リプレイ
クィト・メリトモナカアイス
調べて分かったことだけど。
だいいちいんしょーよりだいぶ厳重だし敵も強い。
ん-む、巨大高山はグラゴルモの縄張りみたいな感じだったけど、ここはどうなのだろう。
んむー、中央部に何があるのか、なんでこの湖の周りでは巨獣はのんびりくつろいでるのか。調べるべし。
それではフロートユニット「モナアーマー」を装着!
ヤ・ウマトで戦う用だったけれど、まさかゴンドワナでも使うことになるとは思わなかった。
【水上走行】でしゅっぱーつ。
んむ、まずは周囲で怒ってるカルルルルが相手。
水面でくるりと反転し、怒ったカルジネスが湖に足を踏み入れたら「雷撃のオシキャット」。モナアーマーに搭載された魚雷でカルジネスを狙い撃ちどかーんといわせる。
反撃の骨ランスは水面を自在に走行することで回避し、傷を負わないように。
んむ、まだまだ探索は始まったばかり。
のんびりしてると周りからたくさんやってきそうだし、このままごーごー。
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
巨大湖には幾度も足を運んだけれど、何かがありそうな中央部に辿り着くにはどうしても障害となる巨獣達を排除しないといけないのが悲しいね。
巨大高山はジェネラル級の影響で好戦的だったし、此方にも居るならば逆な方向として影響を受けてるのかもしれないね。
さて20m越えの巨体を相手に馬鹿正直に挑むのは愚行。イロハは人の知恵を駆使して地道に地上で倒そうか。
巨獣がその巨体を動かそうとすれば下半身、特に脚に負荷が掛かるもの。
人であれば親指小指、馬であれば蹄、今回のカルジネスだと・・・足の骨?
そこそこをコツコツと・・・【アークフォール】で
同じ箇所を狙ってヒットアンドウェイで攻撃し、罅を入れて砕こうか。
無策で近寄れば振り払われたり、踏み潰されるだろうから
近くに生えてる木々に飛び付いたり、湖畔を立体的に動き続けて視界から逃れる様し攻撃の手を休めないよ。
確かにキミの外骨格の骨の弾雨は大きさと質量も脅威だよね。
でもさ・・・己の信念を曲げないイロハの祈りだって負けてはいないんだよ。
月下部・小雪
きょ、今日からは巨大湖中心部の調査、です。
巨獣さんがおとなしくなる原因、突き止めて見せます!
まずはイロハさんの提案した作戦通り、よ、陽動を頑張りましょう!
【水上歩行】は同行する仲間が使ってくれているので、ボクは連絡用に【パラドクス通信】を用意しますね。
湖の畔でのんびりしているカルジネスさんを観察しつつ、準備ができたら作戦開始、です。
それでは、カルジネスさんの横を通り抜けて中央部に向かって突撃、しちゃいます。
ぷんぷん怒りだしたらボク達もUターンして戦闘に参加です。
向かってくるカルジネスさん達にコダマが飛び込んで【ワイファイスパーク】をお見舞いです。
反撃の骨の棘は水上を走り回りながら回避、です。避けきれないものは「魔力障壁」を張って直撃を防ぎますね。
ここの敵をやっつけたら急いで中心に向かいましょう。ま、まだまだ巨獣さんがやってくるはずです。
※アドリブ連携大歓迎
パラドクストレインを降りた先、巨大湖の畔には長閑な光景が広がっていた。
畔の草地では、恐竜の骨格標本めいた姿の骨鎧獣カルジネスたちが地面に寝そべり、今もすやすやと寝息を立てている。
『カルル……』『カルルルル……』
20メートルにも及ぶ巨体を誇るクロノヴェーダの彼らには、元より天敵など存在しない。外での生存競争で見せる狂暴な性質がまるで嘘であるかのように、カルジネスたちは穏やかな時を過ごしていた。
優しい日差し、穏やかな風、そして暖かい空気。
それは一見すれば平和そのものの眺めであったろう。
だが同時に、3人の復讐者たちは知っている――この湖が、大きな危険に満ちた場所でもあることを。
「んむむー……此方は暖かくて良い。高山とは大違い」
降り注ぐ日光を褐色の肌に浴びて、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が言った。
彼女が目を向けた先、湖畔では巨獣たちが呑気な様子で惰眠を貪っている。
最初こそクィトらにチラと目を向けて来たが、それきり襲撃どころか威嚇さえも行う気配はない。少し前まで攻略していた巨大高山では考えられない光景だった。
「調べて分かったことだけど。この湖、だいいちいんしょーよりだいぶ厳重だし、敵も強い」
先んじて行われた探索調査から得られた結論について、クィトはそう呟く。
湖の巨獣たちは手を出さなければ温厚だが、ひとたび刺激すれば巨獣本来の獰猛さを躊躇なく発揮する存在だ。恐らくは、彼らをそうさせる『何か』が湖の奥地に在るのだろう。互いに争わず、それでいて復讐者が奥地に向かえば、豹変したように襲い掛かって来る――そんな風に巨獣たちを変える『何か』が。
「んむ、気になる。と言うわけで、いざ、さくせんかいしー」
「はい、レッツゴー、です! 巨獣さんがおとなしくなる原因、突き止めて見せましょう!」
「もきゅもきゅ!」
月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)はやる気満々、モーラット・コミュのコダマを連れ、クィトと一緒に歩き出した。向かう先は湖の中央である。
カルジネスの横を通り過ぎる際、視線を背中に感じたのも一瞬だ。畔を歩く程度で彼らが襲って来ることはない。
直前まで彼らを刺激せぬよう注意しつつ、小雪はパラドクス通信を発動した。別地点の仲間と連絡を取る為だ。
「こ、こっちは準備できました。イロハさんの提案した作戦通り、よ、陽動を頑張りましょう!」
同刻、小雪とクィトのやや後方。
受信機から伝わる小雪の声に、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は言葉を返した。
「こちらイロハ、了解。巨大高山から引き続きになる形だけど、ひとつ宜しく頼むよ」
彼女は今、生い茂った木々の陰に身を隠し、敵を奇襲する機会を伺っている最中だった。一度戦うと決めたなら、徹底的にやる――それはイロハのみならず、3人の間で共通する思いだ。
とはいえ、作戦だから完全に割り切れるか否かは、話が別である。
「湖の中央部に辿り着くには、巨獣たちを排除しないといけない……か。何だか悲しいね」
声に微かな憂いを含ませ、イロハが言う。
積極的に復讐者を襲うでもなく、本能のままに生きる巨獣たち。そんな彼らを排除することに、些かの悲しみを覚えないと言えば嘘になるだろう。同時に巨獣たちがゴンドワナに居る限り、奪われた大地は戻らないこともまた事実。クロノヴェーダである彼らは、根本から復讐者と相容れぬ存在なのだ。
「……さて、感傷はここまでだ」
イロハは深呼吸をひとつ。心中の葛藤を振り払うと、小雪とクィトに告げた。
「こっちは大丈夫だよ。そっちは準備出来たかな?」
「はい、もう湖の前です。もうすぐカルジネスさんが、ぷんぷんになる辺りです……!」
「んむ。ここは我とっておきのフロートユニット『モナアーマー』の出番!」
イロハが見遣った先では、水上滑走補助装置を装着したクィトが、ぴたりと凪いだ湖の水面を進み始めたところだった。
水面走行の効果は覿面だ。この分なら水上戦闘も問題ないだろう。
間を置かず、小雪も湖面を歩き出す。加速しすぎないよう速度を調整し、未だ見ぬ湖の中心部を目指して。
そして――。
『カル
……!?』『カルルルルルルル!!』
移動の方向を奥地へと変えるなり、巨獣たちは即座に反応してクィトと小雪を追跡して来た。不届きな復讐者を確実に排除する気なのだろう。
敵の戦意は十分すぎる程に旺盛だ。全ての骨鎧獣が追って来たことを確認し、二人はすぐさま行動を攻撃に切り替えた。
「わわわ、カルジネスさん、すっごい怒ってます!」
「んむ。もはや戦いは避けられぬ」
先の調査で選んだ撤退も、今となっては行うつもりはない。
同時、背後で巨大な水飛沫が立て続けに上がる。振り返れば、カルジネスの群れの先頭が湖へと足を踏み入れ、二人の元へ迫って来る姿が見えた。
いよいよ戦闘の始まりだ。クィトは水面でくるりと反転するとモナアーマーの魚雷を発射、開戦の狼煙と為す。
「モナアーマーにエネルギー充填よし、てー」
『カルルルルルルァァァァァッ!!』
大顎を開いて迫るカルジネスたちの顔面目掛け、モナアーマーから魚雷が発射された。
クィトのパラドクスが世界の理を書き換える。二発の魚雷は肉食後めいた軌跡を描きながらカルジネスの口の中へ着弾し、炸裂した爆薬が巨獣の体内を滅茶苦茶に破壊していく。
『ガルァァァァッ!!』『カルルルルルゥゥゥ!!』
立て続けに轟く衝撃。悲鳴とも絶叫ともつかぬ叫びを上げながら悶絶するカルジネスたちの背後から更なる新手が現れた。
やられた仲間のお返しとばかり一斉にクィトを狙い定める骨鎧獣たち。その眼前に、小さな毛玉がぴょいっと飛び込んだ、次の瞬間だった。
「コダマ! ワイファイスパーク、です!」
「もっきゅ!」
毛玉の正体は、誰あろうコダマである。
Uターンで引き返して来た小雪の指示が飛ぶと同時、発動されたワイファイスパークの放電が、一斉に巨獣たちを捉えた。次の刹那、激しい火花を散らしてコダマが放つ電気が、カルジネスの全身を駆け巡る。湖の水に濡れた彼らは瞬く間に黒焦げとなり、けたたましい断末魔の悲鳴を上げると、そのまま湖に斃れて動かなくなった。
「んむむ……カルルルルはうまく釣れたみたい?」
「はい。ど、どんどんこっちに向かって来てます!」
小雪が言い終えると同時、骨を伸ばして跳躍するカルジネスの巨体と、頭部に生成された巨大な骨槍が次々に迫る。
だがその程度は、元より想定の範囲内だ。クィトが水面を走行しながら槍の直撃を巧みに避ける傍らで、小雪の魔力障壁が骨棘を受け止めながら衝撃に揺れる。
「んむ。小雪、大事ないか」
「へ、平気、です……! カルジネスさん、陸地で、けっこう足止めを受けてますね……!」
「イロハが上手くやってくれたみたい。我等もどんどん行くべし」
「はい! もう一息です、頑張りましょう!」
攻撃の機が巡ると同時、クィトの魚雷と、小雪が抱きかかえるコダマが、再びカルジネスの群れへ突っ込んで行く。
立て続けに響く衝撃。電撃の嵐。そして、骨鎧獣の悲鳴。
復讐者ふたりの猛攻は凄まじく、巨獣たちは次第に数を減らし始めた。
一方、その頃。
湖に面した畔でもまた、カルジネスを相手取った戦端が開かれていた。
「うん、いい具合に分断できたようだね」
『カルルルッ!?』
中心部へ向かわんとする小雪とクィト、そして二人の排除を最優先して動いたカルジネスたち。
その背後を突いたイロハの奇襲は、完璧に近い形で成功していた。
敵の意識が湖に向いているとはいえ、陸地にいた彼女も攻撃自体は遅かれ早かれ受けたろう。だが、その『遅かれ早かれ』の僅かな間を、彼女はうまく利用した。すなわち、敵の背後を狙った奇襲と言う形によって。
「君たち巨獣と違って、イロハたちは知恵を駆使するのさ。毎度、馬鹿正直に挑むのは愚行ってものだからね」
湖で仕掛けたクィトと小雪、そして陸地から仕掛けたイロハ。
両者によって挟み撃ちを受けたことで、巨獣たちの戦力は否応なく分断されていく。
クィトらを攻撃する筈のカルジネスが次々と踵を返し、イロハを踏み潰さんとする。だが遅い――イロハの狙いは既に彼らを捉え、パラドクスの発動も完了した後である。
「悪いけど、容赦はしない。……懺悔はともかく、恨み言くらいは聞いてあげるよ」
直後、イロハの全身から放たれるパラドクスの輝きが、カルジネスの頭上で脈打つように膨れ上がり始めた。
方舟型の巨大エネルギー塊を具現化して叩きつける、アークフォースの一撃だ。命中アップの光に導かれ落下する箱舟は、カルジネスたちの前脚を強かに打ち、罅を入れていく。
『カルルルルル!』『カルルルァァッ!!』
「おっと。悪いけど、そう簡単にはやられないよ」
咆哮が響いた次の瞬間、発射されたカルジネスミサイルの弾雨がイロハに迫った。
イロハが頭を僅かに傾けた刹那、炸裂で飛来する鋭い骨片が、色黒の頬に薄い切り傷をつけて飛んで行く。
ミサイルの炸裂はなおも止まらない。嵐の如き衝撃が吹き荒れて、薙ぎ倒されていく木々をイロハは即席の足場に駆け回りながら再びパラドクスの力を集中させ始めた。
(「陸地の敵は多くないし、この攻撃で片付くかな。湖の方は二人いるし、あっちもすぐ片付きそうだね」)
戦況を俯瞰し、冷静に展開を組み立てるイロハ。
そんな彼女とは対照的に、巨獣たちは自身の劣勢を理解せず、尚も執拗に攻撃を浴びせて来る。
『カルルル!』『カルルルルル!!』
「頑丈な外骨格に、大きくて重い骨の弾雨、おまけに巨大な体躯……やれやれ、大したものだよ君たちは」
冗談とも呆れともつかぬ口調で、イロハは言った。
巨獣たちの力はまさに暴威そのもので、炸裂の後には無残な破壊の痕跡しか残らない。砕け散った岩々に、倒れた木々――最終人類史で言えば天災さながらの脅威と言えるだろう。
「でもさ……己の信念を曲げないイロハの祈りだって負けてはいないんだよ」
そう言って湖に視線を遣れば、残り数体となったカルジネスを、クィトの魚雷と、小雪の一声で放ったコダマの火花が全滅させたところだった。
クィトも、小雪も、むろんイロハも、カルジネスとの戦いは肩慣らしのようなものだ。
イロハは再び箱舟形のエネルギーを生成すると、それを最後に残ったカルジネスたちへ全力で叩きつける。
「さあ。これで終わりだ」
『カルル
……!』『カルルルルーッ!!』
前脚の骨を跡形も無く粉砕され、そのまま絶命するカルジネスたち。
イロハは通信機を手に取ると、湖の二人に手を振りながら撃破の完了を告げるのだった。
「陸地は片付いたよ。さて進もうか、湖の奥地へ」
「んむ、まだまだ探索は始まったばかり。このままごーごー」
「ま、まだまだ巨獣さんがやってくるはずです。中心に向かいましょう!」
第一波を撃退したイロハとクィト、そして小雪は、新たな戦場を目指して歩き出す。いずれ始まるであろう本格的な探索のためにも、強力な巨獣を少しでも誘き出して撃破せねばならない。
謎に包まれたゴンドワナ巨大湖、その湖上を舞台に、復讐者たちの次なる戦いが始まろうとしていた――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水面走行】LV2が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
湖奥地を目指す陽動ルートで移動を開始してから程なく、薙いでいた湖面が俄かに波紋で揺らぎ始めた。
前方へと視線を遣れば、向かって来るのは新たな巨獣――撃森牛フォルノクスの群れだ。
『フォルルルル……』『ブモオオオオォーッ!!』
カルジネスに劣らぬ巨体の撃森牛たちは一塊の群れと成り、四本の足で湖底を蹴って突進して来る。
奥地へ進む侵入者を排除しようというのだろう、巨大な頭と胴体を湖上に晒して迫る姿はまるで軍船のようだ。数こそ第一波より少ないが、その全身から放たれる威圧感は先のカルジネスたちとは比較にならない。
間違いなく、この戦いは激戦となるだろう。そんな予感を胸に、復讐者たちは更なる戦闘の火蓋を叩き切るのだった。
クィト・メリトモナカアイス
おぉぉう、どんどこ来た。
……やっぱ鳴き声はフォルルルルなのか。
ん-む、巨大神像があれば我らも水底を歩いて行ける……?
もうちょっと進んだら深くなるかもだしダメかー。
やっぱり【水面走行】は必要。
というわけで引き続き「モナアーマー」装着して【水面走行】……と見せかけて。モナアーマーの浮力と水面走行を切って【水中適応】。
んむ、我は足元を掬おう。そっちは任せたー。
10mの水深を水中適応ですいすいと泳ぎ、水面下で足を狙って攻撃を仕掛ける。
んむ、次に来るものたちと違って加護はなし。我らと違って水中適応もなし。そうなると。
これだけ深い水には足を取られるもの。
水面下で黄金猫拳打棒を構え「始めに織られしは水葬の矢」。
左右に自在に泳ぎ、側面から突進する足を狙って突撃して黄金猫拳打棒で殴り飛ばして他の復讐者の援護。
フォルルルルが倒れてチャンスがあれば、水面近くの胴体や頭部も殴り飛ばす。
さっきよりは強いけれど。
こんなものじゃまだまだ負けぬ。
月下部・小雪
お、お肉の固そうな牛さんが突撃して、きました。
もうちょっと沖まで行ってたら、犬掻きじゃなく、牛掻きとかで追ってきたのでしょうか……?
いえ、今はお肉とか泳ぎ方とかは関係ありません、でした。
陽動に釣られた牛さんをやっつけましょう!
【水面走行】をお借りして、水面を走りながらフォルノクスさんを引き付けます。
じゅ、十分におびき寄せたところで【水中高機動型モーラット・コミュ】になって水中に隠れていたコダマが敵の脚目掛けて酸素魚雷をふぁいあ、です!
い、勢いよく走っていたところで足元を攻撃したら、顔面から転んじゃうかもしれないです!
ふぅ、牛さんもだいぶ数が減ってきたでしょうか。
こ、この調子でもう少し数を減らしていきましょう!
※アドリブ連携大歓迎
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
次は撃森牛フォルノクスか・・・場所的に渡河しようとするヌーっぽいよね。
ところで巨獣って食べられたんだっけ?
もしも食用として適してるのなら何十人とか何百人分のお肉になりそうだよね。
キミ達はその辺りどう思う?(巨獣に視線を向けて)
まぁ、実際に試す訳にもいかないだろうからぶん殴って無力化させるに留めようか。
仲間が陽動してくれてるから【水上歩行】の
残留効果を引き出しフォルノクス達を迎撃するよー
20m越えの巨体だけど結構身体が水に浸かってるせいで
攻撃も比較的挑み易くはなってる気がするんだよね。
その上さらに巨大な角で襲ってくるから
その頭部もいつもの位置から自然と下がってる訳だから狙い易いんだよね。
正面からまともに突撃すると弾き飛ばされるから
死角から駆け寄る様に心掛ければ
山の様な巨躯もイロハにとっては乗り越えるべき試練にしか見えないよね。
分厚い筋肉も【ゲオルギウスの聖槍】なら貫き通す支障になり得ないんだから。
大切なのは数の利を活かさせない様に
混乱させ個々を連携させない様に動くよ。
迫りくる撃森牛フォルノクスを撃破すべく、復讐者たちはすぐさま迎撃の準備を始めた。
個体の強さにおいて骨鎧獣を上回る敵となれば、前にも増して激戦は必至であろう。しかし、そんな強敵を前にしてなお、三人の抱く自信は微塵も揺らぐことは無い。
『フォルルルゥーッ!』
「おぉぉう、どんどこ来た。……やっぱ鳴き声はフォルルルルなのか」
嘶く巨獣たちを見遣り、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は呟いた。
つい先程までゴマ粒程度に見えた撃森牛の群れはあっという間に大きさを増して、今や大きな船と比べても遜色ない。水面に突き出た上半身だけでも、軽く10メートルには届くだろう。
「……んむ。それでもまだ、でっかい」
『ブモオオオォーッ!!』
実際、威圧感を帯びた撃森牛の巨体は凄まじかった。
肌を叩く激しい嘶きと、突風の如く荒い鼻息、そして肉食獣めいた眼光は、並の人間なら浴びただけで戦意喪失しそうな程だ。だが、復讐者である二人――月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)とイロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)にとっては、どうやらそうでもないらしい。
「お、お肉の固そうな牛さんが突撃して、きました……!」
「あれだけ大きければ、量も相当なものだろうね。何十人分、いや何百人分か……」
小雪の興味が向いた先は『肉』、即ち食材としてのそれである。
好奇心に輝く瞳でフォルノクスの筋肉質な巨体を隅から隅まで見つめる小雪。一方のイロハも思いは似たものらしく、得物の拳に信仰心を宿しながら相槌を打った。
「流石に肉牛と同じようには行かないだろうけどね。しかし、湖を駆ける巨獣か……渡河するヌーっぽいよね、場所的に」
「も、もうちょっと沖まで行ってたら、牛掻きとかで追ってきたのでしょうか?」
首を傾げる小雪に、イロハがかぶりを振った。
「どうかな。奥地の巨獣は不思議な力で水面を走れるみたいだしね……まあ、今は目の前の敵に集中だ」
「そう、ですね。陽動に釣られた牛さんをやっつけ、ましょう!」
会話を弾ませつつも諸々の動きは滞りなく、小雪とイロハも戦闘準備を終える。
同時、巨大湖に木霊して響き合う撃森牛フォルノクスたちの嘶きが、死闘の開始を告げた。
「さあ始まりだ。湖の上と下から陽動といこう!」
「が、頑張り、ましょう! コダマは、水中から援護して、下さい!」
フォルノクスと戦うにあたり、復讐者たちは二手に分かれて攻撃を行うことに決めていた。
小雪とイロハは水上、クィトとコダマは水中。湖の上と下から巨獣たちを翻弄する作戦である。
「フォルノクスさん、かかって来て、下さい! ボクたちが相手、です!」
「んむ、我は水中から足元を掬おう。いざ潜水開始、ぶくぶくー」
小雪は挑発の声を浴びせて、巨獣たちを誘うように駆け出した。続いてクィトが水中適応を発動してモナアーマーの浮力を解除。湖の底へと潜行していく。
一方のイロハは二人が動いたのを確認すると、小雪と正反対の方向へ疾駆し始めた。
「ほらほら、こっちだ。ついておいで」
『フォルルルル!』
いきり立つ巨獣の咆哮が、巨大湖に響く。
復讐者の狙いを推し量ることもなく、侵入者を粉砕しようと突き進むフォルノクスたち。群れの列はたちまち乱れ、湖上は乱戦の場へと早変わりした。
「小雪さん。そっちにも行ったよ、気をつけて」
『ブモォ!』『ブモォ!』『ブモォ!』
「わわわ、いっぱい追って来ました!」
群れから飛び出して来た撃森牛たちを背に疾駆しながら、小雪は湖底へちらと視線を落とした。
前方の左手に、大きな岩が転がる場所が見えた。あそこなら仕掛けるのに最適だろう。ものの数秒で岩の上に到達すると、追いかけて来た撃森牛を指さして、潜行するコダマに攻撃開始の合図を送る。
「コダマ! 巨獣さんの脚めがけて酸素魚雷をふぁいあ、です!」
(「もきゅ!」)
同時、大気圧潜水服に身を包んだコダマが大岩から飛び出し、フォルノクスへ魚雷を発射した。
小雪の『水中高機動型モーラット・コミュ』により、超電導推進を駆使してベストの攻撃位置を瞬時に確保、そうして放つ完璧な形での奇襲である。発射されたパラドクスの魚雷は巨獣の頑丈な外皮を粉砕、頑丈な脚もろとも吹き飛ばしていく。
『ブモッ――』『ブモオォ!』
水上に気を取られた彼らにとって、コダマの一撃は正に青天の霹靂だったろう。直撃を浴びた撃森牛たちが、絶叫を上げて絶命する。斃れる衝撃の水飛沫が二度、轟音を伴い湖に響いた。
生き残った撃森牛が仇討ちとばかり突進を繰り出すが、序盤で乱れた足並みが災いし、その力を十分には発揮できない。
そうこうする間も、水面下に潜行したクィトの加速突撃と、水上を駆けるイロハの拳が、嵐の如き勢いで撃森牛の群れへと襲い掛かる。標的の数を絞る代わりに威力を高めた三人のパラドクスは、新たに追加したダメージアップの効果も手伝って、命中する傍から巨獣たちを葬り去って行った。
『ブモォォッ!!』
「んむ、次に来るものたちと違って加護はなし。我らと違って水中適応もなし」
そんな巨獣たちならば、これだけ深い水には足を取られるはず――そんなクィトの見立ては果たして正しかった。
重厚な体格を生かした動きは湖の水に阻まれ、地上と同じ動きを取ることは到底叶わない。巨獣たちとてクロノヴェーダである以上、駆使するパラドクスが物理法則に縛られることはないが、それで尚、彼らが地上の戦いに比べ有利と言い難い条件を負っていることは隠しようのない事実だった。
「んむむ、水中と水上からの同時攻撃はとても有効。後は巨大神像でもあれば……」
黄金猫拳打棒(ごーるでん・ねこぱんちぼう)の突撃で援護を繰り返しつつ、ふとクィトは巨大神像のことを思い出す。
サフィーナ・ミウは現状で水中を移動できないが、いま修復を進めている神像ならばどうだろう。アレがあれば、自分たちも水底を歩いて行けるのではないか――と。
「んーむ、もうちょっと進んだら深くなるかもだし、ダメかー。……んむっ」
そうこうするうち、距離を置いた先では新たな巨獣が仲間を襲おうとしていた。
標的は、水上で拳を振るうイロハのようだ。クィトはすぐさま小雪に合図を送る。
(「んむ、イロハの援護を要請する」)
「了解、です! コダマ、思い切りやっちゃって、下さい!」
小雪の号令一下、コダマは超電導推進で加速。その狙いが標的を過つことは、決してない――。
『ブモオオォーッ!!』
「おっと。……ありがとう、助かったよ」
コダマの酸素魚雷で、イロハを狙おうとした巨獣が粉砕された。
イロハは水面下からの援護に感謝のサインを送りつつ、次なる撃森牛たちに狙いを定める。標的は、水面下のクィトめがけ突進を浴びせようとする二体だ。パラドクスを発動し、瞬時に標的の眼前に移動する。
「ねえ撃森牛くんたち。水の中って君たちにかなり不利じゃないかな? 足は鈍るし、自慢の巨体も行かせないし」
『ブモッ!?』『フォルッ!?』
言葉が通じた訳でもないだろうが、イロハの放つオーラに撃森牛たちは面食らった。
水面下で発射された魚雷に仲間が吹き飛ばされたと思えば、次の瞬間には別の相手が水面から攻める――地上とは全く勝手が違う戦闘条件を、撃森牛たちは明らかに把握していなかった。その証拠に、あらゆる生物の急所とも言える眉間は、未だに無防備に晒されたままだ。
「ところで、イロハとしてはこのまま美味しいお肉を貰いたいところだけど……キミたちはその辺りどう思う?」
固めた拳に信仰心を注ぎながら、不敵に微笑むイロハ。
それは修道女たる彼女の信仰が為せる業か、或いは純粋な食欲を帯びた視線ゆえか。
本能的に後ずさりつつ、威嚇するように角を掲げる撃森牛の眉間をイロハの拳は既に捉えていた。こんな絶好の隙を見逃すほど、彼女はお人よしではない。
「流石に此処で解体を試す訳にもいかないからね。ぶん殴って無力化させるに留めてあげるよ!」
イロハは牛肉への未練を振り払うと、固めた拳で撃森牛たちの眉間を狙い定めた。
揺るがぬ信仰をパラドクスと共に注ぎ込んだ、『ゲオルギウスの聖槍』の一撃。それが今、ダメージアップを帯びて叩き込まれる。
一発、二発。
容易に急所を狙える場所から放った拳が、撃森牛の眉間にめり込んだ。
巨獣の嘶きにも劣らぬ大きな衝撃音は、イロハの拳の威力を物語るもの。哀れな巨獣たちは脳に致命打を浴びて、そのまま昏倒するのであった。
陽動に誘い出された撃森牛たちは持ち前の戦闘力を駆使しながら、なおも復讐者に攻撃を続けた。
だが、小雪とイロハの誘導で分断された今となっては集中攻撃もままならない。逆に復讐者が攻撃すれば、その度に撃森牛たちは撃破されていく。
無論それは奇跡ではない。イロハ、小雪、クィト――三人の準備と連携が撃森牛の脅威を上回った、その結果である。
「んむ。第一波より少ない頭数も、こうなれば却って助かる」
「ふぅ、牛さんもだいぶ数が減ってきました。こ、この調子で減らしていきましょう!」
「山の様な巨躯も、分厚い筋肉も、イロハにとっては乗り越えるべき試練にしか見えないね!」
コダマが空気魚雷を発射するたび、巨獣たちは脚を粉砕されて絶命した。
イロハが信仰の拳を振るえば、それは一発も標的を誤らず、着実に巨獣たちを昏倒させた。
そうしてついに最後となった撃森牛を、クィトは側面から黄金猫拳打棒で狙い定める。仕損じる恐れはない。彼女の瞳は、すでに次なる戦場を見据えていた。
(「さっきよりは強いけれど。こんなものじゃまだまだ負けぬ」)
この戦いは言わば道程の半ばに過ぎない。この後に待つ第三波に勝つ為にも、立ち止まる訳にはいかないのだ。
クィトは黄金猫拳打棒を振り被り、『始めに織られしは水葬の矢』を発動。いま、全身に貯めた力を解放する。
「んんー、とつげきー」
一気に開放した力で爆発的な推力を生成し、クィトはモナアーマーで加速した。
パラドクスを駆使した突撃はまさに一本の矢にも似て、撃森牛の腹めがけて黄金猫拳打棒の掬い上げる一撃を叩き込む。
その一撃が、とどめ。
『ブモオオオオオーッ!!』
渾身の力を込めたアッパーに、巨獣の身体が軽石めいて吹き飛び、湖面めがけ叩きつけられた。
撃森牛の断末魔が響くなか、勢いをつけて浮き上がるクィト。そうして戦いの決着を告げるように立ち上る巨大な水柱を、復讐者たちは確かな達成感と共に見届けるのだった。
かくして第二波を退けた復讐者たちは、再び移動を開始した。
このまま進んで行けば、遠からず第三波の敵と遭遇するだろう。情報によれば、次の相手はアヴァタール級の群れであり、不思議な力で強化された巨獣たちだという。力の正体は不明だが、激戦となる可能性は極めて高そうだ。
「いよいよ次が最後、ですね! 頑張りましょう!」
コダマを抱き締めながら言う小雪に、クィトとイロハは頷いた。
「ここまで来たんだ、必ず勝って戻りたいね」
「んむ、いざ出発。ごーごー」
巨大湖に棲む巨獣はいまだ数多い。
いつか来る奥地探索のため、この陽動作戦を成功で締め括るため。復讐者たちは湖の奥地を目指して進んで行った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水中適応】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
撃森牛フォルノクスの群れを撃破した三人の復讐者たちが次に向かった先は、巨大湖の更なる奥地であった。
戦場となった湖畔を背に、水面走行でゆっくりと湖の上を進んで行く。
水平線の先に、目立ったものは未だ見えない。巨大湖の面積からして九州四国が収まる規模らしいことを考えれば、無理もないことであろう。
と、そこへ――。
『グルルルル……』
凪いだ湖面の向こうから、重々しい唸り声を響かせて向かって来るのはアヴァタール級巨獣が、三体。
いかなる力によるものか、巨体で湖の上を滑るように迫りくる姿は正に圧巻だ。頭数こそ少ないが、個の戦闘力にかけてはフォルノクスを遥かに凌ぐ敵であると、復讐者たちは即座に見抜く。
海塞竜グノドロス――それが、第三波の敵だ。
奥地への探索を行う為にも、グノドロスの撃破は避けて通れない。
敵意を露に迫る巨獣たちを前に戦闘態勢を取る復讐者たち。ゴンドワナ巨大湖陽動作戦、その最後となる戦いが今始まろうとしていた。
月下部・小雪
お魚さんっぽい巨獣だったのに泳がずに水面を滑って、きます!?
ゴンドワナの不思議パワーはやっぱり不思議、ですね。
でも、泳いでこようが滑ってこようが、や、やることに変わりはありません!
グノドロスさんは3体ですが……1対1とかにはこだわらず、仲間と連携して戦います!
そ、それに敵はアヴァタール級、です。トループス級と違って群れで動くのは慣れていないかも、しれません。
【水面走行】で水面をかけて、時には仲間と攻撃対象をスイッチしたりしてグノドロスさんを翻弄します!
水面だけでなく【水中適応】も使って、攻撃の瞬間に水中にもぐったりして直撃を避けるように動きますね。
コダマは外皮の生え変わりの瞬間を狙って【コダマ・ギガブレイク】で攻撃、です!
は、生え変わった直後は流石に脆いに違いありません。
こ、今回はこれくらいで十分、でしょうか。これ以上囲まれる前に撤退しましょう!
※アドリブ連携大歓迎
クィト・メリトモナカアイス
おさかなが……湖の上を!
謎の加護。それ要るの……?
んむ、とりあえず湖の中心にいるのは加護を与えられるだけの力がある存在みたい?
それが何なのかは分からぬけれど。
んむー、やーるぞー。
モナアーマーを装着して【水面走行】。敵は3体……だけど強そうだし、3体攻撃で欲張らずに。時には他のグノドロスを引き付けたりはしつつ、集中攻撃をする標的は他の復讐者と合わせて1体ずつきっちり仕留めよう。
黄金猫拳打棒を手に「震わすは鬣なき獣」。水面を駆けてウォーターカッターの直撃を回避しつつ接近。思いっきりぶん殴る。
この大きさのが3体も並んでたらあっちは上手く連携もとれぬ……はず。たぶん。
ちょこまかと動きつつ、こっちは【パラドクス通信】で連携を取って、相手にしているの以外のもう2体に意識外から攻撃を受けないようにしよう。
んむー、我もおなかがすいた。
今日のご飯はお肉かお魚か。とても迷う。
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
巨大湖は広大だし、今回攻略出来そうなのはこの辺りまでかな。
ちょうど魚竜っぽい巨獣が泳い・・・で来てないね。
なんだかアシカとかが氷上を滑るような感じでやって来てるよ(遠い目)
まぁ、あんなノリでもアヴァタール級の巨獣で今までとは桁違いの強さだから気張らないと(【水上走行】を発動させて)
今回も鍵となる大切なのは仲間との連携。一対一で応戦してたら体格や地力の差で押し切られてしまうからね。
イロハはリズムよくステップを踏んで相手を翻弄し、局所的に多対一になるように持っていこうか。
好機を見付けたらダッシュで距離を縮めた上で懐から聖骸布を取り出して拳に巻き
【ブルージュの聖血】を発動させ鉄拳と蹴撃の乱舞をお見舞いするよ。
アクアブラスターの兆候が見えたなら全身に闘気を纏って
角度を付けて逸らすことで直撃しないように気を付けるよ。
古き聖者は紅海をも割ったんだからイロハだって水流を割れない筈が無いんだよ。
中央部に着くのはまだ先になりそうだね、今日のご飯は何にしようかな・・・。
復讐者たちの前に立ちはだかった第三波の敵は、三体のアヴァタール級巨獣からなる群れであった。
巨獣の名は海塞竜グノドロス。本来は水中を泳いで移動する巨体は、湖の加護と思しき力の影響で、今や水上をスイスイと滑りながら向かって来ていた。
『グルルルルルル……!』
「おさかなが……湖の上を! 謎の加護。それ要るの……?」
そんな巨獣たちを見遣って、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は目を見開きながら言ってのけた。本来なら水中活動に適すると思しき巨獣たちに、あえて水上移動を可能とさせる力は、見る者によっては若干首を傾げるものではあろう。
「き、巨獣さんたちが、泳がずに水面を滑って、きます!?」
「確かに、魚竜っぽい巨獣が泳い……で来てないね。アシカとかが氷上を滑るような感じでやって来てるよ」
それは、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)とイロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)にとっても同じだった。
水面を滑るグノドロスを遠い目で見つめるイロハ。その傍ら、小雪は初めて目にする『力』に興味津々の様子だ。
「ゴンドワナの不思議パワーはやっぱり不思議、ですね……!」
湖の中心に近い巨獣たちに与えられた『加護』は、他の地域では見られなかったものだ。
空を飛ばず、知性も有していないと言うことは、サフィーナ・ミウを襲撃した巨獣たちの『ドラゴン化』とはまた異なる力なのだろうか。未だ見えぬ湖の奥地、そこに眠る謎に復讐者の好奇心は否が応でもかき立てられる。
「奥地探索の為にも、この戦いは負けられぬ。んむー、やーるぞー」
「そう、ですね。や、やることに変わりはありません!」
今は、目の前の巨獣が撃破することが先決だ。
イロハが一歩前に踏み出す。大きな深呼吸をひとつ、迫り来るグノドロスたちを見遣った。
「さあ――始めようか」
今回の作戦において復讐者たちが最も重視したのは、仲間との連携であった。
アヴァタール級相手に一対一で応戦すれば、体格や地力の差で押し切られるのは明白だ。故に、復讐者が多勢となる状況を局所的に作る――そう考えたイロハは、水面走行で湖の水面を蹴ると同時に標的めがけて駆けて行った。
「イロハの一撃、存分に受けるといいよ」
聖なる祈りで強化したイロハの鉄拳と蹴りが狙うのは、横一列の状態で向かって来る一番左端の個体であった。
リズムよくステップを踏みながら敵を翻弄するように動き回るイロハ。そこに続き小雪とクィトも攻撃を開始する。残留効果で出現させた、連携用のパラドクス通信機を携えて。
「んむ、レベル1でも効果は十分。やーるぞー」
「準備しておいて良かった、です。これで連携も楽になり、ますね!」
『グルオォォ!!』『グルルルル!』
対するグノドロスたちも侵入者たる三人を排除せんと、猛然とこれに抗い始めた。
砲弾さながら次々発射される外皮。口から発射するウォーターカッター。アヴァタール級巨獣たちの攻撃は、一度浴びれば復讐者の体を容赦なく傷つけ、切り裂く。その威力は第一波、第二波のトループス級よりも明らかに上だ。
「やっぱり、あんなノリでも桁違いの強さだね。ここは気張らないと……!」
イロハは、反撃のウォーターカッターが掠めただけで身体が吹き飛ぶほどの衝撃に、改めて舌を巻いた。
彼女を始め、復讐者たちはガードアップで防御力を高めてはいるが、それとて安心は出来ない。直撃など浴びれば戦闘不能に陥ってもおかしくない威力だ。
そんな巨獣を、同時に三体。
せめて一体、速攻で沈めなければ危うい――そう判断した復讐者たちは、左端の一体に集中攻撃を浴びせ始めた。
攻撃態勢を取って駆け出すクィト。同時、小雪とイロハが通信機を手に、残る二体の注意を誘うように水面を駆ける。
「き、巨獣さん、ボクたちが相手、です!」
「お邪魔虫の陽動は引き受けるよ。今のうちに攻撃を」
「んむむー、たすかるー。くらえー」
クィトは孤立したグノドロスを狙い定め、黄金猫拳打棒を脳天めがけ全力で振り下ろした。
ダメージアップを帯びた一撃が眉間にめり込むや、グノドロスは激痛に絶叫を上げて、火のついたように暴れ回る。だが、その動きは復讐者の集中攻撃で早くも勢いを失いつつあった。クィトは頃合いを見て取り、小雪に合図を送る。
「んむ。とどめは任せるー」
「了解、です! 雷さんの力を借りて、ひ、必殺のコダマ・ギガブレイクです!」
阿吽の呼吸で、小雪が瀕死の一体を狙い定めた。
小雪のかけ声に応えるように、コダマが長剣を大上段に構える。
次の瞬間、小雪の祈りに応えるように、戦場の空を黒い雷雲がゴロゴロと音を立てながら覆い尽くしていく。
雲から降り注いだ稲妻が落ちた先は、コダマの構えた長剣だ。網膜を焼くような雷光が迸り、長剣が雷を帯びる。そうしてコダマは真っ直ぐに突進すると、稲妻を込めた一撃をグノドロスめがけ振り下ろした。
「もっきゅもきゅ!」
『グルルオォォ!!』
パラドクスによって収束した膨大な電気エネルギーは、湖の水面に吸われること無く、その全てをグノドロスの体内へ流し込む。ギガワット級の雷に全身を焦がされ悶絶するグノドロス。鋭く裂けた口の端から、黒い煙がぶすぶすと漏れた。
コダマの一撃を受けたグノドロスは尚も攻撃性をむき出しに、頑丈な外皮を発射しようと体に力を込める。
だがそれも、最早叶いはしなかった。度重なる被弾に加え、強烈な雷で焼かれた肉体はとうとう限界を迎え、巨体がぐらりと傾いて水に沈む。
『グル……』
攻撃のパラドクスが放たれることは遂に無く、そのままグノドロスは力尽きてブクブクと沈んでいった。
残る敵は、あと二体。
「い、いい感じ、です! この調子で行きましょう!」
「少し楽になったかな。もう少しだ、頑張ろう」
「んむ、おさかななんぞに負けはせぬ。いーくぞー」
巨大な巨獣たちを囲むように、復讐者たちは湖の上を縦横無尽に駆けまわる。
使用しているパラドクス通信の助けもあって、三人の意思疎通と連携は常にも増して綿密だ。
狙う個体、取る戦法、敵の動作、などなど……如何なる情報も零すこと無く共有しながら、三人は巧みな連携でグノドロスを翻弄していく。
「余所見は禁物、です!」
『グルルル!』
最初の一体を撃破した小雪は、グロリアスの効果で負傷が大きく回復したこともあり、体力に最も余裕があった。
攻撃対象を巧みに切り替えて、積極的にグノドロスたちの狙いを誘導していく。相変わらず敵の攻撃は苛烈だが、数を一体減らしたことで心理的な余裕を得られたことは大きい。
次に三人が狙う敵は、右側の個体だ。稲妻を帯びた長剣をコダマが叩きつけ、注意を引きつける。そこへ即座に、イロハが横合いから肉薄。聖骸布を巻いた拳を武器に『ブルージュの聖血』で鉄拳と蹴撃の乱舞を次々に見舞い始めた。
「長引けば長引く程、こっちのダメージは増えるからね。速攻で片付けさせて貰うよ」
前回のフォルノクス戦同様、標的の数を絞って一撃あたりの威力を上げる三人の戦法は、今回も健在だ。
その作戦は果たして見事に奏功し、二体目のグノドロスにも着実にダメージを蓄積させていった。敵の動きは次第に鈍り、パラドクスが命中するたびに重々しい呻き声が漏れる。
『グル……ルル……』
「弱って、来ました……! クィトさん、チャンスです!」
「んむむ、心得た」
小雪の合図を受けて、クィトはモナアーマーを加速。
水面に盛大な飛沫を切りながら、一気にグノドロスとの距離を詰めた。
そして発動するのは『震わすは鬣なき獣』。近接戦闘に注力する――只それだけの、シンプルにして強力なパラドクスだ。
「んむ、お遊びはお終い」
黄金猫拳打棒を振り被り、フルスイングを一撃。続けて大上段からの一撃。
クィトの猛攻はなお止まらない。その激しさを物語るように、今や棒を握る彼女の腕は肩から先が消え失せていた。余りの速さに肉眼で視認が出来ないのだ。
残像を生みながら黄金猫拳打棒が暴れ回る。命を砕く凶器と化したそれはドドドドドドドドドと凄まじい打撃音を立てて、瞬く間にグノドロスの巨体を叩き伏せていく。そして、
「んむ。んむむ。んむむむむむむむむむむむむ」
『ググググググググオオオオオオオオオオ!!』
猫拳打棒の猛ラッシュを浴びたグノドロスは全身に肉球マークを押され、断末魔を遺して湖に沈んでいった。
「……んむ。これで、あとは一体」
グロリアスの効果で傷を癒やし、ふっと一息つくクィト。
戦いは、いよいよ最終局面に差し掛かろうとしていた。
復讐者たちが最初に抱いた予感通りに進んだ巨獣との激戦も、いよいよ終わりに近づきつつあった。
アヴァタール級との激闘を物語るように、戦場に無傷の復讐者は一人もいない。
それでも、三人の連携と作戦は一人の戦闘不能者も出すことなく、戦意もいまだ旺盛だ。
「汝が最後のおさかな。かくごー」
『グルルルル!』
仲間を討たれた仕返しとばかり、グノドロスは巨大な口を全開させると、強力な水流をクィトへ乱射して来た。
クィトは硬化した肉体で直撃を回避すると、そのままモナアーマーで加速して黄金猫拳打棒の乱打を浴びせる。続け様に、電気エネルギーを帯びたコダマの一撃を叩き込む小雪。二人の猛攻を浴びたことで、グノドロスの動きには次第に焦りが見え始めた。
「ボクはこっち、です!」
『グルルルル
……!?』
反撃の外皮を発射しながら小雪を探すグノドロス。
その注意を引きつけるように、水中適応を駆使しながら小雪は巨獣の周りを翻弄する。
冷静さを欠いたグノドロスは気づかない。今、彼を狙って肉薄し、『ブルージュの聖血』を発動したイロハの存在に。
「古き聖者は紅海をも割ったんだ。イロハだって、水流を割れない筈が無いんだよ!」
接近を許したイロハを迎撃しようと、グノドロスがウォーターカッターを噴き出さんとする。
だが、聖なる氣を纏ったイロハの拳はそれよりも一手早く放たれた。渾身の力を込めて放つ鉄拳は巨獣の眉間を叩き割り、しぶとく残った生命を一撃で奪い去る。
『グオオオオオオオオ――
……!!』
長い長い断末魔の絶叫が絶え、湖には再び静穏が訪れた。
そうして敵の撃破を確認すると、復讐者たちは陸地を目指して踵を返す。この湖はいまだ敵地だ。新たな増援が押し寄せる前に、速やかに撤退を行わねばならない。
「こ、今回はこれくらいで十分、でしょうか。これ以上囲まれる前に撤退しましょう!」
「そうだね、中央部に着くのはまだ先になりそうだね……ああ、お腹が空いた。今日のご飯は何にしようかな」
視界の先、見えて来た陸地を目指して、イロハが駆ける足に力を込める。戦いを終えた安堵ゆえか、腹の虫がクゥと鳴き声を上げると、それに誘われたようにクィトも腹に手を当てた。
「んむー、我もおなかがすいた。今日のご飯はお肉かお魚か。とても迷う」
第一回となるゴンドワナ巨大湖の攻略を終えた達成感を胸に、復讐者たちは帰還していく。
戦いを終えて戻った世界、最終人類史での温かい食事に思いを巡らせながら。
新宿島とそこに生きる人々は、探索の大きな一歩を踏み出した三人の凱旋を、歓びと共に迎えてくれることだろう。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【狼変身】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!