イタリア方面軍最終決戦

 蹂躙戦記イスカンダルに破れ南イタリアを失った、断頭革命グランダルメのイタリア方面軍との最終決戦です。
 イタリア方面軍の司令官であった、ジェネラル級自動人形『ジョアシャン・ミュラ』は、イタリアから漂着する大陸軍の回収を行い、できるだけ多くの軍勢を帰還させようと尽力していましたが、その作戦は、ディアボロスが阻止しました。
 ミュラ元帥は、これまでに撤退してきた軍勢をフランス北部に向かわせると共に、最後に、漂着する敗残兵を、自らの手で救出し、共に脱出しようとしているようです。
 攻略旅団の調査により、このミュラ元帥の動きを察知する事に成功しましたので、彼女が救援に向かう『カンヌ』の地に先回りして、漂着する大陸軍のトループス級を殲滅、遅れて救援に現れるミュラ元帥を撃破して、イタリア方面軍を完全に消滅させましょう。

ジョアシャン・ミュラ

フラム・ドール~イタリア方面軍最終決戦(作者 中村一梟
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#断頭革命グランダルメ  #イタリア方面軍最終決戦  #イタリア半島  #ジョアシャン・ミュラ 


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●名誉と守護
「おのれディアボロス! 敗残の兵を悉く狩り尽くすとは何たる非道――!!」
 南フランス、アンティーブの西方。大陸軍本隊との合流を目指すイタリア方面軍の野営地にて、激高したジョアシャン・ミュラ元帥は卓に掌を叩きつけた。
 八月の《七曜の戦》の後、ミュラ達は海岸線に沿って移動しつつ、今や蹂躙戦記イスカンダルの領域となったイタリア南部から放逐された敗残兵達を回収しようとしていた。
 だが、その目論見は復讐者達によって脆くも崩れ去り、彼女らイタリア方面軍は失態を取り戻せぬまま行軍を続けていた。そしてつい先刻、八つ目の救出失敗の報が届いたのである。
「次の救出作戦は私が指揮を執る」
 沸騰する声色でミュラが言うのに、直属の騎兵型自動人形達が慌てて口を挟んだ。
「お待ち下さい元帥閣下、それは余りにも危険です!」
「何を言うか! 漂流し衰弱した者達を無慈悲に殺すような卑劣漢に、我らが後れを取るような事はありえない!」
 讒言もミュラは取り合わない。彼女は愛用のサーベルの柄に手をかける。
「それに、亜人の軍勢の足止めに残った彼らとは、必ず救出するという約束をしていたではないか」
 その言葉に側近達も口を噤む。あの敗戦から今日まで、この元帥は南イタリア撤退戦の殿軍を一兵でも多く救出するため律儀に、そして愚直に進んできたのだ。
「彼らを救う事無く、皇帝の元に戻る事などできぬ」
 断固たる決意を宿したミュラの双眸に、自動人形達はただ黙して頭を垂れた。

●決戦の地はカンヌ
 天海・雛子(蒼碧妖瞳のエピシスト・g03175)が待つ新宿駅グランドターミナルのホームには、断頭革命グランダルメへと向かうパラドクストレインが停まっていた。
「よっす。イタリアから漂着する大陸軍敗残兵の捜索と撃破、お疲れ様。今回も同じように、漂着部隊とそれを救出しに来る大陸軍を迎え撃つって作戦――なんやけど」
 雛子の声色は固く強張っていた。彼女は一度息を吸って吐くと、続きを口にする。
「今回の救出部隊の指揮官は――大陸軍イタリア方面軍司令、ジョアシャン・ミュラ元帥」
 これまで復讐者達と直接干戈を交える機会こそなかったが、ナポレオン軍に残された数少ないジェネラル級の一体。飛び出した大物の名に、ディアボロス達の間にも張り詰めた空気が満ちた。
「今回の作戦の目標は、このジェネラル級の撃破や。漂着部隊と護衛部隊を倒すよりも優先やと思ってほしい」
 もちろん、トループス級を倒すことでミュラとの決戦に混入する障害を減らすことにはなるけれど、と雛子。
「みんなには、このパラドクストレインでカンヌに向かってもらう」
 そして、彼女は戦場となる場所の名を告げた。

●世界最高の騎兵
 雛子曰く、グランダルメ攻略旅団が収集分析した情報を基に、トループス級『征服人形』の部隊がカンヌに漂着することは判明している。
「これまでと同じように、漂着部隊は損耗が積み重なってて数の割に戦闘力は低い。こいつらを手早く片付けて、ミュラ元帥とその直属部隊を迎撃するってのが基本の方針になると思う」
 しかし、あえて漂着部隊を全滅させないという手もあるかもしれない。ミュラ元帥とその護衛はディアボロス達の存在を認識することで「漂着部隊の救出」から「ディアボロスを撃退し、漂着部隊を救出する」へと目的を変更する。その時に生じる指揮の一時的な停滞を上手く突くことができれば、その後の展開を有利に進められる可能性がある。
「ミュラ元帥とその護衛の『ヴィエルジュ・キャヴァリエル』は快足の騎兵型自動人形やから、征服人形との戦いにてこずると追いつかれてしまう。それやったら漂着部隊は逃がして元帥の部隊との戦いに集中するってのもありや。その辺は実際に戦況を見ながら判断してもらうことになるわ」
 ジョアシャン・ミュラは速度と白兵戦能力に秀でた性能を持ち戦術指揮の能力も高い、初期のジェネラル級オートマタの中でも最強格の一体である。個々人の戦力比で言えばディアボロスよりも上であることは間違いなく、勝利を得るには残留効果を駆使する等して実力差を埋めねばならないだろう。
「やけど、勝ち目は十分ある。あたしはみんななら勝てるって信じとるよ」

●紺碧の海岸、血に染めて
 戦場となるカンヌはまだ最終人類史のようなリゾート都市ではなく、閑静な一村落に過ぎない。無闇矢鱈と戦線を拡大しなければ、人的・物的な被害は考慮しなくても問題はない。
「後は、ミュラ元帥から何かの情報を聞き出す、って方向かな。正直なところ、ミュラはイタリアに駐留してた期間が長くって、しかも《七曜の戦》の後は敗残兵の回収に注力してたから最新の情勢には疎いはずや」
 例えば、TOKYOエゼキエル戦争から各ディヴィジョンに移った大天使やアークデーモンに関する情報であるとか。パリ失陥後の大陸軍の行先であるとか。
「最高幹部なのは間違いないから色々と知ってることはあるはずやけど……率直に訊ねて素直に答えてくれるとも思えへん」
 ミュラと言葉を交わすにせよ剣を交えるにせよ、激戦になるであろうことは想像に難くない。
「ともかく、ここでミュラ元帥を倒すことができれば《断片の王》により近づけるのは確かや。どうか頑張って――それから気を付けて、いってらっしゃい」

●最後の漂流者
 カンヌに流れ着いた自動人形達は混乱していた。亜人共と戦っていたはずが、どうして海辺にいるのか。
「ここは、フランス……なのか?」
 辺りを見れば、指呼の距離に村らしき建物の集まりが見える。彼らは現状を把握するため、そちらに向かうことにした。
「一体何が起きたんだ?」
「わからない。だが、救援は来るはずだ。元帥閣下は『必ず来る』と仰っていた」
 一体の自動人形が言って、彼らは思い出す。己が身の一部を裂くような表情で彼らに殿軍を命じた最高指揮官のことを。
 彼女は捨て駒として見捨てられても仕方ない自分達を「助けに来る」と言ったのだ。それが戦略的に不適当な物言いであることは、一兵卒に過ぎない彼らも理解している。
「ミュラ元帥が仰ったのであれば、我々は待つのみだ」
 彼らは頷き合い、損傷の激しい機体に手を貸しつつ移動を開始した。



 ジェネラル級自動人形『ジョアシャン・ミュラ』との会話を行います。
 ジョアシャン・ミュラは、長らくイタリア方面軍の司令官の立場にあり、ナポレオンの元を離れていたため、断頭革命グランダルメ本国の最新情報には通じていないと思われます。
 ですが方面軍司令官に任じられただけあり、一定の重要情報を持っている可能性は高いでしょう。

 勿論、方面軍の司令官である以上、軽々と機密情報を漏らす事はありませんし、欺瞞情報を混ぜて来る可能性もあります。
 ディアボロスが知りたい情報を『周知の事実』であるように扱いつつ、うまく会話を行う事で、その情報が正しいか否かを測ることが出来るかもしれません。

 詳しくは、オープニングやリプレイで確認してください。

※ミュラ元帥との会話のポイント
 プレイングでは『知りたい情報が何であるか』と『どのように自然な会話として、その情報を得られるように話すか』が重要です。
 会話内容などから『ディアボロスが、その情報を求めている』事を察知されてしまうと、警戒され、返答を得られる可能性は低下します(つまり不採用になります)。いかに自然な会話を装うかが重要になります。
 会話に対し、「適当な事を言って情報を引き出そうとしてもそうはいかない」といった反応がされなければ、その情報が正しい可能性があります。


特殊ルール 👿または👾で出現する敵との会話に専念する。戦闘行動は行わない。
👑5 🔵​🔵​🔵​🔴​

→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【書物解読】
2
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【パラドクス通信】
4
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【寒冷適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV5 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV1 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

中村一梟
 復讐者のみなさまごきげんよう、中村一梟でございます。
 今回は断頭革命グランダルメ、ジェネラル級クロノヴェーダ「ジョアシャン・ミュラ」との決戦シナリオをご案内します。

 以下、各選択肢について若干の補足です。
「①ジョアシャン・ミュラとの会話」:ミュラの性格は直情型ですが、軍事についての重要な機密を迂闊に口にすることはありません。最新情勢に通じていないという点も含めてご留意下さい。
「②👾護衛するトループス級『ヴィエルジュ・キャヴァリエル』」:この選択肢が未クリアの場合、トループス級の援護が入り④の判定の難易度が上がります。
「③👾敗残のトループス級(イタリア方面軍)『征服人形』」:成功度等の状況によってこの選択肢は進行不能となる場合があります。
「④👿イタリア方面軍最終決戦『ジョアシャン・ミュラ』」:こちらは戦闘用の選択肢となります。ミュラから何らかの情報を得る意図のプレイングは①を選んでください。
 補足は以上です。

 それでは、今回も皆様と良い物語を作れることを楽しみにしております。
9

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


●ギャロップ、ギャロップ!
「斥候が帰還! ここより西、カンヌ付近にて漂着したオートマタを確認したとのことです!」
 報告を受けて、ジョアシャン・ミュラは頷いた。周囲にはえり抜きの騎兵型自動人形が付き従っている。
「よし、カンヌへ向かうぞ。――全隊、駈歩用意!」
 元帥は号令をかけた。これまでの戦績から、ディアボロス達は救援の到着前に漂着した自動人形を襲撃することを基本戦術としているようだ。となれば、漂着部隊と可能な限り早く合流することが彼らの救出において必須。
「ディアボロス共は至近に迫っていると思え! 急ぐぞ、前進!!」
 鋼の蹄を高らかに鳴らして、ミュラ元帥とその護衛達は西進し始めた。
無堂・理央
名を奪ったとは自動人形とは言え、世界最高の騎兵と称される将が出て来るんだ。
なら、前座に当たる漂着した敗残兵は最速で片づけときたいよね。


無双馬『クロフサ』に騎乗、パラドクスで火炎騎兵隊も召喚したら全力で騎兵突撃敢行!
敵がミュラ元帥の救援を信じているなら火炎騎兵隊の足音は自動人形の騎兵隊の救援と勘違いしてくれるかな?
まっ、勘違いしてくれてもしなくてもやる事には変わりなし!火炎騎兵隊の火尖鎗で焼き貫き、火炎馬の蹄で焼き潰して速攻で徹底的な蹂躙を仕掛けるまで!
敵には反撃の機会も与えない!ここでダメージを喰らえば後に響くだろうし、圧倒的な攻めで潰すまで!!

ミュラ元帥と直属の護衛が来る前に敗残兵は残らず片付けるつもりでいる。
けど本命はミュラ元帥だし、万が一にも敗残兵殲滅前に敵騎兵隊の救援が辿り着いたら敗残兵は捨ておくよ。


 蹄が地を蹴る音がする。
 何とか整えた隊列の右翼に位置する征服人形達は、音がする方向へと目を向けた。ミュラ元帥の直属は騎兵隊。馬蹄の音は救援の到来を告げる音の可能性がある。
「いや、あれは――」
「幻想の果て、あり得ざる騎兵達、我が呼び声に応え、この地に影を落とさん。コール!」
 音の正体はディアボロス。無双馬『クロフサ』に跨った無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)であった。彼女はパラドクスによって生じさせた火炎騎兵の幻影を従え、魚鱗の陣でオートマタの群れに突撃していく。
「圧倒的な攻めで潰すまで!!」
 猛火を纏った騎馬兵達が、真紅の炎槍を揮って征服人形達を薙ぎ倒す。トループス達が組んでいた長方形の縦陣がぐにゃりと歪んだ。
「持ち堪えろ! 反撃だ!」
 怒号が飛び、一斉に銃弾が放たれた。火炎騎兵の幻が消し去られていき、理央の姿が露わになる。
 最前列の征服人形達が手にした銃を理央に向けて投擲した。続けて後列からの射撃。撃ち抜かれた小銃が次々と炸裂し、理央とクロフサに乱打を浴びせる。
「――っ!!」
 左右から襲いかかってくる爆炎と爆風から、理央は手綱を引いて逃れようとする。無双馬も主によく応え殺傷圏内を避けていくが、徐々に逃げ場を失っていった。
 落雷のような音。至近距離でクロノヴェーダの『ガンスリンガーズ・ボム』が炸裂したのだ。爆圧が理央を横ざまに殴りつけ、銃の破片が無数の刃となって彼女達を引き裂く。
 理央は相棒の背に身を伏せ、拍車をかける。三度目の爆発の下を、クロフサが疾風となって駆け抜けていった。
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

大事なのはバランス
本作戦の目標を意識しつつ、それでいて出来得る限り敵を倒し戦果を上げる。
高難易度のミッションとなるでしょうが、ボク達ならやれる。
イタリア方面の対自動人形との戦いもこれが最後です。頑張りましょう。

【パラドクス通信】を使用し、味方と状況の報告を取り合い
連携しながら戦闘を行います。

パラドクスを発動して、敵集団の中に飛び込み
『アクロヴァレリア』の推進力による加速を活かして敵陣を攪乱します。
右手に『菫蒲』、左手に『蒼宙』電磁加速機構を搭載した
二振りの高周波ブレードで超加速抜刀を行い敵を斬りつけます。

攻撃後、反撃に備えて迅速に『一撃離脱』を行い
敵の攻撃は『Boeotia』による観察眼での見切りと【アヴォイド】
更に『シャルダント』による【結界術】を駆使し、被害を最小限にとどめます。


「このスカイレイダーのスピードでかき乱す。退屈はさせない」
 パラドクス『人機一体:纏雷霆(フォビドゥンスパークル)』を発動させたレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)が、文字通り稲妻と化してトループス級の只中に突入した。
『菫蒲』と『蒼宙』、左右の手に握られた刃が輝く弧を描いた。電磁加速された斬撃は自動人形の躯体を容易く両断する。
 返す刀でもう一体征服人形を斬り倒して、レイは敵群から距離を取ろうとする。だが、クロノヴェーダ達の反撃がそれを阻んだ。
 降り注ぐ銃弾が結界と激突して火花を散らす。集中する火線の中では回避行動もままならない。
(「これほどとは……!」)
 イタリア方面軍との最後の戦い。容易い作戦ではないと覚悟はしていたが、敗残兵達の奮戦ぶりはレイの予想を上回っていた。戦果との均衡を取りつつ目的を遂行するというのはここままだと難しい。
 レイが企図したパラドクス通信を用いた連携もほとんど機能していない。目の前の状況を報告したとしても、味方それぞれが眼前の敵と戦っているのだから動きようがないのだ。
 弾丸の雨が一瞬途切れ、本命のパラドクスによる攻撃がレイに襲いかかる。『ガンスリンガーズ・ボム』の爆発がついに結界を食い破り、レイを殴りつけた。
 熱と衝撃。爆炎に吹き飛ばされたレイの脳裏に、起死回生の一手が閃く。
 フライトデバイスの推力を最大に。姿勢を制御できぬままのレイの体は一度地面に叩きつけられ、しかしそれが不規則な軌道変化となって炸裂攻撃の範囲外へと逃げ延びることができた。
 懸命に体勢を立て直し、なんとか着地。失った体力は一割といったところ。楽観はできないが、戦闘続行に支障はない。
 この後の攻め手を思案しつつ、レイは武器を構え直した。
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

シル・ウィンディア
救援を待っているのなら、そこがチャンスではあるね。
…一撃必殺っ!確実に仕留めていくからね!

敵を視認したら、高速詠唱で隙を減らした七芒星精霊収束砲で確実に撃ち抜いていくよ。
広範囲型ではないけど、代わりに一撃の大きさには自信があるからっ!

パラドクス通信を展開。
パラドクス攻撃を行いつつ、敵の動きの観察も行っていくよ。
特に、離脱しそうな敵や、戦闘以外の挙動を行う敵などがいれば、パラドクス通信を使って情報共有。
離脱しそうな敵については優先的に攻撃を仕掛けていくよ。
ごめんね、あなた達を離脱させるわけにはいかないから、ここで仕留めるよっ!!

敵の攻撃は左手に抜いた創世の光剣で致命箇所を重点的に防御して痛打を少しでも緩められるようにするよ。

あとは、敵の動きに注意して…。
特に、戦闘時でも耳を澄まして、戦闘音以外の音を察したら注意だね。
パラドクス通信でみんなに警戒を呼び掛けて対応を行うよ。

それまでに征服人形たちを仕留めないとねっ!!


 征服人形達をパラドクスの射程内に収め、シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術士・g01415)は両の掌をクロノヴェーダへと向けた。
「……一撃必殺っ! 確実に仕留めていくからね!」
 範囲の広さではなく、威力の高さを重視した選択。唇から詠唱が流れ出す。
「六芒星に集いし世界を司る六人の精霊達よ、過去と未来を繋ぎし時よ……。七芒星に集いて虹の輝きとなり、すべてを撃ち抜きし光となれっ!!」
 シルの掌中で束ねられた魔力が一条の閃光となり、射出される。背に広がる魔力光の翼が羽搏いて反動を相殺。
 狙い過たず、シルの『七芒星精霊収束砲(ヘプタクロノス・エレメンタル・ブラスト)』は一体の征服人形の胴部に着弾。装甲を穿ち、炸裂して粉砕する。
 生き残った自動人形群が銃口をシルに向け、引き金を引く。放たれた弾丸はしかし、シルが掲げた刃に弾き返された。
 撤退戦と漂流を経て消耗し、ディアボロス達の攻撃によって数を減らした敗残兵達にはシルの弱点を見抜いて突き崩せる程の情報を持っていない。
 復讐者達の初手に対しては五分の攻防を演じた征服人形達だったが、いくら奮起してもできることとできないことがある。彼らは限界を迎えていた。満身創痍、部隊としての戦闘力を維持することはもはや叶わないだろう。
 今こそ好機、とパラドクス通信機に向かって呼びかけようとしたシルは、喉まで昇ってきていた言葉を吞みこんだ。東の方角へと視線を走らせる。
 かすかに見える土煙。聞こえてくる管楽器の音。そして、鬨の声。
「敵の救援部隊だ! 東から来るよ!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

●会敵
 遠目に戦闘の気配を見定めた瞬間、ミュラは襲歩、すなわち全速力での前進を命じていた。
「喇叭を鳴らせ! 声を上げよ! ディアボロス共に我らの到着を教えてやれ!!」
 高らかに吹き鳴らされる進軍喇叭、次いで騎兵達の鬨の声。パラドクスによる攻撃を届かせるにはまだ遠い。だが、この音と声が生き残った味方に希望を、襲撃者には戦慄をもたらせばよい。
「我ら大陸軍騎兵隊! ジョアシャン・ミュラここに在り!!」
 元帥ではなくただ一騎の騎兵として、ミュラは咆哮した。

 敵群から距離を取り、周囲から聞こえてくる音に注意していたディアボロスの一人が、救援部隊の接近をいち早く察知した。
 漂着部隊は風前の灯火だ。次に繰り出すパラドクス攻撃で反撃の暇もない程の痛打を与えるか、複数人で協力し一気呵成に攻めれば征服人形達を壊滅させることができるだろう。だがそれは、ミュラ率いる救援部隊に対して隙を晒すことになりかねない。
 もしここで攻撃の手を緩めるなら、十分な猶予を持って体勢を整え、救援部隊を迎え撃てるはずだ。しかしそれを選べば、少数とは言え漂着部隊の自動人形を逃がしてしまうことになる。
 いずれにせよ、救援部隊とディアボロス達との戦闘が始まるまでには後数十秒の時間しか残されていない。
 敵と敵の間で、ディアボロス達は選択を迫られていた。
無堂・理央
流石は世界最高の騎兵が率いる騎兵隊、もうすぐ辿り着いちゃうか。
けど、まだ辿り着いてないなら!


引き続き無双馬『クロフサ』に騎乗して突撃!
ミュラを警戒している人達中心に迎撃態勢を整えようとしてるし、それならボクは逆に敗残の自動人形の残りに突っ込むまで!
逃がすつもりはないし、逃げる際に変な事されて皆の迎撃態勢を崩されても困るからね!

パラドクスでボクとクロフサが雷を纏ったら、未だに踏み止まってる敵集団にど真ん中から斬り込んで手当たり次第に槍で突き刺し薙ぎ払いクロフサの蹄で踏み潰し纏う雷で灼き尽くす!!
最初の突撃のように攻め一辺倒!後のミュラ戦とかを考えて傷を減らすように立ち回るとかは考えずに徹底的に残る敵を叩くよ!
攻撃は最大の防御だし、何よりも中途半端な気持ちだと仕留め損なう。
敵だって救援が来れば逃げ切れると最後の奮闘をするだろうし、それを押し切る為なら肉を切らせて骨を断つつもりで行くよ!
これで!仕留めて!漂着兵は一体だって還してなるものか!!


 通信機から届いた声に、無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は馬首を巡らせ東へと目を向ける。
 彼女の位置からでは土煙は見えない。だが、馬蹄の足音と高らかに鳴る進軍喇叭の音色は理央の耳にも届いていた。
(「流石は世界最高の騎兵が率いる騎兵隊、もうすぐ辿り着いちゃうか」)
 他のディアボロス達はミュラ率いる救出部隊を迎撃するための準備を始めている。それなら、と理央はあえて仲間達と逆方法、敗残のトループス達がいる方へとクロフサを進ませた。
「けど、まだ辿り着いてないなら! 駆け抜けるよ!」
 主の意を汲み取って無双馬が駆け出す。疾走の最中にパラドクス『疾駆迅雷(シックジンライ)』を発動。理央とクロフサはその身に紫電を纏い、神威の槍の如くに突進した。
「これで! 仕留めて! 漂着兵は一体だって還してなるものか!!」
 攻撃は最大の防御、そして何より、専心せねば仕留め損なう。理央の見出した戦場の真理は真に正しく、この突撃は残った征服人形達を蹴散らすには十分な威力を発揮した。
 稲妻の尾を引いた刃がオートマタを貫く。次いで叩きつけられるクロフサの蹄は雷神の鉄槌。反撃の爆裂は先程と同等の規模なれど、それを理央が見るのは二度目。殺傷圏の外縁を巧みにすり抜けて被害を抑える。
 再び雷霆の一閃。右半身を斬り砕かれて、オートマタが頽れた。
「――大陸軍と元帥閣下に勝利を――」
 末期の呟きを、理央が顧みることはない。ひゅん、と穂先が宙を切る傍らで、最後の征服人形がその機能を停止した。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【パラドクス通信】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

レオニード・パヴリチェンコ
流石は騎兵隊、こちらの想定以上に動きが早い
最終人類史で世界最高の騎兵と謳われた人の名を使っているだけのことはある、というわけだね
少しでも隙を見せるのを危険な相手だ、本隊の相手に集中する、よ

機動力の高い相手だ
地上での移動速度では敵が上、速さに惑わされないように落ち付いて対処しよう
周囲の味方とは連携を意識して対処
ボクは味方が攻撃を打ち込みやすいように敵の隙を作ることを狙う、よ
ボクよりも攻撃が得意な味方は居る筈だから、ね

下手に動き回らず、敵の動きを予測して脚を狙う
狙うのは方向転換で踏み込む瞬間、あるいはこちらに攻撃を打ち込んだ直後
斬撃が直撃しないよう防刃コートを盾にしてダメージを抑えつつ、魔弾を連射
敵の足下を凍らせて動きを鈍らせる、よ


 世界最高の騎兵。それは最終人類史において、ナポレオン・ボナパルトがジョアシャン・ミュラの才覚を評した言葉であった。断頭革命の自動人形ジョアシャン・ミュラもまた、優れた騎兵であり戦術指揮官であるようにレオニード・パヴリチェンコ(“魔弾卿”・g07298)には思える。
「少しでも隙を見せるのを危険な相手だ」
 呟いて、照準器を覗きこむ。こちらに向かって疾走してくる騎馬はミュラではなく、その配下のトループス。その動きは確かに速いが、直線的だ。
 であれば、銃弾が当たらぬ道理はない。
「霜の精よ、凍てつかせろ」
 パラドクスを発動させ、レオニードは引き金を引いた。氷の魔力を宿した弾丸が飛翔。その軌跡に白く雲を残す。
 狙い違わず、ヴィエルジュ・キャヴァリエルの前肢に着弾。銃創と凍結が機械の脚を容易くへし折った。脚を奪われた騎兵型自動人形が転倒、後続は左右に分かれてもらい事故を回避したものの、進行速度は目に見えて低下した。
 第二射。寸前と同じ光景が再現される。だがしかし、新たに先頭に立った騎兵がレオニードの存在に気づいた。クロノヴェーダがパラドクスを発動させる。
 空間的な距離を無視して、レオニードの眼前に騎兵が出現。そいつはサーベルを掲げ、斬撃を見舞う。咄嗟に防刃コートを盾にするが、刃は通らなくとも突進の勢いと機械仕掛けの腕力で振り抜かれた刀身はレオニードの身体を傷つけるのに十分な打撃力を持っていた。
 上方から叩きつけるような一撃を食らい、レオニードは膝を着く。左肩から足へと抜けた衝撃は重く、もう一度受ければ不味いかもしれないと彼に危機感を抱かせた。
 
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

シル・ウィンディア
ミュラの思い通りにはさせないからっ!
敗残兵へ対応を行う味方の援護の為にも、前線で精鋭部隊を抑えに行くよっ!

援護付きの一撃離脱攻撃なら、その前に仕掛けるだけっ!
そちらの援護攻撃にも負けない、風の魔力弾の弾幕を見せてあげるよっ!
高速詠唱からの裂空絶砲。
広域を狙いつつ、狙う敵は倒せそうな敵も大切だけど、敗残兵を攻撃している味方に対して攻撃を仕掛けようとする敵を優先で叩くよ。
そんなことさせるわけにはいかないからねっ!!

敵の攻撃は、左手の創世の光剣で致命箇所を重点的にガード。
地上での機動力は敵わないからね。
それなら、しっかり動きを見て防御を固めるだけだよ。

パラドクス通信は常時展開。
特に、弱っている敵や、わたしの方に注意を向けている敵がいれば、その情報を伝達して、少しでも攻撃に有利になるように仕向けるよ。
あと、敗残兵を攻撃している味方へ攻撃や意識を向けている敵の情報も伝えるよ

さすが精鋭だね。
でも、ここは何とか乗り越えたよ。
…さぁ、それじゃやりましょうか、ジョアシャン・ミュラっ!


「させないからっ! 空を舞う風の精霊よ、銃口に宿りて、すべてを穿つ力となれ!」
 反撃を受けた味方への追撃を遮るべく、シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術士・g01415)は殺到してくるヴィエルジュ・キャヴァリエルに向けてパラドクスを撃ち放った。
 渦巻く風によって形成された弾丸が次々とトループスに襲いかかった。一発では自動人形の装甲を穿つことができなくとも、連続で着弾させれば風圧によって機体を軋ませ、砕くことはできる。
 シルの『裂空絶砲(エア・インパクト)』を立て続けに受けて一体の騎兵が倒れる。彼女はそれで攻め手を緩めることなく、さらに砲撃を加えていく。
 続けてさらに二体を撃破されたヴィエルジュ・キャヴァリエル達は、砲撃に対して散開し標的を分散させることで被害の拡大を防いだ。そして、シルに最も近い位置にいる数体がパラドクスによる反撃を開始する。
 銃弾が放たれ、騎兵が剣を手に突進してくる。シルは左手で剣を抜き、構えた。弾幕が掠めていくが、彼女は動かない。
(「機動力は敵わないから。それなら、しっかり動きを見て防御を固めるだけだよ」)
 射撃は牽制、致命の部位を狙ってくるのは突進からの斬撃。であれば、馬上から放つ場合最も扱いやすく、威力の高い振り下ろしの一撃が決め手となるのは必然であった。
 突進の勢いを乗せた刃を、シルは光剣を掲げて受ける。刃金を軋ませ受け流す。反撃を軽傷で凌ぎ切り、シルは素早くその場を離れようとして――。
「ジョアシャン・ミュラっ!」
 迫ってくる影を認めて声を上げた。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

●血嵐
 その名を呼ぶ声が上がった時にはもう、ミュラは復讐者達をパラドクスの射程内に捉えていた。
 標的となったのはシル、レオニード、レイ、そして理央。
「よくも我が同朋達を!! 決して許さんぞ、ディアボロス!!」
 四つの蹄が同時に地を蹴り、残像だけを残してミュラの姿が掻き消える。次の瞬間、ディアボロス達は鋭い斬撃が己の身体を斬り裂いていくのを感じた。
 攻撃されたことを悟ってディアボロス達が反撃のパラドクスを放つが、そのいずれもミュラには軽い傷しか負わせることができない。
「敗北し傷つきここまで耐えてきた兵達をも手にかけるとは……貴様に誇りはないのかッ!」
 火を吐くような声と共に、ミュラがサーベルの切っ先を突きつける。
 理央とクロフサは己が血潮の内に倒れ伏した。
トロワ・パルティシオン
情勢には詳しくないのなら、ディヴィジョンの初めからあるもの……断片の王について聞こう。
ダブーとネイが『不敗』や『不滅』を持っていたように、ナポレオンにも特殊能力があるんじゃないかな。
本心からの会話をしつつ、さりげなく反応を伺ってみようか。

●会話
ジョアシャン・ミュラ。自ら救援に来た情の厚さ、敵ながら敬意を表そうじゃないか。
パリで戦ったミシェル・ネイを思い出すよ。彼も自身の信念を貫く勇者だったとも。

だけど、それでも勝つのは僕らだと言わせてもらうよ。想いの強さはこっちだって負けていないさ。
ダブーの『不敗』もネイの『不滅』も、僕らが破るなんて君らは思ってもみなかっただろうね。
でも僕らはやり遂げた、不屈の意思で勝利の可能性をつかみ取ったんだ。

相手が断片の王でも同じことさ。
ナポレオンの特殊能力は確かに厄介だけど、必ず突破できると僕らは信じてる。
グランダルメを、世界を制するのは僕らディアボロスだ。
そのためにも君にはここで倒れてもらうよ。


 ひゅん、と剣尖が宙を斬って、復讐者達の鮮血を刃から振り落とす。クロノヴェーダが再び武器を構えようと動き出す瞬間を狙って、トロワ・パルティシオン(迷子のコッペリア・g02982)は言葉を投げた。
「流石の一撃だよ、ジョアシャン・ミュラ。それに、自ら救援に来た情の厚さ、敵ながら敬意を表そうじゃないか」
 眼差しは涼やか、表情は不敵なれど、彼女の内心は決して穏やかではなかった。先の一撃で負傷した仲間達の様子を聴覚だけで窺いつつ、トロワは口を動かし続ける。
「パリで戦ったミシェル・ネイを思い出すよ。彼も自身の信念を貫く勇者だったとも」
 優れた敵を率直に賞賛するという態度は、ミュラの琴線に触れたらしい。自動人形は口舌を遮ってまで攻撃してこようとはしなかった。
「だけど、それでも勝つのは僕らだと言わせてもらうよ。想いの強さはこっちだって負けていないさ。僕らはやり遂げた、不屈の意思で勝利の可能性をつかみ取ったんだ」
「確かに、貴様らの奮戦は私も聞き及ぶ所。だが、それも今日ここまで。勝つのは私、ジョアシャン・ミュラだ。私は今度こそ勝利を手に、皇帝の下へと赴く」
 応えには敗北を精算し超克しようという意志と、己の武威への自信とがある。もし彼女の過去の失敗を揶揄するような言葉が含まれていれば、それは逆上と会話の終結をもたらしていただろう。
 これならディヴィジョンの初めからあるもの――すなわち『断片の王』ナポレオンについての情報を聞き出せるかもしれない。そう感じたトロワは挑戦的な表情を作るように努めつつ言葉を続けた。
「そうかい? ダブーの『不敗』もネイの『不滅』も、僕らが破るなんて皇帝は思ってもみなかったんじゃないかな? 相手が断片の王でも同じことさ。必ず突破できると僕らは信じてる。例えナポレオンがどんなに厄介な能力を持っていてもね」
「ふ、貴様らにはできまい。元はと言えば『不敗』も『不滅』もナポレオン様が下賜したもの」
 そう答えるミュラの顔は、自分について語る時よりも誇らしげだった。
「異種族の上にすら君臨し、境界を超えて他の改竄世界史に手を伸ばすことさえ可能とする。最も偉大な力を持つ我らが皇帝こそ、あらゆるディヴィジョンを征服し支配下に置くに相応しいお方だ」
 トロワは小さく息を吐いた。
「いいや。グランダルメを、世界を制するのは僕らディアボロスだ。そのためにも君にはここで倒れてもらうよ」
 その言葉を合図に、ディアボロス達は再び攻勢に転じる。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【書物解読】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!

ヴィルジニー・フラムヴェールト
クロノヴェーダとは敵同士、相容れないことは知っているわ
だけど、わたし達にも戦う理由があるわ

言いたいことは後回し!
ミュラの挑発には乗らずに、弱った護衛の騎兵を先に倒すわ

既に仲間がダメージを与えてくれている
敵が傷んだ箇所を庇うような動きをみせたり、足が鈍って連携に乱れが出る隙を逃さないわ
隙がなくても、速度に翻弄されないようにしっかり動きを見極めて
祈りを捧げて、セイクリッドクロスの光を放って攻撃するわ
人々を虐げる自動人形へ、裁きの光を!

敵が一撃離脱を狙って高速で近づくなら、マジックシールドを前に構えて、離脱しづらい真正面に一歩移動するわ
もう一歩反対側へ避けて急所を避けるわ

ここで、負けるわけには行かないの
傷ついても、護衛を倒しきるまで攻撃よ
ミュラから不意打ちされないように、戦闘中も油断しないわ

残りはミュラね
ミュラ、あなたが同胞思いなのは立派ね
ここが戦場でなければ、わたし達は違った言葉を交わしたかもしれないわ
あなたにあるように、わたし達にも守るものがあるのよ
信念の戦いをしましょう

アドリブ連携歓迎よ


(「言いたいことは後回し!」)
 声に出さず呟いて、ヴィルジニー・フラムヴェールト(緑焔の奇蹟・g09648)はヴィエルジュ・キャヴァリエルへと狙いを定める。
 戦う理由があるのは互いに同じ。しかし、ディアボロスの理由とクロノヴェーダの理由は相容れない。ならば力を持って征するしかない。
 ヴィルジニーは視界の端でミュラの様子を窺う。復讐者達に一撃を与えたことに加えて、トロワが投げかける言葉が気を逸らしている。今が好機だ。
「ここで、負けるわけには行かないの――!」
 ミュラが手を止めていても、護衛のトループスまでもがそうしているわけではない。騎兵型自動人形が放つ銃弾は絶え間なく降り注ぎ、何発かはヴィルジニーにも命中している。だが、ここでたじろいでしまえば敵の思う壺だ。
 攻撃役の騎兵がパラドクスを用いた突撃態勢に入った。弾幕に僅かな切れ目が生まれる。そこに、緑光の盾を掲げてヴィルジニーは滑りこんだ。
「人々を虐げる自動人形へ、裁きの光を!」
 ヴィルジニーの背で十字形の輝きが生まれた。弾丸にも屈することなき流血の祈りが破邪の閃光と化して放たれる。
 それは弾幕の隙間をなぞるように飛び、突進する騎兵とその後方の自動人形を貫く。だが、攻撃そのものを中断させるほどの勢いには足りず、大破寸前の騎兵がヴィルジニーを撥ね飛ばした。
 寸前で跳び退いたことと掲げていた盾に助けられて、ヴィルジニーが受けた傷は致命傷にはなっていない。だが、無視できるような軽傷でもない。
 それでも、彼女は退かず戦場に立ち続ける。
「あなたにあるように、わたし達にも守るものがあるのよ。――信念の戦いをしましょう」
 その胸に、守りたいものを抱いて。
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【照明】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

●終幕への疾走
 反撃開始のきっかけとなった台詞が放たれるのと、断罪の光が閃くのは同時だった。
 言葉と輝きが消えた後、戦場に立っているクロノヴェーダはジョアシャン・ミュラただ一騎。
「――」
 征服人形とヴィエルジュ・キャヴァリエル、物言わぬ残骸となったトループス達をミュラは一瞥し、そして一瞬瞑目した。
「認めよう。私は貴様らに敗北した。――元帥としては」
 再び瞼を開いた時、ジョアシャン・ミュラの双眸は鬼火と化していた。
「だが、戦士として負けたわけではない! 私は貴様達を討ち破り、イタリア方面軍最後の一騎として皇帝の下へと馳せ参じる!!」
トロワ・パルティシオン
戦士として……か。
例え君が文字通りの一騎当千だろうと僕らは退かないよ。
前を征く君の背を追いかけ、追い付き、そして追い越してみせよう。
その先で僕らは未来を取り戻すんだ。

愛銃のフューリーズバレルを構えながら、一瞬の攻防に向けて集中するよ。
さっき繰り出された攻撃の予兆を――全ての蹄で地を蹴る動作を見逃さないように相手を【観察】。
見た瞬間に思いっきり横に、地面すれすれまで身を低くするように飛び退くよ。

そうやって回避行動を取りながら同時に『刹那の永遠』を発動。
引き伸ばされた時間の中で相手の高速機動を【看破】し、時間の流れが元に戻った瞬間に迎え撃とう。
不安定な体勢での射撃だけど、積み重なった【命中アップ】の残留効果が助けてくれる。これが僕らの強みだ。
そして僕のこの攻撃もまた、後に続く仲間への助けになるのさ。

僕らは戦いの中で強くなる、僕らの全力はどんどん上がっていく。
どうだい、また一つ君に近付いたよ……!


 銃把に手をかけて、トロワ・パルティシオン(迷子のコッペリア・g02982)はミュラを見つめ返した。
「例え君が文字通りの一騎当千だろうと僕らは退かないよ」
 抜き放ち、ぴたりと銃口を向けた瞬間。
「開演の時間だよ。タイトルは、パラドクス・フェルマータ」
 トロワの主観時間が『刹那の永遠(フェルマータ)』によって引き延ばされる。コマ送りのように過ぎていく瞬間の中で、彼女はミュラが即座に反撃態勢に移ったことを知覚した。
 騎馬の形状をしたミュラの、後肢二本が力強く地面を踏み締める。始動直後に最高速へと達するための構え。
 それは蹴り出した瞬間、ミュラの全ての蹄が地から離れることを意味していた。トロワはそこに狙いを定め、両足に力をこめる。
 時を引き延ばす音楽が途切れた。
 ミュラが前方に、トロワが左側方に跳んだのは同時。
「僕らは戦いの中で強くなる、僕らの全力はどんどん上がっていく。どうだい、また一つ君に近付いたよ……!」
 飛び込み前転のような動きでミュラの突撃を躱しつつ、トロワは引き金を引いた。安定性皆無な体勢ながら、これまでの戦闘で培われてきた残留効果の連鎖は銃弾を過たず標的へと導く。
 半人半馬型機体の後半身、馬の後肢の付け根を『フューリーズバレル』の銃弾が穿つ。トロワ自身の怒りで形作られたそれは、口径からは想像もできない程の威力を発揮して自動人形の装甲を貫いた。
「前を征く君の背を追いかけ、追い付き、そして追い越してみせよう。その先で僕らは未来を取り戻すんだ」
 告げるトロワを、反撃を空振ったミュラは忌々し気に睨みつけた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【書物解読】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!

無堂・理央
~~~っ!まだ、まだ戦える!
ミュラはここで討つんだ!!


無双馬『クロフサ』に再び騎乗、槍を脇に抱える形で構え直す。
騎兵の脚を生かした戦いとか色々考えてたけど、敗残兵とミュラの攻撃でボクもクロフサもボロボロ。
正直、打ち込めて一撃、かな?
それなら小細工や搦め手を一切捨てて、ボクとクロフサが得意とするパラドクスで得意とする突撃でミュラに一撃を叩き込むまで!!

名誉を重んじるなら名乗り上げをした方が良いんだけど、そんな余裕も余力も今のボクには無い。
だからこそ、直ぐには動かず力を溜めてミュラへと突撃するタイミングを静かに図る。

そして、突撃をすると決めたら後を考えない全力で突っ込む!
ミュラのパラドクスで放たれる弾幕射撃の最も厚くなりそうな所を射撃が行われるよりも速く!一直線に突き抜ける!!
傷つく事を恐れず!死地に踏み込む!生きて帰る為にも!!
ミュラへの突撃、ランスチャージは後ろに抜ける事を考えない!クロフサごと体当たりの如くぶつかるだけ!!
これが!世界最高の騎兵に挑む騎兵としての!ボクの全てだ!!


「だが、戦士として負けたわけではない!」
 ミュラの獅子吼が耳を打った。無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)の右手がぴくりと動き、自らの地に濡れた砂を握り締める。
「~~~っ! まだ、まだ戦える!」
 喉の奥で叫び、理央は立ち上がった。失血のためふらつく身体を、同時に身を起こしていたクロフサが背後から支える。
「ミュラはここで討つんだ!! 行こう、クロフサ!!」
 相棒の背に跨り、理央は小脇に抱えるようにして槍を構えた。残された体力から鑑みて、限界を迎える時はそう遠くはないだろう。
 であるならば、小細工搦め手の類には頼らない。ただ全力で、最も得意な攻撃を一発叩きこむ。
 神経を研ぎ澄ませて、理央はクロフサと共に好機の訪れを待つ。
 そして、時は来た。
 銃声が響き、仲間のディアボロスが放った弾丸が後肢の付け根を貫通。ミュラは射手へと意識を向けている。
「一直線に突き抜ける!!」
 互いの名誉のために名乗りを上げてから攻撃を繰り出すような余裕はない。理央はクロフサと共に一条の槍と化し――否、後ろに抜けることを考えない突撃は槍ではなく砲弾のようだ――クロノヴェーダに向けて疾駆した。
「傷つく事を恐れず! 死地に踏み込む! 生きて帰る為にも!!
 ミュラのパラドクスが迎え撃つ。雨のような弾幕の、最も厚く最も大将に近い一点を、人馬一体の風となって駆け抜ける。
「これが! 世界最高の騎兵に挑む騎兵としての! ボクの全てだ!!」
 落雷のような大音声が響く。次の瞬間、ジョアシャン・ミュラの躯体が大きく吹き飛ばされて宙を舞った。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
初めてその名を聞いたのは、ずいぶん前だった
姿は見えねど、いつかは刃を届かせると願ったものだ

元帥として敗北してなお、皇帝への忠誠を尽くすか
ジョアシャン・ミュラ、ならば戦士としての一騎打ちを願う

相手は騎兵の長身に、剣の数も多く、間合いも長い
多少の負傷覚悟の立ち回りを

駆けてくるなら正面から相対し、銃を連射
右手で狙い撃ちつつ、左手でわずかに連射の間隔をずらし、生じた隙を看破しつつ弾丸を穿つ
炸裂する暗黒に、内部から溶解させてミュラの機動力を鈍らせ
ダメージアップを重ねて自陣の勝機を積み上げる

敵の攻撃には
腕に通したタワーシールド・Nazar boncuğuを掲げて護り、なるべく斬撃を受け流し
半身を捻って、勢いのまま駆け抜けさせよう

すべての剣を防ぐのは難しいだろう
急所と深手のみ避けるように
正面に隙がなければ、交差の瞬間を狙い撃つ

観察を続けて、動きに対応
軌道変更や、攻撃直後の、わずかな乱れも見逃さない
誰かが不意を衝くなら、引き付ける役割を。

その名を、誇りを、汚すことはあるまい
戦士として全力で相手する


 がりがりと蹄で地面を削って制動をかけ、ミュラは倒れることなく踏み止まった。
 その姿にエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は感慨を覚える。彼女の名を始めて耳にしたのはもうずいぶんと前。姿は見えねど、いつかは刃を届かせる。その決意が今、現実のものになろうとしている。
「まだ、負けはしない! 我らが皇帝のためにも――!」
「元帥として敗北してなお、皇帝への忠誠を尽くすか。その名を、誇りを、汚すことはあるまい。――戦士として全力で相手する」
 顔を上げたミュラの正面に立ち、エトヴァはクロノヴェーダと対峙した。両手に構えた銃からパラドクスを放つ。
「――闇夜に沈め」
 着弾した『混沌の黒(ケイオス・ブラック)』が漆黒の花を次々と咲かせ、オートマタの装甲を浸蝕していく。
(「多少の負傷は覚悟の上だ――」)
 あえて正面から、エトヴァは攻撃を浴びせ続ける。と、次の瞬間、確かに命中したはずの銃弾が虚空を貫いていた。
 パラドクスによって急加速、高速移動したミュラの残像に向けて狙いをつけていたのだと気づいた時にはもう、クロノヴェーダが眼前に迫っている。
 盾を構える暇もなく、エトヴァはミュラの刃によって右の肩を斬り裂かれていた。さらに斬撃が降ってくる。半身を捻って直撃は避けたものの、切っ先が胸元を掠めていった。
 三度目の斬撃は来ない。疾走の勢いを威力に乗せるためには急制動で速度を殺すわけにはいかない。そのことがエトヴァを救ったのだ。
 遠ざかっていくミュラから視線を外さぬまま、エトヴァは静かに膝を着いた。
苦戦🔵​🔴​🔴​🔴​

ユーフェミア・フロンティア
軍のトップがただの戦士になる。
それは、とてもすごい覚悟の上ですよね。
…この気迫、とてもすごくて怖いです。
でも、それでも…。私達も負けられない理由がありますから!
だから、怯んではいられませんっ!

聖杖をもって構えを取ります。
舞うように、歌うように詠唱を完成させて、使用するのは神火鏡撃砲。
直射砲ではなく、反射する砲撃なら、少しでも虚は突けると思いますしね。

敵の攻撃に対しては、杖をまっすぐにして構えてから、体の中心部に来る剣を払うようにして防御を試みます。
致命的な部分さえ外せればっ。

高機動な相手に機動力で対すると勝ち目はありませんから、敢えて射点を替えずにパラドクス攻撃を継続して仕掛けますね。
攻撃を仕掛けていて、こちらに注意を向けてもらえると、他の人からは少しでも気が逸れるタイミングも出ると思いますしね。

…ジョアシャン・ミュラ、貴女はすごく強いですよ。
それでも、私達は貴女を越えていかせてもらいますから


 疾走と二刀をもってディアボロスに逆撃を加えていったミュラの奮迅に、ユーフェミア・フロンティア(光彩聖姫・g09068)の背を寒気が這い登ってくる。
(「……この気迫、とてもすごくて怖いです」)
 軍の階級序列における最高位たる元帥が号を捨て、ただ一騎の戦士として向かってくる。優れた指揮官が優れた戦士であるとは必ずしも言えないが、背水にして決死の覚悟は軽視できるものではない。
「でも、それでも……」
 ユーフェミアの戦慄く唇から呟きがこぼれる。彼女は聖杖をしっかりと握り締めた。
「でも、それでも……。私達も負けられない理由がありますから! だから、怯んではいられませんっ!」
 まっすぐ前を見つめて、ユーフェミアは声を上げる。その覚悟に応えるかのように、杖頭の紅玉がきらりと輝いた。
「神鏡をもって神火を撃つ……。浄化の炎よ、鏡に映りし悪意を撃ち抜かんことを……」
 聖歌を思わせる詠唱。ゆったりと、しかし揺らがぬ剛さで紡ぎ上げられるパラドクスの名は『神火鏡撃砲(シンカキョウゲキホウ)』。
 魔力を反射する神鏡によって魔力砲撃を反射し、間接射によって敵を包囲攻撃する技である。
 ユーフェミアに気づいたミュラが方向を転換し突進してくる。神鏡による反射を繰り返してジグザクの軌道を描き、灼熱の浄火が騎兵を追う。
 ついに火炎砲弾がクロノヴェーダに追いついた。炸裂し、紅蓮の渦を生み出してその内にミュラを呑みこむ。だが、世界最高の騎兵の疾走を止めることはできなかった。
 すれ違いざまに振るわれたサーベルがユーフェミアの腕を裂いていく。握力が失われ、杖を落としそうになるのを何とか持ち直す。
 軽傷ではないが、深手でもない。ならば、まだ退くわけにはいかない。
「……ジョアシャン・ミュラ、貴女はすごく強いですよ。それでも、私達は貴女を越えていかせてもらいますから」
 ユーフェミアは杖を構え直し、第二射の準備に取りかかった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!

シル・ウィンディア
すごい気迫。
そして、プレッシャー…。
これだけの精鋭を率いていたんだ。強くないわけはないよね。

…最初っから全力で行くよっ!
ネメシスモード開放っ!
銀髪銀目の天使モードで行きますっ!

下手な牽制攻撃はこちらの隙をさらすだけ。
それなら、機動力で攪乱してみるよ。
銀の翼を広げて、飛翔で上空へ舞い上がるよ。
そして、裏を取ると見せかけて、ミュラの裏を取るように動いていくね。
裏どりを意識させて、本命は真上を取ることだね。

ミュラの上を取ったら、高速詠唱で隙を減らしてから全力魔法の六芒星精霊収束砲を放つよ!
これがわたしの今の全力全開。
遠慮せずに全部もってけーーっ!!

撃った後は、急速に間合いを取って剣を構えるよ
敵の残像には惑わされないように気を付けて…。
こちらは致命箇所をもらわないように剣で防御を行うよ。

…まだ、まだ倒れないからね。
ジェネラルと言え、一撃でわたしを沈められるとは思わないでね。

それにね、わたし達、あなたを倒すために頑張ってきたんだから。
これくらいで止まってられないんだっ!

…さ、続きをやりましょうか


 ジョアシャン・ミュラの奮戦はシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術士・g01415)にも戦慄をもたらし、彼女の内に秘められた復讐神の片鱗を覚醒させた。
 それは生命の危機であると同時に勝利への好機でもある。シルはその背に顕された銀の翼を羽搏かせ、流星となって舞い上がった。
 残留効果によって得られる飛行能力とミュラの戦闘機動は、速度という観点からはほぼ同等。ならば、空を翔けるシルが勝っている要素は高さだ。彼女は数度鋭い切り返しを挟み、疾走する騎兵のやや後方の上空に位置取った。
 無論、ミュラは後背を取られたことをそのままにしておきはしない。意図的に速度を下げてシルに追いつかせ、そこで急制動をかけて逆に後方に付けようとする。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ、暁と宵を告げる光と闇よ……」
 構わず、シルはパラドクスの詠唱を開始する。後ろではなくミュラの直上から仕掛けることが彼女の狙いだった。
「六芒星に集いて全てを撃ち抜きし力となれっ!」
 閃光の大槍が、上空からミュラを貫いた。直撃した『六芒星精霊収束砲(ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト)』の圧力に押されて、ついにミュラの疾走が停止する。
「これがわたしの今の全力全開。遠慮せずに全部もってけーっ!!」
 シルがさらに魔力を注ぎこむ。勢いを増した光の奔流は地表にも到達し、大穴を穿った。
 不意に、光芒の内にあった手応えが消失した。その意味を悟ったシルは急上昇するが、パラドクスによって重力を無視して宙を駆け昇るミュラに追いつかれてしまう。
「わたし達、あなたを倒すために頑張ってきたんだから。これくらいで止まってられないんだっ!」
 ミュラが振り下ろすサーベルとシルが掲げた剣が激突。
 刃の軋りと火花とと共に、もつれ合う二人は落下していった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【クリーニング】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

●弾雨
 地面に落着したミュラは、すぐさまパラドクスを発動させた。体勢の整わぬ隙をディアボロス達に晒さないためである。
 マスケット銃を構えた自動人形達が元帥を囲むように出現し、最前まで切り結んでいたシルを始め、ユーフェミアとエトヴァ、トロワ達復讐者に銃撃を浴びせかける。
 これ以上攻められないための攻撃はディアボロス達にそれほど大きな被害を与えられなかったが、復讐者達の攻勢を一時的に途切れさせ、ミュラが体勢を立て直す時間を得ることには成功した。
 これまでの攻防でディアボロス達も数々の傷を負ったが、戦闘に参加できなくなる程の負傷を受けた者はいない。ミュラにも相応のダメージを与えていることを鑑みれば、勝利までの道程は半分を過ぎようとしている頃合いだろう。
 また、この小康状態はミュラから情報を聞き出すために会話を交わす最後の機会かもしれない。ディアボロス達はそれぞれに、次の一手を検討し始めた。
無堂・理央
まだミュラに喰らい付けるのは望外な事、それなら最後まで喰らい付いてくまで!!


引き続き無双馬『クロフサ』に騎乗しネメシス形態も発動!
義憤の女神ネメシスの力が宿る神炎をボクとクロフサが纏う!
パラドクスで作り出したガンランスに装填する弾は一発分のみ、弾にはネメシス形態で纏う神炎と【託されし願い】を込める。

弾を装填したガンランスを構えたら、全速力で最短距離を駆け抜けてミュラへ騎兵突撃を仕掛ける!
先の突撃とコースは多分同じになるし、ミュラには速度を含めて読まれてるに決まってる。
けど!それでも!これが今のボクが出せる全力で!最大火力!!
そして!ここから更に絞り出す!ミュラの読みを越える速度を!世界最高の騎兵を捉える速さを!!
反撃で倒れる程のダメージを負っても倒れず!抜ける事を考えずにクロフサごとぶつかって!ガンランスをミュラにねじ込んで!本命の、たった一発の砲撃を叩き込む!!
これが!ボクの!最後の一撃!
ジョアシャン・ミュラ!ボクの全てを受け取れー!!


ソレイユ・クラーヴィア
押し込んでがおりますが、まだ一手必要ですね

宙に展開した鍵盤で「福音」を演奏
聖なる光は剣の形となり
命中アップとダメージアップの加護も乗せ
ミュラを貫かんと一直線に飛ばします
あえて見えやすい光の剣を愚直に飛ばす事で逃走経路を密かに誘導し、誘い込んで本命の刃で貫きましょう
光から逃れようと逃げ回ったとしても、光の剣は歴史簒奪者を決して逃しません

残像を目で追うよりも、音や気配に集中して
ミュラの動きを追跡
直撃すれば僥倖ですが、かするだけでも体力は確実に削れます

これまでも、地道に敗残兵の撃破を重ねてミュラに届いたのです
ならばミュラを倒すのも、少しでも攻撃を積み重ねるしかありません
最後まで諦めない、それが私の戦い方です

反撃には魔力障壁を展開してガードアップの加護も得て凌ぎます
切り裂かれようとも、指さえ動けば演奏ができますから
動ける限り、怯まず追撃を奏でます

貴方は気迫、実力共に強敵でした
それでも貴方を追い越した先にしか、断片の王ナポレオンに至る道は無い
ここで止まるわけにはいかないのです
貴方の忠誠には敬意を


トロワ・パルティシオン
ジョアシャン・ミュラ。世界最高の騎兵。
君もまたその名に相応しい存在だ……だからこそ、ここで必ず倒すよ!

さあもう一度、今度こそ全力の全力で行こう。
もちろん咄嗟の回避は再び行うけど、全く同じ手が二度通じる相手じゃないよね。
相手の意表を突く一手が必要だな……よし。

攻撃前に、右へ避けようとする素振りを相手に見せるよ。
右の振りをした左か、裏をかいてそのまま右か、奇をてらって避けないか。読み合いの勝負……と見せかけて。
攻撃の瞬間、僕が選ぶのは――上への【飛翔】だ!
翼無しで空を飛ぶ、君がまだ見たことのないこれは読めたかい!?

ミュラ、君もまた一人じゃなかった、忠実な部下に恵まれていた!力は僕らよりも上だった!
だけどこうなった、それは僕らの想いの方が強かったからさ!最後にその身で知るといい!
終演の時間だよ、戦士ミュラ!

パラドクス・マルツィアーレ!僕らの【情熱】を込めたとっておきの弾丸をこの手に!!
これが僕の全力を超えた全力!!最高の騎兵へと贈る最高の一撃!!
さあ幕を引こう、今こそ勝利の号砲を撃ち鳴らす!!


レイ・シャルダン
【FK】エトヴァさんと連携します。

1人で戦う…か、強き者の戦いですね。
ならばこちらは協力して迎え撃ちます。
それが、弱きディアボロスの勝つ為の戦い方ですから。

ミュラからの攻撃に怒りの火を灯し
制限解除コードを告げてネメシス形態:『SKYRAIDER:NAUT』へと移行
『――此れは、地を行く者が宙を仰ぎ抱いた理想である。』
人機全鎧装流亜麗《SKYRAIDER:NAUT》を着装し決戦に臨みます。

『アクロヴァレリア』を起動して【飛翔】し【空中戦】を仕掛けます。
飛翔で敵の注意を引き、フェイントをかけながら
【パラドクス通信】での合図でエトヴァさんと緻密な連携を取り、
挟撃での同時攻撃を行います。

人機一体の極致、その超視界から算出した敵への最短経路
『アクロヴァレリア』の推進力をもって一気に加速し敵との距離を零に、
煌剣『シュトライフリヒト』で地と空、そして生と死、
その境界線諸共分断するかの如き横薙ぎの蒼き一閃を放つ

そして攻撃後は即座に敵の反撃に備え【結界術】を展開
互いを護るために【ディフェンス】しあいます。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【FK】レイさん(g00999)と連携
互いにディフェンス、苦手属性を補う

ミュラがすでに同等の速度なら、さらに加速を
【飛翔】し空中戦
飛翔するレイさんとパラドクス通信経由で、位置取りと、攻撃タイミングの合図
前後から挟撃の位置取りし、俺はミュラの前方へ
高低差を交えて飛翔しつつ騎兵の視野を掠め
ミュラがレイさんに気を取られたら、すかさず合図し攻撃へ移る。逆に、俺に注意がきたら引きつけ、レイさんの側に隙を作り
互いに隙を作りあうようにし
一瞬の合図で、同時に肉薄しつつパラドクス攻撃を仕掛ける
俺は銃撃の嵐で防御の隙を貫く

ミュラの攻撃に対しては
観察し、飛翔に緩急のフェイントをかけつつ、変速軌道で飛び回って太刀筋を乱し
タワーシールドを構え、斬撃を受け流し衝撃のまま後退
ディフェンス成功時は、太刀筋を俺が受けとめ反撃を見舞う

誇りよりも強いものがあるなら、それは護るべきものだ
皇帝への忠誠は見事だが……その意思が、いまだイスカンダルに脅かされている、南イタリアの住人たちへ向くことはないのだな
さようなら、誇り高き騎兵よ


ヴィルジニー・フラムヴェールト
ミュラ、あなたは人々の処刑を止めた事があるかしら? それとも刃を振り下ろす方だったかしら
わたしはその暴虐を止めた仲間たちの勇気を、誇りと呼びましょう

わたしは騎兵でも軍隊でもないわ。民の誇りはここにある!
フランス国民として、あなた達のしてきたことは許せないのよ

≪le Rosaire d'Émeraudes≫に祈りを捧げ、十字剣にパラドクスの炎を纏わせ、ミュラへ炎を放ち焼き尽くすわ
動きを抑えられなくても、すぐ緑光の盾を掲げて防御に入るわ

これがわたしの炎!
あなたの誇り、わたし達の誇り、相容れることはないわね
だからこそ今、戦うのよ

傷を負っているのだから、防御も気は抜かずに、あえて隙は与えないわ
緑光の盾で斬撃を防いで頭や喉を守って、猛攻の威力を軽減するわ
正面の斬撃は十字剣で受け止めて、轢かれないように進路を譲るわね
ある程度の怪我は問題ないわ
致命傷でなければ、何度でも十字剣を振るいましょう

一撃の力は小さくても、何度でも届かせるわ!
あなたを倒すまで止まらないわ

アドリブ連携歓迎よ


「まだ一手必要ですね」
 ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)が呟いた。それは、この戦場に集まったディアボロス達全員が感じている。
 まだ一手――後一手。
「1人で戦う……か、強き者の戦いですね。ならばこちらは協力して迎え撃ちます。それが、弱きディアボロスの勝つ為の戦い方ですから」
 レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)の言を無言のままに肯定するのはエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)である。二人は視線を交わし、互いが互いを守備できる位置を取る。他の復讐者達も、己のパラドクスをミュラに叩きこむに最も相応しい場所に陣取った。
「さあもう一度、今度こそ全力の全力で行こう」
 トロワ・パルティシオン(迷子のコッペリア・g02982)の声がする。それを合図に、彼らはクロノヴェーダへと向かっていった。

「最後まで喰らい付いてくまで!!」
 無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)が叫び、無双馬クロフサが嘶いた。赫々たる炎を纏った彼女らの姿は、神の振るう鉄槌の如く。
「――そう、これが最後だ! 往くぞ、ディアボロス!!」
 ミュラも理央と同様、全力疾走突撃の構え。彼女のパラドクスが生み出した随伴騎兵達が銃を構え、斉射。
「光あれ、恵みあれ、幸いあれ」
 ソレイユが奏でるパラドクス『幻想ロンド「福音」(ラ・カンパネッラ)』が、銃声を圧して響き渡る。幾重にも重なって鳴り歌う鐘の音と共に、弾丸の雨を貫いて翔ける光の剣、二つ。
「この剣は歴史簒奪者を決して逃しません……!」
「――温いな!」
 少しも足を緩めることなく、ミュラはサーベルを揮い光剣を叩き落す。その気迫も剣の冴えも、まだ絶えることはないように思われた。
「それでも貴方を追い越した先にしか、断片の王ナポレオンに至る道は無い」
 鐘の音の中でも、ソレイユの声ははっきりと届いた。すっと右手を掲げ、振り下ろす。
「ここで止まるわけにはいかないのです」
 一拍の後、もう一振りの光の剣が顕現した。一筋の剣閃と共にクロノヴェーダの左腕を斬り飛ばす。
 サーベルを握ったままのミュラの左腕が宙を舞う。ついに、復讐者達の刃が「世界最高の騎兵」に届いた瞬間であった。
 その腕を、切断された己の腕の行方を、ミュラは咄嗟に目で追った。追ってしまった。
 進行方向から視線が逸れて、必然速度が落ちる。それは数字で言えば小数点以下、隙とも呼べない遅滞であったけれども。
 理央とクロフサには十分だった。
「これで行くよ!」
 槍が突き出される。それは最前までとは異なる形をしていた。
「これが今のボクが出せる全力で! 最大火力!! 最後の一撃!!!」
 がきん、と機構の作動音。一瞬の後、理央達が纏う炎が穂先へと集束し、炸裂した。
 突撃砲槍。すなわち、槍と砲とを浪漫で接ぎ合わせた兵器である。理央がディアボロスである所以そのものを砲弾と化さしめて撃ち放つそれは、彼女にとって文字通り最後の切り札であった。
 爆裂の反動でクロフサの背から振り落とされて、理央が仰向けに倒れこむ。彼女がゆっくりと掲げた右の握り拳から親指が立てられ、くたりと脱力した。

 ジョアシャン・ミュラは頭を振った。突撃、刺突、そして爆発。三重に与えられた衝撃に、さしものジェネラル級クロノヴェーダも見当識を喪失していたのだ。
 敵のことも、そして己のことも見ていられない決定的な隙。ディアボロス達は当然、それを見逃さなかった。
「エトヴァさん、今です!」
「――Sei frei.」
「≪ - 接続開始 - ≫これより攻勢に出ます」
 動きの止まったミュラに向けて、一陣の風が吹いた。それはレイとエトヴァの姿をしている。
「――此れは、地を行く者が宙を仰ぎ抱いた理想である」
 オーグメンターの噴射炎を尾のように曳いて、レイが限界を超えて加速。それを横目に翔けつつ、エトヴァは左右の手に銃を構える。
「さようなら、誇り高き騎兵よ」
 連射に次ぐ連射。先にミュラが見せた一斉射撃に負けず劣らずの銃弾が一息に襲いかかる。それが身を打ってようやく、ミュラはディアボロス達を再び視界の内に捉えた。
「否! まだ終わりはしない――!!」
「いいえ。ここで終わりです」
 エトヴァに向けて吠えるミュラの背後、仰角の空中からレイの声。掲げる刃が鋭く煌めく。
 前と後ろ、二方のディアボロスに左右の腕それぞれで対応しようとして――。
「――!?」
 ジョアシャン・ミュラは己の左半身から全ての腕が失われていることに気づいた。
 次の瞬間、エトヴァの銃弾がミュラの右目を貫き、レイの剣が銃を手にした右第一腕を斬っていた。

 ディアボロス達の猛攻に反撃もままならぬ中、ミュラは不屈の奮戦を見せる。
「武器を取るのだ、我が市民よ!」
 失った腕部を補うように幻影の騎兵を召喚し攻撃を仕掛けるも、互いにフォローし合うレイとエトヴァ、魔力障壁で身を守るソレイユ、そして「緑光の盾」を掲げるヴィルジニー・フラムヴェールト(緑焔の奇蹟・g09648)には痛打を与えられず、起死回生の可能性は潰えた。
「フランス国民として、あなた達のしてきたことは許せないのよ」
 幻影騎兵の攻撃を受け流して反撃を浴びせつつ、ヴィルジニーが告げる。その瞳の中にはかつてこの改竄世界史にあった光景が映っている。
 死刑執行を待つ罪なき人々の列。処刑された人達の血潮で舗装された道を、威風堂々と進軍する大陸軍。鋼の足音を鳴らす自動人形達は、嘆きと哀しみを燃料に進む、進む、進む。
「ミュラ、あなたは人々の処刑を止めた事があるかしら? それとも刃を振り下ろす方だったかしら?」
「知れたことを。皇帝ナポレオンの膝下にある人間は全て、須らく大陸軍のために存在するのだ」
 半ば反射的にミュラは答える。緑の瞳がかっと燃えて、切っ先が円を描き幻影共を斬り掃った。
「……そう。それなら、わたしはその暴虐を止めた仲間たちの勇気を、誇りと呼びましょう」
 消えていく騎兵達の幻影を背に、ヴィルジニーは十字剣を眼前に掲げる。
「ミュラ、君もまた一人じゃなかった、忠実な部下に恵まれていた! 力は僕らよりも上だった! だけどこうなった、それは僕らの想いの方が強かったからさ! 最後にその身で知るといい! 終演の時間だよ、戦士ミュラ!」
 過ぎ去りし栄光の残影は、紗幕が開かれるように失せた。トロワの声が響く。
「どんな強敵も困難も、僕らなら必ずうち砕けるさ。それを今ここで証明しよう!」
 燃え上がる。不滅の勇気を讃する『勇ましき行進(マルツィアーレ)』の楽の音が。
「この身に奇蹟を! 何者をも焼き尽くす炎を!」
 燃え上がる。怒りを火種、誇りを薪として、緑柱石の色をした祈りの火が。
 恣に真実を歪めて歴史と偽る傲慢と、理不尽に死を与える暴虐とを断罪し、過去を贖い、現在を奪い還すために。
「さあ幕を引こう、今こそ勝利の号砲を撃ち鳴らす!!」
「わたしは騎兵でも軍隊でもないわ。民の誇りはここにある!」
 復讐者の想いが凝集した弾丸と、緑炎纏う切っ先が、ジョアシャン・ミュラの剣を砕き、胸を貫いた。

 揺り動かされて、理央は目を開けた。半身を起こして視線を巡らせてみるが、見えるのはディアボロスの姿だけ。
「――勝った?」
 仲間達が次々と頷く。
「そっか――」
 大きく息を吐いて、理央は再び地面に身を横たえた。
 その姿に安堵の笑みをこぼしつつ、エトヴァは視線を転じる。
 大地に積もった一握の灰。それが少し前までジェネラル級クロノヴェーダ、ジョアシャン・ミュラだったもの。
 復讐者達の怒りの火は、鋼鉄でできた機械である自動人形をも焼き尽くし灰と化さしめたのだ。
「皇帝への忠誠は見事だったが……その意思が、いまだイスカンダルに脅かされている、南イタリアの住人たちへ向くことはなかったのだな」
 エトヴァは呟く。ナポリの王でもあったミュラがどんな統治者であったのか、今はもう知る由はない。だがクロノヴェーダの常として、人々にとって良き為政者であったとは考えにくかった。
「彼女の誇り、わたし達の誇り、相容れることはないわ」
 ヴィルジニーの声の底には、ミュラを焼き尽くした炎の残滓がかすかに残っている。
「だからこそ今、戦うのよ」
 灰の奥の熾火のような言葉。それはおそらく、全てのディアボロスに大なり小なりの共感を抱かせる言葉だった。
「貴方の忠誠には敬意を」
 静かに一礼するソレイユ。それを皮切りに、復讐者達はそれぞれのやり方でミュラを見送り、そして最終人類史へ帰還するべく歩みを進めていった。

 こうして、アルプス山脈南端の戦いを緒端としたグランダルメ・イタリア方面軍とディアボロス達との戦いは決着を迎えた。
 人形皇帝ナポレオンは最古参の幹部の一体、初期型元帥級自動人形の最強の一角を失ったことにより新たな選択を余儀なくさせられるだろう。
 断頭革命グランダルメの黄昏に向けて、新たな一ページが歴史に書き加えられたのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
【パラドクス通信】がLV4になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【グロリアス】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2023年11月13日
宿敵 『ジョアシャン・ミュラ』を撃破!