ヴェネツィア拠点設営

 来るべき断頭革命グランダルメ奪還戦時に、イスカンダルの亜人の侵攻を警戒し、北イタリアのヴェネツィアに監視および防衛拠点を設営します。
 攻略旅団の方針に従い、ヴェネツィアに向かい、現地調査などを行った上で、拠点の設営を行ってください。
 拠点設営後は、ヴェネツィアの一般人の避難勧告や、戦闘時の行動方針などについて説明を行ない、奪還戦に備えてください。

ヴェネツィアン・ベース~水の都の拠点設営(作者 真魚
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#断頭革命グランダルメ  #ヴェネツィア拠点設営  #ヴェネツィア  #北イタリア 


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●水の都の拠点設営
「断頭革命グランダルメ奪還戦の、準備に向かってくれる人はいるかしら?」
 新宿駅グランドターミナル。今日も多くのディアボロス達が行き交うこの場所で、アンナ・ローザ(ヴェンデッタの糸・g03283)はそう声を上げた。
 足を止め集まってくれる人達へ、ありがとうと頭を下げて。時先案内人の少女は、断頭革命グランダルメの攻略がいよいよ大詰めなのだと語る。
「断片の王、人形皇帝ナポレオンの拠点である『ベルン』を攻略する準備が整い始めて、奪還戦もいよいよ間近に迫っているわ。……でも、奪還戦になれば、敵はグランダルメだけではないわよね」
 今までの奪還戦がそうだったように、排斥力が低下したグランダルメには、漁夫の利を狙うように周辺ディヴィジョンから軍勢が派遣されてくることが予測される。
 そんな隣接ディヴィジョンの一つが、蹂躙戦記イスカンダル。このディヴィジョンからの侵攻に備える提案が攻略旅団よりあったのだと語って、アンナは一枚の地図を広げた。
「北イタリアの東に位置する都市、ヴェネツィア。ここに、私達ディアボロスの拠点を設営するわ」
 拠点を有効活用することができれば、侵攻してくる亜人の軍勢を早期に発見することができ、素早い対処を行うことが可能になるだろう。時先案内人の少女は言葉を紡ぐと、薄紅色の瞳に真剣な光を灯して、ディアボロス達をぐるり見回した。
「あなた達の活躍のおかげで、蹂躙戦記イスカンダルは大きく混乱している状態だけれど。だからこそ、功を焦ったジェネラル級の侵攻などもあるかもしれない……この警戒は、重要な意味を持つはずよ」

 アンナが広げた地図は、現代のヴェネツィアのものだった。断頭革命グランダルメは最終人類史よりも200年以上前であるが、ヴェネツィア周辺の地理については大きく変化はしていないようだ。
「まずはこの地図などを参考にして、拠点を設営する場所の候補について目途を立てておいて。それから現地を調査して、最もいいと思われる場所を、拠点設営場所に決めてほしいの」
 一人で何か所もの場所を回るのは効率が悪いので、各自で調査する場所を一つ決めてから現地に向かうのがよさそうだ。そうして集めた全員の調査結果を比較して、最もいい場所を選ぶ。だから、調査の手はあればあるほどいいかもしれない。
 そうして場所が決定した後は、拠点の設営を開始することになる。今回は拠点に有志のディアボロスが常駐できるので、実際の設営作業は中期的に行う。そのためにまず必要なことを考えて、行動するのがいいだろう。
「拠点とする場所の周辺に一般人がいるなら避難させたり、どのような拠点にするかを提案したり……実際に作業を行ったり。たくさんの人が設営準備を行うことができれば、それだけ拠点としての効果も上がるから、ぜひ手を貸してちょうだいね」
 拠点設営の目途が立ったら、後はヴェネツィア市民の理解を得るため彼らとの交流の場を持つ。先に説明した通り、奪還戦までは設営する拠点にディアボロスが常駐する。市民達は排斥力の影響を受けることなく、ディアボロスの指示を護って行動してくれるだろう。

「蹂躙戦記イスカンダルは《七曜の戦》で南イタリアを強奪しているけれど、こちらについてはすでに亜人戦力を駆逐しているから、イタリア内陸部に亜人勢力が現れることはなさそうよ」
 あちらのディヴィジョンでも、みんなが奮闘してくれているおかげ。そう感謝を告げるアンナは、だから侵攻があるとすればアドリア海の対岸から亜人達はやってくることになるのだと続ける。
「ヴェネツィアに警戒拠点を置くというのは、最善の行動の一つとなるでしょうね。イスカンダル大王はイラン高原でディアボロスと相対している状態だから、動くとすれば南イタリアへの侵攻も行っていたジェネラル級亜人『単眼王・アンティゴノス』の配下が有力かしら。イタリア奪還後に生まれたジェネラル級亜人『起源王ロームルス』がアンティゴノスの元に身を寄せているから、彼が出て来る可能性も高いかもしれないわ」
 いくらかのパターンが想定されるが――少なくとも、ヴェネツィアの拠点が機能すれば、主戦場のスイスにいきなり亜人の軍勢が現れるということは防ぐことができる。いろいろな対策を練って防衛拠点を完成させてほしいと、語るアンナはパラドクストレインの中へとディアボロス達を導いた。
「奪還戦の時まで、あと少し。……どうか、全てを取り戻すため力を貸して」
 彼らに向ける瞳の奥には、復讐の炎が燃えている。祈るように言葉紡いだ時先案内人は、彼らをヴェネツィアへと案内するのだった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【友達催眠】
3
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【水面走行】
2
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【アイテムポケット】
3
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV6 / 【ガードアップ】LV1 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【先行率アップ】LV1

●マスターより

真魚
 こんにちは、真魚(まな)です。
 こちらは攻略旅団提案により発生した、非戦闘シナリオです。

●シナリオの流れ
 ①ヴェネツィア周辺調査
 拠点設営したい場所について、プレイングでご指定ください。
 いただいたプレイングを確認し、どの提案を採用するか決めます。採用となった提案分のみがリプレイになりますが、複数ある案の中からより良いものに決定できればと思っています。
 リプレイでは現地の調査を行い、拠点設営場所として決定するまでを描写します。

 ②ヴェネツィア防衛拠点の設営
 拠点設営の準備を行う選択肢です。
 拠点周辺の人々を避難させたり、どんな所に気を使って拠点を作るのか、どのくらいの規模にするのか……などの構想についてご指定ください。
 この選択肢で決定した構想に従い、シナリオ終了後に有志により実際の拠点設営が継続して行われます。
 🔵の数が多ければ多い程、防衛拠点の効果が上昇し、リアイベ時に有利な効果が発生します。
 こちらは有効そうなプレイングは達成数以上になっても採用する予定です。

 ③ヴェネツィアの人々との交流
 拠点設営の準備の後で、ヴェネツィアの一般人達へ向けてお話しができます。
 奪還戦時の行動指針など、必要な説明を行ってください。
 戦争までの間、防衛拠点にはディアボロスが常駐するため、排斥力の影響はありません。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
ロマンか、実利か……と頭を悩ませるほど魅力的な都市だな
だが実利を取ろう

俺は飛翔を駆り、リード島へ渡り調査
ヴェネツィアのラグーンと、アドリア海の間に横たわる長い島だ
一帯の海岸線を護る、天然の防壁……そして、海上の要塞にもなり得る
ここを越えねば潟内には入れないな

島の海岸線を歩き、外海に面した浜辺の広さや地盤を確認
海岸は、障害物もなく広く……すぐに防壁の建築ができそうかな?
北部の現在の空港の辺りに広場が確保できれば、監視塔を築いたり、トレインの発着もできそうだ
街の生活や、由緒ある建造物を巻き込むこともない

海へ双眼鏡を向け、見通しを確認
視野はアドリア海を幅広く見渡せ、バルカン半島の対岸を捉える距離感
横に防壁を、縦に監視塔を築けば即席の要塞ができそうか

敵はアドリア海の対岸方向から来る可能性が高い……
ヴェネツィアだけを狙ってくるとは限らないし
街に足を入れさせる前に、海上で撃退するのが、防衛面ではベスト
アドリア海へ向けての出撃地点にもなるだろう
警戒範囲を広げる船を出す港もあれば、と確認


●運河を見つめて
 パラドクストレインから降りれば、ディアボロス達の肌を穏やかな海風が撫でていく。三月の風はまだ冷たいけれど、拠点が完成する頃には暖かくなっているだろうか。
 彼らの目に映る、ヴェネツィアの街並み。それは、水の都の名に相応しい美しいものだった。
 街中に張り巡らされた水路に、行き交う船。並ぶ石造りの住居、美しい装飾の石橋。そのどれもが他の都市とは違って見えて、ディアボロス達を楽しませてくれる。
 ――けれど、此度の彼らは観光で訪れたわけではない。弾む気持ちを抑えながら、彼らは街を歩き水路を渡り、拠点に相応しい場所を探していった。
 島の南へ向かう者は、ジュデッカ運河とサン・マルコ運河が交差する場所を確認する。敵が海より来るのなら、水際を警戒地域とした方がいいかもしれない。
 大運河カナル・グランデへと繋がる辺りには、有名なサン・マルコ広場もある。史実では、訪れたナポレオンが『世界で最も美しい広場』と讃えた場所だ。格別の美しさを誇るサン・マルコ寺院を見遣りながら、その傍にそびえ立つ鐘楼へと昇る。元は干潟であるヴェネツィアにおいて、数少ない高さのある建物だ。青い海と赤褐色の屋根が織りなす景色は、まさに絶景。アドリア海をも見渡せるこの鐘楼と、十分な広さを備えた広場があるこの場所は、拠点として活用するに十分な要素を持っているように思えた。――難点は、歴史的建造物を戦いに巻き込むことへの是非、だろうか。
 サン・マルコ広場から更に南へと目を向ければ、運河を挟んだ向こう側にも鐘楼を持つ建物がある。サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂だ。孤島に建つ聖堂は独立している分敵からの攻略に耐えられそうだが、逆に考えるとディアボロス達の行き来に多少の不便はあるかもしれない。
 孤島ではなく陸続きの場所がいいなら、そこから西、本島の突き出した部分に建てられたサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂もいいだろう。八角形のクーポラが美しいこの場所は移動の便はよさそうだが、アドリア海を警戒するには手前にジュデッカ島があるのが難点だろうか。
 歴史的な場所にのみ目を向けるのではなく、港や造船所を活用したいと調べる者もいた。運河と共にあるこの都市だ、水際に設けられたそれらの建物が頑丈に作られていることは想像に難くない。
 時先案内人の少女は語っていた、蹂躙戦記イスカンダルの亜人戦力は、アドリア海の対岸よりやってくるのだと。だから自然と、ディアボロス達が調査する場所もアドリア海に近い南側に集中していた。
(「敵がアドリア海から来る可能性が高いなら……」)
 仲間達が調査する姿をサン・マルコ広場の南端で眺めながら、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は思考する。周囲に広がる美しい建造物達。これらにももちろん惹かれるのだけれど――。
「ロマンか、実利か……と頭を悩ませるほど魅力的な都市だな」
 だが、実利を取ろう。決意固めた蒼穹の天使は、蒼き翼を羽ばたかせて空へ舞い上がった。飛翔し目指すは、サン・マルコ広場の南東――サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂をも飛び越えて、さらにその先へ。見えてくるのは、ヴェネツィアの潟とアドリア海とを隔てるように浮かぶ細長い島。リード島、そしてリド島とも呼ばれる島だ。現代においては毎年九月にヴェネツィア国際映画祭が開催されていた場所、と聞けば、ピンとくる者もいるだろう。
 ――ヴェネツィアと一口に言っても、そこに含まれるのはヴェネツィア本島だけではない。周辺の島もまたヴェネツィアの一部であるならば、よりアドリア海に近い場所に防衛拠点を築いた方がいいのではないかと、エトヴァは考えたのだった。
 空から見下ろすリド島、その美しい島は一帯の海岸線を護る、天然の防壁のように見えて。
「ここを越えねば潟内には入れないな」
 海上の要塞にもなり得るか、と考えながら、蒼き瞳を細めた青年はアドリア海に面した海岸へと着地した。
 海岸線を歩き、周囲の状況を確認する。障害物もなく広い海岸。双眼鏡を取り出し海へと目を向ければ、アドリア海を広く見渡せる。遮蔽物も特になく、視界に問題ない。
「これなら、すぐに防壁の建築ができそうかな? 横に防壁を、縦に監視塔を築けば即席の要塞ができそうだ」
 それから海岸沿いを遠くまで確認してみるが、港があるかどうかはわからなかった。
「警戒範囲を広げる船を出すため、港があればと思ったが……」
 亜人の軍勢がヴェネツィアだけを狙ってくるとは限らないし、街へ進んでくる前に海上で撃退するのが防衛面ではベストだ。アドリア海へ向けディアボロス達が出撃するのに必要かと思ったのだが、現地の海岸を見てエトヴァは考えを改める。最終人類史よりパラドクストレインで運べるくらいのモーターボートや水上バイクを持ち込んでも、ここなら問題なく利用できそうだ。それならば、十八世紀の船舶を戦闘に利用する意義はあまりない。戦闘ではなく、現地住民の避難のために使うと言うなら、普段行き来に利用されている船着き場はあるはずだ。
 最後に、エトヴァはもう一度飛翔し、上空より人々の住居を確認した。細く長いリド島の、狭い地域に赤褐色の屋根――イタリアの綺麗な街並みが並んでいる。あの一帯の人々に呼びかけ避難してもらえれば、被害は最小限に抑えることができそうだ。
「街の生活や、由緒ある建造物を巻き込むこともない。いい場所だ」
 ため息交じりの言葉には、安堵の感情が篭められていた。そうして最後にもう一度アドリア海を一瞥したエトヴァは、仲間のディアボロス達へ報告するためヴェネツィア本島へと戻っていくのだった。

●アドリア海を臨む拠点
 こうして、皆が調査の結果を持ち寄り相談した結果、拠点は『リド島』に築くことに決定した。ヴェネツィア本島とその周辺の潟と島々、それをアドリア海から守るように細長く伸びた美しい島。この立地を活かさない手はないと、皆が提案に同意したのだ。
 そうと決まれば、さっそく拠点設営の準備が始まる。まずはリド島の住民達へ避難を呼びかける必要があるだろう。奪還戦においてはリド島が蹂躙戦記イスカンダルとの戦いの最前線になるのだ、見つけた一般人は容赦なく蹂躙する亜人達、あの脅威から守るためには全員を予め逃がしておくことが重要だろう。
 その後で、拠点の設営をディアボロス達で行う。人々が避難した後の建物に【建造物分解】の効果を用いれば、更地も用意できるだろうし、そうして手に入れた資材で新たな建造物を作ることも可能だ。
 今後は有志のディアボロスがリド島に常駐することになるから、設営作業は中期的に行える。今のうちに行うべきところ、今後の有志へ任せるところ、うまく切り分けて行動できればよりよいかもしれない。
 住民達をどう避難させるか。島のどこに何を作るか。全ては、ディアボロス達の思うままに。来たる奪還戦の時、亜人の軍勢に対抗するため。彼らは思い思いの考えで、拠点設営を目指し行動を開始するのだった。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

フルルズン・イスルーン
海からの襲撃対策と聞いて。(にょき)
パラドクスと効果はなんでもありだけど、それでも必要なものはあるのだ!
アイデア出すぞー!

【水面走行】シップ・ゴーレムくん。出番だ!

海の警戒計画を練る!
まず欲しいのは投光器。夜襲警戒では鉄板なのだ。モーターボート持ち込めるなら十分有りの範疇でしょ。
防衛線にかがり火並べるだけでもいい。兎に角明かりが必要だ!

次に海上閉塞網。ブイを浮かべてその間にロープ網を垂らす感じのね。
それを何重にもラインを用意するのだ。
向こうが船舶使ったり海中から来るのを想定して邪魔になるものを作るという考えだね。
パラドクスで排除するにも手間だし、襲撃で足並みを揃えさせない工夫は大切だぞー。
引っかかったら音が鳴ったり発光させるアラームトラップを付けてもいいね。

後は飛んでくる敵がいることを想定した凧も大量に欲しい。
ただこちらの邪魔にもなるから凧糸に印や色付けがいるかな。
閉塞気球とか新宿島だと言うんだっけ?

防御力はなくとも沢山何かあるというのはそれだけで攻めにくいものさ。
じゃあ作ろうね!


●襲撃に備えよ
 拠点の設営場所に決まった、美しき島リド島。その海岸へとやってきて、フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)はその青い瞳とキラキラと輝かせた。
「海からの襲撃対策と聞いて! シップ・ゴーレムくん。出番だ!」
 小さな腕をばっと広げれば、パラドクスの力で海上戦仕様のゴレーム達が召喚される。彼らはフルルズンが最終人類史より持ち込んだ投光器を手にすると、海岸沿いへと設置し始めた。
「夜襲警戒では鉄板なのだ。防衛戦には兎に角明かりが必要だ!」
 フルルズンが用意してきたものはまだある。たくさんのブイと、それらを繋げるロープ網。これを組み合わせれば、海上閉塞網として使うことができる。
「何重にもラインで用意すれば、船舶使ったり海中から来る敵の邪魔をすることができるぞ」
 クロノヴェーダを排除するにはパラドクスが必要ではあるけれど、襲撃で足並みを揃えさせない工夫は大切だ。引っ掛かったら音が鳴ったり発光させるアラームトラップを付ければ、さらなる助けになるだろうと考え紫色髪の娘は満足そうに頷いた。こちらはすぐに完成させられるものではないが、【水面走行】の効果なども活かして継続的に作業すれば、奪還戦の時に活かすことができるだろう。
 さらに、フルルズンはリド島の空にたくさんの凧も揚げたいと提案した。地上から凧へと伸びる糸。それが、飛行する敵の妨げとなるのだ。
「閉塞気球とか新宿島だと言うんだっけ?」
 こちらの邪魔にもなるから、凧糸に印や色付けがいるかな。首を捻りながらも、フルルズンは揚げる凧の形など、具体的な案を詰めていく。
「パラドクスと効果はなんでもありだけど、それでも必要なものはあるのだ!」
 防御力はなくとも沢山何かあるというのはそれだけで攻めにくいものさ。そう言葉を続けた彼女は、時間の許す限りそれらの海岸防衛設備を用意していく。シップ・ゴレームの力を借りて設営する彼女は、どこまでも元気に作業を続けるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

エイレーネ・エピケフィシア
【FK防衛部】

この地に亜人の災厄が迫りつつあるなら、わたしも力を尽くしましょう

まずは【友達催眠】を発動しリド島民の説得に動きます
半年ほど前から、イタリア南部との連絡が途絶したことをご存知ですか?
それを引き起こしたのが、此度現れる敵――『亜人』なのです
彼らは自動人形と異なり統治を行わず、見つけた人々は全て殺します
わたしも彼らに故郷を滅ぼされた身です
先祖伝来の地への想いは重々承知ですが、生存こそ祖先への奉仕となります
皆様、どうかお逃げ下さい

説得後はボートを操縦できる方を選び、船を集め皆を連れて本島に向かうよう指示
その後本島に戻って状況報告し受け容れ準備をお願いします

後は偵察の準備ですね
プーラやピランなど、イストリア半島西岸の古代から栄えた地域の方面が特に危険でしょうか
史実の知識も絡め、重点監視先や敵艦隊の侵入口となりうる部分を判断して、防衛を監修します
一方で別方面からの侵攻にも備えたいですね
現代の空撮ドローンを用いて復讐者不在範囲をカバー
どこから敵が来ても発見し上陸前に抹殺できるようにします


ファギー・ルヴァン
【FK防衛部】
リド島に向かい、まずは住民さん達に説明します

突然来てしまってごめんなさい。今から話すことは…きっと不安や心配を招いてしまうと思います
近い未来に、恐ろしい存在が侵略しようとしています
私たちは、その恐ろしい存在に対抗するための基地をこのリド島に建設したいと考えています。
そこで、皆さんには一度ここから避難をしていただきたいです。
大切な故郷が壊されてしまう…二度と帰れなくなってしまうかも…そんな声があるかもしれません。
ですが、みなさんの未来のために最大限に活用させていただき、そして必ずお返しすることを約束します。
どうか、私達のことを信じて、この島の事を預けていただけないでしょうか?

避難の了承を得られたら作業開始
【パラドクス通信】で進行状況を全員に共有しつつ、避難誘導を優先的に作業
ヴェネツィア本島に向け【水面走行】などでお手伝い
子どもたちが困っていたら、相棒のコロロで励まそうとします
大切な島をお借りするのだから、預けてよかったって思えるように頑張らないとね。

※アドリブ歓迎


●島離れるは未来のために
 リド島のごく一部の地域に、赤褐色の屋根が並んでいる。この島唯一の集落――そこを目指してやってきたファギー・ルヴァン(明けぬ夜森の魔法つかい・g00880)は、住民達へ声をかけると深々と頭を下げた。
「突然来てしまってごめんなさい。今から話すことは……きっと不安や心配を招いてしまうと思います。近い未来に、恐ろしい存在が侵略しようとしています」
「恐ろしい存在? 大陸軍が侵攻してくるのか!?」
「そんな! 最近姿を見なくなって安心していたのに!」
 返る言葉は、表情強張らせた住民達のもの。断頭革命グランダルメに生きる一般人にとって、脅威といえば思い浮かぶのはやはり『人形皇帝ナポレオン』が率いる軍勢なのだろう。
 口々に声を上げて怯える住民達へ向けて、ファギーの隣にいたエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は静かに首を横に振ってみせる。琥珀色の瞳には真剣な光を灯しつつ、醸し出す雰囲気まではピリピリとさせないように――意識する彼女の姿は、【友達催眠】の効果もあって人々には『友を案じる優しい少女』のように見えたことだろう。
「半年ほど前から、イタリア南部との連絡が途絶したことをご存知ですか? それを引き起こしたのが、此度現れる敵――『亜人』なのです」
 エイレーネは、ディヴィジョンの人々に包み隠さず事実を語る。亜人達は自動人形や淫魔と異なり統治を行わず、見つけた人々は全て殺すのだと。
「わたしも彼らに故郷を滅ぼされた身です」
 凛と声を響かせれば、不安に声を上げていた人々は水を打ったようにしんと静まり返った。自動人形や淫魔に苦しめられてきた今までとは、異なる脅威。従順になるだけでは死あるのみの存在だと説明されて、一人の男がぽつり声を漏らす。
「……そんなやばいやつら来たら、俺らお終いじゃないか」
「大丈夫です」
 ファギーは間髪入れずに言葉を発した。絶望は、すぐに伝播してしまうから。そしてそのまま続けて、だから自分達が来たのだと語る。
「私たちは、その恐ろしい存在に対抗するための基地をこのリド島に建設したいと考えています。そこで、皆さんには一度ここから避難をしていただきたいです」
「ここに、敵に対抗するための基地を?」
 驚く人々は、戸惑うようにひそひそと言葉を交わす。避難した後で戻ってこられるのか、家は、故郷はこのまま残るのか――耳に聞こえてくる不安の声は、ファギーが予想していた通りのもので。だからこそ彼らを安心させようと、彼女は懸命に言葉を重ねる。
「大切な故郷が壊されてしまう……二度と帰れなくなってしまうかも……そんな声があるかもしれません。ですが、みなさんの未来のために最大限に活用させていただき、そして必ずお返しすることを約束します」
 『必ず返す』。それは、言葉の通りの意味では約束できないことを、語るファギーも理解している。拠点を設営し、奪還戦を迎え、無事に勝利を納めることができたその時は――この地もまた、最終人類史へと奪還することになる。『断頭革命グランダルメのリド島』を、彼らに返す約束はできないのだ。けれどここに住まう彼らを、そして彼らの大切なものを、全て掬いたいという想いは彼女の言葉に熱を持たせて。
「どうか、私達のことを信じて、この島の事を預けていただけないでしょうか?」
 真摯に願えば、人々の表情は次第に変わっていった。それは、不安を打ち消すだけの勇気に充ちたもの。
「わかった、そこまで言うなら任せよう!」
「『亜人』とか言うやつらをしっかり追い返してくれよ!」
 上がる声は次々に、ディアボロス達に協力すると告げてくれる。それを聞いて、ファギーとエイレーネは顔を見合わせ、ほっと安堵のため息を零した。
「さあ、先祖伝来の地への想いは重々承知ですが、生存こそ祖先への奉仕となります。皆様、どうかお逃げ下さい」
 エイレーネが声を発すれば、人々はさっそく避難の準備を開始する。移動先はヴェネツィア本島。島から島への避難だから、当然海を渡ることになる。船を操縦できる者を選び、島にある限りの船を使って人々と荷物を本島へと逃がすのだ。
 本島へ受け入れ準備を頼もうとエイレーネが【飛翔】で離れていった後、ファギーは【水面走行】を使って手助けすることにした。リド島の集落とヴェネツィア本島の間を行くのに、彼らの船で一時間ほどかかると言う。住民と手を繋ぎ海上を歩いてもらうには少し大変な距離だが、ファギーが荷物を引き受ければその分船に乗れる人の数が増える。身一つではなく荷物も持って出られることを告げれば、人々からも嬉しそうな反応が返ってきた。
「わたしね、この子がいっしょじゃないとねむれないんだ。お姉ちゃんもそうなの?」
 親の手作りと思われる人形を大切に抱き締めながら、船に乗り込む少女がファギーに尋ねる。少女の視線の先には、ふわり浮かぶ毛玉が一体。人形やぬいぐるみの一種と勘違いされたのを察知したか、モーラット・コミュの『コロロ』はふよよっと少女に近付いていって――少女と人形を、交互に撫で始めた。
「もきゅ、もきゅっ」
「あははっ、毛玉さんくすぐったいよ! しんぱいしてくれたの? ありがとう!」
 無邪気に絡むコロロを前にしたら、不安げだった少女も笑顔に変わった。家族もお友達も一緒だから。言葉紡げば隣にいた母親が彼女を抱き締めて、行きましょうとはっきり告げる。
 そんなささやかなやり取りの中にも、この島に生きる人々の姿を見て。ファギーは、改めて彼らと交わした約束を思い出す。
(「大切な島をお借りするのだから、預けてよかったって思えるように頑張らないとね」)
 決意を胸に、島を離れる船達に同行するファギー。その姿をヴェネツィア本島側で見つめながら、エイレーネはその瞳にリド島と、その先のアドリア海を映していた。
「後は偵察の準備ですね。プーラやピランなど、イストリア半島西岸の古代から栄えた地域の方面が特に危険でしょうか」
 ヴェネツィア本島の、避難民の受け入れ準備は整った。休む間もなく、彼女は拠点の設営について考え始めている。蹂躙戦記イスカンダル側の地理や知識に明るいエイレーネは、史実の知識も絡めて重点的に監視したい方向、そして敵艦隊の侵入口となりうる部分を予測し防衛に活かしたいと考える。
(「一方で別方面からの侵攻にも備えたいですね」)
 最終人類史から空撮ドローンを持ち込んで活用しようかとも思うが、こちらは排斥力の影響を受けないよう使用しなければならないため、範囲は限られそうだ。
「どこから敵が来ても発見し、上陸前に抹殺できるように……」
 海を睨むエイレーネの元へ、リド島の住民達を乗せた船が近付いてくる。人々が本島に上陸したら、まずは避難先への案内だ。思考を中断した銀髪の神官は、ファギーから荷物を受け取ると、取って返す船と彼女を見送り下船した人々を導いた。
 そうして、幾度かリド島とヴェネツィア本島を行き来すれば住民全ての避難が完了する。【パラドクス通信】で逐一進行状況を共有していたディアボロス達は、最後の船が本島に到着したことを確認した時、皆で安堵したのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

場所が決まれば早速準備ですね
敵の襲来を先んじて察知できるよう、索敵機能を重視したい所です
という訳で、新宿島から対空索敵レーダーをアイテムポケットで持ち込みます
リド島の上下端と中央の3箇所に配備しておけば、ある程度カバーできるでしょうか

勿論、目視による確認もできるように監視砦も必要ですね
遠くまで見通せて、対空レーダーでは補足出来ない水中からの襲撃を目視できるよう、出来れば高く組みたい所ですが
建造に時間がかかって奪還戦までに間に合わないとなっては困りますから、高さ数十メートルくらいが妥当でしょうか

地元の職人に事情を話し、監視砦建造の手伝いをお願いします
可能なら建造物分解で資材を用意
新宿島から持ち込んだレーダーを設置しつつ、見張り担当が長時間滞在できる程度の広さがあれば良いでしょうか
建築についてはあまり知識が無いので、職人の方にお任せしてしまいますが
資材の運搬など、お手伝いできる所は何なりと

この美しい都市に一手たりとも到達させはしない
全て海上で撃滅できるよう、手を尽くしましょう


レイ・シャルダン
【FK防衛部】

連携・アドリブ歓迎です。
最終人類史よりこの近辺の衛生写真、地図、ノートPC、携帯印刷機、
手書き用製図道具を【アイテムポケット】に詰めて持ってきます。

【飛翔】を行い写真、地図と現地の生の光景を比べ差異を修正し、
地図を仕上げた後に皆で作る拠点を図面化します。
拠点に必要な物はエトヴァさんをはじめとして
ここに来られた皆さんと打ち合わせ決定します。
パラドクス通信をはじめとした残留効果の範囲
防波堤や、防塁、監視施設等を図面の中に盛り込みます。

まずは手書きで下書きを作り、内容が決まったら
ノートPCのCADソフトで清書
最終的には拠点にある施設の装備品や、
防衛に関する基本的な行動手順を文章として纏め
『アドリア海防衛要領書』を製作します。
完成したら印刷機で刷って皆さんに共有します。
こうして居ればあとに続く有志の方もスムーズに作業が出来ますものね。

時間があるなら、皆さんの活動の様子をスマホカメラで沢山撮影して写真に残します。
最終人類史には残せないけど、ボク達が行った大切な活動ですから。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【FK防衛部】

仲間と一緒に拠点設営だ
俺は、貨物トレインでモーターボートや水上バイクを持込み、アドリア海への出撃態勢と拠点を整えよう
機材の燃料や工具も持込を

怪力無双で効率よく作業
ラズが分解した資材を運搬し建設
レイさんの図面やマニュアルに提案し、仲間とアイデア共有して作業

拠点には、広域監視と防衛線の機能に加え、海上へ素早く出動できる体制を作る
島の北端と南端のラグーナの入口の際と、島の海岸中央部にも監視塔を備えた拠点を築こう
アドリア海の各方面を監視する設備機材を備え、出動の待機場所も確保
監視塔をパラドクス通信で結ぶ連絡体制をソフト面でも構築し、マニュアル化
夜間は照明で灯台の機能を
シルさんに手を振ろう

海上防衛には、拠点からすぐ外海へ出られる場所に船の発着場を設営し、モーターボート等を係留し配備
拠点の間をつなぐ防壁を築いて、上陸に備える

基礎と資材を準備し
ほかに力仕事はあるかい?

要領書で引き継ぐのは
建築の続きと、建物復元での補強
監視とPD通信の連携体制、防衛ラインと防空体制の活用
液体錬成で燃料の貯蔵


シル・ウィンディア
【FK防衛部】
新宿島から腐食に強い建築資材、櫓の仮組用資材、海上に浮かべるブイと重りをパラドクストレインの貨物車両に積み込み。
アイテムポケットには地図や測量器具なども持ち込んでいくよ。

現地に到着したらレイさんに作ってもらった図面ともちこんだ地図を見比べて監視塔の作成予定ポイントに移動を開始。
まずは目印となる大きな杭を地面に打ち込むよ。
それを繰り返して予定ポイント全部に杭を打ち込んでいくね。

ポイントを確認したら、ポイントの一か所に仮組で監視塔を建て実際に組み立てる時の高さを確認。測量機材も使うよ。
その後海上に出てブイの設置の為、飛翔で重り付きのブイをもって行き海上に下すよ。
その後、パラドクス通信でエトヴァさんに塔の上からブイが見えるか確認をしてもらうね。
微調整は水面走行で水面から調節を行うね。
ブイの設置は、水中を行く亜人の確認の為に設置。

その後、レイさんの作成する要領書へ、避難してもらった方達へのケアと残留効果のハウスキーパー、クリーニングで居住地への支援を記載してもらうね。


ラズロル・ロンド
【FK防衛部】
観光…じゃなくて大事な拠点づくりだね
奪還戦を優位に立ち回る為にも立派な防衛拠点を作ろう

リド島の人達に危険な亜人が襲来する事と
防衛拠点をリド島に築きたいと理解を得た上で【建造物分解】を使い
リド島の建物を資材に変えよう

レイ君の図面を元に
堅牢な防護壁。対岸、その向こうまで見える設備の監視塔を築き
亜人に遠目からも応戦体勢がある事を知らしめる
下手に街を襲われるよりこっちに来る?
来なくても急行するけど

監視塔の設備は現代から持込む
敵発見用に高性能、軍事用の長距離スコープを備え
監視カメラや監視AIを付け近づく亜人に即応戦できる体制を作る
亜人も団体で来るだろうけど、斥候も居るだろうしね
監視塔同士の間の程高い位置に足場と人が通れる窓を付け
どの方面の敵も迎撃できる防壁に
トラップ生成も活躍するだろう

後々に建物復元で防壁を破壊され難くし
分解した建物を復元し街並みを温存するように動く
それも僕等の常駐で出来そう

P通信で連絡を取り
怪力無双を使い荷台を借り資材が必要な場所への運搬
防壁や監視塔作りに尽力しよう


●皆で作るもの、そして残すもの
 飛行ユニット『アクロヴァレリア』を駆動すれば、レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)の身体は空へと舞い上がる。上空より見下ろすは、断頭革命グランダルメのリド島だ。青い海に囲まれた、細長く美しい島――その姿をじっと見つめてから、レイは最終人類史より持ち込んだ資料を取り出した。
「地形に大きな変化はありませんが、建造物は少ないですね」
 呟き見比べるのは、現代のリド島の衛星写真と地図だ。現代のリド島は、ヨーロッパの人々がバカンスを楽しむリゾート地として知られている。そのためホテルやプライベートビーチが並んでいるのだが、この時代にはそれがない。人々が暮らす狭い範囲以外は自然のままの場所――その様子を地図へと書き込んで、レイは海岸へと降り立った。
「監視塔をここに、防波堤、防塁をここに……」
 完成した地図を参考にしながら、皆で作る拠点の図面を書き始める。大まかな案は、事前に仲間達と相談してある。そこに実際に作業しながら挙がってきた案を加えれば、立派な計画書ができあがることだろう。
「レイ、良ければこちらの図面も使っていただけますか?」
 熱心に図面を引いていた少女に、かかる声。顔を上げれば、そこには穏やかに微笑むソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)が立っていた。青空と黄昏を閉じ込めたような両の瞳に、アドリア海の煌めきが映っている。
「これは……監視塔の図面ですか?」
「はい。建築についてはあまり知識がないので、職人の方にお手伝いいただきました」
 言葉交わして、差し出された図面を受け取る。そこには、最終人類史の専門家の手によって作成された監視塔の案が描かれていた。素人の自分より、専門家を頼りたい。そう考えたソレイユははじめ現地の人間の知恵を借りようかと考えていたのだが、建築資材を最終人類史より持ち込むという案が仲間より挙がっていることを知って予定を変更した。現代の資材と、中世である断頭革命グランダルメのリド島の資材。どちらも活用するならば、最終人類史で知恵を求めた方がよりよいものになる。
 遠くまで見通すためにはできるだけ高い塔を、けれど奪還戦までに完成させられるもので――ソレイユが考えた通り数十メートルの高さで、設備を置きつつ見張り担当が長時間滞在できる程度の広さに設計されたその図面を見て、レイは緑色の瞳を細め頷いた。
「ありがとうございます、ソレイユさん」
 拠点となる砦はこれをこのまま使いますね。言葉を続けて、レイは受け取った図面の内容をノートPC内に写していく。
 そうしている間にも、二人の傍にある小型通信機は仲間のディアボロス達からの連絡を届け続けていた。各所で拠点設営準備を行う仲間が見た新たな情報、思い浮かんだ新たな拠点のアイディア――それらを下書きに書き加え、内容が決まればノートPCのCADソフトで清書し、携帯印刷機で印刷して仲間に共有するつもりだ。さらに作業が粗方進んだ後には、拠点にある施設の装備品リスト、防衛に関する基本的な行動手順を文章で纏めて――。
「『アドリア海防衛要領書』を製作して、皆さんに共有するんです」
 今回の作戦に参加する者の分と、あとに続く有志のディアボロスの分と。複数刷れば効率もいいし、スムーズに作業を続けることができるだろう。
 意欲に満ちた顔でレイが語れば、ソレイユがいい案ですねと頷く。そして、彼はリド島へ視線を巡らせてからそっと言葉を紡いだ。
「この美しい都市に一手たりとも到達させはしない。全て海上で撃滅できるよう、手を尽くしましょう」
 そのためにも、お手伝いできる所は何でもやりたいと。真剣な瞳で語ったソレイユは、少女へ頭を下げると別の場所の作業へ向かうことを告げた。
「あ……ソレイユさん、その前に」
 金髪の青年が去る前に、レイは声をかけてスマートフォンを構える。カシャリ、電子音が響けば、カメラアプリが彼と美しいリド島の風景を切り取って。
「皆さんの活動の様子も、沢山写真に残そうと思うんです」
 最終人類史には残せないけど、ボク達が行った大切な活動ですから。言葉紡げば、ソレイユはそれにもまた穏やかに相槌を打った

●砦と防壁と
 レイの図面が完成したのは、リド島の人々が乗る最後の船が本島へ到着した頃だった。
 アドリア海に接した海岸沿いでそれを受け取って、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は嬉しそうに微笑む。
「レイさん、ありがとう。よくできていると思う」
 リド島の北端と南端にある、アドリア海からラグーナへの入り口となる際。それと島の海岸中央部にも監視塔を備えた拠点を築く計画が、図面によく纏められている。
「砦は南北と中央で、三か所ですか。全てにレーダーを配備できれば、ある程度カバーできそうですが……」
 作業の手を止め図面を確認したソレイユは、そう語ると用意してきた対空索敵レーダーを取り出した。クロノヴェーダに対して有効かどうかは微妙なところではあるが、目視と併用ならば念のためにあってもいいかもしれない。彼はこれをリド島の上下端と中央の三か所に配備しようと考えていたのだが、仲間達と相談して中央の砦のみに置くことにした。
 最終人類史より持ち込んだ精密機器は、ディアボロスが常駐している場所以外では排斥力の影響を受け使えなくなってしまう。それを避けるためにはディアボロスが常に常駐し続ける必要があるのだが、三か所に常駐させるというのは有志頼りである以上難しい。そのため索敵レーダーは中央にひとつだけとして、何か反応があれば各砦に【パラドクス通信】で連携をとることにしたのだ。
 リド島の長さは約十二キロメートル。三か所の拠点で連携すれば、【パラドクス通信】で島の端と端でも連絡が取り合える。冬の間にディアボロス達が強化を行った成果を、今回は存分に活用できそうだ。
「お……てことは、僕の設備も中央に集中した方がいいかな?」
 会話を聞いて小さく首を傾げたのは、資材を運んできたラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)だった。リド島の住民達が離れた後、彼は島の建物を【建造物分解】で資材に変えていたのだ。
 資材乗せた荷台を近くに置いて、【アイテムポケット】からも取り出して。それと一緒に、ラズロルは最終人類史から持ち込んだ敵発見用の機器も並べていく。軍事用の高性能長距離スコープに、AI付きの監視カメラ。近付く亜人を見逃すことのないように――敵が軍勢で来れば目視で十分だが、斥候も警戒しておきたいと考えれば役立つ場面もあるかもしれない。
 広域監視の機能としては、これらを中央の砦に配備すれば十分だろうか。あとは、防衛線としての機能である。こちらは拠点を繋ぐように防壁を築き、敵の上陸に備える予定だ。防壁の程高い位置には足場と人が通れる大きさの窓をつけて、有事の際はそこから飛び出し迫る敵を迎撃できるようにしたいと、提案したのはラズロルで。
「これができたら、アドリア海から来る亜人に応戦体勢がある事を知らしめる事になるよね。敵も下手に街を狙おうとせず、こっちに来るかな?」
 来なくても急行するけど。言葉紡いで、紫の瞳を光らせにやりと笑う。そんな妖狐の青年に、仲間達ももちろんだと言うように頷いた。
「じゃ、立派な防衛拠点を作ろう」
 ラズロルが言葉を発すれば、ディアボロス達は行動を開始する。奪還戦を優位に立ち回る為にも、今できることを精一杯に。通信で連絡を取り合いながら、彼らは各所で作業を続けるのだった。

●今できること全て
「ここが、中央砦の作成ポイントだね」
 レイの図面と、持ち込んだ地図。その両方と目の前に広がる景色を見比べて、シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)は呟いた。
 【アイテムポケット】から取り出すのは、測量のための器具と建築資材。長さを測り地面に印をつけていくと、シルは大きな杭を手に取った。
「まずは、目印を……!」
 言葉と共に、杭を地面に打ち込む。この杭は最終人類史より持ち込んだ、腐食に強いものだ。海岸沿いでも立派な砦が建てられるだろうと、思う少女の青い髪が潮風に流れていく。
 そうして予定ポイント全部に杭を打ち込んだシルは、そのまま監視塔の仮組を始める。実際に組み立てる時の高さを確認するためだ、測量器具を用いて都度測りながら、シルは作業を進める。
「シルさん、順調かな?」
 かかる声に振り向けば、そこにはエトヴァが立っていた。彼はこの砦の建設予定地のすぐ傍に、船の発着場を用意していたのだ。先程まで彼が作業していた場所を見れば、そこにはモーターボートや水上バイクが係留されていた。
「こっちは大体終わったよ。他に力仕事はあるかい?」
「うーん、力仕事ではないけど……エトヴァさんの目を借りたいかな」
 シルはそう告げると、エトヴァに仮組した監視塔の上へ登るように頼む。そして、自身は【飛翔】で海の上へ。手に持った重り付きのブイを次々海上に下ろして、シルは小型通信機を通してエトヴァに声掛けた。
「どう? そっちからブイが見える?」
「大丈夫だ、よく見える」
 声が返ると同時、監視塔の上のエトヴァが手を振るのが見える。フルルズンが持ち込んだ海上閉塞網も組み合わせれば、海中より迫る亜人の対策は十分だろう。
 それからシルとエトヴァとラズロルは、時間の許す限り用意した資材を必要な場へ運び続けた。基礎の部分を作り上げておけば、後の建築は今後の有志に任せていいだろう。こちらの構想は、レイの纏めた『アドリア海防衛要領書』を確認してもらえば引き継いでいける。
「砦も防壁も、後々【建物復元】で破壊され難くしてもらいたいな。分解した建物も復元できたら、街並みを温存できるよね」
 ラズロルが引き継いでほしい内容を語れば、エトヴァも穏やかに微笑み頷いた。
「【液体錬成】があれば、燃料の貯蔵もできるかな」
 それから、監視と【パラドクス通信】の連携、防衛ラインと防空体制の活用について。彼らが考えた体制を今後も維持してもらえればと、要領書へ書き加えてもらう。
「避難してもらった方達へのケアに、【ハウスキーパー】や【クリーニング】もあった方がいいよね」
 シルも提案すれば仲間達が同意して、それも要領書へ加えられることになった。こちらは防御を固めたり連携取るためのパラドクス効果より優先度は低くなるだろうが、ある程度発動に間隔が空いても一定の効果が得られそうだ。
 そうして、皆のアイディアを取り纏めた『アドリア海防衛要領書』が完成した。住民の避難を担当していたエイレーネとファギーも合流して、ディアボロス達はその出来栄えを確認し達成感に笑い合う。
「皆さん、完成の記念に一枚いいですか?」
 レイがスマートフォンを取り出して尋ねれば、嫌がる者はいなかった。皆の手には要領書、仮組した砦を背景に。カシャリ、シャッターを切ったその瞬間のディアボロス達は、笑顔と気力に充ちていたのだった。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】LV2が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【水面走行】がLV2になった!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!

●ヴェネツィアの人々へ
 こうして、ディアボロス達の拠点設営作業は完了した。後のことは常駐するディアボロス達に任せれば、立派な拠点が完成することだろう。
 次にディアボロス達は、ヴェネツィア本島へ赴き住民達へ話をすることになる。リド島からの避難を誘導する際に、亜人の存在と奪還戦についての説明は済ませてある。人々は特に疑うことなく、ディアボロス達の行う防衛作戦に協力してくれることだろう。
 しかし、いざ奪還戦が始まれば、亜人との戦線は彼らの住居のすぐそこなのだ。その時にどう行動するべきなのか、どんな心構えで臨んでもらいたいのか、今一度話しておくのも必要なことだろう。
 ディアボロス達が声掛ければ、人々は集まり説明を聞いてくれるはずだ。何を語るのか――それもまた、奪還戦でこの地を護るためには、重要な選択となることをディアボロス達は感じていた。
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

友情催眠を使用

まずはリド島及びヴェネツィア本島の住民の皆さんのご協力に感謝致します
住み慣れた場所が前線基地となることに、不安に思う方もおられると思います
その不安を少しでも払うため、有事の際の動きをご説明致します

リド島の防衛拠点は敵の察知に優れた武装を設置しています
上陸はおろか、海上で全てを撃滅できるよう私達も力を尽くします
ですから、敵襲の警報が鳴っても、どうか焦らず
避難場所に籠もり、待機していてください

焦って大勢が逃げ出してしまえば
決して広くないベネツィアの路地は、あっという間に人で埋まり混乱するでしょう
避難どころではなくなり、亜人の襲撃関係なく危険な状況になります
避難施設の施錠を厳重に行い、建物内で私達を信じてじっと待っていてください
亜人の目に貴方達が一人も写らなければ
より明確にディアボロスが亜人達の注意を引き、迎撃もしやすくなります
とても勇気のいる事をお願いしている事は理解しています
どうか私達の勝利を信じて、待っていて下さい
私達は必ず、それに応えてみせますから


シル・ウィンディア
【FK防衛部】
避難はしてもらった。
拠点も、島を貸してもらって設営させてもらった。
あとは…。
示さないとね。絶対に守るからっていう、この気持ちを。
そして、守るから信じてねっていうことを。

亜人達が襲ってきたら、わたし達の仲間が通信で連絡を入れてくれます。
その時、出来るだけ戦闘になりそうな場所から遠い所、そして、避難できそうな大きな建物へ慌てずに避難をお願いします。
大丈夫、皆さんの避難した所へは悪しきものは通すことはないから。

絶対に護り抜きます。
それが、この地を任せてもらった、そして、信じていただいた皆さんへの恩返しになるから。

伝えた後は歌う準備を行うよ。
マジカル・アリア・デバイスをマイクモードにして手に持つね。

皆さん、わたし達の事を信じてくれてありがとう。
お礼の気持ちを込めた歌です。
…聞いてください、太陽と希望の歌、「ルーチェ・ソラーレ」!
新しい夜明け、亜人や自動人形に怯えずに過ごせる未来を想って…
この空一杯に歌声を響かせるよっ!
歌い終わったら、ぺこりとお辞儀。
ありがとうございますっ!


ラズロル・ロンド
【FK防衛部】
本島へ向かい仲間演奏の傍らで
僕は子供達や噂に疎そうな人達に声をかけていこう

友達催眠を使い
子供たちが居たら
ディアボロスのお兄さんだよー
と近付き
リド島に防壁出来てるのは知ってるよね?
あとお母さんや大人達が慌ただしいのも皆感じてると思う

と話、近々起こる戦争の話を正直に話そう
子供と言えど危険意識を持ってもらえばこそ、理解も出来るだろうし何が必要かも考えるだろう

この地は僕らディアボロスが守るから
君達は大人の指示に従って避難するんだよ

それにお父さんお母さんもきっと不安だから、そんな時は君達が勇気付けて欲しい
君達も大事な家族を守る力になるからね

不安に泣きそうになる子もいるだろう
そんな子には
見ててと小袋に入ったクッキーを見せ
パクパク大人気なく目の前で完食すると…あら不思議400人分の甘いクッキーの小袋
お兄さん達との約束ね。と子供達にお菓子を配っておいでと、思いと一緒に手渡そう。
大丈夫だよ。僕達が必ず守るから。
助け合って一緒にこの地を守り抜こう。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【FK防衛部】
避難も、拠点の設営も無事に完了だな
奪還戦で、この地を守るために……友達催眠も交え、集った人々と話をしよう
ああ。俺達を信頼してもらうために

近く、亜人の襲来があると聞いていると思う
俺達が護り抜くから、安心してほしい

リド島の皆の協力で、襲撃は早期に察知する態勢ができた。亜人達が迫れば合図を送ろう
できれば広場の大鐘楼に監視員を置き、砦から出撃する人が見えたら、街の皆へ報せてほしい

外から見えにくい場所に集まり、夜は明かりを消して、姿を見せず
暖をとって……
食糧や水、医薬品は、半月分ほど予め備えておいてほしい
慌てて怪我をしないように、避難訓練もすると良い

それから……励まし合って、助けが必要な人には、手を差し伸べてほしい
皆でいれば勇気が出るから
どうか、希望の灯を胸に

親睦の証にチェロを演奏
ヴェネツィアに伝わる舟歌を奏で
老若男女、恐れず希望を抱けるように、音色に想い籠めて
皆と、この街を護ります
口ずさみ、つられて歌ってもらえたら

シルさんの歌に伴奏を
怖くなった時は、思い出して……
俺達が護り抜くから


●全てを護るために
 拠点の設営作業を終えて、ディアボロス達はヴェネツィア本島へやってきた。
「避難も、拠点の設営も無事に完了だな」
 本島へと降り立ったエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が穏やかに呟けば、それを聞いたシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)が振り返って運河を見つめる。水平線にうっすらと見える、リド島。此度の作戦が順調に進んでいるのは多くのディアボロス達の尽力ももちろんあるのだが、住民達の協力があってこそのことだというのも忘れたくない。
「避難はしてもらった。拠点も、島を貸してもらって設営させてもらった。あとは……」
 青い髪が、海風に揺れる。顔にかかるそれを手で払いのけ、シルは本島の中へと足を踏み出して。
「示さないとね。絶対に守るからっていう、この気持ちを。そして、守るから信じてねっていうことを」
「ああ。俺達を信頼してもらうために」
 言葉交わして、二人は進む。仲間達とも協力して、ディアボロス達は本島の人々に集まってもらえるよう声をかけて回った。話す場所に選んだのは、『世界で最も美しい広場』サンマルコ広場だ。代表者に説明する方法もあったが、ディアボロス達は多くの人々に直接語り掛ける方を選んだ。その方が、心が届くと思ったのだろう。
 やがて、サンマルコ広場にはヴェネツィア中の人々が集まった。先にリド島からの避難民を受け入れてもらう流れで、亜人の襲撃について説明はしてある。それがまた、人伝に広まって――住民達は皆、『凶悪な亜人から自分達を守ってくれる者』として、ディアボロス達の語り出すのを待っていた。
「まずはリド島及びヴェネツィア本島の住民の皆さんのご協力に感謝致します」
 大勢を前に、口火を切ったのはソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)だった。礼儀正しく一礼し、深く感謝の気持ちを伝える。合わせるように頭を下げたエトヴァが、次に言葉を繋げて。
「近く、亜人の襲来があると聞いていると思う。俺達が護り抜くから、安心してほしい」
「住み慣れた場所が前線基地となることに、不安に思う方もおられると思います。その不安を少しでも払うため、有事の際の動きをご説明致します」
 紡ぐ話を区切って、そこでソレイユは二つの空色の瞳で人々をぐるり見回した。老若男女、全ての人々がディアボロス達を見ている。この皆を守り抜くため――真剣な表情で耳を傾けてくれる住民達へと、エトヴァがさらに声を響かせる。
「リド島の皆の協力で、襲撃は早期に察知する態勢ができた。亜人達が迫れば合図を送ろう」
 そこで、蒼穹の天使は傍らにそびえる大鐘楼を指差した。
「あの大鐘楼に監視員を置いてもらえるだろうか。俺達から連絡を送った時、いち早く気付き街の皆へ報せてほしい」
 連絡の方法は、具体的には説明しない。その時々、有志のディアボロスができる一番確実な方法で報せることになるだろうから。それは旗を振ることかもしれないし、信号弾を打ち上げるかもしれない。【フライトドローン】の効果があれば、スピーカーを搭載して飛ばし緊急放送を行うかもしれない。敵が攻めてくるまでの間は、ヴェネツィアにドローンを撃墜するような存在はいない。襲撃前の連絡に限定するなら、これも有効な方法だろう。
「亜人達が襲ってきたら、わたし達の仲間が連絡を入れてくれます。その時、出来るだけ戦闘になりそうな場所から遠い所、そして、避難できそうな大きな建物へ慌てずに避難をお願いします」
「リド島の防衛拠点は敵の察知に優れた武装を設置しています。上陸はおろか、海上で全てを撃滅できるよう私達も力を尽くします。ですから、敵襲の報があっても、どうか焦らず避難場所に籠もり、待機していてください」
 シルが、ソレイユが、言葉を重ねて避難の流れを説明する。
 奪還戦まで、まだ時間はある。当日慌てて行動した結果怪我に繋がらないよう、避難訓練もするといいだろう。食料や水、医薬品なども半月分ほど備えておいてほしいと、エトヴァが語れば人々からは頷きが返った。
「焦って大勢が逃げ出してしまえば、決して広くないベネツィアの路地は、あっという間に人で埋まり混乱するでしょう。避難どころではなくなり、亜人の襲撃関係なく危険な状況になります」
 ソレイユが語るのは、混乱することの危険性だ。今回の襲撃は、不慮のものではない。訓練し、シュミレートし、心の準備をしておけば、きっと当日は皆が協力し落ち着いて行動できるだろう。
 避難が完了したら、施設の施錠を厳重に行うことも忘れずに。窓際などは避け外から見えにくい場所に集まって、夜は明かりを消して、じっとディアボロス達の防衛が終わるのを待つ。亜人達に見つかってはならないのだ、だって彼らは『蹂躙』を望むクロノヴェーダだから。
「亜人の目に貴方達が一人も映らなければ、より明確にディアボロスが亜人達の注意を引き、迎撃もしやすくなります。とても勇気のいる事をお願いしている事は理解しています。どうか私達の勝利を信じて、待っていて下さい」
 私達は必ず、それに応えてみせますから。はっきりとソレイユが宣言すれば、シルもそれに深く深く頷いた。青い瞳に護りたい人々を映して、少女もまた、彼らに誓う。
「大丈夫、皆さんの避難した所へは悪しきものは通すことはないから。絶対に護り抜きます」
 それが、この地を任せてもらった、そして、信じていただいた皆さんへの恩返しになるから。凛と声を響かせて、シルは組み合わせた両の手をぎゅうっと握り締めた。

●希望と絆の歌
 ディアボロスからの報せが入ったら、避難し、亜人達に見つからないようじっとする。シンプルだけれど、全員に行ってもらうには住民達の協力が不可欠な行動。だからディアボロス達は言葉を尽くし、背景に至るまでを説明し、理解を得ようと尽力して――その言葉は、心は、確かにヴェネツィアの人々へと届いた。
「ありがとうな、ディアボロスさん達。我々を護ってくれる、その気持ちにこっちも応えないとな」
 かけられた言葉は、住民の一人から。それを始まりとして、人々はさざ波のようにディアボロス達へと言葉をかける。
「少し前まではずっと大陸軍に怯えて暮らしていたんだ、ちょっとの間の避難くらいどうってことないさ」
「防衛設備の準備もなかなか大掛かりで大変だろ、こっちはこっちでできることを頑張るよ!」
 かかる声は、温かくて頼もしく。【友達催眠】を重ねた効果もあって、彼らはディアボロスの言葉をしっかり受け止めてくれた。
 ありがたい。エトヴァの胸にも、こみ上げるものがある。それを精一杯の微笑みに表して、彼はもうひとつ、彼らに頼む。
「それから……励まし合って、助けが必要な人には、手を差し伸べてほしい。皆でいれば勇気が出るから」
 どうか、希望の灯を胸に。自身の胸へと手を置きエトヴァが紡げば、人々からは『あんた達がいてくれるから、出る勇気もあるんだよ』などとまた嬉しい言葉が返ってきた。
 シルの瞳も、人々を見つめ煌めく。喜び、感謝、達成感。そんな想い全てを抱いて、彼女が手に取ったのは『マジカル・アリア・デバイス』。マイクモードへと形を変えたマジックアイテムを手に、精霊術士の少女はとびきりの笑顔を浮かべて住民達へと語り掛けた。
「皆さん、わたし達の事を信じてくれてありがとう。お礼の気持ちを込めた歌です。……聞いてください、太陽と希望の歌、『ルーチェ・ソラーレ』!」
 言葉を紡ぎ終えたと同時、大きく息を吸い込んで――マイクに乗せる歌声は、新しい夜明け、亜人や自動人形に怯えず過ごせる未来を想って空の下に響き渡る。
 エトヴァが合わせてチェロ『Vc:Seraphim』を取り出し目配せすれば、頷いたソレイユもまた愛用のグローブ型VR楽器『Fonte de la musique』を起動させ、現れた電子の鍵盤に指を添えた。
 即興のセッションは希望に満ちた、春のような明るい音色で。心躍らせた人々も、手拍子しながら音の海に身を委ねる。
 そんな中、周囲をきょろきょろと見ながら不安そうな子どもを見つけて、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)はそっと近付き声をかけた。
「ね、見てて」
 悪戯っぽく微笑んで、持ってきた小袋を開けて中のクッキーを食べ始める。なになに? と周囲の子ども達も集まってくるが、構わず大人げなくも完食すると――。
「えーっ? クッキーがいっぱい!」
「どこから出したの!?」
 【口福の伝道者】の効果で出現した、四百人分のクッキーの小袋。瞳をぱちくり瞬かせる子ども達に、ラズロルはその小袋を手渡しながら言葉を紡ぐ。
「リド島に防壁出来てるのは知ってるよね? あとお母さんや大人達が慌ただしいのも皆感じてると思う」
 語れば、子ども達は顔を見合わせて、それから俯きこくりと頷いた。そう、子どもというのは大人が思う以上によくものを見、考えていて――そして、とても繊細だから。ラズロルは彼らが理解しやすいような言葉を選び、近々起こる戦争について正直に話していく。
(「危機意識を持ってもらえれば、理解もできるだろうし何が必要かも自分達で考えるだろうから」)
 亜人という危険な存在が、もうすぐこのヴェネツィアへ迫ること。語れば子ども達はやっぱり不安げに表情曇らせ、泣きそうになる子もいるが、ラズロルはもうひとつクッキーの小袋を手渡しながら明るい笑顔で続けた。
「大丈夫、この地は僕らディアボロスが守るから。君達は大人の指示に従って避難するんだよ。それから、これは君達にお願いなんだけど」
 聞いてくれる? 首を傾げて青年が尋ねれば、子ども達は力強く頷く。そんな小さな彼らが頼もしくって、彼は表情を綻ばせながら言葉を重ねる。
「お父さんお母さんもきっと不安だから、そんな時は君達が勇気付けて欲しい。君達も大事な家族を守る力になるからね」
 お兄さん達との約束ね。そう結びながら、ラズロルは抱えた小袋の全てを子ども達へ手渡した。周りの人へ配っておいでと声掛けたのは、甘いお菓子も彼の言葉も、子どもなどの弱い存在にこそ届けたいと思ったから。
「大丈夫だよ。僕達が必ず守るから。助け合って一緒にこの地を守り抜こう」
「……うんっ! わかった!」
 返事する子ども達、その瞳を見れば言葉が届いたことは伝わった。ラズロルが微笑み彼らを見送ろうとした時、ひと際大きくチェロの音色が響く。耳傾ければ、シルの歌から繋がるように次の曲が演奏されていて。
「あ! このうた知ってる!」
「私うたえるよ!」
 子ども達がぱっと顔を輝かせ、体を揺らして口ずさむ。エトヴァが奏でるその曲は、ヴェネツィアに伝わる舟歌だった。クラシック音楽における『バルカロール』と呼ばれる楽曲が誕生するのは、断頭革命グランダルメの時代より少し後のこと。その手法を取り入れつつも、この時代の人々の耳に馴染む歌をと、翼の意匠凝らしたチェロで音色を作り出す。そこに篭められているのは、人々へ寄り添う想い、そして誓いだ。
(「怖くなった時は、思い出して……俺達が護り抜くから」)
 ソレイユのピアノが美しき運河を表現し、エトヴァのチェロが舟の道行を音色で示し、シルが船乗りの歌声をこのサンマルコ広場いっぱいに響かせれば――子どもだけでなく大人も、老人も、皆がメロディに合わせて歌い始める。
 それは、希望を抱く歌。住まう人々も、美しき街も、運河も、皆みんなを、力合わせて護ろうと。
 絆を結ぶ舟歌の大合唱は、アドリア海を渡り遠くまで広がっていく。その音楽はきっと、奪還戦のその時にも人々の心の中で響き続けるに違いないのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV3になった!
【アイテムポケット】がLV3になった!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年03月22日