最終人類史のハロウィン2023

 ラムセスの黄金アンクによる『新宿島大結界』や、港区のオベリスクの起動、千早城や巨大砂上船の移動といったクロノ・オブジェクトの運用には、膨大な感情エネルギーが必要です。
 この膨大なエネルギーは、平安鬼妖地獄変で得た重要クロノ・オブジェクト『地獄変』を使って集積していますが、感情のエネルギーならばなんでも集積できる訳ではありません。
『地獄変』の巻物が集積可能なエネルギーは、一般人の『鬼や妖怪、お化けなどが根底にある感情』を元とするエネルギーなのです。
 ハロウィンは、地獄変のエネルギーを集積する最大のチャンスですので、最終人類史全土で、ハロウィンを盛り上げ、より多くのエネルギーを地獄変に集積してください。
 収集したエネルギーは攻略旅団の提案があれば、その目的に使用し、無ければディアボロス・ウォーにおける新宿島大結界の為に備蓄します。

 最終人類史の一般人の皆様も、去年に引き続き『ハロウィンパーティーを楽しめば、ディアボロスと新宿島を護る事になる!』と、喜び勇んで準備を行っています。

 ディアボロスの皆さんにも、ハロウィンを盛り上げる協力要請が来ています。
 自分の考えた企画で人々を楽しませるも良し、人々の企画に加わって盛り上がるも良し。気軽に参加してください!

「ハロウィンパレード2023」アイコンフレーム対象

 このハロウィンシナリオで一度でも採用(トレインチケット含む)されたディアボロスには、ハロウィン仮装をしたサーヴァント達を描いたアイコンフレームをプレゼント!
 来年は違うデザインになります。かならずゲットしよう!

森傍村の映える幻燈館(作者 baron
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「諸君、ハロウィンだ」
 アウグスト・エステルブリッツ(人間の思想家・g08506)が説明を始めた。
 今年も、最終人類史をあげてのハロウィンパーティーが行われる。
 会場は東京23区の全て、京都府、奈良県、三重県全域、大阪府東部、神奈川県横須賀市だ。
「《七曜の戦》の勝利もあり、最終人類史も帰還した人が増えて賑やかになってきた。
 これも、ひとえに皆が活躍した成果だ。誇るが良い。
 そしてハロウィンは当然ながら、ただのパーティーではない。当たり前、ディアボロスにとっては既に常識と言えよう」
 去年に引き続き、『地獄変』でのエネルギーの集積が重要な目的となっている。
 新宿島を護る、ラムセスの黄金アンクの防御結界のエネルギーとしてだけで無く、巨大砂上船である『サフィーナ・ミウ』『ミウ・ウル』、移動城砦である『千早城』の動力や、港区とゴンドワナを結ぶオベリスクの起動エネルギーなど、エネルギーの活用する場も増えてきていますので、是非、多くのエネルギーの集積を目的としているようだ。ちなみにエネルギーはエンプティ、一言で言うとスッカラカンである。何しろ七曜の戦いの残りを千早城に全部オール・インしたからね。仕方ない。
「ハロウィンの成果は今後獲得するかもしれない、強大なクロノ・オブジェクトの研究や活用にも大きな影響を及ぼすだろう。
 とはいえ難しい事を考える必要などない! おまえたち精鋭たるディアボロスならば必ずや成し遂げるだろう」
 要するに『ハロウィンパーティーを盛り上げる』だけで、膨大なエネルギーを得る事ができるらしい。
 地獄変のエネルギー集積の為、そして何より、多くの人々を笑顔にする為にも、ハロウィンを盛り上げよう!

「ハロウィンといえば仮装して行進する、ハロウィンパレードだ。皆も幾つか用意している物があると思う。
 無い? 仕方ないな。そういう時の為に、レンタルやは嵌め込み式の看板があるぞ」
 ディアボロスは美男美女が多く、数々の戦いで勝利を収めた最終人類史の人々のヒーローでありアイドルだ。
 違ったとしても美醜よりも、ディアボロスとしての自信であったり、周囲から集める尊敬による補正があるものだ。
 そんなディアボロスが、仮装して市街を練り歩けば、ハロウィンのパレードは多いに盛り上がる筈だという。
 主催者たちが様々な面白い趣向を凝らしているパレードもあるようなので、そういった企画に乗っても楽しいだろう。


「さて、今回に舞台となるのは森傍村という、伊賀にあった大工たちの子孫が残したエリアだ。
 過疎化対策として時代劇を始めとして色々な建物を設営用のセットとして貸出し、撮影料を取っているそうだ。
 普段はポーズを決めたりするだけだそうだが、その日ばかりは色彩のある光を利用して、プロジェクターの様にできる。
 幻灯機だとか影絵と言えば、当時の面影を残すのだろうな。幽霊が飛び交い、忍者が印を組んだら閃光が巻き上がる。
 あるいはビームの様な光の列を用意し、間を飛び抜ける光景も良いだろう。自身が巨大に成った画像も良いそうだぞ」
 要するに、そこでは映画村の様な環境でパレードが出来るらしい。
 もちろんパーティ会場では、お菓子を食べたり料理を振舞ったり、あるいは飴玉を屋根の上からばらまいても良いだろう。
 一言で言えば、ハロウィンは自由だ! ということであろう。

「先に言っておくと、盛り上がっているパーティー会場には、臨時のパラドクストレインが出現して移動できる。
 複数の会場をハシゴするのも難しくないようだ。だが言っておかねばならない事もある。
 地獄変云々のためだけではない。最終人類史の人々が不安を忘れ、イベントを楽しみ明日からの暮らしへのエネルギーになってくれるのが一番なのだから」
 そういってアウグストは地図とパンフレットを渡すのであった。


「あれ? もう、ゆき? 冬になったのパパ?」
「ああ、これは雪に似せた画像だな。見なさい、あそこは水の中の様じゃないか」
 親子連れが周囲に現われた画像に掌を拡げた。
 雪に見えるがただのプロジェクターで、特に降雪もしていない。
 もちろん雪が降り積もる画像処理を行えば、赤穂浪士と新選組の決闘も出来るだろう。
「うみのなか! にんぎょさんみたい! オジサン! さめさんとかくじらさんもできゆ?」
「鮫? 楽勝だよ。ただし版権だけは簡便な。あと、お兄さんだ」
 子供が要求すると、ちょっとした絵をAIに任せて作ってくれた。
 周囲に鯛やクラゲが舞い踊り、その顔は全部サメである。鍛えてないAIに任せるとこれだから……とか言いながら修正。
「でぃあぼろすしゃん、かそう、どんなかな? かな?」
「HAHAHA。もっと凄いに決まってるだろう?」
 子供の要求を聞いて受付のお兄さんは安請け合いをした。
 きっと先祖がディアボロスに助けられたことでも伝わっているのだろう。
 人々はディアボロスたちの妖怪行進やら侍行進に忍者行進を待っていたという。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【迷宮化】
1
洞窟や家屋、砦などの内部を迷宮に変化させる。迷宮化により、敵は探索や突破に必要な時間が「効果LV倍」される。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【パラドクス通信】
3
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。

効果2

【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV2 / 【ドレイン】LV1 / 【ダブル】LV2

●マスターより

baron
baronと申します、よろしくお願いしますね。
今回はハロウィンを愉しむ感じになります。

●流れ。
このシナリオはお祭り系イベントシナリオなので、大成功が出易く、また参加人数の許容数は多めです。
ただし、公序良俗に反する行動や、イベントに無関係な行為や、残留効果のテストプレイなどは却下されることがあります。
(未成年がお酒を飲んだり、一瞬だけ建物壊して登場するならともかくサバゲーを始めたり、残留効果チェック目的は却下)

また、初日からプレイングがあったとしても3日朝までは待ちますし、プレイングが無ければもっと待ちます。

①幻燈パレードを愉しむ。
 光・影のエフェクト付きでセットの街並みを歩きます。
基本的には日本家屋の再利用が多いですが、普通の町であったり、西洋風の家もあったりします。
そこで『こんな光景にしてほしい!』と画像処理を行ってくれますので、コスプレ戦闘風とか、メルヘンな行進とかも可能。
工夫次第で残留効果のドローンを使ったり、本人が隠れて光学迷彩とワイヤー使ってプラモデルを浮かせるとか……。
セットを操りみんなを盛り上げる側に回る事も出来ます。

②幻燈館でのパーティ。
光と影を利用した、エフェクト満載のお屋敷でパーティをします。
地獄風の光景で真っ赤な鍋を食べたり、お菓子の家の中でお菓子を食べるような光景など、画像処理や忍者屋敷レベルは可能。
もちろん日本風の屋敷の他に、普通に洋風であったり現代の家もあります。

●NPC。
アウグストや緋奈子は呼ばれたら手伝いに行きます。
森傍村ほか伊賀地方・伊勢地方の人々なども駆けつけてくれますので、ちょっとしたお話をする事も可能です。

●諸注意。
baronはプイングやキャラクターシートを基本に、余裕があれば、旅団や日記を軽く読んで暗記する程度です。
なので特別な相手への特殊な呼称であったり、『この呼び方は特別な相手以外友人でも使わない』などの区別は出来ません。
そういった諸注意があれば、プレイングにお願いいたします。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


文月・雪人
【凪】
アドリブ大歓迎!

立ち並ぶ見事な建物に、思わず感嘆の声を上げつつパレードの準備を進めるよ。
戦国の地で出会った彼らの技術は、今も受け継がれているんだね。
例えディビジョンが変わろうと、森傍村はやっぱり森傍村で、それがまた嬉しくて。

なーらくー、用意はいいかい?
目つきの悪い白猫の着ぐるみに合わせるのは、海賊船長の衣装。
でも今回は、コートの代わりに陣羽織を羽織って水軍風に。
にゃふふふふ、白にゃんこ水軍の出陣だー!

何となく馴染みある建物の間を練り歩き、
或いは幻燈機による大海原を背景に、船に見立てたフライトドローンに乗って、
ノリノリでパレードに参加するよ!

モコモコ野郎も張り切ってるね♪
クダ吉も狐火で応援だ

さあさあ野郎ども、仮装と船旅の準備は万端かい?
荒波も嵐も何のその、大量のサメも乗り越えて、遂に辿り着いた宝島。
見つけた宝箱の中には、金貨チョコや、宝石キャンディがざっくざく♪
木苺や、きのこのチョコ菓子もあるよ?
お宝をゲットしたならば、さあさあ皆で山分けだー!
合言葉は勿論、トリック・オア・トリート♪


狭間・ならく
【凪】
ほう。なるほど、ユキヒトは来たことがあンのか。
──(さても記憶のないこの1年ほどの時間あたりに色々あったらしい、が)マ、どうでも良い。
要は例の仮装行列とやらだろ?

はいよ。お待たせ。(モコモコ野郎の頭にレンタル衣装の海賊帽を載せてやる)
そらおまえ、ナラクさんが悪役の衣装着てたら目つきの悪すぎてガキどもが泣くだろが。ひひ、今日は下っ端水軍と行こう。ついてくぜ、船長どのよ。

(【ワイファイスパーク】でモコモコがバッチバチに光る)(電飾より派手かもしれん)
ハッハ、こりゃまたとんだ宝の山だな。どうするね、船長。山分け? そうだな、分けてもまだまだあるからな。

……なンだそこのチビすけ。出てこんのか?
金貨(チョコ)の山とナラクさんのイタズラ……どっちがいいかね……?(圧)
なァんてな。そら、仮装が間に合わなかったのならこの帽子をかしてやろう。それで船長ンとこ行って来いよ、合言葉を忘れずにな。



 その場所を例えるならば、映画のセットであった。
 建物の高さを変えることで、通りの向こうを見ても違和感がないようにしている。
 基本的には日本の古い町並みであり、新しい近代的な部分は出来るだけ見えないようになっていた。
「あそこは元の家だけど、ここは付け足した場所か……戦国の地で出会った彼らの技術は、今も受け継がれているんだね」
 パレードの準備中、立ち並ぶ見事な建物に思わず感嘆の声を上げた。
 一足先に着替えた文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は町の一角で柱を眺める。
 そこは現代では過疎化しつつあった村を、町おこしの一環で、映画や撮影会用に大工仕事でリメイクした街並みだ。付け足した場所は『恥じ隠し』になっており、エアコンの室外機やら温水器が隠れていた。
「ほう。なるほど、ユキヒトは来たことがあンのか」
「ここは建物を演習場として壊され、無意味に再建をさせられた圧政があったんだよ。……例えディビジョンが変わろうと、森傍村はやっぱり森傍村で、それがまた嬉しくてね」
 着替え中の狭間・ならく(【嘘】・g03437)が尋ねるとと雪人は戦いぬいた日々を語る。
 伊賀方面へ抜けたディアボロス達は、この地を支配したジェネラル級の九鬼嘉隆と戦った。
 その時に『同じことを繰り返させる拷問』のアレンジとして、建物を建築する大工仕事をさせられたのだ。彼ら自身は掘っ立て小屋に住んでおり、自分たちで作った立派な建物が無残に壊され、そしてまた建築させられるという徒労を味合わされて居たのである。
「──」
(「さても記憶のないこの1年ほどの時間あたりに色々あったらしい、が」)
「……マ、どうでも良い」
 ディアボロスは倒されても新宿に流れ着き、生きて死んで蘇る。
 ナラクは平安鬼妖を取り戻してからやる気が無くなっていた。
 その過程での記録がトンとないのだが、人間としては生きてはいたのかもしれないが、意識としては『活きて』居なかった。自らの使命を果たし、やるべきことを見失っていたのである。取り戻した都市の知り合いが、連絡を取るまで、何故か逢いに来ないようなものだろう。
「なーらくー、用意はいいかい?」
「要は例の仮装行列とやらだろ? ちょいと待ちな」
 雪人は紳士なので衝立の向こうを覗かない。
 なんというかナラクがスケスケの衣装とか来てても困るからね。
 まあそんなのは着ないし、着るとしても『重ね』の一番上に持って来るのが平安人なのだが。……そういえば裸の王様のノリで本当に透明な千早を用意したら、奪衣婆は勘弁してくれるのだろうか?

 閑話休題(それはともかく!)

 二人は仮装してハロウィンへ。
 コスプレなら何でも良い訳ではなく、幽霊だったり妖怪に扮するルールである。
「にゃふふふふ、白にゃんこ水軍の出陣だー!」
 雪人が選んだのは、目つきの悪い白猫の着ぐるみ。
 海賊船の船長の衣装をみにつけるが、コートの上から羽織るのは陣羽織。
 日本らしさで水軍風にして、猫さん自体は化け猫で通じるから問題ない。
「はいよ。お待たせ」
「あ、ナラクは頭巾にしたんだ。モコモコ野郎も張り切ってるね♪」
 ナラクがモコモコ野郎の頭にレンタル衣装の海賊帽を載せてやると雪人が囃し立てた。
 出てきたのはターバン頭巾というか海賊頭巾を被ったナラクと、雪人と同じ船長の帽子を被ったモーラットのモコモコ野郎である。コスプレというのは本人が着る場合もあれば、ペットであったりサーヴァントが着ることもある。
「そらおまえ、ナラクさんが悪役の衣装着てたら目つきの悪すぎてガキどもが泣くだろが。ひひ、今日は下っ端水軍と行こう。ついてくぜ、船長どのよ」
 なんというかコスプレ慣れ品てないというか……。
 逆に頭巾だと、バイトのホットドックを作っている時に経験がある。
 暑い日とかは汗止めを兼ねて頭巾にして、風通しの良い服装でやさぐれたネーチャンやってるからね。
「そんじゃ、マ、逝きますか」
「よーし! 残留効果は使い放題だし、ドローンも使っちゃうよー。さあさあ野郎ども、仮装と船旅の準備は万端かい?」
 ナラクは何となく鬼役(追儺・毒見で死ぬ人)を思い出すが、同じ平安人でも雪人は順応しているようだ。船を模したドローンを浮かべる様は、烏賊登り(凧揚げ)というか、流し雛で罪を流す律令由来の儀式の様だと思わなくもない。随分とj時期を逸した盆供養だなと苦笑したくもなるが。
「クダ吉も狐火で応援だ。イーヤッハー♪」
 雪人は練り歩きながら、予約しておいた時間に間に合わせた。
 そこではプロジェクターで嵐の海を演出するように頼んでいる。
 荒波乗り越え嵐も何のその! 大量の鮫と戦っているような光景を夜空に映し出したのだ。
(「ふむ。モコモコがバッチバチに光る分、電飾より派手かもしれん」)
 そんな中でナラクはモコモコ野郎が光る姿を見た。
 なんたって偶像というか、モーラットは機械なんぞよりも派手に、あるいは生々しい色合いに出来るのだ。パレードだろうが百鬼夜行だろうが演出できるであろう。
「ハイホーハイホー呼吸してる? 見つけた宝箱の中には、金貨チョコや、宝石キャンディがざっくざく♪」
「それは海賊というか妖精だろうよ。マ、幽冥境を異にするナニカとしちゃ、一緒だろうがな。……ハッハ、こりゃまたとんだ宝の山だな。どうするね、船長。山分け?  そうだな、分けてもまだまだあるからな」
 そして予約していた屋敷に辿り着けば、幽霊屋敷にも見えた。
 そこには注文して置いたお菓子の詰め合わせ!
 ノリノリで演技する雪人に対し、ナラクは苦笑しながらも合わせていく。
 だって子供たちがやって来たからね!
「ひひひ。さっそく来たな」
「トリック! オア、トリート♪」
 ナラクが声を掛けると、シーツの幽霊から子供が顔を出した。
 笑顔の子供にナラクは分け前である金貨のチョコや宝石キャンディを見せてやった。
「金貨(チョコ)の山とナラクさんのイタズラ……どっちがいいかね……?」
「きんかー!」
 ナラクは子供たちの選択を待つ。
 小さなお子様は、いつだって決断に時間が掛かるものだ。
 だが、この位の年頃はお菓子が何より重要である。もう少し大きくなると、別の悩みを抱えるのだろう。そういえばこの位の子供を(うっ、頭が!?)。
「……なンだそこのチビすけ。出てこんのか? なァんてな。そら、仮装が間に合わなかったのならこの帽子をかしてやろう。それで船長ンとこ行って来いよ、合言葉を忘れずにな」
「いいの? 何も着てないよ?」
 構やしねえよとか言いながら、特に化けていない子供を呼び寄せる。
 細かい流儀なんぞ知るか、面白ければそれで良かろうなのだ!
 と笑いながら、モコモコ野郎の帽子をかぶせてやった。
「ほら、言ってみな」
「とりっく、おあ、とりーと?」
「お宝をゲットしたならば、さあさあ皆で山分けだー! 木苺や、きのこのチョコ菓子もあるよ?」
 ナラクが雪人の方に押し出してやると、その子はおずおずと恥ずかしそうだ。
 はにかむような笑顔に雪人はお菓子を握らせてあげる。

 荒波乗り越え嵐も何のその!
 ヨーホーヨーホー、海賊船がやって来た!
 合言葉は勿論、トリック・オア・トリート♪
 今宵ばかりは子供たちも夜更かしOK。取り戻した街並みをみんなで練り歩いたのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV2が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!

ウィリディス・ファラエナ
【忍庵】
おお、セットが凝ってるな。これが映画村か。ここでやるならこっちもただ練り歩くだけじゃ勿体無い
梅指さん、ちょいとお耳を拝借

俺は二重に仮装
一枚目老人、二枚目は鬼
腰の曲がった老人の仮装で道行く人に声をかけて「お菓子をもっていないかね?」と聞く

「持ってない」「持ってるけどあげない」ならば化けの皮二枚目の出番だ
ならば何をされても文句は言えまい!と襲いかかり取り出したるは各種シールとスタンプ
そーらペタペタっとな
ぽかんとしてるのを尻目に【狐変身】で颯爽と去る
狐に化かされてしまったなと

「持っている」
それはよかった、儂からも一つあげよう。
去り際に一言。菓子を持っていないと代わりに喰われてしまうからね、とにやりと笑って暗闇に消える

「持ってるしくれる」
これは礼をせねばと言って控えさせていた絡繰りを動かして空からお菓子をばら撒く
それで驚いてる間にさっと暗闇に隠れて気付いたらだれもいない。そんな風にやろう


梅指・寿
【忍庵】
きゃー。映画村ってこんな感じなのね。思ったよりずっと本格的だわ。
ウィリディスさん(g08713)から何か提案が…なになに?(耳を寄せて話を聞き)
ふふっそれは楽しそうだわ。

私は猫又の仮装をするわね。
着物姿で爪と牙を付けて、猫耳と猫又の尻尾をつけるわ。
更に【猫変身】で猫に変身していざとなったら変装を解いていく予定よ。
普段は猫の姿でおじいちゃんに変装したウィリディスさんの肩の上にのっているわ。にゃー(ごろごろ喉を鳴らすハチワレ)

おじいちゃんの問いかけに「お菓子を持っていない、もってるけどあげない」っていう子には目の前で変身を解いてにっかり牙を見せて「何をされてもいいわよね?」と。
そしてぽんぽんシールやスタンプを付けて狐に変身したウィリディスさんに倣っての後をついて行くわね。にゃっにゃっにゃー。

「持っている」って言う子にはうんうん頷いていくわ。猫の姿のまま。

「持っているしくれる」って言う子には変身を解いてポケットにお礼のお菓子をぎゅっぎゅと詰めていくわ。空からも下からもお菓子攻め…



 町は通りによって残った建物が違うため、別の街並みになっている。
 その辺りは元商家で『ウナギの寝床』と呼ばれる造りだ。
 細い道を挟んで店舗と別宅、蔵と製造場などが対比する様に並んでいた。
「きゃー。映画村ってこんな感じなのね。思ったよりずっと本格的だわ」
 梅指・寿(不沈の香・g08851)は年甲斐もなくはしゃいでいた。
 新宿のシステマチックな街と比べるのは当然ながら、瓦の色彩もまるで違う。
 現代の街並みでは艶やかな瓦ばかりだが、しっとりした渋い色彩の瓦ばかり。壁も漆喰と木壁であり、鉄筋コンクリートなど何処にも見えなかった。
「おお、セットが凝ってるな。これが映画村か。京都の本家と違って専門じゃないそうだが楽しむには十分だ」
 ウィリディス・ファラエナ(毒虫・g08713)は街おこしのパンフを軽く眺めていた。
 ディアボロスが救った大工たちの村であり、建物を無意味に壊して立て直させる圧政が合ったそうだ。その頃の大工の技を活かして、コスプレ主に写真用だったり、予算のないスタジオや学生芝居のサークルが安価で借りているらしい。
「ここでやるならこっちもただ練り歩くだけじゃ勿体無い。梅指さん、ちょいとお耳を拝借」
「……なになに?」
 ウィリディスがニヤリと笑って指をちょいちょいやると、寿は耳を子象の様にした。
 具体的に言うと小さな手を耳に当て、きゃいきゃい言いながら耳を澄ませたのだ。
 若くなった外見(ヒルコ化)に引きずられる形だが、時にはこんなのも良いだろう。

 斯々然々(かくかくしかじか!)

 それはハロウィンに合わせた仮装の話だけではない。
 遊び心溢れるお誘いである。二度目の人生だもんね、なら愉しまなくちゃ!
「ふふっそれは楽しそうだわ」
 寿は悪戯っ子の笑みを浮かべた。
 ちなみに猫又の仮装をしているので実に似合っている。
 着物姿で爪と牙に、猫耳と猫尻尾は重要だ。なお姫カットなので人間の耳は隠れているので、ケモナー警察に『耳が四つあるぞ!』なんて突っ込みは受けないので安心するにゃ。
「こっちもいつでも良いぞ」
「それじゃあ合体しましょう」
「合体と言うか変身じゃあ……ああなるほど」
 寿の言葉にウィリディスが首を傾げるが、その瞬間に猫に変身!
 彼の肩に乗ってゴロゴロにゃー! 猫のタイプはハチワレで、きっと姫カットの名残であろう。
 そして歩き出すウィリディスの姿はおじいちゃん。何の変哲もなく、若者が変身しているにしては腰が低い。裾のなかで膝を曲げることで背を低く見せているのだ。
「おお、夜中じゃというのに若者がこんなにおるとはのう。トリックオアトリートであったかの」
「こんばんーわ」
「猫さんもこんばんわー」
 ウィリディスおじーちゃん(偽)と寿おばあちゃん(猫)。
 二人で出歩いていると、子供たちがやって来た。
 そして子供たちが挨拶に応じ、例の合言葉を話す前にこちらから先制だ! 古事記でも先制アイサツは重要とイザナミ様とイザナギ様は言っている。
「え? え?」
「お菓子をもっていないかね?」
「えー。僕らがあげるの~?」
 本来ならば子供が言ってお菓子をねだるお話なのだ。
 先に言われてお菓子を要求されて、戸惑うのも仕方あるまい。
 機先を制して順逆自在にして有耶無耶にするを『イザナミだ!』とNINJYA界隈では言うらしい。
「ならば何をされても文句は言えまい! 見るが良い!!」
「わー! 鬼だー」
「ぎゃー!」
 子供たちが戸惑う間に、ウィリディスは両掌で顔を隠した。
 そしてゆっくりと腕を持ち上げると、そこには鬼の顔があったのである。
 なんというか老人の顔自体が変装のお面であり、その下には二枚目の鬼面があったのだ。この方法ならば一枚目を剥すだけで良いよね。
「何をされてもいいわよね? たべちゃうにゃー!」
「え? さっき誰も……」
「わーん。ネコマタだー!」
 今度は寿が変身を解き、猫耳猫尻尾をピーンと立てる。
 そして爪でカリカリ子供たちの頬をひっかいて脅すのだ。
 二人は子供たちが驚く間に、そのまま色んなシールをペタペタ。スタンプを頬やらおでこやらに押していく。
「速く逃げないと鬼が―!? 食べないで―あれ?」
「鬼が居ないよー。代わりに狐さんが居る!?」
 猫変身を解いて猫又モードになった寿に気を取られ、驚く子供たちはウィリディスが居ないことにようやく気が付いた。彼は狐変身で姿を変えてしまったのだ。そして寿はその間に隠れ、光学迷彩で姿を消す。映画のセットになってるし、様々な色のイルミネーションがあるから隠れ易い。
「あ、狐さんがいっちゃう……」
「何があったの? 変なスタンプとかついてるし―」
 鬼も猫又も消え去り、どろんと逃走。
 まさしく狐につままれたような有様であったとさ。

 そして次なる子供たちにも同じような悪戯を仕掛け、返事によって対応を変えたそうな。
 時には忠告と共にお菓子をお返し、時にはたくさんのお菓子を空から雪崩の様に。
 あらら、こらら、どっこい。にゃにゃにゃ♪ と笑うようにハロウィンの夜を満喫したと言う事である。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【迷宮化】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!


 幻燈館はミラーリング写真館。
 プロジェクターを白い壁にお好きな画像を映し出す。
 隣の家は柿渋色で、赤茶けた色彩は夜に溶ける忍者カラーだ。
 その反対側は炭を塗ったり、軽く焙って黒く染めた色。むしろ夜の闇に光るのはなぜだろう?
 共にシロアリやらキクイムシ対策なのだが、今ではシャレオツな古民家カフェだ。
 よくセイガク共がゴロ巻いて、木刀を掲げた写真を撮ったり、歴女が服から得物から凝りまくってスタジオに。

 料理はマーボー、火鍋にペペロンチーノ。
 道教から仏教まで渡り歩いた十王の隣で、ミケーネ由来の三巨頭が辛い辛いとお食事中。
 口直しに食べるのは金平糖やら冷やし飴、おっと冷やし飴は飲み物だよね。
 飲み物といえばカレーでござる、スープカレーはゴロリと野菜が沢山。
 ケーキはモンブランで、カボチャと栗の二種類があった。もちろん持ち込みだって歓迎します。
 だってトリック・オア・トリートと言えば、お菓子をバラまく菓子雪崩。
 さあ、鬼(幽霊)たちに捕まらないように変身だ。
 今宵ばかりは速佐須良比売神にもお休みいただこう。
 祓い遣れ、清め給えと人は言うが、ハロウィンには妖怪も妖精もないもんだ。
 みんなで騒いで死者が還るまで、寂しくない様に賑やかに愉しもう。
大和・恭弥
【クロパラ+】
メンバー:大和恭弥、一ノ瀬綾音、宮村凪、ソラ・フルーリア(敬称略)
綾音以外は呼び方は名前+さん、口調は丁寧口調

――凪さんは驚かせてしまったな。苦笑しつつ会場へ。
当初はサイン会って聞いてたんだよな。裏方が人手不足って
まぁ、賑わいは変わらないし…予定変更なら俺は主役の女性陣に従うまで
それにしても現代でこんな風にかつての文化を味わえるとは。

などと考えている間に熟練の職人方によって世界観が整う。此処はまるで平安地獄変。
そこに現れた色鮮やかな十二単を着こなすソラさんと……白無垢姿の綾音
解ってたけど思わず瞬きを忘れるほど…いや、これは仮装だから。
狐の嫁入りがテーマだからか、目尻にひいた紅が目に毒だ、なんて。
集中しようと黒の和服に身を包み、晴彦と青の狐火で演出を盛り上げてみる

慣れた様子のソラさんの司会に感心しながら
自分も来た人に配りつつ、菓子投げと化したサイン会を見守る
綾音、頬が赤いな…と思えば駆け出す白無垢姿
いま、なんて呟いてた。っ、おふたりとも、あと任せました。俺が追います。


宮村・凪
【クロパラ+】大和恭弥、一ノ瀬綾音、宮村凪、ソラ・フルーリア(敬称略)
*綾音ちゃん、大和さん、ソラさん呼び

[心境]
(面白そうだから一緒に着いていこうと名乗り出た後に、綾音ちゃん(g00868)と大和さん(g04509)が特別な関係だと知って内心「やっべ…」と思いつつ、隙あらば二人のいい感じのツーショットを取ろうとスマホカメラの準備をしている。ソラさんいてくれてよかったー)
[ここまで]

って、マジの結婚式的なやつじゃんお2人!(綾音ちゃんと大和さん)

スマホでごめんだけど、二人の晴れ姿とソラさんの『平安地獄変』の勇士ばっちり動画に収めるぜ!

ああ、カメコばっかしてないでみんなのことも楽しませないとな!
俺は大和さんと揃いの着物+袴の侍の仮装で参加。
刀は自前の「豊守」だ。
元々使ってる日本刀だから、コスプレ感はないだろ?

みんな派手にお菓子配ってるなー。
俺は子供の相手でもしようかな

ほーら、お侍さんだぞー!
刀触ってみるか?ほらよ、飴ちゃん持ってきな
それとも【浮遊】で一緒に飛んでみるかー?

※アドリブ歓迎!


ソラ・フルーリア
【クロパラ+】の皆と一緒に!
※アドリブ歓迎します!

すごいわね、このセットの数々! それにプロジェクションマッピングも!
何か演出の勉強になるかなって思ってたけど、これは大いに収穫がありそうな予感!

おっと、仮装も忘れてないわよ!
今日は十二単!本物は重いから、それっぽい着物にしておくわ!

それじゃ、スタッフの人に頼んでススキ原と人魂のプロジェクションをお願いしようかしら!
頭には狐耳(カチューシャ)も付けて、「狐の嫁入り」の仮装よ!
白無垢の綾音、とっても素敵!恭弥は気が気じゃなさそうね!

さあ皆、嫁入りと言ったらブーケトスよね! ブーケの代わりに、お菓子トスしちゃうわよ!
なんてMCしつつ袋に包んだお菓子を配っていくわね!
お菓子の中身はアタシ特製南瓜と抹茶のパウンドケーキ!
袋にはアタシのサイン入りよ!
ほら綾音! 綾音もサイン書いてきたんでしょ! 配って配って!

あっ、綾音が逃げた! 全く、しょうがないわね!
場繋ぎに去年の秋祭りでも歌った和ロック『平安地獄変』で場を盛り上げるわ!


一ノ瀬・綾音
【クロパラ+】
銀プロ主催サイン会するべって聞いてきてみたけど……これは、流石にサイン会とかそういう雰囲気じゃないよね……
よ、予定変更!

和風のお姫様、というか白無垢……狐の嫁入りの狐?の仮装をして、小脇にサイン入りのお菓子(急遽気合でめっちゃサイン書いた)をいっぱい詰め込んだ籠を抱えるよ。
狐の嫁入りみたいな感じで、綾音ちゃんはキョウちゃんと嫁入り、って感じでね。
雨は流石に降らせたらイベントそのものが台無しになりそうだし、そこは光の演出でどうにか再現。
いい感じの雰囲気になってきたら籠をブーケトスのようにぶん投げて中のサイン入りお菓子を大放出だ!幸せのおすそ分け……でいいのかこれ?

というかなんかこれガチの結婚式みたくなってない?
いや確かにキョウちゃんとは彼氏だし結婚式も……ま、まだ早い、はず!めいびー!
ああもう考えたら途端に恥ずかしくなってきた!ソラに凪さんごめん、もう控室戻るね!



「ハロウィンで仮装して銀プロサイン会? 何時行く? 俺も行くよ」
 当初、宮村・凪(国士無双・g10471)のノリはこんな感じであった。
 面白そうだから一緒に行こう! くらいのノリであった。
 そう、過去形である(遠い目)。
「すごいわね、このセットの数々! それにプロジェクションマッピングも!」
 海上に到着したソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)はご満悦である。
 映画村と違って簡単に借りることができ、総額がとてもお安い。
 一つの古民家とその周辺が安価にレンタル出来、プロジェクターも貸してくれる。団体割引料金もあるよ!
 自分たちで用意すれば食事やらも可能なので、公民館よりよっぽど安いと言えるだろう。しかも今宵はハロウィンなので無料でお試し可能と言う訳だ。
「何か演出の勉強になるかなって思ってたけど、これは大いに収穫がありそうな予感! この経験は活かさなくちゃね!」
 おっと、仮装も忘れてないわよ!
 ソラは十二単風の装束を借りていた。
 実際には『重ね』ず、袖口と胸元に色の列を作ってそう見せているだけだ。本物は重いからね、仕方ないね!
「銀プロ主催サイン会するべって聞いてきてみたけど……これは、流石にサイン会とかそういう雰囲気じゃないよね……」
 一ノ瀬・綾音(星影の描き手・g00868)はその様子を見て一瞬固まってしまった。
 最初はハロウィンでコスプレして、結構豪華な服を着てサインするだけだった。
 しかし本格的な古民家があり、プロジェクターを弄ると自在に忍者や妖怪の画像であったり、大海原とサメのセットが出現したりするのだ。
「よ、予定変更! ここは和服でお姫様? 既にやってるなら白無垢……そうだ! きつね、狐の嫁入りぃ!」
 綾音は狼狽えた。
 漢字にすると寧ろ判り難いので、うろたえた。と書こう。
 周辺が本格的過ぎるので単に豪華だと浮いてしまうのだ。とはいえアヤゴンと呼ばれる気はない。先んじて、他の計画を立案せねばならないと思い立った。そして真っ先に多い建ったお姫様をソラが仮装していたので、次に良さそうな白無垢を選んだのである。言い訳要素として狐の嫁入りだと連呼しながら。
「そういえばサイン会じゃなくなったんだって?」
「――凪さんは驚かせてしまったな。当初はサイン会って聞いてたんだよな。裏方が人手不足って。それがさっき連絡が入って……」
 そしてメールで着信した話を巡り、凪と大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)がやって来た。
 凪の方は侍衣装で手にはスマホを、そして恭弥の方は紋付き袴と言うか黒の和服である。
「恭ちゃん?」
「……」
 綾音の姿を見た恭弥は一瞬、二の句が継げなかった。

 呼吸を止めて一秒、真剣な目で恋人を見つめる。
「恭ちゃんも似合ってるじゃない! ええと、急な連絡でゴメン!」
「白無垢の綾音、とっても素敵! 恭弥は気が気じゃなさそうね!」
 綾音もアウアウと先ほどよりも慌て始め、それを見ていたソラは笑みを浮かべる。
 そして慌てる友人の肩に手を当て、『良かったわね』とお似合いの姿を褒めたのであった。
「って、マジの結婚式的なやつじゃんお2人!」
「解ってたけど思わず瞬きを忘れるほど……いや、これは仮装だから」
 凪の言葉に恭弥が返す。
 まさにマジレス、そして場を取り繕う話を思い出して説明を続けた。
 恋人の姿にも真摯、友人への注釈も真摯。まさに紳士、非の内どころのない紳士であった(遠い目)。
「ワーワ-ワー!? ……ええと、狐の嫁入りだから。ソウデスネ……」
 この時の綾音の心境を45文字以上、50文字以内で答えなさい。
 恥ずかしいとか、複雑な乙女心とか、そういう単語を使っても構いません。
「それじゃ、スタッフの人に頼んでススキ原と人魂のプロジェクションをお願いしようかしら!」
(「ソラさんいてくれてよかったー!」)
 そしてソラが議事進行を始めると、凪はグッジョブなポーズを秘かに向けた。
 なんというか恋人たちが見つめ合い、ジっと緊迫した表情を続けられると困る。
 かといって、ホッコリしたカップルを見ないと取れない栄養があるのも確かだ。何事も適度なバランスが重要なのである。周辺へ黄金のススキと、揺らめく光が漂い始める。
「スマホでごめんだけど、二人の晴れ姿とソラさんの『平安地獄変』の勇士ばっちり動画に収めるぜ!」
「お願いするわね!」
 凪の言葉にソラは相槌を打ちながら一気に話を勧めた。
 流石はアイドル事務所の社長。
 下手な人間が議事進行をやると仲人にしかならないが、おばちゃん要素など何処にもない! 若きやり手の社長は伊達ではないのだ。
「それにしても現代でこんな風にかつての文化を味わえるとは」
 その光景は確かに平安地獄変のディヴィジョンだ。
 おおよその建物は天正大戦国のはずなのだが、違和感がある場所に妖怪の画像。
 すると場所から妖怪に視線がずれることで、戦国風から平安風に見えてしまうのである。
(「狐の嫁入りがテーマだからか、目尻にひいた紅が目に毒だ。……いや、見惚れてるだけじゃ駄目だな。晴彦、頼んだぞ」)
 恭弥は少しだけ気恥ずかしくなり、管狐のハルヒコに青い狐火を灯させる。
 確かな火が舞う事で、プロジェクターで写した狐火もリアルに銘得てくるから不思議である。
「雨は流石に降らせたらイベントそのものが台無しになりそうだし、そこは光の演出でどうにか再現かな」
「狐の嫁入りって天気雨だよね? 構わない気がするけど、調整がアレか。そうそう俺はお侍さんだぜー」
 綾音の心配にフォローしながら凪も着替えた装束を見せつけた。
 腰に佩いた刀は自前の『豊守』であるが、和服や裃とかは簡単に貸してくれるのでありがたい。
 コスプレは恥ずかしがると駄目なので、みんなを引っ張る様に明るく振舞う。
「さあ皆、嫁入りと言ったらブーケトスよね! ブーケの代わりに、お菓子トスしちゃうわよ!」
「めっちゃ苦労してサインも書いたし、お菓子も用意したからね! てか幸せのおすそ分け……でいいのかこれ?」
 ソラが音頭を取ると綾音は目を回したかのように頷いた。
 そして小脇に抱えた籠から、ブーケトスのようにサイン入りのお菓子を放出する。
 なんだか取り返しのつかない事を……気にしてはならない。そう、アヤゴンよりマシな筈だ。アヤゴンより……と綾音は自分を騙すことにした。ソラもサイン入りのお菓子の袋をバラまいているしね。さあ、サイン書いて来たんなら配って配って~。
「みんな派手にお菓子配ってるなー。ほーら、お侍さんだぞー!」
「かたな、かたな見せて~!」
 みんながお菓子を配る中、カメコをしていた凪は子供たちの相手をする事にした。
 お菓子を放っても良いのだが、どうせならば友人たちの幸せな写真を撮るのに時間を使いたい。だからフレキシブルに対応するのさ!
「刀触ってみるか? ほらよ、飴ちゃん持ってきな。それとも【浮遊】で一緒に飛んでみるかー?」
「とぶー!」
 凪は刀は抜かずに触らせてやった。
 そして手を繋いで一緒に浮遊する。
 飛翔と浮遊は違うものだが、子供には区別がつくまい。一緒に飛べない飛翔よりも、共に翔ける浮遊の方が良い時もあるさ。こんな時みたいにね。
「綾音、頬が赤いな……」
「というかなんかこれガチの結婚式みたくなってない?」
 恭弥の顔が妙に近かったので綾音は思いっ切り慌てた。
 いや確かにキョウちゃんとは彼氏だし結婚式も……ま、まだ早い、はず! めいびー!
 つーか、何と言うかさ、自爆してないユー?
「ああもう考えたら途端に恥ずかしくなってきた! ソラに凪さんごめん、もう控室戻るね!」
「いま、なんて呟いてた。っ、おふたりとも、あと任せました。俺が追います」
 綾音は錯乱した!?
 恋人が顔を真っ赤にして走り去るのを見て、恭弥は追い掛けることにした。
 そして周囲で行われるパーティや、道端を歩く人々に対し……。
「通してやってください! ええ、人生の一大事なので! 通行止めだ!」
 凪が割って入り、交通整理を行った。
 恭弥がその間に走り抜け、恋人たちが合流するために協力してあげたのだ。
 モーゼの十戒の如くに人々の波が割れていく。
「あっ、綾音が逃げた! 全く、しょうがないわね! ここは穴埋めに一曲行くわよ!」
 ソラはそんな姿を微笑みながら、マイクを取り出すとボリュームを適当に合わせる。
 そして場繋ぎに去年の秋祭りでも歌った和ロック『平安地獄変』で場を盛り上げるわ!

 こうしてカオスに成り掛けた会場を、残った二人で何とかする。
 一人は会場整理、もう一人は歌を謡って誤魔化すのだ。
 そして恋人たちの運命やいかに!? それは神ぞ知る!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【傀儡】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV3になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ダブル】LV2が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年11月13日