リプレイ
四葩・ショウ
こんなところにも
自動人形がいるなんて
置いていかれちゃった、のかな
移動中に残党を発見したら
他の仲間の動きも確認しつつ
おてんばなわたしにぴったりの焦茶の冒険靴で
追跡するよに地を蹴って
かれらの前へすがたを見せ、注意を惹こう
やぁ、すてきなパレードだね
わたしにもきかせて?
響かせる歌声で
破滅へと誘うローレライのように
敵の攻撃は防具ですこしでも威力を落とし
歌声を重ねるようにして反撃を
仲間と連携をとって戦うよ
抱きしめるよに響かせる旋律で
斃せる敵・いちばん深く傷ついた敵を巻き込みつつ
統率が取れないうちに勢い良く攻め込んでしまいたい
だけど、統率をとろうと指揮をふるう敵がいるのなら
優先して、率先して斃してしまいたいな
ああ――硝子をひっかいたような、嫌な音
天使の輪が、守るように魔力の雨を降らせてくれたって
こころを蝕むような音色に、おもわず耳を塞ぐけど
わたしの声で
かきけして、あげるよ
攻撃の、或いは反撃の歌声で
その機械仕掛けのこころを溺れさせて
フィナーレを迎えたら
アンコールはあげられない
さぁ、急ごう――バルセロナへ
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
アンドラ公国への偵察を行ったのが1年半前
あの頃は大陸軍が幅を利かせていた事を思えば
随分と追い込んだものだと実感しますね
彼らの境遇には同情しますが、見逃す気はありません
森林迷彩の外套を被り、森の中で行動中の自動人形を追跡
仲間とパラドクス通信で連絡を取り
タイミングを揃えて先行率アップで奇襲を行います
宙に展開した鍵盤で「熱浄」を演奏
空より焔の星を喚び、一気に燃やし尽くして差し上げましょう
相手も演奏を得手とするならば、私も演奏にて迎え撃ちます
とはいえ、不快音を演奏の範疇に捉えるかどうかは個人差がありますね…
耳が良い分、こういう音は必要以上に耳に響くタイプですから
あまり長期戦を戦いたくはありませんね
仲間と体力の低いものから各個撃破し、数を減らします
可能なら、包囲するように立ち
仲間と互いの死角を補い合い、スムーズに撃破できるよう努めます
反撃には魔力障壁を展開
冷静に、と己に言い聞かせ
ただ演奏に心を鋭く集中して
焔の舞いに人形を招きましょう
大陸軍に合流させてあげましょうか?
冥府で、ですけど
エルティ・アーシュ
自動人形さん達、ボロボロだけど、ずいぶん歩き回っていたのかなあ
何だかかわいそうな気もしちゃうけど、それとこれとは別…だね
ここはきっちり倒させてもらうよ
自動人形さん達が音楽隊なら、ぼく達も音楽で立ち向かうの
パラドクスは風精の行進曲
演奏、それに歌…音楽ならぼくも負けないよ
超音波の刃はちょっと怖いけど、【未来予測】の効果、それにダッシュや一撃離脱、不意打ちの技能も使って、一体ずつ確実に倒していこう
怪我を減らせると尚いいね
音楽家さんには悪いけど、ソードハープの斬撃で指揮棒を折っちゃったりとか、弱体化させたりできないかな
アウリーネは傍にいて
攻撃の前兆とか方向とか、何か気づいた事があったら教えてね
仲間とも連携していくよ
仲間が聞きたい事がある時は様子を見ながら、【未来予測】で仲間を助けたり、臨機応変に追跡や援護していくよ
有効な時は仲間の発動した効果も活用させてね
音楽はみんなで楽しむもの
みんなを傷つけるものじゃないよね
迷っているところごめんだけど…これ以上人々を傷つける音楽はめっ、なの
連携・アドリブ歓迎
ピレネー山脈を駆ける冬の冷たく乾いた風が、肌に刺さるようだった。
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)が思い返すのは、一年半前――初めてアンドラ公国への偵察を行った時のことだ。
あの頃は、まだ大陸軍が幅を利かせていた。
けれど、今や彼らは逆に追い込まれており、奪還戦の時もきっとそう遠くはないだろうという実感すらあるほどだ。
いずれにしても、まだソレイユの戦いは終わってはいない。――その時まで、駆け抜けるだけ。
「こんなところにも自動人形がいるなんて……置いていかれちゃった、のかな」
四葩・ショウ(After the Rain・g00878)がぽつりと零した声に、ソレイユはふたいろの空映す双眸を瞬かせながら思考を引き戻し、森林の迷彩を溶かし込んだ外套の襟元を正す。
パラドクストレインを降りてから“彼ら”を見つけるまでに、さほど時間はかからなかった。
来たる奪還戦を前に同胞たちが集うスイスへ向かうことも叶わず、この地に取り残されてしまったトループス級自動人形――人形音楽隊の群れ。
「……自動人形さんたち、ボロボロだけど、ずいぶん歩き回っていたのかなあ」
随分と草臥れた様子の人形音楽隊の群れを見やりつつ、エルティ・アーシュ(受け継ぐ小竜・g01898)はほんの少し悲しげに眉を下げる。
王の元へ帰ることも出来ず、行く宛てもなく彷徨っていた彼らを倒すのは、何だか可哀想な気もするけれど――どのような経緯があるにせよ、彼らがディアボロスにとっての敵であることに違いはないから。
「彼らの境遇には同情しますが、見逃す気はありません」
ソレイユの言葉にエルティも大きく頷いて――オラトリオのアウリーネの手をぎゅっと握り締める。
「そうだね、ここはきっちり倒さなくっちゃ。行こう、アウリーネ!」
――そうして。
場を満たすパラドクスの気配に人形音楽隊たちが気づくよりも早く、三人は動き出していた。
ショウの足元を飾るのは、“おてんば”な彼女にぴったりな、焦茶の冒険靴。
軽やかな足取りで靴跡を刻み、人形たちの前へ姿を見せたショウは、微笑みながら手を差し伸べて――。
「やぁ、すてきなパレードだね。――わたしにも、きかせて?」
やさしく、甘く、囁くようにそう告げた。
「なっ……ディ、ディアボロス!」
警戒しているようで実のところ油断しきっていた人形音楽隊たちは完全に先手を取られる形となり、ショウが口遊む聖歌を止めることが出来ない。
ふわりと花咲くように溢れる光がドレスのように靡いたなら、ローレライが慈しむように微笑んで破滅へと誘うだろう。
「くっ……!」
「演奏、それに歌……音楽ならぼくも負けないよ。迷っているところごめんだけど……倒させてもらうよ!」
彼らが音楽を武器としているように、こちらにだって音楽がある。
想いを、力を、歌に乗せて。
ショウが息を継ぐ間に、エルティが若芽が萌ゆるソードハープを爪弾きながら風精の行進曲(シルフィーズ・マーチ)を高らかに歌い上げる。
それは、風の精霊と共に平和への未来を歩んだとされる人々の歌。
優しくも力強い歌声は傍らに添うアウリーネの力と合わさって風の刃となり、一瞬にして戦場となった森を翔け抜ける。
同時に響いたのは空を裂く金切り音。
エルティとアウリーネの風の刃と人形音楽隊の超音波の刃がぶつかり合い、瞬きの光を散らして爆ぜる。
「アウリーネ、攻撃の前兆とか方向とか、何か気づいたことがあったら教えてね」
エルティの言葉に、アウリーネは微笑んで頷いた。
復讐者たちに先手を許したとは言え、倒すべき敵を見つけた自動人形たちは次々に指揮棒を振るい、攻撃、あるいは反撃に転じてくる。
だが、命令も指揮もなくただディアボロスを倒さねばという想いのみで立ち向かってくる彼らは、まさに烏合の衆と言っても過言ではなかった。
尚も重なり響く不快な音を掻き消すように、ソレイユが宙に展開した電子の鍵盤に指を躍らせる。
響かせるは幻想ソナタ「熱浄」――。
相手が演奏を得手とするならば、こちらも演奏で迎え撃つのみ――そう思うのはソレイユも同じだ。
天を焦がし、宙を灼きながら降り注ぐ焔の星々が、美しい彩の奔流となって人形たちを飲み込んでいく。
浄化の焔に身を灼かれながらも必死に指揮棒を振るう人形たちにも、音楽隊としての矜持がそれなりにあるのだろうけれど。
(「不快音を演奏の範疇に捉えるかどうかは、個人差がありますね……」)
硝子を引っ掻いたような不快な音。それがパラドクスの力を伴うことで、ソレイユの精神に大きな揺さぶりをかけてくる。
だからこそ、冷静に、と。そう己に言い聞かせながら。
魔力障壁を展開し、ソレイユは心を蝕む音の重なりを振り払った。
ともすれば心を壊されてもおかしくはないだろう。耳が良い分、どうしても必要以上に拾ってしまうからこそ、彼らの攻撃の恐ろしさがソレイユには良くわかる。
「……あまり長引かせたくはありませんね。このまま一気に畳み掛けましょう」
ほんの少しだけ苦く笑って、ソレイユはパラドクス通信機越しに呟いた。
互いに死角を埋め合い、包囲網を狭めながら。
倒せそうなくらいに深く傷ついた敵を中心に狙いを定め、ひとりずつ確実に落としていくディアボロスたち。
対する人形たちはディアボロスという明確な敵を前に戦意こそ高くはあったが、こちらの勢いを押さえることは出来なかった。
こころを蝕むように響く彼らの音から守るように、煌めく天使の輪が魔力の雨を降らせてくれるけれど――。
(「ああ――嫌な音」)
背筋を伝ういやな感覚にショウは思わず耳を塞ぎながらも、真っ直ぐに人形たちを見据えて、告げる。
「わたしの声で、――かきけして、あげるよ」
静謐なる歌声は子守唄のように優しく響き、忽ちの内に人形たちを抱き締めて。
「フィナーレはもうすぐ、だけれど……アンコールはあげられない」
その心を捉えて離さぬまま、逃れられぬ破滅へと導いていく。
金切り音と迫る不可視の刃にアウリーネが身を翻した刹那、人形の背後からソードハープの刃を閃かせたエルティが力強い歌声に乗せて風の刃を解き放つ。
「音楽はみんなで楽しむものであって、みんなを傷つけるものじゃないよね。これ以上人々を傷つける音楽は、めっ!なの」
「ええ、その通りです。……さて、大陸軍に合流させてあげましょうか? ――冥府で、ですけど」
エルティの言葉に同意を重ね、ソレイユは最後に残った人形たちを、尽きることのない怒りを乗せた焔の狂宴へといざなった。
――その場にいた全ての人形たちが倒れ、戦いの音が止む。
森を駆ける風たちが梢を揺らす音を聞きながら、ショウは深く息を吐き出した。
「さぁ、急ごう――バルセロナへ」
ショウの言葉にソレイユとエルティも頷き、アウリーネが翼を羽ばたかせる。
今回の作戦の、もう一つの目的。
マドリードから逃れ、バルセロナへ至らんとする、キマイラウィッチたちの元へ――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
人形音楽隊たちを倒した一行は、急ぎ、バルセロナを目指す。
アンドラ公国から、バルセロナへ。一度の作戦で移動するには長い距離ではあったものの、事前に言われていた通り、先に倒した人形たちの他に敵らしい敵の姿は見当たらなかった。
そうして、どれくらいの距離を駆けただろう。
――その時は、不意に訪れた。
彼方にバルセロナの街並みを捉えるより先に、行く手に見えたのは獣たちの群れ。
獣たちもまた、すぐにこちらに気づいたようだった。
「――ディアボロスッ! どうしてここに!?」
マンティコアウィッチの声は、驚愕というよりも歓喜に満ちているように感じられた。
それもそうだろう。“復讐”すべき相手が、突然目の前に現れたのだから。
「あらあら~。……本当に、ディアボロスは虫のように、どこにでもいるんですねぇ~」
マンティコアウィッチを率いるアヴァタール級キマイラウィッチ、異端の女神・アラディアもまた、ディアボロスたちを見つめながらすっと目を細める。
表情こそ微笑んではいるものの、その瞳には紛れもなく、憎悪や怨嗟と呼べる感情が満ちていた。
「さあ、ここで会ったからには、勿論逃したりはしませんよ~。――たっぷりと、復讐してあげましょうね~」
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
私達が虫ならば、キマイラウィッチは野鼠のようですね
何処にでも湧き出て、節操なく噛み付くのですから
なんて、軽く微笑み
バルセロナに逃げ込み増援を呼ぶなどという頭の回るタイプでなくて良かった
復讐に逸る心の儘に、かかってくると良いでしょう
宙に展開した鍵盤で「謝肉祭」を演奏
獅子や象等の幻想の動物パレードを喚び
ダメージアップの加護を纏わせた飛びかかり、あるいは踏み潰し、敵を打ち払います
仲間と連携し、体力が低いものから攻撃対象を揃え各個撃破
数を減らしつつ、包囲網を狭め誰一人として逃しはしません
バルセロナ方向へ逃げようと動く者がいれば、仲間にも伝え優先撃破
私達に復讐をするんでしょう?
また全然足りませんよ
反撃の蠍の尾には魔力障壁を展開して凌ぎます
動物のパレードにミーアキャットも呼べば良かったですね
蠍をパリパリと美味しく食べるそうですよ
魔女たちが集まれば、人々への重圧は図り知れず
バルセロナもいつか必ず、開放しなくてはなりませんが
その為にも、一手ずつ確実に倒していきましょう
エルティ・アーシュ
むう、虫のように、なんて言わないでほしいの
バルセロナには行かせないし、立て直しもさせないよ
使うパラドクスは勇者の幻想曲
たくさんの相手がいても勇気を出して立ち向かうよ
相手の動きを【未来予測】で少しでも予測しながら、ダッシュや一撃離脱も活用して囲まれないようにしながら戦うよ
敵さんの復讐の気持ちに負けないように、歌声や演奏を響かせて勇気をだすの
花びらはとってもきれいかも…だけど、燃やされちゃうのはごめんなの
できるだけ一撃離脱で避けたり吹き飛ばしちゃったりして、少しでも怪我は減らしたいね
アウリーネ、周囲の確認をよろしくね
仲間のみんなや敵さん達の動きとか、気づいた事があったら教えてほしいの
仲間のみんなとも連携していくよ
状況を見て追撃したり回避のお手伝いをしたり、情報共有も忘れずに、なの
逃がさないのは、ぼく達も同じ
君たちのために復讐されて傷つく人たちを、これ以上増やすわけにはいかないの
君たちの復讐なんかに負けない
ここで絶対、止めるからね
連携・アドリブ歓迎
四葩・ショウ
どうして、なんて
言わせないでよ
……貴女達に逢いたかったんだ
やわく微笑んでみせ、迎撃準備
ひかりの魔力を降り注がせる
おや、愛らしい仔猫のレディ……なのかな?
なんて、マンティコアなのはしってるけど
虫のようになんて囀るものだから
蝶のようにのらくら、駆けて攪乱して
ひらり蜂のよに突撃して、攻め込んであげる
死角や背後から迫る攻撃に気を払い
颯爽と白のペリースを翻してみせ、狙いを逸らす
仲間と狙いを揃えた敵を常に巻き込み
息も絶え絶えな敵を最優先、決して、放置しない
硝子のレイピアで振り払って
心臓に毒が届かないように
彼女達のまなざしの奥
燃えるような復讐を、感じるから
あの日の怒りがわたしをわたしたらしめて
燃え盛る刻印は
いまも祝福を齎してくれる
そう、わたしは、復讐者
――でも
ねぇ、貴女達の復讐はだれのためなの?
なんて苛烈で
なんて独りよがりで
自分さえも焼き付くしてしまいそうな――
腕をひろげて、抱きしめるよに
白のひかりで包み込んだなら
貴女の復讐を、終わらせてあげる
その焔が仲間の復讐の火種となって
燃え続けるのだとしても
「――どうして、なんて、言わせないでよ」
やわく微笑んむ四葩・ショウ(After the Rain・g00878)の体から、白きひかりが溢れ出す。
「……貴女たちに、逢いたかったんだ」
一歩、前へと歩み出れば、すぐさま異端の女神・アラディアを護るようにマンティコアウィッチが立ちはだかった。
「アラディア様には指一本だって触れさせないぞ、ディアボロス!」
復讐心という名の敵意を剥き出しにするマンティコアウィッチたちを見つめ、ショウはゆるく首を傾げながら、紡ぐ。
「おや、愛らしい仔猫のレディ……なのかな?」
「仔猫なんかじゃない! ディアボロスのくせ馬鹿にするな!!」
無論、彼女らが獅子の体と蠍の尾を持つマンティコアだと知らぬショウではないが、ショウの言葉にマンティコアウィッチたちは弾かれたように食って掛かってきた。
「……私たちが虫ならば、キマイラウィッチは野鼠のようですね。何処にでも湧き出て、節操なく噛み付くのですから」
「まあ~……言ってくれますね~?」
愛想良く微笑んで続けたソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)の言葉に、アラディアの間延びする声にも隠しきれぬ怒りが滲んでいるのが伝わってくる。
「アラディア様! こいつら八つ裂きにしていい!?」
「勿論です~。……やっちゃってください、ね~」
ここで彼女たちが機転を利かせ、バルセロナに増援を呼びに行くようなことがあったなら――苦戦は免れなかっただろう。
だが、目指すバルセロナは目と鼻の先と言っても良いのに、キマイラウィッチたちの目にはもうディアボロスしか映っていないようだった。
そのことに内心安堵しつつグローブを嵌めた手のひらを宙に滑らせ、電子の鍵盤を展開させながらソレイユは告げる。
「かかってくると良いでしょう。――復讐に逸る、心の儘に」
軽やかに弾む旋律は次第に賑やかさを増して、動物たちのパレードが幕を開ける。
奏でられるは獅子や象、鶏にロバ、白鳥までもが歌い踊る――幻想組曲「謝肉祭」(レ・カルナヴァル)。
「ディアボロス……許さないッ!!」
「さあ、宴の時間です」
残留効果の加護を纏って駆け出した幻想の動物たちが、一斉にマンティコアウィッチへと躍りかかる。
飛びかかり、蹴り上げて、踏み潰す――無礼者たちを盛大に“もてなす”動物たち。
魔女たちが集まれば、どこであれ人々への重圧は図り知れぬものとなるだろう。
今はまだ手が届かなくとも、いずれ必ずバルセロナも取り戻さなければならないという思いを新たにしながら、ソレイユは目の前の魔女たちを確実に倒すべく、パラドクスの力を乗せた音色を畳み掛けるように重ねていく。
「……むう、虫のように、なんて言わないでほしいの」
小さく頬を膨らませるエルティ・アーシュ(受け継ぐ小竜・g01898)の傍らで、オラトリオのアウリーネもきゅっと唇を引き結ぶ。
「バルセロナには行かせないし、立て直しもさせないよ」
「その前に、お前たちはここで死ぬんだよッ!」
幼ささえ伺える外見とは裏腹に、マンティコアウィッチは敵意と復讐心を剥き出しにしながら襲いかかってくる。
その狙いを引き付けるように翼を羽ばたかせるアウリーネと共に戦場を駆け回りながら、エルティはソードハープを構え、大きく息を吸い込んだ。
パラドクスの力と想いを籠めて響かせるは、勇者の幻想曲(ブレイブ・ファンタジア)。
いかに強大な敵にも立ち向かう勇者のように、胸に勇気の光を燈して。
襲い来るマンティコアウィッチの“復讐”の気持ちに負けてなるものかと、エルティは真っ直ぐに獣たちを見据え、翠の輝き宿す剣の切っ先を繰り出した。
「くそーっ!」
まるでふわり、ひらりと羽ばたく蝶のように地を駆けるショウを捉えられず、マンティコアウィッチの声は苛立ちに塗れていた。
「……覚悟は、いい?」
――だって、“虫のように”なんて囀るものだから。
颯爽と白のペリースを翻せば、いつか見た空の彩がやさしく靡く。
とんと地を蹴ってくるりと振り向いたショウは、そのまま蜂のように一直線にマンティコアウィッチたちの只中に飛び込んだ。
――白の輝きが、満ちる。
ショウの祈りを抱いた流星雨の如き数多のひかりが、悪しき獣たちを等しく灼き尽くす。
「覚悟するのは、お前だーっ!」
直後に背後から響いた声。
心臓を狙って槍のように繰り出された蠍の尾を、ショウは冷静に硝子のレイピアで振り払った。
「おねがい、ね」
そう告げた先には、マンティコアウィッチの背後に回り込んでいたエルティの姿。
ショウの声にエルティはしっかりと頷き、ソードハープの弦を爪弾く。
「……逃がさないのは、ぼくたちも同じだよ」
広がりゆくパラドクスの力。
旋律に乗せて響く澄んだ歌声は、エルティ自身だけでなく、共に戦うショウやソレイユにも力を与えるものだ。
歌に秘められた無限の力を、輝く勇気を心に宿し、果敢に剣を振るうエルティの姿は、まさしく物語に描かれた勇者そのもの。
「このっ……!」
勇ましい旋律と歌声に怯んだ隙にエルティの攻撃を受けたマンティコアウィッチたちもまた、輝石の花咲く杖を振るって美しい花びらを舞い散らせてきた。
それは、触れると燃え上がり、すべてを焼き尽くす――復讐の花だ。
「花びらはとってもきれいかも……だけど、燃やされちゃうのはごめんなの」
ほんの一秒先の未来を読みながら、エルティは舞い踊る花弁から距離を取り、あるいは触れぬように吹き飛ばしていった。
「――私たちに復讐をするんでしょう? ……まだ全然足りませんよ」
冱えた声音で吐き捨てながら、ソレイユは沸き起こる怒りのままに鍵盤を叩く。
エルティへ反撃を見舞ったマンティコアウィッチごと呑み込まんばかりの勢いで、ソレイユに喚ばれた動物たちが駆け抜けていく。
深手を負いながらも最後の抵抗とばかりに振り抜かれた蠍の尾。その衝撃と毒の勢いを魔力障壁で軽減しつつ、ソレイユはふと口元に笑みを浮かべて呟いた。
「折角なら、このパレードにミーアキャットも呼べば良かったですね。……蠍をパリパリと美味しく食べるそうですよ」
「っ、ふざけ――」
悪戯めいた響きすら孕むソレイユの声に激昂したマンティコアウィッチを、ショウが示した光芒が貫いた。
――ひとり、またひとりと追い詰められ、倒されてもなお。
マンティコアウィッチの眼差しの奥に燃える復讐のこころは、消えることはない。
それは、ショウにだってわかるのだ。
(「わたしを“わたし”たらしめるのは――“あの日”の、怒りだから」)
胸の裡に燃え盛る刻印は、今この瞬間さえも祝福を齎してくれている。
(「そう、わたしは、復讐者。――でも、」)
溢れる光を抱き締めながら、ショウは静かに問いかける。
「――ねぇ、貴女たちの復讐は、だれのためなの?」
彼女たちが抱く“それ”は、いつか自分さえも焼き尽くしてしまいそうなほどに、ひどく苛烈で、独りよがりなもののように感じるから。
「そんなの……お前たちだってわかってるだろ!?」
叩きつけるように、マンティコアウィッチが叫ぶ。
ディアボロスへの復讐――ただひとつその想いに支配された彼女たちには、こちらの言葉はきっと、意味があるものとしては届いていない。
ディアボロスとして出来ることは、ただひとつ。
唇を噛み締め、祈るように一瞬、目を伏せて。
ショウはそっと腕を広げ、抱き締めるように白のひかりで包み込む。
「……貴女の復讐を、終わらせてあげる」
――たとえ、その焔が仲間の復讐の火種となって、燃え続けるのだとしても。
最後のマンティコアウィッチが倒れ、場には復讐者とアラディアが残るのみ。
「ああ、やはりディアボロスは……本当に、腹立たしい存在ですねえ~……?」
ただ一人残されて、けれど逃げる素振りも見せぬアラディアを真っ直ぐに見つめながら、エルティは告げる。
「君たちの復讐なんかに負けない。……ここで絶対、止めるからね」
アウリーネの手が、肩に触れる。想いは一緒だと、教えてくれているかのように。
ディアボロスへの復讐。そのためだけに傷つけられた無辜の人々の痛みを、悲しみを思えばこそ、更なる怒りが力となって満ちていくのをエルティは感じていた。
「君たちのために復讐されて傷つく人たちを、これ以上増やすわけにはいかないの――!」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
四葩・ショウ
バルセロナに集結して
なにをするつもりかってずっと、おもってたけど……
決戦でわたし達と戦うことそのものが、目的?
復讐者は貴女達を放っておけない
来ないなら市民を虐殺してでも……来させればいい
わたし達と対峙すればそれだけで
キマイラウィッチは復讐心を燃やし強くなる
ギヨーム老も、貴女達も
斃されれば斃されるだけ
仲間の魔女が強化される
灰の数だけ復讐は募って新しい戦力がうまれる
だから貴女達はこうやっていのちを惜しまない
そうでしょう?
奪還戦で滅ぼされれば自動人形達も復讐を抱く
流れ着くそれをジャンヌ・ダルクが『救い』――迎え入れれば手に入るものもある
貴女は知らないだろうけど
現に復讐を抱く勢力(ヘルヴィム直属軍)が合流してるみたいだし
つまり、なにもかもが
貴女達の戦力強化につながるんだ
マドリードへ残ったギヨーム老だって
謀略通りに復讐者が殺されればそれでいい
でも、ギヨーム老が殺されることがあったら
彼の仮説が正しかったと立証される手筈なんじゃない?
――たとえば新宿島の復讐者は優れた予知をすることが出来る、とかがさ
「バルセロナに集結して、なにをするつもりかってずっと、おもってたけど……決戦でわたしたちと戦うことそのものが、目的?」
マンティコアウィッチが倒れ、一瞬の静寂が場を満たす。
その静寂をそっと払うように、四葩・ショウ(After the Rain・g00878)は最後に残ったアヴァタール級――異端の女神・アラディアへ問いかけた。
それが何か?とばかりに見つめ返してくるアラディアに、ショウはゆっくりと、言葉を探すように続ける。
「復讐者は貴女たちを放っておけない。来ないなら市民を虐殺してでも……来させればいい。わたしたちと対峙すればそれだけで、キマイラウィッチは復讐心を燃やし強くなる。……ギヨーム老も、貴女たちも」
元よりディアボロスへ復讐するためならば、彼らは手段を選ばない。
これまでにもそのようにして、ディアボロスが来たことは何度もあった。
――たとえ、罠だとわかっていても、無辜の人々が虐げられる様を、ディアボロスは見過ごすことは出来ないのだから。
「斃されれば斃されるだけ、仲間の魔女が強化される。灰の数だけ復讐は募って、新しい戦力がうまれる。――だから、貴女たちはこうやっていのちを惜しまない。……そうでしょう?」
「……ええ、その通りですよ~」
ショウの指摘に、アラディアは――渋々といった様子ではあるが、頷いた。
否定もしてこないところを見ると、ショウの言葉は図星をついているのだろう。
ショウが自身の推測を元に今話していることは、正しい情報だ。そう裏付けるには、十分と言って良さそうだ。
「奪還戦で滅ぼされれば、自動人形たちも復讐を抱く。流れ着くそれをジャンヌ・ダルクが“救い”――迎え入れれば手に入るものもある。貴女は知らないだろうけど、現に復讐を抱く勢力が合流してるみたいだし。……つまり、なにもかもが貴女たちの戦力強化につながるんだ」
グランダルメに流れ着いたヘルヴィム直属軍は、キマイラウィッチと合流し、ディアボロスへの復讐を企てているという。それを目の前のアヴァタール級が知っているか否かは、ショウにとってさしたる問題ではなかった。
「どうやらあなたたちは、我々についても良ぉ~くご存知でいらっしゃるようですねえ~……?」
ショウが紡いだ言葉を黙って聞いていたアラディアは、歪んだ笑みを深めて言った。
「マドリードへ残ったギヨーム老だって、謀略通りに復讐者が殺されればそれでいい。でも、ギヨーム老が殺されることがあったら、彼の仮説が正しかったと立証される手筈なんじゃない?」
アラディアの言葉に、ショウは微笑みを浮かべながら――更に言葉を重ねていく。
「――たとえば、新宿島の復讐者は優れた予知をすることが出来る、とかがさ」
だが、最後の言葉には、アラディアは訝しげに首を傾げるのみだった。
「……何を言っているのかわかりませんが……お話はそれだけですか~?」
揺るぎない敵意と憎悪を孕んで響くアラディアの声。
話は終わりだと言わんばかりに、アラディアは復讐の炎を躍らせる。
「あなたの仰る通り、私がここで斃されたとて、私の灰は同胞たちの糧となるでしょう。ですが、――私も大人しく、やられるつもりはありませんよ~……!」
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【未来予測】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
エルティ・アーシュ
倒されれば倒されるほど、他のキマイラウィッチさん達の復讐の力が強まる…
…でも、だからってみんなが傷ついて苦しむところを、そのまま見過ごすなんて出来ないよ
使うパラドクスは草花の交唱
歌声を響かせて草木の力を借りて、相手の妨害を狙っていくよ
炎は植物を燃やすかもしれないけれど…炎を抑えたり、妨害になってくれるはず
一撃離脱やダッシュも使ってできるだけ回避しよう
草木が燃やされるのはちょっとつらいけど…気持ち、確かに受け取るよ
仲間やアウリーネとは連携していくよ
追撃したり、相手を逃がさないように立ち回ったりしながら戦っていこう
アウリーネも傍にいて、何か気づいた事があったら教えてね
避ける時に助けてくれるのもとっても心強いの
ぼく達、確かにたくさん失った、だから取り返そうとしてる復讐者なの
でも、きみ達が持ってるような復讐の気持ちよりずっと楽しい事、それに大切なこと…平和への希望は忘れてないよ
みんなの平和を取り戻せるなら…きみ達がこれからどんなに強くなっていくとしても、希望を持って戦っていくよ
連携・アドリブ歓迎
無辜の人々を虐げ、それに怒りを覚えたディアボロスたちに“復讐”され――。
そうして、キマイラウィッチたちは斃されれば斃されるほど力を得て、新たなキマイラウィッチが生み出されてゆく。
止まることのない、復讐の連鎖。
「……でも、」
エルティ・アーシュ(受け継ぐ小竜・g01898)は小さく首を横に振りながら、続ける。
「だからって、みんなが傷ついて苦しむところをそのまま見過ごすなんて、――ぼくたちには出来ないよ」
だからこそ、エルティはディアボロスとしてこの場に立っているのだ。
彼らが生きてバルセロナに辿り着けば、また新たな悲劇へと繋がっていくだろう。
それを許すことなど、到底出来ない。
ちらりと傍らを見やれば、寄り添うオラトリオのアウリーネが頷いた。
「大丈夫。怖くないよ」
差し伸べられたアウリーネの手をぎゅっと握り、エルティははっきりとそう口にする。
共に戦う仲間たちと、そしてアウリーネもいる。一人ではないと知っているから、どれほど恐ろしい敵が相手でも怖くはない。
エルティは異端の女神・アラディアへと向き直り、その憎悪に満ちた眼差しを真っ直ぐに受け止める。
そして、胸に満ちる怒りをパラドクスの力に変えて、大きく息を吸い込んだ。
この地に生きる草花へと響かせる、草花の交唱(プランタス・アンティフォナ)。
紡がれる音が掬い上げるのは、人々の嘆きを見届けてきた彼らの想いだ。
歴史を歪め、大地を穢すクロノヴェーダへの怒りを、エルティは高らかに歌い上げる。
「ああ、ああ、……本当に耳障りな歌声ですねぇ~!」
草花の怒りは確かにアラディアへ――この地を支配するキマイラウィッチへ届いているようだった。
アラディア忌々しげに表情を歪ませながら、すぐさま反撃の炎を踊らせる。
滾るような復讐の念。アラディアが抱き続けている怨嗟が形を変えた炎は地を舐めるように草花を燃やし、瞬く間にエルティへと至った。
「……っ!」
エルティ自身は咄嗟にアウリーネが手を引いてくれたから難を逃れることが出来たけれど、草花たちは――炎の前では成す術もない。
「……気持ち、確かに受け取ったよ」
炎に焼かれ消えゆく彼らを見つめながらエルティはそう呟き、改めてアラディアへと向き直る。
「ぼくたちは、確かにたくさん失った。だから取り返そうとしてる復讐者なの」
そして託された想いを、怒りを、抱き締めるように。
ソードハープをぎゅっと握り締めながら、エルティは告げた。
「でも、きみたちが持ってるような復讐の気持ちよりずっと楽しいこと、それに大切なこと……平和への希望は忘れてないよ」
歪んだ笑みを湛えて、それで?とばかりに睨み返してくるアラディアを見つめながら。
「みんなの平和を取り戻せるなら……きみたちがこれからどんなに強くなっていくとしても、希望を持って戦っていくよ」
エルティは再び草木の、花々の想いと怒りを力に変えて、力強くも澄んだ歌声を解き放った。
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効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
四葩・ショウ
だれかの苦痛を
涙を祝杯として
貴女達が嗤うばかりのサバトを
もう、これ以上は、だから
受けてたつよ
可愛らしいその『復讐』で――さぁ、わたしを殺してごらん
微笑んで、焚き付けて
よりふかく惹き付ける
撤退阻止の目的を果たすために
胸にともすのは希う願い
魔女に虐げられるひとびとすべてを、救いたい
救って、みせる
白い喉から歌声にかえて、虹を咲かせて
まっすぐに走り込み
時にはフェイントをしかけながら
その胸の奥ふかくを、貫いてみせる
仲間と連携しながら、かれらの攻撃がしやすいように立ち回るよ
闇のなかに囚われたって
目をとじて気配に集中する
迫るなら死角から、なら、敢えて隙をみせて誘って
おいたをする猫の脚の軌道を、
硝子のレイピアで逸らしてみせる
もし
憎しみで彩られた呪う言葉を告げられたとしても
それでこころに傷が走ると、しても
立ち止まるわけには、いかないの
ざんねんだったね女神さま
貴女の復讐じゃ、そんな邪悪なばかりの憎悪じゃ
わたしの魂までは――くだけない
最期の反撃だけは叶うなら
ありのまま受け取って
でも――
この痛みは憶えておくよ
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
倒しても、その灰を焚べて新たな魔女が生まれる、か…
本当に厄介な存在ですね、キマイラウィッチというものは
そんなに復讐が好きなら、仲間同士で復讐し合えば効率が良いのではないですか?
私にも復讐者の根源たる焔がある事は認めますが
復讐を悦ぶ感情は理解できません
復讐を遂げた先にあるものは破滅だと、戯曲でも小説でも語り尽くされているのですから
宙に展開した鍵盤で「福音」を演奏
聖なる光を剣の形に束ね、アラディアへと飛ばします
天上から差し込む幾筋もの光の如く、何本でも飛ばし追い詰めていきましょう
見て避けようとしても、それも此方の計算の内
避けた先にダメージアップの加護を纏わせた一撃は過たず貴方を貫きます
仲間と声を掛け合い、包囲するように立ち回り
攻撃のタイミングを合わせ、挟撃するように此方も演奏を行います
反撃の炎には魔力障壁を展開して凌ぎ
更に演奏に力を込め、追撃の手は緩めません
復讐に囚われている魔女は哀れですね
世界は復讐以外にも、心を充足してくれる輝きに溢れているというのに
何も知らないなんて、ね
「倒しても、その灰を焚べて新たな魔女が生まれる、か……」
独りごちるように呟いて、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は僅かに表情を険しくした。
「本当に厄介な存在ですね、キマイラウィッチというものは。……そんなに復讐が好きなら、仲間同士で復讐し合えば効率が良いのではないですか?」
「復讐がお好きなのは~、ディアボロス、あなたたちも同じだと思いますけど~?」
たっぷりと皮肉を込めた言葉に、異端の女神・アラディアは笑みを歪めて返す。
「……私にも復讐者の根源たる焔があることは認めますが、あなた方のように復讐を悦ぶ感情は理解できませんね」
ソレイユは冷静に、静かに、冱えた声色で答えた。
「復讐を遂げた先にあるものは破滅だと、戯曲でも小説でも語り尽くされているのですから」
毅然と言い放ったソレイユに、そうだね、と柔く微笑んで。
「……だれかの苦痛を、涙を祝杯として。貴女たちが嗤うばかりのサバトを、もう、これ以上は――だから、受けてたつよ」
四葩・ショウ(After the Rain・g00878)は硝子のレイピアの切っ先を真っ直ぐにアラディアへと向けながら、告げた。
「可愛らしいその“復讐”で――さぁ、わたしを殺してごらん」
微笑みを深め、より焚き付けて。アラディアの瞳の奥、滾る憎悪と復讐の念まで射抜くように。
――より深く、惹きつける。
アラディアを中心として、夜の森林のような濃密な闇が膨れ上がる。
だが、その闇を切り裂くかのように鐘のような軽やかな旋律が駆け抜け、幾筋もの光が迸った。
刹那の間に宙に電子の鍵盤を広げたソレイユの、幻想ロンド「福音」(ラ・カンパネッラ)の旋律が導いた聖なる光が、無数の輝く剣となってアラディアへと牙を剥く。
「――ッ!」
不意打ちめいた一撃にアラディアは咄嗟に避けようと動くが、それもソレイユは計算済みだ。
アラディアが避けた先、死角からダメージアップの加護を纏う光が貫いた。
「ディアボロス……ッ!!」
復讐の炎を踊らせながら、アラディアが吼える。
「なるほど、やはり獣らしい一面もあるのですね」
ソレイユは自身を守る魔力の障壁を展開しながら、それを超えてくる熱が齎す痛みに動じることもなく指先に強く力を込める。
追撃の手を緩めるつもりなど、毛頭ない。
アラディアの意識がソレイユへと向いた瞬間、ショウは白い喉を大きくふるわせた。
魔女に虐げられているひとびと、そのすべてを救いたい。
胸に燈すのは、“なかったことにされた”世界を想い、希う願い。そして――。
(「――救って、みせる」)
透き通る歌声で闇を祓うように奏でられる聖歌が、硝子のレイピアに虹の輝きを咲かせてゆく。
軽やかに地を蹴ったショウはそのまま真っ直ぐに空間を超えて、魔女の間近へと至った。
繰り出した切っ先でそのまま貫くと見せかけて、僅か一瞬力を緩めるフェイントを交え、力を籠めた一閃で、魔女を穿つ。
アラディアの顔が更なる狂気と怒りに歪み、彼女を取り巻く世界の闇がより一層濃密にとけていく。
心までもを囚えようと迫る闇に惑わされることなく、ショウは静かに目を閉じ、魔女の気配を辿った。
翼が羽ばたく音が、四方から迫るように響く。
――けれど、きっと本命の一撃は死角から。
敢えて隙を見せてやれば、膨れ上がる殺気を感じ取るのはそう難しいことではなかった。
「……おいたはだめ、だよ」
「ッ――!?」
繰り出された猫脚の軌道を硝子のレイピアで弾いて逸らし、衝撃を受け流しながらショウは距離を取り、再び聖歌を奏で上げる。
アラディアの退路を断つように動きながら、ショウの、そして共に戦う小さき竜の少女の歌声に、ソレイユも福音の音色を重ねて紡ぐ。
「……復讐に囚われている魔女は、哀れですね」
不意に、ソレイユは呟いた。
「……おや、同情ですかあ~?」
あからさまに不快そうに眉を寄せるアラディアに、ソレイユはいいえとあっさり答え、肩を竦めてみせる。
「世界は復讐以外にも、心を充足してくれる輝きに溢れているというのに。……何も知らないなんて、ね」
口の端に微かな笑みを湛え、ソレイユは復讐者としての怒りを乗せて“鐘”を打ち鳴らす。
雷雨のように、あるいは慈雨のように。
福音の鐘の音が、聖なる光となってアラディアを滅ぼさんと降り注ぐ。
「……あなた方も、本質は我々と同じ、ですよねぇ~? 復讐し、それによって新たな力を得る……我々と、どう違うというのですか~?」
アラディアの言葉に、ショウは唇を引き結ぶ。
憎しみで彩られたそれはまるで呪詛のように響いて、ショウは、こころが痛むのを感じた――けれど。
「同じかどうかなんて、わたしたちが決めること。……立ち止まるわけには、いかないの」
虹の煌めき宿す硝子のレイピアを真っ直ぐに構え、ショウは凛と告げる。
「ざんねんだったね、女神さま。貴女の復讐じゃ、そんな邪悪なばかりの憎悪じゃ、わたしの魂までは――くだけない」
駆け出すのは同時。最後の一手を繰り出すのも、また。
世界を満たす闇の中、互いに空間を超えて――。
繰り出された猫脚の蹴撃を、ショウは敢えて、ありのまま受け取った。
だが、それはショウの手を止めるには至らない。
「……この痛みは、憶えておくよ」
それさえも歌声に、力に、虹の軌跡に変えて。
ショウは揺るぎないひと突きで、魔女の罪ごとそのいのちを断ち切った。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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