リプレイ
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
私も元は二重帝国海軍航空隊の出身。海上封鎖の厄介さは身に染みて理解しているし、
新宿島で学んだ『未来の』戦史でも、太平洋での趨勢を左右したという。
制海権さえ確保出来れば、随伴艦を盾にする戦術はもう使えまい。
化けの皮を剥がさせて貰うわよ。
●行動
【飛翔】し海上へ。
被探知を避けるべく高度を落とし、【空中戦】技能と【戦闘知識】を併用したシースキミング機動で空中哨戒。
水飛沫を撒き上げない範囲内で、広範囲をカバー出来る様に速力は可能な限り落とさない。
敵もこちらを探しているなら、裏のかき合いだ。
周囲の島陰や航路から、自分ならどうクリアリングしていくかと考えれば、敵の動きは自ずと読める筈。
海上に残された航跡を手掛かりに【偵察】技能を活用。
加えてアイテム[対潜哨戒ポッド]のソノブイを射出、パッシブモードで起動し、目視のみならず水中聴音も駆使して索敵を行う。
会敵時は友軍への伝達と同時に、可能なら【追跡】を続行。
友軍の合流までの時間と敵の進路から未来位置の予測と、奇襲に適したキルゾーンの策定も行っておく。
エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)は可能な限り海面に近い高さを飛翔で移動する。シースキミング機動の名は海鳥の飛行形態から取られたネーミングなのだそうだ。速度を落として飛ぶことでレーダー探知をすり抜ける可能性が高まる。
「これがぎりぎりね……」
水飛沫を上げず、敵の探知を躱しつつもできるだけ広範囲をカバーするための最低速度は維持したい。エリザベータは細心の注意を払ってそのバランスを取った。
敵もこちらを探しているのなら、これは裏のかき合いだ。索敵を成功させた方が交戦時のアドバンテージを握ることになる。
受けて立つ、とエリザベータ。
元二重帝国海軍航空隊の出身であるエリザベータにとって海上封鎖の重要性は旧知の事実だ。これまでにどれだけの海戦の趨勢を左右してきたことか。
「新宿島で学んだ『未来の』歴史でも制海権を奪われて頓挫した作戦がいくつもあった……今回はそれをこちらがやらせてもらうわ」
今度こそ奴等の化けの皮を剥いでみせる。
随伴艦を盾にする戦術など二度と使えなくなるように。頭の中に叩き込んだ周囲の地形情報を元に自分ならどうするかを考えた。
……エリザベータなら。
できる限り開けた海域を進むのは避け、目立たない島陰を進むだろう。
「!」
ほんの僅かな航跡をエリザベータは逃さなかった。
水中に潜ませたソノブイも同様の結果を返してくる。近い。エリザベータは息すら止め、会敵に備えて身構えた。
(「このまま行かせれば進路からして未来予測位置は――……」)
どのポイントで奇襲をかけるのが最も効果的であるかを計算しつつ、友軍への伝達を試みる。あとはキルゾーンの策定か。先手さえ取れたら奇襲を仕掛ける場所とタイミングはある程度コントロールできるはず。
「まだこちらに気づかれていない今がチャンスね。できる限り、有利な状況を揃えさせてもらうわよ……!」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
近衛・悠
ああ、七曜の戦で随伴艦の厄介さは嫌という程知ったからな・・事実上の人の盾が主力は断じて容認できない。脅威が減らせるなら、努力しよう。
事前に作戦地域の地図を読み込んで所在する島など詳しく地形を頭に叩き込んでおく。敵が航路を取りそうなルートを把握しておきたい。
海での作戦なので【水面歩行】を発動。敵が通った後なら敵の性質上、航跡
波が残るはず。それを辿って【地形の利用】を活用しながら【偵察】【観察】で索敵をする。
敵の領域のど真ん中で索敵をするには出来るだけ見つからないことが大事だ。事前に頭に叩き込んだ地図に従い、島陰など目立たない所を進む。
敵がいるなら煙とか灯りとかが見えるはずだな。俺は戦艦は専門ではないが、役割上、目の良さや機械の駆動音の聞き分けには自信がある。できる限りの範囲で冥海機を確認して、奇襲にいい場所を特定して仲間と共有。戦闘準備を整えるぜ。
ミシェル・ラークリーズ
随伴戦の厄介さは嫌という程知ってるからね・・出る為の元を断てば何とかなるか。敵勢力のフィールドど真ん中なんだけど、これからの為に。
まず作戦地域の地図を良く読み込んで地形を良く頭に叩き込んでおく。歴史が違うから全部同じじゃないけど大体の地形は掴めるはず。
海域での作戦だから【水面歩行】の効果お借りするね。そして音の妖精さんを呼び出して【パラドクス通信】の効果を得ておく。リーリエはちょっと先へ飛んでってもらって変わったものがあったら教えてもらうね。
海で何か動くと波が動くし、海洋生物が集まらないからそこを重点的に【観察】。敵に見つかったらいけないので、リーリエと一緒に島陰に隠れるよう
に移動したい。
僕は音楽家だから音には敏感だ。敵のモーター音、波の音、わずかな異音。どれも聞き逃さない。どれも聞き分けて敵の居場所を特定する。未熟な僕でも少しでも力になりたい。
敵を見つけたら、音の妖精さんを飛ばして【パラドクス通信】で仲間と情報を共有して戦闘の準備を整えるよ。
随伴艦の厄介さは七曜の戦で十分以上に思い知った、という点において近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)とミシェル・ラークリーズ(彩光のグレイス・g03431)の見解は完全に一致する。
「事実上、人を盾にされているも同然だからな。そんなものを主力にするなんて断じて容認できない」
「出る為の元は絶っておきたいところだね。これからの為にも」
とはいえ、と呟いたのはミシェルだった。
「敵勢力のフィールドど真ん中か……」
二人とも、作戦地域の地図はきちんと読み込んでおいたので何とかなるだろう。歴史は違えど大体の地形は掴んである。少なくとも知らない土地で後れをとるようなことはないはずだ。
「敵の予想航路は幾つかに絞られるな」
悠は水面を移動しながら航跡の有無を判別するための観察を始める。できるだけ地形を読み、島陰などを利用して偵察を続けた。間違っても先に見つかるわけにはいかなかったので。
バンダ海を封鎖できればその分、冥海機の脅威を減らすことに繋がるのなら。
「やってやろうじゃないか」
そこは、見渡すばかりの空と海だった。
のどかな自然の中に人工物が紛れ込めば必ず違和感が発生する。たとえば煙、それに灯りも。悠は決して戦艦に詳しい専門ではなかったが、その役割もあって、目と耳には自信がある。
「こっちにはいそうにないな」
ミシェルが繋いだパラドクス通信で情報の共有を試みる。この残留効果は周囲のディアボロス全員の元に専用の小型通信機が現れ、レベルに応じた距離間の通信が可能になる。
「いくらなんでも海域が広すぎるか……」
悠は水平線を眺め、ぽつりと漏らした。
バンダ海は東西約1,000km、南北約500kmにも及ぶ広大な海域だ。パラドクス通信であってさえ、焼石に水の広さ。手分けして探す場合、連携は取れないと考えるべきだろう。
「こいつは思っていたよりも大変だな」
となれば、それぞれができるだけの範囲を潰して居所を絞り込んでいくまでのこと。悠は耳を澄ませつつ、手掛かりを探して海域をさすらった。
航路の名残りらしき引き波を追った先で、不意に何かが跳ねる。
「今のは? イルカか……いや、違うな」
その頃、ミシェルも同じ群れと遭遇していた。
「リーリエ、今の見た?」
こくりとオラトリオが頷く。
周囲を飛び回るのは音の妖精だ。リーリエはミシェルとふたりでひとつも同然のため、一緒に探すのを手伝ってくれている。
ミシェルはリーリエとともに島陰に身を潜め、さっき見た群れの後を追うことにした。
「海で何か動くと波ができるし、海洋生物は避けていくはず……あれはイルカの群れじゃない。冥海機だ。このまま真っ直ぐに進むなら、どこでも奇襲をかけられそうだね」
しかも相手はまだこちらに気づいていない様子だから、アドバンテージはこちらにある。
「――あ、繋がった!」
その時、それまで不通だった通信機の向こうから悠の声が届いた。
「どうやら近くにいるみたいだな。そっちも見たか?」
「うん。これだけ離れていると、さすがに音らしい音までは拾えないけどね。戦いの準備ができたら、こちらから仕掛けよう」
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【水面走行】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
敵艦を視認。
取り巻きのトループス級は士気が低いと聴いてはいたが……成程、弛緩しているわね。
奇襲を仕掛けるだけじゃ芸が無い。
後続の友軍が動きやすい様に引っ掻き回してやろうかしら。
●行動
シースキミングでの【飛翔】は継続。
下限高度ギリギリを最大戦速で接敵し、速力を活かして友軍が仕掛けるであろう方位と逆方向に回り込む。
【空中戦】技能と【戦闘知識】を元に敵の眼前でポップアップし、直上で反転急降下からのダイブアンドズーム。
位置エネルギーを運動エネルギーに変換すると共に、引き起こしのGを乗せた爆撃槌を振り抜く。
攻撃後はアイテム[チャフ/フレアグレネード]をばら蒔きながら【一撃離脱】で飛び去り反復攻撃。
敵からの反撃は、反動と遠心力を利用するなら、振り子の様な一定のリズムを刻む筈。
ならばタイミングを見切っての突破は可能な筈よ。
単調な攻撃ならば、それに合わせてカウンターも狙えるかしら。
交戦後は派手に暴れ回って敵の陣形を切り崩す徒共に、敵の目を上空へ吊り上げ、友軍の攻撃機会を創出する様に勤める。
「――敵艦発見。これより戦闘に移る」
事前情報通り、エリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)の目にもトループス級の動きが目に見えて鈍いのがわかる。緊張感というものがまるでない。士気が低いとは聴いていたが、これほどまでに弛緩しきっているとは……。
「戦いの最中に弛んだ姿勢を見せるのがどういう結果を招くのか、身を持って知りなさい」
エリザベータは相手に気づかれていないのを利用し、下限硬高度ぎりぎりを維持しつつ海上を可及的速やかに移動した。
友軍と挟み込める位置まで接近するまでシースキミングを維持、眼前で突然ポップアップしたエリザベータに驚いたシーキャットタマがびっくりして隊列を乱す。
「にゃ!? どこから現れたのにゃ!!」
わざわざ教えてやる義理などなかったので、エリザベータは問答無用で先制のダイブアンドズームを叩き込んだ。ただ奇襲を仕掛けるだけでは芸が無いとばかりに、殊更派手に立ち回る。
「知ってる? 位置エネルギーは運動エネルギーに変換できるのよ。こうやって――ね!」
引き起こしの際にかかるGを乗せた爆撃槌は敵を強かに打ち据えた。浮上する暇を与えず、手持ちの弾薬をありったけばら撒いてから離脱する。
「なになに!? 敵襲なの? いやにゃー!」
反撃のニャンプシーロールだが、エリザベータが思いきり引っ掻き回しておいたおかげで動きはばらばら。
「……読めたわ」
「にゃ!?」
エリザベータは相手の動きを見切り、被害を最小限に食い止める。見て、感じて、敵の動きが描く遠心力の軌道さえ見極めればその振り子のような一定のリズムにつけ込むのはそれほど難しいことではなかった。
「ディアボロス……!!」
いいように配下をもてあそばれたミズーリは怨敵を睨むが如き形相でエリザベータを見据える。
「ここで会ったが百年目! 私が相手をしてくれる!」
「光栄だけど、順番というものがあるのよ」
あくまでエリザベータは敵の陣形を切り崩すのを優先する。そうやって散々敵の目を引き付けたところで高度を上げ、その一身に注目を集めきった。
全ては友軍の攻撃機会を創出するための下準備に過ぎない。
そして今、状況は整った。
「深追いするな!」
ようやくその意図に気づいたミズーリが指示を飛ばすが、エリザベータは静かに言い切る。
「もう遅いわ」
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
ミシェル・ラークリーズ
思ったより海は広かった。音の妖精さん、酷使してごめん。折角仲間のおかげで見つけられたんだ。確実に仕留めたいね。
目の前に見えたのは猫型冥海機。何か気の抜ける外見なんだけど猫特有のしなやかな動きと気まぐれな性分からくるランダム性からくる攻撃は決して油断できない。気を引き締めて行こう。
見た目がアレだけど飛んでくる魚型のエネルギー弾は手数の多さから厄介だ。でも良く【観察】すれば飛んでくるエネルギー弾の軌道から発射元の敵軍の位置は特定できるかな。無数の弾で海に沈まないように【残像】で致命傷だけは外したい。
【パラドクス通信】で戦友と通信して巻き込まないように立ち位置を調節してから捉えて置いた敵軍目掛けて【高速詠唱】でブラッドソードを発現。その砲塔や魚雷発射官ごと敵をぶった斬る。
猫って複数魂あるって話だからある意味冥海機と相性いいかもね。見た目と違って結構えげつない攻撃してくるから騙されないようにしないと。
「酷使してごめん、しばらく休んでいてね」
バンダ海域――想像以上にその領域は広大だった。ミシェル・ラークリーズ(彩光のグレイス・g03431)は力を貸してくれた音の妖精を労った後で、藍色の瞳を細める。
「あれが、そうなんだね」
特徴的な猫っぽい見た目の冥海機は見た目こそやる気がなさそうだが、それにつられて油断するような愚を犯すつもりもなかった。
それはそれとして、何となく気が抜ける外見なのも事実である。仲間たちのおかげで見つかった機体の群れは猫みたいにしなやかな動きで海を進んでいった。気まぐれそうな性分も看過できない要素だろう。
ミシェルは気を引き締め、飛行機雲を描きながら飛来する魚型のエネルギー弾の出所を観察する。
「見えた」
パラドクス通信を繋げ、仲間と連携を取りながら呼び出すのはブラッドソード。無数の弾が降り注ぐ水面を駆け抜けて敵の攻撃元を叩いた。
「にゃ!?」
ざっくりと真紅の刃がシーキャットタマの武装ごと斬り捨てる。
別のディアボロスに気を取られていたところへ挟み撃ちの形で追い込まれ、シーキャットタマは動揺を隠せない。
「ま、まだいたのにゃ。このままじゃまずいにゃ……!」
「どうしたの? もしかして、僕を騙すつもりだったりするのかな」
「にゃー!? どうしてそう思うのにゃ」
「だって、見た目と違って攻撃方法も随分とえげつないじゃない? 警戒は怠れないよね」
それに、とミシェルは猫に関する伝承を思い出していた。もちろん目の前の冥海機は猫っぽいだけで実際の猫と関係あるわけではないが、見た目が似ているということはそういう性質を併せ持っていると考えても間違いではあるまい。
「冥海機との相性はよさそうだったなあ……」
両断され、海に沈むシーキャットタマを肩越しに振り返って呟いた。
それから、ミズーリにも視線を向けて一言。
「残るはあなただけだね?」
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【水面走行】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
ミシェル・ラークリーズ
色々苦労したけど貴方が最後だね。広大なフィールド、配下の的確な動き。ここでの作戦が敵勢力にとってどんなに重要だという事を痛感したよ。
逆に言えば、ここの戦場の作戦を制すれば、僕達復讐者に大きなアドバンテ
ージが来るということ。ミズーリ、貴方の強さはわかってる。でも越えなければならない相手だ。
引き続き【水面歩行】使用。敵の攻撃は苛烈かつ手数が多いので途中で水没させられる可能性を考慮して【水中適応】を使用。
うう、嫌という程知ってるけど、弾幕がしんどい。【残像】で致命傷を避けながら【観察】で敵の位置を特定。砲塔から発射されるって事は射手がその場所にいるって事だからね。及ばず水中に沈められても【パラドクス通信】で仲間に敵の位置を知らせたい。
何とか踏みとどまれたら、いや、沈められても【水中適応】で水面に意地でも復帰して【高速詠唱】でシャークカッターを発動。【全力魔法】も併せて少しでも痛打を与えたい。
色々不利なのはわかってる。でもこれからの為に、貴方を乗り越えてみせる!!
近衛・悠
トループ級手伝えなくてすまない。指揮官討伐はしっかり手伝うぜ。ああ、効率よく動いて偵察するだけで苦労したからな。このフィールドが重要拠点だという事はわかる。
ミズーリ、か。大物だな。でもアンタを打倒しなければこの作戦は成功と言えない。【パラドクス通信】で仲間から敵の情報を得て、自分も【偵察】【観察】で敵の位置と挙動を観察。
【水面歩行】の効果は使わせてもらう。敵の攻撃は手数が多いが、単体だから、発射してきたルートを見定めれば、射手が分かるはずだな。
まともに全弾喰らうと水に沈みかねないので、【残像】で致命傷を避けながら【精神集中】で精神を整え、【高速詠唱】でアイシクルエンドを発動。氷柱に【毒使い】【呪詛】【貫通撃】を併せて飛び切りの一撃を頭上から落としてやる。
術を詠唱し終わる前に攻撃喰らって海に沈む可能性は十分あるな。でも【水中適応】で復帰してみせる。顔さえ水面に出れば詠唱はできる。復讐者を舐めるなよ。
たとえ名高い戦艦の名を冠していてもな、沈んでもらうぜ。
「ミズーリ……」
ミシェル・ラークリーズ(彩光のグレイス・g03431)はアヴァタール級の冥海機と対峙してその名を呟いた。
ここまで決して楽な戦いではなかった。ミシェルは改めて痛感する。彼女たちにとって広大なフィールドを誇るこのバンダ海域での作戦がどれだけ重要かということを。
「さすが、配下も的確な動きだったね」
「しょせんは士気の低い怠け者だ。あれを倒されたくらいで、私の士気は影響を受けん!」
「ここの戦場の作戦を制すれば僕たち復讐者にとって大きなアドバンテージになる。ミズーリ、貴方の強さはわかっているよ。それでも、僕は……僕たちはあなたを超えてみせる!」
「やってみるがいい!」
ミシェルの挑戦をミズーリは正面から受け止めた。
ダツ型海戦装が体をねらせ、備えられた三連装砲塔の主砲をこちらに向ける。重量級徹甲弾が弾幕となってミシェルに降り注いだ。
「つ……!」
水面歩行がなければとっくの昔に海へ沈まされているに違いない。念のために水中適応を利用する心構えもしておいた方がよさそうだ。
「やれやれ、まともに全弾喰らうと水に沈みかねないな」
近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)は肩を竦め、再び討伐に合流する。パラドクス通信を使い、ミシェルと連絡を取り合った。
「トループス級は手伝えなくてすまない。ここからは指揮官討伐だな、しっかりやらせてもらうぜ」
「期待してるよ」
「ああ、なにせ効率よく動いて偵察するだけで苦労したからな。あいつらの好きにやらせたらとんでもないことになりそうだ」
それくらい、冥海機にとってこのフィールドは重要拠点なのだ。譲れないのは相手も同じこと。悠の視線に気づいたミズーリが砲口を向け、徹甲弾を撃ち放つ。悠は慌てずに精神集中を心がけた。弾道を見極め、水面とは思えない身のこなしでミズーリの位置と挙動の把握を試みる。
「ミズーリ、か。大物だな」
「降参するならいまのうちだぞ?」
「御免だな。アンタを打倒しなければこの作戦は成功と言えないんでね……!」
高速で呪文を呟き、アイシクルエンドのパラドクスを発動。氷柱は氷雪を纏い、ミズーリを押し潰さんと天上より落下する。
「ぐ……ッ」
海戦装ごとミズーリを掠めた氷柱の下から徹甲弾が炸裂、悠を海中へと叩き落とした。そう来ると思ったぜ――あらかじめ水中適応の準備があった悠は顔だけを水面に出して詠唱を続行する。
「来た!」
敵を観察していたミシェルはとっさに砲塔の方向に対して身構える。容赦なく叩きつける徹甲弾が上げる水飛沫のただ中へ沈みながらも、闘志だけは決して手放さない。
「あそこだよ!」
「復讐者を舐めるなよ」
すぐさま水面へ浮かび上がり、パラドクス通信で敵の現在位置を共有、悠は今度こそ氷柱を真上から直撃させた。
「おのれ!!」
すぐに次が来る、とミシェルは意地でも水面から顔を出したまま詠唱を完了する。サメのヒレのような鋭い刃が現れ、ミズーリを引き裂いた。
「ああッ!?」
「……色々不利なのはわかってるさ。それでも――」
これからの為には、乗り越えなければならない関門なのだ。
「貴方を乗り越えてみせる、ミズーリ!」
「たとえ名高い戦艦の名を冠していてもな、沈んでもらうぜ」
シャークカッターと同時にアイシクルエンドが発動、鮫刃と氷柱が挟み撃つようにしてミズーリを追い込む。まるで、覚悟の違いを見せつけるみたいに。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【水中適応】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
八上・霞
(トレインチケット)
こういうシチュエーションは嫌いじゃない――颯爽と戦場に乗り込んだアマネ・モルゲンシュバルツ(憤怒のドラッヘリッター・g00313)は全身に埋め込まれた神器を一斉に解放、そのうちの一つを構えて軽やかに躍りかかった。
「応援に来たわよ! せっかくだし、ちょっとくらいは頑張っちゃおっかなー?」
「甘いわ! このミズーリ、やすやすとやられるものか」
「――なんてね」
「なッ!?」
アマネは攻撃を仕掛ける直前、不意に矛先を変えてミズーリを出し抜いた。てっきり正面から来るものと思っていたミズーリは突然のフェイントについていけない。死角に潜り込み、発動するパラドクスが神器の封印を解いて荒れ狂った。
「油断大敵♪」
飄々とした態度に騙されることなかれ。眼鏡越しの瞳に浮かぶ、ほのかな殺気。さっき仕掛けた攻撃は敵の急所を捉えて致命的な箇所を的確に抉っていた。
「人を見た目で判断するのってよくないんじゃないかなー?」
「貴様ッ……」
「やれやれ、どっちが甘いのかしらね」
アマネの視界を長い黒髪と赤紐が舞う。
話の最中に、八上・霞(閃光・g00118)は鞘に納めた刀を掴んでミズーリの死角に回り込んでいた。抜刀――しない。予想だにしない鈍器としての使い方で、霞はミズーリの胴体を強かに打ち据える。
「いつの、間に!?」
「よっす。人手が足りないみたいだから救援にきたよ~。なんか盛り上がってるね? ミズーリちゃんていうんだ、可愛い名前! あははッ」
ここが戦場だということを微塵も感じさせない、心底から楽しそうな大笑い。
「か、かわ……?」
ミズーリが耳まで赤くなる。
「侮辱するか!」
「ちがうよ」
霞は、チッチッチ、と人差し指を左右に振った。
「楽しんでるの。頭固いと損だからね、よっと――……」
水上走行の残留効果を借りて、追いかけっこみたいに敵の攻撃から逃げる。
「こっちこっち~」
大きく手を振る霞をミズーリが射程に捉えた、まさにその瞬間。
「後ろの正面、だーれだ?」
はっとしたミズーリが動きを止めた。
「しまッ――」
アマネが背後を取っている。
神器を薙ぎ払い、敵を海戦装ごと水面へ叩きつけた。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【ダブル】がLV2になった!
エリザベータ・シゲトヴァール
●心情
あれが敵の旗艦……『二度目の』世界大戦に終戦を齎したと言うミズーリの名を冠するだけの事はある。
ならば小細工を弄するは無礼というものね。こちらも私の奥の手でお相手させて頂くわ。
●行動
【飛翔】は継続。
V-EXTRAを発動し全リミッターを解除。【空中戦】技能をフル活用して真っ向勝負と行きましょう。
多少のダメージは覚悟の上で、至近距離で爆撃槌を振るって敵の拳の海戦装と切り結ぶ。
ライト級の航空型サイボーグがヘビー級の戦艦型を相手にするなら、例え空中でも殴り合うのは悪手中の悪手。だけど、そうするだけの理由がある。
一撃の重さではあちらに分があるけれど、V-EXTRAの機動性を活かし、【残像】も織り交ぜた手数で押せば決して勝機が無い訳では無い。
聞く所によると、『史実』において貴艦は国に殉じた敵国の特攻機パイロットに敬意を表して水葬を執り行ったそうね。
例えクロノヴェーダだとしても、その名に違わぬ誇り高い相手だったわ。
――旗艦ミズーリ。
その名を聞けば自然と背筋が伸びるような気さえする。『二度目の』世界大戦に終戦を齎したという情報はエリザベータ・シゲトヴァール(聖イシュトヴァンの剣・g00490)の耳にも入っていた。
「小細工なしでいくわ。それが礼儀というものでしょう?」
「望むところだ。どこからでもかかってくるがいい!」
両者が動いたのはほぼ同時。
「――強制解除!」
エリザベータの動力炉がスクランブルブーストをかけるのと連動して全リミッターが解除される。ミズーリはダツ型海戦装を自らの拳に融合させ、直接攻撃に出た。エリザベータは海面を飛翔、爆撃槌と拳が互いを至近距離から削り合う壮絶な殴り合いが始まったのだ。
「く――」
奥歯を噛み締め、エリザベータは堪える。
ヘビー級の戦艦型を、ライト級の航空型サイボーグが真正面から相手取るも同然の状況。例え空中でも悪手中の悪手だが、エリザベータには勝算があった。
「!?」
ようやくミズーリも気が付いたようだ。
一撃の重さならミズーリの有利は揺らがない。だが、残像すら発生するほどの機動力を誇るV-EXTRAを駆使した手数の多さはその差を埋めるのに十分過ぎる。
「これは聞いた話なのだけど」
交錯する激突の最中、エリザベータが言った。
「『史実』において貴艦は国に殉じた敵国の特攻機パイロットに敬意を表して水葬を執り行ったそうね」
「何を――」
限界稼働時間が迫る中、爆撃槌の直撃を受けたミズーリの体勢が崩れる。エリザベータは止めを叩き込んで続けた。
「例えクロノヴェーダだとしても、その名に違わぬ誇り高さには敬意を払うわ」
水柱と轟音を轟かせ、水中に没するミズーリ。
海面が元通りの静けさを取り戻すまでエリザベータは無言で見つめていた。かつてミズーリの乗員がそうしたように、敵味方という立場を超えた弔いの心をもって。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!