リプレイ
無・為
事件についてこう感じ、クロノヴェーダを赦さずディアボロスとして解決を目指します。
「①住民の避難と義勇軍」に挑戦し、有効そうであればパラドクス「蠱毒「鉄道虫、サラマンカ」(コドク・テツドウムシサラマンカ)」を使って、治療や移送をします。
他のディアボロスが有利になるように行動し、連携できそうなら、作戦の足りない部分を補う形で助力します。
最大の目的は、この事件の解決で、そのためならばある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします。
雑賀・黒詠
淀殿め......流石に焦らざるを得ないだろう。
既に敵が城を率いて距離を詰め今まさにその喉元へと辿り着こうとしているのだから。
だからこそ、此方を潰す手を惜しむことはしないだろう。
絶対に、奴らの隙にはさせない。徹底的に策を潰し、鉄屑に還してやるさ。
さて、まずは一般人たちへの対策だ。間違えなく奴らはここを利用する。
最大限手を打っておかなければ。
幸いこちらの言葉は聞き入れてもらえるだろう。素直に素性を明かして円滑に話を進めたい。
私達はディアボロスと言う存在であり、天魔武者を倒すもの。
奴らは一般人たる貴殿たちを利用、若しくは皆殺しにすること。
まもなくこの周辺も戦場になるという事。
これらは伝えなくてはならない。その上で義勇軍にも協力を仰ぎたい。
もしここに居るなら対応を、もし離れた場所に居るなら伝達を。
確か......権之助と言う者がいるとか。
君たちも義理人情を掲げるものならばぜひ協力を願いたい。私達も、その気持ちに報いよう。
安寧を約束する。
伊藤・真九郎
無頼なれど侠客か。
民々を護るに手が足りぬこの時には有り難い。
先ずは目通り、協力を頼もう。
【友達催眠】を発動させておく。
「我等は天魔武者に抗い立ち向かう者也。方々に申し入れたき仕儀がござる。代表の方に目通り願いたい。」
上から申すつもりはないが、やくざ者相手ならば最初に舐められては話にならん。堂々とした態度で相対しよう。
天魔武者共と千早城との間で、決戦が迫っている事。千早城は人々の開放の為に戦っており、それ故に淀殿は民を人質や盾として利用しようとしている事、等を伝える。
戦に巻き込まれない様に、人々を避難させて欲しい。
自分達も戦うとの申入れがあれば丁重に断ろう。戦の矢面に立つは武士の仕事。任されよ。
納得しなければ、手合わせして怪我の無い程度に叩き伏せるか、岩を太刀で「両断」する等して我等の戦闘の人外さを見せてみよう。
アドリブ、連携歓迎致す。
ウィリディス・ファラエナ
本田忠勝、俺は直接見えた事はないが凄まじいまでの強者だとか。その名を冠しているなら相当の強さだろうな…ああ、楽しみだ
おっと、その前にやらないといけない事があるんだった。いかんいかん
ここらを仕切ってる清水権之助ってのはいるかい?ちょいと頼みたい事があってね。俺達は淀殿に喧嘩をふっかけようってもの好きさ。
ここから見えるかね。空飛ぶ城と一緒に討ち入りしようって寸法なんだが。
そうなるとこの辺にも少なからず被害が出るし、俺達に対する人質にするだろう。それは俺達も避けたい。
突然知らん人間に好き勝手言われるのは気に入らんだろうが、頼みたい。このあたりの皆を安全と思われる場所まで避難させて守ってほしい。
手間を掛けさせる代わりにと【アイテムポケット】から出した食糧や燃料になる油や蝋燭などを出して避難先での生活の足しにしてもらおう。
●でぃあぼろす、義勇軍を訪ねる
「……なんだぁ? おい坊さん、あんたなにもんだ? よそから来たのか?」
真砂町のはずれ、義勇軍が隠れ家に用いているボロ神社。
そこからそう離れていない場所には、荒れ寺があり、八五郎たち若衆のたまり場になっていた。
そこに、僧侶が何名かを連れ、やって来たのだ。
「……失礼。この寺の僧侶に、ご挨拶をと思い参上した。そちらは?」
「ごあいさつだぁ? この寺にゃ坊さんはいねえよ! 俺様はこの真砂町の義勇軍が一番のつわもの、八五郎さまだ! お前らこそ何もんだ! 怪しい奴らめ!」
と、ケンカ腰に八五郎はいきり立った。他の若者たちも、それに追随するかのように立ち上がる。
「……私は、無・為(戦うお坊さん・g05786)と言う者だ。この辺りに、町の義勇軍の元締めが居ると聞いたのだが……」
僧侶はそう答えるが、八五郎は、
「はっ! さてはお前ら、義勇軍を狙ってやって来たやつらだな! そうに違いねえ! おいお前ら、こいつら畳んじまえ!」
近くの棒切れを拾い、身構えた。周囲の若者たちも、それに続かんとする。
「……私たちは、義勇軍に協力したくてここを訪ねたのだが。随分な歓迎だな」
雑賀・黒詠(国境なき鍛冶師・g07640)、子供の人形を連れ、狐面を被った女性が、呆れたような口調とともにかぶりを振った。
「なんだとぉ! 俺たちに協力だぁ? どこの馬の骨とも知らねえ奴の助けなんざ、俺たちには……」
「まあまあ。それで、ここらを仕切ってる清水権之助ってのはいるかい? ちょいと頼みたい事があってね。俺たちは、淀殿に喧嘩をふっかけようってもの好きさ」
と、八五郎の言葉を遮るのは、ウィリディス・ファラエナ(毒虫・g08713)。
「親分に会いてえだと? 誰に喧嘩を吹っ掛けるって? はっ、この八五郎様がそんなたわ言に騙されるとでも思ってるのか……痛えっ!」
「……この、馬鹿八が! 誰彼構わず喧嘩を売るんじゃねえって、何度言えばわかる!」
と、いきなり現れた壮年の男は、八五郎を後ろから殴りつけ、
「……旅の方、うちの若い馬鹿どもが大変失礼した。このわしが、清水権之助だ。元締めとして詫びさせてもらいたい……ほら、馬鹿八! お前らも頭を下げんか!」
深々と頭を下げた。
●でぃあぼろす、権之助と話し合う
「……我等は、天魔武者に抗い立ち向かう者也。方々に申し入れたき仕儀がござる。故に、代表の方に目通り願いたいと思い、ここに参上つかまつった」
伊藤・真九郎(剣客・g08505)、武士たる彼は、仲間たちとともに廃神社内の、隠れ家に通されていた。板間にそのまま、対面するように座している。
「……天魔武者に喧嘩を売る連中が居るとは聞いていたが……なるほど、お前さんたちがそうか。先刻はうちの若いやつらが、無礼をして済まなかったな」
と、同席した岩松が茶を差し出しつつ、頭を下げていた。
「だが八の字……八五郎は、どうしようもなく頭が悪い馬鹿で、喧嘩っ早いろくでなしだが、決して根は悪くないんだ。先刻の無礼も、奴なりに真砂町を守りたいと思っての事。どうか、俺たちに免じて許してほしい」
(「……どうやら、話し合いは出来そうだな」)
頭を下げる岩松と権之助を見て、真九郎は思った。『友達催眠』を発動させていたこともあったせいか、この二人はやや友好的に接してくれている。
……部屋の外で聞き耳を立てているらしい、八五郎たちはそうでもないようだが。
「……頭をあげられよ。私は全く気にしていない」
無・為とともに、
「私もだ。それよりも、話し合いたい事がある。まずは、聞いていただきたい」
黒詠が、話を切り出した。
「……なんとまあ、お前さんたちが、その……『でぃあぼろす』とかいう連中だったとはな。天魔武者どもに喧嘩を売るたあ、どんな命知らずかと思っていたが」
権之助は感心しつつ、驚いたように頷いた。
「しかしだ、坊さんに狐っ子。お前さんたちがそこまで強いんなら、俺たちの助けは要らないんじゃないか? 俺や権の字は一線を引いて久しく、お前さんたちに助太刀ができるとも思えん」
岩松が問いかけるが、ウィリディスは、
「いや、俺たちだけではできない事もある。ここから見えるかどうかはわからないが……空飛ぶ城を見た事はあるかね? 近々俺たちの仲間たちが集まって、あの城と一緒に、淀殿の天守閣へ討ち入りしようって寸法なんだが」
答え、そして改めて問いかけた。
「だが、そうなるとこの辺にも、少なからず被害が出る。それに、天魔武者の配下や足軽連中も、真砂町の町民たちを人質にするだろう。それだけは避けたい」
「うむ、まさに然り」
真九郎も、それに続ける。
「あの城は、『千早城』。この真砂町だけでなく、和泉国全ての民の解放の為に戦う城だ。それ故に淀殿は民を、人質や盾として利用しようと企んでいる。じきに、この辺りも戦火に巻き込まれるだろう。それだけは避けたい」
そして、黒詠も、
「奴らは一般人たる貴殿たちを利用し、皆殺しにするだろうね。真九郎さんが言ってる通り、この周辺も戦場になるだろう。そこで、お願いしたい」
本題を切り出した。
「君たちも、義理人情を掲げるものならば、ぜひ協力を願いたい。私達も、この地を、そして和泉国を守りたいという気持ちは同じ。その気持ちに報い、安寧を約束する」
「…………」
黒詠の言葉を聞き、権之助は考え込み、
「……あの城とともに、淀殿に討ち入りしようとはな。そいつはまた、控えめとは言えん途方もない望みだ。だが……協力と言っても、俺たちに何ができる?」
岩松が訊ねた。
そして、
「……有体に言えば、この地から離れ、避難してほしいのだ」
真九郎が、その問いに答えた。
「千早城はこの地を通る。そこを、天魔武者は狙いやってくる。それがしたちはそやつらと一戦交える事になるゆえ、町の皆をこの地から避難させ、暫くの間……安心できる場所にて待つように願いたい。その役割を、権之助殿たちに行ってもらいたいのだ」
「…………」
権之助が、それに答えんとした時、
「待ちやがれ! 俺たちに逃げろっていうのか!? ふざけんな!」
八五郎たちが、引き戸を開いてなだれ込んだ。
●八五郎、でぃあぼろすに喧嘩を売る
「八の字! てめえ、いいかげんに……」
岩松が怒鳴りつけようとするが、真九郎はそれを止めた。
「……なあ、八さんよ。突然知らん人間がやってきて、好き勝手言われるのは気に入らんだろうが……君らにも頼みたい。このあたりの皆を安全と思われる場所まで避難させて守ってほしい」
ウィリディスは穏やかに頼み、頭を下げるが、
「うるせえ! 真砂町は俺たちの町だ! どこの馬の骨とも知らねえお前らに、あっち行けこっち行けなど、指図される筋合いはねえってんだ! ここに天魔武者がくるんなら、俺たちがやっつけてやる!」
八五郎は聞く耳を持たない。後ろの取り巻き連中も、「そうだそうだ、八の兄貴のいう通りだ」「天魔武者なんざ、俺たちで十分だ」などと、煽り立て息巻いている。
「……なあ、でぃあぼろすの皆さん」
権之助が、口を開いた。
「ひとつ、頼みがある。こいつの性根、叩き直してやってくれ」
そして、すぐに。
「……では、構わぬか?」
「ああ、真九郎殿。……八の馬鹿は、口で言っても理解できん。だから、死なない程度に、叩きのめしてくれ」
権之助からの頼みに、皆が外に出て、
真九郎は、八五郎と対峙していた。
「……八五郎殿。その心意気は良いが……なぜそこまで? 戦の矢面に立つは、武士の仕事。任せられよ」
穏やかに問う真九郎だが、
「……うるせえ! 真砂町は俺たちの町だ! よそ者なんかに任せられるか! 俺たちが守らねえでどうするってんだ!」
と、棒切れを手にして腕まくりをする八五郎。そして、
構えも何もなく、突っ込んできた。
「…………」
刀の、鉄鞘のみを構えた真九郎だったが、
八五郎の攻撃はあまりに稚拙で、ただ力任せだった。常人が勢いだけで動いているだけで、しかも粗雑。
実戦を経験してきた真九郎にとっては、それを回避するのは児戯にも等しかった。そのまま攻撃を躱しただけで、八五郎は躓きひっくり返り、そして鉄鞘に打たれるが。
彼は決して負けを認めず、何度も何度も立ち上がっては打ちかかってきた。真九郎に一方的に打たれ続け、顔があざだらけになるが、決して参ったと言わない。
「……貴殿のやる気は、充分に伝わった。なれば、町の皆を護るため、避難に助力を……」
「うるせえうるせえ! この地は、俺が守るんだ! ……俺が守らねえと……殺されたおっ父やおっ母にはなむけ出来ねえ! よそ者に殺されたおっ父やおっ母にな!」
ぼろぼろになり、なおも立ち上がる八五郎。
「それに……もっと小さいガキどもも、親無しのガキどももいっぱいいるんだ! この俺が、あいつらを守らねえと……」
だが、流石に限界が来たのか。膝をついた。
「……左様か。ならば……」
それを見た、真九郎は、
「それがしも貴殿に対し、全力を出そう」
真剣を抜き、その切っ先を……八五郎の目前に突きつけた。
「! ……こ、怖くなんか、ねえ、ぞ……」
と、あからさまに恐怖する真九郎。だが、
「……!」
真九郎は、容赦なく剣を、その刃を、
『打ち込んだ』。
……八五郎の後方に鎮座していた、大きな岩に。
「! ……え?」
振り向いた八五郎は、その岩が『剣圧だけで』真っ二つにされたのを知り、そして、
「……な、なんだよ、これ……」
まるで、怪物を見るような目で、真九郎を見た。
「八五郎殿、これ以上来るならば……次は、容赦しない」
そして真九郎は、八五郎の眼前に、
正眼に構えた剣の切っ先を向けた。
「……ち、畜生、ちくしょう……」
八五郎の手から、棒が転がり落ちた。それとともに彼は、涙を流していた。
「……あれは、恐怖を覚えたゆえの涙、ではないですな」
無・為は、彼の様子を見て呟き、
「ええ。恐怖した以上に、『自分の無力さを思い知らされた』。その悔しさゆえの涙、でしょうね」
黒詠もまた、呟いた。
「……八の字、これでわかったろう。天魔武者と戦うためには、これだけの技量を持たなきゃだめなんだ。俺たちやお前、それに若衆全員が向かって行ったところで、天魔武者の足軽にすら敵わんだろうよ。それに……」
岩松は、八五郎の肩を叩いた。
「……こう言っちゃなんだが、この人たちが俺たちを最初から害するつもりなら、俺たちはもうとっくに死んでる。町を守るため、よそ者を追い返したいから、お前は最初に、あんな喧嘩ごしの態度を取ったんだろう?」
「お、俺は……おっ父と、おっ母みたいな事を……」
涙を流す八五郎を立たせ、岩松は取り巻きたちとともにその場を去った。
「……なあ、でぃあぼろすの皆さん」
そして、権之助は、
改めて、
「……皆さんの申し出に、わしらは全面的に従いましょう。どうか……よろしくお願いします」
そう申し出て、頭を下げた。
●権之助、町民を避難させる
「来たれ癒し手よ、奔れ眼前の路を拓け!照らせ煌々とみらいを!」
真砂町内。
無・為が、自身のパラドクス、『蠱毒「鉄道虫、サラマンカ」』を用いている。
「お坊様、ありがとう。あたい、また……歩けるよ」
「ほんに、ありがたいことじゃ……ああ、ありがたやありがたや」
サラマンカの『活性治癒』により、負傷や体の不調で動けず歩けなかった少女や老婆たちは、再び歩けるようになっていた。
そのまま無・為は、呼び出したホノオムシ型の蟲毒に家財道具や荷物を載せ、運ばせる。
町の子供たちは、黒詠の傍らに控える人形……和人型人形【子狐】と遊んでいた。
「真砂町に隣接している山だが……そこには山の田舎道があり、かつて参拝されていた山寺への参道に続いている。今は住職もおらず、本尊も売られて、建物しか残っていないが……そこならば安全だろう」
権之助が説明したその道と、寺への参道。それはかなり荒れており、歩きにくかった。
だが、街道から離れており、見たところ千早城の進行方向からは離れている。おそらくは天魔武者もここまでは来ないだろう。
「この寺……本堂は傷みが少ないようですが、言われた通り御本尊は無いですな」
無・為が改めるが、確かに仏像の類は無くなっていた。
本堂内では、ウィリディスが出した食べ物を、皆が口にしている。
「ほら、お手間を掛けさせてしまうお詫びだよ。それから……」
蝋燭に燃料……となる油を取り出すウィリディス。
「本当に、何から何まで……」
「ここまでして下さるとは、お礼の言葉もありません」
感謝の言葉を述べる、権之助に岩松。
「いや、私達の本当の戦いは、これからです」
無・為はかぶりを振った。
「できる限り尽力し、天魔武者を討ち取り……皆さんの町を守ってみせます。お礼の言葉は、その時に頂きましょう」
そう、彼の言う通り……ここからが本当の勝負。
無・為の言葉とともに、ディアボロスたちは改めて勝利を誓うのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
【先行率アップ】LV2が発生!
ウィリディス・ファラエナ
なんやかやとあったが避難に承知してもらえて何より。さて、これで気兼ねなく次に行けるってもんだ
先に進行方向に【罠使い】で[絡新婦]に仕掛けをしといて別方向の物陰に【光学迷彩】で隠れる
敵が[絡新婦]に気付いてそっちに警戒を向けた瞬間を狙って【忍び足】で接近、【サドンアーミー】でさくっと【暗殺】
他の敵が反応したらその間をささっと駆け抜けてさっき罠を張った方向に敵を誘導する
追って来た敵の攻撃で[絡新婦]にぶら下げておいた袋が破れる。中身は色をつけた粉だ。敵を受けたら中身の粉が広がり、その煙幕の影で俺は【残像】を囮に素早く回り込んで死角からの【不意打ち】
バンバン砲撃してくる奴に正面から挑むつもりはないんでね
伊藤・真九郎
後顧の憂いは絶った。最早、目の前の戦に専念するのみ。
必ず守るとの約束もある。敗北は許されぬ。
まずは千早城の進路上に待ち構えるだろう砲撃部隊を倒す。
城より先行し、敵布陣を探ろう。
身を隠しつつ、地形による遮蔽物を利用し距離を詰める。
使うは天魔単筒。所謂ピストルと呼ばれる銃器、大砲部隊に抗するにはささやかではあるが、仔細無し。こう見えて頼りになる相方よ。
隠密状態より奇襲を仕掛ける。【砲術·蠎薙】使用。撃鉄を押さえたまま引き金を引き続け、魔力を筒先に充填。巨大な魔力弾を撃ち放ち、敵陣に叩き込む。
撃つと同時に移動。砲戦の基本は一つ所に居着かぬ事。遮蔽から遮蔽へ駆け移りつつ砲撃を続ける。
反撃は、遮蔽を利用し回避。かわせぬ射撃は武者鎧に仕込んだ護身札による呪力結界で軽減し耐える。
接近されたら、銃とは逆の手で小太刀を抜き、発振器を太刀受けし防御。
陣形を崩しこちらに向かってくるなら好機。限界以上に充填した魔力弾を放つ。暴走し蠎の如く蛇行する光弾で、纏めて薙ぎ払ってくれよう。
アドリブ、連携歓迎致す。
雑賀・黒詠
※アドリブ、連携可
さて、後はこちらのやることを行うだけだ
僅かな綻びすら許されん。作戦の成功は、絶対だ
さて、千早城を落としに来るとなればある程度の行動予測は取れるだろう
真九郎も潜伏しているようだ、では私はまた別の邪魔にならない辺りに先行し待ち伏せと行こうか
木々や瓦礫等身を隠せるものもある筈だ。狙うは強襲故、可能な限り距離を埋めていこう
機射隊の名の通り射撃を思とする様だ。白兵も出来る様だが、接敵するのが理想と思える
まずは人形「子狐」を敵陣へ先行させ奴らの注意を引く、一瞬だろうがこの子は精巧だ。他のトループスの視線も奪えている
気づくまでの刹那の間にこちらが死角から回り込み一気に切り込む
他の味方が動きやすい様、派手に動くとしようか
当然攻撃に晒されるだろう。回避できないものは無理に行わず、得物で受け流す
だがこちらに視線が向けば人形は自由、逆も然り。常に挟撃の位置関係を崩さない
脚を止めず動き回り、倒すときは徹底的に破壊する
小鴉の打刀、白鞘の太刀、種子島式小銃を人形と入れ替えながら使用する
神山・刹那
は、離れてばかすか撃つだけの腰抜けどもか
喧嘩の基本は殴り合い、斬り合いだろう?離れて楽して勝とうって時点でお前らは気構えで負けてる
つまらん戦いになりそうだ
ビームバズーカでこちらを砲撃してくるのなら、残像を残すスピードで一気に突っ込み、収束率を変更してばらまいてくるならば、フェイントを織り交ぜて移動先を読めない様にし、相手がどこに狙いをつければ良いか分からなくなっているうちに勇気で被弾を恐れず一気に懐に飛び込み、すれ違い様に斬り捨てる
「面白くもない勝負だ。心構えの時点でお前らは負けてる。武器だけで勝ち負けが決まる様な戦があるかよ。バカが」
無・為
「踊れ、そして眼前の総てを拓け。我が子供達よ」
武田機射隊の「腕部内臓式ビーム発振器(WIZ)」に対し、パラドクス「斧鎌旋風鋼糸斬舞(フレンセンプウコウシザンブ)」を使うことで、仲間たちと連携します。
撃破できそうな敵を優先して攻撃し、敵の数を減らしていきます。
他のディアボロスと連携して戦える場合は、可能ならば、援護します。
勝利のため、ある程度のダメージはやむを得ないものとしますが、他のディアボロスを不利にするような行動はしません。
●いざ行かん、人馬武者(ケンタウロス)退治へ
真砂町。
義勇軍のたまり場となっている、ボロ神社。
「悪いな、遅くなった」
一人の青年が、そこを訪ねていた。
「……どちら様で?」
権之助が対応すると、
「……俺は、神山・刹那(梟雄・g00162)。ディアボロスの仲間、と言えばわかるか?」
青年は気だるげにそう答えた。
「おお、皆様のお仲間ですか。ささ、こちらに……」
内部には、仲間が床に座り込み、周囲の地図を広げて作戦会議中。
「……ああ、刹那さん。来たようだね」
そこには、無・為(戦うお坊さん・g05786)と、
雑賀・黒詠(国境なき鍛冶師・g07640)の姿があった。
「……二人だけか? 他の仲間は?」
「一人は偵察に、もう一人は、敵への罠を仕掛けに、先行している」
黒詠の声が、いささか低くなった。
「刹那さん。外に、千早城の姿は?」
無・為が訪ねると、
「遠くだが、肉眼で確認できるほどの場所まで接近している。この辺りに来るまで、そう長くはかからないだろう。……真砂町の、町民たちの避難は?」
今度は刹那が質問。
「……避難は、既に完了している。彼ら……権之助さんと岩松さんは、連絡役としてここに残ってもらっているが……」
黒詠の口調からは、あまり余裕が感じられなかった。
そこへ、
「……今戻った」
伊藤・真九郎(剣客・g08505)と、
「……ただ今、戻りましたよ」
ウィリディス・ファラエナ(毒虫・g08713)が、ボロ神社へと戻って来た。
「千早城の、新路上に待ち構える砲撃部隊の布陣を探って来た」
「多少の仕掛けも施してきました。まずは……」
と、彼らは偵察で明らかになった、『新たな事実』を、
他の者たちに伝えんと、語り始めた。
「……つまり、敵の天魔武者たちは……この真砂町の東、この森林地帯の西にある、この田畑が広がった場所に本陣を広げており……待ち構えている、と。そういう事ですな?」
権之助の指摘に、真九郎は頷いた。
「千早城の進行方向は、こちら……東側から、西の岸和田城へと向かっている。その進行先……ここが真砂町で、そして真砂町の東側に広がる田畑……天魔武者『武田機射隊』たちはそこに布陣を張っている」
彼の言葉を聞き、
「ふむ……それで、真九郎殿。この後、天魔武者たちはどのように迎撃すると思われますかな?」
岩松が質問した。
「奴らの布陣は、正方形に隊列を組んでいる。まず射程距離内に入ったら、前線の機射隊が、千早城に砲撃する事だろう。だがおそらく、それだけでは城を止める事は出来ぬ」
と、真九郎は地図上の一か所を指差した。
「それがしが敵の立場ならば、このまま千早城が接近してきたところで、機射隊の布陣を北と南に大きく広げ……前進する千早城の左右に陣を組む」
「いわゆる、『鶴翼の陣』という陣形ですね」
無・為の補足に、真九郎は頷いた。
「いかにも。そして、左右に広げた陣からも砲撃し、三方へ確実に砲撃を与え続けるように試みる。さすれば、確実に城を破壊できよう」
彼の意見に、ウィリディスも同意し、
「俺も同じ意見ですね。自分が千早城を攻める立場なら、できるだけ砲撃しつづけ、当てていきます。しかも……『武田機射隊』は、結構な数が見られました」
そう、述べた。
「ああ、それと千早城の進行先は、現在町の皆さんが避難している場所からは離れています。そちらへの飛び火は心配せずとも良いかと」
ウィリディスの言葉を聞いて、安堵する権之助だが、
「……では、対策は?」
すぐに心配そうな口調で、質問した。
「……広がる鶴翼は、左右どちらかが折れたならば威力を失う。なれば……」
『広がった翼を、こちらから奇襲し攻撃する』
その旨を真九郎、そしてウィリディスは告げ、
『対抗策』を、提案した。
「……つまりは、『我々ディアボロスは、森の木々に潜む、敵の左右の陣を討つ。そして残った正面の陣を、改めて討つ』、といったところですな」
無・為のまとめに、権之助は頷いた。
そして、数刻後。
「……では、権之助殿と岩松殿は、避難所へと戻られよ」
真九郎の言葉とともに、ディアボロスたちは力強く頷いた。
「承知しました、皆々様、大変な戦になると思われますが……」
「……どうか、御武運を」
岩松と権之助もまた、頷き、一礼すると、
馬にまたがり、去っていった。
その後ろ姿を見つつ、
「任せてくれ。ここから先は、俺たちの仕事、故に……」
「……必ず、敵を倒してみせましょう」
刹那と、無・為は、静かに呟くのだった。
●光線大筒(ビームバズーカ)、攻略はいかに
田畑を踏みしだき、天魔武者『武田機射隊』は、整列していた。
整列しているその大隊は、大きく三つに分かれている。それぞれ幟を付け、胴体には色彩が。
『い組』の幟に、赤の塗装。『ろ組』の幟は、青の塗装。『は組』の幟の者たちは黄色。
彼らの視線の先には森、そして、その森の先に、『千早城』の姿があった。
じきに城は、接近してくるだろう。しかしまだ、大筒(バズーカ)の射程距離には入っていない。が、入った時に、こちらから砲撃を開始する予定だった。
人馬(ケンタウロス)のごとき形状の機射隊は、待機しつつも……その時を待ち続ける。
『……機射隊・い組。大筒構え!』
正面を受け持つ、『い組』の幟を掲げた一大隊は横に広がり、肩に担いでいた光線大筒(ビームバズーカ)を構えた。
『い組、大筒放て!』
光線が放たれた。まだ遠方ゆえに、千早城の城壁表面にかろうじて届く程度。届き当たったとしても、その効果は微細。
しかし微細なれど、繰り返し当てられ続ければ、その威力も増大し、蓄積し、後に多大なる被害となるは必至。堅牢な堤防とて、僅かな穴から決壊するもの。
(「やつら、思った以上に統率が取れてるな……」)
布陣を臨む場所で、木々に隠れつつ、
刹那は、機射隊を見ながら心中で呟いた。
千早城も、徐々に接近してくる。ビームバズーカの光線も何度も直撃するが、城壁は今のところ被害は無し。
だが、
「!」
刹那の目前で、機射隊は左右に、戦列を広げていた。
まさに真九郎とウィリディスのいう通り。その様子はまるで、戦場で翼を広げる巨大な鶴の翼のよう。この陣形、まさに『鶴翼の陣』。
陣の南側、千早城に向かって右側に広がる部隊の幟には、『機射隊・ろ組』。
同じく陣の北側、千早城と向かって左側を攻める部隊の幟には、『機射隊・は組』と、それぞれ描かれている。
やがて、それらが十分に離れ、展開していったのを認めると、
刹那は、
(「既に、仲間たちは先行し……潜伏中。なら、俺も……」)
そろそろ行くとするか。と、立ち上がった。
自身の攻撃対象は『い組』。
あの左右に広がっていった、南の『ろ組』は、真九郎とウィリディス、『は組』は黒詠と無・為が相手をする。
隠れていた場所から飛び出した刹那は、
駆けだした。
『! 右側に敵を確認! 砲撃!』
機射隊が、接近に気が付いた時には、遅かった。
すでに駆け出していた刹那は、そのまま電光石火の疾走で、接近し、
「……奥義、『朱雀(スザク)』!」
発射したビームを回避しつつ、すれ違いざまに数体の機射隊を、
『切り捨てた』。
それはまるで、紅蓮の翼持つ朱雀のよう。
「……はっ、離れてばかすか撃つだけの、腰抜けども……と思っていたが、どうやらその通りらしいな。つまらんぜ」
嘲るように言い捨てる刹那に対し、
『光線の収束率を変化しろ! 単騎で攻めてきた事を、後悔させてやれ!』
機射隊は大筒を構え直し、再び光線を発射してきた。
今度は、無数に分散した光線が、雨の様に放たれる。
「はっ、下手な鉄砲もなんとやら……ってとこか!」
だが、それすらも刹那は回避し、
『?!』
「遅いぜ!」
小隊の懐に飛び込み、小隊長機と思しき機体に、
すれ違いざま、切り付けた。
「……まったく、面白くもない勝負だ」
小隊長機の首が飛び、胴体が両断され、
「お前らは負けている、『心構え』の時点でな。そもそも……」
と、混乱している戦場に、再び切り込む。右往左往する雑兵たちを斬り捨てつつ、
「……武器だけで、勝敗が決まる戦があるかよ。馬鹿が」
……言い捨てた。
どうやら、このまま楽に片付けられそうだ……と、思っていた刹那だったが、
『……なるほど、確かにそれはその通りだ』
彼に、そう語り掛ける何者かの声とともに、
「誰だ!?……ぐっ…ああああっ!」
突進してきたその『何者か』の衝撃に、刹那は跳ね飛ばされた。
南側、森林内。
密生している雑木林が、視界と移動とを悪くしていたが、
それでも『機射隊・ろ組』は進軍し、布陣し、展開していった。
ここで展開し待機し、千早城が接近して来たら。ここから左側城壁を攻撃できる。
「……参る!」
だが、この森に潜んでいるのは彼らだけではない。
ディアボロス、真九郎が既に先行し潜伏。そして、
森の木々の中に紛れ、奇襲を仕掛けた。
その手には、刀剣……ではなく『銃』。
『天魔短筒』と呼ばれる片手用銃器を、『フリントロック式ピストル』と酷似したそれを、手にしていた。
『何者だ!?』
奇襲に気付いた時には、すでに遅く、
「薙ぎ払えぃ!『砲術・蠎薙(オロチナギ)』!」
真九郎は、端筒を構え、押さえていた撃鉄を離し、
その銃口から、輝く光球を発砲した。
無秩序な蛇行とともに、放たれた光球がぶち当たり、薙ぎ払い、そして、
最後に命中した機射隊の一体を、爆砕させていた。
それはまるで、八岐大蛇がその場に顕現し、その場で暴れまわっているかのよう。
『貴様、何者だ! 出会え! 出会え!』
しかし、まだ機射隊の半数以上は生き残っている。そいつらは……奇襲を免れたそいつらは、迎撃態勢へと移行した。
『曲者か! 攻撃は一時中止、奴を先に倒せ!』
『ろ組』の機射隊・隊長機が命ずる。
『撃て!』
敵の大筒からも、光線が発射。それは大口径の光線を直進させ、木々を薙ぎ払うだけでなく、
収束率を変化させ、隠れている真九郎へと狙ってくる。
何度か爆裂が起こり、
『進め! あの不届き者を討ち取れ!』
と、数体の機射隊が駆け出した。
森林内を、真九郎は駆けていた。
『馬鹿め、人馬の我らから、逃れられるとでも思うたか!』
ビームが、木々を、大木を切り裂き、薙ぎ払い、徐々に真九郎に迫っていった。
(「おやおや、こうまで予測した『進行方向』に進んでくれるとは、」)
その様子は、『光学迷彩』で隠れていたウィリディスに見られていた。
そして、
『……待て! これは……ぐわっ!』
と、ウィリディスが張っていた『絡新婦』に、機射隊は引っかかり、
何体かは、首を落とされ、胴体も切断され、果てていた。
『気を付けろ! 鋼糸が仕掛けられているぞ! 下手に動くな!』
だが、立ち止まれと命じた小隊機に、
「……お命、頂戴!」
『サドンアーミー』。いきなり出現したウィリディスは、『絡新婦』で後方から、装甲の薄い急所を切断。そのまま、木々の中に消えた。
『くそっ! 忍びか!? 奴はどこに……』
「ここだ。お前たち、馬のくせに鈍すぎてあくびが出るな」
嘲るように誘い出すウィリディスに対し、
『ほざけ!』
光線を放つ機射隊だが、その攻撃は『絡新婦』が下げていた袋に命中。
『な、なんだこれは!』
敗れた袋からは、色付きの粉が散布。それが、周囲に煙幕となって広がり、視界を遮った。
(「見事だ、ウィリディス殿!」)
離れた場所で、その様子を見た真九郎は、感心しつつ……、
機射隊を更に迎え撃たんと、小太刀の柄に手をやった。
●敵は、光線刀剣(ビームソード)の使い手なり
北側、森林内。
『は組』の機射隊が展開していたそこは、崩れ切った城砦跡が放置されていた。
そしてやはり、そいつらに接近する存在が。
人形『子狐』。生きた少女にしか見えない人形が、近づいてくる。
『なんだ? 童か?』
機射隊は、戦場に似つかわしくない存在に目を奪われはしたが、
『……待て、こんなところに子供が居るのはおかしい! 敵襲か!』
機射隊の一体がそれに気づき、光線大筒を発射する。
人形『子狐』は、その光線を回避。そして、
「……ああ、その通り。『敵襲』さ!」
反対方向からの、種子島式小銃による黒詠の射撃が、機射隊を撃ち抜いた。
黒詠はさらに、武器を打刀に持ち替えて一気に接近、切り捨てる。
『子狐』もまた、機射隊を翻弄。時には刀を携え、切り付ける。
これぞ、黒詠のパラドクス『傭兵式白兵術・双(ヨウヘイシキハクヘイジュツ・ソウ)』。
剣および銃の武術とともに、人形の補佐も受け、黒詠は怒涛の連撃を叩きつけていく『白兵術』。
強襲し、挟撃し、騙し討ちをも繰り出す戦いは、機射隊を次々と倒していった。
『おのれ、人形使いか! ならば人形ともども吹き飛ばしてくれる!』
と『は組』の機射隊はビームバズーカを構えるが、
「……踊れ、そして眼前の全てを……」
無・為の人形たちが、その前に躍り出る。
「……拓け。我が子供たちよ……!」
『蟷螂斧、鬼灯』、『絡新婦、梔子』。守護人形と操り人形が、戦場を駆け、
……敵の、機射隊たちを、『は組』たちを倒し、破壊する!
『ひっ!………』
「失礼、人形使いは、こちらにもおりますよ。……っと、聞いてはおらなんだか。南無」
手を合わせる無・為。
これぞ、『斧鎌旋風鋼糸斬舞(フレンセンプウコウシザンブ)』。守護人形と操り人形による合わせ技にして、兄妹の一子乱れぬ武器捌きのパラドクス。
その攻撃の前には、ありとあらゆる存在は切り飛ばされる事必至。
二人の人形使いが、数多くの機射隊を翻弄していく。木々の中にその姿を隠し、
黒詠と無・為の前に、『は組』は徐々にその数を減らしていった。
しかし、
「……囲まれた?」
「どうやら……そのようですな」
回り込まれ、囲まれた黒詠と無・為は、
背中合わせになり、機射隊を迎撃するために、身構えた。
「……っ、何者だ!」
跳ね飛ばされた刹那だが、すぐに受け身を取り、地面を転がり、立ち上がる。
『……なかなかやるな、貴様』
それは、ひときわ堂々としている機射隊の一体。おそらくは隊長機だろう。
『いざ、尋常に勝負!』
言いつつ、両腕から光線刀剣(ビームソード)を伸ばす。
「……他の連中と異なり、多少は骨がありそうだな……!」
それに対抗するように、己が刀剣・覇龍を構えた。
周囲の機射隊は、距離を置き遠巻きに見ている。
「『参る!』」
見つめ合い、両者は駆け出し、激突した。
踏み込み、剣で切り付ける刹那。だが隊長機はそれをビームソードで受け止め、逆に切りつける。
後方に下がり、それを避けるが、
隊長は、両手のビームソードで更に切り付けてきた。
(「くそっ……少しばかり、まずいかもしれないな……!」)
敵の、この斬風という個体のスピードは、こちらと同等、またはそれ以上だった。
突撃時のように、残像を残すスピードでこちらが仕掛けても、敵はそれと同等の動きで立ち回る。
敵は人馬の形状、いうなれば馬上の敵を相手にしているようなもの。
駆け出し、回り込まれ、切り付けて来る。
そして、突進してきたら。それを受け止めきれない。
さらには、攻撃してもそれが届かない。こちらの得物が槍だったら、届いたかもしれないが。
もっと離れ、距離を取って『朱雀』で攻撃すべきか。……いや、距離を取ったら、今度はビームバズーカを放つだろう。
仮に『朱雀』で倒せたとしても、周囲にはこいつ以外の機射隊が居る。そのまま、ビームを撃たれてハチの巣だ。
『どうした? その程度か? い組を単騎で倒そうとしたお前が、その程度で終わるわけではなかろう!』
両腕の光刃で、隊長は何度も何度も切り付ける。
(「くっ! 『まずいかも』じゃない! 明らかに『まずい』!」)
いつしか、防戦一方に。なんとかこの状況を切り抜けないと……こちらが討たれる!
だが、切り抜ける『策』は……思いつかなかった。
●食い止めよ、敵の武者による無差別殺戮(ジェノサイド)
武者たるもの、いつ何時でも、死ぬる『覚悟』は出来ている。
しかし死ぬにしても、ただ一方的に倒されるつもりもない。刹那は敵に対し最後まで抗い、一太刀あびせるつもりだ。
「奥義……『朱雀』!」
覚悟を決め……刹那は再び、『朱雀』を放つ。
二段構えの斬撃は、
『……ぐっ!』
一撃は、隊長の片手の光刃で受け止められたが、
『……がっ!』
二撃は受け止めきれず、肩から袈裟懸けに切り付け、切り裂いた。
『……見事』
敵の、隊長の断末魔を聞いた刹那。しかし、その部下たちはまだ健在。
そして部下たちは、光線大筒を構え、今まさに撃たんとしている。完全に囲まれ、その全てを躱す事は、恐らく不可能。
これまでか……と、刹那が思いかけたその時、
「『砲術・蠎薙』!」
蛇行する光弾が、機射隊へと放たれ、薙ぎ払っていた。
「刹那殿! 大事無いか!」
「……真九郎か! ああ、大丈夫だ!」
援軍が、仲間がそこに駆け付けていたのだ。
「それがしだけではない、あちらには……」
真九郎が促した先には、
「……『子狐』! 行くよ!」
刹那に注目している機射隊へ、黒詠が人形『子狐』とともに奇襲し、強襲している様子が。
それとともに、
「さあ、こちらでも踊れ、我が子供たちよ!」
自動人形、鬼灯と梔子を操る無・為もまた、機射隊を強襲。『子狐』を操る黒詠同様に、敵を討ち取っていた。
「……刹那さん、無事ですか?」
と、刹那の元へ駆けつけるウィリディス。
「やったのか? 右と左に展開した部隊は、あんたらで倒したのか?」
「ええ、刹那さん。俺と真九郎さんで、『ろ組』は全滅させました」
ウィリディスは請け合い、
「私も、無・為さんとで『は組』は全部やっつけたよ! 囲まれた時は流石に焦ったけどね!」
黒詠と、
「ですが、何とか切り抜けられました。さて、残ったここの連中にも……引導を渡すとしましょうか」
ウィリディスもまた、請け合った。
そして、数刻後。
『い組』の機射隊もまた、全てが討ち取られていた。
真砂町・避難先。
「それでは……真砂町は安泰と思って、間違いないと?」
安堵する権之助たちの様子を、ディアボロスたちは見ていた。
避難先の元へ赴いた皆は、機射隊の殲滅の旨を伝えていたのだ。
「……権之助殿。今はまだ、外様を倒したにすぎません。敵の本陣との戦いは……これからです。南無」
無・為が、手を合わせる。
「左様。……敵の本懐は、間違いなくあの人馬たちより強力に相違ない。故に……まだ安心はできぬ」
真九郎もまた、用心しているのが見て取れる。
「けど、安心してほしい。私達が、必ず……敵を倒してみせる」
黒詠と、
「ああ。俺たちに任せてくれ」
刹那が、請け合った。
「…………」
ウィリディスは、沈黙していた。
彼は早くも、次の戦いに対する対策を、その頭の中で立てはじめていた。
果たして、より強力な天魔武者に勝てるだろうか。
いや、勝ってみせる。心の中で、ウィリディスは、ディアボロスたちは誓っていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
神山・刹那
へぇ。刀に自信があるのか
俺も剣術には自信がある。いっちょ、腕比べとしゃれこむか
相手が強いなら好都合。強い相手と死合い、その強さを刻み、踏み越えていく
俺はそういうふうに生きてきた。お前の強さを刻み、踏み越え、俺は更なる高みに昇る
いざ、死に生くを問わず、死力を尽くさん!
一鬼刀閃で一閃を飛ばしてくるのなら、残像を残す速さで一気に距離を詰め、精神集中で相手が抜刀する瞬間を感じ取り、迅速反応で相手の攻撃より早く地面と平行に、スレスレまで体を低くして相手の攻撃を避けながら突っ込み、そのまま手前で急制動をかけ、慣性の法則と体を限界まで捻ったさいの戻ろうとする反作用の力と刀の重さ、自信の膂力を乗せた横薙ぎの一撃で斬り捨てる
「我が一太刀に断てぬものなし」
ウィリディス・ファラエナ
あちらさんは近接戦がお得意か。今度は罠をちまちま仕掛ける時間はなさそうだな。[武者傀儡羅刹]を先に出す。
敵に斬り込ませ[羅刹]と俺とで動き回る。羅刹の糸は[絡新婦]。動き回りながら【デッドリーバインド】で絡めとり、そのまま仕留める。
他の敵が気付いてたらさっさと移動して突撃してきた所をまた【罠使い】で[絡新婦]の罠に捕らえお片付けだ。
あちらさんも警戒するし、物量で押し込まれても遠くからブンブン斬撃飛ばされても困る。
できる限り付かず離れずの距離でやりつつ周りの敵にも[絡新婦]を絡めていって【捕縛】し、動けなくなった所を仕留めて行こう。
伊藤・真九郎
鉄砲隊とは脅威なれど、その本威は破壊。即ち合戦を旨とするもの。
対して刀剣とは、突き詰めれば目の前の人間を如何に殺すかに至る。
どちらが上とは言わぬ。だが、大将を守る武者ならば相違なく達人。飛び道具の有利は無きものと見るべし。
ならば、此方も同じ土俵に立つ。精鋭の証たる赤備え、何するものぞ。
仲間と合わせ、本陣に立ち向かう。まずは護衛団を倒し、大将首を晒させる。
敵は居合。間合いを制し、先々の先と後の先を使い分けるその術理、それがしも得意とする。
故に攻略の道筋有り。大小二振りの太刀を抜き【二刀一流】にて仕る。
刀身を鞘に隠し、抜刀をそのまま攻撃に繋げる剣撃。早く速いが軌道が限られる。
実戦経験で培った「戦闘知識」と【未来予測】で技の初動と太刀筋を見抜く。飛来する斬撃を回避し、小太刀の受けにて打ち払う。
居合術は、抜刀残心納刀の三拍子。狙うべき隙は、刀を鞘に収める一瞬。
小太刀で払い体勢を崩し、太刀での連撃で「両断」せしめよう。
相手衆は遠近自在。足を止めず駆け回り、仲間と連携して撹乱。片端から切り払う也。
雑賀・黒詠
※アレンジ、連携歓迎
紅蓮の鬼面。戦場においてここまで目立つ姿にすることは本来意味がない。
それ故の自信と見た。
先程は防衛戦だったが、此度は侵略戦。憂いがない分攻めに集中することが出来よう。
雑兵には興味がない。道を開けてもらおう。
今回は姿を隠す必要はない。しかし数はあちらの方が圧倒的に多い。
此度は援護に徹するとしよう。故に最初から人形「子狐」は傍らに。
敵の出鼻を挫くことに努める。人形には彼岸紅蓮の和弓を持たせ赤備衆の動きを阻害させる。腕や脚、味方に迫っているのであればその軌道を反らさせる。
私の方は種子島式小銃と白鞘の太刀を携行、援護しつつ迫る敵は切払う。
神速反応も利用し技の起こりを確実に捉える。
しかしここまでが準備だ。攻め切れなければ向こうも焦れるだろう。
その薄弱さを突かせてもらう。
無数に刃に銃を呼び出させてもらおう。向かう未来は焼け野原だ。
仮に技を使っている際に詰められても問題ない。召喚した刃と銃は個人的にも扱える。故に隙無しだ。
無・為
手数は多い方が良い、戦とは備えを万全に期す者が勝つもの
兵を集め陣を敷き、要点を突く事で策は崩れる
「黒鉄の忍耐と深淵の叡智をもつ王よ、眼前の敵を打ち倒し平定を築きたまえ」
偉大なるギリシア神話の賢王の元、共に戦おう。
鬼面赤備衆に対し、パラドクス「蠱毒「アイアコス、ミュルドーン隊」(コドク・アイアコスミュルドーンタイ)」を使うことで、軍を呼び白兵戦をします。
撃破できそうな敵を優先して攻撃し、敵の数を減らしていきます。
他のディアボロスと連携して戦える場合は、可能ならば、援護します。
勝利のため、ある程度のダメージはやむを得ないものとしますが、他のディアボロスを不利にするような行動はしません。
●鬼武者軍団出現、いざ尋常に勝負
『……武田機射隊はどうした? やつらを倒したとでもいうのか?』
その武者……天魔武者は、挑むようにディアボロスたちへ言い放っていた。
鎧武者のそれを模した装甲で身体を包み、その顔も鬼を模した面頬のそれ。兜の鍬形もまた、鬼の角を模している。腰に帯びるは太刀。
数十体いるそいつらの、頭……と思しき、一本角の堂々たる個体が、ディアボロスたちの前に進み出た。
『我等、「鬼面赤備衆」! 我が名はその頭目、『赤角』! 名を名乗れ!』
「……神山・刹那(梟雄・g00162)、一介の剣士だ」
「……同じく、伊藤・真九郎(剣客・g08505)!」
「……無・為(戦うお坊さん・g05786)、ただの僧侶にございます」
「……ウィリディス・ファラエナ(毒虫・g08713)、見知りおけ」
「……雑賀衆が一人、雑賀・黒詠(雑賀衆の末裔・g07640)!」
臆することなく、ディアボロスたちは言い放つ。
『……その出で立ち、我等に投降するわけでも、助太刀を申し出るわけでもあるまい。その少数で、我等に挑むつもりだな?』
鬼面の天魔武者は、値踏みするかのように、見極めるかのように、ディアボロスたちへと視線を投げ寄こす。
「……だとしたら、どうするつもりか?」
真九郎の言葉に対し、
『……貴様ら。どうやら数は少なくとも……油断ならぬ古強者である事は、見て分かった。故に……』
その場に居た『鬼面赤備衆』は、全員が身構えた。
『……全力を以て、討伐する!』
その口調には、『無かった』。
油断も、嘲りも、ディアボロスたちを侮るようなものが『無かった』のだ。
あるのは、冷徹なる殺意。そして、油断なき戦意。その事を、ディアボロスたちは即座に悟っていた。
時は、少し遡る。
武田機射隊を全滅させ、権之助らを避難所へ返した後。
ディアボロス一行は、敵の大将が本陣を展開させている場所へと直行していた。
「……皆、念のために聞いておく……『作戦』は、あるか?」
刹那が聴くが、
「…………『無い』。鉄砲隊の本威は『破壊』。すなわち、合戦を旨とするもの。しかし、これより対する武者たちは、刀剣の使い手。加えて……対象を守る立場故、相違なく『達人』。それがし達が小細工を弄したとて、それらは全て無駄に終わるであろう」
真九郎が答えた。それは、希望的観測など無い、そして勝率が決して高くは無い事を表していた。
無・為もまた、
「私も同感です。離れているとはいえ、敵の本陣は展開しており……時間もありません。ならば、このまま全力でぶつかるしかないでしょう」
と、答える。
ウィリディスは、
「加えて、連中は接近戦が得意とみえる。今度ばかりは、俺の得意とする罠を、ちまちまと仕掛ける時間も、そんな隙もなかろう。ならば……こちらの行える戦いを以て、全力でぶつかる以外に方法はないだろうな」
警戒した口調で述べるが……決して『恐れて』はいなかった。
それを聞き、黒詠も、
「左様。先刻は防衛戦だったが、此度は侵略戦ゆえ、攻めに集中することができよう」
その口調はウィリディス同様に、恐れはない。むしろ、油断はしないよう、己に言い聞かせているかのよう。
彼らの返答を聞き、刹那は、
「……確かに、そうだな。小細工など必要ない。全力でぶつかるしかないなら……俺も剣術には自身がある。いっちょ、腕比べとしゃれこむか」
自らを奮い立たせんとするかのように、言い放った。
「敵が強ければ、死合い、その強さを刻み、踏み越える。今までそう生きてきた、ゆえに……今回も、死力を尽くすのみ!」
覚悟、既に完了。
そして……彼らは『鬼面赤備衆』と、相対する。
「いざ、尋常に……」
勝負!
ここに、戦う者同士の、死合う戦いが始まった。
●鬼に金棒、鬼に太刀
『鬼面赤備衆』
その頭目……『赤角』は、その集団の中心に座していた。
そして『赤角』の前には、彼同様の鬼面の武者が。二本角である以外、『赤角』との違いはほとんどない。
『赤備衆が一人、『朱斬』!』
『同じく、『紅殺』!』
『同じく、『血滅』!』
全員が得物として『太刀』を携えている。
更にその周囲を、同じく赤鬼を模した鬼面の武者たちが囲っていた。
そいつらから感じられる『気迫』は、先刻の機射隊とは比較にならないほど……強烈。
「……! 来るぞ!」
『朱斬』が、居合の構えから……、
『切り捨て、御免!「一鬼刀閃」!』
超高速の抜刀・斬撃を放つ。それは集団をも切り裂く巨大な刃と化し、ディアボロスたちの集団へと襲い掛かった。
刹那、まさに文字通りの一瞬で、刹那はそれをかわす。
「……大事無いか!」
「問題ない! ……真九郎、俺はあの朱斬って奴をやる。皆、援護を頼む!」
「心得た!」
「任せよ!」
「ご武運を!」
「……気を付けて!」
真九郎、ウィリディスと無・為、そして黒詠の声を背中に聞きつつ、刹那は駆け出した。
(「……先刻は、距離が離れすぎていたが……次は無い!」)
『来るか! ならば再び!』
納刀した『朱斬』は、再び抜刀の構えを、
「させるか!」
刹那は更に、
『朱斬』へと、駆け続けた。
刹那は、自身の刀剣『覇龍』を腰に下げ、駆けていた。
「……精神一到……一心精進……精神、集中!」
そして、『朱斬』が抜刀し、先刻の斬撃を放つ瞬間を感じ取らんと集中していた。パラドクスを叩きこみたかったが、太刀筋が見えず、敵の技量も見極められていない。加えて、距離もまだ遠すぎる。
とにかく、今は接近しなければ。
高速で踏み込んだ刹那だったが、敵も同様に迅速だった。
『……「疾風刀閃」!』
『朱斬』の方も、加速しつつ接近。刹那に切りかかる。
なんとかそれをかわした刹那は、『朱斬』の斬撃を、限界間際まで体勢を低くして回避。
反射的に、自身も抜刀。一瞬だけがら空きになった『朱斬』の脇へ、『覇龍』の刃を叩きこんだ。
『……やるな』
しかし『鬼面赤備衆』は、それを受けても無事。同鎧が異常なまでに堅く……入れられたのは、表面の刀傷のみ。
『我が居合を見切り、一刀を入れるとは……感服したぞ、刹那とやら!』
『朱斬』は、身構えた。どうやら、普通に剣を構えての切り合いを挑む様子。
「まだ戦いは終わってない。次は確実に、お前を斬り捨てる」
その挑戦を受けるかのように、刹那も剣を正眼に構え、そして、
両者は、ぶつかり合った。
『……はーっ!』
数十体の『赤備衆』またはその雑兵たちが駆け出し、ディアボロスたちを切り刻まんと接近してくる。雑兵とはいえ、通常の軍の兵士とは比較にならないほどの強力なる兵士たち、数の暴力の前に、ディアボロスたちは圧倒的に不利。
しかし、
「よし、私達も行くよ!」
黒詠がまず、進み出た。
『紅殺』と『血滅』、それらの武者が率いる軍勢。それを睨みつけつつ、
「真九郎くん、我々で道を開く」
「刹那さんと同じように、あの大将の討伐を頼みます!」
無・為とウィリディスから声をかけられ、
「……心得た!」
真九郎もまた、身構えた。
だが、『紅殺』と『血滅』、それらが率いる軍勢は、そう簡単に道を開けそうにない。
「……『子狐』、行くよ。弓の調子は万全か?」
傍らの人形『子狐』に問う黒詠。可憐なる少女の人形は黙したまま頷き、『彼岸紅蓮の和弓』を引いた。
悲願の紅を施した、その弓の意匠。それはまるで、敵をあの世に送り弔うためのよう。
そして黒詠自身は、種子島式小銃を構える。
「…………」
真九郎は、気を張り詰めつつ、『赤備衆』の雑兵らが接近するのを待った。
白兵戦、接近戦ではあっても、これは合戦。そして合戦時には、焦りは敵となる。
真九郎の両脇には、ウィリディスと無・為。彼らもまた、自分と同様に張りつめている事を、真九郎は感じ取っていた。
「……参」
次第に、近づく敵たち。
「……弐」
敵の『熱気』が、伝わって来るかのよう。
「……壱」
焦りが、身体を支配するように包まんとした、その瞬間。
「……撃てーっ!」
黒詠の周囲に、無数の『種子島』、および『抜き身』の刃が召喚され、
それらが、縦横無尽に放たれた。
種子島は、その銃口から弾を発射。
抜き身の刃は、白き輝きが手裏剣の如く宙を切り、放たれる。
しかもただ、弾丸が貫通するにとどまらない。刃もまた、敵を切り裂き、破壊し、滅していく。
黒詠の構える種子島からも弾丸が放たれ、赤備衆を、鬼面の武者たちを次々に葬っていった。
『子狐』も負けじと、弓を引き、矢を放ち、確実に一体ずつ、鬼の武者を討伐し続けていった。
「……『一発』じゃあ、倒し切れん。『二発』じゃあ、足りん。ならば……雨の様な、『無数』ならばどうか!?」
これぞ、『連弾撃ち』。
無数の種子島や刃を召喚し、それらを以て敵軍を攻撃し、蹂躙してしまう、黒詠の対軍勢用パラドクス。彼女一人で敵軍を全滅させ、死屍累々の焼け野原を作る事すら不可能ではない。
「……これは、凄まじい。彼女が味方で良かった」
無・為は感心したが、徐々に反撃されつつあるのも感じていた。
初見で、敵の前面に居た者たちは半減した。が、
『舐めるな! 数には数! 『飛連刀閃』!』
『赤備衆』が一人、『紅殺』が、無数の居合を繰り出したのだ。
無数に対するは無数。『紅殺』の斬撃は無数に増殖し、飛翔し『連弾撃ち』の刃を落とし、弾丸を弾き返していった。
『赤備衆、突撃せよ! 敵の数はわずかだ!』
敵の数は減った。しかし、状況は好転していない。
が、ディアボロスもまだ対抗手段を有している。
「行くぞ、『羅刹』!」
今度は、ウィリディスが進み出た。
彼の前面に立つは、『武者傀儡羅刹』。
鬼神……羅刹の能面が装着した天魔武者の傀儡。その腕は四本あり、それぞれの腕には太刀。
見ようによっては、腕と顔が足りないが、阿修羅にも見える。
『羅刹』対『鬼』、異形と異形とが、戦場にて相対し、戦場を更なる地獄へと変貌させる。
『羅刹』の後ろには、ウィリディスが。彼の『絡新婦』の糸にて『羅刹』は動かされていた。
「遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ……!」
小さく呟いたウィリディスに、
『……天魔武者、我らが同胞……いや、その骸か?』
『血滅』が進み出る。
『哀れな、骸となって敵にそれを操られるとは。我らが討ち取り、その無念を晴らそうぞ!』
『血滅』とともに、その部下たちが太刀を抜き、切りかかった。
「行け、『羅刹』! 俺は……」
周囲の敵を、討ち取る! 『羅刹』を回避し、自分へと直接攻撃してきた『赤備衆』に、
「……!」
『デッドリーバインド』、見えない細糸を巻き付け、締め上げ、倒していく。
(「……同時に『羅刹』を絡繰るのは、なかなか難しいな……!」)
だが、繊細な指使いで糸を動かす事で、ウィリディスは天魔武者を操っていく。
その四本腕が振り下ろす四振りの太刀が、『赤備衆』を何体も切り捨て、鬼を次々に討ち取っていった。
そして、ウィリディスが『羅刹』で切り込み、刹那が剣で挑む中、
「……いざ!」
真九郎は、戦場を駆け、
『赤備衆』頭目、『赤角』へ、一本角の鬼面の武者へと肉迫していった。
●鬼の太刀、鬼の剣技
(「敵の頭目へ向かうか、ならば私も……!」)
そして、真九郎を見た無・為もまた、
軍勢への『対策』を実行した。
「……汝は戦場全ての敵を討つ者、汝は戦場埋める数多の兵を率いし者。汝は戦場を染める黒き絨毯が如き、無敵の軍勢を率いる者也」
無・為は、インセクティアの僧侶は、
「……黒き猛者たちの長よ、賢くも強き、鋼の腕と力を持ちし将よ……我、ここに求め訴える」
……『召喚』していた。
「黒鉄の忍耐と、深淵の叡智を持つ王よ。眼前の敵を打ち倒し、平定を築きたまえ…… 召喚!『蠱毒「アイアコス、ミュルドーン隊」』!」
無・為は、『軍勢』を召喚していた。ギリシア神話における、偉大なる賢王としてその名も高き『アイアコス』が率いし軍『ミュルドーン』。
その数は、『赤備衆』に劣らぬ数。雄たけびを上げると、
突撃した。
日本の戦国時代の、鬼を模した天魔武者たちと、
ギリシアの伝説時代の、筋骨隆々な兵士たち。それらが眼前でぶつかり合い、戦い合う。
それらを横目に、真九郎は走り、
立ちふさがる鬼面の武者たちに、
「去れ! さもなくば……」
腰に刺した大小二振りの太刀、その鞘を払い、
「……斬る!」
撃ち込まれた剣を受け止め、同時に切り払った。
これぞ、『二刀一流』。真九郎の、二刀流のパラドクス。
一騎当千とばかりに群がる『赤備衆』を斬り捨て、
「……!」
『赤角』と相対した。
『……やはりな。貴殿の仲間共々、その見事な戦いぶりに敬意を表そう』
『赤角』は、腰の大刀を構える。居合による『抜刀術』の構えである事を、真九郎は一目で理解した。
彼もまた、自分の二振りの太刀を下げ、鞘に隠す。
それを見て、周囲の雑兵が襲い掛からんとしたが、
『手出し無用! ……この勝負に手を出す事は許さぬ。下がれ!』
「…………」
どうやら、敵の天魔武者は。外道なる戦闘狂というだけではなく、武人としての矜持は有している様子。
「……真九郎と申したな、部下の無礼を謝罪する。貴殿とのこの勝負、邪魔はさせぬ」
良いだろう。ならばその矜持に、こちらも答えねば。
「……鬼面赤備衆頭目、『赤角』と申したな。感謝する。それがしもまた、全力を以て貴様との勝負に挑む!」
それ以上は、言葉はなかった。
否、言葉は要らない。剣士たるもの、戦いの中で、戦いを通じ語り合うもの。
言葉以上に、『感じ取った』。互いの意志を。
戦場の喧騒が、一瞬……消えた。
僅かなその時間。
『!』
「!」
両者は、駆け出した。
次の一瞬、
『……「一鬼刀閃」!』
瞬間的に居合により抜刀。『赤角』の剣から、巨大な斬撃が飛ばされた。
「!」
それを、二刀の太刀、小太刀で受け流す真九郎だったが、
受け流せなかった。
重い斬撃は、真九郎の身体を切り裂いていた。
(「……くっ! 早い!」)
『集中』。
刹那は、目前の戦いに、集中していた。
この後に控える、本多忠勝との戦いも、ディアボロスの仲間たちの事も、この地の事も、今は刹那の頭から吹き飛び、
ただこの戦いのみに、刹那は集中していた。
目前の敵に集中するのみならず、周囲の状況を把握し、判断する。雑念や弱気が入ったら、その時点で隙が生じ、それは敗北を誘発する。
敵の、『朱斬』のその技量は、非常に高く……、
受け止めるだけで、精一杯だった。
だが、だからといってこの天魔武者も、完全無欠で無敵ではない。先刻に一撃を与えたのみならず、自分も先刻より切り付けている。
傷を与えてはいるが、こちらも切り傷を受けている。が、互いに浅い。
「…………」
『…………』
やがて両者は、下がり、距離を置くと。
剣を鞘に納めた。
「……考える事は、同じようだな」
『然り。再び居合を以て、一撃必殺を放つ。そちらも全力で来られたし』
この攻撃が、互いの最後。
ならばこちらも、全力を以てそれに答えてやろう。
一呼吸とともに、落ち着きを取り戻し、刹那は、
一呼吸の間、『朱斬』と視線を交わし、
「!」
一呼吸後……同時に、駆け出した。
『ミュルドーン隊』
彼等はギリシアの胴鎧と兜、腕には槍に丸盾、腰には小剣といった武装で挑んでいた。
多くが槍のリーチの前に、赤備衆を討ち取っていた。そして懐に入られると、剣での斬り合いになる。
乱戦時には、短めの剣……グラディウスが有利。しかし、赤備衆の太刀筋も、ミュルドーン隊に勝るとも劣らない。
『赤備衆』対『ミュルドーン隊』。今だ勝負は継続。
そして、『赤備衆・紅殺』『同・血滅』対『武者傀儡羅刹』。
『紅殺』と『血滅』は、二対一で、ウィリディスの『武者傀儡羅刹』と切り結んでいる。
互いに、与えた分の痛手を与えあっていたが、
(「……ウィリディスさん?」)
無・為の眼には、羅刹が若干不利に見えていた。それどころか、敵の二体は、羅刹の四本腕を器用にかわしつつある。
やがて、両者は左右に離れると、剣を納めた。
「……まずい!」
それに気が付くが、遅かった。
『喰らえぃ!』『……『疾風刀閃』!』
『紅殺』と『血滅』は、左右から同時に駆けだし、加速しつつ切りかかったのだ。
攻撃か、防御か、それとも回避か、或いは……、
ウィリディスが判断するより速く、二つの太刀の刃は彼と彼の傀儡へ切り付けていた。
●隠し剣、鬼殺し
「!」
『赤角』の刃は、真九郎の身体を切り裂いてはいた。
が、それは『戦闘知識』と、『未来予測』により、辛うじて皮一枚……その程度で済んでいた。
(「……敵の、『初動』『太刀筋』は見抜いた! 然れども……!」)
完全には見抜けず、躱し切れず、打ち払いきれなかった。自身の鎧の隙間に、浅くだが切り込まれ、自身の血潮が迸るのを真九郎は悟った。
そして、まだ戦いは、こちらの攻撃は終わっていない。
『居合術』は、三拍子。すなわち『抜刀』、『残心』、『納刀』で構成されている。
剣を『抜き』、『切り付け』、そして『納める』。
『!? なにっ!』
そして、『納刀』の瞬間。
『二刀一流』。片手の小太刀で、『赤角』を払い、その体勢を崩した真九郎は、
「寄らば斬る、寄らぬなら……」
続き、片脚を軸にして大きく踏み込むと、
「……こちらから、ゆくぞ!」
もう片手の太刀で、切り付けた。
『……っ!!』
天魔武者の、その身体を、太刀は、刃は、
吸い込まれるようにして、食い込み、そして……、
「……邪鬼、両断!」
袈裟懸けに、『両断』した。
『……見事、也……』
その言葉が、耳に届くとともに、
『赤角』を倒した事を、真九郎は知った。
『朱斬』の居合は、先刻と異なる構えであり、斬撃を飛ばすのではなく……、
刃そのもので切り裂く、重い斬撃だった。
その刃を、刹那は……頬に掠め、顔に傷を刻みこまれてしまった。
だがそれと同時に、身体を限界まで捻り、一歩を踏み込み、
「……我が一太刀に……」
己の身体を回し込み、
「……断てぬもの、無し!」
遠心力、身体能力のバネ、己が刀剣の、『覇龍』の重さとともに、『朱斬』の身体を薙ぎ払った。
『星薙の太刀』、星ごと敵を切り裂くパラドクス。
敵の、『朱斬』の装着していた鎧は非常に堅牢であり、頭目の装甲以上だった。
だが、刹那の剣技、彼のパラドクスの前には、意味はなく……、
『! こ、この……太刀筋は……!』
『覇龍』の斬撃は、『朱斬』の胴体を文字通り、横薙ぎに両断していた。
『……無念』
『朱斬』の今際の際の言葉が聞こえ、己の勝利を知った刹那だが、
『復讐だ! 奴を殺せ!』
周囲の雑兵たちが襲い掛かるのも、また聞こえた。
披露した身体は、立ち上がろうとしたが……できなかった。
『……貴様っ!』
「卑怯とは思うが……そちらも二人がかり。悪く、思わないでほしいね!」
不意を突かれ、『紅殺』は、
黒詠の、種子島による銃撃を受けていた。
ウィリディスの傀儡『羅刹』の左右から迫っていた『紅殺』と『血滅』だったが、
『紅殺』は、剣でウィリディスに切りかからんとしたその時に、黒詠の『連段撃ち』による刃と種子島の射撃を受けてきりきり舞いし、
姿勢を崩したその時に、
「……破っ!」
白鞘の太刀を抜いた黒詠の、その一斬を受けていた。
「……助かったよ、黒詠さん!」
そして、『血滅』には。ウィリディスの『デッドリーバインド』が巻きつき、その動きを止められていた。
『こ、このような糸など! ……ぐはっ!』
その動きを止められたその時に、『子狐』の矢が命中し、刀を取り落とす。
「『羅刹』!」
武者傀儡の四本腕が繰り出す刀が、切りかかり、
『血滅』は、止めを指されていた。
『ぐっ……まさか、我らが……』
そして、『紅殺』もまた、刀を取り落とし、倒れ、
動きを止めた。
「はっ、はっ、はっ……」
周囲に、『赤備衆』の残党に囲まれ、
「……頭目は倒せた。だが……」
真九郎と刹那は、背中合わせになり、集団へと対抗していた。
『赤角』と『朱斬』を倒せたはいいが、まだ有象無象の敵の部下たちが残っている。
二人はなんとか合流し、端から戦っていったが、やはり数の差があり過ぎ、分が悪い。ましてや強敵と戦った直後の、疲労した状態ならなおのこと。
「……次が、最後か?」
真九郎の呟きに、
『最後? いかにも! 次の攻撃で最後にしてくれよう! 我らが頭目たちの仇だ!』
生き残りの一体が言い放ち、
『かかれ!』
全ての『赤備衆』が、二人へ飛び掛かった。
「……いや、最後なのは……」
「……お前らだ!」
『!』
まさに然り。『赤備衆』の後方から、ミュルドーン隊の兵士たちが、無・為の蟲毒による軍が迫っていたのだ。
飛び掛かられる前に、兵士たちは『赤備衆』の生き残り全てへと襲い掛かり、
数刻後、全ては倒されていた。
戦場となった地を見つつ、戦いが終わった事をディアボロスたちは確信していた。
「……少々、疲れたが……赤備衆は……」
「……ああ、全て……討ち取った!」
真九郎と刹那は、勝利を実感していた。
「……苦戦はしましたが、倒せてよかったです」
「……皆、生き残れて何より」
ウィリディスと無・為もまた、安堵の溜息を。
「……後は、敵の大将……本多忠勝だけだね。この調子で楽勝……」
黒詠が軽口を言いそうになったが、
「「「「「!!!!!」」」」」
止まった。
死屍累々……天魔武者の残骸の中に、戦場となったその場に、
いつの間にか、『それ』が姿を現したのを知ったのだ。
『それ』の存在を感じ取った。ただそれだけなのに、
勝利の高揚感も、戦いの後のどこか呑気な安心感も、一瞬にして吹き飛んだ。
それどころか、全員が……、
強烈な『怖気』を、そして……、
『絶望』、『恐怖』、『敗北感』といったものを、強制的に植え付けられるのを感じていた。
『それ』は、徐々に近づいてくる。
気配が強くなるにつれ、強く思わされた。……『それ』には、『勝てない』。
『赤備衆』など、『それ』と比較にならない。いや、比較にする事すらおこがましい。
間違いなく、凄惨なる戦いが繰り広げられる。……この中の誰か、もしくは全員が、討ち取られてもおかしくない。そんな予測しか浮かんでこない。
……『それ』が放っている気配、あるいは雰囲気、殺気・殺意は、それほどまでに濃く、凄まじいものだった。
本当の戦いは、これから。今までは、前哨戦にすぎない。
浮かれ気分が完全に消えたディアボロスたちは、
なけなしの勇気を最大限に用いつつ、槍を持つ『それ』の接近を待ち構えるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】がLV2になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
雑賀・黒詠
※連携、アドリブ歓迎
間違えない。奴がこの部隊の頭目。幾たびの戦場を超え傷なし
勇猛果敢でありながら智謀にも優れた武将
花も実もあり、東の天下無双と謳われた『蜻蛉切』の名手
確かに......ほかのアヴァタールとは違う
名を騙ってはいるが武人であることは変わりない様だ
ならば、参ろう
不謹慎ながら......この戦場の香り、滾ってしまう
小細工を弄して勝てるようなやつではあるまい。全力だ。真っ向勝負
だが戦況を見極めなければならない。心は滾らせ、頭は冷静に
蜻蛉貫は恐ろしい破壊力なのは間違えないが、突進は直線的なはずだ
よく見極め、受けるなどと考えず確実に避ける
しかし、あの飛翔体が厄介だ。近距離故の弱点を補う様に空間を制圧できるようになっているようだ
味方がどうにか詰められるよう、私はあの飛翔体を対処しよう
人形と共に敢えて引き付けるように動き、剣現の火焔で防ぎ薙ぎ払う
忠勝本人には人形に種子島式小銃を用い視線を切らせる等援護させる
私も近づき過ぎず、離れ過ぎずの距離を保ち、浄化の火焔を見舞ってやろう
神山・刹那
あれが本多忠勝
花実兼備と信長が称えた猛者
この気配、逃げたくなるぜ。が、ここで逃げ出したら、俺が今まで倒した連中が、そいつらから託された想いが、台無しになっちまう
そんな情け無い俺を、俺が認められねぇ
それが敗北だっていうなら、死んだ方がマシだ!
そんな情け無い俺が、フィーナの隣にいることに、俺が耐えられねぇ
だから、真っ向から仕掛けさせてもらうぜ
いざ、尋常に、死に生くを問わず、死力をつくさん!
蜻蛉貫で真正面から突っ込んでくるのなら、神速反応で先手を取りつつ、残像を残す速さでフェイントを織り交ぜながら動き、相手の突進に狙いを絞らせず、わずかな隙を見つけたら、それが誘いであろうと迷わず踏み込んで跳躍し、雲を裂き、大地よ砕けよと言わんばかりの渾身の一太刀で相手の槍と鎧ごと、真っ二つに斬る覚悟で斬り捨てる
「チェェストォォォォォッ!」
無・為
あれは業物の蜻蛉斬か、ならば距離を活かした槍術を旨とする武人か
小細工を労しては容易く掛かる凡愚には非ずか
なればこちらも白兵戦を得意としたものを喚ぶとしよう
神話の再現を見よ、そして恐れよ大地震わす剛力を
傍らで娘梔子も準備を整える、身に余る力を我々は御さねば成らぬのだから
「偉大なる大英霊よ、御助力願い祀る!」
雄々しき咆哮と共に二本角の兜を被った大男が姿を現す
梔子よ危険とあらば直ぐに拘束を解くのだ、もう二度と家族を失う訳にはいかぬ
無為の傍らには赤備え真田が備えている、いざという時は彼に戦場を任せる
本多忠勝の「花実両兼群蹂覇(POW)」に対し、パラドクス「蠱毒「ヘラクレス」「赤備金角」(コドク・ヘラクレス・アカゾナエキンカク)」を使うことで、懐に入り白兵戦をします。
自分のパラドクスと敵の攻撃方法の特性を考慮して戦います。
他のディアボロスと連携して戦える場合は、可能ならば、援護します。
勝利のため、ある程度のダメージはやむを得ないものとしますが、他のディアボロスを不利にするような行動はしません。
ウィリディス・ファラエナ
ようやっと本命のお目見えか。こりゃあ襤褸雑巾にされてしまいそうだな、こわやこわや。さてさて俺はどこまでやれるかねえ。
[武者傀儡羅刹]を操り凄まじい速度の突撃を正面から受け止める、と見せかけて【残像】を貫かせて【ファンタズム・ディジーズ】。[血喰鳥]で俺の毒の血を流し込んでやろう。
羅刹と繋がる[絡新婦]の繰り糸で簡易の【トラップ作成】で槍と本体ごと絡め取り[鳥の子]を投げつける。
あの反応速度と突撃力なら糸ごと[鳥の子]を切り飛ばすだろうが、そちらは想定済み。中身は【闇使い】に使う粉だ。斬り飛ばせば粉が散って目晦ましになるだろう。
その一瞬さえあればいい。
【未来予測】で一秒先の動きを読んで[羅刹]に斬り込ませ、俺は別方向から【暗殺】を狙う。
伊藤・真九郎
アドリブ、連携歓迎。
この威圧、一流を超える武人のもの。我等は既に死地に在り、か。
仔細無し。勝てぬ相手からは逃げるべきが武将なれど、ディアボロスはそうもいかん。腹括って進む也。
太刀を鞘に納め、居合の構えにて対峙する。
其処許の臣下たる赤角の居合、美事でござった。学びを得た返礼に、我が奥義も御覧に入れよう。
太刀で槍に抗するは三倍段と云う。
槍とは突くのみに非ず。達人ならば棍や大木刀として万能の武器となす。
その間合いは無辺。だが、その長さ故に手元の至近に僅かな死角在り。
【鳳の瞬き】にて仕る。
初動を掴ませぬ無拍子の呼吸と、大地を縮めるが如き歩法にて、瞬時に間合いを詰めるパラドクス。伊藤流の居合とは、敵の死角に「居合わせる」技也。
槍での受けの出来ぬ位置より、鎧の隙間に刃筋を合わせ抜刀術にて切り払う。
即座に腰帯より鉄鞘を抜く。納刀を行わぬ変異抜刀術。
太刀と鞘との二刀流で反撃を受け流し、かわせぬ珠は武者鎧で止めつつ間合いを取る。再度納刀し、居合に構え直す。
一太刀で済まぬとも、仲間と技を繋ぎ攻め立てよう。
●淀殿に、過ぎたるもの有。其は、本多忠勝
ディアボロスたちは、全員がその天魔武者の発する『気配』に呑まれ……、
怯えとともに、敗北感を抱いていた。
そして、そこから立ち直るのに、時間もかかり過ぎた。10秒もかかったのだ。
全員が、5秒をかけて己を叱咤、3秒かけて敵を認識、2秒かけて……戦いへの気持ちを新たにした。
『…………貴殿らが、我が部下たちを討ち取った古強者たちか?』
だが、立ち止まった『それ』が、声高に語り掛けると、その気持ちも萎縮してしまう。
その蒼き鎧は鈍く輝いているが、思った以上に重装甲ではなかった。
が、鹿を模したその角と、巨大な数珠を模した飛翔体が、周囲を舞っており……、
その佇まいだけで、『強者感』を覚えてしまう。
携えた剛槍『蜻蛉切』は、太い柄と、鋭き刃先を有し……刃を見るだけで、逸話を『納得』してしまった。
……『蜻蛉が刃先に止まっただけで、真っ二つになってしまった』という、槍の逸話を。
『……拙者、天魔武者が一人。本多「平八郎」忠勝。岸和田城へ、千早城を接近させぬように言いつかった。貴殿らが、「でぃあぼろす」という者たちか?』
名乗られたうえ、聞かれたならば答えねばなるまい。
「……いかにも。それがし、伊藤・真九郎(剣客・g08505)と申す」
「同じく、神山・刹那(梟雄・g00162)」
『……良き面構えだ。武人として、貴殿らはかなりの腕を持つ者とみた』
「……過ぎたる言葉、恐悦至極に候」
真九郎も、
「……賞賛、痛み入る」
刹那も、自身を賞賛されたというのに、
『嬉しく』はなかった。
いや、自分たちが武人として認められた事は嬉しくはあったが、
それは、『本気で、全力を以て相手するにふさわしい』と判断された事と同様。
だが、恐怖と同時に、高揚感も心に沸き上がるのを実感する。
「……私は、ディアボロスの一人。雑賀・黒詠(雑賀衆の末裔・g07640)」
「……同じく、無・為(戦うお坊さん・g05786)。一介の坊主にございます」
「……ウィリディス・ファラエナ(毒虫・g08713)という」
『……狐面の婦女子に、僧侶殿。そして……虫人の忍び。皆、それぞれ手練れのようだな。正直……貴殿らには感心した』
三人に対しても、忠勝は賞賛している。
先刻の鬼面赤備衆のように、『侮り』がない。つまりは『油断』せず、油断からくる失敗も、恐らくは無いのだろう。
『……偽りなき事を申せば、拙者は貴殿らを知った後、ともに肩を並べ、戦場を共に駆け抜けたいとも思った。……だが、拙者は武人。主君に仕え、その忠義のもとに戦う事、殺戮する事こそが、生きがい也。よって……』
深々と一礼した後に、
『……貴殿らに、最大の敬意を払う。そして……死合おうぞ!』
槍を、『蜻蛉切』を構えた。
「……槍、しかも『剛槍』。これは、厄介だ」
刹那と、
「……然り。刀では、やはり不利……!」
真九郎は、身構えつつも、小さく呟いていた。
「太刀で槍に抗するは三倍段と云う。槍とは『突く』のみに非ず。達人ならば『棍』や『大木刀』として万能の武器となす。その間合いは……無辺!」
『槍』に限らず、古今東西の戦場では、長柄武器(ポールウェポン)は火器が出るまでは主力兵器であった。ましてや達人ともなれば、その威力は言うまでもない。
「……だが、その長さ故に手元の至近に僅かな死角在り!」
「ではあっても真九郎。それは容易ではなかろう。仮に二人がかりで迫って、片方が懐に入れたとしても……相手は『花実兼備』と信長が称えた猛者。正直……倒せるとは思えん」
ならば、どうするか。
「……直接ぶつかるしか、ないだろうね」
「左様。私も、全力を以て当たらせてもらおう」
「ああ……襤褸雑巾にされそうだが……やれるだけ、やってみせるさ」
黒詠、無・為、ウィリディスの呟きを聞き、
「……ああ。逃げ出したいが……そんな情けない俺は、俺が認められねえ! 死に生くを問わず、死力を尽くさん!」
刹那と、
「……然り。勝てぬ相手からは逃げるべきが武将なれど、ディアボロスはそうもいかん。腹括って進む也!」
真九郎も、覚悟を決めた。
覚悟、完了。いざ、戦いへ!
●侍は首を取らずとも不手柄なりとも、事の難に臨みて退かず
忠勝は、右前を半身にして、右手が持つ槍の刃側を下方に、左毛が持つ石突側を上に向けた構えを取った。
いわゆる、『右前半身構え』の『上段構え』。剣に対峙した構えで、恐らくは忠勝自身、様々な局面に対応できる構えとして成立させているのだろうと予測できた。
そして、その背後を、飛翔体……巨大な数珠が分解し、球体となって飛翔しているそれらが、浮遊している。
その突進は、まさしく重装甲の重戦車が如く。
『奥義!「花実両兼群蹂覇」!』
『蜻蛉切』を構えての突進とともに、飛翔体も突撃。
それらから光弾が射出され、戦場へと降り注いだ。
だが、無・為は、
「……偉大なる大英雄よ、御助力願い祀る! 其は神代の世より伝わりし、伝説の猛者也! 我が求めに応え、我が前に現れ、偉大なるその腕もちて敵を討たん!……蠱毒「ヘラクレス」「赤備金角」(コドク・ヘラクレス・アカゾナエキンカク)!」
雄々しき咆哮とともに、二本角の兜を被った大男が出現した。
『赤備金角』……こちらも誉れ高き武人にして、槍術から剣術まで冴えわたる傑物。
その携えた槍を回転させ、光弾を跳ね返す。
『……これは……見事!』
襲い掛からんとする忠勝の槍を、真九郎はその前に立ちはだかり、
「参る!」
無拍子の呼吸、大地を縮める如き歩法。それらを以て間合いを詰め、
忠勝の死角に『居合わせた』
これぞ、伊藤流の居合。敵の死角に「居合わせる」技であり、パラドクス。その名も『鳳の瞬き(ホウオウノマタタキ)』。
槍で受けられない位置へ、鎧の隙間に刃筋を合わせ、抜刀術にて切り払わんとす。
が、
「……っ!」
忠勝は立ち止まり、即座に後方へ下がった。
それと同時に、飛翔体が棍棒の如く真九郎へ体当たりし、剣筋が乱れ、
『隙あり!』
刃の腹を、手刀で払われた。
「いや、まだだ!」
即座に腰より鉄鞘を抜き、それをもって叩き付ける。
『やるな、剣と鞘との二刀流とは! だが!』
打撃を与えたが、かすり傷にもなっていない。立ち止まらせただけに過ぎない。
「隙があるのは、そちらだっ!」
と、間髪入れず、刹那が切り込んできた。
『……速い!』
まさに然り、神速反応で、残像を残すほどのスピードで、刹那は切り込んでいたのだ。
防戦一方……になった忠勝だったが、
「! もらった!」
隙を見つけ、刹那は踏み込み、跳躍すると、
「チェェストォォォォッ!」
渾身の一太刀を、振り下ろした。
が、
『甘い! 焦りと雑な連撃ごときで、拙者は討たれぬわ!』
脇腹を、『蜻蛉切』の柄により薙ぎ払われ、そのまま横へと吹っ飛ばされてしまった。
「がっ……はあっ!」
アバラが何本かいかれたか……くそっ、やっぱり焦りが出ちまったか……!
そんな事を想いつつ、吹き飛ばされた刹那は、
しばらく転がった末に、ようやく止まった。
「刹那殿! 気を確かに!」
真九郎は、彼に駆け寄り、そして、
「『羅刹』!」
ウィリディスが『武者傀儡羅刹』を操り、その四本腕の剣で忠勝に切り付けているのを見た。
『我らが天魔武者の骸か!』
『羅刹』の四振りの剣と、ウィリディスとが、忠勝と相対する。
『蜻蛉切』が、四本腕の剣を弾き、『羅刹』を薙ぎ払った。
「もらった!」
と、鉤爪『血喰鳥』で襲い掛かったウィリディスだが、
『甘い!』
それを槍で貫く忠勝。
『……!?』
と思ったが、それは残像だった。別の方向から襲撃する『羅刹』、そして鉤爪『血喰鳥』で、同時に襲い掛かるウィリディスだが、
『そのような手妻に惑わされると思うたか!』
それらすらも予測し、忠勝は羅刹の剣を槍で弾き、ウィリディスの鉤爪を受け止め、身体を捻るとともに、
『蜻蛉切』の柄で『羅刹』を叩き、ウィリディスごと薙ぎ払う。
なんとか転がり、立ち直るウィリディスだったが。
「くっ!」
続き、『羅刹』へと猛攻する忠勝。地面を踏み込み、『蜻蛉切』を振るうそれは、
「……さ、流石は名の知れた武将……これ以上は……」
ウィリディスの操作は限界だった。『羅刹』に槍をさばききれない。
その危機に、
「行け!『赤備金角』!」
脇から付きかかる『赤備金角』。だが、忠勝は身体を引き、
『遅い!』
その一撃を受け止めた。
「……くっ」
『羅刹』と『赤備金角』。
通常の相手ならば、この二体が揃えば、勝利は確実。
なのに、今回に限っては……、
このままでは勝利できない。無・為はそうとしか思えなかった。
●主君と枕を並べて討ち死にを遂げ、忠節を守るを指して侍という
その近くでは。
黒詠が、飛翔体をひきつけていた。
そして、
「……火神斬伏、誘十束刃。来我手上……『剣現・天之尾羽張(ケンゲン・アメノオハバリ)』!」
パラドクスを発動させる。
それは、鍛冶師の創造する力により産み出した『幻想の刃』にして、火の神を切り裂いた『伝説の剣』。
燃える五尺の刃の剣を、黒詠は己の手に顕現させ、火焔のごとき力を纏わせていた。
「はーっ!」
無数に浮かぶ飛翔体は、黒詠に向かい光弾を放つが、
彼女の『天之尾羽張』の前に、一つ、また一つと切断され、落とされていった。
『……やるな、狐面の女傑よ。ならば……』
だが、それに気づいたのか。忠勝は、飛翔体を黒詠から距離を取らせた。
「接近させずに、遠距離から攻撃させるつもりか! だが! 『子狐』!」
種子島式小銃を持たせた人形に、一個ずつ狙撃させていく。なかなか当たらず、落とせないが……それでも確実に当てて、破壊はしていった。
そして、人形の狙撃により、
『!』
忠勝の近くに銃撃。その気を一瞬だけ、逸らせると、
「! もらった!」
ウィリディスが、『絡新婦』の繰り糸で、簡易だが【トラップ作成】を実行。
槍と本体ごと、糸で絡め取り、
『鳥の子』を、投げつけた。
「痛え……」
真九郎に肩を貸してもらった刹那は、
「これは……やったか!?」
立ち上がり、ウィリディスを見て、快哉を述べた。
「いや……まだだ!」
だが、真九郎がそれを否定する。
糸ごと、『鳥の子』を切り飛ばし、内部の『闇使い』に使う粉を散布させ目くらましに。
その一瞬、隙が出来て『羅刹に切り込ませ、自身は別方向から切り込む』。
『未来予測』の一秒先の動きを読み、それはうまくいくと確信していた。
が、
さらに一秒先、
『……奥義「先告念珠」!』
黒詠から逃れた飛翔体の一部が、忠勝自身に向けて光弾を放ったのだ。
忠勝自身にも、その光弾は降り注ぎ、接近していた『羅刹』、そして『ウィリディス』にもそれは降り注ぎ、
「ぐっ……ああああっ!」
彼の身体を、貫いた。
『……!』
糸を力づくで振り払った忠勝は、彼の血潮を浴びつつ『蜻蛉切』を構え直し、
『羅刹』を深々と、貫いていた。
『虫の忍びにして、人形使いよ、貴殿の戦い……思った以上に苦戦した。その技術に、敬意を払おう。己を傷つけねば、お前の毒爪からは逃れられなかった』
「……それは……どうも……」
急所は外れてくれたが、決して浅くはない傷を負い、ウィリディスは地面に転がっている。
「ウィリディスさん! ……『赤備金角』、行けっ!」
その様子にいささか慌て、『赤備金角』を突進させる無・為。『蜻蛉切』を抜いてそれに対抗せんとした忠勝だが、
『?』
『羅刹』はしっかと槍を握り、抜かせなかった。
「もらった!」
槍で突きかかる『赤備金角』だが、
『はーっ!』
忠勝は素手で、それに対抗した。槍の刃を弾き、『赤備金角』の懐に入ると、
そのまま相手の胴体に組み付き、投げ飛ばし、地面にたたきつけたのだ。
『矢尽き剣折れれば、最後は素手の組討に至る也!』
その隙に、『蜻蛉切』を取り戻す。
立ち上がった『赤備金角』に対し、
「……奥義『蜻蛉貫』!」
『蜻蛉切』を構え、剛腕、豪速、大地をも揺るがす凄まじい速度で突撃した忠勝は、
剛槍を以て『赤備金角』を刺し貫いた。
蜻蛉が止まっただけで、真っ二つにする剛槍。いわんや、それが突撃し刺し貫くとどうなるか。
その強烈な必殺の一撃は、地面を抉り、そして、
『赤備金角』を、完全に行動不能にさせていた。
なかなか立ち上がれない『赤備金角』を一瞥し、槍を引き抜いた忠勝は、
次は、無・為へと視線を向けた。
その周囲には、飛翔体の残りが。そして、その飛翔体を相手にしていた黒詠もまた、
無傷では無かった。
「……噂に違わぬ、強さ……」
無・為は、身構えたが、
勝てるとは思えない。この状況下で、逆転できるとは思えない。そう言う考えに囚われていた。
「…………」
黒詠もまた、悟っていた。自分の闘志が、折れかけているのを。
飛翔体を何機か落としたが、それだけだ。これ以上挑んだところで……たかが知れている。
「……がはっ!」
そして、ウィリディスもまた、
「……へっへっへ、襤褸雑巾になるとは思ってたが……ごぼっ……ここまで、とは……」
かろうじて生きてはいたが、これ以上戦うのは……『無謀』。それを悟った。
だが、
「黒詠殿、無・為殿。ウィリディス殿と刹那殿の手当てを。それがしが、引導を渡す」
「……待ちな真九郎。俺はまだ……戦えるぜ」
二人の侍が、立ち上がり、立ちはだかった。
●勇敢なるディアボロスたちよ。いつか、肩を並べ、共に戦場を……
『……その心意気や良し。消えぬ闘志、尊敬に値する』
忠勝は一歩を踏み出したが、よろけていた。
『……これは?』
戸惑う忠勝に対し、ウィリディスが、苦し気な息とともに言い放つ。
「……へへっ。『ファンタズム・ディジーズ』、俺の毒の血を付着させ……ぐっ……状態不良を起こさせたのさ……」
『忍者よ、貴殿の術か。……自身に『先告念珠』を放たねば、何らかの術にかかると思っていたが……どうやら拙者以上に考えていたようだな』
実際、自身の光弾も相まって……忠勝はダメージを負っていた。
「……それがしも、まだ戦える。いざ、尋常に一騎打ちを……」
「俺もだ!」
それ以上、言葉は要らない。
再び、『右前半身構え』の『上段構え』を取る忠勝。
それに対し、先刻同様に居合の構えを取る真九郎に、抜身を構える刹那。
(「……先刻の居合、同じ太刀筋は見破られよう。ならば……」)
真九郎は、『狙い』をどこに付けるべきか。迷っていた。
互いの間に、緊張の空気が流れ、そして、
『……参る! 『花実両兼群蹂覇』!』
一気に勝負を決めるためか、飛翔体の光弾発射とともに、突撃した。
「くっ……やはりあの飛翔体!」
あれを回避しつつ、敵の懐に入れるか……。いや、不可能だ!
しかし、
「させません!」
無・為とともに、瀕死の状態の『赤備金角』の槍と、
「させないぜ!」
ウィリディスがかろうじて動かす、中破した『羅刹』の四本の剣、そして、
「させないわ!」
黒詠の種子島が、飛翔体へと攻撃していた。
『! まだ、動けたか!』
僅かに生じた隙。それを真九郎と刹那は見逃さず、
「……伊藤流居合、奥義!『鳳の瞬き』」
再び、瞬時に踏み込んだ。
『その技、既に見切ったり!』
だが、『蜻蛉切』の下がった穂先の刃が、最初の太刀を弾き、柄で薙ぎ払わんとする。
「いや、まだ終わらぬ!」
再び、先刻同様に鉄鞘で、槍の柄を受け止める。
鞘は弾き飛ばされたが、そのまま懐に、死角に入り込み、
『!』
忠勝の脇腹、鎧の継ぎ目へと、刃を切り込んだ。
間髪入れず、
「……もらったぁっ! この切っ先に一擲を成して、乾坤を賭せん! チェェストォォォォォッ!」
刹那が跳躍し、大上段に振りかぶった一刀を、
『雲耀の太刀(ウンヨウノタチ)』を、忠勝の兜へ振り下ろした。
一瞬の静寂が、そこに生まれ、
地面に降り立った刹那は、そのまま膝をつき……倒れ、
忠勝は、立ったまま、
『笑った』。呵々大笑していた。
『……愉快だ。実に、愉快だ』
忠勝の頭部は、文字通り……兜が割れていた。
『貴殿らのような、武芸者と戦えて……喜びを感じている。これ以上の法悦は無い……』
「……それがしも、貴殿と戦えたことは、これ以上に無き誉れ」
真九郎は、姿勢を正し、一礼する。
「……お、俺もだ。強かったぜ、あんた」
刹那もまた、覇龍を杖代わりにして立ちあがり、一礼。
「……その名に恥じぬ、猛者でした」
無・為も、一礼を。
「……俺も、ここまで苦戦するとは、思ってなかったぜ」
「ええ……強敵でした」
ウィリディスは、黒詠に肩を借り、立ち上がると、
やはり、敬意を表すように一礼した。
それに対し、忠勝は、
『貴殿らの未来に、誉れ在らん事を。……ああ、一つ悔いがあるとしたら、貴殿らと再び戦えぬ事のみ……』
そう言葉を述べた後、
『……「死にともな 嗚呼死にともな 死にともな 強き敵たる友らを思えば」』
辞世の歌を残し、
……立ったままで、機能を停止させた。
「そうですか、皆さんのおかげで……ありがとうございます」
のちに、ディアボロスたちは、権之助の元に事の次第を、
すなわち、『天魔武者たちを討伐せり』と報告した。
こうして、任務は完了。権之助ら、真砂町の町民たちは礼を言いつつ喜んだが……、
「……強き敵たる、友……」
くたくたになったディアボロスたちは、一休みしつつ、
討つべき敵、そして討ち取った敵へと、想いを馳せるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【防空体制】LV1が発生!
【一刀両断】がLV4になった!
【プラチナチケット】がLV2になった!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!