リプレイ
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
海賊が自分の船を奪われ、アジトに乗り込まれる。
うん、単純明快で痛快な話ですね。折角ですし大海原に飛び出すのも楽しそうです。世は正に大海賊時代!
ではまずは雑魚掃除から参りましょうか。
【トラップ生成】で裁断範囲内に普通の蜘蛛の糸を張り巡らせ、巣を形成します。
当然パラドクスでもないこの糸は触れても脆くすぐ切れますが、多数を相手にする際には私に相手の挙動を知らせるセンサー代わりになります。
更にその糸の中に斬糸を仕込めば、恐怖と混乱を撒き散らすことは容易。
人海戦術で暴れれば暴れるほど、こちらの思惑通り被害が広がるという寸法です。
「迂闊に巣に飛び込んできたのが運の尽きです。死んだクロノヴェーダからではフカヒレも取れませんし手早く片付けるといたしましょう」
ここは冥海機ヤ・ウマトの境界付近にある、とある集落。そこへ攻め込もうとしているのは、黄金海賊船エルドラードのクロノヴェーダであるアビスローバー。それを阻止する為にディアボロスたちが集落へと向かっていた。
「海賊が自分の船を奪われ、アジトに乗り込まれる……うん、単純明快で痛快な話ですね」
そんな事を呟きながら、アビスローバーの迎撃に向かうのは黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)。
「では、まずは雑魚掃除から参りましょうか」
敵の襲撃地点で唯妃は系を周囲に張り巡らせる。その糸の大半は普通のパラドクスではない普通の糸。しかし、敵がクロノヴェーダであっても、作戦次第では有利に戦況を動かす事が出来る。
「ひゃっはー略奪だ!」
「よほほーい!」
そんなトラップの存在すら頭に無いアビスローバーたち。まずは下っ端鮫・シャークパイレーツが雄叫びを上げながら上陸してきた。
「……ん、糸?」
数ばかり多い群れで、戦闘力の低い個体だからか、先頭に走るシャークパイレーツは糸の存在すら気付かない。しかし、さすがに何本も唯妃の張った糸を切れば、その存在に気付く。
たとえ、それが手遅れであっても……。
「迂闊い巣に飛び込んできたのが運の尽きです」
静かな唯妃の言葉と共に、先頭のシャークパイレーツが綺麗に三枚におろされる。
「なっ!」
「なにがおきたっす!?」
状況を理解出来ないシャークパイレーツ。しかし、目の前では惨劇が繰り広げられる。
唯妃は、普通の糸をセンサー代わりにし、同時に糸の中にパラドクスで作成した鋭い切れ味を持つ糸を紛れさせていたのだ。
「死んだクロノヴェーダからはフカヒレも取れません、手早く片付けるとしましょう」
今や、完全に巣の中にシャークパイレーツを捉えた唯妃。しかし、いくらトループス級とはいえ、クロノヴェーダ。必死に反撃を繰り出す。
「お前ら、略奪の時間だ!」
援軍を呼ぶ声は、絶命の声でもあったが、その声に呼ばれた援軍が、唯妃を狙い人海戦術で攻撃を仕掛ける。
「恐怖と混乱の撒かれた戦場で……」
想定通りの敵の反応に、指先一つ動かすと、援軍として出現したシャークパイレーツの群れが再び両断されていく。
クロノヴェーダすら両断する糸の結界の中で群れて攻撃するというのは唯妃の思惑通り。被害が広がり、瞬く間に生き残っていたシャークパイレーツを巻き込み、唯妃の巣の中で絶命するのだった……。
「折角ですし、大海原に飛び出すとも楽しそうです。世は正に大航海時代!」
アビスローバーが乗ってきた船に視線を送る唯妃だったが、シャークパイレーツはいくつかの分隊に分け略奪を行う予定だったようで、ここを全滅させても、集落へ向かう全てを止める事は出来なかった。
ともかく、大航海時代に飛び出すのは、少し先延ばしにするのだった……。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
「ここはどこだ?」
「間違えたっすか?」
ここは集落から少し外れた場所。そこでは、下っ端鮫・シャークパイレーツの小数の群れが、略奪する集落を探して彷徨っていた……つまり、迷子である。
「いや、こっちから回り込むんだ、俺は詳しいんだ!」
先頭を走っていたシャークパイレーツが自信満々に言うが、間違っている。
そんなシャークパイレーツも無視は出来ない。そこに駆けつけたディアボロスがいた。
「戦いなんてのはな……正面からぶん殴る以外ねぇんだよっ!」
ルイザ・ワスターティオ(女蛮族族長・g10416)だ。
荒々しい口調でシャークパイレーツを睨みながら無骨な武器を振り上げる。それは、巨大な棍棒。しかし、ルイザの迫力と相まって神秘さすら感じさせる。
「見つけた。略奪してやる!」
「ぶっころす!」
道に迷い、血に飢えていたのはシャークパイレーツも同様。ルイザへと舶刀を構え襲いかかる。
「面倒だっ!」
数を頼みに襲いかかるシャークパイレーツ。一匹づず叩き潰すのも面倒とばかりに、武器に宿る神力を増幅させるルイザ。
「纏めて潰すっ!」
そのままシャークパイレーツの頭上に振り下ろす。
「シャークっ!」
それを避けるように動いたシャークパイレーツだが、偶然か巨獣神骨が叩いたのは大地。
「しねぇ!」
命中しなかった一撃に嘲笑を浮かべながら舶刀を振り上げるシャークパイレーツだが、その身体が一拍置いて弾き飛ぶ。
「砕け散れ!」
ルイザの狙いは最初から大地。その衝撃が大地を伝わりシャークパイレーツを粉砕する衝撃波となる。
「シャーっ!」
しかし、一度血が頭に登ったシャークパイレーツ。仲間が粉砕されても衝動的にルイザへと舶刀を出鱈目に振り回し、ルイザに傷を負わせる。
「もっと来い、もっとだ!」
そんな反撃に、テンションをさらに上げ、叫びながら戦うルイザ。近寄るシャークパイレーツを蹴り飛ばし、踏みつけながら狂戦士のように戦い続ける。
再び振り上げられた巨獣神骨の放つ神力を纏わせた渾身の一撃により、残りのシャークパイレーツもほどなく粉砕されるのだった……。
「これで終わりなのか?」
余りにも手応えが無い相手に拍子抜けしたルイザ。今回、はぐれていた連中は下っ端鮫・シャークパイレーツの中でも頭の悪い連中だったのだろう。本隊は集落の方向へと向かったはずだ。
「巻き添いを気にする必要が無いと楽だな」
はぐれシャークパイレーツを全て片付け、集落への応援へと向かうルイザだった……。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
クローディア・ベネット
なぁ、あんた達。冥海機ってのはいつもああいうオンボロ船に乗って来るのかい?
そうじゃないなら、一旦沖から見えない所まで逃げるんだね
あいつらはアビスローバー、要するにタチの悪い海賊だ
集落の人間たちにその場から逃げるように指示してから、戦いに合流するよ
盛大に歓迎してやろうじゃないか――『野郎ども、容赦なく斬り込め!』
上陸直後のアビスローバーを出迎えるように、カトラスを手にした海賊の霊達を召喚
敵一体に対して複数の霊で攻撃し、異なる方向から次々と斬撃を仕掛けていくよ
最初のうちは受け止められたとしても、そのうち対処しきれなくなるのを狙おう
相手が姿勢を崩したり、防御で手一杯になった所で叩き斬ってやる
無抵抗の人間を殺したってつまらないだろ?
海賊同士で遊んでいこうじゃないか
反撃に対しては私も《船長のサーベル》を抜いて応戦するよ
相手に好き勝手振らせると勢いがついて厄介だから、こちらから剣撃を押し付けていき激しく打ち合おう
全く、流儀もへったくれもない剣技だね
そんなだから貧乏人の村に押し入るまで落ちぶれるのさ!
各所でディアボロスたちが奮戦する中、集落へ様子を見に行ったのはクローディア・ベネット(黒き旗に矜持を掲げて・g10852)。
「……なんか、騒がしくないか?」
「ああ、いやな予感がする」
「海賊なのか……」
その集落の人々は不安そうな表情で海を見つめていた。そんな彼らに自然な雰囲気で声をかける。
「なぁ、あんた達。冥海機ってのはいつもああいうオンボロ船に乗って来るのかい?」
上陸しようとしている旧世代の船を指差しながら聞くクローディア。
「あ、いや……あんなの……」
集落の人々から見れば、アビスローバーの船は300年から400年くらい前の物になる。博識な者がいれば何か思うかもしれないが、この集落は、それを判断出来るような者はいない様子。
「そうじゃないなら、一旦沖から見えない所まで逃げるんだね。あいつらはアビスローバー。要するにタチの悪い海賊だ」
「ひっ!」
「に、逃げろ!』
時代が違えど『海賊』という脅威は歴史が長い。状況が分からぬとも『海賊』の恐怖は分かるようで、我先にと逃げ出す集落の人々。
「さて、戦いに合流するよ」
集落の人々が避難を始めた事で、下っ端鮫・シャークパイレーツたちが血気盛んに舶刀を振り回し、こちらに走ってくる。
「盛大に歓迎してやろうじゃないか!」
それを迎え撃つクローディア。『船長のサーベル』を構えアビスローバーを指し示す。
「野郎とも、容赦なく斬り込め!」
気合いの入った声と共に死霊術によって呼び出された海賊の霊がシャークパイレーツへと襲いかかる。
「なっ!」
「敵が増えたっす!」
突如現れた大量の霊。それを操るクローディア。しかし、敵も統制が取れているとは言い難いながらも反撃してくる。
「連中が宝を明け渡して降伏しないなら、カトラスで礼儀を教えてやれ!」
さらに指示を出すクローディア。その声に応じて、さらに海賊の霊が呼び出される。それも、シャークパイレーツの周囲を囲むようにだ。
「て、敵に囲まれ……うわぁ!」
「ど、どこから……」
呼び出される場所は戦場の各所。その海賊霊がシャークパイレーツを囲み、有利な状況でカトラスを振り、容赦なく敵を斬りつけて行く。
「おのれ!」
そんな混戦でも舶刀を振り上げ、クローディアへと迫るシャークパイレーツ。それを船長のサーベルで受け流す。
「全く、流儀もへったくれもない剣技だね」
「なんだとぉ!」
クローディアの挑発に頭に血が上るシャークパイレーツ。お粗末な剣技がさらに乱れ、出鱈目に舶刀を振り回す。
「そんなだから、貧乏人の村に押し入るまで落ちぶれるのさ!」
「それは違う、我らにとって略奪こそ矜持!」
似合わぬ難しい言葉は、誰かから教わった事なのか。しかし、教わるなら剣技の方が必要そうな相手だ。
「無抵抗な人間を殺したってつまらないだろ? 海賊同士で遊んでいこうじゃないか」
目の前のシャークパイレーツの攻撃を受けている間に、海賊霊が背後からカトラスで斬り伏る。そして、クローディアは空いた船長のサーベルでさらにシャークパイレーツを挑発する。
「おのれ!」
「貴様を殺して略奪してくれる!」
叫びながら突撃してくるシャークパイレーツだが、その動きが途中で止まる。
「最後の雑魚掃除と参りましょうか」
そこにには、唯妃の張った蜘蛛の糸。それが一瞬絡まり、そしてシャークパイレーツを切断する。
「戦いなんてのは……正面からぶん殴るもんなんだよっ!」
挟撃が可能な場所に居たルイザだったが、正面から戦うのが彼女の戦い方。回り込んで正面から巨獣神骨を振り回し、地面を強打し衝撃波で残ったシャークパイレーツを一掃していく。
「野郎ども、逃すなよ!」
さらにクローディアの海賊霊がルイザの衝撃波で吹き飛ばされたシャークパイレーツに止めを刺して行く。
「最後まで片付けるといたしましょう」
そして、最後は唯妃の糸に絡まり、そのまま綺麗な鮫の輪切りとなり、下っ端鮫・シャークパイレーツは全滅したのだった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
桐谷・彼方
(トレインチケット)
笛島・他助
(トレインチケット)
吉音・久美
(トレインチケット)
ディエゴ・アルマグロは先行した下っ端鮫・シャークパイレーツを追いかけながら、ゆっくりと上陸した。予定では、面倒な事はシャークパイレーツに任せ、自分は略奪の限りを尽くすだけのつもりだった。しかし、予想に反して、響いていた喧騒は収まり、遠くでは全滅したシャークパイレーツの姿が見える。
「……面倒だな」
ディエゴの感情はそれだけだった。そんなディエゴの行手を遮る影があった。
「まぁ、頑張ってみようかな」
ディエゴお行手を遮ったのは、桐谷・彼方(人間の鬼狩人・g07748)。無表情ながらもツインテールが可愛らしい少女だ。
「……邪魔するな」
これ以上面倒が増えては困るというように、一瞥するが、すぐに表情を切り替える。
「私もこう見えても……かなりの手練れだよ?」
「そのようだな」
武器を構えるディエゴ。それもそのはず。彼方の手には、その姿に似つかわしくない巨大な金棒が握られているのだ。
敵と判断すればディエゴの動きは早い。特殊な形のカトラスを振り、彼方へと切り掛かる。それを金棒で弾き戦場に大きな金属音が響く。
「お前もまたテキトーに死んでもらうぜ」
そんな二人の牽制に割って入ったのは笛島・他助(アレがアレでそれな感じの奴・g03086)。
まるで、散歩の途中で転がっていた空き缶を蹴ってゴミ箱へと放り込む、そんなテキトーな動きでディエゴの顔面を狙い蹴り飛ばしたのは閃光弾。
「閃光弾を見る時は、部屋を明るくして離れて見てくれよな!」
閃光弾は、彼方が注意を引いていたところへ奇襲的に放り込まれたので、見事に命中。
「ぐああああぁぁ!」
慌ててイソギンチャクの触手で目を庇うも、それで防げるほど甘くはない。
「うん、まぁそんなことしても意味はない」
さらに適当に閃光弾を投げ込む他助。
「貴様、卑怯だぞ!」
「ズルいとか卑怯とか敗者の戯言! 戦いなんだから勝ってこそ正義だっての!」
目をやられたからか、適当に反撃で放たれた砲撃をひょういひょいと受け流し、ダメージを最小限に抑える他助。
「ヘァッ
!!!!」
そこへさらに攻撃を仕掛けるのは吉音・久美(未来はここから始まる・g09562)
「俺は久美だ! 吉音久美で十分だ!」
他助の奇襲に重ね攻撃を仕掛ける久美。彼女の戦い方はシンプル。
「真面目にやってきたかいありましたね」
パラドクスで巨大化すると、そのまま巨大化した質量を乗せ、物理で殴るのだ。
「ぐぅぅぅ!」
しかし、敵もマトモな存在ではない。巨大化した久美の攻撃を受け耐え、そしてイソギンチャクの触手で久美に絡みつき、締め殺そうと力を込める。
「させませんよ」
そこへ、満を持して彼方が攻撃に加わる。彼方の攻撃に合わせ、久美は巨大化していた身体を元に戻し、触手から抜け出す。
「呪われし十四の槌よ、その力を私に貸して頂戴……」
そこから金棒で牽制しながら、魔力を練り上げる彼方。
「そして、かの者を叩き潰し、血の泉を作りなさい」
牽制から一歩距離を取り、パラドクスを発動させる。直後、ディエゴを囲むように十四の槌が創造され、一斉に叩き潰さんとディエゴへと襲いかかる。
「むぅぅぅ!」
槌に囲まれても、それに耐えるディエゴ。その怒りを昇華させるように、具現化した大砲で彼方を撃つ。
「やったか!」
槌に阻まれ、命中の確認が出来なかったが、彼女を中心に爆発した砲弾が砂埃を巻き上げる。
「……畜生!」
砂埃が晴れた時には、すでに人の気配はなかった。必要なダメージを与えた三人は不要な追撃を避け、撤退したのだった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV5になった!
黄泉王・唯妃
アドリブ&連携歓迎
さて。取り巻きの掃除が終われば残るのは大将首と。
とはいえそれほど強力な相手でもなさそうですし、他の方と協力して手早く済ませるといたしましょう。
戦術の基礎はあくまで【捕縛】。手足や首を【早業】で拘束してしまいましょう。
とはいえ強く縛れば一部が千切れ飛んだりもするかもしれませんがそれはそれ。
反撃の際にはあの鋏みたいなカトラスを使うようですが、鋏の刃部分を開かないように鋼糸で搦め取れば、普通に振り回す以外の使い道が難しくなるのでは。
「正面から斬り合うだけが戦術ではないのですよ。むしろこちらの数の利を活かすためならば私は影に徹しましょう」
クローディア・ベネット
やぁ。あんたが死にに来た連中の親玉かい?
こんな鄙びた集落には、命ぐらいしか奪うものはないんだがね
大挙して押し寄せてご苦労なこった
弱者を甚振るだけの、金にも名声にもならない殺しなんざ面白くないだろう?
私達があんたの航海にスリルを与えてやるよ
仲間が敵を拘束する動きをするようだから、私はその直後に仕留めにかかろう
捕縛を試みる仲間と敵の応酬の間に、お相手さんの視界の外に出て、こっそり動かせて貰うよ
敵の動きが鈍ったところでその背後に素早く肉薄
そして『命狙いの不意打ち』を仕掛け、≪船長のサーベル≫で後ろから首を掻き斬ってやるよ!
悪いね。これが海賊のやり方ってもんさ
あんた達が支配者の癖に悪党を気取ってる以上、卑怯とは言わせないよ
敵から攻撃を受ける際は、サーベルを振るって触手を斬り払ったり
≪ピストルセット≫から抜いた銃で撃つことによって、動きを乱していく
そして触手をサーベルを持っていない方の腕なんかの、命に関わらない部分に絡みつかせて凌ごう
さて、そろそろ村の連中を迎えに行ってやらなきゃいけないね
結構な傷を負いながらも、静かに集落へ向かうのは、ディエゴ・アルマグロ。部下を倒され自身も奇襲を受け、怒りに震えながらも、冷静であろうとしているのか、その動きは静かだ。
「やぁ、あんたが死にに来た連中の親玉かい?」
そんなディエゴに軽く声をかけたのはクローディア・ベネット(黒き旗に矜持を掲げて・g10852)。
「死にになど来るものか……」
クローディアの軽口に静かな言葉を返す。しかし、その声は怒りからだろうか、少し震えている。
「こんな鄙びた集落には、命くらいしか奪うものはないんだがね。大挙して押し寄せてご苦労なこった」
「分かっていないようだな……」
そこで呆れたようなジェスチャーをして、頭を振る。
「我らが求めるのは『略奪』だ。命しか無いのなら、それを奪うだけだ!」
そこらへんはイスカンダルのクロノヴェーダと似たところがあるのかもしれない。『蹂躙』と『略奪』。それこそが目的であり、過程で行われる行為に意味は無いし、結果得れらる財産にも意味は無い……のかもしれない。
そんなディエゴの言葉に、少し感情を揺らがせながらも、静かに言葉を続けるクローディア。
「つまり、弱者を甚振るだけの、金にも名声にもならない殺しをする為に来た……とでも?」
「そうだ。この海にあるのは二つ。我らに『略奪』されたモノと、これから『略奪』されるものだ!」
横柄を通り越した暴言にクローディアの目に怒りが宿る。しかし、それでも動きは冷静。
「私達があんたの航海にスリルを与えてやるよ」
そんな言葉に、呆れた様子のディエゴ。
「『私達』ってお前しか居ないじゃな……んあ!」
「さて、取り巻きの掃除が終われば残るは大将首と……」
次の瞬間、背後から攻撃を仕掛けたのは黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)。ディエゴの首に蜘蛛の糸を絡ませる。
「不意打ちとは、卑怯な!」
「……とはいえ、それほど強力な相手ではなさそうですね」
弱者を略奪するような連中が『卑怯』を語るとは、それだけで強力な相手ではない事が解る。そもそも、ディエゴか勝手に唯妃に気付かなかっただけだ。最初の奇襲を踏まえても、あまり注意深く周囲を警戒しているタイプではないのだろう。もしかしたらディエゴの足らないところを、シャークパイレーツが補っていたのかもしれない。そして、それに気付かないほど愚かなのだろう。
「正面から斬り合うだけが戦術ではないのですよ」
一歩距離を取り、さらに糸のトラップを周囲に生成していく唯妃。
「さぁ、貴方の生命も運命も絡めとってあげましょう」
今度の糸は切断能力ではなく粘性を強化した糸。
「ぐぬぬ!」
ディエゴが動けば動くほど糸が絡み、その動きを阻害していく。
「糸には鋏だ、断ち切ってやる!」
お得意の鋏のようなカトラスを振り上げ、開こうとするも、その鋏はすでに唯妃の糸に絡まり、開かない。
「なんだとぉ! ならば!」
開けないなら、そのまま振り回すディエゴ。しかし、それは完全に唯妃の想定内。挟んで切るからこそ、鋏にはその有用性がある。それが出来ないならば、威力は半減する。さらに、振り回せば、それだけ唯妃の糸が絡んで自身を縛る。
「派手なばかりが海賊のやり方じゃないのさ」
唯妃の糸に気を取られている隙に、気配を消していたクローディア。背後から忍び寄り『船長のサーベル』をディエゴの首へと突き刺す。
「おのれ、また卑怯な事を!」
首に刺さったサーベルから体液を大量に流しながらも、反撃しようとイソギンチャクの触手を動かす。
「悪いね、これが海賊のやり方ってもんさ」
触手の攻撃を避けながら、再び急所を狙いサーベルを突き刺す。
「あんた達が支配者の癖に悪党を気取ってる以上、卑怯とは言わせないよ」
「おのれ、卑怯者めが!」
自分が行う『卑怯』な行為は肯定し、自身がされる『卑怯』は否定する。まさに小悪党という言葉が相応しい相手だった。
振り回される触手をサーベルで切り払いながら一度距離を取るクローディア。それがあまりにも容易だったので、振り返ると……無様な姿のディエゴがいた。
「自縄自縛とでも言うのでしょうか?」
ディエゴの身体は自身のイソギンチャクの触手すら唯妃の糸と絡み、ついには自分の触手で自身を縛るほどに絡みついているのだった。
「適当に何とかしますか」
「もうちょっと頑張ります!」
「ヤッハロー!」
そこへ奇襲を仕掛けた三人のディアボロスたちが援護に駆けつけてくれた。
他助の閃光弾が炸裂すると同時に、彼方の創造した十四の槌が囲んで殴打し、久美の巨大化した拳がディエゴへと叩き込まれる。
「せ、せめてオマエだけデモ!」
最後の力を振り絞り、カトラスを唯妃へと振り下ろすディエゴ。
「こちらの数の利を活かすためならば、私は影に徹しましょう」
静かな覚悟と共にカトラスの一撃を糸で受ける唯妃。そして同時に再び背後をとったクローディアのカトラスがディエゴの首を掻き斬る。
「……オノ……ヒキ……」
最後の声は聞き取れなかったが、どうせたいした事は言ってないだろう。ディアボロスたちの勝利だ!
「さて、そろそろ村の連中を迎えに行ってやらなきゃいけないね」
ディエゴが消滅するのを見届けてから、集落の方へと視線を向けるクローディア。彼女の声で集落の人々は避難している。いつまでも怖い想いをさせるのも可哀想だ。それに、これからやらなければならない、大切な事があるのだ。その為にディアボロスたちは集落へと向かうのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【トラップ生成】がLV2になった!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
黄泉王・唯妃
表立って声を上げるのは軍師の仕事ではありませんが致し方なし。
これも後顧の憂いを断つためと割り切って島民の前に立つとしましょう。
とはいえただ優しい説得というのも中々受け入れられないのが人間。なので少しばかり仕掛けを施すとします。
先ずはこの島における現況から。
当てにしているであろう冥海機はもう戻ってこない事。
そしてこのままでは少なからず貴方達も飢えて死ぬか、他から奪うために先の海賊のようになるであろうこと。
このあたりで島民から反発、怒り、恨み言あたりが飛びすことでしょうから一言ぴしゃり「黙りなさい」と。
ついでに【冷気の支配者】で範囲内の温度を下げましょう。
その一言で『周囲の温度が下がったような』感覚を染み込ませます。
それでほとんどが言葉に詰まるでしょう。
それなら次代の子供達に恥ずかしくない生き方を試行錯誤しなさい。
死を選ぶ、というなら止めは致しませんが。
情に訴える説得は他の方に。
飴と鞭の鞭を私が担えば後の説得も楽になるでしょうから。
クローディア・ベネット
よし、誰一人として欠けてないな。無事で何よりだ
賊連中は私達が倒した。だから、もう戻っても危険はないんだが……
全員集まっている所で、一度事情の説明をさせてくれ
まずはっきり言っておかなきゃならんのは、冥海機はこの島を見棄てたってことだ
悲しいだろうが事実だよ
あいつらにとって大事なものがこの島にまだあるなら、命を張って海賊から護ってくれるに違いない
だが、そうじゃなかったんだ
だからこれからは、あんた達が自分の力で生活を守る時だ!
冥海機には価値を認められず、くそったれ連中には襲われて、腹が立つだろ?
その怒りを生き残ることに、そして愛する故郷を今までよりも栄えさせるための努力に使うんだよ
この島を手放した奴に地団太を踏ませてやろうじゃないか!
アジテーションに群衆がノってきたところで、餞別の品を渡そう
最終人類史から持ち込んだ漁具や、熱帯で育ちやすい作物の種もみだ
ただし自立心を損ねたくないから、今の時点ですぐ食べられるものは極力渡さない
村人の中でも賢そうな奴に使い方を教えて、他の皆に伝えてもらうようにしよう
「よし、誰一人として欠けてないな」
真っ先に、集落の人々が無事である事を確認したのはクローディア・ベネット(黒き旗に矜持を掲げて・g10852)。
「おかげさまで……」
「無事でなによりだ」
そんなクローディアの言葉に答える集落の代表者らしき男性。その言葉は重い。はじめて見た化け物・アビスローバーに恐怖を抱いているのだろう。
「賊連中は私達が倒した。だから、もう戻っても危険はないんだが……」
クローディアは促すような視線を代表者へと向けると、理解出来たようで話をする場を設けてくれる事になったのだ。
「全員集まったところで、一度事情を説明させてくれ」
クローディアと共に、説明の場に来た黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)が、説明を始める。
「先ずは、この島の現状から。この島に援助をしていたモノたちはもう戻ってこない」
キッパリと言い切る唯妃の言葉に、人々がザワザワし始める。
「ど、どういう事でしょうか……」
「彼らは戻ってくるって言ってくれました」
「でも……」
「この島を見捨てたってことだ。悲しいだろうが、事実だよ」
「そんな、嘘だ!」
「嘘ではない。あいつらにとって大事なものが、この島にあるなら命をはって海賊から護ってくれただろう」
そんなクローディアの指摘に言葉を失う人々。
「だが、そうじゃなかったんだ」
そこまで言われ、段々と恐怖が彼らを包んで行く。
「このままでは、少なからず貴方達も飢えて死ぬか、他から奪うために、先の海賊のようになるであろう」
そんな現実的な唯妃の指摘に反応は様々。
「そ、そんな事は!」
「……いや、そういう方法が……」
「バカな考えはやめろ!」
恐怖が人々に伝播し、混乱していく。それを止めたのは唯妃の言葉だった。
「黙りなさい!」
響く唯妃の言葉が会場を沈黙させる。そんな冷や水を背中に入れられたような人々。体感だが周囲の気温が下がった気がする。
「それなら、次代の子供達に恥ずかしくない生き方を試行錯誤しなさい」
そんな空気も、次の唯妃の言葉で変化する。根は悪人でないのだろう。海賊という言葉に否定的な反応の方が多く、『次代の子供に恥じない』という言葉に強い意志を見せる者たち。
「あんた達が自分の力で生活を守る時だ!」
そして、その気持ちの変化を炊き上げるように声を上げるクローディア。
「あいつらには価値を認められず、くそったれな連中には襲われて、腹が立つだろ?」
「そうだ、このまま終われるか!」
「やってやろうじゃないか!」
唯妃の声で冷静になったところで、クローディアが盛り上げる。見事な心理操作だ。
「この島を手放した奴に地団太を踏ませてやろうじゃないか」
「そうだ、俺たちは諦めない!」
「死んでたまるか!」
やる気を見せる人々。生きる為に前を向かせるには大成功したと言えるだろう。
「それなら魚を釣る」
「いや、海は魚が豊富だ網の方が効率がいいだろう」
「いや、竿はともかく針はどうするんだよ、網なんて無いし……」
しかし、最初に危惧した通り、それには重大な問題があるのだ。だが、予想よりも早く自給自足へと思考が向くのは、事前から考えていたのではないだろうか。そして、それに挑戦して挫折した経験があるのかもしれない。
「大丈夫だ」
しかし、ディアボロスたちはそれを解決するための物を用意している。
「それは、私達から提供しよう」
アジテーションに群衆がノってきたところで餞別の品を出すクローディア。
「これは漁具!」
「この種は?」
クローディアが用意したのは、主に道具と種。自立心を損ねたくないから、すぐに食べられそうな物を極力避けた餞別だ。
大半が漁具に興味を示す中で数人、種に興味がある者に、簡単に育て方を教える。
「これなら魚が獲れる!」
釣り針を真っ先に手に取った一人の男性。もしかしたら、以前に釣りの経験があるのだろう。迷わず道具を確認していた。
当たり前だが、古代から海で漁をしてきた人類。しかし、冥海機ヤ・ウマトの人々は近代化され効率の良い漁を行う。故に、近代化された道具が無いと漁が出来ないのが現実だ。
しかし、その問題点は今、ディアボロスたちがクリアさせた。ならば、後は彼ら次第だろう。
「よし、早速行くぜ、今日は美味い魚を食べさせてやる」
「頼んだぜ! 俺は畑だ」
スコップを手に、畑を作ろうと動き出す者もいる。唯妃が冷静にさせ、クローディアが炊き上げた意志は強い。きっと、自給自足を成し遂げるだろう。
そんな彼らを静かに見守るディアボロスたちであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
クローディア・ベネット
これで島の連中は冥海機に頼らずやっていけるようになるだろう
自分らの運命は、自らの手で決める……それが自由ってもんだ
真っ当に生きる奴にも、荒くれ者の海賊にも、一番大事なことさ
さて。懸念事項がなくなった所で船の様子を見に行こう
船の性能……積載量や喫水の深さ、何人ぐらい乗れるか、速度はどれぐらい期待できそうか、ってところを細かく観察するよ
頑丈さや積み荷の多さは大西洋で使ってる船とは流石に比べるべくもないだろうが、小さな船にも良い所はある
快速、隠密性、風への依存度の低さ……そういった所を活かしてうまく使いたいもんだね
十分に検分が終わったらいよいよ出航だ
仲間と漕ぎ手と操舵を持ち回りで交代しながら、既に他の海賊船が集合している地点を目指そう
境界の霧の付近じゃ視界が悪くなるだろうから、波風に船を攫われないように注視して慎重に舵を取る
【完全視界】で見通しきれない霧の中でも、浅瀬や漂流物に引っかからないようにね
今度はこっちから乗り込んでいく番だ。面白くなってきたね
伝説の大陸とやらはいったい何処にあるかな?
「これで島の連中は冥海機に頼らずやっていけるようになるだろう」
そう呟きながら、船の様子を見ているのはクローディア・ベネット(黒き旗に矜持を掲げて・g10852)。
船は古い時代の物であるが、それでもクロノ・オブジェクト。クローディアなら操船するのは何の問題無いだろう。
「自分らの運命は、自らの手で決める……それが自由ってもんだ」
海賊としての彼女なりの『自由』だろう。海賊と言っても時代に応じて様々な形があった。私掠船を名乗り、偽物の免状を手に略奪を繰り返す『自由』もあったし、『賊』と呼ばれながらも自分たちの信じる物の為に『自由』を謳歌した者もいる。
「真っ当に生きる奴にも、荒くれ者の海賊にも、一番大事なことさ」
クローディアにとって『自分の運命を自分で決める』というのが『自由』なのだろう。
そんな事を呟きながら、船の様子を丁寧に調べる。そこは慣れたもので、真っ先に喫水の深さを調べている。
「頑丈さや積み荷の多さは太平洋で使ってる船とは流石に比べるべくもないだろうが、小さな船にも良い所はある」
大きな船は頑丈で積載量も多いが、それだけ小回りが効かない。こんなメラネシアのような小さな島が多い場所では、運用が厳しい。
「……こういった所をうまく使いたいもんだね」
予想以上に頑丈さのある船を調べながら、小さいながらもクロノ・オブジェクトである事を実感する。
事前の情報で、他にもディアボロスが奪取した船が集まっているとの話だ。とりあえずそこへ向かうことになる。
「力仕事は任せな」
「帆は俺がテキトーにやるぜ」
「ヤッハロー、いざゆかん大海原へ!」
手伝ってくれるディアボロスたちと共に、帆の操作や漕ぎ手を分担しながら準備をしていると、集落の方が騒がしい。しかし、トラブルな声ではなく歓喜の声だ。
「さぁ、行こう。今度はこっちから乗り込んでいく番だ」
「面白くなってきたね」
「ま、テキトーにな」
そんな声を背中に受け、出航していく船。そんな船を後から押してくれるように声が聞こえる。
「あんたがくれた道具で魚が釣れた!」
「あんたには感謝しているが、俺たちは海賊にはならない!」
「ありがとう!」
「……」
そんな声が響く。しかし、それを振り返らずに背中で応えるのは彼女なりの答えだろう。『海賊にならない』と決める自由を彼らが選んだのだから……。
「伝説の大陸とやらは、いったい何処にあるのかな?」
それにクローディアには後を振り向く必要は無い。なぜなら、眼前には自由な海が広がっているのだ。目標の一つは伝説の大陸。それが本当にあるのか分からない。だからこそ、楽しいのだと彼女は知っているのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【通信障害】がLV2になった!
効果2【グロリアス】LV1が発生!