ポルト港海賊船奪取作戦

 ポルトの港町の偵察を終えたディアボロスは、攻略旅団の提案に従って、港町ポルトに停泊している『海賊船』の奪取作戦を実行する事になりました。
 海賊船を奪取する事が出来れば、その海賊船を操って、エルドラードの大西洋の探索を開始する事が出来るかもしれません。
 偵察で得られた情報を元に、海側からポルト港に接近、最も警備が手薄な海賊船を狙って侵入して、船内のアビスローバーを撃破した後、ポルト港から海賊船を出港させてください。
 海賊船を奪って海に出る事が出来れば成功となりますが、その後も、海賊船の追撃が予測されます。
 海賊船出港後は、敵の海賊船の追撃を乗り越えつつ、大西洋を横断して、アビスローバーの本拠地である『海賊島』を目指す計画となっています。
 海賊船奪取後、海賊船を利用した別の作戦を行いたい場合は、攻略旅団で提案を行ってください。

海賊船を奪取せよ!(作者 黒塚婁
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●海賊船奪取作戦!
 攻略旅団より、ポルトの港に停泊している海賊船を奪取する作戦が提案された――セティ・バール(リターナーの王墓守護者・g03180)はそう告げ、ディアボロス達を見つめる。
「ポルト港の偵察によって判明した情報を元に、海側からポルトの港に潜入し、警戒の緩い海賊船を乗っ取ることになる」
 海より海賊船に乗り込んで、内部を制圧し、更にその船を操って出航する――まあ、強奪するということである。
 当然、アビスローバーどもが集う港での強行。
 出港するにも妨害が予測されるが、それを退け出港するのが今回の作戦となる。

 作戦の段取りだが――。
 まずはポルトの街の外より、海に出て、海からポルトの港へ潜入する。
 近郊沿岸まではパラドクスレインで移動可能である。そこから、海を泳ぎ、港に向かう。
「奪取すべき海賊船は、中型のガレー船だ。フィジー海で遭遇した海賊船よりは大型だが、フライング・ダッチマン号よりはかなり小さいものと認識してもらって問題ない」
 大体イメージ出来るだろうか、とセティは問う。
 史実の大航海時代では、人力で櫂を漕ぐガレー船よりも、帆走するガレオン船やキャラック船が主流であったようだが、黄金海賊エルドラードでは、概要の大型船であっても、ガレー船タイプが採用されているようだ。
 ――これは、海賊船がクロノ・オブジェクトであり、漕ぎ手がいなくても櫂での航行が可能と言う事が影響しているのかもしれぬ。
「漕ぎ手がいなくとも航行できる……とはいえ、漕ぎ手がいない場合の推進力はたいしたことはない。しかし、クロノヴェーダが櫂を漕げば、驚くほどの推力を得られるようだ」
 彼は一度切って、続ける。
 標的の海賊船は半舷上陸中で、船内に残っている船員も怠けきっている。海から乗り込んだ後は、素早く船員を蹴散らした後、船長室のアヴァタール級も討伐し、船を制圧してほしい。
 その後は出港の準備だ。
 帆を張ったり、錨を上げたり、係留ロープを切ったり、やることは多い。
 そんなことをしていれば、当然、異変に気付いた他の海賊船のアビスローバーらが出張ってくるだろう。
「戦闘を行いながら、出港準備を完了させる必要がある……海賊船はクロノ・オブジェクトだ。多少の戦闘では破壊されぬ――が、これから長い航海を行う船だ。極力、船体の損傷は避けるべきだろう」
 戦闘する側の心構えとして、覚えておいて欲しい、と彼は告げる。

 さて、そう言葉を切って、セティは再びディアボロス達を一瞥した。
「敵の重要拠点より、海賊船を奪取する作戦は――未だ敵の警戒態勢が整っていない現状だからこその作戦だ」
 つまり、来月以降はディアボロスの脅威が周知され、今回のような作戦は実行できなくなるだろう。
 まさに機を見るに敏というべき作戦提案だったと言える。
 微笑み、そう告げ――表情を改めたセティが「そして、これは少々先の話になるが」と断り、続ける。
「無事海賊船を奪取し、出航できた後も……アビスローバーらの海賊船に追跡される可能性が高い」
 トループス級を漕ぎ手に据えたガレー船の速度に対抗するのは難しく、危険が絶えることはないと予想される。
「しかし、その危険を退け、大西洋を横断できれば――敵中枢に一気に近づく事も可能だろう」
 奪取さえできれば、ポルトガル側より、どう渡っていくかという様々なプランが検討できよう。
 そのために、まずは、確実に海賊船を確保することだ。
「簡単ではないだろう……だが、汝らならば問題なくこなせると信じている。作戦成功を祈っている」
 彼はそう締め括り、説明を終えたのだった。

●とある海賊船にて
 半舷上陸中、船に残されたポルヴィーナ達は、だらけきっていた。
「あー、ヒマ……」
「どうせ敵もいないしねー」
 言いながら、ちびちびと瓶入りの炭酸水を呑む。
 半舷上陸とは、乗組員の半分が港などに上陸している状態のこと……一般的に、街でリフレッシュする側で。
 船に居残っている彼女達は、上陸することもできず、さりとて船上に仕事もなく――よって、船でだらけきってるというわけだ。
「ヒマだし、なんか賭けようか」
 ニヤっとしたポルヴィーナが、サイコロとお椀を持って、木箱をガタガタと寄せてくる。
「でもなー、なんも仕入れてないし……」
「早く上陸したいなぁ~~~!」
 口々に言いながら、相棒の宝箱を引き寄せ、車座になる。
「イカサマ禁止だからね!」
「そっちこそ!」
「お前がね!」
 やいのやいのとやりあって、時に殺気立つものの……彼女達は、次第に賭け事に熱中し出し、船の周囲警戒に関して言えば――見事に怠っているのであった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【壁歩き】
2
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV4 / 【ガードアップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

黒塚婁
どうも、黒塚です。
続きましたポルト冒険活劇。

●補足安堵注意事項
シナリオ展開は、①→②→④→③

まず海を泳ぎ、如何に船に乗り込むか。
②では、船でだらけている船員と戦闘となります。
彼女達は基本的に油断しきっているのですが、①での乗船があんまりに荒々しい場合はその限りではありません。(が、そんなことにはならないと思うので、基本、油断して慌てふためく相手を制圧します)
④はそのまま船長室に乗り込んでの戦闘。

③ですが、異変に気付いた周囲の船から乗り込んでくるアビスローバーを退けながら、出航準備を整え出港します。
良い感じに役割分担をしつつ、アビスローバーを蹴散らす冒険活劇要素です。
※オープニングで少し触れてくる追跡の件は、今後の展開の話になります。今回は出港までです。

●その他諸々
プレイングはいただいてから、1~2日おいて採用決定をします。
残留効果の説明もよくご確認ください。

進行必要数を多く超えたプレイングの採用は避ける方針です。
ご了承の上、ご参加いただければ幸いです。

それでは、皆様の活躍を楽しみにしております。
91

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


冰室・冷桜
こんだけ気を抜かれているってーのはなんだか久しぶりな感じ
野生の巨獣の方がまだ警戒心あるんじゃねーのって感じは、まだディビジョンの隅々までにはエゼキエル組やらゴンドワナから引き上げた面々からの情報は浸透し切れてねーって感じかしら
ま、やりやすい状況だってんなら有り難く利用させてもらうとしましょうか

【水中適応】を発動しましたら海中へごー
装備は目立ちにく暗色のウェットスーツにゴーグルなどを装備していきましょ
移動中はなるべく海底をゆっくりと進みつつ、適時海上の様子を確認するために浮上
浮上する際は十分に周囲の様子を警戒し、水音なども立てないように
ご一緒する面々との合図ややり取りは身振りやハンドサインで行うわ

目標の海賊船は停泊するための錨やら鎖、縄とかで目印に探せばいいかしらねー
無理そうな地道に海上を確認しながら探してきましょ

さーて、お宝探しするための足をゲットするとしますか


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

海賊船といえば帆船かと思いきや、ガレー船とは意外でした
漕ぎ手のトループス級は大変そうですね…

光学迷彩を発動
水中適応も借りれるなら借り
海洋迷彩のドライスーツを着て水中から船へと近づきます
船体から伸びる錨を見つけたら、それをよじ登って船に潜入しましょう
錨のある船首が港側を向いていて、登れば港から丸見えの場合は船尾舵に取り付いて登ります

船に取り付いて登っている最中が一番目に付きやすいでしょうから
船体色に近い外套を羽織り、できるだけ素早く移動します
櫂を出す小窓があれば耳を澄ませ
中の海賊達の声の響きで、どの辺りにいるのか推測します
早々に潜入を察知されぬ為にも、声が近い場合は少し距離を離すように移動して甲板へ乗船
行動中はできるだけ音を出さないよう心がけ
最短距離でも人目についたり、登りにくそうな場所は避け
多少遠回りでも海賊たちに悟られぬルートを
仲間とも連携し周囲の警戒や登坂しやすいルートを共有

海賊から海賊船を頂くとは、子供の夢のようで心が踊りますね
燥ぎはしませんが、楽しんで行きましょう


ジェーン・コーネリアス
いいねいいね、船を頂戴するなんて現役の時を思い出すよ
僕らのものになるんだ、船に新しい名前も付けたいけど、それは後にしようか

他の人の【水中適応】を使わせてもらって水中を泳いで標的の船へ向かう
まずは港からある程度離れたところで水面に顔を出して泳ぐルートを確認
海賊たちがうろついてる桟橋や他の船の近くは通ったら見つかるかもしれないから、注意しないとね
海上から影が見えないように水深深い海底を選び、砂を巻き上げないように可能な限り岩場をゆっくり進む

目標の海賊船までたどり着いたら船上から死角になるように船の真下から浮上
こういう時のためのロープはあるけど、上に船員がいたら気付かれそうだ
ロープは使わず【壁歩き】を使って他の復讐者と一緒にゆっくり船の側面を上るよ

上った後に敵がいなかったら船内の捜索だ
海賊が集まっててお行儀よく静かに読書なんてしてるはずもない
騒がしくしてるだろうから、たまたま出歩いてるのとばったり出くわしたりしなければ不意を打てるんじゃないかな


●潜入
「海賊船といえば帆船かと思いきや、ガレー船とは意外でした」
 素直な感想を口にしたのは、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)だ。確かに、漕ぎ手の問題さえ解決すれば、帆船よりも速度が出せよう。しかし――。
「漕ぎ手のトループス級は大変そうですね……」
 しみじみ零す。
 トループス級のアビスローバーにとって、海と陸、どちらが過酷なのだろうか……考えてしまって、感慨深い。
「いいねいいね、船を頂戴するなんて現役の時を思い出すよ」
 海賊帽を被ったジェーン・コーネリアス(監視者・g10814)は、こぼれた水のような銀髪を揺らし、笑う。
「これからの戦いに役立つのなら、やってみようか。向こうも油断しているうちに、さっさと強奪するのが良さそうだ」
 油断、ね――ジェーンの言葉を聴いて、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)が、呟く。
「こんだけ気を抜かれているってーのはなんだか久しぶりな感じ。野生の巨獣の方がまだ警戒心あるんじゃねーの」
 七曜の戦以降、各ディヴィジョンでのディアボロスの警戒が強まった。その影響は主に、隠密活動などの段取りに強く影響するのものであるが……。
(「まだエルドラードの隅々までにはエゼキエル組やらゴンドワナから引き上げた面々からの情報は浸透し切れてねーって感じかしら」)
 とはいえ、まだ、海賊船を手に入れたわけではない。
 相手が油断しているというなら、それでいい。
「ま、やりやすい状況だってんなら有り難く利用させてもらうとしましょうか」
 言って、冷桜はゴーグルを装着した。
 身体は暗色のウエットスーツを纏っている彼女は、お先に、と片手をあげて、じっくりと潜っていく。
「僕らのものになるんだ、船に新しい名前も付けたいけど、それは後にしようか」
 ジェーンは金の瞳を眇め――流石に気が早いか、と笑いながら、慣れたように、すっと沈んでいく。
 海洋迷彩のドライスーツを身に纏ったソレイユもまた二人に続く。
 日本と同じく、ポルトもこの時期は冷えるが――冷桜のパラドクスによって水中適応しているので、冷たさなどは感じない。
 彼もまた躊躇いなく頭まで沈むと、静かに水を掻き出した。

 水中適応中は、海中でも会話も出来るが――ディアボロス達は極力会話を避け、一挙一動を、静かに、慎重に泳いでいく。
 ソレイユと冷桜は海中深くを。港から少し離れたところで、ジェーンは暫し頭を出して、周囲の地形を目視していた。
(「海賊たちがうろついてる桟橋や他の船の近くは通ったら見つかるかもしれないから、注意しないとね」)
 接近するときは潜るものの、海中は先が見通しにくい。見つかりにくいよう、深く潜れば尚更だ……もっとも、深海のように暗くはないが。
 こうして探索を検討する時にしても、ソレイユが光学迷彩を発動させているため、発見される確率は下がっている。
 光学迷彩があっても見つかるときは見つかるが――もっとも、現在、ポルトのアビスローバー達はディアボロスが攻め込んでくるとは、夢にも思わず。港目掛けて全力パラドクス攻撃などの暴挙を仕出かさない限り、見つかることはないだろう。
(「それでも、気付かれない工夫は重ねて困ることはありませんから――」)
 ソレイユは海中でそっと息を吐く。僅かな気泡が登って、海上に至る前に消えていった。
 ふと視線を巡らせれば、ジェーンがハンドサインを送っている。同じく、一度海上に顔を出して周囲を確認した冷桜が、応答のハンドサインを出し、進むべき方角を決める。
 三者は頷き合うと、ぐっと身体を沈め、真っ直ぐ泳ぎ出す。
 停泊する海賊船らの影を利用し、より港際を進んでいく。
(「さて目標の海賊船は、と……停泊するための錨やら鎖、縄とかで目印に探せばいいかしらねー」)
 下ろされた錨と繋がる鎖の間を縫って――ぶつかったりして、うっかり揺らさぬよう、先程よりも慎重に泳ぐ。
 冷桜は聴いている船の特徴と照らし合わせる。流石に潜りっぱなしでは検討を付けられぬとなれば、船底ギリギリ、死角となる地点から頭覗かせ、確かめる。
 大体の船は、半舷上陸体制であろう――ソレイユはより気を引き締め、水を掻く。
 しっかり仕事をしている船などがあれば、危険極まりない。
 浅瀬では、時々、アビスローバーらの気配を感じる。会話の内容はなんだろうという情報収集も叶わぬ、大声をあげている気配のようなものだが。
 それを掻き消すのも、波の音――船にぶつかる波の音は、想像より煩い。
 自分達が泳ぐ音は、次第に気にならなくなった。
 うろうろと船を探し回り――やがて、ある船の下で、こっち、こっち、とジェーンが手招く仕草をしていた。
 間違いない、と冷桜が頷き。ソレイユは海中で、ふむ、と首を傾いだ。
「では、順番に錨を登りますか?」
 彼の問い掛けに、ジェーンは奪うべき船を愛おしげに見つめて、囁く。
「こういう時のためのロープはあるけど……上に船員がいたら気付かれそうだ」
 だから……と。彼女は船に縋るように足を付けると、すたすたと歩き出す――壁歩きだ。
 なるほど、これを使えば、錨などの鎖や係留ロープを渡るより簡単に、目立たず乗り込めるだろう。
 二人も倣って――港から見えぬところから、船体を歩いて登り出す。
 靴音を立てぬように、やはり慎重に――より素早く登るべく船体を蹴って跳躍するより、静かな方法であることは確かだが、壁を叩く音は、思いの外、内部に伝わるモノだ。
「音で気付かれねーかしら」
 冷桜が呟きを零すと、ジェーンは薄く笑う。
「海賊が集まっててお行儀よく静かに読書なんてしてるはずもない――」
 甲板か、船室かは解らないけど、と続け。
「騒がしくしてるだろうから、たまたま出歩いてるのとばったり出くわしたりしなければ不意を打てるんじゃないかな」
 なるほど、といった雰囲気で、冷桜は頷く。
 理由も場所もなんであれ、まんまと油断しててくれるなら、構わないのだ――。
 船体の色に近い外套を羽織ったソレイユは、ガレー船の櫂が出る小窓の近辺で、そろりそろり歩き――ひとたび脚を止めて、耳を澄ます。
(「声は……聞こえませんね」)
 ジェーンの言う通り、持ち場などから離れ、集まって騒いでいるのかもしれぬ。
 ならば、後は音を立てず登り切るだけだ。
 周囲の様子も変わらない。
 ただ、少し会話が強く聞こえる。
 海賊達は甲板にいるのかもしれぬ――。
 甲板に乗り込むべく、ひとたび身を低く屈め、とっかかりに手をかけて――冷桜は、双眸を眇めた。
「さーて、お宝探しするための足をゲットするとしますか」
 彼女の言葉を耳に、ソレイユもまた、柔和に微笑む。
「海賊から海賊船を頂くとは、子供の夢のようで心が踊りますね」
「腕が鳴るね」
 ジェーンが小さな声で、行くよ、と告げて。
 海賊船を強奪すべく、ディアボロス達は、ぱっと甲板に乗り込んだ。

●その時海賊たちは
 ――果たして、船上で……甲板に集ったポルヴィーナ達は。
「あ、またズルした」
「ズルじゃないもんね~、トリックを見抜けないほうが悪いのよ」
「いいから、負けた分出しなさいよ」
 こざかしくも木箱やらなんやらの荷物の影に隠れて、賭け事に現を抜かしていた。
 どれくらい現を抜かしているかといえば、こうして船に乗り込んだディアボロス達に、まったく気付かぬ程である。

 同時に、船長室にいるというキャプテンバルナクルスのもとに攻め込むことも出来る――彼とて、船に残り、やることもないことに変わりなく。
 ただやかましい船員達と離れ、ひとりで酒を呷っている現状だ。
 迅速に船を制圧し……少しでも早く、出港の準備を整えるために。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!

プターハ・カデューシアス
アドリブ・連携歓迎
【賽】
先に潜入した仲間と合流
錬晏と共にアヴァタールのいる船長室を目指します
なるべく早く【パラドクス通信】をつけて連絡が取れるように心がけ
トループスに向ったソレイユやナディアさんとも連携
タイミングを合わせて速やかに船を乗っ取りましょう

船長室といえば最後尾あたりでしょうか?
目星をつけて【光学迷彩】と【壁歩き】を利用して近づき、場所を特定したら、目立たぬように、迅速に
私は壁歩きで頭上の壁待機しておきますか
騒ぎに気がついて様子を見に出た所を狙いましょう
…って、錬晏が呼び出しを? 流石武人…潔し

通信から聞こえる開戦の声に
海賊狩ですか。良い響きですね、と笑い
ナディアさんの啖呵を励みにしながら
こちらも負けていられません

不意打ちを仕掛けたなら、一気に集中攻撃
仲間との連携して畳みかけます
反撃は毒もさることながら…殻が邪魔!
しかし、此処で怯む訳にはいきません多少の傷などきにせず全力で戦いましょう

錬晏とは相互ディフェンスし、お互いの得意分野での反撃ダメージも積極的に狙います


夏候・錬晏
【賽】アドリブ歓迎

海賊船か…今後の攻略に役立てることができるというのなら、ぜひとも奪取したいところだな
ソレイユ、ナディア殿と動き出すと共に、こちらも動き出す
配下への奇襲が始まると同時に<ダッシュ>で船長室へ向かおう

「敵襲!でぃあぼろすだ!」

船はクロノ・オブジェクトというし、通常の破壊行為では強襲出来ないと見越して、扉の前で大声で叫び船長殿を誘い出す

腰を下ろし<精神集中>で偃月刀を構えれば、扉から出てくると同時に咆哮でご挨拶
間髪入れず切りかかることで反撃のフジツボの剣と【ガードアップ】を使いながら打ち合い
プターハの襲撃を悟られないよう立ち回る

【パラドクス通信】から仲間の頼もしい声と配下たちが倒されていく音を聞き
間抜けな部下がいると苦労するな、と<挑発>の笑みを送ってやろう

プターハ、荒田殿と連携して畳み掛け、攻撃が途切れないように
朱殷の闘気が怒龍を形成すれば、<衝撃波>でフジツボの殻を吹き飛ばし、その攻撃力を削ぐ

プターハにはディフェンスを

お前も討ち取り、この船、我らがもらい受ける!


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
海賊船を奪うとは大胆なことを考えたよな。敵がどんな顔をするのか楽しみだ
船を傷つけずに船長を倒すか、精一杯気をつけよう

【行動】
救援機動力で合流し壁歩きなど使用して船に侵入
仲間と声を掛け合いながら積極的に連携していく

光学迷彩を発動させて船長室付近に潜む
パラドクス通信でタイミングを合わせて奇襲開始
夏侯が呼び出してくれるようだから
俺はその死角に潜み不意打ちしよう

まずはパラドクスを使用し自分の両腕を刃に改造して攻撃する
使える残留効果は全て使用しよう

敵からの攻撃は両腕の刃で防ぎ
神速反応で剣戟と同方向に動いて威力を殺す

こちらからの攻撃も同じく両腕の刃で行う
相手が剣で来るならこちらは刃で攻撃しよう

必要なら臨機応変に対処する


ジェーン・コーネリアス
どうせいつか気付かれるんだ
静かに淑女らしくじゃなく、派手に海賊らしくいこう

他の復讐者と手分けし、僕たちは船内に
船長室から出てこなきゃ船室の扉を蹴破ってカチコミだ
のんびり出てくるのを待ってる暇はないだろう?
ヨーホー! 一人寂しく晩酌かい、キャプテン
甲板の子たちみたいに賭けを楽しんだらいいのに
今なら僕らが相手をしてあげるよ
賭けるのは互いの命でね!

両手でカトラス「Macha」を握り、全霊の力を込めた剣術でキャプテンバルナクルスの剣型フジツボと斬り合う
狭い船内だけど他の復讐者と取り囲んで攻撃してこっちの攻撃を当てやすく
時間もかけていられないし、積極的に攻めて早めに倒せるようにしたいね
上段からの全霊の力を込めた唐竹割りで剣型フジツボごと断ち切ろう

船長もいなくなったことだ
これからこの船は僕らが有効に使わせてもらうよ
さ、出港準備だ! 急ぐよ!


●電光石火
「船長室といえば最後尾あたりでしょうか?」
 プターハ・カデューシアス(招福龍・g03560)の、確認するような囁きに、ジェーン・コーネリアス(監視者・g10814)は「おそらくね」と言う。
 彼女の表情が――否、全身から楽しそうな気配を発しているのは、気のせいではあるまい。
 油断しきった海賊らの目を盗み――盗むまでもなく――ディアボロス達は、甲板を音も無く通り抜けて、船室へと潜り込む。
 それにしても、と荒田・誠司(雑草・g00115)が口元に笑みを浮かべる。
「海賊船を奪うとは大胆なことを考えたよな。敵がどんな顔をするのか楽しみだ」
 いささか人の悪い顔をしているだろうか――客観的に、そう判断してくれる者はここにはいない。
 必要以上に、面白がるつもりはないものの……。
 完全に、平和に、緩みきった敵の隙を狙う――現在のディアボロスの戦いでは、滅多にないシチュエーションだ。
 海賊船か、夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)が静かに吐息を零す。
「………今後の攻略に役立てることができるというのなら、ぜひとも奪取したいところだな」
 涼しく通さぬ袖を靡かせ、そう不敵に言い放つ彼の横顔に、プターハが頼もしそうな眼差しを向けた時。
『さて、海賊狩りの時間ですよ』
 パラドクス通信の端末から、そんな声が聞こえてきた。
「海賊狩ですか。良い響きですね」
 プターハが笑うと、
『そうですか? ふふ、そちらも、ご武運を』
 ソレイユの声と、彼の奏でる旋律が端末から返ってきた――。
 あちらは戦闘を開始した。よって、こちらも仕掛けようと、プターハが仲間達へ合図を送るべく振り返ろうとした瞬間。
「敵襲! でぃあぼろすだ!」
 錬晏が声を張り上げた。腹の底から響くような、堂々たる声。
 ぎょっとしたのは、プターハだ――無論、あちらから動いてくれるほうが有り難いという計算はあったのだが……。
「流石武人……潔し」
 ただ、神妙に呟く。それを見たジェーンは、からからと笑う。
「どうせいつか気付かれるんだ――僕も、静かに淑女らしくじゃなく、派手に海賊らしくいこう」
 そんな会話が、聞こえたか、どうか。戦闘向けに表情を引き締めた錬晏は、黒龍偃月刀を構え、その一瞬を待ち構える。
「敵襲だと!?」
「咆えろ!」
 手下どもに向かって確認する叫びに応えるように――戸が開いた瞬間を狙いすまし、彼は偃月刀の柄を床に叩きつけ、衝撃波を船を揺さぶるような叩き込む。
(「船はクロノ・オブジェクトというし、通常の破壊行為では強襲出来ないはず――」)
 程度にも寄ろうが――海賊らも船で戦闘を行うこともあろう。このくらいであれば影響はあるまいと。
「っ!?」
 キャプテンバルナクルスは、外へと飛び出した途端、凄まじい衝撃に襲われ、低く叫んで後ろへ蹌踉めく。
 その様を影より見ていた誠司が、ここぞとばかりに、強く前へと踏み込んだ。
(「――船を傷つけずに船長を倒すか、精一杯気をつけよう」)
 考えながら、腕を交差させ、バルナクルスの胸元へと突進する。
「自己改造完了、斬り伏せる!」
「ぐっ、」
 誠司の両腕は、犀利な片刃と変じている。距離が詰まるに付け、首を挟み込むよう交差範囲をぐっと狭める。それを仰け反るように回避しつつ、肘から伸びたバルナブレードで、誠司を振り払う。
 無理を利かせ、誠司から距離をとった船長に襲いかかるは、祈りを具現化させた球状のエネルギー塊――それも、頭上を襲い来る。
 プターハは壁に立った状態で、攻撃を仕掛けた――やや俯瞰に見れば、やや手狭な戦場での混戦とて、射線を逃さぬ。
「クソッ、どうなってやがる――見張りは!」
 やむを得ず、エネルギー弾を喰らって、耐えながら……バルナクスは忌々しげに言い放つ。
 無論、毒性を帯びたフジツボの殻をプターハに打ち返すのも、忘れてはいない。
「ヨーホー! 一人寂しく晩酌かい、キャプテン! 甲板の子たちみたいに賭けを楽しんだらいいのに」
 揶揄混じり、ジェーンは両手で握る血のように赤い魔力を帯びるカトラスを高く掲げ、斬り込んだ。
 そして、全身の力を籠めて、振り下ろす。
「今なら僕らが相手をしてあげるよ。賭けるのは互いの命でね!」
「ッ!」
 咄嗟に受け止めた、その剣の重さに、バルナクルスは思わず踏鞴を踏んだ。
 口笛一つ、ジェーンが軽やかに床を蹴って、もう一撃、と腕を上げた――刹那。
「舐めるなっ!」
 前のめりに傾いでいた敵の体が、斜めに跳ね上がる。腕を畳み、身体を捻りながら――肘から生える刃を巧く使うなら、それが一番的確にジェーンを捉えられようという動き。
 なんの、と彼女はカトラスを盾に身を守り、衝撃の儘、船室の端まで一気に跳び退く。
「流石、キャプテン! やるじゃないか」
 態とらしいジェーンの一声に、忌々しげに奥歯を噛んだバルナクルスは。
 異国の香が、ふわりと漂う感覚に、反射的に腕を上げた。
 ドッ、と分厚い壁にぶつかられたような衝撃を、バルナブレードで斬り裂くために。
「間抜けな部下がいると苦労するな」
 錬晏は哀れみを籠め、琥珀の瞳を眇めた。微笑には、明らかな挑発が滲んでいる。
 すっかり酒の酔いも冷めたバルナクルスは、ちっ、と舌打つ。
「オレの船を守るのは、オレの役割だ!」
「立派な心がけだ」
 涼しい声音は、斬りかかる誠司のもの。同時、鋭く走る二連の斬撃。
「だが、奪う」
 眼前に、火花が散る。
 刃と刃がぶつかって、軋む。青白いバルナクルスの膚に、赤い飛沫がへばりついている。
 血を流しながら誠司を睨めつけ、船長は力任せに肘を薙ぐ。
 両腕で身を庇いながら誠司が横へと退けば、間を詰めるように、即座にエネルギー弾が次々と降り注ぐ。
「小賢しい!」
「毒もさることながら……殻が邪魔!」
 発射されたフジツボの殻を避けるべく、プターハは壁を駆ける。いくつか逸れた結果、壁へ穿たれた穴を確認して、ひやっとするが、この程度ならば問題あるまい。
「まったく、僕の船に傷をつけないでくれよ」
 ジェーンの抗議に、バルナクルスは肩を怒らせる。
「オレの船だ!」
 わかりきった怒声に、ニッと笑って、ジェーンは躍り掛かる。
 全身全霊を籠め、大上段から振り下ろす、カトラス――バルナクルスは、その斬撃を見極め、避けようとしたが――壁際に追い込まれ、逃げ場が失われていると、気付く。
 肩を割る、鋭い痛みを甘んじて受け。
 深々刃を下ろしたジェーンを、横薙ぎに叩くように、海賊は腕を振るった。
 無論、そこにあるのは、おどろおどろしきフジツボの剣。
 ぱっと散った己の朱色を見ても、ジェーンは強気な表情を崩さなかった。

 孤軍奮闘するバルナクルスは、疲弊した身体を叱咤するように、血を撒き散らしながら、ディアボロス達の間を駆け抜け続けて、いた。
 肘のブレードひとつで、ぐるぐると順に相手取り、ひとつ飛び技をつかうプターハへの牽制も忘れぬ。なれど、やはり、限界は近そうだ。
 油断せず、プターハは敵を見据えたまま。不意に、端末から聞こえてきた、威勢の良い啖呵に、思わず微笑を浮かべ――甲板での戦闘も佳境を迎えていることを察する。
 そろそろ、決着をつけねば――。
「こちらも負けていられません」
 そっと零すと、鋭き金の眼差しを敵へ向け、それが脚を止めた瞬間を狙い、念珠を放つ。
 バルナクルスも、それを視界で捉えてはいただろうが、碌な反応ができぬ体勢であった。小さな球体のエネルギー弾が、次々とフジツボの身体を貫いていく――くぐもった声をあげ、海賊は苦し紛れに殻を飛ばし、相殺を目論む。
 その反撃の一部が、プターハの手元を掠めていく。手首に、流れゆく鮮血に目を落とした彼は、ぎゅっとそこを握ることで止血する。それを横目に確認した錬晏の闘気のような、殺気のような気迫が、うんと強くなる。
「お前も討ち取り、この船、我らがもらい受ける!」
 高らかに告げるや、錬晏は、偃月刀の柄で、床をとんと突く。
 地鳴りのような黒龍の咆哮とともに、放射状に走る衝撃波。それを、回避するすべはバルナクルスになく。ただ受けて凌ぐより他にない。
 だが、その瞬間。もう耐えきることは難しいと悟った海賊は、錬晏に向かって斬り込む道を選んだ。
 肩からのタックル、そこから敵の腹をねじ切るような肘打ち。
 ブレードの間合いを、彼は見、刀で合わせる。
 がつんと全身に響く衝撃は、死に物狂いの最後の矜持か――錬晏は徒に逆らわず、受け流すように身を躱す。
 次の呼気は、海賊の頭上から来る。
 真っ直ぐ垂直に、真っ赤な軌跡を描いたカトラス。
 首か頭を狙う、ジェーンの一撃は、横を振り返ったバルナクルスの額を割った。
「ウォオオ!」
 顔面に真っ赤な血を流しながら、海賊は雄叫びをあげ、大きく腕を薙ぎ払う。
 剣風を受けながら――ジェーンは敵越し、その向こうへ、目配せを送る。
 応じるのは、その背に迫る誠司。
 彼は両腕を広げ、閉じ――バルナクルスの両肩から背の半ばまで、左右から、深々斬り裂いた。
 フジツボに守られた屈強な肉体が、とうとう、致命的に輪郭を歪めた。
 ごぶっ、と濁った音を立て、船室は、濃密な血の臭いに満ちる……。
 淡淡とした誠司の、ゴーグル越しの眼差しに見下ろされ、バルナクルスは血の泡を吹きながら、崩れ落ちる。
「き、貴様ら……」
 海賊船の船長は。
 憎悪を隠さぬ険しい表情でディアボロス達に怨みを零す。
「ディアボロスごとき、が……ポルトを出られると……思う、な……よ」
 そして、動かなくなったそれを、暫し見つめ。
 誰ともなく、息を吐く音だけが、船室に響いた。
『こちら甲板制圧完了――首尾はどうかしら?』
 端末から、声が聞こえる。甲板の戦闘も、無事終わったようだ。
 さて、帽子を被り直したジェーンが、仲間達を振り返り、朗らかに笑った。
「船長もいなくなったことだ――これからこの船は僕らが有効に使わせてもらうよ――さ、出港準備だ! 急ぐよ!」
 高らかに勝利を宣言して、甲板へと舞い戻る。
 そう、無事船を奪取できるかどうか――此所からが、重要なのだから。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!

ナディア・ベズヴィルド
【賽】
先に潜入していたみんなお疲れ様
立派な船、ふふ。これを奪うのね?なんだかワクワクしちゃう
私達も立派な海賊になれそう、なんてね
さてやるべき事をぱっぱとやっちゃおう

【光学迷彩】【壁歩き】を利用しぎりぎりまで敵に気付かれないように近づく

攻撃は【パラドクス通信】を用いて他の仲間とタイミングを合わせて襲撃開始よ

たまの息抜きだったらともかく油断しすぎはいけないわ
賭け事、楽しそうね。私も混ぜて貰おうかしら
賭けるものは貴方の命なんてどう?

他に助けを求めようと思っても無駄よ?
【平穏結界】を展開し陸地の敵に気付かれないよう時間稼ぎを

はっ、そんなお子様な煽り可愛いものね
雑魚というなら貴方らはその雑魚以下よ、お嬢さん方
その程度の語彙力しか使えない知能の低い子には煽りは難しいんじゃない?
無理して強がらなくてもいいのよ?(思いっきり鼻で笑って煽り返そう)

ソレイユさんの幻想英雄格好いいわね
彼と連携を取りながら体力の低い敵から確実に仕留めていくように行動

『動ある者に静を。静なる者に動を。互いに補い、互いに滅ぼせ!』


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
【賽】

仲間とパラドクス通信でタイミングを合わせ
船長室と同時奇襲を行う

引き続き光学迷彩を起動
甲板の移動は姿勢を低く足音を潜め
ポルヴィーナ達に悟られぬよう慎重に

話には聞いていましたが、本当にだらけ切っているのですね…
勤勉な海賊より、こっちのほうが、らしい、感じはしますが
今はそれを利用させて頂く事にしましょう

準備が整ったら、仲間と機を合わせ奇襲攻撃
宙に展開した鍵盤でヒロイックシンフォニーを演奏
カットラスとマスケット銃を携えた幻想の英雄を喚びます

さて、海賊狩りの時間ですよ

ナディアと攻撃対象を揃えて、体力の低い者から各個撃破
ダメージアップの加護も使い、迅速に仕留めていく事を優先します
陸地の海賊に気づかれては厄介ですから
救援を呼ぶ動きをした者は最優先に狙います

反撃の煽りには魔力障壁を展開
ふ…、私がこの程度の煽りに引っかかるとでも?
いえ、少々イラっとはしますね
深呼吸して、演奏に集中しましょう

ナディアの煽り返しは、流石の鋭さ
味方で良かったです
なんて笑いつつ
この海賊船は、頂きますよ


●一網打尽
 さて、仲間達が船長を狙うのと同時――彼らが通り抜けていくのを確認しつつ、
(「話には聞いていましたが、本当にだらけ切っているのですね……勤勉な海賊より、こっちのほうが、らしい、感じはしますが」)
 まったくそれらに気付かぬポルヴィーナらを逆に見張りながら、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は呆れ、声を出さず笑った。
「……今はそれを利用させて頂く事にしましょう」
 そんな彼の手元で、お疲れ様、と――ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)の声が響いた。
 ディアボロス専用の通信端末。極めて音量を絞られたそれ越しに、よく知る声が響く。
「立派な船、ふふ。これを奪うのね? なんだかワクワクしちゃう」
 ソレイユとナディアはそれほど距離をとっていないが、この通信は、船長室を目指した仲間とのやりとりのためにある。
 未だ、賭け事に熱中する海賊らの背中を眺め、こうやってコソコソと侵入しつつ、襲撃の機を窺う――その瞬間を待ちわび、ワクワクしていることが、なんとも――、
「私達も立派な海賊になれそう、なんてね」
 嘯き、彼女は楽しげに笑う。
「――さてやるべき事をぱっぱとやっちゃおう」
 悪戯っぽい金眼の目配せに、ソレイユは柔和に頷き返し。
 低く屈んで身を潜めていたところから、腰を浮かす。
「さて、海賊狩りの時間ですよ」
 ヴァーチャルの鍵盤を浮かび上がらせながら、ソレイユが囁けば――端末から、笑みを含んだ声が返ってくる。
『海賊狩ですか。良い響きですね』
「そうですか? ふふ、そちらも、ご武運を」
 口元を微笑ませたまま。ソレイユは、鍵盤に指を滑らせる。
 馴染んだ、美しい音が。彼の意の儘に、繋がり、勇壮な曲を紡ぎ出す――果たして、現れるのは、カットラスとマスケット銃を携えた幻想の英雄。
「だから、イカサマ――!」
 ガタンと、突如立ち上がったポルヴィーナの背後、大上段から、幻想の英雄がカットラスを振り下ろす。
「ぎゃっ!」
 ポルヴィーナらは、突然の一撃に目を丸くし、己の宝箱に引っかかったような体勢で転ぶ。
「な、なに。なに!?」
「たまの息抜きだったらともかく油断しすぎはいけないわ」
 驚き、目を白黒させる海賊へ。艶やかな声が警告を放つ。
 それらへと向けられたナディアの細い指先は。少し複雑で、不思議な印を結んでいる。
「賭け事、楽しそうね。私も混ぜて貰おうかしら――賭けるものは貴方の命なんてどう?」
 問い掛けと同時。
 彼女の身体から、光り輝く神気が放たれ、ポルヴィーナらを灼く。
 目が眩むような輝きから身を守ろうと、海賊らは本能的に甲板に身を伏せて、頭を抱える。そうして身を守ろうとも、カットラスの刃によってついた疵は酷く痛み、光は膚を焦がすように痛い。
「他に助けを求めようと思っても無駄よ?」
 軽いウインクを送る。
 その前に片付けてしまうから――言外の言葉に、何とか身を起こしたポルヴィーナは、ぐぬぬ、と口を真一文字に引き締めた。
「くっそ~、あんた達、いつの間に……」
「いいから、さっさと片付けないと!」
 ふるふると屈辱に震えながら、その気持ちを抑えつけ、
「ざ~こ♪ざ~こ♪降服しろ♪」
 ポルヴィーナらが二人を指さし、見かけ通り、子供っぽい精神攻撃をしてくる。
 雑魚っぽい状態なのは自分達の方なのだが、そんな彼女らにそう言われると、ある意味効く――ような気もする。
「ふ……、私がこの程度の煽りに引っかかるとでも?」
 呆れたような、憐れむような息を吐いて、ソレイユは敵を見――一応、歴としたパラドクスなので、無傷……ということはなく。
「――いえ、少々イラっとはしますね」
 チクチクと刺さる不快感のようなもので、ソレイユの心を少し、ささくれ立たせた。
 片や、ナディアは、敢えて、双眸を穏やかに細めた。
「はっ、そんなお子様な煽り可愛いものね」
 鼻で笑いつつ、柔和と表現できそうな、憐れみの微笑みを浮かべ。
「雑魚というなら貴方らはその雑魚以下よ、お嬢さん方――……その程度の語彙力しか使えない知能の低い子には煽りは難しいんじゃない?」
 ――否、間違いなく威圧であった。肉食獣が獲物に向けるような威圧だった。
 そして再び、ふっ、と優しく微笑む。
「無理して強がらなくてもいいのよ?」
「むむむむ!」
「く、悔しくなんてないんだから!」
 ポルヴィーナが涙目になっていたのは、言うまでも無い。
 深呼吸して、気持ちを整え直していたソレイユは、畳みかけるナディアの言葉の刃を耳に、自然な笑みを零していた。
(「ナディアの煽り返しは、流石の鋭さですね……」)
「――味方で良かったです」
 ぼそっと呟きつつ。
 その両手は、勇気を奮い立たせるような旋律に負けぬよう、力強く、奏でる。
 再び、幻想の英雄が、浮き足だったままの海賊達を一網打尽に斬り伏せる。
 きゃあきゃあと叫ぶそれらは、宝箱と蛸の触手を盾にして、必死に逃げ惑う――。
「ソレイユさんの幻想英雄格好いいわね」
 船上を駆け抜ける風のような英雄を見送り、ナディアは微笑み。彼の奏で続ける旋律を楽しみながら、敵へ、追撃する。
『動ある者に静を。静なる者に動を。互いに補い、互いに滅ぼせ!』
 容赦ない攻撃に、もう完全に反撃する余裕すら失っていたポルヴィーナだ。ナディアの光り輝く神気に射貫かれては、堪らない。
「ちょ、ちょっと、たすけてよ! 船降りるからぁ! ざこっていったの取り消すからぁ!」
 不幸にも一人生き残ってしまった最後のポルヴィーナが、満身創痍で、思わず泣き言を漏らしたが。
 ソレイユの指は止まらない。演奏はクライマックスの調子を取りながら、英雄を再度召喚する。状況的に――ただの一体たりとも、海賊を見逃すわけには行かぬ。
 英雄は高く掲げた剣を、真っ直ぐ振り下ろす。
「それでは、この海賊船は、頂きますよ」
 剣の錆と消えていく少女海賊の姿に、ソレイユは静かに告げるのだった――。

「こちら甲板制圧完了――首尾はどうかしら?」
 ナディアが豊かな狐の尾を揺らし、端末に問いかけた。
 いらえは明るいものであった。
 ――後は、この船を港から連れ去るだけ……だけなのだが、それが一番大変な仕事であることは、確かなのだから。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

●いざ、出港
 さてさて、無事、海賊船一艘制圧したが。
 突如とこの船が出港するとなれば、周囲の船の海賊、或いは港にいる海賊は、いよいよ異変に気付き、船に乗り込み、ディアボロス達を妨害してくるだろう。
 このクロノ・オブジェクトの海賊船は、錨をあげ、ロープを切れば自動で動き出す。
 兎にも角にも、港を離れねば――。
荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
邪魔者は倒したわけだし出航準備を終わらせてしまおう
賑やかな港からいざ大海原へ!ってな!

【行動】
まずはパラドクスを使用して銛撃ち銃と銛を製作し装備しておく

港から死角になる位置から平穏結界と壁歩きを使いマストを上がり帆を広げる準備をしておく
帆を先に広げると目立つだろうから広げるタイミングは後の方にしたい

高所から敵がいる位置を確認し仲間にパラドクス通信を介して教えていよう
最初はバレないように行動できた方が素早くできるだろう
俺も見えないように怪力無双で高所の作業を行う

見つかったら高所の作業を続けながら敵へ牽制及び攻撃を行う
優先度は出航準備を妨害する敵→船を損傷させる敵
俺の攻撃は貫通力が高いから船に近い敵は狙わずに離れた敵を狙う
防御は盾や電光警棒で行おう

パラドクス通信で声を掛け合い積極的に連携して
敵の位置関係などの情報交換もしよう

出航する時や仲間から指示があったらすぐに帆を広げ
マストから降り漕ぎ手になる
銛撃ち銃は腕に装備するからいざとなれば使えるからな


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

首尾は上々
仲間と手分けして、出港準備を急ぎましょう

平穏結界と怪力無双を起動
畳んである帆を広げ、風の吹く方角を確認
離岸風が吹いていれば、速度も期待できそうです
手早く錨を上げて、舫い綱を切れば出港です

舵の進路は西へ
ディアボロス海賊船の処女航海と行きましょう
落ち着いたら、この船に名前を付けたいですね

海賊達の追手が見えたら、宙に展開した鍵盤で「月虹」を演奏
月の化身を喚び、ダメージアップも付与し海賊へと飛びかからせます
体力が低い者を最優先に数を減らし
他優先は、船へ直接攻撃をしてくる者>操舵手>漕ぎ手
船へのダメージを最小限にする為にも、寄せる敵は全て撃ち落とします
仲間と声をかけあい、標的を揃えて素早く倒せれば幸い

帆が風を掴み、出来るだけ早く奔る方角へ一直線
舵の様子も戦闘しつつ見ておきましょう

反撃にはガードアップを纏わせた魔力障壁を展開
アヴォイドの幸運も祈り、敵の攻撃を凌ぎます

追ってくる船を無事に引き離せたら
ボン・ヴォヤージュ!
と、海賊に手を振り
未知なる海へと大陸へ舵をとりましょう


ジェーン・コーネリアス
ヨーホー!さぁ野郎ども!出航の準備だ!
帆を張れ、錨を上げろ!
暇なやつは敵を海に叩き落すか櫂でも漕いでなよ!

帆を張ったり錨を上げたりをしている人が海賊半魚人に邪魔されないように護衛
右手でカトラス「Macha」を振るい、不可視の斬撃を飛ばして半魚人の振るう魚の尾と打ち合い、切り裂き海へと落としていくよ
回避じゃなく防御を選び、敵の攻撃が船体に当たらないように気を付けて
もし風向きが悪いようなら帆は畳んだままにしよう
他にも海洋知識で気付いたことを共有したり、海賊の経験と合わせて出航準備の指示
戦いじゃ歴戦の復讐者にはまだ適わないけど、船の扱いなら慣れたものさ
錨を上げ終わったら係留ロープを【一刀両断】、出航だ!

櫂は自動で動くっていうけど舵はどうかな?必要なら操舵を担当
船の進行方向は他の人に見てもらい、【パラドクス通信】で指示してもらおう
操舵が必要ないなら不可視の斬撃で引き続き追手へ対処

くっくっ、アビスローバーたちのあの慌てよう、スカッとしたね!
ラム酒があるんだ。出航祝いと景気づけに皆もどうだい?


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

野郎ども頑張ります
平穏結界を張り出航準備
準備状況、敵の動きはPD通信で報せあう

気づかれるのは時間の問題、船が動かねばジリ貧だな
俺は【怪力無双】で錨を急ぎ引き上げる
まずは離岸だ! ロープを頼む
係留ロープが切れれば防衛に専念を

これで最低限は動くだろう
コンパスで方角確認、大西洋へ

ただし出航準備不足なら、防衛しつつ下記の補佐
・マストの帆掛けは壁歩きで、敵から発見後は飛翔も交え高所作業
・ロープはブレードで両断

視野を広く警戒、視野の全ての半魚人を泥濘の地で動きを鈍らせ、敵が甲板に乗りつける前に竜巻でPD攻撃
船の損傷を最小に、双方の攻撃の余波を避け
敵の技は魔力障壁で身を護り、タワーシールドで受け止める
優先は、出航準備を妨害する敵→船を損傷させる敵→船に近い敵
港からの攻撃も注意
櫂にぶつかりそうな船あれば、先に船体を狙い攻撃

多方面から敵が来たら、場所を手分けし防衛
近い味方と連携し、狙いを合わせ敵を蹴散らす
さあ、出港だ

長い長い航海の始まりだ
大西洋の潮風は、快く迎えてくれるさ
美酒を掲げて呷ろう


●出航攻苦
「ヨーホー! さぁ野郎ども! 出航の準備だ!」
 甲板に高らかに靴の音を響かせ、ジェーン・コーネリアス(監視者・g10814)が声をあげる――その表情は活き活きと、仲間に活を入れる。
「帆を張れ、錨を上げろ! ――暇なやつは敵を海に叩き落すか櫂でも漕いでなよ!」
 船尾から船首に向け真っ直ぐ、櫂の列を確かめるように眺めて進んでいく。
「野郎ども頑張ります」
 舳先にいたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が、笑いかけると、上品すぎるとジェーンがご機嫌に返す。
「じゃ、任せたよ!」
「ああ――」
 振り返り、エトヴァは錨を引き揚げ始める。錨を繋いでいるロープを巻き上げるウインチは手動であった……怪力無双をもってすれば何でも無い仕事だが、むしろ壊さぬよう速度に気をつけて、巻き上げていく。
「邪魔者は倒したわけだし出航準備を終わらせてしまおう――賑やかな港からいざ大海原へ! ってな!」
 片や、帆柱を駆け上がった荒田・誠司(雑草・g00115)が、自身の戦闘準備を整えながら、帆を留めるロープを解き始める。
 とはいえ、帆を張ると目立つだろう。仕上げは最後の最後に――などと思案していた時だ。
「ん?」
 訝しげに、誠司は港に向け、目を眇める――高所から、ざわざわと集まる者達の姿が、よく見えたからだ。
 その詳細を、確かめるまでもない。
 物々しい気配で駆け寄ってくる者どもの正体など、見るまでも無く解る。
「っ、おい! テメエら!」
 港から、胴間声響かせ――海賊半魚人が、此方に向かって駆けてくる。
「野郎ども! ディアボロスだ! 船捕られっぞ!!」
 板もってこい、と叫ぶ半魚人らを前に、
「来たか……」
 嘆息一つ、エトヴァは声を張り上げた。
「まずは離岸だ! ロープを頼む」
「させるか!」
 港だけあって備えは充分というか、或いは伊達に海賊ではないというか――あっという間に、あらゆる場所から、船へと板をかけ、海賊半魚人達が乗り込んでくる。
「邪魔だよ!」
 ジェーンがカトラスを振るう――刀身は赤い魔力の尾を描き……放たれたのは不可視の斬撃。
 揃って乗り込もうとしてきた海賊らの鼻先を、容赦なく掻き裂く。
 痛みと怒りで言葉にならぬ咆哮をあげた半魚人の尾が、ジェーンを薙ぐ。強か身体を打つ魚の尾を、咄嗟にカトラスを盾に堪えた。
「一つ目!」
 係留ロープをひとつ断ち、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は風を見る――強くもなく、弱くもない風が、彼の黄金の髪を靡かせる。
 目的の方角と照らし合わせるに、現在の風向きは最良だ。
 なればこそ、迅速に片付けねばと。彼が虚空に指をおけば、応えるかのように輝き出す、ヴァーチャルの鍵盤。
「月の調べ、光の加護よ」
 踊る指が奏でるは、美しくも狂気を孕む旋律。
 音楽によって描き出された月の化身は、海賊どもに跳びかかる――猫のようにしなやかに、おそるべき獣の爪で、その喉笛を引き裂く。
「ガッ……」
 血を吐き、前のめりになりながら、それはカトラスを振り上げ、ソレイユへ斬りかかる。
 血走った魚眼を至近に見つめ、その脇を擦り抜ける。走る刃は、彼の障壁を引っ掻いて、軽く身に触れたが、気にせずソレイユは敵の背を取るよう、馳せた。
 そこへ、
「撃ち抜け!」
 誠司の右腕に固定された銃より放たれた銛が、海賊の胸を貫いた。
 半魚人は、あまりの衝撃に声を失い――儘、海へと落下していく。どの道、致命傷だ。
「掃除を増やしやがって」
 残る血の跡を見下ろし、誠司は嘆息した。
「うぉおお!」
 雄叫びを至近に、迫る海賊らを態と引きつけたエトヴァは、己を中心に発生させた荒れ狂う竜巻で一掃する――彼は咄嗟に泥濘の地を船周りに展開するが、稼げる時間は短い。
 ともすればウインチを奪おうとしてくる海賊らの様子を見るに、船の防衛を優先するらしい。当然と言えば当然か。
(「しかし、いつ奪われるなら壊してしまえとなるか――」)
 海賊船はクロノ・オブジェクトではあるが、動作に必要なパーツを破損させることは、決して難しくはないはずだ。
 危惧したエトヴァは、仲間達へ呼びかける。
「兎に角、離岸を優先しよう! ――船が動いてしまえば、板じゃ届かない」
「あっちも、そこは、理解してるみたいだね!」
 攻撃の合間に息を弾ませ、ジェーンが叫ぶ。
 流石は同業者と皮肉りながら――板ばかりでなく、船とあちらを繋ぐために飛んでくるロープを斬り払い、更なる刃で半魚人を切り伏せる。
「なるほど、追撃よりも……鉄火場は此所でしたか」
「離岸しても振り払う必要がありそうなのは確かだが――もたついて、海賊に船を出されたら終わり……って感じだな」
 ソレイユは乗り込む海賊の切れ間でも、演奏を止めず、渡し板を破壊する。
 帆を下ろす作業を続ける誠司は、高所より見かけた敵の数や位置を逐一報告する――慣れぬ船の扱いに加え、敵は攻め方を心得ている。
 思った以上に手間取るものだと、誠司は冷静な表情ではあるが、唇を引き結んで銃口を定める。
 自分がすべきは、仲間が凌いだ海賊を、確実に仕留める――。
 猛々しき銛の一撃を放った直後、横から伸びる尾の鞭に背を打たれた。盾に守られても、感じる鈍い痛みに、誠司は表情を変えず、ただ耐えた。
 上を取る自分が狙われるのはわかっていた。だが、今は耐えたいところだ――すべての係留ロープが切れるまでは。
 つと見れば、帆柱を守るように躍動するジェーンが、海賊を切り伏せている。
 彼女は敵の動きに注視しているため、彼と眼差しが交差することはないが――誠司は、彼女の背を狙う海賊へと、銛を撃つ。
「ブッ殺す!」
 ストレートな威喝を吐き捨てた海賊は、器用な身体捌きで、簡易な橋桁を駆け上がるまま、ソレイユへとカトラスを振り下ろしてくる。
 その動きを見、横に退きながら。指先は繊細な旋律を組み上げた。
 月の化身がひらりと躍って、海賊の肩口を噛み切る。
「このっ……!」
 倒れぬ海賊らが更に色めき立ち、剣を構え直した時。
 はっと、何かに気付き青の瞳を瞠ったソレイユが、さっと姿勢を低く伏せる。背後から、エトヴァが放った旋風が、たちまち海賊どもを斬り裂き、海へと落とした。
「……もう一つ!」
 その隙に、ソレイユはロープを断つ。
 続き、流麗な調べを奏でたソレイユが、視線を落とせば。
 彼の肩をとんと蹴り、船から飛び降りた月の化身が、諦めず、船を直接登ってこようとする半魚人の顔面に爪を立てた。
 次はどうする、考える間に、ソレイユはエトヴァの元へと走った。
 錨を、二人がかりで上げる――それがベストだと。
 ともすれば戦闘で手が止まる作業を、中断せず、進められると判断した。
 そして、ついに錨が、甲板に上がる――。
「錨の引き揚げ完了だ!」
 エトヴァが声を張り上げる。パラドクス通信の小型通信機はあるが、肉声も響かせる。
「もっと数を寄越しやがれ!」
 尾を振り抜きながら、港に向け、がなる海賊を――ジェーンは、ふんと鼻であしらい。高い剣戟の音色を響かせる。身に迫る尾を弾き、返す剣風で捻じ伏せて、血霞を散らし、彼女は甲板を駆けた。
 船を守るために、回避よりも受け止める策をとる彼女は、疲労を感じ始めていたが――まだまだ止まれないと己を叱咤する。
「戦いじゃ歴戦の復讐者にはまだ適わないけど、船の扱いなら慣れたものさ」
 とはいえ、この船は舵が不要らしい――櫂を動かすことが、手っ取り早い仕組みの船なのだろう。
「ヨーホー! 帆を下ろしな!」
 彼女が高らかに歌えば、誠司は最後のロープを引っ張り、解く。落ちてきたマストを制御する荒縄を、はっしと掴んで、ジェーンが海賊どもへ不敵な笑みを送る。
「出航だ!」
 解き放たれた船は、ゆっくりと進み始める――ますます険しい表情になった海賊どもは、船に繋がるロープを必死に引っ張り、叫ぶ。
「待ちやがれ!」
「諦めろ」
 その額をすとんと穿つは、銛――誠司が、ソレイユが、エトヴァが、そしてジェーンは、冷静に、船に群がる海賊達を片付けていった。
 憎悪と悔しさに顔を歪める海賊らへ。
「ボン・ヴォヤージュ!」
 ソレイユは微笑み叫び――港へ、ゆっくりと手を振って見せた。

●新たなる船出に
「無事、海に出てこれたな」
 ぽつり、誠司が呟く。
 櫂を漕がずとも、ガレー船はその機能から、ぐんぐんと港から離れていく――今は風の力も少し借りているが、この船はどうやら、あまり帆の力を重要視していないようだ。
 誠司は興味と、距離を稼ぐ一助になればの思いで、少し櫂を漕いでみたのだが、やはり、この船はすべての櫂を使って初めて、その力を発揮できるものだと再確認した。
 念には念をと、エトヴァとソレイユで、追撃を警戒して船尾から眺めていたが、まだ海賊の影はなかった。ただ、この船が本領発揮……海賊どもが全力で漕げば、いずれ追いつかれるだろう。
「くっくっ、アビスローバーたちのあの慌てよう、スカッとしたね!」
 傷だらけで、ジェーンが笑う。
 他の皆も、似たようなものだった――守るモノ、優先するものがあると、トループス級とて、なかなか侮れぬ。
 勝利の余韻と疲労。
 それぞれの表情で笑う男達へ、彼女は悪戯っぽく、片目を瞑って見せる。
「ラム酒があるんだ。出航祝いと景気づけに皆もどうだい?」
 何処に隠していたのやら、ジェーンがラム酒を取り出した。
 おや、エトヴァが目を瞠って……いただこう、と笑った。
「長い長い航海の始まりに」
 乾杯、とエトヴァが音頭を取れば、ディアボロス達は盃を掲げる仕草で、合わせた。
 ソレイユは未成年なので静かに微笑み、誠司は軽くジェスチャーだけで応じた。
 その旅路を泰からんことを願い合い……まあ、無理でしょうけれど、とソレイユは苦笑するも――必ず、辿り着いて見せると、西に誓う。
「それでは、ディアボロス海賊船の処女航海と行きましょう――落ち着いたら、この船に名前を付けたいですね」
 しかし今だけ。穏やかな船の旅のような束の間を、ディアボロス達は楽しみ。
 ――斯く、未知なる海へ挑むのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【壁歩き】がLV2になった!
【飛翔】LV2が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【命中アップ】LV2が発生!

最終結果:成功

完成日2024年01月21日