キャメロット城攻城戦~ブルワーク突破作戦(作者 坂本ピエロギ
5


#幻想竜域キングアーサー  #キャメロット城攻城戦<後編>  #キャメロット  #キャメロット城攻城戦 

●新宿駅グランドターミナル
「お疲れ様です。キャメロット城の攻略は、皆さんのお陰で順調に進んでいます」
 涯辺・こより(人間のガジェッティア・g03387)は集合した復讐者たちへ、今回の作戦について語り始める。
 キャメロットの迷宮制圧から開始された攻略作戦は現在、佳境を迎えつつある。優秀な指揮官を前半戦で撃破したことで、城の防衛能力が一時的に大きく落ちているためだ。
「指揮系統が混乱している今なら、城の奥まで一気に突入することが出来ます。このチャンス、ぜひ活かしましょう!」
 今回の作戦は城内に突入し、混乱している敵を掃討し、城の奥深くへの道を切り開くことが目的となる。
 重要なのは、敵が防衛体制を整える前に一つでも多くの成果を得ること。城内には複数のジェネラル級の『円卓の騎士』が居ると目されており、城内の敵を掃討するほど、より多くのジェネラル級と決戦を行うことが可能となるだろう。
 攻略旅団の方針次第では、断片の王である『アーサー・ペンドラゴン』に決戦を挑んだり、『円卓の間』を始めとする重要なクロノ・オブジェクトの探索などを行えるかも知れないと、こよりは告げた。

 本作戦の撃破目標は、城内を防衛するトループス級『騎士竜ナイトドラゴン』の一団だ。
「敵はメインとなる通路を守る部隊です。この通路は城内の重要な場所へ繋がっている可能性が高く、撃破しておけば今後の戦いも有利になる筈です!」
 現場の通路はドラゴンでも移動可能なように作られた巨大な一本道の構造をしている。
 騎士竜たちは、その道中をブルワークと呼ばれる頑丈なブロックの堡塁で塞いで防衛ラインを構築しており、無策で真正面から突っ込めば苦戦は免れ得ない。飛翔を利用した行動は言うに及ばずだ。
「どうやら敵は急拵えで防衛ラインを構築したようです。そのせいか、ブルワークの数か所には人が潜れる程度の隙間があるようですね。上手く抜ければ内側の騎士竜たちを攻撃できるでしょうけど……隙間の存在は彼らも承知している筈ですから、無警戒ということは無いと思って下さい。うまく突破するなら連携行動は必須になるでしょう」
 なお、この壁はクロノ・オブジェクトなので普通の手段では壊せないが、パラドクスで攻撃すれば一部分を破壊することも出来る。破壊中は敵の攻撃を一方的に浴びるが、壊しさえすれば後は守りを失った敵を撃破するだけだ。
 隙間から忍び込むか、堡塁を破壊するか、苦戦を覚悟で正面から進むか。あるいは全く別の方法を取るか――。
 いずれの方法にせよ激戦となるのは必至。だが、このメイン通路は敵にとっても生命線のひとつであり、制圧すれば後々の戦いで復讐者の有利に繋がるだろう。

「皆さんの連携次第で攻略の方法は色々あると思います。厳しい戦いですけど、どうかがんばって下さい!」
 2年以上に渡るキングアーサーとの戦いも、いまや決着は目前に迫りつつある。
 長き戦の結末に向けて、どれだけ有利な状況を作れるか――今回の戦いは、その岐路とも言っても過言ではない。
「さあ、行きましょう皆さん。ドラゴンたちが奪った歴史を取り戻すために!」

●幻想竜域キングアーサー
 キャメロット城内は騒然とした空気に包まれていた。
 出撃した指揮官が戦死し、城内に突入してきた復讐者を迎撃する戦闘が城のあちこちで始まっていたからだ。
 それは此処、主要部へと繋がるメイン通路のひとつも例外ではなかった。
『じきにディアボロスどもが攻めて来る。この先へは一歩も通してはならん!』
『挑発に乗らず防衛に専念しろ。城内の迎撃態勢が整うまでが勝負だと思え!』
『堡塁の隙間も警戒を怠るな!』
 巨人が手で積んだような大型ブロックの堡塁は、優に高さ10メートルを超えるだろうか。復讐者の行く手を阻む横一列の分厚い障壁を盾にして、騎士竜たちは規律正しい動きで迎撃態勢を固めていく。復讐者との戦いに備える彼らの士気は高く、油断や慢心の気配は微塵もない。
『全ては、我らが王の為に!』
『王の為に!』『王の為に!』
 キングアーサーを、そして断片の王を守る為なら、命など惜しみはしない。
 キャメロット城内に鬨の声を轟かせ、騎士竜たちは襲撃してくる復讐者を待ち構えるのだった。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【迷宮化】
1
洞窟や家屋、砦などの内部を迷宮に変化させる。迷宮化により、敵は探索や突破に必要な時間が「効果LV倍」される。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【防空体制】
1
周囲が、飛行する存在を察知しやすい世界に変わる。ディアボロスが屋外を飛行中の敵を発見するまでに必要な時間が、「効果LVごとに半減」する。

効果2

【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ダブル】LV1

●マスターより

坂本ピエロギ
 坂本ピエロギです。
 キャメロット攻城戦の後半戦、第二弾と参りましょう。
 以下、作戦の詳細となります。

🌍現地情報🌍
 キャメロット城内(幻想竜域キングアーサー)

✏作戦概要✏
 本シナリオでは、キャメロット城への突入作戦を行います。
 リプレイは城内に突入した時点から開始。通路を守るナイトドラゴンの部隊と戦い、これを全滅させれば作戦成功です。
 敵は重要な通路を防衛する部隊であり、ここで叩いておけば旅団提案に絡むシナリオ展開が有利になるでしょう。

 選択肢は①のみ。執筆は最速で28日の8:30より開始し、公開は最低でも1日開けて行います。
 参加者多数の場合、プレイングに問題が無くても不採用となる場合がございますので、予めご了承下さい。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
74

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


雑賀・黒詠
【アドリブ、連携可】
気が付けば敵大将のお膝元か......流石に警備は厳重なようだ。
そう簡単には通してはくれないだろう。しかし通れてしまえば後に続くのは間違えない。
故に失敗は許されない。何としてもここを制圧し、未来を切り開くのだ。

流石に頑丈な堡塁だが、やはり急拵えと言うこともあり僅かにほころびも見える。あの穴ならば通り抜けることは出来るだろう。
ただ無策で行けば集中砲火は必須だ。故に策を弄する。
先鋒も引き受けよう、そうすることで他の位置にいる竜達もこちらを向くだろう、そうすれば他の味方も攻勢に出やすい筈だ。
多少の傷は致し方あるまい。
先に人形「子狐」を潜らせ敢えて竜達の注意を引かせよう。直ぐに見抜かれてしまうだろうが一瞬なら何とかなろう。
その隙に私も入り込み、そこで初めて交戦だ。人形に気を引かれている間に背後から切り裂こう。
神を切り裂く火焔の刃、その頑健な鎧で耐えられるかな?

人形に小鴉の打刀、種子島式小銃を持たせ牽制させる。その隙に剣現を用い、切り裂いていく。


玖珂・藤丸
※アドリブ連携歓迎

詳細は把握出来ておりませんが、どらごん? とやらを追い詰められているようですね。
このまま断片の王の元まで向かえるよう、警備をぶちのめしていきましょう!

堡塁はパラドクスで壊せるということであれば、シンプルに破壊すれば良いですね。
我が相棒『杭喰具』を持って、さっそく【玖珂式模造術"総員銛投げ雨霰"】を使用!
無数の銛を一気に投げ込むことで、堡塁ごとトカゲもどき共に攻撃です。
堡塁が壊れたことを確認出来たら、そのまま《突撃》しましょう

炎を吐く敵と闘うのは初めてですが、海の漢は負けません!
反撃のブレスが来ても、あえて突っ込んで殴り返せる距離まで近づけたら、『振掬』を振り回してぶん殴る《捨て身の一撃》です。
我らが船の錨、とくと味わってもらいましょう!


リューロボロス・リンドラゴ
ふん。小癪な。
壁ごときで竜を押し止めれるものか!
城壁をぶち壊してこそのドラゴン!
壁ごと蹂躙してくれ……む。
あれは子狐……。
となると黒詠の仕込みか。
子狐を囮にした上でバレたとしても注意を惹きつける二重の策か。
ならば話は別よ。
友の心意気と作戦を我が台無しにするわけにはいかぬし、黒詠ならやり遂げようぞ。
簒奪者共の意識と攻撃が黒詠に向いた時こそが勝負よ!
堡塁をぶち抜いてくれるわ!
我が迷宮、敵を迷わし、冷気で仕留めるだけでなく質量兵器としても使えるのでな!
堡塁をペッシャンコにしてくれるわー!
ダイナミック築城である!
破壊中は一方的に攻撃されるところであったが、敵の注意は黒詠に向いておったからな。
初動は遅れ、その分被弾も減るであろうよ。
無論無傷とはいかぬがそこは【ガードアップ】よ!
【迷宮化】の方はこの状況ではおまけであろうが、一足先に入り込んだ黒詠が囲まれにくくなれば儲けものよ。
逆説連鎖にはあまり意味がなかろうが一瞬でも虚をつければ良し、つけねどもそんなものよ!
さあ対空攻撃で我も敵を討ち滅ぼそうぞ!


喩・嘉
※連携・アドリブ歓迎

策を弄す必要のある攻城戦とは、まさに俺のためにあるような戦場だな

幸児が堡塁の隙間から潜入する隙を作るため、まずは俺が陽動となる
「全力で堡塁を破壊しろ」などと「演技」をして声高に言いつつ
羽扇を振るい、幻影の工兵を召喚すると、
彼らを指揮してある種の壁にしつつ、爆撃での堡塁への攻撃を派手に行う
こちらに注目が向いてくれれば何より。激しい攻撃に晒されるだろうが、突出しないことで消耗を可能な限り減らす。

幸児をはじめに、潜入した仲間たちが内側から敵の背後をついてくれたところで呼応し、工兵へ指揮
派手な攻撃の裏で堡塁の弱点を「看破」し、仕込ませていた爆弾を起爆。
仲間たちと共に陽動であった堡塁の破壊を実際に完遂させてしまう。

堡塁さえ崩してしまえばこちらのものだ。
あとは工兵への指揮を続け、全力で戦うのみ。押し潰してやる。


守都・幸児
※連携・アドリブ歓迎

攻城戦で俺たちとやり合おうとはいい度胸だ
受けて立ってやろうじゃねえか

喩嘉が陽動してくれている隙を狙って、俺は堡塁の隙間から潜入するぞ
【光学迷彩】を使いながら
他の仲間たちとは別の隙間を選んで、手分けして潜入する
堡塁の内部に入ったら陽動におびき寄せられている敵群の背後を取り、挟み撃ちにしてやるぞ

俺の使う技は「虚無の剣」
武器の鬼鉱刀にパラドクスを乗せて使う
斬り裂いた敵の存在を抹消する技だから
隙間を通る最中に敵に遭遇したら速やかに攻撃して
騒がれる前に倒して進む
特に隙間から出るときが見つかりやすいだろうから注意して
喩嘉の工兵の爆撃のタイミングに合わせて走り出て物陰に隠れながら移動する
俺の図体は隠密向きじゃねえが
でかいドラゴンの軍が相手ならそう目立たずに済みそうだな

敵群の背後を取れたら
【光学迷彩】を解除して敵群を奇襲、混乱させてやるぞ
潜入した他の仲間も無事隙間を抜けて交戦開始したのを確認したら
外の喩嘉たちに「今だ」って大声で呼びかける
もう遠慮はいらねえ
邪魔な堡塁を壊しちまってくれ


 指揮官のアヴァタール級を撃破した復讐者たちの猛進撃によって、キャメロット王城は大混乱に陥っていた。
 城内では既にあちこちのエリアが陥落し、深部へ続く通路の幾つかも丸裸と言っていい状態だ。幻想竜域キングアーサーを統治する象徴であったキャメロットは、今まさに未曾有の危機に直面していたのである――。

『ディアボロスが来たぞ!』『これ以上、奴等を進ませるな!』
 そんな城内の一角、主要部へ繋がるメイン通路のひとつで、騎士竜ナイトドラゴンの一団は復讐者を待ち構えていた。
 彼らが守る通路には巨大ブロックが防壁よろしく積み上げられ、容易には突破を許さない。
 城内の反撃態勢が整うまで重要な通路を死守するという、騎士竜たちの決意が伝わってくるようだ。
「ふん。小癪な。壁ごときで竜を押し止められるものか!」
 そうして築かれた堡塁を前に、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は戦意も旺盛に言ってのけた。
 彼女は今回の攻城戦で華々しい活躍を見せる復讐者の一人で、制圧した戦場も2つや3つでは足りない。邪魔する城壁などぶち壊してこそドラゴンだと言わんばかり、龍を名乗る少女は全身で戦う意欲を見せている。
「我は壁の攻撃を引き受けよう。友の心意気と作戦、我が台無しにするわけにはいかぬからな!」
「頼りにさせて貰うよ。何としてもここを制圧し、未来を切り開かねばね」
 リューロボロスの向けた視線に、雑賀・黒詠(国境なき鍛冶師・g07640)は面で隠した顔を微笑ませた。

 復讐者たちの勝利条件は騎士竜たちを全滅させること。
 これを達成する為には、彼らを守るブルワーク――クロノ・オブジェクト製の堡塁を如何に突破するかが肝であり、復讐者たちは今回、『潜入』と『陽動・壁破壊』の二手に分かれて攻略する方針を立てていた。

「この攻城戦では、どらごん? とやらを追い詰めることが目的なのですね。微力ながら協力致します!」
 壁破壊担当の一人、玖珂・藤丸(海の漢・g09877)が力強い口調で言う。
 彼は今回の作戦が、幻想竜域キングアーサーでの初仕事となる復讐者の一人だ。ドラゴン勢力や現在までの経緯について、完全に把握していると言えないことは自覚している。それでも、奪われた大地を取り戻すことにかけて、クロノヴェーダへの怒りにかけて、何ら変わることはない。
「このまま断片の王の元まで向かえるよう、トカゲもどき共をぶちのめしていきましょう!」
「そうだね、ここは何としても勝ちたいところだ。しかし……向こうの警備は中々に厳重なようだね」
 黒詠は堡塁に展開する騎士竜たちを見回して、呟いた。
 敵の数自体は、少なくないが多くもない。壁の向こうにも隠れているため正確な数までは把握できないが、漂って来る気配は明らかに大群のそれではなかった。その点は彼女にとって有難い要素の一つだ。
「私は敵の懐に潜入して、敵の注意を引きつける。そうすれば他の味方も攻撃が遣り易い筈だ」
「よし、なら俺も協力させて貰うぞ」
「うむ、頑丈そうな堡塁だが、通れそうな隙間が幾つか見えるな。分散して潜入した方が作戦も楽になるだろう」
 黒詠に続いて名乗りを上げたのは、守都・幸児(祥雲・g03876)だ。
 その隣では、急拵えで積み上げられた敵の防壁を見遣って喩・嘉(瑞鳳・g01517)が呟く。幸児と嘉もまたキングアーサーの作戦は今回が初だが、戦いに臨む不安とは彼らは無縁だ。
 互いを信じ、仲間たちと連携し、今までに幾つもの戦場を潜り抜けて来た。例え初めての戦場であろうと気後れは無い。
「策を弄す必要のある攻城戦とは、まさに俺の為にあるような戦場だな。……頼りにしているぞ、幸児」
「おう。ドラゴンども、攻城戦で俺たちとやり合おうとはいい度胸だ。受けて立ってやろうじゃねえか」
 攻撃開始の準備を完了して、信頼を宿した微笑を交わす。
 そして、幸児と嘉が――いや、彼らだけでは無い全員が心に誓う。どれほど激戦になろうと必ず勝ってみせると。
「キャメロット攻城戦、私たちの勝利で飾らないとね」
「ええ。歴史を奪ったクロノヴェーダ共は全て滅ぼします!」
「いざ参るぞ! 壁の一つや二つ、粉微塵に破壊してくれよう!」
 陽動・壁破壊は、嘉と藤丸とリューロボロス。潜入は、黒詠と幸児。
 最深部への道を切り開くため、復讐者たちの防衛ライン突破戦がいま始まろうとしていた。

「これより堡塁を破壊する! 工兵部隊、進め!」
 戦いは、嘉の宣言と共に幕を開けた。
 羽扇を高く掲げると同時、嘉の背後から次々と現れたのは工兵の幻影だ。羽扇による指揮のもと、破壊対象の堡塁へ向けて工兵たちが進んで行く。
 無論、それを騎士竜が見逃すはずはない。プラズマ火球のブレスが、たちまち戦場に降り注ぎ始める。
『敵を近づかせるな! 攻撃を集中させろ!』
「怯むな、全力で堡塁を破壊しろ!」
 騎士竜からの集中攻撃に晒されながら、嘉が果敢に羽扇を振るう。
 しかし――実のところ、これは身を挺した時間稼ぎの演技。騎士竜を相手に嘉が立ち回りを演じる同刻、潜入を務める二人は早くも堡塁の隙間に身を滑り込ませることに成功していた。
「……さて、ここからが本番だね」
 うまくフェイントに掛かってくれれば上々だけど――そう小声で呟きながら黒詠は気配を殺すと、和人型人形【子狐】を囮に壁の隙間を進んで行く。そして、傍から見れば生きた人間の様に見える人形が隙間を抜けたその直後、
『敵襲だ! ディアボロスが抜けて来たぞ!』
「やれやれ、流石にそこまで楽には行かないか。……火神斬伏、誘十束刃。来我手上!」
 試みが失敗に終わると同時、黒詠は素直に方針を交戦へ切り替えた。
 発動するは『剣現・天之尾羽張』。鍛冶師の創造する力により生み出した幻想の刃は灼熱の焔を帯びて、全てを焼き尽くす一閃を見まう。それは正に火の神を切り裂いた言い伝えの如く、騎士竜の群れをパラドクスの熱で飲み込み、瞬く間に消し炭へと変えていった。
「神を切り裂く火焔の刃、その頑健な鎧で耐えられるかな?」
『ぐわああぁぁぁっ!』『怯むな、何としても押し返すぞ!』
 難を逃れた騎士竜の一体が、雷を纏って黒詠へ突撃。
 速度と体重を込めた一撃に、黒詠の体が軋みを上げる。決死の勢いで迫る騎士竜の体当たりに踏ん張って耐えながら、黒詠は相手を睨みつけて言った。
「多少の傷は覚悟の上だよ。……それよりいいのかい? 私に構っていて」
『ぐっ……!』
 黒詠の意図を即座に理解し、歯噛みする騎士竜。
 侵入者に手を割けば、堡塁を攻撃する復讐者への対応は薄くなる。その隙を彼女の仲間たちが見逃すはずはない。
 果たして黒詠の言葉は完璧な形で的中し、激しい衝撃となって堡塁を襲った。

 轟音が断続的に走る。
 堡塁の破砕音が悲鳴を上げるように響くたび、リューロボロスの哄笑が戦場に木霊する。
「くはははは、今こそが勝負よ! ぶち抜いてくれるわ!」
 黒詠の作った好機を一秒たりとも逃すこと無く、ドラゴニアンの少女は堡塁に攻撃を仕掛けていた。
 発動したパラドクスは『孤竜の居城』。城内の天井すれすれに出現した氷の巨大迷宮を、大規模質量攻撃として叩きつける豪快な一撃だ。そのまま勢いよく落下した迷宮は巨大な槌めいて激突。騎士竜たちが築いたクロノ・オブジェクトを無慈悲に圧し潰していった。
 逆説連鎖戦においてパラドクスは仲間を傷つけない。故に、集中攻撃の勢いが衰えた今、リューロボロスの一撃には一切の遠慮も容赦も存在しないのだ。
「堡塁をペッシャンコにしてくれるわー! ダイナミック築城である!」
 地震めいた振動。轟音。ダメージアップで威力を増した迷宮が、暴れ狂うドラゴンのように堡塁を蹂躙する。
 ひしゃげ、砕け、亀裂を生じ……直撃を受けたクロノ・オブジェクトはたまらず周囲に破片を飛び散らせた。
 並の構造物ならば、この時点で決着はついていただろう。だが急拵えとは言え攻撃に耐えることを目的に作られた堡塁は、いまだその機能を完全に失ってはいなかった。
『まだだ……! 此処より先には通さん!』
 騎士竜のブレスがリューロボロスを捉える。
 背水の陣で臨む覚悟を込めた炎と風のプラズマは、たしかにドラゴニアンの少女に命中した。しかし、ガードアップで硬化した肉体の前に、その一撃は致命打とは成り得ない。
「ふん、端から無傷で勝とうなどとは思っておらぬよ。このまま押し通らせて貰う!」
『調子に乗ってくれる……! おい、あの小娘を狙え!』
 復讐者とドラゴン、パラドクスが飛び交う戦場で騎士竜が同胞たちに声を掛けた。
 次に直撃が来れば堡塁は保たない。そうなれば、頭数も多くない騎士竜の部隊は全滅必至だ。尚も堡塁を攻撃し続けようとするドラゴニアンの少女を放置することは、あまりに危険すぎた。だが、
『……? どうした、応答を――』
 そこで騎士竜は気づく。
 先程まで共に行動していた同胞が、いない。死体どころか影も形も消え失せているのだ。
『いないだと……!? そんな、一体どこに行った!!』
 想像を超えた、起こり得る筈のない事態に直面し、騎士竜の声に初めて焦燥が滲んだ。
 襲撃を受けた際は滞りなく対応できるよう、彼らは王城を守る精鋭として徹底的に訓練を重ねている。それが仲間に黙って姿を消すなど絶対に有り得ないことだった。まして防衛ラインが突破され兼ねない危機の瀬戸際である。
 幸いにも――或いは不幸と言うべきか、その理由はすぐに判明した。
「よう」
『な……っ!?』
 崩れた堡塁の陰から現れた幸児に、騎士竜はすぐさま動いた。
 誰何の言葉などは投げない。ここに復讐者がいるという事実は、彼の同胞が既に討たれたことを意味するからだ。
 刃尾の先端に聖なる光を凝縮し、攻撃態勢を取る騎士竜。だが幸児が振るう『虚無の剣』はそれよりも速かった。
「むん!」
 無骨な『鬼鉱刀』の一閃がパラドクスを乗せて、敵の肉体を切り裂く。
 絶命した騎士竜の肉体が、無の力によって切り裂かれた空間もろとも消失し、後にはただ『無』が残るのみ。もはや答えることもない、この世界から消え失せた二体のドラゴンに手向けるように、幸児はぽつりと呟いた。
「中々手強かったぞ、てめぇら。光学迷彩も速攻で見破られちまったしな。……けど、もう終わりだ」
 堡塁の陰に身を隠しながら、幸児は戦場の状況に目を向ける。
 状況は完全に復讐者の優勢だ。他の仲間たちが交戦を開始し、既に敵側には戦死した騎士竜も出始めている。ここで堡塁を破壊すれば、ドラゴンたちの敗北は決定的となるだろう。
 幸児は深呼吸をひとつ。
 腹に力を込めて、戦場一帯に轟くような声で、嘉と仲間たちへ呼びかけた。

「皆、今だっ!!」

 次の瞬間である。
 ズン、ズンと響く衝撃が、堡塁を構成するブロックのど真ん中で立て続けに走った。
 嘉が駆使する『幻衡軛陣』のパラドクスによって、工兵の幻影が仕掛けた爆弾を堡塁の懐で起爆したのだ。ダメージアップを乗せ、かつ一か所を狙い定めた一撃の威力は凄まじく、堡塁は音を立てながら崩壊していく。黒詠と幸児による潜入攻撃、リューロボロスの攻撃と嘉の二人がかりの攻撃――それらが結実した瞬間であった。
 崩れた壁の向こうに映るのは主要部へ続く道と、絶望する騎士竜たちの顔。そしてサムズアップする黒詠と、幸児の姿。
「……さあ、もう邪魔な壁は無い」
 その景色に嘉は微笑むと、掲げた羽扇を勢いよく振り下ろした。
 もう耐える必要はない。ここから先は、自分たちの反撃の時だ。
「後は全力で戦うのみ。覚悟は良いか、騎士竜ども」
『くっ……何としてでも押し返せ!』『敵は満身創痍だ! 余力は無いぞ!』
 生き残った騎士竜たちは、しかし隊列を即座に立て直すと、尚も果敢に復讐者へ攻撃を行って来た。
 ここで敗れれば通路は陥落する。城の深部へと続く道を守る彼らにとって、それは死よりも重い屈辱なのだろう。
 だが次の瞬間、そんな彼らの僅かな戦意は完全に消し飛んだ。崩れ去った堡塁の先、藤丸が担ぐ巨大な銛。人の背丈ほどもある其れが、彼らの脳天へ向けられていたからだ。
『――!!』
「余力が無いとは、言ってくれますね。……我らが船の錨、とくと味わってもらいましょう!」
 愛用する杭喰具を振り被り、『玖珂式模造術"総員銛投げ雨霰"』を発動。
 同時、騎士竜の頭上からオーラで生成した銛が降り注いだ。パラドクスの力を帯びた無数の銛で、藤丸はドラゴンの群れへ容赦なき全力攻撃を叩き込む。増幅した怒りを乗せた放った一撃は、騎士竜の群れも堡塁の残骸も一切合切を粉砕していく。
 今こそ決着の時。藤丸は拳を突き上げ、壊滅寸前の敵陣めがけて突撃を開始した。
「皆さん! 今こそトカゲもどき共を蹴散らす時です!」
 藤丸の檄が、復讐者の心に火を点ける。
 幸児が、嘉が、黒詠が、リューロボロスが、一斉に復讐者の牙を剥く。
 壊滅寸前の騎士竜ナイトドラゴンを滅ぼし尽くし、今こそ戦いに終止符を打つために。

「もう遠慮はいらねえ、暴れまくろうぜ!」
「残る敵は片手で数える程度か。あまり無茶はするなよ、幸児」
「気が付けば敵大将のお膝元か。悪いけど突っ切らせて貰うよ」
「対空攻撃で我も敵を討ち滅ぼそうぞ! 龍の力、思い知るが良い!」

 かくして――最後の攻撃は開始された。
 ダブルの効果が藤丸に流れる時間を加速する。杭喰具を担いだ藤丸は、守りを失った騎士竜の一団を狙い定めて、二度目の銛投げ雨霰を繰り出した。獲物と定めた巨大な魚に、とどめの一突きを叩き込む漁師のように。今は復讐者であっても、元は銛打ちを主な稼業としていた身である。仕損じることはない。
「炎を吐く敵と闘うのは初めてですが、トカゲもどき共などに海の漢は負けません!」
『ぬ……ぬおおおおぉぉぉぉ!!』
 降り注ぐオーラを浴びた騎士竜たちが次々と絶命して斃れ行く中、残る四人が我先にと突撃する。
 それから敵を全滅させるのに、復讐者たちはさしたる時間を要しなかった。

「……ふう、何とか片付いたね。お疲れ様」
 黒詠は仲間に戦闘不能者がいないことを確かめると、静寂を取り戻した通路の先を見遣る。
 主要部に繋がる道の先は闇に覆われ、奥で待つものは未だ知れない。だが、王城を巡る戦いが折り返しを迎えつつある今、その謎は直に明らかとなるだろう。
「中々に大変な戦いでしたが、勝てましたね。是非とも、このまま完全勝利と行きたいですね!」
「ああ。皆で力を合わせて勝った……って感じだったぞ。皆、本当にお疲れ様だっ!」
「敵も中々にしぶとかったが、無事に勝利出来たな。この経験、今後に活かさせて貰おう」
 キングアーサーの作戦で初勝利を挙げた喜びを藤丸が噛み締める中、幸児と嘉も仲間たちと喜びを分かち合う。
 作戦は大成功と言って良いだろう。陽動し、潜入し、攻撃し……誰か一人でも欠けていたなら、もう少しは苦戦していてもおかしくない戦いだった。
 奥に進めば、更に熾烈な戦いが待っているだろう。だが如何なる困難が待とうとも、復讐者は決して負けはしない。
 二年と数ヶ月に及ぶ戦いの終止符は、まさに目前に迫っているのだから。

 幻想竜域キングアーサー、キャメロット王城の一角。
 ひとつの戦いの終わりを告げるように、復讐者たちの上げる勝鬨が響き渡った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【防空体制】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【迷宮化】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年10月29日

キャメロット城攻城戦<後編>

 ディアボロスの活躍により、攻城戦で障害となる優秀な前線指揮官の各個撃破は、最大限の成果を上げることが出来ました。
 キャメロット城は、幻想竜域キングアーサーの根拠地である為、城内の防衛戦力は強大ではありますが、指揮官不在では、その戦力を有効活用できません。
 この混乱を利用して、キャメロット場に深く攻め込んでください。

 キャメロット城の混乱が収まり、敵が防衛態勢を整えてしまえば、それ以上の攻略は不可能となるので、短期決戦で可能な限り成果を出しましょう。

※キャメロット城攻城戦後の作戦について
 <前編>での成功数により、攻略に必要な成功数が低下&選択肢が減少しました。
 <後編>の成功後、アーサー王を護る円卓の騎士(ジェネラル級ドラゴン)との決戦が発生します。
 シナリオ数が多ければ多いほど、決戦可能な円卓の騎士の数は増加します。
 成功数10以上:1体
 成功数15以上:2体
 成功数20以上:3体
 以下、成功数が5増えるごとに、決戦可能な円卓の騎士が1体追加されます。

 円卓の騎士を撃破しておけば、幻想竜域キングアーサーに対する歴史の奪還戦ディアボロス・ウォーを有利に進めることが出来るでしょう。
 攻略旅団の提案があれば『アーサー王との決戦』や『円卓の間(など重要なクロノオブジェクト)の探索』といった作戦を挑む事も可能です。
 そうした提案が採用された場合は、ジェネラル級との決戦1体分の代わりに、提案内容に沿った重要シナリオが運営されます。

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#幻想竜域キングアーサー
🔒
#キャメロット城攻城戦<後編>
🔒
#キャメロット
🔒
#キャメロット城攻城戦


30




選択肢👾トループス防衛ライン『騎士竜ナイトドラゴン』のルール

 ディアボロスの侵入を防ぐ為に、トループス級クロノヴェーダ(👾)による防衛ラインが引かれています。
 防衛ラインは、都市を守る城壁や、道を塞ぐバリケード、関所の検問や、秘密基地の監視所などがありますが、この防衛ラインをクリアしなければ、事件の核心に迫る事は出来ません。
 防衛ラインを守るクロノヴェーダは、防衛拠点を利用して戦う為、戦闘で有利になります。
 なんの工夫も無く漠然と戦うだけでは、苦戦(🔴を得やすくなる)してしまうので注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。