ピレネー山脈の撤退軍を討て

 《七曜の戦》の敗北により、大陸軍は、イベリア半島の戦線の維持を諦め、イベリア半島の軍勢を本国に戻す事を決断したようです。
 分散配置していた戦力を集中させる事で、今後の反攻作戦の準備を整えようというのでしょう。
 グランダルメが撤退した後のイベリア半島は、火刑戦旗ラ・ピュセルによって制圧されていく事が予測されます。
 おそらく、ナポレオンは、イベリア半島と引き換えに、ジャンヌ・ダルクと『対ディアボロス同盟』を成立させる事も企図している筈です。

 しかし、このイベリア半島の戦力の撤退は、予定外の行動であり、かなりの強行軍で行われる為、統制が取れていません。
 特に、険しいピレネー山脈を移動する敵は、各個撃破の絶好の機会と言えるでしょう。
 フランス北部に戦力を集中させるという、ナポレオンの大戦略を打ち砕くためにも、ピレネー山脈を撤退する敵軍に大打撃を与えてください。
 撤退する烏合のトループス級を叩きつつ、撤退の指揮を取るアヴァタール級を撃破していく事で、敵に大打撃を与える事が出来ます。

 期日までに成功したシナリオが8本以上であれば、大参謀『バティスト・ジュールダン』との決戦が可能になります。
 16本以上成功させれば『ジャン・ランヌ』元帥との決戦も行う事が出来ます。


ジャン・ランヌ

バティスト・ジュールダン

遭遇、迎撃、あるいは追撃(作者 大丁
2


#断頭革命グランダルメ  #ピレネー山脈の撤退軍を討て  #イベリア半島  #ピレネー山脈  #バティスト・ジュールダン  #ジャン・ランヌ 


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 『サラマンカ』の城の城主の部屋にて。グランダルメの大参謀『バティスト・ジュールダン』は驚きの声をあげたものだ。
「本国からの撤退命令ですか」
「パリがディアボロスに奪われ、ミュラ殿がナポリを奪われ撤退したという事だ。これ以上、イベリア半島に戦力を置いておく事はできまい」
 そう答えながら『ジャン・ランヌ』元帥は、まっすぐに見据えてくる。
「しかし、エルドラードがスペインを制する事は、なんとしても避けねばならなかったのでは?」
「優先順位の問題だ。それに、エルドラードからイベリア半島を護る手も既に討っているそうだ」
 元帥は、大参謀の反論にも微動だにしない。ジュールダンは制帽のつばに手をやり、視線を落とした。
「どちらにせよ、私たちに拒否権はありませんね。ですが、撤退中にディアボロスの襲撃を受ければ、被害は免れません」
「ある程度の被害は織り込み済みではある。だが、君の采配で、少しでも多くの戦力を本国に送って欲しい」
 ランヌの視線には、信頼が含まれていた。
 制帽のつばが、再び上を向く。
「心得ました。あなたと、そして精鋭軍だけでも必ず、本国に送り届けましょう」
 大参謀はその後、『采配』を実行に移した。
 いくつかの経過報告を聞きながら、ランヌ元帥との約束を思い返している。
(「まだ、半ばだ。囮の部隊が、もっと多く必要になってくる……」)

 ファビエヌ・ラボー(サキュバスの人形遣い・g03369)は、車内で案内している。
 前置きとして、『七曜の戦』を振り返っていたところだ。
「断頭革命グランダルメはとくに、わたくしたちディアボロスの活躍によって、大きく戦力を減退させましたわ。首都であるパリは奪還いたしましたし、『火刑戦旗ラ・ピュセル』との同盟も阻止できました。ほかにも、『幻想竜域キングアーサー』での戦いで大きな戦力を失っただけでなく、『蹂躙戦記イスカンダル』にはイタリアを奪われています」
 地図の上を指してまわる、ぬいぐるみ型の人形たち。
「グランダルメ側は、『黄金海賊船エルドラード』から防衛したイベリア半島を放棄して、イベリア半島の軍勢を、本国に帰還させようとしているようです。この部隊は、ディアボロスと因縁のある『ジャン・ランヌ元帥』と、大参謀の称号を持つ『バティスト・ジュールダン』の2体のジェネラル級が指揮しているようですわね」
 今回の依頼は、この撤退軍に攻撃を仕掛け、できるだけ多くの軍勢を撃破して欲しいとのことだった。
「作戦がうまくいけば、ジュールダンやランヌといったジェネラル級を討つチャンスも得られますわ」

 地図は詳細なものに差し替えられる。
 ピレネー山脈の拡大図と、フランスへの帰還ルートだ。
「この山脈越えの隙を狙います。当列車は、敵の経路を先回りするように移動しますから、撤退しようとする大陸軍を先に見つけ、撃破してくださいませ」
 軍勢は、指揮するアヴァタール級と、精鋭部隊、その精鋭部隊に率いられる大群のトループス級という編成になっているようだ。
 種族はすべて自動人形である。
「指揮官『キュイラッサードール』は、「胸甲騎兵(キュイラッサー)」を模しており、四腕四脚の異形の姿を持っています。グランダルメでの戦いでは、何度も目撃されていますね」
 現地は深い森林だが、高い機動力を生かし、自ら全軍を守護しているようだ。
「精鋭部隊『ギュダン・ドール』もまた、大群のトループス級『征服人形』を護ろうとします。今までの護衛するトループス級の任務は、もっぱらボスの安全でしたから、この変化は覚えておいてください」
 ファビエヌは、方法は参加者に任せるとしながらも、いくつか提案した。
「敵を全滅させるためには、多くの手順と人手が必要かもしれません。敵の指揮官の撃破を優先するのも作戦のうちです。一方で、敵指揮官撃破後に、追撃して撃破できるだけ撃破する、というのも作戦としてありかと存じます。さらに付け加えさせていただくなら……」
 拡大図をもういちど差し示す。
「今回は、哨戒任務の際に、敵を発見するだけでなく、よく観察してみてください。作戦の助けになる情報が手に入るかもしれませんわ」

 プラットホームに降りがてら、ファビエヌは念をおした。
「ディアボロスの情報や対策が敵のあいだで広まっています。『飛翔』や『使い魔使役』などの使用は、より慎重になさってくださいませ」

 ピレネー越えのためには、山間部をいくつも抜けていく必要があった。
 四脚の自動人形が、単身で駆けているのは、比較的なだらかな土地で、森林に覆われている。
「ディアボロスの姿はなし。……森を抜ければ、軍を休ませられるな。そこまでは行軍速度を上げてもらおう」
 地形の確認をすると、自動人形はとって返す。
 精鋭部隊に左右を守られながら、大群のトループスが歩いているところまで、戻った。
「諸君、疲れているだろうが、もうじき森がきれて一時の休息に適した場所になる。歩みを速めてもらいたい!」
 征服人形たちの顔は歯車でできている。
 感情を表すことはできないが、明らかに意欲が増したようだ。
 そして、指揮官『キュイラッサードール』は、精鋭に道順を指示したあと、自身は最後尾で守りについた。


→クリア済み選択肢の詳細を見る



POW  エヴェイユ・ストライク

技能:臨機応変/地形の利用/フェイント (各15LV)

閃きと僅かな直感から、最適な武装(遠距離武器、白兵武器)や補助装置(ホバー機構、対物熱感知、閃光装置等々)を用い、戦場内にあるものや敵の生み出した状況などをも利用し、逆に意表をつく攻撃を繰り出します。
(元パラドクス:ストリートストライク)

SPD  ラムヌース形態

技能:貫通撃/勇気/臨機応変 (各15LV)

数多の同胞たちを屠ってきた強大なる悪(復讐者)に立ち向かう勇気をその身に宿すことで、復讐機構(ラムヌースシステム)を起動させ、殲滅戦闘形態に可変し、敵の連携をも打ち破る強烈な一撃を叩き込みます。
(元パラドクス:ブレイブスマイト)

WIZ  ウェポン・アタッチメント

技能:看破/臨機応変/発明 (各15LV)

閃きと各種分析装置によって敵の性質を見抜き、即座に敵との距離や立ち回りに応じ、対象の消耗に最も効果的な武器攻撃と補助装置を用いた攻撃をします。
(元パラドクス:アナライズアタック)

特殊ルール この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。
👑7


POW  カノン・フランセーズ

技能:砲撃/弾幕/統率 (各15LV)

装備した銃を大砲形態に変形させ、仲間と共に一斉射撃を行います。
(元パラドクス:イマジナリキャノン)

SPD  ガンスリンガーズ・ボム

技能:爆破/撹乱/機械知識 (各15LV)

自身の銃を敵に向けて投げつけ、もう1丁の銃で撃ち抜くことで爆発攻撃を仕掛けます。
(元パラドクス:粉塵爆発)

WIZ  オートマタ・レギオン

技能:戦闘知識/看破/記憶術 (各15LV)

征服人形同士の間で共有された戦闘知識から敵の弱点を見抜き、一斉射撃でそこを攻撃します。
(元パラドクス:達人撃)

特殊ルール この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。
👑11

→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
2
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
3
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)が不可能な世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV3 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV3 / 【反撃アップ】LV2 / 【ダブル】LV2 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

大丁
 オープニングをお読みいただきありがとうございます。
 マスターの大丁です。

 今回は、断頭革命グランダルメにて、ピレネー山脈越え中の敵を見つけ出して戦うシナリオとなっております。

 この依頼では、護衛するトループス級自動人形『ギュダン・ドール』の護衛対象は、大群のトループス級『征服人形』に変更されています。
 『首魁であるクロノヴェーダを護衛する』の部分を、そのように読み替えてくださいませ。

 また、『敵部隊哨戒任務』で、ちょっとした情報が手に入る場合があります。

 『ギュダン・ドール』も、ボスであるアヴァタール級『キュイラッサードール』も、大群トループスを守るので、両者が残存するうちは、大群トループス撃破の成功度が下がります。
 かといって、アヴァタール級との決戦をクリアした時点で、護衛と大群のトループス級へのプレイングがなくなっていると、シナリオは成功で完結しますから、全滅を狙えないことになります。
 選択肢のあいだでの連携が必要になってくるかもしれません。

 戦いに、冒険に。そして、ドキドキを。
 みなさまの素晴らしいプレイングをお待ちしております。
60

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エレオノーラ・アーベントロート
パリの進軍といい、相も変わらず面倒な陣形をしますわね。
それだけ軍事に関して頭が回るということなのでしょうけれど。
そんなランヌ、ジュールダンの鼻を明かす時が愉しみですわ。うふふ。

さて、今回は山脈……とはいえほぼ森みたいなものですわね。
普通にやるなら【光学迷彩】ですけれど、あちらの哨戒も無能ではないでしょうし、半減したところで隠れられるかどうか。
それならば隠れる場所にこだわりましょうか。
敵の集団が進みそうなルート、特に休憩をはさみそうな開けた地の近辺へと先回りをしましょう。
先回りをしたら切り立った崖のような斜面に沿って【浮遊】し、斜面に生えた樹や岩の陰へと隠れますわ。四脚の自動人形にとっては隠れられるとは考えづらい場所でしょうし、盲点になってくれると嬉しいのですけれど。

敵がやってきたなら指揮官や精鋭部隊の様子を観察しますわ。
せっかくこんな面倒なことをしているのですもの。狙うは全滅。どうすれば隙ができるのか――じっくり見させていただきますわ、うふふ。


アッシュ・シレスティアル
※アドリブ、連携歓迎
敗戦続きで戦力ガタガタになってるのはわかるが、トループス級を送り届けるために精鋭隊やアヴァタール級の個体までが盾になって逃がすこの状況、なんかいまいちピンとこないんだよな…。
とはいえ仕事を請け負った以上はちゃんと遂行させてもらうけどな。

現地の地図と撤退ルートがわかってるならあまりこちらが無理して探しに行く必要はなさそうだな。
別の部隊叩いた時の感じだとひらけた場所で休憩しようとするそぶりがあったから、該当しそうな場所に先回りしてあったら嬉しい【光学迷彩】を適用しながら木の上あたりや幹に身を隠しながら待ち伏せするぜ。
案内人のお嬢からの助言があった情報とやらを見逃さないように【完全視界】も借りて相手の挙動の観察に専念させてもらうぜ。
…今更かもしれないが自動人形に疲れるって概念があるんだな。


ラズロル・ロンド
アドリブ連携歓迎
トループス一体でも本国へ…ってか
そうはさせない為にもまずは敵の状態を見ておくのは重要だね

事前に準備した森林迷彩のマントに身を包み
森林に紛れ隠れながら双眼鏡で敵の発見と動向の観察をしよう
大群に護衛に指揮官に…やたらと敵の目は多い
距離をできるだけ置いて、休憩ポイントになりそうな場所を目星に
こちらが見つからないように【光学迷彩】を借り、【完全視界】で視界も確保
双眼鏡には光反射防止にメッシュの迷彩布を被って布越しに敵を観察しよう

特に知りたい事は
征服人形の散開径路の予測、護衛の配置場所や警戒度合い
つけ入る隙になりそうな行動は見受けられないかな?
敵進行径路に利用できそうな障害物とかあったらいいな。地形の状態も把握しておこう。
指揮官の位置も確認し…この位置関係なら前後から別れて攻撃を仕掛けるのも手だろうか?
なんて思案しつつ
気付いた事は後からでも仲間と共有し見つからないよう注意を払って動こう

敵を発見し、よくよく観察出来たら見つかる前に撤収だ
一匹逃さず倒し切れるよう良い情報を持ち帰りたい


 ディアボロスたちが降り立ったのは、草原のような土地だった。
 傾斜はなだらかで、しかし標高はある。平野ではなく、大きな盆地のほんの一部であろう。四方を見渡せば、森林に覆われた稜線が重なり、その隙間から白く霞む山脈が確認できた。
「まさに、大陸軍が休憩しそうな場所じゃないか?」
 アッシュ・シレスティアル(蒼破拳・g01219)は、地図を開いた。
 同意する、エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)。
「進みそうなルート、開けた土地、条件にはあっています。わたくしたちが先回りできたみたいですわね。あとは隠れかたでしょうか。普通にやるなら『光学迷彩』ですけれど」
「事前準備はしてきたよ」
 手早く荷物をほどいて、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は中身を草地に並べた。
 森林迷彩のマントと同柄の双眼鏡。光反射防止に被るための、メッシュの迷彩布。
「あちらの哨戒も無能ではないでしょうしね」
 エフェクトを効かすだけでは確実ではない。エレオノーラは用意されたものを手にとり、隠密の補助になることを確認した。アッシュは地図を手にしたまま、辺りを眺めまわしている。
 しばらくして、敵が来そうな森を差し示した。
 草原を挟んで反対側の森に、山脈越えのルートがあることも。
「あまりこちらが無理して探しに行く必要はなさそうだな。やつらの行先側で、木の上あたりや幹に身を隠しながら待ち伏せしようぜ」
「うん。大群に護衛に指揮官に……やたらと敵の目は多い。距離をできるだけ置いて、こちらが見つからないように『完全視界』も使っていこうか」
 ラズロルが提案を捕捉し、エレオノーラをはじめディアボロスの面々も賛成した。
「パリの進軍といい、相も変わらず面倒な陣形をしますわね。それだけ軍事に関して頭が回るということなのでしょうけれど。そんなランヌ、ジュールダンの鼻を明かす時が愉しみですわ。うふふ」
 自信ありげに笑う。
 以後は、隠密準備をしながらの会話となった。奇襲成功には確信がある。
 にもかかわらず、誰もがどこかに気がかりを感じていて、つい言葉を交わしてしまうのだ。
「……今更かもしれないが、自動人形に疲れるって概念があるんだな」
 アッシュの問いに、生返事をする仲間たち。
 敵軍の疲労のおかげで、ディアボロス側の作戦はたてられた。ラズロルは、大陸軍が配下を戦力として大事にするようになったと解釈する。
「トループス一体でも本国へ……ってか。僕たちはそれを許さないし、敵の弱点をつけるからこその予知、じゃないかな?」
「せっかくこんな面倒な待ち伏せをしているのですもの。狙うは全滅ですわ」
 出来上がった布陣に、敵軍が入ってこれば、逃がすことはない。エレオノーラは、また自信ありげに笑おうとして、ふと真顔になった。
「でも、逃がさずに戦うのは、本当に面倒ですわ」
 行軍を阻止する依頼では、せき止めるような作戦が多くとられてきた。しかし、事前に聞いていた規模では、指揮官と護衛部隊による、大群への守りは強固だ。全滅に追い込むまでは、人手も手間も、時間もかかる。
 アッシュはもう、心情を明かすことにする。
「敗戦続きで戦力ガタガタになってるのはわかるが、トループス級を送り届けるために精鋭隊やアヴァタール級の個体までが盾になって逃がすこの状況、なんかいまいちピンとこないんだよな……」
 もちろん、請け負った以上、アッシュは現状の作戦を遂行しようとするだろう。
 だから、ラズロルが代わりに言う。
「案内人からの助言は、よく観察すること、だったよね。指揮官の様子だけでも、こちらから探りにいかない?」
「でしたら、わたくしとラズロルさんで。どうすれば隙ができるのか――じっくり見させていただきますわ、うふふ」
 エレオノーラの表情が、いつもの調子に戻った。
 草原を横切って森に入り、用意した装備もつかって敵を見つける。四脚の『キュイラッサードール』が、ちょうど偵察に来ているところだ。
「ディアボロスの姿はなし。……森を抜ければ、軍を休ませられるな。そこまでは行軍速度を上げてもらおう」
 近くの茂みには、ラズロルとエレオノーラがまんまと潜んでいる。
 独り言が続いた。
「意味あるのか? 奴らが一般人を扱うようにトループスどもを逃がせ、などと……」
 アヴァタール級は、指令を確認しているようだ。
「間違いではない。ディアボロスの攻撃がもたつく可能性がある、か。まるで淫魔だが、一芝居うってみよう」
 四脚がとって返したあと、ふたりも急いで仲間と合流した。
「僕たちが聞いた種明かしも、またフェイクかも。それよりも……」
「わたくしたちがクロノヴェーダを赦すはずないですわ。配下を守る敵指揮官の姿に同情するなんて、ジュールダンに思われるのは面白くないです」
 この際、襲撃ポイントをもっと前にずらし、大群と護衛は通過させたあと、最後尾のアヴァタール級を集中攻撃して撃破する。護衛はさせない。
 作戦の変更案だ。
「だけど、大群と護衛のトループスをフランスに逃がすことにならないか?」
 アッシュは当然の懸念を口にした。
「そうならないために、指揮官への攻撃班とは別で、護衛と大群のそれぞれに『追撃班』も組織するんだよ」
 と、ラズロル。
「なるほど、アヴァタール級撃破を確認してから、追撃班が各個にトループスを撃破しにいくのか。間に合うか?」
「護衛のトループスが、護衛として機能するのは、首魁が健在なあいだだけ。指揮官が撃破され、指揮官なしでフランス側へ逃げるとなると、大群も守れないし、自分たちの防御力も大群と大差なくなる。少ない手数で殲滅できるんじゃないかな」
 いちおう提示されていた作戦のひとつ、追撃だ。
「案内人のお嬢が言ってたな。とはいえ、こちらも一度で頭数をそろえないと。『指揮官攻撃班』『護衛追撃班』『大群追撃班』をつくって、いっせいに動かないといけないのだろう?」
 検討の態度をみせるアッシュに、他のディアボロスも意見を出しはじめた。
 たとえば、多少の準備時間をかければ、班を兼任する段取りも組める、など。エレオノーラは、思案している。
「草原で迎撃、あるいは森で追撃……」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【ダブル】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
完全視界、残留効果を活用

……いや、彼ら全員が囮の使い捨て部隊
精兵に大群を守らせ、時間を稼ぎ、目立つための布陣
あわよくば本国へ帰還もさせられる

彼ら自身は知らされていないのだろうな……
ジュールダンの思惑と覚悟を
……俺はそう思う

ならば全力で相手するまで

味方からパラドクス通信で連絡をとり連携
方針に合わせて臨機応変に調整
三方に分かれるなら、やり過ごし、まずは指揮官を分断しよう
光学迷彩と迷彩コートで地形に潜みつつ、短い合図でタイミング合わせて指揮官へ襲撃

戦況を偵察、観察し把握
味方とは密に連携を
敵の姿を宙に描き出し、突撃と四腕の武装で応戦
指揮官を囲い込み、互いに隙を作りあうようにタイミングをずらして攻撃、時にフェイントを交えてペースを乱し
隙を看破し一撃を

反撃のジャンプに合わせ魔力障壁を展開し身を護り
Nazarの盾を頭上へ掲げて銃弾の雨を防ぐ

大陸軍の統率と覚悟や見事だ
指揮官としての貴殿に敬意を表する

追撃の場合、倒しきれば他班の味方と通信で情報共有しつつ残敵の位置を補足
速やかに追撃に移ろう


シル・ウィンディア
トループスを護衛って、なんだか不思議な感じがするけど…。
数を本国に送り込みたいってことなのかな?
…精鋭が護衛、指揮官自体も護衛につくならよっぽどなんだろうね。
その目論見、潰させてもらうよっ!

敵指揮官を襲撃する形で動くかな。
『指揮官攻撃班』で動きます。
そして、敵の目を惹く形で攻撃を仕掛けていくよ。
敵を視認したタイミングで高速詠唱で隙を減らした、七芒星精霊収束砲で撃ち抜いていくよ。

敵のパラドクスは剣を上段に構えてから防御態勢を取るよ。
少しでも被弾面積を少なくするようにして、体も構えを取って小さく魅せるように立ち回るよ。

パラドクス通信は積極的に使用。
特に、敵の動きはしっかり観察して、指揮官アヴァタールとトループス達の動きをしっかり確認だね。
アヴァタールが残って、トループスから離れるならば、その情報を都度、味方に情報を展開していくよ。
情報は最大の戦力であるしね。

あなた達の戦力を送らせるわけにはいかないから。
だから、ここで全部取っていくよっ!
…でも、突破するには邪魔だなぁ、この指揮官っ!!


エレオノーラ・アーベントロート
方針:森の手前の草原で指揮官を襲撃・撃破してから護衛と大群へは森で追撃

どの方針でやるにせよ、全員ブチ殺すのは確定として――今までやったことのないやり方を試してみるのも悪くありませんわ。
今後の試金石としましょうか。

いずれにせよ、この場では全員ブチ殺す以外の道はありませんわ。
ここで見逃しても何にもなりませんもの。

【パラドクス通信】で追撃班が準備できたことを確認してから指揮官を追撃しましょうか。
追撃班の存在を悟られぬように、速攻でアヴァタール級を倒して逃げた護衛や大群を追う――と、そんな雰囲気で臨みましょう。

お疲れのところ申し訳ありませんけれど――くたばりあそばせ!
弾幕に対してこちらもフェアレーターを構え「第六十五の魔弾【轟雷】」の炸裂する魔弾で応戦。白兵戦に対してはフェアレーターを盾にするようにして防御から【轟雷】の魔弾による反撃。

途中で敵指揮官がこちらの待ち伏せに気付いてもそれを逃げるトループスに伝えられないよう【通信障害】は展開しておきましょう。


 いつまでも迷うような性格ではなかった。
「どの方針でやるにせよ、全員ブチ殺すのは確定として――今までやったことのないやり方を試してみるのも悪くありませんわ」
 エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)が顔を上げると、アッシュはもう反論しなかった。
 彼の様子をみて、シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術士・g01415)が心情を述べる。
「トループスを護衛って、わたしもなんだか不思議な感じがしてたけど……。数を本国に送り込みたいってことなのかな? 精鋭が護衛、指揮官自体も護衛につくならよっぽどなんだろうね」
「……いや、彼ら全員が囮の使い捨て部隊」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が、冷たい推論を出す。
「精鋭に大群を守らせ、時間を稼ぎ、目立つための布陣。あわよくば本国へ帰還もさせられる。彼ら自身は知らされていないのだろうな。ジュールダンの思惑と覚悟を……」
 つらつらと語られたクロノヴェーダ側の計略に、ある者は腹をたて、ある者は納得して頷いている。
 全員に注視されていると気付いたからか、エトヴァは咳払いをしてから表情を和らげた。
「……俺はそう思う」
「うん、わたしは『指揮官攻撃班』で動くよ」
 持ち場の宣言に、シルが最初に手をあげた。この時点で、森での追撃が決まった。各自が標的ごとにわかれ、ラズロルたちが用意した装備や方法で潜むのだ。
 新作戦への不安げな空気を払拭するかのように、エレオノーラが笑った。
「うふふ。わたくしたちが、今後の試金石となりましょうか」
 続いて手をあげ、そこにエトヴァも加わる。
 グランダルメの撤退軍は、予知とほぼ同じ行動をとった。
 大群の征服人形たちを励まし、精鋭部隊が護衛として隊列を挟んで全体の歩を速める。最後尾で、指揮官『キュイラッサードール』が守りにつくところも予定どおりだ。
 攻撃班は、『パラドクス通信』で追撃班の準備も確認した。
 樹々のあいだを自動人形たちが通り過ぎたところで、指揮官の背中へと攻撃を加える。
 拠点防衛用電磁レールガン『フェアレーター』を抱え、エレオノーラは隠れ場所から飛び出した。
「お疲れのところ申し訳ありませんけれど――くたばりあそばせ!」
 『第六十五の魔弾【轟雷】(フュンフウントゼヒツィヒステ・フライクーゲル)』は、発射されてすぐ、空中で破裂し散弾をばらまいた。
 軍服の背に細かな傷を負ったアヴァタール級は、振り返りながらもエレオノーラの気迫をみる。
 ディアボロスの狙いは大群らしい、と受け取ってくれたのか、戻ってこようとする精鋭部隊を押しとどめた。
「おまえたちは、命令通りにトループスを守るのだ。ここは、吾輩に任せよ!」
「ハッ、仰せのままに、指揮官殿っ!」
 精鋭部隊『ギュダン・ドール』たちは、そのまま草原のある方向へと撤退軍を急きたてる。
 四脚をつかって器用に方向転換すると、アヴァタール級は『堂々たる前進』をみせる。隊列とは逆方向でピレネー山脈越えからは後退しているが、ともかく『指揮官攻撃班』へと突進してきた。
 四つの腕のうち、銃を持つものは弾幕を張り、刀剣をもつものはそれを振りかぶる。
 エレオノーラはしばし作戦のことを脇において、フェアレーターの防衛機能を稼働させた。
「全員ブチ殺す以外の道はありませんわ」
「させるか、ディアボロスども! 吾輩の歯車に賭けても、同胞に手は出させぬ!」
 指揮官は、ダッシュの加速からジャンプした。
 まとわりつく枝葉をものともせず、無数の銃弾を降り注いでくる。その真下に、ショートソードを上段に構えるシルの姿があった。
 エトヴァは冷静だ。
 慌てて加勢にはいったりせず、心をしずめて絵筆をとる。
 『キュイラッサードール』の血と鉄の雨は量を増し、リアライズペインターの足元にまでとどいた。
「大陸軍の統率と覚悟や見事だ。指揮官としての貴殿に敬意を表する」
 絵筆が、その敵の姿を宙に描き出した。
 エトヴァの命に沿い、突撃と四腕の武器で応戦する。一手順堪えたおかげで、仲間とは敵を囲い込むかたちになっている。
 ショートソードは、淡い碧色の刀身を持つ『創世の光剣』であり、シルの魔力を高めてくれる。被弾をいくばくか逸らした。
 盾を頭上に掲げたエトヴァも、銃弾の雨を防いでいる。この盾、『Nazar boncuğu』には巨大な青い目が彩色されており、敵の視線を惹きつけるとされる。
 シルもエトヴァも、アヴァタールの攻撃の激しさに比して、実際に受けたダメージは少ない。
 エレオノーラには攪乱に成功した感触があった。
 離れていく自軍に注意を払わなければならないし、盾や剣、長射程の砲にも、隙はみせられない。自分と同型のまぼろしとまで撃ち合いになる。
 自動人形の指揮官は、その機能を十分には発揮していなかった。
「六芒星に集いし世界を司る6人の精霊達よ、過去と未来を繋ぎし時よ……。七芒星に集いて虹の輝きとなり、すべてを撃ち抜きし光となれっ!!」
 シルの詠唱が完成した。
 背中に四対の魔力翼が展開して彼女を支え、そうでなければ発射不可能なほどの、超高出力型複合魔力砲撃を行う。
 森の木々に、文字通り七色の照り返しがおこり、それが一点に収縮したときには、キュイラッサードールの四腕四脚はバラバラとなり、八方へとはじけ飛んでいた。
 敵のボスは撃破。数多の任務では、ここでパラドクストレインへと急ぐところだ。
 が、感慨にふけるどころか、シルもエトヴァも通信機に飛びついた。排斥力の強まりがせまる中、逃げたトループスの方向を追撃班に伝える。
 そのひとつにむかって、エレオノーラは駆けだしていた。
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効果1【液体錬成】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

アッシュ・シレスティアル
※アドリブ、連携歓迎
部隊を分ける感じで行くなら俺は取り巻きの追撃班に入らさせてもらうぜ。
こっちの方なら展開によってはそのまま護衛対象も狙えて戦闘回数も稼げそうなんでね。

仲間と打ち合わせた後、攻撃班が仕掛けたタイミングで行動開始。
通した護衛のトループスに迫り【光学迷彩】を解除して排除をする方向で。

双刃ヴァルディールを持ちパラドクスによって発生した雷を纏わせたら、
目についた護衛トループスに対して一体でも多く巻き込むように電撃を放つ。
以降は無傷の個体を優先的に狙って一体でも多くの相手からヘイトを集めて
味方が付け入る隙を作れるよう行動するぜ。

久々に装甲纏わない状態での戦闘なんで相手からの攻撃は予備動作を見逃さずに装備で受けて出来る限りダメージを減らしつつ、パラドクスの雷を纏った得物で即座に反撃を試みる。


ラズロル・ロンド
アドリブ連携歓迎

キュイラッサーが居る方を後方とし前方に回り込むように攻撃しに行こう
征服人形も下手に護衛と指揮官から離れると、即僕等の餌食になるよ〜。
森には仲間がい〜っぱい待ち伏せしてるからね!
なんて出任せも交えて逃げないように追込みつつ
狙うは護衛のギュダン・ドール

ワービルハルバで上空から砂槍を降らせ攻撃していこう
上手いこと避けてくなー…
と悪態を吐きながらも狙いは攻撃だけでは無く
征服人形の護衛妨害にも砂槍を使う

護衛に行こうとしたら分断するように砂槍を突き刺し進路妨害
行かせはさせないよ!

巧みに避けられようとも
気を回せる範囲も限られてくるだろう
追い込み、僕等の都合が良い場所に避けさせた先で、脳天を、胴を刺し貫く

反撃のウェポン・アタッチメントは
近場に刺した砂槍をふるい防御に
魔障壁と合せて威力軽減に努める

キュイラッサーが妨害に現れた場合も砂槍で進路妨害を
仲間の攻撃がギュダンに通りやすくなるよう
砂槍を配置し飛び退かせる

ギュダンと征服人形の相手は
仲間の位置関係を見ながら切り替え着実に数を減らして行こう


アンナ・ラークリーズ
連携・アドリブ歓迎

さて、復讐者が忙しくしてる間に戦力再編企んでる勢力をなんとかしようかね。



まあ、私も嘗ては一族率いて戦場立ってたんで、戦力残す為に力を尽くすの
はわかるんだが、こちらとしては温情かける余裕はないんでね。

森での戦闘だから視界クリアの為に【完全視界】を使用、広く戦場に味方が展開するので【パラドクス通信】で味方と敵位置と情報を共有。

私自身は後から戦場に到着するので【光学迷彩】で姿を隠し護衛のギュタ
ン・ドールを攻撃する方に参加、キュイラッサーを後方に、前方に回り込む、了解したよ。


しっかり【精神集中】で狙って向かってくる敵に向かって【高速詠唱】ライオニックサンダーを展開、電撃の獅子を疾走させて飛び掛からせる。

余裕があれば電撃の獅子の一匹を飛ばして征服人形の妨害を。

精鋭部隊だけだけあって攻撃の回避と対応も慣れてるね。致命傷を【残像】で避けつつ、竪琴剣で受けを試みる。巧みに避けられても仲間と連携して仲間の攻撃がしやすい場所に電撃の獅子で追い込むよ。

お互い必死だ。でもこちらも譲れない。


 『追撃班』にはいったアッシュ・シレスティアル(蒼破拳・g01219)は、連絡を受けて偽装を解く。目の前には、護衛についていた精鋭、『ギュタン・ドール』がいた。
「こっちで正解だ! ついでに護衛対象の征服人形も狙わせてもらおうか!」
 『双刃ヴァルディール』を振りかざした。
 身の丈ほどの双刃刀、加えてアッシュは長身だ。
「ディアボロスめ、格下の人形など知らん。好きなだけ処刑しろ!」
 あろうことか、装甲に身を包んだ精鋭は、近くを走っていた痩せた骨組みだけのような人形の腕を掴むと、アッシュのほうへと放り投げてくる。
 とっさに両断した。
「そうりゃっ! ……って、なんだよオマエ!」
 望みどおり、征服人形の一体を撃破したが、護衛を仰せつかったはずのギュタン・ドールが、その対象を犠牲にして、我先にと逃げているのである。
 さすがに驚きの声がでた。
 キュイラッサーの打ちもらしに備えていたラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は、彼が撃破され、支配者を失ったことで起こった事態に、ひとつの仮説をいだいた。
「護衛や大群での軍事行動といった任務が、撤退に書き変わったのかな?」
 この場合、撤退軍とも意味が異なる。
 見れば、どのトループスも無秩序に逃げていて、ピレネー山脈を越えてフランスに撤退するという、もともとの命令も消えているかのようだ。
「『護衛』のギュダン・ドールを狙いに来たけど、僕が狙うべきは、『撤退』のギュダン・ドールってわけか。ややこしー……」
 護衛のトループスも、大群のトループスも、ここにはもういないのだ。ディアボロスが仕向けた結果で。
 仮説ではあるが、通信機で周知した。
 そこへ、援軍の連絡も入る。来てくれたのは、アンナ・ラークリーズ(清光のフィエリテ・g09972)。
「復讐者が忙しくしてる間に戦力再編企んでる勢力をなんとかしようかね。まあ、私も嘗ては一族率いて戦場立ってたんで、戦力残す為に力を尽くすのはわかるんだが、こちらとしては温情かける余裕はないんでね」
 状況を共有し、ギュダン・ドール討伐に入ってもらった。
 彼女の言う通り、どのような状況でも温情は不要だ。
 ラズロルは精鋭部隊を追いかけながら『ワービルハルバ』、砂の長槍を召喚する詠唱にはいる。
 追いすがられていると気付いたギュダン・ドールは、『ウェポン・アタッチメント』を作動させた。搭載された装置で、距離と状況に応じた武器を用意してくる。どうやら、アンナに対しても分析をはじめたようだ。
「精鋭部隊だけあって対応も慣れてるね」
 装甲の一部が開いて、後ろにむかって撃てる火砲がせり出してきた。
「上手いことできてるなー……」
 ラズロルは悪態をついた。
 逃げるしかなくなった敵への感情が、いまは居心地悪く胸にくすぶる。
「天より降り注げ、数多なる砂の槍!」
 ワービルハルバは、上から敵を刺し貫くのだ。後ろ向きの火砲も、ラズロルやアンナに放たれはしたものの、砂槍を防ぐことはできなかった。
「『ライオニックサンダー』!」
 アンナは、電撃の獅子にも敵を追わせた。
 砲撃を『清光の竪琴剣』、使い込まれた霊木ではじき返す。
 おそらく、指揮官がいないために、ギュダン・ドールの基本性能も低下している。
 ちらばって逃げられるのは、それはそれで厄介に感じたものの、砂槍の落下地点を調整するだけで、ラズロルたちの都合のよい場所に追い込めている。
 槍の穂先は、装甲された脳天を、胴を刺し貫いていく。
 やがて、アッシュが合流し、木立のあいだに精鋭部隊だけを囲いこんだ。
「おのれ……! 囮の人形もいなくなってしまったか」
「囮はオマエらだろ!」
 アッシュは、双刃ヴァルディール突きつけた。
「って、尊敬できる戦友が言ってた。もう、俺の稲妻からは逃れられねぇぞ!」
 『ライトニングテンペスト』の雷を刀身に纏わせる。
 アンナは、精神を集中させていた。
 ギュダン・ドールたちの分析装置はまだ動いているから、諦めてはいないようだ。
「隙あり、『エヴェイユ・ストライク』!」
 人形の発射装置が開くと、歯車がいくつも飛び出してきた。
 それらは、征服人形の頭部を模したダミーだ。
 意表をつく効果はあったのか、アンナは電撃塊の獅子に飛び掛からせて、『かわいそうな頭部』をかみ砕かせる。アッシュはやや遅れて、雷をまとった得物で両断した。
「久々に装甲纏わない状態での戦闘なんでね」
 返す刀。
 ヴァルディールで一体を斬りつけた。
 纏った雷は、ギュダン・ドールたちのあいだを連鎖するように広がっていく。
 精鋭部隊の自動人形は感電し、焦げた匂いを発して焼き尽くされた。
 もちろんすぐに、ギュダン・ドール全滅の通信がなされる。
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効果1【通信障害】がLV3になった!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ダブル】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!

ラズロル・ロンド
アドリブ連携歓迎

僕は散らばって逃げないように早めに征服人形の方へ回り込もう
ギュダンを相手してくれる仲間の近辺にいる征服人形からギュダンの妨害を受けないよう隙間から着実に潰して行けるよう動こう
砂塵海嘯の楔の海嘯の波で足元をすくい散らばって逃げる征服人形の進路を妨害し
楔で縫い留めていく
逃がしはしないからね

反撃の銃投げは
!?銃何個持ってんの!?撃つより強力って事??
魔障壁で銃を投げ返すように銃を弾き、爆発を遠ざけよう

ギュダンの妨害がもう無い場合は散らばり逃げる事を阻止するべく
先に進もうとする征服人形を狙って追撃
海嘯でそっちに行っちゃだめだよと元の位置へ流し攻撃していく
どちらの方向へ征服人形が行ったかもP通信で仲間に連絡し
一匹も逃さないよう動こう


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
完全視界、残留効果を活用

味方からパラドクス通信で連絡を受け敵位置を共有
味方の方針に合わせ、大群に追撃をかける

さあ、仕上げと行こうか

周囲を偵察、観察しつつ把握
周辺に【トラップ生成】で、樹々の間にベルを結んだワイヤーと落とし穴や括り罠を設置
分散したり逃げ出す敵の場所の把握と足止めに用い、隙を作らせる

トラップのワイヤーにPDの糸を紛れ込ませ、敵を絡めて斬り刻む
森の地形の利用し、味方と連携
狙いを合わせて確実に、弱った個体から仕留めつつ、逃走を図るものがあれば足止めも兼ねて狙う
討ち漏らしのないように手分けして追撃を
仲間と立ち位置を調整し、包囲するように動く
連携の要となる敵があれば優先し撃破

反撃には魔力障壁を展開し、射撃を弾きつつ
弱点は見せないように、森の木々も遮蔽物に利用して狙いをずらしつつ、盾で回避と防御に努める
死角を突かれないよう警戒

戦いぶりには敬意を
ジュールダンの策……か。その策を上回り、おびき出そう
堅固な陣形ではあったが、こちらにも仲間たちとの連携がある
追撃の手は止めないさ


エレオノーラ・アーベントロート
キュイラッサードールを撃破次第追撃。あちらではもう戦闘が始まっているでしょうし、音で場所は簡単に分かりそうですわね。
ラズロルさんに止めてもらっていた征服人形たちを狙いますわ。

さて、追いつきましたわね。スクラップになる覚悟はよろしくて?
できていないなら、精々抗ってみることですわね――どちらにせよ、ブチ壊しますけれど。

電磁レールガン「フェアレーター」から「第二の魔弾【崩壊】」を投射。【崩壊】のエネルギー解放で征服人形たちを吹き飛ばしますわ。
あら、もっとせせこましい武器だと思っていましたけれど、面白い武器でしたのね。派手な撃ち合いは好きですわよ?
わたくしに撃ち合いで勝てると思っているなら、その思い上がりは踏み潰しますけれど!

【パラドクス通信】で連携を取り、こちらも仲間とともに反撃。
一体たりとも逃さぬように、撤退を選ぶ相手から順に撃破していきましょうか。

いたずらに兵を消耗するなんて、好き好んでやる策ではないでしょうね。
そんな苦肉の策を打ち破って――対面したときのジュールダンの顔が愉しみですわ。


「さあ、仕上げと行こうか」
 征服人形討伐に入っていたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が返事した。
 『キュイラッサードール』を撃破したあと、エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)が一番奥まで、敵を追っている。
 逃げるしかない敵は、ディアボロスをしっかりと認識できないのだろう。散発的に、振り返って銃撃を加えてくるだけだ。
 エトヴァは、Nazarの盾で弾丸を弾く。
 警戒は怠らない。樹々を遮蔽物に利用し、死角をつかれないように努める。『完全視界』があるぶん、少しばかりの低木や茂みには邪魔されないし、逆に征服人形たちはしょっちゅう物にぶつかっている。
 それでも、時間に限りがあるからには、討ち漏らしのないように手分けして追撃をすすめなければならない。
 命中度の低い銃撃の相手に、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)が参加してくる。
 征服人形は、銃を投げつけてきた。
「こいつらも、もう限界なんだなー……」
 軽く手で払う。
「ギ、ギギギ」
 武器を投げた人形は、顔の歯車をまわして、悔しさを感じる音をたてた。
 やがて、周囲から悲鳴のような歯車音や、鳴子のベル音が聞こえてくる。エトヴァのトラップだった。分散して逃げられたときを考えていて、人形たちを進行方向へと寄せるための仕掛けだ。
「!? 銃何個持ってんの!?」
 無手になったと思った征服人形が、ラズロルにまた銃を投げてきている。
「撃つより強力って事??」
 本来、この『ガンスリンガーズ・ボム』は、投げつけたあとで、もう1丁の銃で撃ち抜き、爆発させる攻撃である。しかし、無害なまま地面に転がった。
 着火のための射撃が外れているのだ。
 そのうち、トラップワイヤーに引っかかり、ボディが寸断される。『斬糸結界』の鋭い切れ味をもつ極細糸が、紛れ込ませてあったという。
「僕も、逃がしはしないからね」
 ラズロルは『砂塵海嘯の楔(サジンカイショウノクサビ)』の詠唱にはいった。
「『ゆけ砂の海嘯、我が意のままに。砂塵の楔、貫き縫い留めその身を晒せ』!」
 樹木の幹は残し、砂が波となって押し寄せた。
 罠にかかった者もふくめて、人形たちの足元をすくい、楔で縫い留めていく。
「そっちに行っちゃだめだよ」
 散開しようとする敵も、海嘯で流して集める。またあの、悔しさの歯車音がいくつも聞こえた。
 エトヴァが通信機から耳を離す。
「堅固な陣形ではあったが、こちらにも仲間たちとの連携がある。追撃の手は止めないさ」
 ここに捉えたもの以外、すべての敵を討伐し終わったと、連絡がきたのだった。
「一匹も逃さないよう、動いてきたからね」
 ラズロルがとどめをさしていく。
「ギギギ、ギギー!」
 歯車音がひと際高く響いた。
 分解したと思った人形の身体が、再結合している。なにか、巨大な砲に組み上がりつつあった。
 エトヴァは警戒したが、森の奥から自信ありげな声がする。 
「あら、もっとせせこましい武器だと思っていましたけれど、面白い武器でしたのね。派手な撃ち合いは好きですわよ?」
 電磁レールガン『フェアレーター』を抱えている。
 エレオノーラだ。
「わたくしに撃ち合いで勝てると思っているなら、その思い上がりは踏み潰しますけれど!」
 砂の海の波打ち際に立ち、重量級の武器を構えた。
 征服人形たちは、砲と射撃で担当を分けているらしい。ここにきて、はじめてフォーメーションらしき動きをみせた。
 完成した『カノン・フランセーズ』にも、エレオノーラが怯むことはない。
「スクラップになる覚悟はよろしくて? できていないなら、精々抗ってみることですわね――どちらにせよ、ブチ壊しますけれど。『第二の魔弾【崩壊】(ツヴァイテ・フライクーゲル)』解放」
 先に、崩壊の魔弾が投射された。
 人形の砲も撃ちはしたようだが、判然としない。ただ、魔弾の刺さった個所から崩壊がはじまり、人形たちは粉々に吹き飛ばされてしまっただけだ。
 エトヴァは目を閉じて一礼した。
 戦いぶりへの敬意だったかもしれない。
「ジュールダンの策……か。その策を上回り、おびき出そう」
「こっちの作戦も良かったんじゃないかなー……」
 ラズロルは、ほっとした顔をしている。
 森林の各地で戦っていたディアボロスたちも集まってきた。
 まだすこし、厳しい表情のアンナ。
「お互い必死だった。でもこちらも譲れない」
「手数と時間をかけず、俺たちの戦力も温存できたぜ」
 アッシュは満足そうだ。
 同意し、エレオノーラは頷く。
「いたずらに兵を消耗するなんて、好き好んでやる策ではないでしょうね」
「うん。敵の目論見、潰させてもらったよっ!」
 シルが元気よく跳ねると、ちょうどパラドクストレインが到着する気配がした。
「苦肉の策を打ち破って――対面したときのジュールダンの顔が愉しみですわ」
 エレオノーラの笑みが、ピレネーの山々に向けられる。
🎖️🎖️🎖️🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】がLV2になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【命中アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年09月28日