リプレイ
霧宮・悠希
・SPD
こういう(戦う以外にもいろいろやる必要のある)任務は、あまり得意とは言えませんけど……それでも少しは役に立たないと、ですね。
海賊船を、帆船を操って海を渡る。どこか、『あの日(刻逆)』の前に読んだ冒険小説を思い出す。
世界がこんなことにならなければ体験しようもない状況。わくわくするような、そんな気持ちになっている場合じゃないような。
落ち着かない。戦うだけのほうがまだ簡単な気がする……いや、今は作業に集中しないと。
船の針路を決めるとか舵を取るとか、詳しい知識がいることは他のディアボロスの人にお任せする。
自分はひたすらオールを漕いで、指示を受けて帆を操作して。そういう作業に回るつもり。
【操作会得】の効果を生かせば少しくらいは効率よく作業ができる、と思いたい。
それにもちろん帆船をひとりで動かせるなんて思っていない。
指示を受けるのもそうだけれど、オールを漕ぐのも帆を操作するのも、他のディアボロスの人とうまく息を合わせよう。
楽じゃない作業だけれど……余計なことを考えずにすむのは、いいな。
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情とセリフ】
盗んだ海賊船で航海しているのは驚きだな
陸地も見えないなら太陽の角度で現在位置を大まかに把握しよう
陸が見えないっていうのは本当に厄介だ。大航海時代の船乗りには頭が下がる思いだよ
【行動】
パラドクス通信で仲間と声を掛け合い連携して行動する
太陽の位置を確認すれば緯度と経度を大まかに把握できる
航海機器の導入しているなら
天測の機具もあるはずだ
現在の時間と機具を用いて天測を行い
方角を確認しズレているなら舵を操作して方角を合わせる
それから索敵もしよう
近づいてくる船が見えればパラドクス通信で仲間たちに伝えよう
必要なら臨機応変に対処する
●盗んだ海賊船で漕ぎ出す。
「盗んだ海賊船で航海をしているのか……驚きだな」
波も穏やか、太陽の光が海面に反射し眩しい大西洋の洋上。
荒田・誠司(雑草・g00115)はアビスローバーから強奪した海賊船に横付けしたパラドクストレインから、軋む渡し板を通り上甲板に乗り込む。
「陸地が見えないっていうのは本当に厄介だ。大航海時代の船乗りには頭が下がる思いだよ」
360度、見渡す限り何もない水平線に、何とも言えないため息を吐きだす。
「こういう任務は、あまり得意とは言えませんけど……それでも少しは役に立たないと、ですね」
続けて乗船した霧宮・悠希(小さき復讐者・g02383)は、頑張らないとと両手で小さく力を入れる。
戦闘以外にやることが多い依頼だったが、まるで昔読んだ冒険小説そのままの世界に喜んで良いのか、それとも世界がこうなったことを嘆けば良いのか……いささか複雑な心境ではあったが、憧れの場所に立てたことには違わない。
「誠司、船の進路を決めたりするのは任せていいかな? 僕はオールを漕いだり、帆を操作したりするつもりだ」
この船には多くのディアボロスが乗り込んでいる。
悠希はその一員として、船の推進に力を注ぎたいと誠司に伝える。
「分かった。米海軍から提供された航行機器があるらしい、あとはパラドクス通信で情報を伝えるぜ」
任せろと言う誠司の言葉と同時に発動した【パラドクス通信】の効果で、誠司と悠希の胸元にスマートフォンのような通信機が生み出される。
ディアボロス同士の通信機であるパラドクス通信のパラドクス効果により、二人は情報を共有出来るようになる。
これで操船と操舵とでスムーズなやり取りが出来ることだろう。
「僕も操作会得のパラドクスを準備してきた。羅針盤の使い方とかはこれで大丈夫じゃないかな?」
周辺の物品に製作者の残留思念が宿り、操作をサポートしてくれるようになるパラドクス効果、【操作会得】……これで難しい航行機器の操作であっても、サポートが入るから多少は楽になる筈。
そう告げる悠希の言葉に、ありがたいと誠司は返す。
「それじゃ、俺は操舵室へ行こう……帆やオールは頼んだぞ」
「了解だ、そっちも頼むぞ」
そう言って誠司は上甲板のさらに上へ、悠希は甲板の下へと向かい二人は分かれる。
「航行機器はこれか……流石は米海軍提供だ、最新だな」
誠司は航行機器が置かれている部屋に入ると、まず置かれている装置を一通り確認する。
その中に天測機器があったのを確認すると、太陽の位置と合わせて現在位置を大まかに割り出す。
「進路は問題ないようだ……操船は帆と人力か」
パラドクス通信機を取り出し、悠希を呼び出す。
「こちら誠司だ。方角は問題ない、そのまま漕いでくれ。俺は索敵に移る」
『了解だ。僕もオールに着いた。これから全力で漕ぐ……方角が変わったり、敵が見えたら報告してくれ』
悠希からの返答に了解と返すと、誠司は見張り台へと向かう。
途中猫を見かけた気がするが……特に気にすることはなく、彼は見張り台へと昇る。
「さあ、力仕事だな……楽じゃない作業だけど、余計なことを考えずに済むのは、いいな」
大勢のディアボロスが椅子に座り、船側から飛び出した櫂の持ち手を持ち漕いでいる。
その中に混じった悠希は、小さな身体でも大人に負けないと力一杯櫂を漕ぐ。
「みんなと上手く息を合わせないと……何かいい方法は」
中型とは言え、一人で海賊船を操舵出来る訳ではない。
特にこの船は帆の他にディアボロスが櫂で漕ぎ、推進力を得ているのだ。一人だけ張り切っても船は動かない。
そんな時、昔読んだ冒険小説を思い出す。そこではどうしてたんだっけ……そうだ、歌っていたんだ。
「~♪」
照れもあってか、ややヤケクソ気味で歌い出す悠希。その曲は誰もが知っている冒険の曲。
その歌声は一人、また一人と続き、何時しか漕ぎ手座にいる全員が歌っていた。
「~~♪」
リズムに乗ってテンポよく櫂が漕がれる。まるでメロディーに乗せ船が進んでいるようであった。
そんな時だ、誠司からの通信がパラドクス通信機に飛び込んで来る。
『アビスローバーの海賊船だ! 速力をあげろ!!』
見つかったか……だが、追いつかれる訳にはいかない。
「みんな、もっと声を出して歌うんだ! いくぞ!!」
悠希は声をあげる。先ほどよりビートを早く刻み、周りのディアボロスたちもそのメロディに続く。
船のスピードが明らかにあがったのが櫂を通した手応えで分かる……だが、相手はそれ以上に海に熟知している者たち。
追いつかれるのは時間の問題であった。
●我輩は海賊船猫である。
今日も一仕事終えた我輩は甲板で日向ぼっこと洒落込んでいた。
流れる潮風は心地よく、輝く太陽は暖かい。絶好の昼寝日和であった。
だが、そんな我輩の時間を邪魔するかのように人間たちの乗り物が我輩の船へと横付けされる。
……保存食ではなく、新鮮な食料や水を運んできてくれるのだ。あの乗り物には感謝している。
しかし、甲高い鳴き声を上げながら近寄って来るのは何とかならない物か。あれが挨拶と言うなら仕方ないとはいえ、毎度のことながら五月蝿くてかなわない。
我輩は寝床を変えるべく、甲板を下る。
そこでは人間たちが歌いながら櫂を漕いでいた。
威勢が良いのかこれまた五月蝿くてかなわん。だが不思議と心地よく、我輩は船倉の隅で丸くなることにした。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
盗んだ海賊船とは、面白い響きだな……一体誰が考えたのだか
潮風に吹かれる航海も悪くない
船旅も良いものだ
騒がせる海賊には退場いただこう
敵の接近を双眼鏡やバイザーを併用し観察、視認
PD通信で味方と連携し、敵の位置や動きを共有
ライフルを構えPDの雷撃を帯びた弾丸で敵を狙い撃つ
味方と狙いを合わせ、手早く敵数を減らし、有利へ持ち込もう
基本的には船縁か仲間と同じ位置で迎撃
深海修道女たちに、乗り込まれる前に撃ち落としていこう
戦意を挫き、待ち受ける有利を活かし接近中から攻撃
重心を移す瞬間や、移動に意識が逸れる隙を看破し逃さない
状況が有利に戦える場合には水面走行も利用
敵の聖歌には、ピアスの音色に聴覚の意識を逸らしつつ忍耐
視覚は敵を捉えて攻撃と反撃の手を緩めない
ううん、聖歌は間に合っているんだ
幼少時に馴染んだ旋律があるから
あんまり騒がしいとうちの住人(住猫?)が起きてしまうので
……あの子、どこから乗ってきたんだろ
さあさあ、帰った帰った
ここで倒れる程度なら、海賊船を与えられる事もなかったろうな?
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情&セリフ】
確かになぁ。あの猫は見かけた気がするけれど、いつからいたのか
これはもう俺たちの船だ!乗り込んでくるっていうなら容赦はしない。一息で切り捨ててやるよ
【行動】
仲間とパラドクス通信で声を掛け合いながら積極的に情報を共有し連携していく
残留効果2は全て使う
俺は乗り込んできた敵を中心に相手をし
遠距離攻撃している仲間の援護に入る
盾のフェイク・プリドゥエンを背負い
それから自分の機械の両腕を片刃の剣に改造して攻撃する
敵からの攻撃は己の両腕を改造した剣で防御する
触手で締め付けられようが剣なら切ることができる
盾を背負っていれば自分に攻撃が届くまで時間を稼げるはずだ
攻撃されれば神速反応で切り裂き
締め付けから抜け出す
仲間へと触手が伸ばされた時も切り裂いてやる
必要なら臨機応変に対処する
霧宮・悠希
・SPD
振り切れないか。それなら、あとは──狩りの時間だ。
敵船に見つかった上に追いつかれてしまった。これはまずい……なんてことは、無い。
オールやら何やら、操船に使った道具を急いで片付けて戦う準備を整える。
右手に長剣、左手に短剣を携えて。
特殊金属を制御して一対のサブアームを構築し、その右に投射装置を、その左に機関砲を保持させて。
【パラドクス通信】で他のディアボロスたちと連携をとり、ついでに【光学迷彩】で姿を隠す。
敵が海賊らしく船を近づけて乗り込もうとしてくる、その時を狙って仕掛けてみようか。
意識を集中して自身や得物に宿すは、夜空に煌めく星々の如き微かで神秘的な力。
そうして力を乗せた機関砲の「一撃」を、敵部隊に認識させないままに撃ち放つ。
『見えざる奔流』──弾幕を形成できるほどの射撃、数十発の砲弾をひとつに集束させた「一撃」を。
「一撃」を当てて敵部隊を薙ぎ倒せたとしても手を緩めない。
続けざまに「一撃」を撃ち放つ。海賊らしい戦い方、そんなものさせてやるものか。
思い知れ。どっちが獲物だったのか。
●海賊の襲撃!
「盗んだ海賊船とは、面白い響きだな……一体誰が考えたのだか」
船首で潮風に身を任せていたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、船旅を満喫していた。
「広大な空、広い海……潮風に吹かれる航海も悪くない」
瞳を閉じ、身体で感じる大海原の息吹に満たされていたそんな時だ……船尾から騒がしい声が聞こえてきたのは。
「……せっかくの船旅、騒がせる海賊にはご退場頂こう」
そう告げると目力を込めた瞳を開き、背中に背負ったライフル……誉れ高き対航空機砲の名を冠する狙撃銃『8-Acht』へと手を伸ばす。
ポーチから弾薬が充填されたマガジンを取り出すとライフルへと装填し、ボルトを引くと初弾をチャンバーへと送る。
「あまり騒がしいとうちの住人……いや、住猫か? が起きてしまう。手早く静かにさせないとな」
そう呟くと船の高い位置へと翼を広げ飛び上がるエトヴァ。
騒ぎが起こる少し前……見張り台では荒田・誠司(雑草・g00115)が、別のディアボロスと共に見張りについていた。
「確かになぁ。そうそう、猫を見かけた気がするんだけど」
「ああ、あいつはこの船のキャプテンさ」
「キャプテン?」
誠司はディアボロスの言葉に首を傾げる。すると彼は説明してくれる。
大航海時代、積み荷に潜むネズミは船の大敵であった。食料や荷を齧るだけでなく、病原菌も運ぶ小さき生き物。
その駆除に任命されたのが、彼らの天敵である猫と言う訳だ。
結果、船には猫が乗ることになり、下っ端の船員より高い待遇を与えられたという。
「そんな訳で、アイツのことを俺たちは敬意を持ってキャプテンや船長、と呼んでいるんだ」
「そうだったのか……納得だぜ。ん? 後方に船影だ!」
誠司が後方へと身を乗り出しながら、首からかけていた『解析能力補助ゴーグル』を装着する。
緑の視界に捕えた船影は、髑髏の旗を掲げたこの船より一回り小型で快速な海賊船。
乗っているのは……アビスローバーたちだ。こちらに向かってピストルの号砲を上げている。
「総員、敵襲だ! 戦闘に備えるんだ!!」
胸に取り付けていたパラドクス通信機へと向かい誠司は吼える。
その通信は船に乗り込むディアボロス全員に伝わり、辺りはバタバタと騒がしくなる。
「俺も甲板で戦闘に備えるぜ。ここは任せた!」
見張りのディアボロスにそう告げると、誠司も見張り台から飛び降りるように甲板へと移動する。
船倉でも動きがあった。
「振り切れないか……オールを仕舞え! これからは、狩りの時間だ!」
霧宮・悠希(小さき復讐者・g02383)がそう告げると、漕ぎ手のディアボロスたちは船側から出ていた櫂を船内へと引き込む。
そして思い思いの武装を手に甲板へと上がっていくディアボロスたち。
悠希は船室で伸びをしている猫の姿を見かけると、大丈夫だよと一声掛けながら自分も甲板への階段へと走る。
彼が甲板に上がった時、既にそこでは戦闘が始まろうとしていた。
網目状のロープで出来たネットが投げ込まれ、簡易的な橋が構成される。
またアビスローバーは水上を走れるのか、海を渡って近づく者も居た。
「敵船に見つかった上に追いつかれてしまった。これはまずい……なんてことは、無い」
そう呟くと、悠希は念動力を発動し特殊金属『サイキック・メタル』を制御、一対のサブアームを構成する。
そして右肩に多連装飛翔体生成・投射装置『スウォーム・ミサイルランチャー』を、左肩に大口径機関砲『Mk.10X 30mm機関砲』をアームで懸架すると、その照準を縄梯子を渡るアビスローバーの一団に向けるのであった。
青い翼を広げながら、エトヴァは敵船を双眼鏡で見る。
やはり乗員はアビスローバー……この船を狙っているのだろう。
だがこの船を奪い返すつもりなのか、砲は使わず乗り込もうとしているらしく、甲板ではロープや網梯子の準備をしている。
「こちらエトヴァ、敵は乗り込むつもりらしい……白兵戦に備えるんだ。狙撃部隊は俺と共に船縁へ」
バサッと翼を羽撃たかせ、彼は船縁へと降り立つとライフルのストックを肩に充てスコープを覗き込む。
スコープの倍率を調整し、慣れた手付きで安全装置を解除すると、照準の向こうに捕えたアビスローバー……無数の触手が生えた禍々しい冒涜的なシスター姿の女性たち。トループス級アビスローバー『深海修道女』へと向かってトリガーを引いた。
「……疾く、閃け」
横一列に並んだディアボロスたちから一斉に放たれる弾丸。パラドクスの砲撃は次々と深海修道女たちを捉え撃ち倒していく。
エトヴァの放つ弾丸も普通の物ではない……パラドクスで生み出した雷撃の力を封じた【Mjölnir】だ。
銃口から稲光を放出しつつ放たれた弾丸は敵を痺れさせ、水飛沫をつたって拡散する。
「反撃が来る! 意識をしっかり保つんだ」
聞いた者を惑わす禍々しく邪悪な聖歌で魅了し、操り人形にしようと歌う深海修道女たち。
彼は耳に付けた白銀の紋章を閉じ込めたセレストグラスの涙『Herzensmusik』へと意識を集中させる。
そのピアスは震えるように繊細な音を奏で、邪悪な聖歌からエトヴァを護ってくれた。
「聖歌は間に合っているんだ……幼少時に馴染んだ旋律があるからな」
深海修道女の聖歌に耐えきったエトヴァや仲間たちは、一斉に船縁から離れる。
次の瞬間、小型海賊船が衝突するかのように横付けされ、縄梯子やロープが掛けられた。
『船は返してもらうぞ! お前たち、行きな!』
敵船の船長だろう……アヴァタール級アビスローバーの『ハウエル・デイヴィス』が配下のアビスローバーに号令を掛ける。
その声に咆哮で答えると、ある者は縄梯子やロープを伝って、ある者は船の間を飛び越え、そしてある者は海から乗り込むべく波間を走る。
「これはもう俺たちの船だ! 乗り込んでくるっていうなら容赦はしない。一息で切り捨ててやるよ」
いざという時は一人乗りのジェットボードになる盾『フェイク・プリドゥエン』を背中に背負った誠司は、アビスローバーたちの咆哮に負けずと怒鳴り返すと機械の両腕を刃へと変える。
「自己改造完了、斬り伏せる!」
自分の機械の両腕を改造し、切れ味のいい片刃の剣のような形状にして斬りつけるパラドクス【自己改造:機械刃】で刃に変えた両腕で、深海修道女が伸ばす触手の束を斬り捨てる誠司。
「仲間たちへの攻撃は通しはしないぜ」
深海修道女たちは誠司を障害と思ったのか、一気に距離を詰めようとせず、触手を揺らしながら四方から取り囲む。
そして船が波で揺れた瞬間、一斉に触手を伸ばし誠司を絞め殺そうとする。
だが……。
「盾を背負い、両腕が刃の俺を絞め殺そうとは……愚かだな」
身体を締め付ける触手を盾で堪え、そして両腕の刃で巻かれた触手を斬る……包囲から抜け出した誠司は、そのまま深海修道女たちへと向かうとその両腕を容赦なく振るう。
「ここは俺たちが引き受けるぜ。砲撃班は配置についてくれ」
「了解です。海賊らしく乗り込んで来るなら、その乗り込んで来るところを迎え撃つだけです」
誠司の声に、悠希は海賊船同士をつなぐ網梯子、その上を渡るアビスローバーの集団に目を向ける。
「意識を集中して……そう、五月雨のような銃弾を一点に固める……宿すは夜空に煌めく星々の如き微かで神秘的な力」
悠希がパラドクスの一撃を深海修道女たちに向け放つべく意識を集中させる。
同時に削岩機のような音色を奏でながら放たれる機関砲。だが放たれた銃弾は一点に纏まり、彼の放つ「一撃」に備える。
パラドクス【見えざる奔流】……夜空に煌めく星々の如き、微かで神秘的な力を宿した集束された奔流の如き「一撃」が叩き込まれるまで、標的からの認識を強く妨げるパラドクス。
「(……消えてしまえ!)」
そう願った瞬間、認識の外からの一撃に深海修道女の一団が驚きの表情を浮かべながらバラバラになり海へと落ちる。
「海賊らしい戦い方? ……そんなものさせてやるものか。思い知れ、どっちが獲物だったのか」
悠希の一撃にディアボロスたちが続く。
やがて銃声が収まった時、船に乗り込んで来たアビスローバーは残っていなかった。
『だらしない野郎どもだ……ここは俺が往くしかないか』
その声と共にドン、っと船と船の間を飛び越えて現れたのは、小型海賊船で指揮を執っていたハウエル・デイヴィス……強敵の登場に、悠希はゴクリと唾を飲み込む。
『さあ、改めて言う……船を寄こせ、いや返せ。この船は元々俺の船になる予定だったんだからな』
そう告げたハウエル・デイヴィスは、手近なディアボロスに向かってピストルを放つのであった。
●我輩はキャプテン、船長とも呼ばれている。
我輩は海賊船猫である。人間たちからはキャプテンと呼ばれている。
任務を終えのんびりと船倉で惰眠を貪っていたところ、人間たちの胸から別の人間の声が響く。
ぱらどくす通信機、と言う物らしい。
これで船の中と外で連絡を取っていると言うことを我輩は知っている。
それが騒がしく響く、という事は恐らく敵襲なのだろう。
『大丈夫だからな』
慌ただしく外へと飛び出していく人間が我輩に声を掛けてくる。
我輩を誰だと思っているのか、この船は我輩の物なのだ。
仕方ない……我輩は人間たちを鼓舞するために甲板へと出るのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水面走行】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【リザレクション】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
さて、親玉のお越しだな
うーん?
この船が、自分の船になる予定だったと言っている者が多いのは……単に所有を狙っていたってことだろうか
せっかくなので船上らしく戦いたいものだ
戦況を観察しつつ把握
パラドクス通信で、仲間と連携をとる
味方と包囲の位置を取りつつ、ハウエルの船上での動きを牽制
高周波ブレードX-Machinaを構え
仲間の攻撃に間をずらして重ねたり
相手のペースを乱すようにPDで斬り込み、打ち合う
隙を逃がさず看破し、一太刀を見舞おう
揺れる甲板に、翼の動きで調整を加えて、バランスを取り
軽やかな動きで変則的な間合いで攻撃
敵からのガンビアの虚言には、魔力障壁で精神干渉を緩和しつつ忍耐
確かに、ガンビアの話は後にも伝わっているが……
……そうは言っても、海賊どころか、アビスローバーの言をどこまで信じるかってことだな
この船も貴方の所有物ではないしな?
軽口叩いてかわそう
さあさあ、大言壮語もそこまでだ
この船は俺達の船だ。手を出したなら加減はしないよ
キャプテンには危害がないよう立ち回ろう
リゲル・アンティキティラ
やあ諸君、少し手を貸しに来た!
ムカつく顔に風穴開けてやろうと――というか、何か…いるね?
ああ船乗り猫か、縁起が良い!下がっていたまえ、君はこの船にとっての神だからね!
…それはさておき!
やあ、俺を知らぬハウエル。ご機嫌いかが?相当悪そうだが
ご丁寧な言葉はお使いになれないほどにご立腹かい?
…憂さ晴らしの相手をしてやろう
おいで。その銃口、俺様に向けてみろ!
だがまあ、「多少」俺様が頼りないという自覚はあるとも!
ゆえに【能力値アップ】で自己強化、【命中アップ】で照準を補助し、叩き込んでやろうじゃないか。『略奪者の教導』を!
命乞いなんてしてやるか――その魂、俺様に寄越せ!
お前のやり方は知っている
敵対者への呪詛も、希望も骨も何もかも粉砕するのが好きな事も、何より捨て身で動けるその豪胆さもな!
故に、多少は往なせるぜ
【反撃アップ】で手痛くお返ししてやる!
ついでに【ロストエナジー】で削り取り補助をしようか!
船旅に邪魔は付きもの、拿捕も付きもの。猫もね!
だが、これはお前の船にはならないと、俺様達が教えてやろう
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情&セリフ】
最後はお前だけだな、覚悟しておけよ
命乞いなんてするはずないじゃないか。元々許す気なんてないんだろう
こちらだってこちらの掟で動いているんだ。後悔なんてないね
【行動】
パラドクス通信で連絡を取り合い積極的に連携していく
使用できる残留効果は全て使用する
まずはパラドクスを使用してダツ型の機械を製作
ダツ型の機械は俺が敵と認識した相手に向かって飛んでいくから
攻撃に関しては問題ないはず
敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンや電光警棒で受けて防ぐ
必要なら臨機応変に対処する
●海賊船長を倒せ!
「さて、親玉のお越しだな」
海賊島を目指し、大西洋を行くディアボロスが奪った中型海賊船。
その甲板に、取り付いたアビスローバーの小型海賊船よりアヴァタール級アビスローバーの『ハウエル・デイヴィス』が降り立った。
恐れを知らぬ海賊らしく、ディアボロスたちに向けてピストルを向ける彼に、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が疑問を抱く。
「それにしても……この船が自分の船になる予定だったと言っている者が多いのは、単に所有を狙っていたってことだろうか?」
この海賊船は幾度も襲撃を受けている。広い大西洋をポツンと航行していると言うのにだ。
だが今はそんな些細なことを考えている余裕はない。
エトヴァと共に立ち向かう荒田・誠司(雑草・g00115)は、ハウエル・デイヴィスに向かって宣言する。
「最後はお前だけだ、ハウエル・デイヴィス。お前も他のアビスローバーと同じように倒してやるから覚悟しておけよ」
パラドクス【模造製作:鋭針ダツ】で鋭い針を備えたダツ型の機械を製作した誠司。
それに対応するかのように、ハウエル・デイヴィスはピストルを向け命乞いを要求してきた。
『お前たち、さっさと船から降りるんだな。鮫の餌にはなりたくないだろう?』
そう告げるハウエル・デイヴィスに、はははっと笑いかける声が一つ。
全員が振り返ると、そこにはリゲル・アンティキティラ(一つ星・g10843)が猫と共に立っていた。
「やあ諸君、少し手を貸しに来た! ムカつく顔に風穴開けてやろうと思ってね」
そう言うとリゲルは猫をそっと甲板に下ろす。
「船乗り猫よ、応援ありがとう! さあ、あとは任せて下がっていたまえ。君はこの船にとっての神だからね!」
リゲルに向け、猫はにゃあと声を掛けるとスタスタと去っていく。
いや、観戦し易い場所に移動したと言うべきか。
そんな猫の自由な姿に笑みを零したリゲルは、クルっと振り向くと真剣な顔を見せる。
「やあ、俺を知らぬハウエル。ご機嫌いかが? まあ相当悪そうだが、何しろご丁寧な言葉はお使いになれないほどにご立腹みたいだからね? ……憂さ晴らしの相手をしてやろう」
『ふむ。お前を知っている俺は、どうやら丁寧な言葉遣いなようだな。だが俺は知らんし容赦はしないぜ?』
クルクルとピストルを回すハウエル・デイヴィスは、リゲルに口調は別個体の個性だと告げる。
アヴァタール級を始めとするクロノヴェーダは、クロノス級と呼ばれる個体から分れ生まれた存在。よってその口調や性格などは、クロノス級と異なる場合がある。
このハウエル・デイヴィスはリゲルの知っているハウエル・デイヴィスとは違い、砕けた口調で話す。それが自分の個性だと言わんがばかりに。
『さあ、決戦を始めよう……お前たちを倒し、俺がこの船を手に入れるか、お前たちが俺を倒し、この船に乗り続けるか……さあ、勝負だ!』
ターン、とハウエル・デイヴィスが手にしたピストルが空中に向かって放たれる。
それと同時に、ディアボロスとハウエル・デイヴィスは動き出した。
「さあ、行ってこいニードルフィッシュ!」
まず動いたのは誠司だ。トラップメーカーとゴーグルを接続し作り出したダツ型の機械をハウエル・デイヴィスへと向け解き放つ。
空中を勢いよく泳ぎ、ハウエル・デイヴィスを追尾するとその針で突き刺す。
『やるなディアボロス! だが俺を倒すにはまだ足りない……震えて命乞いすれば助けてやるかもな!』
そう言い、誠司へと向け突き付けたピストルの引き金を引くハウエル・デイヴィス。
その弾丸は彼の意に従い、誠司の心臓目指して一直線に飛ぶ。
「命乞いなんてするはずないじゃないか。それに元々許す気なんてないんだろう? こちらだってこちらの掟で動いているんだ、後悔なんてないね!」
盾のフェイク・プリドゥエンを構え放たれた銃弾を防ぐ誠司。
彼と入れ替わる様に、青い翼を広げたエトヴァが黒の刀身に魔力光を帯びる高周波ブレード『X-Machina』を手に飛び掛かる。
「揺れる甲板も翼があれば問題ないな。さあさあ、大言壮語もそこまでだ! この船は俺たちの船だ。手を出したなら加減はしないよ」
祈りの一節を唱え、彼のパラドクス【Heiliger Glanz】を発動させると、エトヴァは白銀の神聖なる加護を武装に纏わせ踊る様に斬り込む。
羽根を舞わせ、その身を躍らせ、触れれば斬れる高周波ブレードの軌跡を描き、エトヴァが往く。
そんなエトヴァを、ハウエル・デイヴィスは言葉で迎え撃つ。
『いい剣撃だ! だがその刃、ディアボロスとして使うより、俺の配下となりディアボロスに向けるのが相応しい! 世界の半分とは言わぬが、俺の腹心になればもっと自由に、もっと高く舞わせてやるぞ!』
ハウエル・デイヴィスはガンビア要塞を制圧した際、砦の兵たちを海賊に引き込んだと言う伝説を持つ。
そんな彼の言葉にエトヴァは誘惑される。
「自由に飛び、舞う……そうは言っても、海賊どころか、アビスローバーの言をどこまで信じるかってことだな」
甘言に耐えながらエトヴァが軽口を叩き剣を振るうと、ハウエル・デイヴィスは残念、振られてしまったと笑みを浮かべる。
「俺を知らぬハウエル! お前のやり方は知っている! 敵対者への呪詛も、希望も骨も何もかも粉砕するのが好きな事も、何より捨て身で動けるその豪胆さもな! 故に、多少は往なせるぜ」
『ほう、俺が知らぬ宿敵よ! ならば俺の答えは知ってる筈だ……命乞いをして、俺の軍門に下れ!』
誠司とエトヴァに続き、リゲルが湾曲した刀身を持つ海賊が好む剣『カトラス』を手にハウエル・デイヴィスへ名乗りを上げる。
「命乞いなんてしてやるか! ……その魂、俺様に寄越せ!」
ハウエル・デイヴィスの放った銃弾を交わしたリゲルは、引き抜いたカトラスにパラドクス【略奪者の教導】で瘴気を乗せると、ハウエル・デイヴィスの懐に潜り込み刃を素早く振り抜く。
『ば、バカな……』
「……船旅に邪魔は付き物。拿捕も付き物。猫もね! だが、この船は旅立つお前の船にはならない!」
カトラスの一閃で上半身と下半身に斬り裂かれたハウエル・デイヴィスは、崩れ落ちながら剣に付いた血糊を振るい落とすリゲルの姿を見る。
それが彼の見た最後の光景になったのである。
●我輩は声援を送った。そして勝たせた。
我輩は海賊船猫である。この船の主だ。
我輩の船に対する襲撃者たちへと立ち向かう人間たちに、我輩は主らしく声援を送った。
だが声援を送る我輩を抱えた人間に離れるように言われ、しぶしぶと高い場所へと昇る。
我輩の船を襲撃した賊が持つ筒から放たれた金属は、羽根の生えた人間が防いでくれた。
これはあとで褒美をやらないといけないなと我輩は記憶する。
この船の主たる我輩を護るのは船員の務めとは言え、恩には感謝を、この船の主らしく寛容さも示さねばならない。
そうこうしているうちに人間たちが賊を討ち倒した。
我輩は甲板に降り、人間たちへと近付く。
だが人間たちは、まだ終わっていないと動き出した。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
ジェーン・コーネリアス
おっと、見張りは終わりかい? キャプテン
あぁ、まだここからさ
僕らの船に手を出したんだ。ただで帰してやるなんて親切なこと、するわけないだろう?
さーて、それじゃあやろうか、「おたから」
アクアスライム「おたから」を螺旋状の投槍へと形状を変化させて構える
やるなら徹底的にだ。他の復讐者とタイミングを合わせた一斉攻撃で、逃げる間もなく船をボロボロにして帰港を余儀なくさせてやろう
【命中アップ】に【ダメージアップ】で一撃の威力を重視、おたからを投擲する『海雫の螺旋』で逃げる海賊船の船尾を狙って貫くよ。
今日も完全勝利だ!
もう出航してる海賊船はともかく、しばらくはリスボンから出航できやしないだろう。祝杯でもするかい?
あ、キャプテンはお酒は駄目だよ。ほら、ミルクでも飲んでな
船の上で新鮮なミルクだろうと補充できるのはパラドクストレインあってだ、便利な物もあったもんだね
リゲル・アンティキティラ
ふぅ、ひと息ついたね
どう変わろうともあいつはあいつ、案の定切りごたえ良しだ。実にすっきりした!
…とも言っていられない、次の仕事もきちんと手伝うよ。必要とあらば、ね
ということで、猫よ。もう少し揺れるぞ!海に落ちないように気をつけたまえよ?
連携はしっかりと。知った顔もいることだし、ヘマをしたくはないとこだ!
さぁて俺様は…どーこを狙ってやーろうっかな♪
…よし決めた
【命中アップ】をさらに重ね、狙いを定めて――号令と共に
鳴け鯨ども、『白波』よ!飯の時間だ!
【能力値アップ】も活かして、漕ぎ手ごと櫂をへし折ってやろう!
お前ら鯨のでけぇ口が何のためにあるのか教えてやれ!「力と体躯と船はデカいほうがいい」ってな!
漕ぎ手が減りゃあ補充しなけりゃあならんからな、のろのろと帰りたまえ!
まあその間に「更なる追撃」をされても俺は知らんがな!ははは!
…ところで、この猫…キャプテンも海賊島に行くのか?危険じゃないかな?過保護かな…?
ま、この子の自由にさせてやるのが一番だね。ともあれ乾杯!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
先程のハウエル・デイヴィス……
面白い奴だったな、口説かれるかと思った
やあ、もう一仕事だ
キャプテンに手を振り
航海安全のために、仕上げといこう
乗り合わせた仲間とタイミング合わせ連携
配置によってはパラドクス通信を使用しタイミング調整
では、派手に行こうか
クロスボウ(Paradiesvogel)にパラドクスの塗料を込めた矢を番え、風を読みバイザー越しに狙いを定め、船体めがけて狙い撃つ
一射に黄金の塗料をまき散らし、二射で引火し爆破
爆発そのものの損傷と、爆風でいろいろ吹き飛ばせるといい
機械化ドイツ帝国の鉱山も穿った技だ
クロノオブジェクトの船がどこまで耐えられるかな
攻撃と同時に防御態勢で、荊の魔力障壁を展開し、タワーシールドを構えて敵船からの被弾を防ぐ
神速反応も駆使し備えておこう
本拠の港まで帰るといい
もう来るんじゃないぞ
還る潮風を心地よく浴びよう
船を護れて一安心だ
キャプテンに応援の礼をと思えば
もう始まってるな。相伴に与ろう
海の幸でも炙るかい
キャプテンの様子を眺めつつ
(……撫でていい?)
霧宮・悠希
・WIZ
敵アヴァタール級との戦いを他のディアボロスの人達に任せる結果になってしまった。
大きなことを言っておいてこれは、我ながらはずかしいし情けないけど……。
仕方ない。あとは敵の追撃を防ぐために、他の人達と協力して敵船に攻撃しよう。
残留効果も活用してパラドクスの威力を引き上げる。
【命中アップ】に【能力値アップ】、【ロストエナジー】なんかも使えそう……と。
意識を集中。念動力を、異能の力を高めて解き放つ。
『オーバーライト』。敵船に干渉してその特殊性を否定する。脆くして、破壊して、沈める……まではできなくても、やつらの狙いを台無しにしてやる。
認めない。僕はお前達を認めない……!
パラドクスによる現実改変。敵船の竜骨を歪ませ、船体を劣化させ、船具を破壊する。
航海に支障が出るほどに劣化させていく。クロノ・オブジェクトとしての異様な耐久力を少しでも弱らせる。
その上で、他のディアボロスの人達による一斉攻撃が叩きつけられれば……!
……針路そのまま。
みなさん、それに小さなキャプテン。勝利にかんぱい、ですね。
●海賊船への追撃。
「おっと、見張りは終わりかい、キャプテン? あぁ、まだここからさ……僕らの船に手を出したんだ。ただで帰してやるなんて親切なこと、するわけないだろう?」
ハウエル・デイヴィスとの戦闘を終え、甲板に降りてきた海賊船猫にジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)が声を掛ける。
視線を海へと向けると、船長であるハウエル・デイヴィスが倒されたことで、生き残りのアビスローバーたちが船側に渡されたロープや縄梯子を切り離し、戦線を離脱しようとしていた。
「ふぅ、ひと息ついたね……どう変わろうともあいつはあいつ、案の定斬り応え良しだ。実にすっきりした!」
カトラスに付いた血を刃を振り下ろすことで振り払ったリゲル・アンティキティラ(一つ星・g10843)……彼の視線は両断されたハウエル・デイヴィスへと向けられる。
ハウエル・デイヴィスは彼の宿敵であり、そしてこいつは宿敵ではない……だが宿敵であるハウエル・デイヴィスと同じ声で喋り、同じ攻撃をする。
何時かは本物の……クロノス級のハウエル・デイヴィスと相まみえることが出来るのであろうか。
「ちょっとした予行演習、と言ったところか……さて、次の仕事もきちんと手伝うよ。ということで、猫よ。もう少し揺れるぞ! 海に落ちないように気をつけたまえよ?」
そんなことを呟き、猫に気を付けろと声を掛けたところで船側へと向かうリゲル。
アビスローバーたちの小型海賊船は徐々に距離を取り始め、反転しようとしていた。
「先程のハウエル・デイヴィス……面白い奴だったな。自由に飛ぶ、思わず口説かれるかと思った」
だが、その口説きに乗ればディアボロスを……愛する人を敵に回すことになる。それは出来ない。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は胸元に拳を置き、目を閉じると愛しい彼の姿を思い浮かべ……誘惑に乗りそうになった自身の心を詫びる。
帰ったら、彼に今回の冒険の話しをしよう。その仕上げのためにも、海賊船をタダで返す訳にはいかない。
グレネードランチャーとクロスボウを一体化した銃『»Paradiesvogel«』を取り出したエトヴァは、クロスボウの鏃に黄金の塗料が入った弾を装填すると船側へと蒼い翼を広げ飛んだ。
「敵アヴァタール級との戦い、任せてしまったな……ならばここは敵をタダでは返さないために、他の人たちと協力して敵船に攻撃しよう」
過ぎてしまったことは仕方ない、そう気分を切り替えた霧宮・悠希(小さき復讐者・g02383)もまた船側へと急ぐ。
どうやってこの海賊船の位置を特定しているのかは分からない。だが場所を知っているあの小型海賊船をむざむざ帰させる訳にもいかないことは間違いない。
ならばどうするか……答えは一つ。全員のパラドクスをアビスローバーの小型海賊船へと叩き込み、撃沈か……暫く航行できないような破壊を与えればよい。
「ぼくなら……ぼくたちなら出来ます。皆さん、準備は良いでしょうか?」
船側へと辿り着いた悠希は仲間たちに声を掛ける。
すると小さな猫がこちらへと歩み寄って来たかと思うと、「にゃん」と号令を掛けるかのように鳴いた。
「キャプテンのご命令が出た! では、派手に行こうか」
海賊船猫であるキャプテンの攻撃命令が出た、と『»Paradiesvogel«』を構えたエトヴァが皆に声を上げる。
そしてまず先制し、クロスボウの鏃に装填した黄金色の塗料……パラドクス【Rosenschwur】で生み出した魔力媒体の特殊な塗料を敵船へと目掛け放つ。
狙い外さず命中した弾は、敵船に黄金色の輝きを与え目印になる。
勿論、ただの目印な訳ないのであるが……だがアビスローバーたちは、黄金のペンキを被せられたことに笑うはするものの、そのような物で止められる訳がないと油断していた。
「機械化ドイツ帝国の鉱山も穿った技だ、クロノオブジェクトの船がどこまで耐えられるかな?」
エトヴァはそう呟くと、二射目の用意をする。同時に他の仲間たちも、一斉にパラドクス攻撃の準備をしていた。
「『オーバーライト』。敵船に干渉して脆くして、破壊して、沈める……まではできなくても、やつらの狙いを台無しにしてやる。認めない。僕はお前たちを認めない……!」
悠希が右手を突き出し、パラドクス【オーバーライド】を発動させる。
パラドクスによる現実改変……敵船の竜骨を歪ませ、船体を劣化させ、船具を破壊する。そうして脆くなったところに仲間たちのパラドクスが発動すれば……!
額から汗を滴らせながら悠希が念じる。その度に小型海賊船から嫌な音が鳴り響く。
これには敵船の乗員たるアビスローバーたちも焦り始め、右往左往し始めた。
「さーて、それじゃあやろうか、「おたから」……エトヴァも準備いいかい?」
そうエトヴァに告げたのは、サーヴァントのアクアスライム『おたから』を槍のような形に変化させたジェーンであった。
眼前には反転しようと船尾を向けた小型海賊船……そこに向けて、ジェーンはパラドクスで強化した「おたから」を投擲する。
「『海雫の螺旋』……狙って貫くよ! 行ってこい、「おたから」!」
パラドクス【海雫の螺旋】で槍に変化した「おたから」は、ジェーンの腕から放たれるとドリルのように高速回転し船尾を抉り穿つ。
同時に撒き散らした黄金の塗料に二射目を放ったエトヴァの一撃は、塗料に引火し甲板で大爆発を起こした。
ギギ、ギギギギ……と嫌な音が響き、悠希の【オーバーライド】で脆くなったマストにヒビが入り今にも倒れそう。
辛うじて持ち堪えている、と言う表現が相応しい炎上する小型海賊船に向け、リゲルがパチンと指を鳴らす。
「よし決めた、これで行こう……鳴け鯨ども、『白波』よ! 飯の時間だ!」
リゲルの号令で巨大な鯨の幻影が水飛沫と共に現れ、背後から海賊船を丸のみにする。
櫂が折れ、マストが折れ、漕ぎ手や水兵であるアビスローバーたちの悲鳴があがり……幻影が消え去った後にはボロボロになった小型海賊船がふらふらと漂っていた。
「今日も完全勝利だ! 祝杯でもするかい? あ、キャプテンはお酒はダメだよ。ほら、ミルクでも飲んでな」
ボロボロな姿となり撤退していたアビスローバーの小型海賊船を見送りながら、ジェーンがラム酒の瓶を掲げる。
だが近寄って来た猫の姿を見つけると、君にはこっちと取り出した500mlの猫用牛乳パックから新鮮なミルクを適当な器に注ぎ差し出す。
口元を白く汚しながら、器に注がれたミルクにがっつく海賊船猫の姿を見ながら、ジェーンはそっとその背を撫でてやる。
「船の上で新鮮なミルクが補充できるのはパラドクストレインあってだ。便利な物もあったもんだね」
そう優しい瞳で呟く彼女の後姿を見ながら、エトヴァはおずおずと手を伸ばす。
「キャプテンに応援の礼をと思えば……う、羨ましいな」
「あんたも撫でるかい?」
そう場所を空けるジェーンに、エトヴァはキャプテンの方を見やる。
「……撫でていい?」
そう彼が囁くように尋ねると、キャプテンと呼ばれた海賊船猫は後ろ脚を伸ばし、前脚で伸びの姿勢をしたと思うところっと寝そべり腹を見せ、撫でろと仕草で示す。
「応援ありがとう。キャプテンのおかげで勝てたんだ……あとで海の幸でも炙ろう、お礼だな」
そうエトヴァが猫の腹を優しく撫でながら告げると、猫は期待していると言うが如く「にゃん」と声を上げた。
「……針路そのまま。目標、海賊島! みなさん、それに小さなキャプテン。勝利にかんぱい、ですね」
そうジュースが入ったグラスを掲げたのは悠希だ。
彼の乾杯の声に、乗り組んだディアボロスたちはそれぞれに飲み物が入ったグラスを掲げ、ぶつけ合う。
海賊島までまだまだ時間は掛かる……だが、交代交代とは言え乗り込んだディアボロスが居る限り、この海賊船は排斥力で弾かれる事も無くアビスローバーの拠点『海賊島』へと向かい続けるだろう。
「ところで……この猫、キャプテンも海賊島に行くのか? 危険じゃないかな? 過保護かな……?」
そう、この時代の船に猫は付き物とは言え、この船の行先はアビスローバーの拠点「海賊島」だ。
そんな危険な場所に連れて行って良いものなのか、リゲルはグラスを手に小首を傾げつつ、甲板で海産物のご相伴に与かる猫の姿を見る。
そんなリゲルに、悠希が話しかける。
「いよいよとなれば、乗員交代の際にでも誰かがパラドクストレインで避難させると思います」
激戦が予想される渦中に連れ込むのは、流石に悠希も望みではない。
だが猫は家に居つくもの……この船を家だと定めているのなら、最後まで共にするのかも知れない。
「そうだね……ま、この子の自由にさせてやるのが一番だね。ともあれ乾杯!」
「乾杯です!」
リゲルは納得すると、悠希とグラスを交える。
そして船の上では勝利の祝いが、朝日が昇るまで続くのであった。
●我輩は海賊船猫、勝利をもたらす者。
我輩は海賊船猫である。名前は人間たちからはキャプテン、お頭……色々と呼ばれている。
我輩の船を襲撃した無法者たちの船に、人間たちが追撃を加えようとしていた。
我輩はこの船の主らしく、砲撃の号令を放つ。
するとどうだろう。人間たちはおのおの投擲したり矢を打ったり、念じたり巨大な魚を呼び出したりと容赦ないではないか。
これには我輩も大喝采である。
勝利の潮風に浸っていると、雌の人間が我輩に白い液体をくれた。
どうやらあの長い乗り物で運んできた物のようだ。
我輩はこの船の主らしく、献上された物を飲み干してやった。
そうしていると、羽根の生えた雄……先ほど襲撃者の攻撃を庇ってくれた人間だ。が、我輩を触りたそうにしている。
我輩は恩を忘れない。喜んで撫でさせてやった。
そのうち人間たちは酒盛りを始めた。
我輩も差し出された魚の一番美味しいところを頂く。これぞ主の特権だ。
だが二匹の人間が我輩をどうこうしようかと言う言葉を聞く。
……我輩はこの船の主だ。もしこの船が沈むとしたら、喜んで一緒に沈もう。それが船乗りのと言う物だ。
しかし、抱えられては逃げられないだろう……まあ、その時はその時だ。
あの長い乗り物の主になってみるのも悪くない。
もしくは人間たちの世界で新たな船を探しても良い。
だが、それは何れの話しだ。今はこの船の主、我輩はそれでいい。
さて、人間たちは何時の間にか眠ってしまっているようだ。
疲れていたのだろう、気持ち良さそうに眠っている。
あとは我輩が見張りをするから、ゆっくり休むと良い。
何故なら我輩は、この船の主なのだから。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【狐変身】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV4になった!