切鳴らなかった。
そのため怪火は一足も二足も遅れる形で侵入者――ディアボロスに対応する事態になっているのだ。
「ざぁこ、ざぁこ♡ 僕らがここまで来てるのに気付けないなんてね」
宝心・アルフ(堕天・g10018)は怪口元を薄く緩めながら怪火への言葉を放った。天使であるが小悪魔、その見た目こそ純真無垢。だが、こうして敵に戦いを挑む今は何も取り繕う必要はない。
何より相手は人外そのもの。誑かすまでもなく、ただ滅殺してしまう方が得になる存在だ。
「妖怪の類なら遠慮しなくてもいいよね」
アルフは迫ってくる怪火を見遣り、青い瞳を細めた。
――バァン。
可愛らしい声と共に撃ち放たれたのは相手を正確に射抜く銃撃。鬼火が撒き散らされていくよりも先にアルフが銃弾を放ったことにより、飛び散るはずだった火の粉がその場で消えた。
それでも怪火は突進してこようとしてきたが、アルフは怯むことなく身を翻す。
一瞬で空く射線。
其処へ攻撃に入ったのは許・伯隼(人間の無双武人・g03617)だ。
「あぁ、容赦などせずとも良いでござろう」
先程のアルフの言葉に答える形で口を開いた伯隼は狙いを定め、戦場の覇者の如き勢いで敵陣を薙ぎ払う。それによってアルフが撃った個体が弾け飛んで消えた。
次の一体も姿勢を崩し、よろめいている。されど伯隼は敵の動きを察知した。
「気をつけるでござる」
「そうだね、雑魚だけどあの動きは危ないかも」
アルフも数歩後ろに下がることで警戒を示した。おそらく相手は体を爆発させて、熱波と炎を撒き散らすつもりだろう。
勝手に身を削ってくれるのはありがたいことだが巻き込まれてはかなわない。
伯隼とアルフはちいさな頷きを交わし、弾け飛ぶ鬼火への対抗策を取った。二人は怪火を薙ぎ、撃ち払いながら連携を重ねていく。互いに撹乱と不意打ちを狙う援護に努めたため、怪火の鬼火は必要以上に広がらずに済んだ。
「このまま行けば打ち倒すことも容易でござろう」
「気は抜かないけどね、やっぱりざぁこ♡」
冷静な伯隼と、敵を煽りながらも的確に動いていくアルフ。
不意を打たれた怪火はディアボロスにうまく対抗できず、その数は徐々に減らされていった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【モブオーラ】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!
⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️
●狐火の到来
一陣の風が吹き抜けた。
それは春の風のように優しいものではなく、激しく強い――燃え盛る火すら消すほどの風だ。
「何事だ!」
ディアボロスが怪火と戦う最中、凛としながらも焦りを孕んだ男の声が響いた。ディアボロスの襲撃を受け、妖怪たちが押されている気配を感じ取った『神西元通』が戦場に訪れたのだ。
「まさか……ディアボロスか」
神西元通は歯噛みすると、自分が抱いていた妙な予感はこれだったのだと察した。
どうして警報が鳴らなかったのか、怪火たちが油断していたのかどうかは最早、彼にとってはどうでもいいことだった。この襲撃を阻止することだけに集中するべきだと判断する聡明さがあるのだろう。
「すべきことはただひとつ。――此処でお前達を討つ」
妖力を抜いた神西元通は冷ややかな声で告げた。
彼は強敵ではあるが、現在の有利な状況ならば押し切ることは可能だ。
未だ周囲に怪火は残っているが、神西元通さえ倒せば妖怪たちは散り散りになって逃げていくはず。怪火だけでは何も成せないので今後の脅威になる可能性も限りなく低い。
此処から一気に神西元通のみを倒すか。或いは全てを撃破していくか。
それはこの場に集った者たちが選択することだ。
⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️ ⚔️
本郷・夏深
戦いの最中に火で攻撃されるとかなら、勢いで乗り切れるのでマシなんですが
もう戦いの前からわかりやすく火なのが嫌すぎるんですよねえ…
さて、折角ですから全部倒しておきますか
正直に言うなら放置しておきたいですけども…
火とか相手したくないのが本音ですけども!
しかし倒せる敵は倒しておいて損はないでしょうしね
ここで完璧な成果を挙げて、後で盛大に讃えてもらいます!
広げた扇で直接切り裂いて、あるいは扇の斬撃から魔力の刃を放射して
敵が爆発する前に片っ端から攻撃していきます
さっさと終わらせるには近距離からぶちかますのが手っ取り早いですから、
嫌な気持ちをグッとこらえて火に近付いて、確実に仕留めて参りたく
我慢しながら戦うなんて、我ながら立派すぎますね…!
大爆発の気配を察したら
そいつらからは距離を取り、爆発に合わせて魔力の刃を放って相殺を
完全に打ち消すのは無理でも、自分達が死なない程度に相殺できれば
あとカフカが暑くて嫌な思いをしない程度に相殺できればオッケーです!
全てが終われば、最後の奴も手早く片付けるとしましょう
●波と風
弾け飛ぶ炎の残滓が頬を掠めそうになる。
それが散って消えていくものだと解っていても、本郷・夏深(逢魔が夏・g00583)にとっては忌避すべきものだ。
夏深は反射的に身体を捻り、鬼火から距離を取った。これが不意打ちでどうしようもないものであればまだマシだっただろう。何故なら勢いで応戦に持ち込めるからだ。
だが、今は――。
「もう戦いの前からわかりやすく火なのが嫌すぎるんですよねえ……」
理解が及ぶ前に動くこと、理解してから動くこと。
どちらも同じであるようで違う事柄だ。つまりは覚悟を決める前か後か。今回の場合は後者だ。苦手、寧ろ嫌いであるとも言えるものに対しての覚悟は正直を言えばしたくない。
だが、夏深は肩を竦めるだけに留める。
「さて、折角ですから全部倒しておきますか」
本当は放置しておきたいところだが、僅かでも禍根を残すのならば消しておくべきだ。
この戦場に降り立った以上、完璧に片付けていくことこそが夏深の信条。倒せる敵は倒しておいて損はないと考え、夏深は眼前に迫りくる炎から身を逸らした。
「火とか相手したくないのが本音ですけども!」
絶対に当たりたくはないが故に身のこなしも普段以上に冴えている気がする。
そして、此処で完璧な成果を挙げれば後で盛大に讃えてもらえるはず。凄かったな、えらかったですねえ、などの案内人や友人からの称賛を思い浮かべながら夏深は地を蹴った。
刹那、広げた扇が怪火を切り裂く。
炎が広がるよりも疾く、魔力を扇に纏わせた夏深の一撃が敵を穿った。炎が嫌ならばこの手で排除する方法もある。直接的に対処していく夏深は怪火を真二つに裂き、炎ごと蹴散らしていく。
敵が放った炎を更に避ける序に、身を翻して扇を振るう。そうすれば斬撃から生まれた魔力の刃が放射され、別の怪火の炎が散らされていった。
「目の前で爆発なんてされたら、と思うだけで嫌になりますね」
それならば爆ぜる前に片っ端から攻撃して潰していくのみ。近付くことも嫌だが、近付かずに手間取ってしまうことになれば本末転倒。思いきりの良さを発揮した夏深は遠慮も躊躇もなく次々と斬り込んでいった。
「さっさと終わらせますよ」
放った声は敵に向けたのではなく、自分の中での決定事項としての言葉。
怪火がなすすべなく散っていく様を見遣った夏深は、やはりこの方法が手っ取り早いと判断した。火に対する嫌悪感は消えていないが、それを表に出す彼ではない。
確実に仕留めて、次へ。
(「我慢しながら戦うなんて、我ながら立派すぎますね
……!」)
これはもうとことん讃えて褒めて貰わなければ、と考えた夏深は鬼火を扇で受け止めて弾き返した。
対する怪火も此方を排除するべく迫ってきた。だが、相手は自分が残り一体だということに気付いていない。大爆発を行おうとしている動きを察した夏深は敢えて数歩下がり、今度は距離を取った。
「読み通りですね。それなら――」
次の瞬間、波のような魔力の刃が解き放たれる。それは爆発とほぼ同時の発動だった。
爆風が巻き起こり、砦門まで火花が弾ける。
されど火は広がることなく。風を散らすように姿をあらわしたのは、勝ちを得て薄く笑む夏深。
「さてと、あとは最後の奴も手早く片付けるとしましょうか」
勝利の余韻を感じるのは首魁を倒した後でいい。
双眸を鋭く細めた夏深は再び地面を蹴り上げ、次なる戦いに向かってゆく。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
フェルナンデス・ミカ
シスター服に戻り
発生した効果
モブオーラや能力アップ
等を特に役立てながら
所属先でお世話になってる清政さん(g08816)を加勢
清政さん又は同行した
復讐者にトドメは
お任せするよ
瞳を輝かせ戦場一体を
アイアンブレインで可能な限りハッキング
ミカ達に有利になりやすい空間に改変
手練れになるほど
少しのズレが致命的になるよね
今からミカ達の位置や場を不規則に改変してあげる些細な変化だけど
すごくやりにくいでしょ?
改変しながら
2つのサイキックオーラを念動力で巧みに操作
ミカや清政さん達を守り
致命傷を避ける
砦が強力だからって
惰性で見張ってたから
油断してたでしょ?
門を破れば脆いものだね
手下がまだ残ってるけど関係ない
ミカにはこのパラドクスがあるから
コード・ダブルレビアタンを早業で発動
邪悪なものを打ち破る聖なる大瀑布を
両掌に創造し敵に撃ち出す
こんなところで特大質量の大瀑布を
放つんだもの
早いから避けようがないし見せたことないから読めないよね
威勢のいいこと言っても
聞こえないよ
ディアボロス達を
甘く見てたね
アドリブ連携歓迎
旗楽・清政
対アヴァタール級戦の訓練を兼ねてエスメラルダを引き連れ
不破の関の攻略に来たらば、同じ旅団のフェルナンデス殿が
加勢に来てくれておるとは!
エスメラルダに言われるまでもなく、しっかり応えると致そう。
なお、口に出しては言わぬが、フェルナンデス殿とエスメラルダは、
しっかりディフェンスするでござるよ。
「此処でそれがしらを討つなど、果たして出来るでござろうか?
逆に、それがしらが此処で貴様を討ち果たしてくれよう。
既に耳川で、別個体の貴様とは交戦しておる。
そのそれがしが此処にいると言う事が、如何なる事かは貴様にも理解出来よう」
【精神攻撃】を交えた【挑発】を仕掛け、動揺を誘うでござる。
その隙に、フェルナンデス殿とエスメラルダにはパラドクスを使ってもらおう。
そして、二人のパラドクスによって彼奴の体勢が崩れたならば、すかさずそれがしのパラドクスの中でも最大威力を誇る翠緑の疾風で、全力の突撃でござる。
これで倒しきりたいが、倒しきれなければ反撃には如何にか耐えると致そう。
成長限界に至っておるは、伊達ではござらぬ。
エスメラルダ・リベロ
対アヴァタール級戦の修行を兼ねて、清政クンに不破の関まで連れ出されてるアタシ参上☆
――なんだけど、今回は清政クンと同じ旅団の子が加勢に来てるのね。
それじゃ、良いとこ見せないとね、清政クン♪
(モードチェンジ)
――などと、人のことを構っている場合ではないな。
此処を有利な空間に変えてもらっている間に、畳みかけよう。
ミカ殿の大瀑布にタイミングを合わせて、ヴェルデ・フィナーレを発動だ。
四つの三連装砲、計十二の砲門からの、ビームの集中砲火を受けてみろ!
フィナーレとは言ったが、アヴァタール級の耐久力相手ではまだ終わらないのはわかっている。
問題は、この敵の反撃のパラドクスが、病を招く穴を開けて来るというものであることだ。
緑の大盾を遮蔽にして術を阻むことが出来れば良いのだが、もしそれが無理な場合は、【忍耐力】で耐え抜くしかないな。
ともあれ、だ。
大瀑布とビームの集中砲火を受けたならば、さすがにアヴァタール級でも体勢を崩し、隙が出来るだろう。
ダメ押しは任せるぞ、清政殿。加勢に応えるべく、しっかりと決めてくれ。
本郷・夏深
怖い怖い、もしや我々を殺す気ですか?
いやはや全く、そんな物騒な事を言わないでくださいよ
はは、どうぞお手柔らかに
暫く行うのは、徹底的な防御
身を守るので精一杯だと思わせるように攻撃を凌ぎながら、敵の油断を引き出したく
強く聡明な敵が相手ならば、不真面目な振る舞いで神経を逆撫でするのが最も効果的です
さっき適当に考えついたカフカの偏見ですがね!
そうして砂の一粒ほどでも敵が油断を見せた瞬間、一気に距離を詰め
畳んだ扇で敵の足首を強く打ち払い、強引に体勢を崩させたら
逃さないように踏みつけて地に固定し、即座に切り裂いてあげます
どれだけ病に蝕まれていようが、デーモンとしての膂力の全てを込めて
平気な顔して笑いながら、ひと思いに殺して差し上げましょう!
油断した気はなかったとしても
このまま勝てると一瞬でも思ってしまったのなら、大きな過ちでしたねえ
我々ディアボロスのように、此処で殺されてでも殺すという覚悟でかかれば良かったものを
そうすればカフカのことを完全に殺せたかも知れませんよ!
どうぞ次回の参考にでもしてください
●風に散るのは
揺らぐ瘴気が周囲に広がっていく。
いま此処から、この砦を任されているアヴァタール級――神西元通との決戦が始まる。
「おでましだね……」
フェルナンデス・ミカ(アイアン・ブレイン・g03347)は潜入用の服装からいつものシスター服に戻り、神西元通を見つめた。相手の敵意は此方にも伝わってきている。
ミカは金の瞳を輝かせつつ戦場一体を見渡した。戦っている仲間のおかげで既に怪火は壊滅も同然。
此方は神西元通だけを相手取ればいいと判断し、ミカは仲間にも視線を向けた。自分たちが有利になるような位置取り、空間の使い方を計算していくミカ。その傍らには旗楽・清政(知勇兼備の昼行灯・g08816)が立っており、更に隣にはエスメラルダ・リベロ(蒼海に輝く翠緑・g10981)が佇んでいる。
「さて、この状況ならば訓練にも成り得るが油断は禁物でござるよ」
清政は対アヴァタール級戦の訓練を兼ねてエスメラルダを引き連れて来ていた。この戦場が実戦に相応しいと感じた故のことだが、清政とて戦況を甘く見ているわけではない。その証拠に彼の言葉と眼差しは何処までも真っ直ぐだ。
「アタシ参上☆」
わかってるわよ清政クン、と答えたエスメラルダは不破の関の状況を見渡す。
妖刀を構える神西元通はもちろん、加勢としてのミカにも視線を巡らせたエスメラルダは小さく笑む。清政もミカに目を向け、この戦いは元より勝利に向かっているのだと語る。
「とはいえ、フェルナンデス殿が加勢に来てくれておるのならば僥倖!」
「とっても心強いわね」
笑みを更に深めたエスメラルダは清政の動きに合わせて行動することを決め、言葉を続けた。
「それじゃ、良いとこ見せないとね、清政クン♪」
「しっかり応えると致そう」
言われるまでもなく、と付け加えた清政は緑玉の片鎌槍を構える。対する神西元通は清政の実力を感じ取ったらしく警戒を強めているようだ。
「貴様……いや、貴殿は――」
「此処でそれがしらを討つなど、果たして出来るでござろうか?」
何かを言いかけた神西元通だが、最後まで言葉を発しなかった。清政は間合いを計りながら相手の力を推し量る。
「逆に、それがしらが此処で貴様を討ち果たしてくれよう」
過去に別個体を倒している清政だが此方の神西元通はそれを知る由がない。されど戦意はかなりのものであり、戦い抜く覚悟を決めているようだ。
「出来るか否かではない、そうするのみ!」
「左様でござるか」
刹那、清政は輝く闘気を漲らせた。それに対抗するように敵が纏う瘴気を揺らがせる。あれは穴を開けられれば病を巻き起こすものだが、以前に勝利したという事実がある清政側には確信的な勝機がある。無論、油断はしないことが前提だ。
清政からの目配せを受けたエスメラルダは瞬時にモードチェンジした。
「――などと、人のことを構っている場合ではないな」
明るいお姉さんといった雰囲気だったエスメラルダの眼差しは今、冷徹な女軍人そのもの。
二人の準備が完璧に整ったことを確認したミカは神西元通に言葉を投げかけた。
「……手練れになるほど、少しのズレが致命的になるよね」
「何が言いたい?」
「些細な変化だけど……すごくやりにくいでしょ……?」
ほら、とミカは辺りを示す。
相手からすれば半年以上守り続けた場所が不規則に荒らされたようなものであり、ミカの言葉通りになっているだろう。ミカはそのまま相手の返答を待つことなく、サイキックオーラを念動力で巧みに操作していく。
清政たちを守り、自分の致命傷を避けるための動きだ。更に清政が瘴気を槍で散らすように振るう。
そのとき、後方で大きな火花が散った。
振り返らずともエスメラルダにはわかっている。たった今、残っていた怪火が仲間の手によって消えたのだ。
「見事だな」
「いいえ、少しばかり時間をかけ過ぎました。さっさと倒しておきたかったのに!」
其処に現れたのは怪火の相手をしていた本郷・夏深(逢魔が夏・g00583)だ。この場の配下たちを倒しきった彼は息ひとつ切らせずに馳せ参じた。加勢しますよ、と視線で告げた夏深は扇を構え直す。
ミカはこくりと頷き、これで勝利は更に確実になったと感じた。
ディアボロスが増えたことで神西元通は更に歯噛みする。
「己一人となったか。致し方ない」
「……砦が強力だからって惰性で見張ってたから油断してたでしょ?」
「その通りだ。言い訳はせぬ」
ミカが問いかけると神西元通は眉を顰めながらも素直に答えた。現状を鑑みれば否定など出来ないと思ったのだろう。次の一手に備えながらミカは更に言葉を続ける。
「……門を破れば脆いものだね……」
「次からは配下の精度も考えよう」
「残念、次なんてないよ……」
ミカが敵への返答を紡ぐと、其処へ夏深も言葉を挟んでいく。
「怖い怖い、もしや我々を殺す気ですか?」
「当たり前だ」
「いやはや全く、そんな物騒な事を言わないでくださいよ」
夏深は周囲に漂う瘴気をひらりと避けて躱しながら軽やかに動く。口元は笑みを形作っており、神西元通の殺気などものともしていない様子だ。
言葉の代わりに黒い穴をあけようと迫る敵。だが、夏深は素早く立ち回ることで更に回避した。
「はは、どうぞお手柔らかに」
相手から見れば徹底的な防御に回っているように見えるかもしれない。それは夏深が敢えて取っている戦法だ。身を守るので精一杯だと思わせるように攻撃を凌ぎながら、敵の油断を引き出す。
(「彼のように強く聡明な敵が相手ならば――」)
こんな風に不真面目な振る舞いで神経を逆撫でするのが最も良い。これは夏深なりに適当に考えついた作戦だが、周囲の仲間の行動もあって効果的に巡るはずだ。
その間、清政はエスメラルダとミカに攻撃が及ばないよう立ち回っていた。
「守ってくれているのか」
「当然のことをしているだけにござる」
エスメラルダは清政の行動の意図に気付いたが、彼は軽く首を横に振る。そして次の瞬間、一刀がミカに迫ったがすぐさま清政が間に入ることで弾いた。
「思い通りにはさせないでござる」
「やはり貴殿が一番の手練れか!」
刀と槍が衝突する甲高い音が響く中、清政と神西元通の視線が間近で交差した。すぐに互いに間合いを取ったことでそれは一瞬のことだったが、刃同士のぶつかりあいは芸術的と語ってもおかしくない。
やりますね、と語って目を細めた夏深は扇で円を描く。
それが仲間への攻撃の合図。
夏深の動きを察したミカは神西元通の実力を静かに認めた。
「……それなりに強いね。だけどミカには……」
このパラドクスがあるから大丈夫。そう、こんなところで特大質量の大瀑布を放つのだから。
――コード・ダブルレビアタン。
素早くパラドクスを発動させたミカは破邪の力を巡らせた。シスター服を靡かせながら顕現させた大瀑布はまさに邪悪なものを打ち破るためのもの。勢いよく両掌から打ち出された力が神西元通を穿つ。
「くっ……!」
体勢を崩した敵の様子をしかと見つめたエスメラルダが更に畳み掛けに入った。
「全砲塔、エネルギー充填完了!」
ミカの大瀑布にタイミングを合わせて放たれたのはヴェルデ・フィナーレ。終わりという名を冠する技だがエスメラルダとてヴァタール級の耐久力相手ではまだ終わらないのはわかっていた。
「四つの三連装砲、計十二の砲門からの、ビームの集中砲火を受けてみろ!」
寧ろ問題は、敵の反撃が病を招く穴を開けてくるものだということ。
だが、エスメラルダには緑の大盾がある。この盾を遮蔽にして穴を阻むことが出来れば僥倖。それに加えて清政のディフェンスがある。仲間との連携と共に耐え抜く覚悟があるエスメラルダは勝利を信じていた。
十二本のビームによる攻撃が神西元通を貫く中、夏深も攻勢に入った。
「おっと、此方を忘れてもらっては困りますよ」
夏深はひといきに距離を詰め、畳んでいた扇で敵の足首を強く打ち払う。このまま強引に体勢を崩させたならば次は夏深の番。これまで耐え忍んでいるように見せかけていた分だけ、お返しをする時間だ。
踏みつけて地に固定して切り裂く。
反撃としての瘴気の穴が夏深を蝕んだが、膂力の全てを込めてただ只管に攻撃するのみ。
「さぁ、ひと思いに殺して差し上げましょう!」
「こ、の……!」
病の痛みなど平気だというように笑った夏深に対し、神西元通が足掻く。されどもう全てが遅い。
エスメラルダとミカは此処が好機だとして視線を重ねた。
「ともあれ、だ」
「……終わりだね」
大瀑布とビーム、連撃。この集中砲火を受けたならばどのような実力があったとしても隙が出来るもの。
たとえ油断した気はなかったとしてもこのまま勝てると一瞬でも思ってしまったのが大きな過ちだったのだろう。そのように考えた夏深は敵を見遣る。
「我々ディアボロスのように、此処で殺されてでも殺すという覚悟でかかれば良かったものを。そうすればカフカのことを完全に殺せたかも知れませんよ! どうぞ次回の参考にでも……と、次はないのでしたね」
扇を広げ、顔の下半分を隠して語った夏深の口元は緩められていた。
あと一撃で敵が倒れる。そう感じたエスメラルダは警戒を解かぬまま口をひらいた。
「ダメ押しは任せるぞ、清政殿」
しっかりと決めてくれと告げたエスメラルダは仲間のための射線をあけた。
清政は行動で以て応えとしようと決め、地を蹴りあげる。
「それがしの技の中でも最大威力を誇るこの力、受けてみるでござる」
放つは翠緑の疾風による全力の突撃。
限界に至った力は伊達ではない。これで倒し切るという強い思いの元に放たれた一閃は神西元通に向けられ、そして――深い夜の最中に鋭い煌めきが疾走った。
一瞬後、神西元通が地に伏す。
「この敗北があれど、この地は……――」
「威勢のいいこと言っても聞こえないよ……」
最早、敵の命は僅か。最後の言葉になるであろう声すらミカには聞く気がなかった。エスメラルダは彼がもう二度と起き上がってこないことを確かめ、ゆっくりと息を吐く。
「やったわね、無事に任務完了よ」
それと同時に口調は普段のものに戻っていた。
「砦も解放できたでござるな」
「……敵はディアボロス達を甘く見てたね」
清政の声に頷いたミカは伏したまま動かなくなった敵をしかと見つめ、はっきりと言い放った。夏深も戦いが終わったことを確かめてから、ふと空を見上げる。
其処には来たときに見たのと同じように桜の花弁が舞っていた。近くに桜の樹があり、花が咲いているのは間違いない。
「パラドクストレインが迎えに来るまで、夜桜でも見て待っていましょうか」
それくらいの時間は許されるはず。
ディアボロスたちは連れ立って歩き出し、近くの桜の樹へと進んでいく。
こうしてまたひとつ不破の関の砦が攻略された。
此処から咲くのは復讐者にとって勝利の花。そして、散るのは侵略者の野望であるように。
春の花と共に、咲きゆく希望を願おう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【モブオーラ】がLV3になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!