リプレイ
ヴィルジニー・フラムヴェールト
Joyeux Noël!
一張羅のドレスで行くわ
お酒はもう暫くお預けね
紅茶とケーキを頂くわ
フランスのケーキと聞いて、来てしまったわ
つい狐の尻尾が揺れてしまうけれど、気にしてはいけないわ!
わたしの時代にはなかったお菓子もたくさんね
カヌレにタルト・タタンは好みだわ
甘酸っぱいアップルがたまらないの
もちろん、森の切り株みたいなブッシュ・ド・ノエルも素敵だわ!
最終人類史の信仰は、本質は変わらなくても
形はきっと少し変わったのね
いいわ、おいしいお菓子に囲まれるのがクリスマスなら、みんな幸せね
……だけど、家族や仲間たちがここにいないのは、寂しいわ
お菓子、みんなに食べさせてあげたかったなぁ……
ようやくこっちにも慣れてきたのだけれど
わたしの戦いは始まったばかりなのね
あら? テレーズさんじゃない
あなたもラ・ピュセルの出身だったわね
よければ、お友達になってくださらない?
こういうの、スイーツ友って言うのかしら?
あなたはどんなケーキが好き?
お喋りに花を咲かせられるたら嬉しいわ
あら、これ美味しいわ!
アドリブ連携歓迎よ
そのホテルの大広間には巨大なツリーが飾られ、至るところにクリスマスらしい装飾がなされ、聖夜を迎える雰囲気は充分過ぎる程だった。
「Joyeux Noel!」
とっておきのドレスに身を包んだヴィルジニー・フラムヴェールト(緑焔の奇蹟・g09648)は会場入口で出迎えるホテルスタッフにも和やかに挨拶を投げかける。ふわりと揺れるスカートの裾と一緒に、大きな狐の尻尾がついつい揺れてしまうのはご愛敬。フランスのケーキが揃っていると聞いては落ち着いてなんていられない。無論、尻尾が気持ちを表してしまう事だって気にしてなどいられないのだ。
「うわぁ……!」
そこはケーキの博覧会。ずらっと並ぶショーケースには様々なケーキがずらりと並んでいる。
「わたしの時代にはなかったお菓子もたくさんね」
ケーキの説明を聞き、その中から何種類か気になるものを注文し、席に戻る。
お酒はまだもう暫くお預け。ポットに用意された紅茶は良い香りを漂わせ、カップに注がれた液体は美しいルビーオレンジの色。先に一口、喉に潤いを与えて芳醇な香りを楽しんでいる間にケーキの皿が運ばれてきた。
まずはカヌレ。やや苦みすらある蜜蝋のカラメルがもちっとした食感と共に口に収まり、卵黄たっぷりのカスタードに似たまろやかな甘味が口の中に広がっていく。
「タルト・タタンは……好みだわ」
次に食するは林檎がこれでもかと敷き詰められたタルト・タタン。
「甘酸っぱいアップルがたまらないわ……!」
無論これらの焼き菓子は次々と新しく焼かれ供される。焦がしバターの香り染み込む林檎の温かみがまた美味しさを引き立てていた。
「もちろん、森の切り株みたいなブッシュ・ド・ノエルも素敵だわ!」
生クリームたっぷりのクリスマスの定番ケーキ。その可愛い形は食べるのが勿体ないと思いつつ。フォークを滑らせ口に運べば甘すぎない丁度良いショコラの味わい。
ふと周囲を見回せば、東京23区の住人も恋人同士や家族連れで訪れている様子が目に留まる。
(「最終人類史の信仰は、本質は変わらなくても――形はきっと少し変わったのね」)
家族や愛する人と共に過ごす日。その本質が変わらないのであれば形なぞ些細な事。
「いいわ、おいしいお菓子に囲まれるのがクリスマスなら、みんな幸せね」
……だけど。仲睦まじい人々の姿を見ると、今の自分が一人である事をとてつもなく自覚する。
「家族や仲間たちがここにいないのは、寂しいわ……お菓子、みんなに食べさせてあげたかったなぁ……」
遠い過去の時代、もう会えること無き家族の顔を思い浮かべた。自分はようやくこの時代この国に慣れてきたが、それでも故郷を忘れる事はもう二度と無い。
「わたしの戦いは始まったばかりなのね」
新しい仲間を、家族を得る未来がきっとそこにあるのだから。
「皆さん、楽しんでらっしゃいますかー?」
「あら? テレーズさんじゃない」
そこにフラフラとやってきたテレーズの姿にヴィルジニーは何故か嬉しそうに声をかけた。
「確か、あなたもラ・ピュセルの出身だったわね」
「ええ、そうですよ。最終人類史の皆さんに助けて頂いたクチです」
「よければ、お友達になってくださらない?」
同郷の誼、と言うアレか。ヴィルジニーの申し出に、テレーズは快く肯定を返した。
「私なんかで宜しければ♪ 貴方も甘いもの好きなんです?」
「ええ、テレーズさんも好きなのね。こういうの、スイーツ友って言うのかしら? あなたはどんなケーキが好き?」
少しお邪魔しまーす、と向かいに座ったテレーズは、お勧めケーキの注文一つ。
「あら、これ美味しいわ!」
国内産の新鮮な生クリームがブーケの様に彩られたフラワーケーキが、花咲くお喋りに添えられた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
橘・一颯
色んな洋菓子を食べられると聞いて!
お洒落…(困り顔)
わしは洋装なんぞ持っておらんし、いつものこの装束がわしにとって一張羅なんじゃがええかのう…?
おおおおおぉ!
なんと!ここは極楽浄土かの!?
ここにある菓子を全部食べてええのか!
それでは早速ぱてしえ殿。
マドレーヌとカヌレとシューアラなんとかとエクレアとモンブランとガトーショコラと苺のタルトを所望致す。
あと紅茶という茶をお頼みする。
(両手を合わせて)いただきます。
……んー!美味!
マドレーヌとカヌレはしっとりとした歯触り、シューアラなんとかとエクレアはクリームたっぷりなのに甘さ控え目でモンブランとガトーショコラは滑らかな舌触りと濃厚さが絶品だし苺のタルトは酸味が爽やかじゃ。
好物を好きなだけ食べられるとは有り難い事じゃのう。
(周りの人達を見回し)
寒さに震える事もない。ひもじさに苦しむ事もない。
皆、大事な人と幸せそうに笑い合っておる。
善きかな善きかな。
よし、次はフィナンシェにミルフィーユにマカロンに…
ブッシュ・ド・ノエルは絶対に外せんの!
「色んな洋菓子を食べられると聞いて!」
話を聞いてきた橘・一颯(流浪疾風・g03241)の鼻息は荒い。平安生まれの平安育ち。砂糖というものがまだ流通する前の時代から来た彼は、この最終人類史で初めて口にした甘味の虜になっていた。そんな一颯が甘味の祭典に来ぬ訳が無い。
「お洒落……わしは洋装なんぞ持っておらんし、いつものこの装束がわしにとって一張羅なんじゃが……」
ええかのう……?と入口で首を傾げる彼を見かね、翼の生えた現代人の青年は笑って背中を押してやる。
「今の日本じゃ着物は割と正装だし、小綺麗にしてりゃOKだと思うぜ?」
「ふむ、ならば――いざ行かん!」
出陣とばかりに威勢良くホテルの大広間に足を踏み入れた一颯は、目の前に広がる光景に思わず息を呑んだ。
「おおおおおぉ
……!!!?」
煌びやかなシャンデリアに巨大なクリスマスツリーもまた電飾で彩られ。壁一面もスパンコールのカーテンに覆われて目映くキラキラと輝く室内もさながら。ショーケースに並ぶケーキ達もまた美しくデコレーションされたものから果物の形を活かしたものまで見るからに美味しそうなものが勢揃い。
「なんと! ここは極楽浄土かの
……!?」
お釈迦様もびっくり、まさにここはケーキパラダイス。
「ここにある菓子を全部食べてええのか!」
流石に全部平らげる猛者はいないだろうが、全種類制覇だって構わない。腹に収まるのであれば、だが。
「それでは早速ぱてしえ殿」
焼きたてマドレーヌを手にしたパティシエよりまず一つお願いし。
「それにカヌレとシューアラなんとかとエクレアとモンブランとガトーショコラと苺のタルトを所望致す」
席に案内されつつ、同時に紅茶もオーダー。一颯の物言いからすると、多分紅茶も初体験に見受けられる。
暫しして。
彼の前には美しく皿の上に盛り付けられたケーキが置かれ、耐熱硝子のポットに紅茶の色が綺麗に透けて見えた。
「いただきます」
作ってくれた菓子職人の皆々様と材料の生産者の皆々様、全てに感謝を籠めて両手合わせて小さく一礼。
早速口に運ぶは、焼きたてほやほやのマドレーヌとカヌレ。
「……んー! 美味!!」
焼き菓子は二つとも表面はサクッと、中はしっとりとした舌触り。
シューアラなんとか――俗に言うシュークリームとエクレアはやはりしっかりとしつつもバターの香りたっぷりなシュー皮の中にたっぷりのWクリーム。甘さも控え目でほんのり香るバニラの風味がたまらない。
モンブランは上にかかったマロンの味わいが和栗とはまた違う風味をもたらし、ガトーショコラはカカオの香ばしさと甘みが滑らかな舌触りと共にその濃厚さで口の中を染め上げる。
その直後に口に頬張る苺のタルトはまた酸味が爽やかでしかし甘みもしっかりと。クッキータルトの土台もまたサクッとしてて果物との相性抜群。
「好物を好きなだけ食べられるとは有り難い事じゃのう」
まず一皿を食べ終え、紅茶を啜って苦さと芳醇さに口直しをしながら一颯は周りの人々を見回した。
外はすっかり冬だと言うのに――この最終人類史の世界、そして東京23区に住まうものは寒さに震える事もなく、ひもじさに苦しむ事もない。自分が生きてきた時代は平安の文字は名ばかりに満足に歳を越せぬ者も多かった。だから。
「皆、大事な人と幸せそうに笑い合っておる。善きかな善きかな――」
せめて、この時代に生きる人々が幸せな未来を紡げる事を心より願う一颯であった。
「よし、次はフィナンシェにミルフィーユにマカロンに……ブッシュ・ド・ノエルは絶対に外せんの!」
待って、まだ食うの。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
靫負・四葉
アドリブ・絡み歓迎
普段の武装は解除し、水兵服、つまりセーラーを身につけておきます。
一応軍人ですのでこの格好でも問題ないかと。
……ケーキ、ですか……
もちろん知識にはありますし、興味もあるのですが、その。
……馴染みが一切なく。
どれをいただけばいいものやら……
も、もしよろしければテレーズ、お勧めなど教えていただけませんか?
お任せというのもなんだか色々あるみたいで、ど、どうしていいものやら。
飲み物はお茶をいただきたいと思うのですが。
……むう。
お勧めされたものや自慢の一品、定番の品。
少しずつ色々試してみましたが……
どれも、美味しい……どれが好みかとか選べません。
どうしよう、どれももっと食べたい。けど全部もう一回は無理だし。
お茶を飲んで落ち着こうかな。
……お茶も色々……はーぶてぃ、というんだ?
ほ、本当にいろいろ目移りしてしまう。
分かっていたつもりだけど、最終人類史、すごいなぁ。
普段の彼女を知る者が見れば、一瞬誰か解らなかったかもしれない。
特殊戦闘部隊としての装束――つまり武装を解除し、海兵隊の正装でもある水兵服を身に着けた靫負・四葉(双爪・g09880)の姿は可愛らしいセーラー服のお嬢さんにしか見えなかった。
「一応軍人ですので……この格好でも問題ないかと」
どこかはにかみながらも彼女は会場入口近くにあった大きな鏡に身を写し、何度も確認をした。精一杯のお洒落をしてきたつもりだが、どうにもこう言った場には慣れていない。
慣れていないと言えばもう一つ。
「……ケーキ、ですか……」
ホテルの大広間に設営された会場に通されれば、鼻腔を刺激する甘い香り、そして華やかな飾りつけに囲まれたショーケースの中にはまるで宝石の様に美しいケーキが数多く並ぶ。
勿論、四葉にもケーキについての知識は有るし、興味だってあるのだが。
「…………」
今までずっと海で戦い続けてきた彼女にとって、平穏な日常は無縁だったから。ましてや陸の上でこうして煌びやかな空間にいられるなど。あまりにも馴染みがなさすぎて、どうしたら良いか解らず地に足がついてないかの感覚。
「どれをいただけばいいものやら……」
「迷いますよねー、これだけあると」
ショーケースの前で挙動不審気味に固まっていた四葉の様子に、このパーティへの誘いをかけた魔女っこが声をかけてきた。まさに救いの手と言える状況。
「そ、その……も、もしよろしければテレーズ、お勧めなど教えていただけませんか?」
「いいですよー! どれもお勧めではありますけど……好みの味とかあります?」
「お任せというのもなんだか色々あるみたいで、ど、どうしていいものやら」
ならば、といくつかのケーキをチョイスしてテレーズは席へと四葉をエスコート。注文したのは温かいお茶。ティーソムリエが今回のケーキビュッフェに合う様にと選んでくれた、とっておきのカモミールティー。
「……むう」
お勧めされたのは生クリームたっぷりのシュー・ア・ラ・クレーム、そしてガトーショコラにバスクチーズケーキ。
三重県産の酪農家が生産した牛乳より作られたクリームはとてもまろやかでほんのり甘く。シュー皮もさくっと軽く、それでいてしっかりとした食感。ガトーショコラにバスクチーズケーキは練り込まれたチョコやチーズがずっしりと重く、実に濃厚に舌の上に溶けていく。
他にもマドレーヌにカヌレ、マカロンと通常より小さめの一口サイズを選んで口にほおばれば。しっとりとした甘みと美味しさが口の中いっぱいに広がっていき。
少しづつ色々気になったものを試してみた四葉であったが、もはや言葉には言い表せない様子。
「どれも、美味しい……どれが好みかとか選べません」
「おかわりしても良いんですよ?」
「どうしよう、どれももっと食べたい。けど全部もう一回は無理だし」
口は欲しているも、お腹の容量がそれを許さない。まずは落ち着こうとカップで湯気を立てるお茶を口に含む四葉。
「……お茶も色々……はーぶてぃ、というんだ?」
「ええ、他にも色んなお茶が目白押しです」
「ほ、本当にいろいろ目移りしてしまう」
他の人々のテーブルを見ても、様々な菓子や飲み物に溢れているのが解る。
嗚呼、どれもこれも、自分のいた時代には無かったものだから。
「分かっていたつもりだけど――」
最終人類史、すごいなぁ……と、四葉は初めてこの時代で迎えるクリスマスに驚きを隠せないのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
九条・朔夜
相棒のシエル(g09156)と参加
最終人類史にきて初めて知ったが、クリスマスの記念のケーキって沢山あるんだな!!相棒連れて食べにきた!!一応ホテルの大広間なのでいつもの着物じゃなくて茶色の格子柄のジャケットに黒いズボンで。髪は後ろで一つにくくる。いつものジャケット姿じゃないシエルの紺のワンピースは新鮮だな。
おお、凄い美味しそうなスイーツとケーキが一杯で眩しいぜ・・・まずはマドレーヌとカヌレか?おお、美味しい!!あ、食べカスが口についてる?シエル、取ってくれてありがとう!!シエルも結構食べてるな。故郷の味がする?まあ、これらは西洋菓子って奴らしいしな。
エクレアも食べたら次はケーキだ!!ミルフィーユにブッシュ・ド・ノエルだな!!見た目も味も極上だぞ!!ジュースで乾杯、だな。
相棒と無事クリスマスをお祝いできて嬉しいぜ。来年もよろしく、だな。
シエル・ヴィオレ
相棒の朔夜(g09155)と参加
そうですね、私も最終人類史にきて色んなクリスマスのお祝いケーキがあると聞いてびっくりしました。ホテルの大広間ということでいつもの青いジャケットではなくて紺のワンピース姿で。朔夜の和服じゃ無い姿も素敵です。体格いいので、整えれば凄く映えるんですよね。
まずはマドレーヌにカヌレ、ええ、故郷の味がします。朔夜、口にマドレーヌの欠片がついています。慌てて食べ過ぎですよ。
エクレアも頂いたらケーキですね。ええ、ミルフィーユにブッシュ・ド・ノエルですね。ええ、見た目も華やかで味もとても美味しい。ええ、ジュースで乾杯を。
ええ、確かに激動の一年でした。こうして朔夜とクリスマスを祝えて嬉しいです。来年もよろしくお願いしますね。
クリスマスに浮かれる東京の街を歩く二人。揃って向かうはケーキビュッフェが行われていると言うホテル。
「最終人類史にきて初めて知ったが、クリスマスの記念のケーキって沢山あるんだな!!」
そう笑顔で告げるは平安生まれの青年、九条・朔夜(赫灼のスフィーダ・g09155)。いつもの戦装束たる着物姿は脱ぎ捨てて、本日の衣装は茶色の格子柄ジャケットに黒いパンツスタイル。その恵まれた体格は洋装にする事で常と比べて格段に良く映える。
「そうですね。私も最終人類史にきて色んなケーキがあると聞いてびっくりしました」
言葉返すはシエル・ヴィオレ(神籟のプリエール・g09156)。いつもの青いジャケットではなく紺色のワンピース姿はちょっとしたドレスの様にも見える。それがまた朔夜の目には新鮮に映った。
「その服、いいな。とても似合うぜ?」
「そちらの和服じゃない姿もまた素敵ですね」
思わず小さく微笑み合う二人。特別なお祭りに取って置きのお洒落。楽しむからにはまず形から。
「おお、凄く美味しそうなスィーツが一杯で眩しいぜ……」
会場の煌びやかな空間もさながら、沢山並ぶショーケースの中にあるケーキ達に朔夜は思わず目を細め。
「まずは、マドレーヌとカヌレ……か?」
「ええ」
シエルに問えば、即答一つ。二人分をオーダーし、席について頂く事に。
「おお、美味しい!!」
焼きたてで供されたマドレーヌはほかほかとまだ温かく。頬張れば表面サクッと中がふわっと、たっぷりバターの香りが食欲をそそり、適度な甘みが口いっぱいに広がって。
カヌレもまた表面のこんがりとした蜜が甘く苦く、カリカリ食感のそのうちには焼きカスタードの芳醇な旨味。ほんのり薫る大人の味はお菓子だから問題無い。
「朔夜、口にマドレーヌの欠片が」
慌てて食べ過ぎですよ、と彼の口元に残った欠片を取りながら、シエルは菓子の味わいに懐かしさを覚えていた。
「シエルも結構食べてるな。故郷の味がする?」
「ええ、なんだかとても懐かしい……」
グランダルメの時代に生まれたシエルからしたら懐かしい故郷の味。
次に頼んだエクレアは零れ落ちそうなほど詰まったクリームがまた最高に美味。この為に最高の材料を揃えたとパティシエ達が胸を張るのもうなずける。
「エクレアも食べたら次はケーキだ!!」
「ええ、ミルフィーユにブッシュ・ド・ノエルですね」
元気良く次のオーダーをする朔夜に、思わず世話のやける弟を見つめるかのように軽く肩を竦めてシエルは頷いた。
「見た目も味も極上だぞ!!」
「見た目も華やかで味もとても美味しい」
フォークで口に運び、ほぼ同時に告げる感想はまるで魂が繋がっているかのように一緒。
そんなお互いの言葉に思わず笑みが零れ。
「相棒と無事クリスマスをお祝いできて嬉しいぜ」
「こうして朔夜とクリスマスを祝えて嬉しいです」
ジュースがワインの代わりに注がれたグラス。チリンと合わせて音が響き。
「来年もよろしく、だな」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
聖夜と行く年来る年に――乾杯。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
雪定・千草
(トレインチケット)
御守・樹
(トレインチケット)
「こうして、皆様とお茶会を楽しむ事が出来る機会が何度も訪れるなど……あの時は夢にも思っておりませんでした」
優雅に紅茶のカップを持ち上げながら告げる彼女――マリー・アントワネット(人間のサウンドソルジャー・g09894)は昨年の今頃と比べてずっと顔色が良く見えた。
「それは俺も……いや、あの『1793年』で貴女と言葉を交わした者全てが同じ気持ちでいると思いますよ、王妃」
たまたま彼女がこの会場に誘われて行くのを見かけ、つい追いかけてきたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は彼女と同じテーブルに着くと小さく笑みを零した。
「妾はこの時代では最早王妃にあらず、一人の女に過ぎませんわ。なので――」
無礼講で、と彼女は願う。一人の女、一人の仲間――同じディアボロスの一員なのだから。
「此度はその……フランスの菓子、と聞きまして。つい気になって参りましたのよ」
「ああ、俺達の時代には無かったものも数多くあると聞いていますが」
そこに更にもう一つの過去フランスから来た魔女っこが、綺麗に盛り付けをなされた皿を二人の座すテーブルに持って来た。テレーズと言う名は奇しくも王妃の娘の名と同じらしい。
「マリーさん、ブリオッシュ・デ・ロワもありましたよ! あ、エトヴァお兄さんもいらしたんですねっ」
時先案内で見た顔にテレーズはにこやかに挨拶を交わし、マリーの前に皿を置く。
牛乳とバターたっぷりのパン生地に砂糖漬けの果実を飾り付けた菓子パンに近いスウィーツ。他にもシュークリームにガレットにミルフィーユにと、伝統菓子から現代に至るまでのフランスを発祥とした菓子が次々と運ばれてくる。
「まぁ、まぁ……こんなに沢山」
「成る程。フランス王妃に食べて貰えるとあって、の様子だな?」
エトヴァが見るに、パティシエ達が挙って自信作を優先的に此方に運んで来ようとするお陰でテーブルの上は大混雑。
「流石に妾一人でこんなには頂けませんわ」
「じゃあ、通りすがりの俺が頂きましょう、か」
と、雪定・千草(霞籠・g03137)はひょいっとマリーから遠い位置に置かれたタルトタタンの皿を手に取った。そしてやはり通りすがりに近くにいた青年にも促してみる。
「甘いものは好きですから。ねぇ、貴方も嫌いじゃあないでしょう?」
「あ、ああ……うん」
頷いたのは御守・樹(諦念の珪化木・g05753)。基本、人と目を合わせられない彼が何故此処にいるかと言うと、通りすがりの魔女っこに拉致……もとい連れて来られた説が濃厚。
「スライムに『わらび』って名前つけるくらいだし、甘いものが好きだとお見受けしました!」
「そんな理由……?」
そんな彼の肩の上でぷよぷよと動くアクアスライムのわらび本人はと言うと、千草よりついつい渡された皿の上に向かう熱視線。パティシエ達から王妃への献上品――のお裾分けと言う名のババロアを見つめている様子。
「親近感……なんでしょうか、その子」
ぽやんと口にする千草の言葉。ぷよんぷよんと皿の上で良く揺れるババロアも、マリーやエトヴァがいた時代より後に生まれたものらしい、とテレーズは手元に来たメモを見て解説一つ。納得行かない樹の表情も一つ。
「ふふっ……」
そんなやりとりがおかしくて、マリーは思わず声を上げて笑う。その様子にエトヴァは一瞬驚きつつも、すぐに穏やかな笑みを浮かべてから、さて……と近くのホテルスタッフを呼び止めて。
「見ての通り、マリー王妃のところに頼んでもいないケーキが寄せられているみたいだ。小分けにして会場にいる皆で一緒に頂けるように出来ないかな」
「さすが、テキパキしてますねぇ……」
彼の様子を感心して見つめながらも千草は切り分けたタルトタタンを一口頂くと。芳醇なバターの香りと甘酸っぱい林檎の風味が、目が覚める程に美味しくさっぱりと、しかし甘すぎずに素材の良さが活かされていて。
樹もまたババロアを口に運べば、ねとりと絡みつく濃厚な舌触り。しかし甘すぎる事もなく、使われた卵黄や牛乳の風味がダイレクトに閉じ込められたかの様な美味しさ。
「マリーさん、これ、美味しい」
「ババロアって洋風わらび餅とでも言うべきなのか……? 旨いわこれ……」
二人の青年が告げる感想に、マリーは微笑ましく見つめながらも自分も一口。
「妾、こんな美味しいブリオッシュには出会えた事ありましたでしょうか……?」
「ですよねー!? 現代の製菓技術にはビックリです!!」
落っこちそうな頬に手を当てて味わうマリー、嬉しそうに狼尻尾を振るテレーズ。
そんな和やかで皆が幸せそうに笑む様子に安堵を覚えつつ。テーブル上の大渋滞を解消し終えたエトヴァもまた、紅茶をオーダーして共にお茶会を楽しむ事にするのであった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
天竜・なの唄
(トレインチケット)
黒江・茨
(トレインチケット)
早藤・伶
(トレインチケット)
「新宿島のみなさん、こんばんはー! 明日葉・あかねの生配信、今日も始めていっちゃいます!」
明日葉・あかね(天使のデジタルサマナー・g01494)はスマホのカメラ片手に今日も新宿島の皆さんに向けて動画配信開始。今宵のテーマは、ディアボロス達のクリスマス!と銘打って。
「今日は都内有数の此方のホテルで行われています、東京23区の名パティシエが集う夢の競演! クリスマススウィーツビュッフェの会場に来てますよ!」
一般人の来場もOK、好きなケーキと飲み物を好きなだけ! 今からでも来てみては?と、にこやかに実況の手も口も止めず、あかねは会場であるホテルの大広間へとカメラを回す。
「おっと、あそこにいるのは時先案内人の皆さん! インタビューにレッツゴーですよ!」
そう言って素早い足取りにてあかねが向かった先は誘いをかけたテレーズの他、天竜・なの唄(春告小唄・g03217)、黒江・茨(さまよい人・g03596)、早藤・伶(人間の時間神官・g03206)、ニクス・カエルレア(氷雪・g08575)――4人の時先案内人。
「今回はどんなケーキを食べたか聞かせていただけますか?」
「えっと、わたしはシュークリームをいただきましたっ!!」
焼きたてのシュー皮に、注文を受けてから詰めるクリームは生クリームとカスタードクリームの混合仕立て。濃厚なミルクの風味と卵黄のまろやかさが口の中でハーモニーとなって広がっていく絶品。
「私はこれ、かな」
なの唄に続いて茨が美味しかったと語るのはドイツのシュトーレン。シナモンは苦手な人でも食べられる様に控え目に。ドライフルーツやナッツ、そしてマジパンのアーモンド風味がコクたっぷりでワインと絶妙に合う。
「ミルフィーユもとてもさくっと美味しくて……食べるのに苦労しますけど」
幾重に重ねたパイとクリームのコラボレーション。伶がお勧めで頂いたと言うそれは丁寧にバターを包み折り上げたパイ生地でサクサクッと食感も楽しく、風味も香ばしくて最高だったとかで。
「私はイチゴのソルベを」
スノウメイジらしく氷菓子を食べてみたと言うのもご愛敬。ニクスがパティシエから聞いた話だと、本来の歴史においては17世紀末のパリでソルベが売られていた程に歴史の有る氷菓なのだとか。アイスクリームなどと違い、苺の果汁たっぷりで作られたそれは果物本来の甘みと酸味が冷たさの中にもしっかり感じられ、舌触りも最高であったと感想を述べる。
「ふむふむ、リポートありがとうございます! ところで……皆さん集まって何かお話をされていたみたいでしたけど」
「最後の余興に、わたしの三味線を披露しようかと相談してたんですっ」
そう微笑むなの唄の手には愛用の三味線。美味しいケーキを頂いたお礼に、そしていつも応援してくれる都民の皆の為に、和の音を楽しんで貰えたら……そんな思いを彼女は語る。
「クリスマスに讃美歌やゴスペルじゃない……って言うのも面白いんじゃないかい?」
シュトーレンの一切れを口に運びながらグリューワインを傾けて茨は静かに告げる。珍しく無表情気味な顔に笑みが薄らと見えるのは美味しいケーキのせいか酒のせいか雰囲気に呑まれているのか。
「どんな曲が良いんでしょうね。みんなが知っているクリスマスソングとか、いかがでしょう?」
童謡とか悪くないですよね……と伶もまた首を傾げて考えながら、隣に立つニクスへと意見求める視線を向けた。
「……今、配信してるのってオーストラリアの皆さんにも見て貰えるんでしょうか」
あかねの回すカメラを指差して何か思いついた様にニクスは言う。
――世界中の皆が知っている曲の和風アレンジなんて、面白いのでは――と。
「オーストラリアの皆さん、こーんにーちわー!」
あかねの持つスマホの画面にはパーティ会場のステージ壇上に立つテレーズの姿。
茨はホテルスタッフに音響のセッティングを頼み、伶はカンペを手にテレーズの挨拶を助け、ニクスは指揮者の役を買って出た。
「他にも京都、奈良、三重、横須賀の皆さんへ、東京より応援への感謝を篭めてクリスマスの曲をお送りしますよー!」
そしてカメラが向けられるはステージの中央に三味線を構えて座るなの唄の姿。ベース構えた最上・奨が一歩下がったところに立ち、演奏に覚えの有る来場していた一般人の皆もまた、オルガンやカスタネット、バイオリンなどの楽器を携えて壇上に上がっていた。
ニクスが指揮棒を構え、素早く振るとなの唄の三味線が音を奏で出す……!
『Japan taste Music!!?』
『It's cool!!』
配信を見たオーストラリアの人々の反応は上々。
その曲調も速さもテイストもがらりと変わって、和の雰囲気でいっぱいの曲が配信を通じて世界に響く。
1フレーズ弾き終えたら、今度は一般人有志のオルガン、ピアノ、バイオリンへと曲は続いていき。
素敵な演奏のステージで、この楽しいスウィーツビュッフェパーティの幕が閉じていったのであった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【能力値アップ】がLV3になった!