【幻想竜域キングアーサー奪還戦】大山の巨獣

 このシナリオは【幻想竜域キングアーサー奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 幻想竜域キングアーサーのジェネラル級及び、従属状態である『TOKYOエゼキエル戦争の大天使とアークデーモン』と『巨獣大陸ゴンドワナの巨獣』、戦争に利用されようとしている『黄金海賊船エルドラードのアビスローバー』の軍勢に対して、戦闘を仕掛けます。
 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。

 このシナリオの攻撃対象は、王妃竜グィネヴィアによって竜の花嫁となったジェネラル級巨獣『山殻亀ヴォグトーラス』の軍勢です。
 『山殻亀ヴォグトーラス』は、巨大な山そのもののような巨体で、王妃竜グィネヴィアの戦場の北方を遮っていますが、グィネヴィアを守ろうといった意志は無く、その場で、新たな眷属の子供を生み出し続けているようです。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「㉑山殻亀ヴォグトーラス」の敵残存率を低下させます。

【幻想竜域キングアーサー奪還戦】雄大なる猫鍋(作者 つじ
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#巨獣大陸ゴンドワナ  #【幻想竜域キングアーサー奪還戦】大山の巨獣  #幻想竜域キングアーサー奪還戦  #山殻亀ヴォグトーラス 


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 巨獣大陸ゴンドワナに相応しい、雄大なる山麓。緑に覆われたその地は、よく見れば僅かに、ゆっくりと上下していた。
 それもそのはず、巨大な山に見えるこの物体は、ゆるやかな寝息を立てるそれは山殻亀ヴォグトーラスそのものである。ゆりかごのように揺れるその場所には、産まれたばかりの巨獣達が、思い思いにのんびりと過ごしていた。

 なーお、なーお。にゃにゃにゃっ。みゃーん。

 木々を圧し折りながら爪を研ぐ者、ボールのような巨岩をころころと転がして追いかける者、巨樹の葉をもしゃって毛玉を吐く者――スケール感がおかしいが、それはどう見ても、ヒトにとってはなじみ深いネコのそれだ。
「おなかすいたー」
「たのしぃー」
「あれ、なんだかねむいな……?」
 強靭なる体躯と鋭い牙、そして殺人的にやわらかな毛皮と肉球を持つその巨獣は、凶暴にして残忍なその本能を発揮する時を、今か今かと待ち構えていた。

 たぶん。

●ゆりかご
 幻想竜域キングアーサー、このディヴィジョンを統べるのは、強大なるドラゴン達だ。彼等は妖精郷を滅ぼす寸前まで追い込むなど、クロノヴェーダの中でも特別に強力な存在だったが、これまでの戦いによって、確実にその力を削ぐことに成功していた。
 多くの円卓の騎士を討ち取り、竜域ダンジョンを奪還し、妖精郷から追い出し――《七曜の戦》の結果、アイルランドとグレートブリテン島の南半分を失ったことも幸いしたと言っていいだろう、つまりは、ここが佳境である。
 絶対不可侵とされたキャメロット城が、ディアボロスの奇襲攻撃によって陥落した今こそ、断片の王アーサー・ペンドラゴンを討つ、絶好の機会、なのだが。
「ここまで追い詰めても、アーサー王は勝利を諦めていません」
 集まったディアボロス達に、案内人の盾祀・楓(人間の風塵魔術師・g03193)がそう告げる。
 TOKYOエゼキエル戦争の大天使からの情報もあるのか、敵は奪還戦の為に現れる『新宿島』を破壊して、ディアボロスを撃退する準備を整えて待ち構えているという。
 さらには自らが敗北したとしても『幻想竜域』を残すべく、王妃竜グィネヴィアをゴンドワナ大陸に移動させ、未知のディヴィジョンである『空想科学コーサノストラ』とも密約を結んでいるという用意周到ぶりだ。
「厳しい戦いになると思いますが、皆さんの力をお貸しください」

 彼の示したパラドクストレインの行く先は、巨獣『山殻亀ヴォグトーラス』の背中の上だ。王妃竜グィネヴィアによって竜の花嫁となったこの巨獣は、巨大な山そのもののような体躯を誇り、王妃竜グィネヴィアの戦場の北方を遮っている。
 どうやらこの戦争そのものに興味がないらしく、グィネヴィアを守ろうとする様子もなくその場で寝こけているが、その間にも新たな眷属の子供を生み出し続けているという。
「敵の狙いを阻むこと、そしてその後のゴンドワナへの影響を鑑みれば、この巨獣も速やかに退治してしまいたいところですね」
 とはいえ、この巨体の獣を倒すのは一苦労だ。まずは周囲で増え続ける子供の巨獣達を打ち払い、攻撃に専念できる状況を作るところから、だろうか。
「ヴォグトーラスの背の上は、山中の密林のようになっています。皆さんの向かってもらう場所の周辺には、生まれたばかりの『爆裂凶獣ニャストドン』が群れを成しているはずです」
 猫科の動物を彷彿とさせるその巨獣は、その辺で日向ぼっこをしたりだらだらと過ごしているようだが、玩具もとい遊び相手、いやさ襲撃してきたディアボロス達を発見すれば、途端に襲い掛かってくる――者も居るだろう、たぶん。
 正直反応の予測はつかないが、とにかくこの巨獣達を一体でも多く撃破してほしい、と彼は言う。
「遠目に見ると非常に和む外見をしていますが、巨獣ですからね。相応の巨体と戦闘能力、そして凶暴さを併せ持っています。くれぐれも、油断せず挑んでください」
 いいですか、本当に油断しないでください。絶対ですよ。
 しつこいくらいに念押ししてから、楓は一同を送り出した。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【泥濘の地】
3
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV1 / 【アヴォイド】LV1

●マスターより

つじ
 こちらは『幻想竜域キングアーサー奪還戦』のファーストアタックシナリオになります。
 一章構成、速度優先で進めたい気持ちですのでよろしくお願いいたします。

●爆裂凶獣ニャストドン
 産まれたばかりの巨獣です。成長すれば、知恵のある巨獣に育つのでちょっと喋ります。

 大集団の敵を一体でも多く倒し、無事帰還してください。油断すると取り囲まれ、撤退できぬまま圧し潰される可能性もありますのでご注意ください。それがご褒美ですという方は止めません。がんばれ。
 なお、戦場とイコールである『山殻亀ヴォグトーラス』は、このシナリオ中に手を出してくることはありません。その間に、トループス級を減らすことに尽力してください。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


イツカ・ユメ
この戦いを乗り越えたら、楽しいクリスマスだもんね♪
よーし、気合い入れていくよ!

巨獣の背中の上で戦うなんて、童話の世界みたいでちょっとわくわくするけれど油断はせずに。
目立たず密林を歩けるような色のマントを羽織って、日向ぼっこ中のニャストドンにこっそり接近して不意打ちを仕掛けるよ!
…ぁ、その前に。
ちょっとだけ写真撮らせてー!
ぽかぽかぬくぬくの陽だまりで過ごすにゃんこは絶対可愛いもん!

地形を利用して、物陰に隠れたりしながら一撃離脱を繰り返して。
大勢に囲まれてぺしゃんこにされないように注意しつつ、弱っていそうな相手から一体ずつ確実に倒していくね。
こう、モーラットのキットをころころ転がしたら、猫が毛糸玉を追いかけるような感じで誘き出されてくれないかな?
ほーらほら、こっちだよー?

周囲に協力できそうな人達がいたら、臨機応変に加勢するよ。
長い尻尾の動きに巻き込まれないように、攻撃の気配を察知したら皆にも報せるね。
…隙あらばこっそり、ニャストドンの肉球をふにふにしたり、お腹の辺りを吸ったりしてみたいなぁ。


ゼキ・レヴニ
巨獣が生まれんのは良いとしてだ、何故イエネコ…?
もしやディアボロスを油断させる高度な戦略だってのか
猫派だったら危なかったぜ、だがおれは生粋の犬派
その手には引っかからn……うわ毛並みフワフワだなァ……引っかからんからな!

味方とタイミング合わせて攻撃を仕掛ける
金属塊『躯』を旗槍に変形させ
じゃれつきたくなるような動きで振り回しながら、戦場を動き回って敵陣を撹乱するぜ
ほれほれ遊ぼうぜ、子猫ちゃんたちよ
上手く引っかかってくれたら、視線が旗に向いた隙を狙って槍で一突き
フェイント*も狩りにゃ必要だろ、親猫がわりに教えてやる

尻尾攻撃はジャンプ*で、高さが足りなけりゃ槍を使って棒高跳びの要領で避けるぜ
それか胴の下を滑り抜けてついでにあの腹に顔を埋め……いやいや
猫の魅力に負けそうになった時は、家のワンコを思い出して気を引き締める
ワンコの元気なフッサフサ尻尾…顎をビンタしてくる感触……ヨシ。おれは正気だな

敵戦力を十分削ぐか此方が不利な状況なら頃合い見て撤退
また遊ぼうぜ、次はここよりでっかい戦場でな

*=技能


●猫の扱い方
 年の瀬の近いこの時期も、ディアボロス達の戦いに休みは無い。戦争が迫っているとなればそれも尚更、気を抜くことのできない展開が続くが――この戦いを乗り越えたら、きっと楽しいクリスマスが待っている。
「よーし、気合い入れていくよ!」
 そう気を取り直して、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)がパラドクストレインから密林へ――巨獣、『山殻亀ヴォグトーラス』の背へと降りる。こうして眺めると険しい山の一部にしか見えないが、この一帯が巨大な生き物であると考えると、もはや夢物語や童話の域である。森林迷彩カラーのマントを羽織り、木々の合間へと舞い降りた彼女は、早速周囲の敵の気配を探る。『花嫁』となったこの巨獣は、その特性通り子供だか配下だかを増やしていっているはずだが。
「それが何でイエネコなんだ……?」
 イツカに先行して索敵を行っていたゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)が思わず呟く。産まれたばかりの幼い巨獣……ニャストドンは、新宿島の住人にとってもなじみ深いごく普通のネコのような姿をしていた。
 木漏れ日の当たる場所に丸くなり、ごろごろと喉を鳴らす様はいかにも平和な風情だが、少々、いやかなりサイズがおかしい。
「猫派だったら危なかったぜ。その手には――」
 巨大ではあるが子供らしく、風になびくその毛並みは子猫特有のフワフワとしか感触を想起させる。完全に思考がそっちに持っていかれたゼキだったが、そこでどうにか持ち直した。
「――その手には引っかからんからな!」
 これもまた歴戦の兵の、強靭な意志の成せる業。そこに駆け付けたイツカもまた、使命を胸に身構えて。
「ぁ、その前にちょっとだけ写真撮らせてー!」
 いやダメだった。実際この誘惑に抗える者は中々いない、取り出した端末でしばし撮影を行ったところで、ゼキは「そろそろいいか」と敵の誘導に動く。
 『浪の旗幟』、形を変えた金属塊、躯は無地の旗槍へと形を変える。本来は味方の旗印とし、鼓舞する役割を持つそれだが、今回の役目は、そう。
「ほれほれ遊ぼうぜ、子猫ちゃんたちよ」
 猫じゃらしである。ばっさばっさと降られたそれに興味がわいたのか、伏せていた耳を上げた巨獣が立ち上がる。
「よーしよし、その調子だ」
 狩人の眼になり、揺れ踊る旗先を追いかけ、姿勢を低く。そのまま猫のおもちゃ替わりの旗に向かって、巨獣は素早く飛び掛かった。
 このサイズ差では闘牛よりも一際危ないが、ゼキはその旗を素早く引き寄せ、側面を晒したニャストドンに向かって槍の一撃を叩き込んだ。
 サイボーグの体重を乗せた重い一撃に、さしもの巨獣も姿勢を崩す。
「狩りってのはこうやってやるんだよ」
 生まれたてではまだわからないか? 余裕の表情でそう告げるゼキに対し、「フシャーッ」と凶暴な表情を浮かべたニャストドンは反撃に出た。
「くるよ!」
「ああ、わかってる!」
 あーふさふさだなあの尻尾、みたいに流されかけた思考を引っ張り戻し、イツカの警句にゼキが応じる。見た目に似合わずすさまじいパワーを秘めた尻尾ビンタを、ゼキは旗槍を用いて棒高跳びの要領で回避。だがそれこそ狙い通りとばかりに、ニャストドンは空中のゼキへと追撃を仕掛けようとするが。
「キット、出番だよー♪」
 イツカの歌に合わせてモーラットが分裂し、ばらばらの方角へと転がり始めた。
「ほーらほら、こっちだよー?」
 ふわふわの毛糸玉のようなそれが一斉に転がる様子に、ニャストドンは本能的に反応し、そちらへと飛び掛かっていってしまう。
 結果的に撹乱され、大きな隙を晒した巨獣、それを見逃さず、イツカは仕掛けた。
「わーっ、ふかふかだー!」
 腹部に全身で飛びついて、思う様に吸う。驚いたニャストドンがごろごろと暴れ始めるが、彼女を引き剥がすには至っていないようで。
「うらやま――」
 いや待て、何を言いかけた? 生粋の犬派を自認するゼキは、危ういところで我に返る。
 こういう時に必要なのは平常心。思い返すべきは家で飼っているワンコの姿だ。元気に揺れるフッサフサの尻尾、それが顎をビンタしてくる感触――。
「――ヨシ」
 おれは正気だ。
 若干怪しいものの落ち着きを取り戻した彼は、暴れる獲物を仕留めにかかった。
「肉球もふにふにしたかったなぁ」
 一仕事終えたが、まだ心残りが、とばかりにイツカが呟く。
「なに、敵はまだまだ居るさ」
 頃合いを見たら撤退、と行きたいところだが、それは未だもう少し先のことだろう。
 次の獲物を引っ掛けるべく、二人はそれぞれに、戦場を駆けていく。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【通信障害】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎

うーん、ゴンドワナ攻略のベテランと言っても過言ではない位に何度も訪れてたけど、ドラゴン達の拠点が既に築かれていたのに気付けなかったのは不覚だったね。相手側の動きも予想した上で調査してれば事前に発見や対処が出来ていたかもしれないしね。まぁ、今回の戦争で巻き返す為にも気持ちを切り替えて行こうか。

えーと、今回の敵は巨大なニャンコなニャストドンだね。前にゴンドワナの巨大湖で交戦経験があるけど、ドラゴン勢力の影響で知性があるんだね。此方はふらふら揺れる尻尾とモフモフな毛玉に心を奪われない様に意志を強く持って、華麗なフットワークでジグザグに駆けて陽動しながら仲間と連携しつつ、群れた敵達を分断して行くよ。
上手く孤立させられた個体が居たらダッシュで間合いを詰めて身体を駆け登った上で【ヤコブの鉄拳】をお腹にお見舞いするよ。モフモフは良いものだけどキミ達の自由にさせる訳にはいかないんだよ。それにしてもこのお腹での皮で三味線を作ったらとても良い音色を奏でられそうな気がするんだよね。


白戸・もがり
ねこかわいい。(第一声)
まあ猫に限らず殆どの動物が好きなんだけども……犬巨獣とか居ないのかな……
とにかく! 可愛いとはいえ相手はクロノヴェーダ、しっかり戦わないとねえ

まずは積極的に襲ってくる個体を優先して攻撃しようか
一気に複数に来られた場合は、木々や茂みを使って視線を切り(【地形の利用】)、なるべく1対1の状況を作る
巨獣だから体力も多めだろうし、氷槍で一体ずつ確実に減らしていきたい
近くで戦ってる人がいるなら、一緒に同じ対象を叩くことで撃破速度を上げていく

襲ってくる個体を倒した後、周囲に他個体がいない場所を探して
そこに1、2体ずつ釣り出して、同じように倒していきたい
釣り出しは……行動が猫だし、動くものを見せたら反応するんじゃないかなあ
尻尾を揺らしたり、私自身がちょっと走って動く等を試してみる
上手く行かなかったら、少し離れた所から普通に攻撃
囲まれないよう引き撃ち式で移動しつつ戦い、頃合いを見て撤退するよ

……後ろ髪引かれる気持ちもあるけど! どうせ私の戦い方(WIZ)じゃ毛並み触れないしね!



 多少の知恵はあると言えど、産まれたばかりの巨獣ではそれもまだ未熟なのか、ディアボロス達の撹乱によって、巨獣達はあちらこちらへとばらばらに走り回っていた。
 転がるモーラット、振り回される猫じゃらし、それらに盛大に反応し駆け回る様子を、白戸・もがり(葬送の虎落笛・g02018)は目を細めて眺める。
「ねこかわいい……」
 まあ少々ばかでかいけれど、それはそれで。犬の巨獣とかも居たらもっと楽しく遊べそうなのだけど……と思考が上滑りしかけて、彼女は頭を振って気合を入れ直した。
 そう、動物好きの彼女にとってどれだけ好みの形状をしていようとも、あれらは他ならぬクロノヴェーダなのだから。
「しっかり戦わないとねえ」
 それにしても数が多い。足元の山岳……ではなく山のような巨獣が竜の花嫁となり、次々と新たな巨獣を生み出しているのが原因だろうが。
「ここまで敵の準備が整ってるとは……不覚だったね」
 このディヴィジョンを重点的に攻略していたイロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)にとって、それは悔やむべき状況だった。
「相手側の動きも予想した上で調査してれば、もう少し早く対処できていたかな?」
 過去の選択に対して色々と『もしかしたら』が思い浮かんでしまうが、そうは言ってもこの大陸は広かった。ピンポイントでドラゴン勢の動きを抑えるのは難しかったのではあるまいか。
「まぁ、今回の戦争で巻き返そうか」
 気を取り直して、イロハは隠れていた茂みから飛び出し、敵の誘導にかかる。尻尾や毛玉、無駄に愛らしいそれらに視線を引かれぬよう気を強く持って、捕まらぬようジグザグに駆ける。
 そうして敵を引きつけた先には、イロハと同様、敵を誘うように、もがりが姿を見せていた。こちらを発見し襲い掛かってくるニャストドン達を順に視線でなぞり、身構える。。
『居たニャ、獲物ニャ!』『フシャーッ』
 拙い言葉を話しながら突っ込んでくるそれらの動きを読み切り、密林の木々を上手く遮蔽に使うように、跳ぶ。にゃーにゃーにゃーどったんばったん、とぶつかったり跳ねたりした巨獣の群れがもみくちゃになり、そこから飛び出してきた一体と向かい合うようにして、もがりは一対一の戦場を形作った。
 展開されるは毛玉ボンバー、ふわふわの体表から生み出された柔らかそうな毛玉を、巨獣はもがり目掛けて放り投げる。
 勢いよく、「しねニャー」みたいな声と共に放たれるそれを、微笑ましい思いで躱しながら、対する彼女は氷の楔を生み出した。
 鋭いそれが突き刺さり、敵の動きを縫い留めたところに、素早く距離を詰めたイロハが拳を振るう。
「モフモフは良いものだけど、キミ達の自由にさせる訳にはいかないんだよ」
 『ヤコブの鉄拳』、飾り気のない拳の一撃が敵の巨体を揺らがせる。
「それにしても、このお腹での皮で三味線を作ったらとても良い音色を奏でられそうな気がするんだよね」
 尻尾を用いた反撃を捌き、彼女はそのまま決定的な一撃を叩き込んだ。
 戦闘不能に近いダメージを負って、巨獣の動きが鈍る。しかしながら、この個体が孤立しているのは一時的な――というかこの一合の間のみ。先程までもみくちゃになっていた集団は、統率が取れないながらもディアボロス達に向かってこようとしている。
「もう一回釣ってあげないとダメかな……?」
 迫る敵の様子に嘆息して、もがりはそちらを誘うように尾を振ってやる。元気よく、木々を薙ぎ倒しながら追ってくるそれらから、彼女は巧みに逃げ、引き撃つように氷柱をいくつも展開し始めた。

 危なげないながらも戦いは続き、そうしていくらか敵を削ったところで、二人は撤退を試みる。
「囲まれないためには……仕方ない、よね?」
 合理的な結論ではあるけれど、もがりは小さくそう呟く。ここまで一切ネコの毛並みに触れていない。とはいえ彼女の場合、それが叶うのは轢き潰される時であろうから。
 心残り、というか後ろ髪引かれる思いに苛まれながら、彼女は一旦その場から退却した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

リューロボロス・リンドラゴ
むぅむぅ……。
いや、我、牙無き子達の復讐者故な。
産まれたばかりとはいえ牙剥くクロノヴェーダを倒すことに躊躇も容赦もないが……。
なんというか絵面がすごいのう。
猫の容姿と巨大さのギャップがとんでもないぞ。
ええい、気を取り直してゆくぞ!
戦う前から相手にペースを握られるわけにはいかぬしの!

囲まれれば厄介だからの。
我が震脚による【泥濘の地】で、奴らの機動力を削ぎ、囲まれにくくするぞ。
包囲してこようものなら、輪が閉じきる前に抜け出してくれるわ!
ちぃ!
しっぽビンタ、厄介よな。
我も竜故、尻尾の扱いは心得ておるが。
良くしなる大質量による攻撃というのは強力なものよ!
巨獣サイズとなると言わずもがな!
どうにか耐え凌ぐしかあるまいよ!
我は龍、我こそはドラゴン!
舐めるでないわああああ!
敵が巨大だというのなら、まとめて地割れに飲み込むまで!
――大地よ、我が牙となれ。飲み込み喰らうは竜である。
ふん。大きすぎて胸焼けするわ。

増え続ける時間を与えてしまうのは癪だが、引き際は見誤らぬよ。


●暴食
 あちらこちらが戦場となったここはなお、巨獣達にとって雄大な揺り籠としての機能を保っている。産まれたばかりの巨獣達は、にゃーにゃーと鳴きながら転げ回るやら走り回るやらと各々自由に振舞っていた。
 そんな様子を前にして、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は小さく悩まし気な呻きを上げる。
「なんというか……絵面がすごいのう」
 牙無き子達の復讐者――竜であるところの彼女は、このような光景の下でも躊躇なく戦うことができる。しかしながら、敵の容姿と巨大さのギャップ、平和な光景と凶暴性の入り混じったその様は、やはりどこか迷いを生じさせるような。
「ええい、気を取り直してゆくぞ! 戦う前から相手にペースを握られるわけにはいかぬしの!」
 要らぬ感情の揺らぎを振り切るようにして、リューロボロスは雄々しく翼を広げた。
 勇ましく構え、踏み出す一歩が大地を揺らす。震脚によって掻き乱された大地は泥濘を成し、巨獣達の歩みを絡め、阻んだ。
 しかしながら泥遊びに何かしらの興を見出したのか、ニャストドン達は動きを鈍らせながらも彼女に向かって「わーい」みたいな勢いで殺到する。
「ちぃ!」
 舌打ちと共に跳び上がり、リューロボロスは包囲される前にその場を抜け出す。集団からの連打は阻止したものの、一番近くにいた個体が、彼女の尾の際へと追い付いた。
 繰り出されるは尻尾による一撃、体躯を活かした大質量のそれが、しなり、風を切って振るわれる。竜の尾を持つリューロボロスにとっても、それはなじみ深い攻撃手段、ゆえにその威力に関しても察しはついた。そして同時に、避けるにはもう遅すぎることも同時に悟る。
「我は龍、我こそはドラゴン! 舐めるでないわああああ!!」
 ならばこそ、後はそのまま受けるまで。迫り来るそれを防御姿勢で受け止めて、彼女は地を踏みしめる。
 鞭のような一瞬のインパクトに小さなその身が揺れるが、吹き飛ばすようなその衝撃に無理矢理抗い――踏み付けたその地に命じる。
「――大地よ、我が牙となれ。飲み込み喰らうは竜である」
 牙を剥くように割れた大地が、その上のニャストドンに喰らい付く。巨大な顎は、逃れそこなったその巨獣を呑み込んでいった。
「ふん。大きすぎて胸焼けするわ」
 貪欲なる竜にしても、そのサイズは、そしてその群れの数は少々厳しいか。
 振るえるだけの牙を振るい、爪を突き立て、敵の戦力を削ってから、リューロボロスはそこを引き際と見る。
「増え続ける時間を与えてしまうのは癪だが……」
 しかし、すぐに決戦の時は訪れるはず。巨獣の揺り籠を見下ろして、彼女は一時その場を撤退した。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!

舞剣・荊
【猫拳】
今度はちゃんとネコだっt
うわでっか
つか立った
いぇーたのしー(適当にニャントドンに混ざる)

○戦闘
ネコだな~ってなりながらいつも通り戦う
もふもふとかあんま分かんね

アタシよく野良猫と見つめ合うんだけど
目が合うと固まるよなネコ
てことは見てる間はネコって固体なんじゃねーの

てなワケで【めっちゃ見る】
それはもう見る
見てる頭を固定し身体をユラユラ
コレ?どっかのGIF画像で見たネコ踊り

相手が固まったら先日めでたく成人したはるーちのサメパンチのエサにする
相手が目を逸らしたらアタシの勝ち!!
その辺のモノを得物にしてドーンと【強打】
〆は組長に任せるわ
ネコって液体だから叩いてもあんま効かねーし

うっかりもふったはるーちを引っ張り出したり
こっそり離れたたかなしを突っ込んだりするなどする
みんな猫の毛だらけじゃんウケるダハハゔぇっくしょあぃ!!!!!!!!!!ハハハ

はるーち~たかなし〜組長〜
あねーちが帰るってよ~
ネコ連れて帰んの
マグロの骨いる?


奴崎・娑婆蔵
【猫拳】
先の9月上旬にゃ『騎腕豹』やら『緑雷獅子』やらを捕まえてネコチャンネコチャン騒いでいたあっしらじゃァありやしたが
それがまさか、こんなにもド真ん中直球のネコチャンと相まみえることになろうたァ……
つくづく底知れやせんぜ、巨獣大陸ゴンドワナ

ともあれ、でけえ抗争も控えていやがる所
軽く見るわけじゃァありやせんが、あまり手間を掛けてもいられねえ
前哨戦でさァ
抜かりなく行きやすぜ、各々方!

…………。
(みんなのようすをみる)

抜かりなく行きやすぜ、各々方!!(テイクⅡ)


敵勢に対して罠を張る小鳥遊のお嬢の手際だきゃァ、見習うべき所アリと常思っておりやす
つまり小鳥遊のお嬢の置き所に倣ってあっしも【泥濘の地】を重ね打ちしときゃ決して腐らねえってェ寸法よ

動きを鈍らせてやれた輩を片端から刻んでやりやしょう
八ツ裂きにしてやりまさァ――殺人領域『早贄山麓刀輪処』!

春一のや舞剣のがニャンドドン(※うろおぼえ)とワチャワチャしている所から、毛皮の厚みや骨格の流れに臓腑の位置を見て取り、致命箇所を狙い抜いてやりやすぜ


樹・由乃
【猫拳】
ドラゴンと戦うのになんで猫殴るんですか?
前のやつはドラゴンだった気もしますが。これは、うむ。猫

ともあれ私たちの視界に入ったのが悪いのです
即座にやる気にならなかった哀れなやつを始末してさっさと引き上げるとしましょう
やる気勢はこっちのやる気勢に任せます

おや。この箒が気になりますか
もしかして猫じゃらしか何かだと思ってらっしゃる?

(フリフリ)(ワサワサ)

おお、哀れな小動物……箒がそんなに面白いですか
これは今からおまえの顔面を殴る凶器だというのに。のんきなものです
哀れすぎて愉快ですからもう少し遊んでいてあげましょう。神の慈悲に感謝なさい小動物よ

あんまりやってると本気の先制パンチくらいそうなんでほどほどで殴っておきます
一撃で倒れないなら箒を投げて、そっちに気を取られてるうちにキックでトドメ刺します
魔法って物理だったんですよ

おまえたち、片付きましたか
これは連れて帰れません。諦めて破壊なさい
帰りたくないなら置いていきますよ。撤収に移行なさい
大丈夫ですよ猫どんどん増えますから。また来ましょうね


樹・春一
【猫拳】
知っていますよ! 猫は液体!
つまりああ見えて物理的な破壊力など無きに等しいのです! これは勝ちましたね!

こちらからの物理攻撃も無力? うーむ

ならば全てを破壊するサメの出番ですね!
ご存じないのですか? サメとは(以下略)

というわけで海王鮫神拳、まいります!
僕とてヒトの中ならまあまあ多分速い方! 子猫程度に後れを取るなどもふーっ!!!(顔面受け)
えっすごいもふもふ……大きすぎてもふもふがやばい……
アキラさん! 事件ですよ! もふもふがやばいです!
あのパンチで顔中がもふもふです! 倒す前にもふもふやっときませんか!

あっ、爪はもっとやばそうなので気をつけてください!
くったりねむねむが御所望なら、あっちの……師匠が捌いたやつとかどうですかね!
間違いなく安全だと思われます!

猫が固体になったら好機!
えっほんとに固体ですか? そんなんでいいんですか?
信じる者は救われるパンチです! そりゃー!

もうお帰りですか! 一匹連れて帰っちゃだめですか?
マグロの骨あげますから! ちゃんとお世話しますから~!


小鳥遊・英
【猫拳】
ねこたんねこたん、こねこた〜〜ん💕💕
は〜〜可愛いですなぁ〜💕💕
ではいつも通りカチコミをキめ…………
でっっっっっっっっっっっっ

えっ、こねこたんがこのサイズ……?
至福では?こねこたんの可愛さを全身で味わえるって最高では??(真顔)

それは大変大事件ですねわたしも今そちらに
あっまってくださいデカすぎて今更こわ……あわわわわ
爪をまあるくしておいてください!
足止めしておきますので!
はい、泥濘の地〜!
あとはみなさんよろたんです
くったりねむねむこねこたんになったらわたしも遊びに行きますゆえ
お腹に顔を埋めて、すぅーーーってしますゆえ
箒にじゃれるねこたんもかわゆいですね〜💕
舞剣さんはなんかねこたんと遊ぶのが苦手そうな動きしてますね、今度教えてさしあげねば
組長がさば……可愛がった子は確かにくってりしてますね、るんたった🎵

えっ、撤退?!嫌でござるわたしはまだ戦えアバーーーーーっ
嫌だ〜!ここに居る〜!ねこたんパラダイスはここにあるんですーー!


●元居た所に返してきなさい
 『巨獣大陸ゴンドワナ』、その名に相応しいと言うべきか、このディヴィジョンには様々な生態の巨獣が息づいている。木々を纏う牛や刃の尾を持つトカゲ、それに『騎腕豹』やら『緑雷獅子』――これまで戦ってきたそれらの姿を思い返し、奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)はどこか遠い眼をする。
 最後の二つを見るにつけ、ネコチャンネコチャン騒いでいたが、ついにイエネコめいたものまで出てきてしまった。
「つくづく底知れやせんぜ、巨獣大陸ゴンドワナ……」
 竜の花嫁となった巨獣から産み出されたこの辺りのニャストドン達は、戦場が近いにも関わらず気儘にゴロニャンしている。しかしながらこのまま放置しておけば、成長しディアボロス達の道を塞ぐ尖兵となるだろう。この後の抗争のことを考えれば、いつまでもこうして感嘆しているわけにもいかない。
「軽く見るわけじゃァありやせんが、あまり手間を掛けてもいられねえ――」
 肩に乗せていた刃を前へ、先陣を切るように掲げて、娑婆蔵は同行する仲間達へと宣言した。
「前哨戦でさァ! 抜かりなく行きやすぜ、各々方!」

 …………。

「ねこたんねこたん、こねこた〜〜ん💕💕」
「知っていますよ! 猫は液体!」
「そうなん? じゃあどっか流しちゃえばよくね」
「いやいやどこかにやってしまうなんてとんでもない、こんなカワイイいきものをでっっっっっっ!?」
「つか立ったわこいつ」
 いぇーたーのしー。
 小鳥遊・英(Code name/Falcon・g00772)と樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)と舞剣・荊(Thorm・g02226)、いつものキッズは娑婆蔵の宣言を聞いていなかったらしい。とはいえこの程度は慣れたもの、しれっとさっきのはなかったことにして、娑婆蔵は助け舟を探すように樹・由乃(堕ちた翠星・g06228)の姿を求める。
「ドラゴンと戦うのになんで猫殴るんですか?」
 あっこっちは案内人の話から聞き流している恐れがある。おかしいなと首を捻りつつも、どうにか娑婆蔵はテイクⅡに入った。
「抜かりなく行きやすぜ、各々方!!」
 今回も返事は無かったが、多分流れで何とかなるだろう。
「それにしてもこねこたんでこのサイズ……至福では? こねこたんの可愛さを全身で味わえるって最高では??」
 何ともなっていないことを真顔で言い出す英に対し、春一は輝くサメのオーラを身に纏った。
「液体であるところの猫に打撃は通りません! しかし全てを破壊するこのサメの力があれば安心ですね!!」
「よくわかんねーんだけどさ、そもそも猫が液体ってまじ?」
 浮足立つ彼等の間で、少しばかり冷静というか感情のない荊が問いかける。
「アタシよく野良猫と見つめ合うんだけど、目が合うと固まるよなネコ。てことは見てる間はネコって固体なんじゃねーの?」
「えっ? そうなんですか??」
 するとこの海王鮫神拳はあんまり効果的ではない? いやむしろ好都合? 哲学的な思索にフリーズしかけたところに、子猫もとい巨獣のニャストドンが襲い掛かってきた。
「ああっ、待ってください今考えてるところなんでもふーっ!!!」
 振り上げられた前脚、そのもふもふでふわふわの肉球が春一の顔面を捉えた。巨獣のそれは割と重い、人死にが出るタイプの音色を響かせたが、ダメージと同時にその衝撃が春一を揺るがす。
「えっすごいもふもふ……」
「はるーち……?」
 大きすぎてもふもふがやばい。想像を遥かに超えたそれを受け、吹っ飛ばされた春一は、そのまましばし言葉を失っていたようだが。
「アキラさん! 事件ですよ! もふもふがやばいです!」
「な……何ですって!?」
「荊さんも如何ですか! 今しかありませんよこのもふもふ!」
「いや別に、もふもふとかあんま分かんねーし」
「えっ、そんな……荊さん……」「今度……遊び方教えてさしあげましょうか……?
 感情無い系の話に珍しく同情が集まったような気がするが、とりあえず今はそれどころではない。
「とにかくあのパンチで顔中がもふもふです! 倒す前にもふもふやっときませんか!」
「それは大変大事件ですねわたしも今そちらに――あっまってくださいデカすぎて今更こわ……あわわわわ」
 我慢できずに飛び出した英ではあるが、いつも前に出ないのにはそれだけの理由がある。至近距離だと巨獣らしいぎらついた凶暴性もよく見えてしまう、というか爪が鋭く輝いて見える。
「あっ、爪はもっとやばそうなので気をつけてください!」
「先に言っといてくださいます……?」
「もー、しょーがねーなー」
 じりじりと下がる彼女に代わって、ようやく出番かとばかりに荊が前へと出る。いつも通り身体能力を活かして敵を撹乱する内に、娑婆蔵もまた抜き放った太刀を手に敵の眼前へ。
「各々方! そろそろこう……抜かりなく!」
「組長! あの爪まあるくしておいてください!!」
 テイクⅢもあんまりうまくいかなかったが、半ば諦めていた娑婆蔵は求めに応じて戦線に加わる。足止め用に英の広げた泥濘の地をさらに深く、群れの連携や合流を阻害するようにして、目標の敵を孤立させる。この手の罠張りは英の領分、やはり慣れたものだと彼は頷く。
「小鳥遊のお嬢のこの辺の手際だきゃァ、見習うべき所アリと常思っておりやすよ」
「あとはみなさんよろたんです」
 速やかにサボりに入るところは少々評価に困るが、まあまあまあ。凄まじい勢いで振るわれる尻尾の薙ぎ払いを姿勢を低くして凌ぐと、足元の影へと手を添えて。
「八ツ裂きにしてやりまさァ――殺人領域『早贄山麓刀輪処』!」
 泥濘の上を伸びゆく影は、巨獣の足元まで至ったところで、無数の刃をそこから生やす。剣山のように飛び出したそれは、敵の爪を切り裂き、縫い留め――。
「いまだーーーっ!」
 いつになく元気な声で、英がその腹部へと飛び込んでいった。

「今回いつになくやかましいですね……」
 一方こちらはやる気がない組、好奇心と好戦性で暴れているのとは違い、おねむの個体の辺りで、由乃はあちらの様子を眺めていた。ドラゴン相手の戦争で猫とやり合うのはなんだか意味が分からないが、とにかく視界に入ったのが悪い。乱暴な結論を下しつつも、彼等の戦闘が調子よく進んでいくのを確認して。
「……おや」
 近くにいた巨獣が一体、彼女の存在に気付いたのか、じわじわと前脚を伸ばしてくる。どうやら、由乃の手にした箒に興味があるらしい。
「もしかして猫じゃらしか何かだと思ってらっしゃる?」
 試しに揺らして振って、様子を窺ってみると、明らかにその眼が箒の先を追っている。
「おお、哀れな小動物……」
 これは玩具ではなく凶器であり、さらに言うならこの後おまえはこれに殴られるのですよ。物騒だが実際そうなのだから仕方ない。哀れすぎて愉快ですからもう少し遊んでいてあげましょう。そんな調子で、由乃はしばし産まれたばかりの巨獣を構う。
 向こうからは「猫を吸うの最高!」だとか「あっ、はるーちが埋まった!」みたいな奇声が響いてくるが、慈悲深い神の居るこの辺りは今のところ平和である。そう、今のところは。
 目が覚めてきたのだろう、箒にじゃれるその動きは徐々に鋭く大きくなっている。まあほどなく全力のパンチが襲ってくるだろう――そう見込んで、彼女は振りかぶった箒をおもむろにフルスイングした。
 ギニャーッ、みたいな声を上げて巨獣が仰け反る。
「おお、さすがしぶといですね。では私の魔法を見せてさしあげましょう」
 鼻先を掠めるように箒を放り投げて、先程までの流れで巨獣がそれを視線で追ったところに、由乃は全力のヤクザキックを叩き込んだ。どう見ても物理攻撃だが、これが彼女の魔法である。
 こちらもどっかんどっかんやり始めたところで、やる気組の方はと言えば、英が巨獣にしがみついた状態から降りれなくなっていた。
「あ~皆にじゃれつくねこたんもかわゆいですね〜💕」
 そして荊の方は毛玉の山から春一を発掘している。
「舞剣の、このニャンドドンの動き、しばらく鈍らせられやせんか」
「ニャントドンじゃなかったっけ? まーいいや、やってみる」
 未だ暴れる敵の正面に立ち、彼女は色素の薄い瞳で相手を見つめる。頭を固定し、逸らさぬままに身体をユラユラと……。
「何ですかその動き?」
「え、なんか動画で見たネコ踊りだけど」
 とにかく、目力か不思議な踊りか、それともパラドクスによるものか、荊と見つめ合う巨獣はじっと動きを止めている。目を逸らした方が負け系の野生のやりとりなのかもしれないが。
「やっぱ固体じゃん?」
「えっほんとに固体ですか? そんなんでいいんですか?」
「いいんじゃね? だってこれもう――ゔぇっくしょあぃ!!!!!!!!!!」
「あーっ!? 液体に戻った!!」
 とにかく生じたこの好機を逃さず、春一はサメオーラを纏った拳を叩き込んだ。ついでにその辺で倒れていた丸太で荊が追撃をかけ――敵の動きを見切った娑婆蔵が、その間隙から刃を通し、貫いた。

 そのまましばし戦闘は続き、彼等は次々と敵の数を減らしていく。疲れて大人しくなった個体に対しては、しばらく放っておいてもふもふとその毛並みを楽しむ余裕も見せている。
「おまえたち、その辺にしておきなさい」
 とはいえそろそろ頃合いか、合流した由乃が一同を呼んだ。
「はるーち~たかなし~組長~、あねーちが帰るってよ~」
「あっ、もうお帰りですか!」
「嫌でござる! わたしはまだ戦えアバーーーーーっ!?」
 英が速やかに黙らされたがそこはそれ、姉の言うことではあるが、今回は春一も若干食い下がっている。
「一匹連れて帰っちゃだめですか?」
「これは連れて帰れません。諦めて破壊なさい」
 淡々と言う由乃とのやりとりに、荊は「ふーん」と鼻を鳴らす。
「ネコ連れて帰んの? マグロの骨いる?」
「要ります! こんな感じでちゃんとお世話しますから!」
「帰らない~! ここに居る~! ねこたんパラダイスはここにあるんですーー!」
 英も復活して騒ぎ始め、収拾がつかなくなってきた。大体ここは敵陣のど真ん中である、こうしている内にも周囲はぐんぐん取り囲まれていくわけで。こめかみを押さえながら、由乃はため息交じりに頭を振った。
「まったく聞き訳のない……小僧、やっておしまいなさい」
「えっ、あっし?」
「師匠!?」「組長! まさかそんな酷いことしませんよね……!?」
 突如一番嫌な役目を仰せつかった娑婆蔵は、二人の訴えるような視線を感じながら、思考を巡らせる。
 長年の経験から何か出てくるはずだ。こういう場合、事態を丸く収めるには――?


 巨獣の上での戦闘は一旦の終息を迎える。『竜の花嫁』と化したヴォグトーラスは、さして動じた様子もなく、『子供』の数を増やし続けるのだろうが――ディアボロス達の活躍によって、その戦力は確実に削られていた。
 山のようなこの巨獣と、再び見えるその時、決戦の日はすぐそこまで迫っている。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【泥濘の地】がLV3になった!
【腐食】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年12月15日