リプレイ
シル・ウィンディア
うーん、戦力面だけで見ると確かに強いんだろうけど…。
でも、なんでわざわざ??ドラゴン自体はまだ数いるだろうに…。
ま、一回聞いてみますか。
海上なので、飛翔で接近するよ。
ドラゴン達を見つけたら、そんなに急いでどこに行くのかな?
少しここでおしゃべりしていってもいいんじゃないかな?
わざわざ、こんなところまで遠征お疲れ様。
でも、なんで巨獣なの?竜麟兵だけでも十分脅威だと思うんだけどね?
特に、信仰とかを集めるなら、巨獣じゃ役不足な気がするんだけどねー。
信仰で力を得ることをあきらめた?それとも天使や悪魔達がその役目を奪われたから、純戦力として巨獣達を集めにいったとか?
役目を奪われたのなら、ドラゴンも落ちたものだね。
あれだけ脅威だったものが、巨獣のスカウトに走っているんだもん。
まぁ、アーサー王と蟹命令されたら従わないといけないと思うけどね。
…その歌の力、あなたの力じゃないんでしょ?
ドラゴンなら、力で巨獣を押さえつけたらいいものを。
それができない何かがあるってことだね。
さて、おしゃべりはここまでかな?
アンゼリカ・レンブラント
栞から差し入れのドーナツを元気の素に
いざゴンドワナの海に向かうよ1
【水面走行】で近づき
ファフニールに会話しかけよう
強いものに憧れる子どもっぽさを全開に、
ドラゴンやアーサー王を立てるようにして何か聞ければ。
ひゃー凄いね、巨獣が歌まで歌ってる
でも故郷を離れる彼らはちょっとかわいそうな気もするかな
ねぇ、暴れるだけだった巨獣をあんなに動かすなんてすごいね
それは貴方の力じゃなく、アーサー王の加護の力なの?
アーサー王の加護ってさ、
確か離れると加護も届かないとかいったような気もしたんだけど
(妖精郷の時炎のベディヴィアが言っていたね)
ゴンドワナに対しては、巨獣に対しては違うのかな?
それとも、力を増したとかかな?
敵ながら偉大なアーサー王だものね!
でも空を飛べない巨獣の移動には
時間がかかるじゃないかな?
巨獣を運ぶ手段ってやっぱり流石のアーサー王もないのかな?
それともある程度ブリテンに近付くと発揮されるのかな
会話がひと段落後、宣言しよう
はい、それじゃあ加護か知らないけど、
今からお前達の目論見を打ち砕くからね!
●ファフニールとの会話①
「うーん、戦力面だけで見ると確かに強いんだろうけど……でも、なんでわざわざ巨獣を? ドラゴン自体はまだ数がいるだろうに……ま、一回聞いてみますか。ほらアンゼリカさん、ドーナツ食べてないで行くの!」
「あと一個、一個だけ!」
アフリカ大陸とブリテン島の間の海……海上に到着したパラドクストレインの中、時先案内人の月読・栞から貰った差し入れのドーナツを食べているアンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)にシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術士・g01415)が呆れ顔を見せる。
「はい、没収ー! ほら行くよ?」
「シルのケチー!!」
アンゼリカからドーナツの箱を奪い、網棚の上にひょいっと軽くジャンプして置いたシルは開け放たれたドアから空へとディアボロスが空を飛べるようになるパラドクス、【飛翔】で舞い上がる。
後ろを見ればアンゼリカが文句を言いつつも付いて来ているのが見え、なんだかんだ言って素直で可愛いと思う。
「ふう、久しぶりの大空……気持ちいいの」
対ディアボロス戦闘が広まってから、大空を舞う機会が少なくなってきている。
だがここはアフリカ……巨獣大陸ゴンドワナとも、ブリテン島……幻想竜域キングアーサーとも離れた海の上。
ここでは両者から狙い打たれることも無く、大空を舞うように飛翔出来た。
思う存分羽根を伸ばした彼女たちの視線に、海上をゆっくりと進む巨大な岩陰が見える。
いや、あれは岩ではない……近づくにつれハッキリと分かる。それは全長二十メートルを超える巨獣の群れであった。
そしてその先頭には、一体のドラゴンの姿が見えるのであった。
「そんなに急いでどこに行くのかな、少しここでおしゃべりしていってもいいんじゃないかな?」
『んっ!? ディアボロスか、こんなところまで来るとは……お喋りか、戯れも良いだろう』
巨獣たちの先頭にいるのは、アヴァタール級クロノヴェーダである『境界を超えし者』ファフニール……彼はディアボロスが現れたことに驚きつつも、巨獣の戦力があるためかシルの言葉に落ち着き払って対応して見せる。
「わざわざこんなところまで遠征お疲れ様。でも、なんで巨獣なの? 竜麟兵だけでも十分脅威だと思うんだけどね? 特に、信仰とかを集めるなら、巨獣じゃ役不足な気がするんだけどねー。信仰で力を得ることをあきらめた? それとも天使や悪魔達がその役目を奪われたから、純戦力として巨獣達を集めにいったとか?」
シルの質問にファフニールは何やら不機嫌な表情を浮かべつつもこう答える。
『ドラゴンの力を得た巨獣が竜麟兵と同じ力だとでもいうのか?』
ため息を漏らしながら答えたファフニールの言葉の意味を噛み砕くシル。
一方のアンゼリカも、水面を地面と同じように行動することが出来る【水面走行】のパラドクスで海上から近づき、ファフニールに問いかける。
「ひゃー凄いね、巨獣が歌まで歌ってる! ねぇ、暴れるだけだった巨獣をあんなに動かすなんてすごいね! でもそれは貴方の力じゃなく、アーサー王の加護の力なの?」
ピクリ、とファフニールの眉が動く。だがそれに気付かずアンゼリカは話を続ける。
「アーサー王の加護ってさ、確か離れると加護も届かないとかいったような気もしたんだけど……ゴンドワナに対しては、巨獣に対しては違うのかな? それとも……」
『……お前たち如きが、王の力を語るな!』
アンゼリカの話を遮り、ファフニールは烈火の如く怒り吼える。
『貴様たち! 我が寛大だと思い無礼千万、語るのであればそれなりの語り口があるだろうに、我は不愉快だ!』
例えドラゴン相手であっても、会話を試みるなら礼を失ってはならない……それに相手を不機嫌にさせるような物言いや無礼な質問をして会話を壊すより、会話を弾ませた方が情報を引き出しやすい。
ファフニールに叱責された少女たちは、シュンとしながらも反省を活かそうと気持ちを改めるのであった。
苦戦🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
宮村・凪
歌うドラゴンかー、とりあえず話を聞いてみるかな。情報を引き出せるか試してみるよ。
まずは【飛翔】でファフニールに近づいてパラドクスの<三味線>(麻雀の三味線行為の意味)を弾かせてもらうよ。
思ってもない事を言うなら持ってこいだし、ここでなら出禁にはならないだろ?久々だけど、うまく演技できっかな。
*
お初にお目にかかります、壮大なる翼竜殿。
僕ですか?この通りちっぽけな人間です、どうぞお好きにお呼びください。
貴殿の荘厳な歌声に釣られてここまで来てしまいました。
是非、貴殿…延いてはドラゴン族についても話が聞きたいのです。
・ドラゴンは「信仰と恐怖」で力を増すとのことですが、この移動の間もそうしてエネルギーを得ている?
そうだとしたら偉大です…もしや貴殿は何者かから信仰や畏怖を強める何かを施されたのでしょうか?
・アーサー王はゴンドワナの力を信頼しているのですね…もしかしてゴンドワナにはアーサー王にとっての『特別な存在』があるのでは?
(相手を持ち上げつつ、情報が掴めても掴めなくてもいいところで撤退します)
●ファフニールとの会話②
「元気出しなよ、二人とも……今度は俺が行ってみるよ」
ドラゴンに叱責された少女たちの肩を軽く叩き、前に出るのは宮村・凪(国士無双・g10471)……彼は【飛翔】のパラドクスでファフニールのところまで上昇すると偽りの言動や行動で他者を惑わす彼固有のパラドクス、【三味線】を発動させる。
「(思ってもない事を言うなら持ってこいだし、ここでなら雀荘と違って出禁にはならないだろ? 久々だけど、うまく演技できっかな……)」
少しの不安を笑顔に隠し、ファフニールに語り掛ける凪。
「お初にお目にかかります、壮大なる翼竜殿……貴殿の荘厳な歌声に釣られてここまで来てしまいました」
『今度は貴様か……世辞は良い、お前は我を楽しませてくれるのだろうな?』
会話と言う知的遊戯に楽しみを見い出しているのか、ファフニールは凪にそう問いかける。
彼はご期待に沿えるかは分かりませんが……と前置きした上で彼に相対する。
『さて、貴様は我に何が聞きたいのだ?』
「それでは是非、貴殿……延いてはドラゴン族についても話が聞きたいのです」
凪の言葉に、面白いと興味を持つファフニール。一体どんな質問が飛び出て来るかと楽しみにしている。
「ドラゴンは「信仰と恐怖」で力を増すとのことですが、この移動の間もそうしてエネルギーを得ている? そうだとしたら偉大です……もしや貴殿は何者かから信仰や畏怖を強める何かを施されたのでしょうか? またアーサー王はゴンドワナの力を信頼しているのですね……もしかしてゴンドワナにはアーサー王にとっての『特別な存在』があるのでは?」
そう告げた凪の言葉に、ファフニールは明らかに落胆の表情を隠せない。
そして彼は、呆れたかのようにこう告げる。
『一般人がいないゴンドワナで信仰や畏怖など得られるわけが無いだろう……もう良いか? 会話を楽しむと言うことで興味を魅かれたが、遊戯にもならんとは』
明らかに凪に興味を失っているファフニールの姿に、彼は口で三味線を弾き必死で取り繕う。
その甲斐もあって、ファフニールはあと一度の猶予をくれる。
『分かっておろうな、我を満足させる問をするか……それとも武力に訴えるか。どちらにせよ我を楽しませてみろ』
アヴァタール級のドラゴンであるファフニール。会話を続けるのであれば、彼が知っていそうなことを考え質問せねば。
最後のチャンスにディアボロスたちは頭を悩ませるのであった。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【現の夢】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
宮村・凪
心情【うまくいかなかった事は仕方ないとして、好奇心で去り際に質問を投げかけます。もう取り繕う態度はしません。】
(前回の去り際に)
最後に一つだけ。あんたの歌が気になったのは本当なんだ。
あれだけの巨獣を従えてるんだ、すごい力だよな。
一体どこで歌を知ったんだ?
もし敵同士じゃなければカラオケに誘ってたかもな。
(アドリブ歓迎です)
●ファフニールとの会話③
「(上手く質問出来なかったのは仕方ない……だけど、あの歌だけは気になるよね)」
ファフニールと相対していた宮村・凪(国士無双・g10471)は、この会話が最後のチャンスと彼に言われたが湧き出た好奇心が抑えきれない。
どうせダメなら、聞きたい事を聞くのもアリだろう……そう考えた彼はファフニールに尋ねる。今度は三味線は無しだ。
「最後に一つだけ。あんたの歌が気になったのは本当なんだ。あれだけの巨獣を従えてるんだ、すごい力だよな。一体どこで歌を知ったんだ?」
歌……その質問に、ファフニールは遠い目を見せる。
何かを思い出すような、幸せな時間を懐かしむような。
そしてゆっくりと口を開いた。
『巨獣を従えるこの力はアーサー王に託された力だ……だが歌は、この歌は……』
「歌は?」
先を促す凪に、ファフニールは少し照れたような表情を見せる。
「……この歌は竜の花嫁から教わった。あの娘は良い子だった……一体、今は何処にいるのだろうか、苦労などしてないだろうか」
竜の花嫁、ドラゴンの子を産むことが出来る選ばれた女性。
ファフニールの発言から、巨獣を従える方法は各々のドラゴン固有の物だと凪は判断する。
アーサー王から託された力と言うことは、このドラゴンは歌の力をアーサー王に強化されたのだろう。
だがその歌は竜の花嫁との触れ合いのうちに覚えた思い出の歌……王から与えられた物ではない。
イングランドに伝わる素朴な民謡。その歌詞を懐かしむように口ずさむファフニールに、凪は話しかけようとして躊躇する。
「(助け出した竜の花嫁は皆アイルランドのベルファストに居るんだよね……だけど彼にそれを教える訳にはいかないよね。残念だけど思い出の中だけの存在になって貰うしかないんだよ)」
そう、ディアボロスによって助け出された竜の花嫁はアイルランド島の港町、ベルファストに集められている。
だが竜の花嫁の奪還を狙う王妃竜グィネヴィアの件もあり、それを彼に教える訳にはいかないと凪は残念がる。
だから、凪は代わりにこう告げたのだ。
「俺たちの世界には歌をマイクと言う増幅装置で思いっきり歌えるカラオケ、って場所があるんだよ。もし敵同士じゃなければカラオケに誘ってたかもな」
『ふむ、からおけか……それは楽しそうな場所だ、ぜひ行ってみたかったな』
そう言うとファフニールは豪快に笑う。釣られて凪も笑い出す。
どうやら最後の最後でファフニールは会話に満足したようだ。
あとは……笑い声がどちらからともなく止むと、真剣な表情でディアボロスとファフニールは向き合う。
ファフニールは巨獣たちをイングランド島へと連れて行くためにここに居る。
そしてディアボロスは、それを阻止するためにやって来たのだから。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
アンゼリカ・レンブラント
そうか、ファフニールの歌は確かに良い歌だった――
この歌は竜の花嫁に教わったものだったんだね
なら猶更。先ほどは失礼してごめんなさい
素直に謝り騎士として礼儀を示す
されどその上で務めを果たす
ファフニール、貴方の歌に及ぶかはわからないけれど
私にも、歌があるんだ
響かせるは《心の英雄》
大切なひとへの想いを歌ったものだけど
歌詞を少しアレンジし
故郷で待つ愛しき人への想いとして
ネメシス形態の天使風姿となり、光翼で舞いつつ
【飛翔】し巨獣たち1体1体の眼前を飛ぶように
サイズからしてフェアリーになった気分かな
可憐に舞いつつ、愛する人への
故郷への想いを歌うよ
(ファフニール、竜の花嫁は良い子だったんだね)
(でもその子はきっと、故郷から使命の為連れてこられたんだ)
(エレナの涙を私は見た。他の竜の花嫁の心の叫びに触れた
――私達にとって、竜の花嫁の運命は砕くべきものだった!)
そんな想いを胸に、巨獣達が故郷への想いを想起するよう歌う
故郷を思い涙する竜の花嫁を思い出し、声を上げ
巨獣が動きを変えていくなら、さらに強く声を張るよ
●歌声よ巨獣に届け。
ファフニールとの会話は終わった。
あとは戦うか、巨獣の解放に挑戦するか……集ったディアボロスたち、その中から黄金の髪を風に流しながらアンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)が前に進む。
「ファフニール、あなたの歌は竜の花嫁に教わったものだったんだね。なら猶更、先ほどは失礼してごめんなさい」
『よい、人はドラゴンと違い過ちを犯す者だ。王は寛大だ、侮辱されたとしても幼子、謝りさえすれば許すだろう。我はそう信じている』
アンゼリカはファフニールに無礼を働いたことに対し、騎士として礼儀を示すと、ファフニールも先ほどは言い過ぎたと返す。
そのうえでディアボロスとして、彼女はファフニールに挑むことを伝える。
だがそれは剣でも拳でもない……歌であった。
「ファフニール……貴方の歌に及ぶかはわからないけれど、私にも歌があるんだ。この歌で、巨獣たちを解放してみせる」
『面白い、やって見せろ!』
その瞬間、アンゼリカの姿が変わる。
ネメシス形態……ディアボロスのもう一つの姿。
背中から光り輝く六枚の天使の翼が伸び、空へと向けて大きく羽撃たく。
衣装も胸元が白く、それ以外が金の装飾の施された青いドレス風のスカートに白いマント。
手には青いリボンと宝玉を収めた黄金の錫杖を持った、それまでの肉体派の印象を覆すような高貴なる少女。
この歌に全力を捧げるため、彼女は姿を変えた。
「(ファフニール……貴方の竜の花嫁は良い子だったんだね。でもその子はきっと、故郷から使命の為に無理やり連れて来られたんだ)」
少女は歌う。黄金の髪を風に靡かせ、光の翼で可憐に空を舞いながら。
「(竜の花嫁……エレナの涙を私は見た。他の竜の花嫁たちの心の叫びに触れた。……私たちにとって、竜の花嫁の運命は打ち砕くべきものだった!)」
少女は歌う。愛する人への、故郷への想いを。
「(……だから、私は歌う。貴方の歌に負けない私の歌を!)」
少女は歌う。巨獣たちが故郷へと帰ろうとする気持ちがその巨体から溢れるように。
少女は歌う。この場に居る者すべての心に届けと……。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
宮村・凪
ドラゴンも人間も歌に心が動くんだな…。なんか…うまく言葉にできないや。
よし、アンゼリカさんの歌、応援しないとな。
俺は歌は好きだけど、別にうまくはないからさ。【現の夢】でアンゼリカさんの歌の効果を後押しできないか試してみるぜ。
もしアンゼリカさんが攻撃されそうになったら【飛翔】と《斬撃》で迎撃できるよう、いつでも準備しておくよ。
場合によっては【アヴォイド】の発生を信じて、身を挺して守るからね。
(アンゼリカをディフェンスする)
頑張って、アンゼリカさん!
●歌声は響く。
「ドラゴンも人間も巨獣も、歌で心が動くんだね……なんか、うまく言葉にできないや」
黄金の少女が巨獣たちに歌声を響かせている姿を見て、そして竜の花嫁が歌でファフニールの心を動かしたことを知って、宮村・凪(国士無双・g10471)は言葉に出来ない想いが溢れて来る。
それは胸の中で広がり、言葉に出来ない彼の瞳から一筋の涙として溢れかえる。
「……よし。俺も今はアンゼリカさんの歌を応援しないとな」
竜の花嫁と言う思い出を持つファフニールに、彼女の歌が届くかは分からない。
だが巨獣たちにはきっと届く。
「(だって、俺は今、故郷へ……あの場所へとても帰りたいんだよ。少し煙草の匂いが染みついたあの狭い一室に)」
緑のテーブルが並ぶ部屋。それぞれの席で凪を待つ何時もの面子。それはいなくなった仲間たちの姿。
在りし日の想いで流れる涙を指で拭うと、凪はアンゼリカと巨獣たちの間へ入るよう【飛翔】する。
もし望郷の念が溢れすぎ、万が一巨獣が暴れ出した際に、彼女を身を挺して護れるようにと。
しかし、凪の心配は杞憂に終わる。
こちらから攻撃を仕掛けなければ、歌に聞き入っている巨獣たちに反撃の意思は無い。
彼の行動は結果としては失敗に終わったが、ある意味成功と言って差し支えないだろう。
だから凪は両手をメガホンのようにし、少女へと叫ぶように声を出す。
「頑張って、アンゼリカさん!」
……その声に、彼女は小さく、でも確かに彼にピースサインを返してくれたように見えた。
大失敗[評価なし]
シル・ウィンディア
教えてもらった歌、か…。
そういうの、わたしは好きだな。
敬意を忘れて会話を楽しめるわけないもんね。
…さっきはごめんなさい。本当に失礼しました。
ぺこりと謝罪して、反省を。
とっても素敵な歌だよね。
だから、わたしもこの空に目一杯歌を響かせてみせるよ。
よかったら、聞いてくれるかな?
マジカル・アリア・デバイスの具合を確かめてから…。
歌うのは、Sylphide Bless。
風は嵐にもなるけど、そよ風にもなる。
いろんな顔があるからわたしは大好きなの。
そんなやさしい風の表情を、目一杯、優しく語り掛けるように歌うよ。
込める想いは、遠く離れた故郷の地が思い浮かぶように。
そして、遠く離れた場所にいる人が幸せであるように。
そういう想いを込めて歌い上げるよ。
歌いながら、わたし自身が風になるような心地で空を舞い踊るよ。
飛翔速度はもちろん遅くして、だね。
巨獣達が故郷を想って、そして、加護を破って意志を取り戻してくれたらそれでいいの。
せっかくだから、ファフニール、あなたの感想を聞きたい。
歌い手だから気になるの、わたしも
アンゼリカ・レンブラント
凪の両手をメガホンにしてくれたような叫び、
頑張っての想い確かに受け取ったよ
嬉しさと、共に体から湧く力強さ
まだ張り切らないとね!
ここに目一杯歌を響かせる相棒の歌と共に!
引き続き故郷で待つ愛しき人への想いとした歌詞の
《心の英雄》を響かせる
光翼で舞っての【飛翔】で巨獣達の前へ舞い
愛する人への、故郷への想いを引き続き歌う
シルも移動しつつ歌うなら対象となるように移動し舞う
私も遅くしつつスピードを合わせ
2人の違う歌が相乗効果となるようにだね
歌いながら、ネメシス形態を違うものに変化
黄金の錫杖を携えた高貴なる聖女の姿から
羽衣のみを纏う無垢な天使の姿へと
声質もまた変わり幼くなるだろうかな
最後に込めるは私自身の故郷への想い
残酷な運命で大地が海に変わり、奪われた時の
故郷の人へ会えない、育った地へ戻れない
幼き哀しさと、想いを
巨獣にはまだ大地がある
帰ろうとすれば帰れるなら、どうか――
歌い終えたらファフニールに感想を聞きたいな
そして
きっと、次見えることがあったら歌ではなく剣で相対する
騎士として、堂々と決着をつけよう
●歌姫たちの舞い。
『ほう、これがディアボロスとやらの歌か……』
巨獣に向かい歌で立ち向かうアンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)の姿に誰かの姿を思い出したのか、目を細める『境界を超えし者』ファフニール。
そんな彼に向かい、風に乗り近づいたのはシル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術士・g01415)だ。
「ファフニールさん……さっきはごめんなさい、本当に失礼しましたなの!」
『うむ。例え敵同士であっても、相手への敬意を忘れては楽しめる物も楽しめない。分かったなら良い……それにしても、歌とは良い物だな』
青い髪を揺らしながらぺこりと頭を下げたシルに、ファフニールは良いと言いたげに手を掲げ許す。
シルが見るに、ファフニールはアンゼリカの歌唱に聞き惚れている様子。
それは本来敵同士のディアボロスとドラゴンが、歌で通じ合えた奇跡の瞬間。
「アンゼリカさんの歌……とっても素敵な歌だよね」
『我の知る竜の花嫁の歌とは違うが……これが素敵な歌、と言うのは分かる』
その答えに、アイドルとして、一人の歌い手として、シルもアンゼリカのようにファフニールに歌で挑んでみたい……そう思ったのは仕方ない事だろう。
「なら、わたしもこの空に目一杯歌を響かせてみせるよ……ファフニールさん、よかったらわたしの歌も聞いてくれるかな?」
そう言うとアイドル活動専用のマジックアイテム、マジカル・アリア・デバイスをマイクの形にしたシルは、ワンツースリーと小声で囁き、デバイスのチェックを行う。
『ほう、それがさっきの男が言っていた、からおけとやらで使うマイクと言う物か』
初めて見るマイクに目を丸くするファフニール。確かに彼女の囁きがデバイスを通して拡大している。
「ツースリー……ワンツー! さぁ聴いて、風は嵐にもなるけど、そよ風にもなる。いろんな顔があるからわたしは大好きなの! Sylphide Bless!!」
青い空の下、シルの歌声が追い風に乗り響き渡った。
「(凪の叫び、頑張ってと伝える想い……確かに受け取ったよ。嬉しさで身体から力が湧いてくる。まだまだ張り切らないと!)」
巨獣に歌を響かせていたアンゼリカ。そんな彼女を応援する声はしっかりとその心に届いていた。
彼に向けてピースサインをしていた手を握ると、アンゼリカは再び声を張り上げる。
そんな時だ、青いそよ風が吹く……気配で分かる、シルが来たのだ。
「お待たせアンゼリカさん。さあどっちの歌が巨獣に通じるか……ファフニールの心を動かすか、勝負だよ!」
そう言いウィンクするシルに、アンゼリカは満面の笑みで応えると、ネメシス形態を変える。
黄金の錫杖を携えた高貴な聖女風の姿であったアンゼリカは、今度は羽衣のみを纏う無垢な幼い天使へと姿を変えるとソプラノボイスで歌い出す。
それは心に勇気を奮い立たせる歌、心の英雄……愛する人への、故郷への想いを取り戻すべく彼女は歌い、舞う。
シルとアンゼリカは【飛翔】のパラドクスで空をゆっくりと、巨獣たちを中心に円を描くように飛ぶ。
シルが歌えば、アンゼリカが歌い、アンゼリカが舞えば、シルも舞う。
二人の歌姫たちは共に違う歌を歌っているのだが、シルとアンゼリカの動きがシンクロし、歌声はユニゾンし巨大なパワーを持つ一つのメロディーを奏でだす。
『これがディアボロスの……歌の力、か』
その歌を上空で聞くファフニールは、巨獣たちのコントロールが自分から離れたのに気づかない。
それほどシルとアンゼリカ、二人の歌に魅了されていた。
「(遠く離れた故郷の地が思い浮かぶように……そして、遠く離れた場所にいる人が幸せであるように。想いを込めて歌い上げるよ)」
シルは歌う、自らと声を風に乗せあなたへ届けと、この想い届けと歌う。
巨獣たちには思い出の場所と……ファフニールには、あの人が幸せであれ、と。
「(巨獣たちにはまだ帰れる大地がある……残酷な運命で大地が海に変わり、奪われた時の……故郷の人へ会えない、育った地へ戻れない幼き哀しさと想いよ、届いて)」
アンゼリカは歌う。無垢な白い翼に歌を乗せると大きく羽撃たかせ、あなたへ届けると歌う。
巨獣たちには変えれる大地がある。私とは違う……だからどうか、帰ろう、と。
「はぁ、はぁ、はぁ……どう?」
全力で歌を届けた二人は、肩で荒く息をしながら巨獣たちを見る。
すると彼らはくるりと向きを変え、元来た道へと海を渡っていく。
『カエローカエロー、フルサトマッテル!』
『ウタ、ウタ、ウタウ! カエローカエロー♪』
『カエローカエロー♪』
調子はずれの歌を歌いながら、シルとアンゼリカ、二人の歌姫の力でドラゴン化を解除された巨獣たちはゴンドワナへ向かって去っていった。
『素晴らしい歌だったよ、ディアボロスの少女たち……我の知る歌は竜の花嫁の歌だけだが、お前たちの歌も覚えておこう』
パチパチ、と手を叩きファフニールが二人の前まで降りて来る。
その顔は任務が失敗した筈なのに、何処か満足気であった。
『褒美は何が良い、我の首か?』
「そんなの要らないの……巨獣達が故郷を想って、そして、加護を破って意志を取り戻してくれたらそれでいいの」
剣を突き立てろとばかりに竜の長い首を傾けたファフニールに、シルは攻撃の意思はないことを伝える。
「ファフニール……きっと、次見えることがあったら歌ではなく剣で相対する。その時は騎士として、正々堂々と決着をつけよう。……それで良いんだよね?」
アンゼリカがそう言いシルを見ると、彼女はそれでいいと首を縦に振る。
『そうか……ならば我は行かせて貰う。また何処かで逢うこともあるだろう。その時は今回のようにいかんぞ』
素晴らしき歌の余韻に浸りたい……そうファフニールは告げる。
竜の花嫁の歌と一緒に覚えてくれる、それはきっと彼にとって最大級の賛辞であろう。
ゴンドワナへと帰る巨獣、イングランドへと去っていくファフニール。彼らを見送りながら、シルとアンゼリカは手を繋ぎ、私たちも新宿島へ帰ろうと空を舞うのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!