リプレイ
相原・相真
久々に依頼に来てみればこうして動いている千早城もなかなか壮観ですね
この城で淀殿に王手かけるためにも、まずは目の前のことからしっかりこなすとしましょうか
住民の方に接触し事情を説明
難しく言ってもしょうがないですから、
こちらの立場は『天魔武者に敵対する者』くらいにしておきましょう
一応説得力が増すように【プラチナチケット】を使っておきます
そのうえで戦闘域周辺からの避難と警戒、後は他の村々へ話を伝えてもらうようにお願いします
可能なら義勇軍にも接触し、そちらからも情報を広げてもらいましょう
あとは食料や衣類などの支援セットを持ちこんで渡していきます
自分たちで使うなり、他の村で避難したりするときに渡すなり、
必要に応じて使ってもらいましょう
天魔武者により傷つく人を出したくないのはお互い同じ
だからこそ大事なのは役割分担です
俺たちが戦う間にきちんと避難を行えるよう、皆さんでの協力が必要です
どうか、よろしくお願いします(頭を下げる)
アドリブ・連携歓迎です
雑賀・黒詠
【アドリブ、連携可】
ようやく喉元へとたどり着いた。もう少しだ。
だが目の前の障害も取り除いて行かないといけない。
奴が私の知っている通りの存在ならば
......徹底して民草を逃さないといけない。
一人でも残っていれば、間違えなく利用される。それもこちらに最も効果的に。
誰一人、かすり傷すらつける事はさせない。
まずは一般人たちへ周知しなければ。幸い溶け込めるだろうから、聞き入れてもらえることは出来るだろう。
我々は天魔武者を狩るもの、ここを襲おうとしている事、一般人すら平気で利用する悪逆である事、これらを伝えよう。
出来るだけ明確にだ。その上で非難する様に勧めよう。
もし話した中で義勇軍を知っている、若しくは取り次げる者が居る場合はその者へ、義勇軍に協力要請を出してもらおうか。
一般人の避難に協力してもらえるとより被害を出さずに済むからさ。
しかし、高野山と雑賀か
......因果なものだ。
何処で見ている
......孫市?
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
千早城の動作に問題は無さそうだね
修復に手を尽くしてきた甲斐もあった
この勢いのまま攻め上り、城取合戦の勝利を掴もう
勿論人々に危害など加えさせない
しかし住民全てに声をかけて回るには、復讐者だけでは時間がかかりそうだ
ここは義勇軍に協力を求めたい
これまでも人々を助けてきた彼らの言葉であれば
急な話に戸惑う住民達もきっと信用してくれる
その力を借りて迅速な避難へと繋げたい
【友達催眠】で警戒を解きつつ義勇軍と接触
【プラチナチケット】使い事情を説明し
避難誘導への協力を頼む
私達はディアボロス、天魔武者と戦う者です。
淀殿を倒してこの地を圧政から解放するべく、動く城『千早城』と共に進撃を行っています。
しかし天魔武者達は妨害工作として、この地を戦渦に巻き込み利用する気でいるようだ。
そんな事、絶対にさせる訳にはいかない。
この地が戦場となる前に、住民の方々を全て安全な場所へ避難させて欲しいのです。
皆さんの話なら、住民の方々もきっと話を聞いてくれる。
一人も犠牲を出さない為に、どうか宜しくお願いします。
篠村・蓮十郎
……機械の類はそれなりに見慣れてはいるが、城が動くと言うのは流石に驚きを隠せんな。
ともかく、こいつを護り通さねば戦いにすらならん。気を引き締めるとしよう。
住民を動かすのならば、部外者の俺たちよりも彼らの方が適任だろう
義勇軍の警戒心を解くため装備を解除し相対
名乗りと共に危害を加える意思が無い事を示し説得に当たる
間も無くこの周辺は戦場になる
天魔武者どもに太刀打ち出来ぬ事は、あなたたち自身が良く理解している筈
住民への被害はこちらも本意では無い
だからこそ役割分担だ
あなたたちは住民の避難に専念してもらいたい
奴らを斬り捨てるのは俺たちの役目
奴らをこの地より駆逐するためには互いの協力が肝要だ
是非とも力添えさせて欲しい
「――」
晴れ渡った空を見上げて軽く体を伸ばし、相原・相真(銀腕・g01549)は一度大きく息を吸い込む。
久方振りに降り立つ天正大戦国の地。
前回来た時から季節は巡り、空の色も風の匂いも秋の気配を纏うものへと変わっていて。
そして――、
「久々に依頼に来てみればこうして動いている千早城もなかなか壮観ですね」
「千早城の動作に問題は無さそうだね。修復に手を尽くしてきた甲斐もあった」
鋼の脚を動かし巨体を進ませる千早城の姿に、相真はそっと息をつき。
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)もまた、安心したように小さく笑みを浮かべる。
かつては起動させないために戦い、制圧した千早城。
だけど今は、ディアボロス達と共に和泉国を取り戻すための象徴とも呼べる存在。
「……機械の類はそれなりに見慣れてはいるが、城が動くと言うのは流石に驚きを隠せんな」
城としては小さめの造りとは言えど、それがそのまま動く姿を篠村・蓮十郎(鋼剣・g09914)は感心したように見上げ。
――そうして、一度息を吐くと雑賀・黒詠(国境なき鍛冶師・g07640)と共に意識を切り替えて視線を巡らせる。
「ともかく、こいつを護り通さねば戦いにすらならん。気を引き締めるとしよう」
「ああ、まずは進路の露払いからだ」
岸和田城の守りを越えて淀殿に決戦を挑む為にも、ここで千早城を失うわけにはいかない。
先行しての人々の避難誘導、そして防衛陣の突破は必要不可欠。
「この勢いのまま攻め上り、城取合戦の勝利を掴もう」
「ええ。この城で淀殿に王手かけるためにも、まずは目の前のことからしっかりこなすとしましょうか」
意識を引き締め、頷きあい。
そうして、雪人は、相真は、ディアボロス達は走り出す。
この和泉国を支配する淀殿と決着をつけるために。
同時に――もう一つの決着をつけるために。
「ようやく喉元へとたどり着いた。もう少しだ」
鋭く研ぎ澄ませた視線を先へと向けて、黒詠は小さく呟く。
天魔武者『雑賀・孫市』。
あの日、仲間達の命を、そして『孫市』の名を踏み躙った黒鉄の機人。
追い続けてきた敵との決着が迫ることに、知らず心は逸るけれど――だからこそ、と自分に言い聞かせて。
(「だが目の前の障害も取り除いて行かないといけない。奴が私の知っている通りの存在ならば……徹底して民草を逃さないといけない」)
一人でも残っていれば、間違えなく利用される。それもこちらに最も効果的に。
故にこそ――『孫市』との戦いは、既に始まっている。
「誰一人、かすり傷すらつける事はさせない」
決意と共に、さらに強く地を蹴り。
風の如き速さで黒詠は駆ける。
●
そうして天正の地を駆けること暫し。
駆ける仲間達の先頭に立ち、道の先へと目を凝らす黒詠の視界に集落の影がよぎり。
「見えてきたね」
「うん、事前に聞いた通りの場所だね」
彼女の言葉に共に駆ける雪人は脚を緩めると、懐から地図を取り出して位置関係を確認する。
淀殿の圧政に苦しめられながらもこの地で生きる人々の住まう場所。
そして、ディアボロスへの対抗手段として天魔の間の手が迫っている場所。
勿論、人々に危害など加えさせるつもりはないけれど。
「周辺の村も含めて住民全てに声をかけて回るには、復讐者だけでは時間がかかりそうだね」
「村に義勇軍の人もいると話が早いんですけどね」
「住民を動かすなら、部外者の俺達よりも彼らの方が適任だろうからな」
ふむ、と考え込む雪人に、相真と蓮十郎も頷きを返す。
周囲の村の場所を知り、住民達と信頼関係を築いている彼らの助けが得られたならば、話は数段早くなるだろうが……、
「ともあれ、まずは行ってみないと始まらないね」
「そうだな」
軽く苦笑して息をつくと、黒詠は再度地を蹴り。
それに続くようにして蓮十郎も速度を落として走り出す。
賊の襲撃だと勘違いさせないように、けれど緊急事態だと気付いてもらえるように。
「さて、と――」
走りながら黒詠が村の入口と視線を走らせれば、自分達に気付いたのか、中から小走りに出てくるのは二人の男女。
「見ない顔だが……あんた達は、誰だ?」
「安心してくれ。俺はディアボロスの篠村・蓮十郎という者だ。貴方達に危害を加えるつもりはない」
「俺達は天魔武者と敵対するものです」
警戒の表情を見せる二人からある程度の距離を置いて立ち止まると、蓮十郎と相真は彼らを見つめて呼びかける。
焦らず、落ち着いて、はっきりとした声で。
敵意が無いことを示すように両手を広げ、武器を持っていないことを示し。
それに加えて、友達催眠とプラチナチケットも併用して。
誠意と残留効果を合わせて語り掛ける二人の言葉に、しばし逡巡すると村人も警戒を僅かに緩めてゆき。
「あ、ああ……とりあえず、あんた達が敵じゃないってことは無いってのはわかった」
首を傾げ様子を窺う女性の隣で、男性もまた安堵の息をつき――即座に表情を引き締める。
「それで、俺達に何の用――いや、何かあったんだな?」
「話が速いね」
その反応に雪人は小さく笑みを浮かべ、一歩前に歩み出ると彼らに向けて一礼する。
「改めて。私達はディアボロス、天魔武者と戦う者です。淀殿を倒してこの地を圧政から解放するべく、動く城『千早城』と共に進撃を行っています」
「ええと……動く……城?」
「時間があれば、腰を落ち着けて詳しく話を聞きたいところだが……その時間も無さそうだな」
「まあ、確かに。では手短に」
伝える情報に女性が戸惑ったように首を傾げ。
考え込みつつ苦笑する男性の言葉に、雪人もまた苦笑を返す。
詳しい情報を隠すこと無く伝えるのは誠意ではあるけれど、周囲の村も含めた避難誘導を考えるならば時間はいくらあっても足りない状況。
だから、
「天魔武者が動いている。間も無くこの周辺は戦場になる」
「っ! ――相手の数と狙いはわかるか?」
「数はおそらく十前後。狙いは、俺達への人質でしょう」
明確に、端的に。蓮十郎が告げた言葉に、男は一瞬息をのみ。
そうして、即座に問い返す言葉に相真が答えを返す。
「なるほど。それで、さっきの進撃を行っているという話か」
「ええ。淀殿のいる岸和田城を目指して進撃しているのですが、それに対して天魔武者達が妨害工作として、この地を戦渦に巻き込み利用しようとしているのです」
「相手は一般人すら平気で利用する悪逆。ここを襲うのにもためらいは無いだろうね」
「そうだろうな……」
雪人の、黒詠の、告げる言葉を聞いて男性は暫し瞑目し。
「状況はわかった……だが、俺達ができるのは逃げ隠れする程度だ。戦力にはなれないぞ」
「十分だ。いや――それこそが頼みたいことだ」
目を開けて済まなそうに首を振る男に、しかし蓮十郎は正面から視線を合わせて笑みを向ける。
天魔武者に太刀打ちできぬと理解して、無茶をせずに逃げを打ってくれるなら。
周囲の村へと話を通して、皆で避難に専念してくれるなら。
――それで、自分達は戦える。
「住民への被害はこちらも本意では無い。だからこそ役割分担だ。奴らを切り捨てるのは俺たちの役目」
「そして、貴方達には、この地が戦場となる前に、住民の方々を全て安全な場所へ避難させて欲しいのです」
「……ええ、わかったわ」
視線を逸らすことなく語りかける蓮十郎と雪人の言葉に、怯えをにじませながらも女性は頷きを返し。
そうして、残る男性の方へと相真と黒詠は視線を向ける。
「それと、この村だけではなく、戦闘域周辺になる他の村々にも話を伝えたいのですが」
「そのあたりは義勇軍に協力を願いたいんだが、お願いできるかい?」
「……俺達のことも気付いていたか」
「ずいぶんと場慣れしているみたいだったからね」
僅かに目を見開く義勇軍の男性に笑い返しつつ、黒詠は周辺の地図を広げて。
その上へと相真が目印を置きながら指を走らせ、今の状況を説明する。
「この村がここで、俺達はこちらから岸和田城を目指して進んでいて……天魔武者とはこの辺りでぶつかる予定です」
「そうすると、巻き込まれそうな場所にあるのは……あの村と、そっちと、このあたりか。わかった。そっちへの連絡は任せてくれ」
「頼んだよ。一般人の避難に協力してもらえるとより被害を出さずに済むからさ」
地図を見下ろして考えを纏め。そうして力強く頷く男に、黒詠も頷き返す。
取りこぼすことなく幾つもの村へと情報を飛ばし、急な話に戸惑う住民達を迅速に人々を避難させること。
予知や残留効果を合わせれば、ディアボロスでも近いことはできるかもしれないけれど――きっと、彼らが一番うまくやれるはず。
これまでも人々を助けてきた彼らの言葉であれば、急な話に戸惑う住民達もきっと信用してくれるはずだから。
「皆さんの話なら、住民の方々もきっと話を聞いてくれる。一人も犠牲を出さない為に、どうか宜しくお願いします」
「ああ、周囲の村への連絡は俺達が」
「この村の人達には私から伝えるわ。だから――」
「ええ。こちらは任せてください」
一通りの説明を終えると、雪人と男性は共に立ち上がり頷きあい。
震える自分の手を抱きしめる女性に、相真が手渡すのは食料や衣類などを纏めた支援セット。
村全員に行き渡らせるには到底足りないけれど、それでも『誰かが助けてくれている』という証は、きっと人々の心の支えになれるはず。
「天魔武者により傷つく人を出したくないのはお互い同じ。だからこそ大事なのは役割分担です。俺たちが戦う間にきちんと避難を行えるよう、皆さんでの協力が必要です」
「奴らをこの地より駆逐するためには互いの協力が肝要だ。是非とも力添えさせて欲しい」
「ああ。俺達からこそ頼ませてほしい」
「貴方達の力を貸してください」
相真と蓮十郎が語り掛ける言葉に、義勇軍の男性は、村の女性は、頷きを返す。
義勇軍として動く者。この村に生きる者。そして彼らディアボロス。
立場も、目的も、生きる時間も場所も、近いものから遠いものまで様々だけど。
それでも今は、同じ時代で、同じもののために戦う仲間達。
故に、
「「「どうか、よろしくお願いします」」」
共に頭を下げて、言葉を交わし。
そうして、彼らは一斉に走り出す。
村の中は女性に、周囲の村への連絡は義勇軍の男性に任せた。
ならば、ディアボロスもまた任された役目を果たすのみ。
「行きましょう。人々に危害など加えさせない!」
「ああ!」
駆ける雪人に頷き返し――ふ、と黒詠が視線を遠くへと巡らせる。
「しかし、高野山と雑賀か……因果なものだ」
その視線の先にあるのは、紀伊国の『高野山』。
ジェネラル級天魔武者『天海』が支配する重要拠点であり――同時に、紀州征伐などでも語られる、雑賀集とも縁深き土地。
なればこそ、相手は必ずそこにいる。
「何処で見ている……孫市?」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【プラチナチケット】LV2が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
こちらも色々と邪魔をされるわけにはいかないな
虫が何も出来ないと思ったか?それが命取りだ
黒詠に心残りがないように全力で倒して他の敵も倒していこう
【行動】
仲間とはパラドクス通信で声を掛け合いながら積極的に連携して行動する
敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンや電光警棒で受けて防ぐ
戦闘知識を基に射撃の方向から敵がいる場所を予測
その間に蝶の形をした機械を製作し統率で遠隔操作
敵の傍まで行ければ特殊な鱗粉を撒いて電撃に打たれたようなダメージと痺れを齎す
戦闘中に近づく動物なんていないだろうが
強いと驕っている者ほど何処にでもいる蝶のような虫が近くにいても気にしないだろう
ダメージを与えると同時に痺れさせてしまえば仲間が止めをさす手助けになるはずだ
必要なら臨機応変に対処する
テラ・ウィンディア
何だか不思議な光景だな
新宿みたいな感じのめかめかとおれ達が居た時代の雰囲気が一緒…一緒?うん、なんかやっぱり違うな
【精神集中・勇気・戦闘知識】
敵達の動きと陣形を意識を集中させて勇気を振り絞って見据える
あの弾丸…きっと避けられない
銃撃でそういう事も出来るのか…怖い…それでも…負けるわけにはいかないよな!
【空中戦・飛翔・破壊・誘導弾】
飛び回りながら星覇重撃破発射!
重力波砲にて敵を薙ぎ払いつつその銃にも不具合を引き起こさせるぞ
対反撃
【連続魔法・念動力】
そのまま重力の障壁で打ち出された魔弾を押し曲げる!
撃ち落されてたまるかーーーっ!!!
おれはお前達に狩られる奴じゃないぞ!
雑賀・黒詠
【アドリブ、連携可】
やはり居たな、雑賀衆。
お前たちとは既に五度渡り合っている。戦いの癖も手の内だ。
だが、こいつらは直属だろう。練度も桁違いだろう、最早雑兵とは思えまい。
故に油断はしない。やつらは当然命を軽く捨てて向かってくる。
死に物狂いでこちらを潰し、千早城を破壊しに来るだろう。
絶対に
......絶対に通しはしない。
せめてもの情けだ。一体残らず蹂躙してやろう!
向こうは一対多を基本としてくる筈。策を弄せず突っ込めば思うつぼだ。
各個撃破でもいいが幾分数が居るだろう。
故に殲滅だ。鉄屑残さず徹底的に。
人形「子狐」により牽制させ近づかせないよう位置取りをさせる。
しかし完全とはいかないだろう、多少の被弾は仕方ない。
上手く誘導し、固まったところで弾丸と刃の雨を見舞おう。
弾丸で体勢を崩し、刃で鉄を穿ち断ち切る。
贋作の技など、無意味だという事を知らしめてやる。
白鞘の太刀、小鴉の打刀、種子島式小銃を用い人形と臨機応変に使い分ける。
篠村・蓮十郎
千早城の事もあるが……この地に住まう者たちの為、早々に退いてもらうぞ。
奇遇だな
俺も我流の剣……型が無いのは同様だ
剣だけとは思うなよ
乱戦で効力を発揮する戦法であれば、そこが付け入る隙になる
あえて飛び込まず、敵陣外縁部から攻め入るとしよう
皮鉄と義手で前面を守り備えとし接近
[旋風]で敵を吹き飛ばし、押し込むように一箇所へ追い込んでいく
散らさぬよう、囲まれぬよう一定の距離を保ち
一網打尽を狙う
悪いが貴様らの出る幕は無い。
薬袋・透
雜賀……黒詠ちゃんの名字と同じだけど何か繋がりがあるのかしら……?
ま、それも親玉に会えばきっとすぐ分かることよね!
今の問題はこいつら
この量を一人で対処するのは面倒ね……
魚型の魔物を召喚
魔物は影に潜んでの不意打ちと僕との連撃で攻撃
パラドクスでときおり敵や飛んでくる武器を捕縛し補食して回復
召喚者本体を狙われるのも織り込み済み
フレイルの鎖で受け防御、そのまま引っかけて倒し関節技
元々こういう鎧の相手を倒すために発達した技らしいしこいつらにも有効なはず
とどめはモノアイを狙っての振り下ろし
同時に発生させる雷使いの放電による貫通攻撃
確実に機能停止させるわ
アドリブ絡み歓迎
鋼脚を巡らせ地を揺らし、和泉国を千早城は進みゆく。
如何な地形であろうともその脚を阻まれることなく。
野を越え、山を越え、川を渡り。
森の傍を通りすぎ――瞬間、
『今――雑賀衆、放て。切り込み隊、駆けろ!』
木々の陰から、茂みの中から。
鬨の声と共に無数の銃火が放たれ。
同時に、射撃に並走するようにして無数の天魔兵が千早城へと疾走する。
一斉射撃にて千早城の足を止め、その隙を突いて城へと切り込み被害を与える電撃戦。
――けれど、
「そろそろ来る頃だと思っていたわ」
「だが、こちらも色々と邪魔をされるわけにはいかないな」
迫る天魔の銃弾を、薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)の展開する防御結界術が受け止め、荒田・誠司(雑草・g00115)の放つ銃弾が撃ち落とし。
その余波を裂いて切り込む刀を、同時に飛び込む篠村・蓮十郎(鋼剣・g09914)の鉄刀が打ち払う。
「――っ!」
一合、二合。息つく間もなく交錯する斬撃が火花を散らし――剣戟の間を縫う銃弾を、周囲を浮遊する防御装甲『皮鉄』で受け止め、銃火の下を潜り抜け。
さらに踏み込む蓮十郎の斬撃が、受けた刃もろともに相手を背後へと退けて。
続け、その飛び退く先の着地点を狙い、共に駆ける誠司と雑賀・黒詠(国境なき鍛冶師・g07640)が同時に得物を閃かせる。
「「――おおっ!!」」
警棒と打刀と。重ねて放つ連撃が兵士の手より刀を弾き飛ばし。
しかし、止まることなく黒詠が返す刃に胸甲を掠められながらも、さらに飛び退く兵士が銃を構え――その銃口が火を放つよりも早く。
「いいや――」
「撃たせないよ!」
テラ・ウィンディア(炎玉の撃竜騎士・g05848)の振り抜く星刃剣『グランディア』が放つ、魔力を束ねた斬撃が。
竜の魔力を練り上げ一点へと集束し、透が放つ魔力弾の一撃が。
魔刃と魔弾の連撃が、長銃ごと兵士の胴を貫き打ち倒す。
「何だか不思議な光景だな……新宿みたいな感じのめかめかとおれ達が居た時代の雰囲気が一緒……一緒? うん、なんかやっぱり違うな」
地面に倒れ伏し崩れ去る兵士の姿に、そして今なお迫りくる新手に視線を走らせ、テラは小さく首を傾げる。
機械仕掛けの武者とも、あるいは騎士とも呼ぶべき天魔武者の姿。
その姿は、テラにとって馴染みが薄いとも深いとも言い難い不思議な感情を感じさせるけれど。
「けど、まあ……倒さないといけない相手なのだけは、ハッキリしてるけどな!」
「ああ――やはり居たな、雑賀衆」
軽く息を吐いてテラは意識を切り替え、握る宝剣へと魔力を巡らせて。
彼女と並び得物を握り、黒詠は敵を――『雑賀衆』を見据える。
「お前たちとは既に五度渡り合っている。戦いの癖も手の内だ」
自身と同じ名を持つ、トループス級天魔武者『雑賀衆』。
これまで幾度となく刃と銃火を交えてきた、幾つもの意味で縁深い相手。
その手札も癖も、全てを知っていると言える程に見慣れた相手ではあるけれど。
「だが、油断はするなよ」
「もちろんだ」
誠司の呼びかけに、敵から視線を逸らすことなく黒詠は頷きを返す。
既に乗り越えてきた相手、とは言え――この場の指揮を執るのは『雑賀孫市』。
「こいつらは孫市の直属だろう。練度も桁違いだろう、最早雑兵とは思えまい」
目の前の敵を、そしてその背後から戦場を見渡す黒翼を。
『倒すべき敵』を見据え、十字に閃く太刀と打刀の二つの刃が迫る銃火を切り払い。
爆炎の先に見える影へと、透は魔力を纏わせた掌をかざす。
「『雑賀孫市』に『雑賀衆』。雜賀……黒詠ちゃんの名字と同じだけど何か繋がりがあるのかしら……?」
友の苗字と、敵の纏う名。そして敵に見せる幾つもの感情。
自分達ディアボロスの在り方から、その関係を想像することはできるけど――想像でしかないそれは、きっと本当のものとは違うはず。
だから――、
「ま、それも親玉に会えばきっとすぐ分かることよね!」
苦笑と共に首を振り、透が続けざまに展開する防御結界術が壁となって天魔の銃弾を退け、その先への道を切り開き。
そうして作り出された道を駆ける誠司へ、黒詠へと、道の先から狙いすました銃弾が撃ち込まれるも。
「っ、だが、これくらい!」
大きく踏み込む誠司が構える大盾『フェイク・プリドゥエン』が銃弾を受け止め。
衝撃をこらえ、踏みとどまり――同時に、盾のジェット機構を開放し。
砲弾の如き速度で飛び込むと共に、繰り出す警棒の一撃が天魔の胴を打ち砕き。
――胴を砕かれ上半身だけとなりながらも、なお空中で銃を構える兵士へと、誠司の背後から『子狐』と共に飛び込む黒詠が二刀を閃かせて止めを放つ。
「作戦の為に、自分の命を最後まで使い切る、か。これが――」
「ああ、これが雑賀衆だ」
その姿に感嘆の息を漏らす誠司に、黒詠は小さく頷き小銃を抜き放つ。
頭領の命の下、自身の命すら道具として役目を果たす傭兵集団『雑賀衆』。
その在り方は、黒詠自身もよく知るもの。
「故に油断はしない。やつらは当然命を軽く捨てて向かってくる。死に物狂いでこちらを潰し、千早城を破壊しに来るだろう」
決意と覚悟をこめて、黒詠が撃ち放つ小銃の銃弾が。
それに呼吸を合わせ、誠司が抜き放つエレメントリボルバーの雷光の魔弾が。
さらに、宝剣へと重力を束ねてテラが放つ魔力刃に、竜の魔力を対価として透が召喚する魚型の人造魔物が。
銃弾、魔弾、魔力刃に召喚術。重なり放つ四重の連撃が天魔の弾幕を押し返し。
正面の相手のみならず、側面も、さらに大きく回り込もうとする攻城部隊へすら突き刺さる攻勢に、一瞬、天魔の動きが大きく乱れ。
その機を逃すことなく、地を蹴る蓮十郎が相手へと肉薄する。
「千早城の事もあるが……」
淀殿の支配下にあるこの和泉国の地で、人々を圧政にて虐げ続けてきた天魔武者。
たとえ千早城による攻略ができなかったとしても、その存在を見過ごすにはいかない。
「この地に住まう者たちの為、早々に退いてもらうぞ」
速く――天魔の動きよりも、さらに速く。
鋭い気迫と共に閃く刃が、次弾を放とうとする火縄銃を両断し。
無手となった兵士が刀に手をかけ抜き放つ――よりも早く、
「遅い!」
刀を振り抜く動きのままに、身を翻す蓮十郎の裏拳が、兵士の腕を、刀を、その胴を砕き跳ね飛ばし。
その身体が地に落ちるよりも早く、兵士の脇をすり抜け、残骸を足場として空を翔け。
速く、自在に、ディアボロス達は戦場を駆ける。
「さあ――決着を付けるぞ!」
●
「『――っ!』」
一瞬たりとも止まることなく、四方より鳴り響く銃声の中。
殺意をこめて縦横に走る魔弾が、その影に身を沈めた兵士の刃が、ディアボロスへと殺到する。
雑賀衆の振るうのは、一撃必殺を重視した傭兵式白兵術。
短筒に太刀、長銃による至近射撃も取り入れた、乱戦における最適解を汲み取る無型の武術であり。
「奇遇だな。俺も我流の剣……型が無いのは同様だ。剣だけとは思うなよ」
――自在に変化するその攻勢を打ち払い、駆ける蓮十郎が天魔の兵と切り結ぶ。
刃と格闘術と、義手に組み込まれた軽機関銃と。
幾重にも変化して繰り出す連撃が、兵士の銃を弾き、刃を義手にて受け捌き――その動きのままに、切り上げる一閃が正面の兵士を両断し。
続けて左右に放つ斬撃が、銃撃が、回り込む兵士を牽制して押し返すも、
『だが、まだだ!』
「「ああ――」」
「――まだだとも!」
左右の兵士が飛び退きざまに放つ銃弾を、蓮十郎と誠司の展開する盾が受け止め。
さらに続けて撃ち込まれる銃弾を、重力フィールドを纏い自在に飛翔するテラがすり抜けるように翔け抜ける。
前後に、左右に、弾丸をかわす度になお速度を上げて――続け、その勢いを殺すことなく急上昇から身を翻して敵を見据え。
「星覇重撃破(グラビティ・ブラスト)!」
振り抜く宝剣の切先から放つ重力波砲が、続く銃弾を受け止め、圧縮し。
砕け散るその破片を突き抜けて、返しとばかりに放つ誠司の魔弾が兵士を撃ち抜き体勢を崩して――、
「「そこだっ!」」
その機を逃すことなく、二人の射撃に並走するように飛び込む黒詠と透が兵士へと得物を閃かせる。
同時に閃く太刀と警棒が、体勢を崩した兵士を切り裂き打ち倒し。
振り向きざまに透が背後へと振るう警棒が新手の刃を受け止めると共に、一瞬、放たれた電撃に動きを止めた兵士へと黒詠が打刀を突き刺して。
「――ふっ!」
崩れ落ちるその身を足場として、大きく跳躍する黒詠が小銃を握る人形『子狐』と共に敵を見据え。
残骸を盾として相手からの射線を断ち切り、僅かに呼吸を整えると透は素早く術を展開する。
相手の本領は、一対多を念頭に置いた連携戦
影に身を隠し、銃を放ち、刃で切り込むその戦術が最も力を発揮するのは、敵味方の入り混じる集団の乱戦でこそ。
――けれど、
「策を弄せず突っ込めば思うつぼだ。だが――知っていれば対策もある」
「この量を対処するのは面倒ね……うろこちゃんにも手伝ってもらおうか」
『子狐』と共に空を翔け、太刀と打刀と小銃を続けざまに切り替えて頭上から切り込む黒詠の連撃が。
空腹状態の悪食で暴食な魚型人造魔物【うろこちゃん】を影に潜ませ、足元より襲い掛かる怪魚の牙と共に警棒を振るう透の連携が。
狙い定めた雑賀衆へと走り、銃弾を飲み込み、刃を砕き。
砕け飛び散る仲間の残骸をも遮蔽として、長銃を構える雑賀衆が魔弾を放つも――空を裂く魔弾を、その主を、同時に閃く蓮十郎と黒詠の刃が断ち切り、両断する。
「お前達の戦い方は知っている。だからこそ、そこが付け入る隙になる」
「故に殲滅だ。鉄屑残さず徹底的に」
選ぶのは持久戦にして包囲戦。
敵陣外周部より切り込む蓮十郎の刃が、黒詠の双刃が、誠司の警棒が、雑賀衆の刃と切り結び、弾き合い――、
「『――っ!』」
一歩飛び退く誠司へと追撃をかけようと、兵士が刀を握り前へと踏み出し――その視界を、ひらり、と舞う蝶の羽根が横切る。
『!? ――否!』
秋の季節にも戦場の場にも似つかわしくない無いその存在に、一瞬兵士は戸惑うも。
即座に意識を切り替え、誠司を見据え。
蝶を無視して距離を詰め、刃を振るうも――しかし、振り抜くその手には刀は無く、
『なっ!?』
「虫が何も出来ないと思ったか? それが命取りだ」
驚愕の声をあげる兵士を誠司の警棒が打ち倒す直後、僅かに離れた場所へと宙を舞う刀が突き刺さる。
模造製作:火花蝶(イミテーションメイク・スパークバタフライ)。
誠司がトラップメーカーから作り出したのは、特殊な粉を振りまく機械蝶。
羽ばたく度にその羽から振り撒く鱗粉は、敵と認識した相手へと降りかかれば電撃に打たれたようなダメージと痺れを齎す。
「戦闘中に近づく動物なんていないだろうが。強いと驕っているから気付かないんだよ――さあ、痺れさせてこい」
木々の影に、岩の裏に。
見えない場所へと潜ませていた機械蝶の群れが、誠司の指揮の下に一斉に空へと舞い上がり。
伏兵が振り撒く鱗粉に敵の動きが乱れた機を逃すことなく、透の呼び出す怪魚とテラの重力波が突き刺さり。
その連携に続け、ディアボロス達は駆ける。
「「お、ぉおおおおっ!!」」
踏み込み過ぎることなく、しかし体勢を立て直す間を与えることもなく。
刃と魔術と銃砲火器と、持てる全ての技と思いを乗せた連携が天魔兵を押し込み。
しかし、相手もまた包囲を突破せんと銃弾を続けざまに撃ち放ち――その銃弾を透の防壁が受け止め、影を泳ぐ怪魚との連撃で押し返して、相手を爆炎の中に包み込み。
同時に爆炎を裂いて放たれる銃弾を、テラの纏う重力フィールドの障壁が受け止める。
――けれど、
「――っ!?」
放たれた銃弾のその先。爆炎の中で炎よりもなお赤々と光を放ちテラを見据える機構眼。
その瞳の輝きに、テラの背に戦慄が走る。
(「あの弾丸……きっと避けられない」)
そう、直感した直後。
続けざまに響くのは、三連続で放たれる長銃の銃声。
一撃は重力場に受け止められるも、続く二射が空間に刻み付けられた弾痕を正確に射抜き、障壁を狙い穿ち。
そうして――障壁の穴を抜ける三射目の銃弾が、テラへと走り。
(「銃撃でそういう事も出来るのか……怖い……それでも…負けるわけにはいかないよな!」
同時に、怯えを振り切り剣を握るテラが、銃弾を見据えその刃へと全身の魔力を収束させる。
「星々よ……全てを繋ぐものよ……我が手に集いて力となり……我が前に立ちふさがりし者を粉砕せよ!!」
星の宝冠『レガリア』。四神紅翼『朱雀』。
ウィンディアの家に伝わる武具の力を開放し。
束ねた魔力は、星々の力を秘めたとされる宝剣――星刃剣『グランディア』の刃を一回り以上巨大な姿へと変じさせ。
「おれはお前達に狩られる奴じゃないぞ! 撃ち落されてたまるかーーーっ!!!」
振り抜く刃に乗せて放つ、全霊の魔力と思いをこめた極太の重力波砲が迫る銃弾を絡め捕り、その軌道を押し曲げて狙いを逸らし――なおも止まることなく、さらに強く、広域へと、放つ重力波が兵士達を薙ぎ払い。
「ああ。悪いが、既に貴様らの出る幕は無い」
「逃すことなく確実に、機能停止させるわ」
身を砕かれながらも兵士達が放つ、跳弾を重ねて重力場をすり抜けテラへと迫る銃弾を、飛び込む蓮十郎が盾と義手で打ち払い。
同時に、重力波が作り出す影の中に透が呼び出す怪魚の牙が兵士へと走り、次弾を放つ間を与えることなく噛み砕く。
戦いの流れはディアボロスに向いていて、残る兵士の数は両手で十分数えられる程度。
故にここからは、一気呵成に一網打尽に、
「綻びが見えたか。切り込むぞ」
敵を見据えて身を沈め。
鋭い呼吸と共に地を蹴る蓮十郎が、弾幕を潜り抜けて兵士へと肉薄する。
放つ斬撃が兵士を切り伏せ、受けられようとも続けて放つ蹴撃が、裏拳が、兵士を背後へと跳ね飛ばし。
続け、背後へと飛び退く相手へと、その左右から切り込む新手へと、
止まることなく切り込み、打ち合い、弾き飛ばし。
そうして――、
「追い込むぞ」
「うん、逃がさない――さぁ、おいで。うろこちゃん」
一か所へと集められた兵士を見据え、透は魔力を巡らせ影の中へと呼びかける。
蛇の紋瞳の力を開放し、手にした魔導書と宝石の力も最大限に引き出して。
呼びかける声は、より深く、より広く、影の中へと染み渡り――呼び声に応えて現れるのは、より多く、より強大な怪魚達。
「ご飯の時間よ。たんとお食べ」
その姿に透がそっと微笑み、言葉と共に手を打ち合わせ。
それを合図とするように、走る影を伝って襲い掛かる怪魚の群れが兵士達を噛み砕き、影へと引きずり込んで蹂躙し。
同時に、
「――っと、危ない。けど、召喚者本体を狙われるのも織り込み済みよ」
振り向きざまに透が閃かせる警棒が、背後からの銃弾を打ち払い。
その火花に紛れるようにして切り込む兵士の刃を、引き戻した警棒で受け止め――受けた箇所を中心として、折れ曲がる警棒が仕込んだ鎖を刃へと絡みつかせる。
『ouriço do mar』。通常時は警棒として携行するも、その本来の姿は折れたスタンロッドを改造した放電能力付きフレイル。
相手がその姿に対応する間を与えることなく、半歩、透が身を開くと共に腕を引き込み兵士の体勢を崩し――続け、関節を取って腕を引き込み、足を払い、兵士の体を地へと倒し。
「元々こういう鎧の相手を倒すために発達した技らしいからね。こいつらにも有効でしょ」
止めとばかりに深紅の機構眼へと振り下ろす一撃は、雷撃を纏ってその頭蓋を撃ち貫いて。
ふっ、と小さく息をつき。
そうして引き抜くと共に、さらに透が振り抜くフレイルの一閃が銃弾を打ち払い。
その直後、銃火を狙い誠司の放つ魔弾が兵士の手から長銃を弾き飛ばして。
「終わらせるぞ!」
続け、一息に距離を詰める誠司の警棒が、体勢を立て直す間を与えることなく兵士を打ち倒すと共に、背後へ構える大盾で背中を狙う銃弾を受け止め。
「狩られるのは俺達じゃない」
衝撃を身を半回転させて受け流すと共に、その動きのままに振り抜く警棒が兵士の刃と交錯し、火花と雷光を散らして弾き合い。
「――お前達だ」
弾かれ、飛び退くその先へと、先回りして配置する機械蝶の鱗粉に動きを封じられた兵士へと、抜き放つ誠司の魔弾が。
さらにその背後で銃を構える兵士へと、テラの重力波が、透の怪魚が、蓮十郎の携行型砲台の砲撃が。
一斉に放つ砲撃が空を裂き、雑賀衆へと突き刺さり。
――反撃と放たれる銃弾の連射を潜り抜け、敵を見据えて黒詠は駆ける。
「贋作の技など、無意味だという事を知らしめてやる」
握る太刀を、打刀を、共に駆ける『子狐』へと投げ渡し。
同時に閃く二刀が弾幕を切り裂く中、素早く、しかし確実に両手で握る小銃の狙いを定め。
「絶対に……絶対に通しはしない。せめてもの情けだ。一体残らず蹂躙してやろう!」
『子狐』の守りを抜ける銃弾が、一つ、また一つと頬や肩を掠めるも――それに心を乱すことなく。
標的を見据える黒詠の周囲に召喚されるのは、敵へと狙いを定める無数の種子島や抜き身の刃。
「残る相手は五体。一発じゃあ倒しきれん、二発じゃあ足りん。ならば……雨の様ならばどうだ?」
自身へと狙いを定める五つの長銃を見据え、引き金を引き――重なり響くのは五つの銃声。
音すら重ねて放つ五つの銃弾は、狙い過つことなく天魔の銃口を射抜き。
――直後、暴発に体勢を崩した雑賀衆へと、空を裂いて走る刃の雨が、銃弾が、そして『子狐』より太刀を受け取り一息に距離を詰める黒詠の斬撃が縦横に閃き、穿ち断ち切り、切り伏せて。
その後に残るのは、たった一人によって作り出される焼け野原。
戦技、連段撃ち。
「これが、貴様達が騙った雑賀の技だ」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
【飛翔】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
貴様等を放っておくと黒詠さんもしっかりと決戦に挑めないからな
其の為にもしっかりと露払いをさせて貰うさ!
此の城は破壊なんてさせやしない
此の地を開放し奪還するその為にも、な!
友が因縁に終止符を討つ為の戦いに赴くんだ
其れに助力をせずして如何して騎士を名乗れるものか!
貴様等に邪魔はさせはせん!
無双馬に〇騎乗し戦場を〇ダッシュしながら戦闘
敵に囲まれない様に警戒しつつ〇高速詠唱での〇連続魔法で〇双翼魔弾を敵を〇追跡する〇誘導弾としての特性を高めた上で周囲に放ち続ける
攻撃の優先順位は自身の近くの敵>攻撃を放とうとしている敵>味方を攻撃しようとしている敵の順
又、敵が至近距離まで近付いたら自信を巻き込むのも度外視し即座に自身の周囲に〇双翼魔弾を敵を〇追跡する〇誘導弾としての特性を強化した状態で〇高速詠唱の〇連続魔法によって大量にばら撒く〇捨て身の一撃を敢行
残像を残す程の機動力を持つと言えど転移をしてくる訳じゃない
ならば、周囲に魔弾を展開すれば此方に攻撃してくる前に幾らかのダメージは喰らう筈
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
問題なく避難が進んで良かった、ほっと胸をなでおろすよ。
義勇軍や村人の協力に改めて感謝しつつ、俺もまた俺の役割を果たそう。
雑賀衆と雑賀孫市、実に厄介そうな相手だね。
黒詠の様子が気になるけれど、だからこそ、
彼女が存分に戦える様に、別動隊の方は此方で引き受けたいと思う。
人々にも千早城にも、一切手出しなどさせるものか!
【パラドクス通信】で仲間と連携し、油断なく敵を迎え撃つ。
敵軍の動きを観察しつつ、有明月の名を持つ竜笛を吹き鳴らし、
生み出した幽玄の霧の幻の中に、敵を誘い、捕らえて、
【命中アップ】【ダメージアップ】の効果と共に、
心地よい毒によって密やかに確実に敵を蝕んでゆく。
勿論、反撃がある事も織り込み済みだ。
間合いを詰めようとする動きに合わせて、
パラドクスの幻に紛れる様にして間を開き、
目測を誤らせて命中を下げ、ダメージを軽減する。
敵が此方を無視して千早城への攻撃を優先する場合も、
仲間と連携して間に割り込み近づけさせないよ。
臨機応変に油断なく、冷静に対処していこう。
雑賀・黒詠
まさか奇襲部隊を放っておくと思ったか?
残念ながらそうはいかん。これは私の戦いでもあり人類の戦いでもある。
千早城には傷一つつけさせんよ。
上泉信綱の技は既に見て触れている。故にお前たちがここを突破することは叶わんよ。
貴様らも立派な簒奪者。新陰流、あるべき場所へ還させてもらう!
有象無象とは言えかの武功を輝かせた名を騙るもの、当然気は抜けない。
技の起こりを欠かさず見抜き回避、出来ずとも掠める程度に抑えたい。
人形「子狐」を用い上泉の動きを牽制させる、傷にならずとも決して無視は出来ない存在の筈、動きを崩すことは可能だろう。
その間にこちらは纏まった鉄屑を焼き尽くさせてもらおう。
致命に至らずとも衝撃と火炎の威力で弾き飛ばすことは可能なはずだ。
所詮貴様らは眼中にはない。無駄死にとして諦めよ。自爆特攻すら許さん。
小鴉の打刀、白鞘の太刀、種子島式小銃を用い、人形と武器を適宜入れ替えながら戦闘を行う。
相原・相真
避難に関してはこれでよし
それじゃ次に向かいましょうか
協力してもらった分、俺たちの役割はしっかりこなさないといけませんね
千早城の進むルートに合わせて先行していき、
[地形の利用・偵察]による周囲の把握を行いながら別動隊を捜索
敵を発見したら攻撃を仕掛けましょう
別行動している方がいれば【パラドクス通信】で連絡します
戦闘時は敵に接近していっての白兵戦
魔力の刃を纏った手刀による[斬撃]での攻撃を行い、
敵の攻撃は[残像・フェイント]を活かした高速移動でしのぎます
純粋な剣技などの能力では敵の方が上であることは承知済み
ですがそういう敵と戦ってきた経験ならこっちも負けていないはず
なら後は、勝機を逃さぬよう恐れず挑むのみです!
千早城狙いで突破されないよう周囲の動きにもできるだけ注意
他の皆さんとも連携を取って戦闘を行っていきましょう
この後のためにも後顧の憂いは残せない
確実に、あなた方にはここで倒れてもらいますよ…!
アドリブ・連携歓迎です
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
そっちの思う通りに何てさせるかよ
素早く動くとしても最終的には近づいてくるってんならやりようはある
後顧の憂いを断つっていうんだったか、後悔しないように今行動しておこう
【行動】
仲間とはパラドクス通信で声を掛け合い積極的に連携していく
まずはパラドクスを使用して踏むと動く物を凍らせる水を噴き出す罠を製作して周囲に撃ち込んでおく
背中側の攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンは背負って
前方からの攻撃は電撃警棒で受けて対処しよう
敵は必ず前から攻撃してくれるってわけでもなさそうだ
全方位に対処できるように心構えをしておこう
素早く翻弄するといっても攻撃は接近戦ということなら必ず近づく必要がある
だったらそれを利用して捕えてしまえばいい
真髄とはいえ俺に刃が届かなければ意味なんてないだろう
ついでに泥濘の地を発動させればもっと攻撃しにくくなりそうだ
必要なら臨機応変に対処する
「『――!』」
魔力を纏う相原・相真(銀腕・g01549)の手刀と、空を切り裂く天魔の刀と。
地を駆け交錯する二つの刃が火花と魔力光を散らしてぶつかり合い、弾き合い――、
「「そこだっ!」」
飛び退く天魔の兵へと、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)の魔力弾が、魔弾に並走する雑賀・黒詠(国境なき鍛冶師・g07640)の太刀が追撃を放ち。
――刹那、身を翻す黒詠が横へと飛び退けば、一瞬前まで立っていた空間を走り抜ける剣閃が黒詠を掠めて魔力弾を切り払う。
「やるものだ」
「ええ、ですが」
続けて翻り、追撃をかける刃を捌きながらも笑みを浮かべる黒詠に、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)もまた頷きを返し。
手にした竜笛を口元へと運び、奏でるのは幽玄の旋律。
霊気を宿して紡ぐ音色が天魔の刃へと絡みつき、太刀筋を鈍らせた刃を荒田・誠司(雑草・g00115)の盾が受け流し。
相手がその刃を引き戻すよりも早く――さらにもう一歩。
「そっちの思う通りに何てさせるかよ」
「まさか奇襲部隊を放っておくと思ったか? 残念ながらそうはいかん」
深く踏み込む誠司の雷撃を纏う警棒が、重ねて黒詠の放つ短銃の弾丸が、その胴を薙ぎ払い、撃ち貫いて。
「これは私の戦いでもあり人類の戦いでもある。千早城には傷一つつけさせんよ」
止まることなく崩れ落ちる相手の脇をすり抜け、先へと駆けるディアボロスの刃が、魔弾が、銃弾が、その背後に立つ新たな天魔の刃と交錯する。
防衛陣にて千早城の脚を鈍らせ、その隙をついて切り込み破壊工作を行う天魔の策。
その攻勢にさらされ続ければ、いかなディアボロス達が守る千早城とて甚大な被害が出ることは避けられないだろうけれど――だからこそ、
「此の城は破壊なんてさせやしない。此の地を開放し奪還するその為にも、な!」
「人々にも千早城にも、一切手出しなどさせるものか!」
怯まない、退かない。
絶対に通さないと、強い思いを込めて広域に放つルィツァーリの魔力弾と雪人の旋律が天魔の動きを牽制し。
その余波を突き抜ける新手が刃を閃かせる――よりも早く、
「遅い――その程度で」
「ここを通れると思うな!」
同時に切り込む誠司の警棒が、相真の手刀が、相手へと肉薄して無数の剣戟を作り出し。
その火花の下を潜り抜け、黒詠の操る人形『子狐』が突き出す太刀が相手の刃を絡めとり。
大きく横へと振り抜く動きで弾き飛ばすと共に、『子狐』の背後で黒詠が構える小銃が、体勢を立て直す間を与えることなく相手を撃ち倒す。
しかし――その背後から。さらにその背後から。
続けて現れる天魔の刃が、ディアボロスへと殺意を向ける。
個別の戦力としてはディアボロスが一歩勝れども、数としてはトループス級たる天魔が優勢。
――だが、
「それが、どうした!」
幾つもの刃を受け止め、押し込まれ――しかし、押し切られることなく長剣を操り、ルィツァーリは無双馬『スヴェルカーニエ』と共に踏みとどまり。
「貴様等を放っておくと黒詠さんもしっかりと決戦に挑めないからな。其の為にもしっかりと露払いをさせて貰うさ!」
「退いてもらうぞ!」
気合の声と共に放つ斬撃と、さらに重ねる誠司の警棒の一閃が相手を押し返し。
――同時に、
「っ、今の音は!?」
遠くから響く銃声に、相真は目を見開く。
聞こえてくる方角は戦場とは離れた――避難を呼びかけた村の方角。
「……まさか」
「いや、これは……」
その音に、雪人もまた息を呑み。
しかし、僅かに耳を澄ませて小さく首を振る。
聞こえてくるのは確かに銃声。
けれど、
「一定の間隔で数回、一呼吸程の間をおいてもう一度……これは、何かの合図かな?」
「『作戦失敗、帰還する』か。私の知る符丁と同じなら、だけどね」
「……なるほど」
小さく笑う黒詠に頷いて。
そっと息をつくと雪人は、相真は、真正面から敵を見据える。
実際にどんな内容だったかはわからないけれど――銃声が合図であるならば、別動隊の存在に気付かれる手段を使ったこと自体が、相手の策が上手く行っていないことの証。
「問題なく避難が進んで良かった、ということだね。なら、俺もまた俺の役割を果たそう」
「協力してもらった分、俺たちの役割はしっかりこなさないといけませんね」
義勇軍と村人の協力に、胸中で改めて感謝を向けて。
霊力を、魔力を、そして闘志を全身へと巡らせる。
まずは一つ、憂いは断った。そして――次に断ち切るべきは、もう一つの憂い。
「後顧の憂いを断つっていうんだったか、後悔しないように今行動しておこうか」
誠司が操作するトラップメーカーから走る光が戦場へと突き刺さり、その在り方を組み替え、無数の罠を作り出し。
雪人が紡ぐ有明月の名を持つ竜笛の調べに乗せて、生まれ揺蕩う幽玄の霧の中。
幾つもの残像を残して相真は、黒詠は、そして天魔は、刃を交わらせる。
「接続、起動。幻光閃撃……!」
「どちらだ、どこだと見ている暇など、与えんよ」
刃に小銃、手刀、蹴撃。
袈裟懸け、刺突、切り上げからの切り下し。
光の残像を纏い、高速で繰り出す相真の連撃が。
『子狐』との間で自在に武器を切り替える黒詠の連撃が。
続けざまに閃く刃が、打撃が、銃弾が、幾つもの技が光と火花を散らして交錯し――、
「『――っ!』」
切り込む相真の手刀を、絡めとる天魔の刃が外へとそらし。
続け、翻る一閃が首へと走るも――その刃が断ち切るのは相真の残す残像のみ。
同時に、
「そこです!」
首筋を掠める剣風を潜り抜け、踏み込む相真の掌打が天魔の胴を捉え。
合わせて飛び込む黒詠の刃はわずかに浅く、飛び退く相手の胴を掠めるにとどまるも――続けて『子狐』の放つ小銃の弾丸が、ルィツァーリの魔弾が、入れ替わりに切り込む相手を牽制する。
――しかし、
『『――温い!』』
その弾幕は相手の動きを牽制こそすれども身を穿つことなく。
かわし、切り払い、魔弾を潜り抜ける天魔の刃が、誠司の警棒と交錯して互いの腕に傷を刻み込む。
「さすがは上泉信綱、か」
「ああ、有象無象とは言えかの武功を輝かせた名を騙るもの、当然気は抜けないことはわかっているとも」
トループス級天魔武者『上泉信綱』。
纏うその名は歴史に名高き大剣豪。たとえトループス級と言えども、その剣の冴えは決して侮れるものではない。
だが――それでも、ここで止まるわけにはいかない。
取り戻さなければならないものがその先にあるのだから。
だからこそ、
「仕掛ける――この楽の音を聴くといい」
剣気を受け止め、敵を見据え。
視線を鋭くする雪人が奏でる笛の音が、静かに――そして確かに変化を見せる。
心に染み入るような穏やかな旋律はそのままに。
ここからが主題と告げるように、深く、広く、紡ぐ調べが戦場を満たす。
笛の音により霧を生み出し、心地良い幻の中に対象を捕らえるパラドクス『幽玄の霧』。
濃さを増して揺らめく霧が兵士を包み込み、ひそやかにその身を蝕んできた毒が手足を縛りつけ。
その霧の先に敵を見据えて、相真は身を沈め――鋭い呼吸と共に地を蹴り抜き、全霊を込めて前へと駆ける。
(「純粋な剣技などの能力では敵の方が上であることは承知済み。ですがそういう敵と戦ってきた経験ならこっちも負けていないはず」)
右腕の機構腕に魔力の光を宿し、さらに強く、速く、地を蹴って。
駆ける相真へと、同時に切り込む天魔が刃を走らせるけれど――、
「――なら後は、勝機を逃さぬよう恐れず挑むのみです!!」
その斬撃よりも、なお速く。
踏み込む相真は残像を残して刃をすり抜け、一瞬で背後へと回り込むと共に放つ手刀の一閃が相手を両断し。
「上泉信綱の技は既に見て触れている。故にお前たちがここを突破することは叶わんよ。」
続け、左右から、その背後から。
切り込む相手の刃を、黒詠が左右に閃かせる太刀と打刀が受け止め、受け流し――さらに一手早く、技の起こりを読んで先んじて走る太刀が二つの刃を抑え込む。
「貴様らも立派な簒奪者。新陰流、あるべき場所へ還させてもらう!」
その太刀が相手の刃を制したのはわずかに一瞬。
けれど――それだけの間があれば、切り込むには十分。
「駆けろ、スヴェルカーニエ!」
愛馬と共に駆けるルィツァーリが、その勢いを載せて繰り出す長剣『Аянга довтлогч』。
雷神の異名を冠した刃に、背に広げた翼から放つ魔力弾も重ねて突き込む渾身の一撃が、受け太刀を砕き、装甲を貫き、その身を跳ね飛ばし。
なおも止まることなく戦場を駆ける馬上から、ルィツァーリが続けざまに放つ魔弾の乱舞が空を裂いて周囲の敵へと走る。
「高速詠唱――連続魔法――受けろ、双翼魔弾!」
その魔弾のいくつかは敵を捉えて退けるも――しかし、それらを切り裂き、潜り抜ける天魔がルィツァーリへと迫り。
「いや、まだだ! 残像を残す程の機動力を持つと言えど転移をしてくる訳じゃない。ならば――!」
首を、胴を、心臓を。狙い閃く斬撃を、退くことなく振るう長剣で受け止め、押し返し。
さらに――魔弾の性質を変化させ、ルィツァーリの周囲に展開し高速で周回する魔弾の防壁が切り込む天魔の刃を一瞬鈍らせて。
続く斬撃は飛び退く天魔を掠めるに止まるも、その切っ先から放つ魔弾は幾つもの弧を描いて退く天魔へと追いすがる。
「誘導特性を与えた双翼魔弾だ。例え捉えることができずとも――」
「――動きを制限できれば、それで十分だ」
魔弾を裂いて閃く天魔の刃を誠司の警棒が受け止め。
鍔迫り合いの体勢から一歩後ろへと退けば、押し込もうと踏み出す天魔の足元がわずかに崩れ、その内より迸る水柱がその足を凍り付かせる。
パラドクスにて形成し、誠司が各所へと配置した、踏むと動く物を凍らせる特殊な水を放出する凍水の罠。
「罠設置:凍水(トラップインストール・フリーズ)。悪いが、そっちから先は通行止めだ」
素早い動きを得手とし、泥濘の地すらも平地の如く駆ける多数の相手との機動戦。
相手は正面にしかいないわけでもなく、警戒すべきは全方位。
けれど――全く対策ができないわけではない。
「素早く動くとしても最終的には近づいてくるってんならやりようはある」
止まることなく、死角を守り、仲間と背中をかばい合って。
戦術を、工夫を、自身にできることをできる限りで準備して。
――後は自身の全てをぶつけるのみ。
「簡単に通すなんて思うなよ」
誠司の振り抜く警棒が、脚を封じられた天魔の手から刀を弾き飛ばし。
そのまま引き戻す警棒を腰だめに構え、続け起動するのは背中に背負う大盾『フェイク・プリドゥエン』のジェット機構。
「――これでっ!」
『っ、まだだ!』
加速と共に電光を纏い、渾身の力で突き込む警棒の一撃が相手を貫き、撃ち砕き――その残骸を足場として、新手の天魔が大きく跳躍する。
その機械の目が見据えるのは、戦場を包む霧を生み出す雪人の笛。
『その霧、断たせてもらう!』
「そう来るか。ああ」
霧を裂いて閃く刃を――しかし、蝕む毒に僅かに目測を狂わせた刃を、霧に紛れる雪人が半歩退いてかわし。
続く刺突が放たれるよりも早く、踏み込むと共に相手の胸元に突きつけるのは左の掌。
「勿論、それも織り込み済みだ」
空を踊る五指が印を結び、紡ぐ呪と共に至近距離から放つ術の一撃が相手を貫き打ち倒し。
崩れ落ちる天魔から一歩退き距離を取ると、周囲へと視線を巡らせて雪人はそっと息をつく。
この戦場に立つ天魔武者は、千早城を狙う『上泉信綱』だけではない。
防衛陣を指揮する指揮官『雑賀孫市』と、その直属の護衛を務める『雑賀衆』もまた、僅かに離れた――しかし、手を伸ばせば届くほどの距離でディアボロスと刃を交えている。
「雑賀衆と雑賀孫市、実に厄介そうな相手だね」
いずれも容易ならざる難敵であり――同時に、仲間である雑賀・黒詠とも縁深き存在達。
「黒詠の様子が気になるけれど……だからこそ、彼女が存分に戦える様に」
「ああ。友が因縁に終止符を討つ為の戦いに赴くんだ。其れに助力をせずして如何して騎士を名乗れるものか!」
そっと竜笛を握りなおす雪人に、ルィツァーリも頷きを返し。
霧を裂いて走る剣風を、ルィツァーリの長剣と相真の手刀が切り払う。
相手の数は残り僅か。
けれど――その刃に宿る士気は衰えることなく、鋭さを増している。
たとえ一体であろうとも、千早城へと辿り着かせれば、その刃はどれだけの被害を作り出すか。
故にこそ、
「この後のためにも後顧の憂いは残せない。確実に、あなた方にはここで倒れてもらいますよ……!」
「千早城の進軍も、友の戦いも、貴様等に邪魔はさせはせん!」
呼吸を整え、敵を見据え。
突き刺さる殺気を、更なる闘志で振り払い
鋭く、速く――相真は、ルィツァーリは、地を駆ける。
「「お、ぉおおおおっ!!」」
風を裂き、地を蹴り抜き。
閃く相真の手刀と蹴撃と、無相場と共に駆けるルィツァーリの斬撃と。
幾つもの連撃が火花と魔力光を散らして天魔の刃と交錯し――光の残滓を切り裂く天魔の刃がルィツァーリへと走るも、割り込ませた剣が刃を受け止め。
それでもなお防ぎきれぬ衝撃が、刃を武器越しに肩へと押し込み、血をしぶかせるも、しかし、
「っ、だが、ここからなら避けられないだろう!」
刃を喰いこませたまま、痛みをこらえて強く笑って敵を見据え。
至近距離から続けざまに放つ無双の魔弾が、回避を許すことなく天魔へと突き刺さり、巻き起こる爆風がその身を弾き飛ばし――、
「まだだ!」
その爆風を突き抜け、駆ける『スヴェルカーニエ』の背でルィツァーリが長剣を強く握りしめる。
自身をも巻き込む爆風の衝撃は、ルィツァーリ自身にも少なからず残っているけれど
「これで、これくらいで、止まれるものか!」
決意と気迫を込め放つ一閃が、体勢を立て直す間を与えることなく天魔の体を両断し。
続け、気合の声と共にルィツァーリの全身を巡る魔力が翼へと集束し――双翼より撃ち放つ無数の魔力弾の弾幕が、左右から切り込む天魔の刃を押し返す。
ディアボロスの消耗は少なくは無い。けれど、相手の消耗はそれ以上。
「だったら――このまま!」
「ああ、押し切る!」
乱舞する魔弾に動きが乱れた天魔の軍勢を、弾幕の中に影を残して駆ける相真の手刀が、盾を構えジェット機構で翔ける誠司の警棒が。
そして、『子狐』と共に刃を閃かせる黒詠の連撃が退かせ。
追撃をかける雪人の術が飛び退く相手を打ち貫くも、その残骸を潜り抜けて別の天魔が左右へと駆ける。
――けれど、その動きはディアボロスへと切り込むためのものではなく。
「っ、右方、突破狙いに変わったよ!」
「「了解!」」
ディアボロス達を大きく回り込み、突破を図るその動きを見て取り。
パラドクス通信を通して伝わる雪人の声に頷きを返して。
渦巻く霧に足を鈍らされた相手のさらに前へと、相真は、誠司は、回り込む。
相手の狙いは千早城の破壊。
防衛に当たるディアボロスを撃破できれば最上であっても、全滅するまでそれに拘るとは限らない。
だからこそ、突破へと狙いを変えることもまた想定済み。
そして、同時に――突破へと狙いを変えたその動きは、目の前のディアボロスから意識を逸らして逃げを打つ動きでもある。
「怯みましたか――なら、これで終わりです!」
大きく横へと地を蹴り側面を抜けようとする天魔へと、それ以上の速さで地を蹴る相真が追いすがり。
同時に閃くのは、魔力光を纏う手刀と、抜く手も見せぬ神速の居合。
「『――っ!』」
影すら残すことなく、閃く二つの斬撃が真正面から交錯し。
ぶつかり合い、光を散らし――銀の手刀が刃を砕き、天魔の胴を切り裂いて。
続けて切り込む誠司の警棒を飛び退いてかわし、その左右を抜けて陣形を突破しようとする天魔の脚を、足元から噴き出す凍水の罠が凍てつかせる。
「通さない……いや、逃がさないぜ」
トループス級でありながら『上泉信綱』が強敵足りえたのは、ディアボロスを切るために全霊を刃に込めていたからこそ。
それを捨てた今の相手は――剣技は変わらずとも、ただの雑兵でしかない。
「真髄とはいえ俺に刃が届かなければ意味なんてないだろう」
誠司がトラップメーカーへと走らせる指がツールの上を踊り、そこよりあふれだす光の粒子が天魔兵の周囲へと幾重にも降り注ぎ。
作り出すのは、すり抜ける隙間も無い程に密集した凍水の罠の包囲陣。
そして――、
「所詮貴様らは眼中にはない。無駄死にとして諦めよ。自爆特攻すら許さん」
突破か、回避か、あるいは特攻か。
相手が次の動きを決めるよりも早く、敵を見据える黒詠が握る拳を空へとかざす。
「火神斬伏、誘十束刃。来我手上」
紡ぎ、捧げる言葉に応え、黒詠の手の中に顕現するのは、波打つ五尺の刃を持つ一振りの剣。
それは、鍛冶師の創造する力により生み出した幻想の刃にして、火の神を切り裂いた伝説の剣。
火焔の如き力を纏い、眼前に迫る災害を切り裂き、焔にて焼き尽くす。
その剣の銘は、
「――剣現・天之尾羽張」
振りかぶり、振り下ろす一刀は。
天魔のかざす受け太刀を、打ち払わんと放つ斬撃を――その全てを切り裂き、飲み込み、焼き祓う炎を解き放ち。
同時に、その炎は地下より噴き出す凍水と相混じり、巻き起こる氷炎の乱舞が天魔の兵を飲み込んで。
そして――、
「これにて終幕、と」
その嵐を包み込むように、雪人が呼び込む霧が渦巻き、覆い隠し。
ふっ、と。
息をついて曲を止めるのに合わせ。
吹き抜ける秋の風が霧を運び去ったその後には、炎も、冷気も、そして天魔の残滓すらも何も残ることはなく。
小さく安堵の息をつくと、雪人は周囲へと視線を巡らせる。
千早城の破壊を狙う別動隊は撃破した。
後は、防衛陣を――その指揮を執る天魔の将を打ち破るのみ。
「さて、ここからが本番だね」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
【パラドクス通信】がLV3になった!
【防空体制】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV4になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
「――さて」
静けさを取り戻した――否、静かな殺気が満たす戦場に立ち。
一瞬たりとも意識を緩めることなく、黒詠は視線を巡らせる。
防衛陣を形成する雑賀衆。千早城の破壊を狙う上泉信綱。
その全てを撃破し、残る者はただ一体。
「居るのはわかっている。姿を見せろ」
告げる言葉と共に放つ銃弾は、空を裂いて木々の影へと走り――僅かに揺らめく影の中から閃く刃に両断されて。
揺らめく影の中から浮き出るように現れるのは、一体の天魔武者。
『気付いていたか』
烏の翼を思わせるような黒塗りの鎧に身を包み、長銃を携えた天魔武者。
この作戦を指揮するアヴァタール級天魔武者『雑賀・孫市』。
――だが、
「いいや、用があるのはお前ではない。姿を見せろ――雑賀・孫市!」
『何――っ!?』
目の前の『孫市』の、さらにその背後。
時空を隔てた先に在りながらも、これまでに無い程に強く気配を感じさせるその存在を見据え。
黒詠が言葉を放つ――瞬間、世界が揺らぐ。
『――』
『孫市』を中心として、揺らぎ生まれるのは幾つもの幻影達。
それは、天正の地で、新宿島で、さらには別の時代と場所で。
活動し、戦い、倒された、幾人もの『孫市』達。
現れる幻影が『孫市』へと重なるたびに、世界の揺らぎはより強く渦を巻き――弾け飛び。
『成程、な』
バサリ、と。
巨大な鳥の羽ばたきの如き音と共に、一瞬、日の光が遮られ。
そうして――風が、変わる。
和泉国の秋の風から、黒詠の記憶に刻まれた風の色へと。
あの日の、あの場所で。この存在が纏っていた風へと。
「ようやく、引きずり出せたな」
色を取り戻した世界で黒詠と対峙するその姿は、一瞬前までの『孫市』とは何も変わることなく――しかし、決定的な何かが変化している。
否――この存在こそが『雑賀・孫市』。
アヴァタール級天魔武者『雑賀・孫市』の元となった、クロノス級たる天魔武者『雑賀・孫市』。
『そうか……これが宿縁ということか』
「ああ、決着を付けるぞ」
短く、言葉と視線を交わし。
黒詠と孫市は互いに得物を抜き放つ。
抱く思いは一つではなく、言葉にできるものだけでもない。
けれど、ディアボロスとして――否。雑賀・黒詠として、為すべきことだけは見誤りはしない。
故にこそ、ここからは銃と刀にて語るのみ。
「雑賀を騙る愚か者共よ。八咫の裁きを以て朽ち果てよ」
雑賀・黒詠
※連携・アドリブ可
元締めであり元凶。あの時は抵抗空しくやられた。しかし己の力不足、故にそこに恨みはない。
だが……その名を騙る事、それだけは許すことは出来ない。
貴様の様な鉄屑が、その覇気を、その思想を持つことを……私は決して許しはしない。
我が名は雑賀衆が最後の一人、十ヶ郷の黒詠。
過去の皆の恨みをここで晴らし、その首を貰い受けるべくここに立つ。
簒奪者よ。その名、この手に返してもらう!!
奴に撤退はあり得ない。それは傭兵たる雑賀衆だからだ。
例え偽りであろうともそこは身に染みたもの、故に単純明快。
奴を倒せば勝ち、此方が全滅したら負け。簡単な話だ。
懐に入るのは簡単ではない。
たどり着くまでに無数の弾丸、幻影を超えなければならない。
視線と殺気を捉え、何としても掻い潜るのだ。
向こうが残像を残す様に、私の軌道にも残像は残る。
それでも回避は完全ではない。
人形を先行させ切払い、影の相手をさせながら距離を詰めるんだ。
後ろは見ない。私は皆を信じている。
どれだけ傷つこうとも倒れはしない
縁が繋ぐ力、身を以て知るがいい
ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎
成る程
雑賀衆は銃が有名だが雑賀孫市の中には八丁念仏団子刺しの所持者を筆頭決して銃だけの者ではない
流石に其の名を騙るだけの事はあると言う事か
だが、本物なら兎も角貴様に射手として負けるつもりは毛頭ない!
道を切り開かせて貰うぜ!
どうした、どうした!
俺も相棒も未だ戦場に立っているぞ!
孫市の名を騙りながら俺のような子供すら討ち取れないのか!
天空奔りて月神討ちし我が神の焔矢受けてみるが良い!
さあ、決着は任せた!
最後の仕上げは貴女がやるんだ!
相棒の金色の肌のアハルテケ種である無双馬に◯騎乗し常に一箇所に留まらず◯ダッシュし続け戦闘
黒詠さんが懐に潜り込める様に目立つように敵の目を引き付ける様にして戦う
敵の放つ銃弾を巻き込む様に敵を◯追跡する◯誘導弾の特性を強化した◯ペルーン神の焔矢を◯連続魔法で発射し続け黒詠さんの方に意識を向ける暇がない様に立ち回る
敵の銃弾は致命的な負傷のみは避けつつひたすら攻撃
決着を黒詠さんがつけるまで敵の意識を惹きつけるられれば自分の勝ちだ
荒田・誠司
アドリブなど歓迎
【心情】
あとはお前だけだな、紛い物
そう簡単に倒せるとは思わないことだ
任せとけ!そっちも背中は頼んだぞ!
【行動】
仲間とはパラドクス通信を用いて連絡を取り合い積極的に連携する
黒詠の追っていた敵だからな
倒せるように全力でサポートする
パラドクスを使用して
扇ぐことで幻覚剤を撒く一対の鉄扇を製作する
後方は黒詠や仲間を信じてそのままにしておこう
前方からの攻撃は製作した鉄扇を使い対処する
分身するっていうのは厄介だが本体は一つしかない
鉄扇には敵にしか効かない幻覚剤が仕込まれている
何の効果もない鉄扇を使っているという演技をして
慢心させつつ全部に行き渡るように毒を振り撒こう
毒が効けば分身にも影響が出るだろうし
影響が出なくても本体なら何かしらの反応があるはず
敵全体をよく観察、情報収集し
反応を見逃さずに攻撃を仕掛けよう
必要なら臨機応変に対処する
篠村・蓮十郎
……あれが本体か。
確かに先のものとは違う様だが、成すべき事は変わらん。
ただ討ち滅ぼすのみ。
皮鉄を盾に接近を試みる
残像を伴う歩法で射線をずらし捕捉されぬ様努めておく
ある程度距離を詰め中距離に到達後
腕部内蔵型軽機関銃による制圧射撃で足止めを行い
更なる接近の為の布石とする
肉薄後は剣闘に専念
刀の切先と銃口の軌道を観察し攻撃に備えておく
一度捉えた以上、逃す訳には行かん
味方と連携し奴の行動を封じる
斬り掛かると見せかけておきフェイント
鋭いダッシュで死角へ回り込み挟撃に移る
絶え間無く手足、武器へ剣を打ち込み牽制を続け
機を見計らい大上段に構え[剣法・七胴]を放つ
例え防がれても問題は無い、狙いはここからだ
如何なる武も機動を封じられれば十全に発揮出来まい
剣の峰を右手で押し込み、諸共圧し斬るつもりで釘付けにする
薬袋・透
アドリブ絡み歓迎
少しの負傷も憶さない心意気
ふむ……なら僕は無数に放たれる弾丸の処理に専念しようかしら
パラドクスで火炎使いの全力魔法
軌道を看破した弾丸とぶつけ爆発させて相殺
あえて【飛翔】し空中での機動力を得る
当然目立つし狙い打ちにされる
確率も上がるかもね
でもそれが目的
弾は無数でも撃つ人物は一体、処理・認識能力には限度があるはず
陽動として動き黒詠ちゃんが斬り込むための隙を作るわ
相原・相真
アドリブ・連携歓迎
――なるほど、クロノス級。こうして比較すると確かに迫力が違う
けど、それでビビってもいられません
決着、ここでつけさせてもらいますよ!
敵へは旗槍を使っての接近戦をしかけ、
敵からの攻撃も同じく槍での防御で凌いでいきましょう
正面からの全力での打ち合いを挑んでいき、
敵の攻撃や注意を引き付けることで他の皆さんが動きやすくなるよう努めます
その他も周りの動きに注意し、ディフェンスや連携など必要に応じて動くつもりです
敵はクロノス級、言われていた通り力も意思も舐めてかかれる相手ではない
なのでもちろん倒すつもりで全力で仕掛けていくつもりですが、
気持ちとしては、できれば雑賀さんにとどめをささせてあげたいと思います
できるなら因縁は自分の手で断ちたいでしょうから
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
さあ、残すは雑賀孫市ただ一体。
そしてあれがクロノス級、元凶の一体なのだね。
城取りへの道を阻む天魔武者を倒すのは勿論だけど、
黒詠に因縁深い相手であればこそ、
彼女が思い残すことなく戦って、その因縁に終止符を打てるように、
俺もまた援護を行いたい。
引き続き【パラドクス通信】で仲間と連携して戦おう。
戦場に渦巻く皆の感情、熱くなり易い戦いだからこそ、戦況を冷静に見極めフォローする。
戦いに際し、再び手にするのは有明月の名の竜笛。
しかし今度奏でるのは幽玄なる調べではなく、
吹き荒れる嵐の様に、或いは天翔ける龍の鳴き声の如く、激しい音を吹き鳴らして、
『共鳴結界』のパラドクスを使用する。
笛の音の響きによって不可視の結界を形成し、
【命中アップ】【ダメージアップ】な攻撃的結界によって孫市の動きを縛り、
仲間の攻撃へと繋げたい。
例え孫市が音もなく複数に分かれても、幻影となって攻撃してきても、
笛の音は響き、結界を結ぶ。
反撃により再び敵の動きを妨害し、次の攻撃へと繋げていこう。
刃と刃、銃と銃。
人形『子狐』と幻影と。
雑賀・黒詠(国境なき鍛冶師・g07640)と『雑賀・孫市』と。
幾つもの影を残して切り結ぶ二人の間で、殺意が交錯するたびに無数の火花が弾け散り。
「『――っ!』」
火花を潜り抜けて切り込む黒詠の太刀を飛び越え、孫市の長銃がその背を捉え。
その銃口が火を放つ――瞬間、
「あとはお前だけだな、紛い物。俺達をそう簡単に倒せるとは思わないことだ!」
飛び込む荒田・誠司(雑草・g00115)の鉄扇が銃弾を受け止め。
弾き、逸らすと共に、逆の腕で投げ放つ鉄扇の刃が孫市を牽制し――続け、地を踏み、柏手を打つ文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が展開する結界が、飛び退きざまの銃弾を受け止め光を散らす。
「助かった――背中は」
「ああ、任せとけ! そっちも背中は頼んだぞ!」
短く、しかし確かな信頼をこめて、黒詠は、誠司は頷きをかわし。
二人と共に、雪人は静かに呼吸を整えて『敵』を見据える。
「ともあれ、残すは雑賀孫市ただ一体……そしてあれがクロノス級、元凶の一体なのだね」
クロノス級天魔武者『雑賀・孫市』。
岸和田城、城取りへの道を開くために倒さなければならない障害であり、黒詠と因縁深い縁を結ぶ宿敵。
ディアボロスとして――黒詠として、乗り越えなければならない存在。
故に、
(「彼女が思い残すことなく戦って、その因縁に終止符を打てるように、俺もまた援護を行わないとね」)
呼吸を整え、精神を集中し。『有明月』の名の竜笛を再び口へと運び。
霊力をこめて奏でるのは、先刻までの幽玄の調べではなく、吹き荒れる嵐の様に、或いは天翔ける龍の鳴き声の如く、激しい旋律。
強敵に、宿縁に――挑み、戦い、乗り越えると。
決意をこめたその巨躯が戦場を満たす中。
黒詠の放つ短銃の射撃に合わせ、誠司が両手に作り出す鉄扇を広げ、投げ放ち。
空を裂く銃弾を、鉄扇を、孫市が抜き放つ白刃が閃き切り落とすも――、
「「――おおっ!」」
その扇の影に身を隠し、扇を飛び越えて。
続けて切り込む相原・相真(銀腕・g01549)の旗槍『Bravely』が、篠村・蓮十郎(鋼剣・g09914)の鉄刀が、孫市の黒刀と切り結ぶ。
刺突、袈裟懸け、薙ぎ払い――切り上げからの、切り下し。
刃を交えるたび、かわすたび、受け止めるたびに伝わる力は、これまで戦ってきたアヴァタール級天魔武者と大きく異なるものではない。
けれど――、
「――なるほど、クロノス級。こうして比較すると確かに迫力が違う」
「……これが本体か。確かに先のものとは違う様だが」
抱いている気迫が、刃にこもる気迫が。
僅かな、しかし確かな違いとなって相真の槍を、蓮十郎の刀を押し返す。
これが、クロノス級天魔武者。
無数に存在するアヴァタール級天魔武者の原典。
「けど、それでビビってもいられません。決着、ここでつけさせてもらいますよ!」
「成すべき事は変わらん。ただ討ち滅ぼすのみ」
それでも、怯むわけにはいかない。負けるわけにはいかない。
首を狙う斬撃を相真が受け止め、そのまま槍を巡らせ刃を制し。
その機を縫って、切り込む蓮十郎の刃が飛び退く孫市を掠め――、
「っ!」
飛び退きざまに孫市が残す妖気が像を結び、実体となった幻影の孫市が蓮十郎の鉄刀を受け止め。
返し放たれる刃を、身を沈めざまに蓮十郎の横薙ぎが両断するも――その背後で、さらに二体の幻影が銃を構え。
「成る程――雑賀衆は銃が有名だが、雑賀孫市の中には八丁念仏団子刺しの所持者を筆頭に武勇の逸話も残っている。決して銃だけの者ではない。流石に其の名を騙るだけの事はあると言う事か」
放たれる銃弾を、ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)の振り抜く長剣が切り払い。
続け、さらに数を増して周囲を包囲する幻影を、薬袋・透(無彩の魔女の系譜・g02087)の放つ無数の火球が、放つ銃弾ごと纏めて焼き払い。
燃え盛る炎の先――焼き払われる幻影達の先で銃を構える『雑賀・孫市』その本体を見据え、掌の上に火球を灯す透が、長剣の刃に炎を纏わせるルィツァーリが、その腕を振りかぶり。
「侮れる相手じゃないのは間違いないわね。だけど――」
「ああ。だが――本物なら兎も角貴様に射手として負けるつもりは毛頭ない! 道を切り開かせて貰うぜ!」
撃ち放つ、想いを燃やす火球が、神力を宿す焔矢が。
二種二重の炎が、幻影を突き抜け孫市へと突き刺さり、爆炎を巻き起こし。
(「元締めであり元凶。あの時は抵抗空しくやられた。しかし己の力不足、故にそこに恨みはない」)
爆炎の中から自身を見据える視線を受け止め、見返し、黒詠は短銃を構える。
突き刺さる殺意と敵意、敵の纏う覇気。それらはすべて、あの時と同じもの。
「だが……その名を騙る事、それだけは許すことは出来ない。貴様の様な鉄屑が、その覇気を、その思想を持つことを……私は決して許しはしない」
黒詠が、同胞が、そして過去の雑賀衆の皆が積み重ね、繋いできた『その名』と想い。
それを奪い返すと誓ったからこそ、黒詠は今ここに居る。
「我が名は雑賀衆が最後の一人、十ヶ郷の黒詠。過去の皆の恨みをここで晴らし、その首を貰い受けるべくここに立つ」
黒詠の放つ銃弾が、炎を裂いて走る銃弾が。
同時に走る二つの銃弾が真正面からぶつかり合い。
爆ぜるその響きを開戦の号砲とするように。
人形『子狐』と共に切り込む黒詠が。
幻影を伴い炎の中から切り込む孫市が。
銃を、刃を、交錯させる。
「簒奪者よ。その名、この手に返してもらう!!」
●
「「『――っ!』」」
銃弾、双炎、陰陽術。
鉄刀、旗槍、鉄扇。
ディアボロスとクロノヴェーダが交わす幾つもの力と技が交錯し。
飛び交う銃弾の中で敵を見据え、雪人が紡ぐ結界が孫市を捉えて動きを縛り。
一瞬、狙いが乱れた孫市の銃弾を誠司の鉄扇が打ち払う――その下を、
「見えたぞ」
「――そこですっ!」
残像を残す歩法で距離を詰める蓮十郎が、魔力の光を纏い地を蹴る相真が、孫市へと肉薄する。
閃く鉄刀と穂先と、孫市の黒刀が交錯し。
幾つもの火花を散らして弾かれながらも、その勢いを利用して刃を、槍を巡らせ。
大きく振りかぶる動きから切り下す斬撃が、追撃をかける幻影の刃を真正面から両断し。
背後へと突き出す石突での足払いから、横薙ぎへとつなぐ槍が周囲の幻影を打ち払い。
続け、その勢いのままに大きく身を翻し、振り抜く槍が――その旗が、周囲の幻影が放つ銃弾を絡め捕って打ち払い。
その旗の影に身を隠すように切り込む黒詠の斬撃を、残像を残す孫市がすり抜けるようにかわすも――宙に残り、そして実態を結ぼうとする残像を、先行させる『子狐』の打刀で切り散らせて。
「「「まだっ!」」」
その先へと駆ける人形の影を追うように、黒詠は、相真は、蓮十郎は――ディアボロス達は、追撃をかける。
相手は天魔武者『雑賀・孫市』のオリジナル。
その身に修めた技と経験と、無数の弾丸、幻影を乗り越えて懐に入るのは簡単なことではない。
『――』
飛び退く動きから即座に左右へ、上空へ。
その名に背負う八咫烏が如き身のこなしで戦場を縦横に飛び回り、無数の幻影を従える孫市が放つ銃弾を。
脚を止めることなく切り払い、潜り抜けてその先へ。
(「相手の視線と殺気を捉えろ。動きの先を読め。何としても搔い潜るのだ」)
前後左右、全方位から狙われていると錯覚しそうなほどの弾幕の中。
その圧を切り裂いて黒詠は前へと顔を向け、そうして――、
(「後ろは見ない。私は皆を信じている」)
「「ああ、任せろ」」
その思いに応えるように、その背を狙う幻影の銃を誠司の両手の鉄扇が受け流し。
その動きのままに左右の手から投げ放つ鉄扇は、雪人が奏でる笛の音に運ばれるようにして空を走り、幻影を切り裂き、消滅させて。
「――今です」
「「ああ!」」
続け――切り裂かれた幻影の先の孫市を見据え、雪人が小さく息を吸い。
力を込めて曲を奏でれば、強く、激しく、旋律が導くように、孫市へと向けて霊気の風が吹き抜けて。
その風に乗るように、誠司の投擲する四枚の鉄扇が、黒詠の放つ小銃の銃弾が。
続けざまに走る三重のディアボロスの連撃が、幻影を切り裂き孫市へと走り――、
「まだだ! 我が神ペルーン神の焔矢を受けてみるが良い!」
「まだよ――乙女心のように弾けて燃えて、恋心!」
さらに重ねて、ルィツァーリが顕現させる巨大な大砲と、透の合わせた掌の中で燃え盛る火球と。
渾身の力をこめて同時に放つ二つの火球が孫市へと突き刺さり。
爆ぜ散る炎の残滓を踏み砕き、宙を舞う火の粉を吹き散らして。
「駆けろ、スヴェルカーニエ!」
「無彩の魔女の系譜の力、見せてあげる!」
反撃とばかりに放たれる銃弾を突き抜けて、金色の肌の無双馬『スヴェルカーニエ』を走らせるルィツァーリの長剣が孫市の黒刀と交錯し。
切り結び、弾き合い――至近距離からの長銃の銃弾が、受け止めたルィツァーリの身を押し返し。
踏みとどまるルィツァーリへと放つ追撃の銃弾を、上空から透の放つ想いの火球が焼き払い――、
「どうした、どうした! 俺も相棒も未だ戦場に立っているぞ!」
その間に体勢を立て直し、無双馬と共に駆けるルィツァーリの長剣が孫市を退け。
なおも止まることなく、戦場を駆けるルィツァーリの剣が続けざまに放ち続ける焔矢が。
より速く、さらに高くと飛翔する透の放つ火球が。
体勢を崩した孫市へと、周囲を満たす幻影へと、続けざまに突き刺さり――同時に、炎を裂いて跳弾を重ね、幾つもの軌道を描いて走る銃弾が二人へと突き刺さる。
雑賀衆頭領『雑賀孫市』。その名を纏うクロノス級天魔武者。
剣技においても、砲術においても、その力はディアボロスの数段上を行く。
――けれど、
「っ、その程度か。孫市の名を騙りながら俺のような子供すら討ち取れないのか!」
「そんなのじゃ、僕達は止められないよ!」
歯を食いしばり、足を止めることなく。
幻影を、銃弾を、放つ炎で焼き払い。
駆けるルィツァーリの炎刃が孫市の刃と交錯する中を、さらに高く透は飛翔する。
「記憶を対価に、万物を灯火に。皆全て煌々と燃えて尽きたれ――」
対価を捧げ、魔法を紡ぎ。
出来る限りの多数の幻影を視界に収め、放つ炎は数多の幻影を飲み込んで。
――同時に、幻影の放つ銃弾もまた、透へと突き刺さる。
「そうだよね。目立てば、狙い撃ちにしてくるだろうけれど……でもそれが目的よ」
多数の幻影、多数の銃弾。
倒しても幾らでも産み出されるその数は、無尽蔵とも思えてくるけれど――、
「弾は無数でも撃つ人物は一体、処理・認識能力には限度があるはず。そうなれば――」
「必然、一つ一つの動きは鈍る、か」
広域に放つ炎と銃弾がぶつかり合うその中を――動きが単調化した幻影をすり抜けざまに切り裂きながら、駆ける蓮十郎が刀を閃かせる。
胴を断ち切り、首を刎ね。
崩れて消える幻影の脇をすり抜け、さらにその先へ。
呼吸を鋭くして身を沈め、黒の天魔武者を視界に収め。
地を蹴り、敵を間合いに捉え――その寸前で相手が飛び退き、長銃を構えるも。
「遅い」
それよりもさらに一手早く、蓮十郎の突き出す右腕から機関銃の弾丸が走り。
僅かに狙いのそれた銃弾を周囲に浮遊させた防御装甲『皮鉄』で受けると共に、さらに強く地を蹴り。
「捉えたぞ、雑賀孫市。剣法・七胴」
握る鉄刀を大上段に構えて渾身の力で放つ一太刀は、孫市の呼び出す二体の幻影を纏めて切り裂き、受け止めた黒刀越しに孫市の肩鎧をも切り飛ばし。
続け、飛び退き距離を取ろうとする孫市へと、それを許すことなく踏み込む蓮十郎が追いすがり、強引に刃を合わせて鍔迫り合いの体勢へともつれ込ませる。
「一度捉えた以上、逃す訳には行かん」
押し込む力は受け流されるも、至近距離からの銃撃を身を逸らしてかわし。
その動きを利用し身を半回転させて孫市の足を払い、わずかに体勢崩したところに半歩踏み込み肩を当て。
密着の体勢から放つ体当たりは、飛び退く動きで受け流されるも――逃すことなくさらに踏み込み、合わせた剣の峰を右手で押し込み、諸共圧し斬らんばかりの力をこめて孫市を抑え込む。
技量においては孫市は蓮十郎の数段上を行く。
この力押しの強引な抑え込みも、もう三手とかからず捌かれ、詰みまで運ばれるだろう。
けれど、それで――それだけあれば、十分。
「如何なる武も機動を封じられれば十全に発揮出来まい!」
「一手封じられれば、それで十分です」
押し込む鉄刀を受け流す孫市の刃が、蓮十郎の義手へと食い込み――切り飛ばすよりも僅かに早く。
孫市を中心として雪人が展開する結界が、孫市を捉えてその力を抑え込み。
動きを、力を、封じ込まれて押し込まれた孫市が次善の動きへと移る間を与えることなく。
背後へと回り込む相真が、握る槍へと想いを籠める。
槍と共に踊る長い旗布に籠めるのは、迷いあろうと、自分の決めた道を往くという誓い。
その不滅の意志を刃に宿し、敵を見据え。
裂帛の気合と共に、思い、信じて振り抜く一閃が。
「行きます、切り裂け……!」
孫市の腕を深々と切り裂き、刃を捉え、弾き飛ばして。
続く斬撃を飛び越え、宙にある刃へと手を伸ばす孫市を見据えて、ルィツァーリは握る長剣を天へと掲げる。
「その隙は与えない! ――空駆けし天空の神よ、偉大なる雷神よ! 我が敵を討つ為に御身の焔矢を降らせたまえ!」
ルィツァーリの手にする長剣『Аянга довтлогч』。
それは、雷神ペルーンの異名と言われる『雷で打つ者』の名を冠した、祝福を受けし長剣。
その切っ先が炎を纏い――巻き上がる焔の中から顕現するのは、一門の巨大な大砲。
その砲門より撃ち出すのは、ペルーン神が敵を屠る為に放つ炎の矢に由来する、神の力を借りた誘導弾。
「天空奔りて月神討ちし我が神の焔矢受けてみるが良い!」
渾身の魔力をこめて、放つ砲撃が孫市を捉えて炎の中に包み込み。
――しかし、
「まだまだ、やる気は十分ね」
「ああ。奴に撤退はあり得ない。それは傭兵たる雑賀衆だからだ」
幻影達を盾として炎を凌ぎ、その中で銃を握る孫市の姿に、透は小さく息をつき。
黒詠は僅かに笑みを漏らす。
相手は雑賀を騙る偽りの存在。だが――例え偽りであろうとも、その名の意味は軽く無い。
「例え偽りであろうともそこは身に染みたもの、故に単純明快。奴を倒せば勝ち、此方が全滅したら負け。簡単な話だ」
「そっか。なら――」
炎の先の銃口を黒詠の小銃が撃ち抜き。
僅かに生まれた間を縫って、透はその手をそっと自分の胸に当てる。
組み上げる術は、思いを燃料として万物を燃やす禁術にして秘術。
燃やすのは、大切な人への恋心。
その心は燃やせば失われるけれど――恋人を思う恋心は、いかに燃やせど尽きることなく無限大に湧き上がる。
故にこそ、この炎は何度でも、どこまでも燃え上がる。
「爆ぜて、弾けて、恋心! 有頂天乙女(ポッピン・クレイジー・ラヴァーズ)!」
あらゆるものを触れれば燃やす超高濃度のエネルギー球が、孫市の銃弾とぶつかり合い――その炎を突き抜ける銃弾を、透がその手で掴み取り。
手を焼くその痛みすらも力と変えて、透は拳を握りしめる。
「っ、けど――勝つのは僕達よ!」
さらに重ねて放つ炎が、追撃の銃弾すらも飲み込み幻影を焼き祓い。
なおも止まることの無い炎が孫市の鎧を、手足を、焼き溶かし。
「黒詠ちゃん!」
「――ああ!」
その機を逃すことなく。
追撃をかけんと、決着を付けんと、地を蹴る黒詠と誠司が地を蹴り――同時に、閃く刃が内から炎を切り裂き。
火の粉を散らして走る銃弾を、誠司の鉄扇と黒詠の太刀が同時に閃き切り払い。
続け、切り込む黒刀を、誠司が両手に広げる鉄扇で受け止め、打ち払い――弾かれるも、入れ替わりに切り込む黒詠と『子狐』と、一人と一体が繰り出す銃と刀の連携攻撃が孫市と切り結び。
銃と刀と、幻影と人形と。幾つもの技と刃が交錯し。
そうして――飛び退きざまに黒詠が放つ小銃が、その動きに合わせて誠司が放つ鉄扇が孫市へと走り。
その扇を閃く刃で切り落とし、呼び出す無数の幻影と共に孫市の構える銃口が誠司の胸を照準に捉え――、
『――!?』
引き金を引く寸前、その動きがガクリと大きく乱れ。
直後に切り込む黒詠の刃が、飛び退く孫市に刀傷を刻み込む。
「即席製作:夢幻の霧(インスタントメイク・ファントムミスト)。夢幻のままにってな」
ようやく効いてきたな、と。笑みを浮かべる誠司の手の中で、握っていた鉄扇が形を失い崩れ去ってゆく。
閉じれば短棒として、広げれば盾として、あるいは投擲武器として。
鉄扇の用途は多岐にわたるけど――トラップメーカーから誠司が制作したこの鉄扇の本領は、その内に秘めた幻覚を見せる毒の粉。
「分身するっていうのは厄介だが本体は一つしかない。毒が効けば分身にも影響が出るだろうしな」
敵のみに効果が出るよう調整し、気付かれないように、少しずつ戦場中に散布し。
そうして、今、毒は戦場全てを十分な濃度で満たしている。
「さて、もう分身は通じないぜ」
「ええ、舞台は整いました」
これまでよりも一回り大きな鉄扇を作り出し、大きく横へと振り抜き毒混じりの風を巻き起こし。
孫市を見据える誠司と並び、雪人はそっと頷き笛を口へと運ぶ。
戦場の環境は把握できた。
天の気と地の気も満ち満ちている。
そして、舞台の中心に立つべき相手はそこにいる。
「では、終演としましょうか」
眼を閉じ、精神を集中し。
雪人の奏でる音色が戦場を満たし、作り出すのは一つの結界。
霊力をこめた音の響きで結ぶ領域は、例え孫市が音もなく複数に分かれても、幻影となって攻撃してきても、決して見逃すことは無い。
「共鳴結界」
とん、と。術の完成を告げるように、雪人が地面を踏むのを合図として。
結界と結んだ領域を――戦場全体を清らかな風が満たし、妖気の結晶たる孫市の分身を消滅させて。
なおも残るその残滓を、ルィツァーリの長剣と相真の旗槍が祓って散らしたその先へと。
「――さあ、決着は任せた! 最後の仕上げは貴女がやるんだ!」
「因縁は自分の手で」
「追い続けていた敵だからな。いってこい」
ルィツァーリは、相真は、そして誠司は、黒詠を送り出す。
必勝、と言えるほど、互いの状況に差があるわけでは無い。
それでも、勝てると。乗り越えられると信じて。
「ああ、終わらせてくる」
仲間の、友の想いに頷きを返すと、黒詠は『子狐』と共に孫市へと駆ける。
「日輪は我らと在り」
紡ぐ言葉と共に、その身と得物に纏うのは、精巧に練り上げた霊気の光。
走り、飛び、切り結ぶ。その所作全てが残像を残し。
幾つもの残像を駆ける軌道に残して、黒詠の刃が、銃弾が、孫市の刃と交錯する。
「『――っ!』」
首を狙う斬撃を身を沈めて潜り抜け。
その動きから足首を狙う刃は飛び退きかわされるも、身を起こしざまの切り上げが孫市へと走り。
同時に、その刃と孫市の飛び退きざまの銃撃が交錯して、互いの腕に、肩に、傷を刻み――しかし。
止まることなく、怯むことなく、黒詠は、孫市は、地を蹴り刃を走らせる。
それは傭兵として、命を賭して任務を果たす雑賀衆としての覚悟。
「どれだけ傷つこうとも倒れはしない。それはお前も同じ覚悟だろうが――お前と私は背負っているものが違う」
見据える先で孫市が朧気に妖気を纏い、新たに二体の幻影を作り出すも――その幻影の刃を、先行させる『子狐』の太刀で受け止め、その脇をすり抜けて。
「縁が繋ぐ力、身を以て知るがいい」
過去の雑賀衆の皆と、今を共に生きて戦う仲間達。
幾つもの縁と想いをその身に背負い。
放つ銃弾と銃弾がぶつかり合い。
踏み込む足は、さらに一歩深く、懐深くまで切り込んで。
放つ刃は、音は遅れ、影すら残される速さで以って閃いて――、
「その名。確かに返してもらったぞ」
刃を振り抜く黒詠のその背後で、音も無く孫市が崩れ落ち。
僅かに遅れ、カツンと、長銃が軽い音を立てて地面へとぶつかって。
その音が、一つの宿縁の終わりを告げるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
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最終結果:成功 |
完成日 | 2023年11月23日 |
宿敵 |
『雑賀・孫市』を撃破!
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