リプレイ
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
耳川の戦い、天魔武者同士での合戦か。
本気で潰し合う気はないのだとしても、
この地が戦国の世であるという事を改めて感じるよ。
確実に誘導していくには役割分担も大事だね、
大友側は仲間に任せ、俺は島津側へ向かうとしよう。
島津側は大友軍を挑発して先に手を出させる気であるらしい。
血気盛んな島津の武者達らしいといえばらしい話だけれど、
その挑発も敵に先を越されたとあれば、より悔しがってくれるだろうか。
大友軍のブシドーマルは、火炎放射機能を内蔵した日本刀を使っている。
大友側からの挑発だと誤認させるには、炎を使うのが良さそうだ。
【光学迷彩】で木の陰に隠れつつ、大友軍を狙う島津軍を観察し、状況を確認する。
島津側が実際に挑発の行動を起こす前に、
『念動光線』と火炎使いの力を活用して、茂みへと火を放とう。
反撃が起きないように、狙うのはあくまでも茂みの草のみだ。
それでもこの時期の枯れ草ならば、派手に燃えてくれるだろうか。
ディアボロスの介入を気付かれないように注意しつつ、
火災の混乱に乗じて退くとしよう。
八上・霞
なんか敵さんは敵さんで揉めてて大変みたいだねえ。足軽って大変だあ……。
さてさて、ちょっとちょっかいかけてやりますかー。
ちょっくら大友の方へこっそり出向いて行ってだね、
彼らの道中に【トラップ生成】で見え見えの罠だらけの空間を作ってみたりなんかして。
一回見てみたかったんだあ、落とし穴だらけの空間。
普通は罠が見えたら避けて進むよね?戦意が低いなら尚更。
それでちょっとでも向こうさんの想定より深めに踏み込んだりしてくれたらいいんだけど。
なにより、自分が見つからないように気を付けて動くよー。
今、私たちが見つかって警戒されるとまた話が違ってきそうだからねえ。
ま、気楽~にね。今すぐ事を起こそうってわけじゃないんだし。
※アドリブ歓迎
「耳川の戦い、天魔武者同士での合戦か」
「なんか敵さんは敵さんで揉めてて大変みたいだねえ。足軽って大変だあ……」
高台の茂みに身を隠して両軍の天魔兵の動きを観察し、小さく呟く文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)の隣で八上・霞(閃光・g00118)がふわりと笑みをこぼす。
『耳川の戦い』。
本来の歴史においては島津と大友の間で繰り広げられた大きな合戦は、ゆがめられた歴史であるこのディヴィジョンでもまた、二つの大名の名を冠する天魔武者同士の戦いとして繰り広げられようとしていて。
「本気で潰し合う気はないのだとしても、この地が戦国の世であるという事を改めて感じるよ」
その流れに、雪人はどこか複雑な表情を滲ませて息をつく。
帝を頂点と仰ぎながらも、それぞれが己の国と目的のために戦った戦国大名。
断片の王を頂点と仰ぎながらも、独自の目的のために戦おうとしている島津の天魔武者。
全く異なる存在でありながらも、その動きはある意味では近しいともいえるもの。
とは言え、その目的を――今後の九州地方を巡る主導権を、島津にも大友にも握らせるわけにはいかない。
「さてさて、ちょっとちょっかいかけてやりますかー」
「俺は島津側へ向かうよ。こちらの介入で確実に誘導していくには、役割分担も大事だね」
「了解ー。それじゃ、私はちょっくら大友の方へこっそり出向いていくよー」
ぐっと伸びをする霞に、雪人が頷きを返し。
それぞれが向かう先へと視線を向けると、ディアボロス達は走り出す。
気付かれないよう、身を隠したままに足音を立てることなく。
同時に、相手の行軍に先行するように素早く、速く。
「ま、気楽~にね。今すぐ事を起こそうってわけじゃないんだし」
●
「さてさて、っと」
大友の軍勢より早く『高城』へと通じる道に先回りすると、霞はくるりと周囲に視線を巡らせる。
敵軍の現在地と目的地。彼らが通るだろう進路と、挑発しようとする島津の潜伏場所と。
幾つもの情報を実際の地形に重ね合わせ、指差し確認して場所を選んで。
「んー……このあたりがいい感じかな?」
軽く首を傾げつつ『トラップ生成』の残留効果でもって作り出すのは、あえて見つけやすく作った無数の落とし穴。
道を埋め尽くすほどに大量に。けれど、一見するだけでわかるほどに見え見えに。
「一回見てみたかったんだあ、落とし穴だらけの空間」
山ほどの落とし穴が広がる光景に、霞は、くすりと笑う。
クロノヴェーダである天魔兵に通常の落とし穴は意味をなさず、落下させてダメージを与えることも、穴に落として動きを封じることも叶わない。
落とし穴を意に介することなく直進することだって、その気になれば簡単にできるだろう。
けれど――全く影響がないわけでもない。
「普通は罠が見えたら避けて進むよね? 戦意が低いなら尚更」
嫌がらせ程度の意味しかないからこそ、直進しても迂回しても構わず――だからこそ、相手の動きを誘導できる。
戦意が高ければ、罠を踏み破って士気を高めようとするだろう。
戦意が低ければ、罠を迂回して面倒を避けて進もうとするだろう。
「罠を避けて進んで、それでちょっとでも向こうさんの想定より深めに踏み込んだりしてくれたらいいんだけど」
気付かれないように少しずつ、島津の懐へと誘導するように配置した罠を再度確認して。
「よし、と。それじゃー」
そうして一度大きく頷くと、霞は身を翻して茂みの中へと身を隠し。
道の向こうから近付いてくる天魔兵の姿に、息を潜めてそっと笑みを浮かべる。
なにより気を付けなければいけないのは、霞達ディアボロスが見つからないこと。
「今、私たちが見つかって警戒されるとまた話が違ってきそうだからねえ」
罠は仕掛けた。後はそれがうまく働くことを祈るのみ。
『おい、これ……』
『罠……か?』
『いや、ただの島津の嫌がらせだろ。相手にするな、こんなもの』
『そうだな。全く……避けて進むぞ、めんどくさい』
じっと見つめる霞に気付くことなく、道を進んできた大友の兵達はぶつぶつ言いながら罠を避けて――気付かぬ間に本来の進路から逸れて進んでゆき。
ほっと息をつくと、霞は兵が進むその先へと視線を向ける。
「さて、と。こっちはこれでいいとして……島津の方はどうなってるかなー」
●
『そろそろ大友の奴らが来る頃合いか。手筈はわかっているな?』
『無論。奴らを引き付けたら抜刀して一息に切り込んで――そして寸前で停止』
『相手が乗ってこなければ笑いものにしてやって、手を出してくるならそのまま開戦だ』
『くくっ、これで手柄を立てれば俺こそが真の四天王に……』
「なるほどね」
光学迷彩を纏って木の陰に身を隠し。
島津の兵が交わす言葉に、雪人は静かに頷く。
島津側の基本方針は、大友軍を挑発して、先に手を出させた上で反撃して叩き潰すこと。
それ相応の戦力が前提になるとはいえど、上手くいけば島津の力を見せつけると同時に、大友から正当性を奪い取ることもできるやり方ではある。
けれど――その一方で、隙が多く利用されやすいやり方でもある。
無論、そのリスクも含めて踏み潰せるだけの自信があるのだろうが、
「血気盛んな島津の武者達らしいといえばらしい話だけれど……その挑発も敵に先を越されたとあれば、より悔しがってくれるだろうか」
ふむ、と周囲の状況を――島津の兵が潜む茂みの場所と、大友軍が侵攻してくる方角を確認すると、雪人は呼吸を整えて霊力を身に纏う。
(「大友軍のブシドーマルは、火炎放射機能を内蔵した日本刀を使っている。大友側からの挑発だと誤認させるには、炎を使うのが良さそうだ」)
相手が冷静に観察すれば別物と気付くかもしれないが、開戦のきっかけを望む今の島津の背を押すには、それで十分なはず。
その上で、大事なのは仕掛けるタイミングと狙う場所。
早すぎず、けれど遅すぎでもなく。
大友の軍が茂みに近付き、島津側が実際に挑発の行動を起こそうと腰を浮かせた――その瞬間。
(「一つ、二つ……今!」)
霊気を纏う雪人の刀印が虚空へと閃き。
描かれた軌跡を中心として周囲の光が揺らぎ――束ねて放つ熱光線が、島津の兵が潜む茂みへと突き刺さる。
『なにっ、先手を取ってきただと!?』
『は、はははっ――やるじゃねえか見直したぞ、大友の!』
術が放つ炎が茂みを燃え上がらせる中で、動揺と哄笑の声が響き渡り。
続け、その炎を切り裂き、兵の振るう朱槍の風刃が雪人が隠れていた木を両断するも。
既にその場から別の木陰へと身を移す雪人が、さらに重ねて二度三度と光線を撃ち放つ
(「狙うのは兵士ではなく、あくまでその周囲の茂みや木々」)
反撃が発生すればディアボロスの介入に気付かれる危険がある以上、直撃を狙うわけにはいかない。
とは言え、これが大友の兵であったとしても直撃は避けようとしただろうから、そういう面でも偽装となっているはず。
(「それと……この時期の枯れ草ならば、派手に燃えてくれるか。ありがたい」)
小さく笑みを浮かべると共に、背後の天魔兵との距離を測りながら雪人は地を蹴る。
島津兵の背を押すことはできた。後はこのまま大友の兵団へとぶつければいいわけで――、
「あ、上手く釣れた?」
「ええ、上々です」
茂みを飛び越えた先で、ひょいと顔を覗かせる霞に頷きを返し。
振り向きざまにさらに光線を放つと、その炎と煙が天魔兵の視界を乱した隙を縫って、雪人は大きく横へと飛び退き木の陰へと身を隠す。
そうして――隠れた雪人と霞の前を、気付くことなく島津兵が駆け抜けて行き。
暫しの間を置いて、聞こえてくる剣戟の響きに二人はほっと息をつく。
進路の誘導と、戦意の後押しと。
二つの軍勢をぶつけ合わせる工作は、とりあえずは上手くいった。
「よし、これで」
「しばらくは待機、だねー」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
●
罠を避けて進む大友軍の前で茂みが揺らぎ――揺らぐ枝葉を切り裂いて、飛び出す複数の影が兵達の前へと立ちはだかる。
『よう、いい天気だな! そしていい覚悟だな!!』
『な、なに!? どういうことだ!?』
楽し気に――そして確かな殺気と共に、白刃を突きつける島津の兵に、大友の兵は戸惑ったように身を竦ませる。
確かに、相手が挑発行為に出てくることは予想していた。
けれど、ここまで好戦的な動きを見せるのは予想外。
『何を考えている! 本気なのか!?』
『応とも。お前達の挨拶は確かに受け取った。それに応えないのは島津の名折れだ!』
(『知らねぇ! まさか、先走ったバカがいたのか!?』)
動揺しながら大友の『リーダー』が左右の仲間へと視線を向けるも、返ってくるのは同じように困惑した視線のみ。
士気の低い大群だからこそ、その末端で勝手な動きをする者がいたとしても気付けないし、同時にその可能性を否定することもできない。
とは言え、今はまだどちらにも被害は出ていない。
ならば、
『待て。待ってくれ。暴走したやつがいたのであれば謝罪する。だから――』
『いやいや。持ち回り制だろうが軍の纏め役が簡単に頭を下げてはいかんだろう。なにより――お前ら、自分達が何処に居るかわかってるのか?』
『……え?』
開戦を避けようとするリーダーの言葉を苦笑と共に切って捨て、島津の兵が告げる言葉に大友の兵は首を傾げる。
『どこって……』
右を見て、左を見て。
振り返った先。遠く離れた場所に見えるのは――深入りを避け、島津とのにらみ合いを想定して指定された本来の目的地。
『……あ!』
『まあ、そういうことだな』
罠を避けて進むうちに、知らず知らずのうちに深入りしてしまった島津の領地。
それに気付いたリーダーが呆然と声を漏らし、その一方で島津の兵は楽しげに笑って槍を構える。
『俺達の国の中に大群で入り込んで、好き勝手に動いて、丁寧な挨拶までくれたんだ――こっちからも丁重に返礼をくれてやらないとなあ!』
『どうしてこうなった! こうなったらやってやる! やってやるぞー!!』
――かくして、日向の国の戦場に。
剣戟の音と気合の声と、哄笑と悲鳴と断末魔が響き渡る。
旗楽・清政
「「俺達の国の中に大群で入り込んで、好き勝手に動いて」――と?
黙って聞いておれば、ようも言えたものよ。
それがしらの時代に入り込んで、好き勝手して来たは、貴様等天魔武者ではないか!!」
我慢ならずと言った態を装いつつ飛び出し、横槍を入れると致そう。
すかさずツッコミを入れつつ、火牛計発動。
「龍造寺四天王が、何故島津の手下になっておるか!?
そして、四天王なのに何故かくも群れておるか!!」
五人揃って四天王、と言うネタは新宿島で見たけれども
此奴等の数はそれ以上でござるし、そも成松信勝、百武賢兼、
木下昌直、江里口信常、円城寺信胤はソロでアヴァタール級と
なっておってもおかしくはない人物。
何より、四人までが沖田畷の戦いで島津相手に死しておると言うに、
その島津の将を護るトループス級となっておるとは、
いくらその存在を騙る天魔武者に過ぎぬとは言え、
デタラメも大概にせい! でござるよ。
反撃は、足並みが揃っておらねば怖くは無いものの、ビームシールドで防ぐと致そう。
「その程度とは、龍造寺四天王の名が、泣いておるぞ!」
「……頃合いでござるな」
気配を殺して茂みに身を隠し。
島津と大友、二つの勢力の天魔武者同士が繰り広げる戦いを見定めると、旗楽・清政(知勇兼備の昼行灯・g08816)は静かに呼吸を整える。
数では劣れども、士気と練度に勝る島津勢。
数でこそ勝っていても、単体の武力で劣り、終始逃げ腰の大友勢。
その戦いの決着がどうなるかなど、問うまでもない。
『逃げ……いや、転進! 後ろに向かって転進!』
『おう、とっとと逃げろ、負け犬ども!』
『だから退却じゃねぇよ!』
程なくして、陣形を維持することも叶わなくなった大友勢が、雪崩を打ったように撤退をはじめ。
それに対する島津勢が勝ち鬨を上げ、あるいは今少しの追撃をかけんと歩を進める――その瞬間こそ、切り込む好機。
「――いざ!」
茂みから飛び出し、地を蹴り、愛用の緑玉の片鎌槍を握りしめ。
疾風の如き速さで放つ一穿で、天魔兵に反応を許すことなくその身を貫き。
引き抜く動きのままに振り抜く穂先で周囲の兵を退けると共に、清政はその切っ先を敵兵へと突きつける。
「『俺達の国の中に大群で入り込んで、好き勝手に動いて』――と? 黙って聞いておれば、ようも言えたものよ」
『ディアボロスだと!? どこから――いや、そんなものはどうでもいい』
『こいつには加減の必要もない。ぶっ潰すぞ!』
我慢ならず、と言った態を装う清政の喝破に天魔兵はわずかに動揺し――しかし、即座に揺らぎを振り払い槍を構え。
清政もまた揺らぐことなく天魔兵を見据え、緩やかに槍を巡らせる。
「それはこちらも同じこと。貴様等には情けをかけるつもりも無い。それがしらの時代に入り込んで、好き勝手して来たは、貴様等天魔武者ではないか!!」
大友勢と比べれば寡兵と言えども、単身である清政よりは間違いなく多数。
故にこそ、成すべきは相手に時間を与えることのない速攻戦。
槍の石突にて地面を強く突き、その一点を中心として吹き荒れる緑の烈風が周囲からの視線を遮り。
――風が吹き抜けたその後に現れるのは、猛烈な炎を全身に纏った大量の牛の群れ。
「それがしの火牛計は、一味違うでござるぞ」
歴史上に伝わる火牛計とは異なり、自身が炎を纏い燃え盛る猛牛が怒涛の勢いで天魔兵へと殺到し。
その勢いに足並みを乱した隙を逃すことなく、牛達の背を跳び渡る清政が槍を閃かせる。
「龍造寺四天王が、何故島津の手下になっておるか!? そして、四天王なのに何故かくも群れておるか!!」
龍造寺を支えた名将達『龍造寺四天王』の名を纏う天魔武者。
複数の資料で名が語られながらも、資料によってメンバーに若干の違いがあり、『五人揃って四天王』と言うネタは新宿島でも時折見かけるくらいには有名な話ではあるけれど。
(「此奴等の数はそれ以上でござる」)
――この敵は、『トループス級』天魔武者。
清政から見える限りでも、その数は十を超える。
(「そも成松信勝、百武賢兼、木下昌直、江里口信常、円城寺信胤はソロでアヴァタール級となっておってもおかしくはない人物……む、そういえばアヴァタール級にも龍造寺四天王が居るのだったか?」)
何より許せぬのは――四人までが沖田畷の戦いで島津相手に命を落としているにもかかわらず、その島津の将を護るトループス級として戦場に立つという、その在り方。
『我こそは島津に名高くなる予定の龍造寺四天王!』
『貴様の首を奪えば、我が名を響かせることもできるはず!』
『その暁には寝首をかいてやるが、それまでは協力してやろうか!』
「いくらその存在を騙る天魔武者に過ぎぬとは言え、デタラメも大概にせい! でござるよ」
前方から、左右から、我先にと天魔兵が繰り出す槍の連撃を、清政の槍が絡め取って外へと払い。
続け、鋭い呼吸と共に踏み込み、一瞬のうちに繰り出す三連の刺突で兵士の胸を貫き打ち倒して――、
「名声とは、それに見合うだけの器量と実力があってこそのものぞ!」
振り向くことなく背後へと腕を振るい、展開するビームシールドで背中を狙う新手の槍を逸らすと共に、引き戻す槍の石突でその足を払えば、倒れた天魔兵の鎧を火牛の蹄が踏み砕いて走り抜けてゆく。
確かに、この兵達の力量は大友勢よりも上ではあっただろう。
――だが、それでもトループス級の枠を出る程ではない。
周囲に目を向けることなく、仲間と足並みを合わせることなく。
ただ、個人の武勇と勢いに任せて振るう槍は、対等以上の敵と対峙した瞬間に地金を晒すものでしかない。
「心技体、いずれの面においても貴様等は足りぬものが多すぎる」
仲間を盾として死角から繰り出そうとする槍を、さらに手近な天魔兵を盾として受け止め。
二体の体を貫いた槍を引き抜こうと動きを止めた天魔兵を見据え――清政の渾身の一穿が、三体の天魔兵を纏めて貫き打ち倒し。
その威に押されたかのように、知らず後ろへ退く天魔兵へと、続けて地を蹴る清政が槍を閃かせる。
「その程度とは、龍造寺四天王の名が、泣いておるぞ!」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
ラウム・マルファス
ヤ・ウマトまで侵攻してた島津は純粋に脅威だし、大友が大軍を用意できるなら戦力は減らしておくに越したことは無いカナ
大友の周辺国がどう出るかは気になるケド、最終的には全部倒すんだし、せっかく戦いやすい戦場に出てきてくれてるんだ、両方倒してしまおウ
喧嘩両成敗ってやつだネ
敵は大群、正面から当たるわけにはいかナイ
ディアボロスの介入がバレるのもなるべく遅らせたいネ
狙うのは大友と島津がやり合っている前線、出来れば島津側近くの茂みとかに目立たない恰好で、光学迷彩も使って潜みタイ
上手く潜めたら、トラップ生成で周りに落とし穴を作っておくヨ
それと、火をつけたら下は煙幕、上は狼煙に見えるように薬品を仕込んでおこウ
準備できたら大友の兵を狙ってパラドクス発動
槍で突かれたような傷跡状に、空気に変換して倒そウ
上手く、島津兵の仕業だと思ってくれるといいナ
撃ち漏らしの居合斬りは致命傷を避けることだけ優先
攻撃後に上手く落とし穴に落ちたら、追撃して確実に仕留めよウ
バレたら仕込んだ薬品に着火して撤退
少しでも後方が混乱するといいナ
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
開戦への誘導は何とか上手く運べて良かった。
ならば次は戦闘の激化を狙いつつ、両軍ともに撃破していきたいところだね。
前線には仲間が向かってくれている様だし、
【パラドクス通信】で連携して全体の戦況を読みつつ、
此方は負傷して撤退してきた大友軍の退路を塞いで、
止めを刺していく役割を担うとしよう。
その為に用意するのは、島津軍の龍造寺四天王に似せた赤い鎧だ。
前線の大友軍が遠目に見て『島津軍に退路を塞がれた』と思ってくれたなら、
大友軍は負傷しても退くに退けなくなり、
両軍の戦闘激化へと繋げられるかもしれない。
初期のみ【光学迷彩】で木陰に潜み機を窺う。
退却してきた大友軍に向けて『幽玄の霧』のパラドクス使用。
体当たりな反撃を刀で往なしつつ、
島津の兵を装いながら【命中率アップ】な攻撃で撃破していく。
勿論交戦すれば、至近の相手には復讐者だと見破られる可能性もあるだろうが、
元より倒すつもりの相手だ、逃がす気など無い。
戦場の混乱に乗じて撃破してしまえば、
正確な情報の伝達もある程度阻害は出来るだろう。
「……さて、と」
光学迷彩を纏い、茂みに身を隠し。
天魔武者同士で繰り広げられる戦いを遠目に観察しながら、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が小さく呟けば。
共に息を殺して様子をうかがうラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)もまた、小さく頷きを返す。
「開戦への誘導は何とか上手く運べて良かった。ならば次は戦闘の激化を狙いつつ、両軍ともに撃破していきたいところだね」
「うん。ヤ・ウマトまで侵攻してた島津は純粋に脅威だし、大友が大軍を用意できるなら戦力は減らしておくに越したことは無いカナ」
精兵ぞろいの島津と、多数の兵を動員できる大友と。
両軍ともにそれぞれの形で脅威を備えた天魔の国であり――この地の開放を目指すためには、どちらも倒さねばならない大きな障害。
「大友の周辺国がどう出るかは気になるケド、最終的には全部倒すんだし、せっかく戦いやすい戦場に出てきてくれてるんだ、両方倒してしまおウ」
喧嘩両成敗ってやつだネ、と。軽く笑うと、ラウムは視線を前線から撤退してくる大友の兵達へと向ける。
数を減らしたとはいえ、未だ敵は大群。正面から当たるわけにはいかない。
故にこそ、仕掛ける前にもう一手。
(「ディアボロスの介入がバレるのもなるべく遅らせたいしネ」)
撤退する兵士達の進路の先へと視線を走らせ、眼鏡を光らせるラウムが発動させるのはトラップ作成の残留効果。
薄く残した地面の下に浅めの落とし穴を作り出すと共に、さらに汎用ドローン群を走らせ薬品を仕込ませて。
そうして――、
『急げ! 逃げろー!』
『いや、逃げるんじゃない。後ろに向かって前進だ――っ!?』
ばらばらに逃げてきた兵士達。その先団が落とし穴を踏み抜けば、内に仕掛けた発火性の薬剤が炎と煙を巻き起こす。
無論、一般法則の範疇にある仕掛け罠では、クロノヴェーダである天魔兵を傷つけることは叶わない。
けれど――敗残兵である彼らに『待ち伏せをされている』と、思わせるには十分。
同時に、
「覆い包め、幽玄の霧」
静かに、雪人が打ち合わせる掌の音に乗せて、巡る霊気が周囲を満たし。
生み出される幽玄の霧が、動揺の声をあげようとする兵士達を包み込む。
『なっ!? まさか、ここまで――!?』
「よし、今だ!」
霧と煙が相混ざる中に身を紛らせ、刃を閃かせる雪人が纏うのは赤の――大友の兵達を追い散らした島津の兵『龍造寺四天王』に似せた赤の鎧。
一閃、二閃――浮足立つ兵の隙間を縫って、走る刃が天魔の兵を切り伏せ。
続け、刃を翻して横薙ぎに放つ三の太刀は受け止められるも、そのまま打ち合うことなく飛び退き反撃をかわして。
『島津――いや、貴様等、ディア――!?』
「おっと、言わせないヨ」
飛び退く雪人の姿に、兵士は一瞬目を見開き――直後、ラウムの視線を介して発動するパラドクスが兵士の胴を貫き、それ以上の言葉を続かせることなく打ち倒し。
崩れる兵の脇をすり抜ける雪人が、背を向けて逃げようとするもう一体を切り伏せると共に――、
「――破っ!!」
『っ!?』
その残骸を踏み越え、退路を塞ぐように刀を構える雪人が残る兵へと気合の声を叩きつけ。
ラウムが周囲の落とし穴へと火種を放り込み、狼煙の如き煙を立ち昇らせれば、後続の兵達は動揺したように敗走の脚を鈍らせる。
(「さて、どうする?」)
(「退路は『島津に塞がれた』ヨ?」)
反応が遅れたのか、あるいは強引に突っ切ろうとしたのか。
続けて――しかしまばらに突出してくる少数の兵を打ち倒しながら、雪人は、ラウムは、大友の兵達の次の動きを見据える。
先行した兵士を切り伏せ退路を塞ぐ赤鎧、後続への合図と見える狼煙。
それらは、敗走する兵を島津が待ち伏せして仕留めようとしている、と思わせるための材料であり。
(「退路を塞がれ、退くに退けなくなれば――あるいは」)
『くっ、まさか島津がここまでやるなんて……』
『……いや、なんか違わね?』
『言われてみれば確かに……いや、そのへんはどうでもいい! とにかくここさえ抜ければ撤退できるんだ。突っこむぞ!』
(「両軍の戦闘激化へと繋げられれば最上だったが……そこまでは高望みが過ぎたか」)
半ば自棄が混じったような叫びと共に突撃をかける兵士達に、雪人は小さく苦笑を漏らす。
雪人達が塞いでいるのは、撤退しようとする兵士達の退路――彼らにとっての安全圏へと続く道。
島津軍に追い散らされ、命からがらに逃げ帰ろうとしている兵士の脚を止めるには、二人の圧ではまだ足りなかったけれど――、
「まあ問題ないヨ。大軍が大軍として動けないなラ、やり様はあるからネ」
「もとより倒すつもりの相手だ、逃がす気など無い」
小さく息を吐いて苦笑をかわし――そうして、ラウムが、雪人が、視線を鋭くして敵を見据える。
例え大勢であろうとも、自棄を起こしてばらばらに突撃してくるならば対処は十分に可能。
駆ける兵士達の足元で、踏みぬかれ、あるいはラウムが放ったドローンで起動させた落とし穴から煙が巻き起こり。
その煙を突き抜けて――僅かに足を鈍らせ隊列が崩れた兵士達へと、踏み込む雪人が刃を閃かせる。
「『――っ!』」
切り込む雪人と、突破しようと駆ける天魔兵と。
両者の間で交錯する無数の斬撃が、火花と衝撃を散らして弾きあい。
「万物解析……視えてるヨ」
弾かれ、踏みとどまろうとする兵士達の脚を見据え、ラウムが魔力を帯びた眼鏡『Rewriter』を介して発動するのは万物解析のパラドクス。
兵士の脚の構造を、魔術的な在り方を、あらゆる側面から瞬時に分析し――同時に、弱点と見切った箇所を空気へと変換して。
彼らの脚に作り出すのは、槍で突かれたが如き傷の跡。
続け、体勢が崩れた隙を逃すことなく、地を蹴る雪人の刃がすれ違いざまに閃き兵士達を切り伏せて。
さらに一歩、踏み込み放つ斬撃をぎりぎりで受け止めた兵士が目を見開く。
『この技は、いや、まさか――ディアボロス!?』
「ここまで近付けば、流石に気付くか」
「けド、気付いたところで手遅れだヨ」
ディアボロスの介入を島津と思わせるための偽装も隠密も、いつまでも通じるはずもなく。
至近の距離まで近づけば、仕留め切れずに撃ち漏らせば、正体に気付かれることは避けられない。
とは言え――気付かれたからと言って、互いの戦力も状況も変わるものでもない。
『――くっ!』
「甘い!」
交えた刃を押し返そうとする兵士の力に逆らうことなく、雪人は後ろへと飛び退き距離を取り。
その開いた距離を、背中のブースターを全力稼働させて突撃をかける天魔兵を見据えて、静かに息を吐く。
「撤退してきた大友軍。その止めを刺していくのが俺の役目だ。一兵たりとも通さない!」
体ごとぶつかってくるかのような、突撃の勢いの全てを乗せた斬撃を白銀の刀で受け止め――往なすと共に身を反転させ、その勢いも載せて切り上げる雪人の一太刀が兵士の胴を両断し。
その脇をすり抜けようとする兵士の前へとラウムがナノマシンを走らせれば、宙より生み出される無数のナイフが兵士の脚を阻む。
「悪いけド、ここから先へも後ろにも行かせないヨ」
ナノマシンのナイフに、さらに重ねて放つ十本の魔導ナイフ。
数多の刃が兵士の身を貫き――しかし、なおも止まることなくブースターを稼働させる兵士が刃を突き抜ける。
『っ、だが、何としてでも通らせてもらうぞ!』
「いいヤ――」
捨て身とも思える程に前のめりに、全力をこめて放つ兵士の居合切り。
その渾身の一刀を、魔力でできた黒い光輪『イバラの冠』を腕に纏わせて受け止め。
――守りを押し切る刃に浅く肩を裂かれながらも、同時にラウムが放つ足払いが兵士の体勢を崩し。
そのまま兵士へと肩を押し当て突き飛ばす先は、一際深く作り上げた落とし穴。
「少しでも後方を混乱させておきたいからネ。情報を持ち帰らせるわけにはいかないんダ」
続け、走らせる視線を介して兵士の鎧を炎へと作り変え。
そのまま巻き起こる煙に紛れ、雪人は、ラウムは、その場から身を隠す。
刃を交えた相手に気付かれようとも、戦場の混乱に乗じてその場で仕留めてしまえばそれでよし。
いずれ、正確な情報を――ディアボロスの介入を兵士達に気付かれるとしても、
「それまでの間に、もう一手」
「できる限りの事はさせてもらおうかナ」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
八雲・譲二
(トレインチケット)
結玉・白露
(トレインチケット)
「『――っ!』」
結玉・白露(鬼人のバウンサー・g01950)の妖刀『白露』と天魔兵の紅蓮刀と。
二つの刃が交錯し――押し切ろうとする天魔の刃を、合わせた刀を巡らせ外へと逸らし。
続け、半歩踏み込むと共に閃く一閃が天魔の胴を薙ぎ払い。
「おっと、この先へは進ませんぞ」
その背を狙う新手の刃へと、同時に飛び込む八雲・譲二(武闘派カフェマスター・g08603)が振るうのは『愛用のフライパン』。
使い込まれた鋼の厚底で刃を受け止め、弾く動きのままに手首を返して横へと振り抜けば、その一撃は回り込もうとする兵士の刃よりも速く頭を打ち据えて。
「ここが貴方達の終着よ――疾れ、輪閃機シルトガーレ!」
頭を抱えてよろめく兵士が体勢を立て直すよりも速く、メルキディア・セデクリエル(閃機術士のエンジェリアン・g03132)の放つ光の戦輪がその身を切り裂き消し飛ばす。
『くっ……貴様ら、ディアボロスか』
「いえ――通りすがりの正義の天使、とでも言っておくわ!」
引き戻した輪閃機を左手の先に従え、右手には大型拳銃型の閃機『シェキルザッパー』を握り。
ミニドラゴン『ジェスト』と共に、メルキディアは天魔兵を真正面から見据える。
島津の兵に追い散らされ、撤退を図る大友の天魔兵への追撃戦。
単体の武力では島津に劣るとはいえ、多数の兵を動かすことができる大友の戦力は決して侮れるものではなく。
この地の開放を目指すならば、いずれは倒さねばならない強敵であるからこそ――体勢を立て直す間も、情報も与えることなく、全ての兵を打ち倒す。
「きっちり終わらせて帰るぞ、そしたら今夜の飯もきっと美味い」
「期待してるわ。いくわよ、ジェストッ!」
『――!』
くるりと回したフライパンを握りなおす譲二に笑みを返し、メルキディアがジェストへと呼びかけ。
その身に宿す天使の力を銃へと集束し――放つ光弾が、光の戦輪が、さらに重ねる深紅のブレスが。
広域へと放つ光の乱舞が天魔の兵へと突き刺さり、足並みを乱し。
――生み出されたその隙間へと、刃と共に白露が駆ける。
「避難や誘導、後顧の憂いは無し。なら――俺は切りあいに専念させてもらおうか」
四方から走る斬撃を見極め、更なる速さで距離を詰め。
斬撃を潜り抜けざまに放つ手刀と蹴撃が、相手の刃を逸らして体勢を崩し。
踏みとどまろうとする動きに合わせ、さらに一歩踏み込み肩を押し当てて――、
「――ふっ!」
続け、鋭く息を吐くと共に至近距離から放つ体当たりが兵士を弾き――その動きのままに、白露は地を蹴り刃を抜き放つ。
自身と同じ名を持つ白い妖刀『白露』。
透けるほどに薄く磨き上げられたその刃は、切り方ひとつを誤るだけで容易く折れてしまうと思えるほどであり。
故にこそ、この妖刀は力押しで振るうのではなく。
「――切る、と」
すり抜けざまに音も無く閃く刃が、弾かれた兵士を、さらにその背後の兵士をも切り伏せて。
崩れ落ちる兵士を踏み越える譲二のフライパンが、続く兵士達の連撃とぶつかり合う。
「『――おおっ!』」
前方から、左右から。続けざまに振るわれる天魔の刃は紅蓮の炎を纏い、切り結ぶたびに周囲に火の粉を弾き散らせるも――、
「まだまだ、火の扱いが甘いな」
――炎も刃物も、その扱いは料理人たる譲二の本領。
相手の方が数が多くとも、その分野で後れを取るわけにはいかない。
「悪いな、お前のために淹れてやるコーヒーはねぇわ」
火花を潜り距離を詰める兵士へと、琥珀色の瞳に光を宿す譲二もまた火花を潜り踏み込んで。
互いの力を込めて繰り出す刃と鉄底がぶつかり合い、弾きあい――しかし、その衝撃をこらえて踏みとどまる譲二が、左掌から放つ光弾で兵士を打ち抜き動きを封じ。
そのまま一息に距離を詰め、両手で握り大きく振りかぶるのは愛用のフライパン。
「代わりと言っては何だが、こいつを喰らってみやがれッ!! どっせーーーい!!!!!」
叩きつける一撃が――ちゃんと焼く側じゃなくて底面で殴る配慮も加えた一撃が、兵士のかざす刀を砕いてその身を跳ね飛ばし。
「さて、と――」
「――終わらせるわよ!」
片手で数えられる程度となった残りの兵を見据え。
ふ、と。小さく息をつく譲二の背中越しに、両腕を広げるメルキディアが展開する兵装の力を最大にまで高める。
「輪閃機シルトガーレ、拡張装備『アガートツヴァーク』展開。銃閃機シェキルザッパー、キャノンオブシェキナーと限定合体――合体閃機彊ガンゴールクルセイダー、起動!」
三組十八発で構成される飛剣型の遠隔攻撃端末を従える光の戦輪が空を裂き。
大型のクロスボウ型となった合体閃機の光の弓を引き絞り――放つ光矢の砲撃が、続けざまに天魔兵へと突き刺さり。
『――だが、まだだっ!』
その砲火の中を駆ける兵士が、気合の咆哮と共に炎を背負う。
背中のブースターを全力稼働させ、その堅固な頭部で敵に体当たりを敢行する突撃技『ブシドークラッシュ』。
兵の質で劣るとはいえ、彼らは九州に名をとどろかせる大友の兵。
その最期の矜持を纏った突撃が、幾つもの砲火に貫かれながらも弾幕を突き抜け――しかし、
「いい気合いだ――だけど、その程度じゃ足りないね。夢を取り戻すその時まで! 私達は止まらねぇぞ!」
小さく微笑み、そしてより強く笑みを返し。
メルキディアの抜き放つ刀閃機イオスラッガーの刃を中心として、白銀の魔法陣が展開する。
「アイオンコード:サキエル、ラファエル、シャルギエル、トリプルドライブ!」
それは、水・風・雪の三つの天使術式を組み合わせて作り出す絶対零度の術式。
触れるものすべてを凍り付かせる絶氷の吹雪を纏う刃を掲げ、兵士を見据え。
「絶氷の雪崩に飲み込まれろッ!! グレイシャル・アヴァランチャー!!!」
振り抜く刃から放つ雪崩の如き冷気の奔流が、翔ける天魔兵を真正面から受け止め、炎をかき消し、その身を凍てつかせ。
――同時に、
「「『――おおっ!』」」
凍てつき、砕け散る兵士の背後から駆ける天魔兵が。
砲撃に並走するように駆ける白露が、譲二が。
舞い散る吹雪の残滓の中、最後の一瞬を賭して交錯する。
「『――』」
白露と、天魔兵と。
対峙する両者は共に刀を鞘へと収め――しかし、どちらも一瞬たりとも気を緩めることは無く。
呼吸を沈め、精神を集中し、互いの一瞬の隙を窺い。
――そして、
『――っ!』
先に刃を抜き放つのは天魔の兵。
全霊をこめて放つ居合の一閃が白露へと走り――その切先を見据え、より深く精神を集中し。
「見えた。逃がさねえ」
見様見真似、聞き齧り、知識と感覚と意地で以って心の眼を再現し。
相手の刃より早く閃く白露の刃が、白刃を切り裂き。
それと同時に、
『焼き払うっ!』
「熱意があるのはいいことだが、火加減は重要だぞ!」
互いに手傷を負うことを恐れることなく、真正面から譲二と天魔兵がぶつかり合う。
吹雪を焼き払わんと燃えさかる炎刃を、渾身の力を込めて振り抜くフライパンで打ち返し。
続けて譲二が空へと呼びかければ、多機能ドローンからの炎が体勢を崩した天魔兵へと降りかかり――、
『っ、だが、この程度――!』
「ああ、まだ弱火も弱火だからな。それに、凍えたお前らにはこっちの方が向いてるだろ」
炎を切り払う刃をフライパンで受け止め――なおも押し切ろうと振り抜く刃がフライパンを弾き上げるも、半身となって踏み込み刃をかわし。
「悪いが、冷凍食品は切り慣れてんだよ!」
続け、抜き放つ大包丁の一閃が、凍てついた装甲ごと天魔兵を真一文字に両断する。
そうして――、
「これで、大友側は片付いたわね」
そっと息をついて戦場を見回して、メルキディアは軽く手を打ち合わせる。
この地で勢力争いを行っていた二勢力のうち、片方は撃退できた。
残るは島津の兵と、その将と。
「さて……ここからどう攻めましょうか」
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
ドレイク・スマラクト
耳川の別の戦場で初仕事を終えたオレは、
その後も耳川の戦場を彷徨いていた。
どうせなら、ディアボロスとしての初仕事だけでなく、
最初の戦闘もこの耳川で経験するためだ。
そして、とうとうそれに相応しい相手を見つけた。
四天王とか言いながら五人以上いるのは何かのギャグかと思ったが、
数が頼みのトループス級のクセして、オレがオレがで連携も何もあったモンじゃねェ。
オレもディアボロスとしてまだ実力があるとは言えない身だけども、
こんな連中相手なら、まァどうにかなンだろ。
それじゃ、悪魔が来たりて何とやら、ッてな。
契約召喚を発動して、悪魔を召喚して、魔法をブッ放させるぜ。
槍衾敷けるぐらい密着してるンなら、一網打尽だろうよ。
で、反撃は槍衾で突きかかってくるのか?
しかし、息が揃ってない槍衾なんて怖くも何ともねェよ。
そンなだったら、どうせ槍衾の密度にもムラがあンだろ?
槍の密度が薄くなってるポイントに飛び込んだ上で、
出来るだけ魔晶剣で槍を防いで、ダメージを軽減するぜ。
キッチリ殲滅するまでは、倒れるわけにはいかねェからな。
メルキディア・セデクリエル
アドリブ・連携大歓迎
トレインチケットで乗りかかった列車と言う事でこのまま参戦するわ。
四天王とは名ばかりの槍兵大軍みたいだし、思いっきり引っ掻き回しながら蹴散らしていきましょう!
群龍烈槍による槍衾をこじ開けるならば一点突破の突進力。
なればここでリバーストライクのゴスペルブリンガーを呼び出し搭乗。
右手に鋸刃閃機アーチクリーヴァーを持ちつつフルスロットルで加速。
内蔵火器と隠し腕で保持したキャノンオブシェキナーで弾幕を張りながら構えのなってない奴に向かって突撃、跳ね飛ばしていくわよ!
一度突破したら攪乱するように敵陣を駆け巡り、騎兵隊のランスチャージの如く突撃。
アーチクリーヴァーのプラズマチェーンソーでなで斬りないしは突き刺したりして連携をさらに乱しつつ蹴散らしていくわ。
仲間が範囲攻撃などを狙ってるならこっちで誘導して動きを固めたりも出来るわよ。
「『――っ!』」
刃が、気勢が交錯し。
互いに傷つき――しかし退くことなく。
天正大戦国の地にて、ディアボロスと天魔武者はぶつかり合う。
――そうして、
「……さて、と」
戦場から僅かに離れた丘から戦いを見つめ、ドレイク・スマラクト(悪魔食らいし竜人・g10888)は静かに呼吸を整える。
ここ耳川の地の別の戦場で成し遂げた、ディアボロスとしての初仕事。
戦闘が目的ではなかったとはいえ、初めてとなるクロノヴェーダとの邂逅で得られた経験はドレイクの中に大きな学びとなって存在している。
であれば、次は――、
「どうせなら、最初の戦闘もこの地で経験しておくかねェ」
知らず、力をこめて握っていた拳を静かに開き。
二度、三度と掌を握り直して、緊張をほぐし。しかし気は緩めることなくドレイクは敵兵を観察する。
槍を携え、赤の鎧に身を包んだ天魔武者――トループス級天魔武者『龍造寺四天王』。
「四天王とか言いながら五人以上いるのは何かのギャグかと思ったが、数が頼みのトループス級のクセして、オレがオレがで連携も何もあったモンじゃねェ」
「四天王とは名ばかりの槍兵大軍みたいだし、こっちも遠慮はいらないみたいね」
島津の兵として仲間と刃を交える天魔兵の姿と立ち回り。
その在り様に苦笑を浮かべるドレイクに、メルキディア・セデクリエル(閃機術士のエンジェリアン・g03132)もまた苦笑と共に頷きを返すと携えた兵装を展開する。
「鋸刃閃機アーチクリーヴァー、リバーストライク『ゴスペルブリンガー』、起動」
戦力に劣れども、多数の相手が作り出す群龍烈槍の槍衾は無策で当たれるものでもない。
故にこそ、必要なのはそれを突き破るための一点突破の突進力。
「出力開放、戦闘態勢。さあ――思いっきり引っ掻き回しながら蹴散らしていきましょう!」
「オレもディアボロスとしてまだ実力があるとは言えない身だけども、こんな連中相手なら、まァどうにかなンだろ」
右手に斧剣型の閃機を握り、前二輪後一輪の三輪駆動車『ゴスペルブリンガー』のエンジンを唸らせ。
振り返るメルキディアに、ドレイクもまた頷きを返すと魔晶剣を抜き放ち魔力を巡らせる。
「初陣にはこれくらいの相手が相応しい。それじゃ、悪魔が来たりて何とやら、ッてな」
●
「ターゲット確認、『ゴスペルブリンガー』、『キャノンオブシェキナー』、照準リンク」
ギアを瞬時に切り替え、出力を引き上げ。
フルスロットルで戦場を駆ける機上で、メルキディアが操作盤へと手を躍らせれば。
「――発射!」
ゴスペルブリンガーの内蔵火器と、隠し腕で保持した砲閃機キャノンオブシェキナーと。
二つの砲口から放つ弾幕が、メルキディアに気付き迎撃態勢を取る天魔兵へと続けざまに突き刺さり。
巻き起こる爆炎が天魔の集団を包み込み、飲み込んで――、
『ちっ、舐めるな!』
「それは――」
「――そっちもだがなァ!」
その炎を切り裂き、閃く天魔の槍がメルキディアへと走り。
しかし、ハンドルを操り急旋回をかけて穂先を潜り抜け――横へとすり抜けるメルキディアの背後で、ドレイクがその魔力を展開する。
取り込んだアークデーモンの魔力を身の内より引き出し、握る剣の刀身へと収束し、振りかぶり、
「それだけ密集してるンなら、一網打尽だぜ」
振り抜く一閃に乗せて、ドレイクが放つ魔力の奔流。
その光の刃が天魔兵の陣を切り裂き、走り抜け――魔力光の残滓を突き抜けて、メルキディアが駆ける。
「切り裂け、アーチクリーヴァー!」
魔力光に切り裂かれた陣形の傷口を、握る斧刃の二連プラズマチェーンソーでさらに切り開かんと。
駆け抜けざまに左右へと振り抜く光刃が空を裂き、迎撃しようと突き出す槍もろともに兵士を撫で切りに切り伏せ、弾き飛ばし。
続けて叩きつける一撃は槍の柄に受けられるも――合わせた刃を離さぬままに、ゴスペルブリンガーの出力を高め、相手を押し込み。
そのまま、駆ける勢いも乗せて大きく振り抜く斧刃が、兵士の体を跳ね飛ばして――、
「ドレイクさん!」
「――おう!」
跳ね飛ばされた天魔兵が体勢を立て直すよりも速く、飛び込むドレイクの魔力刃がその鋼の体を両断し。
続け、地を蹴り、兵士の残骸を潜り抜けるドレイクの刃が、その先の兵の槍と切り結ぶ。
「『――っ!』」
斬撃、刺突、叩きつけ。
正面のみならず、左右から、時に背後から、続けざまに放たれる連撃を受け止め、切り返し。
足元を狙う薙ぎ払いを飛び退きかわすと共に、追撃と槍を構える兵士を見据え――着地と同時に即座に地を蹴り、ドレイクは距離を詰める。
「で、反撃は槍衾で突きかかってくるのか? しかし、息が揃ってない槍衾なんて怖くも何ともねェよ」
相手の数は自分達の数倍。
けれど――仲間との連携を考えることなく我先にと突きかかるだけならば、数の多さは足枷でしかない。
「そンなだったら、どうせ槍衾の密度にもムラがあンだろ?」
突き込まれる槍の切先を見据え、握る剣で受け流すと共に密度の薄い箇所へと身を滑りこませ。
押し当てた掌からの魔弾で兵士の胴を貫き、打ち倒し――なおも止まることなく力をこめて、撃ち放つ魔力の奔流が天魔兵へと突き刺さる。
「まだ終わりじゃねェぞ。キッチリ殲滅するまでは、倒れるわけにはいかねェからな」
「ええ、このまま押し切るわよ!」
ドレイクの放つ魔力砲が、さらに重ねてメルキディアが放つ銃砲火器の弾幕が。
二重に重なる砲撃が天魔の兵を押し包み。
そうして――、
「そう来るわよね。あなた達なら!」
弾幕の圧に耐えかねたように、無理に踏み込もうとする天魔兵を――相手の陣形の綻びを光斧の一閃で打ち砕き。
その残骸を突き抜けて、メルキディアはゴスペルブリンガーを走らせる。
「シルトガーレ、シェキルザッパー、閃機シリーズ同時起動」
最大速度まで引き上げた速度を落とさぬままに、天魔兵達を包囲するように駆け巡り。
続けざまに放つ光輪が、光弾が、光矢が、数多の砲撃が全方位から天魔兵へと突き刺さり、動きを封じ込め。
――同時に、
「相手の動きはこっちで固めるわ、止めは任せるわよ!」
「ああ、任せな!」
メルキディアの声に頷きを返し、ドレイクが握る剣を地面へと突き立てれば、刀身を中心として地を走る魔力光が地面に魔法陣を描き出し。
その光の中に現れるのは、かつてドレイクが喰らい、契約をかわしてきた悪魔達。
翼を持つ者、角をもつ者。幾つもの姿を持つ悪魔から魔力を引き出し。
さらに重ねてドレイク自身の竜の魔力も合わせて刃へと束ねて、
「契約召喚――この身にはな、竜と悪魔の力が宿ってンだよ」
竜と悪魔と、二つの魔力を合わせた渾身の魔力光が天魔兵を飲み込み、奔り抜け――そうして、
「……よし、と」
腕を振り抜き、魔力の残光を振り払い。
光の走り抜けた後を――天魔兵の消え去った戦場を見渡し、ドレイクはふっと息をつく。
「これで、兵士は倒したな。後は――」
『ええ、後は貴方達のみ、と。そういうことですね』
「――ッ!」
ふいに、背後から響いた声にドレイクが弾かれたように振り向けば。
そこに――半瞬前には誰もいなかったはずのその場所に立つのは、一振りの刀を携えた着物姿の黒髪の青年。
『島津と大友と、双方の兵の動きを誘導して潰し合わせ、そうして疲弊した双方を打ち倒す……ええ、見事な手並みですね。ディアボロス』
語る言葉の響きも、浮かべる表情も、穏やかで優し気なものを漂わせながらも――しかし、大気に満ちる妖気がその印象を否定する。
『時期が許すならば、どちらの兵にもこの手で愛を与えてあげたかったのですが……先を越されたとあれば、致し方ありませんか』
するり、と。動作の起こりすら見えない程に自然な動きで刀を抜き放ち。
その切先から突き刺さるのは、妖気と――冷たく鋭く、研ぎ澄まされた殺意。
『この渇きは、貴方達に愛を与えることで満たしてもらいましょう……ああ、ご安心を。貴方達の体であれば、間違いなく今の体以上に愛することができるでしょうからね』
「なるほど、ね。そっちが本体か」
その殺気を受け止め、メルキディアは小さく息をつく。
『彼』の愛は、相手を切り捨てること。
そして、犠牲者の体に寄生すること。
それが『彼』の――アヴァタール級妖怪、妖刀『夜守幸成』の愛。
『抵抗するな、とは言いません。抗ってください、足掻いてください』
『貴方達の血と肉と想いと――その全てを喰らった上にこそ、私の愛は花を咲かせるのですから』
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
旗楽・清政
相手を斬り捨て、その身体に寄生するのが愛とは、
随分と歪んだ愛もあったものよ。
いや、斯様なもの、愛と呼ぶことさえ烏滸がましい。
相手を慮らぬ愛など、愛には非ず、ただのエゴにしか過ぎぬ。
しかし、所詮人を斬ることしか知らぬ妖(あやかし)にはそれはわからぬか。
身を屈めてビームシールドを構え、喉はさらにもう片腕を以て
二枚目の盾と為した上で、エメラルド・ストーム・シージを発動。
「貴様が愛を騙るならば、それがしは明王の中でも
愛染明王に成り代わりて、調伏してくれよう!
友愛も情愛も識らぬ妖よ、この砲火にて滅び逝け!」
さて、随分と不格好な姿でパラドクスを発動したでござるが、
それは彼奴からの反撃への備え故。
彼奴の静夜の太刀は、神速の抜刀で、相手の急所を狙うパラドクス。
なれば、動作の起こりを見て防御を固めるはおそらく困難。
故に、予めビームシールドの内にて身を屈める事によって、
急所の並ぶ正中線を守りつつ被弾面積を減らし、
さらには攻撃されれば最も危険な喉は残る片腕と言う
二枚目の盾で護っておいた、と言うわけでござる。
八上・霞
……なんか嫌だなあ、あいつ。あの刀。
愛ね、愛か……。
あの妖刀が何を考えてようと、私には関係ない。……関係ないよね?
まあでも、とりあえず、倒さないとね……。
『転照気衝』でちょっと隠密気味に行動するね。【光学迷彩】も入れつつ、味方の戦闘音に紛れる感じかな。
味方の様子も見つつ、相手の隙を見計らって、不意打ちで攻撃したいね。
私の刀は鞘から抜かずに、鞘ごと鈍器代わりに強打する感じ。
……この刀はね、抜きたくないんだ。やばいやつだから。あんたみたいに。
一撃入れたら離脱して距離を取る。
向こうからの攻撃は、私の鞘付き刀を持ち上げて受ける。
私の傷にならなければ大事は防げる、かな。
……やっぱり同じ拵え。
その体の持ち主には気の毒なことだけど、
そういう愛はもう私が持ってるこの刀だけで手一杯だからいらないんだよね。
さっさと折れて頂戴、妖刀。
※連携・アドリブ歓迎
メルキディア・セデクリエル
アドリブ・連携大歓迎
貴公の言う愛は自己愛に満ちた欺瞞の愛ね。
なんせ相手を思いやってすら無いもの。
その思い上がった愛を拒否るには刀を文字通りへし折るしかない。
故にこちらも剣戟戦で勝負!
左手に鞘に収まった魔断刀アバドリプスを持ち、相手の静夜の太刀に勝負するかのように居合を構える。
いざ突撃その瞬間に右手を左籠手に添えて―――居合抜きはフェイントで抜刀するのは刀閃機イオスラッガー。
幅広の光線剣であるイオスラッガーで相手の太刀筋を遮る様にに振り上げて静夜の太刀のダメージを抑えながら斬り上げる。
さらにアバドリプスの鞘を地面に刺してそこから左手で抜刀、デュアルスラッガー・コンビネーションをの二刀流で果敢に切り込んでいくわ。
遠距離攻撃する仲間がいるならタイミングを合わせてバックステップなどで距離を明けて連携攻撃へと繋ぐ。
隙を見出したら妖刀めがけてX字に斬りつけてへし折っていきましょうか!
旗楽・清政(知勇兼備の昼行灯・g08816)の片鎌槍と、相手の手にする妖刀と。
ぶつかり合う二つの刃が火花を散らして切り結び――、
「『――ふっ!』」
合わせた刃で槍を制し、距離を詰める相手が刃を握り。
その動きにさらに合わせて槍を巡らせ、飛び退きざまに清政の放つ刺突が牽制すると共に。
一歩――半歩、後れを取りつつも追撃をかける相手の刃が、清政と入れ替わるように飛び込むメルキディア・セデクリエル(閃機術士のエンジェリアン・g03132)の刀と交錯して弾き合い。
続く横薙ぎをすり抜け、さらに踏み込む相手がメルキディアの横合いへと回り込むも。
そこより放つ妖刀の一閃を、合わせて踏み込む八上・霞(閃光・g00118)が鞘に納めたままの刀で受け止め、逸らし――、
「『――っ!』」
――続け、霞が、相手が、同時に放つ斬撃が二人の間でぶつかり合い、互いの体を後ろへと押し返す。
『ふむ、その刀は……なるほど』
(「……なんか嫌だなあ、あいつ。あの刀」)
互いに距離を取り、向かい合い。
霞の手にする刀――鞘に納めたまま振るうその刀に向ける『相手』の視線に、霞は小さく眉を顰める。
「愛ね、愛か……」
霞の握る刀『夜守幸成(よるのかみゆきなり)』。
その名は、今対峙している相手――妖刀『夜守幸成』と同じもの。
(「あの妖刀が何を考えてようと、私には関係ない……関係ないよね?」)
ただの偶然の一致なのか、あるいはそれ以上の繋がりがあるのか。
思うことはいろいろあれど――それでも、
「まあでも、とりあえず、倒さないとね……」
『ええ、是非とも。できるならば、ですが』
呼吸を整え、精神を集中し。
静かに身を沈める霞に、『幸成』は笑みを深めて刀を構える。
『貴女も、そちらの刀も、どちらも等しく我が愛で塗りつぶしてあげましょう』
言葉と共に吹き付ける殺気――否、瘴気とも言うべき気配に、清政はそっと息をついて首を振る。
「相手を斬り捨て、その身体に寄生するのが愛とは、随分と歪んだ愛もあったものよ」
持主に寄生すること、相手を斬り捨てること。
それこそが、この妖刀の語る『愛』。
けれど、
「いや、斯様なもの、愛と呼ぶことさえ烏滸がましい」
「貴公の言う愛は自己愛に満ちた欺瞞の愛ね。なんせ相手を思いやってすら無いもの」
清政とメルキディアと、二人の言葉がその愛を切って捨てる。
『幸成』の語る愛。それは、ただ自身しか見ていない独りよがりの愛情でしかない。
――故にこそ、
「相手を慮らぬ愛など、愛には非ず、ただのエゴにしか過ぎぬ。しかし、所詮人を斬ることしか知らぬ妖(あやかし)にはそれはわからぬか」
『心外ですね。これこそが余分な思いの入る余地のない愛だというのに……いえ、これ以上は、語らうことも余分ですね』
「そうね。ええ――その思い上がった愛を拒否るには刀を文字通りへし折るしかない、か」
清政は、『幸成』は、そしてメルキディアは、静かに首を振り得物を構える。
言葉ではわかり合えぬと、互いに理解した。
ここからは、己が刃で以って語るのみ。
「『――いざ!』」
精神を集中するメルキディアが、左手に鞘に収めた『魔断刀アバドリプス』を居合に構え。
それに応じるように、『幸成』もまた握る妖刀を鞘へと収めて居合に構え。
敵を見据え、鋭く息を吐き、同時に地を蹴り距離を詰め。
互いに間合いに入る――その瞬間に、メルキディアが右手を左の籠手へと滑らせ、抜き放つのは『刀閃機イオスラッガー』。
「切り裂け、イオスラッガー!」
居合抜きをフェイントとして、機先を制して放つ光の刃が『幸成』の刃と交錯し。
光をも断ち切る斬撃に幅広の刀身を半ばまで断たれるも、止まることなく切り上げる刃が相手の太刀筋を外へと逸らして。
その動きのままにもう一刀――『魔断刀アバドリプス』を抜き放つメルキディアが双刃を閃かせる。
「デュアルスラッガー・コンビネーション。光の刃と魔を断つ刃、二つの刃に阻めるものはないッ!」
それは、これまで相対してきた敵や仲間の様々な技を模倣し、取り入れた我流の剣技。
斬撃が、刺突が、体術が、続けざまに放つ無数の連撃が相手の刃とぶつかり合い。
僅かに押し込まれ――しかし、踏みとどまり。
重ねて放つ二つの刃が、追撃をかける妖刀を弾き返し。
飛び退く『幸成』を見据え、槍をかざす清政の左右にエメラルド色に輝く二つの砲台が展開する。
「逃がしはせぬ!」
『エメラルド・ビーム・ガトリング』そして『エメラルド・ビーム・カノン』。
大小二つの砲口から放つ光弾の連撃が『幸成』へと突き刺さり。
幾つもの光弾がその身を捉え、しかし続く弾幕を縦横に閃く妖刀が切り払い。
そのまま、弾幕をすり抜けんと踏み込み――飛び退く『幸成』を掠めて、光の残滓に身を隠す霞の刀が走り抜ける。
「これも、凌ぐか……」
『いい連携ですが、それくらいでは……いえ』
腕を掠める一撃に、僅かに刻まれた傷へと視線を走らせ。
打ち合う手を止めることなく、『幸成』は霞へと興味深げに視線を向ける。
『興味深い気配を纏っておられるようですが……その刀は抜かれないのですか?』
霞が振るうのは、鞘に納めたままの『夜守幸成』。
刀として切るのではなく、鈍器代わりに打ち据える使い方は本来のものとは異なるけれど――。
「……この刀はね、抜きたくないんだ。やばいやつだから。あんたみたいに」
『それは残念――では、抜かせて見るとしましょう』
「お断り」
鞘と刃と。交錯する二つの得物が互いの体に傷を刻みつけ。
深く踏み込む『幸成』の一刀を受け止めて飛び退き――着地と同時に左右に身を振る霞の姿が、追撃の剣風が届く寸前で揺らいで消える。
『操るは気なり。さあ、私はどこでしょう?』
「探す暇なんてあげないけどね!」
自らの持つ『気』を抑えることで、他者から認識されにくくなる技術『転照気衝』。
かつては暗殺に使われたこともあったという技で以って、霞はその身を影へと隠し。
響く霞の声に合わせるように、切り込むメルキディアが二刀を閃かせる。
「「――っ!」」
切り結び、弾き合い――弾ける火花の光と音に紛れ、回り込む霞の太刀が相手の刃を打ち据え斬撃を逸らし。
その下を潜り抜ける清政の槍が、飛び退く相手よりも速く閃きその肩を捉えて退かせるも――、
「『――だが』」
『まだです』
「まだでござるよ」
なおも、どちらも止まることなく。
一歩、地を蹴りさらに距離を取る『幸成』が三重の剣風を放ち追撃を阻み。
同時に、『エメラルド・ビーム・シールド』を展開する清政が、その光壁の裏へと身を屈めると共に数多の砲台を展開する。
「吹き荒れよ、翠緑の砲火の嵐!」
先の一対の砲門に、さらに二対を新たに加え。展開する砲台は合わせて六つ。
光盾を切り裂く斬撃に幾つもの傷を受けながらも、それと引き換えに放つ無数の光弾が『幸成』へと殺到し――その弾幕すらも切り裂き、駆ける『幸成』が清政へと肉薄する。
そうして、
『捉えましたよ――静夜の太刀』
告げる言葉も、風も、影すらも置き去りにするかのように。
神速で閃く妖刀の刃がエメラルドの光盾を切り裂き、清政へと走り。
奔る血飛沫がその刀身を濡らし――しかし、
『これは――』
「っ、捉えたのはこちらの方でござるよ」
喉元まで迫る妖の刃を、さらに左の腕を盾として受け止め。
貫かれたままに力を込めて刃を抑え込み、清政は敵を見据える。
『幸成』の放つ『静夜の太刀』――神速の抜刀で急所を狙うその一太刀は、動作の起こりを見てからでは受けることも避けることも至難の業。
――故に、予め展開したビームシールドの内にて身を屈めて急所の並ぶ正中線を守り。
その上で、相手が狙ってくるであろう最大の急所――最も危険な喉を、片腕と言う二枚目の盾で護り、刃を受け止める。
半ば賭けではあったが……それでも、刃を制し先んじた。
ならば、その差は一手たりとも埋めさせはしない。
「貴様が愛を騙るならば、それがしは明王の中でも愛染明王に成り代わりて、調伏してくれよう!」
吼え叫ぶ清政の周囲で空間が揺らぎ――その内より現れるビーム・ガトリングが、ビーム・カノンが。
最早数え切れぬほどに大量の砲口が『幸成』を包囲するように光を宿す。
「友愛も情愛も識らぬ妖よ、この砲火にて滅び逝け!」
嵐の如き猛烈な勢いで叩きつける極太の光条による集中砲火が、至近距離から『幸成』へと続けざまに突き刺さり。
その光の弾幕に貫かれ、弾かれ、飛び退く『幸成』へと、さらに追撃をかける砲弾に並走するようにメルキディアが地を駆ける。
「逃がさないわよ、シルトガーレ!」
駆ける脚を止めぬままに、メルキディアが投げ放つ『輪閃機シルトガーレ』が光を放ち。
空を裂いて切りかかる光輪は、十字に閃く妖刀に切り払われるも――その一手で僅かに相手の動きが鈍った機を逃すことなく、もう一歩を踏み込んで。
「刀閃機イオスラッガー、魔断刀アバドリプス。最大稼働!」
両手で閃く二つの刃が妖刀と切り結び。
弾かれ――しかし、突き込む斬撃を身を逸らしてかわすと共に、切り上げるアバドリプスの刃が相手の頬に傷を刻みつけ。
その動きのままに刃を返すメルキディアの手の中で、イオスラッガーの刃が輝きを強くする。
「これでッ!」
その刃が宿すのは、機構の内に組み込まれた天使の術式。
天光を纏い、身を捻る勢いも載せて叩きつける渾身の一太刀が、妖刀の瘴気をも切り裂いて刀身をへし折らんと閃き。
同時に、その光をも飲み込まんと、妖刀が刀身に一際強く瘴気を纏わせる。
『っ、この程度!』
「そうね。だから――この程度じゃないわよ!」
交錯する二つの刃が、互いの纏う光と瘴気を打ち消し合いながらも拮抗し。
――なおも止まることなく身を翻すメルキディアの左手で、握る『魔断刀アバドリプス』が組み込まれた奈落の天使アバドンの術式刻印を開放する。
「『――っ!』」
光を束ねるイオスラッガー、魔力を纏うアバドリプス。
挟み込むように振り抜く天光と魔力の二つの刃、力押しで振り切る妖刀の一閃。
二種三重の斬撃が閃き――刃を振り抜くメルキディアの肩から血が奔り。
同時に、妖刀の刀身に無数のヒビが走り。
――続け、
「これで――!」
「決めるぞ!」
振り向きざまにメルキディアが放つ追撃の刃を。
清政の放つ光弾の連撃を。
切り払い、飛び退き回避する『幸成』へと、その動きに追随する霞が刀を走らせる。
(「私の傷にならなければ大事は防げる、かな。それと……やっぱり同じ拵え」)
切り結ぶたび、鞘で受け止めるたび。
間近で見ることになる『夜守幸成』の刀は、霞の手にする『それ』と同じもの。
ならば――いや、
「その体の持ち主には気の毒なことだけど、そういう愛はもう私が持ってるこの刀だけで手一杯だからいらないんだよね」
胸によぎった思いを首を振って振り払い。
刀を巡らせ、受け止めた刃を巻き上げると共に一歩踏み込み。
放つ一撃で相手の腕を打ち据え、退かせ。
続け、よろめく相手を見据えて地を蹴る霞が鋭く息を吐く。
相手の愛を受け入れるわけにはいかず、体を奪われている彼を助ける術もない。
――ならば、ここで全てを終わらせてやるのが、同じ刀を持つ者としての縁なのだろう。
「さっさと折れて頂戴、妖刀」
剣気、闘気、殺気、あるいは相手の纏う妖気すらも。
周囲に満ちる無数の気配を探り、呼吸を合わせ――風に消えるそれらに紛れて、霞もまた自らの『気』を抑えて身を隠す。
「転照、気衝」
『くっ、ですが――そこか!』
その技に、相手が霞の姿を見失ったのは一瞬のみ。
周囲へと走る妖眼は、一呼吸の間も置かずに霞の姿を見出すも。
――今この時においては、その時間は致命的なほどに、
「遅いよ」
相手を間合いに修め、霞が腰だめに構える『夜守幸成』と。
相手が居合に構える『夜守幸成』と。
同じ名を持つ二つの刃が同時に――否、僅かに早く、閃く霞の一撃が妖刀のヒビを打ち据え、その刀身を割り砕き。
そうして、偽りの愛を謳う刃に終わりを与えるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!