傍迷惑な自爆特攻は阻止!(作者 秋津透)
#天正大戦国
#相模国、兵器工廠破壊作戦
#相模国
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「おーほほほほほ! わたくし、死にますわ! 死んでしまいますわ! 自爆いたしますのよ、おーほほほほほ!」
なんかもう既に正気を失っているような声で、アヴァタール級天魔武者『京極阿菊』が叫ぶ。その背には、ドクロマークがでかでかと描かれ「ポチッとな」と記されたボタンがついた、どこからどう見ても爆弾にしかみえないシロモノがくくりつけられている。
「自爆しても、決して無駄死にではないのですわー! 憎きディアボロスを倒すのですからー! いえ、ディアボロスは倒せないですけど、ディアボロスディヴィジョンの一般人を倒すのですわー!」
誰に何を吹き込まれたのか、恍惚といってもよさそうな調子で『京極阿菊』は叫ぶ。本来は、献身的に尼子家を支える聡明で優秀な女傑のはずなのだが、忠誠を捧げるべき尼子家が存在しない状態でアヴァタール級として送り込まれたので、精神の均衡を失してしまっているらしい。
そして『京極阿菊』は、周囲に控えるトループス級天魔武者『腰元天魔武者』たちに向かって叫ぶ。
「わたくし一人では死にませんことよー! お前たちもみな死ぬのですー! 自爆するのですー! この自爆装置が量産できた暁には、みなで装備して、みなで華々しく散りましょー!」
「あいあいー」
アヴァタール級が何を言っているのか、まともに理解しているのかどうかは定かではないが、どちらにしても卜ループス級はアヴァタール級に逆らえない。そして『腰元天魔武者』の多くは、女性型の上級天魔武者に対して無駄に忠誠心が高いらしい。
「じばくー、じばくー、みんなでじばくー、あいあいー」
「そうです、それでいいのです。おーほほほほ、おーほほほほ、おーほほほほほほほ!」
ものすごく頭の悪そうな声で『腰元天魔武者』たちが唱和する中、『京極阿菊』はけたたましく笑う。
そして、その周囲では、ドクロマークと「ポチッとな」ボタンのついた爆弾がいくつも自動的に組み立てられている。爆弾を組み立てる機械の要所にはヒルコが繋がれていて、容赦なくエネルギーを搾り取られている。
「…た、助けて…死んじゃう…」
息も絶え絶えな声でヒルコたちは呻くが、自爆自爆と盛り上がっている天魔武者たちは気づきもしない。もっとも、気づいたところで助けてやるはずもないのだが。
「腹が減っては戦ができぬ。喰いながら話を聞いてくれ」
時先案内人の陳・修賢(人間の特級厨師・g03221)が、いつものように手製の饅頭を配りながら告げる。
「攻略旅団の提案により、最終人類史に隣接する『天正大戦国ディヴィジョン』の「相模国」に向かうパラドクストレインが出現した。現在、ディアボロスは北側の「武蔵国」から『天正大戦国』に攻め込んでいるが、どうやら『天正大戦国』の方では「相模国」から侵攻を仕掛けるつもりらしい」
厳しい表情で、修賢は一同を見回す。
「今のところ「相模国」の国主が誰かとか、城がどこにあるのかとかはまったくわからんが、どうやら天魔武者たちは「相模国」の各所に兵器工廠を作り、そこで製作した爆弾を抱えて最終人類史へ自爆特攻を仕掛けるつもりらしい。この爆弾製造技術は、TOKYOエゼキエル戦争ディヴィジョンが崩壊した時に流れたのか、それとも横須賀にあったヤ・ウマトあたりから流れたのかはわからんが、ごく普通の爆弾で、クロノヴェーダやディアボロスを害することはできん。しかし、こんなもんを抱えて一斉に突っ込んでこられたら、たとえ迎撃できたとしても一般人に大被害が及ぶのは避けられん」
もしかして「武蔵国」が防衛一辺倒なのは、こちらを引き付けて「相模国」からの侵攻を容易にするつもりだったのかもしれないな、と、修賢は厳しい表情で唸る。
「いずれにしても、この企みを先んじて察知できたのは幸いとしか言いようがない。急ぎ「相模国」の兵器工廠に向かい、自爆特攻の準備をしている天魔武者たちを撃滅、工廠を叩き潰してくれ」
そう言い放ってから、修賢は少々複雑な表情になって付け加える。
「それでだ…例によって天魔武者は、ヒルコの力を搾り取って兵器工廠を動かしている。何の工夫もなく天魔武者と工廠をふっ飛ばすと、ヒルコたちも巻き添えになって死んでしまうので、できれば何とかヒルコたちを助けて、安全な場所に匿ってほしい」
作戦難度は上がってしまうが、何とかよろしく頼む、と、修賢は告げる。
そして修賢は、メモを見ながら言葉を続ける。
「兵器工廠は人里離れた山奥にあるようだが、パラドクストレインで近くまで行ける。事前に、ヒルコたちを救出した後に匿うための隠れ里を作っておくといいかもしれない。「武蔵国」で行っているのと、同じような手順だ」
そう言って、修賢は再び一同を見回す。
「工廠に突入すると、卜ループス級天魔武者『腰元天魔武者』が迎撃に出てくる。こいつらはまだ爆弾を装備していないので、普通にやっつけてくれ。ただ、工廠の各所にはヒルコが動力として接続されていて、迂闊に工廠を破壊すると巻き添えになるし、先に接続を外そうとするとショックを受けて死んでしまう。ヒルコはもちろん、工廠もできるだけ壊さずに卜ループス級を倒し、更にアヴァタール級天魔武者『京極阿菊』を撃破してほしいんだが…こいつは試作品の爆弾を抱えていて、単純に撃破すると工廠そのものを巻き込んで大爆発してしまう。何とか試作爆弾が爆発しないよう工作した上で、アヴァタール級を撃破し、工廠の機能を止めてヒルコを救出してから、心置きなく工廠をぶっ潰してほしいんだ」
我ながらかなりの無茶振りをしているとは思うが、どうかよろしく頼む、と、修賢は頭を下げ、そして付け加える。
「とは言え、皆の身が危うくなってしまうようなら、いくらヒルコが哀れでも替えることはできない。もしもヒルコたちが死んでしまったら、その時は隠れ里に葬ってやってくれ」
そして修賢は、複雑な表情のまま告げる。
「相模国に国主がいるのかいないのか、中心になる城があるのかないのか、それはまだわからんが、どうも武蔵国と似た不安定な気配を感じる。もしかすると、比較的最近に『徳川家康』が元々の領主…後北条氏なのか関東管領上杉氏なのか知らんが、そいつを討伐して手に入れたばかりなのかもしれん。まあ、それも作戦を進めていけばわかるのかもしれないが…とにかく今は最終人類史に攻め込まれて自爆特攻されないよう手を打つのが急務だ。よろしく頼むぜ」
「…た、助けて…死んじゃう…」
兵器工廠の機械に繋がれたヒルコたちが、息も絶え絶えの声で訴える。
「…いいの? ぼくらが一人でも死んだら、あの爆弾も、この工廠も、みんな爆発するよ? それでもいいの?」
「…聞いてくれない。誰も聞いてくれない。死んじゃうんだ…みんな、死んじゃうんだ…」
「…せめて、あの爆弾の爆発を止めておけば…一人死んだだけで全滅なんてことはないのに…」
「…もう、助けてくれなんて言わないよ…せめて安全ボタンを押してよ…ポチッとなって…そうすれば、巻き添えは最小限で…」
リプレイ
嵐柴・暁翔
ヒルコ達の隠れ里で必要そうで、かつ現地では入手し難そうなものを最終人類史から【アイテムポケット】に入れて持ち込みます
今までの経験からすると畑で植えられそうな作物の種子に魚を獲る網とか動物用の罠のような狩猟道具、寝具や防寒具と金属製の道具類、刃物と鍋や釜、他に【口福の伝道者】で増やす前提で保存食を少し、というところかな
兵器工廠に殴り込む前に時間があれば隠れ里に使えそうな洞窟や遺跡等がないかの確認と、更に余裕があれば燃料の確保もしておきます
爆発しても自身に被害がないのに自爆というのか…?
まあ生還は絶望的な特攻ではあるのかもしれないけど…
戦闘は広いスペースが確保できたり頑丈で周囲に被害が出なさそうな場所で行うようにします
《感染拡大》なら近接戦で爆発したりもしない筈
……口もない相手にどうやって効果を発揮しているのかは知らないけど…
狐火放射は避けて問題なさそうなら避けますが、周囲に被害が出そうな状況なら敢えて腰元天魔武者に近付いて焼き払われる範囲を減らしておきます
爆弾を作る工廠は火気厳禁だろうに…
フェミルダ・フォーゼル
アドリブ、連携歓迎です。
主君の命令ならば自爆も厭わない。成る程、これが本場のブシドーですね。
見事な覚悟に身が引き締まる思いです。
こちらも命を捨てる決意で参りましょう。
事前に隠れ里の準備をしておきましょう。地形や水源等を調べて適した場所を探し、【口福の伝道者】で食材を確保しておく等して、迎え入れる用意を整えておきます。
時間はかけ過ぎられないので基礎準備だけです。
その後、兵器工廠に攻撃を仕掛けます。
派手な遠距離攻撃はヒルコに被害を与えかねません。刀を抜いて切り込みましょう。
【深霜の太刀】で全身に炎の様なオーラを纏い、【ガードアップ】で防御障壁を強化して反撃に備えます。太刀による受け流しも加えて、ダメージを最小限に抑えます。
オーラを刀身に纏わせ威力を高めた炎の太刀で、片端から斬り払っていきましょう。
「主君の命令ならば自爆も厭わない。成る程、これが本場のブシドーですね。見事な覚悟に身が引き締まる思いです。こちらも命を捨てる決意で参りましょう」
今回の現場、天正大戦国ディヴィジョン「相模国」に向かうパラドクストレインの中でフェミルダ・フォーゼル(武芸者・g04514)が高揚した口調で告げ、嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は困惑気味に首を横に振る。
「いや…天魔武者は武士じゃないし、主君の命令なら一般人を巻き添えにして自爆するのも厭わないなんて馬鹿な武士道はないよ。それに、戦国時代の武士のほとんどは、本当に命懸けだった過酷な戦いの日々をいかにして生き抜くかを何より優先したんだ。命を捨てる覚悟とか、武士道は死ぬことと見つけたりとか、君辱められれば臣死すとか言い出すのは、命懸けの戦いが日常じゃなくなった江戸時代になってからさ」
「…はあ」
きょとんと目を丸くするフェミルダに、暁翔は軽く肩をすくめてみせる。
「こう見えても俺は日本人なんでね。日本の記録に残ってるサムライの実像については、聞く気があるならいつでも話すさ。ただ、今は天魔武者と称するクロノヴェーダを叩きに行く方が先だ。奴らの所業は侍とも武士道とも何の関係もないし、そんな奴らを潰すのに命を捨てる決意をする気もない」
言い放つと暁翔は「相模国」に到着したパラドクストレインから無雑作に降り、フェミルダもやや当惑した表情ではあったが、その後に続く。
「ここは、丹沢山系かな…向こうの峰に見えるのが兵器工廠か。隠れ里は沢を一つ…いや、二つぐらい隔てていた方がいいか。天魔武者には飛ぶ奴も多いから、やっぱり洞窟がいいだろうな」
呟きながら、暁翔はヒルコたちを匿う隠れ里の候補地を探す。暁翔にとっては勝手知ったると言うか、あちこちで何度もやっている手慣れた作業なので、同行するフェミルダが感心するほど手際よく、さほど時間をかけずに適地を見つけ出す。
「よし、それじゃ早々に斬り込むか」
もたもたしていて爆弾が量産されてしまったり、それ以上にヒルコが力尽きて大爆発が起きてしまったら取り返しがつかない。暁翔は樹間を疾走し、時に樹上へ跳んで沢二つ向こうの兵器工廠へと急行し、フェミルダも遅れることなく並走する。この程度の山中移動なら殊更に残留効果を使わなくても、高レベルのディアボロスの身体能力を駆使すれば困難はない。
そして兵器工廠へ近づいていくと、見張りのトループス級天魔武者『腰元天魔武者』が気づいて迎え撃ってくる。
「くせものじゃー、ものどもー、であえであえー」
「出てきたか。ヘタに工廠内で戦うより、外のほうが始末がいい」
呟いて、暁翔はパラドクス「感染拡大(グルメ・デ・フォアグラ)」を発動。トループス級に急接近して、その顔面にチョコミントアイスを押し付ける。
「君がッ チョコミン党になるまで 食べさせるのをやめないッ!」
「あーれー、ごむたいなー」
天魔武者がチョコミントアイスを食べるわけもないし、そもそも『腰元天魔武者』には口に相当する部分がないが、そこは物理法則無視のパラドクス攻撃。チョコミントアイスを押し付けられたトループス級はたちまち氷結し、そのまま砕け散る。砕ける寸前に反撃のパラドクス「狐火放射」を発動するが、チョコミントアイスの氷結を溶かすことはできず、炎で暁翔に小ダメージを与えるにとどまる。
「あちちち…ここは外だからまだいいけど、爆弾工廠なら本来は火気厳禁じゃないのか?」
顔をしかめて暁翔は唸るが、天魔武者がそんなことに気を配っているとも思えない。というか、敵のみならず味方のフェミルダも特に頓着せず、パラドクス「深霜の太刀(フランメシュトライテン)」を発動する。
「Flamme streiten……」
全身に炎の様な剣気を纏い、フェミルダは刀身から放たれる炎気で、次々に飛び出してくる『腰元天魔武者』をばっさばっさと斬り倒す。
「おのれ、むねんじゃー」
両断されたトループス級は、最後の抵抗で反撃のパラドクス「腰元吶喊撃」を発動。薙刀を振り回したり腕から懐刀を飛ばしたりするが、フェミルダの炎の剣気に阻まれ、無傷とはいわないがごく小さなダメージしか与えることができない。むしろ、その直後に炎気が内側から溢れて生じる爆発が、フェミルダのダメージにはならないのだが、工廠内で起きていたらいろいろな意味で危ない。
(「…外でケリをつけよう。そうしよう。できればアヴァタール級も外へおびき出そう」)
更に工廠の中から飛び出してくるトループス級を見やって、暁翔は声には出さずに呟いた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
獅子谷・銀子
真正面から勝てないから、私たち以外を狙って自爆?酷すぎ。ほんと、ムカつくなぁ。
しかもヒルコから力奪うって苦しめるなんて。私自身も平凡な日本の女子高生からこんな戦いに突然放り込まれたから人の生活を壊すのは許せない。
絶対阻止してやるから。
まずは腰元天魔武者を倒す。
兵器工廠の被害を減らすためできるだけ外へ誘き出して戦おう。遠距離から「イマジナリキャノン」で打ち込んで、敵を釣り出したい。
さらに、ほらほらこっちこっち、と煽っていけばうまく兵器工廠から外へ戦う場所を変更できれば。
近づいてきた敵は、青龍偃月刀で1体ずつ切り薙いでいく。カブトムシの羽や足の力も使って空中停止したり色々な角度から格好よく戦いたい。
ただ、囲まれたら大変だから、敵や味方の距離を確認しつつ動く。
ある程度、敵の数を減らせたら、兵器工廠内へ乗り込もう。あまり時間がなさそうだ。
★アドリブ、連携歓迎。
「真正面から勝てないから、私たち以外を狙って自爆?酷すぎ。ほんと、ムカつくなぁ。しかもヒルコから力奪うって苦しめるなんて。私自身も平凡な日本の女子高生からこんな戦いに突然放り込まれたから、人の生活を壊すのは許せない。絶対阻止してやるから」
意気込んで戦場に飛び込んできた獅子谷・銀子(ドレッドノート・ガール・g03350)が、パラドクス「イマジナリキャノン」を発動する。
「まずは腰元天魔武者を倒す。兵器工廠の被害を減らすためできるだけ外へ誘き出して…あれ、もう出てきてるのか? まあ、いいや。とにかく撃つ!」
ほらほらこっちこっち、と挑発的に言い放ちながら、銀子は残り少ないトループス級天魔武者『腰元天魔武者』に向かって、幻影の砲兵によるパラドクス攻撃を放つ。もっとも、銀子の軍事知識の乏しさからか、あるいはディアボロスとしてのレベルの低さからか、砲兵も砲もいつの時代のものかよくわからない朧げで頼りないもので、パラドクス砲撃のダメージも卜ループス級を一撃で撃破するには至らない。
「おのれー、ちょこざいなー」
砲撃を受けた『腰元天魔武者』たちは、反撃のパラドクス「腰元吶喊撃」を発動。一斉に銀子へと殺到し、薙刀を振り回して容赦なく斬りかかる。接近戦になったら青龍偃月刀を使って格好良く戦うつもりでいた銀子だが、天魔武者の速度と技量は彼女の想像を遥かに越えており、ろくに防御も回避もできず、薙刀で全身を傷だらけにされる。
「うわあっ!?」
衝撃と激痛に叫び声をあげながら、銀子は転がるようにして必死に後退。間合いを開けて再び「イマジナリキャノン」を放つ。実際のところ、パラドクス攻撃ではない青龍偃月刀の斬撃では、たとえ当たってもクロノヴェーダにダメージは与えられないので、怪我の功名と言えないこともないが、二射目の砲撃でもまだ『腰元天魔武者』を潰すことは出来ず、反撃の「腰元吶喊撃」を受ける羽目になる。
(「こ、これが実戦…これが、クロノヴェーダとの戦い…」)
正直、甘く見ていた、卜ループス級でこれじゃ、アヴァタール級と戦ったらマジで瞬殺される、と、内心戦慄に震えながら、銀子は何とか致命傷を受けないように必死で逃げ転び、三射目の「イマジナリキャノン」を撃つ。幸いというか何というか、もともと残数が少なかった『腰元天魔武者』は三射目の攻撃でどうにか撃破されるが、それでも執念深く反撃の「腰元吶喊撃」で、薙刀やら懐刀やらを飛ばしてきて、銀子は更に傷をうける羽目になる。かろうじて戦闘不能とか重傷とかには至っていないが、すぐの戦闘続行には無理があるだろう。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【隔離眼】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
「あらあら、まさか、ディアボロスの方から攻めてきてくださるとは…やむをえぬ仕儀とは言いながら、二度と帰らぬ覚悟で攻め込んで、民を巻き添えに修羅外道の戦いを挑んで死ぬつもりでおりましたが、ありがたいことでございますわ」
時先案内人が幻視した狂気じみた口調とはずいぶん違う、涼やかで落ち着いた声で告げながら、アヴァタール級天魔武者『京極阿菊』が兵器工廠から静々と出てくる。
「来てくださるとわかっていれば、このような無様な爆弾など、装備するのではなかったと思いますが、今更外すわけにもいかず。お見苦しい姿ではありますが、お相手させていただきますわね」
嵐柴・暁翔
ここで爆弾が爆発したとしても工廠が吹き飛ぶだけで復讐者に実害はない
それなのに爆弾を背負って出てきたということは本当に直ぐには外せないんだろうな…
……爆弾にドクロマークと「ポチッとな」ボタン、だと…?
押すなよ、絶対押すなよ、というアレとしか思えないんだけど、TOKYOエゼキエル戦争辺りからその手のお約束的なものが流れたのか…?
とはいえ死ぬのが俺一人なら兎も角ヒルコ達の命が掛かっている以上慎重に対処します
そう思わせておいて実は…という方ではないとも限らないし、もし京極阿菊自身が答えを話したとしてもそれが真実だという保証もないからな
爆弾はクロノ・オブジェクトではないならまずは【隔離眼】で隔離できないか試してみます
隔離するのは一瞬だし異空間でならもし爆発しても周辺に被害はない筈
無理そうなら覚悟を決めて「ポチッとな」ボタンを押します
とはいえ【未来予測】を使用して押した瞬間に爆発する未来でも見えれば止めておきます
フェミルダ・フォーゼル
アドリブ、連携歓迎です。
仲間と挟み込む様に敵を包囲します。
爆弾を観察してみます。
安全ボタンがどうとか言っていましたね。もしかして、起爆ボタンの他に何か付いてるんでしょうか。
それらしいボタンがあれば、仲間に気を向けてる時などの隙をついて【エアライド】で跳躍して背後に回り込んで安全ボタンを押してみます。
爆発させないように慎重に行動します。
「…安全ボタンがどうとか言っていましたね。もしかして、起爆ボタンの他に何か付いてるんでしょうか」
工廠から出てきたアヴァタール級天魔武者『京極阿菊』と、彼女が背負っている爆弾…ドクロマークと「ポチッとな」と描かれた大きなボタンが付いている…を見据えて、フェミルダ・フォーゼル(武芸者・g04514)が小さく呟く。
その呟きを耳にして、嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は違和感を覚えて眉を寄せた。
(「…起爆ボタン? いや、あの「ポチッとな」ボタンを押せば爆弾が爆発するとは、誰も言っていない。確かに、いかにもそんな感じの見かけだが、時先案内人が幻視したヒルコの呻きから素直に判断すれば「ポチッとな」ボタンこそが安全ボタンということになる」)
爆弾に他のボタンがついている様子もないし、爆弾と工廠が連鎖的に爆発する条件は、アヴァタール級の撃破とヒルコの死しか提示されていない。ボタンに言及しているのは「安全ボタン」の話だけだ。
(「とはいえなあ…どう見ても、押すなよ、絶対押すなよ、というアレとしか思えないし、TOKYOエゼキエル戦争辺りからその手のお約束的なものが流れたとすると、その構造を動力源にされているに過ぎないヒルコがどうして分かるのか…トリックということはないにしても、万一勘違いだったりしたら取り返しがつかないぞ」)
できれば爆弾をアヴァタール級から外してしまいたい、と、暁翔は【隔離眼】を使ってみるが、爆弾は複雑な機構で『京極阿菊』と結び付けられているようで、別途に扱って隔離することができない。考えてみれば、そもそもアヴァタール級自身が勝手に爆弾を外すことができないのだから、残留効果や単純な斬撃程度の安易な方法で外せるはずがない。おそらく「安全ボタン」を押さずにアヴァタール級と爆弾の繋がりを無理矢理に断てば、爆弾は即座に破裂し、工廠とヒルコたちは吹っ飛ぶだろう。
と、暁翔がそこまで推察した時。
「見つかりませんね。背面から観察します」
もしかするとボタンに描いてある「ポチッとな」という日本語を読むことができず、ヒルコの呻きと結びつかないのか、懸命に「安全ボタン」を探すフェミルダが【エアライド】で『京極阿菊』の頭上を飛び越し背後へと回る。攻撃の意図はないのでアヴァタール級の反撃はなかったが、さすがに後ろに回られては無視も出来ないのか『京極阿菊』はフェミルダの方へ向き直る。
(「…今だ!」)
アヴァタール級が後ろを向いた瞬間、暁翔は度胸を据えて前へと飛び出し「ボチっとな」と描かれたボタンを押す。一応【未来予測】を使ってボタンが押されても即座に爆発が起きないことだけは確かめているが、予測できる未来はたった一秒先でしかなく、あまりあてにはならない。
しかし幸い爆発は起きず、爆弾から灰色の煙がシューッと音をたてて噴き出る。同時に爆弾に描かれていたドクロマークが、薄れて消える。
「…これはいったい、何が起きたというのでしょうか?」
どうやら装備していたアヴァタール級本人も「ポチッとな」ボタンの機能については知らなかったらしく、『京極阿菊』は本気で当惑した声を出す。それに対して暁翔は、淡々とした口調で答える。
「気にしなくていい。これで俺達はやっと、無辜の一般人を巻き添えにするのしないのと余計なことを気にせずに、不倶戴天のクロノヴェーダとディアボロスとして尋常に勝負できるってことだ」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【未来予測】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
嵐柴・暁翔
効率だけを考えれば敢えて爆弾を爆発させて工廠や動力源のヒルコ達を纏めて吹き飛ばすという手もあっただろうな
自爆特攻を防ぐのもヒルコ達を救出するよりは始末しておいた方が確実ではある
……それを選べるようになってしまえばもう復讐者どころか復讐鬼にまで堕ちているんだろうけどな…
二刀を構えて《悪魔合体》を発動
二人の剣技と土魔法で足元から石筍を隆起させて攻撃します
但し火魔法や雷魔法のような引火の可能性がある攻撃はしないようにします
爆弾の爆発は止めたとはいえ相手が爆薬の塊を背負っている状況に変わりはないし、そうでなくても火薬を扱う工廠では火気厳禁だ
陳のおやっさんの話とは違って随分とまともな言動だな
……まあ幾らクロノヴェーダだろうと部下諸共死んでこいと命令された挙句にその準備を自分達でさせられていれば正気でいろという方が無茶なのかもな…
フェミルダ・フォーゼル
アドリブ、連携歓迎です。
火術は使わない方が良いですか?でしたら、グレイシャルプリズンの氷術で凍らせてみます。
爆発しない様に、慎重に攻撃します。
反撃のタケノコは、防御障壁で軽減してエアライドで飛び退って耐えます。
このディビジョンにもサムライはいなかったのですね。次の世界に期待しましょう。
零識・舞織
あとは天魔武者を倒しヒルコ達の隠れ家を作るだけですね。
という事でアヴァタール級討伐に参加させていただきます。
私は後方から人妖筆を取って書き上げた大量の妖怪画をぶつけます。
これなら足止め用の石筍が隆起して来てもそこまで問題はありません。
元は燃えるような液体ではありませんから、これなら湿気って周りがなにかの拍子で爆発する事もないでしょう。
しかし京極阿菊とはおそらく尼子義久の正室の名前なのでしょうがどうにも尼子氏関連のクロノヴェーダが多く居るように思えますね。どこかに尼子軍を率いる大物が居るのかもしれませんね。
ともかくこれ以上の非道は許されません。爆弾抱えて一人寂しく討たれるが良いでしょう。
バトラ・ヘロス
アドリブ、連携歓迎であります。
遅くなりましたが、参戦するであります。
念の為、爆発に気をつけた方がいいでありますか?
騎乗した無双馬に地面を蹴りつけさせて、【凍土氷槍】の領域を展開します。
敵の足元を凍らせて、氷の槍を撃ち出して貫いて凍らせるであります。
反撃の幻影は、対処が分からないので逃げるか盾で防ぐかしてみます。
ボタンを押しても最小限の巻き添えは出るんでありますか。爆発には警戒しておくであります。
(「陳のおやっさんの話とは違って、随分とまともな言動だな……まあ幾らクロノヴェーダだろうと、部下諸共死んでこいと命令された挙句にその準備を自分達でさせられていれば、正気でいろという方が無茶なのかもな…」)
ということは、俺達が攻撃を仕掛けたことで、このアヴァタール級は気が狂いそうになるほど酷い状況からめでたく解放されたというわけか、と、嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は何とも複雑な思いで、声には出さずに呟く。
一方、暁翔とは反対側に立ち、アヴァタール級天魔武者『京極阿菊』と向き合っているフェミルダ・フォーゼル(武芸者・g04514)は、爆弾の安全ボタンが押されて誘爆の危険がなくなったことに、いまいち確信が持てないのか、たぶん暁翔に向かってだろうが、声に出して訊ねる。
「火術は使わない方が良いですか?」
「あ、ああ…そうだな」
やや曖昧に暁翔は応じる。爆弾の誘爆はたぶん止めたはずで更にここは工廠の外だが、それでも万一の危険を考えれば、できれば火術は避けたほうがいい。ただ、その応答を理性を取り戻したと思われる『京極阿菊』に聞かれることで、何か対応されるのではないか、と、暁翔は少々危惧したが、フェミルダは躊躇なく行動に出る。
「では…」
うなずくと同時に、フェミルダはパラドクス「グレイシャルプリズン」を発動。指先から強烈な冷気を放って『京極阿菊』を氷結させる。
「くっ…何の!」
卜ループス級なら一撃で氷結粉砕される強力なパラドクスを受けた『京極阿菊』は、しかしさすがアヴァタール級というべきか、屈することなくほぼ同時に反撃のパラドクス「銀筍攻壁」を発動。フェミルダの足元や周囲の地中から鋭く尖った銀の石筍を無数に伸ばす。
「はっ!」
瞬間、フェミルダは【エアライド】で宙へ跳んだが、凄まじい勢いで伸びるパラドクス攻撃の銀筍を躱しきることはできず、脚や腕を容赦なく貫かれる。それでも防御障壁と身躱しで串刺しにされるような致命的なダメージは避け、即座に銀筍を引き抜いて傷を塞ぐ。
そして同時に、暁翔がパラドクス「悪魔合体(フュージョン)」を発動。契約した大天使の姉妹、セレスティアとアリスティアの二人と一時的に合体し、地魔法を使って『京極阿菊』の足元から石筍を突き上げる。
「…これは、わたくしの術の真似ですか?」
突き上げられた石筍に片腕を直撃され砕かれながら、『京極阿菊』は反撃のパラドクス「銀筍攻壁」を再び発動。アヴァタール級が石筍を躱して跳んだら剣で攻撃しようと跳んだ暁翔の動きを読み、容赦なく銀筍を伸ばして空中で貫く。
(「読まれたか…だが、ダメージは充分に与えた」)
躱しきれずに肩を貫かれながらも、暁翔は借り物の【エアライド】で逆方向に宙を蹴り、間合いを外す。
そして『京極阿菊』がフェミルダと暁翔のどちらへ詰め寄るか決めるより先に、バトラ・ヘロス(沼蛙・g09382)と零識・舞織(放浪旅人・g06465)の二人が応援に駆けつけてくる。
「遅くなりましたが、参戦するであります。念の為、爆発に気をつけた方がいいでありますか?」
暁翔に訊ねたバトラは、しかし悠長に返答を待つことなく、騎乗疾走してきた無双馬『青縞』の脚を止め、パラドクス「凍土氷槍」を発動。『青縞』が地面を踏みしめると同時に、その脚下から凍土の領域が『京極阿菊』に向かって凄まじい速度で伸び、その足元から無数の氷の槍を突き上げる。
「ま、まさか、またも、わたくしの術を…こ、これが、ディアボロスの戦術…」
今度は腕一本では済まず、脚から腰から胴から、至るところを氷の槍で貫かれたアヴァタール級は、しかしそれでもまだ屈することなく、反撃のパラドクス「尼子十旗」を発動する。幻想の中で掲げられる尼子の旗。その元に我先に集う武者や民たち。「圧政」を糧とする天魔武者としてはありえない幻想世界は、オリジナルとなるクロノス級『京極阿菊』が見た夢か。あるいは、クロノス級に名を奪われた「尼子義久の賢夫人」が与えた夢か。いずれにしても、バトラにとってはまったく理解不能な幻影に襲われ、相応のダメージを負いながらも、彼女は半ば無意識に盾をかざし、再び『青縞』を疾走させて逃げるが勝ちとばかりに離脱する。
そして、氷の槍で全身至る所を貫かれ、ほとんど身動きも取れない状態のアヴァタール級に対し、用心深く遠目の間合いを取って、舞織がパラドクス「妖怪写百鬼夜行軍(ヨウカイウツシヒャッキヤコウグン)」を発動する。
「絵に封じられし悪鬼羅刹よ、今こそ我が絵を依代に権限せよ」
顕現ではなく権限なのがミソなんですよ、わかりますか、などと嘯きながら、舞織は人妖筆を取って大量の妖怪画を書き上げ、そこから出現した妖怪たちを『京極阿菊』にぶつける。その様相は、まさに百鬼夜行ではあるが、実体は墨絵で力だけが妖怪に相応したものを備えているという点では、ある意味、アヴァタール級がバトラに放った幻影技に似ている部分もある。
しかし満身創痍の『京極阿菊』は、もはや自分の術を真似たの何のと言う力もないのか、反撃することも出来ずに量の妖怪に襲われるままに身を震わせ、やがて爆発を起こして砕け散る。工廠が巻き添えにならないか、と、ディアボロスたちが注視したが、その様子はなく、逆にシュウシュウ、ガタガタと作動音らしきものや微震動があったのが、すべて消える。
(「…ヒルコだけじゃなく、アヴァタール級の力も工廠作動のために使っていたのか?」)
いずれにしても、慎重かつ迅速にヒルコたちを解放しよう、と、暁翔が工廠へと走ると、隣で走り出したフェルミナがぼそりと呟く。
「このディビジョンにもサムライはいなかったのですね。次の世界に期待しましょう」
「いや…あくまで俺の感覚だけど、サムライとか武士道とかいうのは、どんな最期を迎えても取り乱さないというのが主眼じゃないかと思う…だから、基本は不死のクロノヴェーダにサムライはいないんじゃないかな」
暁翔の指摘に、フェミルダは曰くいい難い表情になったが、敢えて言い返すことなく黙り込む。
そして、追いついてきた舞織が告げる。
「しかし、京極阿菊とはおそらく尼子義久の正室の名前なのでしょうが、どうにも尼子氏関連のクロノヴェーダが多く居るように思えますね。どこかに尼子軍を率いる大物が居るのかもしれませんね」
「そうだな…ただ、尼子軍を率いる国主級の天魔武者がいるなら、尼子の一族、武将、関係者はクロノス級やアヴァタール級じゃなくて、その陣営のジェネラル級になると思う。もちろん確言はできないけどさ」
どこかに山中鹿介一人だけを配下ジェネラル級にしている尼子勝久が逼塞してたりしたら、それはそれで悲しいな、と、暁翔は声には出さずに呟いた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
嵐柴・暁翔
後はヒルコ達の救出だな
かなり弱っていそうだしまずは【活性治癒】で癒しつつ何か食べ物を渡して動ける程度には回復させます
救出後は工廠にある使えそうな物資は【アイテムポケット】に入れるか直接持ち出して、工廠も時間の許す範囲で破壊しておきます
爆弾に引火させれば手っ取り早いかな
ヒルコ達もいるし目星を付けておいた隠れ里の適地までは【エアライド】を使用して出来るだけ楽な道を選んで移動します
寒そうなら【寒冷適応】も併用
まずないとは思いますが尾行や監視の類がないか警戒しておきます
隠れ里に到着後は持ち込んだ分と工廠から頂いた物資と【口福の伝道者】で増やした食料を渡しておきます
排斥力で弾き出される正確な時間は陳のおやっさんに分からないなら俺に分かる訳もないし後はもう時間との勝負だな
畑を作れそうな個所があれば【土壌改良】を使用
燃料は必須なので只管かき集めます
近辺の水源の場所や食料になりそうなものがどこにあるかも確認してヒルコ達に伝えておきます
自分で言うのもなんだけど、なんというか色々と手馴れてきているな…
(「自分で言うのもなんだけど、なんというか色々と手馴れてきているな…」)
声には出さずに呟きながら、嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)は機能停止した兵器工廠の魔法動力回線(?)から慎重かつ迅速にヒルコたちを外し【活性治癒】で回復させる。そして動ける状態にしたところで工廠の外へ出し、充分に距離をとった物陰に退避させた上で、工廠に取って返し、一応中を確認した上で爆破する。
(「使えそうな物資は、特にないな。武蔵国の砦と違って、ここで人間が生活してたわけじゃないからな」)
ヒルコたちの食事はどうしていたのか、多少疑問に思うところではあったが、本人たちにとっては思い出したくもない記憶のようなので訊ねるのは差し控える。何しろ、どのくらいのタイミングで排斥力が発動するのか、時先案内人にもわからないのだから、必要なことをできるだけ急いで行うしかない。
「それじゃ、隠れ家まで順番に運ぶからな」
そう言って暁翔はヒルコを一人づつ抱え【エアライド】で最短距離を跳躍しながら、沢二つ向こうに設置した洞窟の隠れ里へ運ぶ。途中、周囲に注意深く気を配りながら往復するが、とりあえずクロノヴェーダらしき気配はない。
そしてヒルコたちを全員隠れ里に入れて、暁翔は蓄えてある物資の在り処を告げる。
「この人数なら、ひと冬越せるくらいは集めてある。もし足りなくなるとしたら燃料だと思うが、洞窟の入口近くで枯れ枝くらいは拾えるだろう。どうだ?」
訊ねる暁翔に、ヒルコたちはやや当惑した表情ながら、無言でうなずく。とにかく生存するための情報を伝えるのを優先した結果、こっちが何者で何をどうするつもりでこんなことをしているのか、全然説明していなかったことに暁翔は今更のように気がついたが、ヒルコたちがそんな説明を求めているようにも思えない。
(「…まあ、何が何だかわからないままこっちが消えても、ヒルコたちは自力で生き延びられるだろう、たぶん」)
まあ、できることはやった、と、暁翔は言葉には出さずに呟いた。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
桜歌・詩音
(トレインチケット)
「間もなくお別れになると思います。最後に、歌を歌いますので聞いて下さい」
ソリニス・ルブラン(人間の人形遣い・g04162)と桜歌・詩音(元アイドル候補生・g03797)の二人が、隠れ里の洞窟の比較的広い場所…炉が作られ鉄釜で湯が沸かされている所に集まっているヒルコたちに告げる。
ちなみに、ここで湯を沸かすことで洞窟の中を適度に温め、炉の煙は洞窟の中に籠もらないよう、かつ外に漏れて所在を知られないよう工夫して、洞窟の天井近くを這うようにしてある。更に言えば、この場所自体がけっこう岩盤の奥深くなので、歌を歌っても音が外に漏れることはない。
そしてソリニスと詩音は、それぞれ【勝利の凱歌】を歌う。この洞窟の隠れ里は、一冬の生存環境としては充分なものではあるが、ヒルコたちが自分たちで見つけたものでも作ったものでもない。いわば「何が何だかわからないまま与えられた環境」なので、そこで頑張って生き延びていこうという意欲が、いまひとつ湧き出てこない部分があった。更に言えば、身体的には【活性治癒】で健全な状態になっているものの、兵器工廠で魔力を搾り取られ理不尽に虐待されていたヒルコたちは、精神的に疲れ切っていた。
しかし、残留効果【勝利の凱歌】は、聞く者に勇気と希望をもたらす。安堵はしたものの、疲弊沈滞していたヒルコたちの精神を、ソリニスと詩音の歌が力づける。裏付けのない精神操作だと言ってしまえばそれまでだが、気力を奮い起こさせて悪いことがあるはずもない。
「StartingRoad♪諦めないで Dream will come true♪STARtingLord♪いつか至る頂点♪」
詩音の歌声が、高らかに響く。本来はパラドクス攻撃としての力を持ち、敵対者にダメージを与えることもできる歌だが、今はただ、虐げられてきたヒルコたちに勇気と希望を。
そしてソリニスの歌が、クロノヴェーダが支配する理不尽な世界を変革する意志を告げる。これも本来は武器に宿してパラドクス攻撃を行う戦歌だが、今は人々に勇気と希望を。
やがて歌の余韻が消えた時、二人のディアボロスの姿は消えていた。ヒルコたちの心に勇気と希望を残して。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【勝利の凱歌】LV2が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!