虎牢に入らずんば虎子を得ず(作者 秋山霧夏)
#大戦乱群蟲三国志
#虎牢関前哨戦
#虎牢関
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その城塞はあまりにも異様すぎた。
城塞全体がなぜか何から身を守ろうとしているのか、新宿島の高層ビルに匹敵する高さの壁が一キロ以上続いている。
そしてその中央には何を通すためなのか、壁の半分ぐらいの高さを持つ門が建設されている。
それだけでも異常なのに、虎牢関の名前を模したのか要塞全体が虎を模した形をしているのだ。
なぜこんな建物が必要なのか、問おうにも辺りに話を聞けそうな者はいない。
賑わうはずの砦には動く姿が一つも無い。
そこにはただ時を待つかのように、ピクリともしない無い三国の垣根を超えた多数の蟲将がただただ整列しているだけであった。
●新宿駅グランドターミナル
「やあ、待っていたよ」
ガクハ・シアレットはディアボロスに片手を上げて挨拶をすると、早速資料を配る。
「樊城での皆の活躍が実を結び、次の行き先へのパラドクストレインが出現した。みんなにはそこに向かって欲しい」
タブレットを不慣れな様子でいじくりながらガクハは説明を始める。
「魏の曹仁は、荊州の更に北側まで撤退した。おかげで洛陽・長安方面へ進出する事が可能になったが、三国志で最も有名な城塞な『虎牢関』を突破しなければいけない」
大戦乱群蟲三国志の虎牢関は、史実の虎牢関に比べても更に強大である。その上前面には無数の蟲将が犇めいている。
「侵入とか工作とかでどうこうできる状況じゃ無いみたい」
残念そうに言うと地図の一点を指さす。
まずは短期決戦で攻勢をかけ、虎牢関全面の敵戦力を減らす必要がある。幸い、虎牢関の敵は、ディアボロスが一定以上まで近づくか、或いは、攻撃を仕掛けるまでは、直立不動で全く動かない。
「ようは奇襲できるって事だ。……明らかに変だが、罠は無いし思う存分暴れてくれ」
その後は敵の迎撃がある上、次々と援軍が集まってくるので、時間と共に戦況は不利になっていくだろう。
「未来を見据えると敵を数多く倒すにこしたことは無いが……無理しすぎずに、敵に打撃を与えたら無事に帰還して欲しい」
そこまで言った所でガクハはこれ以上言うべきか悩むが、意を決してディアボロス達に告げる。
「だが、敵は強大であり、すべてはみんなの活躍があれば可能とはいえ短期での攻略は難しい、かもしれない」
普段より期限が短いのに数は多いしな、と言いにくそうな顔でぽつりぽつりとガクハは言葉を紡ぐ。
「虎牢関の攻略全般を行わないという選択も、ありかもしれない」
どんな選択でもきっとディアボロスの進む道は繋がるはずだから。
「ま、これについては攻略旅団なりなんなりで考えてくれ。今回はあんまり深いことは考えずに、蟲将をぶん殴ってきてくれ」
私の分まで暴れてきてくれと言うとガクハはディアボロス達を列車に誘った。
リプレイ
宇佐見・勇
巨大な防壁にこれまた巨大な門、と。
あのサイズの門が必要になる『通行者』が存在するとなると……、どうにも嫌な予感がするな。
ともあれ、まずは敵の数を減らすところからか。
敵は大軍、こちらは寡兵。
奇襲の利を活かすのなら、やっぱりコレだな。
敵陣の側面に回り込み、手榴弾で先制攻撃を仕掛ける。
剣蟻兵の装備は右手に盾で左手に剣。軍勢の左手側に駆けつつ、衝撃力を重視した爆発物で陣形を崩していこう。
近づきすぎれば袋叩きは目に見えている。深追いは禁物。投擲がギリギリ届く距離を維持することを心がけよう。
突っ込んだ味方がいるなら、退路の確保も手伝いたいね。
自分が囲まれそうになったら置き土産の手榴弾を置いて素直に撤退だ。
レイ・シャルダン
1人だとボクっ子
人と話す時は私っ子で敬語です。
絡みやアレンジも歓迎です。
あ~もうやだやだ~。
ボクが好きなのは正史版三国志であってさー
こんな蟲いっぱいのわやくちゃな三国志じゃないんだよ~。
あれ全部蟲将?うひぃ近寄りたくなぁい。
奇襲が可能な間に数を減らしていくしかないかー。
フライトデバイス『アクロヴァレリア』含む全ての武装を起動して空中へ。
動かないならチャンスだ、空からの奇襲攻撃を行うよ。
パラドクス『スカイレイダー』を使用して攻撃
さぁ、空からの暴威を耐えられるかな??
攻撃と同時に【空中戦】を展開
弓による攻撃と、敵の行動を【情報収集し】
【一撃離脱】での回避行動をとるね。
ヴィ・トキワギ
ずいぶん物々しい有様だね。
でも、やるべきことをやるだけ。それはいつもと同じだ。
敵軍にまっすぐ飛び込み青龍偃月刀で【薙ぎ払い】
活火激発を叩き込む。
ダメージを与えたあとは【一撃離脱】でヒット&アウェイ。
敵は大軍、少しでも数を減らすべく一体一体確実に倒す。
ダメージの高いもの>仲間の攻撃したもの>その他。
仲間と連携し声を掛け合い確実に数を減らすよ。
敵反撃は蛮刀による【強打】で叩き落とす。
敵の動きを【看破】し読み取り攻撃を回避。
積極的に仲間のフォローに入り皆が少しでも長く
戦えるように立ち回る。
撤退の必要があれば周囲を警戒し仲間が安全に退避できるよう努める。
連携・アドリブ等歓迎。
皆で協力し、戦い抜くよ。
ディゼラータ・ネイディアラ
アドリブ歓迎
何だか、戦況が進んだようだが…流石にそう易々と進行させては貰えないようだな…だが、良い…一先ず、現場まで出てしまえば、目についたクロノヴェーダ共を叩き潰しに行けばいいんだろう…
何、数を減らせば其れだけで意味もあるだろう…
先ずは惨刃に・呪詛を纏わせ、守勢寄りに構え、距離を取ったまま吹雪や雷撃を連続で叩き込んでいって(氷雪使い・風使い・連続魔法・電撃使い・高速詠唱)
そのまま適当なところで「奈落因り」を発動してから撤退開始
氷壁と強風(吹き飛ばし)を背後へと連続展開しながら帰る
柳谷・凪
やっとここまで道を切り開いたんだよ。このまま虎牢関を抜いて長安まで辿り着いてみせるんだよ。
前哨戦、敵トループ相手に大立ち回りの無双をするのだ。
神への生命賛歌に由来する古式の奉納演舞を煽情的で妖艶に改編した演舞を行い、戦場の敵を魅了しつつ味方を鼓舞し士気を爆発的に高めるんだよ。魅了した敵は斬鋼糸【阿羅倶禰】で斬り刻んでいくんだよ。
残りHP4割まで減ったら撤退するんだよ。
「むぅぅ、結構頑張ったけどまだまだ先は長そうだねぇ。でも頑張って虎牢関を抜くんだよ」
紀・雪名
攻略は難しいが、敵を削ぐことはできるならば削いで削いで削ぎ落としましょう。
敵の多そうな所から、落とせる敵を一体ずつ、又は纏めて
なんとも硬そうな見た目ですが、僕の膂力に勝りますかい?
・【肉体改造】で膂力を最大限に引き上げ強化
・斬撃を放つ前に【破壊】で硬そうな装甲や剣をぶち壊す(パラドクス【鬼胡桃】使用)
・撤退の目標は己が押され始めた所、周囲の仲間に声をかけられた時、【結界術】で護衛し撤退
なるべく、己の破壊をもって敵の興味を引き暴れ回りましょう。
陽動にもなるでしょうし…ですが、深入りは禁物ですね。
引き際も見極めながら、戻りましょう。
滅しきれないのは残念ですが、仕方ありませんね。
藤宮・瑠璃
折角でっかい戦を防げそうなのに此処でまたでっかい戦争になったら意味ねえですね。さっさと終わらせて長安の調査に取り掛かるとしましょう。
敵の数が多い戦場において戦場を俯瞰できるのはアドバンテージになりますのでまずは飛翔の残留効果の展開を主目的として敵の殲滅とダメージアップの付与を副目的として双翼魔弾をぶち込みます。
単体攻撃からそこまで威力を落とさずに一度に二人まで攻撃できるので集団戦では効果が期待できます。
基本は遠距離攻撃をしますが相手が接近戦を挑んできたら好都合、格闘で牽制しつつライフルよりゼロ距離で誘導弾をぶち込みます。
横芝・光
連携&アドリブ歓迎。
死ぬにはいい日だ。死ぬ気で逝く。
『情熱』を以って戦おう。
まず腕を組み、『オーラ操作』で敵群の真正面に仁王立ちして威圧。
次いで戦場を俯瞰し、『戦闘知識』で敵同士の連携or作戦の齟齬をつく。
「みんなッ、殿は任せろ!」
多少の実力の差は気合+ド根性+努力でカバー。
『火炎使い』の炎で牽制して距離を保ちつつ、『オーラ操作』で強化した拳で『グラップル』して敵群を『吹き飛ばす』。
うぉぉぉぉぉぉ!
こぉぉぉぉぉぉなぁぁぁぁぁぁくぅぅぅぅぅぅそぉぉぉぉぉぉ
!!!!!
適度にHPを削った敵へパラドクスを撃ちこみフィニッシュとする。
例え半身をもがれてでも潮時には撤退する。それでも味方の撤退を優先する。
●虎牢関を眺める丘
「やっとここまで道を切り開いたんだね」
パラドクストレインを降り、壮大な虎牢関を眺めながら柳谷・凪(お気楽極楽あーぱー娘・g00667)が感慨深げに呟く。目の前の正史ではあり得ない構造物の先へ、道は繋がっている。
「巨大な防壁にこれまた巨大な門、と」
大きな手のひらに七つ道具の一つを目立たないように隠し、仕事の癖で光が反射しないように気をつけながら虎牢関全体を観察する。やけにリアルに造形された虎の指先に肉球まで再現されているのを見て宇佐見・勇(浮雲・g00315)は大きく嘆息する。そのまま視線を横に振ると巨大な虎の頭に隠された門が目につく。
「ずいぶん物々しい有様だね」
蟻も通さぬ関を青眼を細めてヴィ・トキワギ(天藍青・g01072)が眺める。
「あのサイズの門が必要になる『通行者』が存在するとなると……どうにも嫌な予感がするな」
「やるべきことをやるだけ。それはいつもと同じだ」
杞憂だといいのだがと肩をすくめる勇に落ち着いた声でヴィは返す。その横で目を輝かせながらレイ・シャルダン(人間のガジェッティア・g00999)が身を乗り出しサイバーゴーグルの望遠機能を起動させあちこちを見る。
「ボクが好きなのは正史版三国志であってさー」
Lynx of Boeotiaに表示されるあり得ない建造物を楽しそうに観察していたレイは、ディスプレイに大量に表示された警告に顔をしかめる。
「こんな蟲いっぱいのわやくちゃな三国志じゃないんだよ~」
あ~もうやだやだ~とぼやくのも無理も無い。一見ただの置物にしか見えないそれは延々と並んだ蟲将なのだから。
「うひぃ近寄りたくなぁい」
「さっさと終わらせて長安の調査に取り掛かるとしましょう」
嫌がりながらも好奇心を隠しきれないレイと対照的に淡々と藤宮・瑠璃(デーモンのデストロイヤー・g05126)は担いでいた重厚な対物ライフルのスコープを片膝を突いて覗く。
「しかし、戦況が進んだようだが……流石にそう易々と進行させては貰えないようだな……」
ディゼラータ・ネイディアラ(揺らめく星を喰らうモノ・g00054)が風で舞いかけた長髪を冥顎:無情輪廻で押さえながら凪の傍らに立つ。
「折角樊城ででっかい戦を防げそうなのに、此処でまたでっかい戦争になったら意味ねえですね」
「そのためにも虎牢関を抜いて長安まで辿り着いてみせるんだよ」
スカートの裾に着いた黄土を払いながら立ち上がった瑠璃と、くるりと羽衣を舞わせながら振り向いた凪は、真剣な顔と笑顔でうなずき合う。
「今回での攻略は難しいが、敵を削ぐことはできる」
紀・雪名(鬼をも狩り尽くす鬼・g04376)は静かに鬼の血をたぎらせながら○○
「ならば削いで削いで削ぎ落としましょう。」
丘の上にそろったディアボロス達はそれぞれ返事をすると静かに蟲将が隊列をなす戦場へ駆けていく。
●静けさ漂う虎牢関
墓標の様に静けさを漂わせながら蜀軍剣蟻兵は静かにその場に立ち続ける。無数に並ぶうちの一体が、何かに気づいたように顔を上げる。警告の声を上げようとした蟻兵を巻き込んで剣蟻兵の左陣が爆炎に飲み込まれた。
一斉に爆発した手榴弾に蟻兵が吹き飛ばされている間に、離れた場所に移動していた勇はさらにおかわりを追加する。敵の数や位置すらつかめ無いうちにさらに陣形を崩され蟻兵達は右往左往しているうちにさらなる爆発に巻き込まれる。
蟻の巣を突っついたような大騒ぎに全軍に動揺が走り浮き足立ち、左陣に意識が集中した隙を突いて朱の袖を後ろになびかせ横芝・光(特級厨師・g03838)が正面から飛び込む。
「うぉぉぉぉぉぉ! 突撃ィ――ッ!!」
大包丁を振りかざし当たるも幸いなぎ倒しながら敵陣正面を踏み躙る光に、対処しようと右軍がきびすを返す。が、それは最初の手榴弾攻撃での動揺が引き起こした判断ミス。雪下駄でからころと涼やかな音も自身の鎧武具が立てる音がかき消してしまう。疾走する雪名は勢いそのまま端にいた不運な兵を蹴り飛ばす。友軍を巻き込むながら吹っ飛び出来た穴にするりと細身の鬼は入り込むと、全身全霊を込めて封印を解除する。鬼の力が込められ巨大化した腕に触れただけで敵兵が吹っ飛びさらなる道を作る。
「破壊を引き連れ暴れ回りましょう」
敵の興味を引けば陽動にもなるでしょうし、と小さく呟き落ち着いた足取りで歩みながら殺戮の雪嵐を巻き起こす。
混乱する蜀軍を落ち着かせようと後陣の一際大きな蟻兵が指示を出そうとするが、その胸元に風穴が空く。理解できない表情で倒れる蟻兵の後ろ一列の兵がバタバタと倒れ伏した。
「完璧です」
双翼魔弾を放った銃口がゆらりと煙を立てる。人が扱えるモノに見えない対物ライフル「カレトヴルッフ」を軽々と捌き、次々と誘導弾をぶち込む。
遠距離狙撃に向けて盾を掲げた義兵達を手玉に取るように、今度は頭上から矢嵐が襲い来る。
ACROから放たれた矢は前方に集中していた敵兵を天上から射貫いていく。周囲から反撃に飛んできた刀をフライトデバイスのアクロヴァレリアの出力調整だけで避けると、機械魔導弓を引き絞りながら意図的にヴァレリアαの推力を落とす。
「さぁ、空からの暴威を耐えられるかな??」
急回転するしながら放った矢は加速度に引きさかれた様に幾筋にも枝分かれし、広範囲に矢を雨の様に降りまき地面に射止める。
空からの攻撃に反応して硬質な翅を広げる蟻の前に一人の舞姫が進み出る。金鎖をしゃなりと鳴らしながら踊るは奉納演舞。古式の演舞を彼女なりにアレンジした舞は扇情的で生命の脈動を感じさせる。輝く風を纏った凪の踊りは離れた場所にいるディアボロス達にも届き、戦いを生命を鼓舞する。その一方、踊りと共に放たれた斬鋼糸が魅了される様に動きを緩めた蟻兵の翅に巻き付くと一気に引き裂いた。
翅を失い飛び立つのを諦めた蟻兵が凪に迫る。殺気立った蟻兵に目も向けず、凪は味方を鼓舞し生命賛歌を飛び踊る。舞姫に迫る刃をグレイブが綺麗な蒼い軌跡を描いてたたき落とす。
引き戻した惨刃:禁哮霊墓を隙無く構え、ディゼラータが凪を守り立ちはだかる。命が洗われる踊りを止めるのは絆で結ばれた彼女が許さない。呪装の袖をから伸ばした繊手で禍々しいグレイブを暴風の様に振るい、距離を取りながら呪詛を刻みこむ。ディゼラータと凪はタイミングを合わせ次々敵を屠っていく。
最初の奇襲から立ち直りつつある蜀軍だが、まだまだディアボロス達が押している。しかし左陣に大量の兵が追加されると流れが変わり始める。
「奇襲の利を活かし過ぎたかな」
手榴弾での損害すら無視して迫る蟻兵の群れを後ろに引き連れて走りながら、勇は汗と冷や汗を流す。陣形を崩し被害を拡大させた張本人として勇は執拗に狙われていた。
距離を取るのに手一杯になった勇を追い詰めようと走る蜀軍に、瑠璃と連携して敵数を減らしていたヴィが距離を詰め晴雷の様に飛び込む。
「燃え上がれっ!」
豪炎を纏った青龍偃月刀を両手で腰だめに構え、まっすぐに敵軍に突入したヴィは火山を凝縮した様な熱量を偃月刀に込める。鋭い踏み込みと共に一気呵成に剣蟻兵をなぎ払った。炎の熱量に炙られた蜀軍は横っ腹を食い破られる。横槍に混乱する敵兵に手榴弾の雨が降る。爆発とタイミングを合わせ、かい潜りながらヴィは焼け残った蟻兵を駆け抜けざまの一撃で次々と戦闘不能にする。
辺りをキチン質が焼けた匂いが漂う焼け野原にした二人は別れ、ヴィは突出しすぎた光の元へかけていく。堅実な戦い方で仲間のフォローに回るヴィの尽力で、ディアボロス達の損害は最低限に抑えられていた。
●連戦継続の末の撤退
離れた位置で狙撃に専念していた瑠璃にも蜀軍が迫る。鋭い剣戟をデストロイガントレットで冷静に弾き、盾を蹴って飛び、距離をとりながら空中で榴弾を撃つ。敵を半分に打ち砕いた弾の反動で逆しまに浮き上がる足先に、横に迫る敵の顎を引っかけ後ろに投げ飛ばしその上に着地する。砲口を下に向け胸鎧に密着させるとトリガーを引く。地面ごと砕いた敵の残骸からとんで来た鎧の破片を小首をかしげて素通りさせると。何事も無かったかのように装弾する。
優勢で進んだ戦場は逐次投入される蟲将が数の暴力を振るい、ディアボロス達を押し返している。孤立しないように合流しながらディアボロス達は虎牢関から少しずつ離されていく。
傷ついている剣蟻兵に狙いをつけるが、それに気がついた別の兵が青龍刀の間合いに割って入る。振り下ろしたヴィの青龍偃月刀と剣兵の刀が火花を散らしあい、つばぜり合いになる。上段からから刀の重みと体重を乗せじりじりと押していく。受ける剣蟻兵が圧力に耐えきれず姿勢を崩した瞬間、その刀ごと一気にたたき切った。
横から突撃してきた兵に青龍偃月刀を大きく振り牽制すると、詰めてた息を吐きよく通る声で呼びかける。
「連携も取りづらくなったしここら辺が潮時だね、撤退に移ろう」
仲間のフォローに回り戦場を把握していたヴィの声に雪名も賛同する。
「深入りは禁物ですしね、戻りましょう」
残念さをにじませつつディアボロス達は撤退し始める。
斬りかかる蟻兵の一撃をひょいと腰をかがめてかい潜り、勇はコートから逆理手榴弾『ウルサス』を取り出す。置き土産代わりに転がる手榴弾は兵の足元で爆発し派手に粉塵を立てる。
粉塵を糸の様に引きながら澄んだ空へ飛び出したレイが、視界を狭められた剣蟻兵を完全視界の力を借り、後ろ向きに飛びながら正確に打ち落としていく。
誘引香に誘われたかしつこい蟻に後ろに引き連れ、あしらいながら走る凪の行く手を兵が遮る。足を止めるどころかスピードを速め、天翔虹舞靴が地面を踏み切る。天を翔け虹の上を舞うジャンプで敵の頭上を踏みつけると、再び踏み切り虹を描く。着地した凪とすれ違い、光は炎のオーラを纏った拳を追いかけてきた敵にたたき付けた。
「みんなッ、殿は任せろ!」
腕を組み、仁王立ちで光は敵軍を威圧する。迫ってくる大量の敵は捌ききれないのは自分でもわかっている。それでも、意地と気合いで余裕は崩さず光は呵々と笑う。
撤退するディアボロスを追いかけ雲霞のように刀を構えた蜀軍剣蟻兵が迫る
「死ぬ気で逝くよ」
一人その前に立つ光は必殺のパラドクスを放つ。あふれんばかりの情熱と炎で煮込んだそれをひっつかむと全力でおみまいする、
「こぉぉぉぉぉぉなぁぁぁぁぁぁくぅぅぅぅぅぅそぉぉぉぉうめェだろぉぉ
!!!!!」
シンプルな中華がゆに揚げパンを添えて。寝起きに優しい胃袋にしみる干し貝柱からだしを取った滋味深い味に搾菜がアクセントを添える。久しぶりに食べた本能から美味しいと感じる人間らしい食事に、衝撃を受けた蜀兵達は感涙を流し口々にうまいと叫びながら、バタバタと倒れていく。渾身の一撃を放ち肩で息をする光を、倒れた蟻兵を乗り越えた兵達が一斉に襲いかかる。剣が肉を断つ嫌な音の代わりにクリスタルが氷水晶の角とふれあって澄んだ響きを奏でる。引き返した雪名が剣を握る拳ごと剣を握り止めたのだ。ぐしゃりと鋼と肉をまとめて握り潰す反対側で、ヴィは蛮刀を振るい掲げられた剣をまとめてたたき折る。
三人の活躍で追撃が鈍った瞬間を逃さず、撤退する。
それでも追いすがる剣蟻兵にディゼラータは艶やかな笑みを向ける。
「何、数を減らせば其れだけで意味もあるだろう……」
その笑みに危機感を覚え幾人かの蟻兵は立ち止まるが、ほとんどの兵はそのまま突撃する。彼らに背を向け撤退しながらディゼラータはラテン語を口ずさみながらパラドクスを解き放つ。途端に照る陽すらかき消し黒く染める竜巻が蟻兵達を襲う。
不運であると考えなければ、何も不運ではないとはいうものの、蜀軍の前に彼女が立ちはだかったのは間違いなく不運だった。竜巻が晴れ、蜀軍剣蟻兵が体勢を立て直した時には、すでにディアボロス達の姿は戦場に見当たらなかった。
●虎牢関を眺める丘
「滅しきれないのは残念ですが、仕方ありませんね」
「むぅぅ、かなり頑張ったけど先はまだ長そうだねぇ。でも頑張って虎牢関を抜くんだよ」
傾きかけた太陽が照らす虎牢関は相変わらず堅牢で、しかし来たときには無かった穴が確かにうがかれていた。
その光景を目に焼き付けるとディアボロス達はパラドクストレインに乗り込んだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【先行率アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV3が発生!
【ガードアップ】LV2が発生!