リプレイ
●序幕
「結界が破られたというのか!?」
「きっと、ディアボロスだ! ディアボロスの仕業だ!」
「いや、ディアボロスごときにあの結界が破れるわけがない!」
「し、しかし、現に……」
本城の周囲でドラゴンや竜鱗兵たちが騒ぎ立て、走り回っていた。
しかし、全員が冷静さを失ったわけではない。
「あーぁ、新しいメイクを試そうとしてたのに邪魔が入っちゃったー。まあ、いいけどね。メイクなんかしなくても、あたしは十二分に……いえ、百二十分に可愛いんだから」
愛嬌のある顔立ちをした雌ドラゴンが混沌の坩堝の中を悠然と進み行く。巨体ゆえに足音は重い(『ズシンズシン』と響いている)が、歩き方はしなやか(『しゃなりしゃなり』といったところ)だ。
「それにしても……みぃーんな、テンパッてるわねー。この分だと、親衛隊の呼集には時間がかかりそう」
自分を可愛いと信じて疑わないドラゴン――綺羅竜シャイニィは足を止めると、恐慌状態の同胞たちを改めて見回し、あざとい仕草で溜息をついた。
「だけど、敵は待ってくれないでしょうね。この機を見逃すようなおバカちゃんだったら、そもそも城壁迷宮を破れるわけないもん」
異常なまでに自己評価が高いシャイニィではあるが、だからといって、敵を不当に低く評価するような『おバカちゃん』ではないらしい。なればこそ、多くの兵士を率いる立場に就いていられるのだろう。
「ってことは……やっぱ、一人で出撃するしかないかー。援護なしで相手するには厄介な敵かもしれないけれど――」
周囲の観察を終えたシャイニィは前方に向き直った。
ドラゴンらしかぬくりくりとした瞳の中で炎が揺れている。
ドラゴンらしい闘志の炎が。
「――あたしは負けない! なんてたって、可愛いは正義だし! 可愛いは無敵だし! 可愛いは勝利の合い言葉だしー!」
アイドルめいたポーズを決めて、シャイニィは背中の翼を広げた。
そして、戦場へと飛び立った。
一里塚・燐寧
あは。なかなか個性的なビジュアルのドラゴンもいたもんだねぇ
顔だけならドラゴニアンの女の子でもやっていけそーじゃん
あっ、中身についてはノーコメントでお願いねぇ
≪テンペスト・レイザー≫を手に参戦するよぉ
幻や尻尾から放つ光に狙いを邪魔されづらいよう【完全視界】を発動
能力の触媒になってるっぽい尻尾を標的に『呪式:飛翔怨斬』を放つ
あはっ。目で見えるなら、そこはもう剣の間合いなんだよねぇ~
敵が反撃で発生させる幻覚は……針地獄のような注射器の山
病弱だったあたしの心の中に残ってる、無意識のトラウマ
だけど一度死んで、注射なんか比べ物にならないぐらい痛いことを知った今じゃ、耐えられないことはないねぇ
傷を受けながらもニヤニヤ笑って見せて、敵の心を挫くよぉ
いやー、面白いものを見せてくれてありがとさん
お礼といっちゃなんだけど、もう一発持っていきなよぉ
得物を大きく振るい、再びのパラドクスで解体を狙うよぉ!
んふふ、ちょ~っと顔がかわいいくらいで勝てるなんて思わないでよねぇ
なにせあたしは、めちゃくちゃかわいいんだからさ
アウグスト・フェルニール
※アドリブ連携歓迎
キャメロット城の結界が破れた…これは確かに好機
逆に言えば今回で警戒された分、修復後の結界は破壊困難になると考えられる…
何としても逃せないチャンスですね。
仲間達と共に出撃。接敵したら一旦後方に位置取ります
あ、確かに可愛い、というか包容力が高い。ママみ?
最終人類史って便利な単語がいっぱいありますよね
なんて言ってたらうっかり幻覚を喰らいます
見えた怖い物は…先のキャメロット城壁迷宮で接敵した宿敵と、周りを囲む大火事の図。
いえ、身が竦んで震えましたがこの手の幻覚は経験があります。深呼吸!
そして幻覚の向こうから何か面白がってる声がします!
先程つい可愛いと評しましたが、前言撤回!
失礼ながら、性格がおブスですよ!
目に映るは怖い物、なれば遠慮も躊躇も皆無
『限界突破魔術』!
自身の魔力を高め、魔術弾を怒涛の勢いで撃ち出します
撃たれて爆ぜよ、まさにキャメロットの結界が如く!
…それでもね、その仄かに輝く尾やオーロラのような翼の内膜、薄い藤色の体躯や御顔は
確かに可愛い…というか美しかった、ですよ。
諷和・もこ
わぁ、かわいいドラゴンさ……お顔はかわいいのに、体がムッキムキ(?)なんだよ!?
すごいバランスのドラゴンさんなんだよ!?
……こほん
気を取り直して
キングアーサーを取り戻すためにも
ドラゴンさんたちと色々あったインネンにシューシフ?のためにも
そして、ドラゴンさんたちに苦しめられたこの地の人達のためにも
絶対負けられないんだよ!
ダッシュでがんばって近づいて
懐に入ったら【怪力無双】で強化した鬼の腕の力で
おでこの宝石みたいなのを狙って、力いっぱいポカってするんだよ!
ポカっとした後は一撃離脱
そして様子を見つつもう一度、って
ヒット&アウェイ戦法で戦うんだよ
反撃で「こわいもの」を見せられても大丈夫――だって、一番怖いのは、自分だもの
いつか、また…スカアハさんに言われたように、誰かを裏切ってしまうかもしれない自分
それがボクの「こわいもの」
けど、こわくても背負っていくって決めた物
だから、大丈夫なんだよ
もし、ボクの反応を見るために覗き込んで来たら…もう一発、パチーン!って殴っちゃうんだから!
●序幕(承前)
城壁内の市街地の大通りに、JR山手線の車両に似た列車が停まっていた。
異様な光景ではあるが、その列車がパラドクストレインとなれば、話は別だ。
「こうやってパラドクストレインで楽々移動できるのも、攻略作戦の第一陣が城壁迷宮を突破してくれたおかげだよね」
車両側面に並ぶ黄緑色の扉が一斉に開き、チェーンソー型の武器を携えた少女がそのうちの一つから降り立った。
リターナーの一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)だ。
続いて二体のサーヴァントが連れ立って降車した。チェーンソーを思わせる角と尻尾を有したミニドラゴンの『チェーンソーザウ太』と、ボリュームたっぷりの尻尾をしなやかに揺らすスフィンクスの『マダム』。
「とはいえ、ここから先は『楽々』とは行かないと思いますよ」
マダムの主――顔の上半分に布を巻いて目元を隠した人型ドラゴニアンが車内から姿を現した。
彼はアウグスト・フェルニール(膝カックンで死にそう系呪術師・g08441)。燐寧が言うところの『攻略作戦の第一陣』にも加わっていたカースブレイドだ。
「敵からすれば、喉元に刃を突きつけられたも同然。きっと、死にもの狂いでかかってくるでしょう」
「じゃあ、こっちは生きもの狂いでいくんだよ!」
奇妙な造語を口にしながら、白髪紅眼の鬼人の少女――諷和・もこ(ふわもこうとうと・g01739)が降りてきた。
彼女もまた『攻略作戦の第一陣』の参加者。その際にも持参した道具を両手でしっかりと保持しているが、それは武器の類ではなく、寝心地の良さそうな枕である。
「キングアーサーを取り戻すためにも! ドラゴンさんたちとのインネンにシューシフとかいうのを打つためにも! そして、ドラゴンさんたちに苦しめられているこの地の人たちのためにも! 絶対に負けられないんだよー!」
「その意気やよーし」
と、もこの闘志を賞賛する燐寧。だが、彼女の目はもこを見ていない。キャメロットのある方角の空に向けられている。
そこに敵影らしきものを捉えたからだ。
もことアウグストも捉えた。
それはあっという間に距離を縮め、『敵影らしきもの』から正真正銘の『敵影』へと変わった。
すなわち、アヴァタール級ドラゴンに。
綺羅竜シャイニィに。
●一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)
「あなたたち、覚悟しなさーい!」
綺羅竜シャイニィとやらが十メートルほど前方に着地した。『ずしーん!』と地響きを起こしながらも『ふわり』という印象を受ける身のこなしで。
「宇宙でいちばん可愛い綺羅竜シャイニィちゃんがギッタンギッタンにしちゃうんだから! キラッ!」
最後の『キラッ!』に合わせてポーズを披露。片手を顔の傍にやり、横向きのチョキにしてる。
「うわー」
ポーズを決めたままの敵をしげしげと眺めながら、もこちゃんが声をあげた。
「お顔はかわいいのに、体がムッキムキなんだよ」
「ふっふーん」
と、シャイニィは鼻先をつんと突き上げ、笑ってみせた。
「あなたたちみたいなヨワヨワ生物の目には、この魅惑のボディが『ムッキムキ』に見えちゃうのね。哀れすぎて逆に笑えるぅー」
「まあ、魅惑のボディかどうかはさておき――」
あたしも話に加わった。
「――顔が可愛いのは確かだね。顔だけ見れば、ドラゴニアンの女の子としても通じるかも。ねえ、ドラゴニアンのアウグストくん的には、ああいうのはアリ? ナシ?」
「うーん」
と、思案の声を漏らすアウグストくん。目隠しはしているけれど、相手の姿は見えているみたい。
「アリともナシとも言えませんが……包容力が高そうな印象を受けますね。そういうのを新宿島では『ママみ』と言うのでしたっけ?」
……このドラゴンのどこにママみを見出したんだろう? 人それぞれにいろんな感想があるもんだねえ。
「じゃあ、そのホーヨーリョクでボクの一撃を受け止めてもらうんだよ」
もこちゃんが枕を横に差し出した。受け取ったのはチェーンソーザウ太(あたしのサーヴァントだよ)とマダム。ぱたぱたと滞空しながら、それぞれが枕の端を持っている。
両手が空いたもこちゃんは――
「いくよー!」
――シャイニィめがけてダッシュ!
かーらーのー、ジャンプ!
そして、相手の額に拳を叩きつけた。その拳は巨大化して異形化している。鬼人の定番パラドクス『鬼神変』を発動させたんだね。
「いったぁーい!」
と、シャイニィが可愛い悲鳴をあげて頭を押さえてる間にもこちゃんは着地し、真横に走って距離を広げた。
「ヒット&アウェイだよー」
「そうはいかないわ!」
シャイニィは頭から手を離し、もこちゃんをキッと睨みつけた。
「ヒットできたからといって、ウェーイまでできると思わないことね!」
ウェーイじゃなくてアウェイだってば……と、指摘する間もあばらこそ、シャイニィの長い尻尾が紫色に輝き、パラドクスが放たれた。
●諷和・もこ(ふわもこうとうと・g01739)
「この光はね、幻覚を生み出すことができるのよ」
紫色の光を尻尾から撒き散らしながら、シャイニィさんはパラドクスのことをわざわざ解説してくれたんだよ。
「言っておくけど、ただの幻覚じゃないからね。あなたがとぉーっても怖がってるものの幻覚よ!」
撒き散らされていた光が一箇所に集まって、女の子の姿になったんだよ。
彼女は両手で武器を抱えてるんだよ。でも、普通の人はそれを武器とは思わないんじゃないかな?
だって、枕なんだから。ボクがサーヴァントたちに預けたのと同じ枕。
そう、その女の子はボクの幻覚だったんだよ。
「ボクにとって、なによりも怖いのは――」
と、ボクが言ったんだよ。もとい、ボクの幻覚が言ったんだよ。
そして、枕で殴りかかってきたんだよ。
「――ボク自身なんだよ。スカアハさんを裏切り、いつかまた別の誰かを裏切るかもしれないボクなんだよ」
避けようとしたけど、間に合わなかったんだよ。頭のてっぺんに強烈な一撃を『ばちこーん!』と食らっちゃったんだよ。すごく痛いんだよ。
でも、ボクは耐えられるんだよ。絶えなくちゃいけないんだよ。
この痛みにも。
そして、怖さにも。
どんなに怖くても背負っていくと決めたから。
「大丈夫ですか?」
と、アウグストさんが声をかけてくれたんだよ。
『大丈夫なんだよ』と答えようとしたけれど、その前に――
「人の心配をしてる場合じゃないわよ! 次はあなたの番!」
――シャイニィさんはまたもや尻尾を振ったんだよ。
尻尾から飛び散った紫の光が地面に落ちると同時に炎に変わって、めらめら燃え上がり、ぼうぼう燃え広がり、辺り一面が火の海になっちゃったんだよ。
その火の海の中に人影がゆらりと立ったんだよ。いえ、人影というよりも……竜影? ドラゴンの首のところからヒトの体が生えたようなクロノヴェーダなんだよ。
「……うっ!?」
アウグストさんが呻いたんだよ。周りの炎はちっとも熱くないし、ドラゴン+ヒトのクロノヴェーダもただ立っているだけだけど、ダメージを受けたみたいなんだよ。
「だいじょーぶ?」
と、今度は燐寧さんがアウグストさんに尋ねたんだよ。
「大丈夫なわけないじゃん」
アウグストさんよりに先にシャイニィさんが答えたんだよ。
そして、憎ったらしげに笑ったんだよ。
「ふっふーん。ヨワヨワ生物が恐怖に負けてヘナヘナ状態になってる姿っていうのは、いつ見ても面白いわねー」
●アウグスト・フェルニール(膝カックンで死にそう系呪術師・g08441)
目を閉じ、深呼吸。
ザラザラしたものが頬を撫でました。
再び目を開けて横を見ると、そこにいたのはマダム(と一緒に枕を持ってるチェーンソーザウ太)。頬を舐めて励ましてくれていたのです。
「ありがとうございます」
マダムに礼を言って、視線を前に戻すと――
「ふっふーん」
――幻覚の向こうからシャイニィの嘲笑が聞こえてきました。
「ヨワヨワ生物が恐怖に負けてヘナヘナ状態になってる姿っていうのは、いつ見ても面白いわねー」
「おやおや。随分と口が悪いことで。お顔は可愛らしいのに性格はおブスのようですね」
と、私はやり返しました。
もちろん、言葉だけでなく、パラドクスでもやり返させてもらいますよ。『限界突破魔術(リミットブレイク・カース)』を発動。生命力を代償に魔力を上昇させて、真正面に発射。
「ママみに関する発言は撤回させていただきます!」
弾丸と化した魔力が一直線に飛び、幻覚をすり抜けると――
「きゃん!?」
――その奥から子犬の鳴き声のような悲鳴が聞こえてきました。
そして、幻覚が消え、厚い胸板に傷を負ったシャイニィの姿が見えました。
「追撃、いくよー」
すかさず動いたのは燐寧。『チェーンソー』と呼ばれる機械仕掛けの工具に似た得物を大上段に構えました。しかし、彼女が立っている場所は私のすぐ隣であり、前方にいるシャイニィからは十歩分以上も離れています。近接用の武器が届くとは思えません。
そんな私の心中を読み取ったのか、燐寧はニンマリと笑ってみせました。
「心配御無用。この技の前では『間合い』という概念は無意味だからね」
そして、得物を振り下ろしました。
「きゃん!?」
シャイニィがまたもや子犬めいた悲鳴をあげました。見ると、彼女の尻尾に大きな傷が生じています。なるほど。確かに間合いなど無意味でしたね。
「よ、よくも、あたしのステキな尻尾に傷をつけちゃってくれたわねー! ぜぇーったい、許さないんだから!」
シャイニィは子犬から猛虎へと豹変。尻尾を振り、紫の光を放ちました。
それに応じて現れ出た幻覚は、先端に針が装着された小さな透明の筒――『注射器』という現代(私にとっては未来ですが)の医療器具です。数は一本だけではありません。山のように積み上げられています。
「……」
無言で俯く燐寧。注射器の幻覚に物理的に触れたわけではありませんが、私の時と同様に心身の両方にダメージを受けているようです。
「へえー、こんなものが怖いんだー。人間っていうのは本当にヨワヨワ生物ね」
スキップするような足取りでシャイニィが近付いてきました。相手が恐怖に苦しんでいる様(曰く『ヘナヘナ状態』)を間近からじっくり観察しようという腹なのでしょう。やはり、性格はおブスですね。
しかし、性格おブスなドラゴンは――
「隙ありなんだよー!」
「きゃあ!?」
――真横から吹いてきた突風を顔に浴びて、体勢を崩しました。
言うまでもなく、その『突風』の正体はもこです。
行動を起こしたのは彼女だけではありません。
「いやー、面白いものを見せてくれて、ありがとさん」
俯いていた燐寧が顔を上げました。なんと、ニヤニヤと笑っています。ダメージを受けたのは心身ではなく、身のみだったようですね。
「お礼ってわけでもないけど――」
チェーンソー型の得物が再び振り下ろされました。
「――もう一発、持っていきなよぉ!」
「きゃあーっ!?」
絶叫とともに身をよじるシャイニィ。自慢の尻尾に新たな傷がついています。
「んふふ。ちょ~っと顔が可愛いくらいで勝てるなんて思わないでよねえ」
燐寧はニヤニヤ笑いを維持しつつ、半眼でシャイニィをねめつけました。こういう表情のことを『ドヤ顔』と呼ぶそうですよ。最終人類史には便利な言葉がいっぱいありますよね。
「なにせ、あたしは『ちょ~っと』レベルじゃなくて、めっちゃくちゃ可愛いんだからさ!」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV2が発生!
ブロス・ブラッドハート
なるほどな、城壁迷宮を突破するだけじゃ終わるわけねーか
こっからが本番!それはこっちも望むところだぜ
奇襲とかは考えず、シャイニィ目指して一直線にかけてくぜ
ナックルダスターを嵌めた拳でご挨拶だ!
防がれそうなのはわかってっかんな、体を捻って本命は尻尾攻撃っ
へへっ、尻尾ならおれも自信あんでな
懐に攻め込まれるくれーの混乱のなかでも戦いに来てんだ、戦士としちゃがぜん興味わいちまうぜ
お前のこと、龍の王様に会う前の前座なんて思わねーよ!
歌に合わせて攻撃か、たのしーことすんじゃんか!
ナックルダスターでガードを固めながら音楽のリズムをよく聞いて、次の打撃を予測してみるぜ
待ってたタイミングできたら尻尾を受け止めて、逆に投げ飛ばしてやらぁっ
お前がかわい…可愛いかはわかんねーけど
無敵なのは可愛いだけじゃねーぞ
カッコイイも最強だからな!
アドリブ・連携歓迎だ
田淵・あゆみ
アイドルドラゴン的なやつ?そんなん居るんだね。
……ノリは嫌いじゃないからさ、ここでは無い場所で、ディアボロスとクロノヴェーダじゃ無く会えてたら楽しかったかもね
少なくともあちらさんはデカいからさ、飛び出して来るならこちらの方が先に見つけられるだろ
【壁歩き】で屋根や煙突などの物陰に隠れて、死角から攻撃をかけるタイミングを伺うよ
さぁ、踊ろうぜ!
【狂騒ダイバー】コネクタ生やしてシールドを伸ばす、相手の手足を絡め取りにいこう
上手くからまったら上々、体をよじ登って蹴りつける
ちょっとでも動き鈍れば他の人の攻撃が当たりやすくなるだろ
相手の配下が歌うリズムにノッてやるよ、よっしゃ行くぞーってMIXでも打とうか?
良い歌じゃん。でーも!今聴きたいのはそっちじゃないんだなぁ
俺達の勝鬨なわけだ
反撃は体の中心部は腕か脚でガード、あえて衝撃を受けた方向に飛ぶ事で逃がそうとする
アドリブ連携歓迎
捌碁・秋果
※連携アドリブ歓迎
キラキラしっぽのシャイニィちゃん
このキラキラかわいいしっぽが私を惑わします
…いえ、惑わされません。キラキラしっぽが魅力的でも敵…!
……そ、そんな風に振っても見惚れたりしないからね!
シャイニィちゃん、恐ろしい子…!
幻覚が得意みたいだけど、自分が掛けられるのはどうかな?
パラドクスを使用。美の巨人の幻覚を見せると同時に毒で【ロストエナジー】を付与
幻覚でシャイニィちゃんの意識が逸れている間に仲間たちが行動できるといいな。私もこの間に『鋼の遊戯』を投擲して攻撃します
えいっ、えいっ
…幻覚に比べて本体の攻撃が地味とか言っちゃダメ
反撃は歌に合わせた攻撃。…攻撃のリズムが決まってるってこと?
藍色の槍で防御しつつ、幻がうたう歌を聞いてリズムを把握。最後の尻尾での一撃をいなせるように注意を払います
…シャイニィちゃんの性格なら最後の一撃を放つ前にウィンクをしたり決めポーズをしたりアクションを起こすはず。その隙を『藍色の槍』で薙ぎ払いましょう
とっても素敵なダンスだったけど、閉幕のお時間です!
●幕間
新たに三人のディアボロスが戦場に加わった。
「こっからが本番! 気合い入れていくぜー!」
声を張り上げたのは半ズボン姿の男児――ブロス・ブラッドハート(深紅の稲妻・g03342)。腕をぐるぐると回してウォーミングアップしているその姿は、三角ベースかドッジボールにでも臨む小学生を彷彿とさせる。
ただし、あくまでも『彷彿』どまりだ。普通の小学生と見誤ることは絶対にないだろう。
ドラゴニアンの証たる角と翼と尻尾があるのだから。
『こっからが本番』という発言からも察しがつくように、ブロスは城壁迷宮の攻略作戦の経験者である。参加回数は五度以上も及ぶ。
そして、彼だけでなく――
「はぁー……」
――戦場に相応しからぬ恍惚の溜息をついた娘もまた城壁迷宮を破ったことがある。
彼女は捌碁・秋果(見果てぬ秋・g06403)。男性的な顔立ちをしているが、それは厳ついという意味ではない。むしろ、端正な容姿だ。だが、表情は少しばかり弛んでいる。溜息の原因ともなった存在のせいで。
その存在とは――
「キラキラ輝くあの尻尾……すごく可愛い……」
――敵である綺羅竜シャイニィだった。
「おいおい。そんな調子で戦えんのか?」
萌え死にそうになっている秋果にブロスが訝しげな目を向けた。
「まあ、骨抜きになっちまう気持ちも判るけどな」
と、襟刳りから傷を覗かせた男が取りなした。
インディーズバンドのヴォーカルを務めるサウンドソルジャー――田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)である。
「俺も、ああいうノリの奴は嫌いじゃないからさ。ここではない場所で、ディアボロスとクロノヴェーダという立場抜きに出会えてたら、一緒に楽しむこともできたかもな」
あゆみは腕を軽く振った。袖口から銀光が流れ、黒い線を引いて地面に突き刺さる。
銀光の正体はプラグ。そして、黒い線はプラグから伸びるマイク用シールドケーブルだった。
●ブロス・ブラッドハート(深紅の稲妻・g03342)
「可愛いは正義! 可愛いは無敵! 可愛いは勝利の合い言葉ぁーっ!」
先に来たディアボロスたちと激しくやり合いながら、綺羅竜シャイニィとかいうドラゴンが叫んでる。
その様子をボーっと眺めていた秋果が――
「はっ!? いけない、いけない!」
――首をブンブンと左右に振った。
「キラキラしっぽに惑わされて、不覚にも見惚れてしまったわ……シャイニィちゃん、恐ろしい子!」
「大丈夫だって。確かにドラゴンってのは恐ろしい敵かもしれねえけど――」
と、おれは秋果に言ってやった。
「――おれたちディアボロスが本気でかかりゃあ、絶対に負けやしねー」
「いえ、私が言ってる『恐ろしい』というのはそういう意味じゃないんだけど……あゆみさん、代わりに説明してくれませんか?」
なんでか知らないけど、秋果はあゆみに助けを求めた。
でも、あゆみの返事はない。
いや、それ以前に姿が見えない。
「あら? どこに行ったのかな?」
「かくれんぼなんかしてる場合じゃねえのにな」
二人して周りをきょろきょろ見回していると――
「さあ、踊ろうぜ!」
――シャイニィのいる辺りから、威勢のいい声が聞こえてきた。
そっちのほうに目をやると、建物の陰から飛び出すあゆみが見えた。『飛び出す』ってのは文字通りの意味だぜ。本当に飛んでるんだ。建物の壁に繋げた黒い紐(『けーぶる』とかいうヤツらしい)を掴んで、『ぴょーん!』ってな。
「まるでターザンね」
と、秋果が言った。『たーざん』って誰だろう? 有名なディアボロスかな?
たーざんならぬあゆみは紐を掴んだままの状態でシャイニィの後ろに回り込み、大きな背中に蹴りを入れた。
「やん!? なにすんのよー!」
シャイニィは素早く振り返ったけど、あゆみはもっと素早く離れている。新たな紐を勢いよく伸ばして、先端の『ぷらぐ』とかいう金具を近くの建物の壁に突き刺し、またもや『ぴょーん!』だ。
「距離を置いても無駄よ! あたしの『ラッシュダンス』からは逃れることはできないわ!」
パラドクスの名前らしきものを口にして、尻を突き出すような姿勢を取るシャイニィ。『ピン!』と立てられた尻尾が光を放ったかと思うと、その光が何体もの竜鱗兵の幻影に変わった。どの竜鱗兵もレキセンのフルツワモノって感じの面構えをしてやがるが……身なりが面構えと合ってない。
シャイニィの似顔絵が描かれたお揃いの服を着てんだよ。
●捌碁・秋果(見果てぬ秋・g06403)
デフォルメ版シャイニィちゃん印の服を着た強面の竜鱗兵たちはよく訓練された動きであゆみさんを攻撃……するのかと思いきや、いきなり踊り出し、歌い出した。
「シャ~イシャイシャイ、シャイニィ様ぁ~ん♪」
……。
「尻尾ふりふり、お目々くりくり、元気もりもり、今日ものりのり♪」
…………。
「きらりと光って、ひらりと舞って、ちらりと流し目、ハートにずっきゅ~ん♪」
………………うーん。言葉が出ない。いったい、私はなにを聴かされ、なにを見せられているんだろう?
ブロスくんも呆気に取られているらしく、目をテンにして問いかけてきた。
「秋果よぉ……なんなんだ、あれは?」
「たぶん、最終人類史で言うところの『オタ芸』ってやつじゃないかな」
「おたげー? 俺はてっきりシューキョー的な儀式かと思った」
ある意味、宗教かもね。
なんにせよ、その力感溢れる歌声によって、シャイニィちゃんが一時的にパワーアップしたことは間違いない。電光石火のスピードで以て、あゆみさんとの距離を一気に詰めると――
「そぉ~れ、それそれっ♪」
――幻影たちの歌声に合わせて、連続攻撃を繰り出した。拳を叩きつけ、蹴りを浴びせ、頭突きを食らわせて、締めに尻尾の横殴り。
さすがのあゆみさんも堪まらず吹き飛んで……いえ、違う。吹き飛ばされたのではなく、ケーブルの張力を活かして飛び退ったみたい。無傷でこそないものの、猛攻を受け流し、ダメージを最小限に抑えている模様。
それに気付いたのか、シャイニィちゃんは二度目の連続攻撃を繰り出そうとした。
でも、できなかった。
なぜなら、『目がテン』状態から復活したブロスくんが――
「試してみな! 『おたげー』とかいうケンカ殺法がこのおれに通じるかどうか!」
――豆台風のごとく突進したから。
彼が走った後には二条の鈍い赤銅色の線が残った。両手に填めたドラゴンの爪のごときナックルダスターの軌跡。
「あたしの華麗なパラドクスを喧嘩殺法呼ばわりしないで!」
シャイニィちゃんが怒声を張り上げて振り返った時、ブロスくんは既に相手の懐に飛び込んでいた。
そして、ナックルダスターで殴打……すると見せかけて体を捻り、相手のお株を奪うかのように尻尾を勢いよく一薙ぎ。
「尻尾の扱い方なら、おれだって自信あるぜ!」
刃状の突起のついた尻尾がシャイニィちゃんの足首に命中した。
大木に打ち込まれる斧さながらに。
●田淵・あゆみ(人間のサウンドソルジャー・g06882)
フェイントからの尻尾チョップ!
大人と子供のそれを超えるほどの体格差がある相手にそんな技を決められたことでプライドが痛く傷つけられたのか(体も傷つけられたけどな)、シャイニィは怒号を発した。体をぷるぷる震わせながら。
「んもぉ~っ! なめくさった攻撃をしてくれちゃって!」
「べつに舐めちゃいないぜ」
体全体を回すようにして尻尾を引き戻しつつ、ブロスくんが言った。
「確かにおれたちの本命はパンドラゴンだかピンドラゴンだかいうドラゴンの王様だけどよ。だからといって、おまえのことを前座だなんて思っちゃいないさ」
その顔に浮かぶ笑みは屈託ゼロ。強敵との戦いを心の底から楽しんでいるらしい。『ディアボロスとクロノヴェーダじゃなかったら、一緒に楽しむこともできたかも』なんてことを俺は言ったが、この子の場合は敵同士だからこそ、か……。
もっとも、シャイニィのほうには楽しむ余裕などないらしい。ぷんぷん怒り続けながら、先程と同じオタ芸付きパラドクスで反撃した。
「そぉ~れ、それそれっ♪」
疾風怒濤の連続攻撃。ブロスくんはそれをもろに食らった。
ただし、最初の数発だけだ。
その数発の間に動きを整え、それ以降は――
「歌に合わせた攻撃なら、歌に合わせて避けてやるぜ!」
――幻影たちの歌声に乗せてステップを踏み、踊るように後退して、パンチもキックも尻尾も躱した。
その回避法もシャイニィの怒りを買ったことは言うまでもないよな。
「あったま来たぁーっ! あなたたちみたいなヨワヨワ生物にこの歌を利用する資格なんてないのよ! あたしのための応援歌なんだから!」
だが、怒りをブロスくんにぶつけることはできなかった。
後退した彼と入れ替わるようにして、秋果さんが突っ込んでいったからだ。
「シャイニィちゃん。あなたは幻覚が得意みたいだけど――」
秋果さんの全身から葡萄色の靄が発生した。
「――幻覚を見せられる側になったことはある?」
靄は水に滲む絵の具のように周囲の空間を朧気に染めて漂い、シャイニィの顔のところまで流れ、あるかないかもよく判らない鼻の穴に潜り込んでいった。
「んきゃーっ!?」
途端に黄色い声をあげるシャイニィ。ただでさえ大きな目が更に大きく見開かれてる。
「な、なんて大きくてキレイなのぉーっ!? このあたしよりも大きくてキレイなツヨツヨ生物が存在するなんてぇーっ! 許せない! 信じられない! ありえなーい!」
パラドクスの靄を吸い込んだせいで、『大きくてキレイ』なものの幻覚を見ているらしい。大きさと美しさが同列に語るところが、いかにもドラゴンって感じだ。
「いいえ、ありえるのよ。美の世界はシャイニィちゃんが思っている以上に広く、深いんだから!」
金属製と思わしきカードを矢継ぎ早に投げる秋果さん。強力な武器には見えないが、幻覚に目を眩まされているシャイニィはしっかりとダメージを受けてるようだ。幻覚とその後の攻撃がセットになったパラドクスなんだろう。
でも、やっぱり――
「――なんか地味な攻撃だな」
俺の心に浮かんだのと同じ言葉をブロスくんがぼつりと漏らした。
すかさず、秋果さんが叫んだ。
「それは言っちゃダメっ!」
●終幕
死闘が始まってから、どれほどの時が過ぎただろうか。
「きらりと光って、ひらりと舞って、ちらりと流し目、ハートにずっきゅ~ん♪」
疲れを知らぬ幻影たちは応援歌の熱唱を続けている。
しかし、応援されているシャイニィのほうは疲れ切っていた。
「そぉ~れ、それそれっ♪」
傷ついた体から鮮血を大量に流しながらも、幾度目かの『ラッシュダンス』を披露。標的は秋果だ。
しかし、拳も足も尻尾も空を切るばかり。ブロスがそうしていたように秋果もまた敵の歌に合わせてリズミカルにステップを刻み、連続攻撃を回避しているのだ。遠目には、大小二つの影(大がシャイニィ、小が秋果)が向かい合って仲良く踊っているように見えるかもしれない。
「とっても素敵なダンスだったけど――」
すべての攻撃を躱し終えた秋果が幻覚のパラドクスで反撃に転じた。
「――閉幕のお時間よ!」
「……っ!?」
呻きを吐き出すシャイニィ。もう可愛い悲鳴をあげる余裕もないらしい。
「俺は歌やダンスのことは判らないし、おまえが可愛いかどうかも判らねーけどよ」
ブロスがシャイニィに肉迫した。
「これだけは言っておくぜ。無敵なのは可愛いだけじゃねー。カッコイイも最強なんだぁーっ!」
またもや、フェイントを交えた攻撃。ただし、最初に放った時とは逆だ。尻尾がフェイント、ナックルダスターが本筋。
休む暇を与えることなく、別のディアボロスが飛びかかった。
「ふふふんふふふん、ふふふんふふふ、ふふふんふふふん、ふふふんふふふ~ん♪」
あゆみである。ハミングしている曲は例の応援歌だ。
「……これ、良い歌じゃん。歌詞はさておきな。でーも! 今、なによりも聴きたいのはこの歌じゃなくて――」
ロープスイングならぬケーブルスイングでシャイニィの死角に回り込み、蹴りを打ち込む。
踵がめり込んだのは、人間の『盆の窪』に相当する部位。
「――俺達の勝鬨なんだよなぁー!」
「……っ!?」
先程と同じ呻きを漏らし、シャイニィは倒れた。
ゆっくりと、前のめりに。
しかし、その巨体は地面に激突することなく、逆再生した映像さながらに元の位置に戻った。重力と慣性と疲労に全身全霊で抗い、体勢を直したのだ。
「あ、あたしはもうダメ……だけど、いつの日か、あたしとは別のアヴァタール級があなたたちを倒す! 絶対に倒す! だって――」
シャイニィは尻尾を振った。
パラドクスを発動させるためではなく、アイドルめいたポーズを決めるために。
「可愛いは正義だし! 可愛いは無敵だし! 可愛いは勝利の合い言葉だしー!」
傷だらけのドラゴンをスポットライトが照らし出し、その周囲を無数の紙吹雪が舞い、拍手と歓声が大地を揺らす――そんなビジョンがディアボロスたちの脳裏に浮かんだ。
そして、ビジョンが消え去ると同時にシャイニィの命の火も消えた。
ポーズを決めたまま、彼女は逝った。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【傀儡】LV1が発生!
【壁歩き】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!